JP2019023672A - プロセスカートリッジ、および電子写真画像形成装置 - Google Patents

プロセスカートリッジ、および電子写真画像形成装置 Download PDF

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仁昭 木村
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智哉 川上
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聡 山田
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洋平 池田
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昌憲 横山
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Abstract

【課題】高品位な電子写真画像の安定した形成に資するプロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置の提供。【解決手段】電子写真感光体とクリーニングブレードとを具備するプロセスカートリッジであって、該クリーニングブレードは該電子写真感光体の表面に当接する弾性部材と該弾性部材を支持する支持部材とを具備し、該弾性部材の自由端部分にエッジと該エッジを構成する第一の面及び第二の面を有し、該第一の面及び該第二の面の少なくとも一方が硬化表面を有し、明細書中に定義されるDHs及びDHmが0.10≦DHs≦0.40及びDHs<DHmを満たし、該電子写真感光体は、支持体、電荷発生層及び表面層としての電荷輸送層をこの順に有し、該電荷輸送層が下記式(1)の構造を有する、ポリアリレート樹脂及びポリカーボネート樹脂の少なくとも一方を含む。並びに、電子写真画像形成装置。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真方式に使用されるプロセスカートリッジ、および電子写真画像形成装置に関する。
電子写真方式を採用した電子写真画像形成装置は、主に、電子写真感光体と、帯電装置と、露光装置と、現像装置と、転写装置と、クリーニング装置と、定着装置とを含む。これらの装置により、帯電、露光、現像、転写、クリーニングおよび定着などの各プロセスが繰り返し行われる。
特許文献1には、ブレード捲れやブレード鳴きの如きクリーニングに関与する課題を解決し得る電子写真感光体に関する以下の技術が開示されている。すなわち、電子写真感光体の表面層に、(ポリ)シロキサン部位を有する特定のポリカーボネート重合体を含有させることによって表面の潤滑性を向上させた電子写真感光体が開示されている。
また近年の、電子写真画像形成装置のプロセススピードの高速化に伴って、転写工程を経た後にも電子写真感光体上に残留したトナーが、クリーニングブレードをすり抜けやすい状況になってきている。そのため、クリーニングブレードに対して、より優れたクリーニング性能が求められている。
特許文献2には、長期に亘る使用によっても電子写真感光体との当接部が欠落する欠けや、捲れの如き課題を解決し得るクリーニングブレードに関する以下の技術が開示されている。すなわち、イソシアネート化合物で表面処理することにより、表面および表面近傍の硬度特性を制御したクリーニングブレードが開示されている。
特開2007−199688号公報 特開2007−52062号公報
特許文献1に係る電子写真感光体と、特許文献2に係るクリーニングブレードとを組み合わせたプロセスカートリッジに関して、本発明者らが更なる検討を重ねたところ、以下のような新たな課題を見出すに至った。
すなわち、かかるプロセスカートリッジをプロセススピードが速い電子写真画像形成装置に装填して電子写真画像の形成に供した場合において、クリーニング不良による電子写真画像の不具合が生じる場合があった。
従って、本発明の一態様は、高品位な電子写真画像の安定した形成に資するプロセスカートリッジ、および電子写真画像形成装置の提供に向けたものである。
本発明の一態様によれば、電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に構成されている電子写真用のプロセスカートリッジであって、電子写真感光体と、該電子写真感光体の表面をクリーニングするクリーニングブレードと、を具備し、該クリーニングブレードは、該電子写真感光体の表面に当接する弾性部材と、該弾性部材を支持する支持部材とを具備し、該弾性部材は、その自由端部分に、エッジと、該エッジを構成する第一の面および第二の面を有し、該第一の面および該第二の面の少なくとも一方が、硬化表面を有し、該硬化表面のダイナミック硬度をDHs(mN/μm)とし、該弾性部材の長手方向に直交する断面内において、該エッジの角度を二等分する直線上の、該エッジからの距離Lが、0μm<L≦100μmの各位置におけるダイナミック硬度のうちの最大値をDHm(mN/μm)としたとき、DHsおよびDHmは、下記式(20)および式(21)で示される関係を満たし:
式(20)
0.10≦DHs≦0.40;
式(21)
DHs<DHm 、
該電子写真感光体は、支持体、電荷発生層、および、表面層としての電荷輸送層をこの順に有し、該電荷輸送層は、ポリアリレート樹脂およびポリカーボネート樹脂の少なくとも一方の第1の樹脂を含み、該第1の樹脂は、下記式(1)で表される構造を分子内に有することを特徴とするプロセスカートリッジが提供される。
Figure 2019023672
(式(1)中、R11およびR12は、それぞれ独立に、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示し、nは、括弧内の構造の繰り返し数を示し、nの平均値は10以上200以下である。)。
また、本発明の他の態様によれば、電子写真感光体と、該電子写真感光体の表面をクリーニングするクリーニングブレードと、を具備している電子写真画像形成装置であって、
該クリーニングブレードは、該電子写真感光体の表面に当接する弾性部材と、該弾性部材を支持する支持部材とを具備し、該弾性部材は、その自由端部分に、エッジと、該エッジを構成する第一の面および第二の面を有し、該第一の面および該第二の面の少なくとも一方が、硬化表面を有し、該硬化表面のダイナミック硬度をDHs(mN/μm)とし、該弾性部材の長手方向に直交する断面内において、該エッジの角度を二等分する直線上の、該エッジからの距離Lが、0μm<L≦100μmの各位置におけるダイナミック硬度のうちの最大値をDHm(mN/μm)としたとき、DHsおよびDHmは、上記式(20)および式(21)で示される関係を満たし、
該電子写真感光体は、支持体、電荷発生層、および、表面層としての電荷輸送層をこの順に有し、該電荷輸送層は、ポリアリレート樹脂およびポリカーボネート樹脂の少なくとも一方の第1の樹脂を含み、該第1の樹脂は、上記式(1)で表される構造を分子内に有することを特徴とする電子写真画像形成装置が提供される。
本発明の一態様によれば、電子写真方式において高速で電子写真画像を形成する際にも、クリーニング不良を抑制でき、高品位な電子写真画像の形成に資するプロセスカートリッジ、および電子写真画像形成装置を得ることができる。
本発明に係るクリーニングブレードの一例の斜視図である。 クリーニングブレードを図1に示すX方向から見た側面図である。 クリーニングブレードを図1に示すA−A’線で切断した際の、弾性部材部分の断面拡大図である。 (a)は、プロセスカートリッジの静止時における、クリーニングブレードのエッジと感光体とが当接した状態を示す図であり、(b)は、プロセスカートリッジの稼働時における、クリーニングブレードと感光体とが当接した状態を示す図である。 製造例C−1、C−6、C−25及びC−28におけるクリーニングブレードの、硬化表面と弾性部材内部のダイナミック硬度を表すグラフである。 クリーニングブレードの測定サンプルの切り出し箇所を示す図である。 (a)は、クリーニングブレードの硬化表面におけるダイナミック硬度の測定方法を説明するための図であり、(b)は、クリーニングブレードの弾性部材の長手方向に直交する断面におけるダイナミック硬度の測定方法を説明するための図である。 クリーニングブレードの弾性部材の長手方向に直交する断面におけるダイナミック硬度の測定箇所を示す図である。 本発明に係る電子写真画像形成装置の一例を表す概略断面図である。 感光体の表面に当接するクリーニングブレードの当接部の表面の少なくとも一部を示す図である。 クリーニングブレードと、余分な硬化領域形成用材料を除去する際に用いるノズルとの配置を、(a)は図1に示すY方向から見た図、(b)は図1に示すZ方向から見た図である。
本発明者らは、特許文献1に記載の電子写真感光体(以降、単に「感光体」ともいう)に、特許文献2に記載のクリーニングブレードを当接させて、高速で電子写真画像を形成する際に、クリーニング不良による電子写真画像の不具合が生じる理由について検討を行った。特許文献2に記載のクリーニングブレードは、感光体に当接するクリーニングブレードの表面が、クリーニングブレードの中で最も硬度が高くなるように硬化処理されている。これにより、感光体に対する当接圧が高くなる効果がある。しかしながら、クリーニングブレードの表面の硬度が最も高い場合、クリーニング時に感光体との当接部で発生するクリーニングブレード先端部のカールダウンが減少する傾向がある。そのため、高速で電子写真画像を形成したときに、クリーニング不良が生じると考えられる。また、感光体に当接するクリーニングブレードを硬化処理しない場合は、カールダウンが大きくなることで、感光体に対する当接圧が減少し、高速で電子写真画像を形成したときに、クリーニング不良が生じると考えられる。
このような考察に基づき、本発明者らは、高速で電子写真画像を形成する際にも、クリーニング不良の発生を抑制できる、新たな構成のプロセスカートリッジを見出した。本発明の一態様に係るプロセスカートリッジは、感光体の表面の潤滑性を向上させた感光体に対して、適正な当接圧とカールダウンが得られるクリーニングブレードを用いることで、このことを達成している。
以下に、本発明について詳しく説明する。
<<プロセスカートリッジ>>
本発明の一態様に係る(電子写真用の)プロセスカートリッジは、図9に示すように、クリーニング対象である感光体201と、該感光体の表面をクリーニングするクリーニングブレード101とを具備する。クリーニングブレード101は、クリーニング装置の一部を構成し、クリーニング装置は、クリーニングブレード101、および、該クリーニングブレードによって感光体の表面から除去されたトナーを収容する回収容器112を有する。プロセスカートリッジは、クリーニング装置に加えて、例えば、帯電装置及び現像装置を具備することができる。該プロセスカートリッジは、電子写真画像形成装置本体に対して着脱可能(着脱自在)に構成される。
なお、図9は、該プロセスカートリッジが装填された、本発明の一態様に係る電子写真画像形成装置の一例の概略構成図を示す。
<クリーニングブレード>
プロセスカートリッジが有するクリーニングブレードは、上記感光体の表面に当接する弾性部材と、該弾性部材を支持する支持部材とを具備する。
図1は、本発明に係るクリーニングブレード101の構成の一例を示す概略図である。図1に示すクリーニングブレード101は、弾性部材102と、弾性部材102を支持する支持部材103とから構成される。ここで、図1に示す、クリーニングブレード101における「長手方向」、「厚み方向」及び「短手方向」を、それぞれX方向、Y方向及びZ方向とする。なお、図1に記載のクリーニングブレードは、弾性部材102と支持部材103が一体成型されたクリーニングブレードである。
図2は、図1に記載のクリーニングブレード101をX方向から見た側面図である。
本発明では、弾性部材102の自由端部分に、感光体に当接されるエッジ104と、エッジ104を構成する第一の面105及び第二の面106を有する。そして、この第一の面105及び第二の面106のいずれか一方または両方が、感光体に当接し得る硬化表面を有する。すなわち、クリーニング性能の向上を実現する観点から、感光体に当接されるクリーニングブレードのエッジの両側にある第一の面及び第二の面の少なくとも一方の面及びその表面近傍の内部に硬化領域107が形成されている。
なお、硬化領域が形成される弾性部材表面近傍の内部における、弾性部材表面からの距離は特に限定されず、後述するダイナミック硬度の条件を満たしていればよい。しかしながら、例えば、第一の面及び第二の面等の各面から深さ300μm以内に硬化領域を形成することができる。また、硬化領域は、ダイナミック硬度が0.10mN/μm以上の部分を指す。
図3は、図1に記載のクリーニングブレードをA−A’線方向で切断した際の弾性部材102の部分断面図である。図3より、このクリーニングブレードでは、弾性部材102の表面近傍の内部においても、硬化領域107が形成されていることが分かり、また、硬化領域(硬化表面)が、第一の面105及び第二の面106の両方に存在することが分かる。
なお、図1及び図2に示すように、めくれの軽減や、感光体に対するクリーニングブレードの当接圧を上げる目的で、以下の部分に硬化領域(硬化表面)を有することができる。すなわち、弾性部材の長手方向の(両方の)端部108(両端面)及び第一の面に対向する面109、さらにそれらの面の近傍にも硬化領域を有することができる。なお、第一の面に対向する面109とは、第一の面105に対向する全ての面を意味し、図2に示すクリーニングブレードでは、3つの面から構成される。
該クリーニングブレードは、弾性部材における第一の面、第二の面、第一の面に対向する面及び弾性部材の長手方向の両端面、ならびにこれらの各面の近傍に、硬化領域を有することができる。また、クリーニングブレードが有する硬化表面のうちの少なくとも一部が感光体に当接する。
また、弾性部材の「自由端」は、支持部材によって支持されている側の端部(例えば、第二の面に対向する面113)とは反対側の弾性部材の端部(例えば、第二の面106)を意味する。また、弾性部材の「自由端部分」とは、自由端及びその近傍(例えば、図1や図2に示す硬化領域107の部分)を意味する。さらに、「エッジ」とは、感光体に当接されるクリーニングブレードの当接部の少なくとも一部であって、第一の面及び第二の面が交差することによって形成される稜線部を意味する。以降、弾性部材の自由端及びその近傍を、弾性部材の「先端部」またはクリーニングブレードの「先端部」と称する場合がある。
〔支持部材〕
クリーニングブレード101の支持部材103を構成する材料は、特に限定されない。この材料としては、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、亜鉛めっき鋼板、クロムフリー鋼板の如き金属材料、6−ナイロン、6,6−ナイロンの如き樹脂材料等が挙げられる。また、支持部材の形状も特に限定されず、使用する電子写真画像形成装置のトナーカートリッジの種類等に応じて適宜設定することができる。例えば、クリーニングブレードの機械的強度を保つ観点から、図2に示すように、支持部材の形状は、L字形状とすることが好ましい。
支持部材103の厚さ(弾性部材102を支持する部分のY方向の厚さ)は、0.8mm以上、2.4mm以下が好ましく、さらに、1.0mm以上、2.2mm以下がより好ましい。支持部材の厚さが0.8〜2.4mmであれば、クリーニングブレードの機械的強度と長手方向に対する平面度とを保ち易く、さらに、クリーニングブレードの弾性部材と支持部材の熱膨張率の違いによる弾性部材の歪みを容易に抑えることができる。
〔弾性部材〕
クリーニングブレード101の弾性部材102を構成する材料としては、例えば以下の材料が挙げられる。ポリウレタンエラストマー、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、NBRの水素化物、多硫化ゴム。
これらの中でも、弾性部材には、引張強さ、圧縮強さ、曲げ強さおよび硬度などの機械的特性に優れたポリウレタンエラストマーを用いることが好ましい。ポリウレタンエラストマーには、ポリエステルタイプとポリエーテルタイプがある。より高い機械的特性が得られるため、ポリエステルウレタンエラストマーを使用することがより好ましい。
なお、ポリウレタンエラストマーは、主にイソシアネート、ポリオール、鎖延長剤、触媒、その他添加剤等の原料から得られる材料である。以下に、これらの原料について詳細に説明する。
(イソシアネート)
イソシアネートとしては、例えば以下のものが挙げられる。4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート(1,5−NDI)、p−フェニレンジイソシアネート(PPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、カルボジイミド変性MDI、ポリメチレンフェニルポリイソシアネート(PAPI)。これらのイソシアネートは、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中では、引張強さ、圧縮強さ、曲げ強さおよび硬度などの機械的特性が優れるポリウレタンエラストマーが得られることから、MDIが好ましい。
(ポリオール)
ポリオールとしては、例えば以下のものが挙げられる。ポリエチレンアジペートポリオール、ポリブチレンアジペートポリオール、ポリヘキシレンアジペートポリオール、(ポリエチレン/ポリプロピレン)アジペートポリオール、(ポリエチレン/ポリブチレン)アジペートポリオール、(ポリエチレン/ポリネオペンチレン)アジペートポリオールなどのポリエステルポリオール;カプロラクトンを開環重合して得られるポリカプロラクトン系ポリオール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテルポリオール;ポリカーボネートジオール。これらのポリオールは、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらのポリオールの中でも、引張強さ、圧縮強さ、曲げ強さおよび硬度などの機械的特性に優れたポリウレタンエラストマーが得られることから、ポリエステルポリオールが好ましい。
(鎖延長剤)
鎖延長剤は、ポリウレタンエラストマー鎖を延長可能なものであれば適宜用いることができ、具体的には、鎖延長剤としてグリコールを使用することができる。弾性部材に用いられるグリコールとしては、例えば以下のものを挙げることができる。
エチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール(DEG)、プロピレングリコール(PG)、ジプロピレングリコール(DPG)、1,4−ブタンジオール(1,4−BD)、1,6−ヘキサンジオール(1,6−HD)、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、キシリレングリコール(テレフタリルアルコール)、トリエチレングリコール。
また、上記グリコールの他に、その他の多価アルコールも鎖延長剤として使用できる。具体的には、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトールの如き多価アルコールを鎖延長剤として使用することができる。これらの鎖延長剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの鎖延長剤の中でも、引張強さ、圧縮強さ、曲げ強さ及び硬度等の機械的特性に優れたポリウレタンエラストマーが得られることから、1,4−ブタンジオール(1,4−BD)およびトリメチロールプロパンの2種類の少なくとも一方を用いるのが好ましい。
(触媒)
