JP2014081767A - 状態診断方法、および、状態診断装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】最新1クラスサポートベクターマシンにより診断データについて異常の有無を判定し、異常があると判定された前記診断データは故障に関与するものと診断する第1の診断ステップと、第1の診断ステップで異常があると判断された診断データについて、初期1クラスサポートベクターマシンにより異常の有無を判定し、異常があると判定された当該診断データは経年劣化に関与するものと診断し、異常がないと判定された当該診断データは正常と診断する第2の診断ステップと、を備える。
【選択図】図2
Description
手法1:機械の数式モデルを用意して(正常や異常などの)状態を推定する
手法2:機械学習などパターン認識により状態を推定する
診断対象が複雑系になると、精度良く状態を診断できる数式モデルを構築することは困難である.また、対象の経年による特性変化まで考慮すると、航空機などの複雑系に対して手法1を適用するのは困難といえる。
そのような背景から、複雑系に対する状態診断に手法2のパターン認識が適用されることがある。その一例として、近年、その精度の良さから注目を集めているサポート・ベクター・マシン(Support Vector Machines(SVM),機械学習の一種)の状態診断への応用が試みられている。特に、異常発生時のデータ収集の困難さなどから、正常データのみで学習が可能である1クラスSVM(One Class Support Vector Machines,非特許文献1)の適用が盛んである(例えば、特許文献1)。
また、高次元特徴空間における内積のみを定義することにより、計算量増加を抑えつつ高次元特徴写像を実施するカーネル法(Kernel methods)をSVMと組み合わせて使うことが多いが、このとき用いるカーネルとそのパラメタ(カーネル・パラメータ)によってSVMの診断精度が大きく変わる。手元のデータによってカーネル・パラメータの“良し悪し”が決まるため、SVMの学習開始時には全データが揃っていない追加学習においては、“良い”カーネル・パラメータの設定が困難である。
カーネル・パラメータの最適化については、いくつかの提案がなされている(例えば、非特許文献2)が、いずれもマルチクラス分類を前提としており、1クラスSVMには適用できない。また、追加学習することを想定しておらず、その場合には非特許文献2のような既存手法は不向きである。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、経年による特性変化を区別できる状態診断方法を提供することを一つ目の目的とする。
また本発明は、1クラスSVMであっても、カーネル・パラメータの最適化のための更新を行なうことができる状態診断方法を提供することを二つ目の目的とする。
本発明の状態診断方法は、第1の診断ステップと、第2の診断ステップと、を備える。
第1の診断ステップは、最新1クラスサポートベクターマシンにより診断データについて異常の有無を判定し、異常があると判定された診断データは故障に関与するものと診断する。
第2の診断ステップは、第1の診断ステップで異常があると判定された診断データについて、初期1クラスサポートベクターマシンにより異常の有無を判定し、異常があると判定された診断データは経年劣化に関与するものと診断し、異常がないと判定された診断データは正常と診断する。
本発明において、最新1クラスサポートベクターマシンは、診断対象から当該診断時に取得した診断データを用いて追加学習して構築されたものであり、また、初期1クラスサポートベクターマシンは、診断対象が作製された当初に取得されたデータを用いたトレーニングにより構築されたものである。
以上の二つの1クラスSVMを備えていれば、最新1クラスサポートベクターマシンによる異常の有無の判定と初期1クラスサポートベクターマシンによる異常の有無の判定の順番を入れ替えても、診断結果の区別を同様に行なうことができることは明らかである。
すなわち本発明は、以下の第3の診断ステップと、第4の診断ステップと、を備える状態診断方法を提供する。
第3の診断ステップは、初期1クラスサポートベクターマシンにより診断データについて異常の有無を判定し、異常がないと判定された診断データは正常と診断する。
第4の診断ステップは、第3の診断ステップで異常があると判断された診断データについて、最新1クラスサポートベクターマシンにより異常の有無を判定し、異常があると判定された診断データは故障に関与するものと診断し、異常がないと判定された当該診断データは経年劣化に関与するものと診断する。
初期1クラスサポートベクターマシン、最新1クラスサポートベクターマシンについては、上記と同じである。
