以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態を図1〜図3を参照しつつ説明する。
図1は、本実施の形態に係る建設機械の一例である油圧ショベルの外観を模式的に示す側面図である。
図1において、油圧ショベル100は、垂直方向にそれぞれ回動する複数のフロント部材(ブーム31、アーム33、バケット35)を連結して構成された多関節型のフロント作業機30と、車体本体を構成する上部旋回体20及び下部走行体10とを備えており、上部旋回体20は下部走行体10に対して旋回可能に設けられている。上部旋回体20は、基部となる旋回フレーム21上に各部材を配置して構成されており、上部旋回体20を構成する旋回フレーム21が下部走行体10に対して旋回可能となっている。また、フロント作業機30のブーム31の基端は上部旋回体20の前部に垂直方向に回動可能に支持されており、アーム33の一端はブーム31の基端とは異なる端部(先端)に垂直方向に回動可能に支持されており、アーム33の他端にはバケット35が垂直方向に回動可能に支持されている。
下部走行体10は、左右一対のクローラフレーム12a(12b)にそれぞれ掛け回された一対のクローラ11a(11b)と、クローラ11a(11b)をそれぞれ駆動する走行油圧モータ13a(13b)(図示しない減速機構を含む)とから構成されている。なお、下部走行体10の各構成については、左右一対の構成のうちの一方のみを図示して符号を付し、他方の構成については図中に括弧書きの符号のみを示して図示を省略する。
ブーム31、アーム33、バケット35、及び下部走行体10は、油圧アクチュエータであるブームシリンダ32、アームシリンダ34、バケットシリンダ36、及び左右の走行油圧モータ13a(13b)によりそれぞれ駆動される。また、上部旋回体20も油圧アクチュエータである旋回油圧モータ23により減速機構24を介して同様に駆動され、下部走行体10に対して旋回動作を行う。
上部旋回体20を構成する旋回フレーム21上には、オペレータが搭乗して図示しない操作装置等により油圧ショベル100の操作を行うためのキャブ25が配置されているほか、原動機であるエンジン22とともに、ブームシリンダ32、アームシリンダ34、バケットシリンダ36、旋回油圧モータ23及び左右の走行油圧モータ13a(13b)などの各油圧アクチュエータを駆動するための油圧回路システム41が搭載されている。
上部旋回体20を構成する旋回フレーム21と、フロント作業機30を構成するブーム31、アーム33、及びバケット35には、それらの姿勢に関する情報(以降、姿勢情報と称する)を検出する姿勢情報センサとしてのIMU(Inertial Measurement Unit:慣性計測装置)50a〜50dが搭載されている。なお、姿勢情報センサとしてはIMUに限られるものではなく、例えば、傾斜角センサを姿勢情報センサとして用いることで姿勢情報を検出しても良い。以下の説明では、4つのIMU50a,50b,50c,50dをまとめてIMU50と表記することがある。IMU50a〜50dには、それぞれ固有の識別情報が割り当てられており、各IMU50が姿勢情報の検出結果に識別情報を付加して車載ネットワーク70に出力することにより、車載ネットワーク70上を伝達される複数の姿勢情報がそれぞれどのIMU50による検出結果であるかを識別することができる。
IMU50は、角速度及び加速度を計測するものである。例えば、IMU50が配置されたフロント部材31,33,35や上部旋回体20などの被搭載部材が静止している場合を考えると、各IMU50に設定されたIMU座標系における重力加速度の方向(つまり、鉛直下向き方向)と、IMU50の取り付け状態(つまり、IMU50と被搭載部材との相対的な位置関係)とに基づき、姿勢情報としての各被搭載部材の向きを検出することができる。なお、図1においては、アーム33の先端にバケット35を接続するリンク機構の構成部材にバケット35の姿勢情報を取得するためのIMU50cを配置した場合を例示しているが、設計情報等に基づいてバケット35の姿勢情報を間接的に取得しているため、IMU50cがバケット35に配置されているとすることができる。
図2は、油圧ショベルのコントロールステムのうち、本実施の形態のセンサ搭載位置判定システムに係る構成を抜き出して模式的に示す機能ブロック図である。
図2において、センサ搭載位置判定システムは、IMU50a〜50d、車載ネットワーク70、車体コントローラ60、操作圧センサ63、表示装置64などにより概略構成されている。
上部旋回体20を構成する旋回フレーム21やフロント作業機30を構成するブーム31、アーム33、及びバケット35に搭載されたIMU50a〜50dは、その検出結果をCAN通信などの車載ネットワーク70に出力する。
操作圧センサ63は、複数のフロント部材をそれぞれ駆動するための操作装置から出力される操作信号を検出する操作信号検出装置であり、ここでは、油圧アクチュエータ23,32,34,36を駆動するために油圧回路システム41で用いられる操作パイロット圧を操作信号として検出する場合を一例として示している。なお、例えば、操作装置のレバー操作量を検出装置で電気的に検知して操作信号として用いる構成の場合には、操作装置自体が操作信号検出装置としての機能を果たすように構成しても良い。
車体コントローラ60は、IMU50で得られた姿勢情報に基づいて油圧ショベル100の姿勢(例えば、車体本体の傾きや、油圧ショベル100に予め設定された座標系における各フロント部材31,33,35の位置など)を演算し、キャブ25内に設置されたモニタなどの表示装置64や図示しない他の制御用コントローラなどに出力する姿勢演算部61と、操作圧センサ63の検出結果とIMU50の検出結果とに基づいて、各IMU50a〜50dの搭載箇所をそれぞれ判定する搭載箇所判定処理を行う搭載箇所判定部62とを備えている。