弾性部材に用いられる触媒としては、通常用いられるポリウレタンエラストマー硬化用の触媒を使用することができる。触媒としては、例えば、三級アミン触媒等が挙げられ、具体的には、以下のものを例示できる。N,N−ジメチルアミノヘキサノール、ジメチルエタノールアミン、N,N,N’−トリメチルアミノプロピルエタノールアミンの如きアミノアルコール;トリエチルアミンの如きトリアルキルアミン;N,N,N’N’−テトラメチル−1,3−ブタンジアミンの如きテトラアルキルジアミン;トリエチレンジアミン、ピペラジン系化合物、トリアジン系化合物。また、酢酸カリウム、オクチル酸カリウムアルカリなどの金属の有機酸塩も用いることができる。さらに、通常、ウレタン化に用いられる金属触媒、例えば、ジブチル錫ジラウレートも使用可能である。これらの触媒は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの触媒の中でも、引張強さ、圧縮強さ、曲げ強さおよび硬度などの機械的特性や、弾性部材の成型性に優れたポリウレタンエラストマーが得られることから、ジメチルエタノールアミンおよび酢酸カリウムの2種類の少なくとも一方を用いるのが好ましい。
(その他の添加剤)
これらの原料を含む、上記ポリウレタンエラストマー等の原料組成物中には、必要に応じて、さらに、顔料、可塑剤、防水剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤を配合することができる。
なお、上記原料組成物中の各原料の配合割合は、適宜設定することができ、特に限定されない。
(形状)
弾性部材の形状(X方向に対して垂直な断面における形状)は、例えば、短冊状とすることができるが、図2に示すように、第二の面106から第二の面に対向する面113にかけて、Y方向の厚みを段階的に増加させても良い。このように、Y方向の厚みを段階的に増加させることにより、小さい侵入量でより高い当接圧を得ることができ、クリーニング性を確保し易い。
弾性部材102において、第一の面105と第二の面106とが接することによって形成される、エッジ104を含む部分の角度(第一の面と第二の面により形成される(エッジの)角度)は、特に限定されないが、85度以上95度以下であることが好ましい。この角度が85〜95度であることで、クリーニングブレードの先端部に、トナー、外添剤および紙粉等の蓄積による層を継続的に形成でき、これによりクリーニングが安定するため好ましい。同様の観点から、この角度は、より好ましくは、89度以上91度以下である。
(硬化領域以外の部分の硬度)
弾性部材102における硬化領域107以外の部分の硬度は、クリーニングに必要な当接圧を確保する観点から、国際ゴム硬さ(IRHD)で60度以上であることが好ましく、65度以上であることがより好ましい。また、弾性部材102のゴム弾性を確保する観点から、85度以下が好ましく、80度以下がより好ましい。
[硬化領域の形成部位]
弾性部材102は、硬化領域107を有する。上述した通り、弾性部材102における硬化領域107の形成部位は、感光体に当接され得る第一の面105及び第二の面106の少なくとも一方の表面及び該表面近傍の内部であることが、クリーニング性能の向上を実現する手段として有効である。感光体の表面の画像形成領域は、このクリーニングブレード101のエッジ104を含む当接部に当接されて、清掃される。
ここで、図4(a)及び(b)に、プロセスカートリッジの静止時及び稼動時における、クリーニングブレードと感光体との当接状態を示す。なお、これらの図では、硬化領域の記載を省略している。図4に示す通り、感光体201には、エッジ104を形成する第一の面105と第二の面106の両面が接する場合があるため、第一の面105と第二の面106との両面に硬化領域が形成されていることが好ましい。
なお、上述したように、硬化領域107(硬化表面)は、更に、弾性部材102の先端部の他の面、すなわち、第一の面に対向する面109、及び弾性部材の長手方向の端部108において形成されていてもよい。この場合、弾性部材102の剛性をより向上させることができ、クリーニングに必要な当接圧を容易に得ることができる。
[硬化領域形成用材料]
弾性部材における硬化領域は、高硬度を所望する領域に、硬化領域を形成するための材料(硬化領域形成用材料)を(硬化領域形成前の)弾性部材に塗布して硬化させることによって形成することができる。なお、硬化領域の詳しい形成方法については、後述する。
この硬化領域形成用材料は、特に限定されないが、例えば、弾性部材102を硬化することが可能なもので、かつ結晶性が高いものを用いる。用いる硬化領域形成用材料の結晶性が高いと、耐疲労性、及び機械的強度をより向上させることができる。硬化領域形成用材料としては、具体的にはイソシアネート化合物やナイロン樹脂やエステル樹脂等を用いることができる。
硬化領域形成用材料は、必要に応じて、溶剤等で希釈して用いてもよい。希釈に用いる溶剤としては、硬化領域形成用材料を、溶解、膨潤するものであれば、特に限定されず、例えば、トルエン、キシレン、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。
ここで、弾性部材102を構成する材料がポリウレタンエラストマーである場合、硬化領域形成用材料としては、弾性部材との相溶性や弾性部材への含浸性を考慮すると、ポリウレタンエラストマーの構成材料であるイソシアネート化合物を用いることが好ましい。
このイソシアネート化合物としては、例えば、分子構造中に1個以上のイソシアネート基を有するものを使用することができる。
分子構造中に1個のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物としては、例えば、オクタデシルイソシアネート(ODI)等の脂肪族モノイソシアネート、フェニルイソシアネート(PHI)等の芳香族モノイソシアネートなどを使用することができる。
また、分子構造中に2個のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物としては、例えば、ポリウレタン樹脂の製造に通常用いられるものを使用することができる。具体的には、例えば、以下のものを挙げることができる。2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、m−フェニレンジイソシアネート(MPDI)、テトラメチレンジイソシアネート(TMDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等。
さらに、分子構造中に3個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物として、例えば、以下のものを挙げることができる。4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、2,4,4’−ビフェニルトリイソシアネート、2,4,4’−ジフェニルメタントリイソシアネート等。
なお、2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物は、その変性誘導体や多量体等も使用可能である。
これらの材料の中でも、硬化領域107の硬度を効率的に上げるためには、結晶性の高い、つまり構造に対称性を有するMDIが好ましく、さらに、変性体を含んだMDIは常温(例えば25℃)で液体であるため、作業性の面からより好ましい。なお、弾性部材内へのMDI含浸量を上げ、硬化領域の硬度を得る観点から、変性体を含むMDIは、溶剤で希釈せずに使用するのが更に好ましい。
なお、上記変性体(変性誘導体)とは、例えば、カルボジイミド変性MDIを挙げることができる。
[硬化領域の硬度]
感光体201に当接する弾性部材の当接面は、感光体との接触状態を安定にする観点から、柔軟であることが必要である。そのため、硬化表面のダイナミック硬度DHsは、0.10mN/μm以上0.40mN/μm以下とする(0.10≦DHs≦0.40)。
前記硬化表面のダイナミック硬度DHsが0.40mN/μmより高いと、表面の硬度が高すぎるため、良好なクリーニングを行う上で有効に作用するクリーニングブレードの当接部におけるカールダウンが生じ難い。特に、感光体の表面が低摩擦性の表面である場合には、カールダウンの生じ難さは、クリーニング性の低下を招来し得る。すなわち、感光体の表面が低摩擦であることで、弾性部材が滑りやすく、カールダウンが、より生じ難くなる。従って、高速での画像形成時において、クリーニングブレードの当接部に適正なカールダウンを生じさせるためには、DHsを0.40mN/μm以下にする必要がある。
また、前記硬化表面のダイナミック硬度DHsが0.10mN/μm未満では、表面近傍の内部の硬度が高くても、当接圧が下がり、クリーニング性能が低下する場合がある。ダイナミック硬度DHsのより好ましい値は、0.12mN/μm以上0.35mN/μm以下である。
また、該クリーニングブレードにおいては、クリーニング性能の向上のために、弾性部材102の先端部の硬化領域107の表面近傍の内部に表面のダイナミック硬度DHsよりも高いダイナミック硬度の硬化領域を存在させている。具体的には、弾性部材102の長手方向に直交する断面内(例えば、図1のA−A’線で切断した際の断面内)において、第一の面105と第二の面106とで構成されるエッジ104の角度を二等分する直線上の、該エッジ104からの距離Lが、0μm<L≦100μmの各位置におけるダイナミック硬度のうちの最大値をDHm(mN/μm)としたとき、DHmが、DHsよりも高くなる。このような構成を有することにより、該クリーニングブレード101は、感光体201に当接した際に必要とする当接圧が確保され、さらに当接部カールダウンが適度に発生する。その結果として、優れたクリーニング性能を発揮する。
なお、前記距離Lが0μm<L≦100μmの範囲の位置にはDHsよりも高いダイナミック硬度の部分が存在しない場合(例えば、Lが100μmを超えた位置にDHsよりも高いダイナミック硬度の部分が存在する場合)、以下のことが生じる場合がある。すなわち、クリーニングブレード101を感光体201に当接した時にカールダウンが過度に大きくなり、当接圧が上がらない場合がある。
また、上記DHmを示す、上記直線上の位置は、該エッジからの距離Lが20μm以上、100μm以下、特には、20μm以上、80μm以下の範囲内にあることが好ましい。これにより、クリーニングブレードの当接部のエッジの欠けの発生を、より一層抑制することができる。
図8に、クリーニングブレードの弾性部材の長手方向に直交する断面におけるダイナミック硬度の測定箇所を示す。この図における、符号11は切断面を表し、符号12は内部ダイナミック硬度の測定ポイントを表し、符号13はエッジの角度を二等分する直線を表し、符号dは測定間隔(例えば10μm)を表す。
このように、本発明では、弾性部材102の自由端部分の内部のダイナミック硬度の測定位置を、弾性部材の長手方向に直交する断面内において第一の面と第二の面によって形成されるエッジ104を起点として該エッジの角度を二等分する直線上の位置としている。その理由は、ダイナミック硬度DHsの測定面が、第一の面と第二の面の少なくとも一方の面であること、及び、図4(b)に示すように、クリーニング時の感光体との位置関係から当該直線の方向がクリーニングブレードの実質的な厚み方向と見做すことができるからである。
なお、上記DHmは、Lが上記範囲内の各位置におけるダイナミック硬度のうちの最大値を示すものである。該クリーニングブレードは、Lが100μmを超えた位置に、前記直線上におけるダイナミック硬度の最大値(以下、「DHMax」ともいう)を有していても良い。しかしながら、前記直線上におけるダイナミック硬度の最大値(DHMax)を示す位置(以下、「PMax」ともいう)は、エッジ104からの距離Lが(100μmを超えた位置ではなく)、20μm以上100μm以下の範囲内にあることが好ましい。この場合、上記ダイナミック硬度の最大値(DHMax)を示す位置(PMax)が、DHmの位置と一致することとなる。
また、前記弾性部材の長手方向に直交する断面のエッジの角度を二等分する直線上における、ダイナミック硬度の最大値(DHm)を示す位置に至るまでのダイナミック硬度は、以下を満たすことが更に好ましい。すなわち、この直線上において、ダイナミック硬度がエッジからDHmを示す位置に至るまで、漸増していることが、更に好ましい。硬度がこのように漸増していることにより、表面からある程度の深さの位置(例えば、上記直線上でエッジからの距離が20μmの位置)までに、極端に硬度の高い領域が存在しないため、長期使用時にもエッジ欠けによるクリーニング性能の低下がより発生しにくいためである。なお、上記漸増とは、硬度が徐々に増加することを意味し、硬度が一定になる部分は存在しない。
ここで、DHmは、硬化表面のダイナミック硬度DHsの1.1倍以上であることが好ましい。DHmがDHsの1.1倍以上であることにより、感光体への当接圧をより確実に印加することができる。
また、DHmは、DHsの10倍以下であることが好ましい。DHmがDHsの10倍以下であることにより、当接面の内部の硬化領域の硬度が過度に高くならないため、弾性部材の先端部のゴム弾性が一層損なわれ難い。DHmのより好ましい範囲としては、DHsの1.2倍以上8倍以下である。
[硬化領域の硬度測定方法]
硬化領域107の硬度は、以下の方法により測定することができる。測定機としては、島津製作所製「島津ダイナミック超微小硬度計 DUH−W211S(商品名)」を用いることができる。圧子としては、115°三角すい圧子を用い、以下の計算式よりダイナミック硬度を求めることができる。
ダイナミック硬度:DH=α×P/D
式中、αは、圧子形状による定数を、Pは、試験力(mN)を、また、Dは圧子のサンプルへの侵入量(押し込み深さ)(μm)を表す。
なお、測定条件は以下の通りである。
α:3.8584、
P:1.0mN、
負荷速度:0.03mN/sec、
保持時間:5秒、
測定環境:温度23℃、相対湿度55%、
測定サンプルのエージング:温度23℃、相対湿度55%の環境下で6時間以上放置。
測定サンプルの調製方法は以下の通りである。測定サンプルは、画像形成領域内における長手方向(X方向)を3等分した3箇所のそれぞれの中間点(3個所:M、M、M)から、長手方向にw:4mm(中間点(M、M、M)から両方向に2mm)、短手方向(Z方向)はエッジ104からh:2mmの寸法で切り出す(図6参照)。なお、厚み方向(Y方向)については、全て切り出すものとする。また、作製した弾性部材の形状に応じて(例えば、上記条件では3個のサンプルを切り出すことが出来ない場合)、測定サンプル数を減少させることも可能である。
硬化表面のダイナミック硬度DHsは、測定サンプルの硬化領域107の硬化表面(第一の面、第二の面)に圧子が垂直に当たるようにサンプルを配置し、長手方向は端部から2mmの位置、短手方向もしくは厚み方向はエッジから100μm以上500μm以下離れた位置の任意の位置において測定される。図7(a)は、測定サンプルの硬化領域(ここでは、第二の面)に圧子10が垂直に当たるように配置した図である。この測定を3個の測定サンプルについて行い、その平均値を硬化領域107の表面のダイナミック硬度DHsとする。また、第一の面105と第二の面106の両面に硬化領域107を形成した場合は、それぞれの面の各3個の測定サンプルの平均値のうち、より高い方の平均値を硬化表面のダイナミック硬度DHs(mN/μm)とする。さらに、3つの面以上に硬化領域を形成した場合は、各面の(3個の測定サンプルより算出した)平均値のうち、最も高い平均値を上記DHsとする。
弾性部材102の長手方向に直交する断面内であって、弾性部材102の先端部の硬化領域107の表面近傍の内部のダイナミック硬度の測定は、下記の手順で行われる。上記測定後の各サンプルを長手方向w:2mmの位置(図7(a)に示す点線の位置)で切断し、この切断面11に圧子10が垂直に当たるようにサンプルを配置する(図7(b)参照)。なお、測定位置は、エッジ104の角度を二等分する直線13上であって、エッジ104からの距離Lが、少なくとも0<L≦100μmの部分を含む、d:10μm間隔の位置とする(図8参照)。すなわち、硬化領域の表面近傍の内部のダイナミック硬度の測定位置は、エッジからの距離Lが、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm及び100μmの少なくとも10か所を含むものである。なお、ダイナミック硬度を測定する際の、0μm<L≦100μmの各位置とは、この測定位置(エッジからの距離Lがd:10μm間隔の位置)を意味する。
これらの各位置において順次測定を行い、測定値が、硬化領域が形成されていない弾性部材のダイナミック硬度となる点まで測定する。ただし、Lが100μmより前の位置において、測定値が、硬化領域が形成されていない弾性部材のダイナミック硬度となった場合は、少なくとも、Lが100μmの位置までは測定を行う。また、測定値が、硬化領域が形成されていない弾性部材のダイナミック硬度にならない場合は、上記直線13上の測定箇所を全て測定した時点で測定を終了する。この測定を3個の測定サンプルについて行い、それら3個の測定サンプルの各位置における測定値を、位置毎に(例えば、Lが20μmの位置について)、平均値を算出し、得られたその平均値をそれぞれ、弾性部材102の表面近傍における、各位置のダイナミック硬度とする。そして、これらの各位置のダイナミック硬度の平均値を、Lが0<L≦100を満たす範囲(すなわち、10か所)で比較する。そして、それらの中で最も高い平均値をDHm(mN/μm)とする。ここで、上記直線13上の(Lが100μmを超える位置も含む)各位置におけるダイナミック硬度の平均値の中で、最も高いダイナミック硬度の平均値が上記DHmである場合は、以下のようになる。すなわち、このDHmが、直線13上の各位置におけるダイナミック硬度の中で、最も高いダイナミック硬度:DHMaxとなり、そのDHmの位置がPMaxの位置となる。一方、Lが100μmを越える距離の位置に、DHmよりも高いダイナミック硬度の平均値が存在する場合は、この位置におけるダイナミック硬度の平均値がDHMaxとなる。従って、DHMaxを示す位置PMaxは、直線上の、エッジからの距離Lが、100μを超える位置に存在することになる。この場合、DHmとDHMax、及び、DHmを示す位置とPMaxの位置とは、それぞれ異なる値となる。
[ハードセグメント]
感光体の表面に当接する弾性部材102の当接部の表面(具体的には、硬化表面(硬化領域107))には、ハードセグメントを有することができる。ハードセグメントとは、硬化領域107を形成するために、(硬化領域形成前の)弾性部材に含浸させた硬化領域形成用材料自身が持つ強い分子間力(水素結合)により、硬化領域形成用材料同士が凝集してできた塊を意味する。このハードセグメントの形状、大きさ、数及び配置は、特に限定されない。なお、このハードセグメント部は、他のソフトセグメント部(例えば、ハードセグメントが形成されていない部分の硬化領域)と比較して、弾性率が高く、硬いことが分かっている。
図4(b)に示すように、感光体201のクリーニング時において、クリーニングブレード101のエッジ104部分では、感光体201の回転方向Rと同じ方向に適度なカールダウン(当接幅)が形成されると考えられている。弾性部材102のエッジ部分に、適度なカールダウンが形成されることによって感光体201に対する当接圧が適度に上昇し、当接部110におけるクリーニング性が向上していると推測される。
図10は、図4に示す感光体201との当接部110におけるクリーニングブレード101の表面の少なくとも一部を示す図である。弾性部材102にはハードセグメント111が含まれており、ハードセグメント111には弾性部材102の中(内部)に存在するものや、弾性部材102の表面に露出して存在するものもある。
