JP2019033082A - X線円管及び該x線円管を含むx線機器 - Google Patents

X線円管及び該x線円管を含むx線機器 Download PDF

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Abstract

【課題】コンパクトで携帯し易く、高電圧源を必要とせず、現場で使用するX線円管、およびX線機器を提供する。【解決手段】X放射線によって対象物を照射するX線円管であって、円形体及び互いに擦り合い、それによりX放射線の摩擦発光源を形成する少なくとも2つの摩擦要素を含む、X線円管。一方の摩擦要素は、X線管の円形体の外周側に配置される少なくとも1つの円周要素3を含み、他方の摩擦要素は、円周要素3に対して押圧される少なくとも1つの圧力要素4を含み、その際該圧力要素4は、円周要素3上を引摺るように適合され、及び/又は少なくとも1つの円周要素3は、圧力要素4の下で引出されるよう適合される。X線機器は、X線円管及び電離放射線の撮像用検出器7を利用する。【選択図】図5a

Description

本発明は、X放射線を生成するためのX線円管、及びX線画像を得るためにX線円管を装着されるX線機器に関する。
X放射線は、高エネルギ電子の相互作用によって生成される電磁放射線の一種である。高エネルギ電子の相互作用は、自然環境において見られる、又は人工的に発生できる。一般に、X放射線を生成する目的で使用される機器は、X線管と呼ばれる。
高エネルギ電子の相互作用中にX放射線の形でエネルギを放出することは、自然の法則に従うが、高エネルギ電子を個々のX線管内で相互作用させるように準備する際の拠り所となる原理は、異なることがある。
既知のX線管は、電動X線管を含む。このX線管の最も単純なバージョンは、2個の電極、即ち陰極及び陽極を含み、両電極は、減圧下で気密のガラスバルブ内に設置されている。電極は、高電圧源に接続され、該電圧源は、陰極から放出され、高エネルギを有する両極間の電場によって加速される電子を提供する。かかる高エネルギ電子が陽極に衝突すると、電子は、陽極の材料を貫通する。かかる貫通中に、電子のエネルギは、陽極材料によって吸収され、次に、成分がX放射線を含む制動放射線の形で放出される。陽極は、通常、正方形又は長方形をした金属ターゲットの形で設計される。
標準的なX線管の欠点は、X線管が、高電圧源に接続されねばならない点にある。かかるX線管の「その場(in situ)での」展開は、この点によって大幅に制限される。他の欠点の中には、製造がかなり高価な点、X線管が、現場操作で必ずしも排除できるとは限らない手荒な取扱いに対して影響を受け易い点がある。
他のX線管の中には、所謂、摩擦発光X線管と呼ばれるものがある。これらのX線管は、摩擦発光から必要な高エネルギを得る電子によってX放射線を生成する。摩擦発光は、その最中に電荷が摩擦又は結晶格子の変形によって得られ、蓄積された電荷が、高エネルギ電子に変換される形で、放電される物理的現象である。摩擦発光X線管の一例としては、例えば、米国特許出願第2013/0336460A1号(特許文献1)(Carlos Camara及びMark G. Valentine)で開示されたX線の摩擦源に関する発明がある。この発明は、電動X線管の主な欠点の一つ、即ち、高電圧源に依存する点に取組んでいる。登録された発明によるX線管は、摩擦ヘッドを転回する駆動部を含む。摩擦ヘッドは、摩擦ベルトを擦り、それにより、摩擦発光作用を引起す。摩擦ヘッド及び摩擦ベルトは、減圧の環境に位置する。
