JP2019030276A - 醗酵食品の製造方法、醗酵食品、及び加工食品 - Google Patents

醗酵食品の製造方法、醗酵食品、及び加工食品 Download PDF

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Abstract

【課題】生菌が残存した醗酵食品の製造方法を提供すること。【解決手段】容器に農水産物及び生菌を加えて、前記農水産物を醗酵させる工程と、醗酵後に前記農水産物を前記容器から取り出す工程と、取り出した前記農水産物を真空凍結乾燥又は冷凍する工程と、を有することを特徴とする醗酵食品の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、醗酵食品の製造方法、醗酵食品、及び加工食品に関する。
農産物や海産物等の食品の保存性や風味を向上させるため、醗酵技術が広く利用されている。例えば、特許文献1には、糖の共存下、農産物等を酵母で醗酵させる醗酵食品の製造方法が記載されている。
特開2013−233128号公報
特許文献1に記載された醗酵食品の製造方法では、ペースト状の醗酵食品を得るために、醗酵を3日間〜1週間行い、80℃、20分間の加熱により滅菌して醗酵を停止させている。そのため、特許文献1に記載の製造方法で製造された醗酵食品には酵素等の生菌が残存していない。
本発明の目的は、生菌が残存している醗酵食品の製造方法を提供することである。
本発明の別の目的は、生菌が残存し、素材の有効成分が保たれた醗酵食品を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、生菌が残存し、素材の有効成分が保たれた醗酵食品を含む食料及び加工食品を提供することである。
本発明の一態様によれば、容器に農水産物及び生菌を加えて、前記農水産物を醗酵させる工程と、醗酵後に前記農水産物を前記容器から取り出す工程と、取り出した前記農水産物を真空凍結乾燥又は冷凍する工程と、を有することを特徴とする醗酵食品の製造方法が提供される。
本発明の一態様に係る醗酵食品の製造方法において、前記農水産物を醗酵させる工程の前に、前記農水産物が含んでいる水分の一部を除去する工程を有することが好ましい。
本発明の一態様に係る醗酵食品の製造方法において、前記農水産物が、野菜類、果実類、海藻類、魚介類及び肉類からなる群から選択される少なくともいずれかであることが好ましい。
本発明の一態様に係る醗酵食品の製造方法において、前記農水産物が、野菜類、又は海藻類であることが好ましい。
本発明の一態様に係る醗酵食品の製造方法において、前記容器から取り出した前記農水産物を真空凍結乾燥し、真空凍結乾燥した前記農水産物を粉末状に粉砕する工程をさらに有することが好ましい。
本発明の一態様に係る醗酵食品の製造方法において、前記農水産物が、野菜類であり、前記農水産物を醗酵させる工程において前記野菜類が変色する前に、前記容器から前記野菜類を取り出すことが好ましい。
本発明の一態様に係る醗酵食品の製造方法において、前記農水産物は、葉菜類、茎菜類、根菜類、果菜類、花菜類、及びキノコ類からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
本発明の一態様に係る醗酵食品の製造方法において、前記農水産物は、葉菜類であることが好ましい。
本発明の一態様に係る醗酵食品の製造方法において、前記農水産物が、果実類であり、前記農水産物を醗酵させる工程の前に、前記果実類を沸騰水中で加熱する工程と、加熱した前記果実類を前記生菌が死滅する温度未満まで冷却する工程と、前記生菌及び冷却後の前記果実類を前記容器に加えて、前記果実類を醗酵させることが好ましい。
本発明の一態様に係る醗酵食品の製造方法において、醗酵後に前記果実類を前記容器から取り出し、取り出した前記果実類を冷凍することが好ましい。
本発明の一態様によれば、真空凍結乾燥又は冷凍された農水産物の内部に生菌が残存していることを特徴とする醗酵食品が提供される。
本発明の一態様に係る醗酵食品は、粉末状であることが好ましい。
本発明の一態様によれば、前述の本発明の一態様に係る醗酵食品のいずれかを含んでいることを特徴とする加工食品が提供される。
本発明の一態様によれば、生菌が残存している醗酵食品の製造方法を提供することができる。
本発明の別の態様によれば、生菌が残存している醗酵食品を提供することができる。
本発明のさらに別の態様によれば、前述の本発明の一態様に係る醗酵食品を含む加工食品を提供することができる。
第一実施形態に係る醗酵食品の製造方法の概略を示すフロー図である。 第二実施形態に係る醗酵食品の製造方法の概略を示すフロー図である。
本発明の一実施形態に係る醗酵食品の製造方法は、容器に農水産物及び生菌を加えて、前記農水産物を醗酵させる工程と、醗酵後に前記農水産物を前記容器から取り出す工程と、取り出した前記農水産物を真空凍結乾燥又は冷凍する工程と、を有する。
農水産物としては、野菜類、果実類、又は海藻類が挙げられる。
以下、各種農水産物を用いて実施する醗酵食品の製造方法について、複数の態様を挙げて説明する。
[第一実施形態]
本実施形態においては、農水産物としての野菜類を用いて、醗酵食品を製造する方法を例に挙げて説明する。
〔農水産物〕
農水産物は、農産物及び水産物を含む。農水産物は、野菜類、果実類、海藻類、魚介類及び肉類からなる群から選択される少なくともいずれかであることが好ましい。醗酵食品の製造方法に用いる農水産物は、1種類であっても、2種類以上であってもよい。
野菜類としては、例えば、葉菜類、茎菜類、根菜類、果菜類、花菜類、及びキノコ類が挙げられる。
