以下に、本発明の各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1の表示装置1の主要構成例を示す図である。実施形態1の表示装置1は、信号処理部10、表示部20、光源装置50、光源制御回路60及び調光部70を備える。信号処理部10は、外部の制御装置2から入力される入力信号IPに基づいた各種の出力を行い、表示部20、光源装置50及び調光部70の動作を制御する。入力信号IPは、表示装置1に画像を表示出力させるためのデータとして機能する信号であり、例えばRGB画像信号である。信号処理部10は、入力信号IPに基づいて生成された出力画像信号OPを表示部20に出力する。また、信号処理部10は、入力信号IPに基づいて生成されたローカルディミング信号DIを調光部70に出力する。また、信号処理部10は、入力信号IPが入力されると、光源装置50が有する光源51(図7参照)の各々の点灯量を制御するための光源駆動信号BLを光源制御回路60に出力する。光源制御回路60は、例えば光源装置50が有する光源51(図7参照)を点灯させるためのドライバ回路であり、光源駆動信号BLに応じて光源装置50を動作させる。
表示部20は、画像表示パネル30及び画像表示パネル駆動部40を有する。画像表示パネル30は、複数の画素48が設けられた表示領域OAを有する。複数の画素48は、例えばマトリクス状に配置されている。実施形態1の画像表示パネル30は、液晶画像表示パネルである。画像表示パネル駆動部40は、信号出力回路41及び走査回路42を有する。信号出力回路41は、出力画像信号OPに応じて複数の画素48を駆動する。走査回路42は、マトリクス状に配置された複数の画素48を所定行(例えば、1行)単位で走査する駆動信号を出力する。画素48は、駆動信号が出力されたタイミングで出力画像信号OPに応じた階調値の出力が行われるよう駆動される。
調光部70は、光源装置50から照射されて表示領域OAを経て出力される光量を調節する。調光部70は、調光パネル80及び回路部90を有する。調光パネル80は、光の透過率を変更可能に設けられたローカルディミング領域DAを有する。ローカルディミング領域DAは、表示領域OAを平面視した場合に表示領域OAに重畳する位置に配置されている。ローカルディミング領域DAは、平面視で表示領域OA全体をカバーする。回路部90は、ローカルディミング信号DIに応じてローカルディミング領域DAに設けられた複数の調光領域LD(図9参照)の各々の透過率を個別に制御する。
図2は、画像表示パネル30、調光パネル80、光源装置50の位置関係の一例を示す図である。実施形態1では、図2に例示するように、画像表示パネル30、調光パネル80、光源装置50が積層されている。具体的には、光源装置50から光が出力される照射面側に調光パネル80が積層されている。また、調光パネル80を挟んで光源装置50の反対側に画像表示パネル30が積層されている。光源装置50から照射された光は、調光パネル80のローカルディミング領域DAで光量を調節されて画像表示パネル30を照明する。画像表示パネル30は、光源装置50が位置する背面側から照明されて、その反対側(表示面側)に画像を表示出力する。このように、光源装置50は、画像表示パネル30の表示領域OAを背面から照明するバックライトとして機能する。また、実施形態1では、調光パネル80は、画像表示パネル30と光源装置50との間に設けられている。以下、画像表示パネル30、調光パネル80、光源装置50が積層される方向をZ方向とする。また、Z方向に直交する2方向をX方向及びY方向とする。X方向とY方向は直交する。複数の画素48は、X方向とY方向に沿ってマトリクス状に並ぶ。以下の説明では、X方向に並ぶ画素48の数がhであり、Y方向に並ぶ画素48の数がvであるものとする。また、(h)の記載は、X方向の座標管理がX方向に並ぶ画素48の位置に対応して行われている場合を示す。また、(v)の記載は、Y方向の座標管理がY方向に並ぶ画素48の位置に対応して行われている場合を示す。また、(h,v)の記載は、X方向及びY方向の座標管理がX方向及びY方向に並ぶ画素48の位置に対応して行われている場合を示す。
なお、画像表示パネル30は、アレイ基板30aと、アレイ基板30aに対して表示面側に位置してアレイ基板30aと対向する対向基板30bとを有する。後述するように、アレイ基板30aと対向基板30bとの間には液晶層LC1が配置されている(図5参照)。アレイ基板30aの背面側には偏光板30cが設けられている。対向基板30bの表示面側には偏光板30dが設けられている。また、調光パネル80は、第1基板80aと、第1基板80aに対して表示面側に位置して第1基板80aと対向する第2基板80bとを有する。後述するように、第1基板80aと第2基板80bとの間には液晶層LC2が配置されている(図12参照)。第1基板80aの背面側には偏光板80cが設けられている。偏光板30cは、画像表示パネル30の背面側の偏光と調光パネル80の表示面側の偏光とを併せて行う。
図3は、調光パネル80の表示面側に偏光板80dが設けられている例を示す図である。図3に示すように、第2基板80bの表示面側に偏光板80dが設けられていてもよい。
図4は、画像表示パネル30の画素配列の一例を示す図である。図4に例示するように、画素48は、例えば、第1副画素49Rと、第2副画素49Gと、第3副画素49Bとを有する。第1副画素49Rは、第1原色(例えば、赤色)を表示する。第2副画素49Gは、第2原色(例えば、緑色)を表示する。第3副画素49Bは、第3原色(例えば、青色)を表示する。このように、画像表示パネル30に行列状に配列された画素48は、第1の色を表示する第1副画素49R、第2の色を表示する第2副画素49G及び第3の色を表示する第3副画素49Bを含む。第1の色、第2の色及び第3の色は、第1原色、第2原色及び第3原色に限られず、補色など色が異なっていればよい。以下の説明において、第1副画素49R、第2副画素49Gと、第3副画素49Bとをそれぞれ区別する必要がない場合、副画素49という。
画素48は、第1副画素49R、第2副画素49Gと、第3副画素49Bに加えて、さらに副画素49を有していてもよい。例えば、画素48は、第4の色を表示する第4副画素を有していてもよい。第4副画素は、第4の色(例えば、白色)を表示する。第4副画素は、同じ光源点灯量で照射された場合、第1の色を表示する第1副画素49R、第2の色を表示する第2副画素49G、第3の色を表示する第3副画素49Bよりも明るいことが好ましい。
表示装置1は、より具体的には、透過型のカラー液晶表示装置である。図4に例示するように、画像表示パネル30は、カラー液晶表示パネルであり、第1副画素49Rと画像観察者との間に第1原色を通過させる第1カラーフィルタが配置され、第2副画素49Gと画像観察者との間に第2原色を通過させる第2カラーフィルタが配置され、第3副画素49Bと画像観察者との間に第3原色を通過させる第3カラーフィルタが配置されている。第1カラーフィルタ、第2カラーフィルタ及び第3カラーフィルタは、後述するフィルタ膜26に含まれる構成である。
なお、第4副画素が設けられる場合、第4副画素と画像観察者との間にカラーフィルタが配置されていない。この場合には、第4副画素に大きな段差が生じることとなる。このため、第4副画素には、カラーフィルタの代わりに透明な樹脂層が備えられていてもよい。これにより、第4副画素に大きな段差が生じることを抑制することができる。
信号出力回路41は、信号線DTLによって画像表示パネル30と電気的に接続されている。画像表示パネル駆動部40は、走査回路42によって、画像表示パネル30における副画素49を選択し、副画素49の動作(光透過率)を制御するためのスイッチング素子(例えば、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor))のオン(ON)及びオフ(OFF)を制御する。走査回路42は、走査線SCLによって画像表示パネル30と電気的に接続されている。実施形態1では、走査線SCLがX方向に沿い、信号線DTLがY方向に沿っているが、これは走査線SCL及び信号線DTLの延設方向の一例であってこれに限られるものでなく、適宜変更可能である。
図5は、画像表示パネル30の概略断面構造の一例を示す断面図である。アレイ基板30aは、ガラス基板等の画素基板21の上方に設けられたフィルタ膜26と、フィルタ膜26の上方に設けられた対向電極23と、対向電極23の上に接して設けられた絶縁膜24と、絶縁膜24の上の画素電極22と、アレイ基板30aの最上面側に設けられた第1配向膜28とを有する。対向基板30bは、ガラス基板等の対向画素基板31と、対向画素基板31の下面に設けられた第2配向膜38と、上面に設けられた偏光板35とを含む。アレイ基板30aと対向基板30bとはシール部29を介して固定されている。アレイ基板30a、対向基板30b、及びシール部29によって囲まれた空間には、液晶層LC1が封止されている。液晶層LC1は、印加される電界に応じて配向方向が変化する液晶分子を含む。液晶層LC1は、電界の状態に応じて液晶層LC1内部を通過する光を変調するものである。液晶層LC1の液晶分子の方向が、画素電極22と対向電極23との間で印加される電界によって変化し、液晶層LC1を通過する光の透過量が変化する。複数の副画素49はそれぞれ、画素電極22を有する。複数の副画素49の動作(光透過率)を個別に制御するための複数のスイッチング素子は、画素電極22と電気的に接続されている。
図6は、表示領域OAと表示分割領域との関係の一例を示す図である。表示領域OAは、複数の表示分割領域PAを有する。複数の表示分割領域PAを合わせた領域が表示領域OAである。図6に示す表示領域OAは、X方向に沿って設定されたx1,x2,…,x9の座標とY方向に沿って設定されたy1,y2,y3,y4の座標の組み合わせに対応した計36の座標の各々に対応する位置に個別に設けられた表示分割領域PAを有する。以下、座標を用いて表示分割領域PA等の位置を示すことがある。例えば、「(x1)の表示分割領域PA」は、X方向の座標がx1である位置に設けられた表示分割領域PAを示す。また、「(y1)の表示分割領域PA」は、Y方向の座標がy1である位置に設けられた表示分割領域PAを示す。また、「(x1,y1)の表示分割領域PA」は、X方向の座標がx1であり、Y方向の座標がy1である位置に設けられた表示分割領域PAを示す。光源51並びに後述する光源領域GA及び調光領域LDについても、同様の記載で位置を示すことがある。
表示領域OAが有する表示分割領域PAの座標のうち、X方向の座標は、光源装置50が有する複数の光源51の数及び各々の光源51のX方向の位置に対応している(図7参照)。また、表示領域OAが有する表示分割領域PAの座標のうち、Y方向の座標は、調光パネル80が有する複数の調光領域の数及び各々の調光領域のY方向の位置に対応している(図9参照)。
