以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を詳細に説明する。以下の実施形態は、例示であり、本開示による発光装置の構成およびその製造方法は、以下の実施形態に限られない。例えば、以下の実施形態で示される数値、形状、材料、ステップ、そのステップの順序などは、あくまでも一例であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の改変が可能である。
以下の説明では、特定の方向または位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」およびそれらの用語を含む別の用語)を用いる場合がある。しかしながら、それらの用語は、参照した図面における相対的な方向または位置をわかりやすさのために用いているに過ぎない。参照した図面における「上」、「下」等の用語による相対的な方向または位置の関係が同一であれば、本開示以外の図面、実際の製品等において、参照した図面と同一の配置でなくてもよい。以下の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素は共通の参照符号で示し、説明を省略することがある。また、図面が過度に複雑になることを避けるために、一部の要素の図示を省略することがある。図面が示す構成要素の大きさ、位置関係等は、わかりやすさのために誇張されている場合があり、実際の発光装置における大きさ、あるいは、実際の発光装置における構成要素間の大小関係を反映していない場合がある。本開示において「平行」および「垂直」(または「直交」)とは、特に他の言及がない限り、2つの直線、辺あるいは面等がそれぞれ0°から±5°程度および90°から±5°程度の範囲にある場合を含む。
(第1の実施形態)
図1〜図3は、本開示の第1の実施形態による発光装置を示す。参考のために、図1〜図3には、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を示す矢印があわせて図示されている。本開示の他の図面においてもこれらの方向を示す矢印を図示することがある。図2は、図1に示す発光装置100Aの中央付近のZX断面を示し、図3は、発光装置100Aを下面100b側から見た外観を示す。
図1に例示する構成において、発光装置100Aは、直方体形状を有し、上面100aと、下面100bと、これらの間に位置する4つの側面100cとを有する。もちろん、発光装置100Aの形状は、図1に示す例に限定されず、例えば、上面視における発光装置100Aの形状は、矩形状に限定されない。
発光装置100Aは、発光素子10と、波長変換部材20と、導光部材30Aと、光反射性部材40Aとを含む。図1に模式的に示すように、発光素子10は、波長変換部材20によって覆われており、光反射性部材40Aは、発光素子10を取り囲んでいる。導光部材30Aは、上面視において、波長変換部材20と光反射性部材40Aとの間に配置されている。以下、各構成要素を詳細に説明する。
[発光素子10]
発光装置100Aは、少なくとも1つの発光素子10を含む。図2に模式的に示すように、発光素子10は、上面10aと、上面10aとは反対側の下面10bと、これらの間に位置する側面10cとを有する。発光素子10は、素子本体11と、下面10b側に配置された第1電極12および第2電極14とを含む。
発光素子10には、LED、半導体レーザ等の公知の半導体発光素子を適用できる。以下では、発光素子10として青色光を出射するLEDを例示する。素子本体11は、典型的には、サファイア、窒化ガリウム等の支持基板と、支持基板上の半導体積層構造とを含む。半導体積層構造は、活性層と、活性層を挟むn型半導体層およびp型半導体層とを含む。素子本体11は、紫外〜可視域の発光が可能な窒化物半導体(InxAlyGa1-x-yN、0≦x、0≦y、x+y≦1)を含んでいてもよい。
第1電極12および第2電極14は、例えば、Ag、Al、Au、Cu、Ti、Ni、Pt、Pd、W等の金属または合金の単層膜または積層膜であり、上述の半導体積層構造に所定の電流を供給する機能を有する。第1電極12および第2電極14の形態は、膜に限定されず、例えばCuポストの形で実現されてもよい。
図2に示すように、この例では、発光素子10の下面10bは、第1電極12および第2電極14の下面に一致しており、図3に示すように、第1電極12および第2電極14は、発光装置100Aの下面100bからその下面が露出されている。つまり、発光装置100Aは、フリップチップ接続による実装が可能に構成されている。図3に示すように、ここでは、底面視における第1電極12の形状と第2電極14の形状とは、互いに異なっている。第1電極12と第2電極14との間で形状を互いに異ならせることにより、いずれが正極であるか負極であるかを区別しやすくなる。
[波長変換部材20]
波長変換部材20は、発光素子10から出射された光の少なくとも一部を吸収し、発光素子10からの光の波長とは異なる波長の光を発する。図2に示すように、波長変換部材20は、発光素子10の上面10aを覆う第1部分21と、発光素子10の側面10cを覆う第2部分22とを有する。したがって、発光素子10の上面10aから出射された光の一部を波長変換部材20の第1部分21に吸収させ、波長の異なる光として第1部分21から出射させることができる。同様に、発光素子10の側面10cから出射された光に関しても、その一部を波長変換部材20の第2部分22に吸収させて波長の異なる光として第2部分22から出射させることができる。なお、図2に模式的に示すように、波長変換部材20は、典型的には、発光素子10の上面10aおよび側面10cによって形成される、素子本体11の上部の角付近に位置する第3部分23を含む。第3部分23は、第1部分21と第2部分22とを互いに接続している。
波長変換部材20は、典型的には、樹脂中に蛍光体の粒子が分散された層である。波長変換部材20は、波長変換物質である蛍光体等の粒子が樹脂中に分散された第1樹脂材料を用いて形成することができる。蛍光体等の粒子を分散させる樹脂としては、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ユリア樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂もしくはフッ素樹脂、または、これらの樹脂の2種以上を含む樹脂を用いることができる。蛍光体には、公知の材料を適用することができる。蛍光体の例は、YAG系蛍光体、KSF系蛍光体等のフッ化物系蛍光体およびCASN等の窒化物系蛍光体、βサイアロン蛍光体等である。YAG系蛍光体は、青色光を黄色光に変換する波長変換物質の例であり、KSF系蛍光体およびCASNは、青色光を赤色光に変換する波長変換物質の例であり、βサイアロン蛍光体は、青色光を緑色光に変換する波長変換物質の例である。蛍光体は、量子ドット蛍光体であってもよい。