姿勢演算部61には、各IMU50の識別情報と搭載箇所との対応情報を記憶する識別情報記憶部61aが設けられている。姿勢演算部61は、IMU50から車載ネットワーク70に出力された各姿勢情報の検出位置(つまり、各姿勢情報を検出したIMU50が搭載されている被駆動部材)をそれぞれ識別情報記憶部61aの情報を用いて識別し、その識別した姿勢情報を用いることによって油圧ショベル100の姿勢を演算する。姿勢演算部61で演算された油圧ショベル100の姿勢(車体本体の傾きや、油圧ショベル100に予め設定された座標系における各フロント部材31,33,35の位置など)は、表示装置64にフロント作業機30の位置情報を表示したり、自動(半自動)でフロント作業機30の駆動を制御したりする、オペレータの操作を補助する機能の実現などに用いられる。また、姿勢演算部61は、搭載箇所判定部62の搭載箇所判定処理により全てのIMU50の搭載位置が設定され、その対応情報が識別情報記憶部61aに記憶されるまで、すなわち、未セットのIMU50がある場合は、表示装置64に対応情報が未設定であることを示す情報(例えば、「未設定」などの文字情報)を表示装置64に表示してオペレータに報知する。
搭載箇所判定部62は、フロント部材31,33,35及び車体本体(上部旋回体20)などの被駆動部材に搭載された複数のIMU50のそれぞれについて、その搭載箇所(搭載されいてる被駆動部材)を判定する搭載箇所判定処理を行う。本実施の形態においては、搭載箇所判定部62がフロント部材31,33,35及び車体本体(上部旋回体20)などの被駆動部材へのIMU50の新規搭載時に搭載箇所判定処理を実施する場合を例示している。搭載箇所判定部62がIMU50の新規搭載時であると判別する方法には種々のものが考えられるが、例えば、姿勢演算部61の識別情報記憶部61aに各IMU50の識別情報と搭載箇所との対応情報が記憶されていない場合にIMU50の新規搭載時であると判別する。つまり、新規搭載時とは、例えば、IMU50を搭載する油圧ショベル100を新規に製造した場合や、IMU未搭載の油圧ショベル100にIMU50を搭載する場合などが考えられる。
図3は、搭載箇所判定処理の詳細を示すフローチャートである。
搭載箇所判定処理において、搭載箇所判定部62は、まず、バケット35の操作装置の操作圧が予め定めた閾値以上であり、かつ、他の操作装置の操作圧が予め定めた閾値以下であるかどうかを判定する(ステップS100)。ステップS100では、IMU50が搭載されるフロント部材や車体本体(上部旋回体20)などの被駆動部材を駆動するために操作装置が操作されているかどうかを操作圧と閾値(以降、操作判定用閾値と称する)とを比較することによって判定している。これにより、振動や外乱等で生じる操作圧検出値の変動による誤判定を避けることができ、各操作装置の操作の有無をより確実に判定できる。
ステップS100での判定結果がYESの場合、すなわち、バケット35の操作装置が操作されており、かつ、他の被駆動部材の操作装置が操作されていないと判定した場合には、IMU50の検出値の変動が予め定めた閾値以上であるかどうかを判定する(ステップS101)。ステップS101では、IMU50が搭載された被駆動部材が駆動されているかどうかをIMU50の検出値と閾値(以降、駆動判定用閾値と称する)とを比較することによって判定している。これにより、振動や外乱等で生じる操作圧検出値の変動による誤判定を避けることができ、各IMU50の検出値が変動しているかどうかをより確実に判定できる。
ステップS100又はステップS101の判定結果がNOの場合には、ステップS100,S101の判定結果がYESになるまでステップS100,S101の処理を繰り返す。
ステップS100,S101での判定結果がYESの場合には、ステップS101で検出値が変動していると判定されたIMU50をバケット用IMUにセットする(ステップS102)。すなわち、ステップS102では、ステップS101で検出値が変動していると判定されたIMU50をバケット35に搭載されたIMU50cであると認定し、IMU50cの識別情報と搭載箇所(この場合はバケット35)との対応情報を姿勢演算部61の識別情報記憶部61aに記憶させる。
続いて、アーム33の操作装置の操作圧が予め定めた閾値以上であり、かつ、他の操作装置の操作圧が予め定めた閾値以下であるかどうかを判定する(ステップS110)。ステップS110では、IMU50が搭載される被駆動部材を駆動するために操作装置が操作されているかどうかを操作圧と操作判定用閾値とを比較することによって判定している。これにより、振動や外乱等で生じる操作圧検出値の変動による誤判定を避けることができ、各操作装置の操作の有無をより確実に判定できる。
ステップS110での判定結果がYESの場合、すなわち、アーム33の操作装置が操作されており、かつ、他の被駆動部材の操作装置が操作されていないと判定した場合には、IMU50の検出値の変動が予め定めた閾値以上であるかどうかを判定する(ステップS111)。ステップS111では、IMU50が搭載された被駆動部材が駆動されているかどうかをIMU50の検出値と駆動判定用閾値とを比較することによって判定している。これにより、振動や外乱等で生じる操作圧検出値の変動による誤判定を避けることができ、各IMU50の検出値が変動しているかどうかをより確実に判定できる。
ステップS110又はステップS111の判定結果がNOの場合には、ステップS110,S111の判定結果がYESになるまでステップS110,S111の処理を繰り返す。
ステップS110,S111での判定結果がYESの場合には、ステップS111で検出値が変動していると判定されたIMU50であって、かつ、未セットのIMU50をアーム用IMUにセットする(ステップS112)。すなわち、ステップS112では、ステップS111で検出値が変動していると判定されたIMU50のうち、搭載箇所が未セットのIMU50をアーム33に搭載されたIMU50bであると認定し、IMU50bの識別情報と搭載箇所(この場合はアーム33)との対応情報を姿勢演算部61の識別情報記憶部61aに記憶させる。
