JP2019026710A - 光反射用熱硬化性樹脂組成物、光半導体素子搭載用基板及びその製造方法、並びに光半導体装置 - Google Patents

光反射用熱硬化性樹脂組成物、光半導体素子搭載用基板及びその製造方法、並びに光半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた耐熱変色性及び機械的特性を有し、耐久性を向上した硬化物を形成する光反射用熱硬化性樹脂組成物、これを用いた光半導体素子搭載用基板及びその製造方法、並びに、光半導体装置を提供すること。【解決手段】本発明の光反射用熱硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤、無機充填剤、白色顔料及び熱伝導性フィラーを含有し、熱伝導性フィラーの粒径が、白色顔料の粒径よりも大きい。【選択図】なし

Description

本発明は、光反射用熱硬化性樹脂組成物、光半導体素子搭載用基板及びその製造方法、並びに光半導体装置に関する。
LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)等の光半導体素子と蛍光体とを組み合わせた光半導体装置は、エネルギー効率が高く、寿命が長いことから、屋外用ディスプレイ、携帯液晶バックライト、車載用途等の様々な用途に使用され、その需要が拡大している。これに伴い、LEDデバイスの高輝度化が進んでおり、素子の発熱量増大によるジャンクション温度の上昇、又は、直接的な光エネルギーの増大による光半導体装置の劣化を防ぐことが求められている。
特許文献1には、樹脂硬化後の可視光から近紫外光領域において高い反射率を有する熱硬化性樹脂組成物を用いた光半導体素子搭載用基板が開示されている。また、特許文献2には、光漏れを低減した光半導体素子搭載用部材が開示されている。
特開2012−254633号公報 特開2010−287837号公報
ところで、光半導体素子搭載用基板には、高温下で長時間使用された際にも光学特性を維持することが求められている。そのため、光反射用熱硬化性樹脂組成物には、樹脂の耐熱変色性を向上させることで、反射率を長期に維持できる硬化物を形成することが必要となる。そして、光反射用熱硬化性樹脂組成物には、熱時硬度及び曲げ強度が高く、機械的特性に優れることも求められる。
そこで、本発明は、優れた耐熱変色性及び機械的特性を有し、耐久性を向上した硬化物を形成する光反射用熱硬化性樹脂組成物、これを用いた光半導体素子搭載用基板及びその製造方法、並びに、光半導体装置を提供することを目的とする。
本発明は、エポキシ樹脂、硬化剤、無機充填剤、白色顔料及び熱伝導性フィラーを含有し、熱伝導性フィラーの粒径が、白色顔料の粒径よりも大きい、光反射用熱硬化性樹脂組成物に関する。
熱伝導性フィラーの中心粒径は、10〜200μmであってもよい。また、熱伝導性フィラーは、25℃で12W/(m・K)以上の熱伝導率を有する無機化合物であってもよい。さらに、熱伝導性フィラーの含有量は、エポキシ樹脂100質量部に対して、10〜500質量部であってもよい。
別の側面において、本発明は、上記光反射用熱硬化性樹脂組成物の硬化物を備える光半導体素子搭載用基板に関する。本発明に係る光半導体素子搭載用基板は、底面及び壁面から構成される凹部を有し、当該凹部の底面が光半導体素子の搭載部であってもよい。この場合、凹部の壁面の少なくとも一部が、上記光反射用熱硬化性樹脂組成物の硬化物である。また、本発明に係る光半導体素子搭載用基板は、基板と、当該基板上に設けられた第1の接続端子及び第2の接続端子と、第1の接続端子と第2の接続端子との間に設けられた、上記光反射用熱硬化性樹脂組成物の硬化物と、を備えていてもよい。
さらに別の側面において、本発明は、上記光半導体素子搭載用基板と、該光半導体素子搭載用基板に搭載された光半導体素子とを有する光半導体装置に関する。
さらに別の側面において、本発明は、底面及び壁面から構成される凹部を有する光半導体素子搭載用基板の製造方法に関する。本発明に係る製造方法は、凹部の壁面の少なくとも一部を、上記光反射用熱硬化性樹脂組成物をトランスファー成形して形成する工程を備える。
本発明によれば、優れた耐熱変色性及び機械的特性を有し、耐久性を向上した硬化物を形成する光反射用熱硬化性樹脂組成物、これを用いた光半導体素子搭載用基板及びその製造方法、並びに、光半導体装置を提供することができる。
光半導体素子搭載用基板の一実施形態を示す斜視図である。 光半導体素子搭載用基板を製造する工程の一実施形態を示す概略図である。 光半導体素子搭載用基板に光半導体素子を搭載した状態の一実施形態を示す斜視図である。 光半導体装置の一実施形態を示す模式断面図である。 光半導体装置の他の実施形態を示す模式断面図である。 光半導体装置の他の実施形態を示す模式断面図である。 銅張積層板の一実施形態を示す模式断面図である。 銅張積層板を用いて作製された光半導体装置の一例を示す模式断面図である。 光半導体装置の他の実施形態を示す模式断面図である。 バリ長さの測定時に使用するバリ測定用金型の構造及びバリを模式的に示した図である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されない。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られない。
本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。本明細書に例示する材料は、特に断らない限り、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びそれに対応するメタクリレートの少なくとも一方を意味する。
[光反射用熱硬化性樹脂組成物]
本実施形態の光反射用熱硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤、無機充填剤、白色顔料及び熱伝導性フィラーを含有し、熱伝導性フィラーの粒径は、白色顔料の粒径よりも大きい。
