JP2019023223A - インスリンおよびインスリン類似体の薬物動態及び薬力学、ならびに注射部位の疼痛を調節するためのマグネシウム組成物 - Google Patents

インスリンおよびインスリン類似体の薬物動態及び薬力学、ならびに注射部位の疼痛を調節するためのマグネシウム組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2019023223A
JP2019023223A JP2018194834A JP2018194834A JP2019023223A JP 2019023223 A JP2019023223 A JP 2019023223A JP 2018194834 A JP2018194834 A JP 2018194834A JP 2018194834 A JP2018194834 A JP 2018194834A JP 2019023223 A JP2019023223 A JP 2019023223A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
insulin
magnesium
formulation
edta
biod
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2018194834A
Other languages
English (en)
Inventor
ロデリク・ポール
Pohl Roderike
ロバート・ハウザー
Hauser Robert
ミン・リー
Min Li
ブライアン・アール.ウィルソン
R Wilson Bryan
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Eli Lilly and Co
Original Assignee
Eli Lilly and Co
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Eli Lilly and Co filed Critical Eli Lilly and Co
Publication of JP2019023223A publication Critical patent/JP2019023223A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K47/00Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient
    • A61K47/02Inorganic compounds
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • A61K38/16Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • A61K38/17Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • A61K38/22Hormones
    • A61K38/28Insulins
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K47/00Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient
    • A61K47/06Organic compounds, e.g. natural or synthetic hydrocarbons, polyolefins, mineral oil, petrolatum or ozokerite
    • A61K47/08Organic compounds, e.g. natural or synthetic hydrocarbons, polyolefins, mineral oil, petrolatum or ozokerite containing oxygen, e.g. ethers, acetals, ketones, quinones, aldehydes, peroxides
    • A61K47/12Carboxylic acids; Salts or anhydrides thereof
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K47/00Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient
    • A61K47/06Organic compounds, e.g. natural or synthetic hydrocarbons, polyolefins, mineral oil, petrolatum or ozokerite
    • A61K47/16Organic compounds, e.g. natural or synthetic hydrocarbons, polyolefins, mineral oil, petrolatum or ozokerite containing nitrogen, e.g. nitro-, nitroso-, azo-compounds, nitriles, cyanates
    • A61K47/18Amines; Amides; Ureas; Quaternary ammonium compounds; Amino acids; Oligopeptides having up to five amino acids
    • A61K47/183Amino acids, e.g. glycine, EDTA or aspartame
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/0012Galenical forms characterised by the site of application
    • A61K9/0019Injectable compositions; Intramuscular, intravenous, arterial, subcutaneous administration; Compositions to be administered through the skin in an invasive manner
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P3/00Drugs for disorders of the metabolism
    • A61P3/08Drugs for disorders of the metabolism for glucose homeostasis
    • A61P3/10Drugs for disorders of the metabolism for glucose homeostasis for hyperglycaemia, e.g. antidiabetics

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Diabetes (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Oil, Petroleum & Natural Gas (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Endocrinology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Dermatology (AREA)
  • Emergency Medicine (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Obesity (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Abstract

【課題】速効型注射用インスリン製剤と関連した注射部位の疼痛を調節する組成物及び方法の提供。【解決手段】注射用インスリン製剤であって、有効量の溶解/安定化剤、及び有効量のキレート剤、及び前記インスリン内の亜鉛をキレート化するための1つ又は複数のマグネシウム化合物を含み、注射部位の不快感が、EDTAナトリウムを有し、かつ前記1つ又は複数のマグネシウム化合物が存在しない製剤よりも少ない、注射用インスリン製剤。【選択図】図9

