JP2015212320A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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JP2015212320A
JP2015212320A JP2014094675A JP2014094675A JP2015212320A JP 2015212320 A JP2015212320 A JP 2015212320A JP 2014094675 A JP2014094675 A JP 2014094675A JP 2014094675 A JP2014094675 A JP 2014094675A JP 2015212320 A JP2015212320 A JP 2015212320A
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智史 川崎
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Abstract

【課題】低燃費性、ウェットグリップ性能、操縦安定性がバランス良く改善された空気入りタイヤを提供する。【解決手段】ゴム成分と、シリカと、特定の無機化合物と、軟化点7〜15℃の液状レジンとを含有し、前記ゴム成分100質量%中、天然ゴムの含有量が10〜30質量%であり、前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が105〜160質量部であり、前記無機化合物の含有量が5〜30質量部であり、前記液状レジンの含有量が30〜50質量部であり、前記液状レジンを除くレジン及びオイルの合計含有量が0〜5質量部であるゴム組成物で構成されるトレッドを備える空気入りタイヤ。【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物で構成されるトレッドを備える空気入りタイヤに関する。
自動車タイヤ用のゴム組成物としては、ポリブタジエンやブタジエン−スチレン共重合体等の共役ジエン系重合体と、カーボンブラックやシリカ等の充填剤とを含有するゴム組成物等が用いられている。近年、環境問題への関心の高まりから、自動車に対して低燃費化の要求が強くなっており、自動車用タイヤに用いるゴム組成物に対しても、低燃費性に優れることが求められている。
低燃費性を改善する方法として、例えば、特許文献1では、アミノ基及びアルコキシ基を含有する有機ケイ素化合物で変性されたジエン系ゴム(変性ゴム)を用いる方法が提案されている。しかし、近年では、環境問題への関心の高まりにより、更なる低燃費性の改善が求められている。また、自動車タイヤ用のゴム組成物に要求される性能としては、ウェットグリップ性能や操縦安定性も挙げられるが、これらの性能は一般的に低燃費性と背反する関係にあり、それぞれの性能を高次元でバランス良く得ることは困難であった。
特開2000−344955号公報
本発明は、前記課題を解決し、低燃費性、ウェットグリップ性能、操縦安定性がバランス良く改善された空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、ゴム成分と、シリカと、下記式(甲)で表され、平均一次粒子径が10μm以下である無機化合物と、軟化点7〜15℃の液状レジンとを含有し、
前記ゴム成分100質量%中、天然ゴムの含有量が10〜30質量%であり、
前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が105〜160質量部であり、前記無機化合物の含有量が5〜30質量部であり、前記液状レジンの含有量が30〜50質量部であり、前記液状レジンを除くレジン及びオイルの合計含有量が0〜5質量部であるゴム組成物で構成されるトレッドを備える空気入りタイヤに関する。
kM・xSiO・zHO (甲)
(式(甲)において、MはAl、Mg、Ti及びCaからなる群より選ばれた少なくとも1つの金属、該金属の酸化物又は水酸化物であり、kは1〜5の整数、xは0〜10の整数、yは2〜5の整数、zは0〜10である。)
上記シリカの含有量(A)と、レジン及びオイルの合計含有量(B)が以下の式(C)を満たすことが好ましい。
0.27≦(B)/(A)≦0.42 (C)
上記ゴム組成物のガラス転移温度が−17〜7℃の範囲内にあることが好ましい。
上記無機化合物が、下記式(乙)で表される無機化合物であることが好ましい。
Al(OH) (乙)
(式(乙)において、0≦a≦3、b=(3−a)/2である。)
上記無機化合物が水酸化アルミニウムであることが好ましい。
上記液状レジンが、液状クマロンインデン樹脂、液状インデン樹脂及び液状α−メチルスチレン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記ゴム組成物は、下記式(1)で表される化合物を含有することが好ましい。
Figure 2015212320
(式(1)中、Rは、水素原子、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30のアリール基、又は水酸基を表す。R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30のアリール基、又は下記式(2)で表される基を表し、該アルキル基、該アルケニル基、該アルキニル基、該アリール基が有する水素原子が水酸基又はカルボキシル基で置換されていてもよい。RとR、RとR、又はRとRとで環構造を形成してもよい。nは、0〜8の整数を表す。)
Figure 2015212320
(式(2)中、Rは、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基を表す。Rは、水素原子、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30のアリール基、又は水酸基を表す。pは、0〜10の整数を表す。)
上記シリカ100質量部に対する式(1)で表される化合物の含有量が0.1〜20質量部であることが好ましい。
本発明によれば、天然ゴムと、シリカと、特定の無機化合物と、軟化点7〜15℃の液状レジンとをそれぞれ特定量含有し、前記液状レジン以外のレジン及びオイルの合計含有量が所定量以下のゴム組成物で構成されるトレッドを備える空気入りタイヤであるので、低燃費性、ウェットグリップ性能、操縦安定性がバランス良く改善されている。
