以下では、図面とともに本発明の実施の形態について詳述する。以下では、携帯型の電子時計に本発明を適用した場合について説明する。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態の電子時計1の一例を示す平面図であり、図2は、電子時計1の回路構成を概略的に示す図である。電子時計1は、アナログ表示方式の電子時計である。電子時計1は、文字板51と、時針52aと、分針52bと、秒針52cと、モータ制御部2と、ステップモータ20と、図示しない輪列と、図示しない電源と、を含む。ステップモータ20は、いわゆる2コイルステップモータである。ステップモータ20は輪列に機械的に接続されている。モータ制御部2は、パルス切替制御部3と、ステップ数設定部4と、ステップカウント部5と、波形生成部6と、セレクタ9と、ドライバ回路10と、回転検出回路11とを含む。モータ制御部2は、例えばマイクロコントローラを含む集積回路として実装されている。電源は例えば二次電池を含む。波形生成部6は、先頭駆動パルス発生回路61、第1後続駆動パルス発生回路62、第2後続駆動パルス発生回路63、検出パルス発生回路66を含む。波形生成部6には図示しない発振回路からのクロック信号が入力される。
先頭駆動パルス発生回路61は、ステップモータ20を駆動するための先頭駆動パルスSP30を生成し出力する。第1後続駆動パルス発生回路62は、ステップモータ20を駆動するための第1後続駆動パルスSP40を生成し出力する。第2後続駆動パルス発生回路63は、ステップモータ20を駆動するための第2後続駆動パルスSP41を生成し出力する。検出パルス発生回路66は、回転の検出のための検出パルスCPを生成し出力する。先頭駆動パルスSP30、第1後続駆動パルスSP40、第2後続駆動パルスSP41(以下では総称して「駆動パルス」と記載する)のそれぞれは、後述するドライバ回路10に含まれる4つのバッファ回路を制御して駆動波形O1〜O4(駆動信号)を出力させる。駆動パルスおよび検出パルスCPのそれぞれは、例えば4ビットで構成される。先頭駆動パルスSP30、第1後続駆動パルスSP40、第2後続駆動パルスSP41、検出パルスCPのそれぞれの詳細については後述する。
ステップカウント部5は、ステップモータ20の駆動に応じて、指針の現在位置を示すカウンタscの値を増減させる。ステップ数設定部4は、ステップカウント部5が用いるカウンタscの初期値sc0を設定する。
パルス切替制御部3は、早送りの際に、指針の現在位置を示すカウンタscの値に応じて、セレクタ9から出力される駆動パルスを切り替えるための切替信号を出力する。
セレクタ9には、先頭駆動パルスSP30、第1後続駆動パルスSP40、第2後続駆動パルスSP41、検出パルスCPが入力される。そして、セレクタ9は、パルス切替制御部3から入力される切替信号に基づいて、先頭駆動パルスSP30、第1後続駆動パルスSP40、第2後続駆動パルスSP41、検出パルスCPのいずれか1つを出力する。
ドライバ回路10には、セレクタ9から、先頭駆動パルスSP30、第1後続駆動パルスSP40、第2後続駆動パルスSP41、検出パルスCPのいずれかが入力される。ドライバ回路10は、入力された駆動パルスに応じた駆動波形O1〜O4(駆動信号)をステップモータ20のコイルA、コイルBに供給し、ステップモータ20を駆動するか、または検出パルスCPに応じてコイルA、コイルBに生じた逆起電流を回転検出回路11に入力させる。なお、ドライバ回路10の詳細な構成は後述する。
ステップモータ20は、コイルA、コイルBの二つのコイルを有している。ステップモータ20は、例えば、電子時計1の秒針52cを駆動するために配置される。ステップモータ20の詳細を以下に記載する。
図3は、ステップモータ20の構成を示す平面図である。ステップモータ20は、ロータ21、ステータ22、二つのコイルA、コイルBなどによって構成される。ロータ21は2極磁化された円盤状の回転体であり、径方向にN極、S極が着磁されている。
ステータ22は、軟磁性材によって成り、ロータ21が挿入されるロータ穴22dが設けられ、このロータ穴22dにロータ21が配置されている。ステータ22は、ロータ21をはさんで対向する第1磁極部22aと第2磁極部22bとを有する。また、ステータ22は、第1磁極部22aと第2磁極部22bの間にあってロータ21に向き合う位置に、第3磁極部22cを有する。
また、第1磁極部22aと第3磁極部22cに磁気的に結合する第1のコイルとしてのコイルAと、第2磁極部22bと第3磁極部22cに磁気的に結合する第2のコイルとしてのコイルBが設けられている。コイルA,Bの少なくとも一方が励磁されると、ステータ22に磁力が伝達される。また、第1磁極部22a、第2磁極部22b、第3磁極部22cは、ロータ21に磁界を印加する。
コイルAは絶縁基板23a上にコイル端子O1,O2を有しており、コイルAの巻線の両端が接続されている。また、コイルBは絶縁基板23b上にコイル端子O3,O4を有しており、コイルBの巻線の両端が接続されている。各コイル端子O1〜O4は、それぞれ配線によりドライバ回路10に接続されている。この各コイル端子O1〜O4に、前述したドライバ回路10から出力される駆動波形O1〜O4が、配線を経てそれぞれ供給される。
なお、説明の容易のため、各コイル端子と供給される各駆動波形の符号を共通にしている。また、本実施形態の一例では、コイル端子O1がコイルAの巻始めに、コイル端子O4がコイルBの巻始めに接続されている。
また、ロータ21は静止状態において、例えば図3の位置にある。以下では、図面の上方を0度と規定し、その位置から反時計回りに90度、180度、270度と規定する。ロータ21は、N極が0度に位置するときと、180度に位置するときが最終的に静止する安定位置(静的安定点)である。図3で示すロータ21は、N極が安定位置0度にある。
ロータ21をはさんで第3磁極部22cの反対側となる、第1磁極部22aと第2磁極部22bの間には、ステータ22の幅が狭くなる狭窄部25が設けられる。また、ロータ21の中心から見て、第3磁極部22cの方向と、左右おおむね75度をなす位置にスリット24が設けられる。スリット24により、第1磁極部22aと第3磁極部22c、第2磁極部22bと第3磁極部22cが直接磁気的に接続されない。なお、このスリット24は、ここで示したように間隙であってもよいし、細幅の非磁性材料をスリット24の位置に挿入し、ステータ22と結合させたものであってもよい。また、スリット24の代わりに、スリット24の位置にステータ22の幅が狭くなる領域が設けられてもよい。
狭窄部25及びスリット24により、ロータ21の回転により誘起される誘起電流をコイルA、Bを用いて検出する際の検出感度が高まる。ステップモータ20に駆動信号が与えられ回転している間およびロータ21の慣性により自由回転している間において、電磁誘導によりステータ22に発生する磁気は、磁気抵抗の大きい狭窄部25及びスリット24を通過しにくくなり、磁気の大部分がコイルA又はコイルBを通過する経路をとるからである。なお、回転検出と検出パルスCPとの関係については後述する。
図4は、ドライバ回路10の構成の一例を示す回路図である。ドライバ回路10は、ステップモータ20のコイルA、コイルBに駆動波形O1〜O4を供給する4つのバッファ回路によって構成される。
