JP2019022270A - 電力変換装置及びコモンモード電流の低減方法 - Google Patents

電力変換装置及びコモンモード電流の低減方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電力変換装置において、インダクタンス値やスイッチング周波数を増大させることなく、コモンモード電流を低減する。【解決手段】この電力変換装置は、スイッチング素子を用いて所定周波数でスイッチングを行うことにより、入力を所定の出力に、非絶縁で変換する第1の電力変換器と、第1の電力変換器と同一構成であって、入力端及び出力端がそれぞれ第1の電力変換器と並列又は直列に接続され、第1の電力変換器と同一の入力条件に基づいて、第1の電力変換器とは異なる制御位相でスイッチングを行いつつ、第1の電力変換器と同じ主成分の電圧を同じ位相で出力する第2の電力変換器と、を含むものである。【選択図】図1

Description

本発明は、電力変換装置及びコモンモード電流の低減方法に関する。
変圧器の小型軽量化や低コスト化の観点から、重たい鉄心、巻線、及び、絶縁油を使った伝統的トランスに代わる、非絶縁型の変圧装置が提案されている(例えば、特許文献1,2参照。)。この変圧装置は、リアクタンス素子と半導体スイッチング素子とを使って変圧を実現するものであって、伝統的トランスとは構成が全く異なり、むしろDC/DCコンバータ等の電力変換装置の一種であるともいえる。
特開2015−80397号公報 特開2016−92981号公報
上記のような変圧装置(電力変換装置)では、鉄心を介した1次巻線、2次巻線で絶縁する構成をとらないため、対地容量を通してスイッチング周波数成分及びその高調波成分を含むコモンモード電流が流れる。このコモンモード電流は、ノイズの増大や効率悪化等、変圧装置の性能を劣化させる。そのため、コモンモード電流を低減することが求められる。
例えば、特許文献1の回路でコモンモード電流を低減する手法としては、例えば、(i)回路内のインダクタのインダクタンス値を大きくすること、(ii)スイッチング周波数を高くすること、の2点が考えられる。しかし、(i)の手法では、インダクタが物理的に大きくなり、巻線抵抗も増加する等による性能劣化が懸念される。(ii)の手法では、急峻なスイッチングによるノイズの増大やスイッチング損失の増加による効率の悪化が予想される。
かかる課題に鑑み、本発明は、電力変換装置において、インダクタンス値やスイッチング周波数を増大させることなく、コモンモード電流を低減することを目的とする。
本発明の一表現に係る電力変換装置は、スイッチング素子を用いて所定周波数でスイッチングを行うことにより、入力を所定の出力に、非絶縁で変換する第1の電力変換器と、前記第1の電力変換器と同一構成であって、入力端及び出力端がそれぞれ前記第1の電力変換器と並列又は直列に接続され、前記第1の電力変換器と同一の入力条件に基づいて、前記第1の電力変換器とは異なる制御位相でスイッチングを行いつつ、前記第1の電力変換器と同じ主成分の電圧を同じ位相で出力する第2の電力変換器と、を含む。
また、本発明の一表現によるコモンモード電流の低減方法は、同一構成の複数の電力変換器を含み、各電力変換器は、スイッチング素子を用いて所定周波数でスイッチングを行うことにより入力を所定の出力に非絶縁で変換する、電力変換装置におけるコモンモード電流の低減方法であって、前記複数の電力変換器について、各々の入力条件及び出力条件が互いに同じになるように入力端及び出力端をそれぞれ互いに並列、直列又は直並列に接続した状態とし、前記複数の電力変換器の全てが同じ主成分の電圧を同じ位相で出力するが、前記複数の電力変換器の全てにおいて互いに制御位相が異なるようにスイッチングを行うものである。
本発明によれば、電力変換装置において、インダクタンス値やスイッチング周波数を増大させることなく、コモンモード電流を低減することができる。
変圧装置として機能する電力変換器を示す回路図である。 図1に示したものと同じ電力変換器を2台用いて並列に接続した2系統の電力変換器を有する電力変換装置の構成を示す図である。 図2における電力変換器の内部回路も示した図である。 電力変換器が2系統(2台)である他の接続図であり、入力が並列、出力は直列の例である。 電力変換器が2系統(2台)である他の接続図であり、入出力共に直列の例である。 電力変換器が2系統(2台)である他の接続図であり、入力が直列、出力は並列の例である。 図2,図3の電力変換装置のスイッチングのタイミングチャートを示す図である。 φ=0の場合の、コモンモード電流の波形の一例を示すグラフである。 φ=πの場合の、コモンモード電流の波形の一例を示すグラフである。 2つの電力変換器全体としてのコモンモード電流の波形を示すグラフである。 電力変換器が1系統時のコモンモード電流の各高調波成分の絶対値と、2系統でφ=2π/3のときのコモンモード電流の各高調波成分の絶対値と、2系統でφ=πのときのコモンモード電流の各高調波成分の絶対値とを示すグラフである。 1系統時のコモンモード電流の各高調波成分の実効値と、2系統でφ=2π/3のときのコモンモード電流の各高調波成分の実効値と、2系統でφ=πのときのコモンモード電流の各高調波成分の実効値とを示すグラフである。 3系統の電力変換器の入力が並列、出力が並列の構成を示す図である。 3系統の電力変換器の入力が並列、出力が直列の構成を示す図である。 3系統の電力変換器の入力が直列、出力が直列の構成を示す図である。 