JP2019034237A - 血流計測装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の血管の血流計測を好適に実施可能な技術を提供する。
【解決手段】実施形態の血流計測装置は、画像取得部と、画像領域特定部と、計測位置設定部と、走査部と、血流情報生成部とを備える。画像取得部は、生体の眼底の正面画像又は3次元画像を取得する。画像領域特定部は、取得された正面画像又は3次元画像を解析することにより複数の血管領域を特定する。計測位置設定部は、特定された複数の血管領域に交差する複数の計測位置を設定する。走査部は、設定された複数の計測位置に対応する眼底の複数の断面を光コヒーレンストモグラフィを用いて走査する。血流情報生成部は、複数の断面の走査により取得されたデータに基づいて、眼底に関する血流情報を生成する。
【選択図】図4

Description

この発明は血流計測装置に関する。
光コヒーレンストモグラフィ(Optical Coherence Tomography:OCT)は、対象の形態の計測だけでなく、その機能の計測にも利用される。たとえば、OCTを用いて生体の血流計測を行うための装置が知られている。OCTを用いた血流計測は、眼底血管などに応用されている。
特開2013−184018号公報 特開2009−165710号公報 特表2010−523286号公報
血流計測においては、血管に交差する断面のスキャンを反復的に実行することにより収集されたデータから、この断面における位相差の経時的変化を表す位相画像が形成される。好適な位相画像を取得するには、断面をスキャンするための走査点(Aスキャン)の間隔が十分に密であることと、スキャンの反復レートが十分に高速であること(たとえば、1心拍におけるサンプリング間隔が十分に密であること)が必要である。
このような密で高速なスキャンは、断面の幅を制限する。したがって、複数の血管の血流を単一のスキャンで計測することは難しい(特に、広範囲に分布する複数の血管の血流を単一のスキャンで計測することは困難である)。たとえば、眼底の血流計測においては、被検眼に適用可能な光量に制約があるため、断面の幅を拡大することは実質的に不可能であり、このような問題は顕著となる。
しかしながら、(広範囲に分布する)複数の血管の血流を計測したいとの要望がある。たとえば、眼底における全体的な血流状態を把握するために、視神経乳頭の周囲に分布する複数の血管の血流を計測したい場合がある。このような場合、視神経乳頭の周りのサークルスキャンを反復的に実行することが考えられるが、サークルスキャンの経路の長さ(スキャンの幅)を考慮すると、密な走査点間隔と高速な反復レートを両立させることは難しい。
この発明の目的は、複数の血管の血流計測を好適に行うことが可能な技術を提供することにある。
実施形態の血流計測装置は、生体の眼底の正面画像又は3次元画像を取得する画像取得部と、前記正面画像又は前記3次元画像を解析することにより複数の血管領域を特定する画像領域特定部と、前記複数の血管領域に交差する複数の計測位置を設定する計測位置設定部と、前記複数の計測位置に対応する前記眼底の複数の断面を光コヒーレンストモグラフィを用いて走査する走査部と、前記走査により取得されたデータに基づいて、前記眼底に関する血流情報を生成する血流情報生成部とを備える。
実施形態によれば、複数の血管の血流計測を好適に行うことが可能である。
実施形態に係る血流計測装置の構成の一例を表す概略図である。 実施形態に係る血流計測装置の構成の一例を表す概略図である。 実施形態に係る血流計測装置の構成の一例を表す概略図である。 実施形態に係る血流計測装置の構成の一例を表す概略図である。 実施形態に係る血流計測装置の動作の一例を表す概略図である。 実施形態に係る血流計測装置の動作の一例を表す概略図である。 実施形態に係る血流計測装置の動作の一例を表す概略図である。 実施形態に係る血流計測装置の動作の一例を表す概略図である。 実施形態に係る血流計測装置の動作の一例を表すフローチャートである。 実施形態に係る血流計測装置の動作の一例を表す概略図である。 実施形態に係る血流計測装置の動作の一例を表す概略図である。
この発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この明細書で引用する文献の記載内容を実施形態に援用することができる。
血流計測装置は、OCTを用いて生体の血流に関する情報を取得する。また、血流計測装置は、OCTを用いて生体の画像を取得することが可能である。以下、フーリエドメインOCT(特に、スペクトラルドメインOCT)を用いて眼底の血流計測を行う場合について説明する。なお、血流計測の対象は眼底である必要はなく、たとえば皮膚や内臓などの任意の生体部位であってよい。また、OCTのタイプはスペクトラルドメインOCTには限定されず、たとえばスウェプトソースOCTやタイムドメインOCTなどの任意のタイプであってよい。また、以下の実施形態ではOCT装置と眼底カメラとを組み合わせた装置について説明するが、たとえばSLO(Scanning Laser Ophthalmoscope)やスリットランプや眼科手術用顕微鏡などにOCT装置を組み合わせた装置に対して実施形態と同様の構成を適用することが可能である。また、実施形態と同様の構成をOCT機能のみを有する装置に適用することもできる。
[構成]
図1に示すように、血流計測装置1は、眼底カメラユニット2と、OCTユニット100と、演算制御ユニット200とを含む。眼底カメラユニット2は、眼底Efを撮影するための構成を備える。OCTユニット100は、眼底EfのOCT画像を取得するための構成を備える。演算制御ユニット200は、各種の演算や制御を実行するための構成を備える。
〔眼底カメラユニット〕
眼底カメラユニット2は、眼底Efの表面形態を表す2次元画像(眼底像)を取得する。眼底像には観察画像や撮影画像が含まれる。観察画像は、たとえば、近赤外光を用いて所定のフレームレートで取得されるモノクロ動画像である。撮影画像としては、可視光をフラッシュ発光して得られるカラー画像や、近赤外光又は可視光を用いて取得されるモノクロ画像(たとえば、フルオレセイン蛍光画像、インドシアニングリーン蛍光画像、自発蛍光画像等の蛍光画像)などがある。
眼底カメラユニット2には、照明光学系10と撮影光学系30が設けられている。照明光学系10は被検眼Eに照明光を照射する。撮影光学系30は、被検眼Eからの照明光の戻り光(眼底反射光、角膜反射光、蛍光等)を検出する。また、眼底カメラユニット2は、OCTユニット100からの測定光を被検眼Eに導き、かつ、被検眼Eからの測定光の戻り光をOCTユニット100に導く。
照明光学系10の観察光源11から出力された光(観察照明光)は、曲面状の反射面を有する反射ミラー12により反射され、集光レンズ13を経由し、可視カットフィルタ14を透過して近赤外光となる。更に、観察照明光は、撮影光源15の近傍にて一旦集束し、ミラー16により反射され、リレーレンズ17及び18、絞り19並びにリレーレンズ20を経由し、孔開きミラー21の周辺部(孔部の周囲の領域)にて反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて被検眼Eに照射される。
被検眼Eからの観察照明光の戻り光は、対物レンズ22により屈折され、ダイクロイックミラー46を透過し、孔開きミラー21の中心領域に形成された孔部を通過し、ダイクロイックミラー55を透過し、合焦レンズ31を経由し、ミラー32により反射され、ハーフミラー40を透過し、ダイクロイックミラー33により反射され、集光レンズ34によりエリアセンサ35の受光面に結像される。エリアセンサ35は、所定のフレームレートで戻り光を検出する。それにより、眼底Efや前眼部の観察画像が得られる。