図7は、光源装置50の主要構成の一例を示す図である。光源装置50は、例えば、導光板LA及び複数の光源51を有する。導光板LAは、X−Y平面視で表示領域OAに対応する位置で画像表示パネル30の背面側に設けられている。複数の光源51は、Y方向の一端側でX方向に沿って並んでいる。光源51は、導光板LAの側方から光を照射する。光源51は、例えば白色光を発する発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)であるが、これに限られるものでなく、適宜変更可能である。光源51からの光は、導光板LAに導かれて表示領域OA全体を背面側から照明する。
図7に示す例では、X方向の座標(x1,x2,…,x9)の各々に対応する光源51が個別に配置されている。また、導光板LAは、X方向の座標(x1,x2,…,x9)の各々に対応するよう設けられた複数の光源領域GAを有する。複数の光源領域GAは、光源51から光が照射されると、各々のX方向の座標に対応する表示分割領域PAの背面側から画像表示パネル30を照明するように光を導く。複数の光源領域GAはそれぞれ、対応するX方向の座標(x1,x2,…,x9)の光源51からの光を導くことを想定されている。以下に説明する光源51の点灯量制御では、複数の光源領域GAにそれぞれ対応するX方向の座標(x1,x2,…,x9)の光源51からの光が照射されることを前提として説明する。
なお、ある1つの光源領域GAに、X方向の座標(x1,x2,…,x9)が対応しない光源51の光も進入し得る。後述する点灯量算出部104(図23参照)は、このような対応しない座標の光源51からの光を含めて、複数の光源領域GAの輝度分布と光源51の点灯量との関係を求めるための参照データを有していてもよい。参照データを有する場合、点灯量算出部104は、光源51の点灯量の算出に際して参照データを用いる。
実施形態1では、光源51は、導光板LAの一端側から光を照射する。具体的には、実施形態1では、例えば図7に示すようにY方向の一端側でX方向に沿って一列に並ぶ9つの光源51が設けられている。図7に示す例は、光源51の数及び配置の一例であってこれに限られるものでなく、適宜変更可能である。
図8は、光源装置50の別の構成例を示す図である。例えば、図8に示すように、Y方向の一端側及び他端側の各々でX方向に沿って一列に並ぶ計18の光源51が配置されていてもよい。このように、表示装置1は、導光板LAを挟んで対向する位置に設けられた複数の光源51を有していてもよい。
図9は、調光パネル80が有する調光領域LDとY方向の座標との関係の一例を示す図である。調光パネル80は、個別に光の透過率を制御可能な複数の調光領域LDを有する。ローカルディミング領域DAは、複数の調光領域LDを含む領域である。調光パネル80は、導光板LAに導かれて表示領域OA全体を背面側から照明する光の透過率を複数の調光領域LDの各々で個別に制御可能に設けられている。このように、実施形態1の調光領域LDは、光源51から導光板LAへの光の照射方向(例えば、Y方向)と交差する方向(例えば、X方向)に延出する。図9に示す例では、Y方向に並ぶ4つの調光領域LDが設けられている。4つの調光領域LDの各々の位置は、Y方向の座標(y1,y2,y3,y4)に対応する。図9に示す複数の調光領域LDの数はあくまで一例であってこれに限られるものでなく、適宜変更可能である。
このように、X方向に並ぶ表示分割領域PAはそれぞれ、対応するX方向の座標の光源領域GAからの光で照らされる。また、Y方向に並ぶ表示分割領域PAはそれぞれ、対応するY方向の座標の調光領域LDによって、光源領域GAからの光の照射の度合いを調光可能に設けられている。
図10は、調光部70の主要構成の一例を示す図である。調光パネル80は、ローカルディミング領域DAに設けられた複数の第1電極81を有する。図10に示す調光パネル80は、例えば、X方向に沿って設定されたx1,x2,…,x9の座標とY方向に沿って設定されたy1,y2,y3,y4の座標の組み合わせに対応した計36の座標の各々に対応する位置に個別に設けられた第1電極81を有する。複数の第1電極81の各々は、配線86を介して回路部90と接続されている。
実施形態1の回路部90は、例えば、ローカルディミング信号DIに応じて第1電極81の電位をY方向の座標単位で一律にするよう制御する。これによって、調光領域LDは、長手方向(X方向)の透過率が一律になる。また、回路部90は、Y方向の座標が異なる第1電極81の電位を個別に制御する。これによって、複数の調光領域LDは、それぞれ個別に透過率を制御される。
図11は、調光部の主要構成の別の一例を示す図である。図10では、X方向の座標の各々に対応する位置に第1電極81が設けられているが、これは第1電極81の具体的な設け方の一例であってこれに限られるものでない。例えば、図11に示すように、1つの調光領域LDに1つの第1電極81Aが設けられていてもよい。この場合、1つの調光領域LDに設けられた1つの第1電極81AのX方向の長さは、調光領域LDのX方向の長さに対応する。
図12は、調光パネル80の概略断面構造の一例を示す断面図である。調光部70は、例えばTFTにより構成されたスイッチSWを有する。スイッチSWは、第1基板80aの第1透明基板83に実装されたチャネル84、ソース85a、ドレイン85b及びゲート85cを有する。ソース85aには、ローカルディミング信号DIに基づいた電位、すなわち、複数の調光領域LDの各々の透過率に対応した電位が与えられる。ドレイン85bは、配線86と電気的に接続されている。スイッチSWは、ゲート85cに対する信号の有無に応じて、ドレイン電流を第1電極81に流すか否かを切り替える。なお、図12では、模式的に1つのスイッチSWと1つの第1電極81との電気的な接続関係を例示しているが、全ての第1電極81が個別の配線86を介して個別のスイッチSWのドレイン85bと接続されるようにしてもよい。
複数の調光領域LDの各々は、第1電極81と、液晶層LC2を挟んで第1電極81と対向する位置に設けられる第2電極82とを有する。具体的には、第1基板80aは、第1透明基板83、半導体層84、第1絶縁層87a、第1絶縁層87aに積層されたゲート85cに積層された第2絶縁層87b、ソース電極85a及びドレイン電極85bに積層された第3絶縁層87c及び第3絶縁層87cに積層された第1電極81を有する。また、第2基板80bは、第2透明基板88及び第2基板80bに積層された第2電極82を有する。第1基板80aと第2基板80bは、第1電極81が設けられた面と第2電極82が設けられた面とを対向させるように配置されている。第1電極81が設けられた面と第2電極82が設けられた面の間には、液晶層LC2が設けられている。また、第1基板80aと第2基板80bとの間には、液晶層LC2を封止するためのシール材89が設けられている。第1透明基板83及び第2透明基板88は、例えばガラス基板である。第1電極81及び第2電極82並びに配線86は、例えば酸化インジウムスズ(ITO:Indium Tin Oxide)等を用いた透光性を有する電極である。
実施形態1の第2電極82は、複数の調光領域LDで共有される構造を有する。具体的には、第2電極82は、複数の調光領域LDを横断してローカルディミング領域DA全体をカバーするよう設けられた平膜状の電極である。複数の調光領域LDで共有される第2電極82の電位に対して複数の調光領域LDの各々の第1電極81の電位が個別に制御されることで、複数の調光領域LDの各々における液晶のねじれ具合が個別に制御される。これによって、複数の調光領域LDの各々における光の透過率が、ローカルディミング信号DIに応じて個別に制御される。
実施形態1の調光パネル80は、ねじれネマティック(TN:Twisted Nematic)方式の液晶パネルであり、非通電時に光を最高の透過率で透過させる(ノーマリーホワイト)。これは調光パネル80の具体的形態の一例であってこれに限られるものでない。調光パネル80は、他の方式の液晶パネルでもよく、ノーマリーブラックであってもよい。また、上述した第2電極82の形態は、あくまで第2電極82の具体的形態の一例であってこれに限られるものでなく、適宜変更可能である。例えば、第2電極82は、第1電極81と同様に複数の調光領域LDの各々に個別に設けられてもよい。この場合、個別に設けられた第2電極82の各々の電位は同一タイミングにおいて同一の電位となるよう制御される。
複数の調光領域LDの各々の透過率の制御に係る電気信号が取り扱われる回路部90は、例えば調光部70のうち、ローカルディミング領域DAが位置しない調光パネル80の額縁領域にチップオングラス(COG:Chip On Glass)等の方法で実装され、配線86を介して複数の第1電極81の各々と接続されている。このように、複数の調光領域LDの各々の透過率を個別に制御するための回路をローカルディミング領域DAの外側に設けることで、ローカルディミング領域DAにおける光の最高透過率をより高めやすくなる。
図13は、光源からの光による輝度分布(光源輝度分布)の一例を示す図である。図14は、図13に示す光源輝度分布が得られる条件下で画像を出力する画像表示パネル30の透過率の一例を示す図である。図15は、図13に示す光源輝度分布が得られる条件下で図14に示す画像表示パネル30の透過率となるよう画像表示パネル30を動作させた場合における表示装置1の出力輝度を示す図である。例えば、図15に示すように、Y方向の座標で最も光源51に近い(y1)の表示分割領域PAの一部分で1つ以上の色が100[%]の階調値に対応する出力輝度となる場合を想定する。なお、この場合は、当該一部分を除いて、黒((R,G,B)=(0,0,0))である画像を表示する場合であるものとする。この場合、(y1)の表示分割領域PAで100[%]以上の輝度が必要になる。なお、(y2),(y3),(y4)の表示分割領域PAでは、入力信号IPに含まれる画素48の階調値が全て(R,G,B)=(0,0,0)であり、光源51からの光が不要である。この場合、図13に示すように、(y1)の表示分割領域PAと(y2)の表示分割領域PAとの境界で100[%]の輝度が確保されていれば、(y1)の表示分割領域PAの出力輝度を十分に確保することができる。点灯時の光源51は、より近い位置をより明るく照らすため、(y1)の表示分割領域PAの出力輝度は、(y1)の表示分割領域PAと(y2)の表示分割領域PAとの境界の輝度より高くなる。
図13では、(y1)の表示分割領域PA全体において100[%]の輝度を確保するために、例えば120[%]の強度で光源51を点灯している。また、図13では、光の輝度が、(y1),y2,y3,y4のように離れた座標の位置になるほど低くなることを示している。図13では、光源51から最も遠い(y4)の表示分割領域PAの他端側で輝度が60[%]になる例を示している。このように光源51からの距離に応じて光の輝度が変化することを考慮し、輝度の逆数(後述する輝度逆数gainpix(h,v))に基づいて、画像表示パネル30の透過率にゲインを乗算する。具体的には、画像表示パネル30の各画素の出力階調値にゲインが乗算される。図14において一端側から他端側に向かうほど画像表示パネル30の透過率が上がるようゲインがかけられているのは、図13において一端側から他端側に向かうほど低下する輝度に応じたものである。光源51からの光の輝度(図13参照)と、ゲインがかけられた透過率(図14参照)との組み合わせによって、図15に示すように(y1)の表示分割領域PAにおいて出力輝度を100[%]にすることができる。