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂としては、電子部品封止用エポキシ樹脂成形材料で一般に使用されているエポキシ樹脂を用いることができる。本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂を含有することで、熱時硬度及び曲げ強度が高く、機械的特性を向上した硬化物を形成することができる。エポキシ樹脂として、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のフェノール類とアルデヒド類のノボラック樹脂をエポキシ化したエポキシ樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS及びアルキル置換ビスフェノール等のジグリシジルエーテル;ジアミノジフェニルメタン及びイソシアヌル酸等のポリアミンとエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂;並びに脂環族エポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのうち、ジグリシジルイソシアヌレート、トリグリシジルイソシアヌレート等のトリアジン誘導体エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、及び、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸又は1,4−シクロヘキサンジカルボン酸から誘導されるジカルボン酸ジグリシジルエステルが、着色が少ないことから好ましい。同様の理由から、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ナジック酸及びメチルナジック酸等のジカルボン酸のジグリシジルエステルも好適である。芳香環が水素化された脂環式構造を有する核水素化トリメリット酸、核水素化ピロメリット酸等のグリシジルエステルも挙げられる。シラン化合物を有機溶媒、有機塩基及び水の存在下に加熱して、加水分解して縮合させることにより製造される、エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンも挙げられる。
エポキシ樹脂は、市販品を使用してもよい。3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートとして、例えば、株式会社ダイセルの製品名「セロキサイド2021」、「セロキサイド2021A」及び「セロキサイド2021P」、ダウケミカル日本株式会社の製品名「ERL4221」、「ERL4221D」及び「ERL4221E」を入手できる。ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペートとして、例えば、ダウケミカル日本株式会社の製品名「ERL4299」、DIC株式会社の製品名「EXA−7015」を入手できる。1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン又はリモネンジエポキシドとして、例えば、三菱ケミカル株式会社の製品名「jER YX8000」、「jER YX8034」及び「jER YL7170」、株式会社ダイセルの製品名「セロキサイド2081」、「セロキサイド3000」、「エポリードGT301」、「エポリードGT401」及び「EHPE3150」を入手できる。トリスグリシジルイソシアヌレートとしては、例えば、日産化学工業株式会社の製品名「TEPIC」を入手できる。
(硬化剤)
硬化剤としては、電子部品封止用エポキシ樹脂成形材料で一般に使用されている硬化剤を用いることができる。硬化剤としては、エポキシ樹脂と反応して硬化物が得られるものであれば、特に限定されないが、着色の少ない硬化剤が好ましく、無色又は淡黄色の硬化剤がより好ましい。硬化剤として、例えば、酸無水物系硬化剤、イソシアヌル酸誘導体系硬化剤及びフェノール系硬化剤が挙げられる。硬化剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸無水物系硬化剤としては、例えば、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ナジック酸、無水グルタル酸、無水ジメチルグルタル酸、無水ジエチルグルタル酸、無水コハク酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸及びメチルテトラヒドロ無水フタル酸が挙げられる。
イソシアヌル酸誘導体としては、1,3,5−トリス(1−カルボキシメチル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3−カルボキシプロピル)イソシアヌレート及び1,3−ビス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートが挙げられる。
フェノール系硬化剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類と、ホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド類とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られる、ノボラック型フェノール樹脂;フェノール類及び/又はナフトール類と、ジメトキシパラキシレン又はビス(メトキシメチル)ビフェニルとから合成されるフェノール・アラルキル樹脂;ビフェニレン型フェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂;フェノール類及び/又はナフトール類と、ジシクロペンタジエンとの共重合によって合成される、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂;トリフェニルメタン型フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂;パラキシリレン及び/又はメタキシリレン変性フェノール樹脂;メラミン変性フェノール樹脂;並びにこれら2種以上を共重合して得られるフェノール樹脂が挙げられる。
