以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。図1は、この発明の一実施形態に係る靴洗浄装置1の平面図である。以下では、図1における上下方向を靴洗浄装置1の左右方向Xといい、図1における左右方向を靴洗浄装置1の前後方向Yといい、図1の紙面に直交する方向を靴洗浄装置1の上下方向Zという。左右方向Xは、図1の上側に相当する左側X1と、図1の下側に相当する右側X2とを含む。前後方向Yは、図1の左側に相当する前側Y1と、図1の右側に相当する後側Y2とを含む。上下方向Zは、図1の紙面における手前側に相当する上側Z1と、図1の紙面における奥側に相当する下側Z2とを含む。左右方向Xおよび前後方向Yは、横方向、詳しくは水平方向に含まれ、上下方向Zは、垂直方向、換言すれば靴洗浄装置1の高さ方向と同じである。
靴洗浄装置1は、例えば衣類用の洗濯機が載せられる中空の台(図示せず)に組み込まれる。靴洗浄装置1は、その外殻をなすボックス状のフレーム2と、本体3とを含む。フレーム2は、例えば金属製の天板2A、左側板2Bおよび右側板2Cを少なくとも含み、ボルトなどの締結部材によって、前述した台(図示せず)に固定される。天板2Aは、左側板2Bおよび右側板2Cの上端縁間に架設される。フレーム2は、天板2Aによって上側Z1から塞がれて左側板2Bおよび右側板2Cによって左右方向Xの両側から塞がれた内部空間2Dを有する。内部空間2Dは、少なくとも前側Y1へ開放される。
本体3は、扉4と洗浄槽5とを含み、フレーム2によって前後方向Yへスライド可能に支持される。図1における本体3は、収容位置にあり、収容位置の本体3では、洗浄槽5がフレーム2の内部空間2Dに収容された状態にある。扉4は、前後方向Yに一致した板厚方向を有する板状に形成され、フレーム2よりも前側Y1に配置される。左右方向Xにおいて、扉4は、フレーム2よりも大きく、扉4の両端部は、フレーム2よりも外側へ突出して配置される。扉4の上端面には、排気口4Aと、凹部4Bと、操作部4Cとが、例えば左側X1からこの順番で設けられる。排気口4Aは、扉4内に形成された排気ダクト(図示せず)を介して洗浄槽5内に連通した状態にあり、洗浄槽5内の空気は、排気口4Aから靴洗浄装置1の外に排出される。使用者は、凹部4Bに指を掛けることによって扉4を掴み、本体3を前後方向Yにスライドさせることができる。操作部4Cは、例えば複数のボタンによって構成され、靴洗浄装置1の運転のために使用者によって操作される。操作部4Cは、例えば液晶の表示部を含んでもよい。
図2は、図1のA−A矢視断面図である。図3は、図2のB−B矢視断面図である。図2を主に参照して、洗浄槽5は、フレーム2よりも一回り小さい樹脂製または金属製の容器であって、扉4の後側Y2に配置されて、扉4に固定される。洗浄槽5は、前壁6と後壁7と左壁8と右壁9(図3参照)と底壁10とを一体的に有する。前壁6および後壁7は、前後方向Yに略一致した板厚方向を有する板状に形成され、前後方向Yに間隔を隔てて対向配置される。左壁8および右壁9は、左右方向Xに略一致した板厚方向を有する板状に形成され、左右方向Xに間隔を隔てて対向配置される。底壁10は、前後方向Yに略一致した板厚方向を有する板状に形成され、前壁6および後壁7の下端縁間に架設され、左壁8および右壁9の下端縁間に架設される。
洗浄槽5において前壁6および後壁7によって前後方向Yから挟まれて左壁8および右壁9によって左右方向Xから挟まれて底壁10によって下側Z2から塞がれた内部空間を、収納室11という。底壁10の上面部は、収納室11を下側Z2から塞いだ底面部12である。収納室11は、前壁6、後壁7、左壁8および右壁9の上端によって縁取られた出入口13を介して上側Z1へ開放される。
出入口13に関連して、フレーム2には、出入口13を開閉する蓋14が設けられる。蓋14は、出入口13を塞ぎ得る大きさを有する板状に形成され、フレーム2の天板2Aの真下に配置される。蓋14は、カムなどを用いた公知の昇降機構(図示せず)を介してフレーム2によって昇降可能に支持される。図2に示すように本体3が収容位置にある状態では、蓋14は、下降して出入口13を密閉した状態にある。使用者が扉4を掴んで前側Y1へ引くと、本体3は、洗浄槽5がフレーム2よりも前側Y1に位置する引出位置(図示せず)まで引き出される。本体3が収容位置から引出位置に引き出されるのに連動して昇降機構が作動することにより、蓋14が上昇して出入口13から離れる。これにより、引出位置にある本体3の洗浄槽5では、出入口13が開放されて上側Z1へ露出される。本体3が引出位置から収容位置に戻るのに連動して昇降機構が作動することにより、蓋14が下降する。これにより、本体3が収容位置に戻ると、出入口13が蓋14によって密閉される。
本体3は、仕切部材15と、保持部16と、フィルタユニット17と、ヒータ18と、噴射機構19と、噴射口20と、保護部21と、ダクト22と、送風部23と、給水路24とを含む。仕切部材15は、例えば樹脂製または金属製の線材によって、水平に延びる格子状に形成される。仕切部材15は、上下方向Zにおける収納室11の中央よりも下側Z2へ偏った位置に配置されることによって、収納室11を、仕切部材15よりも上側Z1の上空間11Aと、仕切部材15よりも下側Z2の下空間11Bとに仕切る。上空間11Aは、靴洗浄装置1での洗浄対象である一足の靴Sを、余裕を持って収納できる広さを有する。下空間11Bは、上下方向Zにおいて上空間11Aよりも小さい。なお、図2では、破線で示すように履き口SHが靴底SZに近いローカットタイプの靴S1、および、1点鎖線で示すように履き口SHが靴底SZから離れたハイカットタイプの靴S2という2種類の靴Sがまとめて図示される。