3系統の電力変換器の入力が直列、出力が並列の構成を示す図である。 図13〜図16の電力変換装置のスイッチングのタイミングチャートを示す図である。 φ=φ=0の場合の、コモンモード電流の波形の一例を示すグラフである。 φ=2π/3、φ=4π/3の場合の、コモンモード電流の波形の一例を示すグラフである。 3つの電力変換器全体としてのコモンモード電流の波形を示すグラフである。 電力変換器が1系統時のコモンモード電流の各高調波成分の絶対値と、3系統でφ=π/2、φ=πのときのコモンモード電流の各高調波成分の絶対値と、3系統でφ=2π/3、φ=4π/3のときのコモンモード電流の各高調波成分の絶対値とを示すグラフである。 1系統時のコモンモード電流の各高調波成分の実効値と、3系統でφ=π/2π、φ=πのときの、コモンモード電流の各高調波成分の実効値と、3系統でφ=2π/3、φ=4π/3のときのコモンモード電流の各高調波成分の実効値とを示すグラフである。 4系統の際の回路接続の例として、入力は4並列、出力は4直列の例である。 4系統の際の回路接続の例として、入力は2並列の2直列、出力は2直列の2並列の例である。 1系統、2系統(制御位相差π)、3系統(制御位相差2π/3)、4系統(制御位相差π/2)、6系統(制御位相差π/3)のコモンモード電流の各高調波成分の絶対値を示すグラフである。 1系統、2系統(制御位相差π)、3系統(制御位相差2π/3)、4系統(制御位相差π/2)、6系統(制御位相差π/3)のコモンモード電流の各高調波成分の実効値を示すグラフである。 例えば、フルブリッジDC/DCコンバータを電力変換器として入力3並列、出力3並列の接続の仕方で3系統接続した電力変換装置の回路図である。 3つの電力変換器についてφ=0,φ=0の場合のコモンモード電流の波形を示す図である。 3つの電力変換器についてφ=2π/3,φ=4π/3の場合のコモンモード電流の波形を示す図である。 合計のコモンモード電流の波形を示す図である。 1系統時のコモンモード電流の各高調波成分の絶対値と、3系統でφ=2π/3、φ=4π/3のときのコモンモード電流の各高調波成分の絶対値との比較を示すグラフである。 1系統時のコモンモード電流の各高調波成分の実効値と、3系統でφ=2π/3、φ=4π/3のときのコモンモード電流の各高調波成分の実効値とを示すグラフである。
[実施形態の要旨]
本発明の実施形態の要旨としては、少なくとも以下のものが含まれる。
(1)この電力変換装置は、スイッチング素子を用いて所定周波数でスイッチングを行うことにより、入力を所定の出力に、非絶縁で変換する第1の電力変換器と、前記第1の電力変換器と同一構成であって、入力端及び出力端がそれぞれ前記第1の電力変換器と並列又は直列に接続され、前記第1の電力変換器と同一の入力条件に基づいて、前記第1の電力変換器とは異なる制御位相でスイッチングを行いつつ、前記第1の電力変換器と同じ主成分の電圧を同じ位相で出力する第2の電力変換器と、を含むものである。
なお、上記「同じ主成分」とは、基本周波数(例えば商用交流であれば50Hz/60Hz)が同じであることをいうものとする(以下同様。)。また、「同一構成」とは、定格、入出力特性等の、電気的な基本特性が同じであることを意味する(以下同様)。但し、同一構成であっても、制御位相は異なる。
このような電力変換装置では、制御位相が、第1の電力変換器と第2の電力変換器とで互いに異なることによって、コモンモード電流を低減することができる。従って、インダクタンス値やスイッチング周波数を増大させることなく、コモンモード電流を低減することができる。
また、制御位相は異なっても、第1の電力変換器と第2の電力変換器とで出力の主成分の電圧及び位相が同じであるので、出力は並列又は直列に合成することができる。なお、主成分の電圧とは交流であれば50Hzや60Hzの周波数となる電圧、直流であれば本来の、0Hzの直流電圧である。かかる電力変換装置は、DC/DC変換、AC/AC変換、DC/AC変換、AC/DC変換のいずれにも適用可能である。
(2)また、(1)の電力変換装置において、前記第1の電力変換器及び前記第2の電力変換器を含む電力変換器の総数は、a、bを0又は正の整数とすると、(2×3)個であり、全ての電力変換器は、相互に、前記制御位相が2π/(2×3)ずつ、ずれていることが好ましい。
この場合、コモンモード電流の低減効果が最も顕著になる。
(3)また、(2)の電力変換装置において、前記全ての電力変換器の入力及び出力のそれぞれの接続形態は、(a)全数が互いに並列接続、(b)全数が互いに直列接続、(c)同数を並列接続したもの同士を相互に直列接続、及び、(d)同数を直列接続したもの同士を相互に並列接続、のいずれか1つの形態である。
この場合、(a)は出力電流を大電流としたい場合や個々の電力変換器の電流負担を減らしたい場合に適し、(b)は出力電圧を高電圧にしたい場合に適し、(c)及び(d)は、電流も電圧も、相応に大きく確保したい場合に適する。
(4)また、(3)の電力変換装置において、前記直列接続を行う場合は、各電力変換器に対応するコンデンサを設け、これらのコンデンサの直列体の両端に入力電圧が印加され又は出力電圧が生じるように構成し、各コンデンサの両端と、対応する電力変換器とを互いに接続するようにしてもよい。
この場合、複数のコンデンサによって容易に入力電圧を分割し、又は、出力電圧を合成することができる。また、コンデンサのインピーダンスが、主成分の電圧の周波数に対しては負荷より十分に大きく、スイッチング周波数に対しては負荷より十分に小さくなるようにすることで高調波電流をコンデンサに流すことができる。