これらの硬化剤の中では、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸、無水ジメチルグルタル酸、無水ジエチルグルタル酸又は1,3,5−トリス(3−カルボキシプロピル)イソシアヌレートを用いることが好ましい。
本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物において、硬化剤の含有量は、エポキシ樹脂100質量部に対して、10〜150質量部であることが好ましく、50〜130質量部であることがより好ましく、60〜120質量部であることが更に好ましい。
硬化剤の配合割合は、エポキシ樹脂中のエポキシ基1当量に対して、当該エポキシ基との反応可能な硬化剤中の活性基(酸無水物基又は水酸基)が0.5〜2.0当量となることが好ましく、0.6〜1.5当量となることがより好ましく、0.7〜1.2当量となることが更に好ましい。上記活性基が0.5当量以上であると、熱硬化性樹脂組成物から形成される硬化物のガラス転移温度が高くなり、充分な弾性率が得られ易くなる。一方、上記活性基が2.0当量以下であると、硬化後の強度が低下し難くなる。
(プレポリマー)
上記エポキシ樹脂と上記硬化剤とは、事前に反応させたプレポリマーの状態で熱硬化性樹脂組成物に存在していてもよい。プレポリマーは、例えば、上記エポキシ樹脂及び硬化剤と、必要に応じて硬化促進剤等のその他の成分とを、好ましくは60〜120℃、より好ましくは70〜110℃で、好ましくは4〜20時間、より好ましくは6〜15時間反応させることにより得られる。プレポリマーの状態で存在することで、バリ長さをより一層低減することができる。
(白色顔料)
白色顔料は、本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物から得られる硬化物(成形体)に白色系の色調を付与するために用いられ、特にその色調を高度の白色とすることにより、成形体の光反射率を向上させることができる。本明細書において、白色顔料としては、上記エポキシ樹脂に対して白色の無機化合物を5体積%加え混合し、180℃で硬化して得られる硬化物の460nmにおける光反射率が75%以上を示す無機化合物が包含される。なお、当該光反射率が75%未満を示す無機化合物は、後述する無機充填剤に包含される。
白色顔料としては、例えば、酸化イットリウム等の希土類酸化物、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、硫酸亜鉛、酸化ジルコニウム等を用いることができる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。光反射性をより向上することから、白色顔料は、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化アンチモン及び酸化ジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、酸化チタン、酸化アンチモン及び酸化ジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。
白色顔料の中心粒径は、0.05以上10μm未満であることが好ましく、0.08〜8μmであることがより好ましく、0.1〜5μmであることが更に好ましい。白色顔料の中心粒径が0.05μm以上であると分散性がより良好になり、10μm未満であると硬化物の光反射特性がより良好になる。本明細書において、中心粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D50(又はメジアン径)として求めることができる。
(熱伝導性フィラー)
本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物は、熱伝導性フィラーを含有することで、光反射性、絶縁性、放熱性及び耐熱性のバランスに優れる硬化物を形成することができる。
硬化物の放熱性を向上する点から、熱伝導性フィラーは、25℃で12W/(m・K)以上の熱伝導率を有する無機化合物であることが好ましい。硬化物の放熱性を更に向上する点から、熱伝導性フィラーとして用いられる無機化合物の熱伝導率は、15W/(m・K)以上がより好ましく、20W/(m・K)以上が更に好ましく、30W/(m・K)以上が特に好ましい。熱伝導性フィラーとして用いる無機化合物の熱伝導率の上限は特に制限されず、高ければ高いほどよいが、一般的には3000W/(m・K)以下が好ましく、2500W/(m・K)以下がより好ましく、2000W/(m・K)以下が更に好ましい。
熱伝導性フィラーとして用いられる無機化合物としては、例えば、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ダイヤモンドフィラー、酸化亜鉛、窒化ケイ素及び炭化ケイ素が挙げられる。酸化亜鉛及び炭化ケイ素には、必要に応じて絶縁処理をしてもよい。
25℃における各無機化合物の熱伝導率(単位:W/(m・K))は、例えば、酸化マグネシウムが60、アルミナが30、窒化アルミニウムが200、窒化ホウ素が80、ダイヤモンドフィラーが2000、酸化亜鉛が54、窒化ケイ素が26、炭化ケイ素が150である。
硬化物の放熱性を向上する点から、熱伝導性フィラーの粒径は、白色顔料の粒径よりも大きい。本明細書において、白色顔料及び熱伝導性フィラーの両方に当てはまる無機化合物は、粒径により区別することができる。例えば、中心粒径が10μm未満のアルミナは白色顔料として用いることができ、中心粒径が10μm以上のアルミナは熱伝導性フィラーとして用いることができる。すなわち、本実施形態に係る熱伝導性フィラーには、25℃で12W/(m・K)以上の熱伝導率を有し、かつ、中心粒径が10μm以上である無機化合物が包含される。
熱伝導性フィラーの中心粒径は、10〜200μmが好ましく、20〜150μmがより好ましく、30〜100μmが更に好ましく、60〜100μmが特に好ましい。熱伝導性フィラーの中心粒径が10μm以上であると、硬化物の放熱性を向上し易くなる。また、熱伝導性フィラーの中心粒径が200μm以下であると、成形性がより良好になる。