続いて、ブーム31の操作装置の操作圧が予め定めた閾値以上であり、かつ、他の操作装置の操作圧が予め定めた閾値以下であるかどうかを判定する(ステップS120)。ステップS120では、IMU50が搭載される被駆動部材を駆動するために操作装置が操作されているかどうかを操作圧と操作判定用閾値とを比較することによって判定している。これにより、振動や外乱等で生じる操作圧検出値の変動による誤判定を避けることができ、各操作装置の操作の有無をより確実に判定できる。
ステップS120での判定結果がYESの場合、すなわち、ブーム31の操作装置が操作されており、かつ、他の被駆動部材の操作装置が操作されていないと判定した場合には、IMU50の検出値の変動が予め定めた閾値以上であるかどうかを判定する(ステップS121)。ステップS121では、IMU50が搭載された被駆動部材が駆動されているかどうかをIMU50の検出値と駆動判定用閾値とを比較することによって判定している。これにより、振動や外乱等で生じる操作圧検出値の変動による誤判定を避けることができ、各IMU50の検出値が変動しているかどうかをより確実に判定できる。
ステップS120又はステップS121の判定結果がNOの場合には、ステップS120,S121の判定結果がYESになるまでステップS120,S121の処理を繰り返す。
ステップS120,S121での判定結果がYESの場合には、ステップS121で検出値が変動していると判定されたIMU50であって、かつ、未セットのIMU50をブーム用IMUにセットする(ステップS122)。すなわち、ステップS122では、ステップS121で検出値が変動していると判定されたIMU50のうち、搭載箇所が未セットのIMU50をブーム31に搭載されたIMU50aであると認定し、IMU50aの識別情報と搭載箇所(この場合はブーム31)との対応情報を姿勢演算部61の識別情報記憶部61aに記憶させる。
続いて、未セットのIMU50を車体本体用IMUにセットし(ステップS130)、処理を終了する。すなわち、ステップS130では、搭載箇所が未セットのIMU50を車体本体(上部旋回体20)に搭載されたIMU50dであると認定し、IMU50dの識別情報と搭載箇所(この場合は車体本体)との対応情報を姿勢演算部61の識別情報記憶部61aに記憶させる。
以上のように構成した本実施の形態の動作を説明する。
被駆動部材へのIMU50の新規搭載時であって姿勢演算部61の識別情報記憶部61aに各IMU50の識別情報と搭載箇所との対応情報が記憶されていない場合には、搭載箇所判定処理が実施される。本実施の形態の搭載箇所判定処理においては、オペレータの操作による掘削等の作業に際して得られる操作圧センサ63やIMU50の検出値を用いて処理を行っており、搭載箇所判定処理のための特別な動作を規定しておらず、搭載箇所判定処理は油圧ショベル100の作業と平行して逐次進行する。このため、オペレータに特段の操作を要求する必要がなく、作業への影響を抑制することができる。
搭載箇所判定処理では、まず、バケット35のみの操作と、それに伴うIMU50の検出値の変動とを判定することによって、バケット35に搭載されたIMU50cを特定し、IMU50cの識別情報と搭載箇所との対応情報を識別情報記憶部61aに記憶させる(ステップS100〜S102)。つまり、オペレータの操作による掘削等の作業に際してステップS100,S101の条件を満たす操作がなされ、バケット35に搭載されたIMU50cが特定されるまでは、搭載箇所判定処理は実質的に待機状態となる。
バケット35に搭載されたIMU50cが特定されると、続いて、アーム33のみの操作と、それに伴うIMU50の検出値の変動とを判定することによって、アーム33に搭載されたIMU50bを特定し、IMU50bの識別情報と搭載箇所との対応情報を識別情報記憶部61aに記憶させる(ステップS110〜S112)。バケット35に搭載されたIMU50cの特定と同様に、オペレータの操作による掘削等の作業に際してステップS110,S111の条件を満たす操作がなされ、アーム33に搭載されたIMU50bが特定されるまでは、搭載箇所判定処理は実質的に待機状態となる。
アーム33に搭載されたIMU50bが特定されると、続いて、ブーム31のみの操作と、それに伴うIMU50の検出値の変動とを判定することによって、ブーム31に搭載されたIMU50aを特定し、IMU50aの識別情報と搭載箇所との対応情報を識別情報記憶部61aに記憶させる(ステップS120〜S122)。アーム33に搭載されたIMU50bの特定と同様に、オペレータの操作による掘削等の作業に際してステップS120,S121の条件を満たす操作がなされ、ブーム31に搭載されたIMU50aが特定されるまでは、搭載箇所判定処理は実質的に待機状態となる。そして、ブーム31に搭載されたIMU50aが特定されると、この時点で搭載箇所が特定されていないIMU50dが車体本体(上部旋回体20)に搭載されていることが特定され、IMU50dの識別情報と搭載箇所との対応情報を識別情報記憶部61aに記憶させる(ステップS130)。
以上のように構成した本実施の形態の効果を説明する。
油圧ショベルにおいて作業機の位置及び姿勢を求める場合には、作業機を構成するブームやアーム、バケットのほか、作業機が設置される車体本体にそれぞれ搭載されたIMUなどのセンサの検出値から作業機や車体本体の傾きに関する情報を求める必要があり、車載ネットワーク上に接続されたIMUからの情報に基づいて作業機の位置及び姿勢が算出される。また、このとき、作業機の位置及び姿勢を求めるためには、どのIMUが作業機や車体本体のどの部分に搭載されているかを予め設定しておく必要がある。例えば、作業機や車体本体のそれぞれの位置に一つだけIMUを搭載した状態で設定操作を行う方法を用いると、IMUの取付けと取外し及び設定操作をIMUの搭載数分だけ繰り返し行う必要があり時間と手間がかかるため、それぞれのIMUを搭載位置ごとに異なる個別のフォーマットで検出値を送信する専用IMUとして搭載前に予め設定しておくことにより、搭載時の設定そのものを不要とする方法がある。