画像表示パネル30は、例えば図14に示すように、最高透過率(DP_max)を上限とし、最低透過率(DP_min)を下限とする範囲内で透過率を変更可能に設けられている。(R,G,B)の各々の階調値が所定のビット数(例えば、8ビット:0〜255)で表される場合、当該ビット数における最高(255)の階調値に対応する透過率が最高透過率(DP_max)である。また、当該ビット数における最低(0)の階調値に対応する透過率が最低透過率(DP_min)である。以下、画像表示パネル30の最高透過率(DP_max)と最低透過率(DP_min)の比に関する値を「第1コントラスト(DP_c:図21参照)」とする。第1コントラストは、「画像表示パネル30のコントラスト」を表す、例えば、DP_c=DP_max/DP_minである。DP_c=1000とすると、画像表示パネル30の最低透過率(DP_min)は、最高透過率(DP_max)の1/1000である。言い換えれば、最低透過率(DP_min)であっても、画像表示パネル30の光の透過率は0でない。
図16は、調光パネル80によるコントラストの制御を考慮しない場合における図15の範囲Aを拡大した模式図である。上記のように、最低透過率(DP_min)であっても、画像表示パネル30の光の透過率は0でない。このため、調光パネル80がない場合、(R,G,B)=0に対応する最低透過率(DP_min)となるよう制御された画素48であっても、完全に光がない状態(図16のグラフにおける0[%])と最低透過率(DP_min)の出力輝度とのギャップに対応した黒浮きUが生じる。具体例を挙げると、第1コントラストが1000である画像表示パネル30の黒浮きUによる出力輝度は、約0.1[%]である。
図17は、光源51から光が届く範囲の一例を示す模式図である。図17等では、隣接する調光領域同士の境界線LDLを示している。図13を参照して説明したように、光源51からの光の輝度は、光源51から遠ざかるほど低下する。このため、黒浮きUの度合いも、図16のグラフ及び図17の模式図で示すように、光源51からの距離に応じて変化する。このような黒浮きUは、所謂ハロー(Halo:後光)効果として知られる。
図18は、調光パネル80の透過率の一例を示す図である。調光パネル80は、最高透過率(BL_max)を上限とし、最低透過率(BL_min)を下限とする範囲内で透過率を変更可能に設けられている。以下、調光パネル80の最高透過率(BL_max)と最低透過率(BL_min)の比に関する値を「第2コントラスト(BL_c:図21参照)」とする。第2コントラストは、「調光パネル80のコントラスト」を表す。例えば、BL_c=BL_max/BL_minである。BL_c=500とすると、調光パネル80の最低透過率(BL_min)は、最高透過率(BL_max)の1/500である。
図19は、図18に示す透過率の調光パネル80を図13に示す光源輝度分布の光源装置と図14に示す透過率の画像表示パネル30との間に介在させた場合の出力輝度の拡大模式図である。図15に示すような出力輝度を得たい場合、(y2),(y3),(y4)の表示分割領域PAでは光が不要である。このため、図18に示すように、(y2),(y3),(y4)の調光領域LDを最低透過率(BL_min)とするよう調光パネル80を動作させることで、(y2),(y3),(y4)における出力輝度をより低くすることができる。具体的には、図19に示すように、(y2),(y3),(y4)の表示分割領域PAの出力輝度を、画像表示パネル30の最低透過率(DP_min)と調光パネル80の最低透過率(BL_min)との積に対応する出力輝度まで低下させることができる。例えば、第2コントラストが500である調光パネル80を最低透過率(BL_min)にすることで光の低下率を約0.2[%]まで低下させることができるものとする。この場合、第1コントラストが1000である画像表示パネル30と第2コントラストが500である調光パネル80との組み合わせによって、(y2),(y3),(y4)の表示分割領域PAの出力輝度を0.0002[%]にすることができる。このように、調光パネル80を用いることで、図16に示すような黒浮きUを抑制することができる。
一方、(y1)では100[%]の出力輝度が必要であるため、(y1)の調光領域LDは最高透過率(BL_max)とされる。このため、図19に示すように、(y1)の表示分割領域PAのうち、出力輝度が100[%]とされる領域以外の領域では、(y2),(y3),(y4)の表示分割領域PAと異なり、調光パネル80による黒浮きUの抑制がない。これによって、(y1)の表示分割領域PAと(y2)の表示分割領域PAとの境界に、出力輝度の急変ラインST1が生じる。
図20は、出力輝度の急変ラインST1の例を示す模式図である。出力輝度の急変ラインST1が生じると、図20に示すように、隣接する調光領域LD同士の境界線LDLを境として、調光パネル80による黒浮きUの抑制がある範囲と黒浮きUの抑制がない範囲との輝度差がX方向に沿う帯状の後光のように視認されることがある。
そこで、実施形態1の信号処理部10は、隣接する2つの調光領域LDの各々の光の透過率が異なる場合、該2つの調光領域LDの境界付近(例えば、境界から所定画素数(x_pix)の範囲)において、光の透過率が低い調光領域に位置する画素の出力階調値を高くする制御部として機能する。これによって、出力輝度の急変ラインST1の発生を抑制することができる。
図21は、実施形態1において、図13に示す光源輝度分布及び図18に示す調光パネル80の透過率の条件下で画像表示パネル30に出力される画像データの一例を示す図である。信号処理部10は、例えば図21に示すように、(y2)の表示分割領域PAのうち、(y1)の表示分割領域PAと(y2)の表示分割領域PAの境界に最も近い位置(位置P1)の画素48を一端とし、一端側から他端側に向かって所定画素数(x_pix)の範囲内に位置する画素48を対象画素とする。所定画素数(x_pix)は、1つの表示分割領域PAが有するY方向の画素数以下の数である。図21に示す例では、(y2)の表示分割領域PAのY方向の幅、すなわち、1つの表示分割領域PAが有するY方向の画素数と、所定画素数(x_pix)とが一致しているが、これは一例であってこれに限られるものでない。
信号処理部10は、2つの調光領域LDの境界により近い対象画素の出力階調値をより高くする。具体的には、信号処理部10(図23参照)は、対象画素のうち、位置P1にある画素48の階調値を、第1コントラストと第2コントラストの比(k)に対応した値にする。具体的には、例えばk=BL_c/DP_cである。例えば、BL_c=500,DP_c=1000である場合、k=0.5(=50[%])である。この場合、信号処理部10は、位置P1の画素48の階調値を、画像表示パネル30の透過率が50[%]になる階調値まで高くする。具体例を挙げると、(y2)の表示分割領域PAの表示出力内容は全ての画素48で黒であるため、高くする前の階調値は(R,G,B)=(0,0,0)である。信号処理部10は、位置P1の画素48の階調値を、50[%]のグレーに対応する階調値まで高くする。階調値が8ビットの場合、50[%]のグレーは、(R,G,B)=(127,127,127)である。また、信号処理部10は、位置P1の画素48以外の対象画素の各々の階調値を(R,G,B)=(0,0,0)よりも高くするよう補正する。具体的には、信号処理部10は、対象画素の補正後の階調値が、一端側から他端側に向かって漸減するように補正度合いを決定する。図21では、直線L1で示すように、対象画素の補正後の階調値が一端側から他端側に向かって一次直線的に漸減しているが、これは対象画素のY方向の位置と階調値の補正度合いの関係の一例であってこれに限られるものでない。対象画素のY方向の位置と階調値の補正度合いの関係は、例えば二次以上の曲線状であってもよい。
図22は、図18に示す透過率の調光パネル80を図13に示す光源輝度分布の光源装置と図21に示す透過率の画像表示パネル30との間に介在させた場合の出力輝度の拡大模式図である。信号処理部10が対象画素の階調値を高くすることで、図22に示すように、(y2)の表示分割領域PAにおける出力輝度が一端側から他端側に向かって漸減するようになる。これによって、図19及び図20を参照して説明したような出力輝度の急変ラインST1の発生を抑制することができる。このため、隣接する2つの調光領域LDの透過率の差による輝度差をより視認しにくくすることができる。従って、帯状の後光の発生を抑制することができ、画質の向上及び黒浮きUの抑制によるコントラスト感の向上を実現することができる。
図22では、(y2)の表示分割領域PAにおける出力輝度の漸減を直線L2で例示しているが、直線L2はあくまで図21に示す直線L1に対応する出力輝度の漸減を示すものでこれに限定されるものではない。対象画素の階調値の補正による出力輝度の漸減パターンは、対象画素のY方向の位置と階調値の補正度合いの関係に対応したパターンになる。
図23は、信号処理部10の機能構成の一例を示すブロック図である。実施形態1の信号処理部10は、例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)のような集積回路である。信号処理部10は、例えば図23に示すように、必要輝度情報取得部101、調光階調算出部102、画像補正係数生成部103、点灯量算出部104、輝度分布生成部105、輝度逆数生成部106、画像処理部107等を有する。
必要輝度情報取得部101は、入力信号IPに対応する表示出力を行うために各表示分割領域PAで必要な光源51の輝度を取得する。具体的には、必要輝度情報取得部101は、各表示分割領域PAで最高の階調値が設定されている副画素49の階調値を特定する。より具体的には、必要輝度情報取得部101は、入力信号IPが示す各副画素49の階調値を表示分割領域PA毎に区分する。必要輝度情報取得部101は、1つの表示分割領域PAに含まれる副画素49の階調値のうち、最高の階調値が設定されている副画素49の階調値を特定する。必要輝度情報取得部101は、各表示分割領域PAで最高の階調値が設定されている副画素49の階調値に対応する出力輝度を得るために必要な光源51の輝度を特定する。例えば、副画素49の階調値が8ビット(0から255)である場合、255の階調値に対応する出力輝度を得るために必要な光源51の輝度は、100[%]である。一方、0の階調値に対応する出力輝度を得るために必要な光源51の輝度は、0[%]である。必要輝度情報取得部101は、このように光源51の輝度を特定する処理を、表示分割領域PA毎に行う。必要輝度情報取得部101は、特定された各表示分割領域PAの光源51の輝度を示す情報を必要輝度情報として取得する。また、必要輝度は光源51からの距離に応じた光の強度の減衰を考慮して算出される。
