A.実施形態:
A−1.検査支援システム10の構成:
図1は、本実施形態における検査支援システム10の構成を示すブロック図である。検査支援システム10は、建築物や土木構造物等の構造物の検査業務を支援するためのものであり、サーバ装置100と、端末装置200と、図面データ保管サーバ300と、データ生成装置400と、杭打ち機500に設置された測定装置600と、を備える。サーバ装置100と、端末装置200と、図面データ保管サーバ300と、データ生成装置400と、測定装置600とは、ネットワークNWを介して互いに接続されている。図1には、1つの端末装置200が示されているが、検査支援システム10に含まれる端末装置200の数は、2以上でもよい。端末装置200は、特許請求の範囲における検査支援装置に相当する。
杭打ち機500は、構造物の杭を設置するための孔である杭孔を形成したり、杭孔に杭を設置したりするための装置であり、モータ510と、電流センサ520と、位置センサ530と、流量センサ540と、を備える。モータ510は、杭孔を形成するための掘削ヘッド(図示せず)を回転駆動するモータである。電流センサ520は、モータ510に流れる電流(以下、「モータ電流」という)を表す信号を出力するセンサである。なお、モータ電流は、地盤の硬さに相関して変化するため、地盤の硬さを表す指標値として用いられる。位置センサ530は、地盤に挿入された掘削ヘッドの深度を表す信号を出力するセンサである。流量センサ540は、杭を地盤に固定するために、杭孔に注入されるセメントミルク(根固め液および杭周固定液)の量を表す信号を出力するセンサである。掘削ヘッドは、特許請求の範囲における掘削部材に相当する。
測定装置600は、杭打ち機500に設けられた各センサ520〜540から出力される信号に基づき、モータ電流、掘削ヘッドの深度、および、セメントミルクの量を測定する装置であり、例えばパーソナルコンピュータ等である。測定装置600は、制御部610と、記憶部620と、通信インターフェース(I/F)630と、指示部640と、表示部650と、衛星信号受信部670と、を備える。記憶部620は、例えばハードディスクドライブ(以下、「HDD」という)やROM、RAM等により構成されており、測定装置600を制御するための各種プログラム、例えば、後述する測定結果データD507(図2参照)を生成するためのプログラムを記憶する。通信I/F630は、無線通信方式または有線通信方式により、外部装置と通信を行うインターフェースである。指示部140は、例えばキーボードやマウス等により構成され、ユーザの指示を受け付ける。表示部150は、例えば液晶ディスプレイ等により構成される。衛星信号受信部670は、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)やQZSS(Quasi-Zenith Satellite System:準天頂衛星システム)を構成する衛星20から受信した信号を利用して、自己の現在位置を特定する情報(緯度、経度および高度)を取得する装置である。制御部610と通信I/F630とは、特許請求の範囲における測定装置側通信部に相当する。
制御部610は、例えば中央制御ユニット(以下、「CPU」という)等により構成されており、記憶部620から読み出した各種プログラムを実行する。これにより、識別情報取得部612、測定結果情報生成部614等の制御部610の各機能が実現される。これら各機能について、後述の「A−2.検査支援処理」において説明する。
サーバ装置100は、後述する検査システム用データD100を取扱うファイルサーバであり、例えばサーバ用コンピュータ等である。サーバ装置100は、制御部110と、記憶部120と、通信I/F130と、指示部140と、表示部150とを備える。記憶部120は、例えばHDDやROM、RAM等により構成されており、サーバ装置100を制御するための各種プログラムや、検査システム用データD100を記憶する。制御部110は、例えばCPU等により構成されており、記憶部120から読み出した各種プログラムを実行する。通信I/F130は、無線通信方式または有線通信方式により、外部装置と通信を行うインターフェースである。指示部140は、例えばキーボードやマウス等により構成され、ユーザの指示を受け付ける。表示部150は、例えば液晶ディスプレイ等により構成される。制御部110と通信I/F130とは、特許請求の範囲におけるサーバ側通信部に相当する。
端末装置200は、検査を実施する検査者が使用する装置であり、例えばタブレット型端末やスマートフォン等である。端末装置200は、制御部210と、記憶部220と、通信I/F230と、表示部240と、を備える。記憶部220は、例えばHDDやROM、RAM等により構成されており、端末装置200を制御するための各種プログラムを記憶する。通信I/F230は、無線通信方式または有線通信方式により、外部装置と通信を行うインターフェースである。表示部240は、例えば液晶ディスプレイ等により構成され、図面等を表示する。本実施形態では、表示部240は、タッチパネルを有し、ユーザによる指示を受け付ける指示受付部としても機能する。制御部210と通信I/F230とは、特許請求の範囲における端末側通信部および測定結果情報取得部に相当する。
制御部210は、例えばCPU等により構成されており、記憶部220から読み出した各種プログラムを実行する。これにより、図面データ取得部212、地図情報データ取得部214、表示制御部216、基準値情報取得部218等の制御部210の各機能が実現される。これら各機能について、後述の「A−2.検査支援処理」において説明する。
図面データ保管サーバ300は、構造物の二次元図面(以下、単に「図面」という)を表す図面データD301(図2参照)を保管する装置である。図面データD301は、例えば構造物の杭伏図や各階の平面図等を表すデータであり、例えばDXF形式のCADデータである。
データ生成装置400は、検査システム用データD100を生成する装置である。サーバ装置100には、データ生成装置400により生成された検査システム用データD100が記憶される。
