JP2019023326A - ホウ素ドープダイヤモンド電極およびこれを用いた二酸化炭素電解還元装置 - Google Patents

ホウ素ドープダイヤモンド電極およびこれを用いた二酸化炭素電解還元装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、二酸化炭素の還元反応に対して高い還元効率を発揮するホウ素ドープダイヤモンド電極およびこれを用いた二酸化炭素電解還元装置を提供することにある。【解決手段】ホウ素がドーピングされたダイヤモンド層を有するホウ素ドープダイヤモンド電極であって、前記ダイヤモンド層の表面におけるダイヤモンド層の表面に存在する水素の原子数密度が6.8×1015〜16.5×1015(個/cm2)であることを特徴とする、ホウ素ドープダイヤモンド電極。【選択図】図1

Description

本発明は、ホウ素ドープダイヤモンド電極およびこれを用いた二酸化炭素電解還元装置に関する。
白金族金属、グラッシーカーボン等を陰極材料として用いた電解装置では、水素還元反応が優先的に起こり易く、二酸化炭素の還元効率がゼロに近いことが知られている(例えば特許文献1等)。
一方、ボロンドーピングされたダイヤモンド層を被覆したホウ素ドープダイヤモンド電極は、電位窓が広く、高い酸化活性を持つOHラジカルを作ることから、従来の陰極材料と比べて、分解困難な物質に対して高い分解能を発揮し、また強力な殺菌効果を発揮し得ることも知られている。そのため、このようなホウ素ドープダイヤモンド電極は、水処理や、廃液処理、その他広い分野で応用されている(例えば特許文献2および3等)。
このようなホウ素ドープダイヤモンド電極は電位窓が広いため、二酸化炭素の還元時に問題となる水素生成などの副反応を抑制することが可能であるが、二酸化炭素の還元効率は低い。
特開2011−174139号公報 特開2004−358452号公報 特開2005−054264号公報
本発明の目的は、二酸化炭素の還元反応に対して高い還元効率を発揮するホウ素ドープダイヤモンド電極およびこれを用いた二酸化炭素電解還元装置を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、二酸化炭素が反応する電極の表面性状が、二酸化炭素還元反応における還元効率に大きく寄与していることを見出した。そして、さらに研究を進めた結果、ホウ素がドーピングされたダイヤモンド層を有するホウ素ドープダイヤモンド電極において、前記ダイヤモンド層の表面における水素濃度を上昇させることによって、二酸化炭素の還元反応に対して高い還元効率を発揮するホウ素ドープダイヤモンド電極が得られることを見出し、かかる知見に基づき本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨構成は、以下のとおりである。
[1]ホウ素がドーピングされたダイヤモンド層を有するホウ素ドープダイヤモンド電極であって、前記ダイヤモンド層の表面に存在する水素の原子数密度が6.8×1015〜16.5×1015(個/cm)であることを特徴とする、ホウ素ドープダイヤモンド電極。
[2]前記ダイヤモンド層の表面に存在する水素の原子数密度が12.4×1015〜16.5×1015(個/cm)である、上記[1]に記載のホウ素ドープダイヤモンド電極。
[3]前記ダイヤモンド層の表面において、X線吸収微細構造解析(XAFS)を行い、得られたスペクトルから水素末端C−Hに帰属するピークおよび酸素末端C=Oに帰属するピークを分離し、それぞれのピーク面積をSおよびSと表すとき、S/Sが1.2〜1.6である、上記[1]または[2]に記載のホウ素ドープダイヤモンド電極。
[4]上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載のホウ素ドープダイヤモンド電極を用いた、二酸化炭素電解還元装置。
本発明によれば、ホウ素がドーピングされたダイヤモンド層を有するホウ素ドープダイヤモンド電極において、前記ダイヤモンド層の表面は、ダイヤモンド層の表面に存在する水素の原子数密度が6.8×1015〜16.5×1015(個/cm)であることによって、二酸化炭素の還元反応に対して高い還元効率を発揮するホウ素ドープダイヤモンド電極およびこれを用いた二酸化炭素電解還元装置が得られる。