[導光部材30A]
図2に示すように、導光部材30Aは、波長変換部材20の第2部分22と、光反射性部材40Aとの間に配置される透光性の構造であり、例えば、樹脂を母材とする第2樹脂材料から形成される。なお、本明細書において、「透光性」および「透光」の用語は、発光素子10の発光ピーク波長における透過率が60%以上であることを指す。
導光部材30Aは、波長変換部材20の第2部分22の少なくとも一部を覆い、発光装置100Aの上面100a側に位置する上面30aと、側面30cとを有する。図2に示す例では、導光部材30Aは、波長変換部材20の第2部分22に加えて第3部分23をさらに覆っている。ここで、導光部材30Aの側面30cは、導光部材30Aの表面のうち、波長変換部材20の第2部分22および第3部分23との界面、ならびに、上面30a以外の部分を指し、この例では、導光部材30Aの側面30cは、光反射性部材40Aとの界面である。断面視における側面30cの形状は、図2に示すような、発光素子10に近づく方向に凸の曲線状に限定されず、例えば、発光素子10から離れる方向に凸の曲線状であってもよいし、直線状、折れ線状等であってもよい。ただし、図2に例示するように、導光部材30Aの側面30cの断面視における形状が発光素子10に近づく方向に凸の曲線状であると、発光素子10の側面10cから出射され、導光部材30Aを通過した光のより多くをより効率的に発光装置の発光面に導くことができる。よって、より有利に光取り出し効率を向上させ得る。
発光素子10が発する光のうち、発光素子10の側面10cから出る光は、波長変換部材20を介して導光部材30Aに入射し、導光部材30Aの側面30cの位置で発光素子10の上方に向けて反射され、発光装置100の上面100aから出射する。この例では、導光部材30Aは、波長変換部材20の下端から上端までの全体を覆っているが、導光部材30Aが波長変換部材20の下端から上端までの全体を覆うことは必須ではない。ただし、導光部材30Aが波長変換部材20の第2部分22の表面のより多くの領域を覆うと、より多くの光を発光素子10の上方に導くことができ、光の取出し効率が向上するので有益である。
図2に例示する構成において、導光部材30Aの上面30aは、波長変換部材20の上面20a、および、光反射性部材40Aのうち、発光素子10の側面10cを取り囲む壁状の部分の上面40aと整合しており、これらとともに発光装置100の上面100aを構成している。すなわち、図1および図2からわかるように、この例では、上面視において、波長変換部材20は、導光部材30Aとの重なりを有しない。なお、この例では、上面視における導光部材30Aの外形は、発光装置100Aと同様の矩形状である。しかしながら、上面視において導光部材30Aの外形が発光装置100Aの外形に一致している必要はない。
導光部材30Aを形成するための第2樹脂材料に用いる樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、トリメチルペンテン樹脂もしくはポリノルボルネン樹脂、または、これらの2種以上を含む材料を適用し得る。第2樹脂材料に、例えば、屈折率の異なる材料を分散させることにより、導光部材30Aに光拡散機能を与えてもよい。光を有効に利用する観点から、発光素子10の発光ピーク波長における導光部材30Aの透過率が70%以上であると有益であり、80%以上であるとより有益である。
[光反射性部材40A]
図1および図2からわかるように、光反射性部材40Aは、上面視において発光素子10を取り囲む壁状の部分を有する。また、図2および図3に示すように、ここでは、光反射性部材40Aは、発光装置100Aの下面100bにおいて、第1電極12および第2電極14の下面以外の部分を覆っている。すなわち、図1〜図3に例示する構成において、光反射性部材40Aは、上述の導光部材30Aの側面30cと、発光素子10の下面10bのうち第1電極12および第2電極14を除く領域とを覆っている。
光反射性部材40Aは、例えば、樹脂中に光反射性のフィラーが分散された第3樹脂材料から形成され、入射した光を反射させる。本明細書において、「光反射性」とは、発光素子10の発光ピーク波長における反射率が60%以上であることを指す。光反射性部材40Aの、発光素子10の発光ピーク波長における反射率が70%以上であるとより有益であり、80%以上であるとさらに有益である。
光反射性のフィラーを分散させる樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ユリア樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂もしくはフッ素樹脂、または、これらの樹脂の2種以上を含む樹脂を用いることができる。光反射性のフィラーとしては、光反射性のフィラーを分散させる樹脂よりも高い屈折率を有する、無機材料もしくは有機材料の粒子を用いることができる。光反射性のフィラーの例は、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライト、酸化ニオブ、硫酸バリウム、酸化ケイ素、各種希土類酸化物(例えば、酸化イットリウム、酸化ガドリニウム)等の粒子である。
上述した形態によれば、波長変換部材20が、発光素子10の上面10aを覆う第1部分21と、側面10cを覆う第2部分22とを有し、導光部材30Aが第2部分22の少なくとも一部を覆っている。そのため、発光素子10から発せられる光のより多くを、波長変換部材20に入射させ、発光装置100Aの上面100a側から取り出すことができる。したがって、光の利用効率を向上させて所望の色の光をより多く取り出すことが可能になる。
また、上述した形態によれば、発光素子の上方に位置する構造にクラック等の損傷が生じる可能性を低減し得る。蛍光体等を利用した波長変換部材においては、吸収された光の一部が熱に変換されることが一般に知られている(以下、「ストークスロス」と呼ぶことがある)。特許文献1の図1に示される発光デバイスのように、発光素子の側面からの光を上面側に導く透明樹脂部上に蛍光体層を設けると、透明樹脂の低い熱伝導率に起因して十分な放熱が得られず、ストークスロスによる熱の影響により、蛍光体層にクラック等の損傷が生じ得る。
これに対し、上述した形態では、波長変換部材20の第1部分21および第2部分22がそれぞれ発光素子10の上面10aおよび側面10cに接している。そのため、波長変換部材20における、ストークスロスに起因する熱を発光素子10を介して逃がすことが可能になる。すなわち、樹脂よりも高い熱伝導率を有する発光素子10がヒートシンクの役割を果たすことにより、熱による波長変換部材20の劣化を抑制し得る。換言すれば、熱による波長変換部材20へのクラック等の発生が抑制され、発光装置の信頼性が向上する。また、波長変換部材20の発熱の影響が抑制されるので、より大きな電流の投入を許容可能になる。