取り扱い易さの点から、熱伝導性フィラーは、アルミナ、窒化ホウ素、酸化亜鉛、酸化マグネシウム及び窒化ケイ素からなる群より選ばれる少なくとも1種の無機化合物を含むことが好ましく、アルミナ、窒化ホウ素及び酸化亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種の無機化合物を含むことがより好ましい。
上記無機化合物の市販品として、例えば、堺化学工業株式会社の製品名「SMO−5」、「SMO−1」、「SMO−02」、「SMO−2」等の酸化マグネシウム、昭和電工株式会社の製品名「CBA09S」、デンカ株式会社の製品名「DAW−03」、「ASFP−20」等のアルミナ、水島合金鉄株式会社の製品名「FS−3」等の窒化ホウ素が入手可能である。
硬化物の放熱性を向上させる点から、熱硬化性樹脂組成物中の熱伝導性フィラーの含有量は、エポキシ樹脂100質量部に対して、10質量部以上が好ましく、20質量部以上がより好ましく、25質量部以上が更に好ましい。成形性及び硬化物の機械特性を向上する点から、熱硬化性樹脂組成物中の熱伝導性フィラーの含有量は、エポキシ樹脂100質量部に対して、500質量部以下が好ましく、300質量部以下がより好ましく、250質量部以下が更に好ましい。熱伝導性フィラーの含有量は、エポキシ樹脂100質量部に対して、10〜500質量部、20〜300質量部又は25〜250質量部であってもよい。
(無機充填剤)
本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物は、無機充填剤を含有することで、成形性を向上することができる。本実施形態に係る無機充填剤は、上述した白色顔料及び熱伝導性フィラーのいずれにも包含されない無機化合物である。無機充填剤としては、例えば、石英、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、チタン酸カリウム及びケイ酸カルシウムが挙げられる。成形性の点から、無機充填剤はシリカを含むことが好ましい。
無機充填剤の中心粒径は、白色顔料とのパッキング性を向上させる観点から、1〜100μmであることが好ましく、3〜50μmであることがより好ましく、5〜40μmであることが更に好ましい。
成形性を向上させる観点から、無機充填剤、白色顔料及び熱伝導性フィラーの含有量の合計は、熱硬化性樹脂組成物の全量を基準として10〜90質量%であることが好ましく、30〜87質量%であることがより好ましく、50〜84質量%であることが更に好ましい。
<その他の成分>
本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂の硬化反応を促進するために、硬化促進剤を含有してもよい。また、熱硬化性樹脂組成物には、無機充填剤と、エポキシ樹脂との密着性を向上させるために、カップリング剤を添加してもよい。さらに、熱硬化性樹脂組成物は、成形性及び光反射率をより向上させるために、中空粒子を更に含有してもよい。
(硬化促進剤)
硬化促進剤としては、例えば、アミン化合物、イミダゾール化合物、有機リン化合物、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物及び第4級アンモニウム塩が挙げられる。これらの硬化促進剤の中でも、アミン化合物、イミダゾール化合物又は有機リン化合物を用いることが好ましい。硬化促進剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
アミン化合物としては、例えば、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、トリエチレンジアミン及びトリ−2,4,6−ジメチルアミノメチルフェノールが挙げられる。イミダゾール化合物として、例えば、2−エチル−4−メチルイミダゾールが挙げられる。有機リン化合物としては、例えば、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラ−n−ブチルホスホニウム−o,o−ジエチルホスホロジチオエート、テトラ−n−ブチルホスホニウム−テトラフルオロボレート及びテトラ−n−ブチルホスホニウム−テトラフェニルボレートが挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物中の硬化促進剤の含有量は、エポキシ樹脂100質量部に対して、0.01〜8質量部であることが好ましく、0.1〜5質量部であることがより好ましく、0.3〜4質量部であることが更に好ましい。硬化促進剤の含有量が、0.01質量部以上であると、十分な硬化促進効果を得られ易く、8質量部以下であると、硬化物の変色を抑制し易くなる。
(カップリング剤)
カップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、シランカップリング剤及びチタネート系カップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、例えば、エポキシシラン化合物、アミノシラン化合物、カチオニックシラン化合物、ビニルシラン化合物、アクリルシラン化合物及びメルカプトシラン化合物が挙げられる。カップリング剤の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の全量を基準として、5質量%以下であってもよい。
(中空粒子)
中空粒子は、内部に空隙部を有する粒子であり、外殻を構成する物質は特に限定されない。中空粒子は、入射光を表面及び内壁で屈折及び反射するため、白色顔料と併用することで、光反射性及び成形性をより一層向上した硬化物を形成することができる。
中空粒子としては、無機中空粒子、有機中空粒子等が挙げられる。無機中空粒子としては、例えば、珪酸ソーダガラス、アルミ珪酸ガラス、硼珪酸ソーダガラス及びシラス(白砂)が挙げられる。無機中空粒子は、上記無機充填剤として用いてもよい。有機中空粒子としては、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂及びこれらの架橋体が挙げられる。耐熱性及び耐圧強度の観点からは、中空粒子の外殻は、珪酸ソーダガラス、アルミ珪酸ガラス、硼珪酸ソーダガラス、シラス、架橋スチレン系樹脂及び架橋アクリル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の材質から構成されることが好ましく、珪酸ソーダガラス、アルミ珪酸ガラス、硼珪酸ソーダガラス及びシラスからなる群より選ばれる少なくとも1種の材質から構成されることがより好ましい。
