以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の一実施の形態における電子機器組立装置1を示している。電子機器組立装置1は、図2(a)に示す組立前の電子機器2に対して所定の作業を施して図2(b)に示す組立後の電子機器2とするものである。本実施の形態では、電子機器組立装置1を正面から見た左右方向をX軸とし、正面から見た前後方向をY軸とする。また、上下方向をZ軸とする。
電子機器2は例えば車載用電子機器であり、図2(a),(b)に示すように、回路基板11と表示装置12を主体として構成されている。回路基板11には電子部品13が実装されており、ここでは表示装置12の表示面は下向きになっている。
図2(a),(b)において、回路基板11と表示装置12はそれぞれ矩形形状を有している。表示装置12が有する4つの辺のうち3つの辺(2つの短辺と1つの長辺)のそれぞれにはフレキシブルプリント基板等から成るケーブル14が取り付けられている。各ケーブル14は回路基板11と表示装置12とを電気的に接続するものであり、その一端(下端)側は表示装置12に予め接続されている。
図2(a)おいて、組立前の各ケーブル14は、表示装置12から上方に延びている。各ケーブル14の先端部(上端部)14Sの内側となる面には複数のケーブル側端子14Tが設けられている(図3)。各ケーブル14の先端部14Sの外側となる面には補強板15が設けられている(図2(a),(b)及び図3)。
図3において、補強板15は薄板部材から成る。補強板15の一端側はケーブル14の先端部14Sに取り付けられており、他端側はケーブル14の根元側(表示装置12側)に延びている。補強板の他端側とケーブル14との間には隙間15Sが生じている。
図2(a),(b)において、回路基板11の上面(実装面)が有する4つの縁部のうち、表示装置12のケーブル14が接続された3つの辺に対応する部分には、ケーブル14の先端部14Sが挿入されるコネクタ16が設けられている。各コネクタ16は、図4(a)に示すように、ケーブル14の先端部14Sが挿入されるケーブル受容部16aを有しており、そのケーブル受容部16aの上面には、ケーブル14が備える複数のケーブル側端子14Tと接触する複数のコネクタ側端子16Tが設けられている。
図2(a),(b)及び図4(a),(b)において、各コネクタ16にはロック部材17が備えられている。各ロック部材17は、コネクタ16に対して揺動軸17a回りに揺動(上下方向に開閉)自在に設けられた扉状の部材から成る。ロック部材17は、ケーブル14の先端部14Sがコネクタ16に挿入される前には上方に起立した開姿勢になっているが(図2(a)及び図4(a))、ケーブル14の先端部14Sがコネクタ16に挿入された後には開姿勢から倒伏するように操作されて閉姿勢となる(図2(b)及び図4(b))。ロック部材17が閉姿勢となると、ケーブル14の先端部14Sがコネクタ16のケーブル受容部16aとロック部材17との間に挟み込まれてロックされ、ケーブル14がコネクタ16から脱落するのが防止される。
次に、電子機器組立装置1について説明する。図1において、電子機器組立装置1は基台21上に作業ステージ22を有している。作業ステージ22は作業対象の電子機器2を位置決めして保持する。作業ステージ22は基台21に対して上下軸回りに回転することで、保持した電子機器2を所定の回転姿勢に位置決めする。
図5において、作業ステージ22上の電子機器2を取り囲む位置には、複数(ここでは3つ)のプッシャー23と複数(ここでは3つ)のエアブローノズル24が設けられている。各プッシャー23は、電子機器2が有する各ケーブル14の外面側(補強板15が設けられている側)と正対する位置に設けられている。各エアブローノズル24は作業ステージ22上に設けられたノズルブラケット24Bに保持されており、電子機器2が有するコネクタ16のロック部材17に対してエア吹き出し口を斜めに対向させている。
図1において、基台21の隅部からは複数のポスト部材25が上方に延びて設けられている。これら複数のポスト部材25は天面板26を基台21の上方において水平姿勢に支持している。天面板26の下面側には、ロボット部27と、ロボット部27によって姿勢が変更されるヘッド部28が設けられている。天面板26の側方には、入出力装置としてのタッチパネル29が設けられている。
