以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。
[第1の実施形態]
本実施形態では、企業やビル等の電力需要家が、省エネルギー・省コスト、BCP(事業継続計画)強化のために利用する予備電源の運用を、他の企業やビル等の電力供給元にアウトソースする。電力供給元においても、この予備電源を利用可能である。本実施形態では、電力供給元と電力需要家とを1対1で接続する。
図1は、本発明の第1の実施形態による電力制御システム10の構成を示す機能ブロック図であり、本実施形態と関係する機能ブロックのみを抽出して示してある。電力制御システム10は、電力供給元の供給元電力システム20と、電力需要家の需要家電力システム30と、供給元電力システム20及び需要家電力システム30を制御する制御装置40とを有する。供給元電力システム20は、電力供給拠点となる電力供給元のビル等の施設に備えられ、需要家電力システム30は、電力需要拠点となる電力需要家のビル等の施設に備えられる。
供給元電力システム20と需要家電力システム30とは、交流系統網51及び直流系統網52により接続される。なお、供給元電力システム20と需要家電力システム30とが、交流系統網51のみ又は直流系統網52のみにより接続されてもよい。交流系統網51は、例えば、一般送配電事業者の電力網であり、交流電力が流れる電力網である。交流系統網51が一般送配電事業者以外のものによって独自に敷設された交流電力の電力網である場合、供給元電力システム20及び需要家電力システム30には、交流系統網51とは別の交流系統網により商用電力が供給される。直流系統網52は、直流電力が流れる電力網であり、一般送配電事業者が敷設した送電網、若しくは、電力供給元と電力需要家の間で敷設された自営線網である。制御装置40と、供給元電力システム20及び需要家電力システム30とは、通信網53を介して通信する。通信網53は、有線/無線を問わない。
供給元電力システム20は、発電機201、非常用発電機202、蓄電池203、交流潮流制御装置211、受電装置212、配電装置213、直流電源装置214、配電装置215、直流潮流制御装置216、負荷221及び負荷222を備える。
発電機201は、例えば、太陽光発電機や風力発電機などであり、常時・非常時に自家発電を行う発電機である。非常用発電機202は、例えば、燃料電池やエンジン発電装置などであり、非常時に自家発電を行う発電機である。発電機201、非常用発電機202は配電装置213又は受電装置212に接続されるが、以下では配電装置213に接続される場合を例に説明する。蓄電池203は、例えば、リチウムイオン電池などの二次電池であり、商用電力や発電機201による発電電力、非常用発電機202による発電電力を蓄電する。
交流潮流制御装置211は、制御装置40の指示に従い、交流系統網51から商用電力の供給を受けるか、受電装置212から受電した交流電力を交流系統網51へ送電するかの交流電力の潮流の切替を行う。交流系統網51への送電は、非常時や省エネルギーのために需要家電力システム30へ電力を供給するときや、小売電気事業者等へ売電するときに行われる。
受電装置212は、交流潮流制御装置211が商用電力を受電している場合、交流潮流制御装置211から受電した商用電力の電圧を変換して配電装置213へ送電する。受電装置212は、交流潮流制御装置211が交流系統網51へ交流電力を送電する場合、配電装置213から受電した交流電力の電圧を変換して交流潮流制御装置211に送電する。
配電装置213は、電力の分岐を行う。配電装置213は、発電機201及び非常用発電機202が発電した電力を受電する。配電装置213は、交流潮流制御装置211が商用電力を受電している場合、受電装置212からの交流電力の受電と、負荷221及び直流電源装置214への送電をさらに行い、交流潮流制御装置211が交流電力を送電している場合、直流電源装置214からの交流電力の受電と、負荷221及び受電装置212への送電をさらに行う。また、配電装置213は、制御装置40からの指示を受け、一部の負荷221への電力供給を停止または抑制する負荷抑制制御を行う。
直流電源装置214は、配電装置213から受電した電力を交流から直流に変換し、配電装置215へ、又は、配電装置215及び蓄電池203へ送電する。また、直流電源装置214は、蓄電池203から放電された電力を交流に変換して配電装置213に送電し、配電装置215には直流のまま送電する。なお、直流電源装置214は交流から直流に変換する装置に加え、直流から交流に変換する装置を並列接続することで、双方向の電力供給が可能となる構成も含まれる。直流電源装置214から配電装置215へ送電される電力量は、負荷222における消費電力と、直流系統網52を介して需要家電力システム30への供給される直流電力との合計の電力量である。
配電装置215は、電力の分岐を行う。配電装置215は、直流電源装置214から受電した直流電力を負荷222に供給し、供給元電力システム20が需要家電力システム30へ直流電力を供給している場合は、さらに、直流電源装置214から受電した直流電力を直流潮流制御装置216に送電する。また、配電装置215は、制御装置40からの指示を受け、一部の負荷222への電力供給を停止する負荷抑制制御を行う。
直流潮流制御装置216は、制御装置40の指示に従い、配電装置215が出力した直流電力を需要家電力システム30に供給するか否かを切替える。直流潮流制御装置216からの直流電力は、直流系統網52を介して需要家電力システム30へ供給される。
負荷221は、交流電力により動作する機器であり、負荷222は、直流電力により動作する機器である。
需要家電力システム30は、受電装置311、配電装置312、直流電源装置313、配電装置314、負荷321及び負荷322を備える。
受電装置311は、交流系統網51からの電力の供給を検出した場合、交流系統網51から供給される交流電力の電圧を変換して配電装置312に出力する。また、受電装置311は、交流系統網51からの電力供給の停止や再開を検出し、制御装置40へ通知する。
配電装置312は、電力の分岐を行う。配電装置312は、受電装置311から交流電力を受電し、直流電源装置313及び負荷321に送電する。また、配電装置312は、交流系統網51からの交流電力を受電できないとき、又は、交流系統網51からの受電した交流電力が負荷321による消費電力を下回るときには、直流電源装置313から交流電力を受電し、負荷321に送電する。配電装置312は、制御装置40からの指示を受け、一部の負荷321への電力供給を停止する負荷抑制制御を行う。
直流電源装置313は、配電装置312から受電した電力を交流から直流に変換し、配電装置314へ送電する。また、直流電源装置313は、配電装置314から受電した電力を直流から交流に変換し、配電装置312へ送電する。
配電装置314は、電力の分岐を行う。また、配電装置314は、制御装置40からの指示を受け、一部の負荷322への電力供給を停止する負荷抑制制御を行う。配電装置314は、切替装置315を備える。切替装置315は、制御装置40からの指示を受け、直流電源装置313から受電した直流電力を負荷322に供給するか、直流系統網52を介して供給元電力システム20から供給された直流電力を直流電源装置313及び負荷322に送電するかを切替える。
なお、需要家電力システム30は、太陽光発電機や風力発電機など、自家発電を行う発電機を備えてもよい。この場合、発電機は、発電した電力を配電装置312又は受電装置311に送電する。
制御装置40は、情報収集部401、情報記憶部402及び制御部403を備える。情報収集部401は、供給元電力システム20及び需要家電力システム30から、各監視項目の状態を表す状態情報を収集する。また、情報収集部401は、天候(気温、湿度)の情報や、売電時の取引価格の情報などを図示しない外部の装置から収集する。情報記憶部402は、情報収集部401が収集した状態情報の履歴であるログデータや、外部の装置から収集した情報の履歴を記憶する。ログデータは、状態情報の収集元のシステムを特定するシステム識別情報と、システム識別情報により特定される供給元電力システム20又は需要家電力システム30から収集された状態情報と、状態情報が得られた時刻を示す時刻情報とを対応付けた情報である。
情報収集部401は、例えば、以下の状態情報の一部又は全てを周期的に取得する。なお、情報収集部401が各状態情報を収集する時刻や収集を行う周期の長さは異なっていてもよい。
(1)供給元電力システム20における商用電力の受電量、及び、供給元電力システム20から交流系統網51への送電量。例えば、これらの情報は、供給元電力システム20の交流潮流制御装置211から得られる。
(2)発電機201、非常用発電機202それぞれの発電量。例えば、これらの情報は、発電機201及び非常用発電機202のそれぞれから、又は、配電装置213から得られる。
(3)負荷221及び負荷222の消費電力量。例えば、これらの情報はそれぞれ、配電装置213及び配電装置215から得られる。
(4)蓄電池203における蓄電量及び放電量。例えば、これらの情報は、蓄電池203及び直流電源装置214から得られる。
(5)供給元電力システム20から直流系統網52への送電量。例えば、この情報は、直流潮流制御装置216から得られる。
(6)需要家電力システム30における交流電力の受電量。例えば、この情報は、受電装置311から得られる。
(7)負荷321及び負荷322の消費電力量。例えば、これらの情報はそれぞれ、配電装置312及び配電装置314から得られる。
(8)需要家電力システム30における直流電力の受電量。例えば、この情報は、配電装置314から得られる。
(9)需要家電力システム30が発電機を備える場合、その発電量。例えば、この情報は、発電機又は配電装置312から得られる。
また、情報収集部401は、供給元電力システム20及び需要家電力システム30から、状態情報として、交流電力の停電発生(交流系統網51からの電力供給の停止)や、交流電力の復電(交流系統網51からの電力供給の再開)など、状態変化の通知を受ける。また、交流系統網51が電力供給元と電力需要家が独自に敷設した交流電力の電力網である場合、情報収集部401は、供給元電力システム20及び需要家電力システム30から、交流系統網51とは別の商用電力が供給される交流系統網(一般送配電事業者の電力網)の停電発生や、交流電力の復電など、状態変化の通知を受ける。さらに、制御装置40は、状態情報として、需要家電力システム30から、直流系統網52を介した直流電力の受電開始や受電停止の通知を受ける。
制御部403は、情報収集部401が通知を受けた状態情報や、外部の装置から収集した情報、時刻、情報記憶部402に記憶される情報などに基づいて、供給元電力システム20及び需要家電力システム30を制御する。具体的には、制御部403は、供給元電力システム20及び需要家電力システム30に制御信号を送信し、以下の制御の少なくとも一部を行う。
(1)交流潮流制御装置211における商用電源の受電と交流系統網51への送電との切替、及び、受電時又は送電時の電圧。
(2)発電機201の発電及び発電停止。発電機201による発電量が制御可能な場合、発電の指示に併せて、発電量も指示する。
(3)非常用発電機202の発電及び発電停止。非常用発電機202による発電量が制御可能な場合、発電の指示に併せて、発電量も指示する。
(4)蓄電池203の蓄電と放電。蓄電池203による放電量が制御可能な場合、放電の指示に併せて、放電量も指示する。
(5)直流潮流制御装置216における直流系統網52への送電と送電停止。送電を指示する際には、送電時の電圧も指示する。
(6)配電装置213、配電装置215に対する負荷抑制及び電力消費量制限値の指示。
(7)配電装置312、配電装置314に対する負荷抑制及び電力消費量制限値の指示。
(8)配電装置314における直流系統網52からの直流電力の受電と受電停止の切替。
なお、交流系統網51が一般送配電事業者の電力網である場合に、制御部403は、供給元電力システム20から需要家電力システム30へ電力を供給するために、交流潮流制御装置211に対して交流系統網51への送電を指示する際には、交流系統網51に対して、需要家電力システム30への電力供給のルートを、商用電力の供給ルートから、供給元電力システム20からの電力の供給ルートへ切替えるよう指示する。
次に、電力制御システム10の動作例について説明する。なお、以下のケースは例であり、供給元電力システム20及び需要家電力システム30に対して他の制御が行われてもよい。
まず、表1に示すケースについて、供給元電力システム20の制御及び動作の例を説明する。
<ケースA1−1.常時に電力供給元は商用電力を受電し、蓄電及び電力需要家への電力供給を行わない場合>
制御装置40の制御部403は、以下のように供給元電力システム20を制御する。
(1)交流潮流制御装置211に商用電源の受電及び電圧を指示。
(2)発電機201の発電又は発電停止を指示。発電機201による発電量が制御可能な場合、発電の指示に併せて、発電量も指示する。
(3)非常用発電機202に発電停止を指示。
(4)蓄電池203の蓄電及び放電の停止を指示。
(5)直流潮流制御装置216に直流系統網52への送電停止を指示。
(6)配電装置213、配電装置215への負荷抑制の指示なし。
供給元電力システム20は、以下のように動作する。
交流潮流制御装置211は、供給元電力システム20から指示された電圧により、交流系統網51から受電した商用電力を受電装置212に送電する。受電装置212は、交流潮流制御装置211から受電した商用電力を配電装置213へ送電する。発電機201は、制御装置40から発電が指示された場合、発電した電力を配電装置213へ供給する。配電装置213は、受電装置212から、又は、発電機201及び受電装置212から受電した電力を、直流電源装置214及び負荷221に送電する。直流電源装置214は、配電装置213から受電した電力を交流から直流に変換して配電装置215に出力する。配電装置215は、直流電源装置214から受電した直流電力を負荷222に供給する。
<ケースA1−2.常時に電力供給元は商用電力を受電しながら蓄電し、電力需要家への電力供給を行わない場合>
制御装置40の制御部403は、蓄電池203への蓄電を指示する以外は、ケースA1−1と同様に供給元電力システム20を制御する。供給元電力システム20は、以下の動作以外は、ケースA1−1と同様に動作する。すなわち、直流電源装置214は、配電装置213から受電した電力を交流から直流に変換して、負荷222による消費電力量の電力を配電装置215に送電し、余剰の電力を蓄電池203に蓄電する。
<ケースA2−1.常時に電力供給元は、蓄電した電力を電力需要家へ交流で供給又は小売電気事業者等に売電>
制御装置40の制御部403は、以下のように供給元電力システム20を制御する。
(1)交流潮流制御装置211に交流系統網51への送電及び電圧を指示。
(2)発電機201の発電又は発電停止を指示。発電機201による発電量が制御可能な場合、発電の指示に併せて、発電量も指示する。
(3)非常用発電機202に発電停止を指示。
(4)蓄電池203の放電及び放電量が制御可能な場合はその放電量を指示。
(5)直流潮流制御装置216に直流系統網52への送電停止を指示。
(6)配電装置213、配電装置215への負荷抑制の指示なし。
供給元電力システム20は、以下のように動作する。
直流電源装置214は、蓄電池203が放電した直流電力を配電装置215に供給し、残りの電力を交流に変換して配電装置213に送電する。配電装置215は、直流電源装置214から受電した直流電力を負荷222に供給する。発電機201は、制御装置40から発電が指示された場合、発電した電力を配電装置213に送電する。配電装置213は、直流電源装置214から、又は、直流電源装置214及び発電機201から受電した電力を負荷221に供給し、残りの電力を受電装置212に送電する。受電装置212は、配電装置213から受電した電力を交流潮流制御装置211に出力し、交流潮流制御装置211は、受電装置212から受電した電力を交流系統網51に送電する。
<ケースA2−2.常時に電力供給元が蓄電した電力を電力需要家へ直流で供給>
制御装置40の制御部403は、以下のように供給元電力システム20を制御する。
(1)交流潮流制御装置211に商用電源の受電及び電圧を指示。
(2)発電機201の発電又は発電停止を指示。発電機201による発電量が制御可能な場合、発電の指示に併せて、発電量も指示する。
(3)非常用発電機202に発電停止を指示。
(4)蓄電池203の放電及び放電量が制御可能な場合はその放電量を指示。
(5)直流潮流制御装置216に直流系統網52への送電及び電圧を指示。
(6)配電装置213、配電装置215への負荷抑制の指示なし。
供給元電力システム20は、以下のように動作する。
交流潮流制御装置211は、交流系統網51から受電した商用電力を受電装置212に送電する。受電装置212は、交流潮流制御装置211から受電した商用電力を配電装置213へ送電する。発電機201は、制御装置40から発電が指示された場合、発電した電力を配電装置213に送電する。配電装置213は、受電装置212から受電した商用電力と、発電機201が発電した電力とを、直流電源装置214及び負荷221に出力する。直流電源装置214は、配電装置213から受電し、直流に変換した電力と、蓄電池203が放電した直流電力とを、配電装置215に送電する。配電装置215は、直流電源装置214から受電した直流電力を負荷222に送電し、残りの電力を直流潮流制御装置216に送電する。直流潮流制御装置216は、配電装置215から受電した直流電力を、直流系統網52に送電する。