上記の既知のX線管に関する共通の欠点としては、対象物をX放射線と整列させた場合、対象物の片側だけが照射される点が挙げられる。対象物を全周に沿って照射することが必要な場合、対象物は、静止して取付けられたX線管周りに回転されねばならない、或いはX線管は、静的に取付けられた対象物周りに移動しなければならない。特に、CTスキャンとして知られる方法、及びその後の対象物の内部構造に関する三次元モデルの再構築は、多くの異なる角度から撮られた大きなX線画像セットを必要とする。X線画像は、X放射線検出器によって得られるが、該検出器は、X線管の位置から見た場合、対象物の後方に配置され、対象物から出るX放射線と整列して存在する。X線管−検出器対を移動する必要性は、要求水準が高く(demanding)、高価な機械的ソリューションを要求する。これは、測定速度を遅くし、それ以上に、対象物又はX線管の運動が、X線画像セットにおける間違いを招き、そうした間違いは、補償される必要があり、補償されなければ、結果として得られる三次元モデルの品質を妥協することになる。従って、X線管の回転運動を最小化するのが望ましい。
かかる回転運動の最小化は、例えば、対象物周りに配置されるX線管群を展開することによって解決される。かかる解決方法の例は、米国特許出願第2016/0166223A1号(Guy M. Besson)(特許文献2)に開示されている。上記発明は、X線管又は対象物の回転運動をうまく解決しているが、該発明の欠点は、その設計が、適切な支持枠を必要とし、複雑で、特に静止した場所で展開するのに適している点にある。X線管の列を利用するこの発明は、運搬も難しい高電圧源を必要とする。
X線管又は対象物の回転運動は、米国特許第4158142B号(Jacob Haimson)(特許文献3)で取上げられている。この発明は、電子光学素子によって、対象物のあらゆる面に導かれ、走査されるX放射線を出射する静的なX線管を開示している。電子光学素子は、X線ビームを、照射対象物の全周に沿った任意の場所で精確に合焦し、それにより、この機器からのX線画像を、極めて精確なものにし、測定を極めて迅速にする。この発明の欠点は、特に、電子光学素子の取得費用が極めて高い点、機器全体の構築に関する要求水準が高い点、提示された機器の、対象物を挿入するための深さが限定的である、つまり深さが、長尺の対象物には適当でない点にある。他の欠点の中には、提示された機器が、携帯用でなく、静止した場所に適している点がある。
CTスキャンの方法及び対象物の内部構造に関する三次元モデルの再構築によって課される必要条件は、上記発明によって、大部分満たされるが、依然として、これら既知の発明の広範な展開を制限する幾つかの欠点が存在する。かかる欠点としては、特に、高い取得費用、空間及びエネルギ源に課される必要条件、空間的要求、及び丁寧に取扱う必要性が挙げられる。
米国特許出願第2013/0336460 A1号 米国特許出願第2016/0166223 A1号 米国特許第4158142 B号
本発明の課題は、X放射線を生成するX線円管、及びX線画像を取得するために該X線円管を装着されるX線機器を製造することである。本発明の設計により、本発明は、対象物をそのあらゆる面から照射可能にし、コンパクトで、携帯し易く、使い易く、高電圧源を必要とせず、静止した場所以外で展開するよう設計されたX線機器で使用するのに適する、特に、現場で使用するよう設計されたX線機器で使用するのに適するであろう。本発明による機器は、360°一回転運動する必要はなくなり、それにより設計が大幅に簡素化されるであろう。本発明によるX線円管は、現在既知のX線管と比較すると手荒な取扱いに対して耐性があり、その取得費用は、低いであろう。
設定した目標は、以下の発明によるX線円管の設計によって、解決された。
摩擦発光作用により生成されるX放射線によって対象物を照射するのに使用されるX線円管は、少なくとも2つの摩擦要素を有する円形体を含み、該摩擦要素は、互いに擦れ、X放射線の摩擦発光源を形成する。
本発明の核心は、一つ目の摩擦要素が、X線管の円形体の外周側に配置される少なくとも1つの円周要素を含むことにある。二つ目の摩擦要素は、円周要素に対して押圧される少なくとも1つの圧力要素を含み、その際圧力要素は、円周要素上で引摺るように適合される、及び/又は少なくとも1つの円周要素は、圧力要素の下で引出されるように適合される。X放射線を生成するには、円周要素上で圧力要素を引摺り可能にする、又は圧力要素の下で円周要素を引出し可能にする摩擦発光作用の存在を提供する必要がある。摩擦発光作用を利用する利点は、電圧とは関係なく、ロバストな設計のX線管で、及び該要素の簡単な交換で、摩擦を生成できる点である。好適には、円形体は、支持も提供し、X放射線源を、360°の全域内で照射可能にする。