しかしながら、作業機や車体本体に搭載される複数のIMUは、同種のIMUを搭載位置ごとに設定のみを変えて専用IMUとしているため、搭載時に取り違えが発生しやすいことが考えられる。また、IMUの故障時の交換部品として搭載位置ごとにそれぞれ専用IMUの在庫を用意しておく必要があるため、在庫管理及び保管のコストが高くなってしまう。
これに対して本実施の形態においては、車両本体(例えば、上部旋回体20)と、車両本体に取り付けられ、回動可能に連結された複数のフロント部材(例えば、ブーム31、アーム33、バケット35)からなる多関節型の作業機(例えば、フロント作業機30)と、複数のフロント部材をそれぞれ駆動するための操作信号を検出する操作信号検出装置(例えば、操作圧センサ63)と、複数のフロント部材及び車両本体のそれぞれに搭載されて姿勢情報を検出する複数の姿勢情報センサ(例えば、IMU50)と、姿勢情報に基づいて複数のフロント部材の姿勢を演算する姿勢演算部61を有する制御装置(例えば、車体コントローラ60)と、を備えた建設機械のセンサ搭載位置判定システムにおいて、複数のフロント部材のうちの1つを単独で駆動するための操作信号を操作信号検出装置で検出した検出結果と、姿勢情報センサで検出された姿勢情報の変動の有無とに基づいて、操作信号検出装置で検出された操作信号に対応するフロント部材に搭載された姿勢情報センサの搭載箇所を判定する搭載箇所判定装置(例えば、搭載箇所判定部62)を備えて構成したので、複数の被駆動部材に搭載する姿勢情報センサに同一仕様のものを用いることができ、被駆動部材に姿勢情報センサを搭載する時点で姿勢情報センサを個別に特定する必要がないので、建設機械の作業機や車体本体に姿勢情報センサを設置する際の取り違えや手間の発生を抑制することができる。
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態を図4を参照しつつ説明する。本実施の形態では第1の実施の形態との相違点についてのみ説明するものとし、本実施の形態で用いる図面において第1の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施の形態は、第1の実施の形態において車体コントローラに搭載箇所判定部を設けたのに代えて、各IMUに搭載箇所判定部を設けた構成としたものである。
図4は、油圧ショベルのコントロールステムのうち、本実施の形態のセンサ搭載位置判定システムに係る構成を抜き出して模式的に示す機能ブロック図である。
図4において、センサ搭載位置判定システムは、IMU150a〜150d(以降、これらをまとめてIMU150と表記することがある)、車載ネットワーク70、車体コントローラ60A、操作圧センサ63、表示装置64などにより概略構成されている。
操作圧センサ63は、複数のフロント部材をそれぞれ駆動するための操作装置から出力される操作信号を検出する操作信号検出装置であり、ここでは、油圧アクチュエータ23,32,34,36を駆動するために油圧回路システム41で用いられる操作パイロット圧を操作信号として検出し、車載ネットワーク70に出力する場合を一例として示している。
各IMU150は、操作圧センサ63の検出結果とIMU150の検出結果とに基づいて、各IMU150a〜150dの搭載箇所をそれぞれ判定する搭載箇所判定処理を行う搭載箇所判定部162a〜162d(以降、これらをまとめて搭載箇所判定部162と表記することがある)を備えている。
上部旋回体20を構成する旋回フレーム21やフロント作業機30を構成するブーム31、アーム33、及びバケット35に搭載されたIMU150a〜150dは、その検出結果をCAN通信などの車載ネットワーク70に出力する。
搭載箇所判定部162は、フロント部材31,33,35及び車体本体(上部旋回体20)などの被駆動部材に搭載された複数のIMU150のそれぞれについて、その搭載箇所(搭載されいてる被駆動部材)を判定する搭載箇所判定処理を行う。本実施の形態における搭載箇所判定部162は、フロント部材31,33,35及び車体本体(上部旋回体20)などの被駆動部材へのIMU150の新規搭載時に搭載箇所判定処理を実施する。
車体コントローラ60Aは、IMU150で得られた姿勢情報に基づいて油圧ショベル100の姿勢(例えば、車体本体の傾きや、油圧ショベル100に予め設定された座標系における各フロント部材31,33,35の位置など)を演算し、キャブ25内に設置されたモニタなどの表示装置64や図示しない他の制御用コントローラなどに出力する姿勢演算部61を備えている。
姿勢演算部61には、各IMU50の識別情報と搭載箇所との対応情報を記憶する識別情報記憶部61aが設けられている。姿勢演算部61は、IMU150から車載ネットワーク70に出力された各姿勢情報の検出位置(つまり、各姿勢情報を検出したIMU150が搭載されている被駆動部材)をそれぞれ識別情報記憶部61aの情報を用いて識別し、その識別した姿勢情報を用いることによって油圧ショベル100の姿勢を演算する。姿勢演算部61で演算された油圧ショベル100の姿勢(車体本体の傾きや、油圧ショベル100に予め設定された座標系における各フロント部材31,33,35の位置など)は、表示装置64にフロント作業機30の位置情報を表示したり、自動(半自動)でフロント作業機30の駆動を制御したりする、オペレータの操作を補助する機能の実現などに用いられる。また、姿勢演算部61は、搭載箇所判定部162の搭載箇所判定処理により全てのIMU150の搭載位置が設定され、その対応情報が識別情報記憶部61aに記憶されるまで、すなわち、未セットのIMU150がある場合は、表示装置64に対応情報が未設定であることを示す情報(例えば、「未設定」などの文字情報)を表示装置64に表示してオペレータに報知する。
その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