これまで、1クラスしかトレーニングデータが存在しない場合には、距離を定義するための相手が存在しないために、評価関数を導入できなかった。本発明は、追加する診断データを従前の正常領域との間の距離を定義する対象とすることで、評価関数の導入を可能にした。したがって、本発明によれば、1クラスSVMにおいても、カーネル・パラメータσを更新し、最適化できる。
なお、本発明において、新たな診断データについて診断を行なう際に追加学習を行なうものとすると、先行して行なわれた追加学習により特定された正常領域を、従前の正常領域という。
カーネル・パラメータσが必要以上に小さくなるのを避けるためである。
また、本発明によれば、1クラスSVMにおいても、カーネル・パラメータσを更新し、最適化できる。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
状態診断システム1は、図1に示すように、制御部11、記憶部13、入力部15及び表示部17を備える装置本体10と、検出センサ20と、を備えている。検出センサ20は、図示しない診断対象に取り付けられ、必要な計測データ(診断データ)を取得し、装置本体10は検出センサ20で取得した診断データに基づいて、後述する1クラスSVMの構築、及び、構築された1クラスSVMによる状態診断を実行する。なお、ここでは診断対象の故障予兆を診断する例を説明するが、本発明を他の状態診断に用いることができるのは言うまでもない。
CPUは、記憶部13及び/又はメモリに格納されるプログラム(ソフトウェア)をメモリの特定領域に読み出して、そのプログラムに従って後述する状態診断のための処理を実現する。
記憶部13は、例えばHDD(Hard Disc Drive)、SDD(Solid State Drive)からなり、制御部11が実行するプログラム、プログラム実行に必要なデータ、OS(オペレーティングシステム)が格納される。
入力部15は、例えば、キーボード、マウスなどの公知の入力装置からなる。入力部15を介して、状態診断システム1に対して、操作・動作指示、データ入力等を行うことができる。
表示部17は、LCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイ装置からなり、状態診断システム1による診断結果、その他を表示する。
カーネル法を導入した1クラスSVMでは、評価関数(式(1))に関して最適なαを見つける。
図3に示されるように、カーネル法を導入した1クラスSVMでは、トレーニングデータ(●)を取得すると、状態診断に用いる領域(正常領域)Aを複雑な形状に形成できるのが特徴である。領域Aを除いた領域Bは、トレーニングデータとは異なるクラスに属すると診断するのに用いられる。つまり、トレーニングすることで、領域Aと領域Bを備える1クラスSVMの識別器をあらかじめ構築しておく。図2(a)の「最新1クラスSVM」、「初期1クラスSVM」は、この識別器を表している。そして、診断対象を診断する際には、取得したデータ(診断データ)が、領域A(正常)と領域B(異常)のいずれに属するのかを、式(4)で示される判別式で診断される。
一つは、初期1クラスSVMである。初期1クラスSVMは、診断対象となる機械システムが稼動し始めたときに取得したデータ(トレーニングデータ)によりトレーニングして構築されたものである。初期1クラスSVMだけでは、故障による異常なのか、経年変化による異常なのかを区別することができない。
そこで本実施形態は、もう一つ、最新1クラスSVMを備える。最新1クラスSVMは、診断対象が稼働中に最新データを従前の1クラスSVMに取り込んで追加学習する。この最新データは、1クラスSVMを構築するためのトレーニングデータとして機能するとともに、診断データとしても機能することになる。取り込まれるデータベクトルは検出センサ20により計測した時系列とする。
初めに追加学習される前の最新1クラスSVMとしては、例えば、初期1クラスSVMが適用され、追加学習が逐次なされることで、最新1クラスSVMを構成することになる。
この最新1クラスSVMにおいては、評価関数の導入により、最新データを取り込む度にカーネル・パラメータの逐次最適化を実施することができるが、その好ましい手法については第2実施形態において説明する。
診断に伴い検出センサ20で取得された診断データを、始めに、最新1クラスSVMにて診断する(S101,S103)。診断の結果として、異常と判断すれば(S103 Yes)、当該データについて故障と判断する(S109)。この判断は、最新データを取り込んだ追加学習を反映しているものであるから、現時点の機械システムの状態を反映している。故障と判断されたデータについては、次いで、故障部位が診断される。故障部位の診断については、後述する。
最新1クラスSVMにおいて異常と判断されなかったデータ(S103 No)については、次いで、初期1クラスSVMにおいて異常か否かの識別がなされる(S105,S107)。初期1クラスSVMで識別されるデータは故障に該当するものが除かれているので、異常と識別されたデータは経年劣化に伴うものであると診断される(S107 Yes S111)。劣化と判断されたデータについては、次いで、故障部位が診断される。劣化部位の診断については、後述する。
