JP2019024417A - 加糖ヨーグルトの甘味マスキング方法、加糖ヨーグルトの甘味マスキング剤 - Google Patents

加糖ヨーグルトの甘味マスキング方法、加糖ヨーグルトの甘味マスキング剤 Download PDF

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彰文 植村
Akifumi Uemura
彰文 植村
陽子 森兼
Yoko Morikane
陽子 森兼
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Abstract

【課題】加糖ヨーグルトの風味を損なうことなく、甘味を低減できる甘味マスキング方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る加糖ヨーグルトの甘味マスキング方法は、有機酸1〜20質量部と、イノシトール1〜10質量部と、環状オリゴ糖1〜50質量部とを含有するマスキング剤を、加糖ヨーグルト100質量部に対して1〜5質量部の割合で配合する。有機酸の酸味により加糖ヨーグルトの甘味を抑制し、イノシトール及び環状オリゴ等により、有機酸が持つ刺激的な酸味及び金属的な酸臭を抑制する。
【選択図】なし

Description

本発明は、加糖ヨーグルトの甘味をマスキングする方法及びマスキングに使用するマスキング剤に関する。
アイスクリームや菓子類にヨーグルトの風味を付与できる食品材料として、発酵乳を濃縮した発酵乳ペーストがある(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−253214号公報
特許文献1に記載される濃縮発酵乳ペーストには、解凍時の離水や組織不良等の冷凍障害を抑制するためにショ糖が添加されている。
しかしながら、濃縮発酵乳ペーストに含まれるショ糖濃度が高くなると、用途によっては、甘味が強くなりすぎ、添加した食品の風味を損なってしまう。
それ故に、本発明は、加糖ヨーグルトの風味を損なうことなく、甘味を低減できる加糖ヨーグルトの甘味マスキング方法及び加糖ヨーグルトの甘味マスキング剤を提供することを目的とする。
本発明に係る加糖ヨーグルトの甘味マスキング方法は、有機酸1〜20質量部と、イノシトール1〜10質量部と、環状オリゴ糖1〜50質量部とを含有するマスキング剤を、加糖ヨーグルト100質量部に対して1〜5質量部の割合で配合することを特徴とするものである。
また、本発明に係る加糖ヨーグルトの甘味マスキング剤は、有機酸1〜20質量部と、イノシトール1〜10質量部と、環状オリゴ糖1〜50質量部とを含有するものである。
本発明によれば、加糖ヨーグルトの風味を損なうことなく、甘味を低減できる加糖ヨーグルトの甘味マスキング方法及び加糖ヨーグルトの甘味マスキング剤を提供できる。
本発明は、加糖ヨーグルトの風味を損なうことなく、甘味を低減するマスキング方法に関するものである。マスキング対象となる加糖ヨーグルトとしては、ショ糖等の糖分を含有する濃縮発酵乳ペーストが好適であるが、濃縮されていない発酵乳に対して本発明のマスキング方法を適用することも可能である。
具体的に、本発明に係る加糖ヨーグルトの甘味マスキング方法は、イノシトール1〜10質量部と、環状オリゴ糖1〜50質量部と、有機酸1〜20質量部とを含有するマスキング剤を、加糖ヨーグルト100質量部に対して1〜5質量部の割合で配合することを特徴とするものである。
<有機酸>
本発明で用いる有機酸としては、クエン酸、フィチン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、乳酸、クロロゲン酸、酢酸、グルコン酸(グルコノデルタラクトンを含む)、アジピン酸、酒石酸、フマル酸等が挙げられる。これらの有機酸を加糖ヨーグルトに添加すると、有機酸の酸味によって甘味が打ち消され、この結果、甘味が抑制される。ただし、加糖ヨーグルトに有機酸を添加すると、有機酸に特有の刺激のある酸味成分と金属的な酸臭(これらを併せて「不快味」という)も付与されてしまい、ヨーグルトの酸味成分や芳香と合わず、風味を損なってしまうため、後述するイノシトール及び環状オリゴ等を更に添加して、有機酸の不快味をマスキングする。尚、上述した有機酸は、1種類を単独で使用しても良いし、複数種類を組み合わせて使用しても良い。
<イノシトール>