この4つのバッファ回路の構成を説明すると、まず、低ON抵抗のPチャンネルMOSトランジスタであるトランジスタP1と、低ON抵抗のNチャンネルMOSトランジスタであるトランジスタN1と、のコンプリメンタリ接続からなるバッファ回路が、駆動波形O1を出力し、出力された駆動波形O1はコイルAのコイル端子O1に供給される。
また同様に、それぞれ低ON抵抗のトランジスタP2とトランジスタN2とのコンプリメンタリ接続からなるバッファ回路が、駆動波形O2を出力し、出力された駆動波形O2はコイルAのコイル端子O2に供給される。
また同様に、それぞれ低ON抵抗のトランジスタP3とトランジスタN3とのコンプリメンタリ接続からなるバッファ回路が、駆動波形O3を出力し、出力された駆動波形O3はコイルBのコイル端子O3に供給される。
また同様に、それぞれ低ON抵抗のトランジスタP4とトランジスタN4とのコンプリメンタリ接続からなるバッファ回路が、駆動波形O4を出力し、出力された駆動波形O4はコイルBのコイル端子O4に供給される。
各トランジスタP1〜P4、N1〜N4のそれぞれのゲート端子Gには、図示しないが、セレクタ9から出力された駆動パルスが入力される。各トランジスタは入力された駆動パルスに基づいてON/OFF制御され、駆動波形O1〜O4が出力される。ここで、駆動パルスが前述したように4ビットで構成された場合は、その4つのビットが、4つのバッファ回路のトランジスタのゲート端子Gにそれぞれ入力される。そして、駆動パルスのそれぞれに応じた駆動波形O1〜O4が、ステップモータ20に供給される。なお、ステップモータ20の回転の際には、ドライバ回路10に先頭駆動パルスSP30が入力され、それに続いて第1後続駆動パルスSP40または第2後続駆動パルスSP41が入力される。
コイルAのコイル端子O1、O2に対しては、それぞれ検出抵抗を介してPチャンネルMOSトランジスタであるトランジスタTP1及びTP2がそれぞれ接続され、コイルBのコイル端子O3、O4に対しては、それぞれ検出抵抗を介してPチャンネルMOSトランジスタであるトランジスタTP3及びTP4がそれぞれ接続される。トランジスタTP1〜TP4に対しては、検出パルスCPが出力され、それにより得られた検出信号CSは回転検出回路11に入力される。
すなわち、検出パルスCPにより、所定のタイミングで図4に示されるトランジスタTP1〜TP4をONとすることで、各トランジスタに対応するコイル端子O1〜O4に発生する誘起電流の大きさを電圧信号である検出信号CSとして取り出すことができる。回転検出回路11は、検出信号CSに基づいて、ロータ21の回転及び非回転の判定を行い、判定結果CKを例えばパルス切替制御部3へ出力する。
図5は、ステップモータ20のロータ21の回転と非回転の検出手法を説明する図である。図5(a)は、ロータ21が非回転、すなわち、ステップモータ20に駆動信号が印加されたにもかかわらず、ロータ21が所望の角度回転せず、回転に失敗した場合を示している。この場合、駆動信号が入力され、ロータ21が反時計回りにいったん回転するが、駆動力が不足しているためロータ21が保持トルクにより時計回りに逆回転して初期位置である0度に戻されてしまう。この場合は最終的にロータ21はなんら回転しなかったこととなるので、これを非回転と称する。同図中、ある駆動信号が出力されている期間におけるロータ21の回転は破線で示している。
図5(b)はロータ21が回転、すなわち、印加された駆動信号によりロータ21が所望の角度回転して、回転に成功した場合である。この場合、駆動信号が入力され、ロータ21が反時計回りにある一定角度以上回転することにより、駆動信号の入力停止後も、さらに保持トルクにより反時計回りに回転し、1ステップの回転目標位置である180度まで回転する。この場合は、最終的にロータ21は1ステップ分の目標回転位置まで回転したこととなるので、これを回転と称する。
このように、ロータ21が回転の場合と非回転の場合とでは、駆動信号出力後のロータ21の挙動が異なり、そのため、コイルA、コイルBに発生する誘起電流の波形も異なる。この波形の違いを検出パルスCPにより、検出信号CSとして取り出し、回転検出回路11はロータ21の回転/非回転を判定している。誘起電流の波形の検出の詳細については後述する。
[ステップモータに入力される第1および第2単位駆動信号の概要]
次に、ステップモータ20を用いて早送りする際の駆動方式について説明する。以下の説明では、ステップモータ20に対して、1つの第1単位駆動信号D1または第2単位駆動信号D2が入力された場合に、ロータ21が1回転する場合の例について説明する。この例では、早送りの場合には回転の単位が360度となる。本実施形態では詳細を説明しないが、例えば秒針52cが時刻を指している状態の駆動では回転の単位が180度であってもよい。
図6は、第1単位駆動信号D1および第2単位駆動信号D2の波形の一例を示す図である。以下では、第1単位駆動信号D1および第2単位駆動信号D2を総称して単位駆動信号と記載する。早送りの際には、図6に示されるように、モータ制御部2は、複数の単位駆動信号を順次出力する際に、第1単位駆動信号D1および第2単位駆動信号D2のいずれかを選択的にステップモータ20へ出力する。またモータ制御部2が複数の単位駆動信号を順次出力する場合、その複数の単位駆動信号は、第1単位駆動信号D1と第2単位駆動信号D2とを含む。またモータ制御部2は、少なくとも最後の単位駆動信号として第2単位駆動信号D2を出力する。図6の例では、モータ制御部2は、はじめから最後の1つ前までの単位駆動信号として第1単位駆動信号D1を出力する。
ここで、単位駆動信号は、ロータ21を回転の単位だけ(ここでは360度)回転させる信号であり、ロータ21のN極を1周させて安定位置まで回転させる信号である。第1単位駆動信号D1によれば第1単位駆動信号D1が供給された後かつロータ21が安定位置に達した際の回転速度が速く、第2単位駆動信号D2によれば第2単位駆動信号D2が供給された後かつロータ21が安定位置に達した際の回転速度が遅い。なお、単位駆動信号は、ある安定位置からいずれかの安定位置まで回転させる信号であればよく、例えば180度または540度だけロータ21を回転させる信号であってもよい。
第1単位駆動信号D1のそれぞれは、先頭駆動パルスSP30とそれに続く第1後続駆動パルスSP40とがドライバ回路10に入力されることで出力される。また第2単位駆動信号D2のそれぞれは、先頭駆動パルスSP30とそれに続く第2後続駆動パルスSP41とがドライバ回路10に入力されることで出力される。検出パルスCPのそれぞれは、先頭駆動パルスSP30が出力される期間内に所定の時間ごとに出力され、図6の例では検出パルスCPに応じてコイル端子O3の電位が変化している。図6の例では、先頭駆動パルスSP30、第1後続駆動パルスSP40、第2単位駆動信号D2が出力される期間のそれぞれにおいて、検出パルスCPが出力される期間を除いてコイル端子O1〜O3に印加される電位がほぼ一定となっているが、実際にはそれぞれの期間においてトランジスタが複数回ONOFFされる、いわゆるチョッパ制御が行われ、複数の電位が所定のデューティ比で出力されてもよい。
