JP2019022435A - 発電ディバイス、磁気的硬質粘弾性材料の製造方法及び発電ディバイスの使用方法 - Google Patents

発電ディバイス、磁気的硬質粘弾性材料の製造方法及び発電ディバイスの使用方法 Download PDF

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朋枝 出口
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Hitoshi Yamamoto
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康司 井門
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悠宏 岩本
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Abstract

【課題】 粘弾性材料内に強磁性粒子が分散された粘弾性体を使用して、小型・軽量な発電ディバイスを得る。【解決手段】 着磁状態にある強磁性粒子が粘弾性材料内に分散された磁気的硬質粘弾性材料を成形してなり、保磁力を有する磁気粘弾性体1と、外力を受けて磁気粘弾性体1を変形させる磁気粘弾性体変形手段2と、磁気粘弾性体1の変形により空間分布が変化する磁束により、内部に誘導電流を発生する誘導電流発生手段3とを備え、誘導電流発生手段3に発生する誘導電流を出力する出力手段4を備え、強磁性粒子を希土類を主成分とする。【選択図】図1

Description

本発明は、外力を受けて発電する発電ディバイスに関するとともに、その発電ディバイスに使用する粘弾性材料に関し、さらに、この発電ディバイスを使用する方法に関する。
現今、磁性エラストマー(磁性を有する粘弾性材料)と呼ばれる機能性材料が注目されている。この材料は、たとえば、シリコーンゲル等の粘弾性材料に鉄粉等の磁性微粒子を分散・硬化させたものであり、粘弾性と磁性との二つの性質を兼ね備える。この種の機能性材料は、外部磁場によって弾性率が変化し、また変形を誘起されるため、ソフトアクチュエータ,振動アブソーバー等の応用研究が盛んに行われている。
この種の機能性材料の用途として、ファラデーの電磁誘導による振動発電も注目されている(非特許文献1)。
一方、発明者等は、ソフトアクチュエータ,振動アブソーバーへの応用を目的として、「磁気粘弾性材料」と呼ぶ、材料自体に保磁力を有する機能性材料を提案している(特許文献1)。
この機能性材料は、粘弾性材料内に強磁性微粒子が均一に分散された状態となっているため、どこを切り取っても同じ磁性(保磁力)を備える。結果、薄くスライスすることも可能であり、粘弾性を有する薄膜永久磁石として人工筋肉のような大変形が必要とされる用途にも使用することができる。
特開2016−152337号公報
津村 不二夫他、磁性微粒子分散エラストマーを用いた逆磁歪発電ディバイスの開発、粉体および粉体冶金、粉體及び粉末冶金刊行會、第61巻 第4号、2014年4月、p.193−198
しかしながら、非特許文献1に開示の磁性エラストマーでは、その磁性微粒子が鉄を主成分とするため、発電ディバイスとする場合、磁性微粒子を磁化する永久磁石(外部永久磁石)が別途必要となる。発電ディバイスが重量化するとともに大型化する。よって、改善の余地がある。
一方、特許文献1に開示の技術は、ソフトアクチュエータ,振動アブソーバーへの応用等、その形状選択性の容易さ、変形の容易さ等を利用する用途提案がされているにすぎず、発電ディバイスとしては検討の余地がある。
上記実情に鑑み、本発明の主たる課題は、粘弾性材料内に強磁性粒子が分散された粘弾性体を使用して、小型・軽量な構造の発電ディバイスを得ることにあり、更なる課題は、その発電ディバイスに好適に使用することができる粘弾性材料を得る、また、発電ディバイスの好適な用途を提案することにある。
本発明に係る発電ディバイスの第1特徴構成は、
着磁状態にある強磁性粒子が粘弾性材料内に分散された磁気的硬質粘弾性材料を成形してなり、保磁力を有する磁気粘弾性体と、
外力を受けて前記磁気粘弾性体を変形させる磁気粘弾性体変形手段と、
前記磁気粘弾性体の変形により空間分布が変化する磁束により、内部に誘導電流を発生する誘導電流発生手段とを備え、
前記誘導電流発生手段に発生する前記誘導電流を出力する出力手段を備え、
前記強磁性粒子が、希土類を主成分とする強磁性粒子であるとともに、
前記粘弾性材料が、常温で粘弾性を示す高分子材料である点にある。
この発電ディバイスは、磁気粘弾性体、磁気粘弾性体変形手段、誘導電流発生手段及び出力手段を備えて構成される。結果、磁気粘弾性体変形手段を介して、外力により磁気粘弾性体が変形されると、変形に伴って誘導電流発生手段に誘導電流が誘起される。そして、出力手段によりこの誘導電流を取り出して利用することができる。