以上のように構成した本実施の形態の動作を説明する。
本実施の形態の搭載箇所判定処理では、搭載箇所判定部162は、まず、バケット35のみの操作と、それに伴うIMU150の検出値の変動とを判定することによって、バケット35に搭載されたIMU150を特定し、そのIMU150の識別情報と搭載箇所との対応情報を識別情報記憶部61aに記憶させる(図3のステップS100〜S102に相当)。ここでは、IMU150cがバケット35に搭載されていることを搭載箇所判定部162cが特定する。また、IMU150cの搭載箇所判定部162c以外の搭載箇所判定部162a,162b,162dは、識別情報記憶部61aに記憶された識別情報に基づいて、バケット35に搭載されたIMU150が(IMU150cであると)特定されたことを識別する。
バケット35に搭載されたIMU50cが特定されると、続いて、アーム33のみの操作と、それに伴うIMU50の検出値の変動とを判定することによって、アーム33に搭載されたIMU50を特定し、そのIMU50の識別情報と搭載箇所との対応情報を識別情報記憶部61aに記憶させる(図3のステップS110〜S112に相当)。ここでは、バケット35に搭載されたIMU150cが特定済みなので、IMU150bがアーム33に搭載されていることを搭載箇所判定部162bが特定する。また、IMU150bの搭載箇所判定部162b以外の搭載箇所判定部162a,162c,162dは、識別情報記憶部61aに記憶された識別情報に基づいて、アーム33に搭載されたIMU150が(IMU150bであると)特定されたことを識別する。
アーム33に搭載されたIMU50bが特定されると、続いて、ブーム31のみの操作と、それに伴うIMU50の検出値の変動とを判定することによって、ブーム31に搭載されたIMU50を特定し、そのIMU50の識別情報と搭載箇所との対応情報を識別情報記憶部61aに記憶させる(図3のステップS120〜S122に相当)。ここでは、バケット35に搭載されたIMU150cとアーム33に搭載されたIMU150bとが特定済みなので、IMU150aがブーム31に搭載されていることを搭載箇所判定部162aが特定する。また、IMU150aの搭載箇所判定部162a以外の搭載箇所判定部162b,162c,162dは、識別情報記憶部61aに記憶された識別情報に基づいて、ブーム31に搭載されたIMU150が(IMU150aであると)特定されたことを識別する。
そして、ブーム31に搭載されたIMU50aが特定されると、この時点で搭載箇所が特定されていないIMU50が車体本体(上部旋回体20)に搭載されていることが特定され、そのIMU50の識別情報と搭載箇所との対応情報を識別情報記憶部61aに記憶させる(図3のステップS130に相当)。ここでは、IMU150a〜IMU150cの搭載箇所が特定済みなので、IMU150dが車体本体に搭載されていることを搭載箇所判定部162dが特定する。
なお、搭載箇所判定部162が識別情報記憶部61aの情報に基づいて、各IMU150の搭載情報(すなわち、セット済みであるとする情報)を取得する場合を例示したが、搭載箇所が特定されたIMU150の搭載箇所判定部162から車載ネットワーク70を介して他のIMU150の搭載箇所判定部162に搭載情報を送信してIMU150間でそれらの情報を共有するよう構成しても良い。
以上のように構成した本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
<第3の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態を図5〜図10を参照しつつ説明する。本実施の形態では第1の実施の形態との相違点についてのみ説明するものとし、本実施の形態で用いる図面において第1の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施の形態は、第1の実施の形態における油圧ショベルのコントロールシステムにおいて、搭載箇所判定処理の進捗に合わせて搭載箇所判定処理に係る油圧ショベルの動作(すなわち、操作装置の操作)をオペレータに促すように構成としたものである。
図5は、油圧ショベルのコントロールステムのうち、本実施の形態のセンサ搭載位置判定システムに係る構成を抜き出して模式的に示す機能ブロック図である。
図5において、センサ搭載位置判定システムは、IMU50a〜50d、車載ネットワーク70、車体コントローラ60B、操作圧センサ63、表示装置64、判定モード操作装置66などにより概略構成されている。
判定モード操作装置66は、オペレータによる搭載箇所判定処理の開始のためのトリガとなる操作を行うためのものである。判定モード操作装置66としては、専用の操作スイッチを設ける場合も考えられるが、それに限定されるものではなく、例えば、キャブ25内に設けられた操作スイッチやテンキーなどによって搭載箇所判定処理を開始するための指令信号を車体コントローラ60Bに入力するように構成しても良い。
車体コントローラ60Bは、IMU50で得られた姿勢情報に基づいて油圧ショベル100の姿勢(例えば、車体本体の傾きや、油圧ショベル100に予め設定された座標系における各フロント部材31,33,35の位置など)を演算し、キャブ25内に設置されたモニタなどの表示装置64や図示しない他の制御用コントローラなどに出力する姿勢演算部61と、操作圧センサ63の検出結果とIMU50の検出結果とに基づいて、各IMU50a〜50dの搭載箇所をそれぞれ判定する搭載箇所判定処理を行う搭載箇所判定部62と、搭載箇所判定処理の進捗に合わせて搭載箇所判定処理に係る油圧ショベルの操作をオペレータに促す情報を表示装置64に表示する判定モード制御部65とを備えている。