本発明の空気入りタイヤは、ゴム成分と、シリカと、特定の無機化合物と、軟化点7〜15℃の液状レジンとを含有し、前記ゴム成分100質量%中、天然ゴムの含有量が10〜30質量%であり、前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が105〜160質量部であり、前記無機化合物の含有量が5〜30質量部であり、前記液状レジンの含有量が30〜50質量部であり、前記液状レジンを除くレジン及びオイルの合計含有量が0〜5質量部であるゴム組成物で構成されるトレッドを備える。以下においては、上記ゴム組成物を本発明に係るゴム組成物ともいう。
本発明に係るゴム組成物は、天然ゴム(NR)を含有する。これにより、本発明の効果が好適に得られる。
NRとしては特に限定されず、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
ゴム成分100質量%中のNRの含有量は、10質量%以上、好ましくは12質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上である。10質量%未満であると、充分な低燃費性、ウェットグリップ性能が得られない傾向がある。また、NRの含有量は、30質量%以下、好ましくは28質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。30質量%を超えると、加工性、ウェットグリップ性能、操縦安定性が悪化する傾向がある。NRの含有量を上記範囲内とすることにより、本発明の効果が好適に得られる。
上記NR以外に使用できるゴム成分としては限定されないが、例えば、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)などのジエン系ゴムが挙げられる。これらのゴム成分は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。なかでも、低燃費性、ウェットグリップ性能、操縦安定性をバランス良く示すことから、BR、SBRが好ましい。
BRとしては特に限定されず、例えば、日本ゼオン(株)製のBR1220、宇部興産(株)製のBR130B、BR150B等の高シス含有量のBR、宇部興産(株)製のVCR412、VCR617等のシンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR等を使用できる。なかでも、耐摩耗性、低燃費性が良好であるという理由から、BRのシス含量は90質量%以上が好ましい。
本発明に係るゴム組成物がBRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上である。5質量%未満であると、充分な耐摩耗性、操縦安定性が得られない傾向がある。また、BRの含有量は、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。15質量%を超えると、低燃費性が悪化する傾向がある。
SBRとしては、特に限定されず、乳化重合SBR(E−SBR)、溶液重合SBR(S−SBR)、第1級アミノ基等により変性された変性SBR等が挙げられる。なかでも、ウェットグリップ性能、低燃費性、操縦安定性の向上効果が高いという理由から、変性SBRが好ましい。
変性SBRとしては、スズやケイ素などでカップリングされたものが好ましく用いられる。変性SBRのカップリング方法としては、常法に従って、例えば、変性SBRの分子鎖末端のアルカリ金属(Liなど)やアルカリ土類金属(Mgなど)を、ハロゲン化スズやハロゲン化ケイ素などと反応させる方法などが挙げられる。
また、変性SBRとしては、スチレン及びブタジエンの共重合体で、第1級アミノ基やアルコキシシリル基を有するものも好ましい。第1級アミノ基は、重合開始末端、重合終了末端、重合体主鎖、側鎖のいずれに結合していてもよいが、重合体末端からエネルギー消失を抑制してヒステリシスロス特性を改良し得る点から、重合開始末端又は重合終了末端に導入されていることが好ましい。
変性SBRのなかでも、特に溶液重合のスチレンブタジエンゴム(S−SBR)の重合末端(活性末端)を下記式(3)で表される化合物により変性したもの(変性S−SBR(特開2010−111753号公報に記載の変性SBR))が好適に用いられる。これにより、ポリマーの分子量をコントロールし易く、tanδを増大させる低分子量成分を少なくすることができ、更にシリカとポリマー鎖の結合を強め、ウェットグリップ性能、低燃費性、操縦安定性をより向上できる。
Figure 2015212320
(式(3)中、R11、R12及びR13は、同一若しくは異なって、アルキル基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数1〜6、更に好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基)、シリルオキシ基、アセタール基、カルボキシル基(−COOH)、メルカプト基(−SH)又はこれらの誘導体を表す。R14及びR15は、同一若しくは異なって、水素原子又はアルキル基(好ましくは炭素数1〜4のアルキル基)を表す。nは整数(好ましくは1〜5、より好ましくは2〜4、更に好ましくは3)を表す。)
11、R12及びR13としては、アルコキシ基が望ましく、R14及びR15としては、水素原子が望ましい。これにより、優れたウェットグリップ性能、低燃費性、操縦安定性を得ることができる。
上記式(3)で表される化合物の具体例としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、2−ジメチルアミノエチルトリメトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記式(3)で表される化合物(変性剤)によるスチレンブタジエンゴムの変性方法としては、特公平6−53768号公報、特公平6−57767号公報、特表2003−514078号公報などに記載されている方法など、従来公知の手法を用いることができる。例えば、スチレンブタジエンゴムと変性剤とを接触させればよく、アニオン重合によりスチレンブタジエンゴムを合成した後、該重合体ゴム溶液中に変性剤を所定量添加し、スチレンブタジエンゴムの重合末端(活性末端)と変性剤とを反応させる方法、スチレンブタジエンゴム溶液中に変性剤を添加して反応させる方法などが挙げられる。