Description

関連出願への相互参照
本願は、2012年4月16日に出願された米国仮特許出願第61/704,066号、および2013年3月14日に出願された米国仮特許出願第13/836,806号の利益を主張し、これらの米国仮特許出願のすべては、その全体が本明細書中に参考として援用される。
発明の分野
本発明は、注射用速効型薬物送達インスリン製剤とその使用方法、及び注射時の疼痛低減に関する一般的分野に含まれる。
発明の背景
糖尿病の概要
グルコースは、エネルギーを生み出し、生命を維持するために身体のすべての細胞により使用されている単糖である。ヒトは、生き続けるために常時それらの血液中の最小限のレベルのグルコースを必要とする。身体が血糖を産生する主な方法は、食物の消化による。人がこのグルコースを食物の消化により得ていない場合、グルコースは、組織中の貯蔵物から産生され、肝臓により放出される。身体のグルコースレベルは、インスリンにより調節されている。インスリンは、膵臓により自然に分泌されるペプチドホルモンである。インスリンは、グルコースが生命維持に必要なエネルギー源を供給するために体細胞に入ることを助ける。
健常者が食事を始めるとき、膵臓が第1相インスリン分泌と呼ばれるインスリンの自然スパイク(natural spike)を分泌する。第1相インスリン分泌は、食物の消化により血液中に入ってくるグルコースを処理するのに十分なインスリンを供給することに加えて、食物の消化が起こっている間にグルコースを産生することを停止させるための肝臓へのシグナルとして作用する。肝臓がグルコースを産生しておらず、消化によるグルコースを処理するのに十分なさらなるインスリンが存在するため、健常者の血糖値は比較的に一定のままであり、それらの血糖値は高くなりすぎることはない。
糖尿病は、異常に高いレベルの血糖及び不十分なレベルのインスリンによって特徴づけられる。2つの主要なタイプの糖尿病、すなわち1型と2型が存在する。1型糖尿病において、身体はインスリンを産生しない。2型糖尿病の初期段階において、膵臓はインスリンを産生するが、身体は適切な時点にインスリンを産生しないか、又は体細胞はインスリンを無視する(インスリン抵抗性として公知の状態)。
任意の他の症状が存在する前でさえ、2型糖尿病の最初の影響の1つは、食事誘発性の第1相インスリン分泌の喪失である。第1相インスリン分泌が存在しない場合、肝臓は、グルコースを産生することを停止させるそのシグナルを受けない。結果として、肝臓は、身体が食物の消化により新たなグルコースを産生し始めるときにグルコースを産生し続ける。結果として、糖尿病患者の血糖値は、高血糖として公知の状態である、食後に高すぎる状態になる。高血糖は、グルコースを血液中の特定のタンパク質に異常に結合させ、小血管の完全性を維持するという正常な機能を果たすタンパク質の能力を妨害する。毎回の食事の後に起こる高血糖により、毛細血管(tiny blood vessels)は、最終的に崩壊し、漏れる。高血糖の長期有害作用は、失明、腎臓機能の喪失、神経損傷及び感覚の喪失並びに四肢の切断を必要とする可能性がある末梢における不十分な循環を含む。
食後2時間から3時間の間に、未処置糖尿病患者の血糖は非常に高くなるため、膵臓は異常に大量のインスリンを分泌するシグナルを受ける。初期2型糖尿病を有する患者において、膵臓は、まだ反応し、この大量のインスリンを分泌することができる。しかし、これは、消化がほぼ終了し、血糖値が低下し始めるときに起こる。この異常に大量のインスリンは、2つの好ましくない作用を有する。第1に、それは、既に障害が起きた膵臓に対して過度の極端な要求を課し、これが、その急速な悪化につながり、最終的に膵臓がインスリンを産生することをできなくする可能性がある。第2に、消化後のあまりにも多くのインスリンは、体重増加をもたらし、これが、疾患状態をさらに悪化させる可能性がある。
糖尿病の現在の処置法及びそれらの限界
1型糖尿病患者はインスリンを産生しないので、1型糖尿病の主要な治療法は、日常の集中的なインスリン療法である。2型糖尿病の治療法は、一般的に食事及び運動の管理から開始する。短期間では有益であるが、食事及び運動のみによる処置は、2型糖尿病を有する大多数の患者に対する有効な長期の解決策ではない。食事及び運動がもはや十分でない場合、処置は、種々の非インスリン経口薬から始める。これらの経口薬は、膵臓により産生されるインスリンの量を増加させることにより、インスリン感受性細胞の感受性を増加させることにより、肝臓のグルコース産出量を減少させることにより、又はこれらのメカニズムのある組合せにより、作用する。これらの処置は、疾患を効果的に管理するそれらの能力が限られており、一般的に、体重増加及び高血圧などの重大な副作用を有する。非インスリン療法に限界があるため、2型糖尿病を有する多くの患者は、時間の経過とともに悪化し、それらの代謝を維持するためのインスリン療法を最終的に必要とする。患者のインスリン抵抗性が進行するに従い、グルコースレベルを下げるのに必要なインスリン投与量は徐々に高まる。最高U−500(1ml当たり500ユニット)の濃縮型インスリンが、そのような患者のために市販されているが、低速吸収プロファイルのため、基礎的利用に限定される。
インスリン療法は、糖尿病を処置するために80年間以上にわたり使用されている。この療法は、毎日インスリンの数回の注射を適用することを通常必要とする。これらの注射は、1日1回又は2回の長時間作用性基礎注射及び食事時の速効性インスリンの注射を適用することからなる。この処置レジメンは、有効と認められているが、限界を有する。第1に、不便さと針の痛みのため、患者は一般的に自分でインスリンを注射することを好まない。結果として、患者は、処方された処置レジメンを十分に遵守しない傾向があり、しばしば薬物治療を不適切に受けることとなる。
より重要なことに、適切に投与されている場合でさえ、インスリン注射は、インスリンの自然の時間−作用プロファイルを再現しない。特に、糖尿病を有さない人における第1相インスリン分泌の自然スパイクは、食物からのグルコースが血液中に入ってから数分以内の血中インスリンレベルの上昇をもたらす。これに反して、注射されたインスリンは、血液に徐々に入り、ピークのインスリンレベルは、レギュラーヒトインスリンの注射後80〜100分以内に生じる。
可能な解決策は、食物を食べる直前に糖尿病患者の静脈内にインスリンを直接注射することである。インスリンの静脈内注射の試験において、患者は、食事後3〜6時間にわたる血糖のより良好なコントロールを示した。しかし、様々な医学的理由のため、毎回の食事の前のインスリンの静脈内注射は、実際的な療法ではない。
インスリン処置の重要な改善の1つは、1990年代におけるHUMALOG(登録商標)(インスリンリスプロ)、NOVOLOG(登録商標)(インスリンアスパルト)及びAPIDRA(登録商標)(インスリングルリシン)などの速効型インスリン類似体の導入であった。しかし、速効型インスリン類似体を用いた場合でさえ、最高インスリンレベルは、一般的に注射後50〜70分以内に生じる。速効型インスリン類似体は第1相インスリン分泌を十分に模倣するものではないため、インスリン療法を用いる糖尿病患者は、食事の開始時に存在する不十分なレベルのインスリン及び食間に存在する過剰なインスリンを有し続ける。このインスリンの送達の遅延は、食事の開始後の初期の高血糖をもたらし得る。さらに、食間の過剰なインスリンは、低血糖として公知の異常に低いレベルの血糖をもたらし得る。低血糖は、知力の喪失、精神錯乱、心拍数の増加、空腹感、発汗及び脱力をもたらし得る。非常に低い血糖値では、低血糖は、意識喪失、昏睡及び死亡さえをももたらし得る。米国糖尿病協会、すなわちADAによれば、インスリン使用糖尿病患者は、年間平均1.2件の重篤な低血糖事象を経験し、それらの事象の多くが患者による病院救急処置室への来訪を必要とする。
インスリン作用の速効性は、インスリンがどの程度速く吸収されるかに依存する。レギュラーヒトインスリンを100IU/mlで皮下注射した場合、製剤は六量体(およそ36kDa)から主に構成されるが、サイズ及び電荷に起因して容易に吸収されない。六量体中には、分子を安定化する2個の亜鉛原子が位置する。注後射、皮下組織内で濃度依存性の動的平衡が生じ、六量体から二量体(約12kDa)、次に単量体(約6kDa)への解離を引き起こす。従来、このようなレギュラーヒトインスリン製剤は、最高血漿濃度レベルに到達するのにおよそ120分を要する。
作用が急速発現するインスリン製剤、例えばVIAject(登録商標)は、米国特許第7,279,457号、並びに米国特許出願公開第2007/0235365号、同第2008/0085298号、同第2008/90753号、及び同第2008/0096800号、並びにSteinerら、Diabetologia、第51巻:1602〜1606頁(2008年)に記載されている。速効型インスリン製剤は、インスリン類似体よりもなお急速な薬物動態プロファイルを提供し、こうして患者が注射後の最初の1時間で高血糖となり、また2〜4時間後には低血糖となるのを回避するインスリン製剤を生み出すように設計された。VIAJECT(登録商標)が急速に発現するのは、2つの重要な添加剤、すなわち亜鉛キレート剤、例えばインスリン六量体を単量体及び二量体に急速に解離させるEDTA二ナトリウム(EDTA)及び/又はEDTAカルシウム二ナトリウム等、並びに溶解/安定化剤、例えば血液中に吸収される前に、解離した単量体及び二量体を安定化するクエン酸等が含まれていることに起因する(Pohlら、J. Diabetes Sci. and Technology、2012年、第6巻(4号)755〜763頁)。
残念ながら、この製品を用いた初期の臨床試験では、注射部位の不快感が認められた。塩化カルシウム及び/又はEDTAのカルシウム塩としてカルシウムを含めると、注射部位の疼痛は軽減し、疼痛は注射部位近傍の細胞外液からカルシウムが除去されることに起因するという理論の裏づけとなった。しかし、カルシウムの添加は薬物動態を変化させた。
同一の概念を念頭においた濃縮インスリン製剤が開発されたが、但しこの製剤は、超急速作用と作用持続時間の若干の延長とが組み合わされた独特のプロファイルを有する。この製剤は、食事時のインスリン注射及び基礎インスリン注射を必要とするインスリン抵抗性の個体に特に良く適する。このU−400製剤を用いれば、吸収プロファイルは、食事時のインスリンニーズ及び中間型インスリン(すなわちNPH)ニーズの両方を満たし得るので、注射を2回するのは不要となる。さらに、このような濃縮インスリン製剤は、イ
ンスリン抵抗性の患者用のインスリンポンプと共に利用可能である。容積が減少すれば、小型ポンプ、又は人工膵臓用に開発されているポンプ等の双ホルモンポンプを将来設計することが可能となる。
注射部位の不快感が低減した超速効型注射用インスリン組成物である組成物を提供することが、本発明の目的である。インスリン抵抗性の糖尿病を処置するための特別な濃縮インスリン製剤を提供することも本発明の目的であるが、同製剤は、皮下注射部位からの吸収速度を増加させることにより、注射用インスリン組成物の薬物動態及び薬力学を調節する。
米国特許第7,279,457号明細書 米国特許出願公開第2007/0235365号明細書 米国特許出願公開第2008/0085298号明細書 米国特許出願公開第2008/90753号明細書 米国特許出願公開第2008/0096800号明細書
J. Diabetes Sci.and Technology、2012年、第6巻(4号)755〜763頁
発明の要旨
注射部位の忍容性が改善した、U−100、超急速類似体、及びU−400超速効型注射用インスリン製剤の薬物動態及び薬力学を調節する組成物及び方法が開発された。当該製剤は、亜鉛キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸(「EDTA」)等、溶解/安定化剤、例えばクエン酸及び/又はクエン酸ナトリウム等、1つ又は複数のマグネシウム化合物、並びに任意選択的に追加の添加剤と組み合わせてインスリンを含有する。
1つの実施形態では、製剤は、組換えヒトインスリン、EDTAナトリウム、溶解/安定化剤、例えばクエン酸及び/又はクエン酸ナトリウム、並びに1つ又は複数のマグネシウム化合物、例えばEDTAマグネシウム、Mg(OH)、MgSO、又はこれらの組み合わせを含有する。特別な実施形態では、マグネシウム化合物は、MgSOである。マグネシウム化合物の濃度は、約0.1〜約10mg/ml、好ましくは約0.1〜約5mg/ml、より好ましくは約0.1〜約2mg/ml、最も好ましくは約0.2〜約2mg/mlである。いくつかの実施形態では、製剤は、約0.2〜0.3mg/mlのMg(OH)(例えば、0.282)、約1.7〜2.0のEDTAマグネシウム(例えば、1.89)、及び/又は約0.4〜0.5の硫酸マグネシウム(例えば、0.481)を含有する。m−クレゾール濃度及びクエン酸イオン濃度を最適化することにより、安定性が強化される。製剤中のインスリン濃度は、100〜500ユニット/mLに変化する。
好ましい実施形態では、製剤は皮下注射により投与される。
図1は、露出した表面電荷を示し、電荷をマスクするのに適当なサイズの分子(「溶解剤及びキレート化剤」)と重ね合わされたインスリンの3次元概略図である。 図2及び3は、HUMALOG(登録商標)と比較した、EDTA−Mgインスリン製剤であるBIOD123及び125について、投薬後の時間(図2、0〜60分;図3、0〜480分)の関数としての平均インスリン濃度(mU/L)のグラフである。 図2及び3は、HUMALOG(登録商標)と比較した、EDTA−Mgインスリン製剤であるBIOD123及び125について、投薬後の時間(図2、0〜60分;図3、0〜480分)の関数としての平均インスリン濃度(mU/L)のグラフである。 図4及び5は、HUMALOG(登録商標)と比較した、EDTA−Mgインスリン製剤であるBIOD123及び125について、時間(分)の関数としての平均GIR(mg/kg/分)のグラフである。 図4及び5は、HUMALOG(登録商標)と比較した、EDTA−Mgインスリン製剤であるBIOD123及び125について、時間(分)の関数としての平均GIR(mg/kg/分)のグラフである。 図6は、糖尿病のミニブタにおける、時間に対するベースラインを差し引いた平均インスリン値(実線)及びグルコース値(点線)を示す図である。BIOD−530(黒色)及びLilly U−500(灰色)、±SEM。 図7は、糖尿病のブタにおける、ベースラインを差し引いた平均インスリン値(実線)、及びグルコース低下量(破線)を、BIOD−530(濃い灰色)、BIOD−531(薄い灰色)、及びHUMALOG(登録商標)(黒色)について示すグラフである。n=9、±SEM。 図8は、糖尿病のミニブタにおける、時間に対するベースラインを差し引いた平均インスリン濃度を、BIOD−530(黒色)、BIOD−532(濃い灰色)、及びBIOD−533(薄い灰色)について示す図である。n=9、±SEM。 図9は、糖尿病のミニブタにおける、異なるインスリン製剤を投与した後の、時間に対するベースラインを差し引いた平均インスリン値(実線)及びグルコース値(点線)を示す図である。