搭載箇所判定部62及び判定モード制御部65は、フロント部材31,33,35及び車体本体(上部旋回体20)などの被駆動部材に搭載された複数のIMU50のそれぞれについて、その搭載箇所(搭載されいてる被駆動部材)を判定する搭載箇所判定処理を行う。本実施の形態における搭載箇所判定部62は、判定モード操作装置66により搭載箇所判定処理の開始が指示されたと判定モード制御部65が判定した場合に搭載箇所判定処理を実施する。なお、本実施の形態の搭載箇所判定処理は、判定モード制御部65による表示装置64への情報の表示も含んでいる。
図6は、搭載箇所判定処理における表示装置の一表示例を示す図である。
図6において、表示装置64には、油圧ショベル100に関する種々の情報が表示されるほか、オペレータに搭載箇所判定処理に係る特定の操作を促す操作指示情報64aが表示されている。操作指示情報64aとしては、例えば、フロント作業機30を含む油圧ショベル100の概形とともに、オペレータに促す油圧ショベルの動作を指示する矢印等を表示したり、動作を指示する文字情報を表示したり、それらの両方を表示したりする(図6参照)。
図7は、バケットの単独操作をオペレータに促すための操作指示情報の一例を示す図であり、図6で例示したものである。なお、図6で示したように、油圧ショベル100の概形や矢印とともに、バケット35の単独操作をオペレータに促す文字情報(例えば、「バケットを単独操作してください」など)と併せて表示しても良い。
図8は、アームの単独操作をオペレータに促すための操作指示情報の一例を示す図である。なお、油圧ショベル100の概形や矢印とともに、アーム33の単独操作をオペレータに促す文字情報(例えば、「アームを単独操作してください」など)と併せて表示しても良い。
図9は、ブームの単独操作をオペレータに促すための操作指示情報の一例を示す図である。なお、油圧ショベル100の概形や矢印とともに、ブーム31の単独操作をオペレータに促す文字情報(例えば、「ブームを単独操作してください」など)と併せて表示しても良い。
図10は、搭載箇所判定処理の詳細を示すフローチャートである。
判定モード制御部65は、判定モードがONになっているかどうか、すなわち、判定モード操作装置66によって搭載箇所判定処理の開始指示がなされているかどうかを判定し(ステップS200)、判定結果がNOの場合は、搭載箇所判定部62に搭載箇所判定処理を開始させずに処理を終了する。また、ステップS200での判定結果がYESの場合には、表示装置64にバケット35の単独操作を促す操作指示情報64aを表示し(ステップS210)、搭載箇所判定部62に搭載箇所判定処理を開始させる。
搭載箇所判定部62は、まず、バケット35の操作装置の操作圧が予め定めた閾値以上であり、かつ、他の操作装置の操作圧が予め定めた閾値以下であるかどうかを判定する(ステップS211)。ステップS211では、IMU50(ここでは、IMU50c)が搭載される被駆動部材(ここでは、バケット35)を駆動するために操作装置が操作されているかどうかを操作圧と閾値(以降、操作判定用閾値と称する)とを比較することによって判定している。これにより、振動や外乱等で生じる操作圧検出値の変動による誤判定を避けることができ、各操作装置の操作の有無をより確実に判定できる。
ステップS211での判定結果がYESの場合、すなわち、バケット35の操作装置が操作されており、かつ、他の被駆動部材の操作装置が操作されていないと判定した場合には、IMU50cの検出値の変動が予め定めた閾値以上であるかどうかを判定する(ステップS212)。ステップS212では、IMU50(ここでは、IMU50c)が搭載された被駆動部材(ここでは、バケット35)が駆動されているかどうかをIMU50cの検出値と閾値(以降、駆動判定用閾値と称する)とを比較することによって判定している。これにより、振動や外乱等で生じる操作圧検出値の変動による誤判定を避けることができ、各IMU50の検出値が変動しているかどうかをより確実に判定できる。
ステップS211又はステップS212の判定結果がNOの場合には、ステップS211,S212の判定結果がYESになるまでステップS211,S212の処理を繰り返す。
ステップS211,S212での判定結果がYESの場合には、ステップS212で検出値が変動していると判定されたIMU50をバケット用IMUにセットする(ステップS213)。すなわち、ステップS213では、ステップS212で検出値が変動していると判定されたIMU50をバケット35に搭載されたIMU50cであると認定し、IMU50cの識別情報と搭載箇所(この場合はバケット35)との対応情報を姿勢演算部61の識別情報記憶部61aに記憶させる。
続いて、判定モード制御部65は、表示装置64にアーム33の単独操作を促す操作指示情報64aを表示させ(ステップS220)、搭載箇所判定部62は、アーム33の操作装置の操作圧が予め定めた閾値以上であり、かつ、他の操作装置の操作圧が予め定めた閾値以下であるかどうかを判定する(ステップS221)。ステップS221では、IMU50(ここでは、IMU50b)が搭載される被駆動部材(ここでは、アーム33)を駆動するために操作装置が操作されているかどうかを操作圧と操作判定用閾値とを比較することによって判定している。
ステップS221での判定結果がYESの場合、すなわち、アーム33の操作装置が操作されており、かつ、他の被駆動部材の操作装置が操作されていないと判定した場合には、IMU50bの検出値の変動が予め定めた閾値以上であるかどうかを判定する(ステップS222)。ステップS222では、IMU50(ここでは、IMU50b)が搭載された被駆動部材(ここでは、アーム33)が駆動されているかどうかをIMU50bの検出値と駆動判定用閾値とを比較することによって判定している。
ステップS221又はステップS222の判定結果がNOの場合には、ステップS221,S222の判定結果がYESになるまでステップS221,S222の処理を繰り返す。