(5)また、(1)〜(3)のいずれかの電力変換装置において、前記所定周波数とは10kHz以上の周波数であることが好ましい。
この場合、例えば商用交流の周波数(50Hz又は60Hz)に比べて格段に高い周波数であるため、制御位相のずれは、出力の主成分の電圧や位相に全く影響しない。
(6)一方、方法の観点からは、これは、同一構成の複数の電力変換器を含み、各電力変換器は、スイッチング素子を用いて所定周波数でスイッチングを行うことにより入力を所定の出力に非絶縁で変換する、電力変換装置におけるコモンモード電流の低減方法であって、前記複数の電力変換器について、各々の入力条件及び出力条件が互いに同じになるように入力端及び出力端をそれぞれ互いに並列、直列又は直並列に接続した状態とし、
前記複数の電力変換器の全てが同じ主成分の電圧を同じ位相で出力するが、前記複数の電力変換器の全てにおいて互いに制御位相が異なるようにスイッチングを行う、コモンモード電流の低減方法である。
このようなコモンモード電流の低減方法によれば、制御位相が、各電力変換器で異なることによって、電力変換装置全体としては、コモンモード電流を低減することができる。従って、インダクタンス値やスイッチング周波数を増大させることなく、コモンモード電流を低減することができる。
また、制御位相は異なっても、全ての電力変換器の出力における主成分の電圧及び位相は同じであるので、出力は並列、直列又は直並列に合成することができる。かかるコモンモード電流の低減方法は、DC/DC変換、AC/AC変換、DC/AC変換、AC/DC変換のいずれにも適用可能である。
[実施形態の詳細]
以下、本発明の実施形態に係る電力変換装置及びコモンモード電流の低減方法について、図面を参照して説明する。
[電力変換器の構成例]
図1は、変圧装置として機能する電力変換器1を示す回路図である。同様な変圧装置としての電力変換器は、前述の特許文献1,2に詳細に開示されており、既知であるので、ここでは簡素な一例を挙げて説明する。
図1において、電力変換器1は、電圧Vinを出力する電源2(ここでは商用交流電源)と、負荷R(Rは、抵抗値でもある。)との間に設けられている。電源2から電力変換器1への入力電路には、フィルタとして、入力側インダクタLinが設けられている。電力変換器1は、前段回路3と、後段回路4と、フィルタとしての出力側インダクタLoutと、制御部5とを備えている。制御部5は例えば、コンピュータを含み、ソフトウェア(コンピュータプログラム)をコンピュータが実行することで、必要な制御機能を実現する。ソフトウェアは、制御部5の記憶装置(図示せず。)に格納される。
前段回路3は、一対の半導体のスイッチング素子SW,SWと、コンデンサC1,C2,C3と、を備えている。スイッチング素子SW,SWは、互いに直列に接続され、その直列体が、入力の2線間に接続されている。この直列体の一端をノードN1、他端をノードN3、相互接続点をノードN2とすると、ノードN1及びノードN3からそれぞれコンデンサC1及びC3を介した電路は1つになり、前段回路3の出力ポートP2へ導かれる。ノードN2からコンデンサC2を介した電路は、前段回路3の出力ポートP1へ導かれる。
後段回路4は、一対の半導体のスイッチング素子SW,SWと、インダクタL1,L2と、を備えている。スイッチング素子SW,SWは、互いに直列に接続され、その直列体が、前段回路3の出力ポートP1,P2からの2線間に接続されている。この直列体の一端をノードM1、他端をノードM3、相互接続点をノードM2とすると、ノードM1及びノードM3からそれぞれインダクタL1及びL3を介した電路は1つになり、後段回路4の出力ポートP4へ導かれる。ノードM2からの電路はそのまま、後段回路4の出力ポートP3へ導かれる。
スイッチング素子SW〜SWは、制御部5により高速(例えば10kHz以上)にスイッチングされる。制御部5によるスイッチングには規則性があり、スイッチング素子SW,SWは互いに同期して動作し、また、スイッチング素子SW,SWは互いに同期して動作する。そして、スイッチング素子SW,SWのペアは交互に排他的にオンになるよう動作し、また、スイッチング素子SW,SWのペアも交互に排他的にオンになるよう動作する。
このようなスイッチングを行うことにより、出力ポートP3,P4間の電圧は、ノードN1−N3間に入力される電圧の約1/4になることがわかっている。出力ポートP3,P4間の電圧は、出力側インダクタLout及び出力側コンデンサCoutを介して負荷Rに供給される。
なお、図1は、交流の電源2の電圧を変圧する場合を示しているが、電源2は直流であってもよい。また、電源側と負荷側とを入れ替えれば、同様なスイッチングにより、昇圧も可能である。
[コモンモード電流]
次に、図1において、電力変換器1が入出力間で非絶縁であることによって、対地容量を介して、スイッチング周波数成分及びその高調波成分を含むコモンモード電流が流れる。図1では、これを、コモンモード電流Igが、例えば、出力側コンデンサCoutの一端と、電源2の出力電路の一方との間で、抵抗Rgを介して流れるものとして表している。抵抗Rgは、対地容量を抵抗に置き換えて表現したものであり、抵抗値は例えば1kΩである。このようなコモンモード電流Igは、前述のように、ノイズの増大や、効率の悪化等、電力変換器の性能を劣化させる原因となる。そこで、コモンモード電流を低減する「電力変換装置」について以下に説明する。なお、この「電力変換装置」とは、複数の電力変換器を含むものを言う。