図2は、検査システム用データD100のファイル構造を示す説明図である。検査システム用データD100は、システムデータD101と個別現場データD102とを含む。システムデータD101は、個別現場データD102を管理するためのデータであり、対象となる全ての構造物に共通に用いられる。システムデータD101は、例えば杭アイコンAG、試験杭アイコンAC(図5参照)またはこれらの色違いアイコン(図13参照)等を表示するためのアイコン画像データD201を含む。
個別現場データD102は、構造物の建設現場毎に設定されるデータである。個別現場データD102は、複数の検査種類別データD202を含む。検査種類別データD202は、例えば杭検査、配管検査等、構造物に対して実施される検査の検査対象(例えば、杭、配管)毎に設定されている。以下に詳細に説明する通り、各検査種類別データD202は、図面データD301と、地図情報データD302とを含む。地図情報データD302は、構造物のIDデータD401と位置データD402と属性データD403とが互いに関連付けられたデータであり、例えばShape形式のデータである。具体的には、地図情報データD302は、IDデータD401と、位置データD402と、属性データD403と、対応関係データD404とを含む。
IDデータD401は、検査対象を識別するデータであり、例えば現場を特定する現場情報や、各杭に設定された杭番号を含む。位置データD402は、構造物の各検査対象に対する図面上の座標(以下、単に「検査対象の座標」という)を示すデータであり、具体的には、図面データD301に含まれる座標データが流用される。属性データD403は、構造物の各検査対象の属性を示すデータであり、具体的には、アイコンデータD501と、通芯データD502と、通芯識別データD503と、検査データD504と、ID表示データD506と、を含む。IDデータD401は、特許請求の範囲における識別情報に相当する。位置データD402は、特許請求の範囲における座標情報に相当する。
アイコンデータD501は、端末装置200の表示部240にアイコンを表示するためのデータであり、例えば、システムデータD101に含まれるアイコン画像データD201により表示可能な複数種類のアイコンから特定の種類のアイコンを選出するデータが含まれる。通芯データD502は、端末装置200の表示部240に構造物の通芯を表示するためのデータである。通芯識別データD503は、通芯を識別する通芯識別子を表示するためのデータである。検査データD504は、構造物の各検査対象における検査内容および検査結果を示すデータである。検査データD504には、構造物の各検査対象に関する測定を行った測定結果を表す測定結果データD507が含まれる。ID表示データD506は、端末装置200の表示部240にIDデータD401を表示するためのデータである。アイコンデータD501は、特許請求の範囲におけるアイコン情報の一例であり、測定結果データD507は、特許請求の範囲における測定結果情報に相当する。
対応関係データD404は、IDデータD401と位置データD402とを関連付けると共に、IDデータD401と属性データD403とを関連付けるデータである。これにより、属性データD403の示す特定の種類のアイコン(以下、単に「アイコン」という)や通芯等の属性は、IDデータD401を介して位置データD402の示す図面上の座標に関連付けられる。
表示制御部216(図1)として機能する端末装置200の制御部210は、GIS(Geographic Information System)表示機能を有しており、例えば位置データD402などの位置情報をキーにして、空間に関する情報と位置に関する情報を、重ね合わせて表示部240に表示させる機能を有している。具体的には、端末装置200は、図面データD301に基づいて図面を表示すると共に、地図情報データD302に基づいて属性を表示する。上述したように、アイコンや通芯等の属性は、図面上の座標に関連付けられている。そのため、アイコンや通芯等の属性は、表示部240に表示される際に、その属性に関連付けられた座標に対応する図面上の位置に重ねて表示される。
A−2.検査支援処理:
次に、本実施形態の検査支援システム10における検査支援処理の動作例を説明する。検査支援処理は、検査システム用データD100を作成する支援準備処理と、作成された検査システム用データD100に基づいて端末装置200の表示部240に検査対象に関する測定結果を表示し、検査員の検査を支援する支援実施処理と、を含む。
(1)支援準備処理
支援準備処理自体は、本明細書で開示される新規な内容ではないため、以下、簡単に説明する。
データ生成装置400は、個別現場データD102を生成する際に、図面データ保管サーバ300から対象となる構造物の図面データD301を取得する。また、データ生成装置400は、地図情報データD302を生成する。構造物では、検査の種類毎に、検査の必要な検査対象と各検査対象の検査内容とが予め定められている。データ生成装置400は、例えばユーザから入力される現場情報や杭番号からIDデータD401を生成する。また、データ生成装置400は、ユーザが座標を読み取って入力した検査対象の座標を示すデータから位置データD402を生成する。さらに、データ生成装置400は、ユーザから入力されるアイコンの種類や検査内容を特定するデータから属性データD403を生成する。
データ生成装置400は、生成したIDデータD401と位置データD402と属性データD403とを関連付ける対応関係データD404を生成し、IDデータD401と、位置データD402と、属性データD403と、対応関係データD404とを含む地図情報データD302を生成する。サーバ装置100の制御部110は、地図情報データD302を生成すると、図面データ保管サーバ300から取得した図面データD301と、地図情報データD302とを含む検査種類別データD202を生成する。データ生成装置400は、現場毎、および、各現場において検査が実施される検査種類毎に検査種類別データD202を生成し、個別現場データD102を生成する。データ生成装置400は、生成した個別現場データD102をサーバ装置100に保管させる。以上により、支援準備処理が完了する。
