JP6633468B2 - 血流計測装置 - Google Patents

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Description

この発明は血流計測装置に関する。
光コヒーレンストモグラフィ(Optical Coherence Tomography:OCT)は、対象の形態の計測だけでなく、その機能の計測にも利用される。例えば、OCTを用いて生体の血流計測を行うための装置が知られている。OCTを用いた血流計測は、眼底血管などに応用されている。
特開2013−184018号公報 特開2009−165710号公報 特表2010−523286号公報
一般に、OCTを用いて血流情報を取得するには、計測対象である血管の向きを推定することが必要である。これは、血管に対する測定光の入射方向と血流方向(血管の向き)との間の角度に応じて変化するドップラー周波数シフトに基づいて血流情報を求めるからである。
血流計測においては、計測対象となる断面(注目断面)における血管の向きを推定するためのOCT(第1走査)と、ドップラーOCT(第2走査)とが行われる。対象が生体眼である場合、眼球運動により第1走査時と第2走査時との間に被検眼が変位し、ドップラーOCTにおける測定光の血管に対する実際の角度と、演算に用いられる角度(つまり、第1走査から得られる角度)との間に誤差が生じることがある。この角度の誤差は血流情報(血流速度)の演算結果に誤差を与えるため、血流情報の確度の低下を招く。
この発明の目的は、血流計測の確度の向上を図ることにある。
実施形態の血流計測装置は、データ取得部と、変位検出部と、データ処理部とを備える。データ取得部は、光コヒーレンストモグラフィを用いて被検眼のデータを取得する。変位検出部は、被検眼の変位を検出する。データ処理部は、データ取得部により取得されたデータと変位検出部により検出された変位とに基づいて、被検眼の血流情報を生成する。
この発明によれば、血流計測の確度の向上を図ることができる。
実施形態に係る血流計測装置の構成の一例を表す概略図である。 実施形態に係る血流計測装置の構成の一例を表す概略図である。 実施形態に係る血流計測装置の構成の一例を表す概略図である。 実施形態に係る血流計測装置の構成の一例を表す概略図である。 実施形態に係る血流計測装置の動作の一例を説明するための概略図である。 実施形態に係る血流計測装置の動作の一例を説明するための概略図である。 実施形態に係る血流計測装置の動作の一例を説明するための概略図である。 実施形態に係る血流計測装置の動作の一例を表すフローチャートである。
実施形態に係る血流計測装置について図面を参照しながら詳細に説明する。実施形態に係る血流計測装置は、OCTを用いて生体眼の断層像や3次元画像を形成する。この明細書に記載の引用文献の内容を実施形態に援用することができる。
以下の実施形態では、フーリエドメインOCT(特にスペクトラルドメインOCT)を用いて眼底のOCTを行う血流計測装置について説明する。なお、OCTのタイプはスペクトラルドメインには限定されず、例えばスウェプトソースOCTであってよい。また、実施形態に係る血流計測装置はOCT装置と眼底カメラとの複合機であるが、眼底カメラ以外の眼底撮影装置、例えばSLO(Scanning Laser Ophthalmoscope)、スリットランプ、眼科手術用顕微鏡などにOCT装置を組み合わせてもよい。なお、血流計測装置は、OCT機能を具備していれば十分であり、眼底撮影機能を備える必要はない。
[構成]
図1に示すように、血流計測装置1は、眼底カメラユニット2、OCTユニット100及び演算制御ユニット200を含む。眼底カメラユニット2は、従来の眼底カメラとほぼ同様の光学系を備える。OCTユニット100は、眼底のOCT画像を取得するための光学系を備える。演算制御ユニット200は、各種の演算や制御を実行するコンピュータを備える。
(眼底カメラユニット2)
図1に示す眼底カメラユニット2には、被検眼Eの眼底Efの表面形態を表す2次元画像(眼底像)を取得するための光学系が設けられている。眼底像には、観察画像や撮影画像などが含まれる。観察画像は、例えば、近赤外光を用いて所定のフレームレートで形成されるモノクロの動画像である。撮影画像は、例えば、可視光をフラッシュ発光して得られるカラー画像、又は近赤外光若しくは可視光を照明光として用いたモノクロの静止画像であってもよい。眼底カメラユニット2は、これら以外の画像、例えばフルオレセイン蛍光画像やインドシアニングリーン蛍光画像や自発蛍光画像などを取得可能に構成されていてもよい。
眼底カメラユニット2には、被検者の顔を支持するための顎受けや額当てが設けられている。更に、眼底カメラユニット2には、照明光学系10と撮影光学系30が設けられている。照明光学系10は眼底Efに照明光を照射する。撮影光学系30は、この照明光の眼底反射光を撮像装置(CCDイメージセンサ(単にCCDと呼ぶことがある)35、38)に導く。また、撮影光学系30は、OCTユニット100からの測定光を眼底Efに導くとともに、眼底Efからの測定光の戻り光をOCTユニット100に導く。
照明光学系10の観察光源11は、例えばハロゲンランプ又はLED(Light Emitting Diode)を含む。観察光源11から出力された光(観察照明光)は、曲面状の反射面を有する反射ミラー12により反射され、集光レンズ13を経由し、可視カットフィルタ14を透過して近赤外光となる。更に、観察照明光は、撮影光源15の近傍にて一旦集束し、ミラー16により反射され、リレーレンズ17、18、絞り19及びリレーレンズ20を経由する。そして、観察照明光は、孔開きミラー21の周辺部(孔部の周囲の領域)にて反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efを照明する。
観察照明光の眼底反射光は、対物レンズ22により屈折され、ダイクロイックミラー46を透過し、孔開きミラー21の中心領域に形成された孔部を通過し、ダイクロイックミラー55を透過し、合焦レンズ31を経由し、ミラー32により反射され、ハーフミラー40を透過し、ダイクロイックミラー33により反射され、集光レンズ34によりCCDイメージセンサ35の受光面に結像される。CCDイメージセンサ35は、所定のフレームレートで眼底反射光を検出する。表示装置3には、CCDイメージセンサ35により検出された眼底反射光に基づく画像(観察画像)が表示される。なお、撮影光学系30のピントが前眼部に合わせられている場合、被検眼Eの前眼部の観察画像が表示される。
撮影光源15は、例えばキセノンランプ又はLEDを含む。撮影光源15から出力された光(撮影照明光)は、観察照明光と同様の経路を通って眼底Efに照射される。撮影照明光の眼底反射光は、観察照明光のそれと同様の経路を通ってダイクロイックミラー33まで導かれ、ダイクロイックミラー33を透過し、ミラー36により反射され、集光レンズ37によりCCDイメージセンサ38の受光面に結像される。表示装置3には、CCDイメージセンサ38により検出された眼底反射光に基づく画像(撮影画像)が表示される。
LCD(Liquid Crystal Display)39は、固視標や視力測定用指標を表示する。固視標は被検眼Eを固視させるための指標であり、眼底撮影時やOCT時などに使用される。LCD39の画面上における固視標の表示位置を変更することにより、被検眼Eの固視位置を変更できる。
