JP6796562B2 - 代表データ選択装置、機器診断装置、プログラム及び代表データ選択方法 - Google Patents

代表データ選択装置、機器診断装置、プログラム及び代表データ選択方法 Download PDF

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Description

本発明は、診断対象機器の振動データをオクターブバンド分析した分析結果データ群から代表データ群を選択する代表データ選択装置等に関する。
鉄道車両は、安全性の維持のために定期検査等が行われる。また、運行中の異常を速やかに検知し事故を未然に防ぐことを目的として、鉄道車両に搭載されている各種機器や部品の状態を監視する技術が開発・実用化されている。状態監視の手法としては、監視対象の機器や部品それぞれに、温度センサや振動センサといった各種センサを取り付ける手法が一般的である(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−148466号公報
鉄道車両の駆動用機器を対象とした状態監視として、機械学習の一手法である近傍法を適用した異常検知の開発が進められている。近傍法を適用した異常検知では、基本的に、対象機器の振動といった状態監視結果を学習データとして記憶しておくが、長期間に亘る状態監視結果の全てを学習データとすると、データ量が膨大となる。
つまり、鉄道車両の駆動用機器の状態監視では、例えば、天候や季節による状態変化で異常が検知されないようにするために、一定期間(例えば1年以上)の状態監視結果を学習データとする必要があるが、全ての状態監視結果を学習データとすると、記憶される学習データが膨大なものとなる。そして、その全ての学習データを用いて異常検知の演算処理をしようとすると、異常検知に要する演算時間が長大となるとともに、学習データの記憶や異常検知の演算のために大きなメモリ容量が必要となる。また、駆動用機器の振動データを表す学習データには類似の状態に対応するほぼ同じようなデータが多数含まれることから、その全てを記憶しておく必要はなく、選択した代表データのみを記憶しておけばよいという考えがある。
しかしながら、異常検知の信頼性に直結することから、膨大な状態監視結果のデータの中から代表データをどのように選択するかが重要である。また、鉄道車両の駆動用機器では、長期間に亘る状態監視データを蓄積する必要があるが、蓄積が終わった後のデータの中から代表データを選択するのではなく、例えば1日毎といった任意のタイミングで、得られた状態監視結果のデータの中から新たな代表データを選択して、既存の代表データに追加・更新してゆくことができれば至便である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、対象機器の状態監視結果である多数のデータの中から、異常検知に用いる代表データを適切に選択できるようにすることである。
上記課題を解決するための第1の発明は、
診断対象機器の振動データをオクターブバンド分析した分析結果データの集合である分析結果データ群から、当該分析結果データ群のデータ分布領域を表す代表データ群を選択する代表データ選択装置であって、
データ間距離に基づく異常か否かの程度を表す指標値を算出して異常か否かを判定する所定の近傍法に基づく異常判定処理を、既存の分析結果データ群を代表する既存の代表データ群に対する、新たな分析結果データ群の各データ(以下このデータを「新規データ」という。)について適用する異常判定処理手段と、
前記異常判定処理手段によって異常と判定され、且つ、前記指標値が所定の最小条件を満たす前記新規データを、前記既存の代表データ群に追加する追加手段と、
前記異常判定処理手段および前記追加手段を所定の繰り返し終了条件を満たすまで繰り返し機能させることで、前記既存の分析結果データ群および前記新たな分析結果データ群を代表する代表データ群を決定する繰り返し制御手段と、
を備えた代表データ選択装置である。
他の発明として、
コンピュータに、診断対象機器の振動データをオクターブバンド分析した分析結果データの集合である分析結果データ群から、当該分析結果データ群のデータ分布領域を表す代表データ群を選択させるためのプログラムであって、
データ間距離に基づく異常か否かの程度を表す指標値を算出して異常か否かを判定する所定の近傍法に基づく異常判定処理を、既存の分析結果データ群を代表する既存の代表データ群に対する、新たな分析結果データ群の各データ(以下このデータを「新規データ」という。)について適用する異常判定処理手段、
前記異常判定処理手段によって異常と判定され、且つ、前記指標値が所定の最小条件を満たす前記新規データを、前記既存の代表データ群に追加する追加手段、
前記異常判定処理手段および前記追加手段を所定の繰り返し終了条件を満たすまで繰り返し機能させることで、前記既存の分析結果データ群および前記新たな分析結果データ群を代表する代表データ群を決定する繰り返し制御手段、
として前記コンピュータを機能させるためのプログラムを構成しても良い。
更なる他の発明として、
診断対象機器の振動データをオクターブバンド分析した分析結果データの集合である分析結果データ群から、当該分析結果データ群のデータ分布領域を表す代表データ群を選択する代表データ選択方法であって、
データ間距離に基づく異常か否かの程度を表す指標値を算出して異常か否かを判定する所定の近傍法に基づく異常判定処理を、既存の分析結果データ群を代表する既存の代表データ群に対する、新たな分析結果データ群の各データ(以下このデータを「新規データ」という。)について適用する異常判定処理ステップと、
前記異常判定処理ステップによって異常と判定され、且つ、前記指標値が所定の最小条件を満たす前記新規データを、前記既存の代表データ群に追加する追加ステップと、
を含み、前記異常判定処理ステップおよび前記追加ステップを所定の繰り返し終了条件を満たすまで繰り返し実行させることで、前記既存の分析結果データ群および前記新たな分析結果データ群を代表する代表データ群を決定する代表データ選択方法を構成しても良い。