発明の詳細な説明
本明細書で開示するインスリン製剤は、食事の直前又は食事終了時に投与される。製剤は、現在市販されている速効型インスリン又はインスリン類似体より速く血液中に吸収されるように設計される。インスリン製剤の1つの重要な特徴として亜鉛キレート剤が含まれていることが挙げられるが、同剤は、六量体型形態のインスリンを単量体型及び/又は二量体型形態のインスリンに解離又は分離させ、また注射後の六量体型形態への再会合を防止する又は最低限に抑え、これにより注射後の血流中への急速吸収を促進する。亜鉛キレート剤、例えばEDTA二ナトリウムの濃度と血液からのグルコース吸収スピードとの間に系統的な関連性が存在することが判明した。EDTA濃度が変化すれば、その変化は速効型インスリン製剤の薬物動態及び薬力学を変化させる。
理論に束縛されないが、EDTA−クエン酸−インスリン製剤の注射部位における不快感についてなし得る説明として、EDTA二ナトリウムによる細胞外カルシウムのキレート化が挙げられる。カルシウムは、細胞外液中におよそ1mMの濃度で存在し、また興奮収縮連関、筋肉機能、神経伝達物質の放出、及び細胞の代謝に必要不可欠である。局在性のカルシウムが失われると、筋テタニー(muscle tetany)を引き起こし得るが、これは間欠性の緊張筋収縮により顕在化し、線維性振戦、知覚異常、及び筋肉痛を伴う障害である。この相互作用を回避するために、細胞外液からカルシウムを取り除く製剤を用いるべきではない。
EDTA二ナトリウムの代わりに、カルシウムをキレート化した形態のEDTA(すなわち、EDTAカルシウム二ナトリウム)を用いれば、同一量のEDTA二ナトリウムと比較して注射部位の疼痛を軽減し得る。しかし、EDTAカルシウム二ナトリウムは、吸収速度をin vivoで若干遅延させる。したがって、過剰のEDTAをキレート化するのにマグネシウムをカルシウムの代わりに用いた。製剤にマグネシウムを添加すると、注射部位の忍容性が高まったが、インスリン吸収速度は変化しなかった。
1つの実施形態では、製剤は、組換えヒトインスリン、EDTAナトリウム、溶解/安定化剤、例えばクエン酸及び/又はクエン酸ナトリウム、並びに1つ又は複数のマグネシウム化合物、例えばEDTAマグネシウム、Mg(OH)、MgSO、又はこれらの組み合わせを含有する。特別な実施形態では、マグネシウム化合物はMgSOである。マグネシウム化合物の濃度は、約0.1〜約10mg/ml、好ましくは約0.1〜約5mg/ml、より好ましくは約0.1〜約2mg/ml、最も好ましくは約0.2〜約2mg/mlである。いくつかの実施形態では、製剤は、約0.2〜0.3mg/mlのMg(OH)(例えば、0.282)、約1.7〜2.0のEDTAマグネシウム(例えば、1.89)、及び/又は約0.4〜0.5の硫酸マグネシウム(例えば、0.481)を含有する。m−クレゾール濃度及びクエン酸イオン濃度を最適化することにより、安定性が強化される。製剤中のインスリン濃度は、100〜500ユニット/mLで変化する。
I.定義
本明細書で用いているように、「インスリン」は、特に指定しない限り、ヒト若しくは非ヒト組換え、精製又は合成インスリン若しくはインスリン類似体を意味する。
本明細書で用いているように、「ヒトインスリン」は、天然源から分離されたか、又は遺伝子改変した微生物により産生されたかにかかわりなく、膵臓により分泌されるヒトペプチドホルモンである。本明細書で用いているように、「非ヒトインスリン」は、ヒトインスリンと同じであるが、ブタ又はウシなどの動物源からのものである。
本明細書で用いているように、インスリン類似体は、膵臓により分泌されるインスリンと異なるが、天然インスリンと同じ作用を果たすために身体に利用できる改変インスリンである。基礎をなすDNAの遺伝子操作により、インスリンのアミノ酸配列を変化させて、そのADME(吸収、分布、代謝及び排泄)特性を変化させることができる。例としては、インスリンリプロ、インスリングラルギン、インスリンアスペルト、インスリングルリシン、およびインスリンデテミルなどがある。インスリンは、化学的に、例えば、アセチル化により修飾することもできる。本明細書で用いているように、ヒトインスリン類似体は、ヒトインスリンと同じ作用を果たすことができる改変ヒトインスリンである。
本明細書で用いているように、「キレート剤(chelator)」又は「キレート化剤(chelating agent)」は、亜鉛イオンに対する1つ以上の結合を形成する能力を有する化合物を意味する。結合は、一般的にイオン結合又は配位結合である。キレート剤は、無機又は有機化合物であってよい。キレート錯体は、金属イオンがキレート化剤の2つ以上の原子に結合している錯体である。
本明細書で用いているように、「可溶化剤」は、溶媒中の物質、例えば水溶液中のインスリンの溶解度を高める化合物である。可溶化剤の例として、ポリソルベート(TWEEN(登録商標))等の界面活性剤、エタノール等の溶媒、オキシエチレンモノステアレート等のミセル形成化合物、及びpH調節剤が挙げられる。
本明細書で用いているように、「溶解/安定化剤(dissolution/stabilization agent)」又は「溶解/安定化剤(dissolution/stabilizing agent)」は、酸又はその塩であり、インスリン及びEDTAに添加すると、下記実施例に記載する上皮細胞のトランスウェルプレートアッセイ法を用いて測定されるように、同一pHにおけるHCl及びEDTAと比較して、インスリンの輸送及び吸収を増強する。HClは溶解/安定化剤ではないが、可溶化を支援し得る。クエン酸は、このアッセイ法で測定した場合、溶解/安定化剤である。
本明細書で用いているように、「無機性のマグネシウム化合物」又は「無機性のマグネシウム塩」は、陰イオンが1つの炭素原子も含有しない化合物を意味する。
本明細書で用いているように、「有機性のマグネシウム化合物」又は「有機性のマグネシウム塩」は、陰イオンが1つ又は複数の炭素原子を含有する化合物を意味する。
本明細書で用いているように、「添加剤」は、キレート剤又は溶解/安定化剤以外の不活性物質であり、インスリンの担体として用いられる、又は製品を製造するプロセスを支援するために利用される。そのような場合、活性物質は、添加剤に溶解される又はこれと混合される。
本明細書で用いているように、「生理学的pH」は、6.8〜7.6の間、好ましくは7〜7.5の間、最も好ましくは約7.4である。
本明細書で用いているように、「Cmax」は、薬物の投与後に認められるその最大濃度又はピーク濃度である。
本明細書で用いているように、「Tmax」は、最大濃度(Cmax)が生じる時間である。本明細書で用いているように、1/2Tmaxは、血液中でインスリン濃度がその最大濃度の半分(1/2Cmax)となる時間である。これは、T50%earlymaxとしても表され得る。
II.製剤
製剤には、インスリン又はインスリン類似体、亜鉛キレート剤、及び溶解/安定化剤(複数可)、マグネシウム、並びに任意選択的に1つ又は複数のその他の添加剤が含まれる。好ましい実施形態では、製剤は皮下投与に適し、また皮下組織に急速に吸収される。溶解/安定化剤及びキレート剤の選択、溶解/安定化剤及びキレート剤の両者の濃度、並びに製剤が調整されるpH、これらすべては、システムの有効性に顕著な影響を与える。多くの組合せで有効性は認められるが、好ましい実施形態は、安全性、快適性、安定性、制御プロファイル、及び性能を含む理由から選択される。
好ましい実施形態では、製剤成分のうち少なくとも1つは、インスリン上の電荷をマスクするために選択される。これは、インスリンの膜透過輸送を促進し、こうしてインスリンの作用発現及び生物学的利用能の両方を向上させるものと考えられている。また、成分は、水性媒体中に急速に溶解する組成物を形成するためにも選択される。好ましくは、インスリンは吸収され、血漿に速く輸送され、急速な作用発現を引き起こし、好ましくは投与後約5分以内に開始し、また投与後約15〜30分でピークに達する。
EDTA等のキレート剤は、インスリン内の亜鉛をキレート化し、こうして亜鉛をインスリン分子から取り除く。こうすると、六量体型インスリンの二量体型及び単量体型形態への解離を引き起こし、また注射後の六量体状態への再会合を遅らせる。これら2形態は、濃度依存性の平衡状態にあるので、単量体が吸収されるに従い、より多くの単量体が生み出される。したがって、インスリン単量体が皮下組織を通じて吸収されるに従い、さらなる二量体が分解(dissemble)してより多くの単量体が形成される。単量体型形態は、六量体型形態の分子量の6分の1に満たない分子量を有し、こうしてインスリン吸収スピード及びその量の両方を顕著に増加させる。キレート剤(例えばEDTA)及び/又は溶解/安定化剤(例えばクエン酸)とインスリンとの水素結合の範囲内において、これらは、インスリン上の電荷をマスクし、インスリンの膜透過輸送を促進し、こうしてインスリンの作用発現及び生物学的利用能の両方を向上させるものと考えられている。
マグネシウム塩は、薬物動態プロファイルを顕著に変化させない一方、同時に注射部位の疼痛を軽減することが判明している。
好ましい実施形態では、M−クレゾールは、その抗微生物特性及び使用期限延長の理由から添加される。
インスリン
インスリン又はインスリン類似体は、本製剤で利用可能である。好ましくは、インスリンは組換えヒトインスリンである。組換えヒトインスリンは、いくつかの供給元から入手可能である。インスリンの用量は、その生物学的利用能及び処置の対象となる患者に依存する。インスリンは、個体のインスリン抵抗性レベルに応じて1.5〜200IUの用量範囲で一般的に含まれる。インスリンは、200、400、又は500U/mlのその他の提供形態が本明細書に記載されているが、一般的に、100IUバイアルで提供される。最も好ましい実施形態では、注射用製剤は、1mlの容積で100Uのインスリンを含有する。追加の実施形態には、より高濃度のインスリン製剤が含まれ、最も好ましくはU−400である。
いくつかの異なる種類の市販インスリンが糖尿病患者にとって利用可能である。これらの種類のインスリンは、(1)血流に到達し、血糖レベル低下を開始するのにどのくらい時間がかかるか、(2)インスリンが最大強度でどのくらい長く作用するか、及び(3)インスリンがどのくらい長く血糖に対して影響を与え続けるか、によって異なる。
速効性インスリン(fast acting insulin)
速効性インスリンは、食事中の炭水化物摂取に由来するグルコースに反応するように意図されている。速効性インスリンは、1〜20分以内にその働きを開始し、約1時間後にピークに達し、そして3〜5時間持続する。速効性インスリンは、体循環に完全に吸収されるのに約2時間かかる。速効性インスリンとして、pH7で等張溶液中に投与されるレギュラー組換えヒトインスリン(例えばEli Lilly社より市販されているHUMULIN(登録商標)、及びNovo Nordisk A/S社より市販されているNOVALIN(登録商標))が挙げられる。ウシ及びブタインスリンは、ヒトインスリンとはいくつかのアミノ酸が異なるが、ヒトにおいて生体活性であり、また速効性インスリンである。
濃縮インスリン製剤
より濃縮された形態のインスリンが、インスリン抵抗性の個体のために提供されている。市販の製剤であるHumulin R U−500は、非常に長い作用持続時間を有するが、その徐放性プロファイルに起因して基礎的利用に限り適する。
速効型インスリン(rapid−acting insulin)
糖尿病患者の一部は、食事の際に速効型インスリン、及び「バックグラウンド」持続性インスリンとして長時間作用性インスリンを利用する。この群には、その吸収速度を高めるために、改変された又はアミノ酸の位置が変化したインスリンが含まれる。
現時点では、3種類の速効型市販インスリン類似体が利用可能である:インスリンリスプロ(Eli Lilly社よりHUMALOG(登録商標)として販売されているリジン−プロリンインスリン)、インスリングルリジン(Sanofi−Aventis社よりAPIDRA(登録商標)として販売されている)、及びインスリンアスパルト(Novo Nordisk社よりNOVOLOG(登録商標)として販売されている)。
中間型インスリン(intermediate−acting insulin)
中間型インスリンは、短時間作用性インスリンより長い寿命を有するが、作用開始までが遅く、またその最大強度に達するのにより長い時間がかかる。中間型インスリンは、注射後2〜4時間内に、通常その働きを開始し、4〜14時間のどこかでピークに達し、最長24時間有効な状態に留まる。中間型インスリンの種類として、NPH(Neutral Protamine Hagedorn)及びLENTEインスリンが挙げられる。インスリンが血流に到達するのにより長い時間がかかるが、ピーク及び寿命がより長くなるように、NPHインスリンは吸収スピードを減速させるプロタミンを含有する。中間型インスリンは、1日当たりの合計注射回数を低減するために、中性のpHで速効型インスリンと組み合わせられ得る。
即時作用性インスリン及び中間型インスリンのブレンド:
速効型インスリン及びNPHインスリンのブレンドが、単回注射での食事時の使用及び基礎的な使用のニーズを満たすために市販されている。これらのインスリンブレンドは、レギュラー組換えインスリンベース(HUMULIN(登録商標)70/30(70%ヒトインスリンイソフェン及び30%ヒトインスリン、Eli Lilly社)、又はHUMALOG(登録商標)Mix75/25(75%インスリンリスプロプロタミン懸濁物及び25%インスリンリスプロ溶液)(Eli Lilly社)等の類似体ベースであり得、またこれらは100U−mlである。これらのブレンドは、HUMULIN(登録商標)R(レギュラーヒトインスリン)又はHUMALOG(登録商標)Rを用いてインスリン作用持続時間を延長して食事時のニーズをカバーするために、プロタミンインスリン懸濁物(HUMULIN(登録商標)又はHUMALOG(登録商標)ベース)を利用する。
長時間作用性インスリン(long−acting insulin)
長時間作用性インスリンの例として、インスリングラルギン(商標名LANTUS(登録商標)で市販、Sanofi−Aventis社)、及びインスリンデテミル(LEVEMIR(登録商標)、Novo Nordisk A/S社)が挙げられる。LANTUS(登録商標)の作用持続時間延長は、皮下注射後にpHが4から7に上昇することにより通常誘発される。これにより、インスリングラルギンの溶解度が変化し、微小析出物が生成する。この微小析出物(microprecipate)は皮下組織中でゆっくりと溶解し、最長24時間そのグルコース低下効果が持続する。このインスリンは、ヒトインスリンと異なり、位置21でアスパラギンの代わりにグリシンを有し、また2つのアルギニンがβ鎖のカルボキシ末端に付加されている。