保持部16は、一足の靴Sに応じて、一対設けられる。一対の保持部16は、上空間11Aにおいて左右方向Xに並んで配置される。各保持部16は、根元部16Aと、先端部16Bと、途中部16Cとを一体的に含む。根元部16Aは、収納室11、詳しくは洗浄槽5の後壁7に固定される。根元部16Aは、後壁7において仕切部材15に上側Z1から隣接した部分から略水平に前側Y1へ延びる。先端部16Bは、根元部16Aよりも高い位置、詳しくは前後方向Yおよび上下方向Zにおける上空間11Aの略中央に配置されて、前後方向Yに沿って略水平に延びる。途中部16Cは、先端部16Bから根元部16Aへ向けて後側Y2かつ下側Z2へ傾斜して延びて、根元部16Aと先端部16Bとをつなぐ。保持部16は、線材によって枠状に構成される。
フィルタユニット17およびヒータ18に関連して、収納室11の底面部12には、底面部12の略右半分をなす第1底面部12Aと、底面部12の略左半分をなす第2底面部12Bとが設けられる(図3も参照)。第1底面部12Aのほぼ全域には、下側Z2へ凹んだ凹部12Cが形成される。第2底面部12Bは、凹部12Cの上端から左側X1へ延び、凹部12Cへ向けて下降するように傾斜して構成される(図3参照)。左右方向Xに対する第2底面部12Bの傾斜角度は、例えば5度程度である。凹部12Cの底12Dは、第2底面部12Bよりも低い位置にある。底12Dの前端部には、下側へ凹んだ凹状の流出口12Eと、流出口12Eの下端からさらに下側Z2へ凹んだ収容凹部12Fとが形成される。収容凹部12Fの底面または側面には、底壁10を貫通した開口12Gが形成される(後述する図5Cも参照)。開口12Gは、収容凹部12Fの底面および側面に跨って形成されてもよい。底12Dには、流出口12Eよりも後側Y2に配置された傾斜面部12Hが設けられる。傾斜面部12Hは、洗浄槽5の後壁7の下端から前側Y1へ延び、流出口12Eへ向けて緩やかに下降する。前後方向Yに対する傾斜面部12Hの傾斜角度は、例えば5度程度である。凹部12C、流出口12Eおよび収容凹部12Fは、下空間11Bの一部である。
フィルタユニット17は、収容凹部12F内に嵌め込まれることにより、第1底面部12Aの凹部12C内において流出口12Eに配置される。フィルタユニット17は、メッシュなどで構成されて上下に薄いシート状のフィルタ25を有する。フィルタ25は、流出口12Eを横切って配置される。ヒータ18として、電熱器などを内蔵して上下に扁平な平面ヒータが用いられる。ヒータ18は、凹部12C内において、フィルタユニット17よりも流出口12Eから後側Y2へ離れた位置に配置される。
噴射機構19は、回転ノズル26と、サイドノズル27と、かかとノズル28と、ポンプ29とを含む。回転ノズル26は、タワーノズル30と水平ノズル31とを有し、収納室11内に配置される。タワーノズル30は、平面視における収納室11の略中央において、一対の保持部16の間に配置される。タワーノズル30は、上端が塞がれた管状の中空体であって、収納室11の第2底面部12Bから一対の保持部16の間を通って収納室11の出入口13の手前まで上側Z1へ延びる。タワーノズル30の下端部が底面部12によって支持されることにより、回転ノズル26の全体は、タワーノズル30の中心を通る仮想の縦軸Jまわりに回転可能である。図3を参照して、以下では、縦軸Jまわりの周方向を周方向Tといい、縦軸Jを中心とする径方向を径方向Rという。径方向Rのうち、縦軸Jから離れる側を径方向外側R1といい、縦軸Jに近付く側を径方向内側R2という。水平ノズル31は、タワーノズル30の下部から径方向外側R1へ張り出した上下に扁平な中空体である。水平ノズル31は、複数存在し、縦軸Jまわりに回転対称となるように収納室11の下空間11Bに配置される。この実施形態の水平ノズル31は、2つ存在し、タワーノズル30を挟んで直線状に並んで配置される。
サイドノズル27は、一対存在し、左右方向Xからタワーノズル30および一対の保持部16を挟むように、洗浄槽5内に配置される。各サイドノズル27は、左右方向Xに扁平で前後方向Yに長手の中空体である。一対のサイドノズル27のうち、左側X1のサイドノズル27Lは、洗浄槽5の左壁8の右面に固定され、右側X2のサイドノズル27Rは、洗浄槽5の右壁9の左面に固定される。左右方向Xから見た側面視において、各サイドノズル27の略前半分は、各保持部16の先端部16Bおよび途中部16Cと重なる(図2参照)。
図4は、図3のC−C矢視断面図である。かかとノズル28は、一対存在し、左右に並んだ状態で、洗浄槽5の後壁7の前面において各保持部16の根元部16Aよりも高い位置に設けられる。一対のかかとノズル28は、一対の保持部16と左右方向Xにおいて1つずつ同じ位置にある。各かかとノズル28は、左右方向Xに延びる中空体である。一対のかかとノズル28のうち、左側X1のかかとノズル28Lの左端部は、サイドノズル27Lの後端部に連結され、右側X2のかかとノズル28Rの右端部は、サイドノズル27Rの後端部に連結される。かかとノズル28の内部空間と、かかとノズル28に連結されたサイドノズル27の内部空間とは、連通した状態にある。左右方向Xで同じ側にあるサイドノズル27とかかとノズル28とは、別々に存在して組み合わされた別部品であってもよいし、平面視でL字状をなす1つの部品として一体形成されてもよい。
図5Aは、図4のD−D矢視断面図である。図5Bは、靴洗浄装置1の底面図である。図5Cは、図5BのG−G矢視断面図である。図5Dは、靴洗浄装置1の背面図である。ポンプ29として、回転するインペラ(図示せず)を内蔵する渦巻ポンプなどを採用できる。ポンプ29は、洗浄槽5の底壁10の後端部に固定される。ポンプ29と、収納室11の底面部12における収容凹部12Fの開口12Gとは、底壁10の下側Z2に配置された管状の第1流路32によってつながった状態にある(図2、図5Bおよび図5C参照)。ポンプ29と、回転ノズル26のタワーノズル30の下端部とは、底壁10の下側Z2に配置された管状の第2流路33によってつながった状態にある(図3および図5B参照)。