LCD39から出力された光は、その一部がハーフミラー40にて反射され、ミラー32に反射され、合焦レンズ31及びダイクロイックミラー55を経由し、孔開きミラー21の孔部を通過し、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに投影される。
更に、眼底カメラユニット2には、従来の眼底カメラと同様にアライメント光学系50とフォーカス光学系60が設けられている。アライメント光学系50は、被検眼Eに対する装置光学系の位置合わせ(アライメント)を行うための指標(アライメント指標)を生成する。フォーカス光学系60は、眼底Efに対してフォーカス(ピント)を合わせるための指標(スプリット指標)を生成する。
アライメント光学系50のLED51から出力された光(アライメント光)は、絞り52、53及びリレーレンズ54を経由してダイクロイックミラー55により反射され、孔開きミラー21の孔部を通過し、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により被検眼Eに投影される。
アライメント光の戻り光はCCDイメージセンサ35により検出される。CCDイメージセンサ35による受光像(アライメント指標像)は、観察画像とともに表示される。ユーザは、従来の眼底カメラと同様に、アライメント指標像を参照しつつアライメントを実施することができる。また、演算制御ユニット200がアライメント指標像の位置を解析して光学系を移動させることによりアライメントを行うこともできる(オートアライメント機能)。
フォーカス調整を行う際には、照明光学系10の光路上に反射棒67の反射面が斜設される。フォーカス光学系60のLED61から出力された光(フォーカス光)は、リレーレンズ62を通過し、スプリット指標板63により2つの光束に分離され、二孔絞り64を通過し、ミラー65に反射され、集光レンズ66により反射棒67の反射面に一旦結像されて反射される。更に、フォーカス光は、リレーレンズ20を経由し、孔開きミラー21に反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに投影される。
フォーカス光の戻り光はCCDイメージセンサ35により検出される。CCDイメージセンサ35による受光像(スプリット指標像)は、観察画像及びアライメント指標像とともに表示される。演算制御ユニット200は、従来と同様に、スプリット指標の位置を解析して合焦レンズ31及びフォーカス光学系60を移動させてピント合わせを行うことができる(オートフォーカス機能)。また、スプリット指標像の位置を参照しつつ手動でピント合わせを行ってもよい。
ダイクロイックミラー46は、眼底撮影用の光路にOCT用の光路(OCT光路)を合成する。つまり、眼底撮影用の光路とOCT光路とは、ダイクロイックミラー46により同軸に構成され、ダイクロイックミラー46よりも被検眼E側の光路を共有している。ダイクロイックミラー46は、OCTに用いられる波長帯の光を反射し、眼底撮影用の光を透過させる。OCT光路には、OCTユニット100側から順に、コリメータレンズユニット40と、光路長変更部41と、ガルバノスキャナ42と、合焦レンズ43と、ミラー44と、リレーレンズ45とが設けられている。
光路長変更部41は、図1に示す矢印の方向に移動可能とされ、OCT光路の長さを変更する。この光路長の変更は、被検眼Eの眼軸長に応じた光路長の補正や、干渉状態の調整などに利用される。光路長変更部41は、例えばコーナーキューブと、これを移動する機構とを含んで構成される。
ガルバノスキャナ42は、OCT光路を通過する測定光LSの進行方向を変化させる。それにより、眼底Efを測定光LSで走査することができる。ガルバノスキャナ42は、例えば、測定光LSをx方向に走査するガルバノミラーと、y方向に走査するガルバノミラーと、これらを独立に駆動する機構とを含んで構成される。それにより、測定光LSをxy平面上の任意の方向に走査することができる。
(OCTユニット100)
図2を参照しつつOCTユニット100の構成例を説明する。OCTユニット100には、眼底EfのOCT画像を取得するための光学系が設けられている。この光学系は、従来のスペクトラルドメインタイプのOCT装置と同様に、低コヒーレンス光を参照光と測定光に分割し、眼底Efを経由した測定光と参照光路を経由した参照光とを干渉させて干渉光を生成し、この干渉光のスペクトル成分を検出するよう構成されている。この検出結果(検出信号)は演算制御ユニット200に送られる。
なお、スウェプトソースタイプのOCT装置が適用される場合、低コヒーレンス光源の代わりに波長掃引光源が設けられるとともに、スペクトル成分を検出するデバイス(分光器)の代わりにバランスドフォトダイオードが設けられる。一般に、OCTユニット100は、OCTのタイプに応じた公知の構成を備えていてよい。
光源ユニット101は低コヒーレンス光L0(広帯域光)を出力する。低コヒーレンス光L0は、例えば、近赤外領域の波長帯(800nm〜900nm程度)を含み、数十マイクロメートル程度の時間的コヒーレンス長を有する。或いは、1040〜1060nmの中心波長を有する近赤外光を低コヒーレンス光L0として用いてもよい。
光源ユニット101は、スーパールミネセントダイオード(Super Luminescent Diode:SLD)や、LEDや、SOA(Semiconductor Optical Amplifier)等の光出力デバイスを含んで構成される。
光源ユニット101から出力された低コヒーレンス光L0は、光ファイバ102によりファイバカプラ103に導かれて測定光LSと参照光LRに分割される。
参照光LRは、光ファイバ104により導かれて光減衰器(アッテネータ)105に到達する。光減衰器105は、演算制御ユニット200の制御の下、或いは手動操作により、光ファイバ104に導かれる参照光LRの光量を変更する。光減衰器105により光量が調整された参照光LRは、光ファイバ104により導かれて偏波調整器(偏波コントローラ)106に到達する。偏波調整器106は、光ファイバ104内を導かれる参照光LRの偏光状態を変化させる。偏波調整器106により偏光状態が調整された参照光LRは、ファイバカプラ109に到達する。
ファイバカプラ103により生成された測定光LSは、光ファイバ107により導かれ、コリメータレンズユニット105により平行光束とされる。更に、測定光LSは、光路長変更部41、ガルバノスキャナ42、合焦レンズ43、ミラー44、及びリレーレンズ45を経由してダイクロイックミラー46に到達する。そして、測定光LSは、ダイクロイックミラー46により反射され、対物レンズ11により屈折されて被検眼Eに入射する。測定光LSは、眼底Efの様々な深さ位置において反射・散乱される。眼底Efからの測定光LSの戻り光(後方散乱光、反射光、蛍光等)は、往路と同じ経路を逆向きに進行してファイバカプラ103に導かれ、光ファイバ108を経由してファイバカプラ109に到達する。
ファイバカプラ109は、測定光LSの戻り光と参照光LRとを干渉させる。これにより干渉光LCが生成される。干渉光LCは、光ファイバ110により導かれて出射端111から出射される。更に、干渉光LCは、コリメータレンズ112により平行光束とされ、回折格子113によりスペクトル分解され、集光レンズ114により集光されてCCDイメージセンサ115の受光面に投影される。なお、図2に示す回折格子118は透過型であるが、例えば反射型の回折格子など、他の形態の分光素子を用いることも可能である。