葉菜類としては、例えば、水菜、白菜、ホウレン草、小松菜、アシタバ、春菊、チンゲンサイ、キャベツ、レタス、リーフレタス、サラダ菜、パセリ、ミツバ、クレソン、グリーンカール、サニーレタス、トレビス、カラシナ、キクナ、高菜、チシャ、シソ、クミスクチン、セロリ、フキ、ニラ、ミツバ、ルッコラ、及びレッドキャベツが挙げられる。
茎菜類としては、例えば、長ネギ、九条ネギ、アサツキ、セロリ、モヤシ、カイワレ大根、生姜、タケノコ、ラッキョウ、及びアスパラガスが挙げられる。
根菜類としては、例えば、人参、大根、タマネギ、ミョウガ、エシャーレット、ゴボウ、カブ、ゴボウ、蓮根、及びジャガイモが挙げられる。
果菜類としては、例えば、キュウリ、ピーマン、トマト、オクラ、パプリカ、アボカド、パパイヤ、スイカ、メロン、マクワウリ、南瓜、シロウリ、シシトウ、トウガラシ、トウガン、ナス及びトウモロコシが挙げられる。
花菜類としては、例えば、ブロッコリー、カリフラワー、ハナヤサイ、ミョウガ、及び菊が挙げられる。
キノコ類としては、シイタケ、エノキ茸、及びシメジが挙げられる。
本実施形態に係る醗酵食品の製造方法において農産物を用いる場合は、当該農産物は、葉菜類であることがより好ましい。
本実施形態に係る醗酵食品の製造方法において野菜類を用いる場合は、当該野菜類は、葉脈を有する野菜類、又は道管を有する野菜類であることが好ましい。葉脈を有する野菜類としては、例えば、葉菜類が挙げられる。道管を有する野菜類としては、例えば、茎菜類、及び根菜類が挙げられる。
〔醗酵食品の製造方法〕
本実施形態に係る醗酵食品の製造方法の一態様は、容器に野菜類及び生菌を加えて、前記野菜類を醗酵させる工程と、醗酵後に前記野菜類を前記容器から取り出す工程と、取り出した前記野菜類を真空凍結乾燥又は冷凍する工程と、を有する。
図1には、本実施形態に係る醗酵食品の製造方法の一態様の概略を示すフロー図が示されている。図1に示す本実施形態に係る醗酵食品の製造方法の一態様は、洗浄工程と、水分除去工程(一部乾燥工程)と、醗酵工程と、取出工程と、真空凍結乾燥工程と、粉砕工程と、を有する。
(洗浄工程)
本実施形態に係る醗酵食品の製造方法の一態様においては、農水産物としての野菜類に含んでいる水分の一部を除去する工程の前に、野菜類を洗浄する工程を実施することも好ましい。洗浄工程においては、水を用いて野菜類を洗浄することが好ましい。洗浄工程において用いる水は特に限定されず、水道水でもよい。
洗浄工程を実施した後の野菜類の表面に付着した水を水切りすることが好ましい。
(水分除去工程)
本実施形態に係る醗酵食品の製造方法の一態様においては、農水産物としての野菜類が含んでいる水分の一部を除去する工程(水分除去工程)を実施することも好ましい。本明細書において、農水産物が含んでいる水分の一部が除去された状態を一部乾燥と称する場合もある。また、本明細書において、水分除去工程を、一部乾燥工程と称する場合もある。
水分除去工程は、野菜類が含んでいる水分を除去することができれば、除去方法は特に限定されない。例えば、乾燥器を用いて野菜類を一部乾燥してもよいし、天日干し又は陰干しにより野菜類を一部乾燥してもよい。
水分除去工程においては、野菜類が含んでいる水分の一部を除去すればよい。野菜類中の水分の除去量は、野菜類の種類に応じて適宜設定することが好ましい。例えば、野菜類中の水分を20質量%以上25質量%以下の範囲で除去することが好ましい。野菜類中の水分除去量は、次のようにして求めることができる。例えば、洗浄工程を実施する場合は、水で野菜類を洗浄する前の野菜類の質量X[kg]と、水分除去工程を実施した後の野菜類の質量Y[kg]とを測定し、次の計算式(1)を用いて野菜類中の水分の残存量を求めることが出来る。
(野菜類中の水分除去量[質量%])={(X−Y)/X}×100 …(1)
野菜類中の水分除去量を20質量%以上とすることで、野菜類が生菌を吸収しやすくなる。野菜類中の水分除去量を25質量%以下とすることで、生菌を吸収する能力の低下を抑制できる。野菜類中の水分除去量が30質量%を超えると、生菌を吸収する能力が大きく低下する。
本実施形態に係る醗酵食品の製造方法において、葉脈や道管を有する農水産物を用いる場合、葉脈や道管の中の水分が減少する程度に乾燥することが好ましい。即ち、葉脈や道管への生菌の浸透が損なわれない程度の乾燥に止めることが好ましい。また、農水産物を乾燥し過ぎると農水産物の色が変色するおそれがある。葉脈や道管を有する農水産物を用いる場合の水分除去量についても、20質量%以上25質量%以下の範囲であることが好ましい。
(醗酵工程)
本実施形態に係る醗酵食品の製造方法の一態様において、水分除去工程を有する場合は水分除去工程後に、容器に野菜類及び生菌を加えて、野菜類を醗酵させる工程(醗酵工程)を実施する。本実施形態に係る醗酵食品の製造方法において、前述のとおり、野菜類が一部乾燥状態であるため、生菌に野菜類を浸漬することで、生菌が野菜類の組織内に浸透し易い。例えば、野菜類が葉脈や道管を有する場合、葉脈や道管の中の水分が一部除去されているので、生菌が葉脈や道管を通じて野菜類中に亘って浸透し易くなると考えられる。
醗酵工程において、醗酵させる方法は特に限定されない。
例えば、生菌中に野菜類を浸漬させる方法が好ましい。生菌中に野菜類を浸漬させる方法としては、まず、容器に一部乾燥状態の野菜類を入れる。野菜類を入れる前に、予め、容器の内部を殺菌処理しておくことが好ましい。
次に、容器に生菌を加える。加える生菌の量は、醗酵させる野菜類の量に応じて適宜決定する。また、生菌を加える量は、容器内の野菜類の全体が浸漬するように加えても良い。また、野菜類の一部が浸漬するように生菌を加えた場合でも、適宜、容器内の野菜類を攪拌することにより、容器内の野菜類の全体に亘って生菌が接するようにしても良い。また、醗酵中は、容器内の野菜類に対して落し蓋を載せることも好ましく、さらに、この落し蓋に錘を載せることも好ましい。
