JP2019026712A - 空気入りタイヤ - Google Patents

空気入りタイヤ Download PDF

Info

Publication number
JP2019026712A
JP2019026712A JP2017146749A JP2017146749A JP2019026712A JP 2019026712 A JP2019026712 A JP 2019026712A JP 2017146749 A JP2017146749 A JP 2017146749A JP 2017146749 A JP2017146749 A JP 2017146749A JP 2019026712 A JP2019026712 A JP 2019026712A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
rubber
parts
styrene
less
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017146749A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6897397B2 (ja
Inventor
峻平 森田
Shumpei Morita
峻平 森田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Rubber Industries Ltd filed Critical Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority to JP2017146749A priority Critical patent/JP6897397B2/ja
Publication of JP2019026712A publication Critical patent/JP2019026712A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6897397B2 publication Critical patent/JP6897397B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】低燃費性能及び耐摩耗性能等がバランス良く改善された空気入りタイヤの提供。【解決手段】スチレンブタジエンゴム、イソプレン系ゴム及び液状イソプレンゴムを含むゴム成分と、芳香族系樹脂とを含有するゴム組成物であり、前記ゴム成分100質量部に対して、シリカを70質量部以上含有し、前記芳香族系樹脂がスチレン系樹脂及び芳香族系石油樹脂である、樹脂組成物を用いて作製したトレッドを有する空気入りタイヤ。好ましくは、スチレンブタジエンゴムの平均スチレン量が30重量%以上であり、芳香族系樹脂が、スチレン系樹脂及び芳香族系石油樹脂を含み、更にゴム成分100質量部に対して1質量部以上の加工助剤を含む、空気入りタイヤ。【選択図】なし

Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。
近年、省資源、省エネルギー、加えて環境保護の立場から、排出炭酸ガスの低減に対する社会的要求が強まっており、自動車に対しても軽量化、電気エネルギーの利用等、様々な対応策が検討されている。そのため、自動車用タイヤの転がり抵抗を低減し、低燃費性能を高めることが要求され、また、耐摩耗性能等の性能を改善することも望まれている。
低燃費性能を改善する方法として、シリカ配合の採用、充填剤の減量、補強性の小さい充填剤の使用等の手法が知られているが、耐摩耗性能等が低下する傾向がある。
低燃費性能を改善するその他の方法としては、例えば、特許文献1では、アミノ基及びアルコキシ基を含有する有機ケイ素化合物で変性されたジエン系ゴム(変性ゴム)を用いる方法が提案されている。このような従来技術により低燃費性能は改善されるものの、経済性及び安全性の観点からは、耐摩耗性能についても充分に確保することも重要な課題である。上記課題に対し、従来技術では、低燃費性能に対して背反性能となる耐摩耗性能が充分ではなく、改善の余地がある。
特開2000−344955号公報
本発明は、前記課題を解決し、低燃費性能及び耐摩耗性能等がバランス良く改善された空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、スチレンブタジエンゴム、イソプレン系ゴム及び液状イソプレンゴムを含むゴム成分と、芳香族系樹脂とを含有するゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する空気入りタイヤに関する。
前記ゴム組成物が、前記ゴム成分100質量部に対して、シリカを70質量部以上含有することが好ましい。
前記スチレンブタジエンゴムの平均スチレン量が30質量%以上であることが好ましい。
前記芳香族系樹脂がスチレン系樹脂及び芳香族系石油樹脂を含むことが好ましい。
前記ゴム組成物が、前記ゴム成分100質量部に対して、加工助剤を1質量部以上含有することが好ましい。
本発明によれば、スチレンブタジエンゴム、イソプレン系ゴム及び液状イソプレンゴムを含むゴム成分と、芳香族系樹脂とを含有するゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する空気入りタイヤであるので、低燃費性能及び耐摩耗性能等がバランス良く改善される。
上記空気入りタイヤは、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレン系ゴム及び液状イソプレンゴム(液状IR)を含むゴム成分と、芳香族系樹脂とを含有するゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する。これにより、低燃費性能及び耐摩耗性能が顕著(相乗的)にバランス良く改善される。また、ウェットグリップ性能、ドライグリップ性能及び加工性能(生産性)も顕著(相乗的)にバランス良く改善される。
このような作用効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、以下のように推察される。
上記ゴム組成物では、イソプレン系ゴムと液状IRとが相溶するとともにSBRと芳香族系樹脂とが相溶し、より均一な配合物となることで破壊起点が発生しにくくなるため、耐摩耗性能が改善される、と考えられる。更に、イソプレン系ゴムと液状IRは、加硫後に分子鎖が架橋される部分が生じ、分子運動が抑制されることで分子運動による発熱を低減できるため、低燃費性能が改善される、と考えられる。したがって、低燃費性能及び耐摩耗性能等がバランス良く改善されると想定される。
(ゴム組成物)
上記ゴム組成物は、ゴム成分として、SBR、イソプレン系ゴム及び液状IRを含有する。
本明細書において、SBR、イソプレン系ゴムは、常温(25℃)で流動性を有しない固体状態のゴムであり、通常は重量平均分子量(Mw)10万以上の高分子量ゴムを意味する。また、液状IRは、常温(25℃)で流動性を有する液体状態のゴムであり、通常はMw10万未満の低分子量ゴムを意味する。
なお、本明細書において、Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。
SBRは特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ゴム組成物に含まれるSBRの平均分子量は、好ましくは25万以上、より好ましくは30万以上、更に好ましくは32万以上である。上限は特に限定されないが、好ましくは45万以下、より好ましくは40万以下、更に好ましくは35万以下である。上記範囲内であると、本発明の効果がより良好に得られる傾向がある。
ここで、SBRの平均分子量(全SBRの平均分子量)は、Σ(全SBR中の各SBRの含有比率×各SBRのMw)であり、各SBRの含有比率は、全SBR中のそれぞれのSBRの含有割合(質量割合)である(SBR(A)70質量%、SBR(B)10質量%、NR10質量%、BR10質量%からなるゴム成分の場合、SBR(A)、(B)の含有比率は、それぞれ0.875(=70/(70+10))、0.125(=10/(70+10))。従って、例えば、ゴム成分が、SBR(A)(スチレン量35質量%、Mw65万)70質量%、SBR(B)(スチレン量40質量%、Mw95万)10質量%、NR10質量%、BR10質量%からなる場合、SBRの平均分子量は、68.75万(68万7500=0.875×65万+0.125×95万)である)。
上記ゴム組成物に含まれるSBRの平均スチレン量は、好ましくは25質量%以上、より好ましくは30質量%以上である。上限は特に限定されないが、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である。上記範囲内であると、本発明の効果がより良好に得られる傾向がある。
ここで、SBRの平均スチレン量は、{Σ(全SBR中の各SBRの含有比率×各SBRのスチレン量×各SBRのMw)}/全SBRの平均分子量である。例えば、SBR(A)(スチレン量35質量%、Mw65万)70質量%、SBR(B)(スチレン量40質量%、Mw95万)10質量%、NR10質量%、BR10質量%からなる場合、平均スチレン量は、35.86質量%(={70/(70+10)×35×65万+10/(70+10)×40×95万}/68.75万)である。
各SBRのスチレン量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上である。また、該スチレン量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは45質量%以下である。上記範囲内であると、本発明の効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、SBRのスチレン量は、H−NMR測定により算出される。
各SBRのビニル量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。また、該ビニル量は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。上記範囲内であると、本発明の効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、ビニル量(1,2−結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
各SBRのMwは、好ましくは15万以上、より好ましくは20万以上である。また、該Mwは、好ましくは100万以下、より好ましくは70万以下、更に好ましくは50万以下である。上記範囲内であると、本発明の効果がより良好に得られる傾向がある。
また、SBRとしては、非変性SBRでもよいし、変性SBRでもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
変性SBRとしては、シリカ等の充填剤と相互作用する官能基を有するSBRであればよく、例えば、SBRの少なくとも一方の末端を、上記官能基を有する化合物(変性剤)で変性された末端変性SBR(末端に上記官能基を有する末端変性SBR)や、主鎖に上記官能基を有する主鎖変性SBRや、主鎖及び末端に上記官能基を有する主鎖末端変性SBR(例えば、主鎖に上記官能基を有し、少なくとも一方の末端を上記変性剤で変性された主鎖末端変性SBR)や、分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物により変性(カップリング)され、水酸基やエポキシ基が導入された末端変性SBR等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記官能基としては、例えば、アミノ基、アミド基、シリル基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、アミノ基(好ましくはアミノ基が有する水素原子が炭素数1〜6のアルキル基に置換されたアミノ基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜6のアルコキシ基)、アルコキシシリル基(好ましくは炭素数1〜6のアルコキシシリル基)が好ましい。