上述した例では、特に、上面視において、波長変換部材20が導光部材30Aとの重なりを有しない。換言すれば、波長変換部材20は、導光部材30Aの上面30a上に位置する部分を含まない。発光素子10と比較して熱伝導率の低い導光部材30Aの上面30aの直上に波長変換部材20が位置しないので、波長変換部材20の温度の局所的な上昇を回避でき、熱による波長変換部材20および/または導光部材30Aの損傷が抑制される。
さらに、図2および図3を参照して説明した例では、光反射性部材40Aの一部が、発光素子10の下面10bのうち第1電極12および第2電極14を除く領域を覆っている。発光装置100Aの下面100bのうち、第1電極12および第2電極14を除く部分を光反射性部材40Aが占めることにより、発光装置100Aの下面100b側からの光の出射が抑制され、光の利用効率向上の効果が得られる。
(変形例)
図4は、第1の実施形態による発光装置の変形例を示す。図1〜図3を参照して説明した発光装置100Aと比較して、図4に示す発光装置100Baは、導光部材30Aおよび光反射性部材40Aにそれぞれ代えて導光部材30Bおよび光反射性部材40Bを有し、波長変換部材20の第1部分21および第3部分を覆う透光部材50をさらに有する。
導光部材30Bは、その一部に、波長変換部材20の上面20a上に位置する透光層31を含む。透光層31は、波長変換部材20と、透光部材50との間に介在された層状の構造であり、導光部材30Bのうち、波長変換部材20の第2部分22および第3部分23を覆う部分と連続している。図4に示すように、この例では、透光層31の上面が導光部材30Bの上面30aを構成する。
図4に例示する構成において、透光部材50は、導光部材30Bの上面30aに対向する下面50bと、下面50bとは反対側の上面50aと、下面50bおよび上面50aの間に位置する側面50cとを有する板状の構造である。透光部材50は、波長変換部材20の保護層として機能し得る。透光部材50中に、例えばシリコーン樹脂等の母材とは屈折率の異なる材料を分散させ、透光部材50に光拡散機能を与えてもよい。発光素子10の発光ピーク波長における透光部材50の透過率は、70%以上であってもよいし、80%以上であってもよい。透光部材50は、ガラスから形成されてもよい。
透光部材50を形成するための材料としては、導光部材30Bの材料と同様の第2樹脂材料を用い得る。ただし、透光部材50の材料と導光部材30Bの材料とが共通である必要はない。例えば、これらの部材を形成するための材料の粘度を調整するためのフィラーの含有量が互いに異なっていてもよい。なお、図4では、透光部材50と導光部材30Bとの間の界面が描かれているが、透光部材50の材料と導光部材30Bの材料とが共通である場合には、これらの間に明確な境界が現れないこともある。
光反射性部材40Bは、図4に示すように、透光部材50の側面50cを覆うように形成され得る。ここでは、光反射性部材40Bの上面40aが透光部材50の上面50aに整合しており、光反射性部材40Bの上面40aおよび透光部材50の上面50aが発光装置100Baの上面100aを構成する。すなわち、この例では、波長変換部材20を通過した光は、透光部材50の上面50aから取り出される。上面視における発光装置100Baの外観は、上述の発光装置100Aの外観と同様であり得る。透光部材50の側面50cを覆うように光反射性部材40Bを形成することにより、指向特性が向上された配光を実現し得る。
図5は、第1の実施形態による発光装置の他の変形例を示す。図4を参照して説明した発光装置100Baと比較して、図5に示す発光装置100Bbは、図1に示す発光装置100Aと同様に光反射性部材40Aを有し、透光部材50が、光反射性部材40Aの上面40aおよび導光部材30Bの上面30aの全体を覆っている。換言すれば、透光部材50の側面50cが外部に露出されており、この例では、側面50cは、発光装置100Bbの側面100cに整合している。この例のように、透光部材50の側面50cが光反射性部材に覆われていることは必須ではない。このような構成によっても、透光部材50を波長変換部材20の特に第1部分21の保護層として機能させ得る。
図6は、第1の実施形態による発光装置のさらに他の変形例を示す。図6に示す発光装置100Cは、概略的には、第1導電部62および第2導電部64を有する基板60と、基板60上に配置された、図4を参照して説明した発光装置100Baとほぼ同様の発光構造とを含む。図6に例示する構成において、基板60上の発光構造は、上面視においてX方向に長い矩形状を有している。ここでは、基板60上の発光構造は、発光装置100Baの光反射性部材40Bを光反射性部材40Cに置き換えた構成を有する。
図6に示すように、基板60は、第1導電部62および第2導電部64を支持する本体部66を含む。本体部66の材料としては、例えば、セラミックスまたは樹脂を用いることができる。表面に絶縁層が設けられた金属基板等も本体部66として用い得る。本体部66は、概ね直方体形状を有し、上面66a、下面66bおよびこれらの間に位置する側面66cを有する。本体部66の寸法の一例は、長さ(X方向)が1800μm、幅(Y方向)が300μm、高さ(Z方向)が360μmである。
図7は、図6に示す発光装置100Cの中央付近のZX断面を示す。図7に示すように、第1導電部62は、上面66a上に位置する部分と、下面66b上に位置する部分と、これらを互いに接続する、側面66cのうちYZ面に平行な面上の部分とを含む。第2導電部64も同様に、上面66aから下面66bにかけて連続する形状を有している。基板60の第1導電部62のうち上面66a上の部分は、発光素子10の第1電極12の下方まで延びており、接合部材61によって第1電極12に電気的に接続されている。同様に、第2導電部64も、発光素子10の第2電極14の下方まで延び、接合部材61によって第2電極14に電気的に接続されている。発光素子10の第1電極12に接続された第1導電部62の一部および第2電極14に接続された第2導電部64の一部が下面66b側に位置することにより、発光装置100Cの配線基板等への実装が容易になる。なお、この例では、光反射性部材40Cの下端は、基板60に達しており、第1電極12、第2電極14および接合部材61を覆っている。