ここで、当接部110表面のハードセグメント111の割合は、感光体表面に生成される放電生成物と関連がある。放電生成物とは、帯電プロセスでの放電時に発生するオゾンや窒素酸化物などの活性物質、および、それらの反応生成物の総称である。放電生成物は、水分を吸着し、感光体表面の電気抵抗を低下させ、絶縁不良や帯電不良の発生原因となる。
放電生成物が要因となる代表的な画像不良として、画像流れが挙げられる。画像流れとは、画像がぼやけたり、こすれたように流れる現象を指す。
画像流れの発生タイミングは、長期に亘る画像形成後、電子写真画像形成装置を停止し、感光体表面上に発生した放電生成物が空気中の水分を十分に吸収した翌日に発生しやすい傾向にある。
当接部110において、弾性部材102の表面に露出しているハードセグメント111の占める面積は、当接部110表面の面積に対して20%以上40%以下であることが好ましい。ハードセグメント111の占める面積が20%以上40%以下であれば、ソフトセグメントと比較して硬度が高いハードセグメント111によって感光体表面上に発生した放電生成物を容易に削り取ることができる。
より具体的には、ハードセグメント111の占める面積が20%以上であれば、感光体表面上への発生した放電生成物の残留を容易に防ぐことができ、画像流れの発生を抑制しやすい。さらに、ハードセグメント111の占める面積が40%以下であれば、弾性部材が適度な数のハードセグメントを有することができ、感光体の電荷輸送層を削り取ることなく、放電生成物を容易に削り取ることができる。このように、ハードセグメントの占める面積が20%以上40%以下の範囲であれば、感光体の電荷輸送層を削ることなく、その表面上の放電生成物のみを容易に除去し、長期間良好な画像を容易に形成することができる。
また、当接部110の表面において、弾性部材102の表面に露出している、ハードセグメント111の大きさが30nm以下であるものの個数の割合が、当接部110表面のハードセグメント111の総数に対して、70%以上であることが好ましい。大きさが30nm以下であるものの個数の割合が70%以上であれば、感光体表面全体を均一に削りやすく、局所的な削れムラによる放電生成物の残留を抑制しやすく、画像流れの発生を抑制しやすい。
[ハードセグメントの測定方法]
クリーニングブレードの当接部の表面におけるハードセグメントの面積割合(面積比率)、大きさ及び(30nm以下のものの)個数割合は、以下の方法により測定することができる。具体的には、オックスフォード・インストゥルメンツ株式会社製、原子間力顕微鏡(商品名:「MFP-3D-ORIGIN」)を用いて位相像を観察する。
なお、測定条件は以下の通りである。
探針;オリンパス製AC160(商品名)
共振周波数;263kHz(1次)、1.49MHz(2次)
バネ定数;25.92nm/V
Target Amplitude;3V、Set Point;2V
サイズ;2μm、スキャン速度;1Hz
測定モード;AMFMモード。
測定サンプルの調整方法は、以下の通りである。測定サンプルは、弾性部材102の長手方向を3等分した3箇所のそれぞれの中間点(3個所:M、M及びM)から、ライカ社製、クライオミクロトーム UC−T(商品名)を用いて、感光体201との当接部110における硬化領域107の表面部分の薄片を切り出す。なお、薄片のサイズは、縦500μm、横300μm、厚み1μmとする。なお、縦の方向は、図1に記載のZ方向、横はX方向、厚みはY方向とそれぞれ対応する。薄片の位相像取得位置は、感光体201との当接部110における硬化領域107の表面上とする。前記測定条件により位相像を取得後、位相像をニレコ社製、画像解析装置(商品名:「Luzex-AP」)で2値化処理する。具体的には、カラーの位相像を、濃淡画像処理機能を用いてモノクロ化した位相像を得る。次いで、モノクロ化した位相像を、2値化設定機能を用いて2値化した位相像を得る。この際、2値化設定機能での閾値の設定は93とする。
2値化した位相像をニレコ社製、画像解析装置(商品名:「Luzex-AP」)を用いて、弾性部材102のハードセグメント111の占める面積、ハードセグメント111の大きさ及び個数割合を測定する。ハードセグメントの占める面積は「面積率」パラメータ、ハードセグメントの大きさは「円相当径」パラメータを用いて測定を行う。
尚、該当接部の表面において、該ハードセグメントの大きさが30nm以下であるものの個数の割合は、以下のようにして計算することができる。すなわち、上記画像解析装置(商品名:「Luzex-AP」)にて得られたハードセグメントの円相当径を、Microsoft社製「Excel」(商品名)を用いて計算を行う。具体的には、アドインである分析ツールのヒストグラムを使用し、入力範囲に0〜1000nmの10刻みの数値を、データ区間にハードセグメントの円相当径を指定する。その後に、累積度数分布の表示にチェックを入れ、各ハードセグメントの大きさの頻度の割合を算出する。そして、得られたデータ区間30の累積%の値を、弾性部材102の長手方向を3等分した3箇所のそれぞれの中間点(3個所)について各々算出し、平均値を該ハードセグメントの大きさが30nm以下であるものの個数の割合とする。
<クリーニングブレードの製造方法>
[クリーニングブレード前駆体の製造]
クリーニングブレードの製造方法の具体例として、以下に、金型成型によるクリーニングブレードの成型方法について説明する。まず、弾性部材を形成するためのキャビティを備えたクリーニングブレード用金型内に、弾性部材との接触部分に接着剤を塗布した支持部材を配置する。一方、ポリイソシアネートとポリオールを部分的に重合したプレポリマー、ならびにポリオール、鎖延長剤、触媒及びその他添加剤を含む硬化剤を注型機内に投入し、ミキシングチャンバー内で、一定比率にて混合、攪拌する。得られたポリウレタンエラストマー(原料組成物)を上記金型内に注入して支持部材の接着剤塗布面上に硬化成型物(弾性部材)を形成し、反応硬化(一次加熱)後に脱型する。そして、必要に応じて、弾性部材を所定の寸法や弾性部材の当接部のエッジ寸法精度を確保するために、例えば、弾性部材の長手方向及び短手方向における部分を適宜切断することができる。これにより、支持部材と弾性部材が一体的に成形されたクリーニングブレード前駆体(硬化領域を形成する前のクリーニングブレード)を製造することができる。
また、クリーニングブレード前駆体を一体成型で作製する製造方法以外にも、以下の方法がある。すなわち、弾性部材用のシートを別途成型した後、例えば短冊状に切断して弾性部材とし、これを接着剤等により支持部材に接着することによってクリーニングブレード前駆体を製造する接着タイプの製造方法等もある。
なお、支持部材と弾性部材の接着性を高めるために、接着剤による接着の他、支持部材表面の粗面化等を行うことが好ましい。支持部材と弾性部材の接着部における接着強度は、45N/cm以上であることが好ましく、これにより、感光体とクリーニングブレードの摩擦による力によって支持部材と弾性部材が剥離することを容易に抑えられる。これらの接着手段の中でも、フェノール系樹脂系接着剤による接着が、高い接着強度を得られるため、好ましい。
[硬化領域の形成]
(硬化領域形成用材料の塗布)
次に、得られた前駆体に対し、硬化領域を形成するための表面処理を行う。なお、弾性部材の先端部への硬化領域の形成は、前駆体の脱型後の切断操作前であってもよいし、切断操作後であってもよい。また、例えば、前駆体を上述した接着タイプの製造方法により製造する場合は、弾性部材の先端部への硬化領域の形成は、弾性部材を支持部材に接着する前であってもよいし、接着した後であってもよい。
上述したように、弾性部材における硬化領域の形成は、硬化領域形成用材料を塗布して硬化させることによって行うことができる。この硬化領域形成用材料は必要に応じて希釈溶剤で希釈して使用され、ディッピング、スプレー、ディスペンサ、刷毛塗り、ローラ塗布等、公知の手段で塗布することができる。硬化領域形成用材料としては、上述したイソシアネート化合物等を用いることができる。表面よりも内部に高硬度領域を存在させるためには、硬化領域形成用材料(イソシアネート化合物等)を十分に弾性部材の中に含浸させることが好ましいため、弾性部材(例えば上記前駆体)を作製後、1時間以内に硬化領域を形成することが好ましい。
硬化領域形成用材料を高濃度かつ低粘度にすることで含浸は促進されるため、硬化領域形成用材料を希釈等せずに加熱することが効果的である。材料温度はMDIを使用する場合、60℃以上が好ましい。
次に、弾性部材の表面に残った余剰な硬化領域形成用材料(例えばイソシアネート化合物)の除去を行う。除去手段は、溶剤拭きによる除去や加熱した気体によるホットエアブローによる除去等の手段を用いることができる。溶剤拭きは、硬化領域形成用材料が効率的に除去することが可能なものであれば特に限定されず、具体的には、溶剤としては、トルエン、キシレン、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンが挙げられる。硬化領域形成用材料としてイソシアネート化合物を例に挙げると、溶剤による除去の場合は、イソシアネート化合物との相溶性が高い酢酸ブチルでの拭き取りによる除去手段が好ましい。また、加熱した気体によってホットエアブローをする場合は、硬化領域形成用材料を低粘度化させ、弾性部材への含浸を促進させることにより、ハードセグメントの大きさを小さくすることができる。ホットエアブローの際の、弾性部材における硬化領域の表面温度は、110℃以上であることが好ましい。110℃以上であれば、硬化領域形成用材料が十分に低粘度化し易く、弾性部材表面に残った余分な硬化領域形成用材料を十分に除去し易い。また、ホットエアブローの際の硬化領域の表面温度は、150℃以下であることが好ましい。150℃以下であれば、熱による弾性部材の軟化による、変形や面荒れの発生を容易に防ぐことができる。さらに、ホットエアブローの際の硬化領域の表面温度は、120℃以上、140℃以下であることがより好ましい。
(二次加熱)
次に、弾性部材の表面に付与された硬化領域形成用材料を弾性部材の内部に、浸透及び拡散を促進させて、最も高硬度となる領域を弾性部材の表面から内部の位置に推移させるために二次加熱の処理を行う。二次加熱の方法としては、加熱炉内に硬化領域形成用材料除去後の弾性部材を通過させる方法や、硬化領域形成用材料除去後の弾性部材に加熱風を吹き付ける方法などが挙げられる。例えば、加熱炉としては放射型加熱炉、循環風型加熱炉などが挙げられ、加熱風を形成する機器としては、熱風器などが挙げられ、その他に遠赤外線ヒーターなどが挙げられる。
二次加熱の条件を高温及び/または長時間とすることで、硬化領域は広くなり、最も高硬度となる領域は、弾性部材の表面からより内部の位置に推移する。二次加熱の条件としては、少なくとも弾性部材の先端部の表面温度を80℃以上で3分間以上加熱することが好ましい。80℃以上の温度で弾性部材の先端部を加熱することにより、イソシアネート化合物等の硬化領域形成用材料の粘度を、弾性部材内で拡散させ易い粘度まで容易に下がりきらせることができる。このため、弾性部材内での硬化領域形成用材料の拡散速度を速くすることができ、弾性部材の表面に多くの硬化領域形成用材料が滞留することを容易に防ぐことができる。その結果、弾性部材の表面の硬度が最も高くなることを容易に防ぐことができる。加熱炉の雰囲気としては、弾性部材の先端部の表面温度を80℃以上にするため、80℃より高い温度に設定することが好ましい。但し、この二次加熱の処理温度及び時間は、弾性部材に硬化領域形成用材料を含浸する際の温度や含浸量等の条件に応じて、適宜設定することができる。
また、弾性部材の表面よりも内部に高硬度である領域を存在させやすくするためには、硬化領域形成用材料としてイソシアネート化合物を例に挙げると、弾性部材としてはプレポリマーと硬化剤との混合比を調整することが効果的である。具体的な配合比としては、イソシアネート基に対する水酸基のモル比(α値)が0.45以上0.65以下となるように混合することが好ましい。硬化領域形成時の弾性部材の状態としては、未反応のイソシアネート基が弾性部材の内部により多く存在していることが好ましい。弾性部材の表面、及び内部に存在するイソシアネート基と硬化領域形成用材料であるイソシアネート化合物が反応するので、弾性部材の内部により多くの未反応イソシアネート基が存在する場合は、弾性部材の内部がより高硬度になりやすいためである。
このように、(硬化領域形成前の)弾性部材に、硬化領域形成用材料を塗布し、二次加熱を行うことにより、硬化領域を形成することができる。
<電子写真感光体>
感光体について、以下に詳細に説明する。感光体は、支持体、該支持体上に形成された電荷発生層、および該電荷発生層上に設けられた電荷輸送層を有し、かつ、該電荷輸送層が表面層となる。感光体は、支持体、電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に有していれば良く、これらの間に、他の層(例えば、導電層及び下引き層)を有することもできる。
感光体としては、通常、円筒状の支持体上に、感光層(例えば、電荷発生層及び電荷輸送層)が形成されてなる円筒状の感光体が広く用いられる。しかしながら、本発明では、感光体の形状は特に限定されず、円筒状の他に、ベルト状及びシート状などの他の形状とすることも可能である。
〔支持体〕
支持体としては、導電性を有するもの(導電性支持体)が好ましく、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス等の金属製の支持体を用いることができる。アルミニウムやアルミニウム合金製の支持体の場合は、ED管(Extrusion Drawing)、EI管(Extrusion Ironing)や、これらを切削、電解複合研磨(電解作用を有する電極と電解質溶液による電解および研磨作用を有する砥石による研磨)、湿式または乾式ホーニング処理した支持体を用いることもできる。また、金属支持体や樹脂支持体上に、アルミニウム、アルミニウム合金及び酸化インジウム−酸化スズ合金等を真空蒸着によって被膜形成したものを用いることもできる。支持体の表面には、切削処理、粗面化処理、アルマイト処理などを施してもよい。さらに、カーボンブラック、酸化スズ粒子、酸化チタン粒子、銀粒子等の導電性粒子を樹脂などに含浸した支持体や、導電性樹脂を有するプラスチックを用いることもできる。
〔導電層〕
感光体は、支持体と、電荷発生層との間に、レーザー光などの散乱による干渉縞の抑制や支持体の傷の被覆を目的として、導電層を有することができる。導電層は、導電性粒子と、樹脂とを含むことができ、必要に応じて、添加剤(例えば、後述の電荷輸送層において記載する添加剤)を含むこともできる。
導電性粒子としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラックや、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀等の金属粉や、導電性酸化スズ、ITO(酸化インジウムスズ)等の金属酸化物粉体が挙げられる。
導電層に用いられる樹脂としては、例えば、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂およびアルキッド樹脂が挙げられる。
導電層の厚み(膜厚)は、支持体からのホール注入阻止の観点から、0.2μm以上40μm以下であることが好ましく、1.0μm以上35μm以下であることがより好ましく、5μm以上30μm以下であることが更に好ましい。
〔下引き層〕
感光体は、支持体と、電荷発生層との間(上記導電層を形成した場合は、導電層と電荷発生層との間)に、下引き層を有することができる。下引き層は、樹脂を含有することができる。
下引き層に用いられる樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸類、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド酸樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。
また、下引き層には、半導電性粒子、電子輸送物質、または電子受容性物質を含有させてもよい。
さらに、下引き層には、後述の電荷輸送層において記載する添加剤を含有することもできる。
下引き層の厚みは、電荷輸送の観点から、0.05μm以上7μm以下であることが好ましく、0.10μm以上2μm以下であることがより好ましい。
〔電荷発生層〕
感光体では、支持体(あるいは導電層または下引き層)上に、電荷発生層が設けられる。電荷発生層は、電荷発生物質及び樹脂を含むことができ、必要に応じて他の添加剤(例えば、後述の電荷輸送層において記載する添加剤)を含むことができる。
電荷発生層に用いられる電荷発生物質としては、例えば、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、インジゴ顔料およびペリレン顔料が挙げられる。これら電荷発生物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、オキシチタニウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン等の金属フタロシアニンは、高感度であるため好ましい。
電荷発生層に用いられる樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂および尿素樹脂が挙げられる。これらの中でも、電荷発生物質の分散安定性の観点から、ブチラール樹脂が好ましい。これらは、単独、混合または共重合体として、1種または2種以上を用いることができる。
電荷発生層における、電荷発生物質と樹脂との割合(電荷発生物質の質量:樹脂の質量)は、電気特性の観点から、1:10〜10:1の範囲が好ましく、1:1〜3:1の範囲がより好ましい。
電荷発生層の厚みは、電気特性の観点から、0.01μm以上5μm以下であることが好ましく、0.10μm以上2μm以下であることがより好ましい。
また、電荷発生層には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などの添加剤を必要に応じて添加することもできる。また、電荷発生層において電荷の流れが一層滞らないようにするため、電荷発生層には、電子輸送物質及び電子受容性物質等を含有させてもよい。
[電荷輸送層]
感光体では、電荷発生層上に、電荷輸送層が設けられ、電荷輸送層が表面層となる。なお、電荷輸送層は、単層構造としてもよいし、二層以上の積層構造としてもよいが、少なくとも、最も表面側の電荷輸送層に、後述する第1の樹脂を含有させる。
ここで、電荷輸送層の膜厚は、電気特性の観点から、5μm以上50μm以下であることが好ましく、10μm以上35μm以下であることがより好ましい。
(第1の樹脂)
a)式(1)で表される構造(構造単位)
電荷輸送層は、ポリアリレート樹脂及びポリカーボネート樹脂のいずれか一方または両方の樹脂である第1の樹脂を含有する。電荷輸送層に含有される第1の樹脂は、いずれも、下記式(1)で表される構造(ポリシロキサン構造)を分子内に少なくとも1つ有する。従って、各第1の樹脂が、分子内に、下記式(1)で表される構造を複数有していても良い。電荷輸送層中にこの第1の樹脂を含むことにより、耐摩耗性および感光体表面の潤滑性が向上する。
なお、ポリアリレート樹脂とは、芳香族ジカルボン酸とフェノールとがエステル結合した芳香族ポリエステル樹脂であり、ポリカーボネート樹脂とは、モノマー単位同士の接合部が、すべてカーボネート基で構成された樹脂である。
この第1の樹脂として、1種類の樹脂を単独で用いても良いし、複数種類の樹脂(例えば、2種以上のポリアリレート樹脂や、1種以上のポリアリレート樹脂と1種以上のポリカーボネート樹脂)を併用しても良い。第1の樹脂は、例えば、エステル交換法、界面重合法、直接重合法などの公知の方法から適宜選択して合成することが可能である。