(2)支援実施処理
図3は、支援実施処理の流れを示すシーケンス図である。以下では、支援実施処理の一例として、杭基礎建物の杭検査を行う場面における動作例について説明する。支援実施処理は、測定処理(S110〜S160)と、検査処理(S210〜S320)と、を含む。
(測定処理)
測定処理は、測定装置600が測定結果データD507を生成し、サーバ装置100に記憶させる処理であり、測定装置600およびサーバ装置100により実行される。以下では、測定処理の一例として、杭番号:44の杭(以下、「選択杭」という)を設置するための杭孔を形成する杭孔形成作業における動作例について説明する。
測定装置600の制御部610は、杭打ち機500の作業員が選択杭の杭孔形成作業を開始すると、測定処理を開始する。作業員は、杭孔形成作業を開始する際に、指示部640を介して現場情報や選択杭の杭番号等を測定装置600に入力する。制御部610の識別情報取得部612は、作業員が入力した情報から、現場情報や選択杭の杭番号を含むIDデータD401を取得する(S110)。
測定装置600の制御部610は、杭孔形成作業時に、電流センサ520を用いてモータ電流値を測定し、位置センサ530を用いて掘削ヘッドの深度を測定し、流量センサ540を用いて杭孔に注入されるセメントミルクの量を測定する。制御部610は、これらの測定結果(数値データ)を取得し(S120)、これらの測定結果を表すグラフ(図形)を生成する。例えば、制御部610は、測定された掘削ヘッドの深度を用いて、横軸を杭孔形成作業開始からの経過時間とし、縦軸を掘削ヘッドの深度としたグラフ(図7参照 以下「測定結果グラフ」という)を生成する。制御部610は、杭打ち機500が選択杭の杭孔形成作業を終了すると、測定結果を表す数値データと測定結果グラフを表す画像データとを含む測定結果データD507を生成し、生成した測定結果データD507のファイル名として、選択杭のIDデータD401を含むファイル名を設定する(S130)。つまり、測定結果には、数値とグラフとが含まれ、測定結果データD507には、IDデータD401が含まれることになる。
測定装置600の制御部610は、指示部640を介して作業者からの測定結果データD507の送信指示を受け付けると、通信I/F630を介して、生成した測定結果データD507をサーバ装置100に送信する(S140)。
サーバ装置100の制御部110は、通信I/F130を介して、測定装置600から送信された測定結果データD507を受信する(S150)と、受信した測定結果データD507のファイル名に含まれるIDデータD401に基づいて、記憶部220に記憶される複数の個別現場データD102から、選択杭に対応する地図情報データD302を選択する。制御部110は、選択杭に対応する地図情報データD302の属性データD403に含まれる検査データD504に、受信した測定結果データD507を追加して記憶する(S160)。以上により、測定処理が完了する。上記測定処理が杭毎に実行されることにより、サーバ装置100に各杭の測定結果データD507が記憶される。
(検査処理)
次に、検査処理について説明する。検査処理は、検査者が端末装置200を用いて検査対象の検査を行う処理であり、端末装置200およびサーバ装置100により実行される。以下では、検査処理の一例として、選択杭の検査を行う場面における動作例について説明する。
端末装置200の制御部210は、表示部240を介して検査者から検査開始の指示を受け付けると、検査処理を開始する。検査者は、検査開始の指示に併せて、現場情報、および、検査者を特定する検査者情報を入力する。制御部210は、現場情報および検査者情報を取得する(S210)と、取得した現場情報に基づいて、通信I/F230を介して、サーバ装置100から対象となる構造物の個別現場データD102を読み出し、記憶部220に記憶させる。すなわち、制御部210の図面データ取得部212は、通信I/F230を介して、データ生成装置400から図面データD301を取得する。また、制御部210の地図情報データ取得部214は、通信I/F230を介して、データ生成装置400から地図情報データD302を取得する(S220)。記憶部220には、予めシステムデータD101が記憶されている。そのため、S220が完了した時点では、制御部210は、予め記憶されたシステムデータD101と、取得された個別現場データD102とにより検査システム用データD100の取得が完了したことになる。
端末装置200の制御部210は、検査者から入力される検査の種類を特定する検査種類情報に基づいて、個別現場データD102に含まれる複数の検査種類別データD202から杭検査の検査種類別データD202を選択する。制御部210の表示制御部216は、選択した検査種類別データD202に含まれる図面データD301に基づいて、表示部240に構造物の図面30(図4参照)を表示させる(S230)。
図4は、図面30を表示する図面表示画面HFの一例を示す説明図である。図3には、端末装置200の表示部240に図面30の全体が表示された状態が示されている。図面表示画面HFは、ヘッダ領域HUと、図面表示領域HZと、を含む。ヘッダ領域HUは、検査者情報に基づく検査者コード(例えば、123456)と、検査種類情報に基づく検査識別子(例えば、杭検査)と、を表示する領域である。図面表示領域HZは、図面30を表示する領域である。
端末装置200の制御部210は、図面30の表示倍率と表示位置とを変更可能である。具体的には、制御部210は、表示部240を介して図面30を任意の倍率に拡大・縮小して表示させ、または、図面30をスクロールして表示させることが可能である。例えば、制御部210は、検査者から図面30の拡大指示を受け付けると、表示部240に図面30の一部を拡大して表示させる。