図1は、本発明のホウ素ドープダイヤモンド電極の一例を示す、概略断面図である。 図2は、電解装置を概略的に示す構成図である。 図3は、図2に示す電解装置のうち、電解セル(二酸化炭素還元セル)の構成を示す、概略断面図である。
以下、本発明のホウ素ドープダイヤモンド電極の好ましい実施形態について、詳細に説明する。
本発明に従うホウ素ドープダイヤモンド電極(以下、BDD(Boron−Doped Diamond)電極という。)は、ホウ素がドーピングされたダイヤモンド層(以下、BDD(Boron−Doped Diamond)層という。)を有し、前記ダイヤモンド層(BDD層)の表面に存在する水素の原子数密度が6.8×1015〜16.5×1015(個/cm)であることを特徴とする。このようなBDD電極は、特に二酸化炭素(CO)の還元反応に対して高い還元効率を発揮する。
本発明のBDD電極の一例として、図1に、BDD電極の断面を模式的に示す。図1に示されるBDD電極1は、電極基材11と、該電極基材11上に形成されたBDD層13とを有する。
本発明者らはCO還元反応に適したBDD電極について鋭意研究を重ねた結果、BDD電極1の、BDD層13の表面13Aにおいて、水素濃度を上昇させることによって、CO還元反応に対して高い還元効率を発揮し得る電極表面が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。なお、本件におけるBDD層13(ダイヤモンド層)の表面とは、最表面からBDD層との間の20nm以内の範囲を意味する。
BDD層13の表面13Aに水素末端C−Hの結合状態で存在する水素は、COと静電的な相性がよいため、COの還元反応時の、BDD層13の表面13Aに対するCOの吸着エネルギーを低下できると推察される。すなわち、BDD層13は、ホウ素がドーピングされたダイヤモンド層であり、その表面13Aは、ダイヤモンド層の表面に存在する水素の原子数密度が6.8×1015〜16.5×1015(個/cm)に制御されている。特に、基材の炭素に水素が結合しているC−Hの状態が好ましい。ダイヤモンド層の表面に存在する水素の原子数密度が上記範囲に制御されたBDD層13の表面13Aは、COとの相性が良い、COの還元反応に好適な面となり、このような表面を有することでCOの還元効率が向上する。一方、ダイヤモンド層の表面に存在する水素の原子数密度が6.8×1015(個/cm)未満であると、電極表面に対するCOの吸着点を十分に確保できず、COの還元効率が低下する。また、ダイヤモンド層の表面に存在する水素の原子数密度が16.5×1015(個/cm)超であると、電極表面の疎水性が強くなり、電極表面と電解液の接触面(電気化学反応面)が減少するため、COの還元効率が低下すると考えられる。なお、COの還元効率をさらに高める観点からは、の表面に存在する水素の原子数密度を12.4×1015〜16.5×1015(個/cm)とすることがより好ましい。
なお、BDD層13の表面13Aにおけるダイヤモンド層の表面に存在する水素の原子数密度は、ERDA(反跳散乱分析)法により算出できる。具体的な測定条件は、実施例の頁にて説明する。
また、BDD層13の表面13Aにおいて、X線吸収微細構造解析(XAFS)を行い、得られたスペクトルから水素末端C−Hに帰属するピークおよび酸素末端C=Oに帰属するピークを分離し、それぞれのピーク面積をSおよびSと表すとき、S/Sが1.2〜1.6であることが好ましい。上記範囲とすることにより、電極と電解液との反応性と、電極とCOとの反応性とで、C−H結合由来の水素が一定値存在しすることで、更に良好なバランスを取ることができ、CO還元反応に対する還元効率が向上する。一方、上記S/Sが1.2未満であると、電極表面に対するCOの吸着エネルギーが高くなるため、COの還元効率が低下する傾向がある。また、上記S/Sが1.6超であると、電極表面の疎水性が強くなり、電解液から電極へ電子が移動し難くなり、電極界面における抵抗値が大きくなる傾向があるため好ましくない。
なお、BDD層13の表面13AにおけるXAFS測定の具体的な測定条件は、実施例の頁にて説明する。