ポンプ29と、各サイドノズル27の後端部とは、洗浄槽5の後壁7の後側Y2に配置された管状の第3流路34および第4流路35によってつながった状態にある。具体的には、サイドノズル27Lの後端部に設けられたジョイントパイプ36とポンプ29とが、第3流路34によってつながり、ジョイントパイプ36とサイドノズル27Rの後端部とが、第4流路35によってつながる(図5Aおよび図5D参照)。ジョイントパイプ36は、上下に延びる円管状の入口管部36Aと、入口管部36Aの上端から前側Y1へ延びる円管状の第1出口管部36B(図4参照)と、入口管部36Aの上端から右上側(図5Aおよび図5Dでは左上側)へ延びる円管状の第2出口管部36Cとを一体的に有する。入口管部36Aの下端部が第3流路34の上端部に接続され、第1出口管部36Bの前端部がサイドノズル27Lの後端部に接続され、第2出口管部36Cの上端部が第4流路35の左端部(図5Aおよび図5Dでは右端部)に接続される。第1流路32〜第4流路35とジョイントパイプ36は、噴射機構19に含まれる。
ポンプ29には、管状の排水路37の一端が接続される。ポンプ29は、第1流路32に存在する水を吸い込んで、第2流路33および第3流路34だけに吐き出したり、排水路37だけに吐き出したりすることができる。排水路37の他端は、靴洗浄装置1の上側Z1に配置される洗濯機(図示せず)の排水路に合流してもよい。
図2〜図4を参照して、噴射口20は、回転ノズル26のタワーノズル30および各水平ノズル31に設けられた噴射口20Aと、各サイドノズル27に設けられたサイド噴射口20Bと、各かかとノズル28に設けられたかかと噴射口20Cとを含む。複数の噴射口20Aは、タワーノズル30の上端部30Aと、各水平ノズル31の上面部とに設けられる。上端部30Aにおける複数の噴射口20Aは、例えば周方向Tおよび上下方向Zのそれぞれにおいて異なる位置に配置され、タワーノズル30の内部に連通した状態にある。図4を参照して、各水平ノズル31における複数の噴射口20Aは、径方向Rに沿って1列に並んで配置され、水平ノズル31の内部に連通した状態にある。少なくとも1つの水平ノズル31における複数の噴射口20Aにおいて径方向外側R1における端に位置する噴射口20A’では、その少なくとも一部が、周方向Tにおける一方側を向いた状態にある。
図2を参照して、サイド噴射口20Bは、各サイドノズル27において複数存在する。これらのサイド噴射口20Bは、サイドノズル27Lの右面部と、サイドノズル27Rの左面部とに設けられる。各サイドノズル27における複数のサイド噴射口20Bは、前後方向Yに延びる上下2列をなすように前後上下に並んで配置され、サイド噴射口20Bの内部に連通した状態にある。当該上下2列のうち、上側Z1の列L1は、前後に並ぶ例えば6つのサイド噴射口20Bによって構成され、下側Z2の列L2は、列L1の後部の下側Z2において前後に並ぶ例えば2つのサイド噴射口20Bによって構成される。これらの列L1および列L2は、水平方向に近いものの、前上側へ傾斜して配置される。各サイドノズル27では、列L1および列L2が上下に並んで設けられた部分が、この部分よりも前側Y1において列L1だけが配置された部分よりも上下方向Zに大きい。
図4を参照して、かかと噴射口20Cは、かかとノズル28Lの右端部に1つ設けられ、かかとノズル28Rの左端部に1つ設けられるが、各かかとノズル28に複数のかかと噴射口20Cが設けられてもよい。かかと噴射口20Cは、かかとノズル28の内部に連通した状態にある。各かかとノズル28におけるかかと噴射口20Cの近傍、例えば、かかと噴射口20Cの真下には、位置決め部38が設けられる。つまり、位置決め部38は、左右一対存在する。各位置決め部38は、左右方向Xに一致した板厚方向を有し、前側Y1へ向かうにつれて上下方向に細くなって先端が丸められた三角形の板状に形成される(図2参照)。位置決め部38の後端部は、かかとノズル28または洗浄槽5の後壁7に固定される。
図2を参照して、保護部21は、線材によって筒状に形成される。保護部21は、仕切部材15に載って収納室11の上空間11Aに配置され、回転ノズル26のタワーノズル30の一部を取り囲む。具体的には、保護部21は、タワーノズル30において噴射口20Aが設けられた上端部30Aよりも下側Z2の下部分30Bと、一対の保持部16のそれぞれとの間に配置されることにより、下部分30Bを取り囲んで保護する(図3も参照)。保護部21は、仕切部材15とは別の部材であってもよいし、仕切部材15に一体化されてもよい。
ダクト22は、上下方向Zに延びる管状に形成され、洗浄槽5の後壁7に対して後側Y2から固定される。ダクト22の下端部には、出口22Aが形成される。出口22Aは、収納室11の内壁部の一例である後壁7の前面部の下部に配置され、収納室11内の下空間11Bに後側Y2から連通した状態にある。
送風部23は、いわゆるファンであって、洗浄槽5の外に配置され、ダクト22の上端部に上側Z1から固定される。送風部23の後面には、吸込口23Aが形成され、送風部23の下面には、ダクト22の内部空間に上側Z1から臨む吐出口23B(図5A参照)が形成される。
給水路24は、蛇口などの水栓(図示せず)から延びる管であって、ダクト22において送風部23の吐出口23Bに接続された部分よりも下側Z2の部分に左側X1から接続される(図5A参照)。なお、給水路24は、水栓(図示せず)に直結されるのではなく、靴洗浄装置1の上側Z1に配置される洗濯機(図示せず)の給水路から分岐してダクト22に接続されてもよい。給水路24の途中には、電磁弁などによって構成された給水弁39(図5A参照)が取り付けられる。なお、給水路24と、前述した排水路37とは、本体3がスライド可能であることを踏まえて、ある程度長めに設定される。