接合部材61としては、例えばハンダを用いることができる。接合部材61の材料の例は、Au含有合金、Ag含有合金、Pd含有合金、In含有合金、Pb−Pd含有合金、Au−Ga含有合金、Au−Sn含有合金、Sn含有合金、Sn−Cu含有合金、Sn−Cu−Ag含有合金、Au−Ge含有合金、Au−Si含有合金、Al含有合金、Cu−In含有合金、または、金属およびフラックスの混合物等である。接合部材61の材料としては、液状、ペースト状または固体状(シート状、ブロック状、粉末状、ワイヤ状)の部材を適宜用いることができる。接合部材61は、単一の部材で構成されていてもよいし、数種の部材の組み合わせであってもよい。
発光装置100Cは、例えば、液晶表示装置のバックライトとして用いられる。図6に示すように、発光装置100Cは、ここでは、Y方向と比較してX方向に長い外形を有している。つまり、図6に例示する構成は、いわゆるサイドビュータイプの発光装置の例であり、発光装置100Cは、例えば液晶パネルの周縁部に配置され、液晶パネルの周縁部から液晶パネルの背面に光を供給する。
図6および図7に示す例では、発光装置100Cが有する発光素子10の数は、1つである。しかしながら、本開示の発光装置が有する発光素子10の数は、この例に限定されず、例えば発光装置100Cが、第1導電部62および第2導電部64の間で直列または並列に接続された2以上の発光素子10を含んでいてもよい。発光素子10の数が2以上である場合、これらの間で出射される光のピーク波長が共通である必要はない。例えば発光装置100Cが、青色光、緑色光、赤色光をそれぞれ出射する3つの発光素子を含んでいてもよい。
[製造方法]
次に、第1の実施形態による発光装置の製造方法を説明する。ここでは、製造方法の第1の例として、図1〜図3を参照して説明した発光装置100Aの例示的な製造方法を説明する。
図8は、第1の実施形態による発光装置の製造方法の第1の例を説明するためのフローチャートである。図8に示すように、製造方法の第1の例は、概略的には、発光素子と、発光素子の上面および側面を覆う波長変換部材とを有する発光体を準備する工程(ステップS11)と、発光体を支持体上に配置して導光部材を形成する工程(ステップS12)と、導光部材を覆う光反射性部材を支持体上に形成する工程(ステップS13)と、支持体を除去する工程(ステップS14)とを含む。以下、各工程をより詳細に説明する。
(A1)発光体を準備する工程
まず、発光素子および波長変換部材を有する発光体を準備する(図8のステップS11)。発光体は、発光素子10を準備し、発光素子10の上面10aおよび側面10cを覆うように波長変換部材20を発光素子10上に形成することによって得ることができる。発光体は、例えば、以下のようにして得られる。
まず、発光素子10と、支持体510とを準備し、図9に示すように、第1電極12および第2電極14が支持体510の上面510aに対向するようにして、発光素子10を支持体510上に配置する。ここでは、複数の発光素子10を図のX方向およびY方向に沿って支持体510上に2次元に配置する。支持体510上への発光素子10の配置には、転載または転写の手法を適用可能である。図9では、支持体510上にX方向に沿って配置された発光素子10のうちの3つを代表して示している。図9には現れていないが、Y方向にも複数の発光素子10が配置され得る。発光素子10を支持体510上に複数配置することにより、複数の発光装置100Aを効率的に作製することができる。
支持体510としては、耐熱性の粘着シート等を用いることができる。図9に模式的に示すように、第1電極12および第2電極14が粘着シートの粘着層に埋め込まれるように、発光素子10を支持体510上に配置してもよい。換言すれば、図9に示す例では、素子本体11の下面11bの少なくとも一部が、支持体510の上面510aに接している。支持体510として、Si基板等の板状の基板を用い、接着剤等によって発光素子10を基板上に一時的に固定してもよい。
次に、蛍光体等の粒子が樹脂中に分散された、未硬化の状態の第1樹脂材料を支持体510上に付与し、支持体510上の第1樹脂材料を硬化させることにより、図10に示すように、発光素子10の上面10aおよび側面10cを覆う波長変換層20Qを形成する。波長変換層20Qの形成には、スプレー法、ディップコーティング法、キャスティング法、ポッティング法等の塗布法を適用し得る。例えばスプレー法を適用する場合には、発光素子10の上面10aおよび側面10cに、蛍光体、シリコーン樹脂等の樹脂材料、無機フィラー粒子および溶媒を含有する樹脂組成物を吹き付け、樹脂組成物を硬化させる。特に、樹脂組成物を間欠的に噴射するパルススプレー法を適用すると、より高精度に波長変換層20Qの厚さを制御し得る。ディップコーティング法を適用する場合には、蛍光体を含有する上述の樹脂組成物中に、素子本体11の下面11bの位置まで発光素子10を浸漬させ、樹脂組成物から引き上げた後、樹脂組成物を硬化させる。
あるいは、波長変換層20Qの形成に、例えばトランスファー成形および圧縮成形法も適用可能である。圧縮成形法を適用する場合、シリコーン系またはエポキシ系のモールドコンパウンド等を用いてもよい。なお、粘着シートの粘着層等によって素子本体11の下面11bが覆われない状態で波長変換層20Qを形成すると、最終的に得られる発光装置の下面に波長変換層20Qの一部が残り得る。光反射性部材40Aの代わりに波長変換層20Qが素子本体11の下面11b上に位置する構成では、発光装置の下面側からも光が出射され得るので、光の利用効率の観点からは、下面11bを光反射性部材40Aで覆う方が有利である。ただし、波長変換層20Qが素子本体11の下面11b上に位置する構成は、下面11bを光反射性部材40Aで覆う構成と比較して製造が容易であり得るので、リードタイム短縮、コスト低減といった効果を期待できる。
次に、例えばダイシング装置により、隣接する2つの発光素子10の間の位置で波長変換層20Qを切断する。これにより、図11に示すように、発光素子10と、発光素子10の上面10aおよび側面10cを覆う波長変換部材20とを有する発光体10Uが支持体510上に得られる。この工程によって波長変換層20Qから得られる波長変換部材20は、図示するように、発光素子10の上面10aを覆う第1部分21と、側面10cを覆う第2部分22とを含み、典型的には、これらを互いに接続する第3部分23をさらに含んでいる。
(A2)発光体を支持体上に配置して導光部材を形成する工程
次に、支持体520を準備し、図12に示すように、波長変換部材20の第1部分21を支持体520の上面520aに向けて発光体10Uを支持体520上に配置する。ここでは、複数の発光体10Uを図のX方向およびY方向に沿って支持体520上に2次元に配置する。支持体520としては、支持体510と同様に、耐熱性の粘着シート等を用いてもよいし、透光性の支持体を用いることもできる。透光性の支持体としては、透明樹脂のシートまたはガラスのシート等の透光シートを用いることができる。