ここで、強磁性粒子を希土類を主成分とすることで、磁気粘弾性体が示す保磁力を充分高い状態とすることが可能となり、同時に、粘弾性材料を常温で粘弾性を示す高分子材料とすることで、常温におけるその変形能を高く保って、大きな変形を発生させることが可能となる。結果、磁気粘弾性体周りの磁束が大きく変化し、実質的に、磁気粘弾性体、磁気粘弾性体変形手段、誘導電流発生手段及び出力手段を備えるだけの、簡単な構成で、軽量、小型の発電ディバイスを構築できる。さらに、磁気粘弾性体は任意の形状に成形できるため、本発明の発電ディバイスは非常に広い用途に採用可能となる。
本発明における「磁気的硬質」の概念は、保磁力が大きく永久磁石としての性質を備えることを意味する。
本発明の発電ディバイスの第2特徴構成は、
前記強磁性粒子が平均粒子径100μm以下のネオジム磁石粒子であり、
前記誘導電流発生手段がコイルである点にある。
ネオジム磁石粒子は、その主相がNdFe14Bからなり、特に強い磁石となっている。さらに、粘弾性材料内に分散させるに際して、その平均粒子径を100μm以下とすることより、材料内にほぼ均等に分散させることが可能となり、後の成形に際しても使用勝手が良い。さらに、誘導電流発生手段をコイルで構成することで、最も簡易且つ安価に、磁気粘弾性体周りの磁束の変化に追随して発生される誘導電流を取り出すことが可能となる。
本発明の発電ディバイスの第3特徴構成は、
前記粘弾性材料に対する前記強磁性粒子の配合割合が、重量割合で40〜90wt%の範囲内にある点にある。
この構成を採用することにより、本発明に係る発電ディバイスを構築するに、その磁気特性、粘弾性において過不足のない磁気粘弾性体を得ることができる。重量割合が40wt%未満の場合は、強磁性粒子が不足気味となり、本来、所定の容積に対して好適に得られる表面磁束密度を充分に確保することができない場合が生じる。一方、90wt%を超えると、分散・混合物である磁気粘弾性体が硬くなり、変形量が不足しやすい。
さらに、この重量割合としては、40wt%〜70wt%が好ましい。70wt%以下とすることで、強磁性粒子の量を制限でき、材料の粘弾性を保ちながら所要の保持力を得ることができる。
これまで説明してきた発電ディバイスを構成する磁気粘弾性体の構成材料(本発明において「磁気的硬質粘弾性材料」と呼び、粘弾性を備えた材料で、材料自体が高い保磁力
(永久磁石としての磁力)と残留磁束密度を有する)の製造は、以下の手法とすることが好ましい。
即ち、本発明の発電ディバイスの第4特徴構成は、
前記磁気的硬質粘弾性材料を、硬化処理前の粘弾性材料に、希土類を主成分とする100μm以下の平均粒子径を有する強磁性粒子を分散させて一次前駆体を得る分散工程と、前記分散工程で得られた前記一次前駆体を硬化して二次前駆体を得る硬化工程と、前記硬化工程で得られた前記二次前駆体に1.5T以上の一様な磁場を印加して前記強磁性粒子に着磁させる着磁工程と、を含む製造方法により製造した材料とすることができる。
分散工程、硬化工程及び着磁工程を経て、粘弾性材料内に分散する強磁性粒子を良好に着磁して、強い保磁力と残留磁束密度を備え、且つ粘弾性を有する永久磁石(磁気的硬質粘弾性材料)を使用して、優れた性能の発電ディバイスを得ることができる。
さらに、本発明の発電ディバイスの第5特徴構成は、
前記強磁性粒子が磁気異方性を有する点にある。
この構成を採用することにより、同一量の強磁性粒子を粘弾性材料に分散させて、成形体とする場合に、磁気粘弾性体周りの磁束を強力なもの(表面磁束密度が高くなる)とでき、発電ディバイスの能力において、磁気異方性を事実上有しない強磁性粒子を使用する場合より、高性能とできる。結果、強磁性粒子の量を低減でき、発電ディバイスの小型化を達成できる。
本発明の磁気的硬質粘弾性材料の製造方法の第1の特徴構成は、
硬化処理前の粘弾性材料に、希土類を主成分とする100μm以下の平均粒子径を有する強磁性粒子を分散させて一次前駆体を得る分散工程と、
前記分散工程で得られた前記一次前駆体に一様な磁場を印加して前記強磁性粒子に着磁させる着磁処理と、当該一次前駆体を硬化する硬化処理と、を同時若しくは順次実行する着磁硬化工程と、を含む点にある。
この構成では、分散工程を経て一次前駆体を得るところまでは、先に説明した例と同じである。即ち、一次前駆体は、硬化処理前の粘弾性材料に強磁性粒子を分散させた状態にあり、事実上、流動性を有する。結果、粘弾性材料内で強磁性粒子はある程度、移動、姿勢変更可能となっている。先にも示したように、この一次前駆体では、強磁性粒子の粒子径が100μm以下であるため、撹拌等の分散処理により、粘弾性材料内での粒子を均等な分散状態とすることが可能となる。また、その粒子は希土類を主成分とするため、強い磁力を保持することができる。
さて、分散工程に引き続いて実行する着磁硬化工程においては、着磁処理と硬化処理とを同時に実行する、或は、順次おこなう。
即ち、事実上、強磁性粒子が、ある程度、移動・姿勢変更可能な状態で、一次前駆体を磁界内に配置する着磁処理を行うと、多数の強磁性粒子は、粒子単体単位では着磁されるとともに、これら粒子の多数が、磁束の方向に並んだ柱状構造体が生成される。図6、図15に、模式的にその柱状構造を示した。そして、硬化処理により、この柱状構造を保持できる。
結果、この製造方法を実施することにより、粘弾性を有しながら、その占有容積単位でみて、高い保磁性能を有する磁気的硬質粘弾性材料を得ることができる。
