JP2019022476A - グルコースデヒドロゲナーゼを用いた持続血糖測定 - Google Patents
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Abstract
Description
非特許文献3はMucor prainii由来のFAD-GDHを開示している。当該文献には、GOD(E.C. 1.1.3.4)がその高い熱安定性と高いグルコース選択性のため、アンペロメトリー用グルコースセンサーとして広く使用されてきたことが記載されている。
特許文献4はMucor hiemalis (MhGDH) 由来のGDHを開示している。この文献には、MhGDHのSMBG用センサーへの応用が開示されている。
特許文献8及び特許文献9は、それぞれ、M. prainii由来のGDHを開示している。
非特許文献4は、セロビオースデヒドロゲナーゼを用いた酵素センサーについて、脱糖鎖により応答電流が上がる、すなわちセンサー感度が上がることを記載している。しかしながら一般的に、糖鎖修飾された酵素について脱糖鎖を行うと、安定性が低下することが知られていた(非特許文献5)。
[1] (a) pH 7.4にて40℃で1週間にわたり加温した場合に、初期活性100%のうち、35%以上のデヒドロゲナーゼ活性が保持される、又は
(b) pH 7.4にて40℃で2週間にわたり加温した場合に、初期活性100%のうち、22%以上のデヒドロゲナーゼ活性が保持される、
FAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(FAD-GDH)を用いる、グルコース測定方法。
[2] 前記FAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(FAD-GDH)が、配列番号3、4、14又は22と70%以上のアミノ酸配列同一性を有するFAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(FAD-GDH)からなる群より選択されるものである、1に記載の方法。
[3] 前記FAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(FAD-GDH)が、糖鎖富化されたものである、2に記載の方法。
[4] 前記FAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(FAD-GDH)が、脱糖鎖処理されたものであるか又は糖鎖付加部位の改変により付加糖鎖量が低減された変異体である、2に記載の方法。
[5] 前記糖鎖付加部位の改変が、
配列番号1の25位、101位、143位、156位、172位、198位、205位、214位、256位、247位、268位、353位、365位、379位、401位、402位、417位、430位、459位、496位、及び550位にそれぞれ対応する位置からなる群より選択される1以上の位置におけるアスパラギン以外のアミノ酸への置換であるか、
配列番号1の27位、103位、145位、158位、174位、200位、207位、216位、249位、258位、270位、355位、367位、381位、403位、404位、419位、432位、461位、498位、及び552位にそれぞれ対応する位置からなる群より選択される1以上の位置における、セリン及びトレオニン以外のアミノ酸への置換であるか、並びに/又は
配列番号1の26位、102位、144位、157位、173位、199位、206位、215位、257位、248位、269位、354位、366位、380位、402位、403位、418位、431位、460位、497位及び551位にそれぞれ対応する位置からなる群より選択される1以上の位置のアミノ酸のプロリンへの置換である、4に記載の方法。
[6] (a) pH 7.4にて40℃で1週間にわたり加温した場合に、初期活性100%のうち、35%以上のデヒドロゲナーゼ活性が保持される、又は
(b) pH 7.4にて40℃で2週間にわたり加温した場合に、初期活性100%のうち、22%以上のデヒドロゲナーゼ活性が保持される、
FAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(FAD-GDH)を含むグルコースセンサーを備えてなる、連続グルコースモニタリングデバイス。
[7] 前記FAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(FAD-GDH)が、配列番号3、4、14又は22と70%以上のアミノ酸配列同一性を有するFAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(FAD-GDH)からなる群より選択されるものである、6に記載のデバイス。
[8] 前記FAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(FAD-GDH)が、糖鎖富化されたものである、7に記載のデバイス。
[9] 前記FAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(FAD-GDH)が、脱糖鎖処理されたものであるか又は糖鎖付加部位の改変により付加糖鎖量が低減された変異体である、7に記載のデバイス。