図7は、モータ制御部2の処理の一例を示すフロー図であり、第1単位駆動信号D1と第2単位駆動信号D2との出力を切り替えるための処理を説明する図である。モータ制御部2の処理は、プロセッサおよびメモリを有するマイクロコントローラがメモリに格納されたプログラムを実行することによって提供されてもよいし、プログラム可能な論理回路により提供されてもよい。また、マイクロコントローラやプログラム可能な論理回路は集積回路として提供されてよい。
はじめに、モータ制御部2は、指針の現在位置と、指針の目標位置とを取得する(ステップS101)。例えば、モータ制御部2の処理対象が秒針52cである場合は、秒針52cが文字板51でどの秒の位置を指しているかを示す情報と、どの秒の位置を目標とするかを示す情報とを取得する。目標位置を示す値は、現在時刻を指すために早送りをする場合は現在時刻に応じた指針の位置を示す値であり、指針により時刻と異なる情報を提示する場合には、その情報が示す指針の位置を示す値である。
次に、モータ制御部2に含まれるステップ数設定部4は、カウンタscの初期値sc0を設定する(ステップS102)。ダウンカウンタを用いる場合、カウンタscの初期値sc0は現在位置から目標位置へ移動するために必要なステップ数である。また、この時点における目標位置を示す目標ステップ値soは0になる。カウンタscの初期値sc0は他の値であってもよい。例えば、アップカウンタを用いる場合には、カウンタscの初期値sc0は0や現在位置を示すステップ値などでよい。この場合には、ステップ数設定部4は早送りの終了条件として目標ステップ値soを設定する。目標ステップ値soは、目標位置を示す値であり、例えばダウンカウンタにおけるカウンタscの初期値sc0と同じ手法で求められてもよい。
カウンタscの初期値sc0が設定されると、指針を早送りするための繰り返し処理が実行される。繰り返し処理では、はじめに、カウンタscの値と目標ステップ値soとの差が1つの回転単位(360度)に相当する(2以下である)か判定する(ステップS103)。
差が1つの回転単位に相当しない場合、つまり次の単位駆動信号が最終の単位駆動信号ではない場合には(ステップS103のN)、パルス切替制御部3は切替信号としてSP30選択信号を出力し(ステップS104)、さらにSP30選択信号が必要な期間出力された後に、SP40選択信号を出力する(ステップS105)。これにより、モータ制御部2のドライバ回路10は第1単位駆動信号D1を出力する。
一方、差が1つの回転単位に相当する場合、つまり次の単位駆動信号が最終の単位駆動信号となる場合には(ステップS103のY)、パルス切替制御部3は切替信号としてSP30選択信号を出力し(ステップS106)、さらにSP30選択信号が必要な期間出力された後に、SP41選択信号を出力する(ステップS107)。これにより、モータ制御部2のドライバ回路10は第2単位駆動信号D2を出力する。
SP40選択信号またはSP41選択信号が出力されると、ステップカウント部5はカウンタscを2減らす(ステップS108)。ここでは、カウンタscの変化量は、単位駆動パルスにより指針などの駆動体が動くステップの数に対応している。
そして、モータ制御部2はカウンタscの値と目標ステップ値soとを比較する(ステップS109)。カウンタscの値と目標ステップ値soとが等しくない場合には(ステップS109のN)、ステップS103以降の処理が繰り返される。一方、カウンタscの値と目標ステップ値soとが等しい場合には(ステップS109のY)、早送りを制御する処理が終了する。図7に示される処理により、ドライバ回路10から先頭から最終の1つ前までの単位駆動信号として第1単位駆動信号D1が出力され、最終の単位駆動信号として第2単位駆動信号D2が出力される。
[第1単位駆動信号によるステップモータの回転の概要]
次に、第1単位駆動信号D1によりステップモータ20が回転する動作の概要について説明する。図8は、第1単位駆動信号D1とトランジスタの動作の関係を概略的に説明する図である。図9は、第1単位駆動信号D1によるステップモータ20の動作の一例を示す図である。
図8(a)は、図6に示される波形が単純化されたものである。図8(a)は先頭駆動パルスSP30および第1後続駆動パルスSP40により、ステップモータ20のロータ21のN極を安定位置0度(図3参照)から正転方向(反時計回り)に360度単位で回転駆動する場合の駆動波形O1〜O4の一例を示す。
図8(a)において、先頭駆動パルスSP30として第1駆動パルスSP11が出力され、その後、第1後続駆動パルスSP40に含まれる第2駆動パルスSP12、第3駆動パルスSP13が順次出力される。ここで、第1駆動パルスSP11、第2駆動パルスSP12、第3駆動パルスSP13はそれぞれロータ21をある位置まで回転させるためだけのパルスであり、駆動波形O1〜O4の電位またはデューティ比が一定である。以下では、第1駆動パルスSP11、第2駆動パルスSP12、第3駆動パルスSP13を総称して部分パルスと記載する。ここで、第1駆動パルスSP11、第2駆動パルスSP12、第3駆動パルスSP13によりドライバ回路10が出力する信号を、それぞれ第1部分信号、第2部分信号、第3部分信号とよぶ。
第1駆動パルスSP11が供給されると、駆動波形O3が電圧−Vであり、他の駆動波形O1、O2、O4は電圧0Vである。これにより、駆動波形O3とO4に接続されるステップモータ20のコイルBに駆動電流が流れて励磁される。
また、第2駆動パルスSP12が供給されると、駆動波形O2、O4が電圧−Vであり、駆動波形O1、O3が電圧0Vである。これにより、ステップモータ20のコイルA、コイルBの両方に駆動電流が流れて、両方のコイルA、コイルBが励磁される。
また、第3駆動パルスSP13が供給されると、駆動波形O1、O4が電圧−Vであり、他の駆動波形O2、O3は電圧0Vである。これにより、ステップモータ20のコイルBが第2駆動パルスSP12と同じ方向に励磁され、コイルAが第2駆動パルスSP12と反対の方向に励磁される。
また、第1〜第3駆動パルスSP11〜SP13のそれぞれのパルス幅は任意である。また、駆動波形O1〜O4に含まれる部分パルスのそれぞれは、連続するフルパルスとして図示しているが、実際は、第1の電位と、第1の電位とは異なる第2の電位とを繰り返し印加する複数の細かいパルス群によるチョッパ信号でもよい。
次に、先頭駆動パルスSP30および第1後続駆動パルスSP40によるドライバ回路10の各トランジスタの動作を図8(b)の動作表を用いて説明する。図8(b)において、第1駆動パルスSP11が供給されると、駆動波形O3が電圧−V、駆動波形O4が電圧0Vとなるので、トランジスタN3とトランジスタP4がON、トランジスタP3とトランジスタN4がOFFし、駆動電流がコイルBのコイル端子O4からコイル端子O3に流れ、コイルBが励磁される。
また、駆動波形O1、O2は、共に電圧0Vとなるので、トランジスタP1、P2がON、トランジスタN1、N2がOFFし、コイルAには駆動電流が流れず、コイルAは励磁されない。
また、第2駆動パルスSP12が供給されると、駆動波形O1が電圧0V、駆動波形O2が電圧−Vとなるので、トランジスタP1とトランジスタN2がON、トランジスタN1とトランジスタP2がOFFし、駆動電流がコイル端子O1からコイル端子O2に流れ、コイルAが励磁される。また、駆動波形O3が電圧0V、駆動波形O4が電圧−Vとなるので、トランジスタP3とトランジスタN4がON、トランジスタN3とトランジスタP4がOFFし、駆動電流がコイル端子O3からコイル端子O4に流れ、コイルBが励磁される。