溶解/安定化剤
図1に示す通り、特定のポリ酸は、インスリン上の電荷をマスクし、取り込み及び輸送を増強すると思われる。電荷マスキング剤ではない塩酸に対し、溶解/安定化剤として有効なそのような酸として、酢酸、アスコルビン酸、クエン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、及びその塩が挙げられる。有効な酸として、すべての二酸又はポリ酸が挙げられる。例えば、活性な作用物質がインスリンの場合には、好ましい溶解/安定化剤は、クエン酸及び/又はクエン酸ナトリウムである。塩酸は、任意の製剤と組み合わせてpH調整のために使用され得るが、溶解/安定化剤ではない。
酸は直接的に又は水溶液中で解離する塩の形態で添加可能である。酸の塩は、酢酸ナトリウム、アスコルビン酸塩、クエン酸塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩及びアジピン酸塩を含む。有機酸の塩は、金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩及び金属重炭酸塩、金属アミン、並びに塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム等などのアンモニウム塩基を含むが、これらに限定されない様々な塩基を用いて調製することができる。適切な金属は、一価及び多価金属イオンを含む。例としての金属イオンは、リチウム、ナトリウム及びカリウムなどのI族金属、バリウム、マグネシウム、カルシウム及びストロンチウムなどのII族金属、並びにアルミニウムなどのメタロイドを含む。多価金属イオンは、2つ以上のカルボン酸基と同時に錯体を形成できるので、複数のカルボン酸基を含有する有機酸が望ましい場合がある。
溶解/安定化剤の範囲は、インスリン及びEDTA二ナトリウムと組み合わせたクエン酸の有効量に対応する。例えば、9.37×10−4M〜9.37×10−2Mのクエン酸の範囲は、クエン酸が、モル質量がおよそ192グラム/モルの無水クエン酸の場合、約0.18mg/ml〜約18mg/mlの重量/容積に対応する。いくつかの実施形態では、無水クエン酸の量は、1.8mg/mlの約50%(0.9mg/ml)〜1.8mg/mlの約500%(9mg/ml)、より好ましくは1.8mg/mlの約75%(1.35mg/ml)〜1.8mg/mlの約300%(5.4mg/ml)の範囲である。好ましい実施形態では、無水クエン酸の量は、約1.8mg/ml、又は約2.7mg/ml、又は約3.6mg/ml、又は約5.4mg/mlであり得る。最も好ましい実施形態では、クエン酸の量は、注射用製剤の2.7mg/mlである。例えば、無水クエン酸の代わりにクエン酸一水和物若しくはクエン酸三ナトリウム又は別のクエン酸が用いられる場合には、重量/容積は調整され得る。
好ましい溶解/安定化剤は、インスリン製剤が生理的pH範囲のpHを有する場合、クエン酸ナトリウムである。
特に好ましい実施形態では、製剤は、EDTA二ナトリウムとクエン酸との混合物を含有する。一般的に、EDTA二ナトリウムに対するクエン酸の比は、300:100の範囲、例えば100:120、100:100、200:100、150:100、300:200、及び500:100である。
キレート剤
好ましい実施形態では、亜鉛キレート剤はインスリンと混合される。キレート剤は、イオン性であっても非イオン性であってもよい。キレート剤として、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、EGTA、アルギン酸、α−リポ酸、ジメルカプトコハク酸(DMSA)、CDTA(1,2−ジアミノシクロヘキサン四酢酸)、及びクエン酸三ナトリウム(TSC)が挙げられる。塩酸はpHを調整するためにTSCと併用され、そのプロセスにおいて溶解/安定化剤であるクエン酸が形成させられる。
キレート剤は、インスリンから亜鉛を捕捉し、こうして六量体型形態よりも単量体型又は二量体型形態のインスリンが優勢となり、投与部位周辺組織(例えば、粘膜又は脂肪組織)内へのインスリン吸収を促進する。さらに、キレート剤の水素はインスリンに結合し得、それによりインスリン単量体の電荷マスクを支援し、またインスリン単量体の膜透過輸送を促進する。
好ましい実施形態では、キレート剤はEDTAである。最も好ましい実施形態では、製剤は、インスリン、EDTA二ナトリウム、塩化カルシウム、及びクエン酸又はクエン酸ナトリウム等の溶解/安定化剤を含有する。
2.42×10−4M〜9.68×10−2Mの範囲のEDTAは、EDTAが、モル質量がおよそ292グラム/モルであるエチレンジアミン四酢酸の場合には、約0.07mg/ml〜約28mg/mlの重量/容積に対応する。EDTAの濃度が低下すると、インスリン吸収速度が低下し、またインスリン注射に対するグルコースの反応が遅延する可能性がある。この濃度をさらに増加させても、吸収速度は無視し得る程度に増加するにすぎない。
好ましい実施形態では、EDTAの量は、1.8mg/mlの約5%(0.09mg/ml)〜1.8mg/mlの約500%(9mg/ml)、より好ましくは1.8mg/mlの約15%(0.27mg/ml)〜1.8mg/mlの約200%(3.6mg/ml)の範囲である。例えば、EDTAの量は、0.1mg/ml、0.25mg/ml、1.0mg/ml、1.8mg/ml、2.0mg/ml、又は2.4mg/mlのEDTAであり得る。
EDTAの濃度が低下すると、インスリン吸収速度が低下し、またインスリン注射に対するグルコースの反応が遅延する可能性がある。好ましい実施形態では、キレート剤は、好ましくは2.0mg/mlに等しいか又はそれ未満の量のEDTA二ナトリウムである。この濃度をさらに増加させても、吸収速度は無視し得る程度に増加するにすぎない。いくつかの実施形態では、EDTAは、EDTA二ナトリウムとEDTAカルシウム二ナトリウムを組み合わせたものである。例えば、1つの実施形態では、EDTAは約1.8〜2.0mg/mlのEDTAカルシウム二ナトリウムと組み合わせた約0.27〜0.3mg/mlのEDTA二ナトリウムである。いくつかの実施形態では、EDTAは、約1.8〜2.0mg/mlの間のEDTAカルシウム二ナトリウム又はEDTA二ナトリウム及びCaClである。
マグネシウム化合物
製剤は、1つ又は複数の薬学的に許容されるマグネシウム化合物を含有する。これまでに議論したように、EDTAは、投与部位における内因性カルシウムの錯体形成に起因して、注射部位における炎症を引き起こす可能性がある。EDTAカルシウムを含めることにより、この炎症は改善し得るが、製剤にEDTAカルシウムを添加すると、インスリン吸収が減速する。注射部位の炎症を最低限に抑えるか又は防止し、かつ皮下吸収速度を変化させないために、1つ又は複数のマグネシウム化合物が製剤に組み込まれる。
マグネシウム化合物は、無機及び/又は有機のマグネシウム塩であり得る。適する無機マグネシウム塩として、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、硫酸マグネシウム(Mg(SO))、ハロゲン化マグネシウム、例えば塩化マグネシウム(MgCl)、臭化マグネシウム(MgBr)、及びヨウ化マグネシウム(MgI)等;ピロリン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム七水和物、並びに酸化マグネシウム(MgO)が挙げられるが、これらに限定されない。
適する有機マグネシウム塩として、EDTAマグネシウム、乳酸マグネシウム、アミノ酸キレート、例えばアスパラギン酸マグネシウム等;酢酸マグネシウム、炭酸マグネシウム(Mg(CO)、クエン酸マグネシウム、及びグルコン酸マグネシウムが挙げられるが、これらに限定されない。
特別な実施形態では、1つ又は複数のマグネシウム化合物は、EDTAマグネシウム、Mg(OH)、MgSO、又はこれらを組み合わせたものである。1つの実施形態では、1つ又は複数のマグネシウム化合物はMgSOである。
1つ又は複数のマグネシウム化合物の濃度は、約0.1〜約10mg/ml、好ましくは約0.1〜約5mg/ml、より好ましくは約0.1〜約2mg/ml、最も好ましくは約0.2〜約2mg/mlである。いくつかの実施形態では、製剤は、約0.2〜0.3mg/mlのMg(OH)(例えば、0.282)、約1.7〜2.0のEDTAマグネシウム(例えば、1.89)、及び/又は約0.4〜0.5の硫酸マグネシウム(例えば、0.481)を含有する。
添加剤
薬学的組成物は、薬学的に用いることができる調製物への活性化合物の処理を促進する添加剤及び助剤を含む1つ以上の生理的に許容されるキャリアを用いて従来の方法で処方することができる。薬物の製剤化は、例えば、Hoover, John E.、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton、Pennsylvania(1975年)並びにLiberman, H. A.及びLachman, L.編、Pharmaceutical Dosage Forms、Marcel Decker、New York、N.Y.(1980年)に記載されている。
好ましい実施形態において、水性媒体への速やかな溶解を促進するために、1つ以上の可溶化剤をインスリンとともに含める。適切な可溶化剤は、ポリソルベート、グリセリン及びポロキサマー類などの湿潤剤、非イオン性及びイオン性界面活性剤類、食用酸類及び食用塩基類(例えば、重炭酸ナトリウム)並びにアルコール類並びにpH調節用の緩衝塩類を含む。好ましい実施形態において、pHは塩酸(HCl)又は水酸化ナトリウム(NaOH)を用いて調整される。注射用製剤のpHは、一般的に約6.8〜7.8の間、好ましくは約7.1である。
安定剤は、薬物分解反応を阻害する又は遅らせるのに用いられるが、そのような反応として、事例的に酸化反応が挙げられる。いくつかの安定剤が利用可能である。適する安定剤として、バッファー;例えばクエン酸塩、リン酸塩、及び酢酸塩等;多糖類、例えばセルロース及びセルロース誘導体、硫酸化多糖複合体等、並びに単純アルコール、例えばグリセロール(又はグリセリン(glycerin)、若しくはグリセリン(glycerine))等;静菌剤、例えばフェノール、ベンジルアルコール(alchohol)、メタ−クレゾール(m−クレゾール)、2−フェノキシエタノール、及びメチル/プロピルパラベン等;等張化剤、例えば塩化ナトリウム、グリセロール(又はグリセリン(glycerin)、若しくはグリセリン(glycerine))、環状アミノ酸、アミノ酸、及びグルコース等;レシチン、例えば天然レシチン(例えば、卵黄レシチン又はダイズレシチン)等、及び合成又は半合成レシチン(例えば、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、又はジステアロイルホスファチジルコリン)等;ホスファチジン酸;ホスファチジルエタノールアミン;ホスファチジルセリン、例えばジステアロイルホスファチジルセリン、ジパルミトイルホスファチジルセリン、及びジアラキドイルホスファチジルセリン(diarachidoylphospahtidylserine)等;ホスファチジルグリセロール;ホスファチジルイノシトール;カルジオリピン;スフィンゴミエリンが挙げられる。また、溶媒又は共溶媒系(エタノール、PEG−300、グリセリン、プロピレングリコール)、並びに可溶化剤、例えばポリソルベート20/80;ポロキサマー188、及びソルビトール等も含まれる。1つの例では、安定剤は、グリセロール、静菌剤、及び等張化剤を組み合わせたものであってもよい。最も好ましい製剤には、グリセリン及びm−クレゾールが含まれる。グリセリンの範囲は、約1〜35mg/ml、好ましくは約10〜25mg/ml、最も好ましくは約19.5〜22.5mg/mlである。m−クレゾールの範囲は、約0.75〜6mg/ml、好ましくは約1.8〜3.2mg/ml、最も好ましくは約2又は3mg/mlである。塩化カルシウムは、あらゆる遊離EDTAを「中和する」ために製剤に添加可能であり、またクエン酸ナトリウム及び/又はクエン酸は、解離した単量体を安定化するために添加される。塩化カルシウムは、キレート剤がEDTA二ナトリウムの時、製剤に、より一般的に添加される。塩化カルシウムは、EDTA二ナトリウムとほぼ等モル濃度に一致させて添加される。例えば、EDTA二ナトリウムが5mMである場合には、やはり5mMの塩化カルシウムが用いられるべきである。有効範囲は、EDTA二ナトリウムの80〜120%である。塩化カルシウムに対応するさらに可能性のある候補として、類似した量で添加されるマグネシウムが挙げられる。塩化カルシウムの範囲は、約0.1〜10mM、好ましくは、より好ましくは約2.5〜7.5mM、最も好ましくは約5mMである。
いくつかの実施形態では、市販のインスリン調製物及びインスリン類似体調製物は、本明細書で開示する製剤のインスリンとして利用可能である。したがって、最終製剤には、市販のインスリン及びインスリン類似体の調製物によく見出される追加の添加剤が含まれ得るが、そのような添加剤として亜鉛、塩化亜鉛、フェノール、リン酸ナトリウム、酸化亜鉛、リン酸水素二ナトリウム、塩化ナトリウム、トロメタミン、及びポリソルベート20が挙げられ、但しこれらに限定されない。また、これらは、本明細書に記載するキレート剤及び解離/安定化剤を添加する前に上記市販調製物から除去され得る。
製剤の例は、下記の実施例で詳細に記載されている。カルシウム−EDTA−クエン酸製剤は、以下を含有する:100U/mlのインスリン、1.8mg/mlのEDTAカルシウム二ナトリウム、2.7mg/mlのクエン酸、20.08mg/mlのグリセリン、及び3.0mg/mlのm−クレゾール(「BIOD−105」)、又は100U/mlのインスリン若しくはインスリン類似体、1.8mg/mlのEDTA二ナトリウム、2.7mg/mlのクエン酸、18.1mg/mlのグリセリン、2.0mg/mlのm−クレゾール、及び5mMの塩化カルシウム(「BIOD−107」)。
1つ又は複数のマグネシウム化合物を含有するインスリン製剤は、表1に記載するように調製した。
III.製剤作製方法
好ましい実施形態では、注射用製剤は、インスリン、EDTA二ナトリウム及び/又はEDTAカルシウム二ナトリウム、クエン酸、食塩水、又はグリセリン、m−クレゾール、並びに塩化マグネシウムを含有する。最も好ましい実施形態では、皮下注射用製剤は、水、EDTA二ナトリウム、MgSO等のマグネシウム塩、クエン酸、グリセリン、m−クレゾール、及びインスリンを合わせ、多数回使用注射バイアル又はカートリッジ内に滅菌濾過することより製造される。
注射用インスリン製剤の作製方法は、下記の実施例に詳細に記載されている。