SBRとしては、例えば、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等により製造・販売されているSBRを使用できる。
ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上である。また、該含有量は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。上記範囲内であると、本発明の効果がより良好に得られる傾向がある。
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられる。NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。IRとしては、特に限定されず、例えば、IR2200等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。改質NRとしては、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)等、変性NRとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等、変性IRとしては、エポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム等、が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量は、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは2質量%以上である。また、該含有量は、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは6質量%以下である。上記範囲内であると、本発明の効果がより良好に得られる傾向がある。
液状IRは、イソプレンを構成単位とするポリイソプレンポリマーであり、上記の通り、常温(25℃)で流動性を有する液体状態のゴムであり、通常はMw10万未満の低分子量ゴムである。
液状IRは、非変性液状IRでもよいし、変性液状IRでもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
変性液状IRとしては、上述の変性SBRと同様の官能基が導入された変性液状IRが挙げられる。
液状IRのMwは、好ましくは1000以上、より好ましくは1万以上、更に好ましくは3万以上である。また、該Mwは、好ましくは8万以下、より好ましくは6万以下である。上記範囲内であると、本発明の効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム成分100質量%中の液状IRの含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上である。また、該含有量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは6質量%以下、更に好ましくは4質量%以下である。上記範囲内であると、本発明の効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴム及び液状IRの合計含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上である。また、該合計含有量は、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは8質量%以下である。上記範囲内であると、本発明の効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量(A)と液状IRの含有量(B)との比(A/B)は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは1以上である。また、該比は、好ましくは10以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは4以下である。上記範囲内であると、本発明の効果がより良好に得られる傾向がある。
他のゴム成分としては、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合ゴム(SIBR)等も挙げられる。本明細書において、これらは、常温(25℃)で流動性を有しない固体状態のゴムであり、通常は重量平均分子量(Mw)10万以上の高分子量ゴムを意味する。なお、他のゴム成分としては、これらの液状ゴムや、SBR、イソプレン系ゴムの液状ゴム(上記液状IRを除く)も挙げられる(液状ゴムの説明は、上記液状IRと同様である)。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、本発明の効果がより良好に得られる傾向があるという点から、BRが好ましい。
BRは特に限定されず、例えば、高シス含量のBR、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR等を使用できる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
BRは、非変性BRでもよいし、変性BRでもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
変性BRとしては、上述の変性SBRと同様の官能基が導入された変性BRが挙げられる。
ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上である。また、該含有量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。上記範囲内であると、本発明の効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム成分100質量%中のMw10万以上の高分子量ゴムの含有量は、好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。また、該含有量は、好ましくは95質量%以下である。上記範囲内であると、本発明の効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、芳香族系樹脂を含有する。
芳香族系樹脂とは、構成成分として芳香族化合物を含むポリマーである。芳香族化合物としては、芳香環を有する化合物であれば、特に限定されないが、例えば、フェノール、アルキルフェノール、アルコキシフェノール、不飽和炭化水素基含有フェノールなどのフェノール化合物;ナフトール、アルキルナフトール、アルコキシナフトール、不飽和炭化水素基含有ナフトールなどのナフトール化合物;スチレン、アルキルスチレン、アルコキシスチレン、不飽和炭化水素基含有スチレンなどのスチレン誘導体;クマロン、インデンなどが挙げられる。
芳香族系樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、芳香族系石油樹脂、クマロンインデン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、テルペン芳香族樹脂等が挙げられ、各樹脂にはこれらの水添樹脂も含まれる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、本発明の効果がより良好に得られる傾向がある点から、スチレン系樹脂、芳香族系石油樹脂が好ましく、スチレン系樹脂及び芳香族系石油樹脂を併用することがより好ましい。