図1において、ロボット部27は、固定ベース31、6本のリンク部材32及び移動ベース33を備えている。固定ベース31は天面板26の下面に取り付けられている。6つのリンク部材32は固定ベース31から下方に延出して延びている。移動ベース33は全体として板状の部材から成り、中央部に円形の開口部33Hを有している(図6)。
6つのリンク部材32のそれぞれの下端は、移動ベース33の上面の開口部33Hを取り囲む位置に、ユニバーサルジョイント32aを介して結合されている。6つのリンク部材32はそれぞれ固定ベース31に内蔵された6つのサーボ機構に駆動されて個別に作動する。6つのリンク部材32を個別に作動させることによって移動ベース33を6自由度で自在に移動させることができる。すなわち本実施の形態において、ロボット部27は、パラレルリンクロボットによって構成されている。
図6において、ヘッド部28は移動ベース33に設けられており、ケーブル保持部41、ロック部材操作部42、照明部43、撮像部44及びロック部開閉センサ45を備えている。ケーブル保持部41、ロック部材操作部42、照明部43及びロック部開閉センサ45は移動ベース33の下面側に設けられている。撮像部44は移動ベース33の上面側に設けられている。
図6及び図7において、ケーブル保持部41は、ガイドレール51、スライダ52、移動ブロック53、ばね部材54、チャックベース55、ブレード56、ケーブル保持部シリンダ57、スライド部58及びチャックブロック59を備えている。ガイドレール51は移動ベース33の下面にY軸方向に延びて設けられており、スライダ52をY軸方向に移動自在にガイドしている。移動ブロック53はスライダ52に固定されており、ガイドレール51にガイドされて、スライダ52と一体にY軸方向に移動する。
図6及び図7において、移動ブロック53のY軸方向の外側の端部(移動ベース33の中央部側から離れた側の端部)には螺子部53aがY軸方向に延びて設けられている。螺子部53aは移動ベース33から下方に延びた下方延出部33aに設けられた螺子孔を貫通して延びており、その貫通した側の端部にはナット53bが螺合している。
図6及び図7において、ばね部材54は移動ブロック53と下方延出部33aとの間に設けられている。ばね部材54は圧縮ばねから成り、移動ブロック53を移動ベース33の開口部33Hの中心側へ付勢している。ナット53bを螺子部53aに対して捻じり操作すると、移動ブロック53がY軸方向に移動する。
図6において、チャックベース55は移動ブロック53に取り付けられている。チャックベース55は、開口部33Hの中心を通るYZ平面内を斜め方向に延びており、その先端部を開口部33Hの直下の位置に向けている。ブレード56は板状の部材から成り、チャックベース55の下端に水平姿勢で取り付けられている。ブレード56はその先端部を開口部33Hの下方に位置させている。
図6において、ケーブル保持部シリンダ57はチャックベース55の上面に設けられている。スライド部58はケーブル保持部シリンダ57のピストンロッド(図示せず)に連結されており、チャックブロック59はスライド部58の下端に取り付けられている。チャックブロック59は水平な下面59aを有している。ケーブル保持部シリンダ57がスライド部58をチャックベース55に沿って移動させると、チャックブロック59の下面59aがブレード56の上面56aに対して離間したり(図8(a))、近接したりする(図8(b))。
図8(b)に示すように、チャックブロック59の下面59aがブレード56に近接した状態(チャックブロック59が閉じた状態)では、チャックブロック59の下面59aの先端部が、ブレード56の先端部よりも開口部33H側に突出して、所定長さLBの突出部分59Tが形成される。チャックブロック59の下面には、複数のスパイク爪59Sが設けられている(図8(a))。
ナット53bを螺子部53aに対して捻じり操作して移動ブロック53をY軸方向に移動させると、ブレード56の位置は、開口部33Hの下方位置に対して近接したり離間したりする。これにより必要に応じて開口部33Hの下方におけるブレード56の位置調整をすることができる。