また、BDD層13は、ホウ素がドーピングされたダイヤモンド層であればよく、上記表面における水素濃度以外は、特に限定はないが、好ましくはBDD層13中にホウ素を0.2〜1.2質量%含む。また、BDD層は、炭素およびホウ素以外の元素(例えば、窒素、酸素、フッ素、ケイ素等)を含んでいても良いが、BDD層中に0.1質量%以下であることが好ましい。
電極基材11は、特に限定されないが、例えばシリコン基板、ニオブ基板等が挙げられる。中でもシリコン基板が好ましい。また、電極基材11の形状は、特に限定されない。
次に、本発明のホウ素ドープダイヤモンド電極の好ましい製造方法について説明する。
本実施形態に係るBDD電極の製造方法は、電極基材上に、BDD層を形成する工程と、上記BDD層の表面における水素濃度を上昇させる工程とを有する。また、必要に応じて、前処理工程等をさらに有していてもよい。
(BDD層を形成する工程)
電極基材上に、BDD層を形成する。BDD層を形成する方法は、特に限定されず、公知のダイヤモンド層の形成方法を用いることができるが、例えば熱フィラメントCVD法や、マイクロ波プラズマCVD法等が挙げられ、中でも、熱フィラメントCVD法が好ましい。
熱フィラメントCVD法の具体例としては、熱フィラメントCVD装置を用い、高純度の水素に、炭素源と、ホウ素源とを混合した混合ガスを供給し、電極基材上にBDD層を形成する。
ここで、炭素源としては、例えば、メタン、エタン等が挙げられる。また、ホウ素源としては、例えば、トリメチルボレート(B(OCH)、トリエチルボレート(B(OC)、ジボラン等が挙げられる。
混合ガス中の炭素源およびホウ素源の混合割合は、選択するガスの種類に応じて適宜調整することができるが、例えば、水素、メタンおよびトリメチルボレートの混合ガスを用いる場合には、混合ガス中にメタン0.3〜1.5体積%、トリメチルボレート0.002〜0.020体積%、残部を水素とすることが好ましい。
また、電極基材は、上述のものを用いることができる。また、必要に応じて、その表面に表面水素化処理等を施してもよい。
また、電極基材の加熱温度は、チャンバー内の雰囲気温度にて、700〜900℃とすることが好ましい。
(BDD層の表面における水素濃度を上昇させる工程)
上記のようにして形成したBDD層について、その表面における水素濃度を上昇させる。BDD層の表面の水素濃度を上昇させる方法は、特に限定されないが、例えば表面水素化処理等が挙げられる。
表面水素化処理の具体例としては、BDD電極のBDD層に対して、水素雰囲気中でアニール処理を施す。アニール処理の処理温度は、例えば800〜1100℃とすることが好ましく、処理時間は、例えば5〜40分とすることが好ましく、処理圧力は、例えば常圧とすることが好ましい。なお、アニール処理後も、水素を導入し続けながら自然冷却し、雰囲気温度が室温まで低下するまで、BDD電極を水素雰囲気中で保持することが好ましい。
このようにして得られるBDD電極は、BDD層の表面に水素が導入されているため、従来のBDD電極(BDD層表面における水素濃度を上昇させていないもの)に比べて、BDD層表面における水素濃度が高い。このようなBDD層は、COの還元反応に対して、高い還元効率を発揮する。
このような本発明のBDD電極は、後述する二酸化炭素電解還元装置のカソード電極として好適に用いることができる。特に、カソード電極として用いた場合に、カソード還元における反応の過電圧を小さくできるので、必要とする外部バイアス電圧(外部電力)が小さくなる。即ち、カソード還元において、反応の電流効率が高くなり、収率および生産性が向上する。
本実施形態に係る二酸化炭素電解還元装置は、本発明のBDD電極を備えることが好ましい。装置の形成方法は特に限定されず、公知の方法により行うことができる。以下に、本発明のBDD電極が、二酸化炭素の電気化学的還元(電解還元、カソード還元)のカソード電極として用いられる場合の一例について説明する。
図2は、二酸化炭素の電気化学的還元を行う電解装置3の構成を示すブロック図である。電解装置3は、主に、電源31、電解セル33、ガス回収装置35、電解液循環装置37、二酸化炭素供給部39等で構成される。
電解セル33は、対象物質を還元する部位であり、本発明のカソード電極が含まれる部位でもあり、二酸化炭素(溶液において、溶存二酸化炭素のほか、炭酸水素イオンである場合も含む。以下、単に二酸化炭素等とする。)を還元する部位である。電解セル33には、電源31から電力が供給される。