本発明によるX線円管の好適な実施形態では、円形体は、少なくとも1つの電離放射線の遮蔽体を装着され、その際該遮蔽体は、X放射線の経路を遮蔽しないための少なくとも1つの開口部を備える。X放射線が、摩擦発光源から全方向で空間に拡散することを考慮すると、所望するビームを形成するために、不所望な拡散を遮蔽し、X放射線をコリメートする必要がある。好適には、X放射線の所望するビームは、制御された方法で調節できる遮蔽体にある開口部の位置を使用して、及び該開口部の大きさの制御された変化を使用して、コリメートされ、合焦される。
本発明によるX線円管の好適な実施形態では、遮蔽体は、円形体に対して移動できる。遮蔽体が円形体に対して可動な場合、例えば、遮蔽体を回転することによって、X放射線入射側を変更できる、又は遮蔽体を僅かにシフトすることによって、例えばCT用途の画像セットを取得するのに使用できる照射方向の異なるセットを取得できる。
本発明によるX線円管の好適な実施形態では、円周要素は、自由端が巻取スプールに固着される少なくとも1本の摩擦ベルトを含む。摩擦ベルトにより、圧力要素は、静的設計を有することができ、ベルトを使用することで、ベルトの全長に応じて、円周要素の耐用年数が長くなる。ベルトは、新しいベルトと容易に交換でき、且つ巻取スプールを駆動させるという解決方法は、円周要素に沿って回転する圧力要素を駆動させる、又は圧力要素の下にある円周要素の回転運動を駆動させる解決方法と比べて、設計に関して、簡単である。円形体の外側に配置される摩擦ベルト及び巻取スプールを使用することで、円形体に関するX線管の設計における可動部品数が減少し、それにより円形体の機械的損傷に対する耐性が向上する。摩擦ベルトを使用することで、摩擦発光作用が、高速で生成可能になり、それによりX放射線の品質が、例えば、X放射線の強度変動を除くことによって、向上する。
本発明によるX線円管の好適な実施形態では、円形体は、少なくとも2片に開閉可能又は分解可能である。円形体を中断でき、その結果、X線円管は、パイプライン等の長尺物に設置できる。
また、本発明は、X線画像を得るためにX線機器を含む。
対象物のX線画像を取得するX線機器は、上記発明に従い設計されたX線円管を含み、該X線円管は、摩擦発光作用中に出射されるX放射線によって対象物を照射するのに使用され、その際該対象物は、照射対象物の位置決め領域に配置される。照射対象物の位置決め領域は、X線円管の円形体によって画定された空間内、又は円形体によって画定された空間の下、又は該空間の上に位置する。また、X線機器は、少なくとも1個の電離放射線の検出器を含む。
本発明の核心は、少なくとも1個の電離放射線の検出器が、平面的で衝突検出面を有し、X線円管の円形体によって画定された空間内、又は円形体によって画定された空間の下/上に配置される点にある。検出器は、照射対象物の位置決め領域と位置合せされ、検出器の衝突検出面は、照射対象物の位置決め領域と対面する。
X線機器は、360°の全域内の任意の位置から対象物のX線画像を取得するのに使用できる。必要前提条件は、検出器が、照射対象物の位置決め領域の後方で位置合せされること、及び衝突検出面が、照射対象物の位置決め領域と対面することである。X線機器により、対象物の内部構造をモデル化するための広範な画像セットが、取得できる。X線ビームは、あらゆる方向に広がり、従って、検出器を、円形体によって画定された空間の下又は上どちらかに配置できる。好適には、X放射線は、平坦な照射対象物のX線ラミノグラフィに使用できる。