1つの実施形態では、EDTAは、クエン酸の前に製剤(複数可)に添加される。別の実施形態では、クエン酸ナトリウムがクエン酸の代わりに添加される。好ましい実施形態では、クエン酸は、EDTAの前に製剤(複数可)に添加される。1つの好ましい実施形態では、製剤の以下の構成成分は、水に添加される:クエン酸、EDTA、グリセリン、m−クレゾール、マグネシウム塩、及びインスリン。グリセロール及びm−クレゾールは溶液として添加されるが、一方クエン酸、EDTA、及びマグネシウム塩は、粉末、結晶として添加可能であるか、又は水に事前溶解可能である。
いくつかの実施形態では、皮下注射用製剤は、水、クエン酸、EDTA、グリセリン、及びm−クレゾールを混合して、濾過及び滅菌される溶液(「希釈液」と呼ばれる)を形成することにより製造される。インスリンは、水に個別に添加され、滅菌濾過され、そして指定量がいくつかの個別滅菌注射ボトルに添加され、次に凍結乾燥されて粉末を形成する。凍結乾燥された粉末は、その安定性を保持するために、希釈液とは分離して保管される。投与前に希釈液がインスリン注射ボトルに添加され、インスリンが溶解して最終的な再構成製品が製造される。
別の実施形態では、インスリンは溶液中に存在し、添加剤が凍結乾燥、スプレードライ化され、そして注射前にインスリンに添加される。なおも別の実施形態では、添加剤は濃縮液として作製され、そして注射前に液状のインスリンに導入される。
事前に決定された量のインスリンを患者に皮下注射した後、残りのインスリン溶液は、好ましくは冷蔵して保管可能である。好ましい実施形態では、インスリンは、バイアル又はカートリッジ内で、約pH7.0の水溶液として調製され、4℃に保たれる。
IV.製剤の使用方法
製剤は、皮下注射又は筋肉内注射することができる。製剤は、急速に吸収され、そして血漿に輸送されて全身的に送達されるように設計される。
活性な作用物質としてインスリンを含有する製剤は、食事前又は食事中に1型又は2型糖尿病患者に投与され得る。急速に吸収されることから、組成物は肝臓内でグリコーゲンがグルコースに変換するのを阻止し得るが、こうして糖尿病に由来する合併症の主要原因であり、また2型糖尿病の第1の症状である高血糖症を予防する。現在利用可能なヒトインスリンの標準的皮下注射剤は、摂食前約0.5〜1時間に投与されなければならないが、肝臓内グルコース産生を阻止するにはインスリンの吸収が遅すぎるので、得られる効果は希望するまでに至らない。上記のような新規超速効型製剤は、食事により近い時間に服用可能である。薬物動態が向上したこのような製剤における潜在的な利点として、インスリン処置で多発する合併症である肥満について、その発生率又は重症度の低減を挙げることができる。
(実施例1)
ヒトにおける注射部位の不快感に対するEDTAカルシウム二ナトリウム濃度の影響
材料及び方法
VIAJECT(登録商標)7(VJ7)は、1ミリリットル当たり以下を含有する:3.7mg(100IU)の組換えヒトインスリン、1.8mgのクエン酸、1.8mgのEDTA二ナトリウム、22.07mgのグリセリン、防腐剤として3.0mgのm−クレゾール、並びにpHをおよそ7に調整する水酸化ナトリウム及び/又は塩酸。
BIOD102は、1ミリリットル当たり以下を含有する:3.7mg(100IU)の組換えヒトインスリン、1.8mgのクエン酸、2.4mgのEDTAカルシウム二ナトリウム、15.0mgのグリセリン、防腐剤として3.0mgのm−クレゾール、並びにpHをおよそ7.1に調整する水酸化ナトリウム及び/又は塩酸。
BIOD103は、1ミリリットル当たり以下を含有する:3.7mg(100IU)の組換えヒトインスリン、1.8mgのクエン酸、0.25mgのEDTA二ナトリウム、2.0mgのEDTAカルシウム二ナトリウム、15.0mgのグリセリン、防腐剤として3.0mgのm−クレゾール、並びにpHをおよそ7.1に調整する水酸化ナトリウム及び/又は塩酸。
各溶液をヒト志願者の皮下に注射し、注射と関連した疼痛の評定について当該志願者に質問した。
非線形モデリングを行わずに、基本的な薬物動態パラメータであるCmax、Tmax、及び1/2Tmaxを見積もった。
VJ7と比較して、各製剤から得られたデータについてt−検定を実施した。
結果
表2に示す通り、EDTAカルシウム二ナトリウムを含有するサンプル(BIOD102及びBIOD103)は、EDTA二ナトリウムのみを含有するサンプル(VJ7)よりも若干低めのCmax及び遅めのTmaxを有した。
表2:EDTAカルシウム二ナトリウムとEDTA二ナトリウムとの比較
薬物動態データ
VIAJECT(登録商標)7:1.8mgのEDTA二ナトリウム
BIOD102:2.4mgのEDTAカルシウム二ナトリウム
BIOD103:0.25mgのEDTA二ナトリウム、2.0mgのEDTAカルシウム二ナトリウム
これらの結果から、最大インスリン濃度の半分に達するまでの平均時間及び最大インスリン濃度に達するまでの時間(表2)が示すように、カルシウム製剤は、当初のインスリン、EDTAナトリウム、クエン酸製剤よりも有意に低下した取り込み速度を有することが実証される。
EDTAカルシウム二ナトリウムを含有するインスリン製剤を注射すると、その結果注射部位の疼痛は、表3に示す通りEDTA二ナトリウムサンプルよりも有意に低下した。
表3:注射部位の不快感データ
VAS:0=無し;100=考え得る最悪;VR絶対的不快感:0=無し、1=軽度、2=中等度、3=重度
VR相対的(通常の注射に対する):1=かなり低い;2=低い;3=同等;4=高い;5=かなり高い。
(実施例2)
糖尿病のミニブタにおける製剤BIOD105及びBIOD107のインスリン吸収速度研究
この研究の目的は、忍容の改善と関連するものと予測される改変型インスリン製剤の薬物動態(PK)及び薬力学(PD)特性を評価することであった。実施例1では、インスリン製剤(EDTA二ナトリウムを含有する)にEDTAカルシウムを添加すると、EDTA二ナトリウムを含有するインスリン製剤(EDTAカルシウム無添加)と比較して、注射に対する部位反応が低減することが明らかにされた;しかし、製剤の速効性は、この置換により若干遅くなった。したがって、新規インスリン製剤が、時間的喪失(速効性)を取り戻し、また安定性を改善するために開発された。追加のクエン酸をいくつかの製剤に添加したが(当初の製剤であるVJ7と比較して150%)、また安定性を高めるために、m−クレゾールを1/3削減することを検討した。
新規製剤のうち、その1つでは、カルシウムがキレート化した形態のEDTAを実現するために、EDTA二ナトリウム及びCaClを個別の添加剤として添加した(BIOD107)。BIOD107に由来するインスリン吸収速度を、EDTA−Caが直接添加されたインスリン製剤(BIOD105)に由来するインスリン吸収速度と、VJ7(EDTA二ナトリウムを含有し、カルシウム無添加)に由来するインスリン吸収速度と比較した。
方法及び材料
カルシウム−EDTA−クエン酸製剤(BIOD105)は以下を含有する:100U/mlのインスリン、1.8mg/mlのEDTAカルシウム二ナトリウム、2.7mg/mlのクエン酸(=VJ7に含まれる量の150%)、20.08mg/mlのグリセリン、及び3.0mg/mlのm−クレゾール。
CaCl−EDTA−クエン酸製剤(BIOD107)は以下を含有する:100U/mlのインスリン又はインスリン類似体、1.8mg/mlのEDTA二ナトリウム、2.7mg/mlのクエン酸(=VJ7に含まれる量の150%)、18.1mg/mlのグリセリン、2.0mg/mlのm−クレゾール(=VJ7に含まれるm−クレゾールの量1/3削減)、及び5mMの塩化カルシウム。
製剤、VJ7、BIOD105、及び107をミニブタの皮下に注射し、これに続き各試験製剤を皮下投与した後のインスリン吸収速度を測定した。
糖尿病のミニブタ6〜8匹に、連日投与されるブタインスリンの代わりに0.25U/kgの試験製剤を午前中に注射した。動物にはブタ飼料500gを与え、そして血漿サンプルを、投薬後−30、−20、−10、0、5、10、15、20、30、45、60、75、90、120、150、180、240、300、及び360分に、Becton Dickinson KEDTAバキュテーナーを用いて収集した。凍結血漿をインスリン含有量についてアッセイし(#EZHI−14K Millipore、米国)、またグルコース濃度について分析した(YSI3200 analyzer、YSI Life sciences、米国)。非線形モデリングを行わずに持続時間を見積もった。投薬後にベースラインから血糖レベルが20ポイント低下するのに必要とされる時間、及び最下点から血中グルコースが20ポイント増加するのに要する時間から、薬力学的反応を計算した。これらのパラメータ間の時間は、作用持続時間として定義される。
吸収速度を、注射後のインスリン濃度の初期増加から導出された直線の傾きとして計算した(投薬後最大30分)。
結果:
吸収速度パラメータを下記表4に示す:
表4: 当初の製剤VJ7に対する製剤BIOD105及びBIOD107の初期吸収速度の比較。
20ポイント低下するまでの時間=投薬後から血中グルコース濃度がベースラインよりも20ポイント低下するまでの時間
t−検定比較により、これら製剤の初期の吸収速度に統計的差異は認められないことが明らかとなった。濃度対時間プロファイルのプロットの曲線形状はわずかに異なるものの、初期の吸収速度曲線は、ほぼ重ね合わせることができた。これより、インスリンの作用発現は急速であることが保証される。
薬力学の結果を下記表5に示す。
表5:薬力学パラメータの計算。
20ポイント低下するまでの時間=投薬後から血中グルコース濃度がベースラインよりも20ポイント低下するまでの時間
20ポイント回復するまでの時間=投薬後に、血中グルコースが最下点到達後から20ポイント増加するまでの時間
持続時間は、20ポイント低下した時刻と20ポイント回復した時刻の間の時間である。
データは、EDTA二ナトリウムがEDTAカルシウム二ナトリウムに置き換わり、またクエン酸イオンが増加しているにもかかわらず、当初の製剤と薬物動態的にもまた薬力学的にも類似した吸収プロファイルを実現したことを示している。
(実施例3)
マグネシウム塩を含有するインスリン製剤。
EDTA二ナトリウムを含有するインスリン製剤により得られた薬物動態、薬力学、及び注射部位の不快感に対して、マグネシウム塩が及ぼす影響を、HUMLAOG(登録商標)と比較して評価した。HUMLAOG(登録商標)は、1ミリリットル当たり以下を含有する:インスリンリスプロ100ユニット、16mgのグリセリン、1.88mgのリン酸水素ナトリウム、3.15mgのメタクレゾール、含有量が0.0197mgの亜鉛イオンとなるよう調整された酸化亜鉛、痕跡量のフェノール、及び注射用水。インスリンリスプロのpHは、7.0〜7.8である。pHは、10%塩酸及び/又は10%水酸化ナトリウム水溶液を添加して調整する。
材料及び方法
インスリン製剤を、これまでに表1で記載したように調製した。
製剤を、ヒト志願者12名で評価した。人口統計学/ベースライン情報、及び投薬の要約を表6に記載する。
表6. 人口統計学/ベースライン、及び投薬の要約
結果
BIOD123、BIOD125、及びHUMLAOG(登録商標)について、薬物動態(平均値±SE)を表7に示す。
EDTA及びマグネシウムに関して、BIOD−123(表1に示す)は、EDTA二ナトリウム及びMgSOを含有し一方BIOD−125は、EDTA二ナトリウム(1.98mg/ml);クエン酸(2.7mg/ml);グリセリン(18mg/ml);m−クレゾール(3mg/ml);CaCl(3.38mg/ml);tween(1.53mg/ml)を含有するが、マグネシウム化合物を含有しない。
表7.薬物動態(平均値±SE)
表7及び9に関して、AUCins0〜30=インスリンの0〜30分曲線下面積;AUCins0〜45=インスリンの0〜45分曲線下面積;AUCins0〜60=インスリンの0〜60分曲線下面積;AUCins0〜120=インスリンの0〜120分曲線下面積;AUCins0〜480=インスリンの0〜480分曲線下面積;AUCins120〜480=インスリンの120〜480分曲線下面積。
時間と関連する薬物動態(PK)パラメータ(メジアン)を表8に示す。
表8.時間に関連するPKパラメータ(メジアン)
薬力学(LS平均)を表9に示す。
表9.薬物動態(LS平均)
括弧内のp−値は予定されなかったが、またインスリンとリスプロのアッセイの間で差異が認められるので有効ではないと考えられる。AUCins0〜45は予定外であった。
表10.薬力学(LS平均)
GIRは、グルコース注入速度(mg/kg/分)、すなわち、インスリン注射後、一般的に80〜120mg/dLである正常血糖範囲に被験体を留めるのに必要とされるグルコース量である。GIRmaxは、TGIRmaxの時に生じる最大グルコース注入速度である。最大速度の半分の速度は、ピーク前(GIRearly50%)及びピーク後(GIRlate50%)に、TGIR50%early及びTGIR50%lateの時に生じる。GIR曲線下面積を、全研究期間GIRAUC0〜480(mg/kg)、及び研究開始と終了の間の時間セグメント、0〜30、0〜60、0〜120、0〜180、及び180〜480分について見積もる。時間0〜60分及び0〜480分における、平均濃度対時間プロファイルを示す図式表示を図2及び3にそれぞれ示す。図4及び5は、インスリン製剤BIOD123及び125についてHumalogと比較した、時間(分)の関数として平均GIR(mg/kg/分)を示すグラフである。
表7〜10及び図2〜5に示す通り、BIOD−125(EDTA二ナトリウム、CaClを含有し、マグネシウム化合物を含有しない)は、BIOD−123(EDTA二ナトリウム及びMgSOを含有する)よりも急速なin vivo吸収を示した。
注射部位の不快感に関する情報を以下の表に示す。表11は、注射部位の不快感の結果−安全性母集団(LS平均)及び注射部位不快感の重症度を示す。
表11. 注射部位の不快感の結果−安全性母集団(LS平均)及び注射部位不快感の重症度
注記:VAS 0=不快感無し、100=考え得る最悪;重症度 0=無し、1=軽度等;相対的な不快感 2=通常未満、3=通常に等しい等。
VAS結果(算術平均±SE);BIOD−123=3.6±2.;BIOD−125=6.8±2.9;Humalog=1.8±1.1
表12は、通常の食事時インスリン注射に関連した注射部位の不快感を示す。
表12.通常の食事時インスリン注射に対する注射部位の不快感
不快感のタイプ、発現時間、及び持続時間に関する情報を表13に示す。
表13.
これまでに示した通り、マグネシウム化合物を含有する製剤(BIOD−123、MgSO)の方が、MgSOを含まない対応する化合物(BIOD−125)よりも、注射部位の不快感は有意に低減した。BIOD−123の不快感の持続時間は、BIOD−125よりも有意に短縮した(表13)。
(実施例4)
注射部位の疼痛の低減及び超急速作用を実証する、BIOD−250及びBIOD−238を用いたヒト研究