<ケースA2−3.常時に電力供給元が蓄電した電力を電力需要家へ交流及び直流で供給>
制御装置40の制御部403は、以下のように供給元電力システム20を制御する。
(1)交流潮流制御装置211に交流系統網51への送電及び電圧を指示。
(2)発電機201の発電又は発電停止を指示。発電機201による発電量が制御可能な場合、発電の指示に併せて、発電量も指示する。
(3)非常用発電機202に発電停止を指示。
(4)蓄電池203の放電及び放電量が制御可能な場合はその放電量を指示。
(5)直流潮流制御装置216に直流系統網52への送電及び電圧を指示。
(6)配電装置213、配電装置215への負荷抑制の指示なし。
供給元電力システム20は、以下のように動作する。
発電機201は、制御装置41から発電が指示された場合、発電した電力を配電装置213に送電する。配電装置213は、発電機201から受電した電力を負荷221に供給し、残りの電力を、受電装置212及び直流電源装置214に送電する。受電装置212は、配電装置213から受電した電力を交流潮流制御装置211に出力し、交流潮流制御装置211は、受電装置212から受電した電力を交流系統網51に送電する。
直流電源装置214は、配電装置213から受電し、直流に変換した電力と、蓄電池203が放電した直流電力とを、配電装置215に送電する。配電装置215は、直流電源装置214から受電した直流電力を負荷222に送電し、残りの電力を直流潮流制御装置216に送電する。直流潮流制御装置216は、配電装置215から受電した直流電力を、直流系統網52に送電する。
なお、蓄電池203から放電された電力量が、負荷222の消費電力量と、直流により需要家電力システム30へ供給する電力量との合計よりも多い場合、直流電源装置214は、配電装置215へ送電した残りの電力を交流に変換して配電装置213へ送電する。配電装置213は、発電機201及び直流電源装置214から受電した電力を負荷221に供給し、残りの電力を受電装置212に送電する。
<ケースA3−1.非常時に電力供給元から電力を電力需要家へ交流で供給>
制御装置40の制御部403は、以下のように供給元電力システム20を制御する。
(1)交流潮流制御装置211に交流系統網51への送電及び電圧を指示。
(2)発電機201の発電又は発電停止を指示。発電機201による発電量が制御可能な場合、発電の指示に併せて、発電量も指示する。
(3)非常用発電機202の発電及び発電量が制御可能な場合はその発電量と、蓄電池203の放電及び放電量が制御可能な場合はその放電量との少なくとも一方を指示。
(4)配電装置213、配電装置215への負荷抑制の指示なし、又は、負荷抑制及び電力消費量制限値を指示。
(5)直流潮流制御装置216に直流系統網52への送電停止を指示。
供給元電力システム20は、以下のように動作する。
配電装置213及び配電装置215は、制御装置40から負荷抑制が指示された場合、電力消費量制限値に従って負荷221及び負荷222の一部への電力供給を停止する。なお、制御装置40は、電力消費量制限値に代えて、電力の供給を許可又は制限する対象の負荷221及び負荷222を指示してもよい。
制御装置40から蓄電池203の放電が指示された場合、直流電源装置214は、蓄電池203が放電した直流電力を配電装置215に送電し、残りの電力を交流に変換して配電装置213に送電する。配電装置215は、直流電源装置214から受電した直流電力を電力供給対象の負荷222に供給する。発電機201及び非常用発電機202は、制御装置40から発電が指示された場合、発電した電力を配電装置213に送電する。配電装置213は、発電機201、非常用発電機202及び直流電源装置214から受電した電力を電力供給対象の負荷221に供給し、残りの電力を受電装置212に送電する。受電装置212は、配電装置213から受電した電力を交流潮流制御装置211に出力し、交流潮流制御装置211は、受電装置212から受電した電力を交流系統網51に送電する。
<ケースA3−2.非常時に電力供給元が蓄電した電力を電力需要家へ直流で供給>
制御装置40の制御部403は、以下のように供給元電力システム20を制御する。
(1)交流潮流制御装置211に商用電源の受電及び電圧を指示。
(2)発電機201の発電又は発電停止を指示。発電機201による発電量が制御可能な場合、発電の指示に併せて、発電量も指示する。
(3)非常用発電機202の発電及び発電量が制御可能な場合はその発電量と、蓄電池203の放電及び放電量が制御可能な場合はその放電量との少なくとも一方を指示。
(4)配電装置213、配電装置215への負荷抑制の指示なし、又は、負荷抑制及び電力消費量制限値を指示。
(5)直流潮流制御装置216に直流系統網52への送電及び電圧を指示。
供給元電力システム20は、以下のように動作する。
配電装置213及び配電装置215は、制御装置40から負荷抑制が指示された場合、電力消費量制限値に従って負荷221及び負荷222の一部への電力供給を停止する。発電機201及び非常用発電機202は、制御装置40から発電が指示された場合、発電した電力を配電装置213に送電する。制御装置40から蓄電池203の放電が指示された場合、直流電源装置214は、蓄電池203が放電した直流電力を受電する。
交流潮流制御装置211は、交流系統網51から受電した商用電力を受電装置212に送電する。受電装置212は、交流潮流制御装置211から受電した商用電力を配電装置213へ送電する。配電装置213は、受電装置212から受電した商用電力と、発電機201、非常用発電機202のそれぞれが発電した電力とを、直流電源装置214及び電力供給対象の負荷221に出力する。直流電源装置214は、蓄電池203が放電した電力、及び、配電装置213から受電し、直流に変換した電力を、配電装置215に出力する。配電装置215は、直流電源装置214から受電した直流電力を電力供給対象の負荷222に送電し、残りの電力を直流潮流制御装置216に送電する。直流潮流制御装置216は、配電装置215から受電した直流電力を、直流系統網52に送電する。需要家電力システム30は、直流系統網52を介して、供給元電力システム20から直流電力を受電する。
<ケースA3−3.電力供給元から電力を電力需要家へ交流及び直流で供給>
制御装置40の制御部403は、以下のように供給元電力システム20を制御する。
(1)交流潮流制御装置211に交流系統網51への送電及び電圧を指示。
(2)発電機201の発電又は発電停止を指示。発電機201による発電量が制御可能な場合、発電の指示に併せて、発電量も指示する。
(3)非常用発電機202の発電及び発電量が制御可能な場合はその発電量と、蓄電池203の放電及び放電量が制御可能な場合はその放電量との少なくとも一方を指示。
(4)配電装置213、配電装置215への負荷抑制の指示なし、又は、負荷抑制及び電力消費量制限値を指示。
(5)直流潮流制御装置216に直流系統網52への送電及び電圧を指示。
供給元電力システム20は、以下のように動作する。
配電装置213及び配電装置215は、制御装置41から負荷抑制が指示された場合、電力消費量制限値に従って負荷221及び負荷222の一部への電力供給を停止する。発電機201及び非常用発電機202は、制御装置41から発電が指示された場合、発電した電力を配電装置213に送電する。配電装置213は、発電機201及び非常用発電機202から受電した電力を電力供給対象の負荷221に供給し、残りの電力を、受電装置212及び直流電源装置214に送電する。受電装置212は、配電装置213から受電した電力を交流潮流制御装置211に出力し、交流潮流制御装置211は、受電装置212から受電した電力を交流系統網51に送電する。
直流電源装置214は、配電装置213から受電した電力を交流から直流に変換し、制御装置41から蓄電池203の放電が指示された場合はさらに、蓄電池203が放電した直流電力を受電する。直流電源装置214は、配電装置215に直流電力を送電する。配電装置215は、直流電源装置214から受電した直流電力を電力供給対象の負荷222に送電し、残りの電力を直流潮流制御装置216に送電する。直流潮流制御装置216は、配電装置215から受電した直流電力を、直流系統網52に送電する。
なお、蓄電池203から放電された電力量が、電力供給対象の負荷222の消費電力量と、直流により需要家電力システム30へ供給する電力量との合計よりも多い場合、直流電源装置214は、配電装置215へ送電した残りの電力を交流に変換して配電装置213へ送電する。配電装置213は、発電機201、非常用発電機202及び直流電源装置214から受電した電力を負荷221に供給し、残りの電力を受電装置212に送電する。
次に、表2に示すケースについて、需要家電力システム30の制御及び動作の例を説明する。
<ケースB1−1.常時に電力需要家において商用電源を使用>
供給元電力システム20は、ケースA1−1、A1−2のように動作する。制御装置40の制御部403は、以下のように需要家電力システム30を制御する。
(1)配電装置312、配電装置314への負荷抑制の指示なし。
(2)配電装置314に直流系統網52からの直流電力の受電停止を指示。
(3)配電装置312、配電装置314への負荷抑制の指示なし。
需要家電力システム30は、以下のように動作する。
受電装置311は、交流系統網51から受電した交流電力を配電装置312に送電する。配電装置312は、受電装置311から受電した交流電力を直流電源装置313及び負荷321に送電する。直流電源装置313は、配電装置312から受電した電力を交流から直流に変換して配電装置314に送電する。配電装置314の切替装置315は、直流電源装置313から受電した電力を負荷322に供給する。
なお、交流系統網51が商用電力の交流系統網とは異なる場合、制御装置40の制御部403は、需要家電力システム30の受電装置311に対して、商用電力の交流系統網からの受電を指示する。需要家電力システム30の受電装置311は、制御装置40からの指示に従って商用電力の受電に切替える。
<ケースB2−1.常時に電力需要家が電力供給元からの供給電力を交流で受電>
供給元電力システム20は、ケースA2−1のように動作する。制御装置40の制御部403による需要家電力システム30の制御、及び、需要家電力システム30の動作は、ケースB1−1と同様である。なお、交流系統網51が商用電力の交流系統網とは異なる場合、制御装置40の制御部403は、需要家電力システム30の受電装置311に対して、交流系統網51からの受電を指示する。需要家電力システム30の受電装置311は、制御装置40からの指示に従って、交流系統網51からの受電に切替える。
<ケースB2−2.常時に電力需要家が電力供給元からの供給電力を直流で受電>
供給元電力システム20は、ケースA2−2のように動作する。制御装置40の制御部403は、以下のように需要家電力システム30を制御する。
(1)配電装置312、配電装置314への負荷抑制の指示なし。
(2)配電装置314に直流系統網52からの直流電力の受電を指示。
(3)配電装置312、配電装置314への負荷抑制の指示なし。
需要家電力システム30は、以下のように動作する。
受電装置311は、交流系統網51から受電した交流電力を配電装置312に送電する。配電装置312は、受電装置311から受電した交流電力を、直流電源装置313と、負荷321に送電する。直流電源装置313は、配電装置312から受電した電力を交流から直流に変換して配電装置314に送電する。配電装置314の切替装置315は、直流電源装置313から受電した電力と、直流系統網52から受電した直流電力とを、負荷322に送電する。
なお、直流系統網52から受電した電力が負荷322における消費電力よりも多い場合、配電装置314の切替装置315は、直流系統網52から受電した直流電力を負荷322及び直流電源装置313に送電する。直流電源装置313は、配電装置314から受電した電力を直流から交流に変換し、配電装置312に出力する。配電装置312は、直流電源装置313から受電した電力と、受電装置311から受電した電力とを、負荷321に供給する。
なお、交流系統網51が商用電力の交流系統網とは異なる場合、制御装置40の制御部403は、需要家電力システム30の受電装置311に対して、商用電力の交流系統網からの受電を指示する。需要家電力システム30の受電装置311は、制御装置40からの指示に従って商用電力の受電に切替える。
<ケースB2−3.常時に電力需要家が電力供給元からの供給電力を交流及び直流で受電>
供給元電力システム20は、ケースA2−3のように動作する。制御装置40の制御部403による需要家電力システム30の制御、及び、需要家電力システム30の動作は、ケースB2−2と同様である。なお、交流系統網51が商用電力の交流系統網とは異なる場合、制御装置40の制御部403は、需要家電力システム30の受電装置311に対して、交流系統網51からの受電を指示する。需要家電力システム30の受電装置311は、制御装置40からの指示に従って、交流系統網51からの受電に切替える。
<ケースB3−1.非常時に電力需要家が電力供給元からの供給電力を交流で受電>
需要家電力システム30の受電装置311は、商用電力の電力供給が停止したことを検出すると、受電停止モードに遷移し、制御装置40に電力の供給停止を通知する。制御装置40の情報収集部401が通知を受信すると、制御部403は、供給元電力システム20に交流による電力需要家への電力供給を指示する。供給元電力システム20は、例えば、上記のケースA3−1のように動作する。
制御装置40の制御部403は、以下のように需要家電力システム30を制御する。
(1)配電装置312、配電装置314への負荷抑制の指示なし、又は、負荷抑制及び電力消費量制限値を指示。
(2)配電装置314に直流系統網52からの直流電力の受電停止を指示。
需要家電力システム30は、以下のように動作する。
配電装置312及び配電装置314は、制御装置40から負荷抑制が指示された場合、電力消費量制限値に従って負荷321及び負荷322の一部への電力供給を停止する。なお、制御装置40は、電力消費量制限値に代えて、電力の供給を許可又は制限する対象の負荷321及び負荷322を指示してもよい。また、交流系統網51が商用電力の交流系統網ではない場合、受電装置311は、制御装置40からの指示に従って、交流系統網51からの電力の受電に切替える。
受電装置311は、交流系統網51から受電を検出すると、受電モードに切り替わり、制御装置40に復電を通知する。受電装置311は、受電した交流電力を配電装置312に送電する。配電装置312は、受電装置311から受電した交流電力を、直流電源装置313と、電力供給対象の負荷321に送電する。直流電源装置313は、配電装置312から受電した電力を交流から直流に変換して配電装置314に送電する。配電装置314の切替装置315は、直流電源装置313から受電した電力を、電力供給対象の負荷322に供給する。
<ケースB3−2.非常時に電力需要家が電力供給元からの供給電力を直流で受電>
需要家電力システム30の受電装置311は、商用電力の電力供給が停止したことを検出すると、受電停止モードに遷移し、制御装置40に電力の供給停止を通知する。制御装置40の情報収集部401が通知を受信すると、制御部403は、供給元電力システム20に直流による電力需要家への電力供給を指示する。供給元電力システム20は、例えば、上記のケースA3−2のように動作する。
あるいは、制御装置40の制御部403は、供給元電力システム20にケースA3−1の制御を行う。制御部403は、供給元電力システム20が交流により電力需要家への電力供給を開始した後、所定時間が経過しても、需要家電力システム30の受電装置311から復電が通知されなかった場合、供給元電力システム20に直流による電力需要家への電力供給を指示してもよい。供給元電力システム20は、上記のケースA3−2のように動作する。
制御装置40の制御部403は、以下のように需要家電力システム30を制御する。
(1)配電装置312、配電装置314への負荷抑制の指示なし、又は、負荷抑制及び電力消費量制限値を指示。
(2)配電装置314に直流系統網52からの直流電力の受電を指示。
需要家電力システム30は、以下のように動作する。
配電装置312及び配電装置314は、制御装置40から負荷抑制が指示された場合、電力消費量制限値に従って負荷321及び負荷322の一部への電力供給を停止する。配電装置314は、直流系統網52から直流電力を受電し、切替装置315は、受電した直流電力を、直流電源装置313と電力供給対象の負荷322とに送電する。直流電源装置313は、配電装置314から受電した電力を直流から交流に変換し、配電装置312に出力する。配電装置312は、直流電源装置313から受電した電力を、電力供給対象の負荷321に供給する。
<ケースB3−3.非常時に電力需要家が電力供給元からの供給電力を交流及び直流で受電>
需要家電力システム30の受電装置311は、商用電力の電力供給が停止したことを検出すると、受電停止モードに遷移し、制御装置40に電力の供給停止を通知する。制御装置40の情報収集部401が通知を受信すると、制御部403は、供給元電力システム20に交流及び直流による電力需要家への電力供給を指示する。供給元電力システム20は、例えば、上記のケースA3−3のように動作する。
制御装置40の制御部403は、以下のように需要家電力システム30を制御する。
(1)配電装置312、配電装置314への負荷抑制の指示なし、又は、負荷抑制及び電力消費量制限値を指示。
(2)配電装置314に直流系統網52からの直流電力の受電を指示。
需要家電力システム30は、以下のように動作する。