SBRの結合スチレン量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、特に好ましくは25質量%以上である。10質量%未満であると、充分なウェットグリップ性能が得られないおそれがある。結合スチレン量は、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。35質量%を超えると、低燃費性が悪化するおそれがある。なお、結合スチレン量は、H−NMR測定により算出される。
本発明に係るゴム組成物がSBRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは35質量%以上、より好ましくは42質量%以上、更に好ましくは60質量%以上である。35質量%未満であると、充分な操縦安定性が得られない傾向がある。また、SBRの含有量は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは75質量%以下である。90質量%を超えると、低燃費性が悪化する傾向がある。
なお、BRとSBRの含有量の比率については、本発明に係るゴム組成物をタイヤ用トレッドゴムとして用いたタイヤの用途、カテゴリー、仕向け地、サイズなどに応じて適宜変更・設定することができる。
本発明に係るゴム組成物は、シリカを含有する。シリカとしては、例えば、乾式法により調製されたシリカ(無水ケイ酸)、湿式法により調製されたシリカ(含水ケイ酸)などが挙げられ、表面のシラノール基が多く、シランカップリング剤との反応点が多いという理由から、湿式法により調製されたシリカが好ましい。
シリカは、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよいが、2種以上を併用することが好ましい。
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは20m/g以上、より好ましくは30m/g以上、更に好ましくは40m/g以上、特に好ましくは70m/g以上、最も好ましくは110m/g以上、より最も好ましくは150m/g以上である。20m/g未満であると、ウェットグリップ性能、操縦安定性が低下する傾向がある。また、シリカのNSAは、好ましくは400m/g以下、より好ましくは360m/g以下、更に好ましくは220m/g以下、特に好ましくは200m/g以下である。400m/gを超えると、シリカが分散しにくくなり、加工性、低燃費性が悪化するおそれがある。
なお、本明細書において、シリカのNSAは、ASTM D3037−93に準じてBET法で測定される値である。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、105質量部以上、好ましくは107質量部以上、より好ましくは115質量部以上である。105質量部未満では、シリカを含有することによる充分な補強効果が得られず、充分なウェットグリップ性能、操縦安定性が得られない傾向がある。シリカの含有量は、160質量部以下、好ましくは155質量部以下、より好ましくは140質量部以下である。160質量部を超えると、ゴム組成物中において、シリカが均一に分散することが困難となり、低燃費性が悪化する傾向がある。シリカの含有量を上記範囲内とすることにより、本発明の効果が好適に得られる。ここで、シリカの含有量は、2種以上のシリカを使用する場合は、合計含有量を意味する。
本発明では、シリカと共にシランカップリング剤を配合することが好ましい。シランカップリング剤としては、従来から公知のものを用いることができ、たとえば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド等のスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン等のメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等のグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシラン等のニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン等のクロロ系が挙げられる。なお、上記のシランカップリング剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、スルフィド系シランカップリング剤が好ましく、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドがより好ましい。
本発明に係るゴム組成物がシランカップリング剤を含有する場合、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは1〜20質量部であり、より好ましくは2〜18質量部であり、更に好ましくは5〜16質量部である。
本発明に係るゴム組成物は、下記式(甲)で表され、平均一次粒子径が10μm以下である無機化合物を含有する。上記無機化合物を配合することで、ウェットグリップ性能を改善できる。
kM・xSiOy・zHO (甲)
(式(甲)において、MはAl、Mg、Ti及びCaからなる群より選ばれた少なくとも一つの金属、該金属の酸化物又は水酸化物であり、kは1〜5の整数(好ましくは1)、xは0〜10の整数(好ましくは0)、yは2〜5の整数、zは0〜10(好ましくは0〜10の整数、より好ましくは0)である。)
上記式(甲)で表される無機化合物としては、アルミナ、アルミナ水和物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、タルク、チタン白、チタン黒、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化アルミニウムマグネシウム、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムカルシウム、ケイ酸マグネシウムなどがあげられる。これらの無機化合物は単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。なかでも、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、式(甲)において、Mが、Al、Mg、Ti及びCaからなる群より選ばれた少なくとも一つの金属の水酸化物であることが好ましく、Mが、Alの水酸化物(水酸化アルミニウム)であることがより好ましい。また、下記式(乙)で表される無機化合物も好適に使用できる。
Al(OH) (乙)
