JP2019031406A - 硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】塩基度が70%を超える凝集力が高い高塩基度の塩基性塩化アルミニウムを、より工程数や製造時間を抑えた簡便な方法で、安価に大量生産を可能な製造方法の提供。【解決手段】水酸化アルミニウムと塩酸とを高温高圧下で反応させ塩基性塩化アルミニウムを得る第1の段階と、塩基性塩化アルミニウムと硫酸塩を混合し、塩基性塩化アルミニウムに硫酸イオンを含有させる第2の段階と、得た硫酸イオン含有塩基性塩化アルミニウムに炭酸塩及び/又は炭酸水素塩からなるアルカリ剤を添加して塩基度を高めた硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウムを得る第3の段階を備え、第3の段階で、温度を40〜65℃とすると共に、アルカリ剤の添加を断続的に行う硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウムの製造方法。第3段階で用いるアルカリ剤がNa2CO3及び/又はNaHCO3であることが好ましい、硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウムの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、水処理用の凝集剤等に利用される硫酸イオン含有塩基性塩化アルミニウムの製造方法に関するものであり、より詳しくは、従来の方法よりも工程数や製造時間を削減できて製造効率を向上しながらも、塩基度が高く凝集性能が高い硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウムを製造する方法に関するものである。
塩基性塩化アルミニウムは、一般的にはポリ塩化アルミニウム(PAC)と呼ばれ、浄水用や排水用の凝集剤として、硫酸バンドと呼ばれることもある液体硫酸アルミニウム(LAS)などと共に広く使用されている。このような塩基性塩化アルミニウムは、[Al(OH)Cl6−n]で表される単位が重合した高分子形態を有しており、多くは、これに硫酸イオン(以下、これを「硫酸根」という場合がある。)が導入されて被処理水に対する凝集力を高めたものが知られているが、このOH基のAlに対する結合割合を表す塩基度がn/6×100(%)で表され、これが45%以上のものが有効な凝集力を示すことが知られており、公益社団法人 日本水道協会(JWWA)において規格化されている。一般品の塩基度は、概ね45〜65%程度である。
近年、塩基度が70%を超えるような高塩基度の塩基性塩化アルミニウムがJWWAにおいて新たに規格化されるように、より高性能な高塩基度の塩基性塩化アルミニウムの市場導入が求められている。このような高塩基度を有する塩基性塩化アルミニウムを用いると、凝集剤に由来する残存アルミニウム濃度を低減することができ、また、従来の塩基度を有する塩基性塩化アルミニウムよりもアルカリ消費量が少なくてそれに伴うpHの低下も少ないという特徴がある。それ故、例えば、高濁度な原水の処理においてアルカリ度の確保に苦慮している浄水場で使用すると、アルカリ度不足とそれに伴う低pH値による凝集不良が生じにくくなる事や、アルカリ成分の注入量管理等の負担が軽減されることが期待される。
塩基性塩化アルミニウムは、硫酸イオンを導入した形態も含めて、従来からいくつかの製造方法が示されており(例えば、特許文献1を参照)、塩基度が70%を超えるような試みも成されている。しかしながら、塩基度が70%を超えるような高塩基度の塩基性塩化アルミニウムについては、従来の製造方法ではいくつかの課題を有していた。
例えば、特許文献2には、水酸化アルミニウムと塩酸とを加圧下で反応させて塩基度が40〜60%の塩基性塩化アルミニウムを得たのちに、これに、アルミン酸アルカリを原料としたアルミナゲルを添加して塩基度が40〜80%である塩基性塩化アルミニウムを製造する方法が開示されているが、一般的にアルミナゲルの製造においては高せん断力攪拌または高速攪拌できる特殊な装置を必要とし、また、この製造方法では、その実施例に記載されている通り、アルミナゲル中のナトリウム含有量及び硫酸根含有量を低減するために、アルミナゲルを固液分離、洗浄する操作が必要であることから、操作が煩雑になるだけでなく、工程数が増加することが懸念される。
また、特許文献3には、塩基度が35〜63%の塩基性塩化アルミニウムを用意し、この塩基性塩化アルミニウムとアルミン酸ソーダ水溶液とを二流体ノズルを用いて噴流混合し、得られた混合物を所定の温度及び時間で熟成し、最後に得られた熟成液に対して硫酸アルミニウムを添加することにより、塩基度が45〜80%の硫酸根変性塩基性塩化アルミニウムを製造する方法が開示されているが、この特許文献3の製造方法に関しても、原料としてアルミン酸ソーダを用いているため、上記特許文献2と同様の問題の発生が懸念されることや、二流体ノズルを用いた噴流攪拌を特徴としていることから、水に溶解しない成分の生成やAlの高重合度化の抑制には寄与すると考えられるものの、やはり実際には炭酸カルシウムを添加して未反応の硫酸根を硫酸カルシウムとして分離せざるをえず、更に硫酸カルシウムの処理に負荷がかかるといった問題の発生が懸念される。なお、この特許文献3に記載の実際の方法では、塩基度が70%を超える硫酸根変性塩基性塩化アルミニウムは得られていない。