図5は、拡大された図面30を表示する図面表示画面HFの一例を示す説明図である。本実施形態では、図面表示画面HFに図面30の全体が表示された状態以外の状態では、図5に示すように、表示制御部216として機能する端末装置200の制御部210は、表示部240に図面30を表示させるとともに、GIS表示機能により、地図情報データD302に基づいて属性を表示させる。具体的には、制御部210の表示制御部216は、アイコンデータD501に基づいて杭アイコンAG(AG1〜AG11)と試験杭アイコンAC1とを表示させ、通芯データD502に基づいて通芯AS(AS1〜AS5)を表示させ、通芯識別データD503に基づいて通芯識別子AM(AM1〜AM5)を表示させ、ID表示データD506に基づいて検査対象の杭番号(7〜10、37〜39、43〜46、51)を表示させる。
端末装置200の制御部210は、通芯データD502に基づいて、通芯ASを、通芯ASに関連付けられた図面30上の座標に対応する位置に表示させる。そのため、制御部210は、図面30の表示倍率が変更されたことに応じて、通芯ASの表示状態を更新する。具体的には、制御部210は、図面30が拡大または縮小された場合には、その拡大または縮小に追従させて、通芯ASが表示される位置を更新する。また、通芯識別子AMは、対応する通芯ASの座標に対応する位置に関連付けられている。そのため、制御部210は、図面30の表示倍率が変更されたことに応じて、通芯識別子AMの表示状態を更新する。本実施形態では、通芯識別子AMは、対応する通芯ASが表示部240の外周部と交差する位置のいずれか一方の周囲に表示される。
杭アイコンAGと、試験杭アイコンAC1と、IDデータD401とは、これらに関連付けられた図面30上の座標が示す位置に表示される。この結果、杭アイコンAG、試験杭アイコンAC1、および、IDデータD401は、これらに対応する検査対象に対する図面上の位置(以下、単に「検査対象の位置」という)に表示される。杭アイコンAGおよび試験杭アイコンAC1には、検査対象の種類を示す「杭」、「試験杭」等の表示が含まれ、対応する検査対象の検査状況により表示色が決定される。例えば、対応する検査対象に関する測定が行われていないため、検査対象の検査状況が「未確認」であると、表示色は黄色となる。対応する検査対象に関する測定が行われ、その測定結果が「取得」された状態であると、表示色はオレンジ色となる。対応する検査位置の検査結果が「不合格」であると、表示色は赤色となる。対応する検査位置の検査結果が「合格」であると、表示色は青色となる。なお、図5では、「試験杭」(杭番号:43)の検査状況が「合格」であることから、試験杭アイコンAC1が青色に表示されており、「杭」(杭番号:7〜10、37〜39、44〜46、51)の検査状況が「未確認」であることから、全ての杭アイコンAGが黄色に表示されている。
表示制御部216として機能する端末装置200の制御部210は、表示部240を介して選択杭の位置に表示された杭アイコンAG1へのタップを受け付けたことに応じて、表示部240に選択杭における検査画面HSを表示させる。図6は、選択杭における検査画面HSの一例を示す説明図である。図6は、選択杭に関する測定が行われる前の検査画面HSを示す。検査画面HSは、選択杭に対応する検査データD504に基づいて表示される。検査画面HSは、前述したヘッダ領域HUに加え、部材表示領域HBと、縮小図面表示領域HGと、検査結果表示領域HKと、測定結果表示領域HCと、画像取得領域HPと、を含む。
部材表示領域HBは、選択杭の種類を示す識別子(例えば、部材:本杭)と、通芯ASを基準とした図面30上の選択杭の位置を示す識別子(例えば、X通り:X6−X7 Y通り:Y3−Y4)と、選択杭の杭番号を示す識別子(例えば、杭番号:44)と、を表示する領域である。
縮小図面表示領域HGは、選択杭周辺の図面30を縮小して表示する領域である。端末装置200の制御部210は、縮小図面表示領域HGに、図面30の表示倍率と表示位置とを変更不能に表示する。制御部210は、縮小図面表示領域HGにおける図面30上の選択杭の位置に選択杭マークAWを表示させる。
検査結果表示領域HKは、検査結果を表示する領域であり、具体的には、図面30上の選択杭の位置に表示された杭アイコンAG1と同一のアイコンを表示するアイコン表示欄HK1と、検査結果を入力する検査結果入力欄HK2と、を表示する領域である。検査結果入力欄HK2には、検査結果を示す「未確認」、「取得」、「不合格」、「合格」が記載されたマルチウインドウ(図示せず)を示す画面が関連付けられている。検査者は、検査結果入力欄HK2に検査結果を入力するときは、検査結果入力欄HK2をタップし、表示されるマルチウインドウから検査結果を選択することで、検査結果を入力することができる。
測定結果表示領域HCは、選択杭の検査に用いられる測定結果の取得状況を表示する領域であり、具体的には、検査対象に応じた測定項目を表示する項目表示欄HC1と、測定結果の取得状況を示す取得状況欄HC2と、を表示する領域である。取得状況欄HC2には、対応する測定項目の測定結果の取得状況を示す「未確認」、「取得」を示す画面が関連付けられている。具体的には、測定装置600から対応する測定結果が取得されていない場合、取得状況欄HC2には「未確認」が表示され、対応する測定結果が取得されている場合、取得状況欄HC2には「取得」が表示される。
図3に示すように、端末装置200の制御部210は、指示部140を介して検査画面HSに表示された「未確認」表示の取得状況欄HC2(図6参照)へのタップを受け付けると(S240)、通信I/F230を介して、選択杭に対応する測定結果データD507の送信要求をサーバ装置100に送信する(S250)。制御部210は、該送信要求において、選択杭のIDデータD401と、後述する選択試験杭のIDデータD401と、を指定する。
サーバ装置100の制御部110は、端末装置200から送信された送信要求を受け付けると、送信要求により指定された選択杭のIDデータD401から選択杭に対応する地図情報データD302を特定し、該地図情報データD302に測定結果データD507が記憶されているかを判断する。サーバ装置100の制御部110は、選択杭に対応する地図情報データD302に測定結果データD507が記憶されている場合、通信I/F630を介して、選択杭に対応する測定結果データD507を測定装置600に送信する(S260)。制御部110は、選択杭に対応する測定結果データD507を送信した場合には、さらに、選択試験杭のIDデータD401から選択試験杭に対応する地図情報データD302を特定し、通信I/F630を介して、該地図情報データD302に記憶されている測定結果データD507を測定装置600に送信する。