(式(乙)において、0≦a≦3、b=(3−a)/2である。)
上記式(乙)で表される無機化合物としては、アルミナAl(a=0)、水酸化アルミニウムAl(OH)(a=3)、アルミナ水和物(0<a<3)およびそのような酸化物または水酸化物の任意の混合物が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。なかでも、ウェットグリップ性能をより向上できるという理由から、水酸化アルミニウムが特に好適に用いられる。
上記無機化合物の平均一次粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは0.8μm以上である。0.5μm未満では、上記無機化合物の分散が困難となり、耐摩耗性が悪化する傾向がある。また、該平均一次粒子径は、10μm以下、好ましくは5μm以下である。10μmを超えると、上記無機化合物が破壊核となり、耐摩耗性が悪化する傾向がある。
なお、本発明において、上記無機化合物の平均一次粒子径は、数平均粒子径であり、透過型電子顕微鏡により測定される。
上記無機化合物(好ましくは水酸化アルミニウム)の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、5質量部以上、好ましくは8質量部以上である。5質量部未満では、ウェットグリップ性能の改善効果が小さいおそれがある。また、該上記無機化合物の含有量は、30質量部以下、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下である。30質量部を超えると、分散不良が発生し、低燃費性、耐摩耗性が悪化するおそれがある。
本発明に係るゴム組成物は、特定の軟化点を有する液状レジンを含有する。上記液状レジンを、特定量のNRを含有するゴム成分、特定量の特定の無機化合物及び特定量のシリカと併用することで、低燃費性、ウェットグリップ性能、操縦安定性をバランス良く改善できる。
上記液状レジンは、通常、重量平均分子量が数百から数千の熱可塑性樹脂であり、天然ゴムや合成ゴムなどに配合することにより、粘着性を付与することができる樹脂である。上記液状レジンとしては、例えば、クマロンインデン樹脂、インデン樹脂、α−メチルスチレン樹脂、ビニルトルエン樹脂、ポリイソペンタン樹脂などの石油系又は石炭系樹脂の液状体などがあげられる。その他、液状レジンとしては、クマロン樹脂、ナフテン樹脂、フェノール樹脂、テルペン樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン、ロジンエステル、水素添加ロジン誘導体、水素添加テルペン樹脂といった天然樹脂の液状体や、アルキルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、脂肪族系石油樹脂、キシレン−ホルムアルデヒド系樹脂、フェノール変性C9系石油樹脂、カルボン酸変性C9系石油樹脂、ジシクロペンタジエン変性C9系石油樹脂といった合成樹脂の液状体も使用できる。なかでも、本発明の効果が良好に得られるという点から、液状レジンとしては、液状クマロンインデン樹脂、液状インデン樹脂、液状α−メチルスチレン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、液状クマロンインデン樹脂がより好ましい。
クマロンインデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成するモノマー成分として、クマロン及びインデンを含む樹脂であり、クマロン、インデン以外に骨格に含まれるモノマー成分としては、スチレン、α−メチルスチレン、メチルインデン、ビニルトルエンなどが挙げられる。インデン樹脂、α−メチルスチレン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、それぞれインデン、α−メチルスチレンを含む樹脂である。
上記液状レジンの軟化点は、7℃以上、好ましくは8℃以上、より好ましくは9℃以上である。7℃未満であると、ウェットグリップ性能、操縦安定性が向上しないおそれがある。また、上記液状レジンの軟化点は、15℃以下、好ましくは13℃以下、より好ましくは11℃以下である。15℃を超えると、上記液状レジンの発熱性が上昇し、低燃費性を充分に改善できない傾向がある。
なお、本明細書において、軟化点とは、JIS K 6220−1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
上記液状レジンの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、30質量部以上、好ましくは32質量部以上である。30質量部未満では、上記液状レジンを配合した効果が充分に得られず、充分なウェットグリップ性能、操縦安定性が得られないおそれがある。また、上記液状レジンの含有量は、50質量部以下、好ましくは49質量部以下、より好ましくは37質量部以下である。50質量部を超えると、低燃費性、操縦安定性が悪化するおそれがある。液状レジンの含有量を上記範囲内とすることにより、本発明の効果が好適に得られる。
上記液状レジンはゴム組成物を軟化する作用を有しているため、上記液状レジンを用いることで、ゴム組成物中のオイル等の軟化成分(上記液状レジン以外の軟化成分)の含有量を少なくでき、低燃費性、ウェットグリップ性能、操縦安定性のバランスをより改善できる。本発明に係るゴム組成物において、上記液状レジン以外のレジンやオイルを含有してもよいが、上記液状レジン以外のレジンおよびオイルの合計含有量は、少ないほど好ましく、具体的には、ゴム成分100質量部に対して、5質量部以下、好ましくは4質量部以下、より好ましくは2質量部以下である。5質量部を超える場合は低燃費性、ウェットグリップ性能、操縦安定性が悪化し、これら3性能のバランスが悪化するおそれがある。下限値は、0質量部(実質的に含有しない)である。
なお、液状レジン以外のレジンとしては、上記液状レジンよりも軟化点が高い上記レジンがあげられる。
シリカの含有量(A)と、レジン(上記液状レジンも含む)及びオイルの合計含有量(B)の比(B)/(A)が0.27以上であることが好ましく、0.28以上であることがより好ましい。また、(B)/(A)が0.42以下であることが好ましく、0.38以下であることがより好ましく、0.36以下であることが更に好ましい。これにより、低燃費性、ウェットグリップ性能、操縦安定性をよりバランスよく改善することができる。ここで、各含有量は、ゴム成分100質量部に対する量(質量部)を意味する。また、シリカの含有量(A)は、2種以上のシリカを使用する場合は、合計含有量を意味する。