ステップS221,S222での判定結果がYESの場合には、ステップS222で検出値が変動していると判定されたIMU50であって、かつ、未セットのIMU50bをアーム用IMUにセットする(ステップS223)。すなわち、ステップS112では、ステップS111で検出値が変動していると判定されたIMU50のうち、搭載箇所が未セットのIMU50をアーム33に搭載されたIMU50bであると認定し、IMU50bの識別情報と搭載箇所(この場合はアーム33)との対応情報を姿勢演算部61の識別情報記憶部61aに記憶させる。
続いて、判定モード制御部65は、表示装置64にブーム31の単独操作を促す操作指示情報64aを表示させ(ステップS230)、搭載箇所判定部62は、ブーム31の操作装置の操作圧が予め定めた閾値以上であり、かつ、他の操作装置の操作圧が予め定めた閾値以下であるかどうかを判定する(ステップS231)。ステップS231では、IMU50(ここでは、IMU50a)が搭載される被駆動部材(ここでは、ブーム31)を駆動するために操作装置が操作されているかどうかを操作圧と操作判定用閾値とを比較することによって判定している。
ステップS231での判定結果がYESの場合、すなわち、ブーム31の操作装置が操作されており、かつ、他の被駆動部材の操作装置が操作されていないと判定した場合には、IMU50aの検出値の変動が予め定めた閾値以上であるかどうかを判定する(ステップS232)。ステップS232では、IMU50(ここでは、IMU50a)が搭載された被駆動部材(ここでは、ブーム31)が駆動されているかどうかをIMU50aの検出値と駆動判定用閾値とを比較することによって判定している。
ステップS231又はステップS232の判定結果がNOの場合には、ステップS231,S232の判定結果がYESになるまでステップS231,S232の処理を繰り返す。
ステップS231,S232での判定結果がYESの場合には、ステップS232で検出値が変動していると判定されたIMU50であって、かつ、未セットのIMU50aをブーム用IMUにセットする(ステップS233)。すなわち、ステップS233では、ステップS232で検出値が変動していると判定されたIMU50のうち、搭載箇所が未セットのIMU50をブーム31に搭載されたIMU50aであると認定し、IMU50aの識別情報と搭載箇所(この場合はブーム31)との対応情報を姿勢演算部61の識別情報記憶部61aに記憶させる。
続いて、未セットのIMU50を車体本体用IMUにセットし(ステップS240)、処理を終了する。すなわち、ステップS240では、搭載箇所が未セットのIMU50を車体本体(上部旋回体20)に搭載されたIMU50dであると認定し、IMU50dの識別情報と搭載箇所(この場合は車体本体)との対応情報を姿勢演算部61の識別情報記憶部61aに記憶させる。その後、表示装置64に搭載箇所判定処理が終了したことを示す情報を表示し(ステップS250)、処理を終了する。
その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
以上のように構成した本実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、搭載箇所判定処理の進捗に合わせて操作指示情報を表示することによって、搭載箇所判定処理に係る油圧ショベルの操作をオペレータに促すようにし、オペレータが搭載箇所判定処理の進捗と次に操作すべき箇所とを知ることができるように構成したので、搭載箇所判定処理をより円滑にすすめることができ、搭載箇所判定処理に要する時間を短縮することができる。
なお、本実施の形態では、搭載箇所判定処理の全ての工程を完了まで継続する場合を例示して説明したが、判定モード操作装置66のオペレータによる操作によって判定モードを中途でOFFとした場合や、所定の時間を経過しても処理が進まなかった場合などには、搭載箇所判定処理を中断して終了するように構成しても良い。また、搭載箇所判定処理を中途で中断、或いは、終了する際には、その旨をオペレータに伝えるために、テキストやエラーアイコンなどを表示装置64に表示するように構成しても良い。
<第3の実施の形態の変形例>
本発明の第3の実施の形態の変形例を図11を参照しつつ説明する。本変形例では第3の実施の形態との相違点についてのみ説明するものとし、本変形例で用いる図面において第3の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
本変形例は、第3の実施の形態における油圧ショベルのコントロールシステムにおいて、判定モード制御部65に係る構成を車体コントローラ60Cと別体の外部端末67に設け、車体コントローラ60Cと外部端末67との間で情報の授受を有線または無線で行うように構成したものである。
図11は、油圧ショベルのコントロールステムのうち、本変形例のセンサ搭載位置判定システムに係る構成を抜き出して模式的に示す機能ブロック図である。
図11において、センサ搭載位置判定システムは、IMU50a〜50d、車載ネットワーク70、車体コントローラ60C、操作圧センサ63、表示装置64、外部端末67などにより概略構成されている。
車体コントローラ60Cは、IMU50で得られた姿勢情報に基づいて油圧ショベル100の姿勢(例えば、車体本体の傾きや、油圧ショベル100に予め設定された座標系における各フロント部材31,33,35の位置など)を演算し、キャブ25内に設置されたモニタなどの表示装置64や図示しない他の制御用コントローラなどに出力する姿勢演算部61と、操作圧センサ63の検出結果とIMU50の検出結果とに基づいて、各IMU50a〜50dの搭載箇所をそれぞれ判定する搭載箇所判定処理を行う搭載箇所判定部62とを備えている。
外部端末67は、例えば、ノートPCやタブレットのように携帯可能な端末であり、オペレータによる搭載箇所判定処理の開始のためのトリガとなる操作を行うための判定モード操作装置66と、搭載箇所判定処理の進捗に合わせて搭載箇所判定処理に係る油圧ショベルの操作をオペレータに促す情報を表示装置64に表示する判定モード制御部65と、外部端末表示装置64Aとを備えている。
車体コントローラ60Cの搭載箇所判定部62と外部端末67の判定モード制御部65とは、優先又は無線により情報の授受を行うように構成されている。