[10] 配列番号1、3、4、5、6、7、8、9、12、14又は22と70%以上のアミノ酸配列同一性を有するFAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼであって、
配列番号1の25位、101位、143位、156位、172位、198位、205位、214位、256位、247位、268位、353位、365位、379位、401位、402位、417位、430位、459位、496位、及び550位にそれぞれ対応する位置からなる群より選択される1以上の位置におけるアスパラギン以外のアミノ酸への置換であるか、
配列番号1の27位、103位、145位、158位、174位、200位、207位、216位、249位、258位、270位、355位、367位、381位、403位、404位、419位、432位、461位、498位、及び552位にそれぞれ対応する位置からなる群より選択される1以上の位置における、セリン及びトレオニン以外のアミノ酸への置換であるか、並びに/又は
配列番号1の26位、102位、144位、157位、173位、199位、206位、215位、257位、248位、269位、354位、366位、380位、402位、403位、418位、431位、460位、497位及び551位にそれぞれ対応する位置からなる群より選択される1以上の位置のアミノ酸のプロリンへの置換である、糖鎖付加部位の改変を有し、グルコースデヒドロゲナーゼ活性を有し、低減された糖鎖を有するグルコースデヒドロゲナーゼ変異体。
[11] a)配列番号1の103位に対応する位置のアミノ酸がセリン及びトレオニン以外のアミノ酸に置換されている、
b)配列番号1の247位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギン以外のアミノ酸に置換されている、
c)配列番号1の249位に対応する位置のアミノ酸がセリン及びトレオニン以外のアミノ酸に置換されている、及び/又は
d)配列番号1の365位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギン以外のアミノ酸に置換されている、
10に記載のグルコースデヒドロゲナーゼ変異体。
[12] A)配列番号1の103位に対応する位置のアミノ酸がグルタミンに置換されている、
B)配列番号1の247位に対応する位置のアミノ酸がセリンに置換されている、
C)配列番号1の249位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギンに置換されている、及び/又は
D)配列番号1の365位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギン酸に置換されている、
10又は11に記載のグルコースデヒドロゲナーゼ変異体。
[13]i) 配列番号1の247位に対応する位置のアミノ酸がセリンに置換されており、かつ配列番号1の249位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギンに置換されている、
ii) 配列番号1の103位に対応する位置のアミノ酸がグルタミンに置換されており、かつ配列番号1の365位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギン酸に置換されている、又は
iii) 配列番号1の103位に対応する位置のアミノ酸がグルタミンに置換されており、配列番号1の247位に対応する位置のアミノ酸がセリンに置換されており、配列番号1の249位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギンに置換されており、かつ配列番号1の365位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギン酸に置換されている、
10〜12のいずれかに記載のグルコースデヒドロゲナーゼ変異体。
FAD-GDHは、電子受容体存在下でグルコースの水酸基を酸化してグルコノ-δ-ラクトンを生成する反応を触媒する。
(反応1) D-グルコ−ス + PMS(酸化型)
→ D-グルコノ-δ-ラクトン + PMS(還元型)
(反応2) PMS(還元型) + DCIP(酸化型)
→ PMS(酸化型) + DCIP(還元型)
FAD-GDHは、配列番号3若しくは配列番号4若しくは配列番号14若しくは配列番号22で示されるアミノ酸配列、又は該アミノ酸配列と同一性の高い、例えば70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、例えば99%以上同一なアミノ酸配列、又は該アミノ酸配列において1もしくは数個(例えば15個、14個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個又は2個)のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列を有するものであり得る。