さて、後に示すように、本明細書においては、強磁性粒子としてこの粒子自体の磁気モーメントが方向性を有しない磁気等方性の粒子と方向性を有する磁気異方性の粒子との両方について、その検討結果を紹介する。
ここで、分散工程を得られる一次前駆体は、粒子が磁気等方性或いは磁気異方性であるに関わらず等方性となる。
そして、この一次前駆体を硬化処理した後、着磁処理する場合は、得られる結果物は等方性を維持した磁気的硬質粘弾性材料となる。一方、この一次前駆体の処理において、着磁処理をともなって硬化を進めると、先に説明した柱状構造とでき、異方性を有する磁気的硬質粘弾性材料を得ることができる。
この磁気的硬質粘弾性材料の製造方法の第2の特徴構成は、
前記着磁硬化工程において、前記着磁処理と前記硬化処理とを同時に行う予備着磁硬化完了工程と、前記予備着磁硬化完了工程を経て得られる予備着磁硬化完了体に、当該予備着磁硬化完了工程における着磁磁場より強い磁場を印加して、前記強磁性粒子の着磁を完了する本着磁工程とを、含む点にある。
この構成では、着磁硬化工程を、予備着磁硬化完了工程と本着磁工程との2工程を含むものとするが、予備着磁硬化完了工程では、ある程度の磁場内に一次前駆体を配して、強磁性粒子の配向状態(柱状構造となる)を確保する。そして、なお高い着磁状態を得たい場合に、本着磁工程を実行して、所望の高い着磁状態とする。
結果、強磁性粒子の粘弾性材料内での配置、及び、その着磁量において非常に高い磁気的硬質粘弾性材料を得ることができる。
また、本発明の磁気的硬質粘弾性材料の製造方法の第3の特徴構成は、
前記強磁性粒子が磁気異方性を有する点にある。
この構成を採用することにより、同一量の強磁性粒子を粘弾性材料に分散させて、成形体とする場合に、磁気粘弾性体周りの磁場を強力なものとでき、発電ディバイスの能力において、磁気異方性を事実上有しない強磁性粒子を使用する場合より、高性能を備えたものとできる。
そして、これら第1〜第3の特徴構成の磁気的硬質粘弾性材料の製造方法により製造される磁気的硬質粘弾性材料を所定の形状に成形して、その成形体を発電ディバイスの磁気粘弾性体として採用することで、高い発電性能を有する発電ディバイスを得ることができる。
さて、これまで説明しきた発電ディバイスは、構成主体である磁気粘弾性体が柔軟であるため、その使用方法として、前記磁気粘弾性体変形手段を介して、周波数50Hz以下の周期で変動する外力により前記磁気粘弾性体を周期的に変形させて発電する発電ディバイスの使用方法とすることが好ましい。
磁気弾性体が粘弾性体として挙動するため、特に低周波数の外力変動に対応できるためである。
発電ディバイスの構成を示す図 第1製造方法に係る磁気粘弾性体の製造プロセスを示す図 第1製造方法で得られる磁気的硬質粘弾性材料内に於ける強磁性粒子の分散状態を示す図 第2製造方法に係る磁気粘弾性体の製造プロセスを示す図 第2製造方法に係る製造プロセスで採用した着磁硬化処理用の装置説明図 第2製造方法で得られる磁気的硬質粘弾性材料の柱状構造を示す図 発電ディバイス(磁気粘弾性体)の試験装置を示す図 磁気等方性の強磁性粒子を使用した磁気的硬質粘弾性材料の発電試験結果を示す図 磁気等方性の強磁性粒子を使用した磁気的硬質粘弾性材料の発電試験結果を示す図 磁気等方性の強磁性粒子を使用した磁気的硬質粘弾性材料の発電試験結果を示す図 磁気等方性の強磁性粒子を使用した磁気的硬質粘弾性材料の発電試験結果を示す図 圧縮前後における表面磁束密度の変化を示す図 磁気異方性の強磁性粒子を使用した磁気的硬質粘弾性材料の発電試験結果を示す図 磁気異方性の強磁性粒子を使用し、第1製造方法で得られる磁気的硬質粘弾性材料内に於ける強磁性粒子の磁気モーメントの配向状態を示す模式図 磁気異方性の強磁性粒子を使用し、第2製造方法で得られる磁気的硬質粘弾性材料内に於ける強磁性粒子の磁気モーメントの配向状態を示す模式図
以下、図面に基づいて、1.発電ディバイス100の構成、2.発電ディバイス100で使用する磁気粘弾性体1の製造プロセス、3.発電ディバイス100の発電試験結果の順に説明する。
本明細書では、発電ディバイス100を構成する主要素である磁気粘弾性体1の材料(本発明における磁気的硬質粘弾性材料s)については、その製造方法として二種の製造方法(「第1製造方法」、「第2製造方法」)を紹介する。
第1製造方法、第2製造方法に関し、1.発電ディバイス100の構成は共通となる。一方、2.発電ディバイス100で使用する磁気粘弾性体1の製造プロセスは、第1製造方法、第2製造方法で異なる。これら異なった各製造方法を使用して、強磁性粒子pとして、その極性が磁気等方性のものと磁気異方性のものとの両方を検討した。そこで、3.発電ディバイス100の発電試験結果については、先ず、磁気等方性のものを使用して、第1製造方法、第2製造方法で製造した結果を3.2.1に示し、3.2.2に、磁気異方性のものを使用した場合の第1製造方法、第2製造方法で製造した結果を示す。
第1製造方法の特徴は、磁気的硬質粘弾性材料sの製造を、a,強磁性粒子pの粘弾性体eへの分散・混合(後述する分散工程S1)、b.一次前駆体である混合物の硬化・成形(後述する硬化工程S2)、c. 強磁性粒子pの着磁(後述する着磁工程S3)の順に行う点にある。
