JP2019031880A - グラウンドアンカー除荷用カプラー - Google Patents
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Description
グラウンドアンカーは、設置後年月の経過によって老朽化して性能が劣化している可能性があるので健全な状態に維持されているかを点検する必要がある。このため、グラウンドアンカーの頭部定着部の点検や補修等を行うために緊張材2の緊張状態を解除する必要がある。
定着クサビ3をアンカーヘッド4から取り外すには、図2(2)に示すように除荷用カプラー70の下部材7bに緊張材2(アンカーケーブル)の定着クサビ3から突出している突出部(緊張材余長)2aが下部材7bに装着される除荷用クサビ3bで下部材7bに固定され、上部材7aに延長用の緊張材2eが引張用クサビ3aによって固定されて緊張材2が延長された状態となり、この延長用緊張材2eをジャッキ9aに取り付け、引張力を緊張材2に加えることによって定着クサビ3をアンカーヘッド4から引き抜いて取り外すものである。ジャッキ9aはアンカープレート5の上に設置した側面に開口9eを有するジャッキチェアー9bの上に設置され、除荷用カプラー7はこのジャッキチェアー9bの内部に設置される。
この除荷用カプラー70は、除荷作業中に緊張力が作用している緊張材2に作業員が手を近づける必要をなくしたものであり、安全で、且つ、効率よい除荷作業が行えるようにしたものである。
更に、除荷用クサビ3bは下部材7bの除荷用クサビのテーパー穴71bにセットされた状態で除荷作業を行う際、下部材7bの下端部より長さg(約2mm)だけ突出するものである。除荷作業において、アンカーヘッド4から定着クサビ3を取り除き、緊張材2に作用させていた引張力を緩めていくと、この突出量gによって除荷用クサビ3bの先端がアンカーヘッド4の表面に当たって上に押し上げられて下部材7bの除荷用クサビのテーパー穴71bから外れる。
下部材7bの除荷用クサビのテーパー穴71bの外周面には図3(4)に示されるように切欠72が3か所設けてあり、除荷作業対象の緊張鋼線2に隣接する他の緊張鋼線2と下部材7bが干渉しないようにしてある。
押圧バネ7dの端部には押さえプレート7eが設けてあり押圧バネ7dの弾発力を引張用クサビ3aと除荷用クサビ3bに効率的に伝達されるようにしてある。押さえプレート7eは円形で中央部に穴を有しておりこの穴を緊張材2及び延長緊張材2eが通過可能であり、穴の縁にはフランジ7fが設けてあって押圧バネ7dの中央空間に挿入されて押えプレート7eの位置がずれないようにしてある。
本発明は、シャッター板を使用することなく緊張定着されたグランドアンカーの除荷作業を可能とした除荷用カプラーであって、除荷用クサビと引張用クサビの大きさを同じ大きさとして除荷用カプラー全体をスリムとし、除荷用カプラーの下部材に緊張鋼材との干渉を避けるための切欠を設ける必要をなくすることを課題とするものである。
スライドキャップの両側面にはガイドピンが挿入されるスライド溝が形成してあり、下部材の両側面にはスライドキャップの上下動をガイドするガイドピンが形成されているグラウンドアンカー除荷用カプラーである
また、シャッターを除荷用カプラーとアンカーヘッドの間に手作業で挿入することなく除荷用クサビがアンカーヘッドの表面に当接して緊張材との噛み合いが解放されることによってグラウンドアンカーの除荷作業を実施することができるので作業員にとって危険が少なく、かつ、グラウンドアンカーの除荷作業を効率よく行うことができ、除荷作業のコスト削減が達成される。
図5の除荷用カプラー7の組み立て断面図及び分解部品図及びアンカーヘッド断面図に示すように、除荷用カプラー7は、円筒形であって引張用クサビ3aが挿入される引張用クサビのテーパー穴71aを設けた上部材7aと除荷用クサビ3bが挿入される除荷用クサビのテーパー穴71bを有する下部材7b及び上部材7aと下部材7bをネジ接続によって一体化するジョイント7cで構成されており、ジョイント7cには外ネジが形成してあり、上部材7aと下部材7bには接続用の内ネジが形成してあり、上部材7a、下部材7b、ジョイント7cはネジ結合によって一体化される。