配電装置312及び配電装置314は、制御装置40から負荷抑制が指示された場合、電力消費量制限値に従って負荷321及び負荷322の一部への電力供給を停止する。また、交流系統網51が商用電力の交流系統網ではない場合、受電装置311は、制御装置40からの指示に従って、交流系統網51からの電力の受電に切替える。受電装置311は、交流系統網51から受電を検出すると、受電モードに切り替わり、制御装置40に復電を通知する。
受電装置311は、交流系統網51から受電した交流電力を配電装置312に送電する。配電装置312は、受電装置311から受電した交流電力を、直流電源装置313と、電力供給対象の負荷321に送電する。直流電源装置313は、配電装置312から受電した電力を交流から直流に変換して配電装置314に送電する。配電装置314の切替装置315は、直流電源装置313から受電した電力と、直流系統網52から受電した直流電力とを、電力供給対象の負荷322に送電する。
なお、直流系統網52から受電した電力が電力供給対象の負荷322における消費電力よりも多い場合、配電装置314の切替装置315は、直流系統網52から受電した直流電力を電力供給対象の負荷322及び直流電源装置313に送電する。直流電源装置313は、配電装置314から受電した電力を直流から交流に変換し、配電装置312に出力する。配電装置312は、直流電源装置313から受電した電力と、受電装置311から受電した電力とを、電力供給対象の負荷321に供給する。
上述した実施形態によれば、電力需要家は、予備電源をアウトソーシングし、他の電力需要家からの影響なく、予備電源から供給される電力を使用できる。
[第2の実施形態]
本実施形態では、電力供給元と電力需要家とを1対多で接続する。
図2は、本実施形態の実施形態による電力制御システム11の構成を示す機能ブロック図であり、本実施形態と関係する機能ブロックのみを抽出して示してある。同図において、図1に示す第1の実施形態による電力制御システム10と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。電力制御システム11は、供給元電力システム20と、N個(Nは2以上の整数)の需要家電力システム30と、制御装置41とを有する。供給元電力システム20及び各需要家電力システム30はそれぞれ、第1の実施形態と同様である。以下では、N個の需要家電力システム30をそれぞれ、需要家電力システム30−1〜30−Nと記載する。
供給元電力システム20と需要家電力システム30−1〜30−Nのそれぞれとは、交流系統網51及び直流系統網52により接続される。なお、需要家電力システム30−1〜30−Nの全ての又は一部が、供給元電力システム20と交流系統網51又は直流系統網52のいずれかのみにより接続されてもよい。制御装置41と、供給元電力システム20及び需要家電力システム30−1〜30−Nとは、通信網53を介して通信する。
制御装置41は、供給元電力システム20及び需要家電力システム30−1〜30−Nの管理及び制御を行う。制御装置41は、情報収集部411、情報記憶部412及び制御部413を備える。情報収集部411は、供給元電力システム20及び需要家電力システム30−1〜30−Nから、各監視項目の状態を表す状態情報を収集する。情報収集部411が、供給元電力システム20及び需要家電力システム30−1〜30−Nのそれぞれから収集する状態情報は、第1の実施形態と同様である。また、情報収集部411は、天候の情報や、売電時の取引価格の情報などを図示しない外部の装置から収集する。
情報記憶部412は、情報収集部411が収集した状態情報の履歴であるログデータや、外部の装置から収集した情報の履歴を記憶する。ログデータは、システム識別情報と、システム識別情報により特定される供給元電力システム20又は需要家電力システム30−1〜30−Nのいずれかから収集された状態情報と、状態情報が得られた時刻を示す時刻情報とを対応付けた情報である。
制御部413は、情報収集部411が通知を受けた状態情報や、外部の装置から収集した情報、時刻、情報記憶部412に記憶される情報などに基づいて、供給元電力システム20及び需要家電力システム30−1〜30−Nを制御する。制御部413が供給元電力システム20に対して行う制御、及び、個々の需要家電力システム30−1〜30−Nに対して行う制御は、第1の実施形態の制御部403が供給元電力システム20に対して行う制御、及び、需要家電力システム30に対して行う制御と同様である。
例えば、制御装置41の制御部413は、常時に、省エネルギーなどのために、需要家電力システム30−1〜30−Nのうち、1以上の需要家電力システム30−n(nは1以上N以下の整数)に供給元電力システム20が蓄電している電力を供給すると判断する。制御部413は、需要家電力システム30−n以外の1以上の需要家電力システム30−j(j≠n,jは1以上N以下の整数)にはケースB1−1の制御を行い、供給元電力システム20及び需要家電力システム30−nに対しては、以下の(1)〜(3)のいずれの制御を行う。
(1)制御部413は、供給元電力システム20から交流により電力供給を行うと判断した場合、供給元電力システム20にケースA2−1の制御を行い、需要家電力システム30−nにケースB2−1の制御を行う。
(2)制御部413は、供給元電力システム20から直流により電力供給を行うと判断した場合、供給元電力システム20にケースA2−2の制御を行い、需要家電力システム30−nにケースB2−2の制御を行う。
(3)制御部413は、供給元電力システム20から交流及び直流により電力供給を行うと判断した場合、供給元電力システム20にケースA2−3の制御を行い、需要家電力システム30−nにケースB2−3の制御を行う。
なお、交流系統網51が一般送配電事業者の電力網である場合、(1)又は(3)の制御を行う際、制御部413は、交流系統網51に対して、需要家電力システム30−nへの電力供給のルートを、商用電力の供給ルートから、供給元電力システム20からの電力の供給ルートへ切替えるよう指示する。
また、交流系統網51が一般送配電事業者(商用電力)の電力網ではない場合、(1)又は(3)の制御を行う際、制御部413は、需要家電力システム30−nの受電装置311に対して、供給元電力システム20からの電力の供給ルートである交流系統網51からの受電を指示する。需要家電力システム30の受電装置311は、制御装置41からの指示に従って、一般送配電事業者(商用電力)の電力網からの受電を、交流系統網51からの受電に切替える。
本実施形態では、交流のみ、直流のみ、又は、交流及び直流で供給元電力システム20からの電力供給を受ける需要家電力システム30−nが混在する場合がある。この場合、制御部413は、供給元電力システム20にはケースA2−3の制御を行い、交流のみで電力供給を受ける需要家電力システム30−nにはケースB2−1の制御を、直流のみで電力供給を受ける需要家電力システム30−nにはケースB2−2の制御を、交流及び直流で電力供給を受ける需要家電力システム30−nにはケースB2−3の制御を行う。
また、例えば、制御装置41の制御部413は、需要家電力システム30−1〜30−Nのうち、1以上の需要家電力システム30−n(nは1以上N以下の整数)に商用電力への供給が停止し、需要家電力システム30−n以外の1以上の需要家電力システム30−j(j≠n,jは1以上N以下の整数)には商用電力への供給が継続していることを検出する。制御部413は、需要家電力システム30−jに対しては、ケースB1−1の制御を行い、供給元電力システム20及び需要家電力システム30−nには以下の(1)〜(3)のいずれかの制御を行う。
(1)制御部413は、供給元電力システム20から交流により電力供給を行うと判断した場合、供給元電力システム20にケースA3−1の制御を行い、需要家電力システム30−nにケースB3−1の制御を行う。
(2)制御部413は、供給元電力システム20から直流により電力供給を行うと判断した場合、供給元電力システム20にケースA3−2の制御を行い、需要家電力システム30−nにケースB3−2の制御を行う。
(3)制御部413は、供給元電力システム20から交流及び直流により電力供給を行うと判断した場合、供給元電力システム20にケースA3−3の制御を行い、需要家電力システム30−nにケースB3−3の制御を行う。
本実施形態では、上述した常時の場合と同様に、非常時においても、交流のみ、直流のみ、又は、交流及び直流で供給元電力システム20からの電力供給を受ける需要家電力システム30−nが混在する場合がある。この場合、制御部413は、供給元電力システム20にはケースA3−3の制御を行い、交流のみで電力供給を受ける需要家電力システム30−nにはケースB3−1の制御を、直流のみで電力供給を受ける需要家電力システム30−nにはケースB3−2の制御を、交流及び直流で電力供給を受ける需要家電力システム30−nにはケースB3−3の制御を行う。以下に具体的な制御の例を説明する。
制御部413は、需要家電力システム30−1〜30−i(iは2以上N−1以下の整数)への商用電力の供給が停止したことを検出する。需要家電力システム30−1〜30−iは、交流系統網51及び直流系統網52で供給元電力システム20と接続される。この場合、制御部413は、供給元電力システム20にケースA3−1の制御を、需要家電力システム30−1〜30−iにケースB3−1の制御を、需要家電力システム30−(i+1)〜30−NにケースB1−1の制御を行う。そして、制御部413は、需要家電力システム30−1〜30−iのうち、交流電力を受電できなかった需要家電力システム30に対してはケースB3−2の制御を開始し、供給元電力システム20に対してはケースA3−3の制御を開始する。
また、需要家電力システム30−1〜30−iの中には、交流系統網51のみ、又は、直流系統網52のみで供給元電力システム20と接続される需要家電力システム30が含まれ得る。この場合、制御部413は、需要家電力システム30−1〜30−iのうち、交流系統網51及び直流系統網52で供給元電力システム20と接続される需要家電力システム30に対してはケースB3−1又はB3−2又はB3−3の制御を行い、交流系統網51のみで供給元電力システム20と接続される需要家電力システム30に対してはケースB3−1の制御を行い、直流系統網52のみで供給元電力システム20と接続される需要家電力システム30に対してはケースB3−2の制御を行う。制御部413は、供給元電力システム20に対して、ケースA3−3の制御を行う。
本実施形態によれば、複数の電力需要家が予備電源を共用するため、低コストで一つの電力供給元が有する予備電源から、複数の電力需要家に対して電力供給を行うことができる。
[第3の実施形態]
本実施形態では、複数の電力供給元がそれぞれ、1以上の電力需要家と接続される。
図3は、本実施形態の実施形態による電力制御システム12の構成を示す機能ブロック図であり、本実施形態と関係する機能ブロックのみを抽出して示してある。同図において、図1に示す第1の実施形態による電力制御システム10と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。電力制御システム12は、複数の供給元電力システム22と、各供給元電力システム22と接続される1以上の需要家電力システム30と、制御装置42とを有する。各需要家電力システム30はそれぞれ、第1の実施形態と同様である。以下では、M個の供給元電力システム22をそれぞれ、供給元電力システム22−1〜22−Mと記載し、供給元電力システム22−m(mは1以上M以下の整数)と接続されるNm個(Nmは1以上の整数)の需要家電力システム30をそれぞれ、需要家電力システム30−m−1〜30−m−Nmと記載する。また、需要家電力システム30−m−1〜30−m−Nmを総称して需要家電力システム30−mとも記載する。
供給元電力システム22−mと需要家電力システム30−mのそれぞれとは、交流系統網51及び直流系統網52により接続される。なお、供給元電力システム22−mと一部又は全ての需要家電力システム30−mとが、交流系統網51のみ又は直流系統網52のみにより接続されてもよい。制御装置42と、供給元電力システム22及び需要家電力システム30とは、通信網53を介して通信する。
供給元電力システム22が、第1の実施形態の供給元電力システム20と異なる点は、交流潮流制御装置211及び直流潮流制御装置216に代えて、交流潮流制御装置211a及び直流潮流制御装置216aを備える点である。交流潮流制御装置211aは、他の1以上の供給元電力システム22の交流潮流制御装置211aと交流系統網54により接続される。交流潮流制御装置211aは、第1の実施形態の交流潮流制御装置211と同様に動作し、さらに、交流系統網54からの交流電力の受電と交流系統網54への交流電力の送電とを行う。直流潮流制御装置216aは、他の1以上の供給元電力システム22の直流潮流制御装置216aと直流系統網55により接続される。直流潮流制御装置216aは、第1の実施形態の直流潮流制御装置216と同様に動作し、さらに、直流系統網55からの直流電力の受電と直流系統網55への直流電力の送電とを行う。
この構成により、供給元電力システム22−mは、非常時に自システムのみでは需要家電力システム30−mに対して供給する電力が不足する場合に、1以上の他の供給元電力システム22−k(k≠m,kは1以上M以下の整数)から交流系統網54と直流系統網55の一方又は両方を介して予備電源による電力(蓄電池203に蓄電されている電力や非常用発電機202により発電した電力)の供給を受ける。また、常時に供給元電力システム22間において蓄電電力を融通する。
なお、一部又は全ての供給元電力システム22は、他の供給元電力システム22と、交流系統網54又は直流系統網55のいずれかのみで接続されてもよい。また、一部の又は全ての供給元電力システム22は、他の供給元電力システム22から予備電源による電力を受けない構成としてもよい。
制御装置42は、供給元電力システム22−1〜22−M及び需要家電力システム30−1−1〜30−M−NMの管理及び制御を行う。制御装置42は、情報収集部421、情報記憶部422及び制御部423を備える。情報収集部421は、供給元電力システム22−1〜22−M及び需要家電力システム30−1−1〜30−M−NMから、各監視項目の状態を表す状態情報を収集する。情報収集部421が、供給元電力システム22−1〜22−M及び需要家電力システム30−1−1〜30−M−NMのそれぞれから収集する状態情報は、第1の実施形態と同様である。また、情報収集部421は、天候の情報や、売電時の取引価格の情報などを図示しない外部の装置から収集する。
情報記憶部422は、情報収集部421が収集した状態情報の履歴であるログデータや、外部の装置から収集した情報の履歴を記憶する。ログデータは、システム識別情報と、システム識別情報により特定される供給元電力システム22−1〜22−M又は需要家電力システム30−1−1〜30−M−NMのいずれかから収集された状態情報と、状態情報が得られた時刻を示す時刻情報とを対応付けた情報である。
制御部423は、情報収集部421が通知を受けた状態情報や、外部の装置から収集した情報、時刻、情報記憶部422に記憶される情報などに基づいて、供給元電力システム22−1〜22−M及び需要家電力システム30−1−1〜30−M−NMを制御する。制御部423が、供給元電力システム22−m及び需要家電力システム30−m−1〜30−m−Nmの組に対して行う制御は、第2の実施形態と同様の制御を含む。さらに、制御部423は、非常時に、供給元電力システム22−mから需要家電力システム30−mに対して供給する電力が不足する場合に、供給元電力システム22−mへ電力を融通する他の供給元電力システム22−k、融通する電力量、交流系統網54と直流系統網55のいずれを用いるかを決定し、供給元電力システム22−kに指示する。
以下に、表3に示すケースについて、制御部423の制御に基づく供給元電力システム22の動作例を説明する。
<ケースA4−1:非常時に供給元電力システム22−mが交流で需要家電力システム30−mに電力を供給している場合に、他の供給元電力システム22−kが交流で電力を融通>
制御装置42の制御部423は、第1の実施形態のケースA3−1の制御を供給元電力システム22−mに行っており、供給元電力システム22−mから、需要家電力システム30−mに供給する電力が不足しているとする。制御部423は、供給元電力システム22−kから供給元電力システム22−mに交流で電力を融通する場合、供給元電力システム22−kに対して、以下の制御を行う。
(1)交流潮流制御装置211aに交流系統網54への送電及び電圧を指示。
(2)発電機201の発電又は発電停止を指示。発電機201による発電量が制御可能な場合、発電の指示に併せて、発電量も指示する。
(3)非常用発電機202の発電及び発電量が制御可能な場合はその発電量と、蓄電池203の放電及び放電量が制御可能な場合はその放電量との少なくとも一方を指示。
さらに、制御装置42の制御部423は、供給元電力システム22−mに対して、交流潮流制御装置211aにおける交流系統網54からの受電を指示する。
供給元電力システム22−kは、以下のように動作する。
蓄電池203の放電が指示された場合、直流電源装置214は、蓄電池203が放電した直流電力を配電装置215に供給し、残りの電力を交流に変換して配電装置213に送電する。また、発電機201及び非常用発電機202は、発電が指示された場合、発電した電力を配電装置213に送電する。配電装置213は、発電機201、非常用発電機202及び直流電源装置214から受電した電力を負荷221に供給し、残りの電力を受電装置212に送電する。受電装置212は、配電装置213から受電した電力を交流潮流制御装置211aに出力し、交流潮流制御装置211aは、受電装置212から受電した電力を交流系統網54に送電する。供給元電力システム22−mの交流潮流制御装置211aは、交流系統網54を介して供給元電力システム22−kから交流電力を受電し、受電装置212から受電した電力と併せて交流系統網51に送電する。