撮影光源15から出力された光(撮影照明光)は、観察照明光と同様の経路を通って被検眼E(眼底Ef)に照射される。撮影照明光の戻り光(眼底反射光、蛍光等)は、観察照明光のそれと同様の経路を通ってダイクロイックミラー33まで導かれ、ダイクロイックミラー33を透過し、ミラー36により反射され、集光レンズ37によりエリアセンサ38の受光面に結像される。それにより、眼底Ef等の撮影画像が得られる。
LCD(Liquid Crystal Display)39は、固視標や視力測定用視標を表示する。LCD39から出力された光は、その一部がハーフミラー40にて反射され、ミラー32に反射され、合焦レンズ31及びダイクロイックミラー55を経由し、孔開きミラー21の孔部を通過し、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて被検眼E(眼底Ef)に投影される。LCD39による固視標の表示位置を変更することにより、被検眼Eの固視位置を変更できる。
眼底カメラユニット2には、アライメント光学系50とフォーカス光学系60とが設けられている。アライメント光学系50は、被検眼Eに対する装置光学系の位置合わせ(アライメント)を行うための指標(アライメント指標)を生成する。フォーカス光学系60は、眼底Efに対してフォーカス(ピント)を合わせるための指標(スプリット指標)を生成する。
アライメント光学系50のLED51から出力された近赤外光(アライメント光)は、絞り52、53及びリレーレンズ54を経由し、ダイクロイックミラー55により反射され、孔開きミラー21の孔部を通過し、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により被検眼E(角膜)に投影される。アライメント光の戻り光は、観察照明光の戻り光と同じ経路を通ってエリアセンサ35により検出される。エリアセンサ35による検出像(アライメント指標像)は、観察画像内に描出される。ユーザ又は演算制御ユニット200は、従来の眼底カメラと同様に、アライメント指標像の位置に基づいてアライメントを実施することができる。
フォーカス調整を行う際には、照明光学系10の光路に反射棒67の反射面が斜設される。フォーカス光学系60のLED61から出力された近赤外光(フォーカス光)は、リレーレンズ62を通過し、スプリット指標板63により2つの光束に分離され、二孔絞り64を通過し、ミラー65に反射され、集光レンズ66により反射棒67の反射面に一旦結像されて反射され、リレーレンズ20を経由し、孔開きミラー21に反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて被検眼E(眼底Ef)に投影される。フォーカス光の戻り光は、アライメント光の戻り光と同様の経路を通ってエリアセンサ35により検出される。エリアセンサ35による検出像(スプリット指標像)は、観察画像内に描出される。ユーザ又は演算制御ユニット200は、従来の眼底カメラと同様に、スプリット指標像の位置に基づいて合焦レンズ31及びフォーカス光学系60を移動させることによりフォーカシングを行う。合焦レンズ31は図3に示す合焦駆動部31Aにより移動され、フォーカス光学系60は図示しない駆動機構により移動される。
アライメント(及びフォーカシング)の完了後、被検眼Eの眼球運動に合わせて装置光学系を移動させるトラッキングを実行することができる。
ダイクロイックミラー46は、眼底撮影用の光路とOCT計測用の光路(測定アーム、サンプルアーム等と呼ばれる)とを合成する。ダイクロイックミラー46は、OCT計測に用いられる波長帯の光を反射し、眼底撮影用の光を透過させる。OCT計測用の光路には、OCTユニット100側から順に、コリメータレンズユニット40と、光路長変更部41と、光スキャナ42と、合焦レンズ43と、ミラー44と、リレーレンズ45とが設けられている。
光路長変更部41は、測定アームの長さを変更する。光路長変更部41は、たとえば、図1に示す矢印の方向に移動可能なコーナーキューブを含む。測定アームの光路長の変更は、被検眼Eの眼軸長に応じた光路長の調整や、干渉状態の調整などに利用される。
光スキャナ42は、測定アームを通過する光(測定光LS)を2次元的に偏向可能な構成を有する。たとえば、光スキャナ42は、互いに直交する方向(x方向及びy方向)に測定光LSを独立に走査できるように構成される。それにより、各種の走査パターンが実現される。なお、前眼部OCT用の構成(レンズ系アタッチメント等)が適用される場合には前眼部が測定光LSでスキャンされる。光スキャナ42は、たとえば、ガルバノミラー、MEMSミラー、レゾナントミラー等を含む。
〔OCTユニット〕
図2はOCTユニット100の構成例を示す。OCTユニット100は、OCTのタイプに応じた構成を有する。図2は、スペクトラルドメインOCTが適用される場合の構成の例を示す。スペクトラルドメインOCTでは、一般に、低コヒーレンス光源と分光器とが設けられる。なお、スウェプトソースOCTにおいては、たとえば、波長掃引光源とバランスドフォトダイオードが設けられる。
スペクトラルドメインOCTでは、光源ユニット101から出力される光L0は広帯域の低コヒーレンス光である。光L0は、たとえば、近赤外領域の波長帯(約800nm〜900nm程度)を含み、数十マイクロメートル程度の時間的コヒーレンス長を有する。また、たとえば1040〜1060nm程度の中心波長を有する近赤外光を光L0として用いてもよい。光源ユニット101は、スーパールミネセントダイオード(Super Luminescent Diode:SLD)や、LEDや、SOA(Semiconductor Optical Amplifier)等の光出力デバイスを含む。
光源ユニット101から出力された光L0は、光ファイバ102によりファイバカプラ103に導かれて測定光LSと参照光LRに分割される。
参照光LRは、光ファイバ104により導かれて光減衰器(アッテネータ)105に到達する。光減衰器105は、公知の技術を用いて、演算制御ユニット200の制御の下、光ファイバ104に導かれる参照光LRの光量を自動で調整する。光減衰器105により光量が調整された参照光LRは、光ファイバ104により導かれて偏波調整器106に到達する。偏波調整器106は、公知の技術を用いて、演算制御ユニット200の制御の下、光ファイバ104に導かれる参照光LRの偏光状態を調整する。偏光状態が調整された参照光LRは、ファイバカプラ109に到達する。
一方、ファイバカプラ103により生成された測定光LSは、光ファイバ107により導かれ、コリメータレンズユニット105により平行光束とされる。更に、測定光LSは、光路長変更部41、光スキャナ42、合焦レンズ43、ミラー44、及びリレーレンズ45を経由してダイクロイックミラー46により反射され、対物レンズ11により屈折されて被検眼E(眼底Ef)に照射される。測定光LSは、眼底Efの様々な深さ位置において散乱・反射される。測定光LSの戻り光(後方散乱光、反射光、蛍光等)は、往路と同じ経路を逆向きに進行してファイバカプラ103に導かれ、光ファイバ108を経由してファイバカプラ109に到達する。合焦レンズ43は図3に示す合焦駆動部43Aにより移動される。
ファイバカプラ109は、測定光LSの戻り光と、ファイバカプラ104を経由した参照光LRとを干渉させる。これにより生成された干渉光LCは、光ファイバ110により導かれて出射端111から出射し、コリメータレンズ112により平行光束とされ、回折格子113により分光(スペクトル分解)され、集光レンズ114により集光されて光検出器115の受光面に投影される。光検出器115は、たとえばラインセンサであり、分光された干渉光LCの各スペクトル成分を検出して電気信号(検出信号)を生成する。生成された検出信号は演算制御ユニット200に送られる。
〔演算制御ユニット〕