さらに、特許文献4には、所定の組成(Al濃度、Cl/Al2O3、SO4/Al2O3)を有し且つ塩基度が40〜63%の塩基性塩化アルミニウム溶液に、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の化合物を添加して、所定の温度及び時間で熟成させて、特定のNMRピークを有すると共に、塩基度が70%を超えるような被処理水の凝集力の高い塩基性塩化アルミニウムの製造方法を開示している。しかしながら、この特許文献4に記載された製造方法は、熟成工程を必須としており、また、その場合の温度が65℃以上と比較的高くしなければならないことから、製造工程や製造設備が複雑化するだけでなく、とりわけ水に溶解しない成分の析出が懸念され、更には高温で熟成する必要があることからその熟成工程の最中に分解してしまうことが懸念されるなど、高塩基度の塩基性塩化アルミニウムを簡便に安価で量産できる製造方法であるとは言い難い。また、得られた塩基性塩化アルミニウムが特定のNMRピークを有するようにするために、熟成工程での温度や時間について綿密な調整を要する方法であることから、このような点でも、製造工程が複雑化することが懸念される。
特開平10−245220号公報 特開2000−271574号公報 特開2017−52675号公報 特開2009−203125号公報
前記したように、従来から塩基度が70%を超えるような高塩基度の塩基性塩化アルミニウムを得る提案それ自体はあったものの、従来の製造方法では、製造工程や製造設備が複雑化することや、大量のろ滓が発生するなどの問題の発生が懸念されており、より工程数や製造時間を抑えた簡便な方法で、尚且つ安価に塩基度をより高めた塩基性塩化アルミニウムを量産する製造方法の開発が進んでいるとは言い難い状況である。特に、本願の発明者らの検証によれば、高塩基度化させるに際して水に溶解しない成分が多量に生成されることや、それに伴い、得られた塩基性塩化アルミニムの凝集力が低下してしまうといった課題自体が認識されていない状況であった。
そこで、本願の発明者らは、従来からの製造方法を見直して、塩基度が70%を超えるような凝集力が高い高塩基度の塩基性塩化アルミニウムを、より工程数や製造時間を抑えた簡便な方法で、安価に大量生産できる製造方法について鋭意検討した結果、驚くべきことには、塩基度を高めていく工程において、炭酸ナトリウム等のアルカリ剤を添加する操作を断続的に行うこと、すなわち、当該アルカリ剤を添加処理する全工程の中において、アルカリ剤の添加を中断しながらも攪拌混合する操作を一定割合設けることを必須とすることにより、前述のような塩基度が70%を超えつつも、水に溶解しない成分の生成を可及的に抑えることができ、しかも熟成工程を省略できることから結果的に製造時間を短縮化できるだけでなく、凝集力にも優れた塩基度の高い塩基性塩化アルミニム(硫酸イオンを含む硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウム)が得られることを新たに見出して、本発明を完成させた。
従って、本発明の目的は、塩基度が70%を超えるような凝集力が高い高塩基度の塩基性塩化アルミニウム(硫酸イオンを含む硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウム)を、より工程数や製造時間を抑えた簡便な方法で、安価に大量生産できる製造方法を提供することである。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
[1]水酸化アルミニウムと塩酸とを高温高圧下で反応させて塩基性塩化アルミニウムを得る第1の段階と、この得られた塩基性塩化アルミニウムと硫酸塩とを混合して、塩基性塩化アルミニウムに硫酸イオンを含有させる第2の段階と、得られた硫酸イオン含有塩基性塩化アルミニウムに炭酸塩及び/又は炭酸水素塩からなるアルカリ剤を添加して塩基度を高めた硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウムを得る第3の段階とを備え、
第3の段階では、温度を40〜65℃とすると共に、アルカリ剤の添加を断続的に行うことを特徴とする硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウムの製造方法。
[2]前記第3の段階における断続的なアルカリ剤の添加として、
i)予め、アルカリ剤の必要添加量の2〜8割を添加する段階と、
ii)次いで、そのアルカリ剤の添加に要した時間の2〜8割の時間を、アルカリ剤の添加を行わず攪拌混合操作を行う段階と
を1サイクルとして、これを複数サイクル繰り返して、アルカリ剤の添加を完了するようにすることを特徴とする[1]に記載の硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウムの製造方法。
[3]前記第3の段階で用いられるアルカリ剤は、炭酸ナトリウム及び/又は炭酸水素ナトリウムであることを特徴とする[1]又は[2]に記載の硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウムの製造方法。