端末装置200の制御部210は、通信I/F230を介して、サーバ装置100から送信された選択杭に対応する測定結果データD507を受信し(S270)、記憶部220に記憶させる。また、制御部210の基準値情報取得部218は、サーバ装置100から送信される選択試験杭に対応する測定結果データD507を受信し、記憶部220に記憶させる。制御部210の表示制御部216は、サーバ装置100から送信された検査対象に対応する測定結果データD507および選択試験杭に対応する測定結果データD507に基づいて、選択杭における測定結果画面HEを表示させる(S280)。
図7は、選択杭における測定結果画面HEの一例を示す説明図である。測定結果画面HEは、測定結果ヘッダ領域HDと、測定結果表示領域HTと、を含む。測定結果ヘッダ領域HDは、選択杭の種類および杭番号を示す識別子(例えば、本杭番号:44)と、選択杭に関連付けられた試験杭(以下、「選択試験杭」という)の種類および杭番号を示す識別子(例えば、試験杭番号:43)と、を表示する領域である。ここで、試験杭とは、構造物に含まれる複数の杭のうち、最初に設置される杭をいい、本杭とは、試験杭の設置後に設置される杭をいう。本杭である選択杭には、予め選択試験杭が関連付けられており、具体的には、選択試験杭は、選択杭に最も近い試験杭が関連付けられている。
測定結果表示領域HTは、測定結果を表示する領域であり、具体的には、測定結果を表示する測定結果表示欄HT1と、測定結果表示欄HT1に表示する測定結果を切り替えるためのスクロールバーHT2と、を表示する領域である。表示制御部216として機能する制御部210の表示制御部216は、測定結果表示欄HT1に、選択杭の測定結果グラフと選択試験杭の測定結果グラフとを表示させる。例えば、検査者は、測定結果表示欄HT1に選択杭の測定結果グラフを表示するときは、スクロールバーHT2のノブHTMをタップし、選択杭を示す「本杭」が表示されたスクロールバーHT2の一端にノブHTMを移動させる(図8参照)。検査者は、測定結果表示欄HT1に選択試験杭の測定結果グラフを表示するときは、スクロールバーHT2のノブHTMをタップし、選択試験杭を示す「試験杭」が表示されたスクロールバーHT2の他端にノブHTMを移動させる(図8参照)。選択杭の測定結果は、特許請求の範囲における選択測定結果に相当する。
また、検査者は、測定結果表示欄HT1に選択杭の測定結果グラフと選択試験杭の測定結果グラフとを同時に表示するときは、スクロールバーHT2のノブHTMをタップし、ノブHTMをスクロールバーHT2の両端部以外の中間部に移動させる(図9参照)。
表示制御部216として機能する端末装置200の制御部210は、測定結果表示欄HT1に重ねて表示された選択杭の測定結果グラフと選択試験杭の測定結果グラフとの間のコントラスト比(以下、単に「コントラスト比」という)を変更する機能を有する。具体的には、検査者は、測定結果表示欄HT1に選択杭の測定結果グラフを強調して表示するときには、スクロールバーHT2のノブHTMをタップし、ノブHTMをスクロールバーHT2の中間部のうち、両端部の中央よりも図7の左側(「本杭」側)に移動させる。これにより、制御部210の表示制御部216は、測定結果表示欄HT1に表示される選択杭の測定結果グラフの表示濃度:NSが、選択試験杭の測定結果グラフの表示濃度:NKよりも高くなるようにコントラスト比を変更する。また、検査者は、測定結果表示欄HT1に選択試験杭の測定結果グラフを強調して表示するときには、スクロールバーHT2のノブHTMをタップし、ノブHTMをスクロールバーHT2の中間部のうち、両端部の中央よりも図7の右側(「試験杭」側)に移動させる。これにより、制御部210の表示制御部216は、選択試験杭の表示濃度:NKが、選択杭の表示濃度:NSよりも高くなるようにコントラスト比を変更する。
つまり、検査者が、スクロールバーHT2のノブHTMをタップし、ノブHTMを図7の左側(「本杭」側)に移動させると、制御部210の表示制御部216は、選択杭の表示濃度:NSを選択試験杭の表示濃度:NKよりも高くし、検査者が、ノブHTMを図7の左側の端部まで移動させると、制御部210の表示制御部216は、選択杭の表示濃度:NSと選択試験杭の表示濃度:NKとのコントラスト比を「NS:NK=1:0」に変更する。また、検査者が、スクロールバーHT2のノブHTMをタップし、ノブHTMを図7の右側(「試験杭」側)に移動させると、制御部210の表示制御部216は、選択試験杭の表示濃度:NKを選択杭の表示濃度:NSよりも高くし、検査者が、ノブHTMを図7の右側の端部まで移動させると、制御部210の表示制御部216は、選択杭の表示濃度:NSと選択試験杭の表示濃度:NKとのコントラスト比を「NS:NK=0:1」に変更する。
測定結果表示欄HT1(図7参照)に示すように、杭孔形成作業では、杭孔形成作業開始後、地盤に掘削ヘッドが挿入されることにより、掘削ヘッドの深度が増大する。掘削ヘッドが地盤中の比較的硬い層に到達し、モータ電流値が第1の閾値に到達すると、掘削ヘッドの回転駆動が停止される。モータ電流値が第1の閾値に到達した時の掘削ヘッドの深度を、下端深度LDとする。掘削ヘッドの深度が下端深度LDに到達すると、杭孔形成作業に対する各種の確認動作が実行されるとともに、杭孔にセメントが注入される。そのため、掘削ヘッドの深度が略一定に保たれる。セメントの注入後、掘削ヘッドが引き抜かれることにより、掘削ヘッドの深度が減少する。掘削ヘッドが地表に到達し、モータ電流値が第1の閾値よりも低い第2の閾値に到達すると、杭孔形成作業が終了する。モータ電流値が第2の閾値に到達した時の掘削ヘッドの深度、つまり、掘削ヘッドが地表に到達した深度を、上端深度LHとする。そのため、杭孔形成作業作が実施される杭打ち期間には、杭孔の深度が増大する初期期間TSと、杭孔の深度が略一定に保たれる中間期間TCと、杭孔の深度が減少する後期期間TKと、が含まれる。