なお、以下に説明する第1の樹脂が有する各式で表される各構造は、第1の樹脂が有する構造(分子構造)のうち、同一の構造部分(の少なくとも一部)に関する説明であってもよく、異なる構造部分に関する説明であってもよい。すなわち、これらの各式に示される各構造は、他の式に示される構造と、構造が重複していてもよい。
Figure 2019023672
式(1)中、R11およびR12は、それぞれ独立に、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。アルキル基としては、例えば、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。また、フルオロアルキル基としては、例えば、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜4のフルオロアルキル基が挙げられる。
これらの中でも、R11およびR12はいずれも、感光体表面の潤滑性の観点から、(直鎖状もしくは分岐鎖状の)炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基であることが好ましく、メチル基またはフェニル基であることがより好ましい。nは、括弧内の構造の繰り返し数を示し、nの平均値は、感光体表面の潤滑性の観点から、10以上200以下である。このnの平均値は、核磁気共鳴装置(商品名:JNM−ECZR、日本電子株式会社製)により特定することができる。なお、後述する各式中のnやmの平均値及びバラツキも、同様に核磁気共鳴装置(商品名:JNM−ECZR、日本電子株式会社製)により特定することができる。
第1の樹脂(例えば、ポリアリレート樹脂及びポリカーボネート樹脂)中における、上記式(1)で表される構造(以下、構造(1)と称することもある)の含有量はいずれも、5.0質量%以上60質量%以下であることが好ましい。上記構造(1)の含有量を5.0〜60質量%とすることにより、以下のことが可能となる。すなわち、クリーニングブレードの弾性部材と、感光体との当接部の間に発生する摩擦を容易に小さくすることができ、ブレード捲れやブレード鳴き等を容易に抑制でき、さらに高速で電子写真画像を形成した際にも、クリーニング不良を容易に抑制することができる。また、同様の観点から、第1の樹脂中における上記構造(1)の含有量はいずれも、10質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。
なお、第1の樹脂中に含まれる、構造(1)の含有量は、公知の手法を用いて算出することができる。例えば、第1の樹脂に対して、(それぞれ)H−NMR測定を行い、水素原子((各)樹脂を構成している水素原子)のピーク面積比による換算法等によって、構造(1)の含有量を確認することができる。
本発明においては、感光体の表面層(電荷輸送層)の最表面における構成元素に対するケイ素元素の存在割合が、3.0原子%以上であることが好ましく、5.0原子%以上であることがより好ましい。ケイ素元素の存在割合が3.0原子%以上である場合、高速で電子写真画像を形成する際の、クリーニング不良に対する抑制効果をより良好に発現することができる。また、感光体の最表面におけるケイ素元素の存在割合は、30原子%以下であることが好ましい。この場合、上述したクリーニング不良に対する抑制効果がより安定的に得られる。
すなわち、感光体の最表面におけるケイ素元素の存在割合は、3.0原子%以上30原子%以下であることが好ましく、5.0原子%以上30原子%以下であることがより好ましい。
感光体の最表面におけるケイ素元素の存在比率は、最表面の構成元素に対するケイ素元素の存在割合を、X線光電子分光法(ESCA:Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)を用いて測定することにより確認することができる。この測定は、より具体的には、PHI社(Physical Electronics Industries, INC.)製、X線光電子分光装置(商品名:Quantum 2000 Scanning ESCA Microprobe)を用いて、以下の条件で行うことができる。そして、得られた各元素のピーク強度から、PHI社提供の相対感度因子を用いて表面原子濃度(原子%)を算出し、表面層の最表面における構成元素に対するケイ素元素の存在割合とする。
励起X線:Al Kα
光電子脱出角度:45°
X線:100μm 25W 15kV
ラスター:300μm×200μm
電子中和銃:20μA、1V
イオン中和銃:7mA、10V
Pass Energy:58.70eV
Step Size:0.125eV
Sweep:F(10回)、C(10回)、O(10回)、Si(30回)、N(30回)。
a−1)式(15)で表される構造
電荷輸送層に含まれる第1の樹脂は、下記式(15)で表される構造を分子内に有することが好ましい。なお、この式(15)で表される構造(以下、構造(15)と称することもある)は、分子構造(樹脂構造)中に上述した構造(1)に相当する構造を有することから、構造(1)の1種である。すなわち、第1の樹脂は、構造(1)の少なくとも1種として、構造(15)を有することが好ましい。
電荷輸送層が構造(15)を有する第1の樹脂を含むことにより、上述した本発明の効果がより得られやすくなる。これは、構造(15)を有する第1の樹脂は、電荷輸送層の最表面へ局在化しやすいため、最表面におけるポリシロキサンの存在量を高めることができるためであると考えられる。なお、下記構造(15)は、一価の基である。
Figure 2019023672
式(15)中、R151〜R154は、それぞれ独立に、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。アルキル基としては、例えば、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。また、フルオロアルキル基としては、例えば、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜4のフルオロアルキル基が挙げられる。
これらの中でも、R151〜R154はいずれも、感光体表面の潤滑性の観点から、(直鎖状もしくは分岐鎖状の)炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基であることが好ましく、メチル基またはフェニル基であることがより好ましい。Zは、水素原子(H)、ハロゲン原子(F、Cl等)、置換もしくは無置換のアルキル基、または、置換もしくは無置換のアリール基を示す。このアルキル基としては、例えば、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数(置換基の炭素数を含む炭素数)1〜3のアルキル基が挙げられる。このアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。これらのアルキル基及びアリール基が有し得る置換基としては、例えば、フッ素原子等のハロゲン原子が挙げられる。なお、置換基の置換位置や置換数などについては、特に限定されない。
は、括弧内の構造の繰り返し数を示す。nの平均値は、感光体表面の潤滑性の観点から、10以上200以下である。
a−1−1)式(2)で表される構造
また、第1の樹脂は、分子内(例えば、樹脂構造中の末端の少なくとも一部)に、下記式(2)で表される構造(以下、「構造(2)」と称することもある)を有することがより好ましい。第1の樹脂が構造(2)を有することにより、上述したクリーニング不良に対する抑制効果がより効果的に得られる。これは、構造(2)を有する第1の樹脂は、電荷輸送層の最表面へ局在化しやすく、最表面に局在化したこの樹脂中の構造(2)が最表面へ向けて配向しやすいことから、最表面におけるポリシロキサンの存在量がさらに高まるためであると考えられる。
なお、この構造(2)は、分子構造中に上述した構造(1)及び構造(15)に相当する構造を有しており、これらの構造の1種である。すなわち、第1の樹脂は、構造(1)の少なくとも1種として、構造(2)を有することが好ましい。なお、下記構造(2)は1価の基である。
Figure 2019023672
式(2)中、R21〜R24は、それぞれ独立に、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。アルキル基としては、例えば、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。また、フルオロアルキル基としては、例えば、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜4のフルオロアルキル基が挙げられる。
これらの中でも、R21〜R24はいずれも、感光体表面の潤滑性の観点から、(直鎖状もしくは分岐鎖状の)炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基であることが好ましく、メチル基またはフェニル基であることがより好ましい。
は、(直鎖状もしくは分岐鎖状の)炭素数1〜4のアルキル基、または、フェニル基を示す。m及びnは、それぞれ括弧内の構造の繰り返し数を示す。mの平均値は、感光体表面の潤滑性の観点から、1以上3以下である。また、上記クリーニング不良に対する抑制効果を効果的に発現する観点から、nの平均値は、10以上200以下である。
以下に、構造(2)の具体例(式(2−1)〜式(2−18))を示すが、これらに限られるものではない。
Figure 2019023672
上記構造(2)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、感光体表面の潤滑性の観点から、上記構造(2)は、式(2−1)、式(2−2)、式(2−5)、式(2−7)、式(2−11)及び式(2−13)でそれぞれ表される構造のうちの少なくとも1種であることが好ましい。
a−1−2)式(3)〜式(8)で表される構造
構造(1)を有するポリアリレート樹脂(第1の樹脂)は、感光体表面の潤滑性の観点から、下記式(3)〜式(5)で表される構造単位(以下、構造(3)〜構造(5)と称することがある)の少なくとも1種を有するポリアリレート樹脂であることがより好ましい。これらの構造の中でも、上述した本発明の効果をより効果的に得る観点から、このポリアリレート樹脂は、下記構造(5)を有するポリアリレート樹脂であることが特に好ましい。
一方、構造(1)を有するポリカーボネート樹脂(第1の樹脂)は、感光体表面の潤滑性の観点から、下記式(6)〜式(8)で表される構造単位(以下、構造(6)〜構造(8)と称することがある)の少なくとも1種を有するポリカーボネート樹脂であることがより好ましい。これらの構造の中でも、上述した本発明の効果をより効果的に得る観点から、このポリカーボネート樹脂は、下記構造(8)を有するポリカーボネート樹脂であることが特に好ましい。
ここで、特に、構造(5)を有するポリアリレート樹脂及び構造(8)を有するポリカーボネート樹脂は、電荷輸送層の最表面へ局在化しやすい。また、最表面に局在化したこれらの樹脂中のポリシロキサン構造(構造(5)や構造(8))は、最表面へ向けて配向しやすい為、最表面におけるポリシロキサンの存在量がさらに高まり、それによってクリーニング不良に対する抑制効果が優れる。
なお、これらの構造(3)〜(8)はいずれも、分子構造中に上述した構造(1)及び構造(15)に相当する構造を有しており、これらの構造(1)及び(15)の1種である。すなわち、第1の樹脂は、構造(1)の少なくとも1種として、これらの構造(3)〜(8)の少なくとも1種(ポリアリレート樹脂の場合は構造(3)〜(5)、ポリカーボネート樹脂の場合は構造(6)〜(8))を有することがより好ましい。
また、第1の樹脂は、主鎖骨格(主鎖)に、これらの構造(3)〜(8)を有することができる。
なお、これらの構造(3)〜(8)の少なくとも1種を有する第1の樹脂は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。以下に、式(3)〜(8)で表される構造について詳しく説明する。
・ポリアリレート樹脂(構造(3)〜構造(5))
Figure 2019023672
式(3)中、R31〜R34は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、フルオロアルキル基、または下記式(3−A)で表される構造を示す。ただし、R31〜R34のうち少なくとも1つは、下記式(3−A)で表される構造である。
上記アルキル基としては、例えば、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。また、上記フルオロアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜4のフルオロアルキル基が挙げられる。この中でも、R31〜R34はいずれも、水素原子、(直鎖状もしくは分岐鎖状の)炭素数1〜4のアルキル基、または下記式(3−A)で表される基であることが好ましく、水素原子、メチル基、または下記式(3−A)で表される基であることがより好ましい。
は、m−フェニレン基、p−フェニレン基、または2つのp−フェニレン基が酸素原子を介して結合した2価の基を示す。Yは、単結合、メチレン基、エチリデン基、プロピリデン基(イソプロピリデン基も含む)、またはフェニルエチリデン基を示す。
以下に、式(3)で表される構造単位(構造(3))の具体例(式(3−1)〜(3−13))を示すが、これらに限られるものではない。
Figure 2019023672
上記構造(3)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、構造(3)は、感光体表面の潤滑性の観点から、式(3−1)、式(3−2)、式(3−3)、式(3−4)、式(3−5)、式(3−6)、及び式(3−7)でそれぞれ表される構造単位のうちの少なくとも1種であることが好ましい。
上記式(3−1)〜(3−13)中、Aは、下記式(3−A)で表される構造を示す。式(3−A)で表される構造(構造(3−A))について説明する。
Figure 2019023672
式(3−A)中、R311〜R314は、それぞれ独立に、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。アルキル基としては、例えば、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。また、フルオロアルキル基としては、例えば、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜4のフルオロアルキル基が挙げられる。これらの中でも、感光体表面の潤滑性の観点から、R311〜R314はいずれも、(直鎖状もしくは分岐鎖状の)炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
は、(直鎖状もしくは分岐鎖状の)炭素数1〜4のアルキル基、または、フェニル基を示す。m及びnは、それぞれ括弧内の構造の繰り返し数を示す。mの平均値は、感光体表面の潤滑性の観点から、0以上5以下である。上述した本発明の効果を効果的に発現する観点から、nの平均値は10以上200以下である。なお、括弧内の構造の繰り返し数nの個々の値は、nの平均値の±10%の範囲内であることが、本発明の効果を安定的に得る観点から好ましい。
以下に、構造(3−A)の具体例(式(3−A−1)〜式(3−A−9))を示すが、これらに限られるものではない。
Figure 2019023672
上記構造(3−A)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、感光体表面の潤滑性の観点から、構造(3−A)は、式(3−A−1)、式(3−A−2)、式(3−A−4)及び式(3−A−7)でそれぞれ表される構造のうちの少なくとも1種であることが好ましい。
Figure 2019023672
式(4)中、R41〜R44は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、またはフルオロアルキル基を示す。アルキル基としては、例えば、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。また、フルオロアルキル基としては、例えば、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜4のフルオロアルキル基が挙げられる。
これらの中でも、耐摩耗性の観点から、R41〜R44はいずれも、水素原子または(直鎖状もしくは分岐鎖状の)炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、水素原子またはメチル基であることがより好ましい。R45は、水素原子、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。このアルキル基としては、例えば、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。また、このフルオロアルキル基としては、例えば、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜4のフルオロアルキル基が挙げられる。
これらの中でも、耐摩耗性の観点から、R45は、水素原子、(直鎖状もしくは分岐鎖状の)炭素数1〜4のアルキル基、または、フェニル基であることが好ましく、水素原子、メチル基またはフェニル基であることがより好ましい。
は、下記式(4−A)または式(4−B)で表される構造を示す。Xは、m−フェニレン基、p−フェニレン基、または2つのp−フェニレン基が酸素原子を介して結合した2価の基を示す。
以下に、式(4)で表される構造単位(構造(4))の具体例(式(4−1)〜式(4−10))を示すが、これらに限られるものではない。
Figure 2019023672
上記構造(4)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、構造(4)は、耐摩耗性の観点から、式(4−1)、式(4−2)、式(4−3)、式(4−4)、式(4−5)及び式(4−6)でそれぞれ表される構造のうちの少なくとも1種であることが好ましい。
なお、式(4−1)〜式(4−10)中、Vは、下記式(4−A)または式(4−B)で表される構造を示す。式(4−A)及び式(4−B)について説明する。
Figure 2019023672
式(4−A)中、R411〜R414は、それぞれ独立に、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。アルキル基としては、例えば、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。また、フルオロアルキル基としては、例えば、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜4のフルオロアルキル基が挙げられる。
これらの中でも、R411〜R414はいずれも、感光体表面の潤滑性の観点から、(直鎖状又は分岐鎖状の)炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