[4]塩基度が67〜75%である硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウムを得ることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウムの製造方法。
[5]前記第1の段階では、得られる塩基性塩化アルミニウムの塩基度を40〜60%とすることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウムの製造方法。
本発明によれば、塩基度が70%を超えるような凝集力が高い高塩基度の塩基性塩化アルミニウムを、より工程数や製造時間を抑えた簡便な方法で、安価に大量生産することが可能となるため好ましい。また、水に溶解しない成分の生成が極めて少ないことにより、とりわけ、最終生成物を得る際の精製工程においてフィルターの目詰まり等が軽減されるため、処理時間の短縮ができる。長期的には、フィルター等の消耗設備の点検・交換頻度を少なくできること等が期待され、廃棄物、排液処理及び消耗設備にかかる作業負荷や費用を大幅に軽減することが期待される。
以下、本発明の製造方法を詳しく説明する。
本発明の製造方法は、少なくとも以下の3つの段階からなる。すわなち、(1)水酸化アルミニウムと塩酸とを高温高圧下で反応させて塩基性塩化アルミニウムを得る第1の段階と、この得られた塩基性塩化アルミニウムに硫酸塩を添加して硫酸イオンを含有させる第2の段階と、さらに、得られた硫酸イオン含有塩基性塩化アルミニウムに対して、炭酸塩及び/又は炭酸水素塩からなるアルカリ剤を添加して塩基度を高めることにより、硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウムを得る第3の段階とを備える。以下、各段階について詳しく説明する。
<第1の段階(塩基性塩化アルミニウムの製造)>
当該第1の段階では、水酸化アルミニウムと塩酸とを高温高圧下で反応させて塩基性塩化アルミニウムを得るが、この方法は常法に従って行うことができ、構造単位の反応式は以下の式(1)の通りに表すことができる。
2Al(OH)3+(6-n)HCl → Al2(OH)nCl6-n+(6-n)H2O ・・・(1)
この段階の反応によって得られる塩基性塩化アルミニウムについては、現実的な反応条件では、反応が塩基度40〜60%、より詳細には、40〜55%程度までしか進行しない。そのため、後述する第3の段階によって、塩基度をさらに向上させる工程を設ける必要がある。公知の種々の方法のうち、本発明においてこのように水酸化アルミニウムと塩酸とを高温高圧下での反応による方法を採用している理由としては、原料となる水酸化アルミニウムや塩酸は工業的に大量生産されており比較的入手が容易であることと、他の公知の反応と比較して工業スケールの生産が容易であることが挙げられる。
そして、この第1の段階で使用される原料の水酸化アルミニウムとしては、従来公知のものであれば制限はないが、Al換算で59〜66質量%のものを使用することが好ましく、特に汎用品として、日本軽金属株式会社製のSB92またはB52相当品を用いることが推奨される。また、原料の塩酸としては、30〜37%の濃塩酸を用いることが好ましい。また、これらを反応させる際の反応温度としては、100〜160℃、好ましくは130〜160℃程度の範囲であり、圧力は0.1〜0.5MPa、好ましくは、0.3〜0.5MPa程度であり、反応時間は、温度や圧力に応じて、例えば2〜24時間、好ましくは3〜8時間程度である。温度や圧力が上記の下限値よりも低い場合には、この第1の段階の反応が十分に進行しない虞があり、一方で、上限値を超える場合には、高温高圧にしても塩基度が向上しないにもかかわらず、装置の耐圧と耐熱が求められるため、高価な設備となってしまう。また、この反応は、温度及び圧力の調整が容易であること等の理由から、オートクレーブ装置を用いて行われることが好ましい。
そして、この段階の反応によって得られる塩基性塩化アルミニウムについては、塩基度は上述の通りのものであるが、Al換算でのAl濃度が10〜20質量%、特に16〜20質量%の範囲にあることが望ましい。Al濃度が上記範囲よりも高い塩基性塩化アルミニウムを製造する場合には、未反応の水酸化アルミニウム量の増加が懸念される。一方でAl濃度が上記範囲よりも低い場合には、保存安定性が悪化する懸念がある。
<第2の段階(硫酸イオンの導入)>
この第2の段階では、第1の段階で得られた上記の塩基性塩化アルミニウムと、水中で硫酸イオンを放出するような化合物とを混合することにより、塩基性塩化アルミニウムに硫酸イオンを導入する。この方法についても常法に従って行うことができ、硫酸イオンは塩基性塩化アルミニウム同士を繋ぐ架橋イオンとして働くことが期待される。
このような混合する化合物としては、硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウム、硫酸などの硫酸塩が挙げられ、好ましくは、塩基性塩化アルミニウムのAl濃度の低下を抑える理由から、硫酸アルミニウムを用いる。このような硫酸イオン導入のための操作は、同時注加でも一方注加でもかまわない。このような硫酸塩の混合量としては、混合後のAl換算のアルミニウム含有量に対する比率(モル比、SO4/Al2O3)が0.1〜0.35となる量が好ましい。また、混合する際の温度としては、次の第3の段階での反応時間の短縮のためや、或いは、保存安定性の低下を防ぐために、40〜100℃の温度が好ましく、60〜85℃であることがより好ましい。