CCDイメージセンサ115は、例えばラインセンサであり、干渉光LCの各スペクトル成分を検出して電荷に変換する。CCDイメージセンサ115は、この電荷を蓄積して検出信号を生成し、これを演算制御ユニット200に送る。なお、CCDイメージセンサに代えて、他のイメージセンサ、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを用いてよい。
(演算制御ユニット200)
演算制御ユニット200は、CCDイメージセンサ115から入力される検出信号を解析して眼底EfのOCT画像を形成する。そのための演算処理は、従来のスペクトラルドメインOCTと同様である。
また、演算制御ユニット200は、眼底カメラユニット2、表示装置3及びOCTユニット100を制御する。眼底カメラユニット2の制御には、観察光源11、撮影光源15、LCD39、ガルバノスキャナ42、並びにLED51及び61のそれぞれの動作制御や、合焦レンズ31及び43、光路長変更部41、フォーカス光学系60、並びに反射棒67、のそれぞれの移動制御などがある。OCTユニット100の制御には、光源ユニット101、光減衰器105、偏波調整器106、及びCCDイメージセンサ120のそれぞれの動作制御などがある。
演算制御ユニット200は、プロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、通信インターフェイスなどを含む。また、演算制御ユニット200は、キーボードやマウス等の操作デバイス(入力デバイス)や、LCD等の表示デバイスを備えていてもよい。なお、本明細書において「プロセッサ」は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例えば、SPLD(Simple Programmable Logic Device)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array))等の回路を意味する。演算制御ユニット200は、例えば、記憶回路や記憶装置に格納されているプログラムを読み出し実行することで、実施形態に係る機能を実現する。
[制御系]
血流計測装置1の制御系の構成について図3及び図4を参照しつつ説明する。
(制御部210)
制御部210は、例えば、前述のプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、通信インターフェイス等を含む。制御部210には、主制御部211と記憶部212が設けられている。記憶部212は、各種のデータやコンピュータプログラムを記憶する。
主制御部211は各種制御を行う。例えば、図3に示すように、主制御部211は、眼底カメラユニット2のCCD35及び38、合焦駆動部31A、光路長変更部41、ガルバノスキャナ42、並びに合焦駆動部43Aの制御を行う。更に、主制御部211は、OCTユニット100の光源ユニット101、光減衰器105、偏波調整器106及びCCD115の制御を行う。
合焦駆動部31Aは、合焦レンズ31を光軸方向に移動させる。それにより、撮影光学系30の合焦位置が変化する。また、合焦駆動部43Aは、合焦レンズ43を光軸方向に移動させる。それにより、測定光LSの合焦位置(OCT計測の合焦位置)が変化する。主制御部211は、図示しない光学系駆動部を制御して、眼底カメラユニット2に設けられた光学系を3次元的に移動することができる。この光学系の移動制御は、アライメントやトラッキングにおいて用いられる。トラッキングとは、被検眼Eの眼球運動に合わせて装置光学系を移動する処理である。トラッキングの前にはアライメントとフォーカス調整が実行される。トラッキングは、装置光学系の位置を眼球運動に追従させることにより、アライメントとピントが合った状態を維持する機能である。
(画像形成部220)
画像形成部220は、CCDイメージセンサ115からの検出信号に基づいて、眼底Efの断層像の画像データと位相画像の画像データとを形成する。画像形成部220はプロセッサを含む。なお、この明細書では、「画像データ」と、それに基づく「画像」とを同一視することがある。画像形成部220は、断層像形成部221と位相画像形成部222を有する。
この実施形態では、眼底Efに対して2種類の走査(第1走査及び第2走査)を行う。第1走査では、眼底Efの注目血管に交差する2以上の断面を測定光LSで走査する。第2走査は、この注目血管に交差する注目断面を測定光LSで反復的に走査する。第1走査が行われる断面は、注目断面の近傍に配置される。第1走査により取得されたデータは、注目断面における注目血管の傾き(向き)を求めるために用いられる。第2走査は、OCTを用いたドップラー計測である。
第1走査及び第2走査の対象断面は、xy平面において、注目血管の走行方向に対して直交するように向き付けられることが望ましい。図5の眼底像Dに示すように、この実施形態では、例えば、視神経乳頭Daの近傍に、第1走査が行われる2つの断面C11及びC12と、第2走査が行われる注目断面C2とが注目血管Dbに交差するように設定される。2つの断面C11及びC12の一方は注目断面C2に対して注目血管Dbの上流側に位置し、他方は下流側に位置する。注目断面C2に対する各断面C11及びC12の距離(断面間距離)は、事前に決定される。その一例は、断面設定部235の説明において後述される。
第2走査は、患者の心臓の少なくとも1心周期の間にわたって実行されることが望ましい。それにより、心臓の全ての時相における血流情報が得られる。第2走査の実行時間は、あらかじめ設定された一定の時間であってもよいし、患者ごとに又は検査毎に設定された時間であってもよい。
(断層像形成部221)
断層像形成部221は、断面C11及びC12に対する第1走査により得られた干渉光LCの検出結果に基づいて、断面C11の形態を表す断層像と、断面C12の形態を表す断層像とを形成する。このとき、断面C11を1回走査して1枚の断層像を形成し、かつ、断面C12を1回走査して1枚の断層像を形成することができる。或いは、断面C11を複数回走査して得られた複数の断層像に基づき1枚の断層像を取得し、かつ、断面C12を複数回走査して得られた複数の断層像に基づき1枚の断層像を取得することができる。複数の断層像から1枚の断層像を取得する処理の例として、複数の断層像を平均して画質向上を図る処理や、複数の断層像から最適な1枚を選択する処理がある。
また、断層像形成部221は、注目断面C2に対する第2走査により得られた干渉光LCの検出結果に基づいて、注目断面C2の形態の時系列変化を表す断層像群を形成する。この処理についてより詳しく説明する。第2走査では、上記のように注目断面C2が繰り返し走査される。断層像形成部221には、第2走査に応じて、OCTユニット100のCCD115から検出信号が逐次入力される。断層像形成部221は、注目断面C2の1回分の走査に対応する検出信号群に基づいて、注目断面C2の1枚の断層像を形成する。断層像形成部221は、この処理を第2走査の反復回数だけ繰り返すことで、時系列に沿った一連の断層像を形成する。ここで、これら断層像を複数の群に分割し、各群の断層像を平均して画質の向上を図ってもよい。