次に、ディスペンサ等を用いて、支持体520上に配置された発光体10Uの各々を取り囲むようにして透光性の第2樹脂材料を支持体520上に配置する。第2樹脂材料としては、未硬化の状態のシリコーン樹脂等の透明な樹脂材料を母材として含む樹脂組成物を用いることができる。支持体520への第2樹脂材料の付与後、第2樹脂材料を硬化させることにより、図13に示すように、発光素子10の側方に位置する導光部材30Aを形成することができる(図8のステップS12)。
図13に示す例では、導光部材30Aの上端が発光素子10の素子本体11の下面11bの位置に整合している。換言すれば、この例では、導光部材30Aが波長変換部材20の第2部分22および第3部分23の表面の全体を覆っている。ただし、既に説明したように、導光部材30Aは、波長変換部材20の第2部分22の少なくとも一部を覆っていればよく、第2部分22および第3部分23の表面の全体を覆うことは必須ではない。例えば、支持体520に付与する第2樹脂材料の量、粘度等を調整することにより、導光部材30Aの上端の位置を素子本体11の下面11bよりも下側としてもよい。
(A3)導光部材を覆う光反射性部材を支持体上に形成する工程
次に、支持体520上に配置された構造を、例えば光反射性のフィラーが分散された未硬化の状態の第3樹脂材料によって覆う。すなわち、発光素子10、波長変換部材20および導光部材30Aを未硬化の状態の第3樹脂材料によって覆う。その後、第3樹脂材料を硬化させることにより、支持体520上に光反射性樹脂層を形成する。図14に示すように、第3樹脂材料を硬化させることによって得られる光反射性樹脂層40Rは、典型的には、発光素子10の第1電極12および第2電極14を覆う。
光反射性樹脂層40Rの形成には、例えばトランスファー成形、圧縮成形法等を適用可能である。熱および圧力を加えながら、未硬化の第3樹脂材料を型の内部で流動させる。圧縮成形法を適用する場合、光反射性樹脂層40Rを形成するための樹脂組成物として、シリコーン系またはエポキシ系のモールドコンパウンド等を用いてもよい。
次に、支持体520とは反対側から光反射性樹脂層40Rの一部を除去することにより、図15に示すように、発光素子10の第1電極12および第2電極14の下面を光反射性樹脂層40Rから露出させる。光反射性樹脂層40Rの一部の除去には、例えば、研磨、研削加工等を用いることができる。この例では、第1電極12の下面の少なくとも一部と、第2電極14の下面の少なくとも一部とが、光反射性樹脂層40Rに形成された研削面Gsaに現れる。
次に、必要に応じ、支持体520上の構造を支持体520から分離し、図16に示すように、第1電極12および第2電極14と上面530aとが対向するようにして、支持体520から分離された構造を支持体530上に配置する。支持体530としては、支持体510および支持体520と同様に、耐熱性の粘着シート等を用いることができる。
次に、図17に示すように、例えばダイシング装置により、隣接する2つの発光素子10の間の位置で光反射性樹脂層40Rを切断する。この個片化の工程により、導光部材30Aを覆う光反射性部材40Aが支持体530上に形成される(図8のステップS13)。なお、ここでは、支持体520上の構造を支持体530に載せ替えてから光反射性樹脂層40Rの切断の工程を実行している。ただし、支持体520上の構造を支持体530に載せ替える工程は、必須ではない。図15に示すように支持体520上に配置されたままの状態で光反射性樹脂層40Rを切断可能であれば、支持体530への載せ替えを省略して、支持体520上の構造を切断によって個片化してもよい。
図示するように、光反射性部材40Aは、発光素子10の第1電極12および第2電極14を除く下面10bを覆い、波長変換部材20の第2部分22を覆っている。以上の工程により、その少なくとも一部が発光素子10の下面10bに位置し、かつ、導光部材30Aの側面30cを覆う光反射性部材40Aを形成することができる。このような光反射性部材40Aを設けることにより、発光素子10の上面10a側に向かう光線を増大させ得る。
(A4)支持体を除去する工程
次に、支持体530を除去する。以上の工程により、図1〜図3に示すような、波長変換部材20を通過した光を発光素子10の上面10a側から出射させる導光部材30Aを有する発光装置100Aが得られる(図8のステップS14)。
(変形例)
図18に示すように、必要に応じて、波長変換部材20の第1部分21および第3部分23、ならびに、導光部材30Aを覆う透光層52を発光装置100Aの上面100a上にさらに配置してもよい。これにより、波長変換部材20の第1部分21に対向する下面52bを有し、かつ、導光部材30Aに光学的に接続された透光層52を含む導光構造70を有する発光装置100Dが得られる。透光層52は、波長変換部材20の保護層として機能し得る。
透光層52としては、例えば、透光シート(例えば透明樹脂のシート)を用いることができる。所定の寸法の透光シートを準備し、透光シートを透光性の接着剤等によって発光装置100Aの上面100aに接合することにより、導光部材30Aと透光層52とが一体とされた導光構造70を得ることが可能である。透光層52として、ガラスのシートを用いてもよい。硬化後の接着剤は、透光層52と波長変換部材20との間に位置する透光層を構成し得る。あるいは、発光装置100Aの上面100a上に未硬化の状態の透光性の樹脂材料を付与し、樹脂材料を硬化させることによって透光層52を形成してもよい。
図18を参照して説明した例では、光反射性樹脂層40Rの切断後に発光装置100Aの上面100aに透光層52を配置しているが、導光構造70の形成方法は、これに限られない。例えば、支持体520として透光シートを用い、光反射性樹脂層40Rの形成後、支持体520上の構造を支持体520から分離せずに、支持体520ごと支持体530上に配置する。その後、光反射性樹脂層40Rに加えて支持体520を一括して切断することによっても、透光層52を含む導光構造70を有する発光装置100Dを得ることができる。
なお、発光体10Uを支持体520上に配置する工程において、図19に示すように、発光体10Uの配置に先立ち、第2樹脂材料を支持体520に付与してもよい。すなわち、導光部材30Aを形成するための第2樹脂材料30rを支持体520の上面520aに先に付与してから、第2樹脂材料30rが付与された領域に発光体10Uを配置し、第2樹脂材料30rを硬化させてもよい。第2樹脂材料30rが付与された領域に発光体10Uを押し付けることにより、第2樹脂材料30rの一部を波長変換部材20の第2部分22上に配置することができる。この状態で第2樹脂材料30rを硬化させることによっても、やはり、上述の製造方法と同様に、発光素子10の側方に位置する導光部材を形成することが可能である。