初期1クラスSVMにおいて異常ではないと判断されたデータについては、診断対象が正常に動作しているものと診断される(S107 No,S113)。
本実施形態に対して、図2(b)に示すように、一つの1クラスSVMしかない場合には、故障と正常とを区別して診断するが、経年による特性変化は故障又は正常のいずれかに含まれることになる。
SOMは、マルチクラスタリング手法(多種類のデータを種類毎に分類する手法)の一種であり、多次元データを例えば2次元などの低次元空間へ写像する。その際、似たデータを低次元空間(2次元なら平面)上で近くに配置することによりマルチクラスタリングを実施する。そのため、多次元データのクラスタリング結果を視覚的に捉えることが可能となる、というものである。
SOMでは、故障(劣化)部位毎にデータの振る舞いが異なると仮定し、故障部位の異なる複数の異常データをSOMに入力することにより、故障部位毎にデータを分類する。種類の異なる故障データを用いたSOMによる部位診断のイメージを図4に示す。
ここでいうトレーニングとは、各種類のデータのサンプルを用いて、クラスタリングのためのマップを作成する。種類毎にデータが固まっていれば(集団が形成できていれば)トレーニングは成功といえる。故障部位診断であれば、複数種類の故障データのサンプルを用いてSOMのトレーニングを実施し、故障部位毎にデータの集団が形成できていれば良い。また、テストとは、種類が不明なデータを与え、それがどの種類に対応する座標に写像されるか検証する。そのデータが属する種類の集団に写像されていれば正解となる。
第1実施形態で適用した最新1クラスSVMの追加学習において、カーネル・パラメータの逐次最適化の具体的な実現手法を第2実施形態として説明する。
第2実施形態の要旨は、評価関数の導入により、カーネル・パラメータ(ここでは主にガウスカーネル)を逐次最適化できる。しかも、追加学習しながらの最適化が可能であるとともに、マルチクラス分類ではない、1クラスSVMにおいて適用可能である。
このように、1クラスSVMであっても、従前の正常領域の外にいる正常データを端点とすることによって距離を定義できるようになる。
はじめに、計測データベクトルを取得し、これを標準化する(図7 S301,S303)。取得されるデータは、前述したように、全て正常と診断されるべきものである。また、取得されるデータは、スケールを統一するために、平均を0、分散を1にする標準化を実施する。
次に、標準化されたデータを、1クラスSVMにより異常か否かを判定する(図7 S305)。ここの判定手順は、図5を用いて説明した通りであり、異常と判定される(図7 S305 Yes)と、当該データは追加学習の対象として1クラスSVMに追加されが、異常と判定されなければ(図7 S305 No)と、当該データは棄却される。
本実施形態では、逐次最適化のために、式(5)で定義されるJ(σ)の最大値が予め定められる閾値未満の場合には、カーネル・パラメータσが必要以上に小さくなるのを避けるため、カーネル・パラメータσを更新しない(図7 S307 No)。J(σ)の最大値が予め定められる閾値以上の場合には、カーネル・パラメータσを更新し(図7 S307 Yes,S309)、新たに1クラスSVMのトレーニングを行う(図7 S311)。
これに対して、図8(b)及び図8(c)は、各々、カーネル・パラメータσが小さすぎる場合と大きすぎる場合を示している。カーネル・パラメータσが小さすぎると正常領域が狭くなりすぎるため、トレーニングデータと不一致なデータが異常と判断されるおそれがある。逆に、カーネル・パラメータσが大きすぎると正常領域が広くなりすぎるため、本来は異常と判定すべきデータが正常と判定されるおそれがある。
また、以上のように、カーネル・パラメータをシステマティックに決定できるため、アルゴリズム設計において試行錯誤に要する時間を削減できる。
第3実施形態では、診断精度を向上するために改良を加えた新しいカーネルを説明する。
この新しいカーネルは、式(6)に示されており、これを導入することにより、従来のガウスカーネルよりも特定の異常事象に対する感度を上げる。式(6)において、σ2が新しいパラメータである。
新たなこのカーネルは従来のガウスカーネルをベースにしており、ガウスカーネルは二つのデータxとzの類似度を計算しているとみなしている。このガウスカーネルに、式(7)で特定される係数を乗算する新たなカーネルを導入することにより、x1とz1の違いをより強調することでし、診断精度を向上する。
ここで提案する改良されたカーネルは、第1実施形態、第2実施形態の両者に適用が可能である。
状態診断システム1は、図2(a)に示される手順で状態診断を行うことを先に説明したが、図9に示す手順で状態診断を行うこともできる。