本実施形態に係る醗酵食品の製造方法の一態様において、醗酵工程を実施している間は、容器内の野菜類や生菌に日光が直接、当らないようにすることが好ましい。醗酵工程は、暗室内で実施することがより好ましい。野菜類に日光が長時間当ると野菜類が変色するおそれがある。
本実施形態に係る醗酵食品の製造方法の一態様において、醗酵工程は、糖を共存させずに(添加せずに)実施することが好ましい。すなわち、醗酵工程の容器に敢えて糖を添加しないことが好ましい。糖としては、単糖類、オリゴ糖、還元糖、及び蜂蜜などが挙げられる。なお、野菜類に元来、含まれていた糖については、醗酵工程の容器内で野菜類及び生菌と共存してもよい。糖を添加せずに野菜類を醗酵させることができるので、醗酵食品の製造コストの上昇を抑制できる。
・生菌
生菌としては、酵母、酵素、酪酸菌、枯草菌、酢酸菌、乳酸菌類、及び好気性芽胞菌からなる有用生物群から選択される少なくともいずれかを含んでいることが好ましい。
生菌は、自然界に存在する微生物群の中から、例えば、好気性菌、通性嫌気性菌、及び嫌気性菌などの中から、有効及び有用な微生物群を共生及び競合させ、強制培養して得たものである。さらに、強制培養して得た生菌は、力価を高くするために、理化学的及び分子生態学的に突然変異化させた人工的な微生物群である。生菌として、好気性菌及び通性嫌気性菌を含むものを用いることもできる。また、生菌として、株式会社イイダ微研製の「テトラ菌」を用いることもできる。「テトラ菌」は登録商標である。
・醗酵温度
生菌の温度は、生菌が滅菌されないような温度に設定することが好ましい。例えば、生菌の温度は、50℃未満であることが好ましく、48℃未満であることがより好ましく、15℃以上41℃以下であることがさらに好ましい。
葉脈や道管を有する野菜類を用いる場合、醗酵工程における生菌の温度は、15℃以上41℃以下で管理されることが好ましい。
農水産物として、野菜類を用いる場合、生菌の温度は、15℃以上25℃以下であることがより好ましい。
農水産物として、葉菜類を用いる場合、生菌の温度は、15℃以上20℃以下であることがより好ましい。
・醗酵時間
農水産物を醗酵させる時間は、農水産物の種類に応じて適宜設定できる。農水産物としての野菜類を用いる場合、野菜類の種類に応じて適宜設定できる。
例えば、2日以上10日以下の期間、農水産物を生菌に浸漬させた後、生菌から農水産物を取出すことが好ましい。農水産物としての野菜類を用いる場合、2日以上10日以下の期間、農水産物(野菜類)を生菌に浸漬させた後、生菌から農水産物を取出すことが好ましい。葉脈や道管を有する野菜類を用いる場合も、2日以上10日以下の期間、生菌に浸漬させることが好ましい。
なお、本明細書において、変色が目立つ農水産物(例えば、野菜類及び果実類)が変色する前に、生菌から農水産物を取り出す工程を取出工程という場合がある。農水産物を生菌から取り出すタイミングとしては、農水産物が変色する前であることが好ましい。変色の有無及び変色の程度は、例えば、目視によって確認することができる。
農水産物が変色する前に生菌から取り出すことで、素材としての農水産物の色を有する醗酵食品を製造できる。また、醗酵食品を飲料や食品に添加した場合、農水産物の色を活かした色調の飲料や食品を得ることができる。農水産物が変色するまでの時間は、農水産物の大きさや、厚さ、及び種類等、並びに醗酵工程の条件等によって異なる場合があるため、これらの条件に応じて適宜設定すればよい。
本実施形態に係る醗酵食品の製造方法の一態様においても、前記野菜類を醗酵させる工程において前記野菜類が変色する前に、前記容器から前記野菜類を取り出すことが好ましい。
例えば、農水産物が緑色の葉菜類の場合、緑色から黒っぽい色に変色する前に生菌溶液から葉菜類を取出し、醗酵を停止させることが好ましい。
醗酵の際には、農水産物から水分が溶出する。そのため、醗酵が進行するにしたがって、生菌と水分が混ざった生菌溶液となる。
また、農水産物の変色を防止する方法としては、生菌溶液から農水産物を取り出す方法の他に、生菌溶液を容器から除去する方法でもよい。
農水産物として、野菜類を用いる場合、醗酵時間は、2日以上7日以下であることが好ましく、農水産物として葉菜類を用いる場合、醗酵時間は、2日以上3日以下であることが好ましい。また、葉菜類を、暗室で醗酵させることが好ましい。
(真空凍結乾燥工程)
本実施形態に係る醗酵食品の製造方法の一態様においては、醗酵工程の後、容器から取り出した野菜類を真空凍結乾燥する工程をさらに有することが好ましい。真空凍結乾燥法は、フリーズドライ法と称される場合もある。
真空凍結乾燥に用いる機材は、特に限定されない。また、真空凍結乾燥の条件は、農水産物中の生菌が死滅しない条件であれば特に限定されないが、真空凍結乾燥する際の温度や時間は、農水産物の種類、形状、及び重量などに応じて設定することが好ましい。
真空凍結乾燥する際の温度は、例えば、−40℃以上−30℃以下の温度で農水産物を真空凍結乾燥することが好ましい。
真空凍結乾燥する際の時間は、農水産物の水分量により異なるが、例えば、20時間以上40時間以下であることが好ましい。
以上のような工程を経ることにより、野菜類を生菌で醗酵させた後に真空凍結乾燥させた醗酵食品を製造できる。
(粉砕工程)
本実施形態に係る醗酵食品の製造方法の一態様においては、真空凍結乾燥した前記野菜類(本実施形態に係る醗酵食品)を粉末状に粉砕する工程をさらに有することが好ましい。
真空凍結乾燥した農水産物を粉砕する手段(粉砕手段)は、特に限定されない。粉砕手段としては、例えば、すり鉢、乳鉢、鋏、ペンチ、ジューサー、粉砕機(ミル)、及びミキサー等の公知の粉砕手段を利用できる。粉砕手段として、粉砕機を用いることが好ましい。