演算制御ユニット200は、眼底カメラ2、表示装置3及びOCTユニット100の制御や、各種の演算処理や、OCT画像の形成処理などを実行する。また、演算制御ユニット200は、表示デバイスや入力デバイスや操作デバイス等のユーザインターフェイスを含む。演算制御ユニット200の構成の説明は、以下の制御系の制御系の説明において行う。
〔制御系〕
血流計測装置1の制御系について図3及び図4を参照しつつ説明する。
(制御部)
血流計測装置1の制御系は、制御部210を中心に構成される。制御部210には、主制御部211と記憶部212が設けられている。
(主制御部)
主制御部211は、眼底カメラユニット2、OCTユニット100及び演算制御ユニット200の制御を実行する。また、主制御部211は、記憶部212にデータを書き込む処理や、記憶部212からデータを読み出す処理を行う。
(記憶部)
記憶部212は、各種のデータを記憶する。記憶部212に記憶されるデータとしては、たとえば、OCT画像、眼底像、被検眼情報などがある。被検眼情報は、被検眼又は被検者に関する情報であり、たとえば患者ID等の入力情報や、電子カルテ等の医療情報を含む。また、記憶部212には、血流計測装置1を動作させるためのプログラムやデータが記憶されている。
(画像形成部)
画像形成部220は、光検出器115からの検出信号に基づいて、眼底Efの断層像の画像データと位相画像の画像データとを形成する。これら画像データについては後述する。なお、この明細書では、「画像データ」と、それに基づき出力される「画像」とを同一視することがある。画像形成部220は、断層像形成部221と位相画像形成部222を有する。
本実施形態では、眼底Efに対して2種類の走査(第1走査及び第2走査)を行う。第1走査では、眼底Efの注目血管に交差する第1断面を測定光LSで反復的に走査する。第2走査では、この注目血管に交差する第2断面を測定光LSで走査する。第2断面は、第1断面の近傍に設定される。ここで、第1断面と第2断面は、注目血管の走行方向に対して直交するように向き付けられることが望ましい。
第1断面及び第2断面の具体例を図5に示す。図5に示す眼底像Dには、眼底Efの視神経乳頭Daの近傍に設定された第1断面C0及び第2断面C1が表されている。第1断面C0及び第2断面C1は、既定の注目血管Dbに交差するように設定される。第2断面C1は、第1断面C0に対して注目血管Dbの上流側に設定されてもよいし、下流側に設定されてもよい。なお、第2断面は、2つ以上の断面を含んでいてもよい。
第1走査及び第2走査は、患者の心臓の少なくとも1心周期の間にわたって実行されることが望ましい。それにより、心臓の全ての時相における血流情報が得られる。なお、第1走査を実行する時間は、あらかじめ設定された一定の時間であってもよいし、患者ごとに又は検査毎に設定された時間であってもよい。前者の場合において、従来よりも短い時間を設定することが可能である。たとえば、従来においては、1心周期にわたるデータを確実に収集するために、心周期よりも十分に長い時間(たとえば2秒間)が適用される。それに対し、本実施形態では、たとえば、位相画像が表す位相差の経時的変化を監視することで所定の時相を検出し、その時相からデータ収集を開始するよう構成することにより、心周期(たとえば1秒間)又はそれより僅かに長い時間を適用することが可能である。後者の場合、患者の心電図等の検査データを参照することができる。ここで、心周期以外のファクターを考慮することも可能である。このファクターの例としては、検査に掛かる時間(患者への負担)、光スキャナ42の応答時間(走査間隔)、光検出器115の応答時間(走査間隔)などがある。
(断層像形成部)
断層像形成部221は、第1走査により得られる干渉光LCの検出結果に基づいて、第1断面における形態の経時的変化を表す断層像(第1断層像)を形成する。この処理についてより詳しく説明する。第1走査は、上記のように第1断面C0を繰り返し走査するものである。断層像形成部221には、第1走査に応じて、OCTユニット100の光検出器115から検出信号が逐次入力される。断層像形成部221は、第1断面C0の各走査に対応する検出信号に基づいて、第1断面C0の1枚の断層像を形成する。断層像形成部221は、上記の処理を第1走査の反復回数だけ繰り返すことで、時系列に沿った一連の断層像を形成する。ここで、これら断層像を複数の群に分割し、各群の断層像を重ね合わせて(加算平均して)画質の向上を図ってもよい。
また、断層像形成部221は、第2断面C1に対する第2走査により得られる干渉光LCの検出結果に基づいて、第2断面C1における形態を表す断層像(第2断層像)を形成する。この処理は、第1断層像の場合と同様にして実行される。なお、第1断層像は時系列に沿う一連の断層像であるが、第2断層像は1枚の断層像であってもよい。また、第2断層像は、第2断面C1を複数回走査して得られた複数の断層像を重ね合わせて(加算平均して)画質の向上を図ったものであってもよい。
このような断層像を形成する処理は、従来のスペクトラルドメインタイプの光コヒーレンストモグラフィと同様に、ノイズ除去(ノイズ低減)、フィルタ処理、FFT(Fast Fourier Transform)などの処理を含む。他のタイプのOCT装置の場合、断層像形成部221は、そのタイプに応じた公知の処理を実行する。
(位相画像形成部)
位相画像形成部222は、第1走査により得られる干渉光LSの検出結果に基づいて、第1断面における位相差の経時的変化を表す位相画像を形成する。この処理に用いられる検出結果は、断層像形成部221による第1断層像の形成処理に供されるものと同じである。よって、第1断層像と位相画像との間の位置合わせをすることが可能である。つまり、第1断層像の画素と位相画像の画素とを自然に対応付けることが可能である。
位相画像の形成方法の一例を説明する。この例の位相画像は、隣り合うAライン複素信号(隣接する走査点に対応する信号)の位相差を算出することにより得られるものである。換言すると、この例の位相画像は、第1断層像の各画素について、その画素の画素値(輝度値)の経時的変化に基づいて形成される。任意の画素について、位相画像形成部222は、その輝度値の経時的変化のグラフを考慮する。位相画像形成部222は、このグラフにおいて所定の時間間隔Δtだけ離れた2つの時点t1、t2(=t1+Δt)の間における位相差Δφを求める。そして、この位相差Δφを時点t1(より一般に2つの時点t1、t2の間の任意の時点)における位相差Δφ(t1)として定義する。あらかじめ設定された多数の時点のそれぞれについてこの処理を実行することで、当該画素における位相差の経時的変化が得られる。
位相画像は、各画素の各時点における位相差の値を画像として表現したものである。この画像化処理は、たとえば、位相差の値を表示色や輝度で表現することで実現できる。このとき、時系列に沿って位相が増加した場合の表示色(たとえば赤)と、減少した場合の表示色(たとえば青)とを変更することができる。また、位相の変化量の大きさを表示色の濃さで表現することもできる。このような表現方法を採用することで、血流の向きや大きさを表示色で明示することが可能となる。以上の処理を各画素について実行することにより位相画像が形成される。
なお、位相差の経時的変化は、上記の時間間隔Δtを十分に小さくして位相の相関を確保することにより得られる。このとき、測定光LSの走査において断層像の分解能に相当する時間未満の値に時間間隔Δtを設定したオーバーサンプリングが実行される。
(データ処理部)
データ処理部230は、各種のデータ処理を実行する。たとえば、データ処理部230は、画像形成部220により形成された画像に対して各種の画像処理や解析処理を施す。データ処理部230は、画像の輝度補正や分散補正等の各種補正処理を実行することができる。また、データ処理部230は、眼底カメラユニット2により得られた画像(眼底像、前眼部像等)に対して各種の画像処理や解析処理を施す。
データ処理部230は、設定処理部231と、血流情報生成部232と、血管判別部233とを含む。
(設定処理部)