は、(直鎖状もしくは分岐鎖状の)炭素数1〜4のアルキル基、または、フェニル基を示す。m及びnは、それぞれ括弧内の構造の繰り返し数を示す。上述した本発明の効果を十分に発揮する観点から、mの平均値は3以上20以下である。また、括弧内の構造の繰り返し数mの最大値と最小値との差は、0以上3以下であることが、本発明の効果を安定的に得る観点から好ましい。上記本発明の効果を効果的に発現する観点から、nの平均値は10以上200以下であり、10以上100以下であることが好ましい。また、括弧内の構造の繰り返し数nの個々の値は、nの平均値の±10%の範囲内であることが、本発明の効果を安定的に得る観点から好ましい。
Figure 2019023672
式(4−B)中、R421〜R428は、それぞれ独立に、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。アルキル基としては、例えば、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。また、フルオロアルキル基としては、例えば、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜4のフルオロアルキル基が挙げられる。これらの中でも、R421〜R428はいずれも、感光体表面の潤滑性の観点から、(直鎖状又は分岐鎖状の)炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。ZおよびZは、それぞれ独立に、(直鎖状もしくは分岐鎖状の)炭素数1〜4のアルキル基、または、フェニル基を示す。m、n10及びn11は、それぞれ括弧内の構造の繰り返し数を示す。上述した本発明の効果を十分に発揮する観点から、mの平均値は3以上20以下である。なお、括弧内の構造の繰り返し数mの最大値と最小値との差は、0以上3以下であることが、この抑制効果が安定的に得られる観点から好ましい。また、上述した本発明の効果を十分に発揮する観点から、n10の平均値およびn11の平均値は、それぞれ独立に、10以上200以下であり、n10の平均値とn11の平均値との合計値は、20以上250以下である。さらに、n10の平均値およびn11の平均値は、それぞれ独立に、10以上100以下であることが好ましい。また、括弧内の構造の繰り返し数n10およびn11の個々の値は、それぞれ、n10の平均値およびn11の平均値の±10%の範囲内であることが、本発明の効果を安定的に得る観点から好ましい。
Figure 2019023672
式(5)中、Wは、後述する式(5−A)で表される構造を示す。Xは、m−フェニレン基、p−フェニレン基、または2つのp−フェニレン基が酸素原子を介して結合した2価の基を示す。mおよびmは、それぞれ括弧内の構造の繰り返し数を示す。感光体表面の潤滑性の観点から、mの平均値およびmの平均値は、それぞれ独立に、1以上3以下である。
以下に、式(5)で表される構造単位(構造(5))の具体例(式(5−1)〜式(5−6))を示すが、これらに限られるものではない。
Figure 2019023672
上記構造(5)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、構造(5)は、感光体表面の潤滑性の観点から、式(5−1)、式(5−2)及び式(5−3)でそれぞれ表される構造のうちの少なくとも1種であることが好ましい。
なお、式(5−1)〜式(5−6)中、Wは、下記式(5−A)で表される構造を示す。
式(5−A)について説明する。
Figure 2019023672
式(5−A)中、R511〜R520は、それぞれ独立に、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。アルキル基としては、例えば、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。また、フルオロアルキル基としては、例えば、直鎖状、又は分岐鎖状の炭素数1〜4のフルオロアルキル基が挙げられる。これらの中でも、R511〜R520はいずれも、感光体表面の潤滑性の観点から、(直鎖状又は分岐鎖状の)炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
は、(直鎖状もしくは分岐鎖状の)炭素数1〜4のアルキル基、または、フェニル基を示す。k、lおよびn12は、それぞれ括弧内の構造の繰り返し数を示す。感光体表面の潤滑性の観点から、kの平均値およびlの平均値は、それぞれ独立に、1以上10以下である。また、感光体表面の潤滑性の観点から、括弧内の構造の繰り返し数kおよびlの最大値と最小値との差は、それぞれ独立に、0以上3以下であることが好ましい。感光体表面の潤滑性の観点から、n12の平均値は10以上200以下である。上述した本発明の効果を容易に発揮する観点から、n12の平均値は10以上150以下であることが好ましい。また、括弧内の構造の繰り返し数n12の個々の値は、n12の平均値の±10%の範囲内であることが、本発明の効果を安定的に得る観点から好ましい。
・ポリカーボネート樹脂(構造(6)〜構造(8))
Figure 2019023672
式(6)中、R61〜R64は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、フルオロアルキル基、フェニル基、または下記式(6−A)で表される構造を示す。ただし、R61〜R64のうち少なくとも1つは、下記式(6−A)で表される構造である。アルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。また、フルオロアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜4のフルオロアルキル基が挙げられる。これらの中で、R61〜R64はいずれも、耐摩耗性の観点から、水素原子または下記式(6−A)で表される構造であることが好ましい。Yは、単結合、メチレン基、エチリデン基、プロピリデン基(イソプロピリデン基も含む)、フェニルエチリデン基、シクロヘキシリデン基、または酸素原子を示す。
以下に、式(6)で表される構造単位(構造(6))の具体例(式(6−1)〜式(6−9))を示すが、これらに限られるものではない。
Figure 2019023672
上記構造(6)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、構造(6)は、耐摩耗性の観点から、式(6−1)、式(6−3)、式(6−5)、式(6−6)及び式(6−8)でそれぞれ表される構造のうちの少なくとも1種であることが好ましい。なお、式(6−1)〜式(6−9)中、Aは、下記式(6−A)で表される構造を示す。式(6−A)について説明する。
Figure 2019023672
式(6−A)中、R611〜R614は、それぞれ独立に、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。アルキル基としては、例えば、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。また、フルオロアルキル基としては、例えば、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜4のフルオロアルキル基が挙げられる。これらの中でも、感光体表面の潤滑性の観点から、R611〜R614はいずれも、(直鎖状もしくは分岐鎖状の)炭素数1〜4のアルキル基、またはフェニル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
は、(直鎖状もしくは分岐鎖状の)炭素数1〜4のアルキル基、または、フェニル基を示す。mおよびn13は、それぞれ括弧内の構造の繰り返し数を示す。感光体表面の潤滑性の観点から、mの平均値は0以上5以下である。上述した本発明の効果を効果的に発現するために、n13の平均値は10以上200以下である。また、括弧内の構造の繰り返し数n13の個々の値は、n13の平均値の±10%の範囲内であることが、本発明の効果を安定的に得る観点から好ましい。
式(6−A)で表される構造(構造(6−A))の具体例は、前記式(3−A−1)〜(3−A−9)と同じものを挙げることができるが、これらに限られるものではない。また、上記構造(6−A)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
Figure 2019023672
式(7)中、R71〜R74は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。アルキル基としては、例えば、(直鎖状又は分岐鎖状の)炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。また、フルオロアルキル基としては、例えば、(直鎖状又は分岐鎖状の)炭素数1〜4のフルオロアルキル基が挙げられる。これらの中でも、耐摩耗性の観点から、R71〜R74はいずれも、水素原子、(直鎖状もしくは分岐鎖状の)炭素数1〜4のアルキル基、またはフェニル基であることが好ましい。R75は、水素原子、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。このアルキル基としては、例えば、(直鎖状又は分岐鎖状の)炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。また、このフルオロアルキル基としては、例えば、(直鎖状又は分岐鎖状の)炭素数1〜4のフルオロアルキル基が挙げられる。これらの中でも、R75は、耐摩耗性の観点から、水素原子、または(直鎖状もしくは分岐鎖状の)炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、水素原子またはメチル基であることが好ましい。Vは、後述する式(7−A)または(7−B)で表される構造を示す。
以下に、式(7)で表される構造単位(構造(7))の具体例(式(7−1)〜式(7−4))を示すが、これらに限られない。
Figure 2019023672
上記構造(7)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、構造(7)は、耐摩耗性の観点から、式(7−1)及び式(7−2)でそれぞれ表される構造のうちの少なくとも1種であることが好ましい。
なお、式(7−1)〜式(7−4)中、Vは、下記式(7−A)または(7−B)で表される構造を示す。式(7−A)および(7−B)について説明する。
Figure 2019023672
式(7−A)中、R711〜R714は、それぞれ独立に、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。アルキル基としては、例えば、(直鎖状又は分岐鎖状の)炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。フルオロアルキル基としては、例えば、(直鎖状又は分岐鎖状の)炭素数1〜4のフルオロアルキル基が挙げられる。これらの中でも、R711〜R714はいずれも、感光体表面の潤滑性の観点から、(直鎖状又は分岐鎖状の)炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
は、(直鎖状もしくは分岐鎖状の)炭素数1〜4のアルキル基、または、フェニル基を示す。mおよびn14は、それぞれ括弧内の構造の繰り返し数を示す。感光体表面の潤滑性の観点から、mの平均値は3以上20以下である。また、括弧内の構造の繰り返し数mの最大値と最小値との差は、0以上3以下であることが、本発明の効果を安定的に得る観点から好ましい。感光体表面の潤滑性の観点から、n14の平均値は10以上200以下である。さらに、感光体表面の潤滑性の観点から、n14の平均値は10以上100以下であることが好ましい。また、括弧内の構造の繰り返し数n14の個々の値は、n14の平均値の±10%の範囲内であることが、本発明の効果を安定的に得る観点から好ましい。
Figure 2019023672
式(7−B)中、R721〜R728は、それぞれ独立に、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。アルキル基としては、例えば、(直鎖状又は分岐鎖状の)炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。フルオロアルキル基としては、例えば、(直鎖状又は分岐鎖状の)炭素数1〜4のフルオロアルキル基が挙げられる。これらの中でも、R721〜R728はいずれも、感光体表面の潤滑性の観点から、(直鎖状又は分岐鎖状の)炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
10およびZ11は、それぞれ独立に、(直鎖状もしくは分岐鎖状の)炭素数1〜4のアルキル基、または、フェニル基を示す。m10、n15及びn16は、それぞれ括弧内の構造の繰り返し数を示す。m10の平均値は、感光体表面の潤滑性の観点から、3以上20以下である。また、括弧内の構造の繰り返し数m10の最大値と最小値との差は、0以上3以下であることが、本発明の効果を安定的に得る観点から好ましい。感光体表面の潤滑性の観点から、n15の平均値およびn16の平均値は、それぞれ独立に、10以上200以下であり、感光体表面の潤滑性の観点から、n15の平均値とn16の平均値との合計値は、20以上250以下である。さらに、感光体表面の潤滑性の観点から、n15の平均値およびn16の平均値は、それぞれ独立に、10以上100以下であることが好ましい。また、括弧内の構造の繰り返し数n15およびn16の個々の値は、それぞれ、n15の平均値およびn16の平均値の±10%の範囲内であることが、本発明の効果を安定的に得る観点から好ましい。
Figure 2019023672
式(8)中、Wは、後述する式(8−A)で表される構造を示す。m11およびm12は、それぞれ括弧内の構造の繰り返し数を示す。感光体表面の潤滑性の観点から、m11の平均値およびm12の平均値は、それぞれ独立に、1以上3以下である。
以下に、式(8)で表される構造(構造(8))の具体例(式(8−1)および(8−2))を示すが、これらに限られるものではない。
Figure 2019023672
また、上記の構造(8)は1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、構造(8)は、感光体表面の潤滑性の観点から、式(8−1)で表される構造であることが好ましい。
なお、式(8−1)および(8−2)中、Wは、下記式(8−A)で表される構造を示す。式(8−1)および(8−2)について説明する。
Figure 2019023672
式(8−A)中、R811〜R820は、それぞれ独立に、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。アルキル基としては、例えば、(直鎖状又は分岐鎖状の)炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。フルオロアルキル基としては、例えば、(直鎖状又は分岐鎖状の)炭素数1〜4のフルオロアルキル基が挙げられる。これらの中でも、R811〜R820はいずれも、感光体表面の潤滑性の観点から、(直鎖状又は分岐鎖状の)炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
12は、(直鎖状もしくは分岐鎖状の)炭素数1〜4のアルキル基、または、フェニル基を示す。k、l及びn17は、それぞれ括弧内の構造の繰り返し数を示す。kの平均値およびlの平均値は、それぞれ独立に、感光体表面の潤滑性の観点から、1以上10以下である。また、括弧内の構造の繰り返し数kおよびlの最大値と最小値との差は、感光体表面の潤滑性の観点から、それぞれ独立に、0以上3以下であることが好ましい。n17の平均値は、感光体表面の潤滑性の観点から、10以上200以下である。さらに、n17の平均値は、感光体表面の潤滑性の観点から、10以上150以下であることが好ましい。また、括弧内の構造の繰り返し数n17の個々の値は、n17の平均値の±10%の範囲内であることが、本発明の効果を安定的に得る観点から好ましい。
以上より、第1の樹脂は、以下の樹脂であることがより好ましい。すなわち、(例えば、樹脂構造中の末端の少なくとも一部に)構造(2)を有する第1の樹脂であるか、或いは構造(3)〜(5)(特に構造(5))を有するポリアリレート樹脂又は構造(6)〜(8)(特に構造(8))を有するポリカーボネート樹脂であることがより好ましい。なお、(1種類の)第1の樹脂が、上記構造(2)と、上記構造(3)〜(8)のうちの少なくとも1つの構造との両方を有していてもよい。
b)その他の構造
本発明において、上述した第1の樹脂は、主鎖骨格に、前記構造(2)や前記構造(3)〜構造(8)以外の他の構造を有することもできる。その場合、この他の構造は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。この他の構造単位は、特に限定されないが、下記式(9)〜式(12)でそれぞれ表される構造のうちの少なくとも1種であることが好ましい。
b−1)式(9)〜式(12)で表される構造(構造(9)〜構造(12))
b−1−1)構造(9)及び構造(10)
電荷輸送層が、上述した構造(1)を有するポリアリレート樹脂(第1の樹脂)を含む場合、感光体表面の潤滑性の観点から、以下を満たすことが好ましい。すなわち、このポリアリレート樹脂が、主鎖骨格に、下記式(9)及び式(10)でそれぞれ表される構造(構造単位)の少なくとも一方を有することが好ましい。これらの構造(9)及び構造(10)は、例えば、ポリアリレート樹脂の末端の少なくとも一部に配される構造(2)に結合することができる。以下に、これらの構造について詳しく説明する。
Figure 2019023672
式(9)中、R91〜R98は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を示す。該アルキル基およびアリール基の置換基としては、例えば、フッ素原子等のハロゲン原子が挙げられる。耐摩耗性の観点から、R91〜R98は、水素原子または(直鎖状もしくは分岐鎖状の)炭素数1〜4の置換もしくは無置換のアルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基がより好ましい。なお、このアルキル基の炭素数に、置換基の炭素数は含まれる。
は、m−フェニレン基、p−フェニレン基、または2つのp−フェニレン基が酸素原子を介して結合した2価の基を示す。Yは、単結合、酸素原子、硫黄原子、または2価の有機基を示す。2価の有機基としては、例えば、置換もしくは無置換の、メチレン基、エチリデン基、プロピリデン基(イソプロピリデン基も含む)、フェニルエチリデン基、及びシクロヘキシリデン基が挙げられる。この2価の有機基における置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子が挙げられる。Yは、耐摩耗性の観点から、単結合、または炭素数1〜3の2価の有機基が好ましい。
Figure 2019023672
式(10)中、R101〜R104は、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、またはフェニル基を示す。X10は、m−フェニレン基、p−フェニレン基、または2つのp−フェニレン基が酸素原子を介して結合した2価の基を示す。nは、括弧内の構造の繰り返し数を示す。nの平均値は、感光体表面の潤滑性の観点から、10以上150以下である。
なお、上記構造(10)は、分子構造中に、上述した構造(1)に相当する構造を有することから、第1の樹脂(例えばポリアリレート樹脂)は、構造(1)の少なくとも1種として、上記構造(10)を有することもできる。
以下に、前記構造(9)及び構造(10)の具体例(式(9−1)〜式(9−15)及び式(10−1)〜式(10−9))を示すが、これらに限られるものではない。なお、下記式(10-1)〜式(10−9)中、nの平均値はいずれも、10以上150以下である。