[電力変換装置としての第1実施形態(2系統)]
図2は、図1に示したものと同じ電力変換器1を2台用いて並列に接続した2系統の電力変換器1A,1Bを有する電力変換装置100の構成を示す図である。図において、電力変換器1A,1Bは、入力側において、電源2から入力側インダクタLinを介した入力電路に対して互いに並列に接続されている。また、電力変換器1A,1Bは、出力側において、出力側コンデンサCoutに対して互いに並列に接続されている。
図3は、図2における電力変換器1A,1Bの内部回路も示した図である。各電力変換器1A,1Bの動作は、後述の制御位相の点を除いて、図1の電力変換器1についての説明と同様である。但し、識別のため、電力変換器1Aのスイッチング素子はSW11,SW12,SW13,SW14とする。また、電力変換器1Bのスイッチング素子はSW21,SW22,SW23,SW24とする。電力変換器1A,1Bの制御部5同士は、通信が可能である。
このような電力変換器1A,1Bの並列構成をとることで、1台の電力変換器で同じ入出力の場合と比較すると、電力変換器1台あたりの入出力電流は半分となり、電力変換器1A,1Bを構成する素子の一部、または全部の、必要な耐電流も半分となる。従って、より安価で性能の安定した素子を使用することができる。また、負担を減らすのではなく、負荷Rの消費電力が大きいため大電流出力が必要な場合にも、このような並列構成は好適である。
図4〜図6は、電力変換器が2系統(2台)である他の接続図である。
図4では、電力変換器1A,1Bは、入力が並列、出力が直列の関係となる。出力側コンデンサCoutは2個直列に設けられ、2個直列体の全体が負荷Rに対して並列に接続されている。電力変換器1A,1Bの出力は対応する出力側コンデンサCoutの両端に接続され、2個の出力側コンデンサCoutによって出力電圧が互いに加算される。
図5では、電力変換器1A,1Bが、入出力共に直列の関係となる。すなわち、入力側コンデンサCinは2個直列に設けられ、2個直列体の全体が入力電路の2線間に接続されている。2線間の入力電圧は分圧され、電力変換器1A,1Bへの入力電圧となる。
図6では、電力変換器1A,1Bは、入力が直列、出力は並列の関係となる。
以上のように、2系統の電力変換器1A,1Bを用いる場合、入力・出力の接続の仕方は、図2,図4〜図6の4種類があり、必要に応じて選択することができる。電力変換器1A,1Bの制御に関しては、どの種類でも共通である。
4種類のうち、図2、図6は出力電流を大電流としたい場合や個々の電力変換器の電流負担を減らしたい場合に適し、図4,図5は出力電圧を高電圧にしたい場合や個々の電力変換器の耐圧を減らしたい場合に適する。また、コンデンサの直列体を使う場合、複数のコンデンサによって容易に入力電圧を分割し、又は、出力電圧を合成することができる。さらに、コンデンサのインピーダンスが、主成分の電圧の周波数に対しては負荷より十分に大きく、スイッチング周波数に対しては負荷より十分に小さくなるようにすることで高調波電流をコンデンサに流すことができる。
図7は、図2,図3の電力変換装置100のスイッチングのタイミングチャートを示す図である。横軸は制御位相ωtを表している。なお、スイッチング周波数をfSWとすると、ω=2πfSWであり、tは時間である。Tは、スイッチング周期であり、T=1/fswである。制御の1周期分の位相は、ωT(=ω/fsw)である。4つのタイムチャートは、上から順に、(a)がスイッチング素子SW11,SW14のタイムチャート、(b)がスイッチング素子SW12,SW13のタイムチャート、(c)がスイッチング素子SW21,SW24のタイムチャート、(d)がスイッチング素子SW22,SW23のタイムチャートである。
図7に示すように、スイッチング素子SW11、SW14とスイッチング素子SW12、SW13は相補的にオン/オフする関係にある。なお、詳細には、オン/オフが切り替わる瞬間にスイッチング素子SW11、SW14とスイッチング素子SW12、SW13が同時にオンにならないよう、微小なデッドタイムを設けるが、ここではその図示は省略する。同様に、スイッチング素子SW21、SW24とスイッチング素子SW22、SW23は相補的にオン/オフする関係にある。
ここで、電力変換器1Aについての(a)及び(b)の2つのタイムチャートと、電力変換器1Bについての(c)及び(d)の2つのタイムチャートとは、互いに制御位相がφだけずれている。このずれは、どちらが「進み」でも「遅れ」でも構わない。電力変換器1Aに関しては、(a)及び(b)のスイッチング周波数fsw成分及び、その高調波成分をもつコモンモード電流が発生する。電力変換器1Bに関しては、(c)及び(d)のスイッチング周波数fsw成分及び、その高調波成分をもつコモンモード電流が発生する。
電力変換器1Aで発生するコモンモード電流をIg1A、電力変換器1Bで発生するコモンモード電流をIg1Bとすると、制御位相がφずれているため、これらコモンモード電流のN次高調波成分同士の位相差は、Nφとなる(Nは次数を表し、整数である)。
図3の2系統の電力変換器1A,1Bにおけるコモンモード電流Iは、電力変換器1Aで発生するコモンモード電流Ig1Aと、電力変換器1Bで発生するコモンモード電流Ig1Bとの和である。