本発明では、更に、下記式(1)で表される化合物が使用されることが好ましい。これにより、本発明の効果がより好適に得られる。
Figure 2015212320
(式(1)中、Rは、水素原子、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30のアリール基、又は水酸基(−OH)を表す。R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30のアリール基、又は下記式(2)で表される基を表し、該アルキル基、該アルケニル基、該アルキニル基、該アリール基が有する水素原子が水酸基(−OH)又はカルボキシル基(−COOH)で置換されていてもよい。RとR、RとR、又はRとRとで環構造を形成してもよい。nは、0〜8の整数を表す。)
Figure 2015212320
(式(2)中、Rは、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基を表す。Rは、水素原子、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30のアリール基、又は水酸基(−OH)を表す。pは、0〜10の整数を表す。)
の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30(好ましくは炭素数3〜25、より好ましくは炭素数10〜20、更に好ましくは炭素数15〜20)のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30(好ましくは炭素数3〜25、より好ましくは炭素数10〜20、更に好ましくは炭素数15〜20)のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、1−オクテニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、オクタデセニル基等が挙げられる。
の分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30(好ましくは炭素数6〜10)のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられる。
としては、水素原子、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、水酸基(−OH)が好ましく、上記アルキル基がより好ましい。
及びRの分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜25、より好ましくは炭素数1〜20、更に好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜5)のアルキル基としては、例えば、上記Rの分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基と同様の基を挙げることができる。
及びRの分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30(好ましくは炭素数2〜25、より好ましくは炭素数2〜20、更に好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは炭素数2〜5)のアルケニル基としては、例えば、上記Rの分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基と同様の基を挙げることができる。
及びRの分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30(好ましくは炭素数2〜25、より好ましくは炭素数2〜20、更に好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは炭素数2〜5)のアルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、へプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基等が挙げられる。
及びRの分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30(好ましくは炭素数6〜10)のアリール基としては、例えば、上記Rの分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30のアリール基と同様の基を挙げることができる。
及びRとしては、水素原子、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、水酸基若しくはカルボキシル基で置換された分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、水酸基若しくはカルボキシル基で置換された分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30のアリール基、上記式(2)で表される基が好ましく、上記アルキル基、水酸基若しくはカルボキシル基で置換された上記アルキル基がより好ましく、上記アルキル基と、水酸基若しくはカルボキシル基で置換された上記アルキル基との組合せが更に好ましい。
nは、0〜8の整数を表すが、より好適に低燃費性、ウェットグリップ性能、操縦安定性をバランス良く向上できるという理由から、nは0〜3であることが好ましく、0であることがより好ましい。
の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜15、より好ましくは炭素数1〜3)のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基等が挙げられる。
の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30(好ましくは炭素数3〜25、より好ましくは炭素数10〜20)のアルキル基としては、例えば、上記Rの分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基と同様の基を挙げることができる。