<ケースA4−2:非常時に供給元電力システム22−mが交流で需要家電力システム30−mに電力を供給している場合に、他の供給元電力システム22−kが直流で電力を融通>
制御装置42の制御部423は、第1の実施形態のケースA3−1の制御を供給元電力システム22−mに行っているときに、供給元電力システム22−kから供給元電力システム22−mに直流で電力を融通するよう制御する。この場合、制御部423は、供給元電力システム22−kに対して、以下の制御を行う。
(1)発電機201の発電又は発電停止の指示。発電機201による発電量が制御可能な場合、発電の指示に併せて、発電量も指示する。
(2)非常用発電機202の発電及び発電量が制御可能な場合はその発電量と、蓄電池203の放電及び放電量が制御可能な場合はその放電量との少なくとも一方を指示。
(3)直流潮流制御装置216aに直流系統網55への送電及び電圧を指示。
さらに、制御装置42の制御部423は、供給元電力システム22−mに対して、直流潮流制御装置216aにおける直流系統網55からの受電を指示する。
供給元電力システム22−kは、以下のように動作する。
発電機201及び非常用発電機202は、制御装置42から発電が指示された場合、発電した電力を配電装置213に送電する。直流電源装置214は、制御装置42から蓄電池203の放電が指示された場合、蓄電池203が放電した電力を受電する。
交流潮流制御装置211aは、交流系統網51から受電した商用電力を受電装置212に送電する。受電装置212は、交流潮流制御装置211aから受電した商用電力を配電装置213へ送電する。配電装置213は、受電装置212からの商用電力と、発電機201、非常用発電機202それぞれの発電電力を受電し、直流電源装置214及び負荷221に出力する。直流電源装置214は、蓄電池203が放電した電力、及び、配電装置213から受電し、直流に変換した電力を、配電装置215に出力する。配電装置215は、直流電源装置214から受電した直流電力を負荷222に送電し、残りの電力を直流潮流制御装置216aに送電する。直流潮流制御装置216aは、配電装置215から受電した直流電力を、直流系統網55に送電する。
供給元電力システム22−mの直流潮流制御装置216aは、直流系統網55を介して、供給元電力システム22−kから直流電力を受電し、配電装置215に送電する。配電装置215は、直流潮流制御装置216aから受電した電力を負荷222及び直流電源装置214に送電する。直流電源装置214は、蓄電池203及び配電装置215から受電した電力を交流に変換し、配電装置213に送電する。以降の供給元電力システム22−mの動作は、ケースA3−1と同様である。
<ケースA4−3:非常時に供給元電力システム22−mが交流で需要家電力システム30−mに電力を供給している場合に、他の供給元電力システム22−kが交流及び直流で電力を融通>
制御装置42の制御部423は、第1の実施形態のケースA3−1の制御を供給元電力システム22−mに行っているときに、供給元電力システム22−kから供給元電力システム22−mに交流及び直流で電力を融通するよう制御する。この場合、制御部423は、供給元電力システム22−kに対して、以下の制御を行う。
(1)交流潮流制御装置211aに交流系統網54への送電及び電圧を指示。
(2)発電機201の発電又は発電停止を指示。発電機201による発電量が制御可能な場合、発電の指示に併せて、発電量も指示する。
(3)非常用発電機202の発電及び発電量が制御可能な場合はその発電量と、蓄電池203の放電及び放電量が制御可能な場合はその放電量との少なくとも一方を指示。
(4)直流潮流制御装置216aに直流系統網55への送電及び電圧を指示。
さらに、制御装置42の制御部423は、供給元電力システム22−mに対して、交流潮流制御装置211aにおける交流系統網54からの受電と、直流潮流制御装置216aにおける直流系統網55からの受電を指示する。
供給元電力システム22−kは、以下のように動作する。
発電機201及び非常用発電機202は、制御装置42から発電が指示された場合、発電した電力を配電装置213に送電する。配電装置213は、発電機201及び非常用発電機202から受電した電力を負荷221に供給し、残りの電力を、受電装置212及び直流電源装置214に送電する。受電装置212は、配電装置213から受電した電力を交流潮流制御装置211aに出力し、交流潮流制御装置211aは、受電装置212から受電した電力を交流系統網54に送電する。
直流電源装置214は、配電装置213から受電した電力を交流から直流に変換し、制御装置42から蓄電池203の放電が指示された場合はさらに、蓄電池203が放電した直流電力を受電する。直流電源装置214は、配電装置215に直流電力を送電する。配電装置215は、直流電源装置214から受電した直流電力を負荷222に送電し、残りの電力を直流潮流制御装置216aに送電する。直流潮流制御装置216aは、配電装置215から受電した直流電力を、直流系統網55に送電する。
なお、蓄電池203から放電された電力量が、負荷222の消費電力量と、直流により需要家電力システム30へ供給する電力量との合計よりも多い場合、直流電源装置214は、配電装置215へ送電した残りの電力を交流に変換して配電装置213へ送電する。配電装置213は、発電機201、非常用発電機202及び直流電源装置214から受電した電力を負荷221に供給し、残りの電力を受電装置212に送電する。
供給元電力システム22−mの直流潮流制御装置216aは、直流系統網55を介して、供給元電力システム22−kから直流電力を受電し、配電装置215に送電する。配電装置215は、直流潮流制御装置216aから受電した電力を電力供給対象の負荷222及び直流電源装置214に送電する。直流電源装置214は、蓄電池203及び配電装置215から受電した電力を交流に変換し、配電装置213に送電する。配電装置213は、発電機201、非常用発電機202及び直流電源装置214から受電した電力を電力供給対象の負荷221に供給し、残りの電力を受電装置212に送電する。受電装置212は、配電装置213から受電した電力を交流潮流制御装置211aに出力する。交流潮流制御装置211aは、受電装置212から受電した電力と、交流系統網54を介して供給元電力システム22−kから受電した交流電力とを、交流系統網51に送電する。
<ケースA4−4:非常時に供給元電力システム22−mが直流で需要家電力システム30−mに電力を供給している場合に、他の供給元電力システム22−kが交流で電力を融通>
制御装置42の制御部423は、第1の実施形態のケースA3−2の制御を供給元電力システム22−mに行っており、供給元電力システム22−mから、需要家電力システム30−mに供給する電力が不足しているとする。制御部423は、供給元電力システム22−kから供給元電力システム22−mに交流で電力を融通する場合、供給元電力システム22−kに対して、ケースA4−1と同様の制御を行い、供給元電力システム22−mに対して、交流潮流制御装置211aにおける交流系統網54からの受電を指示する。これにより、供給元電力システム22−mは、以下の動作以外は、ケースA3−2と同様に動作する。すなわち、交流潮流制御装置211aは、交流系統網51から受電した交流電力と、交流系統網54から受電した交流電力とを合わせて受電装置212に出力する。
<ケースA4−5:非常時に供給元電力システム22−mが直流で需要家電力システム30−mに電力を供給している場合に、他の供給元電力システム22−kが直流で電力を融通>
制御装置42の制御部423は、第1の実施形態のケースA3−2の制御を行っている供給元電力システム22−mに供給元電力システム22−kから直流で電力を融通するよう制御する。この場合、制御部423は、供給元電力システム22−kに対して、ケースA4−2と同様の指示を行い、供給元電力システム22−mに対して、直流潮流制御装置216aにおける直流系統網55からの受電を指示する。供給元電力システム22−mは、以下の動作以外は、ケースA3−2と同様に動作する。すなわち、供給元電力システム22−mの直流潮流制御装置216aは、配電装置215から受電した直流電力と、直流系統網55を介して供給元電力システム22−kから受電した直流電力とを合わせて直流系統網52に送電する。
<ケースA4−6:非常時に供給元電力システム22−mが直流で需要家電力システム30−mに電力を供給している場合に、他の供給元電力システム22−kが直流及び交流で電力を融通>
制御装置42の制御部423は、第1の実施形態のケースA3−2の制御を行っている供給元電力システム22−mに供給元電力システム22−kから交流及び直流で電力を融通するよう制御する。この場合、制御部423は、供給元電力システム22−kに対して、ケースA4−3と同様の指示を行い、供給元電力システム22−mに対して、交流潮流制御装置211aにおける交流系統網54からの受電と、直流潮流制御装置216aにおける直流系統網55からの受電を指示する。供給元電力システム22−mは、以下の動作以外は、ケースA3−2と同様に動作する。すなわち、供給元電力システム22−mの交流潮流制御装置211aは、交流系統網51から受電した交流電力と、交流系統網54から受電した交流電力とを合わせて受電装置212に出力する。また、直流潮流制御装置216aは、配電装置215から受電した直流電力と、直流系統網55を介して供給元電力システム22−kから受電した直流電力とを合わせて直流系統網52に送電する。
<ケースA4−7:非常時に供給元電力システム22−mが交流及び直流で需要家電力システム30−mに電力を供給している場合に、他の供給元電力システム22−kが交流で電力を融通>
制御装置42の制御部423は、第1の実施形態のケースA3−3の制御を行っている供給元電力システム22−mに供給元電力システム22−kから交流で電力を融通するよう制御する。この場合、制御部423は、供給元電力システム22−kに対して、ケースA4−1と同様の指示を行い、供給元電力システム22−mに対して、交流潮流制御装置211aにおける交流系統網54からの受電を指示する。供給元電力システム22−mは、以下の動作以外は、ケースA3−3と同様に動作する。すなわち、交流潮流制御装置211aは、交流系統網54から受電した電力と、受電装置212から受電した電力とを合わせて交流系統網51に送電する。
<ケースA4−8:非常時に供給元電力システム22−mが交流及び直流で需要家電力システム30−mに電力を供給している場合に、他の供給元電力システム22−kが直流で電力を融通>
制御装置42の制御部423は、第1の実施形態のケースA3−3の制御を行っている供給元電力システム22−mに供給元電力システム22−kから直流で電力を融通するよう制御する。この場合、制御部423は、供給元電力システム22−kに対して、ケースA4−2と同様の指示を行い、供給元電力システム22−mに対して、直流潮流制御装置216aにおける直流系統網55からの受電を指示する。供給元電力システム22−mは、以下の動作以外は、ケースA3−3と同様に動作する。すなわち、直流潮流制御装置216aは、配電装置215から受電した直流電力と、直流系統網55を介して供給元電力システム22−kから受電した直流電力とを合わせて直流系統網52に送電する。
<ケースA4−9:非常時に供給元電力システム22−mが交流及び直流で需要家電力システム30−mに電力を供給している場合に、他の供給元電力システム22−kが交流及び直流で電力を融通>
制御装置42の制御部423は、第1の実施形態のケースA3−3の制御を行っている供給元電力システム22−mに供給元電力システム22−kから交流及び直流で電力を融通するよう制御する。この場合、制御部423は、供給元電力システム22−kに対して、ケースA4−3と同様の指示を行い、供給元電力システム22−mに対して、交流潮流制御装置211aにおける交流系統網54からの受電と、直流潮流制御装置216aにおける直流系統網55からの受電を指示する。供給元電力システム22−mは、以下の動作以外は、ケースA3−3と同様に動作する。すなわち、交流潮流制御装置211aは、交流系統網54から受電した交流電力と、受電装置212から受電した電力とを合わせて交流系統網51に送電する。また、直流潮流制御装置216aは、配電装置215から受電した直流電力と、直流系統網55を介して供給元電力システム22−kから受電した直流電力とを合わせて直流系統網52に送電する。
上記のケースA4−1〜A4−9において、制御装置42の制御部423は、非常時に供給元電力システム22間で蓄電している電力を融通するように制御している。以下のケースA5−1〜A5−4においては、制御装置42の制御部423は、常時に供給元電力システム22間で蓄電している電力を融通するように制御する。
<ケースA5−1:常時に供給元電力システム22−mに他の供給元電力システム22−kが蓄電している電力を交流で融通>
制御装置42の制御部423は、供給元電力システム22−kに対して、非常用発電機202の発電停止と、蓄電池203の放電及び放電量が制御可能な場合はその放電量とを指示する以外は、ケースA4−1と同様の制御を行う。また、制御部423は、供給元電力システム22−mに対して、交流潮流制御装置211aにおける交流系統網54からの受電を指示した上で、ケースA1−1、A1−2と同様の制御を行う。これにより、供給元電力システム22−mの交流潮流制御装置211aは、交流系統網54を介して供給元電力システム22−kから交流電力を受電し、受電装置212に送電する。また、交流潮流制御装置211aは、交流系統網51から受電した商用電力を受電装置212に送電する。以降の供給元電力システム22−mの動作は、ケースA1−1、A1−2と同様である。
<ケースA5−2:常時に供給元電力システム22−mに他の供給元電力システム22−kが蓄電している電力を直流で融通>
制御装置42の制御部423は、供給元電力システム22−kに対して、非常用発電機202の発電停止と、蓄電池203の放電及び放電量が制御可能な場合はその放電量とを指示する以外は、ケースA4−2と同様の制御を行う。また、制御部423は、供給元電力システム22−mに対して、直流潮流制御装置216aにおける直流系統網55からの受電を指示する以外は、ケースA1−1、A1−2と同様の制御を行う。これにより、供給元電力システム22−mの直流潮流制御装置216aは、直流系統網55を介して供給元電力システム22−kから直流電力を受電し、配電装置215に送電する。配電装置215は、直流潮流制御装置216aから受電した電力を負荷222に供給し、ケースA1−2の場合は、残りの電力を、直流電源装置214を介して蓄電池203に供給し、蓄電する。
<ケースA5−3:常時に供給元電力システム22−mに他の供給元電力システム22−kが蓄電している電力を交流及び直流で融通>
制御装置42の制御部423は、供給元電力システム22−kに対して、非常用発電機202の発電停止と、蓄電池203の放電及び放電量が制御可能な場合はその放電量とを指示する以外は、ケースA4−3と同様の制御を行う。また、制御部423は、供給元電力システム22−mに対して、交流潮流制御装置211aにおける交流系統網54からの受電と、直流潮流制御装置216aにおける直流系統網55からの受電とを指示する以外は、ケースA1−1、A1−2と同様の制御を行う。
これにより、供給元電力システム22−mは、以下の動作以外は、ケースA1−1、A1−2と同様に動作する。すなわち、交流潮流制御装置211aは、交流系統網54を介して供給元電力システム22−kから受電した交流電力と、交流系統網51から受電した商用電力とを受電装置212に送電する。また、直流潮流制御装置216aは、直流系統網55を介して供給元電力システム22−kから直流電力を受電し、配電装置215に送電する。配電装置215は、直流潮流制御装置216aから受電した電力を負荷222に供給し、ケースA1−2の場合は、残りの電力を、直流電源装置214を介して蓄電池203に供給し、蓄電する。
<ケースA5−4:常時に供給元電力システム22−mが需要家電力システム32−mに電力を供給しながら、他の供給元電力システム22−kが蓄電している電力を供給元電力システム22−mに電力を融通>
常時に供給元電力システム22−mが需要家電力システム32−mに電力を供給しながら、他の供給元電力システム22−kが蓄電している電力を供給元電力システム22−mに電力を融通するときの動作は、以下の点を除き、ケースA4−1〜A4−9と同様である。つまり、制御装置42の制御部423は、供給元電力システム22−mに非常用発電機202の発電停止と、蓄電池203の放電及び放電量が制御可能な場合はその放電量とを指示する。また、制御部423は、供給元電力システム22−kに、非常用発電機202の発電停止と、蓄電池203の放電及び放電量が制御可能な場合はその放電量とを指示し、負荷抑制の指示を行わない。
第3の実施形態によれば、電力供給元において、連系している電力需要家への供給可能な電力が不足している場合、他の電力供給元からの電力の融通を受けて電力需要家へ電力を供給することが可能となる。また、蓄電池で蓄電した電力を、電力供給元の間で融通することも可能となる。