スチレン系樹脂は、スチレン系単量体を構成モノマーとして用いたポリマーであり、スチレン系単量体を主成分(50質量%以上)として重合させたポリマー等が挙げられる。具体的には、スチレン系単量体(スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−フェニルスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン等)をそれぞれ単独で重合した単独重合体、2種以上のスチレン系単量体を共重合した共重合体の他、スチレン系単量体及びこれと共重合し得る他の単量体のコポリマーも挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記他の単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのアクリロニトリル類、アクリル類、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸類、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルなどの不飽和カルボン酸エステル類、クロロプレン、ブタジエンイソプレンなどのジエン類、1−ブテン、1−ペンテンのようなオレフィン類;無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物;等が例示できる。
スチレン系樹脂としては、なかでも、α−メチルスチレン系樹脂(α−メチルスチレン単独重合体、α−メチルスチレンとスチレンとの共重合体等)が好ましい。
芳香族系石油樹脂とは、ナフサ分解によって得られるビニルトルエン、インデン、メチルインデンを主要なモノマーとするC9留分を重合して得られるC9系石油樹脂や、C9留分に加えて、ナフサ分解によって得られるオレフィン、ジオレフィン類を主要なモノマーとするC5留分を重合して得られるC5C9系石油樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
芳香族系石油樹脂としては、なかでも、C5C9系石油樹脂が好ましい。
芳香族系樹脂の軟化点は、30℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、80℃以上が更に好ましい。30℃以上であると、所望のウェットグリップ性能が得られる傾向がある。また、上記軟化点は、160℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましく、100℃以下が更に好ましい。160℃以下であると、レジンの分散性が良好となり、ウェットグリップ性能、低燃費性能が改善する傾向がある。
なお、本明細書において、レジンの軟化点は、JIS K 6220−1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
芳香族系樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上である。また、該含有量は、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である。上記範囲内であると、本発明の効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、カーボンブラックを含有することが好ましい。
カーボンブラックとしては、特に限定されないが、N134、N110、N220、N234、N219、N339、N330、N326、N351、N550、N762等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、5m/g以上が好ましく、50m/g以上が更に好ましく、100m/g以上が特に好ましい。5m/g以上であると、補強性が向上し、充分な耐摩耗性能が得られる傾向がある。また、上記NSAは、200m/g以下が好ましく、150m/g以下がより好ましく、130m/g以下が更に好ましい。200m/g以下であると、カーボンブラックの良好な分散が得られやすく、良好な耐摩耗性能、低燃費性能が得られる傾向がある。
なお、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K6217−2:2001によって求められる。
カーボンブラックとしては、例えば、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱化学(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上である。1質量部以上であると、十分な補強性を得ることができ、より良好な耐摩耗性能が得られる傾向がある。また、上記含有量は、好ましくは30質量部以下、好ましくは15質量部以下である。30質量部以下であると、より良好な転がり抵抗が得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、シリカを含有することが好ましい。
シリカとしては、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)等が挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、70m/g以上が好ましく、150m/g以上がより好ましい。70m/g以上にすることで、耐摩耗性能等がより向上する傾向がある。該シリカのNSAは、500m/g以下が好ましく、200m/g以下がより好ましい。500m/g以下にすることで、加工性能がより改善される傾向がある。
なお、シリカの窒素吸着比表面積は、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
シリカとしては、例えば、デグッサ社、ローディア社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは30質量部以上、より好ましくは50質量部以上、更に好ましくは70質量部以上である。30質量部以上であると、低燃費性能がより改善される傾向がある。また、該含有量は、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下、更に好ましくは110質量部以下、特に好ましくは100質量部以下である。200質量部以下であると、加工性能と低燃費性能のバランスがより改善される傾向がある。
上記ゴム組成物がシリカを含有する場合、更にシランカップリング剤を含有することが好ましい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、などのスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、Momentive社製のNXT、NXT−Zなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、などのグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、本発明の効果がより良好に得られる傾向がある点から、メルカプト系シランカップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤としては、式(1)で表されるシランカップリング剤を使用することが好ましい。これにより、より良好な低燃費性能、耐摩耗性能等が得られる。
Figure 2019026712
(式(1)中、pは1〜3の整数、qは1〜5の整数、kは5〜12の整数である。)
式(1)において、pは1〜3の整数であるが、2が好ましい。pが3以下であると、カップリング反応が速い傾向がある。
qは1〜5の整数であるが、2〜4が好ましく、3がより好ましい。qが1〜5であると合成が容易である傾向がある。
kは5〜12の整数であるが、5〜10が好ましく、6〜8がより好ましく、7が更に好ましい。
式(1)で表されるシランカップリング剤としては、例えば、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、3質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。3質量部以上であると、添加による効果が得られる傾向がある。また、上記含有量は、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましい。20質量部以下であると、配合量に見合った効果が得られ、良好な混練時の加工性が得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、オイルを含有することが好ましい。
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油脂、又はその混合物が挙げられる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどを用いることができる。植物油脂としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生湯、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、本発明の効果が良好に得られるという理由から、プロセスオイルが好ましく、アロマ系プロセスオイルがより好ましい。
オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下である。上記数値範囲内であると、本発明の効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、ワックスを含有することが好ましい。
ワックスとしては、特に限定されず、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス;植物系ワックス、動物系ワックス等の天然系ワックス;エチレン、プロピレン等の重合物等の合成ワックスなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、石油系ワックスが好ましく、パラフィンワックスがより好ましい。
ワックスとしては、例えば、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。
ワックスの含有量は、前記性能バランスの観点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.3〜20質量部、より好ましくは0.5〜10質量部である。
上記ゴム組成物は、老化防止剤を含有することが好ましい。
老化防止剤としては、例えば、フェニル−α−ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4′−ビス(α,α′−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン等のp−フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス−[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、p−フェニレンジアミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤が好ましい。
老化防止剤としては、例えば、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。
老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。上記数値範囲内であると、本発明の効果が良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、加工助剤を含有することが好ましい。
SBR、イソプレン系ゴム、液状IR、芳香族系樹脂に加えて、加工助剤を配合することにより、ウェットグリップ性能やドライグリップ性能等のグリップ性能や、加工性能を顕著(相乗的)に改善できる。
このような作用効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、以下のように推察される。
芳香族系樹脂や加工助剤は配合物において温度域によらず表面に析出するが、液状IRはこれらよりも比較的分子量が高いため、SBRやイソプレン系ゴムとの分子鎖と絡み合い、低温では表面に析出せず、80℃以上の高温度域で表面に析出する、と考えられる。したがって、これらを組み合わせることにより、全温度域でゴム表面の硬度が低下し、路面追従性が高まるため、グリップ性能が改善される、と考えられる。また、ゴム加工の温度域において、粘度が低減するため、加工性能が改善される、と考えられる。したがって、グリップ性能や加工性能が改善される。
加工助剤としては、特に限定されず、タイヤ工業において一般的なものを使用でき、例えば、脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド、アミドエステル、シリカ表面活性剤、脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩とアミドエステルとの混合物、脂肪酸金属塩と脂肪酸アミドとの混合物などが使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、脂肪酸金属塩、アミドエステル、脂肪酸金属塩とアミドエステル若しくは脂肪酸アミドとの混合物が好ましく、脂肪酸金属塩と脂肪酸アミドとの混合物が特に好ましい。
脂肪酸金属塩を構成する脂肪酸としては、特に限定されないが、飽和又は不飽和脂肪酸(好ましくは炭素数6〜28(より好ましくは炭素数10〜25、更に好ましくは炭素数14〜20)の飽和又は不飽和脂肪酸)が挙げられ、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ネルボン酸等が挙げられる。これらは1種または2種以上を混合して用いることができる。なかでも、飽和脂肪酸が好ましく、炭素数14〜20の飽和脂肪酸がより好ましい。
脂肪酸金属塩を構成する金属としては、例えば、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属、亜鉛、ニッケル、モリブデン等が挙げられる。なかでも、亜鉛、カルシウムが好ましく、亜鉛がより好ましい。
脂肪酸アミドとしては、飽和脂肪酸アミドでも不飽和脂肪酸アミドでもよい。飽和脂肪酸アミドとしては、例えば、N−(1−オキソオクタデシル)サルコシン、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド等が挙げられる。不飽和脂肪酸アミドとしては、例えば、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等が挙げられる。
脂肪酸金属塩と脂肪酸アミドとの混合物の具体例としては、脂肪酸カルシウムと脂肪酸アミドとの混合物であるストラクトール社製のWB16等が挙げられる。
加工助剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1質量部以上である。また、該含有量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。上記範囲内であると、上述した効果がより得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、ステアリン酸を含有することが好ましい。
ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、例えば、日油(株)、NOF社、花王(株)、和光純薬工業(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。
ステアリン酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。上記数値範囲内であると、本発明の効果が良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、酸化亜鉛を含有することが好ましい。
酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、例えば、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。
酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。上記数値範囲内であると、本発明の効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は硫黄を含有することが好ましい。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硫黄としては、例えば、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。
硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。上記数値範囲内であると、本発明の効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、加硫促進剤を含有することが好ましい。
加硫促進剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT−N)等のチウラム系加硫促進剤;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N′−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤が好ましい。