そして、このような第2の段階による操作によって、第1の段階で得た塩基性塩化アルミニウムに対して硫酸イオンが導入される。本発明では、これを、硫酸イオン含有塩基性塩化アルミニウムと呼ぶこととする。硫酸イオンの存在状態は必ずしも定かではないが、Al原子と反応・結合しておらず、塩基性塩化アルミニウムのポリマー同士を繋げているものと推測されている。この硫酸イオンが導入される量としては、SO4/Al2O3<0.10の場合は凝集性能が低下し、また、SO4/Al2O3>0.35の場合は安定性が著しく低下するとの理由から、好ましくはAl換算のアルミニウム含有量に対する比率(モル比、SO4/Al2O3)で0.10〜0.35とすることがよく、これは、前記の硫酸アルミニウムの混合量によって調整することができる。
<第3の段階(アルカリ剤の添加による塩基度の上昇)>
そして、この第3の段階では、前記第2の段階で得られた硫酸イオン含有塩基性塩化アルミニウムに対して、炭酸塩及び/又は炭酸水素塩からなるアルカリ剤を添加することにより、硫酸イオン含有塩基性塩化アルミニウム分子中のCl分を減らしてOH分を増加させて、塩基度の上昇を図る。
本発明では、これにより塩基度を67〜75%とすることが好ましく、より好ましくは、塩基度が70%以上となるまでアルカリ剤を添加することがよい。75%を超えるような塩基度まで上昇させると、凝集性能が低下する場合や保存安定性が低下する場合があるため好ましくない。
ここで、このような第3の段階で添加される炭酸塩及び/又は炭酸水素塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウムといったアルカリ金属塩やアルカリ土類金属の塩であれば適宜選択できるが、水への溶解性が高いことや価格が安価であること等の理由から、炭酸ナトリウム及び/又は炭酸水素ナトリウムであることが好ましい。また、このようなアルカリ剤の全必要添加量としては、上昇させる塩基度に応じて定められるが、硫酸イオン含有塩基性塩化アルミニウム分子中から減らすCl原子1モルに対して、0.5当量の炭酸塩及び/又は1.0当量の炭酸水素塩を添加する。なお、減らすCl原子のモル数については、減らしたCl原子のモル数だけ、OHのモル数が増加するとして、第2の段階での塩基度と目標塩基度の差分とから求めることができる。アルカリ剤を添加する速度については適時決定すればよいが、1時間当たりAl 1モルに対して1〜20モル添加する事が好ましく、2〜10モル添加する事が特に好ましい。また、アルカリ剤を添加する際の温度については、分解や凝集性能の低下を極力避けるために、40〜65℃の温度が好ましく、50〜60℃だとより好ましい。添加時間(添加だけを行っている時間の合計)については、使用量に応じて適宜選択できるものであるが、後述する通り、水不溶解成分の生成を可及的に抑えることや、急激な反応による発泡を抑制する等の理由から、1時間以上が好ましく、2時間以上がより好ましい。上限値については、低塩基度での熱履歴による安定性の低下を抑制するために、12時間以下、より好ましくは6時間以下とすることがよい。なお、アルカリ剤を添加する際には、液を攪拌することが好ましい。
そして、本発明においては、特にこのアルカリ剤を添加する段階において、その際に、アルカリ剤を断続的に添加することが最も重要である。すなわち、「断続的」とは、アルカリ剤を添加する処理の全処理時間において、必ず、アルカリ剤の添加を中断する操作を一定時間設けることである。その理由としては、このアルカリ剤を添加することにより、第2の段階で得られた硫酸イオン含有塩基性塩化アルミニウムの塩基度が上昇していくが、その過程において、原理や機序は必ずしも定かではないが、局所的にアルカリ剤と前記第2の段階で得られた硫酸イオン含有塩基性塩化アルミニウムが反応することによりアルミン酸ソーダと推測される固体分が発生するような反応が過剰に進行されると推測され、それにより、混合液内でアルミン酸ソーダや水酸化アルミニウムや塩基度が過剰に高くなった塩基性塩化アルミニウムなどと推測されるような、難溶性の固形分が大量に析出し、更にはこれら固形分が成長して粒度が大きくなることで、更に難溶性の度合いが増してしまうといった現象を確認しているからである。このような固形分が大量に析出すると、仮にその後に溶液を十分に攪拌したり、或いは、従来技術で行われていたような熟成工程を設けたりしたとしても、固形分を溶解することができ難くなってしまうことを確認しており、それにより、ろ滓物が大量に発生して生産性の低下を招くことが分かっている。
そして、このような第3の段階において「断続的」にアルカリ剤を添加する方法のより具体的態様としては、前記第2の段階で得られた硫酸イオン含有塩基性塩化アルミニウムに対してアルカリ剤を添加する際に、i)先ず、前述したアルカリ剤の全必要添加量の2〜8割の添加量を添加した後に、ii)次いで、このi)の段階の添加時間(添加に要した時間)の2〜8割の時間について、アルカリ剤の添加は行わず攪拌混合のみを行う操作を実施することが好ましい。なお、このi)の段階における1回当たりの添加時間については、スケールや全添加量や添加を完了するために要する時間にも因るが、過度に添加・攪拌操作を実施すると操作が煩雑になることから、前記したアルカリ剤を添加する際に必要とする時間の2〜8割を1回当たりの添加時間とすることが好ましく、2.5〜7.5割がより好ましい。