また、電力変換器1A及び電力変換器1Bの入力電圧と入力電流とが互いに全く等しく、かつ、電力変換器1A及び電力変換器1Bは特性が全く等しい、と仮定すると、電力変換器1Aで発生するコモンモード電流Ig1Aと、電力変換器1Bで発生するコモンモード電流Ig1Bの大きさは互いに等しい。また、電力変換器1Aと電力変換器1Bとでは、等しく電力分配されるため、Ig1AとIg1Bの大きさは、1系統の場合のコモンモード電流をI’とすると、|Ig1A|=|Ig1B|=|I’|/2である。従って、高調波の次数をNとすると、2系統にした場合のコモンモード電流のN次高調波成分の大きさ|IgN|は、1系統の場合のコモンモード電流のN次高調波成分の大きさ|I’gN|を用いて式(1)で表される。
ここで、電力変換器1A及び電力変換器1Bを、同期すなわちφ=0で制御すると、式(1)は|IgN|=|I’gN|となり、コモンモード電流は低減されない。しかし、φ≠0で制御すると、|IgN|≦|I’gN|となり、コモンモード電流が低減される。最もコモンモード電流が低減されるφは、φ=πのときであり、そのときのコモンモード電流は、Nが奇数の場合|IgN|=0、Nが偶数の場合|IgN|=|I’gN|となる。つまり、2つの制御位相の差が、πだけずれているとき、コモンモード電流が最も低減される。
なお、電力変換器1Aと1Bとは同一構成であり、互いに同じ主成分の電圧を同じ位相で出力する。すなわち、制御位相は異なっても、2つの電力変換器1A,1Bで出力の主成分の電圧及び位相が同じであるので、出力は並列又は直列に合成することができる。例えば交流を出力する場合、50Hz又は60Hzの周波数であり、制御周波数は例えば10kHz以上であって、周波数に圧倒的な差があるので、制御位相のずれは出力の基本波に影響しない。出力が直流であっても同様である。
制御位相のずれを正確に作り出すには、例えば、制御部5同士がクロック同期をとる必要がある。そのため、前述のように、電力変換器1A,1Bの制御部5同士は通信が可能となっている。なお、その他、電力変換器1A,1Bの制御部5を一つにまとめるか、又は、共通の上位の制御部を設けることもできる。後述の3系統以上でも同様である。
次に制御位相の差φがコモンモード電流に与える影響についてのシミュレーション結果について説明する。
図8は、φ=0の場合の、コモンモード電流の波形の一例を示すグラフである。横軸は時間[μs]、縦軸はコモンモード電流[A]である。このグラフでは電力変換器1Aのコモンモード電流Ig1Aと、電力変換器1Bのコモンモード電流Ig1Bとが互いに同位相であり、同じ波形で重なっている。
図9は、φ=πの場合の、コモンモード電流の波形の一例を示すグラフである。横軸は時間[μs]、縦軸はコモンモード電流[A]である。実線は電力変換器1Aのコモンモード電流Ig1Aを表し、点線は電力変換器1Bのコモンモード電流Ig1Bを表している。φ=πの場合、コモンモード電流Ig1A、Ig1Bは互いに逆位相である。
図10は、2つの電力変換器1A,1B全体としてのコモンモード電流Iすなわち、I=Ig1A+Ig1Bの波形を示すグラフである。実線はφ=0の場合のIを示し、点線はφ=πの場合のIを示している。2つの波形を比較すれば明らかに、φ=πの場合には、Ig1A、Ig1Bが互いに打ち消し合い、コモンモード電流の振幅が大きく低減されていることがわかる。
図11は、電力変換器が1系統時のコモンモード電流の各高調波成分の絶対値と、2系統でφ=2π/3のときのコモンモード電流の各高調波成分の絶対値と、2系統でφ=πのときのコモンモード電流の各高調波成分の絶対値とを、周波数ごとに左から並べて示すグラフである。横軸は周波数[kHz]、縦軸はコモンモード電流[mA]である。
スイッチング周波数は40kHzである。2系統でφ=πのとき、Nが奇数の高調波成分である40kHz成分、120kHz成分、200kHz成分はほぼ0となり、十分に低減されていることがわかる。Nが偶数の高調波成分である80kHz成分、160kHz成分、240kHz成分は1系統時と同程度であることがわかる。2系統でφ=2π/3のときはどの周波数においても0とはならないが、1系統時と同程度か、あるいは低減されていることがわかる。
図12は、1系統時のコモンモード電流の各高調波成分の実効値と、2系統でφ=2π/3のときのコモンモード電流の各高調波成分の実効値と、2系統でφ=πのときのコモンモード電流の各高調波成分の実効値とを示すグラフである。φ=0にすることでコモンモード電流の各高調波成分の実効値が低減され、φ=πのときに最も低減される。
[電力変換装置としての第2実施形態(3系統)]
次に、3系統(3台)の電力変換器を用いた例を示す。3系統の電力変換器の各々の入力端または出力端を直列または並列に接続するためには、図13〜図16に示す4通りの構成がある。
図13は、入力が並列、出力が並列の構成を示す図である。図14は、入力が並列、出力が直列の構成を示す図である。図15は入力が直列、出力も直列の構成を示す図である。図16は入力が直列、出力が並列の構成を示す図である。構成は要求仕様に合わせて自由に選択できる。
図17は、図13〜図16の電力変換装置100のスイッチングのタイミングチャートを示す図である。横軸は制御位相ωtを表している。なお、スイッチング周波数をfSWとすると、ω=2πfSWであり、tは時間である。Tは、スイッチング周期であり、T=1/fswである。制御の1周期分の位相は、ωT(=ω/fsw)である。上から順に、(a)がスイッチング素子SW11,SW14のタイムチャート、(b)がスイッチング素子SW12,SW13のタイムチャート、(c)がスイッチング素子SW21,SW24のタイムチャート、(d)がスイッチング素子SW22,SW23のタイムチャート、(e)がスイッチング素子SW31,SW34のタイムチャート、(f)がスイッチング素子SW32,SW33のタイムチャートである。