図8は、選択試験杭の測定結果グラフが表示された測定結果画面HEの一例を示す説明図である。表示制御部216として機能する端末装置200の制御部210は、選択試験杭の測定結果グラフを、初期期間TSを表示する第1の表示部分D1と、中間期間TCを表示する第2の表示部分D2と、後期期間TKを表示する第3の表示部分D3と、の3つの表示部分に分割して測定結果画面HEに表示させる。
具体的には、測定装置600の制御部610は、選択試験杭に対応する測定結果データD507を生成する際に、第1の表示部分D1を表す画像データと、第2の表示部分D2を表す画像データと、第3の表示部分D3を表す画像データと、の3つの画像データに分けて測定結果データD507を生成する。端末装置200の制御部210は、これら3つの画像データを横軸方向に並べて表示させる。これにより、上記の表示が実現される。
端末装置200の制御部210は、測定結果画面HEに選択試験杭の測定結果グラフを表示させる際に、測定結果表示領域HTに、さらに、第1の区画線LLと、第2の区画線LRと、第1の指示ノブLLMと、第2の指示ノブLRMと、を表示させる。第1の区画線LLは、第1の表示部分D1と第2の表示部分D2との間を区画する線である。第2の表示部分D2と第3の表示部分D3との間を区画する線である。第1の区画線LLと第2の区画線LRとは、測定結果表示欄HT1を縦断して、測定結果表示欄HT1の上側および下側まで延びている。第1の指示ノブLLMは、測定結果表示欄HT1よりも上側において、第1の区画線LL上に表示される。第2の指示ノブLLMは、測定結果表示欄HT1よりも上側において、第2の区画線LR上に表示される。
図9は、選択杭の測定結果グラフと選択試験杭の測定結果グラフとが重ねて表示された測定結果画面HEの一例を示す説明図である。図9に示すように、初期期間TSにおいて、選択杭の測定結果グラフと選択試験杭の測定結果グラフとは略等しい。これは、以下の理由による。つまり、杭孔形成作業では、杭孔形成作業中に杭孔が崩れることを防止するために、地盤中に存在する各層を構成する地質毎に掘削ヘッドを挿入する挿入速度が定められている。選択試験杭は、選択杭の最も近くに位置する試験杭が選択されていることから、選択杭の位置における地盤構造と、選択試験杭の位置における地盤構造とが略等しく、選択杭における挿入速度と選択試験杭における挿入速度が等しくなる。そのため、選択試験杭の測定結果グラフは、選択杭の測定結果グラフが正しいか否かを判断するための基準値ということができる。選択試験杭に対応する測定結果データD507は、特許請求の範囲における基準値情報に相当する。
一方、選択試験杭の杭孔形成作業の中間期間TCは、選択杭の杭孔形成作業の中間期間TCよりも長くなる。これは、例えば試験杭は、最初に杭孔形成作業が実施される杭であるため、選択試験杭の杭孔形成作業の中間期間TCに実施される確認動作の確認項目が、選択杭の杭孔形成作業の中間期間TCに実施される確認動作の確認項目よりも多いからである。従って、図9に示すように、選択試験杭の杭孔形成作業の後期期間TKは、選択杭の杭孔形成作業の後期期間TKに対して、横軸(経過時間)方向にズレており、単に選択杭の測定結果グラフと選択試験杭の測定結果グラフとを重ねて表示するだけでは、検査者は、後期期間TKにおいて、選択杭の測定結果グラフと選択試験杭の測定結果グラフとが略等しいか否かを判断することができない。
表示制御部216として機能する端末装置200の制御部210は、選択試験杭の測定結果グラフにおける第2の表示部分D2の横軸(経過時間)方向の表示倍率を変更して測定結果画面HEに表示させる機能を有する。つまり、制御部210の表示制御部216は、指示部140を介して表示部240に第2の表示部分D2の表示倍率を変更して表示させる指示を受け付けると、表示部240に第2の表示部分D2の表示倍率を変更して表示させ、第1の表示部分D1及び第3の表示部分D3表示倍率を変更せずに表示させる。つまり、制御部210の表示制御部216は、上記指示を受け付けると、表示部240に、第2の表示部分D2の表示倍率と、第1の表示部分D1及び第3の表示部分D3表示倍率とを、異なる表示倍率として表示させる。
具体的には、検査者は、第2の指示ノブLRMをタップし、第2の指示ノブLRMが選択杭の測定結果グラフにおける中間期間TCと後期期間TKとの間の境界線と一致するように、第2の区画線LRを移動させる。これにより、第2の表示部分D2が横軸(経過時間)方向に縮小するとともに、第3の表示部分D3が横軸方向に平行移動し、選択試験杭の杭孔形成作業の後期期間TKと、選択杭の杭孔形成作業の後期期間TKと、が重ねて表示される。
図10は、選択試験杭の測定結果グラフの第2の表示部分D2が縮小されて表示された測定結果画面HEの一例を示す説明図である。図10に示すように、後期期間TKにおいて、選択杭の測定結果グラフと選択試験杭の測定結果グラフとは略等しい。これは、初期期間TSと同様に、杭孔形成作業では、杭孔形成作業中に杭孔が崩れることを防止するために、地盤中に存在する各層を構成する地質毎に掘削ヘッドを引き抜く引抜速度が定められているからである。
なお、検査者は、第1の区画線LL上の第1の指示ノブLLMをタップし、第1の指示ノブLRMを横軸(経過時間)方向に平行移動させることにより、第2の表示部分D2が横軸(経過時間)方向に拡大または縮小するとともに、第1の表示部分D1が横軸(経過時間)方向に平行移動して表示することができる。
図11は、選択杭に対応する測定結果データD507が受信された後の検査画面HSの一例を示す説明図である。選択杭に対応する測定結果データD507が受信されると、測定結果表示領域HCの取得状況欄HC2には、「取得」が表示される。端末装置200の制御部210は、表示部240を介した指示により、検査結果表示領域HKの検査結果入力欄HK2の入力が、「未確認」から「取得」に更新されると、検査結果表示領域HKのアイコン表示欄HK1のアイコンの表示色をオレンジ色に変化させる。