中空粒子の中心粒径は、0.1〜50μmであることが好ましく、0.1〜30μmであることがより好ましい。中空粒子の中心粒径が0.1μm以上であると、熱硬化性樹脂組成物を調製する際に中空粒子を均一に分散し易い。また、中空粒子の中心粒径が50μm以下であると、形成される硬化物の光反射特性を向上し易い。
光反射率をより向上させる点から、中空粒子の含有量は、エポキシ樹脂100質量部に対して、10〜300質量部であることが好ましく、30〜200質量部であることがより好ましく、60〜150質量部であることが更に好ましい。
本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、離型剤、イオン捕捉剤等の添加剤を添加してもよい。
本実施形態の光反射用熱硬化性樹脂組成物は、上述した各種成分を均一に分散し混合することで作製することができる。作製手段、条件等は特に限定されない。熱硬化性樹脂組成物を作製する一般的な方法として、各成分をニーダー、ロール、エクストルーダー、らいかい機、又は、自転と公転を組み合わせた遊星式混合機によって混練する方法を挙げることができる。各成分を混練する際には、分散性を向上する観点から、溶融状態で行うことが好ましい。
混練の条件は、各成分の種類又は配合量により適宜決定すればよく、例えば、15〜100℃で5〜40分間混練することが好ましく、20〜100℃で10〜30分間混練することがより好ましい。混練温度が15℃以上であると、各成分を混練させ易くなり、分散性を向上できる。混練温度が100℃以下であると、混練時にエポキシ樹脂の高分子量化が進行して硬化することを抑制できる。混練時間が5分以上であると、十分な分散効果が得られ易くなる。混練時間が40分以下であると、混練時にエポキシ樹脂の高分子量化が進行して硬化することを抑制できる。
本実施形態の光反射用熱硬化性樹脂組成物は、高い光反射性及び耐熱性を必要とする光半導体素子実装用基板材料、電気絶縁材料、光半導体封止材料、接着材料、塗料材料、トランスファー成形用エポキシ樹脂成形材料等の様々な用途において有用である。以下、トランスファー成形用エポキシ樹脂成形材料として使用する際の例を述べる。
本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物を、成形金型温度180℃、成形圧力6.9MPa、成形時間90秒の条件でトランスファー成形した時のバリの長さは、7mm以下であることが好ましく、6mm以下であることがより好ましく、5mm以下であることが更に好ましい。バリの長さが7mm以下であれば、光半導体素子搭載用基板を作製する際、光半導体素子搭載領域となる開口部(凹部)の樹脂汚れを低減でき、光半導体素子と金属配線とを電気的に接続し易くなる。
本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物を、成形金型温度が180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒間の条件でトランスファー成形した時の成形直後のショアD硬度、すなわち、熱時硬度は、150℃で80以上であることが好ましく、85以上であることがより好ましい。熱時硬度が80以上であると、金型から成形物を離型し易くなる。
強靭性の点から、本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物を、成形金型温度が180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒間の条件でトランスファー成形した時の曲げ強度は、25℃で65MPa以上であることが好ましく、70MPa以上であることがより好ましい。曲げ強度が65MPa以上であると、強靭性に優れる。
耐熱劣化性点から、本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物を、成形金型温度180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件でトランスファー成形した時の熱伝導率は、25℃で0.65W/(m・K)以上であることが好ましく、0.70W/(m・K)以上であることがより好ましく、0.75W/(m・K)以上であることが更に好ましい。
光半導体装置の輝度を向上させる点から、本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物の硬化物の波長460nmにおける初期光反射率は、80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。耐熱着色性を良好にする観点から、当該硬化物を150℃で1000時間熱処理した後の波長460nmにおける光反射率は、65%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、75%以上であることが更に好ましい。
[光半導体素子搭載用基板]
本実施形態の光半導体素子搭載用基板は、底面及び壁面から構成される凹部を有する。凹部の底面が光半導体素子搭載部(光半導体素子搭載領域)であり、凹部の壁面、すなわち凹部の内周側面の少なくとも一部が本実施形態の光反射用熱硬化性樹脂組成物の硬化物からなるものである。
図1は、光半導体素子搭載用基板の一実施形態を示す斜視図である。光半導体素子搭載用基板110は、Ni/Agめっき104が形成された金属配線105(第1の接続端子及び第2の接続端子)と、金属配線105(第1の接続端子及び第2の接続端子)間に設けられた絶縁性樹脂成形体103’と、リフレクター103とを備え、Ni/Agめっき104が形成された金属配線105及び絶縁性樹脂成形体103’とリフレクター103とから形成された光半導体素子搭載領域(凹部)200を有している。この凹部200の底面は、Ni/Agめっき104が形成された金属配線105及び絶縁性樹脂成形体103’から構成され、凹部200の壁面はリフレクター103から構成される。リフレクター103及び絶縁性樹脂成形体103’が、上述の本実施形態に係る光反射用熱硬化性樹脂組成物の硬化物からなる成形体である。