本体3には、マイクロコンピュータなどで構成された制御部40(図1参照)が設けられる。制御部40は、配線(図示せず)によって、操作部4C、ヒータ18、送風部23、ポンプ29および給水弁39のそれぞれに対して電気的に接続される。そのため、制御部40は、使用者による操作部4Cの操作を受け付けたり、ヒータ18、送風部23およびポンプ29の動作や給水弁39の開閉を制御したりすることができる。
次に、靴洗浄装置1による靴Sの洗浄運転について説明する。洗浄運転は、洗浄液によって靴Sを洗う洗い工程と、洗い工程後に洗浄液によって靴Sをすすぐすすぎ工程と、すすぎ工程の後に靴Sから水分を取り除く脱液工程とを含む。なお、洗い工程における洗浄液は、洗剤が溶けた水道水であり、すすぎ工程における洗浄液は、洗剤成分を含まない水道水である。なお、洗い工程では、水道水の代わりに風呂水が用いられてもよい。
洗浄運転の開始に先立って、使用者は、靴洗浄装置1の本体3を引出位置(図示せず)まで引き出して洗浄槽5の出入口13を開放し、一足の靴Sを出入口13から収納室11の上空間11Aに収納する。その際、使用者は、それぞれの保持部16の先端部16Bを、靴Sの履き口SHに下側Z2から挿通した後に、つま先ST側を向くように靴Sの内部空間SNに挿入する。これにより、上空間11A内では、一足の靴Sが左右方向Xに並び、それぞれの靴Sが、前後方向Yに略水平になった反転姿勢で保持部16によって保持される。反転姿勢の靴Sでは、つま先STが前側Y1を向き、靴底SZが上側Z1を向き、足の甲を覆うアッパ部SUと履き口SHとが下側Z2を向いた状態にある。また、使用者は、靴Sを収納室11に収納する際に、洗剤を収納室11内に投入する。その後、使用者は、本体3を、図2〜図4に示す収容位置まで戻す。これにより、洗浄運転の準備が完了する。
洗浄運転の準備が完了した靴洗浄装置1では、収納室11内において、回転ノズル26のタワーノズル30が、反転姿勢で保持された一対の靴Sの間に配置される。タワーノズル30の上端部30Aは、これらの靴Sの靴底SZよりも上側Z1に突出して配置される。これにより、上端部30Aに設けられた複数の噴射口20Aのうち、少なくとも1つの噴射口20Aは、靴底SZよりも高い位置に配置される。回転ノズル26の各水平ノズル31は、これらの靴Sよりも低い位置に配置され、各水平ノズル31における噴射口20Aは、これらの靴Sのアッパ部SUおよび履き口SHに下側Z2から臨んで配置される。
一対のサイドノズル27は、収納室11内における一対の靴Sの両側方、つまり、左右方向Xにおける両外側に配置される。サイドノズル27Lにおけるサイド噴射口20Bは、左側X1の靴Sの長手方向にほぼ沿って並んだ状態で、この靴Sにおける左側X1のサイド部SSに左側X1から臨む。サイドノズル27Rにおけるサイド噴射口20Bは、右側X2の靴Sの長手方向にほぼ沿って並んだ状態で、この靴Sにおける右側X2のサイド部SSに右側X2から臨む。側面視において、各サイドノズル27における上側Z1の列L1のサイド噴射口20Bは、サイド部SSにおいて靴底SZ寄りの部分に重なって配置される。特に、列L1における前端のサイド噴射口20Bは、サイド部SSにおいてつま先ST寄りの部分に重なって配置され、列L1における後端のサイド噴射口20Bは、サイド部SSにおいてかかと部SK寄りの部分に重なって配置される。下側Z2の列L2のサイド噴射口20Bは、側面視において、サイド部SSにおいて吐き口SH側へ偏った部分に重なって配置される。
一対のかかとノズル28は、一対の靴Sの後側Y2に配置される。かかとノズル28Lにおけるかかと噴射口20Cは、左側X1の靴Sのかかと部SKに後側Y2から臨み、かかとノズル28Rにおけるかかと噴射口20Cは、右側X2の靴Sのかかと部SKに後側Y2から臨む。左側X1の位置決め部38の前端部が左側X1の靴Sのかかと部SKに後側Y2から接触し、右側X2の位置決め部38の前端部が右側X2の靴Sのかかと部SKに後側Y2から接触する。これにより、左側X1の靴Sのかかと部SKは、左側X1のかかと噴射口20Cに対して前後方向Yにおける一定の隙間41を隔てるように位置決め部38によって位置決めされる。右側X2の靴Sのかかと部SKも、右側X2のかかと噴射口20Cに対して隙間41を隔てるように位置決め部38によって位置決めされる。
洗浄運転の準備が完了した後に、使用者が操作部4C(図1参照)を操作することによって、靴洗浄装置1に対して洗浄運転の開始を指示する。すると、制御部40は、洗い工程を開始し、まず、給水弁39を開いて収納室11内への給水を行う。これにより、水栓(図示せず)からの水が、その水圧によって給水路24を通ってダクト22内に流入し、出口22Aから収納室11に流れ落ちて収納室11の下空間11Bに溜まる。このようなダクト22は、給水路24の少なくとも一部を兼ねる。また、ダクト22の出口22Aから下空間11Bに流入した水道水が流出口12E、開口12Gおよび第1流路32を通ってポンプ29に到達するが(図5Bおよび図5Cにおける太い実線の矢印を参照)、制御部40は、ポンプ29を停止することによって、第1流路32の水が少なくとも排水路37に流入しないようにする。そのため、給水に応じて、下空間11Bにおける水の水位が上昇する。
下空間11Bにおける水面Wが回転ノズル26の水平ノズル31よりも低い所定水位まで上昇すると、制御部40は、給水弁39を閉じて給水を停止する。前述したように洗剤が収納室11に事前に投入されるので、下空間11Bには、洗剤が水に溶けることで生成された洗浄液が溜まる。下空間11B内の洗浄液の一部は、第1流路32にも行き渡る。なお、給水路24に接続された洗剤収容室(図示せず)が靴洗浄装置1に設けられ、洗剤収容室に収容された洗剤が、給水時の水道水に乗って収納室11内に投入されてもよい。