GODやFAD-GDHの長期安定性は、本明細書中に記載の活性測定方法及び長期安定性測定方法に記載した条件において評価される。長期安定性は、初期活性及び所定期間経過後の残存活性から決定する。初期活性と残存活性の比を計算するために、酵素活性は、初期状態及び加温後において同じ条件で測定する。試験の初期状態における活性を100%とし、例えば30-40℃の周囲温度で所定期間、例えば1日〜3週間にわたり酵素を加温し、その後の残存活性を測定する。ある実施形態において、保存試験の溶液のpHは6.9〜7.4、例えば7.0である。これは血液のpHが中性付近であるためである。pHはPBSのようなリン酸緩衝液などの慣用のバッファーにより調整しうるが、緩衝剤や緩衝液はこれに限らない。
(a) 30-40℃、例えば40℃で1週間にわたり加温した場合に、初期活性100%のうち、35%以上、36%以上、37%以上、38%以上、39%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、例えば65%以上、70%以上、75%以上、例えば80%以上、85%以上、86%以上、87%以上、89%以上、90%以上、例えば95%、96%以上、97%以上、98%以上、例えば99%以上のデヒドロゲナーゼ活性が保持される、
(b) 30-40℃、例えば40℃で2週間にわたり加温した場合に、初期活性100%のうち、22%以上、23%以上、24%以上、25%以上、26%以上、27%以上、28%以上、29%以上、30%以上、35%以上、40%以上、例えば45%以上、50%以上、55%以上、例えば60%以上、70%以上、75%以上、例えば80%以上、81%以上、82%以上、83%以上、84%以上、85%以上、86%以上、87%以上、89%以上、90%以上、例えば95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、例えば99%のデヒドロゲナーゼ活性が保持される、または
(c) 30-40℃、例えば40℃で3週間にわたり加温した場合に、初期活性100%のうち、19%以上、20%以上、21%以上、22%以上、23%以上、24%以上、25%以上、26%以上、27%以上、28%以上、29%以上、30%以上、例えば35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、例えば60%、70%以上、75%以上、例えば80%以上、85%以上、90%以上、例えば95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、例えば99%のデヒドロゲナーゼ活性が保持される、長期安定性(連続グルコースモニタリングに適した安定性)を有し得る。ある実施形態において、この性質は、必ずしも、酵素の熱安定性(例えば55℃15分の熱処理後の残存活性)と相関するわけではない。
ある実施形態において、FAD-GDHをコードする遺伝子は、例えば特許文献4又は特許文献6の開示に基づき取得することができる。これとアミノ酸配列同一性の高いFAD-GDHを取得するには、遺伝子工学的手法を利用することができる。FAD-GDHをコードする遺伝子(以下、FAD-GDH遺伝子)を取得するには、通常一般的に用いられている遺伝子のクローニング方法を用いればよい。FAD-GDHを取得するには、FAD-GDH生産能を有する公知の微生物菌体や種々の細胞から、常法、例えば、Current Protocols in Molecular Biology (WILEY Interscience,1989)記載の方法により、染色体DNA又はmRNAを抽出することができる。さらにmRNAを鋳型としてcDNAを合成することができる。このようにして得られた染色体DNA又はcDNAを用いて、染色体DNA又はcDNAのライブラリーを作製することができる。
出発物質であるFAD-GDH遺伝子の変異処理は、企図する変異形態に応じた、公知の任意の方法で行うことができる。すなわち、FAD-GDH遺伝子あるいは当該遺伝子の組み込まれた組換え体DNAと変異原となる薬剤とを接触・作用させる方法;紫外線照射法;遺伝子工学的手法;又は蛋白質工学的手法を駆使する方法等を広く用いることができる。
上記変異処理に用いられる変異原となる薬剤としては、例えば、ヒドロキシルアミン、N-メチル-N’-ニトロ-N-ニトロソグアニジン、亜硝酸、亜硫酸、ヒドラジン、蟻酸、若しくは5-ブロモウラシル等を挙げることができる。
FAD-GDHは、他の公知のFAD-GDHより取得することもできる。公知のFAD-GDHの由来微生物の好適な例としては、ケカビ亜門、好ましくはケカビ綱、より好ましくはケカビ目、さらに好ましくはケカビ科に分類される微生物を挙げることができる。具体的には、ムコール(Mucor)属、アブシジア(Absidia)属、アクチノムコール(Actinomucor)属、シルシネラ(Circinella)属由来のFAD-GDH等が挙げられる。
上述のように得られたFAD-GDH遺伝子を、常法により、バクテリオファージ、コスミド、又は原核細胞若しくは真核細胞の形質転換に用いられるプラスミド等のベクターに組み込み、各々のベクターに対応する宿主細胞を常法により、形質転換又は形質導入をすることができる。