また、第3駆動パルスSP13が供給されると、駆動波形O3が電圧0V、駆動波形O4が電圧−Vとなるので、トランジスタP3とトランジスタN4がON、トランジスタN3とトランジスタP4がOFFし、駆動電流がコイル端子O3からコイル端子O4に流れ、コイルBが励磁される。また、駆動波形O1が電圧0V、駆動波形O2は電圧−Vとなるので、トランジスタN1、P2がON、トランジスタP1、N2がOFFし、駆動電流がコイル端子O2からコイル端子O1に流れ、コイルAが励磁される。
このように、第1単位駆動信号D1が出力される期間の3個の第1〜第3駆動パルスSP11〜SP13によって、ドライバ回路10の各トランジスタがON/OFF制御され、ステップモータ20のコイルA、Bを励磁する。
次に、第1単位駆動信号D1によるステップモータ20の1ステップ360度単位の高速回転駆動について図9を用いて説明する。図9(a)は、ステップモータ20の最初の状態を示し、ロータ21のN極が安定位置0度にある。また、ステップモータ20の各部材の符号は、図9(a)にのみ記して他は省略する。
図9(b)は、第1駆動パルスSP11がドライバ回路10に供給され、それに応じた信号がステップモータ20に供給された状態であり、この場合、前述したように、駆動電流(図示せず)がコイル端子O4からコイル端子O3に流れ、コイルBが矢印の方向に励磁される。これにより、第2磁極部22bがN極、第3磁極部22cがS極に磁化され、また、コイルAは励磁されないので、第1磁極部22aは第3磁極部22cと同じS極となる。
その結果、ロータ21のN極と、第1磁極部22a及び第3磁極部22cのS極が引き合い、また、ロータ21のS極と第2磁極部22bのN極が引き合い、ロータ21は反時計回りに回転し、ロータ21のN極は安定位置0度から約135度の位置まで回転する。
次に、図9(c)において、第2駆動パルスSP12が供給されると、前述したように、駆動電流(図示せず)がコイル端子O1からコイル端子O2に流れ、コイルAが矢印の方向に励磁される。また同様に駆動電流(図示せず)がコイル端子O3からコイル端子O4に流れ、コイルBが矢印の方向(コイルAと反対方向)に励磁される。
これにより、第1磁極部22aがN極に磁化され、第2磁極部22bがS極に磁化され、第3磁極部22cは磁化が打ち消し合って磁化されない。その結果、ロータ21のN極と第2磁極部22bのS極が引き合い、また、ロータ21のS極と第1磁極部22aのN極が引き合い、ロータ21は停止することなく更に反時計回りに回転し、ロータ21のN極は約270度の位置まで回転する。
次に、図9(d)において、第3駆動パルスSP13が供給されると、前述したように、駆動電流(図示せず)がコイル端子O3からコイル端子O4に流れ、コイルBが矢印の方向に励磁される。また、駆動電流(図示せず)がコイル端子O2からコイル端子O1に流れ、コイルAが矢印の方向(コイルBと同方向)に励磁される。これにより、第1磁極部22aおよび第2磁極部22bがS極、第3磁極部22cがN極に磁化される。その結果、ロータ21のS極と、第3磁極部22cのN極が引き合い、ロータ21は停止することなく更に反時計回りに回転し、ロータ21のN極は360度(安定位置と同じ)まで回転する。
ここで、第1単位駆動信号D1によるステップモータ20の駆動では、第3駆動パルスSP13によりステータ22から生じる磁界は、ロータ21のN極を360度の位置(第1の位置)まで引き寄せるものである。すると、ロータ21のN極が0度まで達したあとに、慣性により、ロータ21のN極の位置は先の位置まで回転する。どこまで回転するか、また元の360度の位置まで戻るかについては、磁力が印加されるタイミングや磁力の大きさ、またロータ21の回転量などに依存するが、図9の例では励磁が終わった後にロータ21のN極の位置が90度を超え、ロータ21のN極の位置が他の安定位置である180度の位置まで回転する可能性がある。
[第2単位駆動信号によるステップモータの回転の概要]
次に、回り過ぎる可能性が低い第2単位駆動信号D2によりステップモータ20の回転について説明する。図10は、第2単位駆動信号D2とトランジスタの動作の関係を概略的に説明する図である。図11は、第2単位駆動信号D2によるステップモータ20の動作の一例を示す図である。
図10(a)は、図8(a)に対応する図である。図10(a)は先頭駆動パルスSP30および第2後続駆動パルスSP41により、ステップモータ20のロータ21のN極を安定位置0度(図3参照)から正転方向(反時計回り)に360度単位で回転駆動する場合の駆動波形O1〜O4の一例を示す。
図10(a)において、先頭駆動パルスSP30として第1駆動パルスSP11が出力され、その後、第2後続駆動パルスSP41に含まれる第2駆動パルスSP12、第3駆動パルスSP13が順次出力される。先頭駆動パルスSP30(第1駆動パルスSP11)は図8(a)の例と同じであり、第2後続駆動パルスSP41に含まれる第2駆動パルスSP12は第1後続駆動パルスSP40に含まれるものと同様である。以下では相違のある第3駆動パルスSP13について説明する。
第3駆動パルスSP13が供給されると、駆動波形O4が電圧−Vであり、他の駆動波形O1、O2、O3は電圧0Vである。これにより、ステップモータ20のコイルBが第2駆動パルスSP12と同じ方向に励磁される。
また、第1〜第3駆動パルスSP11〜SP13のそれぞれのパルス幅は任意である。また、駆動波形O1〜O4に含まれる部分パルスのそれぞれは、連続するフルパルスとして図示しているが、実際は、第1の電位と、第1の電位とは異なる第2の電位とを繰り返し印加する複数の細かいパルス群によるチョッパ信号でもよい。
図10(b)は、図8(b)に対応する図である。以下でも主に図8(b)との相違のある第3駆動パルスSP13について説明する。
第3駆動パルスSP13が供給されると、駆動波形O3が電圧0V、駆動波形O4が電圧−Vとなるので、トランジスタP3とトランジスタN4がON、トランジスタN3とトランジスタP4がOFFし、駆動電流がコイル端子O3からコイル端子O4に流れ、コイルBが励磁される。また、駆動波形O1、O2は、共に電圧0Vとなるので、トランジスタP1、P2がON、トランジスタN1、N2がOFFし、コイルAには駆動電流が流れず、コイルAは励磁されない。
次に、第2単位駆動信号D2によるステップモータ20の1ステップ360度単位の高速回転駆動について図11を用いて説明する。図11(a)は、ステップモータ20の最初の状態を示し、ロータ21のN極が安定位置0度にある。
図11(b)は、第1駆動パルスSP11がステップモータ20に供給された状態であり、この場合、前述したように、駆動電流(図示せず)がコイル端子O4からコイル端子O3に流れ、コイルBが矢印の方向に励磁される。これにより、第2磁極部22bがN極、第3磁極部22cがS極に磁化され、また、コイルAは励磁されないので、第1磁極部22aは第3磁極部22cと同じS極となる。
その結果、ロータ21のN極と、第1磁極部22a及び第3磁極部22cのS極が引き合い、また、ロータ21のS極と第2磁極部22bのN極が引き合い、ロータ21は反時計回りに回転し、ロータ21のN極は安定位置0度から約135度の位置まで回転する。