第1の発明等によれば、診断対象機器の振動データをオクターブバンド分析した分析結果データ群から、当該分析結果データ群のデータ分布領域を表す代表データ群を適切に選択することができる。つまり、新たな分析結果データ群の各データ(新規データ)のうち、既存の代表データ群に対して正常と判定された新規データは既存の代表データ群に追加されないことから、代表データ群に類似のデータが含まれるのを抑制できる。また、既存の代表データ群の各データに“類似”せず(つまり、異常と判定され)、且つ、既存の代表データ群のデータ分布領域に近い新規データ(つまり、最小条件を満たす新規データ)を選択して既存の代表データ群に追加してゆくことで、最終的に、既存の分析結果データ群及び新たな分析結果データ群を代表する代表データ群に更新することができる。
なおここで、既存の代表データ群は任意に設定することができる。例えば、正常状態の代表データ群を生成する場合に、初めの既存の代表データ群を初期値と考えるならば、新品状態あるいは点検・修理が完了したばかりの状態の診断対象機器の所定時間分の振動データに基づく分析結果データ群をそのまま既存の代表データ群とすることとしてもよい。
第2の発明は、第1の発明の代表データ選択装置であって、
前記繰り返し制御手段は、前記新たな分析結果データ群のデータ数と、前記異常判定処理手段により異常と判定された前記新規データの数との比率に基づいて、前記繰り返し条件を満たすかを判定する、
代表データ選択装置である。
第2の発明によれば、例えば、比率がゼロに近い所定の閾値以下となること、を繰り返し条件とすることで、既存の代表データ群に対して、新たな分析結果データ群の各データ(新規データ)の殆ど、或いは大部分が正常と判定されるまで繰り返されることになり、その結果、新たな分析結果データ群のデータ分布領域を含んだデータ分布領域に係る代表データ群を選択することができる。
第3の発明は、第1又は第2の発明の代表データ選択装置であって、
初期の分析結果データ群から初期の代表データ群を選択する代表データ群初期選択手段であって、
前記初期の分析結果データ群の各データ(以下このデータを「初期データ」という。)のうちから、当該分析結果データ群のデータ分布領域の中心部に位置する初期データ群を原始データ群として選定する原始データ群選定ステップと、
前記初期の分析結果データ群のうち、前記原始データ群に対する当該原始データ群以外の初期データについて前記異常判定処理を適用する異常判定処理ステップと、
前記異常判定処理ステップにおいて異常と判定され、且つ、前記指標値が前記最小条件を満たす前記初期データを、前記原始データ群に追加する追加ステップと、
前記異常判定処理ステップおよび前記追加ステップを所定の初期繰り返し終了条件を満たすまで繰り返し実行させて前記初期の代表データ群を決定する繰り返し制御ステップと、
を実行する代表データ群初期選択手段、
を備えた代表データ選択装置である。
第3の発明によれば、既存の代表データ群が存在しない場合に、初期の分析結果データ群から、当該初期の分析結果データ群のデータ分布領域を表す初期の代表データ群を選択することができる。すなわち、初期の分析結果データ群のデータ分布領域の中心部に位置する初期データ群を原始データ群として選定し、原始データ群以外の初期データについて、原始データ群に対する異常判定処理を行い、原始データ群に対して異常と判定され、且つ、指標値が最小条件を満たす初期データを原始データ群に追加することを、初期繰り返し終了条件を満たすまで繰り返すことで、原始データ群を初期の代表データ群として決定することができる。第1の発明における、既存の代表データ群に対する新規データの追加処理と同様の処理によって、初期の代表データ群を決定することができる。
第4の発明は、第1〜第3の何れかの発明の代表データ選択装置であって、
前記診断対象機器が正常状態にあるときの前記分析結果データ群から前記代表データ群を選択する、代表データ選択装置である。
第4の発明によれば、診断対象機器が正常状態にあるときの代表データ群を生成することができる。
第5の発明は、
第4の発明の代表データ選択装置と、
前記代表データ選択装置によって選択された代表データ群に対する、前記診断対象機器の異常診断対象となる分析結果データ群の各データについて、前記異常判定処理を適用して異常の有無を診断する異常診断手段と、
を備えた機器診断装置である。
第5の発明によれば、代表データ群を用いた診断対象機器の異常の有無の診断を、当該代表データ群の選択に用いた近傍法に基づく異常判定処理によって行うことができる。
機器診断システムの適用例。 振動データに対する分析の説明図。 NNDD法による異常判定の説明図。 代表データ群の選択の概要図。 代表データ群の初期選択の説明図。 代表データ群の追加の説明図。 分析結果データ群及び代表データ群のデータ分布の一例。 分析結果データ群及び代表データ群のデータ数の一例。 代表データ群を用いた異常診断の精度の一例。 代表データ選択装置の機能構成図。 代表データ選択処理のフローチャート。 本発明の他の適用例。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態によって本発明が限定されるものではなく、本発明を適用可能な形態が以下の実施形態に限定されるものでもない。また、図面の記載において、同一要素には同一符号を付す。
[システム構成]
図1は、本実施形態の機器診断システム1の適用例である。図1に示すように、機器診断システム1は、振動センサ3と、代表データ選択装置5とを備えて構成され、鉄道車両7に搭載されて使用される。
振動センサ3は、診断対象機器である鉄道車両7の駆動用機器に直接又は駆動用機器の近傍に設置され、駆動用機器の動作によって生じる振動を検知する。図1では、振動センサ3を台車に設置する例を示している。例えば、鉄道車両7が電気車の場合、主電動機(モータ)や歯車装置等の駆動装置、これらに用いる軸受等を含む駆動用機器が診断対象機器となる。また、鉄道車両7が気動車(ディーゼル車)であれば、ディーゼル機関(エンジン)や変速機、減速機、補機駆動装置、これらの周辺部品等の駆動用機器が診断対象機器となる。回転機械の異常はその振動に変化として表れるため、振動データによって駆動用機器の異常の有無を診断(異常を検知)することができる。