第2製造方法の特徴は、磁気的硬質粘弾性材料sの製造を、a,強磁性粒子pの粘弾性体eへの分散・混合(後述する分散工程S10)を行った後、b.一次前駆体である混合物に含まれる強磁性粒子pの配向・着磁と、一次前駆体の硬化・成形を同時に行い、さらに強磁性粒子pの着磁を行う(後述する着磁硬化工程S20)点にある。
1.発電ディバイスの構成
図1に、発電ディバイス100の構成を示した。
発電ディバイス100は、磁気的硬質粘弾性材料sを所定の形状に成形してなり、それ自体が磁力を有する磁気粘弾性体1と、外力を受けて磁気粘弾性体1を変形される磁気粘弾性体変形手段と、磁気粘弾性体1の変形に伴って誘導電流を発生する誘導電流発生手段と、この誘導電流発生手段に発生する電流を出力する出力手段を備えて構成されている。
図1に示す例では、磁気粘弾性体1は、概略円柱状に成形された成形体とされており、その円柱両端に、平板状の外力伝達部材2を磁気粘弾性体変形手段として備えて構成されている。図示する例では、外力伝達部材2に下方向にかかる外力Fにより、磁気粘弾性体1が変形圧縮される。その変形量は、例えば、円柱径が18mm、高さが18mmの磁気粘弾性体1において最大10mm程度とできる。
磁気粘弾性体1の外周部位には、この磁気粘弾性体1の変形とは独立に、誘導電流発生手段としてのコイル(巻線コイル)3が配置されている。この構成において、磁気粘弾性体1が外力を受けて変形すると、変形に伴って磁気粘弾性体1周りの磁束が変化することにより、コイル3内に誘導電流が発生する。発生した電流は、コイル両端から出力され、電気的に接続された負荷5により利用する。負荷5としては、発電電力を蓄積する電力蓄積ディバイス、発電電力を消費する電力消費ディバイス等を挙げることができる。従って、コイル3と負荷5との間を接続する接続線4が、本発明における出力手段となる。
以上の説明からも明らかなように、本発明の発電ディバイス100では、磁気粘弾性体1自体が磁力を有する(永久磁石としての特性を有する)ため、従来技術で必要とされた外部磁石(図外)を備える必要はない。即ち、磁気粘弾性体1、磁気粘弾性体変形手段2と、誘導電流発生手段3とを備えた、ごく簡単な構造となる。
2.磁気粘弾性体の製造
試験には、粘弾性材料e及び強磁性粒子pとして以下の材料を使用した。
粘弾性材料eは、常温で粘弾性を示す高分子材料であり、以下に示す例では、シリコーンゲル(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製 TSE3062)を使用した。シリコーンゲルは、硬化剤の添加、加熱処理によりある程度硬化するが、その硬化処理後においても、常温に戻り粘弾性を保持する。
強磁性粒子pは、希土類を主成分とする強磁性粒子であり、本実施形態においては、国内で入手可能なネオジム磁粉を使用した。「NdFeB磁粉」として流通するネオジム磁石の粉状体である。以下に示す実施形態では、強磁性粒子pについて、磁気等方性のものと磁気異方性のものとを示すが、磁気等方性のものを「NdFeB磁粉等方性」と、磁気異方性のものを「NdFeB磁粉異方性」と記載する。これら「NdFeB磁粉」は、例えば、マグネクエンチ社、愛知製鋼社、日立金属社、三菱マテリアル社から入手可能であった。マグネクエンチ社から入手可能な「NdFeB磁粉等方性」はMQFP14−12−20000−089であり、「NdFeB磁粉異方性」はMQA38−14−20077−065である。
図2に第1製造方法に係る磁気粘弾性体1の製造プロセスを示し、図4に、第2製造方法に係る磁気粘弾性体1の製造プロセスを示した。
これら実施形態の製造プロセスは、磁気的硬質粘弾性材料sの製造に伴って、その材料sを好適な形状に成形する例としている。即ち、例示する製造プロセスにおいては、硬化工程において磁気粘弾性体1への成形も行う。そこで、図2、図4では、表記上、硬化工程S2或は予備着磁硬化完了工程S21の下に括弧付きで成形工程と示した。
2.1 第1製造方法
図2に示すように、この実施形態の製造プロセスは以下の順とされる。
a 分散工程S1
硬化処理前の粘弾性材料eに、希土類を主成分とする100μm以下の平均粒子径を有する強磁性粒子pを分散させて一次前駆体を得る。
b 硬化工程S2
分散工程S1で得られた一次前駆体を硬化して二次前駆体を得る。
c 着磁工程S3
硬化工程S2で得られた二次前駆体に1.5T以上の一様な磁場を印加して強磁性粒子pに着磁させる。
前記分散工程S1は、硬化処理前の粘弾性材料eと強磁性粒子pとを、所定の容器(図外)に混合・投入し、例えば、アズワン社製の真空脱泡装置「VD−VLH」内に配置し、ULVAC社製の真空ポンプ「G−50SA」で真空引きを行いながら容器内のシリコーンゲルeおよび磁性微粒子pを真空脱泡攪拌して混合分散するものとなる。
前記硬化工程S2は、上記の容器をアズワン社製の定温乾燥器「ONW−300」内に配置し、型となる容器内でシリコーンゲルを硬化するものとなる。
本試験では、この硬化工程S2において、二次前駆体の形状を決定した。結果、本発明の「形成状態にある磁気粘弾性体1」を得ることができる。