本実施形態に係る醗酵食品を粉砕した後の大きさは、粉末状の醗酵食品の用途等に応じて適宜、変更することが好ましい。例えば、粉末状の本実施形態の醗酵食品を食品に混ぜる場合には、食品に分散し易い大きさに粉砕されていることが好ましい。
本実施形態に係る醗酵食品の製造方法の一態様においては、全工程において、滅菌される温度以上に生菌及び醗酵後の農水産物を加熱しないことが好ましく、48℃を超える温度で加熱しないことがより好ましい。生菌及び醗酵後の農水産物を加熱する場合は、40℃以下であることが好ましい。
〔醗酵食品〕
本実施形態に係る醗酵食品は、真空凍結乾燥された農水産物(野菜類)の内部に生菌が残存していることを特徴とする。農水産物(野菜類)及び生菌については、前述の醗酵食品の製造方法の説明で示した農水産物及び生菌と同様である。本実施形態に係る醗酵食品は、例えば、前述の製造方法によって製造することができる。
本実施形態に係る醗酵食品は、粉末状又はペースト状であることが好ましい。本実施形態に係る醗酵食品は、そのまま飲食してもよいし、他の食品や飲料と混ぜてから飲食してもよい。
醗酵工程を経て、ペースト状のものを冷凍した場合の醗酵食品の内部に生菌が残存している。また、醗酵及び真空冷凍乾燥された粉末状の醗酵食品(例えば、農水産物としての野菜類を用いた場合)の内部にも生菌が残存している。
根菜類のなかでも、柿など糖度の高いものは、素材が本来持つ水分と、置かれた環境下での水分吸収があるため、真空凍結乾燥(FD加工)工程にかけると、通常と比べて、2〜4倍の時間が必要であり、且つFD加工装置の内面に付着する。そして、FD後に粉砕機を用いて粉砕する場合にも、粉砕装置の内面に付着するなど、製造効率が悪いくなるおそれがある。よって、糖度の高い素材を用いる場合には、醗酵工程が終了した時点で、真空凍結乾燥(FD加工)工程を経ずして、ペースト状態で、冷凍する方法を取りたい。
〔加工食品〕
本実施形態に係る加工食品は、本実施形態に係る醗酵食品を含んでいることを特徴とする。
本実施形態に係る醗酵食品を含んでいる食料としては、飲料が挙げられる。飲料としては、飲用可能な液体であれば特に限定されないが、例えば、水、液体ヨーグルト、及び牛乳等が好ましい。水としては、水道水以外であることが好ましい。また、水としては、例えば、ミネラルウォーター等が好ましい。また、水としては、塩素を含有していないことが好ましい。塩素を含有していると、生菌に含まれる有用微生物が殺菌されるおそれがある。
本実施形態に係る醗酵食品を用いた加工食品としては、例えば、粉末状の本実施形態にかかる醗酵食品を寒天等に混ぜて製造する醗酵ゼリー等が挙げられる。
また、本実施形態に係る醗酵食品を用いた加工食品としては、例えば、粉末状又はペースト状の本実施形態にかかる醗酵食品をアイスクリームに混ぜて製造する醗酵食品入りアイスクリーム等も挙げられる。
〔本実施形態の効果〕
特許文献1に記載された技術においては、80℃で20分間の加熱を行って醗酵を停止させているため、滅菌されている。これに対し、本実施形態に係る製造方法によれば、菌が死滅しない程度の温度で醗酵を行い、生菌から取り出した野菜類を高温で加熱することなく、真空凍結乾燥しているので、生菌を活かした状態で野菜類中に残すことができる。したがって、本実施形態に係る製造方法によれば、生菌が残存した醗酵食品を製造及び提供できる。さらに、本実施形態に係る醗酵食品の製造方法の一態様によれば、素材(野菜類)由来の有効成分が保たれた醗酵食品を製造及び提供できる。
本実施形態に係る加工食品は、本実施形態に係る製造方法によって製造された醗酵食品を含有しているため、栄養価が優れた加工食品としても利用できる。
また、本実施形態に係る製造方法の醗酵工程において、野菜類が変色する前に農水産物を生菌から取り出すことにより、野菜類が有する素材の色を有した醗酵食品を製造できる。
本実施形態に係る製造方法においては、糖類を使用せずに醗酵させることができる。そのため、本実施形態に係る製造方法によれば、醗酵食品の製造コストを低減できる。
また、本実施形態に係る製造方法によれば、市場価値の低い農水産物としての野菜類(例えば、概観が劣る野菜類や大きさが規格に適合しない野菜類であって、販売されないものや、廃棄されてしまうようなもの等)を栄養価が優れた醗酵食品として有効活用できる。
[第二実施形態]
本実施形態においては、農水産物としての果実類を用いて、醗酵食品を製造する方法を例に挙げて説明する。
果実類としては、果物が好ましい。果物としては、柿、イチゴ、バナナ、みかん、レモン、グレープフルーツ、梨、杏子、桃、梅、スモモ、ブドウ、ビワ、パパイヤ、マンゴー、パイナップル、メロン、キウイフルーツ、パッションフルーツ、及びリンゴ等が挙げられる。
〔醗酵食品の製造方法〕
本実施形態に係る醗酵食品の製造方法の一態様は、容器に果実類及び生菌を加えて、前記果実類を醗酵させる工程と、醗酵後に前記果実類を前記容器から取り出す工程と、取り出した前記果実類を真空凍結乾燥又は冷凍する工程と、を有する。
図2には、本実施形態に係る醗酵食品の製造方法の一態様の概略を示すフロー図が示されている。図2に示す本実施形態に係る醗酵食品の製造方法の一態様は、洗浄工程と、加熱工程と、醗酵工程と、取出工程と、冷凍工程と、を有する。
(洗浄工程)
本実施形態に係る醗酵食品の製造方法の一態様においては、洗浄工程を実施することが好ましい。本実施形態の洗浄工程は、第一実施形態の洗浄工程と同様にして実施できる。
(加熱工程)