ここで、添加量に関して、前記i)段階において、アルカリ剤の全必要添加量の2〜8割の添加量を好ましいとする理由は、難溶性の固形分が過度に成長する前に溶解させるため、あるいは固形分が過度に成長する事を防ぐためであり、添加量が2割未満であると固形分が成長していないため、攪拌混合のみを行う効果が薄く、反応時間が延びることで温度により硫酸イオン含有塩基性塩化アルミニウムの一部が分解する恐れがある。一方で、1回の添加で全必要添加量の8割を超える量であると、固形分が過剰に成長してしまい、固形分を溶解するための長時間の攪拌混合や熟成工程等が必要となり、反応時間が延びることで硫酸イオン含有塩基性塩化アルミニウムが分解することが懸念される。当該i)の段階の添加量としては、前述の理由から、全必要添加量の2.5〜7.5割とすることがより好ましい。また、ii)のとおり、アルカリ剤の添加を行わないで攪拌混合する時間はi)の段階で添加に要した時間の2〜8割とすることが好ましく、2〜6割とすることがより好ましい。この理由としては、i)の段階で添加に要した時間の2割未満の時間であると、時間が短すぎるために析出した固形分が十分に溶解していない恐れがあり、一方で、その8割を超える時間とすると、反応時間が延びることで熱履歴により硫酸イオン含有塩基性塩化アルミニウムの一部が分解することが懸念されるからである。そして、本発明においては、全てのアルカリ剤の添加が完了するまで、上記のi)及びii)を1サイクルとして、これを複数サイクル実施することが、固形分の過剰な成長を防ぐ等の理由から好ましく、より好ましくは、全添加量を勘案した上で、2〜6サイクル程度とするのがよい。2サイクル目以降の各サイクルについては、前記i)及びii)の添加量及び時間の範囲内であれば、1サイクル目と同じでも異なってもよい。
このアルカリ剤の添加のより具体的な例を挙げれば、後述の実施例で示される通り、例えば、アルカリ剤の添加を終了するまでに要する時間を3時間とした場合、実施例1の通り、60分の添加をした後に、添加をせずに30分間攪拌のみを行い、この添加操作と添加を中止して攪拌のみを行う操作とをもう1サイクル繰り返して全アルカリ剤の添加を完了することや、或いは、実施例2の通り、アルカリ剤の添加に90分を要した後に、30分間攪拌のみを行い、その後、再びアルカリ剤を30分要して添加し、最後の30分間は攪拌のみを行って、全アルカリ剤の添加を完了するような方法を採ることができる。さらには、実施例3又は実施例4の通り、3〜4サイクルとする方法も採ることができる。
このようなアルカリ剤の全ての添加を完了するまでに「断続的」な添加を行うことにより、水不溶解の固形分の発生を可及的に抑えながらも、塩基度が67〜75%、より具体的には70〜74%を有する硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウムを得ることができる。一部の未溶解物については、最後に精密ろ過を実施して取り除く。これにより、本発明においては、従来行われていたような熟成工程を別途追加する必要がなく、工程数や製造時間の削減が可能となると共に、廃棄物や排液を削減することができ、しかも、加温を必要とする熟成工程を行う必要が無いため、生成物の安定性の低下の恐れが少なくなるため好ましい。また、得られた硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウムは、後述の実施例で示されている通り、その凝集力に優れるものであることが分かる。なお、得られた硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウムについては、Al換算濃度が10〜11質量%、Cl/Al2O3(モル比)が2.80〜3.20、及びSO4/Al2O3(モル比)が0.1〜0.35であることが好ましく、適宜調整することが可能である。
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明するが、本発明がこれにより限定されて解釈されるものでもない。
本発明の第1〜3の各段階で得られた塩基性塩化アルミニウム等の評価については、以下の方法で行った。
[1]凝集試験
カオリン(和光純薬工業社製)0.5g、フミン質(和光純薬工業社製)0.2gを水道水10Lに添加して調整した高濁度水(50ppm)を用い、JWWA K 154:2016−2水道水用ポリ塩化アルミニウムに準拠して凝集性試験を実施した。凝集性能は平均除濁率60%以上が可(〇)、60%未満を不可(×)として評価した。
[2]化学分析:
(1)アルミニウム含有量(Al換算)〔質量%〕:JWWA K 154:2016−2水道水用ポリ塩化アルミニウムに準拠して行った。
(2)ナトリウム含有量(NaO換算)〔mg/L〕:原子吸光光度法により測定した。具体的には、硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウム0.5gと濃硫酸1mLを100mLメスフラスコに入れて希釈し、得られた試料を原子吸光光度計(HITACHI Z-2310)により分析した。
(3)硫酸イオン含有量(SO換算)〔質量%〕:JWWA K 154:2016−2水道水用ポリ塩化アルミニウムに準拠して行った。