スライドキャップ8の側面の対向位置にはガイドピン8dが挿入されるスライド溝8aが形成されており、ガイドピン8dの先端部にはネジが設けてあり、下部材7bの側面に形成したガイドピン8d固定用のネジ穴7mに着脱可能に固定されている。このガイドピン8dを下部材7bから取り外すことによってスライドキャップ8を下部材7bから取り外すことができる。
スライドキャップ8を下部材7bの下端から挿入し、スライド溝8aをネジ穴7mの位置に合わせガイドピン8dをネジ穴7mに固定する。ガイドピン8dの固定手段はネジ固定に限定されものでなく、他の固定手段を採用することができる。
スライドキャップ8の底面には穴8b(直径φc)が形成してあり、この穴8bの直径(φc)はグラウンドアンカーの緊張鋼線2が通過可能の大きさとしてあり、緊張鋼線2はこの穴8bを通過し、下部材7bにおいて除荷用クサビ3bに固定される。また、この穴8bの直径(φc)は、除荷用クサビ3bの先端部の直径(φn)より小さなものとしてあり、除荷用クサビ3bは、スライドキャップ8の底面に当たって停止する。また、下部材7bのテーパー穴71bの小端径(φj)は、除荷用クサビ3bの先端部の直径(φn)より幾分大きくし、除荷時に除荷用クサビ3bの先端部がテーパー穴71bの小端から2〜5mm程度出るようにしてある。アンカーヘッド4のクサビ穴の直径(φa)、下部材7bのテーパー穴71bの小端径(φj)、除荷用クサビの先端の直径(φn) 及びスライドキャップ8の穴の直径(φc)の大小関係は以下のようになる。
φa>φj>φn>φc
従って、除荷作業中において定着クサビ3がアンカーヘッド4から引き抜かれて除去され、除荷のための引張力が解放されると除荷用クサビ3bは、アンカーヘッド4の表面で停止したスライドキャップ8の底部8cに当接して下部材7bの内部に押し上げられ、除荷用クサビ3bが緊張材2の頭部2aから外れて下クサビ穴から取り除かれる。
押圧バネ7dの端部には押さえプレート7eが設けてあり、押圧バネ7dの弾発力を引張用クサビ3aと除荷用クサビ3bに効率的に伝達されるようにしてある。押さえプレート7eは、円形で中央部に穴を有しており、この穴を緊張材2及び延長緊張材2eが通過可能であり、穴の縁にはフランジ7fが設けてあって押圧バネ7dの中央空間に挿入されて押えプレート7eの位置がずれないようにしてあり、クサビの押圧方向が正確にクサビ穴に向かうようにしてある。
図7は、定着クサビ3をアンカーヘッドから外すために緊張鋼線2に加えた緊張力を緩め、緊張鋼線2の弾性復元力によって最初の状態に戻るところを示すものであり、下部材7bの先頭部にあるスライドキャップ8がアンカーヘッド4の表面に到達した状態を示している。
下部材7bのテーパー穴71bの小端径(φj)より除荷用クサビ3bの先端の直径(φn)、そしてスライドキャップ8の穴8bの直径(φc)への順に小さくしてあるので除荷用クサビ3bの先端部は、下部材7bのテーパー穴71bの小端から数mm程度突出し、スライドキャップ8の底部8cに当接して上向きの力を受けるので緊張材頭部突出部2aと相対滑動し、緊張材頭部突出部2aから外れる。また、押圧バネ7dの押圧力が大きすぎると除荷用クサビ3bが解放されない恐れがあるので、押圧バネ7dの押圧力を適宜なものに設定する必要がある。
<施工手順>
図8
(1)グラウンドアンカーの緊張材2を固定しているアンカーヘッド4に被せてあるアルミキャップ1及びヘッドキャップ1aを取り外しアンカーヘッド4と緊張材2の頭部2aを露出させる。
(2)アンカーヘッド4を包囲するジャッキチェアー9bをアンカープレート5の上にセットし、ジャッキチェアー9bにジャッキ(センターホールジャッキ)9aを載せる。
(3)除荷すべき緊張材2の頭部2aを除荷用カプラー7の下部材7bに挿入して除荷用クサビ3bをセットする。下部材7bにセットした除荷用クサビ3bは、下部材7bの端部より装着されている押圧バネ7dの押圧力によって緊張材2の頭部2aに噛み合って固定される。
除荷用カプラー7の上部材7aに引張用クサビ3aで延長緊張材2eの一端を固定し、他端をジャッキ9aの上部に設置したプリングヘッド9cにプリングチャック9dで固定する。
(4)ジャッキ9aを作動させて除荷用クサビ3bが緊張材頭部突出部2aを掴んで緊張材2に引張力を加えて引き上げ、アンカーヘッド4のクサビ穴に固定されている定着クサビ3をアンカーヘッド4から引き出す。