代表データ選択装置5は、振動センサ3によって検知された振動データの分析結果データ群から、駆動用機器の異常有無の診断に用いる代表データ群を選択する。なお、生成した代表データ群を用いた駆動用機器の異常有無の診断をも代表データ選択装置5が行うことにしても良い。この場合、代表データ選択装置5が機器診断装置として機能することになる。或いは、生成した代表データ群を所与の外部装置9に送信又は出力して、この外部装置9が機器診断装置として機能し、当該代表データを用いた異常有無の診断を行うこととしても良い。また、本実施形態では、鉄道車両7に搭載される装置5が、代表データ選択装置としての機能全てを担うものとして説明するが、当該装置5と外部装置9とで機能を分担し、当該装置5と外部装置9とで合わせて代表データ選択装置を構成することとしてもよい。
[原理]
(A)振動データに対する分析
図2は、振動データに対する分析を説明する図である。図2に示すように、時系列データとして得られる振動データに対する分析として、先ず、オクターブバンド分析を行う。オクターブバンド分析では、振動データに対する所定のバンドパスフィルタ処理を連続的に行い、単位期間Δt毎のオクターブバンド分析結果として、周波数帯域(オクターブバンド)毎の振動の大きさ(振動実効値)が得られる。次いで、単位期間Δt毎のオクターブバンド分析結果に対する主成分分析を行って主成分を求め、求めた主成分を特徴ベクトルとする。この主成分分析結果として得られる特徴ベクトルを、分析結果データとする。つまり、単位期間Δt毎に1つの分析結果データが得られることになる。
また、オクターブバンド分析を行った単位期間Δtにおける鉄道車両7の走行速度の平均値である平均速度を、当該単位期間Δtに該当する分析結果データに対応する走行速度とする。更に、当該単位期間Δtにおける鉄道車両7のモータやエンジン等の動力源の回転数、及び、動作モードを取得し、分析結果データに対応付けておく。動作モードとは、力行、だ行、及び、ブレーキの運転操作と、そのノッチ数との組み合わせであり、例えば、力行5ノッチ、だ行、ブレーキ1ノッチ、といったように設定される。
(B)異常有無診断
診断対象機器の異常有無の診断には、近傍法を利用するが、本実施形態では近傍法の一種であるNNDD(Nearest Neighbor Data Description)法を利用することとして説明する。
図3は、NNDD法による異常判定の概要を説明する図である。図3に示すように、NNDD法では、分析結果データ(特徴ベクトル)を多次元空間上の1点と考える。そして、診断対象機器の正常時の振動データに基づく分析結果データである学習データの集合Gの中から、診断対象であるテストデータXに最も近い学習データAを探し、テストデータXと学習データAとの間の距離を基準距離で除した比を求め、テストデータXが学習データの集合Gに対して非類似、すなわち異常であるか否かを判定する。テストデータXが異常である場合、テストデータXと学習データAとの間の距離が大きくなるため、求まる比は、異常か否かの程度を表す異常度(指標値)といえる。
より具体的な実現手法の例としては、テストデータXに最も近い学習データAのみではなく、k番目(k=1〜kNN)に近いkNN個の学習データを用いて、学習データの集合Gに対してテストデータXが異常であるか否かを判定する。具体的には、次式(1)に示す異常度算出関数f(X)に従い、判定対象のテストデータXの異常度fを求める。
式(1)において、「d」は、テストデータxにk番目に近い学習データに対する基準距離である。基準距離dは、次のように定められる。すなわち、学習データそれぞれについて、k番目に近い他の学習データとの距離を算出し、算出したこれらの距離を小さい順に並べたときに99%の順位に位置する学習データとの距離を特定して、これを、k番目に近い学習データに対する基準距離dとする。また、「NN(X)」は、テストデータXにk番目に近い学習データである。そして、式(1)の異常度算出関数f(X)で求めた異常度fが正値であればテストデータXを異常と判定し、異常度fが負値であればテストデータXを正常と判定する、
(C)代表データ群の選択
近傍法(本実施形態の具体例でいえばNNDD法)に基づく異常有無診断では、図2に示したように、診断対象機器を搭載した鉄道車両の走行中の振動データに基づく単位期間Δt毎の分析結果データ群を学習データの集合Gとして用いるが、この学習データの集合Gは膨大な量の分析結果データの集合となる。そこで、本実施形態では、現時点までの走行によって得られた振動データに対する分析結果データの集合である分析結果データ群から、当該分析結果データ群のデータ分布領域を表す代表データ群を選択し、この代表データ群を学習データの集合Gとして、駆動用機器の異常有無の診断に用いることにする。
図4は、代表データ群の選択の概要を説明する図である。図4に示すように、本実施形態では、診断対象機器を搭載した鉄道車両の1回の走行毎に、当該走行によって得られた振動データに基づく分析結果データ群20から一部を選択し、既存の代表データ群330に追加することで、代表データ群330を更新してゆく。ここで、1回の走行(1走行)とは、ある程度の長さに亘る期間における走行であり、例えば、運用対象として鉄道車両が割り当てられた列車1本分の走行や、運用した1日分の走行とすることができる。そして、1回目の走行は、診断対象機器が正常であることが保障された状態での走行、例えば、新品の診断対象機器が鉄道車両に搭載された後の最初の走行や、診断対象機器を含めて鉄道車両が正常とみなせる仕業検査や交番検査といった点検・整備がなされた後の最初の走行などが該当する。
図4に示すように、1回目の走行については、当該走行によって得られた初期の分析結果データ群21の各分析結果データ(初期データ)のうちから一部を選択して、初期の代表データ群331とする。