(4)塩素含有量(Cl)〔質量%〕:試料を硝酸で煮沸分解した後、一定量過剰の硝酸銀溶液を加え、塩素イオンを塩化銀として沈殿させ、残った硝酸銀をチオシアン酸アンモニウム溶液で逆滴定することで分析した。
[3]塩基度〔%〕:JWWA K 154:2016−2水道水用ポリ塩化アルミニウムに準拠して行った。
(実施例1)
以下の手順により、本発明に係る硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウムを製造した。
オートクレーブを用いて、水酸化アルミニウム(Al換算:62.9%)4794gを温度100〜150℃、圧力0.2〜0.4MPaで濃塩酸(36.6%)9365gに溶解することにより、塩基性塩化アルミニウム溶液(Al換算:19.8質量%、Cl:22.3質量%、塩基度:46.1%)を14159g得た(第1の段階)。次いで、この得られた塩基性塩化アルミニウム溶液80.0gを採取して、硫酸アルミニウム(Al:8.04%、SO:22.7%)10.5gに0.5時間かけて添加し、Al換算:18.4質量%、Cl濃度:19.7質量%、組成Cl/Al2O3(モル比)=3.07、SO4/Al2O3(モル比)=0.15であって、尚且つ塩基度が48.9%の硫酸イオン含有塩基性塩化アルミニウム溶液を90.5g得た(第2の段階)。
そして、この得られた硫酸イオン含有塩基性塩化アルミニウム溶液を液温50℃にして撹拌しながら21%炭酸ナトリウム溶液28.7gを60分かけて徐々に添加した後に、炭酸ナトリウム溶液を添加しないで30分撹拌し、その後、再び21%炭酸ナトリウム溶液28.7gを60分かけて添加した後に、炭酸ナトリウム溶液を添加しないで30分攪拌した(第3の段階)。添加終了後に、攪拌液中には水に不溶解の固形分等の存在は殆ど確認されなかった。なお、この第3の段階における添加量〔28.7g×2=57.4g、溶液中の炭酸ナトリウム(21%)のモル数=0.11mol〕については、第2の段階での硫酸イオン含有塩基性塩化アルミニウム分子中のCl原子のモル数0.50molと、第3の段階での目標塩基度71%に対応した硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウム分子中のCl原子のモル数0.28molとの差分から算出し、これ以降の実施例及び比較例についても同様に設定した。
添加終了後、ろ過した後に水18.0gを加えてAl換算濃度を調整することで、塩基度が70.5%である実施例1に係る硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウム溶液を160.8g得た。この硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウム溶液のAl換算濃度は10.0質量%で、Na濃度は3.25質量%、SO濃度は1.48質量%であった。また、ろ滓量は0.4gであった。得られた硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウムの特性および評価を表1に示す。凝集性試験の結果は「可」であった。
(実施例2)
第1の段階と第2の段階とを、実施例1と同様の方法により実施し、第2の段階により得られる硫酸イオン含有塩基性塩化アルミニウム溶液を同じように90.5g得た。
そして、この得られた硫酸イオン含有塩基性塩化アルミニウム溶液を液温50℃にして撹拌しながら21%炭酸ナトリウム溶液43.0gを90分かけて徐々に添加した後に、炭酸ナトリウム溶液を添加しないで30分撹拌し、その後、再び21%炭酸ナトリウム溶液14.3gを30分かけて添加した後に、炭酸ナトリウム溶液を添加しないで30分攪拌した。添加終了後に、攪拌液中には水不溶解の固体分等の存在は殆ど確認されなかった。
添加終了後、ろ過した後に水17.5gを加えてAl換算濃度を調整することで、塩基度が70.7%である実施例2に係る硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウム溶液を160.3g得た。この硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウム溶液のAl換算濃度は10.1質量%で、Na濃度が3.26質量%、SO濃度が1.49質量%であった。また、ろ滓量は0.4gであった。得られた硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウムの特性および評価を表1に示す。凝集性試験の結果は「可」であった。
(実施例3)
第1の段階と第2の段階とを、実施例1と同様の方法により実施し、第2の段階により得られる硫酸イオン含有塩基性塩化アルミニウム溶液を同じように90.5g得た。
そして、この得られた硫酸イオン含有塩基性塩化アルミニウム溶液に液温50℃にして撹拌しながら21%炭酸ナトリウム溶液28.7gを60分かけて徐々に添加した後に、炭酸ナトリウム溶液を添加しないで30分撹拌した。その後、再び21%炭酸ナトリウム溶液14.3gを30分かけて添加した後に、炭酸ナトリウム溶液を添加しないで15分攪拌し、この30分の添加と15分の攪拌とをもう1サイクル行った。添加終了後に、攪拌液中には水不溶解の固体分等の存在は殆ど確認されなかった。
