JP2019031765A - 圧着用印刷用紙および圧着用紙 - Google Patents
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(1)オフセット印刷機に対する印刷適性を有する(オフセット印刷適性)
(2)インクジェット印刷機に対する印刷適性を有する(インクジェット印刷適性)
(3)電子写真印刷機に対する印刷適性を有する(電子写真印刷適性)
(4)感熱接着層と最外塗工層とが上手く接着できる(接着適性)
ここで、「印刷適性を有する」とは、オフセット印刷においてブランケットパイリングの発生等が抑制されること、インクジェット印刷において印刷部分の汚れの発生等が抑制されること、電子写真印刷において転写不良等が抑制されることを指す。
[1]原紙および前記原紙の少なくとも片面に塗工層を有し、前記塗工層を有する側に画像を印刷した後に支持体の少なくとも片面に疑似接着剤を有する疑似接着層および感熱接着剤を有する感熱接着層をこの順序で設けた積層シートを用いて印刷面を外から遮蔽する用途の圧着用印刷用紙であって、JIS P 8143:2009に準拠して求められるMD方向のクラークこわさが80cm3/100以上150cm3/100以下であり、前記塗工層中、原紙を基準として最外に位置する最外塗工層においてJIS P 8140:1998に準拠して求められる10秒コッブサイズ度が10g/m2以上25g/m2以下およびデニソンワックス値No.が9A以上14A以下である圧着用印刷用紙。
本明細書中で使用される場合、「圧着用印刷用紙」とは、印刷機を用いて印刷する前のものを指す。「圧着用紙」とは、圧着用印刷用紙に対して印刷機を用いて画像が印刷され、圧着用印刷用紙の画像が印刷された最外塗工層に、支持体の少なくとも片面に疑似接着剤を有する疑似接着層および感熱接着剤を有する感熱接着層をこの順序で設けた積層シートの感熱接着層が接着したものを指す。
インクジェット印刷機は、印刷諸条件に依存するものの一般家庭向けおよびSOHO向けインクジェットプリンター、並びに大判インクジェットプリンターに比べてカラー印刷速度が数十倍と速く、印刷速度が60m/分以上、より高速では100m/分を超える。このため、インクジェット印刷機は、一般家庭向けおよびSOHO向けインクジェットプリンターおよび大判インクジェットプリンターと区別される。
インクジェット印刷機には、用紙搬送の違いによって連続紙タイプとカット紙タイプがある。また搭載するインク種には、色材が染料である水性染料インクと色材が顔料である水性顔料インクとがある。インクジェット印刷機の用紙搬送またはインク種についてはいずれでも構わない。インクジェット印刷機の印刷速度は、商業印刷の生産性が重視され、生産性として60m/分以上が望まれる。カット紙タイプの場合は、印刷速度は、毎分当たりの印刷される用紙サイズから算出する。
圧着用印刷用紙は、原紙および前記原紙の少なくとも片面に塗工層を有する。ここで、「塗工層を有する」とは、印刷用紙の断面を電子顕微鏡によって観察した際に、原紙と区別できる明確な塗工層を有する印刷用紙を指す。例えば、樹脂成分やポリマー成分を塗工し、塗工された前記成分が少量であって原紙に吸収され、結果として、印刷用紙の断面を電子顕微鏡によって観察した際に原紙と区別できる明確な層を有しない場合、「塗工層を有する」に該当しない。
カレンダー処理とは、ロール間に紙を通すことによって平滑性や厚みを平均化する処理である。カレンダー処理の装置としては、例えば、マシンカレンダー、ソフトニップカレンダー、スーパーカレンダー、多段カレンダー、マルチニップカレンダーなどを挙げることができる。
本発明の圧着用印刷用紙には、最外塗工層がキャスト処理された圧着用印刷用紙を含めない。
紙のこわさは、紙の折り曲げに対する抵抗性を表す値である。そしてこわさは、紙の水分量に左右される紙の折り曲げに対する抵抗性を表す値である。コッブサイズ度は、紙の吸水性を表す値である。そしてコッブサイズ度は、紙表面の親水性に左右される紙の吸水性を表す値である。デニソンワックス値は、紙の表面強度を表す値である。そしてデニソンワックス値は紙表面の微細な凹凸有無に左右される紙の表面強度を表す値である。
本発明の効果が得られる理由は不明であるが、本発明者は、これら値を満足することの相乗効果によって、オフセット印刷適性、インクジェット印刷適性および電子写真印刷適性と接着適性とが特異的に得られたものと推察する。
さらに具体的には以下である。