本実施形態に係る醗酵食品の製造方法の一態様においては、加熱工程を実施することが好ましい。加熱工程において、果実類を加熱殺菌することが好ましい。加熱工程は、例えば、加熱処理用の容器に果実類を入れて、果実類を煮沸する方法を採用することができる。具体的には、沸騰水中で果実類を加熱処理することが好ましい。加熱工程を実施する前に果実類のヘタを除去しておくことが好ましい。果実類の皮には、栄養分が豊富に含まれていると考えられるので、果実類の皮を除去せずに、本実施形態に係る醗酵食品の製造方法に用いることが好ましい。
(醗酵工程)
本実施形態に係る醗酵食品の製造方法の一態様において、加熱工程を有する場合は加熱工程後に、醗酵工程用の容器に果実類及び生菌を加えて、果実類を醗酵させる工程(醗酵工程)を実施する。加熱処理用の容器を醗酵工程用の容器として用いてもよい。
本実施形態に係る醗酵食品の製造方法の醗酵工程は、第一実施形態の醗酵工程と同様にして実施できるが、以下、第一実施形態の醗酵工程とは異なる点を説明する。
本実施形態に係る醗酵食品の製造方法の醗酵工程においては、醗酵中に容器内の生菌及び果実類を攪拌混合することが好ましい。このように攪拌混合することで、果実類はペースト状に変化する。ペースト状に変化した果実類は生菌を吸収している。
本実施形態に係る醗酵食品の製造方法の醗酵工程においても、生菌の温度は、生菌が滅菌されないような温度に設定することが好ましい。例えば、生菌の温度は、50℃未満であることが好ましく、48℃未満であることがより好ましく、15℃以上41℃以下であることがさらに好ましい。
農水産物として果実類を用いる場合、生菌の温度は、25℃以上40℃以下であることが好ましい。
農水産物として果実類を用いる場合、醗酵時間は、7日以上10日以下であることが好ましい。また、果実類を、暗室で醗酵させることが好ましい。
本実施形態に係る醗酵食品の製造方法の醗酵工程においては、例えば、農水産物がオレンジ色の柿の場合、オレンジ色から黒っぽい色に変色する前に生菌溶液から柿を取出すことが好ましい。
また、本実施形態に係る醗酵食品の製造方法の醗酵工程においては、果実類を生菌から取り出すタイミングとしては、生菌溶液の表面に気泡が発生するタイミングとすることもできる。生菌溶液の表面に気泡が発生する時点で果実類の醗酵が十分に進行していると考えられる。
(冷凍工程)
本実施形態に係る醗酵食品の製造方法の一態様においては、醗酵工程の後、容器から取り出した果実類を冷凍する工程(冷凍工程)を実施することが好ましい。真空凍結乾燥工程を実施してもよいが、果実類の場合、糖度が高いため、醗酵後の果実類はベタついているため、真空凍結乾燥を実施すると装置に醗酵後の果実類が付着し易い。そのため、冷凍工程を実施することで、果実類の醗酵食品の製造歩留まりを向上させることができる。
冷凍工程の実施に当っては、前述のように容器から取り出した果実類を冷凍用の容器に移し替えて、この容器を冷凍装置内に入れて、醗酵後の果実類を冷凍させてもよい。また、容器から生菌溶液を除去した後に、醗酵後の果実類が入った当該容器をそのまま冷凍装置内に入れて、醗酵後の果実類を冷凍させてもよい。醗酵後の果実類を急速に冷凍することが好ましい。
以上のような工程を経ることにより、果実類を生菌で醗酵させた後に冷凍させた醗酵食品を製造できる。
本実施形態に係る醗酵食品の製造方法の一態様においても、全工程において、滅菌される温度以上に生菌及び醗酵後の果実類を加熱しないことが好ましく、48℃を超える温度で加熱しないことがより好ましい。生菌及び醗酵後の果実類を加熱する場合は、40℃以下であることが好ましい。
本実施形態に係る醗酵食品の製造方法の一態様において真空凍結乾燥工程を採用した場合には、第一実施形態と同様にして粉砕工程を実施することが好ましい。この態様によって、果実類の醗酵食品であて、粉末状のものを得ることができる。
〔醗酵食品〕
本実施形態に係る醗酵食品は、冷凍された農水産物(果実類)の内部に生菌が残存していることを特徴とする。農水産物(果実類)及び生菌については、前述の醗酵食品の製造方法の説明で示した農水産物及び生菌と同様である。本実施形態に係る醗酵食品は、例えば、前述の製造方法によって製造することができる。
本実施形態に係る醗酵食品は、そのまま飲食してもよいし、他の食品や飲料と混ぜてから飲食してもよい。
本実施形態に係る醗酵食品は、冷凍状態であってもよいし、粉末状であってもよい。
〔加工食品〕
本実施形態に係る加工食品は、本実施形態に係る醗酵食品を含んでいることを特徴とする。
本実施形態に係る醗酵食品を用いた加工食品としては、第一実施形態と同様のものが揚げられる。本実施形態に係る醗酵食品が冷凍状態である場合、これをアイスクリームに混ぜて製造する醗酵食品入りアイスクリーム等が好ましい。
〔本実施形態の効果〕
本実施形態に係る製造方法によれば、菌が死滅しない程度の温度で醗酵を行い、生菌から取り出した果実類を高温で加熱することなく、冷凍しているので、生菌を活かした状態で果実類中に残すことできる。したがって、本実施形態に係る製造方法によれば、生菌が残存した醗酵食品を製造及び提供できる。さらに、本実施形態に係る醗酵食品の製造方法の一態様によれば、素材(果実類)由来の有効成分が保たれた醗酵食品を製造及び提供できる。
本実施形態に係る加工食品は、本実施形態に係る製造方法によって製造された醗酵食品を含有しているため、栄養価が優れた加工食品としても利用できる。
また、本実施形態に係る製造方法の醗酵工程において、果実類が変色する前に農水産物を生菌から取り出すことにより、果実類が有する素材の色を有した醗酵食品を製造できる。
本実施形態に係る製造方法においては、糖類を使用せずに醗酵させることができる。そのため、本実施形態に係る製造方法によれば、醗酵食品の製造コストを低減できる。