詳細には、図5に示すように、先ず、1回目の走行によって得られた初期の分析結果データ群21の各分析結果データ(初期データ)の平均値を求めて、初期の分析結果データ群21のデータ分布領域の中心点Oとする。次いで、初期の分析結果データ群21の各分析結果データ(初期データ)のうちから、中心点Oにk番目(k=1〜kNN)に近いkNN個の分析結果データを、分析結果データ群21のデータ分布領域の中心部に位置するデータ群として選定し、原始データ群31とする。
そして、初期の分析結果データ群21から原始データ群31を除いた各分析結果データそれぞれについて、原始データ群31を学習データの集合Gとした上述のNNDD法による異常判定を行う。なお、NNDD法による異常判定において、異常度算出関数f(X)における基準距離dは、初期の分析結果データ群21の各分析結果データに対して算出される値である。その結果、初期の分析結果データ群21のデータ数に対する、異常と判定された分析結果データの数の比率が所定の閾値(例えば、1%)を超えるならば、異常と判定した分析結果データのうち、その異常度fが最小条件を満たす分析結果データを、原始データ群31に追加する。ここでの最小条件は、本実施形態では、異常度fが最小となる1つとするが、最小から2以上の所定数までを最小条件としてもよい。
以降は、このNNDD法による異常判定、及び、原始データ群31への追加を、初期の分析結果データ群21のデータ数に対する、異常と判定した分析結果データの数の比率が所定の閾値(例えば、1%)以下となることを初期繰り返し終了条件として、当該初期繰り返し終了条件を満たすまで繰り返し行う。この比率が所定の閾値以下となったときの原始データ群31が、初期の代表データ群331となる。
図4に戻り、2回目以降の走行については、走行毎に得られた新たな分析結果データ群22,23,・・の各分析結果データのうちから、既存の代表データ群330を利用することで一部を選択して、当該既存の代表データ群330に追加する。
詳細には、図6に示すように、新たな分析結果データ群22,23,・・の各分析結果データそれぞれについて、既存の代表データ群330を学習データの集合Gとした上述のNNDD法による異常判定を行う。なお、NNDD法による異常判定において、異常度fの算出に用いる基準距離dは、初期の代表データ群331の選択の際に用いた値と同一の値を用いる。その結果、新たな分析結果データ群22,23,・・のデータ数に対する、異常と判定した分析結果データの数の比率が所定の閾値(例えば、1%)を超えるならば、異常と判定した分析結果データのうち、その異常度fが最小条件を満たす分析結果データを、既存の代表データ群330に追加する。
以降は、同様に、このNNDD法による異常判定、及び、既存の代表データ群330の追加を、新たな分析結果データ群22,23,・・のデータ数に対する、異常と判定した分析結果データの数の比率が所定の閾値(例えば、1%)以下となることを繰り返し終了条件として、当該繰り返し終了条件を満たすまで繰り返し行う。
(D)検証
本実施形態の代表データ群の選択方法の妥当性を、実験によって検証した。この実験では、診断対象機器を鉄道車両用エンジンとし、異常状態として、潤滑油に異物(SiC:炭化ケイ素)を混入した状態で運転させることで異常摩耗を発生させ、そのときの振動データを測定した。具体的には、先ずは異物を混入しない“正常状態”から開始し、所定時間の運転を“1回の走行”とみなして、1回の走行を終了する毎に、異物を追加することで混入濃度を段階的に増加させ、異常が徐々に進行してゆく様子を模擬した。また、振動データは、アイドリング運転させたときの振動データを用いた。そして、1回の走行毎に、当該走行によって測定された振動データに基づく分析結果データ群を生成し、代表データ群の選択・追加(更新)を行った。なお、以下では、異物の混入濃度が“n%”の時点までの走行毎の分析結果データ群に基づいて更新された代表データ群を“代表データ群(n%)”と表記している。
(D1)データの分布
図7は、分析結果データ群及び代表データ群のデータ分布を示す図であり、主成分分析によって得られた分析結果データの2つの主成分(第1主成分、及び、第2主成分)に着目して、各データをプロットした図である。ここでは、説明を簡単化するために主成分は2つとした。図7(a)は、“1回目の走行”の終了時点に相当し、異物の混入濃度が“0%”である正常状態の振動データに基づく分析結果データ群(正常)、及び、この分析結果データ群(正常)ら選択した代表データ群(正常)、の各データの分布を示している。図7(b)は、“2回目の走行”の終了時点に相当し、分析結果データ群(正常)、異物の混入濃度が“0.05%”であるときの振動データに基づく分析結果データ群(0.05%)、及び、この分析結果データ群(0.05%)に基づいて更新した代表データ群(0.05%)、の各データの分布を示している。図7(c)は、“3回目の走行”の終了時点に相当し、分析結果データ群(正常)、分析結果データ群(0.05%)、異物の混入濃度が“0.10%”であるときの振動データに基づく分析結果データ群(0.10%)、及び、この分析結果データ群(0.10%)に基づいて更新した代表データ群(0.10%)、の各データの分布を示している。
図7によれば、分析結果データの分布領域は、異物混入によって広がってゆくことがわかる。また、分析結果データの分布は一様ではなく偏りがみられるが、その分布密度に関わらず、分析結果データの分布領域に対して、代表データが万遍なく分布しており、代表データ群は、分析結果データ群のデータ分布領域を、その位置の分布でカバーするように選択されていることがわかる。
(D2)データ数
図8は、分析結果データ、及び、代表データ群の各データ数を示す図である。図8(a)は、横軸を異物の混入濃度(走行回数ともいえる)、縦軸をデータ数として、走行別に、その時点における異物の混入濃度と、その時点までに得られた分析結果データの総数、及び、代表データの総数と、の関係をプロットしたグラフである。図8(b)は、図8(a)のグラフの縦軸(データ数)を、常用対数表記としたグラフである。図8(c)は、横軸を異物の混入濃度(走行回数ともいえる)、縦軸を割合として、走行別に、その時点における異物の混入濃度と、その時点までに得られた分析結果データの総数に対する、代表データの総数の割合の関係をプロットしたグラフである。