Tはスイッチング周期(スイッチング周波数fswの逆数)である。スイッチング素子SW11、SW14とスイッチング素子SW12、S13は相補的にオン/オフする。スイッチング素子SW21、SW24とスイッチング素子SW22、S23は相補的にオン/オフする。また、スイッチング素子SW31、SW34とスイッチング素子SW232、S33は相補的にオン/オフする。
また、電力変換器1Aについての(a)、(b)の2つのタイムチャートと、電力変換器1Bについての(c)、(d)の2つのタイムチャートとは、互いに制御位相がφだけずれている。電力変換器1Aに関しては、(a)及び(b)のスイッチング周波数fsw成分及び、その高調波成分をもつコモンモード電流が発生する。電力変換器1Bに関しては、(c)及び(d)のスイッチング周波数fsw成分及び、その高調波成分をもつコモンモード電流が発生する。さらに、電力変換器1Aについての(a)、(b)の2つのタイムチャートと、電力変換器1Cについての(e)、(f)の2つのタイムチャートとは、互いに制御位相がφだけずれている。電力変換器1Cに関しては、(e)及び(f)のスイッチング周波数fsw成分及び、その高調波成分をもつコモンモード電流が発生する。なお、φ、φのずれは、進み又は遅れである。
φ、φは任意に設定できる。2系統の場合と同様に考えると、コモンモード電流のN次高調波成分の大きさ|IgN|は、1系統の場合のコモンモード電流のN次高調波成分の大きさ|I’gN|を用いて以下の式(2)で表される。
ここで、電力変換器1A、電力変換器1B及び電力変換器1Cの制御を互いに同期させると、言い換えれば、φ=φ=0で制御すると、式(2)は|IgN|=|I’gN|となり、コモンモード電流は低減されない。しかし、φ=φ=0以外で制御すると、|IgN|≦|I’gN|となり、コモンモード電流が低減される。最もコモンモード電流が低減されるφとφの組み合わせは、φ=2π/3、φ=4π/3のとき(φ≦φとする場合)であり、そのときのコモンモード電流は、Nが3で割り切れない高調波では|IgN|=0、Nが3の倍数である高調波では|IgN|=|I’gN|となる。つまり、3つの制御位相差が2π/3ずつ均等にずれているとき、コモンモード電流が最も低減される。
図18は、φ=φ=0の場合の、コモンモード電流の波形の一例を示すグラフである。横軸は時間[μs]、縦軸はコモンモード電流[A]である。このグラフでは、電力変換器1Aのコモンモード電流Ig1Aと、電力変換器1Bのコモンモード電流Ig1Bと、電力変換器1Cのコモンモード電流Ig1Cが互いに同位相であり、同じ波形で重なっている。
図19は、φ=2π/3、φ=4π/3の場合の、コモンモード電流の波形の一例を示すグラフである。横軸は時間[μs]、縦軸はコモンモード電流[A]である。実線は電力変換器1Aのコモンモード電流Ig1Aを表し、点線は電力変換器1Bのコモンモード電流Ig1Bを表し、さらに、一点鎖線は電力変換器1Cのコモンモード電流Ig1Cを表している。コモンモード電流Ig1A、Ig1B、Ig1Cは2π/3ずつ位相がずれている。
図20は、3つの電力変換器1A,1B,1C全体としてのコモンモード電流Iすなわち、I=Ig1A+Ig1B+Ig1Cの波形を示すグラフである。実線はφ=φ=0の場合のIを示し、点線はφ=2π/3、φ=4π/3の場合のIを示している。φ=2π/3,φ=4π/3の場合、Ig1A、Ig1B、Ig1Cが互いに打ち消し合うため、φ=φ=0の場合に比べてコモンモード電流Iの振幅は小さくなる。
図21は、電力変換器が1系統時のコモンモード電流の各高調波成分の絶対値と、3系統でφ=π/2、φ=πのときのコモンモード電流の各高調波成分の絶対値と、3系統でφ=2π/3、φ=4π/3のときのコモンモード電流の各高調波成分の絶対値とを周波数ごとに左から並べて示すグラフである。横軸は周波数[kHz]、縦軸はコモンモード電流[mA]である。
スイッチング周波数は40kHzである。3系統でφ=2π/3、φ=4π/3のとき、Nが奇数の高調波成分である40kHz成分、120kHz成分、200kHz成分はほぼ0となり、十分に低減されていることがわかる。Nが偶数の高調波成分である80kHz成分、160kHz成分、240kHz成分は1系統時と同程度であることがわかる。3系統でφ=π/2、φ=πのときはどの周波数においても0とはならないが、1系統時と同程度か、あるいは低減されていることがわかる。
図22は、1系統時のコモンモード電流の各高調波成分の実効値と、3系統でφ=π/2、φ=πのときの、コモンモード電流の各高調波成分の実効値と、3系統でφ=2π/3、φ=4π/3のときのコモンモード電流の各高調波成分の実効値とを示すグラフである。φ=π/2、φ=πにすることで、コモンモード電流の各高調波成分の実効値が低減され、さらに、φ=2π/3、φ=4π/3のときに最も低減される。
[電力変換装置としての第3実施形態(多系統)]
上記2つの実施形態の拡大版として、4系統、5系統、もしくはそれ以上の系統数に増やしても、コモンモード電流の低減効果が期待できる。
図23及び図24は、4系統の際の回路接続の例を示す図である。図23の場合、電力変換器1A,1B,1C,1Dの入力は4並列、出力は4直列である。図24の場合は、入力は2並列の2直列、出力は2直列の2並列である。入力・出力共に、4並列、2並列の2直列、2直列の2並列、4直列の4種類があるため、全体としては、16種類の接続が可能である。直列と並列とを組み合わせる場合は、個々の電力変換器の定格を増大させずに、全体として電流も電圧も、相応に大きく確保することができる。