図12は、選択杭に対応する検査結果が入力された後の検査画面HSの一例を示す説明図であり、図13は、検査が実施された後の図面30を表示する図面表示画面HFの一例を示す説明図である。検査者は、測定結果画面HE(図10参照)における選択杭の測定結果グラフと選択試験杭の測定結果グラフとの重なり具合を参照して、選択杭の検査を行う。以下では、検査者が選択杭を「合格」と判断する場面における動作例について説明する。検査者は、選択杭を「合格」と判断した場合、表示部240を介した指示により、検査結果表示領域HKの検査結果入力欄HK2を、「確認」から「合格」に更新する。
端末装置200の制御部210は、検査結果表示領域HKの検査結果入力欄HK2の入力が、「確認」から「合格」に更新されると、検査結果表示領域HKのアイコン表示欄HK1のアイコンの表示色を青色に変化させる。これにより、図13に示すように、表示部240の表示を、検査画面HSから図面表示画面HFに切り替えると、選択検査位置の杭アイコンAG1の表示色が青色に変更される。
また、図3に示すように、端末装置200の制御部210は、検査結果表示領域HKの検査結果入力欄HK2の入力が、「確認」から「合格」に更新されることによって、「合格」の検査結果を受け付けると(S290)、通信I/F230を介して、選択杭に対応する検査データD504をサーバ装置100に送信する(S300)。
サーバ装置100の制御部110は、端末装置200から送信された検査データD504を受信する(S310)と、選択杭に対応する地図情報データD302の属性データD403に含まれる検査データD504を、受信した検査データD504に置き換えて記憶する(S320)。以上により、支援実施処理が完了する。
以上説明したように、本実施形態の検査支援システム10では、測定装置600の制御部610は、IDデータD401を含む測定結果データD507を生成する。端末装置200の制御部210は、サーバ装置100を介して測定装置600から測定結果データD507を取得し、表示部240に表示された杭アイコンAG1へのタップを受け付けたことに応じて、選択杭の測定結果グラフを表示部240に表示させる(図7)。これにより、検査者は、測定結果グラフを印刷したり、現場に行って測定装置600の表示部650で確認したりすることなく、表示部240に表示された測定結果グラフを参照して検査対象を検査することができ、測定結果を参照した検査の省力化・迅速化を向上させることができる。
本実施形態の検査支援システム10では、端末装置200の制御部210は、選択杭の測定結果グラフを表示部240に表示させる際に、選択杭の測定結果グラフと選択試験杭の測定結果グラフとを表示部240に同時に表示させる(図9)。そのため、検査者は、選択試験杭の測定結果を基準として選択杭の測定結果を正確に検査することができる。
選択杭と選択試験杭とは、共に構造物の杭であり、同じ種類の測定が行われる。本杭である選択杭は、試験杭である選択試験杭とは異なる杭である。そのため、検査者は、選択杭と異なる杭に対して同じ種類の測定を行った選択試験杭の測定結果を用いて、選択杭の測定結果を正確に検査することができる。そのため、現場に応じた選択杭の測定結果を用いて選択試験杭の測定結果を正確に検査することができる。
本実施形態の検査支援システム10では、端末装置200の制御部210は、選択杭の測定結果グラフと選択試験杭の測定結果グラフとを表示部240に重ねて表示させる(図9)。そのため、検査者は、選択試験杭の測定結果が選択杭の測定結果と略等しくなっているかを容易に確認することができる。
本実施形態の検査支援システム10では、端末装置200の制御部210は、選択杭の測定結果グラフと選択試験杭の測定結果グラフとの間のコントラスト比を変更する機能を有する。そのため、検査者は、選択試験杭の測定結果グラフと選択杭の測定結果グラフとが重ねて表示されていても、該コントラスト比を変更することで、例えば選択杭の測定結果グラフを確認することができ、また、選択試験杭の測定結果グラフを確認することができ、さらに、選択杭の測定結果グラフと選択試験杭の測定結果グラフとを比較することができる。そのため、選択試験杭の測定結果と、選択試験杭の測定結果が選択杭の測定結果と略等しくなっているかと、の両方を確認することができる。
本実施形態の検査支援システム10では、端末装置200の制御部210は、選択試験杭の測定結果グラフを表示部240に表示させる際に、選択試験杭の測定結果グラフに含まれる3つの表示部分D1〜D3のうちの1つの表示部分の表示倍率だけを変更することが可能である(図10)。そのため、選択杭の測定結果グラフにおける中間期間TCの長さと、選択試験杭の測定結果グラフにおける中間期間TCの長さとが異なる場合でも、端末装置200の制御部210は、中間期間TCを表示する第2の表示部分D2の表示倍率を変更することで、選択杭の測定結果グラフにおける中間期間TCの長さと、選択試験杭の測定結果グラフにおける中間期間TCの長さとを一致させて表示させることができる。そのため、選択試験杭の測定結果が選択杭の測定結果と略等しくなっているかを確実に確認することができる。
B.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
B−1.第1の変形例:
上記実施形態では、識別情報として、杭番号が用いられる例を示したが、例えば、位置データD402などの位置情報が識別情報として用いられてもよい。以下では、位置情報が識別情報として用いられる場合に実施される支援実施処理について説明する。
第1の変形例では、測定処理において、測定装置600の制御部610は、杭打ち機500の作業員が選択杭の杭孔形成作業を開始すると、杭孔形成作業の現場において、衛星信号受信部670を用いて、測定装置600の現在位置を特定する情報を測定する。測定装置600の記憶部620には、測定装置600の位置を検査対象の位置に換算する情報が予め取得されて記憶されており、制御部610は、測定装置600の現在位置を特定する情報と、測定装置600の位置を検査対象の位置に換算する情報とから、検査対象の現在位置を特定する情報を生成する。制御部610は、生成した測定結果データD507のファイル名として、検査対象の現在位置を特定する情報を含むファイル名を設定し、通信I/F630を介して、生成した測定結果データD507をサーバ装置100に送信する。検査対象の現在位置を特定する情報は、特許請求の範囲における位置情報に相当する。