調光階調算出部102は、各調光領域LDの階調値を算出する。具体的には、調光階調算出部102は、Y方向の座標単位(例えば、(y1),(y2),(y3),(y4))で各表示分割領域PAを区分する。調光階調算出部102は、必要輝度情報取得部101によって取得された必要輝度情報を参照し、(y1)の調光領域LDの透過率を算出する。実施形態1の調光階調算出部102は、例えば、Y方向の座標が(y1)である全ての表示分割領域PAの必要輝度が0[%]の場合、(y1)の調光領域LDの透過率を最低透過率(BL_min)として算出し、そうでない場合、(y1)の調光領域LDの透過率を最高透過率(BL_max)として算出する。調光階調算出部102は、透過率が最低透過率(BL_min)である調光領域LDの階調値(例えば、0)と、透過率が最高透過率(BL_max)である調光領域LDの階調値(例えば、1)とを区別可能に、階調値を算出する。調光階調算出部102は、(y2),(y3),(y4)の調光領域LDについても、(y1)の調光領域LDと同様に透過率及び階調値を算出する。調光階調算出部102は、算出された各調光領域LDの階調値を示す情報を含む信号を、ローカルディミング信号DIとして出力する。
実施形態1では、透過率が最低透過率(BL_min)である調光領域LDの階調値(例えば、0)に応じて、調光領域LDは、最低透過率(BL_min)となるよう制御される。また、透過率が最高透過率(BL_max)である調光領域LDの階調値(例えば、1)に応じて、調光領域LDは、最高透過率(BL_max)となるよう制御される。
画像補正係数生成部103は、対象画素の出力階調値を高くするための補正に用いられる画像補正係数(kpix(v))を算出する。具体的には、画像補正係数生成部103は、例えば調光階調算出部102によって算出された複数の調光領域LDの各々の階調値のうち、隣接する2つの調光領域LDの階調値が異なる場合、透過率が低い方に対応する階調値が算出されている調光領域LDに対象画素を設定する。画像補正係数生成部103は、図21を参照して説明した仕組みで、対象画素の各々の出力階調値を補正するための補正値を算出する。また、画像補正係数生成部103は、対象画素以外の補正値を0として算出する。画像補正係数生成部103は、算出された補正値を、Y方向の一端側から他端側(又は、他端側から一端側)に並ぶ画素48の配置と対応させた関数(例えば、一次関数)の形式としたデータを画像補正係数(kpix(v))として算出する。実施形態1では、画像補正係数(kpix(v))を順次読み出すことで、Y方向の一端側から他端側に並ぶ画素48の補正値を得られるようになっている。このように、画像補正係数(kpix(v))は、階調値を高くする補正値が設定された対象画素の位置と補正値とを対応付ける情報を含む。また、画像補正係数(kpix(v))は、対象画素でない画素48の補正値を0にしていることで、補正により階調値が高くなる画素48を対象画素に限定することができる。
点灯量算出部104は、必要輝度情報に基づいて複数の光源51の各々の点灯量を算出する。具体的には、点灯量算出部104は、図13及び図14を参照して説明したように、各表示分割領域PAの他端側で各表示分割領域PAの必要輝度が十分に得られるよう、複数の光源51の各々の点灯量を算出する。光源51の点灯量と各表示分割領域PAの他端側の輝度との関係を示す情報は、例えば参照データに含まれていてもよいし、参照データと別個に用意されたデータであって点灯量算出部104が有するデータに含まれていてもよい。点灯量算出部104は、算出された複数の光源51の各々の点灯量を示す情報を含む信号を、光源駆動信号BLとして出力する。
輝度分布生成部105は、点灯量算出部104によって算出された複数の光源51の点灯量で得られる輝度分布を示す情報を生成する。具体的には、輝度分布生成部105は、点灯量算出部104によって算出された複数の光源51の各々の点灯量に基づいて、X方向に並ぶ画素48の各々の位置におけるY方向の輝度分布を示す情報を生成する。より具体的には、輝度分布生成部105は、例えば複数の光源51からの光の影響を考慮して予め測定された複数の光源51の点灯量と輝度分布との関係を示すデータを有する。輝度分布生成部105は、当該データを参照して、X方向に並ぶ画素48の各々の位置(h)におけるY方向(v)の輝度分布を示す情報を生成する。すなわち、輝度分布生成部105により生成された輝度分布を示す情報から、(h,v)の画素48の位置における光源装置50からの光の輝度を特定することができる。
輝度逆数生成部106は、輝度分布生成部105によって生成された輝度分布に基づいて、(h,v)の画素48の位置に対応する輝度の逆数(輝度逆数gainpix(h,v))を生成する。具体的には、輝度逆数生成部106は、例えば輝度分布生成部105によって生成されたパーセント([%])の輝度分布を少数に直す処理(100で除算する処理)を経て得られた値の逆数を、(h,v)の画素48の位置に対応する輝度逆数gainpix(h,v)とする。例えば、輝度分布を示す情報において120[%]の輝度が対応付けられている画素48の場合、輝度逆数gainpix(h,v)は約0.83になる。また、輝度分布を示す情報において60[%]の輝度が対応付けられている画素48の場合、輝度逆数gainpix(h,v)は約1.67になる。
画像処理部107は、入力信号IPに含まれる各画素48の階調値、輝度逆数生成部106によって生成された輝度逆数gainpix(h,v)及び画像補正係数生成部103によって算出された画像補正係数(kpix(v))に基づいて、出力画像信号OPとして機能する各画素48の出力階調値を算出する。具体的には、画像処理部107は、入力信号IPに含まれる各画素48の階調値にゲインをかける。より具体的には、(h,v)の画素48の階調値に含まれるR,G,Bの各々の階調値に輝度逆数gainpix(h,v)を乗じる。これによって、R,G,Bの各々の階調値にゲインがかかる。ただし、黒の階調値(R,G,B)=(0,0,0)にはゲインがかからない。画像処理部107は、黒の階調値(R,G,B)=(0,0,0)にゲインをかけないようにしてもよい。また、画像処理部107は、入力信号IPに含まれる各画素48の階調値のうち、黒の階調値に対して画像補正係数(kpix(v))を加算する。より具体的には、(R,G,B)=(0,0,0)である(v)の画素48の階調値に含まれるR,G,Bの各々の階調値に対して、画像補正係数(kpix(v))を加算する。これによって、(R,G,B)=(0,0,0)である(v)の画素48のうち、対象画素の階調値を高くすることができる。画像処理部107は、出力画像信号OPを出力する。
図24は、信号処理部10による処理の流れを示すフローチャートである。信号処理部10は、必要輝度情報の取得(ステップS1)、調光領域LDの透過率算出(ステップS2)、画像補正係数の生成(ステップS3)、点灯量の算出(ステップS4)、輝度逆数の生成(ステップS5)、出力階調値の算出(ステップS6)を行う。ステップS1からステップS6の処理のうち、ステップS2からステップS3の処理と、ステップS4からステップS5の処理とは、ステップS1の処理後に並行実施されてもよい。ステップS3及びステップS5の処理後、ステップS6の処理が行われる。
図25は、図24に示すフローチャートのステップS1からステップS5の処理内容の一例を模式的に示す図である。必要輝度情報の取得(ステップS1)では、必要輝度情報取得部101が、各表示分割領域PAで必要な光源51の輝度を取得する。図25では、ステップS1において、(x1,y1),(x1,y3),(x3,y1),(x3,y3)の表示分割領域PAの必要輝度がそれぞれ、40[%],10[%],100[%],20[%]であり、それ以外の表示分割領域PAの必要輝度が0[%]である場合を例示している。
調光領域LDの透過率算出(ステップS2)では、調光階調算出部102が、各調光領域LDの透過率及び透過率に応じた階調値を算出する。図25では、ステップS2において、(y1),(y3)の調光領域LDの透過率が最高透過率(BL_max)(図25では、100[%]表記)であり、(y2),(y4)の調光領域LDの透過率が最低透過率(BL_min)(図25では、0[%]表記)である場合を例示している。
画像補正係数の生成(ステップS3)では、画像補正係数生成部103が、画像補正係数(kpix(v))を算出する。図25では、ステップS3において、(y2),(y4)の表示分割領域PAに対象画素を設定し、対象画素の階調値が(R,G,B)=(0,0,0)である場合に階調値を高くするための補正値を算出している例を示している。より具体的には、図25では、(y2)の表示分割領域PAに含まれる画素48のうち、(y1)の表示分割領域PAと(y2)の表示分割領域PAとの境界に最も近い位置の画素48を一端とし、一端側から他端側に向かって所定画素数(x_pix)の範囲内に位置する画素48を対象画素としている。また、(y2)の表示分割領域PAに含まれる画素48のうち、(y2)の表示分割領域PAと(y3)の表示分割領域PAとの境界に最も近い位置の画素48を他端とし、他端側から一端側に向かって所定画素数(x_pix)の範囲内に位置する画素48を対象画素としている。このように、1つの表示分割領域PAにおいて一端側及び他端側から所定画素数(x_pix)の範囲内に位置する画素48を対象画素とする場合を考慮して所定画素数(x_pix)を定めるようにしてもよい。例えば、所定画素数(x_pix)は、1つの表示分割領域PAが有するY方向の画素数の1/2以下の数であってもよい。また、図25では、(y4)の表示分割領域PAに含まれる画素48のうち、(y3)の表示分割領域PAと(y4)の表示分割領域PAとの境界に最も近い位置の画素48を一端とし、一端側から他端側に向かって所定画素数(x_pix)の範囲内に位置する画素48を対象画素としている。
点灯量の算出(ステップS4)では、点灯量算出部104が、複数の光源51の各々の点灯量を算出する。図25では、ステップS4において、(x1),(x3)の光源51が、(y1)の表示分割領域PAの一端側の輝度をそれぞれ42[%],120[%]にすることができる点灯量で点灯するよう点灯量を算出した場合を例示している。
輝度逆数の生成(ステップS5)では、輝度分布生成部105が、点灯量算出部104によって算出された複数の光源51の点灯量で得られる輝度分布を示す情報を生成する。その後、輝度逆数生成部106が、輝度分布生成部105によって生成された輝度分布に基づいて、(h,v)の画素48の位置に対応する輝度逆数gainpix(h,v)を生成する。図25では、ステップS5において、(x3)の光源51に対応する輝度分布及び輝度逆数gainpix(h,v)を例示している。
図26は、図24における出力階調値の算出処理の流れを示すフローチャートである。出力階調値の算出(ステップS6)では、画像処理部107が、出力画像信号OPとして機能する各画素48の出力階調値を算出する。具体的には、画像処理部107は、入力信号IPに含まれる1つの画素48の階調値が(R,G,B)=(0,0,0)であるか否か判定する(ステップS61)。より具体的には、画像処理部107は、例えばステップS61で図示しているように、1つの画素48が有する副画素49毎に階調値が0であるか否かをチェックする。すなわち、画像処理部107は、入力信号IPに含まれる1つの第1副画素49Rの階調値(Rin(h,v))、1つの第2副画素49Gの階調値(Gin(h,v))及び1つの第3副画素49Bの階調値(Bin(h,v))について個別に0であるか否かチェックする。