2つの超速効型インスリン類似体ベースの製剤、BIOD−238及びBIOD−250に関する第1相臨床試験では、速効型インスリン類似体であるHUMALOG(登録商標)(インスリンリスプロ)と比較して、薬物動態及び注射部位の忍容プロファイルが評価された。BIOD−238及びBIOD−250は、Biodel社が独自に保有する添加剤を市販された製剤であるHUMALOG(登録商標)と組み合わせたものである。BIOD−250の組成を表1に示す。BIOD−238は、マグネシウムを有さず、またEDTA(0.225mg/ml)がより少ない点を除き、類似した組成を有する。
1型糖尿病の患者12例において単一施設、ランダム化、二重盲検、3期交差試験を、オーストラリアで実施した。各治験薬を皮下に日を変えて投与した。薬物動態測定を、治験薬及びHUMALOG(登録商標)中の有効成分を定量化するアッセイ法を用いて行った。臨床試験では、最大インスリン濃度の半分に達する時間の差異を測定する検出力が付与された。この研究で試験された仮説は、HUMALOG(登録商標)からなるBiodel社の製剤は、HUMALOG(登録商標)と比較して、同程度のピーク濃度からの減衰及び同程度の注射部位忍容性プロファイルを有しつつ、超急速吸収プロファイルを有するということであった。2つのアプローチ、すなわちEDTA二ナトリウム濃度の低減(BIOD−238)、及び硫酸マグネシウムの添加(BIOD−250)が、注射部位の不快感を緩和するために採用されたが、これらはそれぞれ過去の研究で忍容を改善することが認められた。
BIOD−238及びBIOD−250の薬物動態プロファイルは、類似体ベースの超速効型インスリンの目標とする製品プロファイルと整合することが証明された。BIOD−238及びBIOD−250の吸収速度は、HUMALOG(登録商標)のそれよりも有意に急速であったが、これは最大インスリン濃度の半分の濃度に達する平均時間(HUMALOG(登録商標)に対して、BIOD−238の場合p<0.001及びBIOD−250の場合p=0.001)、及び最大インスリン濃度に達する時間(HUMALOG(登録商標)に対してBIOD−238の場合p=0.013、及びBIOD−250の場合p=0.025)が35〜45%減少したことにより示唆される。さらに、BIOD−238及びBIOD−250の注射後の最初の30分間に吸収される総インスリン量は、HUMALOG(登録商標)について認められた量のおよそ二倍であった(HUMALOG(登録商標)に対して、BIOD−238の場合p<0.001、及びBIOD−250の場合p=0.002)。ピーク到達後の最大濃度の半分の濃度に至る時間により示されるように、ピーク濃度からの減衰は、HUMALOG(登録商標)と比較してBIOD−238及びBIOD−250いずれについても有意に短縮した(HUMALOG(登録商標)に対してBIOD−238の場合p=0.009、及びBIOD−250の場合p=0.016)。
局所的な注射部位の不快感は、100mm視覚的アナログ尺度(VAS)及び患者質問票を用いて測定した。不快感が考え得る最悪の場合、これを100mmと規定し、また不快感を有さない場合、これを0mmと規定する。当該試験では、HUMALOG(登録商標)と比較してVASスコアは数値的にはより低かったが、BIOD−250の場合顕著に異なってはいなかった(BIOD−250及びHUMALOG(登録商標)の平均VASスコアは、それぞれ2.7mm及び8.2mm;p=NS)。BIOD−238のVASスコアは、HUMALOG(登録商標)と関連した同スコアよりも有意に高かった(平均VASスコアは24.2mm、HUMALOG(登録商標)に対してp=0.029)。BIOD−238、BIOD−250、及びHUMALOG(登録商標)の薬物動態プロファイル並びにこれらの注射部位の忍容プロファイルを、表14及び15にそれぞれ示す。
表14: BIOD−238、BIOD−250、及びHUMALOG(登録商標)の薬物動態プロファイル
表15: BIOD−238、BIOD−250、及びHUMALOG(登録商標)の注射部位の忍容プロファイル
・データは、平均値±SEMを表す;メジアン値を括弧内に示す。
・100mm視覚的アナログ尺度(VAS):0=不快感無し、100=考え得る最悪の不快感
・絶対重症度スケール:0=無し、1=軽度、2=中等度、3=重度
・相対重症度(通常の食事時インスリン注射と比較):1=かなり低い、2=低い、3=同等、4=高い、5=非常に高い;*HUMALOG(登録商標)に対してp<0.05
結論として、この研究では、インスリンリスプロのEDTA及びクエン酸塩製剤(BIOD−238及びBIOD−250の両方)は、HUMALOG(登録商標)と比較して、これよりも吸収速度は速く、またピーク濃度から速く減退することが実証される。さらに、BIOD−250中に硫酸マグネシウムが存在することにより、BIOD−238の超急速薬物動態プロファイルは変化することなく、局所的注射部位の不快感は有意に緩和される。
(実施例5)
糖尿病のミニブタにおける、市販のU−500製剤と比較した時の速効型濃縮インスリン製剤のPK及びPD
本研究の狙いは、食事の際に用いるように設計された新規U−400濃縮インスリン製剤について、その薬物動態(PK)及び薬力学(PD)特性を評価することであった。
方法及び材料
製剤BIOD−530の組成は次の通りであった:3.6mg/mlのEDTA、1.8mg/mlのクエン酸三ナトリウム、2mg/mlのm−クレゾール、16mg/mlのグリセリン、12.12mg/mlのインスリン(400U/mL)。
糖尿病のミニブタ最大10匹に、連日投与されるインスリンの代わりに0.25U/kgのLilly U−500R又はBIOD−530を午前中に注射した。動物にはブタ飼料500gを投薬直後に与え、そして血漿サンプルを、投薬後−30、−20、−10、0、5、10、15、20、30、45、60、75、90、120、150、180、240、300、360、420、及び480分に、Becton Dickinson KEDTAバキュテーナーを用いて収集した。凍結血漿をインスリン含有量についてアッセイし(isoinsulinキット、Mercodia、米国)、またグルコース濃度について分析した(YSI3200 analyzer、YSI Life sciences、米国)。
結果:
薬物動態プロファイルを図6に図式的に示し、また計算したPKパラメータを表17に示す。
表17: 計算したPKパラメータ:
薬力学を、時間に対するベースラインを差し引いた平均グルコース値として図6に図式的に示す。
結論
データは、濃縮インスリン製剤は、Lilly U−500市販製剤と比較して急速作用プロファイルを有することを示す。BIOD−530製剤の急速性は、食事の際に利用するのに十分と考えられる。
(実施例6)
糖尿病のミニブタにおける、HUMALOG(登録商標)(U−100)とBIOD−530及びBIOD−531との比較。
本研究の狙いは、食事の際に用いる速効型U−100類似体インスリンであるHUMALOG(登録商標)と比較して、マグネシウムを含むU−400濃縮インスリン製剤(BIOD−531)(表1)及びマグネシウムを含まない製剤(BIOD−530)(実施例4を参照)の薬物動態(PK)及び薬力学(PD)特性を評価することであった。
方法及び材料
製剤BIOD−530の組成は次の通りであった:3.6mg/mlのEDTA、1.8mg/mlのクエン酸三ナトリウム、2mg/mlのm−クレゾール、16mg/mlのグリセリン、12.12mg/mlのインスリン(400U/mL)。BIOD−531は、BIOD−530と同一の組成物であったが、注射部位の忍容性の改善を意図して4mmのMgSOが添加された。
交差研究デザインを用いて、糖尿病のミニブタ9匹に、連日投与されるインスリンの代わりに、0.25U/kgのBIOD−530、BIOD−531、又はHUMALOG(登録商標)を午前中に注射した。動物にはブタ飼料500gを投薬直後に与え、そして血漿サンプルを、投薬後−30、−20、−10、0、5、10、15、20、30、45、60、75、90、120、150、180、240、300、360、420、及び480分に、Becton Dickinson KEDTAバキュテーナーを用いて収集した。凍結血漿をインスリン含有量についてアッセイし(iso insulinキット、Mercodia)、またグルコース濃度について分析した(YSI3200 analyzer、YSI Life sciences、米国)。
結果:
時間に対するベースラインを差し引いた平均インスリン濃度及びグルコース濃度を図7に示す。薬物動態パラメータを表18に示す。最大濃度に達する時間Tmaxは製剤全体を通じて類似したが、一方最大濃度の半分の濃度に達する時間(1/2Tmax)は、BIOD製剤で早まる傾向が認められた。
表18: BIOD−530、BIOD−531、及びHUMLOG(登録商標)の薬物動態プロファイル
結論:製剤にマグネシウムを添加しても、BIOD−530の薬物動態又は薬力学プロファイルは変化しなかった。さらに、濃縮製剤であるBIOD−530及び531のいずれも、少なくともHUMALOG(登録商標)と同等に急速吸収性であり、またその作用発現はHUMALOG(登録商標)より若干速かった。総作用持続時間については、U−400製剤の方がHUMALOG(登録商標)よりも長かった。
(実施例7)
糖尿病のミニブタにおけるEDTA二ナトリウムの低減と急速吸収性の喪失。
この研究の目的は、超急速吸収薬物動態プロファイルを維持するのに有効である最低EDTA濃度を見つけることであった。BIOD−530よりもEDTA濃度が連続的に低減した2つの製剤を作製した。
BIOD−532は、2.7mg/mlのEDTA二ナトリウムを有し、またBIOD−533は、1.8mg/mlのEDTA二ナトリウムを有していた。その他の構成成分は、BIOD−530の組成と同一のままであった(実施例4を参照)。
交差研究デザインを用いて、糖尿病のミニブタ9匹に、連日投与されるインスリンの代わりに、0.25U/kgのBIOD−530、BIOD−532、又はBIOD−533を午前中に注射した。動物にはブタ飼料500gを投薬直後に与え、そして血漿サンプルを、投薬後−30、−20、−10、0、5、10、15、20、30、45、60、75、90、120、150、180、240、300、360、420、及び480分に、Becton Dickinson KEDTAバキュテーナーを用いて収集した。凍結血漿をインスリン含有量についてアッセイし(iso insulinキット、Mercodia)、またグルコース濃度について分析した(YSI3200 analyzer、YSI Life sciences、米国)。
結果:濃度対時間プロファイルを図8に示し、また薬物動態パラメータを表19に示す。AUC及びCmaxは、製剤全体を通じて一定だったが、EDTA添加量が少なくなるに従い、吸収の早期発現は認められなくなった。
表19: BIOD−530、BIOD−532、及びBIOD−533の薬物動態プロファイル
結論:インスリン吸収の急速発現を維持するためには、2.7mg/mLを上回るEDTA二ナトリウムを使用しなければならない。
(実施例8)
改善した食事時超急速吸収を実現し、また基礎吸収がインスリンリスプロプロタミンミックスに類似した新規の濃縮組換えヒトインスリン製剤
背景及び狙い:U−100組換えヒトインスリン(RHI)の製剤並びにEDTA及びクエン酸塩を含有するインスリンリスプロ(IL)の製剤では、RHI及びILの市販製剤と比較して、ヒトに皮下(sc)注射した後の吸収速度に向上が認められる。BIOD−530及びBIOD−531は、RHI濃度が400U/mlの類似したEDTA/クエン酸塩製剤である。糖尿病のブタにおける過去の研究では、BIOD−530は、有意により迅速な発現、並びにより大きな注射容積を必要とする2型糖尿病患者における食事時の適用範囲(prandial coverage)及び基礎的な適用範囲(basal coverage)の両方を提供するRHI U−500と類似した作用持続期間を有した。BIOD−531は、EDTAに関連する注射部位の不快感を緩和するようにMgSOを用いて開発された。この研究の狙いは、糖尿病のミニブタにおいて、BIOD−531の薬物動態(PK)及び薬力学(PD)プロファイルを、糖尿病患者において食事時の適用範囲及び基礎的な適用範囲のいずれも提供する、IL−プロタミン(ILP)とILの50/50(ILP/IL 50/50)及び75/25(ILP/IL 75/25)の各混合物からなるU−100製剤と比較することであった。
材料及び方法:ILP/IL 75/25、ILP/IL 50/50及びBIOD−531から構成される試験製剤。各交差研究が行われる午前中に、試験製剤を糖尿病のミニブタにscにて(0.25U/kg)食前投薬した。研究1及び研究2では、BIOD−531をILP/IL 75/25及びILP/IL 50/50とそれぞれ比較した。血中グルコース及び血漿インスリンを、投薬後−30〜480分にサンプリングした。血漿インスリン測定をELISA法により、及びグルコース濃度測定をYSIにより行った。最大半量濃度に達するまでの時間(T50%early)をブタ毎に計算し、試験項目毎に平均した。各研究の結果について、Students t−検定を用いて、BIOD−531とILP/IL 75/25又は50/50混合物と比較した。
結果:濃度対時間プロファイルを図9に示す;BIOD−530及びILに対応するデータを参考として含める。インスリン濃度は、BIOD−531注射後、ILP/ILのいずれの混合物と比較しても、より高いピークまで上昇した。より高いピークまで上昇したにもかかわらず、BIOD−531のT50%early(分)及びAUC0〜30分(μU/ml分)として表される吸収速度(それぞれ、研究1:25±5及び1582±397;研究2:11±2及び1475±134)は、ILP/IL 75/25(それぞれ、35±6及び351±82)又はILP/IL 50/50(それぞれ、23±3及び777±128)より速く、またグルコース濃度のより急速な減衰を引き起こした(BIOD−531に対してp<0.05)。総AUC180〜480分の百分率として表される作用の持続時間は、製剤全体を通じて類似した:BIOD−531(32〜43%)、ILP/IL 75/25(45%)、及びILP/IL 50/50(35%)。IL投与後約240分付近で、インスリン及びグルコース濃度はベースラインレベルに向かって戻ったものの、3製剤すべてのグルコース濃度は、最長480分まで抑制された状態に留まった。
結論:BIOD−531では、ILに匹敵する急速な作用発現及びILP/IL事前混合型インスリンに類似した基礎的制御プロファイルが認められる。BIOD−531は、食事時の適用範囲について改善をもたらし、また注射容積が小さい事前混合型インスリンに匹敵する基礎的適用範囲をもたらす可能性を有する。