その他の構成は第3の実施の形態と同様である。
以上のように構成した本変形例においても第3の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
<その他の変形例>
本発明は上記の実施の形態や変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内の様々な変形例や組み合わせが含まれる。
例えば、図12に示すように、各IMU150に搭載箇所判定部を設けた第2の実施の形態と、搭載箇所判定処理の進捗に合わせて搭載箇所判定処理に係る油圧ショベルの操作をオペレータに促す第3の実施の形態を組み合わせたてもよい。
図12において、センサ搭載位置判定システムは、IMU150、車載ネットワーク70、車体コントローラ60D、操作圧センサ63、判定モード操作装置66、表示装置64などにより概略構成されている。
各IMU150は、操作圧センサ63の検出結果とIMU150の検出結果とに基づいて、各IMU150a〜150dの搭載箇所をそれぞれ判定する搭載箇所判定処理を行う搭載箇所判定部162を備えている。
車体コントローラ60Dは、IMU150で得られた姿勢情報に基づいて油圧ショベル100の姿勢(例えば、車体本体の傾きや、油圧ショベル100に予め設定された座標系における各フロント部材31,33,35の位置など)を演算し、キャブ25内に設置されたモニタなどの表示装置64や図示しない他の制御用コントローラなどに出力する姿勢演算部61と、搭載箇所判定処理の進捗に合わせて搭載箇所判定処理に係る油圧ショベルの操作をオペレータに促す情報を表示装置64に表示する判定モード制御部65とを備えている。
その他の構成は第2及び第3の実施の形態と同様である。
以上のように構成した場合においても、第2及び第3の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
次に上記の各実施の形態の特徴について説明する。
(1)上記の実施の形態では、車両本体(例えば、上部旋回体20)と、前記車両本体に取り付けられ、回動可能に連結された複数のフロント部材(例えば、ブーム31、アーム33、バケット35)からなる多関節型の作業機(例えば、フロント作業機30)と、前記複数のフロント部材をそれぞれ駆動するための操作信号を検出する操作信号検出装置(例えば、操作圧センサ63)と、前記複数のフロント部材及び前記車両本体のそれぞれに搭載されて姿勢情報を検出する複数の姿勢情報センサ(例えば、IMU50;150)と、前記姿勢情報に基づいて前記複数のフロント部材の姿勢を演算する姿勢演算部61を有する制御装置(例えば、車体コントローラ60;60A;60B;60C;60D)と、を備えた建設機械のセンサ搭載位置判定システムにおいて、前記複数のフロント部材のうちの1つを単独で駆動するための操作信号を前記操作信号検出装置で検出した検出結果と、前記姿勢情報センサで検出された姿勢情報の変動の有無とに基づいて、前記操作信号検出装置で検出された操作信号に対応する前記フロント部材に搭載された前記姿勢情報センサの搭載箇所を判定する搭載箇所判定装置(例えば、搭載箇所判定部62;162)を備えたものとする。
これにより、建設機械の作業機や車体本体に姿勢情報センサを設置する際の取り違えや手間の発生、姿勢情報センサの交換に際して生じるコストなどを抑制することができる。
(2)また、上記の実施の形態では、(1)の建設機械のセンサ搭載位置判定システムにおいて、前記搭載箇所判定装置は、前記作業機のより先端のフロント部材に搭載される前記姿勢情報センサから順に搭載箇所を判定する。
(3)また、上記の実施の形態では、(1)の建設機械のセンサ搭載位置判定システムにおいて、前記搭載箇所判定装置は、前記複数の姿勢情報センサにそれぞれ設けられたことを特徴とするものとした。
(4)また、上記の実施の形態では、(1)の建設機械のセンサ搭載位置判定システムにおいて、前記複数の姿勢情報センサの搭載箇所を前記制御装置でそれぞれ判定する搭載箇所判定処理の開始および終了を制御し、前記搭載箇所判定処理に関する前記複数のフロント部材の操作をオペレータに促す操作指示情報を表示装置に表示させる判定モード制御部を備えたものとした。
これにより、搭載箇所判定処理の進捗に合わせて操作指示情報を表示することによって、搭載箇所判定処理に係る油圧ショベルの操作をオペレータに促すようにし、オペレータが搭載箇所判定処理の進捗と次に操作すべき箇所とを知ることができるので、搭載箇所判定処理をより円滑にすすめることができ、搭載箇所判定処理に要する時間を短縮することができる。
(5)また、上記の実施の形態では、車両本体に取り付けられ、回動可能に連結された複数のフロント部材からなる多関節型の作業機の前記複数のフロント部材をそれぞれ駆動するための操作信号を検出する手順と、前記複数のフロント部材のうちの1つを単独で駆動するための操作信号の検出結果と、前記姿勢情報センサで検出された姿勢情報の変動の有無とに基づいて、検出された前記操作信号に対応する前記フロント部材に搭載された前記姿勢情報センサの搭載箇所を判定する手順とを有するものとした。
<付記>
なお、上記の実施の形態においては、エンジン等の原動機で油圧ポンプを駆動する一般的な油圧ショベルを例に挙げて説明したが、油圧ポンプをエンジン及びモータで駆動するハイブリッド式の油圧ショベルや、油圧ポンプをモータのみで駆動する電動式の油圧ショベル等にも本発明が適用可能であることは言うまでもない。
また、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内の様々な変形例や組み合わせが含まれる。また、本発明は、上記の実施の形態で説明した全ての構成を備えるものに限定されず、その構成の一部を削除したものも含まれる。また、上記の各構成、機能等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。