なお、参考までに、4つの電力変換器を接続する構成としては、上記の16種類以外にも存在する。例えば、3直列したものと1つを並列に接続する等がある。ところが、このような構成を採用すると、3直列した電力変換器と、1つの電力変換器とでは、電圧に違いが生じてしまい、実用的には使えない。従って、全ての電力変換器の入出力電圧・入出力電流の大きさと位相は全て等しくなる構成にしなければならない。
また、見方をかえると、4系統は2系統化が2つの組み合わせと考えることができる。例えば、図24は図4の2並列電力変換器を1つの電力変換器と見て、図6のように接続したと考えることができる。他の構成も同様の考えで構成することができる。この考えを適用すると、例えばそれぞれの電力変換器の制御位相差をπ/2ずつ均等にずらして制御することで、4N次高調波以外の電流を打ち消すことができる。
同様に、6系統は2系統化1つと3系統化1つの組み合わせと考えることができる。この場合、例えばそれぞれの電力変換器の制御位相差をπ/3ずつ均等にずらして制御することで、6N次高調波以外の電流を打ち消すことができる。
以上のことをまとめると、系統数が2×3(a,bはそれぞれ0又は任意の正の整数)であり、かつ各々の電力変換器の制御の位相差は2π/(2×3)で均等にずらしたとき、(2×3×N)次高調波成分以外のコモンモード電流を打ち消す効果が期待でき、コモンモード電流が最も低減される。但し、現実的には、各々の制御の位相差は必ずしも2π/(2×3)でなくとも、一定の、コモンモード電流の低減効果は得られる。また、系統数が2×3以外であっても制御位相をずらすことで、一定の、コモンモード電流の低減効果は得られる。
例えば、図25は、1系統、2系統(制御位相差π)、3系統(制御位相差2π/3)、4系統(制御位相差π/2)、6系統(制御位相差π/3)のコモンモード電流の各高調波成分の絶対値を示すグラフである。なお、棒グラフは、周波数ごとに、左から、1系統、2系統、3系統、4系統、6系統の順になっている(数値が出ないところは0と表記されている。)。前述のように、系統数が2×3であるとき、(2×3×N)次高調波成分以外のコモンモード電流が打ち消されている。
図26は、1系統、2系統(制御位相差π)、3系統(制御位相差2π/3)、4系統(制御位相差π/2)、6系統(制御位相差π/3)のコモンモード電流の各高調波成分の実効値を示すグラフである。3系統を除き、系統数が多いほどコモンモード電流の各高調波成分の実効値が減少する。
[電力変換装置としての第4実施形態(DC/DCコンバータ)]
上記の実施形態1〜3は全て図1に示す変圧装置としての電力変換器への適用として説明したが、電力変換器は他の変換器でも適用可能である。
図27は、例えば、フルブリッジDC/DCコンバータを電力変換器11A,11B,11Cとして入力3並列、出力3並列の接続の仕方で3系統接続した電力変換装置100の回路図である。制御の要領は図17と同じである。
電源2は直流電源であり、例えば電力変換器11A内では、スイッチング素子SW11,SW12,SW13,SW14によって構成されたインバータにより交流化され、その後、ダイオードD11,D12,D13,D14により直流に戻される。同様に、電力変換器11Bは、スイッチング素子SW21,SW22,SW23,SW24、及び、ダイオードD21,D22,D23,D24を備えている。電力変換器11Cは、スイッチング素子SW31,SW32,SW33,SW34、及び、ダイオードD31,D32,D33,D34を備えている。
図28は、電力変換器11A、電力変換器11B及び電力変換器11Cそれぞれの、コモンモード電流Ig1A、Ig1B、Ig1Cの波形を示す図である。図28はφ=φ=0の場合を示している。この場合、コモンモード電流Ig1A、Ig1B、Ig1Cは全て互いに同位相であり、同じ波形で重なっている。
図29は、φ=2π/3,φ=4π/3の場合のコモンモード電流の波形を示す図である。実線は電力変換器11A、点線は電力変換器11B、一点鎖線は電力変換器11Cに関する波形である。この場合、コモンモード電流Ig1A、Ig1B、Ig1Cは2π/3ずつ位相が異なる。
図30は、Ig1A、Ig1B、Ig1Cを合計したコモンモード電流I(=Ig1A+Ig1B+Ig1C)の波形を示す図である。実線は、φ=φ=0の場合、点線は、φ=2π/3,φ=4π/3の場合である。φ=2π/3,φ=4π/3の場合、Ig1A、Ig1B、Ig1Cが互いに打ち消し合うため、φ=φ=0の場合に比べてコモンモード電流Iの振幅は明らかに小さくなる。
図31は、1系統時のコモンモード電流の各高調波成分の絶対値と、3系統でφ=2π/3、φ=4π/3のときのコモンモード電流の各高調波成分の絶対値とを周波数ごとに左から並べて示すグラフである。スイッチング周波数は40kHzである。全波整流は、奇数次高調波は発生しないため、1系統時も奇数次高調波のコモンモード電流は発生しない。3系統でφ=2π/3、φ=4π/3のとき、偶数次高調波以外、かつ3N次高調波成分以外、つまり、6N次高調波成分以外である40kHz成分、80kHz成分、120kHz、160kHz、200kHz成分はほぼ0となり、十分に低減されていることがわかる。6次高調波成分である80kHz成分、160kHz成分、240kHz成分は1系統時と同程度であることがわかる。