また、本実施形態に係る製造方法によれば、市場価値の低い農水産物としての果実類(例えば、概観が劣る果実類や大きさが規格に適合しない果実類であって、販売されないものや、廃棄されてしまうようなもの等)を栄養価が優れた醗酵食品として有効活用できる。また、例えば、柿、梨、ミカンなど果実類は、その年の収穫時期に収穫しないまま樹木に付いたまま放置しておくと、次の収穫時期に当該樹木に新たな果実類が育たなくなるおそれがある。そのため、出荷されないものの、次の収穫時期に備えて収穫した果実類の新たな利用方法として、本実施形態に係る製造方法を適用することで、栄養価が優れた果実類の醗酵食品を消費者に提供できる。
[第三実施形態]
本実施形態においては、農水産物としての海藻類を用いて、醗酵食品を製造する方法を例に挙げて説明する。
海藻類としては、例えば、昆布、ワカメ、ヒジキ、及び海苔などが挙げられる。
本実施形態において用いる海藻類は、その収穫の形態や商品化の形態に応じて、例えば、下記(1)、(2)及び(3)のように分類できる。
(1)収穫後、速やかに醗酵食品の製造に用いる場合
この場合の海藻類としては、例えば、昆布、ワカメ、ヒジキ、及び海苔などが挙げられる。
(2)収穫後、乾燥させたものを醗酵食品の製造に用いる場合
この場合の海藻類としては、例えば、昆布、ヒジキ、及び海苔などが挙げられる。
(3)収穫後、塩漬けしたものを醗酵食品の製造に用いる場合
この場合の海藻類としては、例えば、ワカメなどが挙げられる。
上記(1)〜(3)のいずれの場合の海藻類も、本実施形態の醗酵食品の製造方法に用いることができる。
海藻類の鮮度が落ちる前に醗酵食品の製造に用いるという観点から、上記(1)の場合のように、海藻類を収穫後、速やかに醗酵食品の製造に用いることが好ましい。
また、海藻類を収穫後、速やかに醗酵食品の製造に用いることができない場合には、上記(2)の場合のように海藻類を乾燥させるか、又は上記(3)の場合のように海藻類を塩漬けさせることが好ましい。
海藻類を塩漬けした場合には、海藻類に付着又は吸収された塩分を除去するための塩抜き工程及び乾燥工程を実施することが好ましい。この塩抜き工程は、本実施形態の洗浄工程として実施するか、又は別工程として実施することができる。乾燥工程は、本実施形態の水分除去工程(一部乾燥工程)として実施するか、又は別工程として実施することができる。乾燥工程では、海藻類中の水分を15質量%以上25質量%以下の範囲で除去することが好ましい。
〔醗酵食品の製造方法〕
本実施形態に係る醗酵食品の製造方法の一態様は、容器に海藻類及び生菌を加えて、前記海藻類を醗酵させる工程と、醗酵後に前記海藻類を前記容器から取り出す工程と、取り出した前記海藻類を真空凍結乾燥又は冷凍する工程と、を有する。
本実施形態に係る醗酵食品の製造方法の一態様も、例えば、図1に示すフロー図と同様に、洗浄工程と、水分除去工程(一部乾燥工程)と、醗酵工程と、取出工程と、真空凍結乾燥工程と、粉砕工程と、を有する。
(洗浄工程)
本実施形態に係る醗酵食品の製造方法の一態様においては、洗浄工程を実施することが好ましい。本実施形態の洗浄工程は、第一実施形態の洗浄工程と同様にして実施できる。本実施形態において洗浄工程を実施することで、海藻類に付着している塩分や含有している塩分を減らすことにより、醗酵工程における醗酵の開始を早めることができる。また、本実施形態において洗浄工程を実施することで、海藻類に付着している汚れを除去することもできる。
(水分除去工程)
本実施形態に係る醗酵食品の製造方法の一態様においては、水分除去工程(一部乾燥工程)を実施することが好ましい。本実施形態の水分除去工程は、第一実施形態の水分除去工程とほぼ同様にして実施できるが、以下、第一実施形態の水分除去工程とは異なる点を説明する。
本実施形態に係る醗酵食品の製造方法の水分除去工程において、海藻類が含んでいる水分の一部を除去すればよい。海藻類中の水分の除去量は、海藻類の種類に応じて適宜設定することが好ましい。例えば、海藻類中の水分を15質量%以上25質量%以下の範囲で除去することが好ましい。海藻類中の水分除去量は、次のようにして求めることができる。例えば、洗浄工程を実施する場合は、水で海藻類を洗浄する前の海藻類の質量W[kg]と、水分除去工程を実施した後の海藻類の質量Z[kg]とを測定し、次の計算式(2)を用いて海藻類中の水分の残存量を求めることが出来る。
(海藻類中の水分除去量[質量%])={(W−Z)/W}×100 …(2)
海藻類中の水分除去量を75質量%以上とすることで、海藻類が生菌を吸収しやすくなる。また、海藻類中の水分除去量を75質量%以上とすることで、海藻類が腐敗するのを抑制できる。海藻類中の水分除去量を85質量%以下とすることで、生菌を吸収する能力の低下を抑制できる。
(醗酵工程)
本実施形態に係る醗酵食品の製造方法の醗酵工程は、第一実施形態の醗酵工程と同様にして実施できるが、以下、第一実施形態の醗酵工程とは異なる点を説明する。
本実施形態に係る醗酵食品の製造方法の醗酵工程においても、生菌の温度は、生菌が滅菌されないような温度に設定することが好ましい。例えば、生菌の温度は、15℃以上41℃以下であることがさらに好ましい。
農水産物として海藻類を用いる場合、生菌の温度は、15℃以上41℃以下であることが好ましい。
農水産物を醗酵させる時間は、農水産物の種類に応じて適宜設定できる。農水産物としての海藻類を用いる場合、海藻類の種類、厚さ、及び硬さ等によって生菌の吸収の程度が異なるため、海藻類の種類等に応じて適宜設定することが好ましい。
農水産物として海藻類を用いる場合、醗酵時間は、10日以上15日以下であることが好ましい。例えば、醗酵時間は、海藻類の弾力性が増加したタイミングを目安に設定することができる。醗酵後、生菌溶液から海藻類を取り出すか、容器から生菌溶液を除去する。