設定処理部231は、血流計測を行う位置(計測位置)を設定するための処理を実行する。この処理は、眼底Efの画像を解析することにより実行される。解析される画像は、眼底Efの正面画像でも断層像でも3次元画像でもよい。また、解析される画像は、観察画像(のフレーム)でも撮影画像でもOCT画像でもよい。設定処理部231は、画像領域特定部2311と、計測位置設定部2312とを含む。
(画像領域特定部)
画像領域特定部2311は、眼底Efの画像を解析することにより、眼底Efの所定の部位に相当する画像領域を特定する。特定される画像領域の例として、血管に相当する画像領域(血管領域)や、視神経乳頭に相当する画像領域(乳頭領域)がある。また、病変に相当する画像領域(病変領域)などを特定するように構成することも可能である。このような画像領域を特定するための解析処理は、公知の技術であってよく、たとえば、画素値(輝度値等)に基づく処理(閾値処理等)や、パターン解析(パターンマッチング等)や、特徴検出処理(エッジ検出処理)や、任意のフィルタ処理などを含んでいてよい。
血管領域を特定する処理について説明する。画像領域特定部2311は、眼底Efの画像を解析することにより複数の血管領域を特定する。特定される血管領域の個数は、あらかじめ設定されていてもよいし、解析処理に応じた任意の個数であってもよい。前者は、デフォルト値でもよいし、ユーザ等が事前に設定した値でもよい。後者の例として、既定の条件に適合する血管領域を選択することが可能である。この条件の例として、血管領域の幅(血管径)や、血管領域の位置などがある。血管領域の位置としては、たとえば、眼底Efの所定部位(視神経乳頭等)からの距離や、所定部位に対する方位(上側、下側、耳側、下側等)などがある。
なお、血管領域の幅を算出する処理は、帯状又は管状の画像領域の幅を算出するための任意の処理であってよい。この処理は、たとえば次の一連の処理を含む:血管領域の境界を検出する処理(エッジ検出等);血管領域の中心軸を特定する処理(細線化等);中心軸に直交する線分と境界とが交差する2つの交差点を特定する処理;これら交差点の間の距離を算出する処理。
既定の条件に基づいて血管領域に順位付けを行い、その順位に応じて複数の血管領域を選択するように構成することができる。たとえば、幅が太い順に順位付けを行い、上位の順位から所定個数の血管領域を選択したり、既定の幅以上の血管領域を選択したりすることが可能である。或いは、所定の方位に位置する血管領域を優先的に選択したり、方位に関して平均化されるように血管領域を選択したりすることが可能である。また、既定の条件を満足する血管領域の個数が既定の個数に達しない場合、既定の条件を満足する全ての血管領域を含み、かつそれを満足しないいくつかの血管領域を含むように、血管領域の選択を行うことができる。
(計測位置設定部)
計測位置設定部2312は、画像領域特定部2311により特定された複数の血管領域に交差する複数の計測位置を設定する。ここで、設定される計測位置の個数は、複数の血管領域の個数と等しいか、或いはそれ未満である。
なお、ここに言う複数の計測位置のそれぞれは前述の第1断面を示す概念であってよい。その場合、計測位置設定部2312は、複数の第1断面の設定に加えて、各第1断面に関する第2断面の設定も実行する。或いは、ここに言う複数の計測位置は第1断面及び第2断面を含む概念であってよい。その場合、各血管領域に対して2以上の計測位置が割り当てられる。
計測位置設定部2312は、たとえば、眼底Efの所定部位から既定の距離以内の範囲に計測位置(第1断面のみ、又は、第1断面及び第2断面の双方)を設定する。ここで、既定の距離は、たとえば、所定部位の任意の特徴部分(中心位置、重心位置、境界等)からの距離として定義される。
計測位置設定部2312により設定された複数の計測位置の例を図6に示す。本例において、眼底Efの所定部位は視神経乳頭である。符号F0は乳頭領域を示す。符号F1は、乳頭領域F0の中心から既定の距離以内の範囲(設定範囲)を示す。符号B1〜B6は、画像領域特定部2311により特定された複数の血管領域を示す。
計測位置設定部2312は、全ての血管領域B1〜B6に交差するように複数の計測位置を設定する。すなわち、各計測位置は、少なくとも1つの血管領域Biに交差するように設定される。本例では、6つの血管領域B1〜B6に交差するように5つの計測位置L1〜L5が設定される。具体的には、2つの血管領域B1及びB2に交差するように計測位置L1が設定され、血管領域B3に交差するように計測位置L2が設定され、血管領域B4に交差するように計測位置L3が設定され、血管領域B5に交差するように計測位置L4が設定され、血管領域B6に交差するように計測位置L5が設定される。なお、各血管領域に対して個別に計測位置を設定してもよいし、2以上の血管領域に交差するようにいずれかの計測位置を設定してもよい。また、各計測位置Ljは、位相画像を取得するための計測が行われる第1断面を示す。血管の傾きを求めるための計測が行われる第2断面は、前述したように第1断面の近傍に設定される(図示は省略する)。
計測位置の形状は任意であり、たとえば図6に示すように弧状であってもよいし、直線状であってもよい。複数の計測位置の形状は全て同じでもよいし、異なっていてもよい。また、計測位置の長さは任意であってよい(たとえば既定の長さ)。複数の計測位置の長さは全て同じでもよいし、異なっていてもよい。また、計測位置の長さの最大値(最大長さ)を事前に設定し、複数の血管領域の分布(間隔)と最大長さとに基づいて複数の計測位置を設定するように構成することができる。
各計測位置Lj(j=1〜5)は、設定範囲F1内に設定される。ここで、各計測位置Lj(j=1〜5)を設定範囲F1の境界上に設定することができる。この場合、計測位置設定部2312は、各血管領域Biと設定範囲F1の境界との交差位置を特定し、特定された複数の交差位置を通過するように計測位置を設定することができる。
各計測位置Ljは、たとえば、血管領域Biに直交するように設定される。1つの計測位置が2以上の血管領域に交差する場合、これら血管領域の全てに直交する形状の計測位置を設定することもできるし、既定の形状の計測位置の配置を最適化する(計測位置を配置する位置及び向きを最適化する)こともできる。
(血流情報生成部)
血流情報生成部232は、計測位置設定部2312により設定された複数の計測位置に基づき実行されたOCTにより取得されたデータに基づいて、眼底Efの血管の血流に関する情報(血流情報)を生成する。血流情報生成部232は、血管断面特定部2321と、傾き算出部2322と、血流速度算出部2323と、血管径算出部2324と、血流量算出部2325と、補正部2326とを含む。
なお、血管断面特定部2321、傾き算出部2322、血流速度算出部2323、血管径算出部2324、及び血流量算出部2325は、計測位置設定部2312により設定された各計測位置Ljについて後述の処理を実行する。以下の説明において、注目血管Dbは各血管領域Biに相当する。
(血管断面特定部)
血管断面特定部2321は、第1断層像、第2断層像、及び位相画像のそれぞれについて、注目血管Dbに対応する血管断面を特定する。この処理は、各画像の画素値を解析することによって行うことが可能である(たとえば閾値処理)。
なお、第1断層像と第2断層像は解析処理を行うのに十分な解像度を持っているが、位相画像については血管断面の境界を特定できるほどの解像度を持っていないことが考えられる。しかし、位相画像に基づいて血流情報を生成する以上、その血管断面を高精度かつ高確度で特定する必要がある。そこで、たとえば次のような処理を行うことで、位相画像の血管断面をより正確に特定することができる。
前述のように、第1断層像と位相画像は同じ検出信号に基づいて形成され、互いの画素の間の自然な対応付けが可能である。これを利用し、まず第1断層像を解析して血管断面を求め、この血管断面に含まれる画素に対応する画素からなる位相画像中の画像領域をその血管断面とする。これにより、位相画像の血管断面を高精度かつ高確度で特定することができる。