GDHはさらに、機能性GDH変異体を取得するためにハイスループットスクリーニングに供することができる。例えば変異導入したGDH遺伝子を有する形質転換又は形質導入株のライブラリーを作製し、これをマイクロタイタープレートに基づくハイスループットスクリーニングに供してもよく、又は液滴型マイクロ流体に基づく超ハイスループットスクリーニングに供してもよい。例としてはバリアントをコードする変異遺伝子のコンビナトリアルライブラリーを構築し、次いでファージディスプレイ(例えばChem. Rev. 105 (11): 4056-72, 2005)、イーストディスプレイ(例えばComb Chem High Throughput Screen. 2008;11(2): 127-34)、バクテリアルディスプレイ(例えばCurr Opin Struct Biol 17: 474-80, 2007)等を用いて、変異GDHの大きな集団をスクリーニングする方法が挙げられる。またAgresti et al, "Ultrahigh-throughput screening in drop-based microfluidics for directed evolution" Proceedings of the National Academy of Sciences 107 (9): 4004-4009 (Mar, 2010)を参照のこと。GDHバリアントのスクリーニングに使用しうる超ハイスループットスクリーニング手法についての同文献の記載を参照により本明細書に組み入れる。例えばエラープローンPCR法によりライブラリーを構築することができる。また飽和突然変異誘発を用いて、本明細書に記載の領域や位置又はそれらに対応する領域や位置を標的として変異導入しライブラリーを構築してもよい。ライブラリーを用いて電気コンピテントEBY-100細胞等の適当な細胞を形質転換し、約10の7乗の変異体を取得しうる。該ライブラリーで形質転換した酵母細胞を次いでセルソーティングに供しうる。標準ソフトリトグラフィー法を用いて作製したポリジメトキシルシロキサン(PDMS)マイクロ流体デバイスを用いてもよい。フローフォーカスデバイスを用いて単分散の液滴を形成することができる。個別の変異体を含有する形成された液滴を適当なソーティングデバイスに供しうる。細胞を選別する際にはGDH活性の有無を利用しうる。これには例えば上記のGDHが作用すれば発色する組成とした反応液を用いてもよい。例えばDCIPを用いる場合は、96ウェルプレート、192ウェルプレート、384ウェルプレート、9600ウェルプレート等及びプレートリーダーを用いて600nmの吸光度を測定してもよい。変異導入と選別は複数回反復してもよい。
FAD-GDH酵素は、上述のように取得したFAD-GDHを生産する宿主細胞を培養し、前記宿主細胞中に含まれるFAD-GDH遺伝子を発現させ、次いで、前記培養物からFAD-GDHを単離することにより製造すればよい。
本発明はまた、FAD-GDHを含むグルコースアッセイキットを提供する。FAD-GDHを用いて血中のグルコース(血糖値)を測定することができる。
本発明はまた、FAD-GDHを用いるグルコースセンサーを開示する。ある実施形態においてグルコースセンサーは、FAD-GDHを含む作用電極、参照電極及び対極を有する。作用電極としては、カーボン電極、金電極、白金電極などを用い、この電極上にFAD-GDHを固定化する。さらに、又はこれとは別に、作用電極上に電子メディエーターを固定化してもよい。対極は白金電極やPt/C等の慣用の電極でありうる。参照電極はAg/AgCl電極などの慣用の電極でありうる。固定化方法としては、架橋試薬を用いる方法、高分子マトリックス中に封入する方法、透析膜で被覆する方法、光架橋性ポリマー、導電性ポリマー、酸化還元ポリマーなどがあり、あるいはフェロセンあるいはその誘導体に代表される電子メディエーターとともにポリマー中に固定あるいは電極上に吸着固定してもよく、またこれらを組み合わせて用いてもよい。典型的には、グルタルアルデヒドを用いてFAD-GDHをカーボン電極上に固定化した後、アミン基を有する試薬で処理してグルタルアルデヒドをブロッキングする。本発明のFAD-GDH変異体は、保護膜により保護してグルコースセンサーに用いることができる。保護膜としては、センサーに使用されている酵素を保護するための既知の保護膜や一般的な保護膜を使用しうる。
[Os有機分子複合体]−[ポリマー]
錯体を形成する有機分子の1つは、場合により、リンカーを介してポリマーに結合されてもよい。したがって、別の実施形態では、オスミウム錯体は以下の通りであり得る:
[Os有機分子複合体]−[リンカー]−[ポリマー]
例示的な分子は、Oharaら、Anal Chem. 1993 Dec 1; 65(23):3512-7及びAntiochiaら、Materials Sciences and Applications Vol. 4 No.7 A2(2013)(両方とも参考として全内容を本明細書に組み入れる)にある。オスミウム錯体を含むポリマーの例には、ポリ(1-ビニルイミダゾール)で錯体化されたオスミウムビス(2,2'-ビピリジン)クロライド、ポリ(4-ビニルピリジン)錯体化オスミウムビス(2,2'-ビピリジン)クロライド、ポリ(1-ビニルイミダゾール)n−[オスミウム(4,4'-ジメチル-2,2'-ビピリジル)2Cl2]2+/+およびそれらの誘導体が挙げられる。