Claims (23)

  1. 注射用インスリン製剤であって、有効量の溶解/安定化剤、及び有効量のキレート剤、及び前記インスリン内の亜鉛をキレート化するための1つ又は複数のマグネシウム化合物を含み、注射部位の不快感が、EDTAナトリウムを有するが前記1つ又は複数のマグネシウム化合物が存在しない製剤よりも少ない、注射用インスリン製剤。
  2. 前記インスリンが、ヒト組換えインスリンである、請求項1に記載の製剤。
  3. 前記インスリンが、インスリン類似体である、請求項1に記載の製剤。
  4. 前記インスリンの濃度が、100、200、400、又は500U/mLである、請求項1に記載の製剤。
  5. 前記1つ又は複数のマグネシウム化合物が、無機マグネシウム塩、有機マグネシウム塩、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1又は2に記載の製剤。
  6. 前記無機マグネシウム塩が、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、硫酸マグネシウム(Mg(SO)、ハロゲン化マグネシウム、例えば、塩化マグネシウム(MgCl)、臭化マグネシウム(MgBr)、及びヨウ化マグネシウム(MgI);ピロリン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム七水和物、酸化マグネシウム(MgO)、並びにこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項4に記載の製剤。
  7. 前記有機マグネシウム塩が、EDTAマグネシウム、乳酸マグネシウム、アミノ酸キレート、例えばアスパラギン酸マグネシウム;酢酸マグネシウム、炭酸マグネシウム(Mg(CO)、クエン酸マグネシウム、及びグルコン酸マグネシウムからなる群より選択される、請求項4に記載の製剤。
  8. 前記1つ又は複数のマグネシウム化合物が、Mg(OH)、MgSO、EDTAマグネシウム、又はこれらの組み合わせである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製剤。
  9. 前記1つ又は複数のマグネシウム化合物の濃度が、約0.1〜約10mg/ml、好ましくは約0.1〜約5mg/ml、より好ましくは約0.1〜約2mg/ml、最も好ましくは約0.2〜約2mg/mlである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の製剤。
  10. 約0.2〜0.3mg/mlのMg(OH)、約1.7〜2.0のEDTAマグネシウム、約0.4〜0.5の硫酸マグネシウム、又はこれらの組み合わせを含有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の製剤。
  11. 前記溶解/安定化剤が、酢酸、アスコルビン酸、クエン酸、グルタミン酸、コハク酸、アスパラギン酸、マイレン酸、フマル酸、アジピン酸、及びこれらの塩からなる群より選択される、請求項1に記載の製剤。
  12. 前記溶解/安定化剤が、クエン酸イオンを形成し、及びpHが約7である、請求項1に記載の製剤。
  13. 前記溶解/安定化剤が、クエン酸又はクエン酸ナトリウムである、請求項11に記載の製剤。
  14. 前記溶解/安定化剤が、2.0×10−4M〜4.5×10−3Mの範囲のクエン酸又はクエン酸ナトリウムである、請求項11に記載の製剤。
  15. 前記溶解/安定化剤が、7×10−3M及び2×10−2Mの範囲のクエン酸又はクエン酸ナトリウムである、請求項1に記載の製剤。
  16. 前記溶解/安定化剤が、約9.37×10−3M又は約1.4×10−2Mのクエン酸又はクエン酸ナトリウムである、請求項1に記載の製剤。
  17. 塩化カルシウムをさらに含む、請求項1に記載の製剤。
  18. グリセリン及びm−クレゾールをさらに含む、請求項1に記載の製剤。
  19. 前記キレート剤が、EDTAナトリウムである、請求項1〜18のいずれか一項に記載の製剤。
  20. 100U/mlのヒト組換えインスリン、約1.5mg/mlの無水クエン酸、約1.5mg/mlのEDTAナトリウム、約18mg/mlのグリセリン、約0.481mg/mlのMgSO、及び約3.0mg/mlのm−クレゾールを含む、pHが約7.0のインスリン製剤。
  21. 400U/mLのヒト組換えインスリン、3.6mg/mlのEDTA、1.8mg/mlのクエン酸三ナトリウム、2mg/mlのm−クレゾール、16mg/mlのグリセリン、12.12mg/mlのインスリン(400U/mL)、及び0.481mg/mlのMgSOを含むインスリン製剤。
  22. 糖尿病を有する個体を処置する方法であって、有効量の請求項1〜21のいずれか一項に記載の製剤を、前記個体に注射するステップを含む、方法。
  23. 糖尿病を有する個体の注射部位の疼痛を軽減する方法であって、有効量の請求項1に記載の製剤を、前記個体に注射するステップを含む、方法。
JP2018194834A 2012-04-16 2018-10-16 インスリンおよびインスリン類似体の薬物動態及び薬力学、ならびに注射部位の疼痛を調節するためのマグネシウム組成物 Pending JP2019023223A (ja)