入力信号IPに含まれる1つの対象画素の階調値が(R,G,B)=(0,0,0)である場合(ステップS61:Yes)、画像処理部107は、対象画素と判定された1つの画素48が有する副画素49の各々の階調値に画像補正係数(kpix(v))を加算する(ステップS62)。具体的には、画像処理部107は、入力信号IPに含まれる1つの第1副画素49Rの階調値(Rin(h,v))、1つの第2副画素49Gの階調値(Gin(h,v))及び1つの第3副画素49Bの階調値(Bin(h,v))の各々に画像補正係数(kpix(v))を加算する。これによって、画像処理部107は、出力画像信号OPとして機能する1つの第1副画素49Rの階調値(Rout(h,v))、1つの第2副画素49Gの階調値(Gout(h,v))及び1つの第3副画素49Bの階調値(Bout(h,v))を算出する。
一方、入力信号IPに含まれる1つの画素48の階調値が(R,G,B)=(0,0,0)でない場合(ステップS61:No)、画像処理部107は、判定された1つの画素48が有する副画素49の各々の階調値に輝度逆数gainpix(h,v)を乗算する(ステップS63)。具体的には、画像処理部107は、入力信号IPに含まれる1つの第1副画素49Rの階調値(Rin(h,v))、1つの第2副画素49Gの階調値(Gin(h,v))及び1つの第3副画素49Bの階調値(Bin(h,v))の各々に輝度逆数gainpix(h,v)を乗算する。これによって、画像処理部107は、出力画像信号OPとして機能する1つの第1副画素49Rの階調値(Rout(h,v))、1つの第2副画素49Gの階調値(Gout(h,v))及び1つの第3副画素49Bの階調値(Bout(h,v))を算出する。
以上説明したように、実施形態1によれば、隣接する2つの調光領域LDの各々の光の透過率が異なる場合、光の透過率が低い調光領域LDに位置する画素のうち該2つの調光領域LDの境界付近に位置する画素48を対象画素とし、対象画素の出力階調値を高くする。これによって、帯状の後光の発生を抑制することができ、画質の向上及び黒浮きUの抑制によるコントラスト感の向上を実現することができる。
また、2つの調光領域LDの境界により近い対象画素の出力階調値をより高くする。これによって、2つの調光領域LDの境界付近から離れるに従って表示装置1の出力輝度を漸減させやすくなる。従って、帯状の後光の発生をより確実に抑制することができる。
(変形例)
以下、図27から図30を参照して、実施形態1の変形例について説明する。変形例の説明では、図1から図26を参照して説明した実施形態1と同様の構成に同じ符号を付して説明を省略することがある。
図27は、変形例における信号処理部10Aの機能構成の別の一例を示すブロック図である。変形例による表示装置は、実施形態1の信号処理部10に代わる構成として、信号処理部10Aを備える。変形例の信号処理部10Aは、実施形態1の信号処理部10の各構成に加えて、必要輝度補正係数生成部111、必要輝度補正部112、輝度逆数補正部113を有する。また、変形例の信号処理部10Aは、実施形態1の調光階調算出部102、画像補正係数生成部103、画像処理部107に代えて、調光階調算出部102A、画像補正係数生成部103A、画像処理部107Aを有する。
変形例の調光階調算出部102Aは、必要輝度情報取得部101によって取得された必要輝度情報を参照し、(y1)の調光領域LDの透過率を算出する。調光階調算出部102Aは、例えば、Y方向の座標が(y1)である全ての表示分割領域PAの必要輝度が0[%]の場合、(y1)の調光領域LDの透過率を最低透過率(BL_min)として算出する。また、調光階調算出部102Aは、Y方向の座標が(y1)である表示分割領域PAの必要輝度のうち最大の必要輝度が、0[%]を超え、かつ、25[%]以下である場合、(y1)の調光領域LDの透過率を第1の中間透過率とする。調光階調算出部102Aは、第1の中間透過率として、例えば25[%]を算出する。また、調光階調算出部102Aは、(y1)の表示分割領域PAの必要輝度のうち最大の必要輝度が、25[%]を超え、かつ、50[%]以下である場合、(y1)の調光領域LDの透過率を第2の中間透過率とする。調光階調算出部102Aは、第2の中間透過率として、例えば50[%]を算出する。これらのいずれにも該当しない場合、調光階調算出部102Aは、(y1)の調光領域LDの透過率を最高透過率(BL_max)として算出する。調光階調算出部102Aは、透過率が最低透過率(BL_min)である調光領域LDの階調値(例えば、0)と、透過率が第1の中間透過率である調光領域LDの階調値(例えば、1)と、透過率が第2の中間透過率である調光領域LDの階調値(例えば、2)と、透過率が最高透過率(BL_max)である調光領域LDの階調値(例えば、3)とを区別可能に、階調値を算出する。調光階調算出部102Aは、(y2)、(y3)、(y4)の調光領域LDについても、(y1)の調光領域LDと同様に透過率及び階調値を算出する。調光階調算出部102Aは、算出された各調光領域LDの階調値を示す情報を含む信号を、変形例におけるローカルディミング信号DIとして出力する。
変形例では、透過率が最低透過率(BL_min)である調光領域LDの階調値(例えば、0)に応じて、調光領域LDは、最低透過率(BL_min)となるよう制御される。また、透過率が第1の中間透過率である調光領域LDの階調値(例えば、1)に応じて、調光領域LDは、25[%]の透過率となるよう制御される。また、透過率が第2の中間透過率である調光領域LDの階調値(例えば、2)に応じて、調光領域LDは、50[%]の透過率となるよう制御される。また、透過率が最高透過率(BL_max)である調光領域LDの階調値(例えば、3)に応じて、調光領域LDは、最高透過率(BL_max)となるよう制御される。このように、変形例の調光領域LDは、光の透過率を、最低透過率(BL_min)、最高透過率(BL_max)又は最低透過率(BL_min)と最高透過率(BL_max)との間の透過率である1種類以上の中間透過率のいずれかに変更可能に設けられている。なお、中間透過率は1種類であってもよいし、3種類以上であってもよいし、0%から100%の間で任意の透過率に設定してもよい。
必要輝度補正係数生成部111は、調光階調算出部102Aによって算出された階調値に基づいて、必要輝度補正係数を生成する。必要輝度補正係数は、必要輝度情報取得部101によって取得された必要輝度情報が示す必要輝度を補正するための係数である。具体的には、必要輝度補正係数生成部111は、例えば調光値を4諧調としたとき、階調値が0又は3である調光領域LDの必要輝度補正係数を1.0にする。すなわち、必要輝度補正係数生成部111は、透過率が最低透過率(BL_min)又は最高透過率(BL_max)である調光領域LDの必要輝度補正係数を1.0にする。また、必要輝度補正係数生成部111は、階調値が1である調光領域LDの必要輝度補正係数を4.0にする。すなわち、必要輝度補正係数生成部111は、透過率が25[%]である調光領域LDの必要輝度補正係数を4.0にする。また、必要輝度補正係数生成部111は、階調値が2である調光領域LDの必要輝度補正係数を2.0にする。すなわち、必要輝度補正係数生成部111は、透過率が50[%]である調光領域LDの必要輝度補正係数を2.0にする。
必要輝度補正部112は、必要輝度補正係数生成部111によって生成された必要輝度補正係数に基づいて、必要輝度情報取得部101によって取得された必要輝度情報を補正する。具体的には、必要輝度補正部112は、各表示分割領域PAの必要輝度に、対応するY方向の座標に位置する調光領域LDの必要輝度補正係数を乗算する。変形例の点灯量算出部104は、必要輝度補正部112によって補正された必要輝度情報に基づいて複数の光源51の各々の点灯量を算出する。
変形例の画像補正係数生成部103Aは、隣接する2つの調光領域LDのうち光の透過率が低い調光領域における光の透過率が最低透過率(BL_min)である場合、最低透過率でない場合に比して対象画素の出力階調値をより高くする。具体的には、画像補正係数生成部103Aは、隣接する2つの調光領域LDのうち光の透過率が低い調光領域における光の透過率が最低透過率(BL_min)である場合、図21を参照して説明した画像補正係数生成部103の処理と同様の処理を行う。具体的には、画像補正係数生成部103Aは、例えば対象画素のうち位置P1にある画素48の階調値を第1コントラストと第2コントラストの比(k)に対応した値(例えば、k=0.5(=50[%]))にする。
一方、隣接する2つの調光領域のうち光の透過率が低い調光領域LDにおける光の透過率が最低透過率(BL_min)でない場合、画像補正係数生成部103Aは、位置P1にある画素48の階調値に対する補正値(ka)を以下の式(1)に基づいて算出する。式(1)におけるB(PY)は、隣接する2つの調光領域LDの境界における光源51からの輝度([%])である。また、BL_highは、隣接する2つの調光領域のうち光の透過率が高い調光領域LDにおける光の透過率([%])である。また、BL_lowは、隣接する2つの調光領域LDのうち光の透過率が低い調光領域LDにおける光の透過率([%])である。
ka=(B(PY)/DP_con)×(BP_con/DP_con)/(BL_high/BL_low)…(1)
例えば、B(PY)=120[%],DP_con=1000,BP_con=500,BL_high=100[%],BL_low=25[%]である場合、ka=0.24[%]である。式(1)を構成する各種の値及び値同士の関係は、kaが必ず第1コントラストと第2コントラストの比(k)を下回る値になる。
また、画像補正係数生成部103Aは、画像補正係数生成部103と同様、対象画素の補正後の階調値が、一端側から他端側(位置P1が他端側である場合、他端側から一端側)に向かって漸減するように画素毎に補正度合いを決定する。画像補正係数生成部103Aは、算出された補正値を、画像補正係数(kpix(h,v))として算出する。変形例において画像補正係数の座標管理にX方向が加わるのは、X方向の位置に応じて隣接する2つの調光領域LDの境界における光源51からの輝度([%])が異なり得るからである。言い換えれば、変形例では、Y方向だけでなく、X方向についても各画素48に個別の画像補正係数が算出される。
輝度逆数補正部113は、必要輝度補正係数生成部111によって生成された必要輝度補正係数に基づいて、輝度逆数生成部106によって生成された輝度逆数gainpix(h,v)を補正する。具体的には、輝度逆数補正部113は、輝度逆数gainpix(h,v)に、対応するY方向の座標に位置する調光領域LDの必要輝度補正係数を乗算する。輝度逆数補正部113は、補正された輝度逆数gainpix(h,v)を、輝度逆数Egainpix(h,v)とする。