図6及び図7において、ロック部材操作部42はシリンダブラケット61、ロックシリンダ62、緩衝部63、ローラ支持部材64及びローラ65を備えている。シリンダブラケット61は、移動ベース33の下面の開口部33Hの中心を挟んでケーブル保持部41とY軸方向に対向する位置に設けられている。
図6において、ロックシリンダ62はシリンダブラケット61に取り付けられている。ロックシリンダ62は、開口部33Hの中心を通るYZ平面内を斜め方向に延びており、ピストンロッド62Rの先端部を下方に向けている。緩衝部63はピストンロッド62Rの先端部(下端部)に取り付けられており、ローラ支持部材64を保持している。ローラ65はローラ支持部材64により転動自在に支持されている。
図6において、照明部43は、移動ベース33の下面から下方に突出して延びた複数の支持部材43Rによって水平姿勢に支持されている。照明部43は、図9に示すように、フレーム71と、フレーム71の下面側に設けられた複数の発光体72を備えている。
図9において、フレーム71は、平面視において、Y軸方向に平行な2辺と、これら2辺と直交する(すなわちX軸と平行な)2辺とを有した矩形形状を有している。フレーム71の中心(矩形の中心)は、移動ベース33の開口部33Hの中心を通る上下軸上に位置している。複数の発光体72は、例えば発光方向を下方に向けたLEDから成り、フレーム71の四辺の各辺に沿って並んで設けられている。
図9において、複数の発光体72は、フレーム71のY軸に平行な2辺に沿って配置された複数の第1の発光体72Aと、フレーム71のX軸に平行な2辺に沿って配置された複数の第2の発光体72Bを有する。照明部43は、各発光体72を発光させることにより、照明部43の下方に位置した照明対象物を照明する。各発光体72はそれぞれ独立してオンオフ並びに照度調節が可能であり、第1の発光体72Aの照度と第2の発光体72Bの照度を互いに異ならせることができる。
図6において、撮像部44は、光学レンズ部81と、撮像手段としてのカメラ82を備えている。移動ベース33の上面には撮像部ブラケット44Bが上方に延びて設けられており、この撮像部ブラケット44Bに、光学レンズ部81とカメラ82が取り付けられている。カメラ82は光学レンズ部81の上方に位置しており、カメラ82の撮像光軸82Jは開口部33Hの中心を通って上下方向に延びている。光学レンズ部81の光軸81Jも上下方向に延びており、カメラ82の撮像光軸82Jと一致している。
カメラ82は、光学レンズ部81の下方に位置した撮像対象物が照明部43によって照明された状態で、光学レンズ部81を通して撮像対象物を撮像する。本実施の形態では、カメラ82が撮像する撮像対象物は、後述するように、ケーブル14の先端部14Sとコネクタ16である。
図6において、ロック部開閉センサ45は、移動ベース33の下面の開口部33Hに近接した位置に設けられている。ロック部開閉センサ45は、計測光を下方に照射する測距センサから成り、計測光を下方に投光する投光部と、反射した計測光(反射光)を受光する受光部とを有している。ロック部開閉センサ45はコネクタ16に向けて計測光を照射し(図10)、その反射光を受光することで、コネクタ16に設けられたロック部材17の開閉状態を検出する。
具体的には、図11(a),(b)に示すように、先ず、ロック部材17の開閉姿勢によらず高さが変化しない計測位置(第1の計測位置Pa)の高さH1と、ロック部材17が開閉姿勢によって高さが変化する計測位置(第2の計測位置Pb)の高さH2と求める。そして、これら高さの差ΔH(=H1−H2)を算出し、その算出した差ΔHを、予め定めた基準値ΔH0と比較することによって、ロック部材17の開閉姿勢を検出する。
本実施の形態では、例えば、第1の計測位置Paをコネクタ16の上面に設定し、第2の計測位置Pbを、ロック部材17の上面(図11(a))或いはコネクタ16のケーブル受容部16aの上面(図11(b))に設定する。基準値ΔH0は、例えば、ロック部材17が閉姿勢になっているときに求められる差ΔHと、ロック部材17が開姿勢になっている時に求められる差ΔHとの中間の値に設定する。この場合、算出した差ΔHが基準値ΔH0よりも小さければロック部材17は開姿勢になっていると検出され、算出した差ΔHが基準値ΔH0よりも大きければロック部材17は閉姿勢になっていると検出される。