サーバ装置100の制御部110は、通信I/F130を介して、測定装置600から送信された測定結果データD507を受信すると、受信した測定結果データD507のファイル名に含まれる検査対象の現在位置を図面30上における座標を示す情報に変換する。
制御部110は、変換した座標に最も近い座標を示す位置データD402を含む地図情報データD302を特定し、該地図情報データD302に含まれる検査データD504に受信した測定結果データD507を追加して記憶する。これにより、表示制御部216として機能する端末装置200の制御部210は、選択杭の検査画面HSに表示された「未確認」表示の取得状況欄HC2(図6参照)へのタップを受け付けた場合に、選択杭に対応する位置データD402に最も近い位置を示す検査対象の現在位置を含む測定結果データD507に基づいて、測定結果グラフが表示部240に表示される。
以上説明したように、第1の変形例では、位置情報を用いて測定結果データD507し、測定結果グラフが表示部240に表示される。これにより、検査者は、表示部240に表示された測定結果グラフを参照して検査対象を検査することができ、測定結果を参照した検査の省力化・迅速化を向上させることができる。
B−2.その他の変形例:
上記実施形態では、検査支援システム10は、サーバ装置100と、端末装置200と、測定装置600とに加えて、図面データ保管サーバ300と、データ生成装置400とを備える例を示したが、これに限られず、サーバ装置100と図面データ保管サーバ300とが、1つのサーバにより構成されていてもよい。また、検査システム用データD100が、例えばサーバ装置100で生成される場合には、データ生成装置400は必ずしも必要ではない。
上記実施形態では、電流センサ520、位置センサ530、および、流量センサ540が、杭打ち機500に備えられている例を示したが、これに限られず、測定装置600が、これらのセンサ520〜540を備えていてもよい。また、杭打ち機500と測定装置600とが、1つの装置により構成されていてもよい。
上記実施形態では、端末装置200の制御部210が、端末装置200の表示部240に測定結果グラフを表示する例を示したが、制御部210が測定結果グラフを表示するディスプレイは端末装置200に備えられた表示部240に限られず、端末装置200の外部のディスプレイでもよい。
上記実施形態では、指示部として、操作により指示を受け付けるキーボードやマウス等を例示したが、これに限られず、音声や視線移動により指示を受け付ける方式の装置でもよい。
上記実施形態では端末装置200の表示部240が、指示受付部を兼ねている例を示したが、端末装置200は、表示部240とは別に指示受付部を備えていてもよい。
上記実施形態では、構造物の図面として二次元図面のみを用いる例を示したが、二次元図面に代えて、または、二次元図面と共に三次元図面を用いてもよい。例えば、端末装置200の表示部240に、構造物の三次元図面と二次元図面とが切替可能に表示されており、検査者が必要に応じて端末装置200の表示部240に構造物の二次元図面を表示させ、上記の検査支援処理を実施させてもよい。
上記実施形態では、測定結果グラフに経過時間と掘削ヘッドの深度との関係を示すグラフが含まれる例を示したが、これに限られず、上記グラフに代えて、または、上記グラフに加えて、経過時間とモータ電流値との関係を示すグラフや、経過時間とセメントミルクの量との関係を示すグラフが含まれていてもよい。
上記実施形態では、基準値が選択試験杭の測定結果グラフである例を示したが、これに限られず、設計データなどでもよい。設計データとしては、例えば検査対象が杭である場合、地盤中に存在する各層を構成する地質と、各地質に設定された掘削ヘッドの挿入速度と、が示された表であってもよい。
上記実施形態では、選択測定結果と基準値とが同時に表示される例を示したが、これに限られない。なお、「同時に表示される」とは、表示開始タイミングが同時である場合に限られず、任意のタイミングにおいて、選択測定結果と基準測定結果とが共にディスプレイ上に表示されていればよい。
上記実施形態では、測定結果に、数値とグラフとが含まれる例を示したが、これに限られず、上記数値とグラフとの少なくとも一方に代えて、または、上記数値とグラフとの少なくとも一方に加えて、例えばグラフ以外の図形が含まれていてもよい。
上記実施形態では、検査対象が杭である例を示したが、これに限られず、基礎、配管、建築物の各室等であってもよい。例えば、検査対象が基礎である場合の検査では、地盤に注入されるセメント量等が測定される。検査対象が配管である場合の検査では、配管勾配等が測定される。また、配管が給水管である場合には、水圧等が測定されてもよい。検査対象が建築物の各室である場合の検査では、騒音、照度、振動等が測定される。
上記実施形態では、測定処理において、モータ電流値等を測定する例を示したが、例えば、測定結果として、検査対象の現在位置を測定してもよい。なお、検査対象の現在位置の測定方法は、第1の変形例に示した通りである。この場合、端末装置200の制御部210が、位置データD402を現実の位置(以下、「変換位置」という)を示す情報に変換し、表示制御部216として機能する端末装置200の制御部210が、検査対象の現在位置と変換位置とを表示部240に同時に表示させてもよい。変換位置は、特許請求の範囲における検査対象の基準位置に相当し、変換位置を示す情報は、特許請求の範囲における基準値情報に相当する。
上記第1の変形例では、測定装置600の制御部610が測定装置600の現在位置を特定する情報を取得する取得先として、衛星20を例示したが、これに限られず、ビーコン等の通信装置でもよい。
上記実施形態では、アイコンとして、「杭」、「試験杭」等の表示が含まれる例を示したが、アイコンは上記の例に限られない。例えば、アイコンは、杭番号の表示が含まれていてもよい。また、何か表示が含まれている必要もなく、図面30上の検査対象の位置がタップされることで、測定結果グラフが表示部240に表示されるようにしてもよい。