本発明によるX線機器の好適な実施形態では、少なくとも3個の検出器が、円形の平面図に略倣った多角形の検出野を形成するよう配置される。検出野を形成する検出器の数は、多角形の度合いに影響を与える。使用される検出器の数が少ない場合、個々の検出器間には間隙が存在し、隣接する検出器の衝突検出面同士で、特有の角度を形成する。検出野の利点は、検出器を移動する必要がない、即ち、検出器は静止でき、それにより取得される画像の品質を妥協する片方の作動回転を排除する点である。
本発明によるX線機器の好適な実施形態では、X放射線を遮蔽するために、少なくとも1個の検出器は、格子電極を装着される。所与の検出器の衝突検出面と対向して配置された必要な放射線源からとは別の角度から来るX放射線は、検出を歪め、画像の判読性を低下させ、対象物のX線スキャンに悪影響を与える。格子電極は、衝突検出面に鋭角で当るX放射線を吸収し、該吸収によって、画像検出器の画素における偽信号が排除される。
本発明によるX線機器の好適な実施形態では、少なくとも1個の検出器は、該検出器の衝突検出面の角度調節のために傾斜する。特に、X線管の円形体によって画定された空間の上又は下に配置された検出器の場合、検出器の衝突検出面に入射するX放射線の角度を補償する必要がある。検出器の傾斜は、この問題の簡単で十分機能する解決方法である。
本発明によるX線機器の好適な実施形態では、X線機器は、摩擦発光源からX放射線の直接衝突から検出器の少なくとも1つの衝突検出面を遮蔽する副遮蔽体を装着される。散乱及び蛍光X放射線の画像をX線機器に取得させるために、検出器の衝突検出面は、要求される画像を歪める可能性がある直接X放射線の衝突に対して保護されなければならない。
本発明によるX線機器の好適な実施形態では、X線機器は、対象物周りにX線円管を回転運動するための少なくとも1つの手段を装着され、該機器は、検出器を含み、その際、検出器とX線円管は、互いに対して固着される、又は該機器は、対象物の位置決め領域内で対象物を回転運動するための少なくとも1つの手段を装着される。対象物の内部構造を正確にモデル化するには、広範な画像セットが必要であり、一定数の照射角度で、対象物を角度変位又は検出器を有するX線円管を角度変位することで、照射角度を変化させ、それにより新たな画像によって要求される画像セットを更に拡張してもよい。
本発明によるX線機器の好適な実施形態では、X線機器は、対象物周りにX線円管を回転運動するための少なくとも1つの手段を装着される。検出器の円は、静止されており、X線円管は、試料及び検出器に対して回転する。対象物の内部構造を正確にモデル化するには、広範な画像セットが必要であり、一定数の照射角度で、対象物を角度変位又はX線円管を角度変位することで、照射角度を変化させ、それにより新たな画像によって要求される画像セットを更に拡張してもよい。
本発明の利点としては、360°の全域内で対象物に照射する摩擦発光作用を使用する点、高電圧でない点、本発明のコンパクト性、機械的損傷に耐えられる設計、修理が容易である点、作動回転の範囲を縮小する点及び/又は作動回転を排除する点、X放射線による標準的な照射に使用できる点、X線ラミノグラフィに使用できる点、透過形コンピュータ断層撮影法とも組合せて散乱及び蛍光X放射線の分析に使用できる点が、挙げられる。本発明は、現場での作業中に展開するのに適しており、長尺の対象物を照射するのに理想的である。
本発明について、以下の図面を用いて詳細に説明される。
X線ラミノグラフィに対する本発明の使用に関する模式図を示している。 1つの圧力要素だけを有する本発明の模式図の平面図を示している。 1つの圧力要素だけを有する本発明の模式図の側面図を示している。 3つの圧力要素及び回転遮蔽体を有する本発明の模式図の平面図を示している。 3つの圧力要素及び回転遮蔽体を有する本発明の模式図の側面図を示している。 不均等に離間した圧力要素を有する本発明の模式図を示している。 回転圧力要素及び回転遮蔽体を有する本発明の模式図の平面図を示している。 回転圧力要素及び回転遮蔽体を有する本発明の模式図の側面図を示している。 回転圧力要素及び静止遮蔽体を有する本発明の模式図の側面図を示している。 