第2樹脂材料30rが付与された領域への発光体10Uの配置の際、図20に示すように、支持体520の上面520aと、波長変換部材20の第1部分21との間に第2樹脂材料30rの他の一部を配置することも可能である。支持体520の上面520aと、波長変換部材20の第1部分21との間に第2樹脂材料30rの他の一部を配置した状態で第2樹脂材料30rを硬化させることにより、波長変換部材20の第1部分21上に位置する透光層を形成することができる。すなわち、図4および図5を参照して説明したような、透光層31をその一部に含む導光部材30Bを形成することができる。このとき、支持体520の上面520a上に予め透光部材50を固定しておいてから透光部材50上に第2樹脂材料30rを付与して発光体10Uを第2樹脂材料30r上に配置してもよい。波長変換部材20の第1部分21上に予め板状の透光部材を配置しておいてもよい。このような構造を得た後、図14〜図17を参照して説明した製造方法を適用すれば、透光部材50の側面50cを覆う光反射性部材40Bを形成可能であり、図4に示す発光装置100Baを得ることができる。
あるいは、支持体520として透光性のシートを使用してもよい。第2樹脂材料30rの一部を支持体520の上面520aおよび波長変換部材20の第1部分21の間に配置した状態で第2樹脂材料30rを硬化させ、光反射性樹脂層40Rの形成後に支持体520および光反射性樹脂層40Rを一括して切断すれば、図5に示す発光装置100Bbと同様の構造が得られる。
上述の工程に従って例えば発光装置100Aを得た後、図6および図7を参照して説明したような、第1導電部62および第2導電部64を有する基板60に、発光装置100Aを結合してもよい。例えば接合部材61によって第1導電部62および第2導電部64にそれぞれ第1電極12および第2電極14を接合することにより、図6および図7に示す発光装置100Cとほぼ同様の構成を有する発光装置を得ることが可能である。
発光装置100Cとほぼ同様の構成を有する発光装置を得ることが可能な製造方法は、上述の例に限定されない。以下、製造方法の第2の例として、発光装置100Cの例示的な製造方法を説明する。
図21は、第1の実施形態による発光装置の製造方法の第2の例を説明するためのフローチャートである。図21に示すように、製造方法の第2の例は、概略的には、発光素子と、発光素子の上面および側面を覆う波長変換部材とを有する発光体を準備する工程(ステップS21)と、本体部、ならびに、本体部上の第1導電部および第2導電部を有する基板上に発光体を配置する工程(ステップS22)と、発光体の側面に導光部材を配置する工程(ステップS23)と、導光部材を覆う光反射性部材を基板に形成する工程(ステップS24)とを含む。以下、各工程をより詳細に説明する。
(B1)発光体を準備する工程
上述の第1の例と同様に、まず、発光素子および波長変換部材を有する発光体10Uを準備する(図21のステップS21)。発光体10Uの作製の方法は、図9〜図11を参照して説明した方法と同様であり得るので、ここでは、詳細な説明および図示を省略する。
(B2)本体部、第1導電部および第2導電部を有する基板上に発光体を配置する工程
次に、本体部、第1導電部および第2導電部を有する基板を準備する。ここでは、図22に示すように、本体部66’と、第1導電部62’と、第2導電部64’とを含む基板60’を準備する。本体部66’は、上面66a’、下面66b’およびこれらの間に位置する側面66c’を有する。第1導電部62’の一部および第2導電部64’の各々は、基板60’の上面66a’から下面66b’まで連続して延びている。図22に例示する構成において、第1導電部62’および第2導電部64’の各々は、基板60’の上面66a’上において中央に向かって延びる複数のストライプ状の枝部を含み、各枝部の先端付近には、接合部材61が配置されている。
次に、基板60’上に発光体10Uを配置する(図21のステップS22)。ここでは、図23に示すように、3つの発光体10Uを基板60’上に配置している。このとき、各発光体10Uは、接合部材61によって、基板60’に固定される。
(B3)発光体の側面に導光部材を配置する工程
次に、必要に応じ、図24に示すように、波長変換部材20の上面20a側、すなわち、発光素子10の上面10a側に透光部材50を配置する。このとき、発光体10Uの上面に未硬化の状態の第2樹脂材料を付与し、第2樹脂材料上に透光部材50を配置することにより、その少なくとも一部が発光体10Uの側面10Uc上に位置する導光部材を形成することができる。ここで、側面10Ucは、発光体10Uの上面すなわち波長変換部材20の上面20aと、第1電極12および第2電極14が設けられた下面との間に位置する面である。以下、導光部材の形成方法を詳細に説明する。
例えば、基板60’への発光体10Uの配置後に、図25に示すように、発光体10Uの上面10Uaに第2樹脂材料30qを付与する。第2樹脂材料30qは、上述の導光部材30Aを形成するための材料と同様の材料であり得る。ここでは、シリコーン樹脂等の透明な樹脂材料を母材として含む樹脂組成物を用いる。
その後、第2樹脂材料30q上に透光部材50を配置する。透光部材50としては、発光体10Uの上面10Uaの寸法に適合する寸法にカットされた、透明樹脂のシートまたはガラスのシート等の透光シートを用いることができる。上面視における透光部材50の面積は、上面10Uaの面積より幾分大きくてよい。このとき、透光部材50を発光体10Uの上面10Uaに向けて押し付けることにより、発光体10Uの上面10Uaと透光部材50との間から、未硬化の状態の第2樹脂材料30qの一部を外側に向けて流すことができる。すなわち、第2樹脂材料30qの一部が発光体10Uの側面10Uc上に配置される。
その後、第2樹脂材料30qを硬化させることにより、図26に示すように、波長変換部材20の第2部分22上に位置する部分を含む導光部材30Bを形成することができる(図21のステップS23)。導光部材30Bのうち、波長変換部材20の第2部分22上に位置する部分は、発光体10Uの側面10Ucの下端までを覆っていてもよいし、側面10Ucの一部が導光部材30Bによって覆われてなくてもよい。必要に応じて、透光部材50および導光部材30Bの形状を整えてもよい。また、第2樹脂材料30qの他の一部を発光体10Uの上面10Uaと透光部材50との間に残した状態で第2樹脂材料30qを硬化させることにより、波長変換部材20の上面20a上に位置する透光層31を形成することができる。