次に、制御部40は、第1流路32と排水路37とがポンプ29において引き続き遮断された状態を維持しつつ、収納室11の下空間11B内の洗浄液が第1流路32から吸い込まれて第2流路33や第3流路34に吐き出されるようにポンプ29を駆動させる。すると、第1流路32から第2流路33に吐き出された洗浄液(図5Bにおける太い1点鎖線の矢印を参照)は、回転ノズル26のタワーノズル30内に流入してタワーノズル30内を上昇するとともに、各水平ノズル31内にも行き渡る。
すると、各水平ノズル31において一列に並ぶ複数の噴射口20Aのうち、前述した噴射口20A’(図4参照)から、周方向Tにおける一方側へ向けて洗浄液が噴射される。これにより、各水平ノズル31が、周方向Tの推力を受けるので、回転ノズル26の全体が縦軸Jまわりに回転する。なお、回転ノズル26を回転させる推力を発生させるための噴射口20A’は、水平ノズル31において径方向外側R1における端に位置する1つの噴射口20Aでなくてもよく、他の噴射口20Aであってもよい。回転ノズル26の回転中において、靴Sを保持した左右の保持部16は、タワーノズル30から左右方向Xでほぼ等しい間隔を隔てて配置されるので、各靴Sは、回転中のタワーノズル30に接触しない程度にタワーノズル30から離れて配置される(図3参照)。
回転中の回転ノズル26の各水平ノズル31では、噴射口20A’以外の噴射口20Aから、洗浄液が、太い実線の矢印で示すように、上空間11A内の各靴Sのアッパ部SUや履き口SHに向けて下側Z2から噴射される。また、回転中の回転ノズル26のタワーノズル30内を上昇した洗浄液は、太い破線の矢印で示すように、タワーノズル30の上端部30Aにおける各噴射口20Aから各靴Sの靴底SZやサイド部SSに向けて上側Z1から噴射される。
また、第1流路32から第3流路34に流入した洗浄液(図5Bおよび図5Dにおける太い破線の矢印を参照)は、ジョイントパイプ36の入口管部36Aおよび第1出口管部36B(図4および図5D参照)を経由してサイドノズル27L内に行き渡るとともに、かかとノズル28L内に行き渡る。第3流路34を流れた洗浄液は、ジョイントパイプ36の入口管部36Aおよび第2出口管部36Cを経由して第4流路35(図5A参照)に流入した後に、サイドノズル27R内に行き渡るとともに、かかとノズル28R内に行き渡る。
すると、図4を参照して、サイドノズル27Lでは、サイド噴射口20Bから、洗浄液が、太い1点鎖線の矢印で示すように、左側X1の靴Sにおける左側X1のサイド部SSに噴射される。かかとノズル28Lでは、かかと噴射口20Cから、洗浄液が、図4において太い破線の矢印で示すように、左側X1の靴Sのかかと部SKに噴射される。サイドノズル27Rでは、サイド噴射口20Bから、洗浄液が、太い1点鎖線の矢印で示すように、右側X2の靴Sにおける右側X2のサイド部SSに噴射される。かかとノズル28Rでは、かかと噴射口20Cから、洗浄液が、太い破線の矢印で示すように、右側X2の靴Sのかかと部SKに噴射される。
なお、第3流路34を流れてジョイントパイプ36の入口管部36Aに流入した洗浄液は、第1出口管部36Bでは略直角に向きを変えてサイドノズル27L内に流入するが、第2出口管部36Cではほとんど向きを変えずに第3流路34を流れてサイドノズル27R内に流入する。この場合には、サイドノズル27L内に流入する洗浄液の勢いは、サイドノズル27R内に流入する洗浄液の勢いよりも弱くなり得る。
そこで、第1出口管部36Bの内径が、第2出口管部36Cの内径よりも大きく設定される。さらに、第1出口管部36Bの内部空間が、サイドノズル27Lの内部空間に後側Y2から直結され、これらの内部空間は、サイドノズル27の長手方向に沿うとともに、前後方向Yから見て重なって配置されるので、これらの内部空間における水圧抵抗の低減が図られる。これにより、第1出口管部36Bにおける洗浄液の流量を増やすとともに、第1出口管部36Bの洗浄液を、図4の実線矢印で示すように、勢いを弱めることなくサイドノズル27L内の前端部まで行き渡らせることができる。そのため、左右のサイドノズル27のサイド噴射口20Bからは、略同じ勢いの洗浄液が左右の靴Sに噴射される。
洗浄液が高圧で噴射された靴Sは、洗浄液の勢いによって泥や砂利などの汚れが除去されたり、洗浄液によって汚れが化学的に分解されたりすることによって洗浄される。特に、回転中の回転ノズル26の水平ノズル31の各噴射口20Aから噴射された洗浄液は、反転姿勢の各靴Sにおける表側の外面部の隅々、つまり、つま先ST、アッパ部SU、履き口SHおよびかかと部SKのそれぞれに対して満遍なく浴びせられる。これにより、そのため、表部分の形状の異なる様々な靴Sであっても、靴Sの表部分の全域はもちろん、履き口SHから内部空間SN内に入り込んだ洗浄液によって内部空間SNつまり靴Sの中の全域も洗浄できる。
また、一対のサイドノズル27の各サイド噴射口20Bが、各靴Sのサイド部SSに洗浄液を左右方向Xから噴射し、一対のかかとノズル28のかかと噴射口20Cが、各靴Sのかかと部SKに洗浄液を後側Y2から噴射する。これにより、靴Sの表側の外面部では、サイド部SSおよびかかと部SKが洗浄液によって洗浄されるし、サイド部SSおよびかかと部SKを伝ってアッパ部SUに流れ落ちる洗浄液によってアッパ部SUや履き口SHも洗浄される。
さらに、図2を参照して、水平ノズル31の各噴射口20Aから噴射された後に収納室11の天井である蓋14に当たって落下する洗浄液の先には、靴底SZつまり靴Sの裏側の外面部が存在する。さらに、回転ノズル26のタワーノズル30の上端部における各噴射口20Aが、タワーノズル30と一体回転することによって各靴Sの靴底SZにおける広い範囲に洗浄液を上側Z1から噴射できる。これらの洗浄液により、靴底SZの全域を効果的に洗浄できる。