図5において、各プッシャー23は、作業ステージ22の上面に設けられたプッシャーベース23aと、プッシャーベース23aに対して水平方向に移動自在な可動片23bとを有している。プッシャーベース23aには可動片23bを作動させるためのアクチュエータ(例えばシリンダ)が内蔵されている。各エアブローノズル24は、ケーブル保持部41によってケーブル14がコネクタ16に挿入される前に、ロック部材17にエアを吹き付ける。
図12において、作業ステージ22による電子機器2の位置決め動作、ロボット部27によるヘッド部28の移動及び姿勢変化動作、ケーブル保持部41が備えるケーブル保持部シリンダ57の動作、ロック部材操作部42が備えるロックシリンダ62の動作、照明部43が備える各発光体72の発光(照度調節)動作及び撮像部44が備えるカメラ82の撮像動作の各制御は、電子機器組立装置1が備える制御部90が行う。また、複数のプッシャー23それぞれにおける可動片23bを作動させる制御と、複数のエアブローノズル24のそれぞれからエアを吹き出させる制御も、制御部90が行う。
図12において、カメラ82が撮像して得られた画像(撮像画像)に基づく解析は制御部90の画像解析部91が行い、ロック部開閉センサ45の検出情報に基づく各コネクタ16のロック部材17の開閉判断は制御部90のロック判断部92が行う。タッチパネル29から入力される情報は制御部90に入力され、制御部90はタッチパネル29を通じて作業者に情報の出力を行う。
次に、図13に示すフロー図を用いて、本実施の形態における電子機器組立装置1によるコネクタ16に対するケーブル14の挿入及びロック動作から成るケーブル装着作業の実行手順を説明する。ここでは1つのケーブル14を対応するコネクタ16に装着する例を説明するが、他のケーブル14を対応するコネクタ16に装着する場合も同様にして行われる。ケーブル装着作業が行われる前には、予め、作業対象となる電子機器2が作業ステージ22に保持される。このとき、電子機器2が備える全てのコネクタ16のロック部材17は開姿勢にされる。
ケーブル装着作業では、先ず、電子機器2の位置調整を行う(図13に示すステップST1の電子機器位置調整工程)。具体的には、作業ステージ22が作動して、これからコネクタ16に挿入しようとするケーブル14の外側の面(補強板15が取り付けられている側の面)が、チャックブロック59の先端部と対向するように、上下軸回りに回転する。
電子機器2の位置調整を行ったら、図14に示すように、ケーブル14の挿入対象となっているコネクタ16に対応して設けられているエアブローノズル24が、そのコネクタ16のロック部材17に向けてエア24aを一定時間吹き付ける(ステップST2のエアブロー工程)。これにより、ロック部材17が半開きの状態であったとしても、そのロック部材17は開姿勢にされる。
ロック部材17にエアを吹き付けたら、ロック部開閉センサ45が、ケーブル14の挿入対象となっているコネクタ16のロック部材17が開姿勢になっているかどうかを検査する(ステップST3の開姿勢検査工程)。具体的には、ロボット部27がヘッド部28を移動させて、ロック部開閉センサ45をコネクタ16の上方に位置させる(図10)。そして、前述したように、ロック部開閉センサ45からコネクタ16に向けて計測光を照射し、その反射光を受光することで、コネクタ16に設けられたロック部材17の開閉状態を検出する。
ロック部材17が開姿勢になっているかどうかを検査した結果、ロック部材17が開姿勢となっていなかった(閉姿勢となっていた)場合には作業を一旦中止したうえで、タッチパネル29を介して、ロック部材17が閉じている旨を報知する(ステップST4の報知工程)。この報知を受けた作業者はロック部材17を手作業で開き、タッチパネル29より作業を再開させる操作を行う。
開姿勢検査工程でロック部材17が開姿勢になっていることが検出された場合や、開姿勢検査工程でロック部材17が閉姿勢になっていることが検出された後、タッチパネル29から作業再開の操作がなされた場合には、次のケーブル押圧工程(ステップST5)を実行する。ケーブル押圧工程では、ケーブル14がケーブル保持部41によって保持され易い姿勢となるように、プッシャー23によってケーブル14を押圧する。具体的には、ケーブル14の挿入対象となっているコネクタ16と対向する位置にあるプッシャー23が可動片23bをケーブル14の側に突出させる(図15(a)→図15(b))。これによりケーブル14の中間部は可動片23bによってコネクタ16側に押圧され、上端部(先端部)を頭下げするように姿勢を変化させるので(図15(b))、ケーブル保持部41はケーブル14を保持し易くなる。このときプッシャー23は、ケーブル14の押圧を、後述のケーブル保持工程が終了するまで継続する。