除荷時に、上下の押圧バネ7dが引張用クサビ3aと除荷用クサビ3bをそれぞれ押し付けることによって、引張用クサビ3aと除荷用クサビ3bはそれぞれ延長用の緊張材2eと緊張材2の短い頭部2aを滑らずにしっかり掴んで引張力を加えて定着クサビ3をアンカーヘッド4より引き上げることを可能としている。
(5)アンカーヘッド4から抜き出された定着クサビ3を取り外す。このときジャッキ9aは作動させたままであり、緊張材2には引張力が作用している。
(6)ジャッキ9aのストロークを戻して緊張力を解放すると緊張材2は弾性復元力によって未緊張の状態に戻ろうとするので、除荷用クサビ3bの先端部は、下部材7bのテーパー穴71bの小端から数mm程度で僅かに出てくる。その後に、下部材7bの先端部に嵌合しているスライドキャップ8はアンカーヘッド4の表面に当接する。
図10
(7)更に緊張材2はその弾性復元力によって除荷用クサビ3bを引き下げるので除荷用クサビ3bは、アンカーヘッド4からの反力で上に押し上げられて除荷用カプラー7(下部材7b)のクサビ穴71bから外れ、緊張材2は引張力が作用していない状態、すなわち除荷状態となる。
(8)除荷用カプラー7はアンカーヘッド4の上に載せてあるだけの状態となるので容易に取り外すことができる。
(9)以上の(1)〜(8)の工程の作業を残りの緊張材2に対しても実施することによって緊張材2をアンカーヘッド4に定着していた定着クサビ3を全て取り外し、ジャッキ9a及びジャッキチェアー9bをアンカーヘッド4から取り外す。
図11
(10)アンカーヘッド4、アンカープレート5などを取り外し、グラウンドアンカーの点検をおこない、必要があれば補修工事を実施する。
1a ヘッドキャップ
2 緊張材
2a 緊張材頭部突出部
2e 延長用の緊張材
3 定着クサビ
3a 引張用クサビ
3b 除荷用クサビ
4 アンカーヘッド
4a クサビ穴(テーパー穴)
5 アンカープレート
5a アンダープレート
5b アンダーキャップ
6 パイロットキャップ
7 除荷用カプラー
70 従来の除荷用カプラー
7a 上部材
7b 下部材
7c ジョイント
7d 押圧バネ
7e 押え板
7f フランジ
7h 隔壁(ジョイント)
7m ガイドピン固定穴(ネジ穴)
71a 引張用クサビのテーパー穴
71b 除荷用クサビのテーパー穴
73 凹部(押圧バネ収容)
8 スライドキャップ
8a スライド溝
8b 底部穴
8c 底部
8d ガイドピン
9a ジャッキ
9b ジャッキチェアー
9c プリングヘッド
9d プリングチャック
9e 開口
φa アンカーヘッドのクサビ穴の直径
φc スライドキャップの底部穴の直径
φj 下部材のテーパー穴の小端径
φn 引張用クサビ3a、除荷用クサビ3bの先端部直径
スライドキャップの両側面にはガイドピンが挿入されるスライド溝が形成してあり、下部材の両側面にはスライドキャップの上下動をガイドするガイドピンが形成されているグラウンドアンカー除荷用カプラーである。
Claims (4)
- アンカーヘッドに定着クサビで緊張材が緊張状態で定着されているグラウンドアンカー除荷用カプラーであって、クサビ穴を有する上部材と下部材がジョイントで接合されており、下部材の先端側にスライドキャップが上下にスライド可能に取り付けてあり、このスライドキャップの底部に緊張鋼材が通過可能であって、かつ、除荷用クサビの先端直径より小径の穴が形成してあることを特徴とするグラウンドアンカー除荷用カプラー。
- 請求項1において、下部材の先端側の外径は所定の長さにわたって細くしてあり、その長さ範囲内にスライド可能に取り付けられるスライドキャップの外径は、下部材と同径にしてあることを特徴とするグラウンドアンカー除荷用カプラー。
- 請求項1または2において、スライドキャップの両側面にはガイドピンが挿入されるスライド溝が形成してあり、下部材の両側面にはスライドキャップの上下動をガイドするガイドピンが着脱自在に設けてあるグラウンドアンカー除荷用カプラー。
- 請求項1〜3のいずれかにおいて、ジョイントは上下を仕切る隔壁を有し、この隔壁に凹部が形成してあり、上下の凹部に除荷用クサビ及び引張用クサビをクサビ穴に噛み合う方向に付勢する押圧バネが挿入してあるグラウンドアンカー除荷用カプラー。
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