配列番号1の27位、103位、145位、158位、174位、200位、207位、216位、249位、258位、270位、355位、367位、381位、403位、404位、419位、432位、461位、498位、及び552位にそれぞれ対応する位置からなる群より選択される1以上の位置における、セリン及びトレオニン以外のアミノ酸への置換、並びに
配列番号1の26位、102位、144位、157位、173位、199位、206位、215位、257位、248位、269位、354位、366位、380位、402位、403位、418位、431位、460位、497位及び551位にそれぞれ対応する位置からなる群より選択される1以上の位置のアミノ酸のプロリンへの置換が挙げられる。本発明の糖鎖付加部位を改変された変異体は、このようなアミノ酸置換を1以上、例えば1〜63、1〜60、1〜50、1〜40、1〜34、2〜25、3〜20、例えば4〜14有し得る。
本発明の変異体は表2−2に記載の位置に変異を有する二重変異体であり得る。
本発明の変異体は表2−3に記載の位置に変異を有する三重変異体であり得る。
本発明の変異体は表2−4に記載の位置に変異を有する四重変異体であり得る。
本発明の変異体は、上記表に記載の変異を組み合わせた2重〜34重変異体であり得る。これらの変異体の各位置に関し、置換アミノ酸は表1に記載のものであり得る。
アミノ酸配列の同一性又は類似性は、GENETYX Ver.11(ゼネティックス社製)のマキシマムマッチングやサーチホモロジー等のプログラムまたはDNASIS Pro(日立ソリューションズ社製)のマキシマムマッチングやマルチプルアライメント等のプログラムにより計算することができる。アミノ酸配列同一性を計算するために、2以上のGDHをアライメントしたときに、該2以上のGDHにおいて同一であるアミノ酸の位置を調べることができる。こうした情報を基に、アミノ酸配列中の同一領域を決定できる。
特許文献6の開示を参考に、配列番号4のアミノ酸配列を有するMrdGDHをコードする塩基配列を全合成した(配列番号10)。また特許文献4の開示を参考に、配列番号3のアミノ酸配列を有するMhGDHをコードする塩基配列を全合成した(配列番号11)。
大まかに説明すると、まずMucor属由来GDH(MpGDH、配列番号1)にN66Y/N68G/C88A/Q233R/T387C/E554D/L557V/S559Kの各変異を導入した改変GDH(MpGDH-M1)をコードする遺伝子を取得した。MpGDH-M1のアミノ酸配列は配列番号12に示し、その遺伝子の塩基配列は配列番号13に示す。プラスミド酵母発現プラスミドpYES2/CTのマルチクローニングサイトに対象遺伝子であるMpGDH-M1遺伝子を常法により挿入させたDNAコンストラクトを作製した。pYES2/CTのマルチクローニングサイトにあるIn-Fusion Cloning Siteにて、MpGDH-M1遺伝子を、上記したIn-Fusion HD Cloning Kitを使用して、キットに添付されたプロトコールに従って連結して、コンストラクト用プラスミド(pYES2/CT-MpGDH-M1)を得た。
酵母形質転換体Sc-MrdGDHまたはSc-M2を、5mLの前培養用液体培地[0.67%(w/v)アミノ酸不含有イーストニトロゲンベース(BD)、0.192%(w/v)ウラシル不含有酵母合成ドロップアウト培地用添加物(sigma社製)、2.0%(w/v)ラフィノース]中で、30℃にて24時間培養した。その後、前培養液1mLを4mLの本培養用液体培地[0.67%(w/v)アミノ酸不含有イーストニトロゲンベース、0.192%(w/v)ウラシル不含有酵母合成ドロップアウト培地用添加物、2.5%(w/v)D-ガラクトース、0.75%(w/v)ラフィノース]に加えて、30℃で16時間培養する。この培養液を遠心分離(10,000×g、4℃、3分間)により菌体と培養上清に分離し、培養上清液を回収した。この培養上清液3mlをアミコンウルトラ 0.5mlにより50μlまで濃縮し、1×PBS溶液に置換した。これを試験サンプルとして用いた。
次に、製造したFAD-GDH、及び入手したGLD3をpH 7.4のPBS溶液(2ml)中で40℃にて、所定の期間加温した。次いで所定期間経過後の残存活性を測定した。
CGMに用いられているGODなどの、公知のGODのCGM安定性を試験した。試験方法は上記実施例と同じであり、ただしGDHの代わりに各種GODを用いた。
プラスミドpUC19のマルチクローニングサイトに対象遺伝子であるMpGDH-M2遺伝子を常法により挿入させたDNAコンストラクトを作製した。pUC19のマルチクローニングサイトにあるIn-Fusion Cloning Siteにて、MpGDH-M2遺伝子を、上記したIn-Fusion HD Cloning Kitを使用して、キットに添付されたプロトコールに従って連結して、コンストラクト用プラスミド(pUC19-MpGDH-M2)を得た。この遺伝子をコウジカビ(Aspergillus sojae; アスペルギルス・ソーヤ)で発現させ、そのGDH活性を評価した。