断層像形成部221が実行する処理は、従来のスペクトラルドメインOCTと同様に、ノイズ除去(ノイズ低減)、フィルタ処理、FFT(Fast Fourier Transform)などを含む。他のタイプのOCTが適用される場合、断層像形成部221は、そのタイプに応じた公知の処理を実行する。
(位相画像形成部222)
位相画像形成部222は、注目断面C2に対する第2走査により得られた干渉光LSの検出結果に基づいて、注目断面C2における位相差の時系列変化を表す位相画像を形成する。この処理に用いられるデータは、断層像形成部221が注目断面C2の断層像を形成するために用いられるデータと同じである。よって、注目断面C2の断層像と位相画像とを位置合わせすることができる。つまり、注目断面C2の断層像の画素と位相画像の画素とを自然に対応付けることが可能である。
位相画像の形成方法の例を説明する。この例の位相画像は、隣り合うAライン複素信号(隣接する走査点に対応する信号)の位相差を算出することにより得られる。換言すると、この例の位相画像は、注目断面C2の断層像の各画素について、その画素の画素値(輝度値)の時系列変化に基づき形成される。任意の画素について、位相画像形成部222は、その輝度値の時系列変化のグラフを考慮する。位相画像形成部222は、このグラフにおいて所定の時間間隔Δtだけ離れた2つの時点t1及びt2(t2=t1+Δt)の間における位相差Δφを求める。そして、この位相差Δφを時点t1(より一般に2つの時点t1及びt2の間の任意の時点)における位相差Δφ(t1)として定義する。あらかじめ設定された多数の時点のそれぞれについてこの処理を実行することで、当該画素における位相差の時系列変化が得られる。
位相画像は、各画素の各時点における位相差の値を画像として表現したものである。この画像化処理は、例えば、位相差の値を表示色や輝度で表現することで実現できる。このとき、時系列に沿って位相が増加したことを表す色(例えば赤)と、減少したことを表す色(例えば青)とを違えることができる。また、位相の変化量の大きさを表示色の濃さで表現することもできる。このような表現方法を採用することで、血流の向きや大きさを色や濃度で提示することが可能となる。以上の処理を各画素について実行することにより位相画像が形成される。
なお、位相差の時系列変化は、上記の時間間隔Δtを十分に小さくして位相の相関を確保することにより得られる。このとき、測定光LSの走査において断層像の分解能に相当する時間未満の値に時間間隔Δtを設定したオーバーサンプリングが実行される。
(データ処理部230)
データ処理部230は、各種のデータ処理を実行する。例えば、データ処理部230は、画像形成部220により形成された画像に対して画像処理や解析処理を施す。その具体例として、輝度補正や分散補正等の各種補正処理がある。また、データ処理部230は、眼底カメラユニット2により得られた画像(眼底像、前眼部像等)に対して画像処理や解析処理を施す。
データ処理部230は、血管領域特定部231と、傾き算出部232と、変位算出部233と、血流情報生成部234とを備える。血流情報生成部234には、補正量算出部2341と、血流速度算出部2342と、血管径算出部2343と、血流量算出部2344とが設けられている。更に、データ処理部230は断面設定部235を有する。
(血管領域特定部231)
血管領域特定部231は、断層像形成部221により形成された断層像において、注目血管Dbに対応する血管領域を特定する。更に、血管領域特定部231は、位相画像形成部222により形成された位相画像において、注目血管Dbに対応する血管領域を特定する。血管領域の特定は、各画像の画素値を解析することにより行われる(例えば閾値処理)。なお、位相画像については、例えば、注目断面C2の断層像の血管領域を参照して位相画像の血管領域を特定するようにしてよい。
(傾き算出部232)
傾き算出部232は、第1走査により取得されたデータに基づいて注目断面C2における注目血管Dbの傾きを算出する。このとき、第2走査により得られたデータを更に用いることも可能である。傾き算出部232は、断面間距離と血管領域の特定結果とに基づいて、注目断面C2における注目血管Dbの傾きを算出する。断面間距離は、断面C11と断面C12との間の距離を含んでよい。また、断面間距離は、断面C11と注目断面C2との間の距離と、断面C12と注目断面C2との間の距離とを含んでよい。
注目血管Dbの傾きの算出方法の例を、図6を参照しつつ説明する。断層像G11及びG12は、それぞれ、第1走査が適用される断面C11を表す断層像及び断面C12を表す断層像である。また、断層像G2は、第2走査が適用される注目断面C2を表す断層像である。符号V11、V12及びV2は、それぞれ、断層像G11内の血管領域、断層像G12内の血管領域、及び断層像G2内の血管領域を示す。なお、これら血管領域は注目血管Dbの断面に相当する。図6において、z座標軸は紙面下方向を向いており、これは測定光LSの照射方向(測定光LSの光路の光軸)と実質的に一致するものとする。また、隣接する断層像(断面)の間隔をLとする。
1つの例において、傾き算出部232は、3つの血管領域V11、V12及びV2の位置関係に基づいて、注目断面C2における注目血管Dbの傾きAを算出する。この位置関係は、例えば、3つの血管領域V11、V12及びV2を結ぶことによって得られる。具体的には、傾き算出部232は、3つの血管領域V11、V12及びV2のそれぞれの特徴点を特定し、これら特徴点を結ぶ。この特徴点としては、中心位置、重心位置、最上部(z座標値が最小の位置)、最下部(z座標値が最大の位置)などがある。また、これら特徴点の結び方としては、線分で結ぶ方法、近似曲線(スプライン曲線、ベジェ曲線等)で結ぶ方法などがある。
更に、傾き算出部232は、これら特徴点を結ぶ線に基づいて傾きAを算出する。線分が用いられる場合、例えば、注目断面C2内の血管領域V2の特徴点と断面C11内の血管領域V11の特徴点とを結ぶ第1線分の傾きと、血管領域V2の当該特徴点と断面C12内の血管領域V12の特徴点とを結ぶ第2線分の傾きとに基づいて、傾きAが算出される。この算出処理の例として、2つの線分の傾きの平均値を求めることができる。また、近似曲線で結ぶ場合の例として、近似曲線と注目断面C2との交差位置における近似曲線の傾きを求めることができる。なお、断面間距離Lは、線分や近似曲線を求める処理において、これら断層像G11、G12及びG2をxyz座標系に埋め込むときに用いられる。
この例では、3つの断面における血管領域を考慮しているが、2つの断面の血管領域を考慮して傾きを求めることも可能である。具体例として、断面C11内の血管領域V11と断面C12内の血管領域V12とに基づいて、注目断面C2における注目血管Dbの傾きAを求めるよう構成できる。或いは、上記第1線分又は第2線分の傾きを傾きAとして用いることも可能である。
また、上記の例では、血管領域に基づいて注目血管Dbの傾きAを求めているが、断層像内の所定領域に基づいて傾きを推定することも可能である。例えば、眼底Efの所定組織(内境界膜(ILM)等)に相当する領域や、輝度又は形状が特徴的な領域を特定し、2以上の断層像から特定された当該領域の位置関係に基づいて傾きを推定することができる。