以上により、靴Sをブラシなどで擦らなくても、各噴射口20から収納室11内の靴Sに噴射された高圧の洗浄液によって、靴Sをブラシなどで擦り洗いする場合と同等の洗浄力を維持しつつ、傷みが生じないように靴Sの内外の全体を満遍なく洗浄できる。そのため、靴Sに傷みが生じないように洗浄力の向上を図れる。
特に、各サイドノズル27において上下に並んで配置された複数のサイド噴射口20Bにより、前述したローカットタイプの靴S1やハイカットタイプの靴S2に関わらず、靴Sのサイド部SSに洗浄液を確実に噴射することができる。そのため、履き口SHの位置が異なるいずれの靴Sであっても、傷みが生じないように洗浄力の向上を図れる。
サイド噴射口20Bが靴Sのサイド部SSに洗浄液を噴射するのに加えて、かかと噴射口20Cが靴Sのかかと部SKに洗浄液を噴射するので、靴Sの外面部の全体を一層満遍なく洗浄できる。さらに、位置決め部38によって、かかと部SKが、かかと噴射口20Cに対して位置決めされる。これにより、かかと部SKの形状が異なるいずれの靴Sであっても、前述した一定の隙間41が確保されるように、かかと噴射口20Cとかかと部SKとの位置関係が、かかと噴射口20Cからかかと部SKに洗浄液を噴射するのに最適な位置関係になる。これにより、かかと噴射口20Cは、収納室11内の靴Sのかかと部SKに洗浄液を効果的に噴射できるので、洗浄力の一層の向上を図れる。
なお、靴Sの内部空間SNに挿入された保持部16は、多数の隙間を有する枠状なので、水平ノズル31の各噴射口20Aから履き口SHに向かう洗浄液は、保持部16によって流れを阻害されることなく、履き口SHから内部空間SN内へ円滑に流入できるし、流入後には履き口SHから靴Sの外へ円滑に流出できる。ローカットタイプの靴S1のように、靴底SZがつま先ST側からかかと部SK側へ向けて下側Z2へずれるように靴Sの全体が傾いた状態にあれば、内部空間SN内の洗浄液を履き口SHから靴Sの外へ一層円滑に流出させることができる。
また、洗い工程において、制御部40は、ヒータ18をONにして下空間11Bの洗浄液を加熱してもよい。この場合には、各噴射口20から靴Sに浴びせられた温かい洗浄液によって洗浄力を高めることができるので、靴Sを一層効果的に洗浄できる。
また、収納室11内において靴Sと回転ノズル26の水平ノズル31との間に仕切部材15が設けられる。これにより、保持部16から不意に外れて落下した靴Sや、この靴Sの靴紐(図示せず)などが水平ノズル31に接触することによって回転ノズル26の回転や水平ノズル31の各噴射口20からの洗浄液の噴射が阻害されることを防止できる。また、仕切部材15は格子状であるので、各噴射口20から噴射された洗浄液は、仕切部材15における格子の目を通過することによって確実に靴Sに到達できる。よって、仕切部材15が存在しても、水平ノズル31の各噴射口20から噴射される洗浄液によって靴Sを確実に洗浄できる。
洗浄液に用いられる洗剤は、石鹸成分である界面活性剤を通常の半分以下の10質量%以下の割合で含む靴洗浄専用の低発泡洗剤であることが好ましい。この場合、洗浄液の異常な泡立ちを抑えて、洗浄液の泡による各噴射口20の詰まりを防止でき、泡の抵抗による回転ノズル26の回転速度の低下を防止できる。
洗い工程では、各噴射口20から収納室11の上空間11A内の靴Sに噴射された後に靴Sからこぼれた洗浄液や、各噴射口20から上空間11A内に噴射されたものの靴Sにかからなかった洗浄液は、仕切部材15における格子の目を通って下空間11B内に落下して底面部12に溜まる。洗い工程では、ポンプ29が引き続き駆動される。そのため、下空間11B内の洗浄液は、底面部12における流出口12Eおよび開口12Gを経由して第1流路32に流入し、第2流路33、第3流路34および第4流路35を流れて回転ノズル26、サイドノズル27およびかかとノズル28の各噴射口20から上空間11A内へ噴射される。これにより、洗浄液は、上空間11Aと下空間11Bとの間で循環する。そのため、少ない洗浄液でも、循環させて繰り返し使用することによって靴Sを洗浄できるので、節水性能の向上を図れる。
洗浄液の噴射によって靴Sから取り除かれた砂利などの異物は、流出口12Eから収納室11の外へ流出しようとする洗浄液に乗る。この洗浄液が流出口12Eを通過する際に、フィルタユニット17におけるフィルタ25が、この洗浄液から異物を捕獲する。これにより、この異物が洗浄液とともに循環してポンプ29や噴射口20を詰まらせるような不具合を防止できる。靴洗浄装置1は、フィルタ25よりも網目の細かいメッシュなどで構成されてシート状の第2のフィルタ42をさらに含んでもよい。第2のフィルタ42は、フィルタ25を通過した洗浄液が開口12Gに到達するまでの途中、例えばフィルタ25の真下に配置される。第2のフィルタ42は、フィルタ25を通過した洗浄液に含まれる細かい異物を捕獲する。フィルタ25および第2のフィルタ42を通過して収納室11の外へ流出した洗浄液は、ポンプ29によって各噴射口20へ送り込まれて各噴射口20から収納室11内に噴射されることにより、前述したように循環する。
制御部40は、洗浄液の循環を所定時間継続した後に、第1流路32の洗浄液が排水路37に流れるようにポンプ29の動作を切り換える。これにより、下空間11Bの洗浄液が、第1流路32および排水路37を通って機外へ強制的に排出される。このような排水の後、制御部40は、ポンプ29を停止させる。これによって、洗い工程が終了する。なお、排水路37の途中に、制御部40によって開閉が制御されて排水時に開く排水弁(図示せず)が設けられてもよい。