電解液循環装置37は、電解セル33のカソード電極に対して、カソード側電解液を循環させる部位である。電解液循環装置37は、例えば槽およびポンプであり、二酸化炭素供給部39から所定の二酸化炭素濃度となるように、二酸化炭素等が供給されて電解液中に溶解され、電解セル33との間で電解液を循環可能である。
ガス回収装置35は、電解セル33によって還元されて発生したガスを回収する部位である。ガス回収装置35では、電解セル33のカソード電極で発生する炭化水素等のガスを捕集することが可能である。なお、ガス回収装置35において、種類毎にガスを分離可能としてもよい。
電解装置3は、以下のように機能する。前述の通り、電解セル33には電源31からの電解電位が付与される。電解セル33のカソード電極には、電解液循環装置37によって電解液が供給される(図中矢印A)。電解セル33のカソード電極においては、供給される電解液中の二酸化炭素等が還元される。二酸化炭素等が還元されると、主にギ酸、ホルムアルデヒド、炭化水素(メタン、エチレン)が生成される。
カソード電極で生成された炭化水素ガスは、ガス回収装置35により回収される(図中矢印B)。ガス回収装置35では、必要に応じてガスを分離し貯留することが可能である。
カソード電極で二酸化炭素等が還元されて消費されることで、電解液中の二酸化炭素等の濃度が減少する。還元反応によって減少した二酸化炭素等は常に補充され、その濃度は常に所定範囲内に保たれる。具体的には、電解液の一部が電解液循環装置37により回収され(図中矢印C)、所定の二酸化炭素濃度の電解液が常に供給される(図中矢印A)。以上により、電解セル33において、常に一定の条件で炭化水素を生成することができる。
次に、電解セル33について説明する。図3は、電解セル33の構成を示す図である。電解セル33は、主に、カソード槽である槽316a、金属メッシュ317、カソード電極319、陽イオン交換膜321、アノード電極320、アノード槽である槽316b等から構成される。電解セル33においては、板状の各構成が積層されて構成される。
槽316a、316bには、それぞれ電解液315a、315bが保持される。カソード電極側の槽316aの上部には、生成ガスを回収するための孔が形成され、図示を省略したガス回収装置に接続される。すなわち、カソード電極で生成されるガスは、当該孔から回収される。また、槽316aには、配管等が接続され、図示を省略した電解液循環装置37と接続される。すなわち、槽316a内の電解液315aは常に電解液循環装置37によって循環可能である。なお、必要に応じて、槽316b側の電解液も同様に循環可能としてもよい。
カソード電解液である電解液315aとしては、二酸化炭素等を多量に溶解できる電解液であることが好ましく、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、等のアルカリ性溶液、モノメタノールアミン、メチルアミン、その他液状のアミン、またはそれら液状のアミンと電解質水溶液の混合液などが用いられる。また、アセトニトリル、ベンゾニトリル、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、炭酸プロピレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メタノール、エタノール等を用いることができる。また、水素生成を目的とする水電解の場合には、適当な水溶液または純水を用いることができる。
また、アノード電解液である電解液315bとしては、前記のカソード電解液を用いるか、または適当な純水若しくは水溶液を用いることができる。
金属メッシュ317は、参照電極318と共に電源31の負極側に接続され、カソード電極319に対して通電するための部材である。金属メッシュ317としては、例えば銅製のメッシュ、ステンレス製のメッシュが挙げられ、参照電極318には銀/塩化銀電極などが使用できる。
陽イオン交換膜321としては、例えば、公知のナフィオン系などを用いることができる。アノード反応で酸素と共に発生する水素イオンをカソード側へ移動させ得る。
アノード電極320は電源31の正極に接続される。アノード電極320としては酸素発生過電圧の小さい電極、例えば、チタン、ステンレス等の基材上に酸化イリジウム、白金、ロジウム等を被覆した電極、酸化物電極、ステンレス電極、鉛電極などを用いることができる。