加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7質量部以下である。上記数値範囲内であると、本発明の効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物には、前記成分の他、タイヤ工業において一般的に用いられている添加剤を配合することができ、有機過酸化物;炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレー、水酸化アルミニウム、マイカなどの充填剤;等を例示できる。
上記ゴム組成物は、例えば、前記各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法等により製造できる。
(空気入りタイヤ)
上記空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。すなわち、上記成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッド形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤを得る。
上記空気入りタイヤは、乗用車用タイヤ、大型乗用車用、大型SUV用タイヤ、トラック、バスなどの重荷重用タイヤ、ライトトラック用タイヤ等に好適に使用可能である。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
NR:TSR20(Mw:100万)
SBR1:下記製造例1で作製した変性SBR(スチレン量:25質量%、ビニル量:60質量%、Mw:30万)
SBR2:下記製造例2で作製した変性SBR(スチレン量:40質量%、ビニル量:30質量%、Mw:40万)
BR:宇部興産(株)製のBR150B(Mw:40万)
液状IR:クラレ(株)製のLIR−50(Mw:54000)
芳香族系石油樹脂:東ソー(株)製のペトロタック90V(C5C9系石油樹脂、軟化点:87℃)
スチレン系樹脂:アリゾナケミカル社製のSYLVATRAX 4401(α−メチルスチレン系樹脂(α−メチルスチレンとスチレンとの共重合体)、軟化点:85℃)
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイヤブラックN220(NSA:114m /g)
シリカ:デグッサ社製のウルトラシルVN3(NSA:175m/g)
シランカップリング剤:モメンティブ社製のNXT(3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン)
プロセスオイル:(株)ジャパンエナジー製のX140(アロマオイル)
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
老化防止剤1:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
老化防止剤2:大内新興化学工業(株)製のノクラック224(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体)
加工助剤:ストラクトール社製のWB16(脂肪酸金属塩(脂肪酸カルシウム、構成脂肪酸:炭素数14〜20の飽和脂肪酸)と脂肪酸アミドとの混合物)
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸つばき
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄(5%オイル含有)
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(ジフェニルグアニジン)
(製造例1)
窒素置換されたオートクレーブ反応器に、ヘキサン、1,3−ブタジエン、スチレン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテルを投入した。次に、ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン及びn−ブチルリチウムを、それぞれ、シクロヘキサン溶液及びn−ヘキサン溶液として投入し、重合を開始した。
撹拌速度を130rpm、反応器内温度を65℃とし、単量体を反応器内に連続的に供給しながら、1,3−ブタジエンとスチレンの共重合を3時間行った。次に、得られた重合体溶液を130rpmの撹拌速度で撹拌し、3−ジエチルアミノプロピルトリエトキシシランを添加し、15分間反応を行った。重合反応終了後、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを添加した。次いで、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熱ロールにより乾燥して変性スチレンブタジエンゴム(SBR1)を得た。
(製造例2)
窒素置換されたオートクレーブ反応器に、ヘキサン、1,3−ブタジエン、スチレン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテルを投入した。次に、ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン及びn−ブチルリチウムを、それぞれ、シクロヘキサン溶液及びn−ヘキサン溶液として投入し、重合を開始した。
撹拌速度を130rpm、反応器内温度を65℃とし、単量体を反応器内に連続的に供給しながら、1,3−ブタジエンとスチレンの共重合を3時間行った。次に、得られた重合体溶液を130rpmの撹拌速度で撹拌し、3−ジエチルアミノプロピルトリエトキシシランを添加し、15分間反応を行った。重合反応終了後、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを添加した。次いで、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熱ロールにより乾燥して変性スチレンブタジエンゴム(SBR2)を得た。
(実施例及び比較例)
表1に示す配合内容に従い、(株)神戸製鋼所製のバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物をトレッドの形状に成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、170℃の条件下で10分間プレス加硫し、試験用タイヤ(サイズ:195/65R15)を製造した。得られた試験用タイヤを用いて下記に示す評価を行い、結果を表1に示した。
(ウェットグリップ性能)
各試験用タイヤを車両(国産FF2000cc)の全輪に装着して、湿潤アスファルト路面にて初速度100km/hからの制動距離を求め、比較例1を100とした時の指数で表示した(ウェットグリップ性能指数)。指数が大きいほど制動距離が短く、ウェットグリップ性能に優れることを示す。
(ドライグリップ性能)
各試験用タイヤを車両に装着し、ドライアスファルト路面のテストコースにて10周の実車走行を行った。試験場所は、住友ゴム工業(株)の岡山テストコースで行い、気温は20〜25℃であった。
そして、その際における操舵時のコントロールの安定性をテストドライバーが評価し、比較例1を100として指数表示した(ドライグリップ性能指数)。指数が大きいほど、ドライグリップ性能に優れることを示す。
(耐摩耗性能)
各試験用タイヤを国産FF車に装着し、走行距離8000km後のタイヤトレッド部の溝深さを測定し、タイヤ溝深さが1mm減るときの走行距離を算出し、比較例1を100とした時の指数で表示した(耐摩耗性能指数)。指数が大きいほど、タイヤ溝深さが1mm減るときの走行距離が長く、耐摩耗性能に優れることを示す。
(低燃費性能)
転がり抵抗試験機を用い、試験用タイヤを、リム(15×6JJ)、内圧(230kPa)、荷重(3.43kN)、速度(80km/h)で走行させたときの転がり抵抗を測定し、比較例1を100とした時の指数で表示した(低燃費性能指数)。指数が大きいほど、低燃費性能に優れることを示す。
(加工性能)
各未加硫ゴム組成物について、JIS K 6300−1の「未加硫ゴム−物理特性−第1部:ムーニー粘度計による粘度及びスコーチタイムの求め方」に準じたムーニー粘度の測定方法に従い、130℃の温度条件にて、ムーニー粘度(ML1+4)を測定した。結果は比較例1のムーニー粘度を100として指数表示した(加工性能指数)。指数が小さいほどムーニー粘度が低く、加工性に優れることを示す。
Figure 2019026712