プッシャー23によりケーブル14が押圧されたら、ロボット部27はヘッド部28を移動させて、ケーブル保持部41にケーブル14を保持させる(ステップST6のケーブル保持工程)。具体的には、ケーブル保持部41は、ブレード56をケーブル14と補強板15との間の隙間15Sに差し込んで掬い上げるように動作する(図16(a)→図16(b))。そして、ブレード56に対してチャックブロック59を近接させ(図17(a)→図17(b))、ブレード56の上面56aとチャックブロック59の下面59aとの間で補強板15を挟み込んで、ケーブル14を保持する。これによりケーブル14の先端部14Sは、チャックブロック59の先端から突出した状態となる(図17(b))。
ここで、前述のように、プッシャー23は、ケーブル保持部41がケーブル14を保持する前に、ケーブル14がケーブル保持部41によって保持され易い姿勢となるようにケーブル14を押圧するようになっているため、ケーブル保持部41によるケーブル14の保持ミスの発生が起きにくい。
ケーブル保持工程でケーブル保持部41がケーブル14を保持したときは、チャックブロック59の下面59aに設けられた複数のスパイク爪59Sが補強板15の表面に僅かに食い込む。このため、チャックブロック59に対する補強板15の滑りが防止され、補強板15がブレード56とチャックブロック59にしっかりと保持される。ここで、ケーブル14が補強板15とともにチャックブロック59とブレード56との間に挟み込まれることにより、ケーブル14に反り形状や波打ち形状等の変形が生じていた場合であっても、その変形が矯正される。
上記のようにしてケーブル保持部41がケーブル14を保持したら、コネクタ16に対してケーブル14を仮位置決めする(ステップST7の仮位置決め工程)。ケーブル14の仮位置決めでは、ロボット部27がヘッド部28を移動させて、ケーブル14の先端部14Sをコネクタ16に水平姿勢で接近させる。そして、ケーブル14の先端部14Sとコネクタ16がともに、カメラ82の撮像可能領域内に位置するようにする(図18)。
上記のようにしてコネクタ16に対してケーブル14を仮位置決めしたら、照明部43はケーブル保持部41に保持されたケーブル14を照明し、カメラ82は照明部43による照明のもとで、コネクタ16をケーブル14とともに撮像する(ステップST8の撮像工程)。撮像工程で照明部43が照明を行うとき、第1の発光体72Aは、第2の発光体72Bよりも相対的に高い照度で発光される。このため、第1の発光体72Aの並び方向(Y軸方向)と平行な領域LR(図19)を通過するケーブル14の2つの側縁(コネクタ16に対する挿入方向と平行なケーブル14の側縁)は他の領域よりも明るく照らされ、そのエッジを正確に認識することができる。
このように、本実施の形態では、撮像工程において、照明部43は、コネクタ16に対する挿入方向に平行なケーブル14の側縁がケーブル14の他の部分よりも相対的に明るくなるようにケーブルを照明するようになっている。
上記のような照明部43による照明のもとで、カメラ82はコネクタ16とケーブル14の先端部14Sを撮像する。カメラ82によりコネクタ16とケーブル14が撮像されたら、その撮像によって得られた撮像画像に基づいて、制御部90がケーブル14の先端部14Sとコネクタ16との相対的位置関係を認識する(ステップST9の認識工程)。
図20は、撮像工程で得られた画像(撮像画像GZと称する)の一例を示している。この撮像画像GZには、ケーブル保持部41のチャックブロック59の先端部と、チャックブロック59に保持されたケーブル14の先端部14Sとともに、ロック部材17が開姿勢となった状態のケーブル装着前のコネクタ16とが表れている。カメラ82とチャックベース55との位置関係は固定であり、チャックブロック59はチャックベース55に沿って平面視においてY軸方向にのみ移動することから、撮像画像GZにおけるチャックブロック59の向きは常に一定となる。