なお、電力供給元と電力需要家の一部又は全てが、需要家電力システム30としても動作する供給元電力システム20又は供給元電力システム22を備え、他の供給元電力システム20又は供給元電力システム22から電力の供給を受けてもよい。この場合、需要家電力システム30としても動作する供給元電力システム20又は供給元電力システム22において、受電装置212は配電装置312と同様の機能を有し、直流電源装置214は直流電源装置313と同様の機能を有し、配電装置215は配電装置314と同様の機能を有する。
以上説明した第1〜第3の実施形態によれば、電力制御システムは、供給元電力システムと、需要家電力システムと、制御装置とを有する。電力制御システムは、供給元電力システムと需要家電力システムとは、1対1でもよく、1対多でもよい。また、電力制御システムは、1対1又は1対多の供給元電力システムと需要家電力システムの組を複数有してもよい。供給元電力システムは、予備電源と、交流系統網からの交流電力の受電と、予備電源から供給される電力の交流系統網への送電とを切替える交流潮流制御部とを備える。例えば、予備電源は、実施形態の非常用発電機202と蓄電池203の一方又は両方であり、交流潮流制御部は、実施形態の交流潮流制御装置211、211aである。需要家電力システムは、交流系統網から商用電力又は供給元電力システムが送電した電力である交流電力を受電する受電部と、受電部が受電した電力を負荷に供給する配電部とを備える。例えば、受電部は、実施形態の受電装置311であり、配電部は、実施形態の配電装置312、314である。制御装置は、供給元電力システムの交流潮流制御部における交流系統網からの交流電力の受電と、交流系統網への送電との切替えを制御する制御部を備える。
また、供給元電力システムが、予備電源から供給される電力を直流系統網に送電するか否かを切替える直流潮流制御部をさらに備え、需要家電力システムが、予備電源から供給される電力を直流系統網から受電するか否かを切替える切替部をさらに備えてもよい。例えば、直流潮流制御部は、実施形態の直流潮流制御装置216、216aであり、切替部は、実施形態の切替装置315である。この場合、制御装置の制御部は、供給元電力システムの直流潮流制御部に対して直流系統網へ送電するか否かを切替える制御と、需要家電力システムの切替部に対して直流系統網から受電するか否かを切替える制御とを行う。需要家電力システムの配電部は、交流系統網又は直流系統網から受電した電力を負荷に供給する。
なお、電力制御システムが、1対1又は1対多の供給元電力システムと需要家電力システムの組を複数有する場合、供給元電力システムは、他の供給元電力システムの予備電源から供給された電力を、交流潮流制御部により交流系統網へ送電して需要家電力システムに供給してもよく、直流潮流制御部から直流系統網へ送電して需要家電力システムに供給してもよい。
上述した第1〜第3の実施形態によれば、電力需要家は、非常用電源設備とその運用をアウトソースすることができる。従って、電力需要家は、従来必要であった非常用電源設備の設置スペースを他の用途に使用することができ、非常用電源設備の保守や運用の負担を軽減することが可能となる。
[第4の実施形態]
本実施形態の電力制御システムは、蓄電池を含む予備電源を、非常時の電源供給を行う非常用電源として使用する。本実施形態の電力制御システムは、供給元電力システムにおける蓄電池、非常用発電機及び電力供給元の負荷の状況と、需要家電力システムの負荷へ供給する必要電力量及び電力需要家への電力供給の優先度等に基づいて、最適要件を満たす電力供給/充放電方法を算出し、供給元電力システムによる電力供給/蓄電池充放電を制御する。
図4は、本実施形態の電力制御システムの動作概要を示す図である。同図においては、電力供給元のビル及び電力需要家のビルをそれぞれ1つずつ示しているが、電力供給元のビル及び電力需要家のビルの数は任意とすることができる。
電力供給元のビルには、蓄電池や非常用発電機などの予備電源を有する供給元電力システムが備えられる。供給元電力システムは、常時・非常時に発電を行う発電機を備え得る。供給元電力システムは、電力供給元の負荷に電力を供給する。電力需要家のビルには、需要家電力システムが備えられ、電力需要家の負荷に電源を供給する。需要家電力システムは、太陽光発電機や風力発電機などの発電機を備え得る。負荷は、例えば、空調設備、照明設備、エレベータ設備、コンピュータサーバ、通信設備などであるが、これらの例示に限定されない。
電力制御システムは、電力供給元における発電機や非常用発電機の発電量、負荷の電力消費量、蓄電池の蓄電量及び放電量、電力需要家へ給電した電力量と、電力需要家における負荷の電力消費量などの状態情報をリアルタイムに収集し、過去に収集したこれらの時系列の状態情報を実績情報として記載する。実績情報のうち、過去の時系列の負荷の電力消費量を過去負荷トレンドともいう。さらに、電力制御システムは、外部から天候条件(気温、湿度)の情報を定期的に受信し、受信した情報と受信時刻とを対応付けて外部収集情報として記憶する。
電力制御システムは、過去、現在及び予測の発電機の発電量及び天候条件の情報のうち少なくとも一部の情報に基づいて、予測対象時間の発電予測を行う。予測対象時間は、例えば、現在時刻から所定時間が経過するまでの時間、または、その時間に含まれる一部の時間である。発電予測に用いられる予測の発電機の発電量は、過去に同様の発電予測を行った結果でもよく、外部から取得した発電予測でもよい。また、電力制御システムは、電力供給元における実績情報ならびに現在及び予測の状態情報と、停止可能負荷タイムテーブルと、過去、現在及び予測の天候の情報と、予測対象時間の時間帯、曜日や季節等との情報のうち少なくとも一部の情報を用いて、任意の予測技術により、予測対象時間における非常時に予備電源から供給可能な電力量と、予測対象時間における非常時の電力供給元の負荷容量とを予測する。時間帯は、例えば、早朝、昼間、夜間など1日を任意に分割した時間帯とすることができる。さらに、電力制御システムは、電力需要家における実績情報ならびに現在及び予測の状態情報と、停止可能負荷タイムテーブルと、過去、現在及び予測の天候の情報と、予測対象時間の時間帯、曜日や季節等との情報のうち少なくとも一部の情報を用いて、予測対象時間における非常時の電力需要家の負荷容量を予測する。
電力制御システムは、これらの予測結果と、設定情報と、非常用発電機の発電容量及び蓄電池の容量に基づいて、非常時において電力供給元の予備電源から供給可能な電力量と、電力供給元の負荷に供給する電力量と各電力需要家に供給する電力量を算出する。設定情報は、電力供給元及び電力需要家それぞれの各負荷の優先度及び定格電力消費量、各電力供給元及び各電力需要家の供給優先度、各電力供給元及び各電力需要家の非常時の供給要求電力、停止可能負荷タイムテーブルなどを含む。停止可能負荷タイムテーブルは、電力供給元及び電力需要家それぞれの非常時に停止可能な負荷を時間帯別に示し、各負荷の優先度を示す情報として用いてもよい。
図5は、第4の実施形態による電力制御システム15の構成を示す機能ブロック図であり、本実施形態と関係する機能ブロックのみを抽出して示してある。電力制御システム15は、電力供給元の供給元電力システム25と、電力需要家の需要家電力システム35と、供給元電力システム25及び需要家電力システム35を制御する制御装置45とを有する。供給元電力システム25は、電力供給拠点となる電力供給元のビル等の施設に備えられ、需要家電力システム35は、電力需要拠点となる電力需要家のビル等の施設に備えられる。
電力制御システム15は、P個(Pは1以上の整数)の供給元電力システム25及びQ個(Qは1以上の整数)の需要家電力システム35を有する。P=1、Q=1の場合、供給元電力システム25、需要家電力システム35及び制御装置45はそれぞれ、第1の実施形態の供給元電力システム20、需要家電力システム30及び制御装置40に相当する。P=1、Q≧2の場合、供給元電力システム25、需要家電力システム35及び制御装置45はそれぞれ、第2の実施形態の供給元電力システム20、需要家電力システム30及び制御装置41に相当する。P≧2、Q≧2の場合、供給元電力システム25、需要家電力システム35及び制御装置45はそれぞれ、第3の実施形態の供給元電力システム22、需要家電力システム30及び制御装置42に相当する。
供給元電力システム25は、給電制御装置251、受変電装置252、変換装置253、非常用発電装置254、発電装置255、蓄電装置256及び負荷装置257を備える。給電制御装置251は、制御装置45からの指示に従って、供給元電力システム25内の各装置を制御する。受変電装置252は、交流電力の受電、送電及び変電を行う。受変電設備252は、第1〜第3の実施形態における交流潮流制御装置211又は211a、及び、受電装置212に相当する。変換装置253は、整流器やUPS(無停電電源装置)などであり、配電を行う。変換装置253は、配電を行う際には、必要に応じて直流電力と交流電力の変換を行う。変換装置253は、第1〜第3の実施形態における配電装置213、直流電源装置214、配電装置215、及び、直流潮流制御装置216又は216aに相当する。
非常用発電装置254は、非常時に自家発電を行う発電機であり、第1〜第3の実施形態における非常用発電機202に相当する。発電装置255は、太陽光発電機や風力発電機など常時及び非常時に発電を行う発電機であり、第1〜第3の実施形態における発電機201に相当する。蓄電装置256は、例えば、リチウムイオン電池などの二次電池であり、非常時に放電を行う。蓄電装置256は、第1〜第3の実施形態における蓄電池203に相当する。負荷装置257は、電力により動作する機器であり、第1〜第3の実施形態における負荷221及び負荷222に相当する。
需要家電力システム35は、受変電装置351、変換装置352及び負荷装置353を備える。受変電装置351は、交流電力の受電及び変電を行う。受変電装置351は、第1〜第3の実施形態における受電装置311に相当する。変換装置352は、整流器やUPSなどであり、配電を行う。変換装置352は、配電を行う際には、必要に応じて直流電力と交流電力の変換を行う。変換装置352は、第1〜第3の実施形態における配電装置312、直流電源装置313及び配電装置314に相当する。負荷装置353は、電力により動作する機器であり、第1〜第3の実施形態における負荷321及び負荷322に相当する。
供給元電力システム25の受変電装置252と、需要家電力システム35の受変電装置351とは、交流系統網511及び自営線網512により接続される。交流系統網511は、商用電力の電力網である。自営線網512は、電力供給元と電力需要家との間で敷設された交流電力の電力網である。なお、自営線網512を設けず、交流系統網511のみを交流電力の電力網として用いてもよい。また、供給元電力システム25の変換装置253と需要家電力システム35の変換装置352とは、自営線521により接続される。自営線521は、電力供給元と電力需要家との間で敷設された直流電力の電力網であり、第1〜第3の実施形態の直流系統網52に相当する。
P≧2、Q≧2の場合、P個の供給元電力システム25と、Q個の需要家電力システム35とが、交流系統網511及び自営線網512によりメッシュで接続されていてもよい。この場合、制御装置45によって、各需要家電力システム35がそれぞれ、1つの供給元電力システム25からのみ電力の供給を受けるように決定することで、第3の実施形態のように、1つの需要家電力システム35については、1つの供給元電力システム25からのみ電力の供給を受ける構成とすることができる。また、需要家電力システム35が、自営線網512又は自営線521のいずれかのみより、供給元電力システム25と接続されてもよい。また、自営線網512を設けない場合、あるいは、自営線網512がある場合でも、交流系統網511を利用して、供給元電力システム25から需要家電力システム35への電力供給を行ってもよい。この場合、交流系統網511は、第1〜第3の実施形態における交流系統網51に相当する。
制御装置45は、情報収集部451、情報記憶部452及び制御部453を備える。情報記憶部452は、第1〜第3の実施形態の情報記憶部402、412、422に相当し、情報収集部451は、第1〜第3の実施形態の情報収集部401、411、421に相当する。制御部453は、第1〜第3の実施形態の制御部403、413、423に相当する。
情報収集部451は、供給元電力システム25及び需要家電力システム35のそれぞれから状態情報を収集し、外部の装置から天候(気温、湿度)等の情報を取得する。情報記憶部452は、各種情報を記憶する。情報記憶部452は、情報収集部451が収集した状態情報を情報の収集時刻と対応付けた実績情報と、情報収集部451が外部の装置から収集した天候の情報を情報の収集時刻と対応付けた外部収集情報とを記憶する。情報記憶部452は、さらに設定情報を記憶する。設定情報は、電力供給元の負荷装置257及び電力需要家の負荷装置353それぞれの優先度及び定格電力消費量、停止可能負荷タイムテーブル、各電力需要家の優先度、各電力需要家の非常時の供給要求電力などを含む。
制御部453は、需要量算出部454、供給量算出部455及び指示部456を備える。需要量算出部454は、情報記憶部452に記憶される設定情報と、情報収集部451が取得した又は情報記憶部452に記憶される過去、現在及び予測の状態情報及び天候などの情報と、予測対象時間の時間帯、曜日、季節等の情報とのうち少なくとも一部の情報を用いて、任意の予測技術により、予測対象時間における各電力需要家の非常時の電力需要量を算出する。なお、予測の状態情報は、制御部453が任意の技術により予測したものでもよく、外部の装置から受信したものでもよい。
供給量算出部455は、情報記憶部452に記憶される設定情報と、情報収集部451が取得した又は情報記憶部452に記憶される過去、現在及び予測の状態情報及び天候などの情報と、予測対象時間の時間帯、曜日、季節等の情報とのうち少なくとも一部の情報を用いて、任意の予測技術により、予測対象時間において各電力供給元が非常時に電力需要家に供給可能な電力である供給可能電力量を算出する。
指示部456は、需要量算出部454及び供給量算出部455の算出結果に基づいて、供給元電力システム25の給電制御装置251に対して、非常用発電装置254による発電、蓄電装置256からの放電及び負荷装置257の一部停止を指示し、需要家電力システム35の受変電装置351に対して供給元電力システム25から供給される交流電力の受電を、変換装置352に対して供給元電力システム25から供給される直流電力の受電及び負荷装置353の一部停止を指示する。なお、指示部456は、これらの指示のうち一部のみを行ってもよい。
図6〜図8を用いて、電力制御システム15における非常時の電力需要家への電力供給例を説明する。
図6は、電力需要家A、B、Cそれぞれの契約条件を示す図である。なお、契約条件の情報は、設定情報に含まれる。電力需要家Aは、電力需要家Aのビルにおける平時の負荷の電力消費量の100%、上限500kWを、ギャランティー型の供給要求電力として契約している。ギャランティー型は、電力供給が保障されることを示す。
電力需要家Bは、電力需要家Bのビルにおける平時の負荷の電力消費量の30%、上限150kWをギャランティー型の供給要求電力として、同じく平時の負荷の電力消費量の30%、上限150kWをさらにベストエフォート型の供給要求電力として契約している。ベストエフォート型は、予備電源に供給可能な余剰の電力がある場合に供給される電力量の上限を示す。
電力需要家Cは、電力需要家Cのビルにおける平時の負荷の電力消費量の30%、上限150kWをベストエフォート型の供給要求電力として契約している。
電力需要家A、B、Cの電力供給の優先度はそれぞれ、高、中、低である。また、電力需要家Aのギャランティー型、電力需要家Bのギャランティー型、電力需要家Bのベストエフォート型、電力需要家Cのベストエフォート型の順に電力供給の優先度が高い。
図7は、電力制御システム15の電力需要ピーク時期における非常時の電力需要家への電力供給例を示す図である。制御装置45の需要量算出部454は、予測対象時間の時間帯、季節、曜日等と同じ又は類似した条件における過去負荷トレンドや、過去、現在及び予測の天候、気象条件等の外部要因等の少なくとも一部の情報に基づいて、予測対象時間内の各時刻において停電が発生、継続した場合に、電力需要家A〜Cにどれだけの電力供給が必要になるかの電力需要量をリアルタイムに算出する。ここでは、需要量算出部454は、電力需要家Aの電力需要量がギャランティー型500kW、電力需要家Bの電力需要量がギャランティー型150kW、ベストエフォート型150kW、電力需要家Cの電力需要量がギャランティー型150kWであると算出する。
さらに、制御装置45の供給量算出部455は、各電力需要家A〜Cへ非常時に電力を供給する候補の電力供給元である電力供給元候補の供給元電力システム25のそれぞれについて供給可能電力量を算出する。供給量算出部455は、各電力需要家A〜Cの電力需要量、電力供給元候補の供給可能電力量の多寡、供給元電力システム25から需要家電力システム35までの送電距離等による損失が最小となる組み合わせ等から、各電力需要家A〜Cへ電力を供給する電力供給元を判断する。
なお、供給量算出部455は、経済的合理性に基づいて、各電力需要家への供給優先順位を判断してもよい。例えば、電力供給元A〜Cから供給可能な電力量が、全ての電力需要家A〜Cが必要とする電力量に対して不足する場合、供給量算出部455は、電力需要家への電力供給による収入金額が最も高くなる組み合わせによって、各電力需要家へ電力を供給する電力供給元を決定する。あるいは、供給量算出部455は、電力供給元A〜Cから供給可能な電力量が、電力需要家A〜Cのギャランティー型による電力供給に必要な電力量の合計に対して不足する場合には、ギャランティー型の電力量が賄えなかったときのペナルティー金額が最小となる組み合わせによって、各電力需要家へ電力を供給する電力供給元を決定する。ペナルティー金額は、例えば、電力需要家との間のサービスレベルアグリーメント(SLA)によって予め決められる。