次に、図11(c)において、第2駆動パルスSP12が供給されると、前述したように、駆動電流(図示せず)がコイル端子O1からコイル端子O2に流れ、コイルAが矢印の方向に励磁される。また同様に駆動電流(図示せず)がコイル端子O3からコイル端子O4に流れ、コイルBが矢印の方向(コイルAと反対方向)に励磁される。
これにより、第1磁極部22aがN極に磁化され、第2磁極部22bがS極に磁化され、第3磁極部22cは磁化が打ち消し合って磁化されない。その結果、ロータ21のN極と第2磁極部22bのS極が引き合い、また、ロータ21のS極と第1磁極部22aのN極が引き合い、ロータ21は停止することなく更に反時計回りに回転し、ロータ21のN極は約270度の位置まで回転する。
次に、図11(d)において、第3駆動パルスSP13が供給されると、前述したように、駆動電流(図示せず)がコイル端子O3からコイル端子O4に流れ、コイルBが矢印の方向に励磁される。これにより、第2磁極部22bがS極、第3磁極部22cがN極に磁化され、また、コイルAは励磁されないので、第1磁極部22aは第3磁極部22cと同じN極となる。その結果、ロータ21のS極と、第1磁極部22a及び第3磁極部22cのN極が引き合い、ロータ21は停止することなく更に反時計回りに回転し、ロータ21のN極は約315度の位置まで回転する。
その後、第3駆動パルスSP13の供給が終了すると、駆動波形O1〜O4はすべて電圧0Vとなるので、ステップモータ20のコイルA、コイルBの励磁が無くなり、第1〜第3磁極部22a〜22cの磁化が消えるが、ロータ21は、N極が約315度の位置から停止することなく360度(0度)の安定位置まで回転を継続し、その位置で保持される。ステップモータ20は、3個の駆動パルスSP11〜SP13に基づく第2単位駆動信号D2による1ステップ駆動で360度回転駆動される。
ここで、第2単位駆動信号D2によるステップモータ20の駆動では、第3駆動パルスSP13によりステータ22から生じる磁界は、ロータ21のN極を約315度の位置(第2の位置)まで引き寄せるものである。この位置は、第1単位駆動信号D1における第1の位置より手前にある。したがって第3駆動パルスSP13の印加が終わった際に、ロータ21のN極の位置が0度を超えることはない。また、第2後続駆動パルスSP41が出力された後にコイルA,Bに励磁されていない状態でロータ21が安定位置へ移動するため、ロータ21のN極の位置が0度になった際の速度は第1後続駆動パルスSP40に比べて小さく、またその速度によりロータ21のN極の位置が90度を超えて次の安定位置に達することはない。
第1単位駆動信号D1が供給された際にはロータ21が回り過ぎる可能性があるが、仮にロータ21が回り過ぎてもその次に供給される先頭駆動パルスSP30により図9(b)または図11(b)の位置になることに変わりないため、回り過ぎにより、ロータ21のN極やそれに接続される駆動体が想定外の位置に達する恐れはない。一方、最終の単位駆動信号として回り過ぎの恐れがない第2単位駆動信号D2が供給されることにより、最終的にロータ21に所望の回転をさせ、駆動体も所望の位置に止めることができる。また、第1単位駆動信号D1はロータ21をより速く回転させることができ、駆動体をより高速に移動させることができる。
[回転の検出によるステップモータの制御]
以下では、ステップモータ20の回転を検出し、その検出結果をステップモータ20の駆動に反映させる手法について説明する。より具体的には、モータ制御部2は、検出されたロータ21の回転に基づいて、次の第1単位駆動信号D1または第2単位駆動信号D2を出力する時間を制御する。以下での説明では、先頭駆動パルスSP30の長さは、条件によって変更され、第1後続駆動パルスSP40、第2後続駆動パルスSP41の長さは固定であり、あらかじめ定められている。主に先頭駆動パルスSP30における制御の相違点について説明する。
図12は、先頭駆動パルスSP30による波形の他の一例を説明する波形図である。図12において(1)〜(3)で示されるパルス波形は、ロータ21が回転と判定された時にステップモータ20に印加される駆動パルス、すなわち、先頭駆動パルスSP30の例を示している。(1)〜(3)に示したものの他、どのパルス波形が選択されるかは、回転検出の結果に依存して変化する。図12には示していないが、先頭駆動パルスSP30の直後に第1後続駆動パルスSP40または第2後続駆動パルスSP41が出力される。(4)は、回転検出を行うための検出パルスCPを印加するタイミングを示している。
図12の例では、先頭駆動パルスSP30の長さを、1ms〜5msの間で0.25ms刻みで選択できる。つまり、先頭駆動パルスSP30(可変信号)はその期間がロータ21の回転に応じて変化する。なお、第1後続駆動パルスSP40または第2後続駆動パルスSP41は、先頭駆動パルスSP30の直後に3.5msの間出力される。第1後続駆動パルスSP40または第2後続駆動パルスSP41(固定信号)は期間が変化しない。先頭駆動パルスSP30の長さは、回転検出の結果に基づいて選択される。基本的には、モータ制御部2は回転と判断されるまで先頭駆動パルスSP30を出力し続ける。ただし、先頭駆動パルスSP30の最長の長さは5msとし、それまでに回転が検出されない場合でも先頭駆動パルスSP30の後に第1後続駆動パルスSP40または第2後続駆動パルスSP41が出力される。
検出パルスCPは、先頭駆動パルスSP30の出力開始後、0.625ms経過後から4.875ms経過するまで0.25ms毎に出力される、16μs幅のパルスである。
なお、以上の説明での先頭駆動パルスSP30、第1後続駆動パルスSP40等の長さや形状、また検出パルスCPの出力タイミングなどは一例であり、ステップモータ20の形状や大きさ、ステップモータ20など種々の構成に応じて変更されてよい。
図13は、回転の検出と先頭駆動パルスSP30および第1後続駆動パルスSP40の出力の処理の一例を示すフロー図である。以下では、このフロー図に従って、モータ制御部2による制御を説明する。なお、回転の検出と先頭駆動パルスSP30および第2後続駆動パルスSP41の制御は説明しないが、これらの間の相違点は、ST7において第1後続駆動パルスSP40の代わりに第2後続駆動パルスSP41が出力される点である。
はじめに、パルス切替制御部3は、SP30選択信号を出力し、セレクタ9は先頭駆動パルス発生回路61より出力される先頭駆動パルスSP30をドライバ回路10へ出力する(ST1)。これにより、ステップモータ20のロータ21が回転を開始する。そして、0.625ms経過後より0.25ms毎に、検出パルス選択信号を出力し、セレクタ9は、検出パルス発生回路66から出力される検出パルスCPを選択し、ドライバ回路10へ出力するよう制御する。これにより、パルス切替制御部3は回転検出を開始させる(ST2)。この結果得られる検出信号CSに基づいて、回転検出回路11は、判定結果CKを出力する。
ここで、回転検出回路11による回転/非回転の判定について説明する。図14は、先頭駆動パルスSP30が印加された際の、コイルA及びコイルBに発生する誘起電流の波形と、コイル端子O1〜O4に印加されるパルスと検出パルスCPにより出力される検出信号CSとを示す図である。
時刻0msより、先頭駆動パルスSP30によりコイルBが励磁される。これによりロータ21が回転を始め、コイルA及びBには、正の向きの誘導電流が発生する。