洗い工程が終了すると、制御部40は、すすぎ工程を開始して、再び給水を実行して水道水を下空間11Bに溜める。給水によって下空間11B内の水面Wが回転ノズル26の水平ノズル31よりも低い所定水位まで達すると、制御部40は、ポンプ29を駆動させることによって、水道水をすすぎ水として上空間11Aと下空間11Bとの間で循環させる。これにより、回転ノズル26、サイドノズル27およびかかとノズル28の各噴射口20からのすすぎ水が、上空間11A内の靴Sに高圧で噴射されるので、靴Sがすすぎ水によってすすがれる。この際、制御部40は、ヒータ18をONにして下空間11Bのすすぎ水を加熱してもよい。この場合には、各噴射口20から温かいすすぎ水を靴Sに浴びせることによって、靴Sを効果的にすすぐことができる。
制御部40は、このようなすすぎ水の循環を所定時間継続した後に、第1流路32の水が排水路37に流れるようにポンプ29の動作を切り換える。これにより、下空間11Bのすすぎ水が第1流路32および排水路37を通って機外へ排出される。その後、制御部40は、ポンプ29を停止させる。これによって、すすぎ工程、つまり洗浄工程の全体が終了する。
洗浄工程の後、制御部40は、送風部23を駆動させることによって、脱液工程を開始する。これにより、機外の空気が、送風部23の吸込口23Aおよび吐出口23Bを通ってダクト22内に取り込まれる。ダクト22内に取り込まれた空気は、風となって出口22Aへ向かい、出口22Aから収納室11内に送り込まれる。このようなダクト22は、出口22Aに風を送り込む送風路の少なくとも一部、この実施形態では当該送風路の全部を兼ねる。
収納室11内に送り込まれた空気は、送風部23によって加圧された高圧の状態で、上空間11A内の各靴Sの外面部に浴びせられたり、履き口SHから靴Sの内部空間SNに流入したりすることによって、靴Sから洗浄液などの水分を染み出させる。染み出た水分は、靴Sからこぼれ落ちる。そのため、ダクト22からの空気を各靴Sに浴びせることによって、洗浄後の靴Sを効果的に脱液できる。収納室11内に送り込まれた空気は、最終的に、本体3の扉4の排気口4A(図1参照)から機外へ排出される。なお、脱液工程において、制御部40は、ヒータ18をONにして収納室11内に熱風を発生させもよい。この場合、熱風によって靴Sを一層効果的に脱液できる。
送風部23の駆動が開始されてから所定時間が経過すると、制御部40は、送風部23を停止させて、脱液工程を終了する。これにより、洗浄運転が終了する。なお、制御部40は、脱液工程の最後にポンプ29を駆動させて、脱液工程の際に靴Sからこぼれ落ちた水分を機外に排出してもよい。洗浄運転の終了後には、使用者は、本体3を引出位置(図示せず)まで引き出して洗浄槽5の出入口13を開放し、収納室11内の靴Sを出入口13から取り出す。
以上のように、この靴洗浄装置1では、最初に靴Sを収納室11に収納して保持部16に保持させると、その後は、収納室11内で靴Sを移動させなくても、一連の洗浄運転を実施できる。また、靴洗浄装置1では、保持部16によって収納室11内の靴Sを反転姿勢で保持するので、靴Sが縦向きの姿勢で保持される場合と比べて収納室11の高さ寸法を小さく抑えることができるので、靴洗浄装置1全体のコンパクト化を図れる。
次に、ダクト22などの詳細について説明する。前述したように靴洗浄装置1の上側Z1に衣類用の洗濯機が配置される場合には、使用者は、靴洗浄専用の低発泡洗剤ではなく、界面活性剤の割合が低発泡洗剤よりも高い衣類用の洗剤を間違って収納室11内に投入してしまうことが想定される。衣類用の洗剤が収納室11内に投入された状態で洗浄運転が実行されると、この洗剤による異常発泡により大量の泡が異常発生し、各噴射口20に泡が詰まったり、泡によって回転ノズル26の回転速度が低下したりする不具合が生じ得る。そこで、図2を参照して、靴洗浄装置1は、間違った洗剤を用いて洗浄運転が実行中であるか否かを検知するための構成として、前述した制御部40(図1参照)と、制御部40に対して電気的に接続された泡検知部90とを含む。
図6は、図2のE−E矢視断面における要部の拡大図である。泡検知部90の一例は、いわゆる遮光センサである。この場合の泡検知部90は、発光ダイオードなどによって構成された発光素子91と、フォトダイオードなどによって構成された受光素子92と、発光素子91および受光素子92を収容して保持するセンサカバー93とを有する。センサカバー93は、透明な樹脂または透光性を有する樹脂などによって形成され、ボルトなどの締結部材によってダクト22の後壁22Bに固定される。センサカバー93の前面部には後側Y2へ凹んだ凹部93Aが形成され、凹部93Aにおけるセンサカバー93の表面部は、泡検知部90の検知面90Aである。センサカバー93内の発光素子91および受光素子92は、凹部93Aを挟んだ状態で、左右方向Xに対向配置される。発光素子91は、受光素子92へ向けて検知光Qを発光する。凹部93Aに異物などが存在せず、検知面90Aが汚れた状態になければ、発光素子91からの検知光Qは、凹部93Aを左右方向Xに横切った後に、受光素子92によって受光される。
センサカバー93において少なくとも検知面90Aは、ダクト22内において水が流れる位置に配置される。具体的には、ダクト22の左壁22Cには、給水路24が接続された接続口22D(図2も参照)が形成され、給水路24を流れた水は、接続口22Dからダクト22内に流入する。そこで、検知面90Aは、接続口22Dの近傍、詳しくは、接続口22Dからダクト22内に流入した水を浴びる位置に配置される。ダクト22内には、接続口22Dからダクト22内に流入した水を検知面90Aへ導くガイド部94が設けられると好ましい。ガイド部94は、板状であり、例えば、ダクト22の左壁22Cにおいて接続口22Dよりも前側Y1の位置から右側X2へ突出しつつ、検知面90Aへ向けて後側Y2へ傾斜するように構成される。なお、発光素子91および受光素子92は、センサカバー93によって覆われた状態にあるので、ダクト22内の水に直接触れることはない。