不所望な入射角度を有するX線ビームを遮蔽するために格子電極を装着された検出器を有する本発明の模式図を示している。 幅広な遮蔽コリメーション開口部、及び不所望な入射角度を有するX線ビームを遮蔽するために格子電極を装着された検出器を有する本発明の模式図の平面図を示している。 幅広な遮蔽コリメーション開口部、及び不所望な入射角度を有するX線ビームを遮蔽するために格子電極を装着された検出器を有する本発明の模式図の側面図を示している。 圧力要素の下で巻取スプールに巻着され、引出される摩擦ベルトを含む円周要素を有する本発明の模式図を示している。 巻取スプールに巻着される摩擦ベルトを含む円周要素及び可動圧力要素を有する本発明の模式図の平面図を示している。 巻取スプールに巻着される摩擦ベルトを含む円周要素及び可動圧力要素を有する本発明の模式図の側面図を示している。 副遮蔽体を装着される本発明の使用に関する模式図を示している。 分割されたX線円管を有する本発明の模式図を示している。 2つの圧力要素を有する本発明の模式図を示している。
以下で記述及び図示される本発明の実施形態の特定の事例は、説明目的のみで提供されるものであり、本発明を本明細書で提供される実施例に限定するものではないと、理解されるべきである。当業者は、本明細書に記載される本発明の特定の実施形態に対する、より多数の又はより少数の均等物を見出すであろう、或いは日常の経験に基づいて、提供できるであろう。また、かかる均等物も、以下の特許請求の範囲に含まれるものとする。
図1は、X線ラミノグラフィに使用できるX線円管を有するX線機器の適用例の模式図を示している。平坦な照射対象物1、例えば、複合板が、X線円管の下に位置決めされており、該X線円管の円形体2のみが、模式図中で視認できる。X線円管は、照射対象物1に衝突するX線ビームを出射する。照射対象物1の下には、X線ビームが照射対象物1を貫通して、その衝突検出面に当る電離放射線の撮像用検出器7が、設けられている。撮像用検出器7は、例えば、TimePixブランドで知られるモデルとすることができる。
X線ビームは、X線円管によって可能になる360°の全域内で徐々に放射され、その結果、X放射線が照射対象物1の露出部分を通過する。X線ラミノグラフィの結果は、当業者に既知の方法で取得された画像のセットから評価されるが、既知の方法は、本発明の実施形態の例を説明するのに、詳述される必要はない。
図2a及び図2bは、X線ビームを遮蔽していない状態のX線円管を有するX線機器の実施形態の一例の模式図を提供している。図面をより明瞭にするために、円形体2は、設けられていない。例えば、プラスチック材料片から成る円周要素3は、円形体2によって支持される、或いは、適宜、円形体2に組込まれる。例えば、タングステンから製造される圧力要素4は、円周要素3上で引摺られる。11個の検出器7は、間隙がない多角円形の検出野を形成し、それにより、圧力要素4の回転に伴い、円形体2が1回転する毎に、11枚の直接X線画像を取得可能である。検出野は、図2bで示されたように、円形体2によって画定された空間の下に配置される。検出器7は、衝突検出面へのX放射線の入射を向上するために、X線ビームに対して傾斜できる。
図面で提供されない変形例2では、複数の圧力要素4が、同時に円周要素3上で引摺られ、その結果、圧力要素4が回転する毎にn*11枚の画像を得られるが、その際nは、圧力要素4の実際の数に置換えたものである。圧力要素4の数は、同時に出射する摩擦発光源の数が多いほど、X線画像が歪むため、無制限には増大できない。
図3a及び図3bは、X線ビームを遮蔽体5によってコリメートした状態のX線円管を有するX線機器の実施形態の一例の模式図を提供している。図面をより明瞭にするために、円形体2は、設けられておらず、遮蔽体5のみが、図面では設けられている。遮蔽体5は、例えば鉛から成る。模式図では、遮蔽体5に3つの開口部を示しており、該3開口部は、3つの隣接する圧力要素4からのX線ビームをコリメートする。圧力要素4は、互いに規則的な距離を有する。検出器7は、実施例2と同様に採用される。