次に、MpGDHと93%のアミノ酸配列同一性を有する、配列番号22のMpGDH-M3を用いて、同様に保存安定性が良好か検証した(以下、単にM3ということがある)。MpGDH-M3のアミノ酸配列は配列番号22に示し、その遺伝子の塩基配列は配列番号23に示す。上記と同様にプラスミド酵母発現プラスミドpYES2/CTのマルチクローニングサイトに対象遺伝子であるMpGDH-M3遺伝子を常法により挿入させたDNAコンストラクトを作製した。次いで、酵母形質転換体を作製し、MpGDH-M3を含む培養上清液を回収した。上記と同様にPBSに置換した試験サンプルを作製し、40℃における保存安定性を評価した。その結果、試験前の100%に対し、1週間後ではEndoH-M2は、95%の酵素活性が残存した。なお、麹菌により発現させたMpGDH-M3を用いた保存安定性評価でも同様の結果が得られた。
配列番号1 Mucor prainii GDH(MpGDH) aa
配列番号2 MpGDH遺伝子 DNA
配列番号3 Mucor hiemalis GDH(MhGDH) aa
配列番号4 Mucor RD056860 GDH(MrdGDH) aa
配列番号5 Mucor subtilissimus GDH(MsGDH) aa
配列番号6 Mucor guilliermondii GDH(MgGDH) aa
配列番号7 Circinella simplex GDH(CsGDH) aa
配列番号8 Circinella属 GDH(CrGDH) aa
配列番号9 Mucor circinelloides GDH(McGDH) aa
配列番号10 MrdGDH遺伝子 DNA
配列番号11 MhGDH遺伝子 DNA
配列番号12 MpGDH-M1 aa (M1)
配列番号13 MpGDH-M1遺伝子DNA
配列番号14 MpGDH-M1/A175C/N214C/G466D aa (M2)
配列番号15 MpGDH-M2遺伝子DNA
配列番号16−21 プライマー
配列番号22 MpGDH-M3 aa
配列番号23 MpGDH-M3遺伝子DNA
配列番号24−29 プライマー
Claims (13)
- (a) pH 7.4にて40℃で1週間にわたり加温した場合に、初期活性100%のうち、35%以上のデヒドロゲナーゼ活性が保持される、又は
(b) pH 7.4にて40℃で2週間にわたり加温した場合に、初期活性100%のうち、22%以上のデヒドロゲナーゼ活性が保持される、
FAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(FAD-GDH)を用いる、グルコース測定方法。 - 前記FAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(FAD-GDH)が、配列番号3、4、14又は22と70%以上のアミノ酸配列同一性を有するFAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(FAD-GDH)からなる群より選択されるものである、請求項1に記載の方法。
- 前記FAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(FAD-GDH)が、糖鎖富化されたものである、請求項2に記載の方法。
- 前記FAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(FAD-GDH)が、脱糖鎖処理されたものであるか又は糖鎖付加部位の改変により付加糖鎖量が低減された変異体である、請求項2に記載の方法。
- 前記糖鎖付加部位の改変が、
配列番号1の25位、101位、143位、156位、172位、198位、205位、214位、256位、247位、268位、353位、365位、379位、401位、402位、417位、430位、459位、496位、及び550位にそれぞれ対応する位置からなる群より選択される1以上の位置におけるアスパラギン以外のアミノ酸への置換であるか、
配列番号1の27位、103位、145位、158位、174位、200位、207位、216位、249位、258位、270位、355位、367位、381位、403位、404位、419位、432位、461位、498位、及び552位にそれぞれ対応する位置からなる群より選択される1以上の位置における、セリン及びトレオニン以外のアミノ酸への置換であるか、並びに/又は
配列番号1の26位、102位、144位、157位、173位、199位、206位、215位、257位、248位、269位、354位、366位、380位、402位、403位、418位、431位、460位、497位及び551位にそれぞれ対応する位置からなる群より選択される1以上の位置のアミノ酸のプロリンへの置換である、請求項4に記載の方法。 - (a) pH 7.4にて40℃で1週間にわたり加温した場合に、初期活性100%のうち、35%以上のデヒドロゲナーゼ活性が保持される、又は
(b) pH 7.4にて40℃で2週間にわたり加温した場合に、初期活性100%のうち、22%以上のデヒドロゲナーゼ活性が保持される、
FAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(FAD-GDH)を含むグルコースセンサーを備えてなる、連続グルコースモニタリングデバイス。 - 前記FAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(FAD-GDH)が、配列番号3、4、14又は22と70%以上のアミノ酸配列同一性を有するFAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(FAD-GDH)からなる群より選択されるものである、請求項6に記載のデバイス。
- 前記FAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(FAD-GDH)が、糖鎖富化されたものである、請求項7に記載のデバイス。
- 前記FAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(FAD-GDH)が、脱糖鎖処理されたものであるか又は糖鎖付加部位の改変により付加糖鎖量が低減された変異体である、請求項7に記載のデバイス。
- 配列番号1、3、4、5、6、7、8、9、12、14又は22と70%以上のアミノ酸配列同一性を有するFAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼであって、
配列番号1の25位、101位、143位、156位、172位、198位、205位、214位、256位、247位、268位、353位、365位、379位、401位、402位、417位、430位、459位、496位、及び550位にそれぞれ対応する位置からなる群より選択される1以上の位置におけるアスパラギン以外のアミノ酸への置換であるか、
配列番号1の27位、103位、145位、158位、174位、200位、207位、216位、249位、258位、270位、355位、367位、381位、403位、404位、419位、432位、461位、498位、及び552位にそれぞれ対応する位置からなる群より選択される1以上の位置における、セリン及びトレオニン以外のアミノ酸への置換であるか、並びに/又は
配列番号1の26位、102位、144位、157位、173位、199位、206位、215位、257位、248位、269位、354位、366位、380位、402位、403位、418位、431位、460位、497位及び551位にそれぞれ対応する位置からなる群より選択される1以上の位置のアミノ酸のプロリンへの置換である、糖鎖付加部位の改変を有し、グルコースデヒドロゲナーゼ活性を有し、低減された糖鎖を有するグルコースデヒドロゲナーゼ変異体。 - a)配列番号1の103位に対応する位置のアミノ酸がセリン及びトレオニン以外のアミノ酸に置換されている、
b)配列番号1の247位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギン以外のアミノ酸に置換されている、
c)配列番号1の249位に対応する位置のアミノ酸がセリン及びトレオニン以外のアミノ酸に置換されている、及び/又は
d)配列番号1の365位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギン以外のアミノ酸に置換されている、
請求項10に記載のグルコースデヒドロゲナーゼ変異体。 - A)配列番号1の103位に対応する位置のアミノ酸がグルタミンに置換されている、
B)配列番号1の247位に対応する位置のアミノ酸がセリンに置換されている、
C)配列番号1の249位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギンに置換されている、及び/又は
D)配列番号1の365位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギン酸に置換されている、
請求項10又は11に記載のグルコースデヒドロゲナーゼ変異体。 - i) 配列番号1の247位に対応する位置のアミノ酸がセリンに置換されており、かつ配列番号1の249位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギンに置換されている、
ii) 配列番号1の103位に対応する位置のアミノ酸がグルタミンに置換されており、かつ配列番号1の365位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギン酸に置換されている、又は
iii) 配列番号1の103位に対応する位置のアミノ酸がグルタミンに置換されており、配列番号1の247位に対応する位置のアミノ酸がセリンに置換されており、配列番号1の249位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギンに置換されており、かつ配列番号1の365位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギン酸に置換されている、
請求項10〜12のいずれか1項に記載のグルコースデヒドロゲナーゼ変異体。
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