変形例の画像処理部107Aは、輝度逆数補正部113によって補正された輝度逆数Egainpix(h,v)を用いて、入力信号IPに含まれる画素48の階調値にゲインをかけた後、入力信号IPに含まれる画素48の階調値が黒に対応する階調値であるか否かに関わらず、画像補正係数(kpix(h,v))を加算する。入力信号IPに含まれる画素48の階調値に対する処理を除いて、変形例の画像処理部107Aは、実施形態1の画像処理部107と同様の構成である。
図28は、変形例の信号処理部10Aによる処理の流れを示すフローチャートである。信号処理部10Aは、必要輝度情報の取得(ステップS11)、調光領域LDの透過率算出(ステップS12)、必要輝度補正係数の生成(ステップS13)、必要輝度の補正(ステップS14)、点灯量の算出(ステップS15)、輝度逆数の生成(ステップS16)、輝度逆数の補正(ステップS17)、画像補正係数の生成(ステップS18)、出力階調値の算出(ステップS19)を行う。
図29は、図28に示すフローチャートのステップS11からステップS15で行われる処理内容の一例を模式的に示す図である。必要輝度情報の取得(ステップS11)では、必要輝度情報取得部101が、各表示分割領域PAで必要な光源51の輝度を取得する。図29では、ステップS11において、(x1,y1),(x1,y3),(x3,y1),(x3,y2),(x3,y3)の表示分割領域PAの必要輝度がそれぞれ、40[%],10[%],100[%],20[%],40[%]であり、それ以外の表示分割領域PAの必要輝度が0[%]である場合を例示している。
調光領域の透過率算出(ステップS12)では、調光階調算出部102Aが、各調光領域LDの透過率及び透過率に応じた階調値を算出する。図29では、ステップS12において、(y1)の調光領域LDの透過率が最高透過率(BL_max)(図29では、100[%]表記)であり、(y2)の調光領域LDの透過率が第1の中間透過率(25[%])であり、(y3)の調光領域LDの透過率が第1の中間透過率(50[%])であり、(y4)の調光領域LDの透過率が最低透過率(BL_min)(図29では、0[%]表記)である場合を例示している。
必要輝度補正係数の生成(ステップS13)では、必要輝度補正係数生成部111が、必要輝度補正係数を生成する。図29では、ステップS13において、(y1),(y4)の調光領域LDの必要輝度補正係数が1.0であり、(y2)の調光領域LDの必要輝度補正係数が4.0であり、(y3)の調光領域LDの必要輝度補正係数が2.0である場合を例示している。
必要輝度の補正(ステップS14)では、必要輝度補正部112は、必要輝度補正係数に基づいて、必要輝度情報を補正する。図29では、ステップS14において、(x1,y3),(x3,y3)の表示分割領域PAの必要輝度(10[%],40[%])に(y3)の調光領域LDの必要輝度補正係数(2.0)が乗算されたことで、(x1,y3),(x3,y3)の表示分割領域PAの必要輝度がそれぞれ、20[%],80[%]に補正されている。また、(x3,y2)の表示分割領域PAの必要輝度(20[%])に(y2)の調光領域LDの必要輝度補正係数(4.0)が乗算されたことで、(x3,y2)の表示分割領域PAの必要輝度が80[%]に補正されている。
点灯量の算出(ステップS15)では、変形例の点灯量算出部104が、複数の光源51の各々の点灯量を算出する。図29では、ステップS15において、(x1),(x3)の光源51が、(y1)の表示分割領域PAの一端側の輝度をそれぞれ48[%],140[%]にすることができる点灯量で点灯するよう点灯量を算出した場合を例示している。
図30は、図28に示すフローチャートのステップS16からステップS18で行われる処理内容の一例を模式的に示す図である。輝度逆数の生成(ステップS16)では、輝度分布生成部105が、点灯量算出部104によって算出された複数の光源51の点灯量で得られる輝度分布を示す情報を生成する。その後、輝度逆数生成部106が、輝度分布生成部105によって生成された輝度分布に基づいて、(h,v)の画素48の位置に対応する輝度逆数gainpix(h,v)を生成する。図30では、ステップS16において、(x3)の光源51に対応する輝度分布及び輝度逆数gainpix(h,v)を例示している。(x3)の光源51に対応する輝度分布では、(y1)の表示分割領域PAと(y2)の表示分割領域PAとの境界位置における光源51からの輝度P3、(y2)の表示分割領域PAと(y3)の表示分割領域PAとの境界位置における光源51からの輝度P4、(y3)の表示分割領域PAと(y4)の表示分割領域PAとの境界位置における光源51からの輝度P5を示している。このうち、輝度P5は、補正された(x3,y3)の表示分割領域PAの必要輝度(80[%])に対応する。
輝度逆数の補正(ステップS17)では、輝度逆数補正部113が、輝度逆数gainpix(h,v)を補正する。図30では、ステップS17において、(x3)の光源51に対応する輝度逆数の補正を例示している。具体的には、(y2)の輝度逆数gainpix(h,v)に(y2)の調光領域LDの必要輝度補正係数(4.0)が乗算されている。また、(y3)の輝度逆数gainpix(h,v)に(y3)の調光領域LDの必要輝度補正係数(2.0)が乗算されている。輝度逆数補正部113は、補正された輝度逆数gainpix(h,v)を、輝度逆数Egainpix(h,v)とする。
画像補正係数の生成(ステップS18)では、画像補正係数生成部103Aが、画像補正係数(kpix(h,v))を算出する。図30では、ステップS18において、(x3)の光源51に対応するX方向の座標(h)の画像補正係数(kpix(h,v))を例示している。当該画像補正係数(kpix(h,v))では、(y2),(y4)の表示分割領域PAに対象画素を設定し、階調値を高くするための補正値を算出している例を示している。より具体的には、図30では、(y2)の表示分割領域PAに含まれる画素48のうち、(y1)の表示分割領域PAと(y2)の表示分割領域PAとの境界に最も近い位置の画素48を一端とし、一端側から他端側に向かって所定画素数(x_pix)の範囲内に位置する画素48を対象画素としている。また、(y2)の表示分割領域PAに含まれる画素48のうち、(y2)の表示分割領域PAと(y3)の表示分割領域PAとの境界に最も近い位置の画素48を他端とし、他端側から一端側に向かって所定画素数(x_pix)の範囲内に位置する画素48を対象画素としている。また、(y4)の表示分割領域PAに含まれる画素48のうち、(y3)の表示分割領域PAと(y4)の表示分割領域PAとの境界に最も近い位置の画素48を一端とし、一端側から他端側に向かって所定画素数(x_pix)の範囲内に位置する画素48を対象画素としている。当該画像補正係数(kpix(h,v))におけるk1及びk2は、上記の式(1)で算出されるkaの具体的な値の一例である。k1は、B(P3)=120[%],DP_con=1000,BP_con=500,BL_high=100[%],BL_low=25[%]である場合のkaの値(0.24[%])である。k2は、B(P3)=100[%],DP_con=1000,BP_con=500,BL_high=50[%],BL_low=25[%]である場合のkaの値(0.10[%])である。
出力階調値の算出(ステップS19)では、変形例の画像処理部107Aが、輝度逆数Egainpix(h,v)を用いて、入力信号IPに含まれる画素48の階調値にゲインをかけた後、画像補正係数(kpix(h,v))を加算する。具体的には、変形例の画像処理部107Aは、例えば図28に記載しているように、以下の式(2)、式(3)、式(4)のように出力画像信号OPとして機能する1つの第1副画素49Rの階調値(Rout(h,v))、1つの第2副画素49Gの階調値(Gout(h,v))及び1つの第3副画素49Bの階調値(Bout(h,v))を算出する。
Rout(h,v)=Egainpix(h,v)×Rin(h,v)+kpix(h,v)…(2)
Gout(h,v)=Egainpix(h,v)×Gin(h,v)+kpix(h,v)…(3)
Bout(h,v)=Egainpix(h,v)×Bin(h,v)+kpix(h,v)…(4)
以上説明したように、変形例によれば、調光領域LDの透過率として中間透過率が含まれる場合であっても、帯状の後光の発生をより確実に抑制することができる。
(実施形態2)
図31は、実施形態2の光源装置50Aの一例を示す図である。実施形態2の光源装置50Aは、交差する2方向に並ぶ複数の発光領域を有する光源部として機能する。具体的には、例えば図31に示すように、実施形態2の光源装置50Aは、X方向及びY方向に並ぶ複数の光源51Aを有する。
図31等、実施形態2の説明では、Y方向の座標がy1,y2,…,y5の5つの座標で管理される場合を例示しているが、これはあくまで一例であってこれに限られるものでない。また、実施形態2の説明では、実施形態1の説明と同様、X方向の座標がx1,x2,…,x9の9つの座標で管理される場合を例示しているが、これはあくまで一例であってこれに限られるものでない。実施形態1、実施形態2のいずれも、座標の数は適宜変更可能である。
光源装置50Aは、実施形態2における表示分割領域PAの座標((x1,y1),(x2,y1),…,(x8,y5),(x9,y5))単位で設けられた光源51Aの光をこれらの座標単位で導くように溝等で区切られた導光板LAAを有する。これはあくまで交差する2方向に並ぶ複数の発光領域を実現するための構成例であってこれに限られるものでない。例えば、これらの座標ごとに個別に導光板が設けられていてもよい。
図32及び図33は、実施形態2の光源装置の別の一例を示す図である。図32及び図33に示すように、光源装置50Bは、交差する2方向に並ぶ複数の出射部(例えば、導光板G1,G2,G3,G4,G5の出射部G1b,G2b,G3b,G4b,G5b)と、当該複数の出射部の各々に光を導くガイド部(例えば、導光板G1,G2,G3,G4,G5)を有していてもよい。導光板G1は、底面部G1aの出射部G1b側の面と、境界LDLの位置で隣接する出射部同士を区切る側面部とによって光を反射して出射部G1bから光を出射することで、当該導光板G1の一端に設けられた光源51Bの光を(y1)に導く。導光板G2は、導光板G1の底面部G1aの背面及び底面部G2aの出射部G2b側の面と、境界LDLの位置で隣接する出射部同士を区切る側面部とによって光を反射して出射部G2bから光を出射することで、当該導光板G2の一端に設けられた光源51Bの光を(y2)に導く。導光板G3は、導光板G2の底面部G2aの背面及び底面部G3aの出射部G3b側の面と、境界LDLの位置で隣接する出射部同士を区切る側面部とによって光を反射して出射部G3bから光を出射することで、当該導光板G3の一端に設けられた光源51Bの光を(y3)に導く。導光板G4は、導光板G3の底面部G3aの背面及び底面部G4aの出射部G4b側の面と、境界LDLの位置で隣接する出射部同士を区切る側面部とによって光を反射して出射部G4bから光を出射することで、当該導光板G4の一端に設けられた光源51Bの光を(y4)に導く。導光板G5は、導光板G4の底面部G4aの背面及び底面部G5aの出射部G5b側の面と、境界LDLの位置で隣接する出射部同士を区切る側面部及び導光板G5の他端LDWの側面部とによって光を反射して出射部G5bから光を出射することで、当該導光板G5の一端に設けられた光源51Bの光を(y5)に導く。このように、導光板G1,G2,G3,G4,G5は、対応する座標の表示分割領域PAに光を照射する。