図2を参照して、靴洗浄装置1は、収納室11内に配置されるガイド部材53をさらに含む。ガイド部材53は、板状の対向部53Aおよび延設部53Bを一体的に有する。対向部53Aは、洗浄槽5の後壁7において出口22Aの上端を縁取った部分から前側Y1へ延びつつ下降するように傾斜する。対向部53Aは、出口22Aに前側Y1から対向し、対向部53Aの下端は、凹部12C内においてヒータ18の真上に配置され、対向部53Aの右端は、洗浄槽5の右壁9に接続される(図4も参照)。延設部53Bは、左右方向Xに一致した板厚方向を有し、側面視において略三角形状に形成される。延設部53Bは、対向部53Aの左端から後側Y2へ延びて、後壁7において出口22Aの左端を縁取った部分に接続される。延設部53Bには、延設部53Bを左右方向Xに貫通した例えば略三角形状の取込口53Cが形成される。脱液工程において機外からダクト22内に取り込まれた空気は、出口22Aと対向部53Aとの間に流出した後に、取込口53Cから収納室11内に送り込まれる。
ガイド部材53の下端部には、対向部53Aおよび延設部53Bのそれぞれの下端と後壁7と右壁9とによって縁取られた流入口53Dが形成される。流入口53Dは、凹部12C内においてヒータ18よりも流出口12Eから後側Y2へ離れた位置、詳しくは凹部12Cの後端部に配置され、ヒータ18の上面部18Aおよび傾斜面部12Hの少なくとも一部に真上から臨む。凹部12C内には、ヒータ18を上側Z1から覆うヒータカバー52が設けられるが、ヒータカバー52は、ガイド部材53の下端部を避けて配置される(図4参照)。給水時において給水路24を通ってダクト22内に流入した水は、出口22Aから流出した後に対向部53Aにぶつかって下向きにガイドされ、流入口53Dから凹部12Cに流れ落ちて収納室11内に給水される。水は、最初に凹部12Cに溜まって凹部12Cを満たした後に、第2底面部12B上にも溜まる。流入口53Dから凹部12Cに流れ落ちた水は、ヒータ18の上面部18Aに浴びせられるので、靴Sから取り除かれて上面部18Aに溜まった泥などの異物が水に乗って流出口12Eに流されてフィルタ25によって捕獲される。
洗浄運転中において収納室11内で発生した泡は、取込口53Cから、出口22Aと対向部53Aとの間に一旦取り込まれる。靴洗浄専用の低発泡洗剤の場合に通常発生する泡は、比較的少量なので、出口22Aと対向部53Aとの間に取り込まれても、ダクト22の出口22Aからダクト22内に侵入することはほとんどない。しかし、衣類用の洗剤の場合には、泡が収納室11内で大量に異常発生するので、出口22Aと対向部53Aとの間に取り込まれた一部の泡が出口22Aを通ってダクト22内に侵入することがある。図6を参照して、ダクト22内に侵入した泡が泡検知部90のセンサカバー93の凹部93Aに入り込むと、センサカバー93の検知面90Aにおいて発光素子91から受光素子92へ向かう検知光Qが、凹部93A内の泡によって遮断される。これにより、検知面90Aにおける発光素子91と受光素子92との間において電圧降下が生じる。電圧降下の発生に応じて、泡検知部90は、ダクト22内へ侵入した泡を検知面90Aにおいて検知する。
ダクト22内に泡が侵入したという泡検知部90による検知結果が制御部40に入力されると、制御部40は、洗浄運転、詳しくは洗い工程を中断して排水および給水を行うことにより、収納室11内の洗浄液における洗剤の濃度を下げる。そして、泡の侵入が泡検知部90によって検知されなくなる程度に洗剤の濃度が下がると、制御部40は、洗浄運転を再開する。
前述したように、泡検知部90の検知面90Aは、ダクト22内において水が流れる位置に配置される。これにより、検知面90Aが汚れても、図6の太い実線矢印で示すようにダクト22内を流れる水によって検知面90Aが頻繁に洗浄されるので、泡検知部90は、異常発生した泡を検知面90Aによって正確に検知できる。そのため、泡の異常発生を正確に検知できる。
さらに、ダクト22内を流れる水がガイド部94によって検知面90Aへ導かれるので、検知面90Aを積極的に洗浄できる。そのため、泡検知部90は、異常発生した泡を検知面90Aによって一層正確に検知できる。
また、ダクト22の出口22Aは、ガイド部材53の対向部53Aおよび延設部53Bによって、洗浄中に収納室11内で通常発生する泡から遮られる。そして、図2に示すように、ダクト22内の泡検知部90は、出口22Aよりも高い位置に配置される。この場合には、収納室11内の水流や通常発生した泡が出口22Aからダクト22内に侵入しにくい。そのため、水流や通常発生する泡によって、泡検知部90が泡の異常発生を誤検知してしまうことを防止できる。実際に収納室11内で異常発生した泡は、延設部53Bに形成された取込口53Cから、対向部53Aと出口22Aとの間に一旦取り込まれた後に、出口22Aからダクト22内に侵入して泡検知部90によって検知される。このように収納室11内の泡や水流が泡検知部90に直接かからないようにした構成であれば、誤検知を防止して、泡の異常発生を正確に検知できる。
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
例えば、前述した実施形態では、靴洗浄装置1は、洗濯機の台(図示せず)に組み込まれて使用されるが、洗濯機そのものに組み込まれてもよく、これらの場合において、靴洗浄装置1の制御部40は、洗濯機の制御部から指示を受けることによって洗浄運転を実行してもよい。もちろん、靴洗浄装置1は、洗濯機の台や洗濯機に組み込まれることなく、単独で存在してもよく、その場合には、フレーム2が省略され、本体3がスライド可能でなくてもよい。