あるいは、発光体10Uの側面10Uc上に導光部材を形成した発光構造を得てから、その発光構造を基板60’に配置してもよい。例えば、図27に示すように、透光性の支持体550を準備し、支持体550の上面550a上に第2樹脂材料30qを付与する。透光性の支持体550としては、透明樹脂のシートまたはガラスのシート等の透光シートを用いることができる。第2樹脂材料30qの付与後、上面10Uaを支持体550の上面550aに向けて、第2樹脂材料30q上に発光体10Uを配置する。このとき、発光体10Uを上面550aに向けて押し付けることにより、図28に示すように、第2樹脂材料30qの一部を発光体10Uの側面10Uc上に配置することができる。第2樹脂材料30qの他の一部が発光体10Uの上面10Uaと支持体550の上面550aとの間に残っていてもかまわない。
その後、第2樹脂材料30qを硬化させる。第2樹脂材料30qの硬化後、図29に示すように、例えばダイシング装置を用いて、隣接する2つの発光体10Uの位置で支持体550を切断することにより、各々が導光部材30Bを有する複数の発光構造10Bが得られる。図示するように、導光部材30Bは、発光体10Uの側面10Uc上にある部分に加えて、波長変換部材20と支持体550との間に位置する透光層31をその一部に含む。
個片化された発光構造10Bを基板60’上に配置すれば、図26に示す例と同様の構造が得られる。この例では、個片化によって得られる、透光性の支持体550の一部が透光部材50を構成し、その表面が、最終的に得られる発光装置の発光面を構成する。
波長変換部材20の第1部分21上に透光性の構造を有しない発光構造を得て、そのような発光構造を基板60’上に配置してもよい。例えば、支持体560を準備し、図30に示すように、上面10Uaを支持体560の上面560aに向けて発光体10Uを支持体560上に配置する。支持体560としては、例えば、耐熱性の粘着シートを用いることができる。支持体560としてSi基板等の基板または透光シート等を用いてもよい。支持体560が透光性を有する必要はない。
次に、図13を参照して説明した工程と同様にして、ディスペンサ等を用い、発光体10Uの各々を取り囲むようにして透光性の材料を支持体560の上面560a上に配置する。これにより、発光体10Uの側面10Ucを構成する、波長変換部材20の第2部分22の表面の少なくとも一部上に透光性の材料を配置できる。このとき、透光性の材料は、波長変換部材20の上面20aの位置から発光体10U中の素子本体11の下面11bまでの全体を覆っていてもよいし、発光体10Uの側面10Ucの一部が透光性の材料から露出されていてもよい。透光性の材料としては、上述の導光部材30A、30Bの材料と同様の第2樹脂材料を適用できる。
透光性の材料の付与後、透光性の材料を硬化させることにより、図31に示すように、発光素子10の側方に位置する導光部材30Aを形成することができる。このような工程によっても、発光体10Uの側面10Ucに導光部材30Aを配置することができる。その後、支持体560を除去することにより、図32に示すように、導光部材30Bに代えて導光部材30Aを有する発光構造10Cを得ることができる。このようにして得られた発光構造10Cを基板60’上に配置してもよい。この場合、図1および図2に示す発光装置100Aと同様に、波長変換部材20の上面20aと、導光部材30Aの上面30aとが、最終的に得られる発光装置の発光面を構成する。
(B4)導光部材を覆う光反射性部材を基板に形成する工程
例えば図26に示す構造を得た後、発光体10U、導光部材30Bおよび透光部材50を含む、基板60’上の構造を、未硬化の状態の第3樹脂材料によって覆う。その後、第3樹脂材料を硬化させることにより、図33に示すように、基板60’上に光反射性樹脂層40Qを形成する。この例では、光反射性樹脂層40Qは、各々が発光体10Uを有する、基板60’上の3つの発光構造を一括して覆っている。光反射性樹脂層40Qの形成には、例えばトランスファー成形、圧縮成形法等を適用可能である。このとき、発光体10Uの素子本体11の下面11bと基板60’との間に第3樹脂材料が入り込み、硬化する。すなわち、硬化後の第3樹脂材料の少なくとも一部は、発光素子10の第1電極12および第2電極14を除く下面10b上に位置する。
次に、研磨、研削加工等を適用して、基板60’とは反対側から光反射性樹脂層40Qの一部を除去し、図34に示すように、光反射性樹脂層40Qから透光部材50を露出させる。換言すれば、光反射性樹脂層40Qの一部の除去により、透光部材50の、波長変換部材20とは反対側に位置する上面50aが、光反射性樹脂層40Qに形成された研削面Gsbに現れる。
次に、図35に示すように、隣接する発光体10Uの位置で光反射性樹脂層40Qおよび基板60’を切断する。これにより、光反射性樹脂層40Qから、導光部材30Bを覆う光反射性部材40Cが形成され(図21のステップS24)、図6および図7に示す例と同様の構成を有する発光装置100Cが得られる。図6および図7を参照すればわかるように、光反射性部材40Cは、波長変換部材20の第2部分22上にある部分を含む導光部材30Bの側面30cと、発光素子10の下面10bのうち、第1電極12および第2電極14以外の部分とを覆う。光反射性部材40Cの形成により、発光素子10の上面10a側に向かって出射する光線を増大させる効果を得ることができる。
なお、この例では、光反射性樹脂層40Qおよび基板60’の切断の工程で、各々が発光体10Uを含む複数の発光装置100Cへの個片化を実行している。しかしながら、光反射性樹脂層40Qおよび基板60’の切断ラインの選択は、この例に限定されず、例えば、図のY方向に並ぶ複数の発光体10Uの1つおきに切断ラインの位置を設定してもよい。このような切断ラインの選択によれば、各々が2つの発光素子10を含む複数の発光装置が得られる。
以上に説明した工程によれば、発光素子10の側面10cから出射されて波長変換部材20を通過した光を発光素子10の上面10a側に導く導光部材を有する発光装置を効率的に提供し得る。本開示の実施形態による発光装置によれば、蛍光体の発熱の影響が低減されているので、従来と比較してより大きな電流の投入を許容できる。したがって、より高い輝度を期待できる。
(第2の実施形態)
図36は、第2の実施形態による発光装置のZX断面を模式的に示す。図36に示す発光装置100Dと、図1〜図3を参照して説明した発光装置100Aとの間の主な相違点は、発光装置100Dが、導光部材30Aに代えて導光部材30Dを有し、また、光反射性部材40Aに代えて光反射性部材40Dを有する点である。なお、上面100a側から見たときの発光装置100Dの外観は、図1に示す例と同様であり得る。したがって、ここでは、外観の図示を省略する。
図36に示すように、導光部材30Dは、波長変換部材20の第2部分22および第3部分23のうち、上面20aから下端に向かって途中の位置までの部分を覆っている。換言すれば、第2部分22の表面のうち、第2部分22の下端付近に位置する領域Exは、導光部材30Dから露出されており、光反射性部材40Dと接している。