圧着用印刷用紙のMD方向のクラークこわさは、ほぼ原紙に依存する。こわさは、坪量増、パルプのN材増、カレンダー処理による圧縮率減により高くなる。
最外塗工層の10秒コッブサイズ度は、最外塗工層だけでなく原紙にも依存する。コッブサイズ度は、原紙のサイズ剤含有量減、最外塗工層の顔料に平板状白色顔料含有量減、最外塗工層のバインダー含有量減、最外塗工層中のカチオン性樹脂含有量減、滑剤などの疎水性化合物含有量減およびカレンダー処理による圧縮率減により高くなる。
最外塗工層のデニソンワックス値は、最外塗工層だけでなく原紙にも幾分依存する。デニソンワックス値は、原紙のサイズ剤含有量増、最外塗工層の顔料に平板状白色顔料含有量減、最外塗工層のバインダーおよび/または分散剤含有量増、およびカレンダー処理による圧縮率減により高くなる。
最外塗工層の75度光沢度は、最外塗工層だけでなく原紙にも幾分依存する。75度光沢度は、原紙のサイズ剤含有量増、最外塗工層のバインダー含有量減、滑剤などの疎水性化合物減、およびカレンダー処理による圧縮率増により高くなる。
白色顔料は、カオリンおよび炭酸カルシウムを少なくとも含有することが好ましい。最外塗工層中のカオリンと炭酸カルシウムとの含有質量比は、カオリン:炭酸カルシウム=1:9〜6:4が好ましい。最外塗工層の白色顔料中、カオリンおよび炭酸カルシウムが占める割合は80質量%以上である、ことが好ましい。
また、炭酸カルシウムは、重質炭酸カルシウムが好ましい。
最外塗工層のバインダーは、澱粉およびその各種変性澱粉、ポリビニルアルコールおよびその各種変性ポリビニルアルコール、並びにスチレン−ブタジエン系樹脂からなる群から選ばれる1種または2種以上である、ことが好ましい。
最外塗工層の滑剤は、高級脂肪酸塩から選ばれる1種または2種以上が好ましい。
最外塗工層の分散剤は、ポリカルボン酸系樹脂およびアクリル系樹脂からなる群から選ばれる1種または2種以上が好ましい。
分散剤は、バインダーと重なる名称の材料が存在する。しかしながら、分散剤として使用する材料はバインダーに比べて最外塗工層中の含有量が明確に少なく、また、分散剤はバインダーに比べて分子量が小さいため、区別できる。
カチオン性樹脂の例としては、ポリエチレンイミン、ポリアミンおよび変性ポリアミン、ポリビニルピリジン、ポリアミドアミン、ポリビニルアミン、変性ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリアリルアミン、ポリジアルキルアミノエチルメタクリレート、ポリジアルキルアミノエチルアクリレート、ポリジアルキルアミノエチルメタクリルアミド、ポリジアルキルアミノエチルアクリルアミド、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、アリルジメチルアンモニウムクロライドとアクリルアミド等との共重合物、ジメチルアミン−エピクロルヒドリン重縮合物等の脂肪族モノアミンとエピハロヒドリン化合物との重縮合物もしくはジエチレントリアミン−エピクロルヒドリン重縮合物等の脂肪族ポリアミンとエピハロヒドリン化合物との重縮合物、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン、ジシアンジアミド−ホルマリン重縮合物、ジシアンジアミドジエチレントリアミン重縮合物、ポリエポキシアミン、並びにポリアミド−エポキシ系樹脂を挙げることができる。カチオン性樹脂の平均分子量は特に限定されない。カチオン性樹脂の数平均分子量は、500以上100000以下が好ましく、1000以上60000以下がより好ましい。
最外塗工層は、これらカチオン性樹脂からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有することができる。
最外塗工層のカチオン性樹脂は、変性ポリアミンおよび変性ポリアミドからなる群から選ばれる1種または2種以上が好ましい。
本発明の圧着用紙は、圧着用印刷用紙と、圧着用印刷用紙の最外塗工層を有する側にオフセット印刷機、並びにインクジェット印刷機および/または電子写真印刷機を用いて印刷して形成された画像と、画像を形成した最外塗工層上に支持体の少なくとも片面に疑似接着剤を有する疑似接着層および感熱接着剤を有する感熱接着層をこの順序で設けた積層シートとを備える。ここで、支持体の少なくとも片面に疑似接着剤を有する疑似接着層および感熱接着剤を有する感熱接着層をこの順序で設けた積層シートの感熱接着層と、圧着用印刷用紙の最外塗工層とが感熱接着する。