また、上記の例では傾きAの値を1つだけ求めているが、血管領域V2中の2以上の位置(又は領域)についてそれぞれ傾きを求めるよう構成してもよい。この場合、得られた2以上の傾きの値を別々に用いることもできるし、これら傾きの値から統計的に得られる1つの値(例えば平均値)を傾きAとして用いることもできる。
(変位算出部233)
変位算出部233は被検眼Eの変位を求める。特に、変位算出部233は、光学的手法で取得されたデータに基づいて被検眼Eの変位を算出する。変位算出部233は、第1走査における被検眼Eの位置と第2走査における被検眼Eの位置との間の変位を求める。第1走査における被検眼Eの位置は、第1走査の実行中の任意のタイミング、第1走査の直前のタイミング、及び第1の走査の直後のタイミングのいずれかのタイミングにおける被検眼Eの位置であってよい。同様に、第2走査における被検眼Eの位置は、第2走査の実行中の任意のタイミング、第2走査の直前のタイミング、及び第2の走査の直後のタイミングのいずれかのタイミングにおける被検眼Eの位置であってよい。
被検眼Eの変位の算出に用いられるデータの幾つかの例を説明する。第1の例として、被検眼Eを撮影して得られた画像がある。この画像は、前眼部の画像(観察画像、撮影画像又はOCT画像)又は眼底Efの画像(観察画像、撮影画像又はOCT画像)であってよい。変位算出部233は、この画像を解析することで特徴点を特定する。この特徴点は、例えば、瞳孔の重心・中心・輪郭、角膜頂点、虹彩、視神経乳頭の重心・中心・輪郭、黄斑の中心(中心窩)、血管、病変部などであってよい。特徴点の特定は、画素値(輝度値、RGB値等)の解析やパターン解析などの任意の画像処理を用いて行われる。更に、変位算出部233は、例えば、第1走査における被検眼Eの位置(座標値)と第2走査における被検眼Eの位置(座標値)との間の変位(差分)を算出する。この変位は、2次元的変位又は3次元的変位であってよい(以下同様)。
被検眼Eを撮影して得られた画像に基づく変位算出の他の例として、画像に描出されたアーティファクト(フレア等)の位置やサイズに基づいて、(装置光学系に対する)被検眼Eの位置を求めることができる。
第2の例として、被検眼Eに投影される光(指標)の検出結果がある。この指標は、例えばアライメント指標であってよい。この場合、変位算出部233は、観察画像等に描出された一対のアライメント指標像の位置に基づいて、(装置光学系に対する)被検眼Eの位置を求める。更に、変位算出部233は、例えば、第1走査における被検眼Eの位置(座標値)と第2走査における被検眼Eの位置(座標値)との間の変位(差分)を算出する。また、変位算出のための指標として、レフラクトメータや眼圧計等におけるアライメント輝点を用いることができる。
第3の例として、前眼部を異なる方向から実質的に同時に撮影して得られた2以上の画像がある。変位算出部233は、これら2以上の画像を解析することにより、被検眼Eの3次元位置を求める。この技術は、本出願人による特開2013−248376号公報などに開示されている。変位算出部233は、例えば、第1走査における被検眼Eの3次元位置(座標値)と第2走査における被検眼Eの3次元位置(座標値)との間の変位(差分)を算出する。なお、3次元位置のうちxy方向の位置(2次元位置)を用いるようにしてもよい。
(血流情報生成部234)
血流情報生成部234は、眼底EfのOCT計測により取得されたデータと変位算出部233により算出された被検眼Eの変位とに基づいて、被検眼Eの血流情報を生成する。より具体的には、血流情報生成部234は、第2走査(ドップラーOCT)により取得されたデータ(位相画像)と、傾き算出部232により算出された注目断面C2における注目血管Dbの傾きと、変位算出部233により求められた被検眼Eの変位とに基づいて、注目血管Dbに関する血流情報を生成する。前述のように、血流情報生成部234には、補正量算出部2341と、血流速度算出部2342と、血管径算出部2343と、血流量算出部2344とが設けられている。
(補正量算出部2341)
補正量算出部2341は、変位算出部233により求められた被検眼Eの変位に基づいて、傾き算出部232により算出された注目血管Dbの傾きを補正するための補正量を算出する。前述したように、ドップラーOCTにおいては、測定光LSの入射方向と注目血管Dbの傾き(血流方向)との間の角度が考慮される。よって、注目血管Dbの傾きの補正量は、測定光LSの入射方向と血流方向との間の角度の補正量と実質的に等価である。
補正量の算出の例を図7に基づき説明する。符号LS0及びLS1のそれぞれは、測定光LSの経路を示す。被検眼Eの外部において、測定経路LS0と測定経路LS1とは互いに平行であり(双方ともにz方向に沿っている)、xy方向に変位dだけ離れている。測定経路LS0はアライメントが好適な状態における測定光LSの経路を示し、測定経路LS1はアライメントがずれた状態における測定光LSの経路を示す。これら測定経路LS0及びLS1は、眼底Efの同じ位置に到達するものとする。測定経路LS0のうち被検眼E内に位置する部分の長さ(例えば眼軸長)をTで表す。以上の準備の下、これら測定経路LS0及びLS1が眼底Efにおいて成す角度(誤差)Δθは、次式により得られる。
具体例として、被検眼Eの眼軸長を空気換算で17mmと仮定し(T=17mm)、被検眼Eの変位を0.5mmと仮定する(d=0.5mm)。この場合、誤差Δθ=1.7度となる。この誤差Δθが血流速度の算出結果に与える影響は大きい。なお、値Tは既定値(デフォルト値)でもよいし、検査ごとに設定される値でもよい。既定値の例として、眼軸長の標準値(模型眼の値等)、被検者の属性(年齢層、性別、疾患等)ごとの眼軸長の標準値などがある。検査ごとの設定値の例として、被検眼Eの眼軸長がある。また、眼軸長は、任意の方法で補正された値でもよい。例えば、被検者の属性、被検眼の測定データ、被検眼の向き等によって、眼軸長の標準値又は測定値を補正して得られた値を演算に用いることができる。或いは、演算手法に応じて定義された(広義の)眼軸長を適用することも可能である。例えば、前眼部の所定位置(例えば、角膜、水晶体等の主平面位置)から眼底までの距離を演算に用いることができる。また、このような広義の眼軸長の標準値(模型眼の値等)を上記のような方法で補正して得られた値を演算に適用することも可能である。
補正量算出部2341は、変位算出部233により求められた被検眼Eの変位dに基づいて誤差Δθを算出する。誤差Δθは、測定光LSの入射方向と注目血管Dbの傾きとの間の角度θの補正量として用いられる。以下、被検眼Eの変位の算出方法の例とともに、補正量Δθの大きさ及び符号(+/−)の算出方法を説明する。
第1走査における被検眼E(その特徴点等)の座標値とP=(x、y)とし、第2走査における被検眼E(その特徴点等)の座標値をP=(x、y)とする。これら座標値は変位算出部233により得られる。変位算出部233は、更に、これら座標値P及びPを極座標に変換する:P=(r、θ)、P=(r、θ)。そして、変位算出部233は、これら座標値P及びPの間の距離を被検眼Eの変位dとして算出する。変位dは次式のように表される。
補正量算出部2341は、算出された変位dを式(1)に代入することにより補正量Δθの大きさを算出する。更に、補正量算出部2341は、Δr=r−rを算出する。Δrが正値である場合(Δr>0)、補正量算出部2341は、補正量Δθの符号を「+」に設定する。一方、Δrが負値である場合(Δr<0)、補正量算出部2341は、補正量Δθの符号を「−」に設定する。