遮蔽体5は、回転圧力要素4と共に回転し、そのため遮蔽体5の開口部は、圧力要素4と対応する。X線ビームのコリメーションは、X線画像の歪みを取除く。
図4は、実施例3とは異なり、圧力要素4と共に回転しない複数のコリメータ(遮蔽体5にある開口部)が採用されているX線機器の一実施形態の模式図を示している。圧力要素4及び/又はコリメータは、規則的な相互距離にある必要はない。相互距離が異なるため、各圧力要素4は、照射対象物1に対して異なる照射角度を有する。検出器7は、個々の検出器7間に間隙を有して、不規則な方法で検出野に配置できる。遮蔽体5の開口部と検出器7との相互位置は、隣接するX放射線源によって取得される画像の干渉を最小化する方法で、選択される。
図4で提供されたX線機器では、複数の角度から断層撮影の投影物を取得するために、システム全体が、限定された範囲の角度内で回転できる。
図5a及び図5bは、遮蔽体5の開口部と圧力要素4を同時に回転運動させるために、X線円管が圧力要素4及び回転遮蔽体5を装着されるX線機器の一実施形態を提供している。検出野は、11個の検出器7を、最小間隔で、含む。図5aは、円形体2によって画定された空間に配置された検出器7を貫通するX放射線のビームを示している。検出器7は、シリコン系であり、従って、X放射線のビームを通過する検出器7の作用は、最小限である。
照射が、検出器7を通過するX放射線を含まなければ、図5bで示されるように、X線円管の円形体2によって画定される空間の下に、X線機器の検出野を配置できる。
図6は、X線円管が、円周要素3に沿って配置される多数の圧力要素4を有する、X線機器の一実施形態の模式図を示している。圧力要素4は、円周要素3周りに回転する。X線円管は、静止した11のコリメーション開口部を有する遮蔽体5を装着される。X線円管は、検出野に配置される11個の検出器7を装着されるX線機器において使用される。
圧力要素4は、回転を開始し、圧力要素4が遮蔽体5の開口部を通過すると必ず、ビームからX放射線の閃光が生成される。単位時間当たり同時に11枚の画像を取得可能である。当業者は、X線円管におけるコリメーション開口部の数及びX線機器の検出野における検出器7の数を容易に調節できる。多数の圧力要素4及び該圧力要素4の回転運動の速度は、単位時間当たりの画像数に影響を与える。
照射角度の数を増やすには、対象物1は、回転しなければならない、又は検出器7を有するX線円管は、対象物1の周りに、X線機器内で回転しなければならない。
図7は、X線円管が、実施例6とは異なり、遮蔽体5のより幅広なコリメーション開口部を装着される、X線機器の図式的な実施形態を示している。このX線円管を利用するX線機器は、検出器7を装着され、該検出器7の衝突検出面は、不所望な角度で検出器7の衝突検出面に当るX放射線のビームを遮蔽するために、格子電極8を備える。検出野は、遮蔽体5のコリメーション開口部に隣接する検出器7間の間隙を含み、それによりX放射線のビームが、照射対象物1へと自由に通過可能になる。検出野は、円形体2によって画定される空間内に配置される。
照射角度の数を増大するには、対象物1は、回転しなければならない、或いは検出器7を有するX線円管は、対象物1の周りに、X線機器内で回転しなければならない。
図8a及び図8bは、実施例7で提供されたX線機器から派生したX線機器の一実施形態の模式図を示している。本発明のこの実施形態の主な相違点は、検出野が、円形体2によって画定される空間の下に配置される点にある。検出器7は、遮蔽体5の開口部から来るX放射線のビームを遮蔽しないため、検出器7間には、全く間隙を設けない。
図9は、X線円管が、2個の巻取スプール6によって巻戻される摩擦ベルトを含む円周要素3を有するX線機器の一実施形態の模式図を示している。巻取スプール6は、例えば、該スプールのドラム内に、電気モータに基づく駆動部を備えてもよい。巻取スプール6に巻着する前に摩擦ベルト3を引張るための引張ピン10が、円周要素3に配置される。摩擦ベルトは、可撓性のプラスチック材料製で、圧力要素4が押圧されるその接触面は、滑り摩擦係数を増大させる微粒子を装着されている。