図8(a),(b)によれば、分析結果データの総数は、走行回数に比例して増加しているが、これに比較して、代表データの総数は、走行回数が増加しても殆ど増加していない。また、図8(c)によれば、1回目の走行では、得られた分析結果データの約10%が代表データとして選択されるが、2回目以降の走行では、分析結果データ数に対する代表データ数の割合が急激に低下していることがわかる。これらのことから、2回目以降の走行によって新たに得られた分析結果データから追加選択される代表データが大きく減少していることがわかる。これにより、本実施形態によれば、膨大な分析結果データから極めて少ない数の代表データ数を適切に選択できることがわかる。
(D3)精度
図9は、代表データ群を用いた異常有無の診断精度を示す図である。走行別(すなわち、異物の混入濃度別)の振動データに基づく分析結果データ群それぞれをテストデータとし、走行毎(すなわち、異物の混入濃度別)に選択・更新された代表データ群に対するテストデータの異常判定を行った。そして、テストデータとした分析結果データ群のデータ数のうち、異常と判定されたデータ数の割合を求めた。図9は、代表データ群毎に、テストデータとした分析結果データ群に対応する異物の混入濃度と、異常と判定されたデータ数の割合との関係をプロットしたグラフである。なお、比較のため、正常時(異物の混入濃度が“0.00%)の分析結果データ群を用いて異常判定を行った場合のグラフも併せて示している。
図9によれば、正常時の分析結果データ群の全てを用いて異常判定を行った場合と、当該分析結果データ群から選択した代表データ群(正常)を用いて異常判定を行った場合とを比較すると、後者のほうが異常と判定されたデータの割合が高くなる。これは、分析結果データ群から代表データ群を選択するため、代表データ群のみによって占められるデータ分布領域が、代表データ群を含む分析結果データ群によって占められるデータ分布領域の内側に位置するためである。両者の分布領域の境界線の間に位置するテストデータは、代表データ群に対する異常判定では異常と判定され、分析結果データ群に対する異常判定では正常と判定されるからである(図5,図6参照)。また、各異物の混入濃度の代表データ群を用いた異常判定では、当該混入濃度以下の分析結果データに対しては殆ど異常と判定せず、当該混入濃度を超える分析結果データに対して異常と判定していることがわかる。
よって、ある混入濃度までは“異常ではない”と判断できるならば、その混入濃度の代表データ群を、異常判定の学習データ(正常と判定するための基準データともいえる)として利用することができる。
[機能構成]
図10は、代表データ選択装置5の機能構成図である。図10によれば、代表データ選択装置5は、操作入力部102と、表示部104と、音出力部106と、通信部108と、処理部200と、記憶部300とを備え、一種のコンピュータシステムとして構成される。
操作入力部102は、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、各種スイッチ等で実現される入力装置であり、操作入力に応じた操作信号を処理部200に出力する。表示部104は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等で実現される表示装置であり、処理部200からの表示信号に基づく各種表示を行う。音出力部106は、例えばスピーカ等で実現される音出力装置であり、処理部200からの音声信号に基づく各種音声出力を行う。通信部108は、例えば無線通信モジュール、有線用の通信ケーブルのジャックや制御回路等で実現される通信装置であり、外部装置との間でデータ通信を行う。
処理部200は、例えばCPU(Central Processing Unit)等の演算装置で実現され、記憶部300に記憶されたプログラムやデータに従って、振動センサ3から入力される振動データの分析結果データ群から、駆動用機器の異常有無の診断に用いる代表データ群を選択する。代表データ群を選択するための機能部として、処理部200は、オクターブバンド分析部202と、前処理部204と、代表データ群初期選択部206と、代表データ群追加部210とを有し、代表データ選択プログラム302に従った代表データ選択処理(図11参照)を行う。これらの機能部は、プログラムを実行することによりソフトウェアとして実現される処理ブロックであっても良いし、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路によって実現される回路ブロックであっても良い。本実施形態では、代表データ選択プログラム302を実行することによりソフトウェアとして実現される処理ブロックとして説明する。
オクターブバンド分析部202は、振動センサ3によって検知された振動データに対して、所定の単位期間Δt(例えば、1秒)毎にオクターブバンド分析を行う。
前処理部204は、オクターブバンド分析部202による単位期間Δt毎のオクターブバンド分析結果に対して、近傍法を実施するための前処理として主成分分析を行い、分析結果データとなる特徴ベクトルを算出する(図2参照)。
代表データ群初期選択部206は、代表データ群初期選択手段に該当し、初期の分析結果データ群から初期の代表データ群を選択する。具体的には、初期の分析結果データ群の各データ(以下このデータを「初期データ」という。)のうちから、分析結果データ群のデータ分布領域の中心部に位置する初期データ群を原始データ群として選定する原始データ群選定ステップと、初期の分析結果データ群のうち、原始データ群に対する原始データ群以外の初期データについて異常判定処理を適用する異常判定処理ステップと、異常判定処理ステップにおいて異常と判定され、且つ、指標値が最小条件を満たす初期データを、原始データ群に追加する追加ステップと、異常判定処理ステップおよび追加ステップを所定の初期繰り返し終了条件を満たすまで繰り返し実行させて初期の代表データ群を決定する繰り返し制御ステップと、を実行する。