検出パルスCPは、先頭駆動パルスSP30が印加されたコイルとは異なるコイルである、コイルAと回転検出回路11とを接続するように印加される。具体的には、コイル端子O2に接続するトランジスタTP2に開始後0.625ms経過時から0.25ms毎に印加され、これにより各検出パルスCPに応じた検出信号CSが得られる。
図14のコイルAに生じる誘導電流の波形より明らかなように、ロータ21の回転当初は、コイルAに生じる誘導電流は正の符号をもつあまり大きくない値となる。条件にもよるが、ここで示した例では、回転開始からおおよそ2.5ms経過した時点でこの誘導電流の符号が反転し、負の符号となり、ある一定以上の値を示す波形の山が生じる。
この負の値を持つ波形の山は、ロータ21がポテンシャルの山を乗り越え、目標となる安定位置に向かって回転していることを示しており、図14でハッチングで示したこの負の符号を持つ波形の山を検出することにより、回転の検出ができる。
コイル端子O2から検出される検出信号CSは、負の所定の閾値thと比較される。そして、図14に示すように、この例では回転開始から3.375ms経過後までは、この閾値thを下回ることがなく、検出信号CSは得られないが、3.625ms経過後の検出パルスCPにより、閾値thを下回る検出信号CSが得られる。
そして、この例では連続して2回の検出信号CSが得られることにより回転と判断するようにしているので、さらに続けて回転開始から3.875ms経過後の検出パルスCPによる検出信号CSが検出された時点で、回転検出回路11は回転と判定し、判定結果CKを出力する。また、回転開始から4.875ms経過しても連続する2回の検出信号CSが得られなかった場合は、非回転と判定し、判定結果CKを出力する。
なお、連続する検出信号CSが得られるタイミングは、電源電圧や負荷の大きさ、電子時計1の姿勢など種々の条件により異なる。また、判定の条件は2回の連続する信号には限定されず、1回とするか、3回以上とするか、また、連続して得られた場合とするか、所定期間内で得られた信号の数を加算するかなど、その設定は任意である。
図13において、回転検出開始すると、パルス切替制御部3は、回転判定が得られたタイミングを監視する。すなわち、まず、回転開始より0.875ms経過までに検出信号CSが2回得られたかを判定する(ST31)。検出信号CSが2回得られた場合(ST31:Y)、回転検出を終了し(ST41)検出パルスCPの出力を停止し、先頭駆動パルスSP30の幅を1msに設定する(ST51)。これにより、先頭駆動パルスSP30の出力は1msで終了し、続けて第1後続駆動パルスSP40をセレクタ9に出力させ(ST7)、ロータ21の1ステップの回転は終了する。
回転開始より0.875ms経過までに検出信号CSが2回得らなかった場合(ST31:N)、次は1.125ms経過までに検出信号CSが2回得られたかを判定する(ST32)。得られた場合(ST32:Y)、回転検出を終了し(ST42)、先頭駆動パルスSP30の幅を1.25msに設定し(ST53)、先頭駆動パルスSP30の出力終了後、続けて第1後続駆動パルスSP40をセレクタ9に出力させる(ST7)。
同様に、1.125msまでに2回検出信号CSが得られなかった場合には(ST32:N)、1.375ms経過までに検出信号CSが2回得られたかを判定する(ST33)。得られた場合(ST33:Y)、回転検出を終了し(ST43)、先頭駆動パルスSP30の幅を1.5msに設定し(ST53)、先頭駆動パルスSP30の出力終了後、続けて第1後続駆動パルスSP40をセレクタ9に出力させる(ST7)。
このような処理は、検出信号CSが2回得られるまで0.25msごとに繰り返され、先頭駆動パルスSP30の期間も0.25msずつ延びていく。そして、回転開始より4.625ms経過までに検出信号CSが2回得らなかった場合、次は4.875ms経過までに検出信号CSが2回得られたかを判定する(ST3F)。得られた場合(ST3F:Y)、回転検出を終了し(ST4F)、先頭駆動パルスSP30の幅を5msに設定し(ST5F)、先頭駆動パルスSP30の出力終了後、続けて第1後続駆動パルスSP40をセレクタ9に出力させる(ST7)。
同様に、回転開始より4.875ms経過までに検出信号CSが2回得らなかった場合(ST3F:N)、先頭駆動パルスSP30の幅を5msに設定し(ST5G)、先頭駆動パルスSP30の出力終了後、続けて第1後続駆動パルスSP40をセレクタ9に出力させる(ST7)。
なお、ここで示した例では先頭駆動パルスSP30の幅は1ms〜5msの間で、0.25ms刻みの5段階で設定したが、これをより粗く(または細かく)設定してもよいし、回転判定がなされれば直ちに先頭駆動パルスSP30の出力を停止して第1後続駆動パルスSP40を出力するようにしてもよい。
これまでに説明したように、1ステップで360度の回転駆動をさせる場合において、ロータ21の回転/非回転の検出ができ、先頭駆動パルスSP30を印加する期間を適正に制御し、消費電力を削減し高速に駆動することができる。また、その前のステップにおける第1後続駆動パルスSP40(第1単位駆動信号D1)の出力後すぐに先頭駆動パルスSP30の出力および回転の検出が行われる駆動方式とした。即ち、前回の第1単位駆動信号D1の際にロータ21が回り過ぎている場合は、早いタイミングで検出信号が2回得られるため先頭駆動パルスSP30の幅は短くなり、反対に前回の第1単位駆動信号D1の際にロータ21の回転量が不足している場合は、遅いタイミングで検出信号が2回得られることになり先頭駆動パルスSP30の幅は長くなる。先頭駆動パルスSP30は高速駆動中の回転を常に安定させる役割を担っている。
[第1後続駆動パルスのチョッパ制御の例]
第1後続駆動パルスSP40に含まれる第2駆動パルスSP12および第3駆動パルスSP13のそれぞれが、断続的に切り替わる複数の電位により構成されてもよい。図15は、第1後続駆動パルスSP40による波形の他の一例を説明する波形図である。図15の例では、第1後続駆動パルスSP40に含まれる第2駆動パルスSP12では、駆動波形O2、O4が共に電圧−Vになる状態と、駆動波形O2、O4が共に電圧0Vになる状態と、が切り替わる1周期0.25msのサイクルが繰り返される。言い換えると、コイル端子O2,O4およびその接続配線に、電圧−Vが印加される期間と0V(電圧−Vと異なる電圧)が印加される期間とが繰り返される。前者の状態ではコイルA,Bには図9(c)に示される励磁がされるが、後者の状態ではコイルA,Bは励磁されない。これにより、図9(b)の状態から図9(c)の状態にゆっくり切り替わる。
また、第1後続駆動パルスSP40に含まれる第3駆動パルスSP13では、駆動波形O4の電圧が−Vになる状態Aと、駆動波形O4の電圧が0Vになる状態Bとが切り替わる1周期0.25msのサイクルが繰り返される。言い換えると、第3駆動パルスSP13では、コイル端子O4およびその接続配線に、電圧−Vが印加される期間と0V(電圧−Vと異なる電圧)が印加される期間とが繰り返され、またコイル端子O1およびその接続配線には、電圧−V(接続配線に電流を流す電圧)を印加する信号(第1電流信号)が出力される。状態Aにおいては、図8の例と同じく図9(d)に示されるような励磁がされる。また、状態Bにおいては、ロータ21のN極を0度よりさらに回転させるようにコイルA,Bが励磁される。図16は、状態Bにおける励磁の状態を示す図である。図15の例では、図9(d)に示される励磁と、図16に示される励磁とが繰り返されることにより、ロータ21のN極は0度を超える位置に向けて回転する。図15に示される駆動波形により、ロータ21をさらに高速に回転させることができる。