の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30(好ましくは炭素数3〜25、より好ましくは炭素数10〜20)のアルケニル基としては、例えば、上記Rの分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基と同様の基を挙げることができる。
の分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30(好ましくは炭素数6〜10)のアリール基としては、例えば、上記Rの分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30のアリール基と同様の基を挙げることができる。
としては、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基が好ましい。
pは、0〜10の整数を表すが、より好適に低燃費性、ウェットグリップ性能、操縦安定性をバランス良く向上できるという理由から、pは0〜3であることが好ましく、0であることがより好ましい。
上記式(1)で表される化合物としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、オクタデカンアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)オクタデカンアミド、ε−カプロラクタム、サルコシン、N−ラウロイルサルコシン、N−オクタデシルサルコシン、N,N’−エチレンビスオクタデカンアミド、N−(1−オキソオクタデシル)サルコシンなどが挙げられ、なかでも、N−ラウロイルサルコシン、N−(1−オキソオクタデシル)サルコシンが好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明に係るゴム組成物が上記式(1)で表される化合物を含有する場合、上記式(1)で表される化合物の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1質量部以上である。0.1質量部未満であると、上記式(1)で表される化合物を配合したことにより得られる効果を充分に得られないおそれがある。また、該含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは10質量部以下、特に好ましくは5質量部以下である。20質量部を超えると、加硫後の硬度が低下し、操縦安定性が悪化するおそれがある。
本発明では、上記式(1)で表される化合物に加えて、更にアミノ酸誘導体を配合することが好ましい。これにより、より好適にシリカの分散性を向上でき、良好な加工性、作業性を維持しつつ、より好適に低燃費性、ウェットグリップ性能、操縦安定性をバランス良く向上できる。
上記式(1)で表される化合物に加えて、更にアミノ酸誘導体を配合する場合には、上記式(1)で表される化合物とアミノ酸誘導体との混合物として市販されているSchill+Seilacher社製のHT254等を使用してもよい。
本発明に係るゴム組成物が上記式(1)で表される化合物を含有する場合、上記式(1)で表される化合物とアミノ酸誘導体の合計含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。0.2質量部未満であると、上記式(1)で表される化合物を配合したことにより得られる効果を充分に得られないおそれがある。また、該合計含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは15質量部以下、より好ましくは11質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。15質量部を超えると、加硫後の硬度が低下し、操縦安定性が悪化するおそれがある。
本発明に係るゴム組成物は、上述の薬品以外の添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、公知のものを用いることができ、硫黄などの加硫剤;チアゾール系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤などの加硫促進剤;ステアリン酸、酸化亜鉛などの加硫活性化剤;ジクミルパーオキシド、ジターシャリブチルパーオキシドなどの有機過酸化物;カーボンブラックなどの補強剤;炭酸カルシウム、マイカなどの充填剤;加工助剤;老化防止剤;滑剤を例示することができる。
上記硫黄としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄があげられる。硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜15質量部であり、より好ましくは0.3〜10質量部であり、更に好ましくは0.5〜5質量部である。
上記加硫促進剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジサルファイド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミドなどのチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドなどのチウラム系加硫促進剤;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドなどのスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジンなどのグアニジン系加硫促進剤をあげることができる。なかでも、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、スルフェンアミド系加硫促進剤が好ましく、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドがより好ましい。また、更にグアニジン系加硫促進剤を併用することも好ましい。加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜7質量部であり、より好ましくは1〜6質量部である。