Applications Claiming Priority (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201261624844P 2012-04-16 2012-04-16
US61/624,844 2012-04-16
US201261704066P 2012-09-21 2012-09-21
US61/704,066 2012-09-21
US13/826,806 US9381247B2 (en) 2012-04-16 2013-03-14 Magnesium compositions for modulating the pharmacokinetics and pharmacodynamics of insulin and insulin analogs, and injection site pain
US13/826,806 2013-03-14

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015505989A Division JP6422855B2 (ja) 2012-04-16 2013-04-16 インスリンおよびインスリン類似体の薬物動態及び薬力学、ならびに注射部位の疼痛を調節するためのマグネシウム組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2019023223A true JP2019023223A (ja) 2019-02-14

Family

ID=48326401

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015505989A Active JP6422855B2 (ja) 2012-04-16 2013-04-16 インスリンおよびインスリン類似体の薬物動態及び薬力学、ならびに注射部位の疼痛を調節するためのマグネシウム組成物
JP2018194834A Pending JP2019023223A (ja) 2012-04-16 2018-10-16 インスリンおよびインスリン類似体の薬物動態及び薬力学、ならびに注射部位の疼痛を調節するためのマグネシウム組成物

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015505989A Active JP6422855B2 (ja) 2012-04-16 2013-04-16 インスリンおよびインスリン類似体の薬物動態及び薬力学、ならびに注射部位の疼痛を調節するためのマグネシウム組成物

Country Status (25)

Country Link
US (1) US9381247B2 (ja)
EP (2) EP2838506B1 (ja)
JP (2) JP6422855B2 (ja)
KR (1) KR101966484B1 (ja)
CN (1) CN104394847A (ja)
AU (1) AU2013249495B2 (ja)
CA (1) CA2869883A1 (ja)
CY (1) CY1123825T1 (ja)
DK (1) DK2838506T3 (ja)
ES (1) ES2854874T3 (ja)
HK (2) HK1203371A1 (ja)
HR (1) HRP20210417T1 (ja)
HU (1) HUE053303T2 (ja)
IL (1) IL234987A0 (ja)
IN (1) IN2014DN08417A (ja)
LT (1) LT2838506T (ja)
MX (1) MX2014012245A (ja)
PL (1) PL2838506T3 (ja)
PT (1) PT2838506T (ja)
RS (1) RS61533B1 (ja)
RU (1) RU2014145846A (ja)
SG (1) SG11201406491PA (ja)
SI (1) SI2838506T1 (ja)
WO (1) WO2013158618A1 (ja)
ZA (1) ZA201407410B (ja)

Families Citing this family (30)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104902922B (zh) 2012-11-13 2017-12-12 阿道恰公司 包含经取代阴离子化合物的速效胰岛素制剂
CA2936563A1 (en) * 2014-01-13 2015-07-16 Thermalin Diabetes, Llc Rapid action insulin formulations and pharmaceutical delivery systems
WO2015120457A1 (en) * 2014-02-10 2015-08-13 Biodel Inc. Stabilized ultra-rapid-acting insulin formulations
TWI685348B (zh) * 2014-05-08 2020-02-21 美國禮來大藥廠 速效胰島素組合物
WO2016007935A2 (en) 2014-07-10 2016-01-14 Companion Medical, Inc. Medicine administering system including injection pen and companion device
AR102869A1 (es) 2014-12-16 2017-03-29 Lilly Co Eli Composiciones de insulina de rápida acción
AU2016209405A1 (en) * 2015-01-20 2017-08-24 Case Western Reserve University Insulin analogues with selective signaling properties and reduced mitogenicity
JO3749B1 (ar) * 2015-08-27 2021-01-31 Lilly Co Eli تركيبات إنسولين سريعة المفعول
WO2017132577A1 (en) 2016-01-29 2017-08-03 Companion Medical, Inc. Automatic medication delivery tracking
GB201607918D0 (en) 2016-05-06 2016-06-22 Arecor Ltd Novel formulations
GB201707189D0 (en) * 2017-05-05 2017-06-21 Arecor Ltd Novel formulations
JOP20190277B1 (ar) 2017-06-01 2023-09-17 Lilly Co Eli تركيبات إنسولين سريعة المفعول
EP3635591A4 (en) 2017-06-09 2021-03-24 Companion Medical, Inc. SMART DRUG DELIVERY SYSTEMS AND PROCESSES
EP3694583A4 (en) * 2017-10-12 2021-08-04 Companion Medical, Inc. INTELLIGENT DRUG DELIVERY SYSTEMS AND METHODS FOR DOSAGE RECOMMENDATION AND ADMINISTRATION
US11116899B2 (en) 2017-12-12 2021-09-14 Bigfoot Biomedical, Inc. User interface for diabetes management systems and devices
US11464459B2 (en) 2017-12-12 2022-10-11 Bigfoot Biomedical, Inc. User interface for diabetes management systems including flash glucose monitor
US11090439B2 (en) 2017-12-12 2021-08-17 Bigfoot Biomedical, Inc. Therapy management systems, methods, and devices
US11077243B2 (en) 2017-12-12 2021-08-03 Bigfoot Biomedical, Inc. Devices, systems, and methods for estimating active medication from injections
US11083852B2 (en) 2017-12-12 2021-08-10 Bigfoot Biomedical, Inc. Insulin injection assistance systems, methods, and devices
US10987464B2 (en) 2017-12-12 2021-04-27 Bigfoot Biomedical, Inc. Pen cap for insulin injection pens and associated methods and systems
US10898653B2 (en) 2018-05-08 2021-01-26 Companion Medical, Inc. Intelligent medication delivery systems and methods for dose setting and dispensing monitoring
US11664107B2 (en) 2018-05-08 2023-05-30 Medtronic Minimed, Inc. Intelligent medication delivery systems and methods using a prescription-regulated software application
USD893020S1 (en) 2018-05-11 2020-08-11 Companion Medical, Inc. Injection pen
US11587663B2 (en) 2018-06-20 2023-02-21 Medtronic Minimed, Inc. Intelligent medication delivery systems and methods for medicine dose calculation and reporting
USD892819S1 (en) 2018-06-20 2020-08-11 Companion Medical, Inc. Display screen with graphical user interface
FR3083984A1 (fr) 2018-07-23 2020-01-24 Adocia Dispositif pour injecter une solution d'insuline(s)
WO2019243627A1 (fr) 2018-06-23 2019-12-26 Adocia Dispositif pour injecter une solution d'insuline(s)
FR3083985A1 (fr) 2018-07-23 2020-01-24 Adocia Dispositif pour injecter une solution d'insuline(s)
US11948671B2 (en) 2019-04-11 2024-04-02 Medtronic Minimed, Inc. Intelligent accessories for medicine dispensing device
US11701473B2 (en) 2021-06-23 2023-07-18 Medtronic Minimed, Inc. Reusable injection pens

Family Cites Families (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4196196A (en) 1978-06-19 1980-04-01 Tiholiz Ivan C Divalen/monovalent bipolar cation therapy for enhancement of tissue perfusion and reperfusion in disease states
PH23446A (en) * 1986-10-20 1989-08-07 Novo Industri As Peptide preparations
DK503386D0 (da) * 1986-10-20 1986-10-20 Novo Industri As Peptidpraeparater
JP2000517188A (ja) 1996-08-30 2000-12-26 ライフ テクノロジーズ,インコーポレイテッド 無血清哺乳動物細胞培養培地およびその使用
DE69924232D1 (de) * 1998-01-09 2005-04-21 Novo Nordisk As Stabilisierte insulin-zubereitungen
US20080096800A1 (en) 2004-03-12 2008-04-24 Biodel, Inc. Rapid mucosal gel or film insulin compositions
ES2398318T3 (es) 2004-03-12 2013-03-15 Biodel, Inc. Composiciones de suministro de fármacos de acción rápida
US20080090753A1 (en) * 2004-03-12 2008-04-17 Biodel, Inc. Rapid Acting Injectable Insulin Compositions
US20080085298A1 (en) 2004-03-12 2008-04-10 Biodel, Inc. Rapid Mucosal Gel or Film Insulin Compositions
EP2124539A2 (en) 2007-02-17 2009-12-02 President and Fellows of Harvard College Compositions and method for tissue preservation
TWI394580B (zh) 2008-04-28 2013-05-01 Halozyme Inc 超快起作用胰島素組成物
US9060927B2 (en) * 2009-03-03 2015-06-23 Biodel Inc. Insulin formulations for rapid uptake
FR2943538B1 (fr) * 2009-03-27 2011-05-20 Adocia Formulation a action rapide d'insuline recombinante humaine
CA2805031A1 (en) 2010-07-07 2012-01-12 Biodel, Inc. Compositions and methods for modulating the pharmacokinetics and pharmacodynamics of insulin

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015512952A (ja) 2015-04-30
EP3827813A1 (en) 2021-06-02
CY1123825T1 (el) 2022-05-27
HRP20210417T1 (hr) 2021-04-30
EP2838506B1 (en) 2021-01-06
IL234987A0 (en) 2014-12-31
IN2014DN08417A (ja) 2015-05-08
US20140113856A1 (en) 2014-04-24
CA2869883A1 (en) 2013-10-24
DK2838506T3 (da) 2021-01-18
HK1207577A1 (en) 2016-02-05
SG11201406491PA (en) 2014-11-27
ES2854874T3 (es) 2021-09-23
US9381247B2 (en) 2016-07-05
RU2014145846A (ru) 2016-06-10
ZA201407410B (en) 2015-06-24
HUE053303T2 (hu) 2021-06-28
KR20140146209A (ko) 2014-12-24
WO2013158618A1 (en) 2013-10-24
PL2838506T3 (pl) 2021-06-28
HK1203371A1 (en) 2015-10-30
MX2014012245A (es) 2015-06-05
SI2838506T1 (sl) 2021-02-26
LT2838506T (lt) 2021-03-25
KR101966484B1 (ko) 2019-04-05
JP6422855B2 (ja) 2018-11-14
RS61533B1 (sr) 2021-04-29
EP2838506A1 (en) 2015-02-25
CN104394847A (zh) 2015-03-04
PT2838506T (pt) 2021-02-23
AU2013249495B2 (en) 2016-05-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6422855B2 (ja) インスリンおよびインスリン類似体の薬物動態及び薬力学、ならびに注射部位の疼痛を調節するためのマグネシウム組成物
AU2013249495A1 (en) Magnesium compositions for modulating the pharmacokinetics and pharmacodynamics of insulin and insulin analogs, and injection site pain
US20150273022A1 (en) Stabilized ultra-rapid-acting insulin formulations
US20120178675A1 (en) Compositions And Methods For Modulating The Pharmacokinetics and Pharmacodynamics of Insulin
CA2754251C (en) Insulin formulations for rapid uptake
US8933023B2 (en) Rapid acting injectable insulin compositions
US8637458B2 (en) Insulin with a stable basal release profile
US9399065B2 (en) Magnesium compositions for modulating the pharmacokinetics and injection site pain of insulin

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181114

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181114

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191001

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20191226

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200326

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20200804