すなわち、代表データ群初期選択部206は、1回目の走行によって得られた振動データに対する初期の分析結果データ群の各分析結果データのうちの一部を選択して、初期の代表データ群331とする。詳細には、先ず、初期の分析結果データ群についての基準距離dを求める。そして、初期の分析結果データ群の各分析結果データそれぞれについて、当該分析結果データからk番目(k=1〜kNN)に近い他の分析結果データとの距離を算出し、算出したこれらの距離を小さい順に並べたときに99%の順位に位置する当該分析結果データとの距離を特定して、これを、k番目に近い分析結果データに対する基準距離dとする。算出した基準距離dは、基準距離データ320として記憶しておく。
続いて、初期の分析結果データ群のデータ分布領域の中心点Oを求め、この中心点Oに近い順にkNN個の分析結果データを、初期の分析結果データのデータ分布領域の中心部に位置する初期データ群とし、原始データ群として選定する。次いで、初期の分析結果データ群から原始データ群を除いた各分析結果データそれぞれについて、原始データ群を学習データの集合Gとした上述のNNDD法による異常判定を行う。このNNDD法による異常判定では、基準距離データ320として記憶した基準距離dを用いる。その結果、初期の分析結果データ群のデータ数に対する、異常と判定した分析結果データの数の比率が所定の閾値(例えば、1%)を超えるならば、異常と判定した分析結果データのうち、その異常度fが最小条件を満たす分析結果データを、原始データ群に追加する。以降は、このNNDD法による異常判定、及び、原始データ群の追加を、初期の分析結果データ群のデータ数に対する、異常と判定した分析結果データの数の比率が所定の閾値(例えば、1%)以下となることである初期繰り返し終了条件を満たすまで、繰り返し行う。このようにして選択された原始データ群を、新規の代表データ群331として決定する(図5参照)。
代表データ群追加部210は、異常判定部212と、追加部214と、繰り返し制御部216とを有し、2回目以降の走行によって得られた1走行毎の振動データに対する分析結果データ群から代表データを選択し、既存の代表データ群に追加する。
異常判定部212は、異常判定処理手段に該当し、データ間距離に基づく異常か否かの程度を表す指標値を算出して異常か否かを判定する所定の近傍法に基づく異常判定処理を、既存の分析結果データ群を代表する既存の代表データ群に対する、新たな分析結果データ群の各データ(以下このデータを「新規データ」という。)について適用する。
すなわち、異常判定部212は、今回の走行による新たな分析結果データ群22,23,・・の各分析結果データそれぞれについて、前回までの走行による分析結果データ群から選択された既存の代表データ群330を学習データの集合Gとした上述のNNDD法による異常判定を行う。このNNDD法による異常判定では、基準距離データ320として記憶されている基準距離dを用いる。
追加部214は、追加手段に該当し、異常判定処理手段によって異常と判定され、且つ、指標値が所定の最小条件を満たす新規データを、既存の代表データ群に追加する。
すなわち、追加部214は、今回の走行による新たな分析結果データ群22,23,・・のデータ数に対する、異常判定部によって異常と判定された分析結果データの数の比率が所定の閾値(例えば、1%)を超える場合に、異常と判定した分析結果データのうち、その異常度fが最小条件を満たす分析結果データを、既存の代表データ群330に追加する。
繰り返し制御部216は、繰り返し制御手段に該当し、異常判定処理手段である異常判定部212および追加手段である追加部214を所定の繰り返し終了条件を満たすまで繰り返し機能させることで、既存の分析結果データ群および新たな分析結果データ群を代表する代表データ群を決定する。また、新たな分析結果データ群のデータ数と、異常判定処理手段である異常判定部212により異常と判定された新規データの数との比率に基づいて、繰り返し条件を満たすかを判定する。
すなわち、繰り返し制御部216は、異常判定部212による異常判定、及び、追加部214による分析結果データの既存の代表データ群330への追加を、新たな分析結果データ群22,23,・・のデータ数に対する、異常判定部が異常と判定した分析結果データの数の比率が所定の閾値(例えば、1%)以下となることである繰り返し条件を満たすまで、繰り返し行わせる。
記憶部300は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、ハードディスク等の記憶装置で実現され、処理部200が装置を統括的に制御するためのプログラムやデータを記憶するとともに、処理部200の作業領域として用いられ、処理部200が各種プログラムに従って実行した演算結果や、操作入力部102や通信部108からの入力データが一時的に格納される。本実施形態では、記憶部300には、代表データ選択プログラム302と、走行データ310と、基準距離データ320と、代表データ群330とが記憶される。
走行データ310は、診断対象機器が搭載された鉄道車両7による1回の走行毎に生成されるデータであり、走行日時311と、振動データに対する分析データ312とを含む。分析データ312は、当該走行における単位期間Δt毎に生成されるデータであり、走行期間313と、走行速度314と、走行位置315と、回転数316と、動作モード317と、当該単位期間Δtの振動データに対するオクターブバンド分析結果318と、オクターブバンド分析結果318に対する主成分分析の結果として得られる特徴ベクトルである分析結果データ319とを含む。1走行分の単位期間Δt別の分析結果データ319の集合が、当該走行による分析結果データ群となる。
[処理の流れ]
図11は、代表データ選択処理の流れを説明するフローチャートである。この処理は、診断対象機器を搭載した鉄道車両7の1回の走行が終了する毎に、当該走行による振動データに対する分析結果データ群を対象として行われる。
先ず、今回の走行が1回目の走行ならば(ステップS1:YES)、代表データ群初期選択部206が、今回の走行による分析結果データ群から初期の代表データ群を選択する。