診断に伴い検出センサ20で取得された診断データを、始めに、初期1クラスSVMにて診断する(図9 S102,S104)。診断の結果として、異常と判断されなかったデータ(図9 S104 No)については、診断対象が正常に動作しているものと診断される(S110)。
異常と判断されたデータについては、最新1クラスSVMにおいて異常か否かの識別がなされる(図9 S106,S108)。ここで異常と判断されなかったデータについては、経年劣化に伴うものであると診断され(図9 S108 No S112)、異常と判断されたデータについては、故障と診断される(図9 S108 Yes S114)。
10 装置本体
11 制御部
13 記憶部
15 入力部
17 表示部
20 検出センサ
Claims (8)
- 最新1クラスサポートベクターマシンにより診断データについて異常の有無を判定し、異常があると判定された前記診断データは故障に関与するものと診断する第1の診断ステップと、
前記第1の診断ステップで異常があると判断された前記診断データについて、初期1クラスサポートベクターマシンにより異常の有無を判定し、異常があると判定された当該診断データは経年劣化に関与するものと診断し、異常がないと判定された当該診断データは正常と診断する第2の診断ステップと、を備え、
前記最新1クラスサポートベクターマシンは、診断対象から当該診断時に取得した前記診断データを用いて追加学習して構築されたものであり、
前記初期1クラスサポートベクターマシンは、前記診断対象が作製された当初に取得されたデータを用いたトレーニングにより構築されたものである、
ことを特徴とする状態診断方法。 - 初期1クラスサポートベクターマシンにより診断データについて異常の有無を判定し、異常がないと判定された前記診断データは正常と診断する第3の診断ステップと、
前記第3の診断ステップで異常があると判断された前記診断データについて、最新1クラスサポートベクターマシンにより異常の有無を判定し、異常があると判定された当該診断データは故障に関与するものと診断し、異常がないと判定された当該診断データは経年劣化に関与するものと診断する第4の診断ステップと、を備え、
前記最新1クラスサポートベクターマシンは、診断対象から当該診断時に取得した前記診断データを用いて追加学習して構築されたものであり、
前記初期1クラスサポートベクターマシンは、前記診断対象が作製された当初に取得されたデータを用いたトレーニングにより構築されたものである、
ことを特徴とする状態診断方法。 - 前記追加学習において、
追加する前記診断データと従前の正常領域の間の距離を評価関数として、前記最新1クラスサポートベクターマシンのカーネル・パラメータσを更新する、
請求項1または2に記載の状態診断方法。 - 追加する前記診断データによる前記評価関数の演算結果の最大値が予め定められる閾値以下の場合には、前記カーネル・パラメータσを更新しない、
請求項3に記載の状態診断方法。 - 前記追加学習において、
従前の前記正常領域に含まれない前記診断データを前記追加学習の対象にするが、
従前の前記正常領域に含まれる前記診断データを前記追加学習の対象から外す、
請求項3又は4に記載の状態診断方法。 - 最新1クラスサポートベクターマシンにより診断データについて異常の有無を判定し、異常があると判定された前記診断データは故障に関与するものと診断する第1の診断部と、
前記第1の診断ステップで異常があると判断された前記診断データについて、初期1クラスサポートベクターマシンにより異常の有無を判定し、異常があると判定された当該診断データは経年劣化に関与するものと診断し、異常がないと判定された当該診断データは正常と診断する第2の診断部と、を備え、
前記最新1クラスサポートベクターマシンは、診断対象から当該診断時に取得した前記診断データを用いて追加学習して構築されたものであり、
前記初期1クラスサポートベクターマシンは、前記診断対象が作製された当初に取得されたデータを用いたトレーニングにより構築されたものである、
ことを特徴とする状態診断装置。 - 初期1クラスサポートベクターマシンにより診断データについて異常の有無を判定し、異常がないと判定された前記診断データは正常と診断する第3の診断部と、
前記第3の診断ステップで異常があると判断された前記診断データについて、最新1クラスサポートベクターマシンにより異常の有無を判定し、異常があると判定された当該診断データは故障に関与するものと診断し、異常がないと判定された当該診断データは経年劣化に関与するものと診断する第4の診断部と、を備え、
前記最新1クラスサポートベクターマシンは、診断対象から当該診断時に取得した前記診断データを用いて追加学習して構築されたものであり、
前記初期1クラスサポートベクターマシンは、前記診断対象が作製された当初に取得されたデータを用いたトレーニングにより構築されたものである、
ことを特徴とする状態診断装置。
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