イノシトール(1,2,3,4,5,6−シクロヘキサンヘキシオール)は、グルコースを原料として生合成され、植物や動物の体内に含まれる環状ポリオールである。イノシトールを配合することにより、有機酸が持つ刺激のある酸味成分をマスキングすることができる。イノシトールには、9種類の異性体(cis−、epi−、allo−、myo−、muco−、neo−、chiro−、scyllo−)があるが、いずれも使用できるが、原料コストの面では、myo−イノシトールが好適である。
イノシトールの配合量は、有機酸1〜20質量部に対して1〜10質量部とする。イノシトールの配合量をこの範囲内とすることによって、有機酸が持つ刺激のある酸味成分を低減することができる。
<環状オリゴ糖>
環状オリゴ糖としては、複数のD−グルコースが環状に結合したシクロデキストリン、シクロデキストリンにマルトースが結合した分岐シクロデキストリンを使用できる。これらの環状オリゴ糖は、分子の中心に空洞を有しているが、この空洞の内側は親油性で、外側は親水性である。したがって、環状オリゴ糖(ホスト)は、空洞の内部に疎水性の有機化合物(ゲスト)を分子間力によって取り込み、包接錯体を形成する包接作用と、取り込んだゲスト分子を条件に応じて放出する除放作用とを有する。環状オリゴ糖は、ゲスト分子としてマスキング剤に含まれる他の成分を包摂することによって溶解性を向上させる。
シクロデキストリンとしては、6個のグルコースが結合したα−シクロデキストリン、7個のグルコースが結合したβ−シクロデキストリン、8個のグルコースが結合したγ−シクロデキストリンのいずれも利用できる。これらのうち、α−シクロデキストリンは、水溶性であるため甘味料組成物を溶解させるために特に有効である一方、難消化性であるため食物繊維のような整腸作用を有する。また、α−シクロデキストリンは、経口摂取された後に体内の脂肪分子を包摂して体外に排出する機能を有することが知られており、甘味料組成物に配合するとより好ましい。また、分岐シクロデキストリンについても、α型、β型及びγ型のいずれも使用できる。
環状オリゴ糖の配合量は、有機酸1〜20質量部に対して1〜50質量部とする。環状オリゴ糖の配合量をこの範囲内とすることによって、有機酸を添加したヨーグルトを口に含んだときに口腔内で感じられる、有機酸由来の金属的な酸臭を低減することができる。
また、上述した各成分の分散溶解性や安定性を向上させるために、マスキング剤に加工澱粉や変性澱粉等を配合しても良い。加工澱粉や変性澱粉を配合する場合、有機酸1〜20質量部に対して1〜50質量部とすることが好ましい。
本発明に係る加糖ヨーグルトの甘味マスキング方法では、加糖ヨーグルト100質量部に対して、上述した配合比で配合されたマスキング剤を1〜5質量部の割合で配合する。上述したマスキング剤を加糖ヨーグルトに配合すると、加糖ヨーグルトの風味を損なうことなく、甘味を低減することができる。
以下、本発明を具体的に実施した実施例を説明する。
以下の材料を粉体混合して、加糖ヨーグルトの甘味マスキング剤を調整した。
・生成クエン酸(磐田化学工業株式会社):2.0g
・イノシトール(筑野食品工業株式会社):1.0g
・α−シクロデキストリン(株式会社シクロケム):5.0g
・アミコール(日澱化学株式会社):5.0g
濃縮加糖ヨーグルト(ピュアブラン(商品名)、サツラク農業協同組合)100gに上記のマスキング剤5gを添加して十分に混合した。また、比較例としては、マスキング剤を添加していない濃縮加糖ヨーグルトを使用した。
実施例及び比較例に係る濃縮加糖ヨーグルトを識別力のある試験者が口に含み、甘味と、ヨーグルトの風味を官能評価により評価した。マスキング剤を添加した濃縮加糖ヨーグルトでは、マスキング剤を添加していないものと比べて、甘味が十分に低減され、ヨーグルトが持つ酸味と相まって爽やかな甘味が感じられた。また、マスキング剤を添加した濃縮加糖ヨーグルトにおいて、ヨーグルトが持つ風味も損なわれていなかった。
以上説明したように、本発明に係る加糖ヨーグルトの甘味マスキング方法によれば、加糖ヨーグルトの風味を損なうことなく、甘味を抑制できることが確認された。
本発明は、加糖ヨーグルトの味質改善に利用できる。

Claims (2)

  1. 加糖ヨーグルトの甘味マスキング方法であって、
    有機酸1〜20質量部と、イノシトール1〜10質量部と、環状オリゴ糖1〜50質量部とを含有するマスキング剤を、加糖ヨーグルト100質量部に対して1〜5質量部の割合で配合することを特徴とする、加糖ヨーグルトの甘味マスキング方法。
  2. 有機酸1〜20質量部、イノシトール1〜10質量部と、環状オリゴ糖1〜50質量部とを含有する、加糖ヨーグルトの甘味マスキング剤。
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