図33に示すように、導光板G1,G2,G3,G4,G5は、y1,y2,…,y5に対応して個別に設けられている。また、導光板G1,G2,G3,G4,G5にはそれぞれ、Y方向の一端側に光源51Bが設けられている。すなわち、光源装置50Bは、(x1,y1),(x2,y1),…,(x8,y5),(x9,y5)に個別に光を導かれる複数の光源51Bを有する。なお、導光板G1,G2,G3,G4,G5のうち、X方向の両端(例えば、x1,x9の座標)に位置するものは、X方向の一側面部LDS1,LDS2によっても光を反射する。
このように、実施形態2の光源装置50A,50Bは、複数の導光領域にそれぞれ1つ以上の光源が設けられている。具体的には、複数の光源51A,51Bは、(x1,y1),(x2,y1),…,(x8,y5),(x9,y5)の各々に個別に設けられている。図31並びに図32及び図33を参照して説明した例では、(x1,y1),(x2,y1),…,(x8,y5),(x9,y5)の各々に対応する導光領域に1つの光源51A又は光源51Bが設けられているが、1つの導光領域に2つ以上の光源が設けられていてもよい。
図34は、実施形態2の調光部70Bの主要構成例を示す図である。実施形態2の調光パネル80Bは、交差する2方向に並ぶ複数の調光領域LDBを有する。具体的には、調光パネル80Bは、(x1,y1),(x2,y1),…,(x8,y5),(x9,y5)で個別に光の透過率を個別に調節可能に設けられている。調光パネル80Bは、例えば図34に示すように、(x1,y1),(x2,y1),…,(x8,y5),(x9,y5)に個別に設けられた第1電極81Bを有する。すなわち、図34に示す例では、複数の調光領域LDBにそれぞれ個別の第1電極81Bが設けられている。
実施形態2の回路部90は、座標が異なる第1電極81Bの電位を個別に制御する。実施形態2の信号処理部10は、(x1,y1),(x2,y1),…,(x8,y5),(x9,y5)の座標単位で光の透過率を個別に制御するためのローカルディミング信号DIを出力する。
図35は、表示出力内容の一例を示す模式図である。図35並びに後述する図36及び図37では、調光領域との関係を明示する目的で、隣接する調光領域LDB同士の境界線LDLを示している。例えば、図35に示すように、複数の表示分割領域PAのうち1つの表示分割領域PAに光源からの光を必要とする高輝度部LP1を含み、それ以外が最低輝度(黒)である表示出力が求められる場合を想定する。
図36は、図35に示す表示出力内容に対応した光源輝度分布の一例を示す模式図である。実施形態2の光源装置(例えば、光源装置50A又は光源装置50B)は、高輝度部LP1を含む表示分割領域PAと同一座標の導光領域から光を照射する。当該光源装置は、他の導光領域から光を照射しない。ただし、高輝度部LP1を含む表示分割領域PAと同一座標の導光領域からの光の一部は、当該表示分割領域PAに隣接する周囲の表示分割領域PAにも届き得る。このため、高輝度部LP1を含む表示分割領域PAの位置を中心とした光源輝度分布LP2が生じる。仮に、調光部70Bを有しない表示装置を想定すると、図16を参照して説明した例と同様の仕組みで、光源輝度分布LP2の範囲で黒浮きUが生じることになる。
図37は、図36に示す光源輝度分布で出力輝度の急変ラインST2,ST3,ST4,ST5が生じる場合を示す模式図である。高輝度部LP1を含む表示分割領域PA以外の表示分割領域PAでは光が不要である。このため、仮に、高輝度部LP1を含む表示分割領域PA以外の表示分割領域PAと同一座標の調光領域LDBを最低透過率(BL_min)とするよう調光パネル80Bを動作させた場合、これらの表示分割領域PAにおける出力輝度をより低くして黒浮きUを抑制することができる。
一方、高輝度部LP1を含む表示分割領域PAでは光源からの光が必要であるため、当該表示分割領域PAと同一座標の調光領域LDBは最低透過率(BL_min)より高い透過率(例えば、最高透過率(BL_max))とされる。このため、図37に示すように、高輝度部LP1を含む表示分割領域PAでは黒浮きUの抑制がない。これによって、高輝度部LP1を含む表示分割領域PAと当該表示分割領域PAに隣接する表示分割領域PAとの境界に、出力輝度の急変ラインST2,ST3,ST4,ST5が生じる。
そこで、実施形態2の信号処理部10は、隣接する2つの調光領域LDBの各々の光の透過率が異なる場合、該2つの調光領域LDBの境界付近(例えば、境界から所定画素数(x_pix)の範囲)において、光の透過率が低い調光領域LDBに位置する画素の出力階調値を高くする制御部として機能する。これによって、出力輝度の急変ラインST2,ST3,ST4,ST5の発生を抑制することができる。
図38は、実施形態2の信号処理部10による処理の流れを示すフローチャートである。信号処理部10は、必要輝度情報の取得(ステップS21)、調光領域LDBの透過率算出(ステップS22)、画像補正係数の生成(ステップS23)、点灯量の算出(ステップS24)、輝度逆数の生成(ステップS25)、出力階調値の算出(ステップS26)を行う。ステップS21からステップS26の処理のうち、ステップS22からステップS23の処理と、ステップS24からステップS25の処理とは、ステップS21の処理後に並行実施されてもよい。ステップS23及びステップS25の処理後、ステップS26の処理が行われる。
図39は、図38に示すフローチャートのステップS21からステップS25の処理内容の一例を模式的に示す図である。以下の説明では、実施形態2の表示装置が光源装置50Bを備える場合について例示する。実施形態2の表示装置が光源装置50Aを備える場合、以下の説明における光源51Bを光源51Aと読み替える。必要輝度情報の取得(ステップS21)では、必要輝度情報取得部101が、各表示分割領域PAで必要な光源51Bの輝度を取得する。図39では、ステップS21において、(x3,y1),(x3,y3)の表示分割領域PAの必要輝度がそれぞれ、100[%],20[%]であり、それ以外の表示分割領域PAの必要輝度が0[%]である場合を例示している。
調光領域の透過率算出(ステップS22)では、調光階調算出部102Aが、各調光領域LDBの透過率及び透過率に応じた階調値を算出する。図39では、ステップS22において、(x3,y1),(x3,y3)の調光領域LDBの透過率が最高透過率(BL_max)(図39では、100[%]表記)であり、他の座標の調光領域LDBの透過率が最低透過率(BL_min)(図39では、0[%]表記)である場合を例示している。
画像補正係数の生成(ステップS23)では、画像補正係数生成部103Aが、画像補正係数(kpix(v))を算出する。図39では、ステップS23において、(x3,y2),(x3,y4)の表示分割領域PAに対象画素を設定し、対象画素の階調値が(R,G,B)=(0,0,0)である場合に階調値を高くするための補正値を算出している例を示している。より具体的には、(x3,y2)の表示分割領域PAに含まれる画素48のうち、(x3,y1)の表示分割領域PAと(x3,y2)の表示分割領域PAとの境界に最も近い位置の画素48を一端とし、一端側から他端側に向かって所定画素数(x_pix)の範囲内に位置する画素48を対象画素としている。また、(x3,y2)の表示分割領域PAに含まれる画素48のうち、(x3,y2)の表示分割領域PAと(y3)の表示分割領域PAとの境界に最も近い位置の画素48を他端とし、他端側から一端側に向かって所定画素数(x_pix)の範囲内に位置する画素48を対象画素としている。このように、1つの表示分割領域PAにおいて一端側及び他端側から所定画素数(x_pix)の範囲内に位置する画素48を対象画素とする場合を考慮して所定画素数(x_pix)を定めるようにしてもよい。例えば、所定画素数(x_pix)は、1つの表示分割領域PAが有するY方向の画素数の1/2以下の数であってもよい。また、図39では、(y4)の表示分割領域PAに含まれる画素48のうち、(x3,y3)の表示分割領域PAと(x3,y4)の表示分割領域PAとの境界に最も近い位置の画素48を一端とし、一端側から他端側に向かって所定画素数(x_pix)の範囲内に位置する画素48を対象画素としている。
図39に示す例では、(x3)におけるY方向の画像補正係数(kpix(v))を例示しているが、実施形態2の画像補正係数生成部103Aは、同様の仕組みで、(x3)以外のY方向の画像補正係数(kpix(v))も算出する。ただし、図39に示す例では、(x3)以外のX方向の座標では表示分割領域PAの必要輝度が0[%]である。このため、(x3)以外のY方向の画像補正係数(kpix(v))では、第1コントラストと第2コントラストの比(k)に対応した補正値は設定されない。
また、実施形態2の画像補正係数生成部103Aは、同様の仕組みで、X方向の画像補正係数(kpix(h))も算出する。具体的には、画像補正係数生成部103Aは、(y1)の画像補正係数(kpix(h))の算出に際して、(x2,y1),(x4,y1)の表示分割領域PAに対象画素を設定し、対象画素の階調値が(R,G,B)=(0,0,0)である場合に階調値を高くするための補正値を算出する。また、画像補正係数生成部103Aは、(y3)の画像補正係数(kpix(h))の算出に際して、(x2,y3),(x4,y3)の表示分割領域PAに対象画素を設定し、対象画素の階調値が(R,G,B)=(0,0,0)である場合に階調値を高くするための補正値を算出する。それ以外のX方向の画像補正係数(kpix(h))では、第1コントラストと第2コントラストの比(k)に対応した補正値は設定されない。
点灯量の算出(ステップS24)では、点灯量算出部104が、複数の光源51Bの各々の点灯量を算出する。図39では、ステップS24において、(x3,y1),(x3,y3)の光源51Bが、(x3,y1),(x3,y3)の表示分割領域PAの最高輝度をそれぞれ120[%],30[%]にすることができる点灯量で点灯するよう点灯量を算出した場合を例示している。なお、この120[%]の点灯量は、(x3,y1)の表示分割領域PAのうち光源51Bからの光が最も弱くなる位置の輝度P6,P7で100[%]の輝度による表示出力が可能な輝度である。また、この30[%]の点灯量は、(x3,y3)の表示分割領域PAのうち光源51Bからの光が最も弱くなる位置の輝度P8で20[%]の輝度による表示出力が可能な輝度である。
輝度逆数の生成(ステップS25)では、輝度分布生成部105が、点灯量算出部104によって算出された複数の光源51Bの点灯量で得られる輝度分布を示す情報を生成する。その後、輝度逆数生成部106が、輝度分布生成部105によって生成された輝度分布に基づいて、(h,v)の画素48の位置に対応する輝度逆数gainpix(h,v)を生成する。図39では、ステップS25において、(x3)の光源51Bに対応するY方向の輝度分布及び輝度逆数gainpix(h,v)を例示している。