(傾き算出部)
傾き算出部2322は、第1断面と第2断面との間の距離(断面間距離)と、血管断面の特定結果とに基づいて、第1断面における注目血管Dbの傾きを算出する。なお、断面間距離は、計測位置設定部2312により設定された第1断面と第2断面との間の距離として事前に決定されている。
注目血管Dbの傾きを算出する理由を説明する。血流情報はドップラーOCTの手法で得られる。ドップラーシフトに寄与する血流の速度成分は、測定光LSの照射方向の成分である。したがって、たとえ血流速度が同じであっても、血流方向(つまり注目血管Dbの向き)と測定光LSとが成す角度に応じて測定光LSが受けるドップラーシフトが変化し、ひいては得られる血流情報も変わってしまう。このような不都合を避けるために、注目血管Dbの傾きを求め、これを血流速度の算出処理に反映させる必要がある。
注目血管Dbの傾きの算出方法について図7を参照しつつ説明する。符号G0は第1断面C0における第1断層像を示し、符号G1は第2断面C1における第2断層像を示す。また、符号V0は第1断層像G0における血管断面を示し、符号V1は第2断層像G1における血管断面を示す。図7において、z座標軸は紙面下方向を向いており、これは測定光LSの照射方向と実質的に一致するものとする。また、断面間距離をdで示す。
傾き算出部2322は、2つの血管断面V0及びV1の位置関係に基づいて、第1断面C0における注目血管Dbの傾きAを算出する。この位置関係は、たとえば2つの血管断面V0及びV1を結ぶことによって得られる。より具体的には、傾き算出部2322は、2つの血管断面V0及びV1のそれぞれの特徴位置を特定し、特定された2つの特徴位置を線分で結ぶ。この特徴位置としては、中心位置、重心位置、最上部(z座標値が最小の位置)、最下部(z座標値が最大の位置)などがある。
更に、傾き算出部2322は、2つの特徴位置を結ぶ線分に基づいて傾きAを算出する。より具体的には、傾き算出部2322は、第1断面C0の特徴位置と第2断面C1の特徴位置とを結ぶ線分の傾きを算出し、この算出値を傾きAとして設定する。なお、断面間距離dは、線分を求める処理において、2つの断層像G0及びG1をxyz座標系に埋め込むときに用いられる。
この例では、傾きの値を1つ求めているが、血管断面V0中の2以上の位置(又は領域)についてそれぞれ傾きを求めるようにしてもよい。この場合、得られた2以上の傾きの値を別々に用いることもできるし、これら傾きの値から統計的に得られる1つの値(たとえば平均値)を傾きAとして用いることもできる。
(血流速度算出部)
血流速度算出部2323は、位相画像(位相差の経時的変化)と注目血管Dbの傾きAとに基づいて、注目血管Db内を流れる血液の第1断面C0における血流速度を算出する。この算出対象は、或る時点における血流速度でもよいし、血流速度の経時的変化(血流速度変化情報)でもよい。前者の場合、たとえば心電図の所定の時相(たとえばR波の時相)における血流速度を選択的に取得することが可能である。また、後者における時間の範囲は、第1断面C0を走査した時間の全体又は任意の一部である。
血流速度変化情報が得られた場合、血流速度算出部2323は、当該時間の範囲における血流速度の統計値を算出することができる。この統計値としては、平均値、標準偏差、分散、中央値、最大値、最小値、極大値、極小値などがある。また、血流速度の値についてのヒストグラムを作成することもできる。
血流速度算出部2323は、前述のようにドップラーOCTの手法を用いて血流速度を算出する。このとき、傾き算出部2322により算出された第1断面C0における注目血管Dbの傾きAが考慮される。具体的には、血流速度算出部2323は、血流速度を求めるために次式を用いる。
ここで:
Δfは、測定光LSの散乱光が受けるドップラーシフトを表す;
nは、媒質の屈折率を表す;
vは、媒質の流速(血流速度)を表す;
θは、測定光LSの照射方向と媒質の流れベクトルとが成す角度を表す;
λは、測定光LSの中心波長を表す。
本実施形態では、nとλは既知であり、Δfは位相差の経時的変化から得られ、θは傾きAから得られる(又はθは傾きAとして得られる)。これらの値を上記の式に代入することにより、血流速度vが算出される。
なお、パラメータの経時的変化を考慮すると、ドップラーシフトΔf=Δf(t)、及び、角度θ=θ(t)と表される。ここでtは時間を表す変数である。血流速度算出部2323は、次式を用いることにより、任意の時間tにおける血流速度v(t)を求めたり、血流速度v(t)の経時的変化を求めたりすることができる。
(血管径算出部)
血管径算出部2324は、第1断面C0における注目血管Dbの径を算出する。この算出方法の例として、眼底像を用いた第1の算出方法と、断層像を用いた第2の算出方法がある。
第1の算出方法が適用される場合、第1断面C0の位置を含む眼底Efの部位の撮影があらかじめ行われる。それにより得られる眼底像は、観察画像(のフレーム)でもよいし、撮影画像でもよい。撮影画像がカラー画像である場合には、これを構成する画像(たとえばレッドフリー画像)を用いてもよい。
血管径算出部2324は、撮影画角(撮影倍率)、ワーキングディスタンス、眼球光学系の情報など、画像上のスケールと実空間でのスケールとの関係を決定する各種ファクターに基づいて、眼底像におけるスケールを設定する。このスケールは実空間における長さを表す。具体例として、このスケールは、隣接する画素の間隔と、実空間におけるスケールとを対応付けたものである(たとえば画素の間隔=10μm)。なお、上記ファクターの様々な値と、実空間でのスケールとの関係をあらかじめ算出し、この関係をテーブル形式やグラフ形式で表現した情報を記憶しておくことも可能である。この場合、血管径算出部2324は、上記ファクターに対応するスケールを選択的に適用する。
更に、血管径算出部2324は、このスケールと血管断面V0に含まれる画素とに基づいて、第1断面C0における注目血管Dbの径、つまり血管断面V0の径を算出する。具体例として、血管径算出部2324は、血管断面V0の様々な方向の径の最大値や平均値を求める。また、血管径算出部235は、血管断面V0の輪郭を円近似又は楕円近似し、その円又は楕円の径を求めることができる。なお、血管径が決まれば血管断面V0の面積を(実質的に)決定することができるので(つまり両者を実質的に一対一に対応付けることができるので)、血管径を求める代わりに当該面積を算出するようにしてもよい。
第2の算出方法について説明する。第2の算出方法では、第1断面C0における眼底Efの断層像が用いられる。この断層像は、第1断層像でもよいし、位相画像でもよいし、これらとは別個に取得されたものでもよい。
この断層像におけるスケールは、測定光LSの走査態様に応じて決定される。本実施形態では、図5に示すように第1断面C0を走査する。この第1断面の長さは、ワーキングディスタンス、眼球光学系の情報など、画像上のスケールと実空間でのスケールとの関係を決定する各種ファクターに基づいて決定される。血管径算出部2324は、たとえば、この長さに基づいて隣接する画素の間隔を求め、第1の算出方法と同様にして第1断面C0における注目血管Dbの径を算出する。血管径についても、その経時的変化を求めることが可能である。
(血流量算出部)
血流量算出部2325は、血流速度の算出結果と血管径の算出結果とに基づいて、注目血管Db内を流れる血液の流量を算出する。この処理の一例を以下に説明する。
血管内における血流がハーゲン・ポアズイユ流(Hagen−Poiseuille flow)と仮定する。また、血管径をwとし、血流速度の最大値をVmとすると、血流量Qは次式で表される。