光半導体素子搭載用基板の製造方法は特に限定されないが、例えば、光反射用熱硬化性樹脂組成物を用いたトランスファー成形により製造することができる。図2は、光半導体素子搭載用基板を製造する工程の一実施形態を示す概略図である。光半導体素子搭載用基板は、例えば、金属箔から打ち抜き、エッチング等の公知の方法により金属配線105を形成し、電気めっきによりNi/Agめっき104を施す工程(図2の(a))、次いで、該金属配線105を所定形状の金型151に配置し、金型151の樹脂注入口150から光反射用熱硬化性樹脂組成物を注入し、所定の条件でトランスファー成形する工程(図2の(b))、そして、金型151を外す工程(図2の(c))を経て製造することができる。このようにして、光半導体素子搭載用基板には、光反射用熱硬化性樹脂組成物の硬化物からなるリフレクター103に周囲を囲まれてなる光半導体素子搭載領域(凹部)200が形成される。また、凹部200の底面は、第1の接続端子となる金属配線105及び第2の接続端子となる金属配線105と、これらの間に設けられ光反射用熱硬化性樹脂組成物の硬化物からなる絶縁性樹脂成形体103’とから構成される。なお、上記トランスファー成形の条件としては、金型温度170〜200℃、より好ましくは170〜190℃、成形圧力0.5〜20MPa、より好ましくは2〜8MPaで、60〜120秒間、アフターキュア温度120℃〜180℃で1〜3時間が好ましい。
[光半導体装置]
本実施形態に係る光半導体装置は、上記光半導体素子搭載用基板と、当該光半導体素子搭載用基板に搭載された光半導体素子とを有する。より具体的な例として、上記光半導体素子搭載用基板と、光半導体素子搭載用基板の凹部内に設けられた光半導体素子と、凹部を充填して光半導体素子を封止する蛍光体含有封止樹脂部とを備える光半導体装置が挙げられる。
図3は、光半導体素子搭載用基板110に光半導体素子100を搭載した状態の一実施形態を示す斜視図である。図3に示すように、光半導体素子100は、光半導体素子搭載用基板110の光半導体素子搭載領域(凹部)200の所定位置に搭載され、金属配線105とボンディングワイヤ102により電気的に接続される。図4及び図5は、光半導体装置の一実施形態を示す模式断面図である。図4及び図5に示すように、光半導体装置は、光半導体素子搭載用基板110と、光半導体素子搭載用基板110の凹部200内の所定位置に設けられた光半導体素子100と、凹部200を充填して光半導体素子を封止する蛍光体106を含む透明な封止樹脂101からなる封止樹脂部とを備えており、光半導体素子100とNi/Agめっき104が形成された金属配線105とがボンディングワイヤ102又ははんだバンプ107により電気的に接続されている。
図6もまた、光半導体装置の一実施形態を示す模式断面図である。図6に示す光半導体装置では、リフレクター303が形成されたリード304上の所定位置にダイボンド材306を介してLED素子300が配置され、LED素子300とリード304とがボンディングワイヤ301により電気的に接続され、蛍光体305を含む透明な封止樹脂302によりLED素子300が封止されている。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はこれに制限されない。例えば、本実施形態の光反射用熱硬化性樹脂組成物を光反射コート剤として用いることができる。この実施形態として、銅張積層板、光半導体素子搭載用基板及び光半導体素子について説明する。
本実施形態に係る銅張積層板は、上述の光反射用熱硬化性樹脂組成物を用いて形成された光反射樹脂層と、該光反射樹脂層上に積層された銅箔と、を備える。
図7は、銅張積層板の好適な一実施形態を示す模式断面図である。図7に示すように、銅張積層板400は、基材401と、該基材401上に積層された光反射樹脂層402と、該光反射樹脂層402上に積層された銅箔403と、を備えている。ここで、光反射樹脂層402は、上述の光反射用熱硬化性樹脂組成物を用いて形成されている。
基材401としては、銅張積層板に用いられる基材を特に制限なく用いることができるが、例えば、エポキシ樹脂積層板等の樹脂積層板、光半導体搭載用基板などが挙げられる。
銅張積層板400は、例えば、本実施形態の光反射用熱硬化性樹脂組成物を基材401表面に塗布し、銅箔403を重ね、加熱加圧硬化して上記熱硬化性樹脂組成物からなる光反射樹脂層402を形成することにより作製することができる。
熱硬化性樹脂組成物の基材401への塗布方法としては、例えば、印刷法、ダイコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ロールコート法等の塗布方法を用いることができる。このとき、熱硬化性樹脂組成物には、塗布が容易となるように溶媒を含有させてもよい。なお、溶媒を用いる場合、上述した各成分の配合割合で熱硬化性樹脂組成物の全量を基準としたものについては、溶媒を除いたものを全量として設定することが好ましい。
加熱加圧の条件としては、特に限定されないが、例えば、130〜180℃、0.5〜4MPa、30〜600分間の条件で加熱加圧を行うことが好ましい。
上記銅張積層板を使用し、LED実装用等の光学部材用のプリント配線板を作製することができる。なお、図7に示した銅張積層板400は、基材401の片面に光反射樹脂層402及び銅箔403を積層したものであるが、銅張積層板は、基材401の両面に光反射樹脂層402及び銅箔403をそれぞれ積層したものであってもよい。また、銅張積層板は、基材401を用いることなく、光反射樹脂層402及び銅箔403のみで構成されていてもよい。この場合、光反射樹脂層402が基材としての役割をはたすこととなる。この場合、例えば、ガラスクロス等に本熱硬化性樹脂組成物を含浸させ、硬化させたものを光反射樹脂層402とすることができる。
図8は、銅張積層板を用いて作製された光半導体装置の一例を示す模式断面図である。図8に示すように、光半導体装置500は、光半導体素子410と、光半導体素子410が封止されるように設けられた透明な封止樹脂404とを備える表面実装型の発光ダイオードである。光半導体装置500において、光半導体素子410は、接着層408を介して銅箔403に接着されており、ボンディングワイヤ409により銅箔403と電気的に接続されている。