添加終了後、ろ過した後に水17.5gを加えてAl換算濃度を調整することで、塩基度が70.2%である実施例3に係る硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウム溶液を160.3g得た。この硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウム溶液のAl換算濃度は10.1質量%で、Na濃度が3.26質量%、SO濃度が1.49質量%であった。また、ろ滓量は0.4gであった。得られた硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウムの特性および評価を表1に示す。凝集性試験の結果は「可」であった。
(実施例4)
第1の段階と第2の段階とを、実施例1と同様の方法により実施し、第2の段階により得られる硫酸イオン含有塩基性塩化アルミニウム溶液を同じように90.5g得た。
そして、この得られた硫酸イオン含有塩基性塩化アルミニウム溶液に液温50℃にして撹拌しながら21%炭酸ナトリウム溶液14.3gを30分かけて徐々に添加した後に、炭酸ナトリウム溶液を添加しないで15分撹拌してこれを1つのサイクルとし、このサイクルをさらに3サイクル行った。添加終了後に、攪拌液中には水不溶性の固体分等の存在は殆ど確認されなかった。
添加終了後、ろ過した後に水17.5gを加えてAl換算濃度を調整することで、塩基度が70.0%である実施例4に係る硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウム溶液を160.3g得た。この硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウム溶液のAl換算濃度は10.1質量%で、Na濃度が3.26質量%、SO濃度が1.50質量%であった。また、ろ滓量は0.3gであった。得られた硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウムの特性および評価を表1に示す。凝集性試験の結果は「可」であった。
(比較例1)
第1の段階と第2の段階とを、実施例1と同様の方法により実施し、第2の段階により得られる硫酸イオン含有塩基性塩化アルミニウム溶液を同じように90.5g得た。
そして、この得られた硫酸イオン含有塩基性塩化アルミニウム溶液を液温50℃にして撹拌しながら18%炭酸ナトリウム溶液63.5gを一気に添加したところ、液が噴出して溢れて、発泡が確認され、鎮静後に固形物が生成していることを確認した。
炭酸ナトリウム溶液の添加終了後、熟成工程として液温を50℃に保ちながら300分撹拌して、未溶解のアルミナゲル、あるいは固形分を溶解させようとしたが、熟成工程を行っても、反応液中には未溶解のアルミナゲルと思われる未溶解物が多量に存在したままだった。
熟成後、ろ過により未溶解水酸化アルミニウムを除去した後に水68.2gを加えてAl換算濃度を調整することで塩基度が70.8%である比較例1に係る硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウム溶液を217.5g得た。この硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウム溶液のAl換算濃度は7.41質量%で、Na濃度が2.28質量%、SO濃度が1.10質量%であった。また、ろ滓量は16.1gであり、実施例1と比較して約40倍も多かった。得られた硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウムの特性および評価は表1に示す。そして、この比較例1で得られた硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウム溶液は粘性が高く、正確な量を滴定できないために、凝集性試験を実施できなかった。
(比較例2)
第1の段階と第2の段階とを、実施例1と同様の方法により実施し、第2の段階により得られる硫酸イオン含有塩基性塩化アルミニウム溶液を同じように90.5g得た。
そして、この得られた硫酸イオン含有塩基性塩化アルミニウム溶液に液温50℃にして撹拌しながら21%炭酸ナトリウム溶液57.3gを120分かけて連続で添加した。この時、反応液中には未溶解のアルミナゲルと思われる未溶解物が多量に存在していた。
添加終了後、ろ過により未溶解のアルミナゲルと思われる未溶解物を除去した後に水を23.2g加えてAl換算濃度を調整することで、塩基度が67.4%である比較例2に係る硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウム溶液を166.0g得た。この硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウム溶液のAl換算濃度は9.71質量%で、Na濃度が3.15質量%、SO濃度が1.44質量%であった。また、ろ滓量は10.2gであり、実施例1と比較して約25倍も多かった。得られた硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウムの特性および評価を表1に示す。凝集性試験の結果は「可」であった。
(比較例3)