図32は、1系統時のコモンモード電流の各高調波成分の実効値と、3系統でφ=2π/3、φ=4π/3のときのコモンモード電流の各高調波成分の実効値とを示すグラフである。φ≠0、またはφ≠0、またはその両方にすることでコモンモード電流の各高調波成分の実効値が低減され、φ=2π/3、φ=4π/3のときに最も大きく低減される。
[まとめ]
以上、詳述したように、この電力変換装置100は、少なくとも2つの電力変換器を含んでいる。そして、その2つの電力変換器に着目して言えば、電力変換装置100は、スイッチング素子を用いて所定周波数でスイッチングを行うことにより、入力を所定の出力に、非絶縁で変換する第1の電力変換器と、この第1の電力変換器と同一構成であって、入力端及び出力端がそれぞれ第1の電力変換器と並列又は直列に接続され、第1の電力変換器と同一の入力条件に基づいて、第1の電力変換器とは異なる制御位相でスイッチングを行いつつ、第1の電力変換器と同じ主成分の電圧を同じ位相で出力する第2の電力変換器と、を含むものである。第1の変換器とは、同時に使用される複数の電力変換器の中の1つであり、第2の変換器とは他の1つである。
このような電力変換装置100では、制御位相が、第1の電力変換器と第2の電力変換器とで互いに異なることによって、コモンモード電流を低減することができる。従って、インダクタンス値やスイッチング周波数を増大させることなく、コモンモード電流を低減することができる。
また、制御位相は異なっても、第1の電力変換器と第2の電力変換器とで出力の主成分の電圧及び位相が同じであるので、出力は並列又は直列に合成することができる。なお、主成分の電圧とは交流であれば50Hzや60Hzの周波数となる電圧、直流であれば本来の、0Hzの直流電圧である。かかる電力変換装置は、DC/DC変換、AC/AC変換、DC/AC変換、AC/DC変換のいずれにも適用可能である。
なお、好ましい態様としては、第1の電力変換器及び第2の電力変換器を含む電力変換器の総数は、a、bを0又は正の整数とすると、(2×3)個であり、全ての電力変換器は、相互に、前記制御位相が2π/(2×3)ずつ、ずれている。
この場合、コモンモード電流の低減効果が最も顕著になる。
[補記]
なお、上述の各実施形態については、その少なくとも一部を、相互に任意に組み合わせてもよい。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1,1A,1B,1C,1D 電力変換器
2 電源
3 前段回路
4 後段回路
5 制御部
11A,11B,11C 電力変換器
100 電力変換装置
C1,C2,C3 コンデンサ
in 入力側コンデンサ
out 出力側コンデンサ
L1,L2 インダクタ
in 入力側インダクタ
out 出力側インダクタ
N1,N2,N3 ノード
M1,M2,M3 ノード
P1,P2,P3,P4 出力ポート
SW,SW,SW,SW スイッチング素子
SW11,SW12,SW13,SW14 スイッチング素子
SW21,SW22,SW23,SW24 スイッチング素子

Claims (6)

  1. スイッチング素子を用いて所定周波数でスイッチングを行うことにより、入力を所定の出力に、非絶縁で変換する第1の電力変換器と、
    前記第1の電力変換器と同一構成であって、入力端及び出力端がそれぞれ前記第1の電力変換器と並列又は直列に接続され、前記第1の電力変換器と同一の入力条件に基づいて、前記第1の電力変換器とは異なる制御位相でスイッチングを行いつつ、前記第1の電力変換器と同じ主成分の電圧を同じ位相で出力する第2の電力変換器と、
    を含む電力変換装置。
  2. 前記第1の電力変換器及び前記第2の電力変換器を含む電力変換器の総数は、a、bを0又は正の整数とすると、(2×3)個であり、全ての電力変換器は、相互に、前記制御位相が2π/(2×3)ずつ、ずれている請求項1に記載の電力変換装置。
  3. 前記全ての電力変換器の入力及び出力のそれぞれの接続形態は、(a)全数が互いに並列接続、(b)全数が互いに直列接続、(c)同数を並列接続したもの同士を相互に直列接続、及び、(d)同数を直列接続したもの同士を相互に並列接続、のいずれか1つの形態である請求項2に記載の電力変換装置。
  4. 前記直列接続を行う場合は、各電力変換器に対応するコンデンサを設け、これらのコンデンサの直列体の両端に入力電圧が印加され又は出力電圧が生じるように構成し、各コンデンサの両端と、対応する電力変換器とを互いに接続する請求項3に記載の電力変換装置。
  5. 前記所定周波数とは10kHz以上の周波数である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  6. 同一構成の複数の電力変換器を含み、各電力変換器は、スイッチング素子を用いて所定周波数でスイッチングを行うことにより入力を所定の出力に非絶縁で変換する、電力変換装置におけるコモンモード電流の低減方法であって、
    前記複数の電力変換器について、各々の入力条件及び出力条件が互いに同じになるように入力端及び出力端をそれぞれ互いに並列、直列又は直並列に接続した状態とし、
    前記複数の電力変換器の全てが同じ主成分の電圧を同じ位相で出力するが、前記複数の電力変換器の全てにおいて互いに制御位相が異なるようにスイッチングを行う、
    コモンモード電流の低減方法。
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