例えば、供給量算出部455は、電力供給元Aからの供給可能電力量が600kW、電力供給元Bからの供給可能電力量が200kW、電力供給元Cからの供給可能電力量が100kWであると算出する。電力供給元間での電力融通がない場合、供給量算出部455は、ギャランティー型を優先させ、電力供給元Aから電力需要家Aへ500kW、電力供給元Bから電力需要家Bへ150kWを供給すると判断する。電力供給元Cから電力供給が可能な電力量は、電力需要家B、Cのベストエフォート型での供給が必要な電力用に満たないため、電力供給は行わない。電力供給元間での電力融通がある場合、供給量算出部455は、電力供給元B、Cは、他の電力供給元の供給元電力システム25から電力の融通が可能である場合、その電力を受けて電力需要家B、Cのベストエフォート型の電力需要量の電力供給を行う。
図8は、電力制御システム15の電力需要オフピーク時期における非常時の電力需要家への電力供給例を示す図である。制御装置45の需要量算出部454は、上記と同様に、各時刻において停電が発生、継続した場合に電力需要家A〜Cにどれだけの電力供給が必要になるかの電力需要量をリアルタイムに算出する。需要量算出部454は、電力需要家Aの電力需要量がギャランティー型250kW、電力需要家Bの電力需要量がギャランティー型75kW、ベストエフォート型75kW、電力需要家Cの電力需要量がギャランティー型75kWであると算出する。
さらに、制御装置45の供給量算出部455は、上記と同様に、各電力需要家A〜Cへ非常時に電力を供給する電力供給元候補の供給元電力システム25のそれぞれについて供給可能電力量を算出する。例えば、供給量算出部455は、電力供給元Aからの供給可能電力量が600kW、電力供給元Bからの供給可能電力量が200kW、電力供給元Cからの供給可能電力量が100kWであると算出する。供給量算出部455は、ギャランティー型を優先させ、電力供給元Aから電力需要家Aへ250kW、電力供給元Bから電力需要家Bへ75kWを供給すると判断する。続いて、供給量算出部455は、電力供給元Bに余剰電力があるため、電力供給元Bから電力需要家Bへベストエフォート型の75kWを供給し、電力供給元Cからは電力需要家Cへ75kWを供給すると判断する。
上記のように、制御装置45は、電力需要家の電力需要量を判断し、ギャランティー型の電力需要量を供給しても余剰電力があるときには、その剰余電力をベストエフォート型で契約している電力需要家など、優先度が低い電力需要家へ供給することができる。例えば、オフピークの期間のほか、夜間などは電力消費量が昼間よりも低いことがある。そこで、ギャランティー型で契約している供給電力要求量よりも実際の電力消費量が低いことが予想される場合は、その余剰分を優先度が低い電力需要家へ供給することができる。従って、従来のように実際の電力消費量が低いことが予想される場合でもギャランティー型の供給電力要求量を常に確保しておく場合と比較し、多くの電力需要家に電力を供給できる可能性がある。
また、ギャランティー型、ベストエフォート型の供給電力要求量を、常時の電力消費量に対する割合として設定することができる。このような設定にすることで、オフピーク期間や夜間など電力消費量が低いことが予想される場合には、より効率的に、多くの電力需要家へ電力を供給することが可能となる。
図9は、電力制御システム15における非常時の電源供給処理を示すフロー図である。非常時の電源供給処理において、制御装置45は、各電力需要家について予想される停電発生時の電力需要量をリアルタイムに管理し、どの電力供給元のビルの供給元電力システム25から、どの電力需要家のビルの需要家電力システム35に電力を供給するかを判断する。制御装置45は、電力供給先となる電力需要家の優先度付けを実施し、供給元電力システム25に電力供給を指示する。供給元電力システム25の給電制御装置251は、制御装置45からの指示に従って、自システムが備える非常用発電装置254や蓄電装置256から需要家電力システム35に電力を供給するための制御を行う。以下に非常時の電源供給処理を詳細に説明する。
制御装置45の需要量算出部454は、各時刻において停電が発生、継続した場合に各電力需要家にどれだけの電力供給が必要になるかの予想の電力需要量をリアルタイムに、例えば、数分から数十分などの時間間隔で算出する(ステップS105)。需要量算出部454は、電力需要量の予測を、例えば、予測対象時間の季節、時間帯、曜日等が同じ又は類似した条件における負荷装置353の負荷変動のトレンド、天候、気象条件等の外部要因などに基づいて行う。
各需要家電力システム35の受変電装置351は、電力系統の停電発生を監視する。受変電装置351は、交流系統網511により供給される商用電力の停電発生を検出した場合、停電信号を制御装置45に送信する(ステップS110)。制御装置45の情報収集部451は、停電信号を受信し、受信した停電信号に設定されている送信元の情報から、停電が発生した需要家電力システム35を判断する(ステップS115)。
需要量算出部454は、情報記憶部452に記憶される設定情報から読み出した各電力需要家の優先度に基づいて、停電が発生した各電力需要家への電力供給の優先度を算出する(ステップS120)。なお、設定情報は、電力需要家との契約等に基づいて予め設定される。
供給量算出部455は、停電が発生した電力需要家に対する電力供給元候補を選択する。電力供給元候補は全ての供給元電力システム25としてもよく、需要家電力システム35から所定距離以内の需要家電力システム35などとしてもよく、需要家電力システム35それぞれの電力供給元候補となり得る供給元電力システム25の情報を設定情報に含めて設定しておいてもよい。供給量算出部455は、選択した電力供給元候補の供給元電力システム25それぞれについて供給可能電力量を算出する(ステップS125)。
指示部456は、停電が発生した各電力需要家の予測される電力需要量及び優先度、電力供給元候補の供給元電力システム25からの供給可能電力量の多寡、送電距離等による損失が最小となる組み合わせ等に基づいて、いずれの供給元電力システム25から、停電が発生したいずれの需要家電力システム35へどれだけの電力を供給するかを判断する。具体的には、優先度や、電力供給元と電力供給先の電力需要家との組み合わせなどを決めるパラメーターは、以下のうち1以上である。
(1)電力供給元及び電力供給先の供給優先度。
(2)リアルタイムに算出した各電力供給元の供給元電力システム25における供給可能電力量。
(3)各電力需要家の非常時の供給要求電力。各電力需要家おいて停電が発生した場合に必要な負荷容量の予測値であり、ギャランティー型として供給が必要な電力量と、ベストエフォートの電力量との合計である。
(4)各電力需要家において供給が必要な時間(停電後2時間等の供給継続時間)。
(5)供給元電力システム25と需要家電力システム35間の送電距離等による給電損失。
(6)供給ルート(交流系統網511を通じて給電か、自営線網512を通じて給電か、自営線521を通じて給電か。)。
(7)被災状況に応じた電力供給ルートの判断結果。
指示部456は、判断結果に基づいて、優先順位に従い、停電が発生した電力供給先の需要家電力システム35へ電力供給を開始するよう供給元電力システム25に指示し、電力供給先の需要家電力システム35に供給元電力システム25からの供給電力の受電を開始するよう指示する(ステップS130)。供給元電力システム25への指示には、非常用発電装置254の発電量や、蓄電装置256からの放電量などの指示も含まれ得る。
また、供給元電力システム25の蓄電装置256の放電可能電力量が、供給元電力システム25における電力需要量と、電力供給先の需要家電力システム35における電力需要量との合計に満たない場合は、指示部456は、負荷装置257及び負荷装置353の一部への電力供給を停止すると判断する。指示部457は、電力供給を停止する負荷装置257及び負荷装置353を、情報記憶部452に記憶される設定情報から読み出した停止可能負荷タイムテーブル、あるいは、負荷装置257や負荷装置353の優先度等に基づいて決定する。指示部456は、負荷装置257の一部の電力供給の停止を供給元電力システム25の給電制御装置251に指示する。また、指示部456は、負荷装置353の一部の電力供給の停止するよう需要家電力システム35の変換装置352を制御する。
制御装置45からの指示に従って、供給元電力システム25は予備電源からの電力を需要家電力システム35に供給し、需要家電力システム35は、供給元電力システム25から供給される電力を受電し、負荷装置353に供給する(ステップS135)。具体的には、供給元電力システム25の給電制御装置251は、制御装置45からの指示に従って、非常用発電装置254が発電した電力や、蓄電装置256から放電された電力を、交流系統網511と自営線521の一方又は両方、もしくは、自営線網512と自営線521の一方又は両方により、需要家電力システム35に供給するよう制御する。また、給電制御装置251は、制御装置45からの指示に従って、負荷装置257の一部への電力供給を停止する。需要家電力システム35は、供給元電力システム25から供給される交流電力を受電する場合、その交流電力を、交流系統網511を介して受変電装置351により受電するか、受変電装置351を自営線網512に切替えて受電する。需要家電力システム35は、供給元電力システム25から供給される直流電力を受電する場合、その直流電力を、自営線521を介して変換装置352により受電する。需要家電力システム35は、供給元電力システム25から受電した電力を負荷装置353に供給する。
需要家電力システム35の受変電装置351は、電力系統の復電信号を監視する。受変電装置351は、商用電力の復電を確認すると、復電通知信号を制御装置45に送信する(ステップS140)。制御装置45の情報収集部451が復電信号を受信すると(ステップS145)、指示部456は、全ての電力需要家の需要家電力システム35が復電したかを判断する(ステップS150)。指示部456は、まだ復電していない需要家電力システム35があると判断した場合、ステップS130(あるいは、ステップS120又はステップS125)からの処理を行い、優先度順位に従って、いずれの供給元電力システム25から、復電した需要家電力システム35を除く未だ停電中の需要家電力システム35へ電力を供給するかを指示する。例えば、指示部456は、停電信号の受信からの経過時間が所定時間以内の場合はステップS130からの処理を、所定時間を超えた場合はステップS120又はステップS125からの処理を行うようにしてもよい。
そして、指示部456は、全ての電力需要家の需要家電力システム35が復電したと判断した場合、供給元電力システム25に、非常用発電装置254、蓄電装置256等の予備電源からの電力供給を停止するよう指示し、需要家電力システム35に商用電力の受電を指示する(ステップS155)。供給元電力システム25の給電制御装置251は、制御装置45からの指示に従い、非常用発電装置254の発電、蓄電装置256の放電、変換装置253から自営線521への送電を停止し、受変電装置252が交流系統網511から商用電力を受電するよう制御する。需要家電力システム35の受変電装置351は、自営線網512からの受電を行っていた場合には交流系統網511からの受電に切替え、自営線521からの受電を停止する(ステップS160)。電力制御システム15は、図9の処理を繰り返す。
上述した実施形態によれば、例えば、広範囲で停電が起こった場合に、電力供給が可能な電力供給元から、医療機関を優先するなど、電力需要家の優先度に応じて電力を供給するとともに、各電力需要家において最低限必要な電力を優先して供給することができる。また、電力需要家における電力消費量が少なく、電力供給元に余剰の電力がある場合には、優先度の低い電力需要家にも電力を供給したり、ベストエフォート型などの優先度が低い供給要求電力量の電力についても電力需要家へ供給したりすることが可能となる。
[第5の実施形態]
本実施形態の電力制御システムは、蓄電池を商用電源の停電が発生していない常時用として使用し、顧客の電力システムにおける自家発電量・電力消費量・電力料金(時間別)等からコスト最適となる充放電方法を算出し蓄電池充放電を制御する。
図10は、本実施形態の電力制御システムの動作概要を示す図である。ビルには、蓄電池を有する供給元電力システムが備えられる。供給元電力システムは、常時・非常時に発電を行う発電機や、非常時に発電を行う非常用発電機をさらに備え得る。同図においては、ビルを1つみ示しているが、供給元電力システムが設置されたビルの数は任意とすることができる。供給元電力システムは、常時に蓄電池の放電又は蓄電を行い、放電した電力については、ビル内の負荷に供給したり、小売電気事業者等に売電したり、調整力取引市場等に売電したりする。あるいは、供給元電力システムは、蓄電池が放電した電力を、電力需要家のビルに供給(又は売電)してもよい。
電力制御システムは、ビルに設置された発電機の発電量、各負荷の電力消費量などの状態情報をリアルタイムに収集し、過去に収集したこれらの状態情報を状態情報として記憶している。さらに、電力制御システムは、外部から収集した天候(気温、湿度)や、調整力取引市場等における市場取引価格をリアルタイムに収集し、外部収集情報として記憶している。電力制御システムは、過去、現在及び予測の状態情報と、電気料金タリフの情報と、過去、現在及び予測の天候の情報や市場取引価格等の売電価格の情報と、予測対象時間の時間帯、曜日、季節等の情報とのうち少なくとも一部の情報を用いた任意の予測技術により、予測対象時間において最もコスト最適となる蓄電池充放電のタイミングを決定する。電気料金タリフは、時間帯別の単位電力消費量当たりの商用電力の料金を示す。この電気料金タリフは、ダイナミックプライシング等のリアルタイムに変動する価格形態を含んでもよい。また、売電価格は、例えば市場価格(スポット価格、先物等)、インバランス料金価格、相対契約価格、FIT(Feed-in Tariff)価格などが考えられる。例えば、夜間は電気料金が低いため、夜間に蓄電池へ蓄電し、昼間に放電するようにすることで、電気料金の値差を利用してコストを削減できる。また、予測対象時間の時間帯、天候、季節、市場取引価格等の条件が、市場取引価格が高いときの条件と類似している場合に、売電することでもコストを削減できる可能性がある。電力制御システムは、決定した蓄電池充放電のタイミングに基づいて、コストを最適化するように蓄電池の充放電をリアルタイムで制御する。
図11は、第5の実施形態による電力制御システム16の構成を示す機能ブロック図であり、本実施形態と関係する機能ブロックのみを抽出して示してある。同図において、図5に示す第4の実施形態による電力制御システム15と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。電力制御システム16は、1以上の供給元電力システム25と、1以上の需要家電力システム35と、供給元電力システム25及び需要家電力システム35を制御する制御装置46とを有する。なお、電力供給元が需要家電力システム35への電力供給を行わない場合、電力制御システム16は需要家電力システム35を備えなくてもよい。この場合、供給元電力システム25の受変電装置252は、自営線網512と接続されず、変換装置253は、自営線521と接続されない。
制御装置46は、情報収集部461、情報記憶部462及び制御部463を備える。情報記憶部462は、第1〜第3の実施形態の情報記憶部402、412、422に相当し、情報収集部461は、第1〜第3の実施形態の情報収集部401、411、421に相当する。制御部463は、第1〜第3の実施形態の制御部403、413、423に相当する。
情報収集部461は、供給元電力システム25から状態情報を収集し、外部の装置から天候(気温、湿度)の情報や、調整力取引市場等におけるリアルタイムの市場取引価格等の情報を取得する。情報記憶部462は、各種情報を記憶する。情報記憶部462は、情報収集部461が収集した状態情報を、情報の収集時刻と対応付けた実績情報を記憶する。また、情報記憶部462は、天候、市場取引価格等の情報を、情報の収集時刻と対応付けて外部収集情報として記憶する。さらに、情報記憶部462は、電力供給元の各負荷の優先度及び定格電力消費量、停止可能負荷タイムテーブルなどの設定情報や、商用電力の電気料金タリフなどを含む各種情報を記憶する。
制御部463は、情報記憶部462に記憶される電力タリフと、情報収集部461が取得した又は情報記憶部462に記憶される過去、現在及び予測の状態情報、調整力取引市場等における過去、現在及び予測の市場取引価格、過去、現在及び予測の天候などの情報と、予測対象時間の時間帯、曜日、季節等の情報とのうち少なくとも一部の情報に基づいて、任意の予測技術により、予測対象時間(例えば、現在から所定時間先までの間)において料金を低減できる蓄電装置256の常時における充放電スケジュールを所定の時間ごとに算出する。放電を行う場合、制御部463は、放電された電力を売電するか、負荷装置257へ供給するか、需要家電力システム35に供給するかを決定する。制御部463は、充放電スケジュールに従って、供給元電力システム25の給電制御装置251に蓄電装置256の充放電を指示する。需要家電力システム35への供給を行う場合、制御部463は、需要家電力システム35に供給元電力システム25からの受電を指示する。