Figure 2019023672
Figure 2019023672
b−1−2)構造(11)及び構造(12)
電荷輸送層が、上述した構造(1)を有するポリカーボネート樹脂(第1の樹脂)を含む場合、感光体表面の潤滑性の観点から、以下を満たすことが好ましい。すなわち、このポリカーボネート樹脂が、主鎖骨格に、下記式(11)及び式(12)でそれぞれ表される構造の少なくとも一方を有することが好ましい。これらの構造(11)及び構造(12)は、例えば、ポリカーボネート樹脂の末端の少なくとも一部に配される構造(2)に結合することができる。
Figure 2019023672
式(11)中、R111〜R118は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を示す。該アルキル基およびアリール基の置換基としては、例えば、フッ素原子等のハロゲン原子が挙げられる。R111〜R118は、耐摩耗性の観点から、水素原子または(直鎖状もしくは分岐鎖状の)炭素数1〜4の置換もしくは無置換のアルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基が好ましい。なお、このアルキル基の炭素数に、置換基の炭素数は含まれる。
11は、単結合、酸素原子、硫黄原子、または2価の有機基を示す。2価の有機基としては、例えば、置換もしくは無置換の、メチレン基、エチリデン基、プロピリデン基(イソプロピリデン基も含む)、フェニルエチリデン基、及びシクロヘキシリデン基が挙げられる。この2価の有機基が有する置換基としては、例えば、フッ素原子等のハロゲン原子が挙げられる。Y11は、耐摩耗性の観点から、単結合、酸素原子、炭素数1〜3の2価の有機基(メチレン基、エチリデン基、プロピリデン基)、フェニルエチリデン基、またはシクロヘキシリデン基であることが好ましい。
Figure 2019023672
式(12)中、R121〜R124は、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、またはフェニル基を示す。nは、括弧内の構造の繰り返し数を示す。nの平均値は、感光体表面の潤滑性の観点から、10以上150以下である。
なお、上記構造(12)は、分子構造中に、上述した構造(1)に相当する構造を有することから、第1の樹脂(例えばポリカーボネート樹脂)は、構造(1)の少なくとも1種として、上記構造(12)を有することもできる。
以下に、前記構造(11)及び構造(12)の具体例(式(11−1)〜式(11−18)及び式(12−1)〜式(12−5))を示すが、これらに限られるものではない。なお、下記式(12-1)〜式(12−5)中、nの平均値はいずれも、10以上150以下である。
Figure 2019023672
Figure 2019023672
上述したように、第1の樹脂は、前記構造(1)の少なくとも1種として、前記構造(15)を有することが好ましい。また、第1の樹脂は、この構造(15)の代わりに、主鎖骨格中に(構造(1)を含む)直鎖状のポリシロキサン構造を含有するものであってもよい。この主鎖骨格中に直鎖状のポリシロキサン構造を含有する第1の樹脂としては、具体的には、前記構造(10)を有するポリアリレート樹脂、および前記構造(12)を有するポリカーボネート樹脂等が挙げられる。これらの中でも、第1の樹脂は、前記式(10−1)〜式(10−3)でそれぞれ表される構造のうちの少なくとも1種を有するポリアリレート樹脂、並びに、前記式(12−1)で表される構造を有するポリカーボネート樹脂から選択される樹脂が好ましい。これらの構造(単位)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
第1の樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、感光体表面の潤滑性の観点から、1,000以上200,000以下であることが好ましい。また、合成および成膜性の観点から、前記粘度平均分子量(Mv)は、5,000以上100,000以下であることがより好ましい。なお、第1の樹脂を複数種類用いた場合には、上記粘度平均分子量とは、個々の樹脂の粘度平均分子量を意味する。なお、この粘度平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatography)装置(商品名:HLC−8020、東ソー株式会社製)により特定することができる。
b−2)式(A)〜(G)で表される構造(特定の第1の樹脂及び第2の樹脂)
電荷輸送層は、以下に示す、特定の第1の樹脂、及び第2の樹脂を、後述する特定の割合で含むことが好ましい。電荷輸送層が、これらの樹脂を特定の割合で含有することで、電荷輸送層の耐久性が一層向上し、さらに電荷輸送層中のシロキサン化合物(例えば、後述する式(16)に示す化合物)が感光体の表面に移行しやすくなる。
なお、高速で電子写真画像を形成する場合には、感光体の表面とクリーニングブレードとの摩擦により、感光体の表面が削れやすくなる傾向がある。また、感光体表面に生成される放電生成物は、画像流れ等の画像不良を発生させることがあるため、クリーニングブレード等により、削り取られることが好ましい。その際、放電生成物のみが削られるように、電荷輸送層は耐久性が高いことが好ましい。このような観点から、電荷輸送層に、これらの樹脂を含有することで、本発明に係るクリーニングブレードと感光体とを組み合わせたときに、高速で電子写真画像を形成してもクリーニング不良の発生や感光体表面の削れを一層抑制することができる。以下、特定の第1の樹脂、及び第2の樹脂について詳しく説明する。
・特定の第1の樹脂
電荷輸送層に含有される第1の樹脂(例えば、ポリカーボネート樹脂)は、下記式(E)および下記式(F)で表される構造を含む主鎖と、下記式(G)で表される構造を含む末端と、を有し、かつ、下記式(E)と下記式(F)の構造のモル比率(E:F)が、20:1〜80:1を満たす樹脂(特定の第1の樹脂)であることが好ましい。なお、下記式(G)で表される構造(構造(G))は、分子構造中に、上述した構造(1)に相当する構造を有しており、構造(1)の1種である。この特定の第1の樹脂は、後述する第1の樹脂の好ましい含有割合を満たすことが好ましいが、耐摩耗性の観点から、以下の含有割合を満たすことがより好ましい。すなわち、この特定の第1の樹脂は、前記電荷輸送層中に、該電荷輸送層に含有される全固形分(100質量%)に対して、0.2質量%以上5.0質量%以下含有されていることがより好ましい。
なお、下記式(E)は、上述した式(11−1)と同一であり、下記式(F)は、上述した式(12−1)の1種である。
Figure 2019023672
式(F)中のnは、括弧内の構造の繰り返し数を示す。感光体表面の潤滑性の観点から、nの平均値は、20以上80以下である。
Figure 2019023672
式(G)中のmおよびnは、それぞれ括弧内の構造の繰り返し数を示す。感光体表面の潤滑性の観点から、mの平均値は、20以上80以下である。また、感光体表面の潤滑性の観点から、nの平均値は、0以上2以下である。
・第2の樹脂
前記電荷輸送層は、以下に示す第2の樹脂を更に含むことが好ましい。なお、該第2の樹脂は、下記式(A)および下記式(B)で表される構造を含み、かつ、下記式(A)と下記式(B)の構造のモル比率(A:B)が、50:50〜90:10を満たすビスフェノール由来の構造と、
下記式(C)および下記式(D)で表される構造を含み、かつ、下記式(C)と下記式(D)の構造のモル比率(C:D)が、30:70〜70:30を満たすカルボン酸由来の構造と、を有する。なお、このビスフェノール由来の構造と、カルボン酸由来の構造とは、第2の樹脂中に例えば、1:1の割合で含まれることができる。
なお、この第2の樹脂は、上述した構造(1)を有してもよいし、有さなくても良い。第2の樹脂が構造(1)を有する場合、第2の樹脂は、構造(1)を有するポリアリレート樹脂、すなわち、上述した第1の樹脂に該当する。また、第2の樹脂が構造(1)を有さない場合、第2の樹脂は、第1の樹脂以外の樹脂(後述する他の樹脂)に該当する。
電荷輸送層における第2の樹脂の含有割合は、以下のようにすることが好ましい。すなわち、第2の樹脂が上述した第1の樹脂に該当する場合は、後述する第1の樹脂の好ましい含有割合を満たすことが好ましく、第2の樹脂が他の樹脂に該当する場合は、後述する他の樹脂の好ましい含有割合を満たすことが好ましい。
Figure 2019023672
Figure 2019023672
(他の樹脂)
本発明において、感光体の表面層である電荷輸送層は、上述した第1の樹脂のうちの少なくとも1種を含有するが、本発明の効果を損なわない範囲で、第1の樹脂以外の他の樹脂を含有してもよい。
その場合、電荷輸送層における第1の樹脂の合計含有量が、電荷輸送層に含有される全固形分の全質量に対して、0.1質量%以上50質量%以下となるように、他の樹脂を用いることが好ましい。これにより、耐摩耗性および感光体表面の潤滑性を向上させることができる。
また、電荷輸送層に含有される第1の樹脂が、樹脂構造中の末端の少なくとも一部に上記構造(2)を有する場合は、感光体において良好な電気特性が得られる観点から、以下の範囲を満たすように、他の樹脂を用いることが好ましい。すなわち、電荷輸送層における第1の樹脂の合計含有量が、電荷輸送層に含有される全固形分の全質量に対して、0.1質量%以上20質量%以下となるように、他の樹脂を用いることが好ましい。なお、電荷輸送層中の第1の樹脂の含有割合は、核磁気共鳴装置(商品名:JNM−ECZR、日本電子株式会社製)により特定することができる。
なお、1種の樹脂が、上述した樹脂(例えば、特定の第1の樹脂や構造(2)を有する第1の樹脂)のうちの複数に該当する場合は、この1種の樹脂の電荷輸送層中における含有割合は、以下を満たすことが好ましい。すなわち、この1種の樹脂が該当する複数の樹脂の好ましい含有割合を全て満たす(最も狭い)範囲の含有割合を満たすことが好ましい。
上述した第1の樹脂と併用可能な他の樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ブチラール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリルエーテル樹脂、(上述した構造(1)を有さない)ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、(上述した構造(1)を有さない)ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂、メタクリル樹脂、ユリア樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂などが挙げられる。
これらの中でも、耐摩耗性および感光体表面の潤滑性の観点から、他の樹脂としては、ポリエステル樹脂、(上述した構造(1)を有さない)ポリアリレート樹脂、(上述した構造(1)を有さない)ポリカーボネート樹脂が好ましい。
さらに、耐摩耗性および感光体表面の潤滑性の観点から、他の樹脂としては、前記構造(9)を有しかつ前記構造(1)を有さないポリアリレート樹脂、ならびに、前記構造(11)を有しかつ前記構造(1)を有さないポリカーボネート樹脂のうちの少なくとも1種がより好ましい。前記構造(9)および構造(11)の具体例は、前述のとおりである。
第1の樹脂と併用可能な他の樹脂は、単独、混合または共重合体として、1種または2種以上を用いることができる。
(他の化合物)
本発明に係る感光体の電荷輸送層には、上述した第1の樹脂に加えて、下記式(16)で表されるシロキサン化合物を添加することが好ましい。このシロキサン化合物を添加することで、感光体表面の機械的強度がより増加し、クリーニングブレードと感光体との当接部の摩擦によって感光体表面を削られ、電荷輸送層の厚さが減少することを容易に抑制することができる。その結果、帯電プロセス時に感光体が十分に帯電されずに、濃度ムラ画像が発生することを一層軽減することができる。
Figure 2019023672
式(16)中、n18は、括弧内の構造の繰り返し数を示す。n18の平均値は、感光体表面の潤滑性の観点から、10以上200以下である。
式(16)で表されるポリジメチルシロキサンの添加量は、電荷輸送層に含有される第1の樹脂(100質量%)に対して、3.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましい。ポリジメチルシロキサンの添加量をこの範囲内とすることにより、上述した本発明の効果をより効果的に発現できる。また、式(16)中のn18は、感光体表面の潤滑性の観点から、10以上100以下であることが好ましい。
(電荷輸送物質)
電荷輸送層は、上述した第1の樹脂や他の樹脂等の他に、電荷輸送物質を含有することができる。電荷輸送物質としては、例えば、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、チアゾール化合物、スチルベン化合物、ブタジエン化合物、およびエナミン化合物が挙げられる。これらの電荷輸送物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。以下に、電荷輸送物質の具体例(式(13−1)〜式(13−11))を示すが、これらに限られるものではない。
Figure 2019023672
電荷輸送層における、電荷輸送物質と全樹脂との含有割合(電荷輸送物質の質量:全樹脂の質量)は、電気特性および耐摩耗性の観点から、3:10〜20:10の範囲であることが好ましく、5:10〜12:10の範囲であることがより好ましい。
(添加剤)
電荷輸送層には、各種添加剤を添加することができる。この添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、対光安定剤などの劣化防止剤や、有機粒子、無機粒子などの粒子が挙げられる。劣化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系耐光安定剤、硫黄原子含有酸化防止剤、リン原子含有酸化防止剤が挙げられる。有機粒子としては、例えば、フッ素原子含有樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子などの高分子樹脂粒子が挙げられる。無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナなどの金属酸化物粒子が挙げられる。各種添加剤の添加量は、適宜設定でき、特に限定されない。
<感光体の製造方法>
本発明における感光体は、例えば、以下の工程を有する製造方法により製造されることができる。
・支持体上に、電荷発生層を形成する工程(電荷発生層形成工程)。
・該電荷発生層上に、上述した第1の樹脂を含む、表面層としての電荷輸送層を形成する工程(電荷輸送層形成工程)。
また、上記製造方法は、支持体を準備する工程や、支持体上に他の層(導電層及び下引き層等)を形成する工程等、他の工程を有することができる。
以下に、各工程を説明する。
・支持体準備工程
支持体としては、上述したアルミニウム等の金属製のもの、樹脂製の支持体上にアルミニウム等を真空蒸着によって被膜形成したもの、カーボンブラック等の導電性粒子を樹脂などに含浸したもの、導電性樹脂を有するプラスチック等を、公知の手段で作製する。なお、これらの支持体は適宜表面処理を行うことができる。
・導電層形成工程
導電層は、導電性粒子、樹脂及び必要に応じて添加剤を、溶剤中に分散又は溶解させた導電層用塗布液を支持体上に塗布し、得られた塗膜を必要に応じて乾燥させることによって形成することができる。なお、導電性粒子、樹脂及び添加剤は、上述したものを用いることができる。
導電層用塗布液に用いられる溶剤としては、例えば、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤および芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。これらの溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
導電層用塗布液を塗布する際には、浸漬塗布法(浸漬コーティング法)、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法などの塗布方法を用いることができる。
・下引き層形成工程
下引き層は、樹脂及び必要に応じて添加剤を含有する下引き層用塗布液を支持体(または導電層)上に塗布し、これを乾燥または硬化させることによって形成することができる。なお、樹脂及び添加剤は、上述したものを用いることができ、公知の溶剤を適宜用いることができる。下引き層用塗布液を塗布する際には、上述した塗布方法を同様に用いることができる。
・電荷発生層形成工程
電荷発生層は、電荷発生物質、樹脂及び必要に応じて添加剤を、溶剤中に分散又は溶解することにより得られる電荷発生層用塗布液を、支持体上に塗布し、得られた塗膜を必要に応じて乾燥させることによって形成することができる。また、電荷発生層は、電荷発生物質を蒸着させることにより形成される蒸着膜により構成されていてもよい。
なお、電荷発生物質、樹脂及び添加剤は、上述したものを用いることができる。
電荷発生物質の分散方法としては、例えば、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミルを用いた方法が挙げられる。
電荷発生層用塗布液に用いられる溶剤は、例えば、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤または芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。これらの溶剤は、1種を単独で用いてよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、電荷発生層用塗布液を塗布する際には、上述した塗布方法を同様に用いることができる。
・電荷輸送層形成工程
電荷輸送層は、第1の樹脂、電荷輸送物質、並びに、必要に応じて他の樹脂や化合物、添加剤を、溶剤に溶解させて得られる電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に塗布することにより形成される塗膜を必要に応じて乾燥させることによって形成することができる。
なお、第1の樹脂、電荷輸送物質、他の樹脂、他の化合物及び添加剤は、上述したものを用いることができる。
電荷輸送層用塗布液に用いられる溶剤としては、例えば、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤および芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。これらの溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの溶剤の中でも、エーテル系溶剤または芳香族炭化水素系溶剤を使用することが、樹脂の溶解性の観点から好ましい。なお、電荷輸送層用塗布液を塗布する際には、上述した塗布方法を同様に用いることができる。
<電子写真画像形成装置>