Claims (5)

  1. スチレンブタジエンゴム、イソプレン系ゴム及び液状イソプレンゴムを含むゴム成分と、芳香族系樹脂とを含有するゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する空気入りタイヤ。
  2. 前記ゴム組成物が、前記ゴム成分100質量部に対して、シリカを70質量部以上含有する請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記スチレンブタジエンゴムの平均スチレン量が30質量%以上である請求項1又は2記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記芳香族系樹脂がスチレン系樹脂及び芳香族系石油樹脂を含む請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記ゴム組成物が、前記ゴム成分100質量部に対して、加工助剤を1質量部以上含有する請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
JP2017146749A 2017-07-28 2017-07-28 空気入りタイヤ Active JP6897397B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017146749A JP6897397B2 (ja) 2017-07-28 2017-07-28 空気入りタイヤ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017146749A JP6897397B2 (ja) 2017-07-28 2017-07-28 空気入りタイヤ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019026712A true JP2019026712A (ja) 2019-02-21
JP6897397B2 JP6897397B2 (ja) 2021-06-30

Family

ID=65477752

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017146749A Active JP6897397B2 (ja) 2017-07-28 2017-07-28 空気入りタイヤ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6897397B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020139112A (ja) * 2019-03-01 2020-09-03 住友ゴム工業株式会社 タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP2020186321A (ja) * 2019-05-15 2020-11-19 住友ゴム工業株式会社 タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP2020186322A (ja) * 2019-05-15 2020-11-19 住友ゴム工業株式会社 タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP2020189926A (ja) * 2019-05-22 2020-11-26 住友ゴム工業株式会社 タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
EP3795376A1 (en) * 2019-09-19 2021-03-24 Sumitomo Rubber Industries, Ltd. Heavy duty tire
EP3795378A1 (en) * 2019-09-19 2021-03-24 Sumitomo Rubber Industries, Ltd. Heavy duty tire