供給元電力システム25の給電制御装置251は、制御装置46からの指示に従って、蓄電装置256からの充放電と、受変電装置252における交流系統網511又は自営線網512への送電あるいは交流系統網511からの受電、変換装置253における自営線521への送電又は送電停止を制御する。
具体的には、常時に蓄電を行う場合、給電制御装置251は、受変電装置252が交流系統網511から受電するよう制御し、変換装置253が蓄電装置256への電力を供給し、自営線521への送電を停止するよう制御する。
常時に蓄電装置256の放電を行い、負荷装置257へ供給する場合、給電制御装置251は、受変電装置252が交流系統網511との間の受電及び送電を停止するよう制御し、変換装置253が蓄電装置256から放電された電力を負荷装置257に供給するよう制御する。なお、蓄電装置256から放電される電力が負荷装置257の消費電力に満たない場合、給電制御装置251は、受変電装置252が交流系統網511から受電を行うよう制御する。
また、常時に蓄電装置256の放電を行い、調整力取引市場等に売電する場合、給電制御装置251は、変換装置253が蓄電装置256から放電された電力を受変電装置252に送電し、受変電装置252が交流系統網511へ送電を行うよう制御する。
また、常時に蓄電装置256の放電を行い、需要家電力システム35に供給する場合、給電制御装置251は、変換装置253が蓄電装置256から放電された電力を受変電装置252に送電し、受変電装置252が交流系統網511又は自営線網512へ送電するよう制御するか、変換装置253が蓄電装置256から放電された電力を自営線521へ送電するよう制御する。あるいは、給電制御装置251は、変換装置253が蓄電装置256から放電された電力を受変電装置252及び自営線521に送電し、受変電装置252が交流系統網511又は自営線網512へ送電するよう制御してもよい。需要家電力システム35は、制御装置46からの指示に従い、受変電装置351における交流系統網51又は自営線網512からの受電と、変換装置352における自営線521からの受電との一方又は両方を行い、蓄電装置256から放電された電力を受電する。
例えば、晴天の日の場合、太陽光発電量が増加し、調整力が必要となり、調整力取引市場の市場価格が高騰する。制御装置46の制御部463は、調整力市場における売買による収益が商用電力の電気料金削減効果よりも大きいため、蓄電装置256に蓄電されている余裕分の電力を放電し、調整力取引市場に売却するよう制御を行う。電力システム26の給電制御装置251は、制御装置46からの指示に従って、蓄電装置256から放電し、受変電装置252から交流系統網511へ送電するよう制御する。
一方で、雨天の日の場合、太陽光発電量がほとんどなく、調整力が不要となり、市場価格が下落する。制御装置46の制御部463は、調整力市場における売買による収益よりも、電気料金削減効果のほうが大きいため、昼間時間帯におけるピークシフトに蓄電装置256からの放電電力を活用すると判断する。供給元電力システム25の給電制御装置251は、制御装置46からの指示に従って、蓄電装置256から放電し、負荷装置257へ供給するよう制御する。
なお非常時に、制御装置46の制御部463は、情報記憶部462に記憶される実績情報と、情報収集部461が取得した又は情報記憶部462に記憶される過去、現在及び予測の状態情報及び天候などの情報と、予測対象時間の時間帯、曜日、季節等の情報とのうち少なくとも一部の情報に基づいて、任意の予測技術により、非常用発電装置254、発電装置255による発電量及び蓄電装置256からの放電量を算出する。制御部463は、算出結果に基づいて、供給元電力システム25に非常用発電装置254による発電、蓄電装置256からの放電、負荷装置257の一部停止等を指示する。供給元電力システム25の給電制御装置251は、制御装置46からの指示に従って、非常用発電装置254による発電及び蓄電装置256からの放電と、一部の負荷装置257の停止を行い、非常時に稼働させる負荷装置257のみに電力を供給するよう制御する。
本実施形態によれば、常時において、省エネルギー、コスト削減のために顧客のビルに設置された蓄電池を活用することができる。また、供給元電力システムは、調整力取引市場等に売電する代わりに、蓄電池が放電した電力を所定の電力タリフにより電力需要家に売電してもよい。これにより、電力需要家は、商用電力よりも低い料金により電力を購入することも可能となる。また、電力供給元と電力需要家を、1対多又は多対多とすることで、1つの電力供給元の予備電源を複数の電力需要家で共有し、電力制御システム全体として予備電源の数を抑えることができる。
[第6の実施形態]
第4の実施形態の電力制御システムは非常時に蓄電池を活用し、第5の実施形態の電力制御システムは常時に蓄電池を活用していた。第6の実施形態の電力制御システムは、蓄電池を常時と非常時の両方に活用する。そこで、本実施形態の電力制御システムは、停電が発生した場合に必要な蓄電池充電容量をリアルタイムで算出し、常時において、その必要な充電容量を超えて蓄電している放電可能な電力容量を、第5の実施形態にと同様にコスト最適化に活用する。一方で、非常時においては、本実施形態の電力制御システムは、第4の実施形態と同様の動作を行う。
図12は、本実施形態の電力制御システムの動作概要を示す図である。同図においては、電力供給元のビル及び電力需要家のビルをそれぞれ1つずつ示しているが、電力供給元のビル及び電力需要家のビルの数は任意とすることができる。
電力供給元のビルには、蓄電池や非常用発電機などの予備電源を有する供給元電力システムが備えられる。供給元電力システムは、常時・非常時に発電を行う発電機を備え得る。供給元電力システムは、電力供給元の負荷に電力を供給する。電力需要家のビルには、需要家電力システムが備えられ、電力需要家の負荷に電源を供給する。供給元電力システムは、太陽光発電機や風力発電機などの発電機を備え得る。
電力制御システムは、電力供給元における発電機や非常用発電機の発電量、負荷の電力消費量、蓄電池の蓄電量及び放電量、電力需要家へ給電した電力量と、電力需要家における負荷の電力消費量などの状態情報をリアルタイムに収集し、過去に収集したこれらの時系列の状態情報を実績情報として記憶する。さらに、電力制御システムは、外部から天候(気温、湿度)や、調整力取引市場等における市場取引価格などの情報を定期的に受信し、受信した情報と受信時刻とを対応付けて記憶する。
電力制御システムは、過去、現在及び予測の発電機の発電量と、過去、現在及び予測の天候条件の情報のうち少なくとも一部の情報に基づいて、予測対象時間の発電予測をリアルタイムに行う。また、電力制御システムは、電力供給元における過去、現在及び予測の状態情報と、停止可能負荷タイムテーブルと、過去、現在及び予測の天候の情報と、予測対象時間の時間帯、曜日、季節等との情報のうち少なくとも一部の情報を用いて、任意の予測技術により、電力供給元における非常時の負荷容量をリアルタイムに予測する。さらに、電力制御システムは、電力需要家における過去、現在及び予測の状態情報と、停止可能負荷タイムテーブルと、過去、現在及び予測の天候の情報と、予測対象時間の時間帯、曜日、季節等との情報のうち少なくとも一部の情報を用いて、電力需要家における非常時の負荷容量をリアルタイムに予測する。
電力制御システムは、これらの予測に基づいて、非常時に必要な蓄電容量(以下、「非常時必要分」とも記載する。)を算出し、さらに、蓄電池の定格の又は実際に蓄電している蓄電池容量のうち非常時必要分の蓄電容量を超えた余剰の蓄電容量(以下、「余裕分」とも記載する。)の予測をリアルタイムに算出する。このとき、電力制御システムは、供給元電力システムの保守者の位置情報に基づいて、保守者が電力供給元のビルに到着するまでの時間を算出する。電力制御システムは、保守者が到着するまでの時間において電力供給元及び電力需要家に供給が必要な電力量を算出し、算出した電力量については非常時必要分に加える。
常時において、電力制御システムは、余裕分の蓄電容量を放電可能な電力量として、第5の実施形態と同様の制御を行ってコストを最適化するように蓄電池の充放電をリアルタイムで制御し、省エネ・省コストに有効に活用する。また、非常時において、電力制御システムは、第4の実施形態と同様に非常時必要分の蓄電容量を制御し、最適な電力需要家への供給を行う。このような制御により、本実施形態の電力制御システムは、蓄電池の容量管理を最適化する。
図13は、本実施形態による電力制御システム17の構成を示す機能ブロック図であり、本実施形態と関係する機能ブロックのみを抽出して示してある。同図において、図5に示す第4の実施形態による装置と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。電力制御システム17は、1以上の供給元電力システム25と、1以上の需要家電力システム35と、保守者の位置を管理する保守者位置管理装置47と、供給元電力システム25及び需要家電力システム35を制御する制御装置48とを有する。制御装置48は、第1の実施形態の制御装置40、第2の実施形態の制御装置41、又は、第3の実施形態の制御装置42に相当する。なお、保守者位置管理装置47と制御装置48とを統合した装置としてもよい。
保守者位置管理装置47は、受信部471、保守者管理情報記憶部472、保守者位置情報取得部473、駆付予測時間算定部474及び通知部475を備える。
受信部471は、保守者が保有する通信端末61から保守者の現在位置を示す保守者位置情報を受信する。保守者管理情報記憶部472は、各保守者の保守者位置情報及び保守者アドレス情報と、電力需要家のビルに駆付可能な又は駆付不可の保守者の情報を記憶する。保守者位置情報は、保守者の位置を示す。保守者アドレス情報は、メールアドレスや、通信端末61の電話番号など、保守者へ通知を行うときに使用するアドレスを示す。
保守者位置情報取得部473は、保守者管理情報記憶部472から駆付可能な保守者の位置情報を取得する。駆付予測時間算定部474は、保守者位置情報取得部473が取得した保守者の位置情報に基づいて、保守者が現在位置から、担当する電力需要家のビルへ到着するまでにかかる予測の時間である駆付予測時間を算出する。駆付予測時間算定部474は、電力需要家のビルごとに、そのビルに駆付可能な保守者の中から最も駆付予測時間が短い保守者を選択する。駆付予測時間算定部474は、電力需要家のビルごとに、選択された保守者の駆付予測時間を制御装置48に通知する。
通知部475は、電力供給元又は電力需要家のビルに停電が発生した旨の通知を受信した場合、停電が発生した電力供給元のビル又は停電が発生した電力需要家のビルに電力供給を行う電力供給元のビルについて選択された保守者の保守者アドレス情報を保守者管理情報記憶部472から読み出す。通知部475は、読み出した保守者アドレス情報を宛先として、電力供給元のビルに駆付けるよう保守者に指示する旨の情報を送信する。
制御装置48は、情報収集部481、情報記憶部482及び制御部483を備える。情報記憶部482は、第1〜第3の実施形態の情報記憶部402、412、422に相当し、情報収集部481は、第1〜第3の実施形態の情報収集部401、411、421に相当する。制御部483は、第1〜第3の実施形態の制御部403、413、423に相当する。
情報収集部481は、供給元電力システム25、需要家電力システム35から状態情報を収集し、外部の装置から天候(気温、湿度)の情報や、調整力取引市場等における市場取引価格等の情報を取得する。情報記憶部482は、各種情報を記憶する。情報記憶部482は、情報収集部481が収集した状態情報を、情報の収集時刻と対応付けた実績情報を記憶する。また、情報記憶部482は、天候、市場取引価格等の情報を、情報の収集時刻と対応付けて外部収集情報として記憶する。情報記憶部482は、さらに設定情報を記憶する。設定情報は、蓄電装置256の定格の蓄電容量、電力供給元の負荷装置257及び電力需要家の負荷装置353それぞれの優先度及び定格電力消費量、停止可能負荷タイムテーブル、各電力需要家の優先度、各電力需要家の非常時の供給要求電力などを含む。
制御部483は、放電可能時間算定部484、放電実施時間取得部485、指示部486及び省コスト効果算出部489を備える。放電可能時間算定部484は、駆付予測時間と、非常時の応急復旧の対応に必要な時間とを合計した復旧予測時間を算出する。さらに、放電可能時間算定部484は、情報記憶部482に記憶される設定情報と、情報収集部481が取得した又は情報記憶部482に記憶される過去、現在及び予測の状態情報及び天候などの情報と、予測対象時間の時間帯、曜日、季節等の情報とのうち少なくとも一部の情報を用いて、任意の予測技術により、電力供給元のビルにおける負荷装置257と、その電力供給元から電力の供給を受ける電力需要家のビルにおける負荷装置353の非常時の予測電力消費量及び常時の予測電力消費量を算出する。放電可能時間算定部484は、非常時の予測電力消費量を復旧予測時間分使用したときの電力量である非常時必要分の蓄電容量を算出する。放電可能時間算定部484は、電力供給元の供給元電力システム25が備える蓄電装置256の定格の蓄電池容量(又は現在の蓄電池容量)から、非常時必要分の蓄電容量を減算した値、又は、その値から所定のマージンを除いた値を余裕分の蓄電容量として算出する。放電可能時間算定部484は、この余裕分の蓄電容量から、常時の予測電力消費量を供給することができる時間である放電可能時間を算出する。
放電実施時間取得部485は、電力供給元の供給元電力システム25が蓄電装置256から放電を行った時間である放電実施時間をリアルタイムで取得する。
指示部486は、供給元電力システム25や需要家電力システム35を制御するための指令を送信する。指示部486は、放電指示部487及び充電指示部488を備える。放電指示部487は、省コスト効果がある時間に応じて、蓄電装置256からの放電の指令を供給元電力システム25に送信する。充電指示部488は、蓄電装置256が放電可能時間分の放電を行った後、省コスト効果がある時間に応じて、蓄電装置256の充電の指令を供給元電力システム25に送信する。
省コスト効果算出部489は、供給元電力システム25の蓄電装置256の充放電を制御したことによる省コストの効果を算出する。
図14は、電力制御システム17における保守者リアルタイム位置情報と連動した蓄電池マネジメントの例を説明するための図である。
保守者は、スマートホンなどの可搬の通信端末61を携帯している。通信端末61は、現在位置の情報を取得する位置情報取得部として、GPS(Global Positioning System)を備えている。通信端末61は、一定時間毎に現在位置を示す位置情報を保守者位置管理装置47に通知する。保守者位置管理装置47は、各保守者の通信端末61から受信した位置情報に基づいて、電力供給元のビルに各保守者が到着するまでにかかると予想される時間である駆付予測時間を随時リアルタイムに算出し、管理する。
制御装置48は、駆付予測時間と、非常時の応急復旧の対応に必要な時間とを合計した復旧予測時間を算出する。さらに、制御装置48は、電力供給元のビル及び電力需要家のビルそれぞれにおける非常時及び常時における予測電力消費量を算出する。制御装置48は、電力供給元のビルに設置される蓄電池(蓄電装置256)の蓄電池容量から、非常時の予測電力消費量を復旧予測時間分使用するための非常時必要分の蓄電容量を除いた残りである余裕分の蓄電容量を算出する。制御装置48は、余裕分の蓄電容量から、常時の予測電力消費量を供給することができる時間である放電可能時間を算出する。
例えば、非常時の応急復旧の対応に必要な時間が1時間であり、非常時の予測電力消費量が常時の予測電力消費量の100%であるとする。また、蓄電池容量から、予測の電力消費量を3時間分供給可能であるとする。保守者が、電力供給元のビル内にいる場合、駆付予測時間は0又は0に近い状態であり、復旧予測時間は1時間となるため、放電可能時間は2時間である。一方、保守者が、自宅等にいるために、駆付予測時間が1.5時間である場合、復旧予測時間は2.5時間であり、放電可能時間は0.5時間となる。
制御装置48は、各電力供給元のビルの各蓄電池の放電可能時間をリアルタイムに算出する。制御装置48は、省コスト効果がある時間を判断し、その時間に蓄電池からの放電の指令を供給元電力システム25に発出し、放電可能時間に達するまで放電を行うよう制御する。供給元電力システム25は、制御装置48からの指令に基づいて蓄電池からの放電を行い、負荷装置257に供給するか、放電電力を需要家電力システム35に供給するか、小売電気事業者等に売電するか、調整力取引市場等に売電する。制御装置48は、蓄電池の充放電を制御したことによる省コスト効果を算出し、算出結果を蓄積する。
図15は、電力制御システム17における保守者リアルタイム位置情報と連動した蓄電池マネジメント処理を示すフロー図である。
保守者位置管理装置47の受信部471は、各保守者の通信端末61から定期的に保守者位置情報を受信し、保守者管理情報記憶部472に書き込んでいる。また、作業実施中などで駆付不可である保守者は、通信端末61により駆付不可の旨を保守者位置管理装置47に通知する。受信部471は、駆付不可を通知した保守者の情報を保守者管理情報記憶部472に書き込む。駆付不可の通知後、駆付可能となった場合、保守者は、通信端末61により駆付不可の解除を保守者位置管理装置47に通知する。受信部471は、保守者管理情報記憶部472が記憶する駆付不可の保守者の情報から、駆付可能を通知した保守者の情報を削除する。