[第2後続駆動パルスのチョッパ制御の例]
第2後続駆動パルスSP41に含まれる第2駆動パルスSP12および第3駆動パルスSP13のそれぞれも、断続的に切り替わる複数の電位により構成されてもよい。図17は、第2後続駆動パルスSP41による波形の他の一例を説明する波形図である。第2後続駆動パルスSP41に含まれる第2駆動パルスSP12は、図15の例と同じであるので説明を省略する。
第2後続駆動パルスSP41に含まれる第3駆動パルスSP13では、駆動波形O4の電圧が−Vになる状態Cと、駆動波形O4の電圧が0Vになる状態Dとが切り替わる1周期0.25msのサイクルが繰り返される。言い換えると、第3駆動パルスSP13では、コイル端子O4およびその接続配線に、電圧−Vが印加される期間と0V(電圧−Vと異なる電圧)が印加される期間とを繰り返す信号(第1電流信号)が印加される。状態Cにおいては、図10の例と同じく図11(d)に示されるような励磁がされる。また、状態Dにおいては、コイルA,Bには励磁がされない。これにより、終了タイミングにステータ22がロータ21に印加する磁界が第1後続駆動パルスSP40の場合より弱くなる。つまりロータ21にかかる回転力が弱くなり、図11(d)に示される位置へ向けてよりゆっくり回転する。これにより、慣性によりロータ21が回り過ぎる現象の発生をより抑えることができる。
図15の第3駆動パルスSP13においてコイル端子O1へ出力される信号(第2電流信号)は、連続した−Vの電位でなくてもよい。例えば、コイル端子O4に出力される信号とデューティ比や周期の異なるチョッパパルスであってもよい。また、第2駆動パルスSP12における、電圧−Vが印加される期間と第2駆動パルスSP12の期間とのデューティ比や、第3駆動パルスSP13における、状態Aや状態Cの期間と第2駆動パルスSP12の期間とのデューティ比は、ステップモータ20の仕様やロータ21の回転に必要な駆動力に応じて適宜調整してよい。第2駆動パルスSP12と第3駆動パルスSP13とでデューティ比が異なっていてもよいし、第1後続駆動パルスSP40と第2後続駆動パルスSP41とでデューティ比が異なっていてもよい。
[第2単位駆動信号の他の例]
第2後続駆動パルスSP41において、他の手法で終了タイミングにステータ22がロータ21に印加する磁界を弱くしてよい。図18は、第2単位駆動信号D2の他の一例を示す図であり、図10に対応する図である。図18の例では、第3駆動パルスSP13として、図8に示される第1後続駆動パルスSP40の第3駆動パルスSP13の期間が短縮されたものが出力される。図18の例では、第3駆動パルスSP13が第1単位駆動信号D1の場合より短い。これにより、ロータ21のN極が270度の位置を確実に超える期間にコイルA,Bが励磁され、かつ、0度の位置に到達する前に磁力の供給が止まる。ロータ21にかかる磁力を弱め、ロータ21が安定位置である0度に到達した際のロータ21の速度を第1単位駆動信号D1に比べて小さくし、過回転を防止することができる。
第2単位駆動信号D2は、ステータ22がロータ21に印加する磁界が第1単位駆動信号D1より強い信号または磁界が印加される時間が第1単位駆動信号D1より長い信号(ストップパルス)を最後に含んでもよい。図19は、第2単位駆動信号D2の他の一例を示す図であり、図10に対応する図である。図19の例では、第2後続駆動パルスSP41に含まれる第3駆動パルスSP13が第1後続駆動パルスSP40より長くなっている。これにより、ロータ21のN極が0度(安定位置)を超えてからもロータ21に図9(d)に示されるようにロータ21のN極を0度に近づけるような磁力がかかり、第3駆動パルスSP13の印加が終わった時点ではロータ21のN極は0度付近で安定する。これにより、第3駆動パルスSP13の印加が終わった後かつロータ21のN極が安定位置に達したときのロータ21の回転速度を小さくし、過回転を防止することができる。なお、第3駆動パルスSP13が印加される時間を長くする代わりに、第3駆動パルスSP13によりロータに印加される磁界(ロータ21のN極を0度に近づける磁界)を強くしてもよい。
これまでの説明では、第2後続駆動パルスSP41に含まれる第3駆動パルスSP13を第1後続駆動パルスSP40と異ならせていたが、第2駆動パルスSP12も互いに異ならせてよい。
図20は、単位駆動信号の波形の他の一例を示す図であり、図6に対応する図である。図20の例では、図6,10,11に示される例と異なり、第2後続駆動パルスSP41に含まれる第3駆動パルスSP13だけでなく、第2駆動パルスSP12も、第1後続駆動パルスSP40に含まれるものと異なっている。より具体的には、第2駆動パルスSP12において、駆動波形O3の電圧が−Vとなる。図21は、図20に示される第2単位駆動信号D2によるステップモータ20の動作の他の一例を示す図である。図21(a),図21(b)に示される、回転はじめの状態や先頭駆動パルスSP30が出力された際のステップモータ20の状態は、図6や11に示される例と同様である。しかし、図21(c)に示されるように、第2駆動パルスSP12が出力された際には、駆動電流がコイル端子O1からコイル端子O2に流れ、コイルAが矢印の方向に励磁される。また同様に駆動電流がコイル端子O4からコイル端子O3に流れ、コイルBが矢印の方向(コイルAと同方向)に励磁される。これにより、ロータ21のN極は180度の位置に向かって回転する。ロータ21のN極が180度の位置は安定位置の1つであるため、図6,10,11に示される例に比べて第3駆動パルスSP13が出力された際(図21(d)参照)にロータ21が回りにくい。これにより、図6,10,11の例に比べてより確実にロータ21のN極をより確実に回転単位に対応する安定位置に静止させることができる。
図22は、単位駆動信号の波形の他の一例を示す図である。図22の例では、第2後続駆動パルスSP41に含まれる第2駆動パルスSP12が図20の例と異なっている。より具体的には、第2駆動パルスSP12において、駆動波形O2の電圧が−Vとなり、駆動波形O3の電圧が0となる。図23は、図22に示される第2単位駆動信号D2によるステップモータ20の動作の他の一例を示す図である。図23(a),図23(b)に示される、回転はじめの状態や先頭駆動パルスSP30が出力された際のステップモータ20の状態は、図6,11,20に示される例と同様である。しかし、図23(c)に示されるように、第2駆動パルスSP12が出力された際には、駆動電流がコイル端子O1からコイル端子O2に流れ、コイルAが矢印の方向に励磁される。またコイル端子O3,O4の間には電流が流れずコイルBは励磁されない。これにより、ロータ21のN極は約225度の位置に向かって回転する。ロータ21のN極のこの位置は、図11(c)に示されるものより手前となり、第3駆動パルスSP13の出力が終わった際(図23(d)参照)にロータ21が回り過ぎないようにできる。これにより、図6,10,11の例に比べてより確実にロータ21のN極をより確実に回転単位に対応する安定位置に静止させることができる。