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001181449A (ja) * 1999-12-27 2001-07-03 Sumitomo Rubber Ind Ltd トレッドゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ
JP2008144069A (ja) * 2006-12-12 2008-06-26 Sumitomo Rubber Ind Ltd トレッド用ゴム組成物およびそれを用いたトレッドを有する空気入りタイヤ
JP2013007025A (ja) * 2011-05-25 2013-01-10 Sumitomo Rubber Ind Ltd タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP2013159745A (ja) * 2012-02-07 2013-08-19 Bridgestone Corp タイヤトレッド用ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤ
JP2015013956A (ja) * 2013-07-05 2015-01-22 住友ゴム工業株式会社 空気入りタイヤ
WO2016098505A1 (ja) * 2014-12-16 2016-06-23 住友ゴム工業株式会社 空気入りタイヤ

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001181449A (ja) * 1999-12-27 2001-07-03 Sumitomo Rubber Ind Ltd トレッドゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ
JP2008144069A (ja) * 2006-12-12 2008-06-26 Sumitomo Rubber Ind Ltd トレッド用ゴム組成物およびそれを用いたトレッドを有する空気入りタイヤ
JP2013007025A (ja) * 2011-05-25 2013-01-10 Sumitomo Rubber Ind Ltd タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP2013159745A (ja) * 2012-02-07 2013-08-19 Bridgestone Corp タイヤトレッド用ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤ
JP2015013956A (ja) * 2013-07-05 2015-01-22 住友ゴム工業株式会社 空気入りタイヤ
WO2016098505A1 (ja) * 2014-12-16 2016-06-23 住友ゴム工業株式会社 空気入りタイヤ

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020139112A (ja) * 2019-03-01 2020-09-03 住友ゴム工業株式会社 タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP2020186321A (ja) * 2019-05-15 2020-11-19 住友ゴム工業株式会社 タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP2020186322A (ja) * 2019-05-15 2020-11-19 住友ゴム工業株式会社 タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP7306050B2 (ja) 2019-05-15 2023-07-11 住友ゴム工業株式会社 タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP7358776B2 (ja) 2019-05-15 2023-10-11 住友ゴム工業株式会社 タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP2020189926A (ja) * 2019-05-22 2020-11-26 住友ゴム工業株式会社 タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP7322503B2 (ja) 2019-05-22 2023-08-08 住友ゴム工業株式会社 タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
EP3795376A1 (en) * 2019-09-19 2021-03-24 Sumitomo Rubber Industries, Ltd. Heavy duty tire
EP3795378A1 (en) * 2019-09-19 2021-03-24 Sumitomo Rubber Industries, Ltd. Heavy duty tire

Also Published As

Publication number Publication date
JP6897397B2 (ja) 2021-06-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6351495B2 (ja) 空気入りタイヤ
EP2716700B1 (en) Rubber composition for tires and pneumatic tires
JP6926629B2 (ja) ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP6897397B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP7031599B2 (ja) タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP6434585B1 (ja) 空気入りタイヤ
US11396590B2 (en) Pneumatic tire
WO2018190427A1 (ja) タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
US20220251347A1 (en) Tire
JP2018203850A (ja) タイヤ用ゴム組成物の製造方法
WO2020022322A1 (ja) ゴム組成物及びタイヤ
JP7215304B2 (ja) タイヤトレッド用ゴム組成物及びタイヤ
JP2019182908A (ja) タイヤ用ゴム組成物および空気入りタイヤ
JP2017165409A (ja) 空気入りタイヤ
WO2020261873A1 (ja) タイヤ
JP2018158979A (ja) トレッド用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
WO2020022326A1 (ja) ゴム組成物及びタイヤ
WO2020022325A1 (ja) ゴム組成物及びタイヤ
JP2020078967A (ja) 空気入りタイヤ
JP2015212320A (ja) 空気入りタイヤ
EP3683259B1 (en) Vulcanized rubber composition and tire
JP7338209B2 (ja) タイヤトレッド用ゴム組成物及びタイヤ
EP4173843A1 (en) Heavy duty tire
JP2023017696A (ja) ゴム組成物及びタイヤ
JP2019196435A (ja) タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200526

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210127

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210202

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210401

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210511

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210524

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6897397

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150