農水産物として海藻類を用いる場合であって、ペースト状の醗酵食品を製造するには、醗酵時間の延長及び容器中の海藻類の攪拌の少なくともいずれかを実施することが好ましい。
また、農水産物として海藻類を用いる場合、暗室で醗酵工程を実施することが好ましい。
(真空凍結乾燥工程)
本実施形態に係る醗酵食品の製造方法の一態様においては、醗酵工程の後、容器から取り出した海藻類を真空凍結乾燥する工程をさらに有することが好ましい。本実施形態に係る醗酵食品の製造方法の真空凍結乾燥工程は、第一実施形態の真空凍結乾燥工程と同様にして実施できる。
(粉砕工程)
本実施形態に係る醗酵食品の製造方法の一態様においては、真空凍結乾燥した前記海藻類(本実施形態に係る醗酵食品)を粉末状に粉砕する工程をさらに有することが好ましい。本実施形態に係る醗酵食品の製造方法の粉砕工程は、第一実施形態の粉砕工程と同様にして実施できる。
本実施形態に係る醗酵食品の製造方法の一態様においては、全工程において、滅菌される温度以上に生菌及び醗酵後の農水産物を加熱しないことが好ましく、48℃を超える温度で加熱しないことがより好ましい。生菌及び醗酵後の農水産物を加熱する場合は、41℃以下であることが好ましい。
〔醗酵食品〕
本実施形態に係る醗酵食品は、真空凍結乾燥された農水産物(海藻類)の内部に生菌が残存していることを特徴とする。農水産物(海藻類)及び生菌については、前述の醗酵食品の製造方法の説明で示した農水産物及び生菌と同様である。本実施形態に係る醗酵食品は、例えば、前述の製造方法によって製造することができる。
本実施形態に係る醗酵食品は、粉末状であることが好ましい。本実施形態に係る醗酵食品は、そのまま飲食してもよいし、他の食品や飲料と混ぜてから飲食してもよい。
〔加工食品〕
本実施形態に係る加工食品は、本実施形態に係る醗酵食品を含んでいることを特徴とする。加工食品の例としては、第一実施形態と同様のものが挙げられる。
〔本実施形態の効果〕
本実施形態に係る製造方法によれば、菌が死滅しない程度の温度で醗酵を行い、生菌から取り出した海藻類を高温で加熱することなく、冷凍しているので、生菌を活かした状態で海藻類中に残すことできる。したがって、本実施形態に係る製造方法によれば、生菌が残存した醗酵食品を製造及び提供できる。さらに、本実施形態に係る醗酵食品の製造方法の一態様によれば、素材(海藻類)由来の有効成分が保たれた醗酵食品を製造及び提供できる。
本実施形態に係る加工食品は、本実施形態に係る製造方法によって製造された醗酵食品を含有しているため、栄養価が優れた加工食品としても利用できる。
本実施形態に係る製造方法においては、糖類を使用せずに醗酵させることができる。そのため、本実施形態に係る製造方法によれば、醗酵食品の製造コストを低減できる。
また、本実施形態に係る製造方法によれば、市場価値の低い農水産物としての海藻類(例えば、外観が劣る海藻類や大きさが規格に適合しない海藻類であって、販売されないものや、廃棄されてしまうようなもの等)を栄養価が優れた醗酵食品として有効活用できる。
〔実施形態の変形〕
本発明は、上述の実施形態に何ら限定されない。本発明は、本発明の目的を達成できる範囲で、上述の実施形態を変形した態様などを含む。
農水産物は、カット処理を施された状態で、醗酵工程に供給されることも好ましい。
農水産物をカット処理する工程は、醗酵工程の前であれば特に限定されないが、洗浄工程の前、又は水分除去工程の前に実施することが好ましい。農水産物をカットする手段としては、包丁やスライサー等の公知のカット手段を利用することができる。カット後の農水産物の大きさは、特に限定されない。なお、カット処理としては、農水産物を複数個に切断する処理に限定されず、例えば、葉菜類の場合には、素材によっては、葉を1枚ずつ切り離す処理も含む。
上述の実施形態に係る醗酵食品の製造方法においては、醗酵を停止させた後、生菌から取出した農水産物を真空凍結乾燥する工程を実施する態様を例に挙げて説明した。その他の態様としては、例えば、醗酵を停止させた後、生菌から取出した農水産物を冷凍する工程(冷凍工程)を実施してもよい。
冷凍工程を実施した農水産物(醗酵食品)は、利用に当って、そのまま飲食してもよいし、他の食品や飲料と混ぜてから飲食してもよい。
農水産物としての野菜類を用いる場合の製造方法が洗浄工程及び水分除去工程を実施せずに、野菜類を容器に加えて醗酵工程を開始させてもよい。ただし、野菜類に菌が付着している場合には、生菌へ影響が及ぶおそれがあるので、洗浄工程及び水分除去工程を実施することが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。但し、本発明はこれら実施例に何ら限定されない。
(実施例1)
農水産物として葉菜類の小松菜を用いて醗酵食品を製造した。
まず、小松菜を複数の葉に分割し、それぞれの葉を水で洗浄した。洗浄後、小松菜を一部乾燥させた。本実施例では、小松菜を自然乾燥させることにより、一部乾燥させた。
小松菜を一部乾燥させた後、滅菌処理を施した容器内に小松菜を15kg入れた。さらに、この容器に生菌(株式会社イイダ微研製の「テトラ菌」)を1.5kg加え、小松菜を生菌に浸漬させた。小松菜を浸漬させた生菌の温度は、15℃以上20℃以下の範囲内に維持した。浸漬時間は、3日以上4日以下とした。醗酵は暗室内で行った。
醗酵後、醗酵させた小松菜を生菌溶液から取り出した。生菌溶液から取り出した際の小松菜は、緑色を有しており、変色する前であった。小松菜を取り出した後の容器内に残存した生菌溶液の量は、150mlであった。
醗酵後の小松菜を、フリーズドライ装置を用いて真空凍結乾燥させた。共和真空技術株式会社製の凍結乾燥機(食品生産用)を用いて真空凍結乾燥させた。
続いて、真空凍結乾燥させた小松菜を粉末状に粉砕した。真空凍結乾燥後の小松菜を相互産業株式会社製のソーゴ式粉砕機T1号機を用いて粉砕した。