光反射性部材40Dは、導光部材30Dの側面30cと、第2部分22のうち導光部材30Dによって覆われていない領域Exとを覆っている。なお、図36に例示する構成において、光反射性部材40Dは、発光素子10の下面10bに位置する部分を有しない。したがって、ここでは、発光装置100Dの下面100bに発光素子10の素子本体11の下面11bと、波長変換部材20の一部とが現れている。下面100b側からの光の出射を許容できる場合には、このような構成も採用し得る。なお、発光素子10の第1電極12および第2電極14を除く下面10b上に反射膜としての誘電体多層膜等を設けてもよい。
第1の実施形態と同様に、第2の実施形態においても、波長変換部材20は、発光素子10の上面10aおよび側面10cに接している。そのため、ストークスロスに起因する熱を発光素子10を介して逃がしやすく、熱による波長変換部材20の劣化が抑制される。結果として発光装置の信頼性が向上する。
図37は、第2の実施形態による発光装置の変形例を示す。図36に示す発光装置100Dと比較して、図37に示す発光装置100Eは、光反射性部材40Dに代えて、光反射性部材40Eを有する。光反射性部材40Eは、発光素子10の第1電極12および第2電極14を除く下面10bを覆っている。発光素子10の第1電極12および第2電極14を除く下面10bを光反射性部材40Eによって覆うことにより、発光装置100Eの下面100b側からの光の出射を抑制して、光の取出し効率を向上させ得る。
[製造方法]
図36に示す発光装置100Dの製造方法は、図9〜図17を参照して説明した製造方法の第1の例とほぼ同様であり得る。ただし、導光部材の形成の工程において、第2樹脂材料の量、粘度等を調整し、図38に示すように、支持体520上に配置された発光体10Uの各々を取り囲む第2樹脂材料30rが発光体10Uの側面10Ucの全体を覆わないようにする。この状態で第2樹脂材料30rを硬化させることにより、波長変換部材20の第2部分22の一部を覆う導光部材30Dを形成することができる。
その後、図39に示すように、発光体10Uおよび導光部材30Dを、未硬化の状態の第3樹脂材料によって覆う。このとき、発光素子10の素子本体11の下面11bの位置を超えないように、未硬化の第3樹脂材料を支持体520上に配置する。その後、第3樹脂材料を硬化させることにより、導光部材30Dを覆う光反射性樹脂層40Sを支持体520上に形成することができる。光反射性樹脂層40Sの形成方法としては、ポッティング法、トランスファー成形等が挙げられる。光反射性樹脂層40Sの形成後、図16および図17を参照して説明した例と同様にして個片化を実行すれば、光反射性樹脂層40Sから光反射性部材40Dが形成され、図36に示す発光装置100Dが得られる。
図37に示す発光装置100Eの製造方法も、図9〜図17を参照して説明した製造方法の第1の例とほぼ同様であり得る。ただし、図39に示す、発光装置100Dの例示的な製造方法とは異なり、図14および図15を参照して説明した例と同様に、発光素子10の第1電極12および第2電極14を覆う光反射性樹脂層40Rを支持体520上に形成し、研削加工等によって第1電極12および第2電極14を光反射性樹脂層40Rから露出させる。その後の工程は、上述の製造方法の第1の例と同様でよい。
(変形例)
図18を参照して説明した例のように、波長変換部材20の上方に透光層52をさらに配置してもよい。例えば、所定の寸法の透光シートを透明な接着剤等によって発光装置100Dの上面100aに接合すれば、導光部材30Dと透光層52とが一体とされた導光構造を得ることも可能である。透明な接着剤の量を調整することにより、波長変換部材20の第1部分21と透光層52との間に、他の透光層を形成することも可能である。
あるいは、図27〜図29を参照して説明した例と同様にして、導光部材を形成してもよい。すなわち、透光性の支持体550上に付与した第2樹脂材料30q上に発光体10Uを配置する。このとき、発光体10Uを上面550aに向けて押し付け、第2樹脂材料30qの一部を発光体10Uの側面10Uc上に配置する。ただし、側面10Ucの全体が第2樹脂材料30qに覆われないように、第2樹脂材料30qの量、発光体10Uを押し付ける圧力等を調整する。第2樹脂材料30qを硬化させた後、隣接する2つの発光体10Uの位置で支持体550を切断する。
その後、支持体550の切断によって得られた発光構造を他の支持体に転載し、図38および図39に示す工程と同様の工程を適用すれば、図40に示すような、上述の発光装置100Baに似た構造を有する発光装置100Fが得られる。図40に示す発光装置100Fは、上述の支持体550の一部である透光部材50と波長変換部材20との間に位置する透光層31をその一部に含む導光部材30Fを有する。図示するように、波長変換部材20の第2部分22の一部は、導光部材30Fには覆われていない。発光装置100Fの光反射性部材40Fは、導光部材30Fの側面30c、透光部材50の側面50c、および、波長変換部材20の第2部分22のうち導光部材30Fによって覆われていない部分を覆う。発光素子10の第1電極12および第2電極14を覆うように光反射性部材40Fを形成してもよい。
なお、透光性の支持体550上に付与した第2樹脂材料30q上に発光体10Uを配置して第2樹脂材料30qを硬化させた後、光反射性樹脂層40Sを形成してから光反射性樹脂層40Sおよび支持体550を切断して個片化を実行してもよい。このような工程によれば、図5を参照して説明した構成と同様の構成を得ることができる。すなわち、光反射性部材40Dまたは40Eの上面と、導光部材30Dの上面30aとを覆う透光部材50を支持体550から形成することができる。このような構成では、透光部材50の上面50aおよび側面50cが発光装置の発光面を構成するといえる。
図41に示すように、発光装置100Fに、上述の基板60を接続してもよい。発光装置100Fに代えて、発光装置100Dまたは100Eを基板60に接続してもよい。図42は、図37に示す発光装置100Eと同様の構成を有する発光構造と、基板60とを含む発光装置100Gを示す。図42に例示する構成において、基板60上の発光構造は、導光部材30Dを覆う光反射性部材40Gを有する。この例では、光反射性部材40Gの一部は、基板60と素子本体11の下面11bとの間の空間を占めている。発光装置100Gの製造方法は、導光部材30Dの材料が波長変換部材20の第2部分22の全体を覆わないようにして導光部材30Dの材料を硬化させることを除いて、第1の実施形態による製造方法の第2の例と同様であり得る。導光部材30Dの材料としては、導光部材30Aの材料と同様の材料を用い得る。