ただし、硬化工程S2において材料の形状を決定することなく、硬化工程S2の後、着磁工程S3の前あるいは着磁工程S3を経た後、発電ディバイス100として好適な形状に成形して(例えば切削成形して)、磁気粘弾性体1を得ても一向にかまわない。
上記硬化工程S2において、磁気粘弾性体1の形状を外径18mm程度、高さ18mm程度の円柱とする場合、加熱温度及びその加熱時間(硬化時間)は60〜80℃、20〜40分となる。
図3に、第1製造方法で得られる磁気的硬質粘弾性材料s内に於ける強磁性粒子pの分散状態を示した。図は材料sの一部を拡大して模式的に示した図である(図6において同じ)。図から判明するように、粘弾性材料e内に、強磁性粒子pが均等且つランダムに分散された構造となる。
前記着磁工程S3は、硬化工程S2で得られた二次前駆体にパルス状の高磁場を印加する。例えば、東英工業社製のパルス励磁式磁気特性測定装置「TPM−2−08s25VT−C」を使用して成形体20に高磁場を印加する。この装置は、二次前駆体を収容する試料室と、試料室を取り囲む超電導コイルと、超電導コイルに直列接続されたコンデンサおよびスイッチと、コンデンサを充電するための直流電源とを有する構成となっており、スイッチを開けた状態でコンデンサを充電した後、スイッチを閉じると、コンデンサの放電電流が超電導コイルに一気に流れ、超電導コイルの周り、すなわち試料室に一様な高磁場が発生する。着磁工程S3においては、このようなパルス励磁式磁気特性測定装置のほか、振動試料型磁力測定装置(VSM)、電磁石を使用することもできる。
具体的には着磁時の印加磁場は8Tとした。
2.2 第2製造方法
図4に示すように、この実施形態の製造プロセスは以下の順とする。
a 分散工程S10
硬化処理前の粘弾性材料eに、希土類を主成分とする100μm以下の平均粒子径を有する強磁性粒子pを分散させて一次前駆体を得る。
この分散工程S10で使用する装置構成は、分散工程S1と同様である。
b 着磁硬化工程S20
分散工程S10で得られた一次前駆体に一様な磁場を印加して強磁性粒子に着磁させる着磁処理と、当該一次前駆体を硬化する硬化処理と、を同時若しくは順次実行する。
具体的には、着磁硬化工程S20は、着磁処理と硬化処理とを同時に行う予備着磁硬化完了工程S21と、予備着磁硬化完了工程S21を経て得られる予備着磁硬化完了体に、当該予備着磁硬化完了工程S21における着磁磁場より強い磁場を印加して、強磁性粒子の着磁を完了する本着磁工程S22から成る。
磁気的硬質粘弾性材料sの成形に際しては、先に示した第1製造方法の場合とほぼ同様に、上記の着磁硬化工程S20において、一次前駆体の形状を決定するものとした。一方、着磁硬化工程S20において、材料の形状を決定することなく、この工程S20を終了した後、発電ディバイス100として好適な形状に成形して、磁気粘弾性体1を得ることもできる。
第2製造方法で、予備着磁硬化完了工程21を実行するに際して採用した着磁硬化処理装置の形態を模式的に図5に示した。
この予備着磁硬化完了工程S21では、一次前駆体10に対して、その上下に板状の永久磁石(ネオジム磁石)201を配置し、一次前駆体10に1.0T以下(好ましくは0.01〜1.0T程度、具体的には0.1T)の一様な磁場を印加する。同図において、202はサポートであり、このように構成される一次前駆体−磁石一体化物200を、恒温室203内に収納して、粘弾性材料eの硬化を実行することができる。
この恒温室203は、先に第1製造方法の硬化工程S2で説明した乾燥器を使用した。
磁気粘弾性体1の形状を外径18mm程度、高さ18mm程度の円柱とする場合、その加熱温度及びその加熱時間(硬化時間)は70〜90℃、20〜40分程度となる。
本着磁工程S22での印加磁場は8Tとした。本着磁工程S22は、第1製造方法の着磁工程S3とほぼ同様に実行できる。
得られる材料組織は、図6に模式的に示すように、着磁の方向である同図上下方向(C軸)に強磁性粒子pが並んだ柱状構造(発明者は、この柱状体を「クラスタ」と呼んでいる)となる。結果、この材料は、粘弾性を有しながら、粘弾性体全体で見て、強い保磁力を有しその周部に形成される磁束分布において方向性が極めて高い。このようにして得られる「粘弾性を有する高保磁力材料」は、本発明者により新たに作成された新規な磁気的硬質粘弾性材料sである。
さらに、上記の予備着磁硬化完了工程S21で、その硬化方向と硬化時間を適切に制御する場合、柱状構造の成長と硬化を同期させることができる。例えば、硬化を下から上に緩慢に進め、強磁性粒子pをシリコーンゲル内に微量づつ加えながら、混合・分散・配向・硬化を連続的に起こさせる。このような緩慢な混合・分散・配向・硬化操作を、発明者らは「微量連続硬化処理」と呼び、その生成物を「連続柱状クラスタ構造体」と呼ぶ。
先に説明した図3及び図6は、強磁性粒子pが磁気等方性の場合の模式図である。これらに対して、強磁性粒子pが磁気異方性を有する場合の模式図を図14、15に示している。これらの模式図については発電試験結果の後に説明する。
3.発電ディバイスの発電試験
3.1 発電ディバイス100の試験装置