すなわち、今回の走行による分析結果データ群(初期の分析結果データ群)についての基準距離dを求める(ステップS3)。次いで、今回の走行による分析データ群(初期の分析結果データ群)のデータ分布領域の中心点Oを求め(ステップS5)、この中心点Oに近い順にkNN個の分析結果データを、原始データ群として選定する(ステップS7)。
続いて、今回の走行による分析結果データ群(初期の分析結果データ群)から原始データ群を除いた各分析結果データそれぞれについて、原始データ群を学習データの集合GとしたNNDD法による異常判定を行う(ステップS9)。その結果、今回の走行による分析結果データ群(初期の分析結果データ群)のデータ数に対する、異常と判定した分析結果データの数の比率が所定の閾値(例えば、1%)を超えるならば(ステップS11:NO)、異常と判定した分析結果データのうち、その異常度fが最小条件を満たす分析結果データを、原始データ群に追加する(ステップS13)。その後、ステップS9に戻り、同様の処理を行う。
そして、今回の走行による分析結果データ群(初期の分析結果データ群)のデータ数に対する、異常と判定した分析結果データの数の比率が所定の閾値(例えば、1%)以下となったならば(ステップS11:YES)、原始データ群を、新規の代表データ群として決定する(ステップS15)。
一方、今回の走行が2回目以降の走行ならば(ステップS1:NO)、代表データ群追加部210が、今回の走行による分析結果データ群から代表データを選択して既存の代表データ群に追加する。
すなわち、異常判定部212が、今回の走行による分析結果データ群(新たな分析結果データ群)の各分析結果データそれぞれについて、既存の代表データ群を学習データの集合GとしたNNDD法による異常判定を行う(ステップS17)。次いで、繰り返し制御部216が、異常判定の結果、今回の走行による分析結果データ群(初期の分析結果データ群)のデータ数に対する、異常と判定した分析結果データの数の比率が所定の閾値(例えば、1%)を超えるか否かを判定し、比率が閾値を超えるならば(ステップS19:NO)、追加部214が、異常と判定した分析結果データのうち、その異常度fが最小条件を満たす分析結果データを、既存の代表データ群に追加する(ステップS21)。その後、ステップS17に戻り、同様の処理を行う。
そして、今回の走行による分析結果データ群(初期の分析結果データ群)のデータ数に対する、異常と判定した分析結果データの数の比率が所定の閾値(例えば、1%)以下となったならば(ステップS19:YES)、既存の代表データ群の追加を終了する。以上の処理を行うと、代表データ選択処理は終了となる。
[作用効果]
このように、本実施形態の機器診断システム1によれば、診断対象機器の振動データをオクターブバンド分析した分析結果データ群から、当該分析結果データ群のデータ分布領域を表す代表データ群を適切に選択することができる。また、新たな分析結果データ群の中から選択したデータを既存の代表データ群を追加して、既存の分析結果データ群及び新たな分析結果データ群を代表する代表データ群に更新することができる。
[変形例]
なお、本発明の適用可能な実施形態は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
(A)システム構成
機器診断システム1は、少なくとも、振動センサ3が鉄道車両7に搭載されていれば良く、代表データ選択装置5の機能の一部又は全部を地上側の外部装置が担うこととしても良い。例えば、オクターブバンド分析によってデータ量を大幅に削減できることから、振動データに対するオクターブバンド分析までの処理を車上側の装置(車上装置)において行い、以降の処理(特徴ベクトルの生成や一連の診断など)を地上側の装置(地上装置)で行うことができる。
この場合、車上装置と地上装置とで代表データ選択装置5が構成されることとなり、車上装置と地上装置との間のデータ通信は、鉄道車両7の走行中に、当該鉄道車両7に搭載された車上装置から所与の無線通信網を介して地上装置へ送信することとしても良いし、走行中は、振動データに対する処理結果を車上装置の内部記憶装置に記憶しておき、運行終了後に、蓄積記憶したデータを、有線通信や無線通信によって地上装置へ送信することとしても良い。或いは、車上装置は、振動データに対する処理データをメモリカード等の外部記憶装置に記憶しておき、運行終了後に、係員がこの外部記憶装置を取り出して、地上装置へ装着・入力させることとしても良い。
(B)代表データの選択の適用
また、上述の実施形態では、代表データの選択を学習データの生成に適用する例を説明したが、異常診断の対象となるテストデータに対して本発明を適用しても良い。すなわち、図12に示すように、本実施形態では、診断対象機器の振動データについての分析結果データ群20の中から選択した代表データ群330を学習データとして生成した。同様に、未知状態である診断対象機器の所定期間(例えば、1走行分)の振動データについての分析結果データ群40に対して、本発明の代表データの選択を適用して、分析結果データ群40の中から選択した代表データ群42を生成することとする。そして、生成した代表データ群42の各データをテストデータとして、分析結果データ群20や代表データ群330等を学習データとして用いた異常検知を行うこととができる。
(C)機器診断装置
また、代表データ選択装置5は、更に、選択した代表データ群330に対する、診断対象機器の異常診断対象となる分析結果データ群の各データについて、異常判定処理を適用して異常の有無を診断する異常診断手段、を備えて機器診断装置として機能するように構成しても良い。
或いは、機器診断システム1は、更に、異常診断手段を備えた機器診断装置を、代表データ選択装置5とは別装置として備える構成としても良い。機器診断装置は、鉄道車両7に搭載されているとしても良いし、図1に示したような外部装置9としても良い。この場合、代表データ選択装置5は、生成した代表データ群を機器診断装置に送信又は出力して、機器診断装置は、代表データ選択装置5から受信又は入力された代表データ群を用いた異常有無の診断を行う。
(D)診断対象機器