光半導体素子搭載用基板の他の実施形態として、上述の光反射用熱硬化性樹脂組成物を用いて、基材上の複数の導体部材(接続端子)間に形成された光反射樹脂層を備える光半導体素子搭載用基板が挙げられる。また、光半導体装置の他の実施形態は、上記の光半導体素子搭載用基板に光半導体素子を搭載してなるものである。
図9は、光半導体装置の好適な一実施形態を示す模式断面図である。図9に示すように、光半導体装置600は、基材601と、該基材601の表面に形成された複数の導体部材602と、複数の導体部材(接続端子)602間に形成された、上記光反射用熱硬化性樹脂組成物からなる光反射樹脂層603と、を備える光半導体素子搭載用基板に、光半導体素子610が搭載され、光半導体素子610が封止されるように透明な封止樹脂604が設けられた、表面実装型の発光ダイオードである。光半導体装置600において、光半導体素子610は、接着層608を介して導体部材602に接着されており、ボンディングワイヤ609により導体部材602と電気的に接続されている。
基材601としては、光半導体素子搭載用基板に用いられる基材を特に制限なく用いることができるが、例えば、エポキシ樹脂積層板等の樹脂積層板が挙げられる。
導体部材602は、接続端子として機能するものであり、例えば、銅箔をフォトエッチングする方法等、公知の方法により形成することができる。
光半導体素子搭載用基板は、上記光反射用熱硬化性樹脂組成物を基材601上の複数の導体部材602間に塗布し、加熱硬化して光反射用熱硬化性樹脂組成物からなる光反射樹脂層603を形成することにより作製することができる。
光反射用熱硬化性樹脂組成物の基材601への塗布方法としては、例えば、印刷法、ダイコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ロールコート法等の塗布方法を用いることができる。このとき、光反射用熱硬化性樹脂組成物には、塗布が容易となるように溶媒を含有させることができる。なお、溶媒を用いる場合、上述した各成分の配合割合で樹脂組成物全量を基準としたものについては、溶媒を除いたものを全量として設定することが好ましい。
光反射用熱硬化性樹脂組成物の塗膜を加熱硬化する際の加熱条件としては、特に限定されないが、例えば、130〜180℃、30〜600分間の条件で加熱を行ってもよい。
その後、導体部材602表面に余分に付着した樹脂成分は、バフ研磨等により除去し、導体部材602からなる回路を露出させ、光半導体素子搭載用基板とする。
また、光反射樹脂層603と導体部材602との密着性を確保するために、導体部材602に対して酸化還元処理、CZ処理(メック株式会社製)等の粗化処理を行なってもよい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はこれに制限されない。
以下、本発明を実施例により詳述するが、本発明はこれらに限定されない。
[光反射用熱硬化性樹脂組成物の作製]
表1又は表2に示した配合比(質量部)に従い、各成分を配合し、ミキサーによって十分混練した後、ミキシングロールにより40℃で15分間溶融混練して混練物を得た。混練物を冷却し、粉砕することによって、実施例及び比較例の光反射用熱硬化性樹脂組成物をそれぞれ作製した。
[評価]
(スパイラルフロー)
EMMI−1−66の規格に準じたスパイラルフロー測定用金型を用いて、熱硬化性樹脂組成物を成形金型温度180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件下でトランスファー成形し、その際の熱硬化性樹脂組成物の流動距離(cm)を測定した。
(バリ長さ)
得られた熱硬化性樹脂組成物を、ポットを用いて、バリ測定用金型(図10を参照)に流し込み、次いで硬化させることによって熱硬化性樹脂組成物を成形した。なお、成形時の金型温度は180℃、成形圧力は6.9MPa、樹脂の流し込み時間(トランスファー時間)は10秒であり、硬化温度は180℃、硬化時間は90秒とした。成形後、バリ測定用金型の上型を外し、成形時に金型の上型と下型との隙間を流れて生じたバリの長さの最大値を、ノギスを使用して測定した。
図10は、バリ長さの測定時に使用するバリ測定用金型の構造及びバリを模式的に示した図であり、(a)は側面断面図、(b)は平面図である。図10に示したように、バリ測定用金型は、一対の上型700と下型701とから構成され、上型700は樹脂注入口702を有する。また、下型701は、樹脂注入口702に対向するキャビティ703と、キャビティ703から金型外周部に向かって伸びる6本のスリット704、705、706、707、708及び709を有する。バリは、図10に示したように、熱硬化性樹脂組成物がキャビティ703の外延から各スリットに沿って流れ込み硬化した部分(樹脂バリ)710を意味する。ここで、本発明で規定する「バリの長さ」とは、図10に示すバリ測定用金型を用いトランスファー成形を行った際の、金型中心のキャビティ703から、金型の上型700と下型701との合わせ目の隙間にはみ出した硬化物(樹脂バリ710)の放射方向の最大長さをノギスで測定した値である。また、バリ測定用金型の寸法は、上型700及び下型701の外形が(140mm)×(140mm)、樹脂注入口の径が上部7mm、下部4mm、キャビティの径が30mm、キャビティの深さが4mmであり、6本のスリット704から709の深さは、順に75μm、50μm、30μm、20μm、10μm及び2μmである。
(熱時硬度)
熱硬化性樹脂組成物を、成形金型温度180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件でトランスファー成形することによって、直径50mm、厚み3mmの円板を作製した。成形後、直ちにショアD型硬度計を用いて、円板の硬度を150℃で測定した。
(曲げ強度)
熱硬化性樹脂組成物を、成形金型温度180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件でトランスファー成形することによって、10mm×70mm×3mmの試験片を作製した。曲げ試験機(株式会社エー・アンド・デイの製品名「テンシロン」)を用いて、試験片の曲げ強度を25℃で測定した。