図示された本発明の実施形態は、全ての圧力要素4によって共有される摩擦ベルトを示している。しかしながら、X線円管に、各圧力要素4に対して、要素自体の巻取スプール6を有する別々の摩擦ベルトを備えることができる。
X線機器の検出野は、X放射線のビームの妨害されない経路を確保するために、各検出器7間に間隙を有する。
X線画像を取得する際に照射角度を変えるために、照射対象物1を回転できる、又は限定された角度範囲内にある角度だけ、対象物周りにX線機器を転回できる。
図10a及び図10bは、X線円管が、2個の巻取スプール6によって巻戻される摩擦ベルトを含む円周要素3を有するX線機器の一実施形態の模式図を示している。実施例9との相違点は、検出器7の位置が、X放射線源2を有する平面の外側にある点であり、これについては、図10bを参照されたい。これにより、X放射線源の限定的な回転運動で、より広い範囲の投射角度を得られるであろう。円周要素3、圧力要素4及び、遮蔽体5のコリメーション開口部を含む摩擦ベルトは、検出器7に対して、ある角度だけ転回する。X線画像を取得する際に照射角度を変えるのに、照射対象物1を回転することも可能である。
図11は、X放射線のダイレクトビームを遮蔽するために、副遮蔽体9を装着されるX線機器の一実施形態の模式図を示している。副遮蔽体9は、コリメーション開口部を備え、それにより検出器7への散乱X放射線及び蛍光X放射線の通過を可能にする。また、副遮蔽体9は、照射対象物1を貫通して検出器7に向かうX放射線のダイレクトビームを通過させるための開口部を装着される。この配置により、透過モード(標準的なCT)と、散乱及び/又は蛍光放射線、及び暗箱の技術を使用して画像を作成するモードの両方で測定可能になる。3撮像モード全てからの情報は、結合できる。
副遮蔽体9は、X線管に対して静止しており、機器全体が、対象物1に対して回転する、又は対象物1が、X線機器に対して回転する。
図12は、X線円管が、分割境界11に従い2つの半体に分割可能であるX線機器の図式的な実施形態を示している。X線円管の各半体は、巻取スプール6に巻着される摩擦ベルトの形で、それ自体の円周要素3を装着される。
図13は、X線円管が、2本の摩擦ベルトの形をした2つの円周要素3を装着されるX線機器の一実施形態の模式図を示している。各円周要素3は、それ自体の巻取スプール6を有する。
圧力要素4は、遮蔽体5のコリメーション開口部に位置する張力点を形成し、該張力点では、引出された下円周要素3が、摩耗から圧力要素4を保護するバリアを形成する上円周要素3に対して擦れる。
上記実施例全てに、対象物1を回転運動する手段は、当業者にとって技術的に実現可能な課題を表す調節可能なテーブル、又は、適宜、ハンドリングアームとすることができると言える。X線機器において運動を実行する手段は、例えば、回転動作がギヤ又はベルトによって、X線機器の可動部品に伝達される電気モータである。
当業者が、上記実施例の選択されたパラメータから、本発明の他の実施形態同士を組合せるかも知れないことは、明白である。
本発明によるX線円管及び、該X線円管を有するX線機器は、産業における、特に品質管理のための研究開発の分野に、及び公衆衛生分野にも適用されるであろう。
1 対象物
2 円形体
3 円周要素
4 圧力要素
5 遮蔽体
6 巻取スプール
7 電離放射線検出器
8 検出器の格子電極
9 副遮蔽体
10 引張ピン
11 分割境界

Claims (13)

  1. 摩擦発光作用中に生成されるX放射線によって対象物(1)を照射するX線円管であり、該X線円管は、円形体(2)、及びX放射線の摩擦発光源を形成する、互いに擦れる少なくとも2つの摩擦要素を含むX線円管であって、前記摩擦要素の一方は、前記X線円管の前記円形体(2)の外周側に配置される少なくとも1つの円周要素(3)を含み、もう一方の摩擦要素は、前記円周要素(3)に対して押圧される少なくとも1つの圧力要素(4)を含み、その際前記圧力要素(4)は、前記円周要素(3)上で引摺るよう適合され、及び/又は少なくとも1つの円周要素(3)は、前記圧力要素(4)の下で引出されるよう適合されることを特徴とする、X線円管。