上記の例では変位dを式(1)に代入しているが、変位dのうちドップラーOCTに寄与する成分を式(1)に代入するようにしてもよい。ドップラーOCTに寄与する成分は、変位dのうち傾きA(図6を参照)の方向の成分である。この成分は、変位dを表すベクトルを、傾きAを表すベクトルに投影することによって得られる。つまり、この成分は、傾きA方向への変位dのコサイン成分として表される。変位算出部233は、このようにして得られた変位dの成分を式(1)に代入することにより、補正量Δθの大きさを算出することができる。補正量の符号については上記の例と同様にして決定できる。
(血流速度算出部2342)
血流速度算出部2342は、位相画像として得られる位相差の時系列変化に基づいて、注目血管Db内を流れる血液の注目断面C2における血流速度を算出する。この算出対象は、或る時点における血流速度でもよいし、この血流速度の時系列変化(血流速度変化情報)でもよい。前者の場合、例えば心電図の所定の時相(例えばR波の時相)における血流速度を選択的に取得することが可能である。また、後者における時間の範囲は、注目断面C2を走査した時間の全体又は任意の一部である。
血流速度変化情報が得られた場合、血流速度算出部2342は、当該時間の範囲における血流速度の統計値を算出することができる。この統計値としては、平均値、標準偏差、分散、中央値、最大値、最小値、極大値、極小値などがある。また、血流速度の値についてのヒストグラムを作成することもできる。
血流速度算出部2342は、前述のようにドップラーOCTの手法を用いて血流速度を算出する。このとき、傾き算出部232により算出された注目断面C2における注目血管Dbの傾きAと、補正量算出部2341により算出された補正量Δθとが考慮される。具体的には、傾き算出部232は次式を用いる。
ここで:
Δfは、測定光LSの散乱光が受けるドップラーシフトを表す;
nは、媒質(血液)の屈折率を表す;
vは、媒質の流速(血流速度)を表す;
θは、測定光LSの入射方向と媒質の流れの方向(傾きA)とが成す角度を表す;
Δθは、θの補正量を表す;
λは、測定光LSの中心波長を表す。
この実施形態では、nとλは既知であり、Δfは位相差の時系列変化から得られ、θは傾きAから得られ(又はθは傾きAとして得られ)、Δθは補正量算出部2341により得られる。これらの値を式(3)に代入することにより、血流速度vが算出される。
(血管径算出部2343)
血管径算出部2343は、注目断面C2における注目血管Dbの径を算出する。この算出方法の例として、眼底像を用いた第1の算出方法と、断層像を用いた第2の算出方法がある。
第1の算出方法が適用される場合、注目断面C2の位置を含む眼底Efの部位の撮影があらかじめ行われる。それにより得られる眼底像は、観察画像(のフレーム)でもよいし、撮影画像でもよい。撮影画像がカラー画像である場合には、これを構成する画像(例えばレッドフリー画像)を用いてもよい。
血管径算出部2343は、撮影画角(撮影倍率)、ワーキングディスタンス、眼球光学系の情報など、画像上のスケールと実空間でのスケールとの関係を決定する各種ファクターに基づいて、眼底像におけるスケールを設定する。このスケールは実空間における長さを表す。具体例として、このスケールは、隣接する画素の間隔と、実空間におけるスケールとを対応付けたものである(例えば画素の間隔=10μm)。なお、上記ファクターの様々な値と、実空間でのスケールとの関係をあらかじめ算出し、この関係をテーブル形式やグラフ形式で表現した情報を記憶しておくことも可能である。この場合、血管径算出部2343は、上記ファクターに対応するスケールを選択的に適用する。
更に、血管径算出部2343は、このスケールと血管領域V2に含まれる画素とに基づいて、注目断面C2における注目血管Dbの径、つまり血管領域V2の径を算出する。具体例として、血管径算出部2343は、血管領域V2の様々な方向の径の最大値や平均値を求める。また、血管領域235は、血管領域V2の輪郭を円近似又は楕円近似し、その円又は楕円の径を求めることができる。なお、血管径が決まれば血管領域V2の面積を(実質的に)決定することができるので、血管径を求める代わりに当該面積を算出するようにしてもよい。
第2の算出方法について説明する。第2の算出方法では、注目断面C2における眼底Efの断層像が用いられる。この断層像は、第2走査に基づく断層像でもよいし、これとは別に取得されたものでもよい。この断層像におけるスケールは、測定光LSの走査態様に応じて決定される。図5に示すように注目断面C2を走査する場合、注目断面C2の長さは、ワーキングディスタンス、眼球光学系の情報など、画像上のスケールと実空間でのスケールとの関係を決定する各種ファクターに基づいて決定される。血管径算出部2343は、例えば、この長さに基づいて隣接する画素の間隔を求め、第1の算出方法と同様にして注目断面C2における注目血管Dbの径を算出する。
(血流量算出部2344)
血流量算出部2344は、血流速度の算出結果と血管径の算出結果とに基づいて、注目血管Db内を流れる血液の流量を算出する。この処理の一例を以下に説明する。
血管内における血流がハーゲン・ポアズイユ流(Hagen−Poiseuille flow)と仮定する。また、血管径をwとし、血流速度の最大値をVmとすると、血流量Qは次式で表される。
血流量算出部2344は、血管径算出部2343による血管径の算出結果wと、血流速度算出部2342による血流速度の算出結果に基づく最大値Vmとを式(4)に代入することにより、血流量Qを算出する。
(断面設定部235)
主制御部211は、表示部241に眼底像を表示させる。この眼底像は観察画像でも撮影画像でもよい。また、この眼底像は撮影画像を構成する画像であってもよい。ユーザは、操作部242を操作することで、表示された眼底像に注目断面C2を指定する。断面設定部235は、指定された注目断面C2とこの眼底像とに基づいて、第1走査が適用される2つの断面C11及びC12を設定する。なお、前述のように、注目断面C2は所望の注目血管Dbを横切るように指定される。
注目断面C2を眼底像に指定する操作は、例えばポインティングデバイスを用いて行われる。また、表示部241がタッチパネルの場合、ユーザは表示された眼底像の所望の位置に触れることで注目断面C2を指定する。この場合において、注目断面C2のパラメータ(向き、長さ等)は、手動又は自動で設定される。
手動の場合の例として、パラメータを設定するための所定のインターフェイスを用いることができる。このインターフェイスは、スイッチ等のハードウェアでもよいし、グラフィカルユーザインターフェイス(GUI)等のソフトウェアでもよい。
自動の場合の例として、断面設定部235は、ユーザが眼底像に指定した位置に基づいてパラメータを設定する。長さの自動設定は、あらかじめ決められた値を適用してもよいし、指定位置及びその近傍の血管の位置を考慮してもよい。前者の値は、例えば、所定の注目血管とその近傍の血管との間の一般的な距離に基づいて指定される。この距離の情報は、臨床データに基づいて生成できる。後者の場合も同様である。