上記カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイトなどをあげることができる。カーボンブラックとしては、EPC、MPC及びCCのようなチャンネルカーボンブラック;SAF、ISAF、HAF、MAF、FEF、SRF、GPF、APF、FF、CF、SCF及びECFのようなファーネスカーボンブラック;FT及びMTのようなサーマルカーボンブラック;アセチレンカーボンブラックが例示される。これらは1種以上用いることができる。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは、5〜200m/gである。下限は50m/gであることが好ましく、80m/gであることがより好ましい。また、上限は150m/gであることが好ましく、130m/gであることがより好ましい。また、カーボンブラックのジブチルフタレート(DBP)吸収量は、好ましくは、5〜300ml/100gである。該窒素吸着比表面積は、ASTM D4820−93に従って測定され、該DBP吸収量は、ASTM D2414−93に従って測定される。市販品としては、三菱化学社製 商品名 ダイアブラックN220、東海カーボン社製 商品名 シースト6、シースト7HM、シーストKH、デグッサ社製 商品名 CK3、Special Black 4Aなどを用いることができる。
本発明に係るゴム組成物がカーボンブラックを含有する場合、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1〜50質量部である。また、該含有量は、強度を高めるために、より好ましくは2質量部以上であり、更に好ましくは3質量部以上である。また、低燃費性を高めるために、より好ましくは30質量部以下であり、更に好ましくは8質量部以下である。
本発明に係るゴム組成物は、一般的な方法で製造される。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどで上記各成分を混練りし、その後加硫する方法等により製造できる。
本発明に係るゴム組成物(加硫後)のガラス転移温度(tanδピーク温度)は、−17〜7℃の範囲内にあることが好ましい。ゴム組成物のガラス転移温度を上記範囲内とすることにより、ゴム組成物のガラス転移温度と液状レジンの軟化点とが近くなり、本発明の効果を更に顕著に発揮できる。なお、−17℃未満であると、充分なウェットグリップ性能、操縦安定性が得られないおそれがある。また、7℃を超えると、充分な低燃費性が得られないおそれがある。ガラス転移温度は、より好ましくは−16℃以上であり、更に好ましくは−15℃以上である。また、ガラス転移温度は、より好ましくは−7℃以下であり、更に好ましくは−9℃以下である。
なお、ガラス転移温度は、後述する粘弾性温度分散測定試験により測定することができる。
本発明に係るゴム組成物は、低燃費性、ウェットグリップ性能、操縦安定性が高次元でバランス良く得られる。
本発明に係るゴム組成物は、タイヤのトレッドとして好適に用いられる。2層構造のトレッドの場合には、表面層(キャップトレッド)及び内面層(ベーストレッド)から構成され、本発明に係るゴム組成物は、キャップトレッド、ベーストレッドのどちらにも使用できるが、キャップトレッドとして好適に用いられる。
多層構造のトレッドは、シート状にしたものを、所定の形状に貼り合わせる方法や、2本以上の押出し機に装入して押出し機のヘッド出口で2層以上に形成する方法により作製することができる。
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法により製造される。すなわち、天然ゴム、シリカ、特定の無機化合物、軟化点7〜15℃の液状レジン、及び必要に応じて上記各種配合剤を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッドなどの各タイヤ部材の形状に合わせて押し出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することで、本発明の空気入りタイヤが得られる。
本発明の空気入りタイヤは、乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、二輪車用タイヤ、競技用タイヤ等として好適に用いられ、特に乗用車用タイヤとして好適に用いられる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下に、実施例及び比較例で用いた各種薬品について説明する。
天然ゴム(NR):TSR20
ブタジエンゴム(BR):宇部興産(株)製のウベポールBR150B(シス含量:97質量%)
スチレンブタジエンゴム(SBR):JSR(株)製のHPR355(変性S−SBR、結合スチレン量:28質量%、ビニル含量:56質量%、Tg:−27℃、式(3)で表される化合物により変性(式(3)中のR11=メトキシ基、R12=メトキシ基、R13=メトキシ基、R14=水素原子、R15=水素原子、n=3))
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイアブラックN220(NSA:111m/g、DBP吸収量:115ml/100g)
シリカ:デグッサ社製のウルトラジルVN3−G(NSA:175m/g)
水酸化アルミニウム:昭和電工(株)製のハイジライトH−43(平均一次粒子径:1μm)
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
オイル:(株)ジャパンエナジー製のX−140
レジン(1):ルトガーズケミカル社製のNOVARES C10(液状クマロンインデン樹脂、軟化点:約10℃)
レジン(2):アリゾナケミカル社製のSA85(軟化点:約85℃)
レジン(3):イーストマン・ケミカル・カンパニー社製のピッコラスティックA5(軟化点:約5℃)
化合物(1):Schill+Seilacher社製のHT254(脂肪酸アミド系加工助剤(脂肪酸アミド(上記式(1)で表される化合物(N−(1−オキソオクタデシル)サルコシン))とアミノ酸誘導体の混合物)(脂肪酸アミドの含有率:25〜50質量%))
化合物(2):東京化成工業(株)製のラウロイルサルコシン
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン3C
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸つばき
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤(1):住友化学(株)製のソクシノールCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤(2):住友化学(株)製のソクシノールD(1,3−ジフェニルグアニジン)