図9に示す電子写真画像形成装置は、以下の装置等から構成されている。すなわち、感光体;感光体の表面をクリーニングするクリーニングブレードを具備するクリーニング装置;感光体を帯電する帯電装置;露光を行う潜像形成装置;トナー像を現像する現像装置;トナー像を転写材に転写する転写装置;トナー像を定着する定着装置。また、図9に示す電子写真画像形成装置には、本発明のプロセスカートリッジを搭載することができる。本発明のプロセスカートリッジは、上述したように、少なくとも感光体と、クリーニングブレードを具備し、この他に、必要に応じて、帯電装置及び現像装置等を具備することができる。本発明のプロセスカートリッジは、電子写真画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されることができるが、本発明の電子写真画像形成装置は、この構成に限られるものではなく、各装置をそれぞれ画像形成装置本体に備えける構成であってもよい。
以下に、図9に示す電子写真画像形成装置について、詳しく説明する。
感光体201は、導電性基体上に感光層を有する回転ドラム型である。感光体201は、矢印の方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。
帯電装置は、感光体201に所定の押圧力で当接されることにより接触配置される、接触式の帯電ローラ301を有する。帯電ローラ301は、感光体201の回転に従い回転(従動回転)し、帯電用電源401から所定の直流電圧を印加することにより、感光体201を所定の電位に帯電する。
感光体201に静電潜像を形成する潜像形成装置(不図示)としては、例えばレーザービームスキャナーなどの露光装置が用いられる。一様に帯電された感光体201に、画像情報に対応した露光光501を照射することにより、静電潜像が形成される。
現像装置は、感光体201に近接又は接触して配設される現像スリーブ又は現像ローラ601を有する。この現像装置によって、感光体の帯電極性と同極性に静電的処理されたトナーが感光体201に付与されることにより静電潜像が現像され、トナー像が形成される。この電子写真画像形成装置では、露光部にトナー像を形成する、いわゆる反転現像を行っている。
転写装置は、接触式の転写ローラ701を有する。転写ローラ701は、感光体201からトナー像を普通紙などの転写材に転写する。転写材は、搬送部材を有する給紙システム(不図示)により搬送される。
クリーニングブレード101は、転写後に感光体201上に残留する転写残トナーを、機械的に掻き落として回収容器112に回収する。定着器801は、加熱されたロールで構成され、転写されたトナー像を転写材に定着し、機外に排出する。
以下に、本発明のプロセスカートリッジを構成するクリーニングブレード及び感光体の製造例をそれぞれ説明するが、本発明は、これらの製造例により何ら限定されるものではない。各例において表示した原材料以外の原材料については、試薬または工業薬品を用いた。
<<クリーニングブレードの製造>>
〔製造例C−1〕
この製造例では、図1及び図2に示す一体成型タイプのクリーニングブレードを製造した。
(1)支持部材
厚さ1.6mmの亜鉛めっき鋼板を加工して、図2に示すとおり、断面がL字形状の支持部材を作製した。なお、この支持部材が、弾性部材と接触することになる箇所には、ポリウレタン樹脂接着用の接着剤(商品名:ケムロック219、ロード・コーポレーション社製)を塗布した。
(2)弾性部材
(2−1)弾性部材用原料の調製
下記表1中の成分1の欄に示す量の各材料を、温度:80℃で3時間、攪拌しながら反応させて、イソシアネートの(含有)モル濃度が8.50%のプレポリマーを得た。このプレポリマー1000gに、この表1中の成分2の欄に示す量の各材料からなる硬化剤215.0gを混合した。これにより、イソシアネート基に対する水酸基のモル比(α値)が0.60のポリウレタンエラストマー組成物を調製し、これを弾性部材用原料とした。
Figure 2019023672
(2−2)支持部材と弾性部材の一体成型
a)成型工程
上記支持部材の接着剤塗布箇所をキャビティ内に突出する様に配置したクリーニングブレード用成形金型内に、前記弾性部材用原料を注入し、130℃で2分間硬化(一次加熱工程)させた後に脱型して、弾性部材と支持部材との一体成型体を得た。ここで、弾性部材の先端部における厚み(図1に示すY方向の厚み)は、1.8mmに成型した。
b)切断工程
この一体成型体を、硬化領域形成前に適宜切断して、エッジの角度90度、(硬化領域形成前の)弾性部材の短手方向(Z方向)、及び長手方向(X方向)の長さをそれぞれ、7.5mm、及び240mmとした。
(2−3)硬化領域の形成
a)塗布工程
硬化領域形成用材料として変性MDI(商品名:ミリオネートMTL、東ソー社製)を準備し、この硬化領域形成用材料を80℃に加熱した。そして、この加熱された硬化領域形成用材料中に、第二の面に対向する面(図2中の符号113)を除く他の5表面(第一の面105、第二の面106、第一の面に対向する面109及び長手方向の両端面108)が浸漬するように前記一体成型体の弾性部材を20秒間浸漬した。これにより、(硬化領域形成前の)弾性部材の各表面上に前記硬化領域形成用材料を塗工した。なお、塗工の具体的な範囲は、第二の面(図2中の符号106)の位置を深さ0mmとして、この第二の面から第二の面に対向する面に(図2に示す−Z方向に)向かって深さ4mmで塗工を行った。
b)硬化領域形成用材料除去工程
その後、得られた弾性部材表面に残った余分な硬化領域形成用材料を除去する目的で、加熱した気体をホットエアブローによってこの弾性部材に当て、弾性部材表面上に残った余剰な硬化領域形成用材料を除去した。具体的には、図11に示す位置関係で、幅1mm、長さ10mmのスリットを持つノズル901を2個配置した。なお、図11(a)は、クリーニングブレードと、余分な硬化領域形成用材料を除去する際に用いるノズルとの配置を、図1に示すY方向から見た図であり、図11(b)は、これらの配置を図1に示すZ方向から見た図である。
次いで、2個のノズル901の間に、前記硬化領域形成用材料を塗工した弾性部材を通過させ、ノズル901から噴出される加熱した気体によって、この弾性部材表面上に残った余分な硬化領域形成用材料を除去した。尚、これらの図中の符号Aは、弾性部材の移動方向を示し、符号Bは、気体の吹き出し方向を示す。また、図11中のθは、45°とし、θは45°とした。除去の際に用いる気体の種類は、効率よく硬化領域形成用材料の除去が可能なものであれば特に限定はされない。この製造例では、気体として空気を使用した。気体の温度は、加熱した空気を得られた弾性部材に当てた際に、この弾性部材の表面温度が130℃になるように調整した。また、この弾性部材は、速度40mm/secで、2個のノズルの間に塗工部分全面を通過させた。その際、ノズルと、弾性部材との距離dは1〜2mmとなるように設定した。
c).二次加熱工程
次に、弾性部材の表面に塗工した硬化領域形成用材料を、弾性部材の内部に更に含浸させ、硬化するために、電気炉内において、硬化領域形成用材料が付着した弾性部材に対して、温度130℃で40分間の二次加熱処理を行った。
このようにして、弾性部材の5つの表面(5面)及びこれらの表面下の内部に硬化領域が形成されたクリーニングブレードC−1を得た。なお、硬化領域の形成は弾性部材を成型してから30分後に行った。クリーニングブレードC−1を製造する際の、硬化領域を形成した弾性部材表面(硬化領域処理面)、塗布工程、硬化領域形成用材料除去工程及び二次加熱工程の各条件を後述の表2に示し、クリーニングブレードC−1の物性を後述の表3に示す。なお、この物性としては、以下のものを記載した。すなわち、上述した測定方法により測定した、硬化表面のダイナミック硬度DHs、0<L≦100μmにおけるダイナミック硬度の最大値DHm、エッジからDHmの位置までの距離(DHmの位置)、ダイナミック硬度の最大値DHMax、エッジからDHMaxの位置までの距離(PMax)、エッジからPMaxに至るまでのダイナミック硬度の漸増の有無を記載した。なお、ダイナミック硬度の漸増の有無は、以下の方法により判定した。すなわち、エッジからの距離Lにおいて、Lが増加するにつれて(すなわち、測定位置がエッジから離れるにつれて)、ダイナミック硬度が増加していれば漸増していると判定した。ここで、ダイナミック硬度が一定の箇所や、減少している箇所があった場合は、ダイナミック硬度の漸増がないと判定した。さらに、上述の測定方法により測定した、ハードセグメントにおける面積比率及び大きさが30nm以下のものの比率も記載した。
〔製造例C−2〜C−15およびC−19〕
塗布工程、硬化領域形成用材料除去工程、及び二次加熱工程の各条件を表2に示すように変更した以外は、製造例C−1と同様にして、クリーニングブレードC−2〜C−15及びC−19を製造した。各製造例より得られたクリーニングブレードの物性を表3に示す。
なお、製造例C−13より得られるクリーニングブレードC−13では、エッジからの距離Lが150μmの位置に、ダイナミック硬度の最大値(DHMax)が存在し、その値は0.18mN/μmであった。
〔製造例C−16〜C−18〕
塗布工程及び二次加熱工程の各条件を表2に示すように変更した。また、硬化領域形成用材料除去工程では、酢酸ブチル溶剤を浸したスポンジにて弾性部材の表面上の余分な硬化領域形成用材料を拭きとった。それ以外は、上述した製造例C−1と同様にして、クリーニングブレードC−16〜C−18を製造した。各製造例より得られたクリーニングブレードの物性を表3に示す。
〔製造例C−20〕
製造例C−1と同様にして、支持部材と弾性部材の一体成型体を製造した。そして、得られた一体成型体に対して切断工程を行う際、弾性部材の長手方向の両端部の切断に関しては、行う時期を硬化領域の形成後(二次加熱工程後)に変更した。それ以外は製造例C−1と同様にして、クリーニングブレードC−20を製造した。得られたクリーニングブレードC−20は、第一の面、第二の面、第一の面に対向する面の3面、及びこれらの表面下の内部に硬化領域を有していた。得られたクリーニングブレードC−20の物性を表3に示す。
〔製造例C−21〕
製造例C−1と同様にして、支持部材と弾性部材の一体成型体を製造した。そして、得られた一体成型体に対して、第一の面に対向する面109にマスキングテープ(商品名:ニトフロン粘着テープ No.903UL、日東電工社製)を貼り付けた。その後、製造例C−1と同様にして、硬化領域の形成を行い、一体成型体の残りの(上記面109以外の)4つの表面、及びこれらの表面下の内部に硬化領域を形成した。次いで、マスキングテープを剥がし、弾性部材の短手方向、および長手方向の長さをそれぞれ7.5mm、240mmとなるように切断する切断工程を行った。これにより、5面のうちの第一の面105の1面のみ、及びこの表面下の内部に硬化領域を有する、クリーニングブレードC−21を得た。得られたクリーニングブレードC−21の物性を表3に示す。
〔製造例C−22〕
製造例C−1と同様にして、支持部材と弾性部材の一体成型体を製造した。次に、得られた一体成型体に対し、弾性部材の短手方向の長さが7.5mmになるように切断した。さらに、第一の面105、および第一の面に対向する面109にマスキングテープ(商品名:ニトフロン粘着テープ No.903UL、日東電工社製)を貼り付けた。その後、製造例C−1と同様にして、硬化領域の形成を行い、一体成型体の残りの3つの表面、及びこれらの表面下の内部に硬化領域を形成した。次いで、マスキングテープを剥がし、弾性部材の長手方向の長さが240mmとなるように弾性部材の長手方向の両端部を切断した。これにより、5面のうちの第二の面106の1面のみ、及びこの表面下の内部に硬化領域を有する、クリーニングブレードC−22を得た。得られたクリーニングブレードC−22の物性を表3に示す。
〔製造例C−23〕
硬化領域処理面、塗布工程、硬化領域形成用材料除去工程及び二次加熱工程の各条件を表2に示す通りに変更した。具体的には、硬化領域処理面を製造例C−21と同様の硬化処理方法で第一の面のみとし、硬化領域形成用材料除去工程において、酢酸ブチル溶剤を浸したスポンジにて弾性部材の表面上の硬化領域形成用材料を拭きとった。それら以外は製造例C−1と同様にして、第一の面105の1面、のみ、及びこの表面下の内部に硬化領域を有する、クリーニングブレードC−23を得た。得られたクリーニングブレードC−23の物性を表3に示す。
〔製造例C−24〕
硬化領域処理面、塗布工程、硬化領域形成用材料除去工程及び二次加熱工程の各条件を表2に示す通りに変更した。具体的には、硬化領域処理面を製造例C−22と同様の硬化処理方法で第二の面のみとし、硬化領域形成用材料除去工程において、酢酸ブチル溶剤を浸したスポンジにて弾性部材の表面上の余分な硬化領域形成用材料を拭きとった。それら以外は製造C−1と同様にして、第二の面106の1面のみ、及びこの表面下の内部に硬化領域を有する、クリーニングブレードC−24を得た。得られたクリーニングブレードC−24の物性を表3に示す。
なお、このクリーニングブレードC−24では、エッジからの距離Lが140μmの位置に、ダイナミック硬度の最大値(DHMax)が存在し、その値は1.68mN/μmであった。
〔製造例C−25〕
この製造例では、弾性部材に硬化領域を形成しなかった。具体的には、製造C−1と同様にして、支持部材と弾性部材の一体成型体を製造した。次いで、この弾性部材の短手方向が7.5mm及び長手方向が240mmになるように切断する切断工程を行い、クリーニングブレードC−25を得た。得られたクリーニングブレードC−25の物性を表3に示す。
〔製造例C−26およびC−27〕
塗布工程、硬化領域形成用材料除去工程、及び二次加熱工程の各条件を表2に示す通りに変更した以外は、製造例C−1と同様にして、クリーニングブレードC−26及びC−27をそれぞれ得た。得られたクリーニングブレードC−26及びC−27の物性を表3に示す。
〔製造例C−28およびC−29〕
塗布工程及び硬化領域形成用材料除去工程の各条件を表2に示す条件に変更した。また、二次加熱工程は実施しなかった。これら以外は、製造例C−1と同様にして、クリーニングブレードC−28およびC−29を得た。得られたクリーニングブレードC−28およびC−29の物性を表3に示す。
さらに、図5に、製造例C−1、C−6、C−25及びC−28より得られたクリーニングブレードにおける、硬化表面及び内部の、ダイナミック硬度とエッジからの距離との関係を示すグラフを記載する。
Figure 2019023672
Figure 2019023672
<<感光体の製造>>
<ポリアリレート樹脂の製造>
[樹脂a1の製造]
イソフタル酸クロライド3.3gとテレフタル酸クロライド3.3gを、ジクロロメタンに溶解させて、酸ハロゲン化物溶液を調製した。また、酸ハロゲン化物溶液とは別に、下記式(a−1)で示されるシロキサン誘導体4.2g、下記式(a−2)で示されるジオール6.8gおよび下記式(a−3)で示されるジオール3.6gを、10質量%水酸化ナトリウム水溶液に溶解させた。さらに、重合触媒としてトリブチルベンジルアンモニウムクロライドを添加して撹拌し、ジオール化合物溶液を調製した。
Figure 2019023672
次に、上記酸ハロゲン化物溶液を上記ジオール化合物溶液に撹拌しながら加え、重合を開始した。重合反応は、反応温度を25℃以下に保ち、撹拌しながら3時間行った。その後、酢酸の添加により重合反応を終了させ、水相が中性になるまで水による洗浄を繰り返した。続いて、この液相をメタノールに滴下し、沈殿物をろ過、乾燥することによって、式(2−1)、式(9−1)、式(9−2)、式(10−1)(n=20)および式(10−2)(n=20)を含む白色の重合体(樹脂a1)を得た。
得られた樹脂a1の粘度平均分子量は、21,000であった。なお、粘度平均分子量は次のように算出した。試料(樹脂a1)0.5gをジクロロメタン100mlに溶解し、ウベローデ(Ubbelohde)型粘度計(商品名:粘度計 ウベローデ、柴田科学株式会社製)を用いて、温度:25℃における比粘度を測定した。得られた比粘度から極限粘度を求め、マーク−ホーウィンク(Mark−Houwink)の粘度式におけるK(比例定数部分)とa(指数部分;αで表記されることもある)を、それぞれ1.23×10−4と0.83として、粘度平均分子量を算出した。
また、前記手法により、樹脂a1中に含まれる式(1)で表される構造に相当する部分の含有量を分析したところ、20質量%であった。
<ポリカーボネート樹脂の製造>
[樹脂b1の製造]
下記式(b−1)で示されるジオール12.0gを10質量%水酸化ナトリウム水溶液に溶解させた。この水溶液にジクロロメタンを加えて攪拌し、溶液温度を10℃以上15℃以下に保ちながら、ホスゲン15gを1時間かけて吹き込んだ。ホスゲンを約70質量%吹き込んだところで、前記式(a−1)で示されるシロキサン誘導体4.2g、前記式(a−3)で示されるジオール4.0gを溶液に更に加えた。ホスゲンの導入が終了した後、激しく攪拌して反応液を乳化させ、トリエチルアミンを加えて1時間攪拌した。その後、ジクロロメタン相をリン酸で中和し、さらにpHが7程度になるまで水洗を繰り返した。続いて、この液相をイソプロパノールに滴下し、沈殿物をろ過、乾燥することによって、式(2−1)、式(11−1)および式(12−1)(n=20)を含む白色の重合体(樹脂b1)を得た。
得られた樹脂b1の粘度平均分子量は、18,000であった。また、樹脂b1中に含まれる式(1)で表される構造に相当する部分の含有量は、20質量%であった。
Figure 2019023672
[樹脂b2の製造]
後述する表4に示す構造に応じた原材料を用いた以外は、上記樹脂b1と同様にして、式(2−1)、式(11−1)および式(12−1)(n=40)を含む樹脂b2を合成した。樹脂b2の粘度平均分子量は、重合開始から重合終了までの時間を調整することにより制御した。
樹脂a1、樹脂b1およびb2の構成、ならびに粘度平均分子量を表4に示す。なお、表4中、「構造(1)の含有量」は、樹脂中に含まれる式(1)で表される構造の含有量(質量%)を意味する。表4中、「構造(2)、構造(9)、構造(10)、構造(11)、構造(12)」は、それぞれ、樹脂に含まれる、前記式(2)、式(9)、式(10)、式(11)、式(12)で表される構造を示す。ただし、例えば、構造(9)や構造(10)のように、各式で表される構造単位を複数併用した場合は、各構造単位(構造式)の種類とその混合比(質量基準)を示す。また、構造(10)中の「n」及び構造(12)中の「n」は、それぞれ、式(10)及び式(12)中における、括弧内の構造の繰り返し数(n及びn)の平均値を意味する。
Figure 2019023672
<感光体の作製>
[製造例D−1]
(支持体の用意)
カラーレーザービームプリンター(商品名;HP LaserJet Enterprise Color M553dn、ヒューレット・パッカード社製)用感光体ドラムと同形状のアルミニウムシリンダーを支持体(導電性支持体)とした。
(導電層の形成)
以下の表5に示す材料を、直径0.8mmのガラスビーズ450質量部を用いたサンドミルに入れて、回転数:2000rpm(min−1)、分散処理時間:4.5時間、冷却水の設定温度:18℃の条件で分散処理を行い、分散液を得た。
Figure 2019023672
次いで、この分散液からメッシュ(目開き:150μm)でガラスビーズを取り除いた。ガラスビーズを取り除いた後の分散液中の金属酸化物粒子と結着材料の合計質量に対して10質量%になるように、表面粗し付与材としてのシリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール120、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、平均粒径2μm)を分散液に添加した。また、分散液中の金属酸化物粒子と結着材料の合計質量に対して0.01質量%になるように、レベリング剤としてのシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング社製)を分散液に添加して撹拌することによって、導電層用塗布液を調製した。
この導電層用塗布液を支持体上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間150℃で乾燥及び熱硬化させることによって、膜厚が30μmの導電層を形成した。