また、上述した実施形態では、診断対象機器を鉄道車両7の駆動用機器として説明したが、鉄道車両7以外の機器にも適用することができる。例えば、自動車やオートバイなどの他の車両の駆動用機器(エンジンや電動機、動力伝達機構など)の他、昇降機や産業用機器などに用いられる駆動用機器(エンジンや電動機、発電機など)といった、動作に伴って振動が生じる機器であれば診断対象とすることができる。特に、使用または時間経過に伴って徐々に劣化していくが、定期点検などの要検査間隔が1ヶ月以上であり、その間は検査無しに継続使用される機器が好適である。
1…機器診断システム
3…振動センサ
5…代表データ選択装置
200…処理部
202…オクターブバンド分析部、204…前処理部
206…代表データ群初期選択部(代表データ群初期選択手段)
210…代表データ群追加部
212…異常判定部(異常判定処理手段)、214…追加部(追加手段)
216…繰り返し制御部(繰り返し制御手段)
300…記憶部
302…代表データ選択プログラム、310…走行データ
320…基準距離データ、330…代表データ群
7…鉄道車両

Claims (7)

  1. 診断対象機器の振動データをオクターブバンド分析した分析結果データの集合である分析結果データ群から、当該分析結果データ群のデータ分布領域を表す代表データ群を選択する代表データ選択装置であって、
    データ間距離に基づく異常か否かの程度を表す指標値を算出して異常か否かを判定する所定の近傍法に基づく異常判定処理を、既存の分析結果データ群を代表する既存の代表データ群に対する、新たな分析結果データ群の各データ(以下このデータを「新規データ」という。)について適用する異常判定処理手段と、
    前記異常判定処理手段によって異常と判定され、且つ、前記指標値が所定の最小条件を満たす前記新規データを、前記既存の代表データ群に追加する追加手段と、
    前記異常判定処理手段および前記追加手段を所定の繰り返し終了条件を満たすまで繰り返し機能させることで、前記既存の分析結果データ群および前記新たな分析結果データ群を代表する代表データ群を決定する繰り返し制御手段と、
    を備えた代表データ選択装置。
  2. 前記繰り返し制御手段は、前記新たな分析結果データ群のデータ数と、前記異常判定処理手段により異常と判定された前記新規データの数との比率に基づいて、前記繰り返し条件を満たすかを判定する、
    請求項1に記載の代表データ選択装置。
  3. 初期の分析結果データ群から初期の代表データ群を選択する代表データ群初期選択手段であって、
    前記初期の分析結果データ群の各データ(以下このデータを「初期データ」という。)のうちから、当該分析結果データ群のデータ分布領域の中心部に位置する初期データ群を原始データ群として選定する原始データ群選定ステップと、
    前記初期の分析結果データ群のうち、前記原始データ群に対する当該原始データ群以外の初期データについて前記異常判定処理を適用する異常判定処理ステップと、
    前記異常判定処理ステップにおいて異常と判定され、且つ、前記指標値が前記最小条件を満たす前記初期データを、前記原始データ群に追加する追加ステップと、
    前記異常判定処理ステップおよび前記追加ステップを所定の初期繰り返し終了条件を満たすまで繰り返し実行させて前記初期の代表データ群を決定する繰り返し制御ステップと、
    を実行する代表データ群初期選択手段、
    を備えた請求項1又は2に記載の代表データ選択装置。
  4. 前記診断対象機器が正常状態にあるときの前記分析結果データ群から前記代表データ群を選択する、請求項1〜3の何れか一項に記載の代表データ選択装置。
  5. 請求項4に記載の代表データ選択装置と、
    前記代表データ選択装置によって選択された代表データ群に対する、前記診断対象機器の異常診断対象となる分析結果データ群の各データについて、前記異常判定処理を適用して異常の有無を診断する異常診断手段と、
    を備えた機器診断装置。
  6. コンピュータに、診断対象機器の振動データをオクターブバンド分析した分析結果データの集合である分析結果データ群から、当該分析結果データ群のデータ分布領域を表す代表データ群を選択させるためのプログラムであって、
    データ間距離に基づく異常か否かの程度を表す指標値を算出して異常か否かを判定する所定の近傍法に基づく異常判定処理を、既存の分析結果データ群を代表する既存の代表データ群に対する、新たな分析結果データ群の各データ(以下このデータを「新規データ」という。)について適用する異常判定処理手段、
    前記異常判定処理手段によって異常と判定され、且つ、前記指標値が所定の最小条件を満たす前記新規データを、前記既存の代表データ群に追加する追加手段、
    前記異常判定処理手段および前記追加手段を所定の繰り返し終了条件を満たすまで繰り返し機能させることで、前記既存の分析結果データ群および前記新たな分析結果データ群を代表する代表データ群を決定する繰り返し制御手段、
    として前記コンピュータを機能させるためのプログラム。
  7. 診断対象機器の振動データをオクターブバンド分析した分析結果データの集合である分析結果データ群から、当該分析結果データ群のデータ分布領域を表す代表データ群を選択する代表データ選択方法であって、
    データ間距離に基づく異常か否かの程度を表す指標値を算出して異常か否かを判定する所定の近傍法に基づく異常判定処理を、既存の分析結果データ群を代表する既存の代表データ群に対する、新たな分析結果データ群の各データ(以下このデータを「新規データ」という。)について適用する異常判定処理ステップと、
    前記異常判定処理ステップによって異常と判定され、且つ、前記指標値が所定の最小条件を満たす前記新規データを、前記既存の代表データ群に追加する追加ステップと、
    を含み、前記異常判定処理ステップおよび前記追加ステップを所定の繰り返し終了条件を満たすまで繰り返し実行させることで、前記既存の分析結果データ群および前記新たな分析結果データ群を代表する代表データ群を決定する代表データ選択方法。
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