注目断面C2の向きの自動設定については、あらかじめ決められた向きを適用してもよいし、注目血管Dbの向きを考慮してもよい。前者の場合、所定の注目血管の各位置における傾きを表す情報をあらかじめ生成し、これを参照する。この情報は、臨床データに基づき生成できる。後者の場合、指定位置における注目血管Dbの走行方向を求め、この走行方向に基づいて設定される。この走行方向を求める処理は、例えば注目血管Dbの細線化処理を用いて行われる。なお、いずれの場合においても、注目断面C2の向きは、xy平面において、走行方向に直交するように設定されることが望ましい。
次に、第1走査が適用される断面C11及びC12を設定する処理について説明する。断面設定部235は、注目断面C2から所定距離だけ離れた位置にこれら断面C11及びC12を設定する。この距離は、例えば100μmに設定される。この距離の特定は、例えば前述のようにして行われる。また、これら断面C11及びC12の長さ及び/又は向きは、注目断面C2の場合と同様にして設定される。
以上のように機能するデータ処理部230は、例えば、プロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、回路基板等を含んで構成される。ハードディスクドライブ等の記憶装置には、上記機能をプロセッサに実行させるコンピュータプログラムがあらかじめ格納されている。
(ユーザインターフェイス240)
ユーザインターフェイス240には、表示部241と操作部242とが含まれる。表示部241は、演算制御ユニット200の表示デバイスや表示装置3を含む。操作部242は、演算制御ユニット200の操作デバイスを含む。ユーザインターフェイス240は、例えばタッチパネルのように、表示機能と操作機能とを備えるデバイスを含んでよい。
[動作]
血流計測装置1の動作について説明する。図8は、血流計測装置1の動作の一例を表す。
(S1:患者の選択)
まず、血流計測の対象となる患者を選択する。患者の選択は、例えば患者IDを入力することにより行われる。
(S2:撮影位置の指定)
ユーザは、装置光学系の位置を調整するなどして被検眼Eの撮影を行う位置を指定する。
(S3:アライメント)
次に、被検眼Eに対する装置光学系の位置合わせ(アライメント)が行われる。アライメントは、例えばアライメント指標を用いて行われる。或いは、本出願人による特開2013−248376号公報に記載された2以上の前眼部カメラが設けられている場合、前眼部を異なる方向から実質的に同時に撮影して得られる2以上の画像に基づいてアライメントを行うことができる。本ステップにおいて、フォーカス調整等を更に行ってもよい。
(S4:血流計測位置の指定)
続いて、血流計測が行われる位置(特に注目断面C2)が指定される。このとき、ユーザにより指定された断面が適正か否か判定するための処理を実行することができる。この適否判定は、例えば、当該断面やその近傍をOCTで走査して得られた画像に基づいて、当該断面における当該血管の傾きを算出する処理と、この傾きが許容範囲に含まれるか否か判定する処理とを含む。傾きが許容範囲に含まれる場合、この断面が血流計測の対象(注目断面C2)として採用される。注目断面C2が決定すると、断面設定部235は、第1走査の対象となる2つの断面C11及びC12を設定する。
(S5:被検眼位置のモニタ開始)
血流計測装置1は、被検眼Eの位置のモニタを開始する。被検眼Eの位置のモニタは、例えば、前眼部の観察画像を取得する処理と、観察画像として所定のレートで得られるフレームを解析して瞳孔重心の位置(座標)を求める処理とを含む。なお、前述した他の手法を用いてもよい。
(S6:第1走査)
血流計測装置1は、ステップS4で断面設定部235により設定された2つの断面C11及びC12のOCTスキャンを実行する(第1走査)。断層像形成部221は、第1走査により取得されたデータに基づいて、断面C11及びC12に対応する断層像G11及びG12を形成する。データ処理部230(特に傾き算出部232)は、注目断面C2における注目血管Dbの傾きAを算出する。なお、第2走査により取得されたデータを加味して傾きAを算出する場合、傾きAの算出は、第2走査より後に実行される。
(S7:第1走査時の被検眼位置の記録)
ステップS6の第1走査を実行中の任意のタイミング、第1走査を開始する直前のタイミング、又は第1走査の完了の直後のタイミングにおいて、主制御部211は、当該タイミングにて取得された被検眼Eの位置を記憶部212(又はデータ処理部230等)に記録する。
(S8:第2走査)
血流計測装置1は、ステップS4で指定された注目断面C2の反復的なOCTスキャンを実行する(第2走査)。位相画像形成部222は、第2走査により取得されたデータに基づいて、注目断面C2における位相差の時系列変化を表す位相画像を形成する。更に、断層像形成部221は、当該データに基づいて注目断面C2の断層像を形成する。データ処理部230(血管領域特定部231、血管径算出部2343等)は、注目断面C2における注目血管Dbの径を求める。
(S9:第2走査時の被検眼位置の記録)
ステップS8の第2走査を実行中の任意のタイミング、第2走査を開始する直前のタイミング、又は第2走査の完了の直後のタイミングにおいて、主制御部211は、当該タイミングにて取得された被検眼Eの位置を記憶部212(又はデータ処理部230等)に記録する。
(S10:被検眼の変位の算出)
主制御部211は、ステップS7で記録された被検眼Eの位置(座標値P)と、ステップS9で記録された被検眼Eの位置(座標値P)とを読み出して変位算出部233に送る。変位算出部233は、座標値P及びPに基づいて、第1走査時の被検眼Eの位置に対する、第2走査時の被検眼Eの位置の変化(変位d)を求める。
(S11:補正量の算出)
補正量算出部2341は、ステップS10で算出された変位dに基づいて、注目血管Dbの傾きの補正量Δθ、つまり測定光LSの入射方向と血流方向との間の角度の補正量Δθを算出する。
(S12:血流情報の生成)
血流速度算出部2342は、ステップS6で算出された傾きAと、ステップS8で取得された位相画像と、ステップS11で算出された補正量Δθとに基づいて、注目断面C2における血流速度を算出する。更に、血流量算出部2344は、この血流速度の算出結果と、ステップS8で得られた血管径の算出結果とに基づいて、注目血管Db内を流れる血液の流量を算出する。
主制御部211は、血流速度の算出結果、血流量の算出結果等を含む血流情報を表示部241に表示させる。また、主制御部211は、ステップS1で入力された患者IDに関連付けて血流情報を記憶部212に記憶させる。以上で、本例の血流計測に関する処理は終了となる。
[作用・効果]
実施形態に係る血流計測装置の作用及び効果について説明する。
実施形態に係る血流計測装置は、データ取得部と、変位検出部と、データ処理部とを備える。データ取得部は、光コヒーレンストモグラフィを用いて被検眼のデータを取得する。変位検出部は、被検眼の変位を検出する。データ処理部は、データ取得部により取得されたデータと変位検出部により検出された変位とに基づいて、被検眼の血流情報を生成する。一例として、上記実施形態において、データ取得部は、OCTのための光学系と画像形成部220とを含み、変位検出部は、前眼部像等を取得するための光学系と変位算出部233とを含み、データ処理部は、データ処理部230(変位算出部233を除く)を含む。
このような実施形態によれば、被検眼が変位した場合であっても、その変位の検出結果を反映させて血流情報を生成することができるので、血流情報の確度の向上を図ることが可能である。