図40は、図38における出力階調値の算出処理の流れを示すフローチャートである。出力階調値の算出(ステップS26)では、画像処理部107Aが、出力画像信号OPとして機能する各画素48の出力階調値を算出する。具体的には、画像処理部107Aは、入力信号IPに含まれる1つの画素48の階調値が(R,G,B)=(0,0,0)であるか否か判定する(ステップS61)。より具体的には、画像処理部107Aは、例えばステップS61で図示しているように、1つの画素48が有する副画素49毎に階調値が0であるか否かをチェックする。すなわち、画像処理部107Aは、入力信号IPに含まれる1つの第1副画素49Rの階調値(Rin(h,v))、1つの第2副画素49Gの階調値(Gin(h,v))及び1つの第3副画素49Bの階調値(Bin(h,v))について個別に0であるか否かチェックする。
入力信号IPに含まれる1つの対象画素の階調値が(R,G,B)=(0,0,0)である場合(ステップS61:Yes)、画像処理部107Aは、対象画素と判定された1つの画素48が有する副画素49の各々の階調値を、以下の式(5)、式(6)、式(7)を用いて算出する(ステップS64)。ただし、ステップS64の処理において、Tx(h,y)×Ty(x,v)=1(100%)の場合、Tx(h,y)×Ty(x,v)=0に置換される。すなわち、Tx(h,y)×Ty(x,v)=1(100%)の場合、Rout(h,v)=Gout(h,v)=Bout(h,v)=0である。Tx(h,y)は、あるY座標(y)においてX方向に並ぶ画素48の各々の位置(h)の前処理係数である。Ty(x,v)は、あるX座標(x)においてY方向に並ぶ画素48の各々の位置(v)の前処理係数である。
Rout(h,v)=k×Tx(h,y)×Ty(x,v)…(5)
Gout(h,v)=k×Tx(h,y)×Ty(x,v)…(6)
Bout(h,v)=k×Tx(h,y)×Ty(x,v)…(7)
図41は、実施形態2において対象画素の階調値の算出に用いられる前処理係数Tx(h,y),Ty(x,v)の例を示す図である。画像処理部107Aは、第1コントラストと第2コントラストの比(k)と、前処理係数Tx(h,y),Ty(x,v)とを用いて対象画素と判定された1つの画素48が有する副画素49の各々の階調値を算出する。具体的には、ステップS22において隣接する2つの調光領域LDBの一方の光の透過率が最高透過率(BL_max)であり、他方の座標の調光領域LDの透過率が最低透過率(BL_min)であるという条件が満たされるか否かで場合分けをする。当該条件が満たされる場合、該2つの調光領域LDBの境界から所定画素数(x_pix)の範囲において、1(100%)未満の前処理係数Tx(h,y),Ty(x,v)が設定される。具体的には、所定画素数(x_pix)の範囲内で、最高透過率(BL_max)の調光領域LDBを一端側とし、最低透過率(BL_min)の調光領域LDBを他端側として、一端側から他端側に向かって漸減する前処理係数Tx(h,y),Ty(x,v)が設定される。当該条件が満たされない2つの調光領域LDBには、1(100%)の前処理係数Tx(h,y),Ty(x,v)が設定される。当該設定は、画像処理部107Aが行ってもよいし、画像補正係数生成部103が行ってもよいし、信号処理部10が有する他の構成が行ってもよい。
図41では、説明を簡略化する目的で、x6,x7,x8,x9とy1,y2,y3,y4の座標の組み合わせによる16の調光領域LDBの透過率の一例に基づいた前処理係数Tx(h,y),Ty(x,v)を示している。図41では、(x8,y2),(x9,y3)の調光領域LDBが最高透過率(BL_max)であり、それ以外の調光領域LDBが最低透過率(BL_min)である。従って、図41では、例えば、(y2)の水平画素座標(h)における前処理係数Tx(h,2)は、(x7,y2),(x9,y2)のうち(x8,y2)側の所定画素数(x_pix)の範囲において、1(100%)未満の値を含む。また、(y3)の水平画素座標(h)における前処理係数Tx(h,3)は、(x8,y3)のうち(x9,y3)側の所定画素数(x_pix)の範囲において、1(100%)未満の値を含む。また、(x8)の垂直画素座標(v)における前処理係数Ty(8,v)は、(x8,y1),(x8,y3)のうち(x8,y2)側の所定画素数(y_pix)の範囲において、1(100%)未満の値を含む。また、(x9)の垂直画素座標(v)における前処理係数Ty(9,v)は、(x9,y2),(x9,y4)のうち(x9,y3)側の所定画素数(y_pix)の範囲において、1(100%)未満の値を含む。また、これらの前処理係数Tx(h,2),(h,3),Ty(8,v),(9,v)に設定されている値は、特筆した所定画素数(y_pix)の範囲を除いて、1(100%)である。また、(y1),(y4)の水平画素座標(h)における前処理係数Tx(h,1),(h,4)に設定される値は、X方向の画素48の座標(h)を問わず、1(100%)である。また、(x6),(x7)の垂直画素座標(v)における前処理係数Ty(6,v),(7,v)に設定される値は、Y方向の画素48の座標(v)を問わず、1(100%)である。
一例として、x_pix=5、すなわち、所定画素数(x_pix)の範囲が5画素分の幅を有する場合、所定画素数(x_pix)の範囲において設定される1(100%)未満の値は、一端側から他端側に向かって、0.99(99%),0.75(75%),0.50(50%),0.25(25%),0.01(1%)であり得るが、これは一例であってこれに限られるものでない。x_pixの具体的な値及び1(100%)未満の具体的な値は適宜変更可能である。一端側から他端側に向かう値の変化は一次直線状であってもよいし、曲線状であってもよい。また、y_pixの値は、x_pixと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
このように、対象画素となる画素48が位置する所定画素数(x_pix)の範囲では、前処理係数Tx(h,y),Ty(x,v)の少なくとも一方に1(100%)未満の値が設定されている。このため、画像処理部107Aは、上記の式(5)、式(6)、式(7)を用いて階調値を算出することで、対象画素の階調値を高くすることができる。このため、隣接する2つの調光領域LDBの透過率の差による輝度差をより視認しにくくすることができる。従って、帯状の後光の発生を抑制することができ、画質の向上及び黒浮きUの抑制によるコントラスト感の向上を実現することができる。
なお、X方向及びY方向の両方で最高透過率(BL_max)の調光領域LDBと隣接する最低透過率(BL_min)の調光領域LDBと同一座標の表示分割領域PAは、X方向及びY方向の両方からの光の影響を受けると考えられる。このため、このような条件下にある対象画素においては、前処理係数Tx(h,y)及び前処理係数Ty(x,v)の両方が1(100%)未満になる。例えば、図41に示す前処理係数Tx(h,2)のうち1つの画素48のX座標SP(h)と前処理係数Ty(9,v)のうち1つの画素48のY座標SP(v)との組み合わせによるXY座標SP(h,v)では、前処理係数Tx(h,y)及び前処理係数Ty(x,v)の両方が1(100%)未満である。ここで、X座標SP(h)の前処理係数Tx(h,y)及びY座標SP(v)の前処理係数Ty(9,v)が0.8(80%)である場合、Tx(h,y)×Ty(x,v)=0.8×0.8×0.64になる。また、X方向又はY方向の一方で最高透過率(BL_max)の調光領域LDBと隣接する最低透過率(BL_min)の調光領域LDBと同一座標の表示分割領域PAでは、このような1(100%)未満の前処理係数Tx(h,y),Ty(x,v)の乗算は生じない。このため、最高透過率(BL_max)でない他方の調光領域LDBの前処理係数Tx(h,y)又は前処理係数Ty(x,v)は、1(100%)である。これによって、一方の調光領域LDBの前処理係数Tx(h,y)又は前処理係数Ty(x,v)に設定されている1(100%)未満の値が反映される。
前処理係数Tx(h,y),Ty(x,v)が共に1(100%)である場合、式(5)、式(6)、式(7)に例外を設けずに階調値を算出した場合、対象画素以外にも第1コントラストと第2コントラストの比(k)に対応した補正値が反映されてしまう。そこで、Tx(h,y)×Ty(x,v)=1(100%)の場合、Tx(h,y)×Ty(x,v)=0に置換することで、第1コントラストと第2コントラストの比(k)に対応した補正値が反映される画素48を対象画素に限定することができる。
なお、入力信号IPに含まれる1つの画素48の階調値が(R,G,B)=(0,0,0)でない場合(ステップS61:No)、実施形態1と同様、画像処理部107Aは、判定された1つの画素48が有する副画素49の各々の階調値に輝度逆数gainpix(h,v)を乗算する(ステップS63)。以上、特筆した事項を除いて、実施形態2の表示装置の構成は、実施形態1の表示装置1と同様である。
以上、実施形態2によれば、交差する2方向(例えば、X方向及びY方向)の両方について、帯状の後光の発生を抑制することができる。
なお、上記の実施形態及び変形例(実施形態等)による表示装置1等は、例えばヘッドアップディスプレイに採用されるが、これはあくまで表示装置1等の具体的な採用例であってこれに限られるものでない。表示装置1等は、他の用途、製品等に適宜採用可能である。
また、上記の実施形態等では、画像表示パネル30と光源装置(例えば、光源装置50,50A,50B)との間に調光パネル(例えば、調光パネル80,80B)が位置している場合を例示しているが、これは画像表示パネル30、調光パネル、光源装置及び調光パネルの相互位置関係の一例であってこれに限られるものでない。例えば、画像表示パネル30の表示面側に調光パネルが位置していてもよい。調光パネルは、光源装置に対して表示パネル側に設けられていればよい。
また、上記の実施形態等では、制御部として機能する信号処理部10が光源51,51A,51Bの点灯量を決定しているが、これは一例であって実施形態の具体的制御内容をこれに限定するものでない。光源51,51A,51Bの点灯量は、予め定められた点灯量であってもよい。
また、実施形態1で例示した一次元の調光領域の説明における計算式等、透過率と対象画素の補正値との対応関係に関する考え方は、実施形態2において当該一次元方向(例えば、X方向)に並ぶ調光領域の透過率が一律である場合に適用することができる。なぜなら、実施形態2において当該一次元方向(例えば、X方向)に並ぶ調光領域の透過率が一律であるということは、調光領域が一次元的に調節されている状態になっているということを示すからである。
また、実施形態等において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。