血流量算出部2325は、血管径算出部2324による血管径の算出結果wと、血流速度算出部2323による血流速度の算出結果に基づく最大値Vmとを、この数式に代入することにより、目的の血流量Qを算出する。他の方法として、血流速度の経時的変化と血管径(その経時的変化)との積(又は積分値)を時間で積分することによって血流量を算出することができる。なお、血流量の単位は、たとえばμL/minである。
以上の処理により、各血管領域Biに関する血管径、血流速度及び血流量が得られる。血流量算出部2325は、複数の血管領域B1〜B6について算出された複数の血流量に基づいて合計血流量を求めることが可能である。合計血流量は、算出された複数の血流量の単純な和でもよいし、重み付き和でもよい。或いは、複数の血流量の和は眼底Efの全ての血管に関する血流量の総和未満であることを考慮すると、複数の血流量の和に所定のファクターを加算又は乗算することにより合計血流量を求めるようにしてもよい。このファクターは、たとえば以下に挙げる値のうちのいずれかに基づいて算出される:眼底像やOCT画像から特定可能な全ての血管の数と、血流量を算出するために考慮された血管の数との比(又は差);血管径;臨床的に(統計的に)得られた血管や血流量に関するデータ;当該被検眼(又は当該被検者)について過去に得られた検査データ。
(補正部)
補正部2326は、算出された血流情報(血流速度、血管径、血流量等)を補正する。この補正処理は、たとえば、注目血管(血管領域Bi)と、それに交差する断面(計測位置Lj)とがなす角度に基づいて実行される。補正部2326は、この角度を算出する。或いは、前段の処理において角度の算出を行う構成が適用される場合、この算出された角度が補正部2326に入力される。
角度を算出する処理は、たとえば次の一連の処理を含む:血管領域Biに細線化等の画像処理を施すことにより、血管領域Biの中心軸Axiを求める;中心軸Axiと計測位置Ljとの交差点Pijを求める;交差点Pijにおける中心軸Axiの接線方向Hiを求める(必要に応じ、中心軸Axiの近似曲線が求められる);交差点Pijにおける計測位置Ljの法線方向Njを求める(或いは、交差点Pijにおける計測位置Ljの接線方向に直交する方向を求める);接線方向Hiと法線方向Njとがなす角度αijを求める。
前述したように、血管領域Biの走行方向に直交するように計測位置Ljを設定することが望ましい。換言すると、血管領域Biの接線方向Hiに法線方向Njが一致するように計測位置Ljを設定することが望ましい(つまり、角度αijの値は小さいほうが好ましい)。したがって、角度αijは、設定された計測位置Ljの好適性を示すパラメータである。
補正部2326は、算出された角度αijに基づいて、計測位置Ljの好適性を判定できる。たとえば、補正部2326は、算出された角度αijを既定の閾値と比較する。角度αijが閾値よりも小さい場合、補正部2326は、当該血管領域Biに関する血流情報の補正は実行しない。一方、角度αijが閾値以上である場合、補正部2326は、当該血管領域Biについて取得された血流情報を補正する。この補正処理は、たとえば、角度αijを用いた三角法を適用することにより血流情報の値を変換する処理を含む。
なお、角度αijの利用方法は、血流情報の補正に限定されるものではない。たとえば、角度αijが閾値以上である場合に、当該計測位置Ljを再設定するように構成することが可能である。或いは、角度αij又はこれから算出される値を、血流情報の信頼性を示す評価値としてユーザに提供することが可能である。
(血管判別部)
血管判別部233は、血管領域Biが、動脈に相当する画像領域(動脈領域)であるか、或いは静脈に相当する画像領域(静脈領域)であるか判別する。この判別処理は、たとえば、眼底像の画素値に基づいて実行される(特開2007−319403号公報等を参照)。或いは、眼底Efにおける血管分布と、位相画像とに基づいて、血管領域の判別を行ってもよい。具体的には、血管判別部233は、眼底像に表される血管分布に基づいて、視神経乳頭から計測位置Ljまでの血管領域Biの経路を求め、位相画像に基づいて、計測位置Ljにおける血管領域Biの血流方向を求め、求められた経路と血流方向とに基づいて、血管領域Biが動脈領域か静脈領域か判別する。
血管判別部233による判別結果に基づいて、血流量算出部2325は、動脈領域に関する合計血流量と、静脈領域に関する合計血流量とを別々に求めることができる。
以上のように機能するデータ処理部230は、たとえば、前述のマイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、回路基板等を含んで構成される。ハードディスクドライブ等の記憶装置には、上記機能をマイクロプロセッサに実行させるコンピュータプログラムが予め格納されている。
(ユーザインターフェイス)
ユーザインターフェイス240には、表示部241と操作部242とが含まれる。表示部241は、前述した演算制御ユニット200の表示デバイスや表示装置3を含んで構成される。操作部242は、前述した演算制御ユニット200の操作デバイスを含んで構成される。操作部242には、血流計測装置1の筐体や外部に設けられた各種のボタンやキーが含まれていてもよい。たとえば眼底カメラユニット2が従来の眼底カメラと同様の筺体を有する場合、操作部242は、この筺体に設けられたジョイスティックや操作パネル等を含んでいてもよい。また、表示部241は、眼底カメラユニット2の筺体に設けられたタッチパネルなどの各種表示デバイスを含んでいてもよい。
なお、表示部241と操作部242は、それぞれ個別のデバイスとして構成される必要はない。たとえばタッチパネルのように、表示機能と操作機能とが一体化されたデバイスを用いることも可能である。その場合、操作部242は、このタッチパネルとコンピュータプログラムとを含んで構成される。操作部242に対する操作内容は、電気信号として制御部210に入力される。また、表示部241に表示されたGUIと、操作部242とを用いて、操作や情報入力を行うようにしてもよい。
[動作]
血流計測装置1の動作についていくつかの例を説明する。
(第1の動作例)
血流計測装置1の動作の一例を図9に示す。なお、患者IDの入力や動作モード(血流計測モード)の選択指定などの予備的処理が事前に行われる。
(S1:眼底の画像の取得)
まず、血流計測装置1は、計測位置を設定するための眼底Efの画像(設定画像)を取得する。設定画像は、血流計測装置1又は他の眼底撮影装置を用いて眼底Efを撮影することにより得られる画像であり、たとえば眼底Efの観察画像、撮影画像又はOCT画像である。他の眼底撮影装置により取得された設定画像が用いられる場合、血流計測装置1は、この眼底撮影装置や画像サーバから設定画像を取得する。また、設定画像は、血流計測装置1によりリアルタイムで取得される画像でもよいし(たとえば観察画像又はOCT画像)、血流計測装置1又は他の眼底撮影装置により過去に取得された画像でもよい(たとえば観察画像、撮影画像又はOCT画像)。
(S2:血管領域の特定)
画像領域特定部2311は、ステップS1で取得された設定画像を解析することにより、複数の血管領域Biを特定する。ここで、乳頭領域等を更に特定することもできる。
(S3:計測位置の設定)
次に、計測位置設定部2312は、ステップS2で特定された複数の血管領域Biに交差する複数の計測位置Lj(第1断面)を設定する。また、計測位置設定部2312は、各計測位置Ljの近傍に第2断面を設定する。
主制御部211は、設定画像と、複数の計測位置Lj(及び第2断面)を示す情報とを表示部241に表示させることができる。ユーザは、いずれかの計測位置Ljを調整したり、いずれかの計測位置Ljを削除したり、新たな計測位置を追加したりすることができる。
(S4:OCT計測の準備)
次に、OCT計測(血流計測)の準備が実行される。この処理には、たとえば、アライメント及びフォーカシングが含まれる。更に、トラッキングを開始することができる。なお、ステップS1でOCT計測が実行された場合、このような処理はステップS1で実行される。