(下引き層の形成)
次に、共重合ナイロン樹脂(商品名:アミラン(登録商標)CM8000、東レ社製)10質量部およびメトキシメチル化ナイロン樹脂30質量部を、メタノール500質量部およびブタノール250質量部の混合液に溶解させ、下引き層用塗布液を調製した。次いで、前記導電層上にこの下引き層用塗布液を浸漬塗布し、この塗布液が付着した部材を、温度100℃に調整された熱風乾燥機中に10分間投入し加熱乾燥した。これにより、前記導電層上に、膜厚が0.6μmの下引き層を形成した。
(電荷発生層の形成)
まず、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン(電荷発生物質)10質量部を用意した。この電荷発生物質に、シクロヘキサノン250質量部およびポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業社製)5質量部を混合し、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で23±3℃雰囲気下にて1時間分散した。分散後、得られた分散液に、酢酸エチル250質量部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を前記下引き層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を100℃で10分間乾燥させて、膜厚が0.26μmの電荷発生層を形成した。
(電荷輸送層の形成)
以下の表6に示す材料を、ジメトキシメタン40質量部、o−キシレン60質量部および安息香酸メチル5質量部からなる混合溶剤に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。
Figure 2019023672
この電荷輸送層用塗布液を前記電荷発生層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を120℃で1時間乾燥させることにより、膜厚が16μmの電荷輸送層を形成した。このようにして、電荷輸送層が表面層である感光体D−1を作製した。
[製造例D−2〜D−8]
電荷輸送層中の電荷輸送物質および樹脂を、後述する表7に示すとおりに変更した以外は、製造例D−1と同様にして、感光体D−2〜D−8を作製した。なお、電荷輸送物質の合計質量部(10質量部)、第1の樹脂の質量部(0.4質量部)及び他の樹脂の質量部(9.6質量部)は、製造例D−1と同様とした。ここで、感光体D−8が有する電荷輸送層は、構造(1)を有する第1の樹脂を含有しておらず、本発明の要件を満たしていない。
〔感光体の物性測定〕
得られた感光体D−1〜D−8について、電荷輸送層の最表面における構成元素に対するケイ素元素の存在割合(原子%)を上述した方法により測定した。結果を下記表7に示す。
なお、表7中、「第1の樹脂」における「比率(質量%)」とは、電荷輸送層中の全固形分に対する、第1の樹脂の含有量(質量%)を意味する。さらに、「他の樹脂」とは、電荷輸送層中に含まれる、第1の樹脂以外の樹脂を意味する。
なお、電荷輸送層を形成するための材料に、2種以上の原料を混合して用いた場合や2種以上の構造単位を有する材料を用いた場合は、各原料や各構造単位の種類と混合(配合)比(質量基準)を示す。すなわち、下記表7に示す電荷輸送物質における含有割合は、2種以上の原料の混合割合を示し、他の樹脂における含有割合は、この他の樹脂を形成する際に用いた各原料(例えば、式(9−1)の化合物)の配合割合を示す。
Figure 2019023672
〔実施例1〜33及び比較例1〜5〕
各例に対して、クリーニングブレード及び感光体を後述する表8に記載の通り組み合わせることにより、プロセスカートリッジを作製し、以下の評価方法に従い、各プロセスカートリッジを評価した。なお、比較例5では、後述する表面観察評価及び画像流れ評価を行わなかった。これは、クリーニングブレードのめくれが画像評価初期に発生したためである。
<評価1−1.高速クリーニング性能(縦スジ)の評価>
カラーレーザープリンター(商品名:HP LaserJet Enterprise Color M553dn、ヒューレット・パッカード社製)のプロセススピードを330mm/secまで上昇させる改造を行った。上記カラーレーザープリンター用のブラックカートリッジに、各例より得られるプロセスカートリッジを組み込んだ。次いで、低温、低湿度環境(温度15℃、相対湿度10%)下でA4サイズの紙上に、印字率、文字サイズが6ポイントのアルファベット「E」の文字を、印字率が1.5%となるように印字する電子写真画像を連続して形成した。そして、500枚印字する毎に、目視で印字物を観察し、縦スジの発生の有無を評価した。そして、縦スジが最初に認められた電子写真画像の枚数を記録し、画像形成を終了した。なお、50,000枚の電子写真画像を形成した時点で、上記縦スジが認められない場合は、50,000枚目で画像形成を終了した。そして、後述する表8には、「−」と表記した。
なお、本評価において、12,500枚以上、画像形成する場合は、現像装置を新しいブラックカートリッジの現像装置に付け替え、再度印刷を開始した。
また、廃トナーはカートリッジ背面に穴を開けて吸い出しながら、評価を行った。
<評価1−2.表面観察評価>
上記評価1−1において、縦スジが発生した電子写真画像が形成された場合には、クリーニングブレード表面、および感光体の表面をデジタルマイクロスコープ(商品名:本体VHX−5000、レンズVH−ZST、キーエンス社製)にて観察し、以下の評価基準に基づき評価した。なお、500,000枚の電子写真画像を形成した時点で縦スジが認められなかった場合は、本評価は行わなかった。
本評価の結果、クリーニングブレードの欠け、および感光体表面にキズが無い場合は、当接圧不足、またカールダウン不足による縦スジ状画像の発生と推測される。
・評価基準
ランクA:クリーニングブレードの欠け、および感光体表面のキズの発生無し。
ランクB:クリーニングブレードの欠け、感光体表面のキズのいずれか一方が発生。
ランクC:クリーニングブレードの欠け、および感光体表面にキズの両方が発生。
各例の評価結果を、下記表8に示す。
<評価2.画像流れ評価>
カラーレーザープリンターは、上述した縦スジの評価で用いたものと同様のものを使用し、同様に各例より得られるプロセスカートリッジを装着した。次いで、印刷環境を、高温、高湿度環境(温度30℃、相対湿度80%)下に変更した以外は、上記縦スジの評価と同じ条件で画像形成を行った。そして、画像形成後、印刷機を停止して12〜15時間静置した後、更に、10枚印刷を行い、画像流れが発生するかを確認した。印字率、文字サイズはそれぞれ1.5%、6ptとした。得られた10枚の画像全てを観察し、他の9枚よりも画像流れがひどいと判断した画像1枚について以下の評価基準によりランク付けを行った。
・評価基準
ランクA:印字文字の乱れ・ぼやけが認められない。
ランクB:印字文字の乱れ・ぼやけが認められる。
なお、各例において画像形成を行った枚数は、上記縦スジの評価で各例が行った枚数と同一の枚数とした。例えば、実施例1では、上記高温、高湿度環境下で、50,000枚画像形成を行い、上記静置後、10枚印刷を行った。
各例の評価結果を、下記表8に示す。
<評価3.クリーニングブレードのめくれ評価>
上記縦スジの評価で用いたものと同様のカートリッジを高温、高湿度環境(温度30℃、相対湿度80%)下で現像機をはずし、空回転機(カートリッジを保持し、感光ドラムを回転させる装置)にセットした。同環境下にて、印刷速度330mm/secの時と同一の条件で感光ドラムを空回転させ、10分間、クリーニングブレードの先端部の状態を観察した。クリーニングブレードの先端部の観察は、カートリッジを加工し、CCDカメラ等を設置して行った。以下の評価基準により性能をランク付けした。
・評価基準
ランクA:めくれは発生しない。
ランクB:めくれが発生する。
各例の評価結果を、下記表8に示す。
Figure 2019023672
実施例1〜33より得られるプロセスカートリッジは、いずれも、上述した第1の樹脂含む電荷輸送層を有する感光体と、上述した条件を満たすクリーニングブレードとを含む。これらの各プロセスカートリッジでは、感光体とクリーニングブレードとの摩擦、並びにクリーニングブレードのめくれを低減することができ、さらに、高速で電子写真画像を形成した際にも、クリーニング不良を抑制することができた。
101 クリーニングブレード
102 弾性部材
103 支持部材
104 エッジ
105 第一の面
106 第二の面
107 硬化領域
108 弾性部材の長手方向の端部
109 第一の面に対向する面
110 当接部
111 ハードセグメント
112 回収容器
113 第二の面に対向する面
201 感光体

Claims (16)

  1. 電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に構成されている電子写真用のプロセスカートリッジであって、
    電子写真感光体と、該電子写真感光体の表面をクリーニングするクリーニングブレードと、を具備し、
    該クリーニングブレードは、該電子写真感光体の表面に当接する弾性部材と、該弾性部材を支持する支持部材とを具備し、
    該弾性部材は、その自由端部分に、エッジと、該エッジを構成する第一の面および第二の面を有し、該第一の面および該第二の面の少なくとも一方が、硬化表面を有し、
    該硬化表面のダイナミック硬度をDHs(mN/μm)とし、
    該弾性部材の長手方向に直交する断面内において、該エッジの角度を二等分する直線上の、該エッジからの距離Lが、0μm<L≦100μmの各位置におけるダイナミック硬度のうちの最大値をDHm(mN/μm)としたとき、
    DHsおよびDHmは、下記式(20)および式(21)で示される関係を満たし:
    式(20)
    0.10≦DHs≦0.40;
    式(21)
    DHs<DHm 、
    該電子写真感光体は、支持体、電荷発生層、および、表面層としての電荷輸送層をこの順に有し、該電荷輸送層は、ポリアリレート樹脂およびポリカーボネート樹脂の少なくとも一方の第1の樹脂を含み、該第1の樹脂は、下記式(1)で表される構造を分子内に有することを特徴とするプロセスカートリッジ:
    Figure 2019023672
    (式(1)中、R11およびR12は、それぞれ独立に、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示し、nは、括弧内の構造の繰り返し数を示し、nの平均値は10以上200以下である。)。
  2. 前記直線上において、ダイナミック硬度の最大値を示す位置が、前記エッジから20μm以上、100μm以下の距離にある、請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
  3. 前記直線上におけるダイナミック硬度が、前記DHmを示す位置に至るまで漸増している、請求項1または2に記載のプロセスカートリッジ。
  4. 前記DHmが、前記DHsの1.1倍以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ。
  5. 前記DHmが、前記DHsの10倍以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ。
  6. 前記電子写真感光体の表面に当接する前記弾性部材の当接部の表面に、ハードセグメントを有し、
    該当接部の表面において、該ハードセグメントの占める面積が、該当接部の表面の面積に対して20%以上40%以下であり、かつ、該当接部の表面において、該ハードセグメントの大きさが30nm以下であるものの個数の割合が、該ハードセグメントの総数に対して、70%以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ。
  7. 前記弾性部材の長手方向の両端面が、硬化表面を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ。
  8. 前記硬化表面が、前記第一の面及び前記第二の面の両方に存在する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ。
  9. 前記第1の樹脂が、下記式(15)で表される構造を分子内に有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ:
    Figure 2019023672
    (式(15)中、R151〜R154は、それぞれ独立に、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示し、Zは、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、または、置換もしくは無置換のアリール基を示し、nは、括弧内の構造の繰り返し数を示し、nの平均値は10以上200以下である。)。
  10. 前記第1の樹脂が、下記式(2)で表される構造を分子内に有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ:
    Figure 2019023672
    (式(2)中、R21〜R24は、それぞれ独立に、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示し、Zは、炭素数1〜4のアルキル基、または、フェニル基を示し、mおよびnは、それぞれ括弧内の構造の繰り返し数を示し、mの平均値は1以上3以下であり、nの平均値は10以上200以下である。)。
  11. 前記第1の樹脂が、ポリアリレート樹脂であり、該ポリアリレート樹脂が、主鎖骨格に、下記式(9)および式(10)で表される構造の少なくとも一方を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ:
    Figure 2019023672
    (式(9)中、R91〜R98は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を示し、Xは、m−フェニレン基、p−フェニレン基、または2つのp−フェニレン基が酸素原子を介して結合した2価の基を示し、Yは、単結合、酸素原子、硫黄原子、または2価の有機基を示す。)、
    Figure 2019023672
    (式(10)中、R101〜R104は、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、またはフェニル基を示し、X10は、m−フェニレン基、p−フェニレン基、または2つのp−フェニレン基が酸素原子を介して結合した2価の基を示し、nは、括弧内の構造の繰り返し数を示し、nの平均値は、10以上150以下である。)。
  12. 前記第1の樹脂が、ポリカーボネート樹脂であり、該ポリカーボネート樹脂が、主鎖骨格に、下記式(11)および式(12)で表される構造の少なくとも一方を有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ:
    Figure 2019023672
    (式(11)中、R111〜R118は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を示し、Y11は、単結合、酸素原子、硫黄原子、または2価の有機基を示す。)、
    Figure 2019023672
    (式(12)中、R121〜R124は、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、またはフェニル基を示し、nは、括弧内の構造の繰り返し数を示し、nの平均値は、10以上150以下である。)。
  13. 前記第1の樹脂が、
    下記式(E)および下記式(F)で表される構造を含む主鎖と、下記式(G)で表される構造を含む末端と、を有し、かつ、下記式(E)と下記式(F)の構造のモル比率(E:F)が、20:1〜80:1を満たす樹脂であり、
    この第1の樹脂が、前記電荷輸送層の固形分に対して、0.2質量%以上5.0質量%以下、該電荷輸送層中に含有されている、請求項1〜12のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ:
    Figure 2019023672
    (式(F)中のnは、括弧内の構造の繰り返し数を示し、nの平均値は、20以上80以下である。)、
    Figure 2019023672
    (式(G)中のmおよびnは、それぞれ括弧内の構造の繰り返し数を示し、mの平均値は、20以上80以下であり、nの平均値は、0以上2以下である。)。
  14. 前記電荷輸送層が、第2の樹脂を更に含み、
    該第2の樹脂は、
    下記式(A)および下記式(B)で表される構造を含み、かつ、下記式(A)と下記式(B)の構造のモル比率(A:B)が、50:50〜90:10を満たすビスフェノール由来の構造と、
    下記式(C)および下記式(D)で表される構造を含み、かつ、下記式(C)と下記式(D)の構造のモル比率(C:D)が、30:70〜70:30を満たすカルボン酸由来の構造と、を有する樹脂である、請求項1〜13のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ:
    Figure 2019023672
    Figure 2019023672
  15. X線光電子分光法(ESCA)を用いて測定される、前記電子写真感光体の前記電荷輸送層の表面における構成元素に対するケイ素元素の存在割合が、3.0原子%以上である、請求項1〜14のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ。
  16. 電子写真感光体と、該電子写真感光体の表面をクリーニングするクリーニングブレードと、を具備している電子写真画像形成装置であって、
    該クリーニングブレードは、該電子写真感光体の表面に当接する弾性部材と、該弾性部材を支持する支持部材とを具備し、
    該弾性部材は、その自由端部分に、エッジと、該エッジを構成する第一の面および第二の面を有し、該第一の面および該第二の面の少なくとも一方が、硬化表面を有し、
    該硬化表面のダイナミック硬度をDHs(mN/μm)とし、
    該弾性部材の長手方向に直交する断面内において、該エッジの角度を二等分する直線上の、該エッジからの距離Lが、0μm<L≦100μmの各位置におけるダイナミック硬度のうちの最大値をDHm(mN/μm)としたとき、
    DHsおよびDHmは、下記式(20)および式(21)で示される関係を満たし:
    式(20)
    0.10≦DHs≦0.40;
    式(21)
    DHs<DHm 、
    該電子写真感光体は、支持体、電荷発生層、および、表面層としての電荷輸送層をこの順に有し、該電荷輸送層は、ポリアリレート樹脂およびポリカーボネート樹脂の少なくとも一方の第1の樹脂を含み、該第1の樹脂は、下記式(1)で表される構造を分子内に有することを特徴とする電子写真画像形成装置:
    Figure 2019023672
    (式(1)中、R11およびR12は、それぞれ独立に、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示し、nは、括弧内の構造の繰り返し数を示し、nの平均値は10以上200以下である。)。
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