実施形態において、データ取得部は、被検眼の注目血管に交差する2以上の断面を走査する第1走査と、注目血管に交差する注目断面を繰り返し走査する第2走査とを実行するよう構成されてよい。この場合、変位検出部は、第1走査における被検眼の位置と第2走査における被検眼の位置との間の変位を求めることができる。更に、データ処理部は、第1走査により取得されたデータに基づいて注目断面における注目血管の傾きを算出する傾き算出部(232)と、第2走査により取得されたデータと傾き算出部により算出された傾きと変位検出部により求められた変位とに基づいて血流情報を生成する血流情報生成部(234)とを含んでいてよい。
このような実施形態によれば、注目血管の向きを推定するためのOCT(第1走査)と、ドップラーOCT(第2走査)との間に被検眼が変位した場合であっても、この変位に起因する誤差を血流情報の演算に反映させることができるので、血流情報の確度の向上を図ることが可能である。
実施形態において、血流情報生成部(234)は、第2走査により取得されたデータと、傾き算出部により算出された傾きと、変位検出部により求められた変位における傾きの方向の成分とに基づいて、血流情報を生成するよう構成されてよい。より具体的に、血流情報生成部は、被検眼の変位の当該成分に基づいて注目血管の傾きを補正し、補正された傾きと第2走査により取得されたデータとに基づいて血流情報を生成するよう構成されてよい。具体例として、血流情報生成部は、注目断面における血流速度を次式を用いて算出するよう構成されてよい:Δf=[2×n×v×cos(θ+Δθ)]/λ。ここで、Δfは第2走査により取得されたデータから算出されるドップラーシフトであり、nは血液の屈折率であり、vは血流速度であり、θはOCTのための光(測定光)の注目血管への入射方向と注目血管の傾きとが成す角度であり、λは当該光の中心波長である。更に、被検眼の変位の当該成分をdで表し、眼軸長をTで表すと、Δθ=tan−1(d/T)と表される。
このような実施形態によれば、被検眼の変位のうちドップラーOCTに寄与する成分のみを考慮することができるので、血流情報の確度の更なる向上を図ることが可能である。
実施形態において、血流情報生成部は、被検眼の変位に基づいて注目血管の傾きを補正し、補正された傾きと第2走査により取得されたデータとに基づいて血流情報を生成するよう構成されてよい。具体例として、血流情報生成部は、注目断面における血流速度を次式を用いて算出するよう構成されてよい:Δf=[2×n×v×cos(θ+Δθ)]/λ。ここで、Δfは第2走査により取得されたデータから算出されるドップラーシフトであり、nは血液の屈折率であり、vは血流速度であり、θはOCTのための光(測定光)の注目血管への入射方向と注目血管の傾きとが成す角度であり、λは当該光の中心波長である。更に、被検眼の変位をdで表し、眼軸長をTで表すと、Δθ=tan−1(d/T)と表される。
このような実施形態によれば、被検眼が変位した場合であっても、この変位に起因する誤差を血流情報の演算に反映させることができるので、血流情報の確度の向上を図ることが可能である。
[変形例]
以上に説明した構成は、この発明を好適に実施するための一例に過ぎない。よって、この発明の要旨の範囲内における任意の変形(省略、置換、付加等)を施すことが可能である。
上記の実施形態では、被検眼の変位の検出結果を血流情報(血流速度)の演算に反映させているが、変位の検出結果の利用方法はこれに限定されない。例えば、被検眼の変位の検出結果を考慮せずに血流情報を生成し、得られた血流情報を変位の検出結果で補正するように構成することができる。
被検眼の変位が閾値以下である場合には上記補正処理は行わず、変位が閾値を超えた場合にのみ上記補正処理を実行するよう構成することが可能である。
被検眼の位置をモニタし、第1走査時と実質的に同じ位置に被検眼が配置されたタイミングで第2走査を実行するよう構成することができる。
1 血流計測装置
100 OCTユニット
220 画像形成部
230 データ処理部
233 変位算出部
234 血流情報生成部
2341 補正量算出部

Claims (7)

  1. 光コヒーレンストモグラフィを用いて被検眼のデータを取得するデータ取得部と、
    前記被検眼の変位を検出する変位検出部と、
    前記データ取得部により取得された前記データと前記変位検出部により検出された前記変位とに基づいて、前記被検眼の血流情報を生成するデータ処理部と
    を備える血流計測装置。
  2. 前記データ取得部は、前記被検眼の注目血管に交差する2以上の断面を走査する第1走査と、前記注目血管に交差する注目断面を繰り返し走査する第2走査とを実行し、
    前記変位検出部は、前記第1走査における前記被検眼の位置と前記第2走査における前記被検眼の位置との間の変位を求め、
    前記データ処理部は、
    前記第1走査により取得されたデータに基づいて前記注目断面における前記注目血管の傾きを算出する傾き算出部と、
    前記第2走査により取得されたデータと前記傾き算出部により算出された前記傾きと前記変位検出部により求められた前記変位とに基づいて前記血流情報を生成する血流情報生成部と
    を含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の血流計測装置。
  3. 前記血流情報生成部は、前記第2走査により取得されたデータと前記傾きと前記変位における前記傾きの方向の成分とに基づいて前記血流情報を生成する
    ことを特徴とする請求項2に記載の血流計測装置。
  4. 前記血流情報生成部は、前記変位の前記成分に基づいて前記傾きを補正し、補正された前記傾きと前記第2走査により取得されたデータとに基づいて前記血流情報を生成する
    ことを特徴とする請求項3に記載の血流計測装置。
  5. 前記血流情報生成部は、前記注目断面における血流速度を次式を用いて算出する
    ことを特徴とする請求項4に記載の血流計測装置。
    Δf=[2×n×v×cos(θ+Δθ)]/λ
    ここで、Δfは前記第2走査により取得されたデータから算出されるドップラーシフト、nは血液の屈折率、vは血流速度、θは光コヒーレンストモグラフィのための光の前記注目血管への入射方向と前記傾きとが成す角度、λは当該光の中心波長をそれぞれ表す。更に、前記変位の前記成分をdで表し、眼軸長をTで表すと、Δθ=tan−1(d/T)。
  6. 前記血流情報生成部は、前記変位に基づいて前記傾きを補正し、補正された前記傾きと前記第2走査により取得されたデータとに基づいて前記血流情報を生成する
    ことを特徴とする請求項2に記載の血流計測装置。
  7. 前記血流情報生成部は、前記注目断面における血流速度を次式を用いて算出する
    ことを特徴とする請求項6に記載の血流計測装置。
    Δf=[2×n×v×cos(θ+Δθ)]/λ
    ここで、Δfは前記第2走査により取得されたデータから算出されるドップラーシフト、nは血液の屈折率、vは血流速度、θは光コヒーレンストモグラフィのための光の前記注目血管への入射方向と前記傾きとが成す角度、λは当該光の中心波長をそれぞれ表す。更に、前記変位をdで表し、眼軸長をTで表すと、Δθ=tan−1(d/T)。
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