(熱伝導率)
熱硬化性樹脂組成物を、成形金型温度180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件でトランスファー成形することによって、直径50mm、厚さ1mmの円柱状の試験片を作製した。キセノンフラッシュ(Xe−flash)法により、試験片の熱伝導率を25℃で測定した。
(光反射率)
熱硬化性樹脂組成物を、成形金型温度180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件でトランスファー成形することによって、厚み3mmの試験片を作製した。分光測色計(コニカミノルタジャパン株式会社の製品名「CM600d」)を用いて、波長460nmにおける試験片の初期光反射率を測定した。次いで、試験片を150℃のホットプレートで1000時間熱処理を行った後の光反射率を測定した。
Figure 2019026710
Figure 2019026710
表1及び2中、*1〜10は以下の通りである。
*1:トリスグリシジルイソシアヌレート(日産化学工業株式会社の製品名「TEPIC−S」、エポキシ当量100)
*2:ヘキサヒドロ無水フタル酸(和光純薬工業株式会社製)
*3:テトラブチルホスホニウムテトラフェニルボラート(日本化学工業株式会社の製品名「PX−4PB」)
*4:トリメトキシエポキシシラン(東レ・ダウコーニング株式会社の製品名「A−187」)
*5:シリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング株式会社製の製品名「OE−6366A」及び「OE−6366B」を質量比1:1で混合したシリコーン樹脂。)
*6:溶融シリカ(新日鉄住金株式会社の製品名「S140」、中心粒径36μm)
*7:中空粒子(スリーエムジャパン株式会社の製品名「S60−HS」、中心粒径24μm)
*8:酸化チタン(石原産業株式会社の製品名「CR−95」、中心粒径0.3μm)
*9:窒化ホウ素(水島合金鉄株式会社の製品名「FS−3」、中心粒径76μm)
*10:アルミナ(デンカ株式会社の製品名「DAW−45」、中心粒径45μm)
実施例の光反射用熱硬化性樹脂組成物は、成形時のバリが少なく、機械的特性及び熱伝導性に優れる硬化物(成形体)を形成できることが確認できる。そして、実施例で作製された成形体は、熱処理後の光反射率の低下が抑えられていることから、耐熱変色性に優れ、耐久性を向上できることが確認できる。
100…光半導体素子、101…封止樹脂、102…ボンディングワイヤ、103…リフレクター、103’…絶縁性樹脂成形体、104…Ni/Agめっき、105…金属配線、106…蛍光体、107…はんだバンプ、110…光半導体素子搭載用基板、150…樹脂注入口、151…金型、200…光半導体素子搭載領域、300…LED素子、301…ボンディングワイヤ、302…封止樹脂、303…リフレクター、304…リード、305…蛍光体、306…ダイボンド材、400…銅張積層板、401…基材、402…光反射樹脂層、403…銅箔、404…封止樹脂、408…接着層、409…ボンディングワイヤ、410…光半導体素子、500,600…光半導体装置、601…基材、602…導体部材、603…光反射樹脂層、604…封止樹脂、608…接着層、609…ボンディングワイヤ、610…光半導体素子、700…バリ測定用金型(上型)、701…バリ測定用金型(下型)、702…樹脂注入口、703…キャビティ、704…スリット(75μm)、705…スリット(50μm)、706…スリット(30μm)、707…スリット(20μm)、708…スリット(10μm)、709…スリット(2μm)、710…樹脂バリ。

Claims (9)

  1. エポキシ樹脂、硬化剤、無機充填剤、白色顔料及び熱伝導性フィラーを含有し、
    前記熱伝導性フィラーの粒径が、前記白色顔料の粒径よりも大きい、光反射用熱硬化性樹脂組成物。
  2. 前記熱伝導性フィラーの中心粒径が、10〜200μmである、請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  3. 前記熱伝導性フィラーが、25℃で12W/(m・K)以上の熱伝導率を有する無機化合物である、請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. 前記熱伝導性フィラーの含有量が、前記エポキシ樹脂100質量部に対して、10〜500質量部である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の光反射用熱硬化性樹脂組成物の硬化物を備える、光半導体素子搭載用基板。
  6. 底面及び壁面から構成される凹部を有し、当該凹部の前記底面が光半導体素子の搭載部であり、
    前記凹部の前記壁面の少なくとも一部が、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光反射用熱硬化性樹脂組成物の硬化物からなる、光半導体素子搭載用基板。
  7. 基板と、当該基板上に設けられた第1の接続端子及び第2の接続端子とを備え、
    前記第1の接続端子と前記第2の接続端子との間に、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光反射用熱硬化性樹脂組成物の硬化物を有する、光半導体素子搭載用基板。
  8. 請求項5〜7のいずれか一項に記載の光半導体素子搭載用基板と、当該光半導体素子搭載用基板に搭載された光半導体素子と、を有する、光半導体装置。
  9. 底面及び壁面から構成される凹部を有する光半導体素子搭載用基板の製造方法であって、 前記凹部の前記壁面の少なくとも一部を、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光反射用熱硬化性樹脂組成物をトランスファー成形して形成する工程、
    を備える、光半導体素子搭載用基板の製造方法。
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