<実施例及び比較例>
表1に示す配合内容に従い、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で3分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で3分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を170℃で20分間、0.5mm厚の金型でプレス加硫し、シート状の加硫ゴム組成物を得た。
また、得られた未加硫ゴム組成物をトレッドの形状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、160℃で20分間プレス加硫し、試験用タイヤ(サイズ:195/65R15)を製造した。
得られた加硫ゴム組成物、試験用タイヤを使用して、下記の評価を行った。それぞれの試験結果を表1に示す。
(粘弾性温度分散測定試験)
(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメータを用い、周波数10Hz、初期歪10%、振幅±0.25%および昇温速度2℃/minの条件下で、上記方法にて得られた加硫ゴム組成物のtanδの温度分布曲線を作成し、得られた温度分布曲線における最も大きいtanδ値に対応する温度をtanδピーク温度(Tg(℃))として測定した。tanδピーク温度は、ゴム組成物(加硫後)のガラス転移温度に相当する。
(ウェットグリップ性能)
各試験用タイヤを車両(国産FF2000cc)の全輪に装着して、湿潤アスファルト路面にて初速度100km/hからの制動距離を求めた。結果は指数で表し、数字が大きいほどウェットスキッド性能(ウェットグリップ性能)が良好である。指数は次の式で求めた。
ウェットスキッド性能指数=(比較例1の制動距離)/(各配合の制動距離)×100
(低燃費性)
転がり抵抗試験機を用い、試験用タイヤを、リム(15×6JJ)、内圧(230kPa)、荷重(3.43kN)、速度(80km/h)で走行させたときの転がり抵抗を測定し、比較例1を100とした時の指数で表示した。指数が大きい方が、低燃費性に優れることを示す。
(操縦安定性)
製造した試験用タイヤを装着した普通乗用車(2000CC)にてテストコースにおいて官能試験を実施した。比較例1を100とし、点数が高いほど操縦安定性が良好である。
Figure 2015212320
表1に示すように、天然ゴムと、シリカと、特定の無機化合物と、軟化点7〜15℃の液状レジンとをそれぞれ所定量含有し、上記液状レジン以外のレジン及びオイルの合計含有量を所定量以下としたゴム組成物で作製したトレッドを有する空気入りタイヤでは、低燃費性、ウェットグリップ性能、操縦安定性の性能バランスを顕著に改善できた。特に、上記式(1)で表される化合物を用いることにより、当該性能バランスを格別顕著に改善できた。

Claims (8)

  1. ゴム成分と、シリカと、下記式(甲)で表され、平均一次粒子径が10μm以下である無機化合物と、軟化点7〜15℃の液状レジンとを含有し、
    前記ゴム成分100質量%中、天然ゴムの含有量が10〜30質量%であり、
    前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が105〜160質量部であり、前記無機化合物の含有量が5〜30質量部であり、前記液状レジンの含有量が30〜50質量部であり、前記液状レジンを除くレジン及びオイルの合計含有量が0〜5質量部であるゴム組成物で構成されるトレッドを備える空気入りタイヤ。
    kM・xSiO・zHO (甲)
    (式(甲)において、MはAl、Mg、Ti及びCaからなる群より選ばれた少なくとも1つの金属、該金属の酸化物又は水酸化物であり、kは1〜5の整数、xは0〜10の整数、yは2〜5の整数、zは0〜10である。)
  2. 前記シリカの含有量(A)と、レジン及びオイルの合計含有量(B)が以下の式(C)を満たす請求項1に記載の空気入りタイヤ。
    0.27≦(B)/(A)≦0.42 (C)
  3. 前記ゴム組成物のガラス転移温度が−17〜7℃の範囲内にある請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記無機化合物が、下記式(乙)で表される無機化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
    Al(OH) (乙)
    (式(乙)において、0≦a≦3、b=(3−a)/2である。)
  5. 前記無機化合物が水酸化アルミニウムである請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記液状レジンが、液状クマロンインデン樹脂、液状インデン樹脂及び液状α−メチルスチレン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記ゴム組成物は、下記式(1)で表される化合物を含有する請求項1〜6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
    Figure 2015212320
    (式(1)中、Rは、水素原子、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30のアリール基、又は水酸基を表す。R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30のアリール基、又は下記式(2)で表される基を表し、該アルキル基、該アルケニル基、該アルキニル基、該アリール基が有する水素原子が水酸基又はカルボキシル基で置換されていてもよい。RとR、RとR、又はRとRとで環構造を形成してもよい。nは、0〜8の整数を表す。)
    Figure 2015212320
    (式(2)中、Rは、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基を表す。Rは、水素原子、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30のアリール基、又は水酸基を表す。pは、0〜10の整数を表す。)
  8. 前記シリカ100質量部に対する式(1)で表される化合物の含有量が0.1〜20質量部である請求項7に記載の空気入りタイヤ。
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