上記のようにして構成される発電ディバイス100(具体的には磁気粘弾性体1)の性能試験のために使用した試験装置101の構成を図7に示した。
試験装置101は、磁気粘弾性体1(試料)が、一対のピストンPにより挟持された状態で載置される試料載置部101aと、回転駆動装置であるモータ101bの回転動を往復動に変換する駆動変換機構101cを備えて構成されている。駆動変換機構101cから得られる上下動が試料1に伝達される。モータ101bの駆動は、モータコントローラMCによりモータドライバーMDを介して制御される。
この構成で、試料載置部101aに試料1を載置することにより、試料1を上下方向に周期的に変形させることができる。試料1に与える変形量の調整(駆動変換機構101cを変更)及び変形の周期の調整(モータ101bの回転速度を変更)も可能である。試料1に付与される変形は、その変形量として変形量検出装置101dにより検出される。変形量検出装置101dとしては、下側のピストンPに対してレーザー変位計LDMを設け、上側のピストンPに対してロードセルRCを介してその動ひずみ計RCMを設けて、検出の精度を期した。
試料載置部101aの外径周部にはコイル101eを配置し、このコイル101eに発生する誘導電流を検出する検出機構101fを備える。段落〔0057〕〔0066〕等に記載の円柱状の磁気粘弾性体1を試料として、コイル101eは、線径0.5mmの銅線を、内径36mm、外径50mm程度に多重管巻したものであり、巻き数を1400とした。同図において、Aは同期用のアンプである。
結果、磁気粘弾性体1である試料を変形させ、この変形に伴って発生する磁束の変化が、誘導電流となって、電圧形態で検出機構101fにより検出する。
3.2 発電ディバイスの性能試験結果
3.2.1 磁気等方性の強磁性粒子を使用した結果
試験に供した磁気粘弾性体1に関する諸元を以下に整理する。
a 磁気粘弾性体1
形状: 円柱 円柱径18mm、円柱高さ18mm
材料: 製造プロセスの項で、第1製造方法、第2製造方法の工程を経て得られた磁気的硬質粘弾性材料s
粘弾性体 e : シリコーンゲル
強磁性粒子p : 平均粒子径5μmのNdFeB磁粉等方性
粘弾性体e(重量Wc)に対する強磁性粒子p(重量Wng)の割合
重量%〔Wng/Wc×100%〕
50wt%、60wt%、70wt%、80wt%、90wt%
弾性率 :10〜80 kPa程度
残留磁束密度;0.04〜0.4 T 程度
保磁力 :0.08〜0.25 MA/m程度
b 試験条件
磁気粘弾性体1の変形
形態 :試験装置101を使用した所定周期の圧縮変形
変形量 :0〜10mm
変形周期:1Hz〜10Hz ただし、50Hzまで確認
試験結果
発電試験を行った結果を図8〜図11に示した。
図8〜図10は、変形圧縮量を変化させた場合の起電圧の結果を、図11は最大電力の結果を示したものである。
これらの図において、「クラスタ有」と記載しているには、第2製造方法の結果であり、「クラスタ無」と記載しているのが第1製造方法の結果である。
起電圧
図8〜図10において、横軸は変形圧縮量〔mm〕を示し、縦軸は起電圧〔V〕を示している。これら図において、(a)(b)間で、粘弾性材料eに対する強磁性粒子pの配合割合〔wt%〕が異なる。線種と試験条件(変形周波数〔Hz〕、第1製造方法、第2製造方法が異なる)の対応関係を、図面下部に示している。
一方、図11(a)(b)は、粘弾性材料eに対する強磁性粒子pの配合割合〔wt%〕が異なる場合について、変形圧縮の周波数と最大電力の関係を纏めたものである。図において、横軸は、変形周波数〔Hz〕を示し、縦軸は最大電力〔μW〕を示している。
図8〜図10からも判明するように、試験対象とした変形圧縮量6〜10mmの範囲で、良好な発電状態を示した。結果的には高い周波数側、高い配合割合側程、発電量が大きかった。
変形量に関しては、試料1の高さが18mmであることを考慮すると、材料の剛性が低い分、大きな変形を起こすことができる。圧縮変形において、そのひずみ〔変形圧縮量/圧縮前の材料長〕で0.5を超えることが、本発明の発電ディバイスでは好ましい。
変形周波数に関しては、記載の範囲を超えて50Hzまで試験したが、この程度の周波数まで発電性能を示した。
さらに、強磁性粒子の配合割合に関しては、割合が大きい程、発電性能に優れていた。
発明者等は、この配合割合として、40〜90wt%のものにおいて、同様に発電することを確認している。
第1製造方法と第2製造方法との比較に関しては、第2製造方法のほうが高い発電性能を示した。
さて、図11に示す結果からみると、周波数の2乗に比例して発電出力の上昇が確認できる。また、第1製造方法と第2製造方法との比較に関しては、第2製造方法のほうが高い発電性能を示した。
さらに、このような変形圧縮操作に伴って磁気粘弾性体1周りで変化する表面磁束密度の状態を、図12に濃淡画像で示した。各図の右側が表面磁束密度のスケール〔mT〕である。(a)に、実太線で囲んで、自由状態にある磁気粘弾性体1の外形を示している。(b)に、実太線太鼓形状で、外力伝達部材2としてのアルミ板で圧縮された状態にある磁気粘弾性体1を示している。