また、設定画像に対して設定された計測位置Lj(第1断面)及び第2断面に対応する眼底Efの走査位置を特定するための処理を実行することができる。この処理は、たとえば、眼底Efの観察画像をリアルタイムで取得する処理と、この観察画像(フレーム)と設定画像との間の画像マッチングと、この画像マッチングに基づいて、計測位置Lj(第1断面)及び第2断面に対応する観察画像中の位置(走査位置)を特定する処理とを含む。このようにして特定された複数の走査位置に対して、ステップS5のOCT計測が実行される。
この段階において、OCT計測の最適化を行うことができる。この最適化処理では、たとえば、主制御部211が、光源ユニット101、光スキャナ42等を制御して予備的なOCT計測を実行する。この予備的OCT計測は、ステップS3で設定されたいずれかの計測位置(第1断面、第2断面)、又はこれら以外の断面に対して実行される。この予備的OCTにより得られる画像が好適であるか判定する。この判定は、ユーザが目視で行なってもよいし、血流計測装置1が自動で行なってもよい。
目視で行う場合、主制御部211がOCT画像を表示部241に表示させる。ユーザは、OCT画像における所定組織(血管、網膜表面等)の表示位置や画質などを評価する。好適な画像が得らない場合、ユーザは、計測条件の調整を行う。たとえば、画像の表示位置が適当でない場合、光路長変更部41を動作させて測定光LSの光路長を変更する。また、画質が適当でない場合、光減衰器105や偏波調整器106を調整する。
自動で行う場合、所定組織の表示位置や画質などを既定の評価基準を参照して評価し、その評価結果に基づいて手動の場合と同様にして計測条件の調整を行う。
(S5:OCT計測の実行)
ステップS4の最適化処理が完了したら、主制御部211は、OCT計測(血流計測)を実行する。本動作例では、複数の計測位置Lj(第1断面)に対する反復的な走査(第1走査)と、複数の第2断面に対する走査(第2走査)とが実行される。この処理には
複数の第1走査と複数の第2走査とが含まれるが、これらを実行する順序はあらかじめ設定される。
(S6:画像の形成)
画像形成部220は、ステップS5で取得されたデータに基づいて複数の画像を形成する。本動作例では、断層像形成部221は、各計測位置Li(第1断面)を表す第1断層像T1iと、各第2断面を表す第2断層像T2iとを形成する。更に、位相画像形成部222は、各計測位置Li(第1断面)を表す位相画像Uiを形成する。
(S7:血管断面の特定)
血管断面特定部2321は、ステップS6で形成された各第1断層像T1i、各第2断層像T2i及び各位相画像Uiについて、血管領域Biに相当する血管断面を特定する。
(S8:血管の傾きの算出)
傾き算出部2322は、各血管領域Biについて、ステップS7で特定された血管断面と、計測位置Lj(第1断面)と第2断面との間の距離(断面間距離)とに基づき、第1断面における血管領域Bi(注目血管)の傾きを算出する。
(S9:血流速度の算出)
血流速度算出部2323は、各血管領域Bi(注目血管)について、位相画像Uiとして得られる位相差の経時的変化と、ステップS8で算出された血管領域Biの傾きとに基づき、この注目血管内を流れる血液の計測位置Lj(第1断面)における血流速度を算出する。
(S10:血管径の算出)
血管径算出部2324は、各血管領域Bi(注目血管)について、第1断層像T1i(又は位相画像Ui)に基づき、計測位置Lj(第1断面)における注目血管の径を算出する。なお、第1断層像の代わりに眼底像を解析して血管径を求めてもよい。
(S11:血流量の算出)
血流量算出部2325は、各血管領域Bi(注目血管)について、ステップS9で算出された血流速度と、ステップS10で算出された血管径とに基づき、注目血管内を流れる血液の流量(μL/min)を算出する。
(S12:血流情報の補正)
補正部2326は、各血管領域Bi(注目血管)と、それに交差する計測位置Lj(第1断面)とがなす角度αijを算出し、算出された角度αijに基づいて当該血管領域Biに関する血流情報(血流速度、血管径及び/又は血流量)を補正する。
(S13:合計血流量の算出)
血流量算出部2325は、ステップS11で算出された複数の血流量(又はステップS12で補正された血流量)に基づいて、合計血流量を算出する。
ここで、血管判別部233により血管領域Biを動脈領域と静脈領域とに分類し、動脈領域に関する合計血流量と、静脈領域に関する合計血流量とを求めるようにしてもよい。
(S14:計測結果の表示及び保存)
主制御部211は、複数の血管領域Biについて得られた血流速度、血管径、血流量等、及びステップS13で算出された合計血流量等を含む血流情報を表示部241に表示させる。この血流情報には、複数の計測位置Ljを示す情報(位置情報)や、設定画像などが含まれていてもよい。また、主制御部211は、ステップS1で入力された患者IDに関連付けて血流情報を記憶部212に記憶させる。以上で、本動作例に関する処理は終了となる。
(第2の動作例)
OCTにより取得された断層像を利用して複数の血管領域Biを提示する処理について説明する。
本動作例では、たとえば第1の動作例のステップS5のOCT計測において、複数の計測位置Liを含む単一の断面の走査を付加的に実行する。この単一の断面の例を図10に示す。図10に示す走査パターンは、複数の計測位置L1〜L5を通過し、かつ、乳頭領域F0を囲むサークルスキャンである。
このようなサークルスキャンを実行することで、全ての計測位置Lj(第1断面)の形態を表す断層像が得られる。この断層像には、各血管領域Biの断面が描出される。主制御部211は、この断面像を表示部241に表示させるとともに、各血管領域Biの断面を示す情報(血管位置情報)をこの断面像上に表示させることができる。
このようにして表示される情報の例を図11に示す。符号Zは、図10のサークルスキャンにより収集されたデータに基づく断層像を示す。断層像Zは、サークルスキャンに対応する円筒状の走査断面を切り開いて得られる帯状の断面を表す。円筒状の走査断面を切り開く位置は任意であってよい。図11に示す断層像Zは、図10における12時の位置「S」において円筒状の走査断面を切り開くことにより得られる。なお、一般に使用されているように、「S」は上側(superior)を表し、「T」は耳側(temporal)を表し、「I」は下側(inferior)を表し、「N」は鼻側(nasal)を表す。更に、断層像Z上には、血管領域B1〜B6(の断面)を示す血管位置情報(同じく符号B1〜B6で示す)が表示される。
ユーザは、操作部242を用いて、所望の血管位置情報Biを指定することができる。主制御部211は、指定された血管位置情報Bi(血管領域Bi)に対応する血流情報を表示させることができる。
なお、同様の処理を眼底Efの正面画像について実行可能に構成することが可能である。この正面画像は、たとえば設定画像や別途に取得された画像あってよい。主制御部211は、正面画像を表示させるとともに、血管位置情報を正面画像上に表示させる。ユーザが所望の血管位置情報を指定すると、主制御部は、指定された血管位置情報に対応するF血流情報を表示させることができる。
[効果]
実施形態に係る血流計測装置の効果について説明する。
実施形態に係る血流計測装置は、画像取得部と、画像領域特定部と、計測位置設定部と、操作部と、血流情報生成部とを備える。