疑似接着剤を有する疑似接着層が剥離可能となる。支持体の少なくとも片面に疑似接着剤を有する疑似接着層および感熱接着剤を有する感熱接着層をこの順序で設けた積層シートの感熱接着層と圧着用印刷用紙の最外塗工層とが接着した状態から、疑似接着層が剥離でき、残る感熱接着層が透明であることから最外塗工層に印刷された画像が視認できる。
支持体の両面に感熱接着層を有することで、圧着用印刷用紙の二つ折りおよび三つ折りの圧着、並びに2枚の圧着用印刷用紙の圧着に対応することができる。
濾水度400mlcsfのLBKP100質量部からなるパルプスラリーに、填料として炭酸カルシウム6質量部、両性澱粉1.0質量部、硫酸バンド0.8質量部、AKD内添サイズ剤を添加して紙料を調成し、該紙料を長網抄紙機で抄造し、得られた抄造紙の両面にサイズプレス装置で澱粉を付着させ、マシンカレンダー処理をして原紙を作製した。所定の物性値になるように、内添サイズ剤の含有量、並びにカレンダー処理のニップ線圧および金属ロールの温度を調整した。サイズ剤の添加量は表1に記載する。
最外塗工層塗工液は、下記の内容により調製した。
カオリン 部数は表1に記載
炭酸カルシウム 部数は表1に記載
シリカ 部数は表1に記載
澱粉 部数は表1に記載
スチレン−ブタジエン系樹脂 部数は表1に記載
滑剤 部数は表1に記載
分散剤 部数は表1に記載
カチオン性樹脂 部数は表1に記載
上記の内容で配合し、水で混合・分散して、濃度48質量%に調整した。
なお、滑剤にはステアリン酸カルシウムを、分散剤にはアクリル系樹脂を、カチオン性樹脂には変性ポリアミドを用いた。
圧着用印刷用紙を以下の手順にて作製した。
原紙上に最外塗工層塗工液をブレードコーターにて両面塗工し、その後に熱風乾燥機で乾燥した。さらに乾燥後に、カレンダー処理を施した。塗工量は、片面あたり14g/m2とした。カレンダー処理は、弾性ロールと金属ロールとからなる装置を使用した。
所定の物性値になるように、最外塗工層塗工液の配合、並びにカレンダー処理のニップ線圧および金属ロールの温度を調整した。
JIS P 8143:2009に規定されたクラークこわさ試験機法に準拠し、圧着用印刷用紙についてMD方向のクラークこわさを測定した。測定結果を表1に記載する。
JIS P 8140:1998に規定されたコッブ吸水度測定方法に準拠し、圧着用印刷用紙の最外塗工層について10秒コッブサイズ度を測定した。測定溶媒と最外塗工層との接触時間は10秒とした。測定の溶媒は純水を用いた。測定結果を表1に記載する。
JIS P 8129:1998に規定された紙及び板紙の表面強さ試験方法に準拠し、圧着用印刷用紙の最外塗工層について表面強さをデニソンワックスNo.8A〜16Aを用いてデニソンワックス値を測定した。測定結果を表1に記載する。
JIS Z 8741:1997に規定された光沢度測定法に準拠し、村上色彩技術研究所社のデジタル光沢計GM−26D型を用いて、入反射角度を75度として圧着用印刷用紙の最外塗工層について光沢度を測定した。測定結果を表1に記載する。
オフセット印刷機としてミヤコシ社のオフセットフォーム輪転機、インクジェット印刷機としてSCREENグラフィックソリューションズ社のインクジェット印刷機TruePress Jet520および電子写真印刷機としてキヤノン社の電子写真印刷機ImageRUNNER(登録商標) ADVANCE C5051を用いて、評価画像を圧着用印刷用紙の最外塗工層を有する側に印刷した。
オフセットフォーム輪転機を使用し、印刷速度:150m/分、使用インク:T&K TOKA UVベストキュア墨および金赤、UV照射量:8kW2基の条件で6000mの印刷を行った。印刷後のブランケットパイリングの発生状況および印刷画像の状態について目視により評価した。本発明において評価3〜5であれば、圧着用印刷用紙は、オフセット印刷適性を有するものとする。
5:極めて良好。
4:良好。
3:実用上問題ない範囲。
2:不良。
1:極めて不良。
インクジェット印刷機を使用し、印刷速度:64m/分、使用インク:水性顔料インクの条件で6000mの印刷を行った。評価画像は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各単色およびブラックを除く他3色インクからの2重色(レッド、グリーン、ブルー)の計7色のベタパターンを、3cm×3cm四方で横一列に隙間なく配置した画像とした。各色ベタ印刷部分の汚れの発生状態について目視により評価した。本発明において評価3〜5であれば、圧着用印刷用紙は、インクジェット印刷適性を有するものとする。