これに対し、ケーブル保持部41によって保持されたケーブル14の向きとコネクタ16の向きとは、撮像画像GZに対して一定ではない。このため、ケーブル14をコネクタ16に挿入する際には、得られた撮像画像GZに基づいて、ケーブル14とコネクタ16との相対位置関係を取得し、コネクタ16に対するケーブル14の先端部14Sの位置が予め定められた位置関係となるように、正式な位置決め(コネクタ16に対するケーブル14の位置決め)を行う必要がある。
図20に示す例では、ケーブル14の先端部14Sの隅部の2箇所(R1,R2)をケーブル14側の認識点としてその位置を認識し、コネクタ16のケーブル14と対向する側の隅部の2箇所(R3,R4)と、これら2箇所の一方(R3)の後方の隅部の1箇所(R5)をコネクタ16側の認識点として、その位置を認識する。そして、ケーブル14側の2箇所の認識点(R1,R2)の中間の位置をケーブル14側の代表点(ケーブル側代表点PM1)の位置として求め、コネクタ16側の認識点(R3,R4)の中間の位置をコネクタ16側の代表点(コネクタ側代表点PM2)の位置として求める。また、コネクタ16側の2つの認識点(R3,R5)の位置から、コネクタ16の向き(Z軸回り方向の向き)を求める。
カメラ82がケーブル14とコネクタ16を撮像する撮像工程では、前述したように、照明部43の第1の発光体72Aが第2の発光体72Bよりも相対的に高い照度で発光され、コネクタ16に対する挿入方向に平行なケーブル14の2辺が他の部分よりも明るくなるようにケーブル14が照明されるので、比較的検出しにくいケーブル14の先端部14Sの隅部の2箇所の認識点(R1,R2)の位置を正確に認識することができる。また、撮像工程ではコネクタ16はケーブル14の先端部14Sと対向した状態となっているので、コネクタ16側の3つの認識点(R3,R4,R5)の位置も同様に、正確に認識することができる。
上記のようにしてケーブル側代表点PM1の位置と、コネクタ側代表点PM2の位置と、コネクタ16の向きとを認識したら、コネクタ16の向きがY軸方向に一致し、かつ、ケーブル側代表点PM1とコネクタ側代表点PM2の間の距離が適正な距離となるように、ケーブル14をコネクタ16に対して位置決めする(ステップST10の位置決め工程)。このコネクタ16に対するケーブル14の位置決めは、ロボット部27によってヘッド部28を移動させることによって行う。
コネクタ16に対するケーブル14の位置決めがなされたら、ロボット部27はヘッド部28を移動させて、ケーブル保持部41に保持させたケーブル14の先端部14Sを、コネクタ16のケーブル受容部16aに挿入させる(図21(a)。ステップST11のケーブル挿入工程)。このときロボット部27は、コネクタ16に対してケーブル14の先端部14Sを斜め上方から挿入させた後、補強板15がほぼ水平姿勢になるようにケーブル保持部41を移動させる(図21(b))。なお、上記のようにしてケーブル14の先端部14Sをコネクタ16に挿入させる際、ブレード56の先端が電子機器2等に当接してしまった場合であっても、移動ブロック53と下方延出部33aとの間に設けられたばね部材54が圧縮して衝撃を逃がすので、ブレード56に過大な力が作用することが防止される。
ケーブル14の姿勢が整えられたら、ロック部材操作部42によりロック部材17を操作して、コネクタ16に挿入されたケーブル14をコネクタ16にロックする(ステップST12のロック部材操作工程)。具体的には、ロボット部27がヘッド部28を移動させ、ロック部材操作部42のローラ65をロック部材17の背面側に位置させたうえで、ピストンロッド62Rを下方に前進させる。これによりローラ65はロック部材17に背面側から当接し、ロック部材17上を転動しながら押圧する(図22(a)→図22(b))。これによりロック部材17は倒伏して閉姿勢となり、ケーブル側端子14Tはコネクタ側端子16Tに押し付けられて、ケーブル14はコネクタ16にロックされる。