なお、アノード電極320は、光触媒または半導体電極触媒によって構成することもできる。すなわち、光を照射することで起電力を生じるようにすることができる。このようにすることで、アノード電極に太陽光などの光を照射して起電力を生じさせ、この起電力を電解セル33における電解電位として利用することができる。
カソード電極319では、電解液中の二酸化炭素等が還元される。二酸化炭素は、水に溶解し、溶存二酸化炭素や炭酸水素イオンの状態で電解液中に存在し、カソード電極に供給される。通常、一般的な材料(銅系以外)からなるカソード電極の場合、水素および一酸化炭素が多く発生する傾向にあり、炭化水素は殆ど生成されない。これに対し、本発明のBDD電極からなるカソード電極の場合、比較的効率良く炭化水素を生成することができる。
本実施形態に係るカソード電極319は、本発明のBDD電極で構成されている。すなわち、カソード電極319は、表面における水素濃度が高められたBDD層が形成されてなる。このようなカソード電極を用いることで、二酸化炭素を効率良く還元でき、エネルギーとして有用な炭化水素を高効率で生成できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の概念および特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含み、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
次に、本発明の効果をさらに明確にするために、実施例および比較例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。

(参考例1)
BDD電極は、熱フィラメントCVD法にて作製した。
具体的には、真空蒸着装置(製品名「熱フィラメントCVD装置 HF30」、ネオコート(NeoCoat)社製、励起源:タングステン)を用い、原料として高純度水素にメタン1.0体積%とトリメチルボレート(B(OCH)0.010体積%とを混合した混合ガスを供給し、Si(111)基板(キャノシス社製、100mm角、厚さ625μm)を電極基材とし、チャンバー内の雰囲気温度800℃にて、上記電極基材上に、ホウ素をドープしたダイヤモンドを成長させ、BDD電極を作製した。
(実施例1)
実施例1では、参考例1で作製したBDD電極に、表面水素化処理を施した。表面水素化処理は以下の手順で行った。
具体的には、参考例1で作製したBDD電極に対して、水素雰囲気中(水素100%)におけるアニール処理を900℃、常圧で5分間アニール処理を行った。その後、水素を導入し続けながら自然冷却し、雰囲気温度が室温に低下するまで電極を保持し、表面水素化処理を施したBDD電極を得た。
(実施例2〜7)
実施例2〜7では、アニール処理時間を表1に示す時間(分)にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様の方法でBDD電極を得た。
(比較例1)
比較例1では、参考例1で作製したBDD電極に、表面水素化処理を施さなかった。
(比較例2および3)
比較例2および3では、アニール処理時間を表1に示す時間(分)にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様の方法でBDD電極を得た。
[評価]
上記実施例および比較例に係る電極を用いて、下記に示す特性評価を行った。各特性の評価条件は下記の通りである。結果を表1に示す。
[1]ダイヤモンド層の表面に存在する水素の原子数密度の測定
電極におけるダイヤモンド層の表面に存在する水素の原子数密度は、ラザフォード後方散乱分光装置(製品名「HRBD−V500」、神戸製鋼所製)を用い、加速電圧300keVで測定し、ERDA(反跳散乱分析)法により算出した。
[2]XAFS測定
BDD電極表面の水素、酸素の結合状態はXAFS測定により行った。測定装置には、立命館大学SRセンターのBL2を用いた。