保守者位置管理装置47の保守者位置情報取得部473は、保守者管理情報記憶部472から駆付不可の情報が登録されている保守者を除く、駆付可能な保守者の位置情報を取得する(ステップS205)。駆付予測時間算定部474は、保守者位置情報取得部473が取得した各保守者の位置情報に基づいて、その保守者が担当する電力需要家のビルへの駆付予測時間を算定する(ステップS210)。具体的には、駆付予測時間は、保守者の位置情報と電力需要家の各ビルの位置情報とから算出される距離、及び、移動手段(車、電車、自転車等)、各時間帯における道路混雑状況、電車時刻表等に基づいて算定される。駆付予測時間算定部474は、電力需要家のビルごとに、そのビルに駆付可能な保守者の中から最も駆付予測時間が短い保守者を選択する。駆付予測時間算定部474は、電力需要家のビルごとに、そのビルについて選択された保守者の駆付予測時間を制御装置48に通知する。保守者位置管理装置47は、ステップS205〜ステップS210の処理を、所定の周期毎、位置情報の受信毎など、随時行う。
電力制御システム17は、ステップS215以降の処理を、電力需要家のビルごとに行う。まず、制御装置48の放電可能時間算定部484は、電力需要家のビルの供給元電力システム25が備える蓄電装置256の放電可能時間を算出する(ステップS215)。例えば、蓄電装置256の蓄電容量が、設計負荷の負荷容量を3時間供給可能であり、非常時は、常時の100%の負荷容量を供給するものとする。放電可能時間算定部484は、第4の実施形態の制御部483と同様に、現在時刻から所定時間先までの電力供給元と、その電力供給元の電力供給先である電力需要家とについて、予測の実負荷容量(電力需要量)を算出する。現在時刻から6時間は実負荷が設計負荷の50%であると予測した場合、放電可能時間算定部484は、蓄電装置256の蓄電容量は6時間分であると判断する。放電可能時間算定部484は、この6時間分から、駆付予測時間と所定の復旧作業時間(例えば、1時間)とを加算した時間を減算し、放電可能時間とする。制御装置48は、ステップS215の処理を、例えば、保守者位置管理装置47から駆付予測時間を受信する度に行うなど、放電可能時間を随時算出する。
放電指示部487は、電力供給元のビルにおいて、もっとも省コスト効果がある時間に合わせて、蓄電装置256から、ステップS215において算出した放電可能時間分の放電を行うよう供給元電力システム25に指示する(ステップS220)。例えば、放電指示部487は、第5の実施形態と同様に、放電によるピークカット、ピークシフトおよび外部向けの調整力活用等、電力供給元のビルにおける電気料金削減もしくは外部との電力取引における金銭的メリットが最大となる時間帯を予測し、放電を実施する。
供給元電力システム25の給電制御装置251は、制御装置48からの指示に従って、蓄電装置256からの放電を開始する(ステップS225)。蓄電装置256からの放電電力を負荷装置257へ供給する場合、給電制御装置251は、変換装置253が蓄電装置256から放電された電力を負荷装置257に供給するよう制御する。なお、蓄電装置256から放電される電力が負荷装置257の消費電力に満たない場合、給電制御装置251は、受変電装置252が交流系統網511から受電を行うよう制御する。
また、放電電力を小売電気事業者等に売電する、もしくは調整力取引市場等に売電する場合、給電制御装置251は、変換装置253が蓄電装置256から放電された電力を受変電装置252に送電し、受変電装置252が交流系統網511へ送電するよう制御する。
また、放電電力を需要家電力システム35に供給する場合、給電制御装置251は、蓄電装置256から放電された電力を、変換装置253が交流に変換して受変電装置252へ送電し、受変電装置252が交流系統網511又は自営線網512へ送電するよう制御するか、変換装置253が直流のまま自営線521へ送電するよう制御するか、あるいは、その両方を行うよう制御してもよい。需要家電力システム35は、制御装置46からの指示に従い、蓄電装置256から放電された電力を、受変電装置351により交流系統網511又は自営線網512から、変換装置352により自営線521から受電し、負荷装置353に供給する。
供給元電力システム25の給電制御装置251は、放電実施時間を制御装置48に随時通知する(ステップS230)。制御装置48の放電実施時間取得部485は、供給元電力システム25から通知された放電実施時間の情報を受信する(ステップS235)。放電実施時間取得部485は、受信した放電実施時間が、放電可能時間に達したか否かを判断する(ステップS240)。ステップS215の処理は随時行わるため、駆付可能な保守者がビルから離れるなどした場合、放電可能時間は更新される。よって、比較には、最新の放電可能時間を用いる。放電実施時間取得部485は、放電実施時間が放電可能時間に達していないと判断した場合、ステップS235からの処理を繰り返す。
そして、放電実施時間取得部485が、放電実施時間は放電可能時間に達したと判断すると、充電指示部488は、供給元電力システム25に放電終了を指示する(ステップS245)。自営線網512を介して需要家電力システム35に蓄電電力を供給していた場合、制御装置48の充電指示部488は、さらに、需要家電力システム35に、受変電装置351を自営線網512から交流系統網511へ切替え、受変電装置351による自営線521からの受電を停止するよう制御する。
供給元電力システム25の給電制御装置251は、制御装置48からの指示に従って、蓄電装置256からの放電を終了し、受変電装置252における交流系統網511からの受電を開始し、変換装置253における自営線521への送電を停止するよう制御する(ステップS250)。給電制御装置251は、蓄電装置256からの放電終了を制御装置48に通知する(ステップS255)。
制御装置48の充電指示部488は、供給元電力システム25から放電終了の通知を受信する(ステップS260)。充電指示部488は、蓄電装置256からの放電を終了した供給元電力システム25に対して、最も省コスト効果がある時間に合わせて蓄電装置256の充電開始を指示する(ステップS265)。例えば、充電指示部488は、電力供給元のビルの電力受給契約において電力料金が最も安くなる時間帯(例えば、夜間10時〜朝8時など)を予測し、充電の実施を指示する。供給元電力システム25の給電制御装置251は、制御装置48からの指示に基づいて、蓄電装置256の充電を開始する(ステップS270)。給電制御装置251は、蓄電装置256の充電が完了すると、充電終了を制御装置48に通知する(ステップS275)。
制御装置48の充電指示部488が充電完了を受信すると(ステップS280)、省コスト効果算出部489は、供給元電力システム25において蓄電装置256の放電により低減したコストと、蓄電装置256の充電にかかったコストの差分を算出する。例えば、省コスト効果算出部489は、情報記憶部482から、供給元電力システム25において蓄電装置256が放電した時間と、充電した時間の電気料金タリフを読み出す。省コスト効果算出部489は、蓄電装置256が放電した電力量と放電時の電気料金タリフとから、節約できた電気料金を算出し、蓄電装置256が充電した電力量と、充電時の電気料金タリフから、充電にかかった電気料金を算出する。省コスト効果算出部489は、それら電気料金の差をコスト差分とし、情報記憶部482に蓄積する(ステップS285)。売電を行った場合、省コスト効果算出部489は、売電を行ったときの市場取引価格の情報と、放電した電力量とから売電の価格を算出し、コスト差分に加算する。
なお、電力供給元のビルにおいて停電が発生した場合は供給元電力システム25の給電制御装置251が、電力需要家のビルにおいて停電が発生した場合は需要家電力システム35の受変電装置351が、制御装置48を介して、又は、直接、保守者位置管理装置47に停電通知を送信する。保守者位置管理装置47は、停電が発生した電力需要家のビルについて選択した保守者の通信端末61に対して、電力需要家のビルへの駆付指示を発信する。通信端末61は、保守者位置管理装置47から受信した駆付指示を表示し、保守者は、表示された駆付指示を確認する。制御装置48は、第4の実施形態と同様の処理により、供給元電力システム25から需要家電力システム35へ電力供給を行うよう制御する。
本実施形態によれば、1つの蓄電池を非常時用と常時用の両方に活用することができる。すなわち、制御装置48は、現時点で停電になった場合の非常時必要分の蓄電容量をリアルタイムで算出し、放電可能な余裕の蓄電容量をコスト最適化に活用する。また、電力供給元と電力需要家を、1対多又は多対多とすることで、1つの電力供給元の予備電源を複数の電力需要家で共有して使用することができるため、電力制御システム全体として予備電源の数を抑えることができる。
以上説明した実施形態によれば、電力制御システム(例えば、電力制御システム15、17)は、電力供給元の供給元電力システム(例えば、供給元電力システム25)と、電力需要家の需要家電力システム(例えば、需要家電力システム35)と、制御装置(例えば、制御装置45、48)とを有する。供給元電力システムは、蓄電及び放電を行う蓄電装置(例えば、蓄電装置256)と、商用電力の受電と、蓄電装置が放電した電力の需要家電力システムへの供給とを制御する給電制御部(例えば、給電制御装置251)とを備える。需要家電力システムは、商用電力と供給元電力システムから供給された電力とを受電する受電部(例えば、受変電装置351、変換装置352)と、受電部が受電した電力を電力需要家の負荷に供給する配電部(例えば、変換装置352)とを備える。制御装置は、商用電力の停電発生時である非常時に、需要家電力システムにおける予測の電力需要量に基づく放電量の電力を蓄電装置から放電して需要家電力システムに供給するよう給電制御部に指示する制御部(例えば、制御部453、483)を備える。
給電制御部は、商用電力及び蓄電装置が放電した電力の電力供給元の負荷への供給をさらに制御し、制御部は、非常時に、需要家電力システム及び供給元電力システムにおける予測の電力需要量に基づく放電量の電力を蓄電装置から放電し、需要家電力システムと電力供給元の負荷(例えば、負荷装置257)とに供給するよう給電制御部に指示してもよい。また、制御部は、蓄電装置から供給可能な電力量が予測の電力需要量に満たない場合に、負荷の一部への電力供給を制限するよう制御してもよい。
電力制御システムが複数の供給元電力システムを有する場合、制御部は、複数の供給元電力システムそれぞれの蓄電装置から供給可能な電力量と、1以上の需要家電力システムそれぞれにおける予測の電力需要量とに基づいて、需要家電力システムそれぞれに電力を供給する供給元電力システムを決定してもよい。
なお、制御部は、蓄電装置からの電力の供給先となる需要家電力システムが複数あり、かつ、蓄電装置から供給可能な電力量が供給先の予測の電力需要量の合計に満たない場合に、蓄電装置が放電した電力を、需要家電力システムの優先度に基づいて選択された需要家電力システムへ供給するよう制御してもよい。また、制御部は、蓄電装置から供給可能な電力量が供給先の予測の電力需要量の合計に満たない場合に、需要家電力システムの供給要求電力の優先度及び予測の電力需要量に基づいて需要家電力システムへの電力供給量を決定し、蓄電装置が放電した電力を決定した電力供給量に従って需要家電力システムへ供給するよう制御してもよい。
また、制御部は、商用電力の停電の発生がない常時に、蓄電装置に蓄電された電力量のうち非常時必要分の電力量を確保した上での余剰の電力を、需要家電力システムと電力供給元の負荷との少なくとも一方に供給する、又は、売電のための電力網に送電するよう給電制御部に指示してもよい。制御部は、非常時必要分の電力量を、所定の情報に基づいて算出してもよい。例えば、制御部は、予測の電力需要量と、保守者が電力需要家のビルなど、供給元電力システムの場所に移動するためにかかる予測時間とに基づいて、非常時必要分の電力量を算出する。
本実施形態により、商用電源を利用する電力需要家の省エネルギー・省コスト、BCPに関する負担を軽減しながら、予備電源の利用を可能とする。
上述した実施形態における制御装置40、41、42、45、46、48、保守者位置管理装置47の機能をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、これらの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
上記事情に鑑み、本発明は、商用電源を利用する電力需要家の省エネルギー・省コスト、BCPに関する負担を軽減しながら予備電源の利用を可能とする電力制御システム、供給元電力システム、制御装置及び電力制御方法を提供することを目的としている。
本発明の一態様は、電力供給元の供給元電力システムと、電力需要家の需要家電力システムと、制御装置とを有する電力制御システムであって、前記供給元電力システムは、蓄電及び放電を行う蓄電装置と、商用電力の受電と、前記蓄電装置が放電した電力の前記需要家電力システムへの供給とを制御する給電制御部とを備え、前記需要家電力システムは、商用電力と前記供給元電力システムから供給される電力とを受電する受電部と、前記受電部が受電した電力を前記電力需要家の負荷に供給する配電部とを備え、前記制御装置は、商用電力の停電発生時に、前記需要家電力システムにおける予測の電力需要量に基づく電力を前記蓄電装置から放電して前記需要家電力システムに供給するよう前記給電制御部に指示する制御部を備え、前記制御部は、商用電力の停電の発生がない常時に、前記蓄電装置に蓄電された電力量のうち非常時必要分の電力量を確保した上での余剰の電力を、前記需要家電力システムと前記電力供給元の負荷との少なくとも一方に供給する、又は、売電のための電力網に送電するよう前記給電制御部に指示し、前記制御部は、前記予測の電力需要量に基づく電力と、保守者が前記供給元電力システムの場所に移動するためにかかる予測時間とに基づいて、前記非常時必要分の電力量を算出する。
また、本発明の一態様は、上述の電力制御システムであって、前記給電制御部は、商用電力及び前記蓄電装置が放電した電力の前記電力供給元の負荷への供給をさらに制御し、前記制御部は、商用電力の停電発生時に、前記需要家電力システム及び前記供給元電力システムにおける予測の電力需要量に基づく電力を前記蓄電装置から放電し、前記需要家電力システムと前記電力供給元の負荷とに供給するよう前記給電制御部に指示する。
本発明の一態様は、電力供給元の供給元電力システムと、電力需要家の需要家電力システムと、制御装置とを有する電力制御システムにおける前記供給元電力システムであって、蓄電及び放電を行う蓄電装置と、商用電力の受電と、前記蓄電装置が放電した電力の前記需要家電力システムへの供給とを制御する給電制御部と、を備え、前記給電制御部は、前記制御装置からの指示に従って、商用電力の停電発生時に、前記需要家電力システムにおける予測の電力需要量に基づく電力を前記蓄電装置から放電して前記需要家電力システムに供給するよう制御し、前記給電制御部は、前記制御装置からの指示に従って、商用電力の停電の発生がない常時に、前記蓄電装置に蓄電された電力量のうち非常時必要分の電力量を確保した上での余剰の電力を、前記需要家電力システムと前記電力供給元の負荷との少なくとも一方に供給する、又は、売電のための電力網に送電するよう制御し、前記非常時必要分の電力量は、前記予測の電力需要量に基づく電力と、保守者が前記供給元電力システムの場所に移動するためにかかる予測時間とに基づいて算出される。
また、本発明の一態様は、電力供給元の供給元電力システムと、電力需要家の需要家電力システムと、制御装置とを有する電力制御システムにおける前記制御装置であって、商用電力の停電発生時に、前記需要家電力システムにおける予測の電力需要量に基づく電力を、蓄電及び放電を行う蓄電装置から放電して前記需要家電力システムに供給するよう前記供給元電力システムに指示する制御部、を備え、前記制御部は、商用電力の停電の発生がない常時に、前記蓄電装置に蓄電された電力量のうち非常時必要分の電力量を確保した上での余剰の電力を、前記需要家電力システムと前記電力供給元の負荷との少なくとも一方に供給する、又は、売電のための電力網に送電するよう前記供給元電力システムに指示し、前記制御部は、前記予測の電力需要量に基づく電力と、保守者が前記供給元電力システムの場所に移動するためにかかる予測時間とに基づいて、前記非常時必要分の電力量を算出する。
また、本発明の一態様は、電力供給元の供給元電力システムと、電力需要家の需要家電力システムと、制御装置とを有する電力制御システムにおいて実行される電力制御方法であって、前記供給元電力システムが、商用電力の受電と、蓄電及び放電を行う蓄電装置が放電した電力の前記需要家電力システムへの供給とを制御する給電制御ステップと、前記需要家電力システムが、商用電力と前記供給元電力システムから供給される電力とを受電し、受電した電力を前記電力需要家の負荷に供給する受電ステップと、を有し、前記給電制御ステップにおいては、商用電力の停電発生時に、前記制御装置からの指示に従って、前記需要家電力システムにおける予測の電力需要量に基づく電力を前記蓄電装置から放電して前記需要家電力システムに供給するよう制御し、前記給電制御ステップにおいては、商用電力の停電の発生がない常時に、前記制御装置からの指示に従って、前記蓄電装置に蓄電された電力量のうち非常時必要分の電力量を確保した上での余剰の電力を、前記需要家電力システムと前記電力供給元の負荷との少なくとも一方に供給する、又は、売電のための電力網に送電するよう制御し、前記非常時必要分の電力量は、前記予測の電力需要量に基づく電力と、保守者が前記供給元電力システムの場所に移動するためにかかる予測時間とに基づいて算出される。