第1の段階と第2の段階とを、実施例1と同様の方法により実施し、第2の段階により得られる硫酸イオン含有塩基性塩化アルミニウム溶液を同じように90.5g得た。
そして、この得られた硫酸イオン含有塩基性塩化アルミニウム溶液を液温50℃にして撹拌しながら21%炭酸ナトリウム溶液57.3gを120分かけて連続で添加した。
添加終了後、熟成工程として液温を50℃に保ちながら60分撹拌して、未溶解のアルミナゲル、あるいは固形分を溶解させようとしたが、反応液中には未溶解のアルミナゲルが多量に存在したままだった。
熟成終了後、ろ過により未溶解のアルミナゲルと思われる未溶解物を除去した後に水20.9gを加えてAl換算濃度を調整することで塩基度が70.1%である比較例3に係る硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウム溶液を163.7g得た。この硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウム溶液のAl換算濃度は9.85質量%で、Na濃度が3.19質量%、SO濃度が1.46質量%であった。また、ろ滓量は4.0gと、実施例1と比較して10倍も多かった。得られた硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウムの特性および評価を表1に示す。凝集性試験の結果は「可」であった。
(比較例4)
第1の段階と第2の段階とを、実施例1と同様の方法により実施し、第2の段階により得られる硫酸イオン含有塩基性塩化アルミニウム溶液を同じように90.5g得た。
そして、この得られた硫酸イオン含有塩基性塩化アルミニウム溶液を液温50℃にして撹拌しながら21%炭酸ナトリウム溶液57.4gを120分かけて連続で添加した。
添加終了後、熟成工程として液温を50℃に保ちながら240分撹拌して、未溶解のアルミナゲル、あるいは固形分を溶解させようとしたが、反応液中には未溶解のアルミナゲルが多量に存在したままだった。
熟成終了後、ろ過により未溶解のアルミナゲルと思われる未溶解物を除去した後に水19.2gを加えてAl換算濃度を調整することで塩基度が69.6%である比較例4に係る硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウム溶液を162.7g得た。この硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウム溶液のAl換算濃度は10.0質量%で、Na濃度が3.23質量%、SO濃度が1.47質量%であった。また、ろ滓量は1.9gと、実施例1と比較して約5倍も多かった。得られた硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウムの特性および評価を表1に示す。凝集性試験の結果は「不可」であった。
Figure 2019031406

Claims (5)

  1. 水酸化アルミニウムと塩酸とを高温高圧下で反応させて塩基性塩化アルミニウムを得る第1の段階と、この得られた塩基性塩化アルミニウムと硫酸塩とを混合して、塩基性塩化アルミニウムに硫酸イオンを含有させる第2の段階と、得られた硫酸イオン含有塩基性塩化アルミニウムに炭酸塩及び/又は炭酸水素塩からなるアルカリ剤を添加して塩基度を高めた硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウムを得る第3の段階とを備え、
    第3の段階では、温度を40〜65℃とすると共に、アルカリ剤の添加を断続的に行うことを特徴とする硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウムの製造方法。
  2. 前記第3の段階における断続的なアルカリ剤の添加として、
    i)予め、アルカリ剤の必要添加量の2〜8割を添加する段階と、
    ii)次いで、そのアルカリ剤の添加に要した時間の2〜8割の時間を、アルカリ剤の添加を行わず攪拌混合操作を行う段階と
    を1サイクルとして、これを複数サイクル繰り返して、アルカリ剤の添加を完了するようにすることを特徴とする請求項1に記載の硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウムの製造方法。
  3. 前記第3の段階で用いられるアルカリ剤は、炭酸ナトリウム及び/又は炭酸水素ナトリウムであることを特徴とする請求項1又は2に記載の硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウムの製造方法。
  4. 塩基度が67〜75%である硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウムを得ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウムの製造方法。
  5. 前記第1の段階では、得られる塩基性塩化アルミニウムの塩基度を40〜60%とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の硫酸イオン含有高塩基性塩化アルミニウムの製造方法。
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