上記ロック部材操作工程では、ローラ65がロック部材17の背面側に当接してロック部材17の押圧(倒伏)が開始される時点では、ケーブル保持部41はまだ、ケーブル14を保持した状態(ブレード56とチャックブロック59によりケーブル14を挟んだ状態)を維持している(図22(a))。そして、ローラ65によるロック部材17の押圧が始まった後にはじめて、ブレード56に対してチャックブロック59を上昇させ、補強板15の挟み込み(チャック状態)を解除する。換言すると、ロック部材操作部42は、コネクタ16に挿入されたケーブル14がケーブル保持部41によって保持されている状態でロック部材17の操作を開始する。
このように、本実施の形態では、ロック部材操作工程におけるロック部材操作部42の操作は、コネクタ16に挿入されたケーブル14がケーブル保持部41によって保持されている状態で開始されるようになっている。このため、ケーブル保持部41によってコネクタ16に挿入されたケーブル14がロック部材17によってコネクタ16にロックされる前に、ケーブル14に何らかの外乱が作用したような場合であっても、コネクタ16からケーブル14が脱落してしまう事態を防止することができる。
上記ロック部材操作工程において、ローラ65がロック部材17に当接する際には、ローラ65はロック部材17から衝撃を受けるが、ローラ65とロックシリンダ62との間には緩衝部63が設けられており、この緩衝部63によってローラ65が受ける衝撃が緩和される。このためローラ65が受ける衝撃はロックシリンダ62に伝わりにくく、ロックシリンダ62が衝撃から保護される。
ロック部材操作工程が終了したら、ロック部材操作部42によってロック操作したロック部材17が閉姿勢になっているかどうかの検査を行う(ステップST13の閉姿勢検査工程)。具体的には、ロボット部27がヘッド部28を移動させて、ロック部開閉センサ45をコネクタ16の上方に位置させる(図10)。そして、ロック部開閉センサ45からコネクタ16に向けて計測光を照射し、その反射光を受光することで、コネクタ16に設けられたロック部材17の開閉状態を検出する(図22(c))。
ロック部材17が閉姿勢になっているかどうかを検査した結果、ロック部材17が閉姿勢となっていなかった場合には、制御部90は作業を一旦中止したうえで、タッチパネル29を介して、ロック部材17が閉じていない(開いている)旨を報知する(ステップST14の報知工程)。この報知を受けた作業者はロック部材17を手作業で閉じ、タッチパネル29より作業を再開させる操作を行う。
閉姿勢検査工程でロック部材17が閉姿勢になっていることが検出された場合や、閉姿勢検査工程でロック部材17が開姿勢になっていることが検出された後、タッチパネル29から作業再開の操作がなされた場合には、ケーブル14は正常にコネクタ16に接続されたとして、コネクタ16のひとつ当たりのケーブル装着作業が終了する。他のケーブル14を対応するコネクタ16に装着する場合には、作業ステージ22を回転させ、作業ステージ22を(すなわち電子機器2を)ケーブル保持部41に対して相対的に移動させたうえで、同様の工程を実行する。
以上説明したように、本実施の形態における電子機器組立装置1及びこの電子機器組立装置1による電子機器2の組立方法(電子機器組立方法)では、ケーブル保持部41がケーブル14を保持してそのケーブル14をコネクタ16に挿入するようになっており、従来のようにケーブルをコネクタに挿入する作業に2つのロボットを用いることなく、簡易な構成によりケーブルをコネクタに挿入する作業を行うことができるので、電子機器の組立作業の作業品質を向上させることができる。
また、本実施の形態における電子機器組立装置1及び電子機器組立方法では、ケーブル保持部41によりケーブル14を保持する前に、ケーブル14がケーブル保持部41によってされ易い姿勢となるように、プッシャー23によってケーブル14を押圧するようになっている。このためケーブル保持部41はケーブル14を確実に保持することができ、ケーブル保持部41によるケーブル14の保持ミスの発生を低減することができる。
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されない。例えば、上述の実施の形態では、電子機器組立装置1が備えるケーブル保持部41は、ケーブル14に設けられた補強板15を挟み込んでケーブル14を保持する構成であったが、ケーブル14の両側縁をケーブル14の側方から挟み込む構成であってもよい。この場合、ケーブル14に補強板15が取り付けられていてもよいし、取り付けられていなくてもよい。