以上のようにして、実施例1に係る醗酵食品を製造した。
実施例1においては、醗酵後に容器に残存した生菌が減少していることから、生菌は小松菜に吸収され、醗酵工程以降の小松菜は、滅菌される温度以上に生菌が加熱されなかった。そのため、実施例1に係る醗酵食品中に生菌が残存していると考えられる。
(実施例2)
農水産物として葉菜類のルッコラを用いたこと以外は、実施例1と同様にして醗酵食品を製造した。なお、醗酵後のルッコラを生菌溶液から取り出した後、容器内に残存した生菌溶液の量は、170mlであった。
実施例2においては、醗酵後に容器に残存した生菌が減少していることから、生菌はルッコラに吸収され、醗酵工程以降のルッコラは、生菌が滅菌される温度以上に加熱されなかった。そのため、実施例2に係る醗酵食品中に生菌が残存していると考えられる。
(実施例3)
農水産物として果実類の柿を用いた。柿のヘタを除去し、鍋にヘタを除去した柿と水を加え、水が沸騰するまで加熱することにより、加熱処理を施した。加熱処理を施した柿(40kg)を、滅菌処理を施した容器内に入れた。容器内に入れた柿を攪拌し、生菌が滅菌される温度未満になるまで柿の温度を冷却した。冷却後、この容器に生菌(株式会社イイダ微研製の「テトラ菌」)を4kg加え、柿を生菌に浸漬させた。柿を浸漬させた生菌の温度は、15℃以上41℃以下の範囲内に維持した。浸漬時間は、7日以上10日以下とした。醗酵は暗室内で行った。醗酵中は容器内を攪拌した。
醗酵後、柿は、ペースト状に変化していた。生菌溶液から醗酵させた柿を取り出した。生菌溶液から取り出した際の柿は、オレンジ色を有しており、変色する前であった。
醗酵後の柿を、冷凍装置を用いて冷凍させた。
以上のようにして、実施例3に係る醗酵食品を製造した。
実施例3においては、醗酵後の柿がペースト状に変化していることから、生菌は柿に吸収され、醗酵工程以降の柿は、生菌が滅菌される温度以上に加熱されなかった。そのため、実施例3に係る醗酵食品中に生菌が残存していると考えられる。
本発明は、醗酵食品の製造方法、醗酵食品、及び加工食品として利用できる。

Claims (13)

  1. 容器に農水産物及び生菌を加えて、前記農水産物を醗酵させる工程と、
    醗酵後に前記農水産物を前記容器から取り出す工程と、
    取り出した前記農水産物を真空凍結乾燥又は冷凍する工程と、を有する
    ことを特徴とする醗酵食品の製造方法。
  2. 請求項1に記載の醗酵食品の製造方法において、
    前記農水産物を醗酵させる工程の前に、前記農水産物が含んでいる水分の一部を除去する工程を有する
    ことを特徴とする醗酵食品の製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の醗酵食品の製造方法において、
    前記農水産物が、野菜類、果実類、海藻類、魚介類及び肉類からなる群から選択される少なくともいずれかである
    ことを特徴とする醗酵食品の製造方法。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の醗酵食品の製造方法において、
    前記農水産物が、野菜類、又は海藻類である
    ことを特徴とする醗酵食品の製造方法。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の醗酵食品の製造方法において、
    前記容器から取り出した前記農水産物を真空凍結乾燥し、真空凍結乾燥した前記農水産物を粉末状に粉砕する工程をさらに有する
    ことを特徴とする醗酵食品の製造方法。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の醗酵食品の製造方法において、
    前記農水産物が、野菜類であり、
    前記農水産物を醗酵させる工程において前記野菜類が変色する前に、前記容器から前記野菜類を取り出す
    ことを特徴とする醗酵食品の製造方法。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の醗酵食品の製造方法において、
    前記農水産物は、葉菜類、茎菜類、根菜類、果菜類、花菜類、及びキノコ類からなる群から選択される少なくとも一種である
    ことを特徴とする醗酵食品の製造方法。
  8. 請求項7に記載の醗酵食品の製造方法において、
    前記農水産物は、葉菜類である
    ことを特徴とする醗酵食品の製造方法。
  9. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の醗酵食品の製造方法において、
    前記農水産物が、果実類であり、
    前記農水産物を醗酵させる工程の前に、前記果実類を沸騰水中で加熱する工程と、
    加熱した前記果実類を前記生菌が死滅する温度未満まで冷却する工程と、
    前記生菌及び冷却後の前記果実類を前記容器に加えて、前記果実類を醗酵させる
    ことを特徴とする醗酵食品の製造方法。
  10. 請求項9に記載の醗酵食品の製造方法において、
    醗酵後に前記果実類を前記容器から取り出し、取り出した前記果実類を冷凍する
    ことを特徴とする醗酵食品の製造方法。
  11. 真空凍結乾燥又は冷凍された農水産物の内部に生菌が残存している
    ことを特徴とする醗酵食品。
  12. 請求項11に記載の醗酵食品であって、粉末状であることを特徴とする醗酵食品。
  13. 請求項11又は請求項12に記載の醗酵食品を含んでいることを特徴とする加工食品。
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