結果、大きな圧縮を受けることにより、磁気粘弾性体1の上下に集中していた磁束が、変形に伴って大きく分散され、低下していることが判る。発電ディバイスとしては、良好な結果である。
3.2.2 磁気異方性の強磁性粒子を使用した結果
試験に供した磁気粘弾性体1に関する諸元を以下に整理する。
a 磁気粘弾性体1
形状: 円柱 円柱径18mm、円柱高さ18mm
材料: 製造プロセスの項で、第1製造方法、第2製造方法の工程を経て得られた磁気的硬質粘弾性材料s
粘弾性体 e : シリコーンゲル(磁気等方性の場合と同一)
強磁性粒子p : 平均粒子径5μmのNdFeB磁粉異方性
粘弾性体e(重量Wc)に対する強磁性粒子p(重量Wng)の割合
重量%〔Wng/Wc×100%〕
47wt%、66wt%、77wt%
弾性率 :10〜80 kPa程度
残留磁束密度;0.04〜0.4 T 程度
保磁力 :0.08〜0.25MA/m程度
b 試験条件
磁気粘弾性体1の変形
形態 :試験装置101を使用した所定周期の圧縮変形
変形量 :0〜10mm
変形周期:1Hz〜10Hz ただし、50Hzまで確認
試験結果
発電試験を行った結果を図13(a)(b)(c)に示した。
図13は、強磁性粒子pとして異方性を備えたものを採用する場合の、第1製造方法及び第2製造方法に従って製造した場合を比較して示した。
起電圧
図13において、横軸は変形周期〔Hz〕を示し、縦軸は起電圧〔V〕を示している。これら図において、(a)(b)(c)間で、粘弾性材料eに対する強磁性粒子pの配合割合〔wt%〕が異なる。各図上に配合割合〔wt%〕を示すとともに、線種と第1製造方法、第2製造方法の対応関係を示している。即ち、第1製造方法に従ったものを実線で、第2製造方法に従ったものを破線で示している。
図13に示す結果からみると、変形周期の増加に伴って起電圧の上昇が確認できる。また、第1製造方法と第2製造方法との比較に関しては、配合割合が低いもしくは対象とした中程度のものにおいて第2製造方法のほうが大きな起電力を得ることができた。
粘弾性材料eに対する強磁性粒子pの配合割合〔wt%〕に関しては、強磁性粒子pが磁気異方性の場合、(b)に示す66wt%のものが最も高かった。
強磁性粒子pが「磁気等方性」の場合と「磁気異方性」の場合とで、起電力の大きな差異は認められなかった。ただし、強磁性粒子pの量を低減し、粘弾性体の粘弾性を維持するという点において磁気異方性の強磁性粒子pのほうが有利である。
図14、図15に、強磁性粒子pを異方性とした場合の第1製造方法、第2製造方法の磁気モーメントの状態を示した。これらの図において粒子p内に記載した矢印が磁気モーメントの方向を示している。第1製造方法では、配向が揃わないため、磁気粘弾性体1全体としても等方性を示す。これに対して、第2製造方法では、一定の方向に揃うことで、磁気粘弾性体1全体としても異方性を示す。クラスタの形成に関しては印加する印加磁場の程度と粘弾性材料の硬化の状態により制御可能である。
〔別実施形態〕
(1)以上説明した例では、本発明に係る発電ディバイス100の基本単位を示した。実際に発電装置(図外)を構築する場合、基本単位となる発電ディバイス100の複数を任意の位置関係(例えば、複数を横配置、斜め配置)で配置することができる。発電ディバイス100の横断面形状、横幅、高さも任意に選択できる。
このように、複数の発電ディバイス100を組み合わせる場合、外力伝達部材2は、複数で共通としてもよいし、各々単独としてもよい。さらに、コイル3の接続は、並列接続としても、直列としても良い。ただし、誘導電流の方向は合わせる必要がある。
また、磁気粘弾性体1の形状(立体形状)も、円柱状とする他、角柱状、太鼓状等、使用目的に応じて任意の形状が選択可能である。
(2)これまで説明してきた実施形態にあっては、粘弾性材料の例としてシリコーンゲルの例を挙げたが、この種、粘弾性材料としては、硬化によりある程度の保形性(成形性)を確保でき、常温で粘弾性を有する任意の材料を使用することができる。
シリコーンゲル(シリコーン系エラストマーの一例)は、加熱により硬化する熱硬化性粘弾性材料(熱硬化性エラストマー)の一例となっている。本発明で採用可能な粘弾性材料(エラストマー)としては、シリコーン系エラストマーの他、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、エステル系エラストマーの一種以上を挙げることができる。
(3) これまで説明してきた実施形態にあっては、強磁性粒子の例としてネオジム磁石粒子の例を挙げたが、この種の材料としては、希土類を主成分とする強磁性粒子を好適に採用することができる。例えば、SmFeN磁石粒子,SmCo磁石粒子等を挙げることができる。
また、その粒子径は、粘弾性材料を対象とする場合、その内部に均等分散するのに好ましい径とできる。発明者等の検討では、これまでも説明してきたように100μm以下が好ましく、均等分散を考慮すると、経験的には30μm以下がさらに好ましい。下限は、1μm程度である。
(4)先に示した第2製造方法の磁気的硬質粘弾性材料の製造に際しては、分散工程の後、着磁硬化工程を実行するものとし、さらに着磁硬化工程が、予備着磁硬化完了工程及び本着磁工程を含むものとした。