測定吸収端はC−K吸収端とし、BDD電極の表面近傍の情報を得るために、マイクロチャンネルプレートを用いた部分電子収量法により、XANAESスペクトルを取得した。部分電子収量法の阻止電圧は−150Vに設定した。得られたXANESスペクトルを、解析ソフト(Athena)によりベースライン・バックグラウンド補正とピーク規格化をした。補正・規格化後のXANESスペクトルをエクセルのソルバーを用いて最小二乗法によりピーク分離を行った。ピーク分離はエッジジャンプにアークタンジェント関数を、ピークにはガウス関数を用いた。ピーク分離の結果、287.6eVに得られるピークをC−H結合に帰属するピークとして、288.7eVに得られるピークをC=Oに帰属するピークとして、それぞれのピーク面積SおよびSを算出した。
[3]平均電解電位の測定
「ポテンショスタット/ガルバノスタット(製品名「VSP」、Bio−Logic社製)を用いて、電解液として、50mMの炭酸水素カリウム水溶液を用い、電極面積1cmあたり定電流2mAで通電し、測定温度25℃の条件で電圧を測定した。
[4]二酸化炭素の還元試験
実施例1〜7および比較例1〜3の電極を、二酸化炭素のカソード還元装置のカソード電極として用い、二酸化炭素の還元試験を行った。二酸化炭素のカソード還元装置の概略は、上述のとおりである(図3)。
なお、電解液として、50mMの炭酸水素カリウム水溶液を用い、各槽316a、316bに30mLずつ入れた。アノード電極320には、チタン基白金電極(田中貴金属工業株式会社製)を用いた。電気分解は、電流2mAで60分間行った。また、電気分解中は、供給管より、二酸化炭素ガスを10mL/分でバブリングした(図中矢印A方向)。
また、カソード電極における反応生成物としては、ギ酸(HCOOH)の生成量を分析した。分析は、上記還元試験終了後の槽内から反応液を必要量分採取し、イオンクロマトグラフィー(HIC−SPサプレッサイオンクロマトグラフ、株式会社島津製作所製)用いて行った。さらに、分析したギ酸の生成量からファラデー効率(%)を算出した。
本実施例では、ギ酸のファラデー効率が40%以上を合格レベルとして評価した。
実施例1〜7のBDD電極において、ダイヤモンド層の表面は、ダイヤモンド層の表面に存在する水素の原子数密度が6.8×1015〜16.5×1015(個/cm)の範囲内に制御されており、ダイヤモンド層の表面に存在する水素の原子数密度が上記範囲に制御されていない比較例1〜3のBDD電極と比べて、CO還元反応におけるファラデー効率を大幅に向上でき、生成物であるギ酸の生成量が増加することが確認された。すなわち、実施例1〜7のBDD電極は、比較例1〜3のBDD電極と比べて、COの還元反応を高効率に進行させることができる。
1……………ホウ素ドープダイヤモンド電極
11…………電極基材
13…………ホウ素ドープダイヤモンド層
3……………電解装置
31…………電源
33…………電解セル(COカソード還元試験装置)
35…………ガス回収装置
37…………電解液循環装置
39…………二酸化炭素供給部
315a、315b………電解液
316a、316b………槽
317………金属メッシュ
318………参照電極(銀/塩化銀)
319………カソード電極
320………アノード電極
321………陽イオン交換膜
323………分析管
325………供給管
327………シール部材

Claims (4)

  1. ホウ素がドーピングされたダイヤモンド層を有するホウ素ドープダイヤモンド電極であって、
    前記ダイヤモンド層の表面に存在する水素の原子数密度が6.8×1015〜16.5×1015(個/cm)であることを特徴とする、ホウ素ドープダイヤモンド電極。
  2. 前記ダイヤモンド層の表面に存在する水素の原子数密度が12.4×1015〜16.5×1015(個/cm)である、請求項1に記載のホウ素ドープダイヤモンド電極。
  3. 前記ダイヤモンド層の表面において、X線吸収微細構造解析(XAFS)を行い、得られたスペクトルから水素末端C−Hに帰属するピークおよび酸素末端C=Oに帰属するピークを分離し、それぞれのピーク面積をSおよびSと表すとき、S/Sが1.2〜1.6である、請求項1または2に記載のホウ素ドープダイヤモンド電極。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のホウ素ドープダイヤモンド電極を用いた、二酸化炭素電解還元装置。
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