なお、これまでに説明された制御は、逆回転の際にも適用できる。単に、コイル端子O1へ出力される波形とコイル端子O4へ出力される波形とを交換し、さらにコイル端子O2へ出力される波形とコイル端子O3へ出力される波形とを交換することで、ステップモータ20を逆回転をさせることができるからである。
[第2の実施形態]
以下では、本発明の第2の実施形態について、主に第1の実施形態との相違点を説明する。第2の実施形態では、360度回転させるために、第1単位駆動信号D1は4つの部分パルスを含んでいる。また第2単位駆動信号D2は3または4の部分パルスを含んでいる。
図24は、第2の実施形態における、第1単位駆動信号D1の一例を概略的に示す波形図およびステップモータ20の動作図である。図24(a)に記載の第1単位駆動信号D1は、ステップモータ20の180度回転を連続して2回行い、ロータ21を360度回転させる。図24(a)の記載からわかるように、第2単位駆動信号D2が出力される期間には、4つの部分パルスSP1−1,SP1−2,SP2−1,SP2−2が順次出力される。第1ステップに含まれる部分パルスSP1−1,SP1−2により、ロータ21は180度回転し、第2ステップに含まれる部分パルスSP2−1,SP2−2により、ロータ21はさらに180度回転する。例えば、第1ステップが先頭駆動パルスSP30に対応し、第2ステップが第1後続駆動パルスSP40に対応する。ここで、部分パルスSP1−1,SP1−2,SP2−1,SP2−2によりドライバ回路10が出力する信号を、それぞれ第1部分信号、第2部分信号、第3部分信号、第4部分信号とよぶ。
図24(a)において、部分パルスSP1−1が出力されると、駆動波形O3が電圧−Vであり、他の駆動波形O1、O2、O4は電圧0Vである。これにより、駆動波形O3とO4に接続されるステップモータ20のコイルBに駆動電流が流れて励磁され。コイルAは励磁されない。これにより、第2磁極部22bがN極、第3磁極部22cがS極に磁化され、第1磁極部22aは第3磁極部22cと同じS極となる。その結果、ロータ21は、図24に示される初期状態から、反時計回りに回転し、ロータ21のN極は安定位置0度から約135度の位置まで回転する(図24(b)参照)。
次に、部分パルスSP1−2が出力されると、駆動波形O2、O3が電圧−Vであり、駆動波形O1、O4が電圧0Vである。すると、コイルA、コイルBの両方に駆動電流が流れて、両方のコイルA、コイルBが図24(c)の矢印の方向(同じ方向)に励磁される。第1磁極部22aと第2磁極部22bがN極に磁化され、第3磁極部22cはS極に磁化される。これにより、ロータ21はさらに反時計回りに回転し、ロータ21のN極は180度の位置まで回転し静止する(図24(c)参照)。
次に、部分パルスSP2−1が出力されると、駆動波形O4が電圧−Vであり、他の駆動波形O1、O2、O3は電圧0Vである。駆動波形O3とO4に接続されるコイルBに駆動電流が流れて部分パルスSP1−1の際と逆の方向に励磁され、コイルAは励磁されない。すると、第2磁極部22bがS極、第3磁極部22cがN極に磁化され、第1磁極部22aは第3磁極部22cと同じN極となる。これにより、ロータ21は反時計回りに回転し、ロータ21のN極は約315度の位置まで回転する(図24(d)参照)。
次に、部分パルスSP2−2が出力されると、駆動波形O1、O4が電圧−Vであり、駆動波形O2、O3が電圧0Vである。ステップモータ20のコイルA、コイルBに駆動電流が流れて、両方のコイルA、コイルBが部分パルスSP1−2と逆の方向に励磁される。すると、第1磁極部22aと第2磁極部22bがS極に磁化され、第3磁極部22cはN極に磁化される。これにより、ロータ21はさらに反時計回りに回転し、ロータ21のN極は360度(0度)の位置まで回転する(図24(e)参照)。すなわち、4つの部分パルスにより、ロータ21は360度回転する。
図24に示される第1単位駆動信号D1においても、外部の環境要因などによりロータ21が回り過ぎる恐れがある。これに対応するために、第1の実施形態と同じくモータ制御部2は最終の単位駆動信号として第2単位駆動信号D2を出力する。以下では第2単位駆動信号D2について説明する。
図25は、第2の実施形態における、第2単位駆動信号D2の一例を概略的に示す波形図である。図25に示される第2単位駆動信号D2は第1単位駆動信号D1と比べると、部分パルスSP2−2に対応する信号が出力されない点が異なる。図25の例では、部分パルスSP2−1によりロータ21のN極が約315度の位置まで回転した(図24(d)参照)後に、コイルAおよびコイルBが励磁されない状態となる。ロータ21は、N極が約315度の位置から360度(0度)の安定位置まで回転を継続し、その位置で保持される。なお、例えば、第1ステップが先頭駆動パルスSP30に対応し、第2ステップが第2後続駆動パルスSP41に対応する。
図25の例においても、磁力によってロータ21のN極が安定位置の手前までしか回転せず、その後はコイルA,Bが励磁されないため、ロータ21のN極が回転単位に対応する安定位置に達した際のロータ21の回転速度を小さくすることができ、ロータ21が回り過ぎる現象を防止することができる。また、第1単位駆動信号D1はより高速に回転させることができ、全体としてステップモータ20を高速に回転させることができる。
第2単位駆動信号D2は他の波形であってもよい。例えば、第2単位駆動信号D2は、第1単位駆動信号D1より印加される時間が短いまたは弱い信号を含んでもよい。図26は、第2単位駆動信号D2の他の一例を概略的に示す波形図である。図26の例では、部分パルスSP2−2として、図24に示される部分パルスSP2−2の期間が短縮されたものが出力される。図26の例では、短縮された部分パルスSP2−2により、ロータ21のN極が270度の位置を確実に超える期間にコイルA,Bが励磁され、かつ、0度の位置に到達する前に磁力の供給が止まる。これにより、ロータ21にかかる磁力を弱め、ロータ21が安定位置である0度に到達した際のロータ21の速度を第1単位駆動信号D1に比べて小さくし、過回転を防止することができる。
図27は、第2単位駆動信号D2の他の一例を示す図である。図27の例では、第2単位駆動信号D2に含まれる部分パルスSP2−2が第1単位駆動信号D1のものより長くなっている。これにより、ロータ21のN極が0度(安定位置)を超えてからもロータ21のN極を0度に近づけるような磁力がかかり、部分パルスSP2−2の印加が終わった時点ではロータ21のN極は0度付近で安定する、ストップパルスのような効果が得られる。これにより、部分パルスSP2−2の印加が終わった後かつロータ21のN極が安定位置に達したときのロータ21の回転速度を小さくし、過回転を防止することができる。なお、部分パルスSP2−2が印加される時間を長くする代わりに、部分パルスSP2−2によりロータに印加される磁界(ロータ21のN極を0度に近づける磁界)を強くしてもよい。
なお、本発明の各実施形態で示した構成図、回路図、波形図等は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を満たすものであれば、任意に変更することができる。例えば、図2等に示されるステップモータ20はいわゆる4端子のステップモータであるが、代わりに、特許文献2に示されるような3端子のステップモータが用いられてもよい。