5:極めて良好。
4:良好。
3:実用上問題ない範囲。
2:不良。
1:極めて不良。
電子写真印刷機を使用し、印刷速度:51枚/分(A4ヨコサイズ)、乾式トナーの条件で10000枚の印刷を行った。評価画像は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各単色およびブラックを除く他3色インクからの2重色(レッド、グリーン、ブルー)の計7色のベタパターンを、3cm×3cm四方で横一列に隙間なく配置した画像とした。各色ベタ印刷部分のトナー転写不良またはブリスター(火ぶくれ)の状態について目視により評価した。本発明において評価3〜5であれば、圧着用印刷用紙は、電子写真印刷適性を有するものとする。
5:極めて良好。
4:良好。
3:実用上問題ない範囲。
2:不良。
1:極めて不良。
接着適性は、感熱接着した後、積層シートの感熱接着層と画像が印刷された圧着用印刷用紙の最外塗工層との接着強度から判定した。接着強度は、テンシロン万能引っ張り試験機を用いて測定を行った。圧着用紙における感熱接着層と、画像が印刷された最外塗工層との接着強度を(N/25mm)で表した。
積層シートの感熱接着層と画像が印刷された圧着用印刷用紙の最外塗工層との接着強度は、少なくとも、疑似接着層を剥離する際の力で剥離しない程度の十分な強度が要求される。さらに、輸送中などの衝撃で剥がれない程度の十分な強度が要求される。疑似接着層における剥離強度は0.2N/25mm以上0.4N/25mm以下が好ましいことから、積層シートの感熱接着層と画像が印刷された圧着用印刷用紙の最外塗工層との接着強度は、実用性から、1.0N/25mm以上が要求される。以上から、接着強度の値から下記の数値範囲により接着適性を評価した。本発明において評価3〜5であれば、圧着用紙は、接着適性を有するものとする。
5:1.50N/25mm以上。
4:1.25N/25mm以上1.5N/25mm未満。
3:1.0N/25mm以上1.25N/25mm未満。
2:0.8N/25mm以上1.0N/25mm未満。
1:0.8N/25mm未満。
また、主に実施例1と実施例8および9との対比から、接着適性の点で、75度光沢度が20%以上40%以下が好ましいことが分かる。
Claims (2)
- 原紙および前記原紙の少なくとも片面に塗工層を有し、前記塗工層を有する側に画像を印刷した後に支持体の少なくとも片面に疑似接着剤を有する疑似接着層および感熱接着剤を有する感熱接着層をこの順序で設けた積層シートを用いて印刷面を外から遮蔽する用途の圧着用印刷用紙であって、JIS P 8143:2009に準拠して求められるMD方向のクラークこわさが80cm3/100以上150cm3/100以下であり、前記塗工層中、原紙を基準として最外に位置する最外塗工層においてJIS P 8140:1998に準拠して求められる10秒コッブサイズ度が10g/m2以上25g/m2以下およびデニソンワックス値No.が9A以上14A以下である圧着用印刷用紙。
- 請求項1に記載の圧着用印刷用紙と、前記圧着用印刷用紙の最外塗工層を有する側にオフセット印刷機、並びにインクジェット印刷機および/または電子写真印刷機を用いて印刷された画像と、画像を形成した最外塗工層に感熱接着層を介して接着した前記積層シートと、を備えた圧着用紙。
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JP2017154862A JP6753824B2 (ja) | 2017-08-10 | 2017-08-10 | 圧着用印刷用紙および圧着用紙 |
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JP7100934B1 (ja) * | 2022-04-07 | 2022-07-14 | 株式会社Tbm | 印刷用シート、及びその製造方法 |
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2017
- 2017-08-10 JP JP2017154862A patent/JP6753824B2/ja active Active
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