  2. 前記円形体(2)は、少なくとも1つの電離放射線の遮蔽体(5)を装着され、前記遮蔽体(5)は、X放射線の経路を遮蔽しないための少なくとも1つの開口部を備えることを特徴とする、請求項1に記載のX線円管。
  3. 前記円形体(2)に対する前記遮蔽体(5)の前記開口部の位置、及び/又は前記遮蔽体(5)の前記開口部の大きさは、制御された方法で調節可能であることを特徴とする、請求項2に記載のX線円管。
  4. 前記遮蔽体(5)は、前記円形体(2)に対して可動であることを特徴とする、請求項2又は請求項3に記載のX線円管。
  5. 前記円周要素(3)は、自由端が巻取スプール(6)に固着される少なくとも1本の摩擦ベルトを含むことを特徴とする、請求項1〜請求項4の何れか一項に記載のX線円管。
  6. 前記円形体(2)は、開閉可能である、又は少なくとも2個の部品に分解可能であることを特徴とする、請求項1〜請求項5の何れか一項に記載のX線円管。
  7. 対象物(1)のX線画像を取得するためのX線機器であり、該機器は、X放射線によって前記対象物(1)を照射するための請求項1〜請求項6の何れか一項に記載のX線円管であって、前記放射線が、前記X線円管の前記円形体(2)によって画定される空間内に、又は前記円形体(2)によって画定される該空間の下に又は該空間の上に見られる前記対象物(1)の位置決め領域に配置されるX線円管と、少なくとも1個の電離放射線の検出器(7)とを含むX線機器であって、前記電離放射線の検出器(7)は、平面的で衝突検出面を有し、前記X線円管の前記円形体(2)によって画定される空間内に、及び/又は前記円形体(2)によって画定される該空間の下に又は該空間の上に配置され、その際前記検出器(7)は、照射する前記対象物(1)の位置決め領域の後方で、前記対象物(1)の位置決め領域と対向する前記検出器の衝突検出面と位置合せされることを特徴とする、X線機器。
  8. 少なくとも3個の検出器(7)は、前記円形体(2)の平面図に倣った多角形の検出野を形成するよう配置されることを特徴とする、請求項7に記載のX線機器。
  9. 少なくとも1個の検出器(7)は、間接的に衝突するX放射線を遮蔽する格子電極(8)を装着されることを特徴とする、請求項7又は請求項8に記載のX線機器。
  10. 少なくとも1個の検出器(7)は、該検出器の衝突検出面の角度調節のために傾斜することを特徴とする、請求項7〜請求項9の何れか一項に記載のX線機器。
  11. 前記X線機器は、前記検出器(7)の少なくとも1つの衝突検出面を、前記摩擦発光源からの前記X放射線の直接衝突から遮蔽するために、遮蔽体(9)を備えることを特徴とする、請求項7〜請求項10の何れか一項に記載のX線機器。
  12. 前記X線機器は、前記X線管及び前記検出器(7)を前記対象物(1)周りに回転運動するための少なくとも1つの手段を装着され、その際前記検出器(7)は、前記X線円管に対して固着される、又は前記X線機器は、前記照射対象物(1)の位置決め領域において前記対象物(1)を回転運動するための少なくとも1つの手段を装着されることを特徴とする、請求項7〜請求項11の何れか一項に記載のX線機器。
  13. 前記X線機器は、前記X線管を前記対象物(1)周りに回転運動するための少なくとも1つの手段を装着され、その際前記検出器(7)は、円内に配置され、固着されており、その際前記X線円管は、前記対象物(1)及び前記検出器(7)に対して回転することを特徴とする、請求項7〜請求項11の何れか一項に記載のX線機器。
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