画像取得部は、たとえば、生体を撮影する機能を含む。本実施形態では、眼底の観察画像、撮影画像及び/又はOCT画像を取得するための構成が画像取得部に相当する。或いは、画像取得部は、外部装置(他の眼底撮影装置、画像サーバ等)から画像を取得する機能を含む。この機能は、通信インターフェイスを含む構成により実現される。画像領域特定部(2311)は、画像取得部により取得された画像を解析することにより、複数の血管領域を特定する。計測位置設定部(2312)は、画像領域特定部により特定された複数の血管領域に交差する複数の計測位置を設定する。走査部は、計測位置設定部により設定された複数の計測位置に対応する生体の複数の断面をOCTを用いて走査する。本実施形態においては、眼底のOCT画像を取得するための構成が走査部に相当する。血流情報生成部(232)は、走査部により取得されたデータに基づいて、生体に関する血流情報を生成する。血流情報は、たとえば、画像領域特定部により特定されたそれぞれの血管領域に関する血流量、血流速度、血管径等を含む。
このような血流計測装置によれば、複数の血管の血流計測を複数の段階(つまり複数の計測位置)に分けて実行できるので、密な走査点間隔と高速な反復レートとを両立させることが可能である。したがって、広範囲に分布する複数の血管を対象とする場合であっても、血流計測を好適に行うことが可能である。
実施形態において、画像領域特定部は、画像取得部により取得された画像中の血管領域の幅を算出し、算出された幅が既定の閾値以上である血管領域を含むように複数の血管領域の特定を行うよう構成されてよい。この構成によれば、主要な血管を自動で選択して血流計測を行うことが可能である。
実施形態において、画像領域特定部は、画像取得部により取得された画像を解析することにより、生体の所定部位に相当する画像領域を特定するよう構成されてよい。この画像領域の例として眼底の視神経乳頭がある。更に、計測位置設定部は、画像領域特定部により特定された画像領域から既定の距離以内の範囲に複数の計測位置を設定するよう構成されてよい。この構成によれば、あらかじめ決められた範囲において血流計測を血流計測を行うことができる。なお、この範囲は、臨床や研究において任意に設定されてよい。また、この範囲を任意に変更できるように構成することが可能である。
実施形態において、計測位置設定部は、複数の血管領域の少なくとも一部に直交するように複数の計測位置を設定するよう構成されてよい。この構成によれば、好適な血流計測を容易に行うことができる。
実施形態において、走査部は、複数の断面を含む単一の断面を走査するよう構成されてよい。更に、血流計測装置は、断層像形成部と、制御部とを備えていてよい。断層像形成部(221)は、単一の断面を走査することにより取得されたデータに基づいて、この単一の断面の形態を表す断層像を形成する。制御部(210)は、この断層像と、血流情報が生成された複数の血管の位置を示す血管位置情報とを表示手段に表示させる。なお、表示手段は、血流計測装置に設けられてもよいし(表示部241)、外部装置であってもよい。この構成によれば、生体の断面形態を表す画像とともに、血流計測が実施された血管を明示することが可能である。
実施形態において、血流情報生成部は補正部(2326)を含んでいてよい。補正部は、血管領域とそれに交差する計測位置とがなす角度を求め、求められた角度に基づいて血流情報を補正する。この構成によれば、取得される血流情報の信頼性向上を図ることが可能である。
実施形態において、血流情報生成部は、複数の断面について求められた複数の流量に基づいて合計血流量を求めるよう構成されてよい。更に、実施形態の血流計測装置は、血管領域が動脈領域か静脈領域かを判別する判別部(血管判別部233)を備え、かつ、血流情報生成部は、動脈領域に関する合計血流量と静脈領域に関する合計血流量とを求めるよう構成されてよい。
[変形例]
以上に説明した構成は、この発明を好適に実施するための一例に過ぎない。よって、この発明の要旨の範囲内における任意の変形(省略、置換、付加等)を適宜に施すことが可能である。
血流量の算出方法の変形例を説明する。この変形例では、血流速度算出部2323は、位相画像の血管領域に含まれる各画素について、血流速度の経時的変化を表す情報(血流速度変化情報)を生成する。この処理は、たとえば、時系列に沿う複数の位相画像の画素を画素位置毎に対応付けする処理と、各画素位置に対応する時系列に沿う複数の画素に基づいて血流速度変化情報を生成する処理とを含むように構成できる。この処理により、第1断面の血管領域における血流速度を位置ごとに求めることができる。
血流量算出部2325は、血管領域に含まれる各画素の血流速度変化情報を時系列に沿って積分することにより、各画素についての血流量を算出する。この処理により、第1断面の血管領域における血流量を位置ごとに求めることができる。
更に、血流量算出部2325は、これら画素についての血流量を加算することにより、注目血管を流れる血液の流量を算出することができる。この処理により、前段の処理で求めた位置ごとの血流量が加算され、第1断面の血管領域を流れる血液の総量が得られる。
上記の実施形態においては、光路長変更部41の位置を変更することにより、測定光LSの光路と参照光LRの光路との光路長差を変更しているが、この光路長差を変更する手法はこれに限定されるものではない。たとえば、参照光の光路に反射ミラー(参照ミラー)を配置し、この参照ミラーを参照光の進行方向に移動させて参照光の光路長を変更することによって、当該光路長差を変更することが可能である。また、被検眼Eに対して眼底カメラユニット2やOCTユニット100を移動させて測定光LSの光路長を変更することにより当該光路長差を変更するようにしてもよい。
1 血流計測装置
2 眼底カメラユニット
41 光路長変更部
42 光スキャナ
100 OCTユニット
200 演算制御ユニット
210 制御部
211 主制御部
212 記憶部
220 画像形成部
221 断層像形成部
222 位相画像形成部
230 データ処理部
231 設定処理部
2311 画像領域特定部
2312 計測位置設定部
232 血流情報生成部
2321 血管断面特定部
2322 傾き算出部
2323 血流速度算出部
2324 血管径算出部
2325 血流量算出部
2326 補正部
233 血管判別部
241 表示部
242 操作部
E 被検眼
Ef 眼底

Claims (5)

  1. 生体の眼底の正面画像又は3次元画像を取得する画像取得部と、
    前記正面画像又は前記3次元画像を解析することにより複数の血管領域を特定する画像領域特定部と、
    前記複数の血管領域に交差する複数の計測位置を設定する計測位置設定部と、
    前記複数の計測位置に対応する前記眼底の複数の断面を光コヒーレンストモグラフィを用いて走査する走査部と、
    前記走査により取得されたデータに基づいて、前記眼底に関する血流情報を生成する血流情報生成部と
    を備える血流計測装置。
  2. 前記画像領域特定部は、前記正面画像中又は前記3次元画像中の血管領域の幅を算出し、算出された幅が既定の閾値以上である血管領域を含むように前記複数の血管領域を特定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の血流計測装置。
  3. 前記画像領域特定部は、前記正面画像又は前記3次元画像を解析することにより前記眼底の所定部位に相当する画像領域を特定し、
    前記計測位置設定部は、前記画像領域から既定の距離以内の範囲に前記複数の計測位置を設定する
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の血流計測装置。
  4. 前記計測位置設定部は、前記複数の血管領域の少なくとも一部に直交するように前記複数の計測位置を設定する
    ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の血流計測装置。
  5. 前記血流情報生成部は、前記血管領域とそれに交差する計測位置とがなす角度を求め、求められた角度に基づいて前記血流情報を補正する補正部を含む
    ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の血流計測装置。

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