このような二段構成とした理由は、柱状構造の良好な形成を達成するためであるが、例えば、柱状構造の生成と強磁性粒子の着磁を、着磁処理と硬化処理とを同時に行うだけで達成できる場合は、同時処理のみを行うものとしてもよい。
一方、粘弾性材料内での強磁性粒子の移動がある程度制限されている場合は、着磁処理、硬化処理、更なる着磁処理としてもよい。
また、第2製造方法における予備着磁硬化完了工程における着磁操作は、図5に示す構成としたが、一次前駆体10を上下に挟む位置に設ける板状の永久磁石201(ネオジム磁石板)の外側(上下軸方向の外側)に所謂バックヨーク(鉄製の磁束制御板)を設けておくと着磁効果を格段に高めることができる。
(5)本発明の発電ディバイスを使用することにより、外部磁場の印加が不要な振動発電設備を構築できる。そのため、人の歩行時や、車の走行時、ビル等の構造物における振動等の普段捨てられていたエネルギーを電気エネルギーに変換するエネルギーハーベスティング等への応用が可能となる。
人の歩行時による発電では靴底への利用が考えられる。車の走行時やビル等の構造物における振動等による発電では、橋梁や建物の基礎部分に配置するダンバーの役割を兼ねる発電設備とすることができる。本発明の発電ディバイスは、特に低周波数:50Hz以下(好ましくは10Hz以下)の振動に対して有効に働くため、これまで採用されてきた周波数範囲より低い周波数領域で採用できる。
1 磁気粘弾性体
2 外力伝達部材(磁気粘弾性体変形手段)
3 コイル(誘導電流発生手段)
4 接続線(出力手段)
5 負荷
10 一次前駆体
101 試験装置
101a 試料載置部
101b モータ(回転駆動装置)
101c 駆動変換機構
101d 変形量検出装置
101e コイル(誘導電流発生手段)
101f 検出機構
201 ネオジム磁石(永久磁石)
202 サポート
s 磁気的硬質粘弾性材料
p 強磁性粒子
e 粘弾性材料
F 外力

Claims (10)

  1. 着磁状態にある強磁性粒子が粘弾性材料内に分散された磁気的硬質粘弾性材料を成形してなり、保磁力を有する磁気粘弾性体と、
    外力を受けて前記磁気粘弾性体を変形させる磁気粘弾性体変形手段と、
    前記磁気粘弾性体の変形により空間分布が変化する磁束により、内部に誘導電流を発生する誘導電流発生手段とを備え、
    前記誘導電流発生手段に発生する前記誘導電流を出力する出力手段を備え、
    前記強磁性粒子が、希土類を主成分とする強磁性粒子であるとともに、
    前記粘弾性材料が、常温で粘弾性を示す高分子材料である発電ディバイス。
  2. 前記強磁性粒子が平均粒子径100μm以下のネオジム磁石粒子であり、
    前記誘導電流発生手段がコイルである請求項1記載の発電ディバイス。
  3. 前記粘弾性材料に対する前記強磁性粒子の配合割合が、重量割合で40〜90wt%の範囲内にある請求項1又は2記載の発電ディバイス。
  4. 前記磁気的硬質粘弾性材料が、硬化処理前の粘弾性材料に、希土類を主成分とする100μm以下の平均粒子径を有する強磁性粒子を分散させて一次前駆体を得る分散工程と、前記分散工程で得られた前記一次前駆体を硬化して二次前駆体を得る硬化工程と、前記硬化工程で得られた前記二次前駆体に1.5T以上の一様な磁場を印加して前記強磁性粒子に着磁させる着磁工程と、を含む製造方法により製造された材料である請求項1〜3の何れか一項記載の発電ディバイス。
  5. 前記強磁性粒子が磁気異方性を有する請求項1〜4の何れか一項記載の発電ディバイス。
  6. 硬化処理前の粘弾性材料に、希土類を主成分とする100μm以下の平均粒子径を有する強磁性粒子を分散させて一次前駆体を得る分散工程と、
    前記分散工程で得られた前記一次前駆体に一様な磁場を印加して前記強磁性粒子に着磁させる着磁処理と、当該一次前駆体を硬化する硬化処理と、を同時若しくは順次実行する着磁硬化工程と、を含む磁気的硬質粘弾性材料の製造方法。
  7. 前記着磁硬化工程において、前記着磁処理と前記硬化処理とを同時に行う予備着磁硬化完了工程と、前記予備着磁硬化完了工程を経て得られる予備着磁硬化完了体に、当該予備着磁硬化完了工程における着磁磁場より強い磁場を印加して、前記強磁性粒子の着磁を完了する本着磁工程とを、含む請求項6記載の磁気的硬質粘弾性材料の製造方法。
  8. 前記強磁性粒子が磁気異方性を有する請求項6又は7記載の磁気的硬質粘弾性材料の製造方法。
  9. 前記磁気粘弾性体が、請求項6〜8の何れか一項記載の磁気的硬質粘弾性材料の製造方法により製造される磁気的硬質粘弾性材料を所定の形状に成形してなる請求項1〜3の何れか一項記載の発電ディバイス。
  10. 請求項1〜4の何れか一項又は請求項9記載の発電ディバイスの使用方法であって、
    前記磁気粘弾性体変形手段を介して、周波数50Hz以下の周期で変動する外力により前記磁気粘弾性体を周期的に変形させて発電する発電ディバイスの使用方法。

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