以下、図面を参照して、各実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る情報処理装置(作業スケジューリング装置)の構成の一例を示すブロック図である。本実施形態に係る情報処理装置は、作業を行う作業者の各々に対して適した作業を割り当てる(つまり、作業のスケジューリングを行う)ために用いられる、例えばパーソナルコンピュータ(PC)等の電子機器を含む。
図1に示すように、情報処理装置10は、作業コスト情報格納部11及び処理部12を含む。
作業コスト情報格納部11は、例えば情報処理装置10に備えられる例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、ROM(Read Only Memory)またはRAM(Random Access Memory)等の記憶装置を用いて実現される。
作業コスト情報格納部11には、作業者の状態、作業の種類、当該作業者による作業に要する時間及び当該作業にかかる当該作業者の疲労度の関連性を示す作業コスト情報が格納されている。なお、作業コスト情報は、例えば過去の作業者による作業の履歴を示す情報(以下、作業履歴情報と表記)に基づいて生成される。作業コスト情報の詳細については後述する。
処理部12は、例えば記憶装置に格納されたプログラムを実行する情報処理装置10に備えられるコンピュータ(例えば、プロセッサ等)を含む。なお、コンピュータによって実行されるプログラムには、オペレーティングシステム及び上記した作業のスケジューリングを行うためのアプリケーションプログラム(以下、スケジューリングプログラムと表記)等が含まれる。
処理部12は、取得部121、予測部122及び割当部123を含む。処理部12に含まれる各部121〜123の一部または全ては、例えばコンピュータに上記したスケジューリングプログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアによって実現されるものとする。コンピュータに実行させるスケジューリングプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納して頒布されてもよいし、またはネットワークを通じて情報処理装置10にダウンロードされてもよい。
なお、これらの各部121〜123の一部または全ては、例えばIC(Integrated Circuit)等のハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェア及びハードウェアの組み合わせ構成として実現されてもよい。
取得部121は、作業の割り当ての対象となる作業者(以下、対象作業者と表記)の状態を示す情報(以下、状態情報と表記)を取得する。この状態情報は、例えば作業効率に影響を及ぼす因子となる作業者の状態を示す情報である。
予測部(算出部)122は、作業コスト情報格納部11に格納されている作業コスト情報及び取得部121によって取得された状態情報に基づいて、対象作業者が当該対象作業者に割り当てられる対象となる作業(以下、対象作業と表記)を行うのに要する時間を予測(算出)する。
また、予測部122は、作業コスト情報格納部11に格納されている作業コスト情報及び取得部121によって取得された状態情報に基づいて、対象作業者の対象作業にかかる疲労度(つまり、対象作業者が対象作業を行った後の疲労度)を予測(算出)する。
割当部123は、予測部122によって予測された時間及び疲労度に基づいて、対象作業者に対して対象作業を割り当てる。なお、割当部123は、1人の作業者(対象作業者)に対して複数の作業(対象作業)を割り当ててもよいし、複数の作業者に対して1つの作業を割り当ててもよいし、複数の作業者に対して複数の作業を割り当てても構わない。
次に、図2のフローチャートを参照して、本実施形態に係る情報処理装置10の処理手順の一例について説明する。なお、上記した対象作業者は1人であってもよいし複数人であってもよい。また、対象作業は1つであってもよいし複数であってもよい。対象作業者に関する情報(作業者ID)及び対象作業に関する情報(作業ID)等は予め情報処理装置10内に保持されているものとする。
まず、取得部121は、対象作業者の状態を示す状態情報を取得する(ステップS1)。状態情報は、例えば図3に示すように、作業者IDに対応付けて、対象作業者の体調に関する情報(肉体疲労度、精神疲労度、血糖値、集中力、緊張度及び血中アルコール濃度等)を含む。
作業者IDは、対象作業者を一意に識別するための識別子である。一方、対象作業者の体調に関する情報は、例えば対象作業者に装着された(取り付けられた)各種センサを用いて取得可能であるものとする。
具体的には、肉体疲労度(に関する情報)は、例えば対象作業者に装着された筋電位センサを用いて取得可能であるものとする。なお、筋電位センサは、筋肉を動かす際に生じる電圧(筋電位)を計測することが可能なセンサである。この場合、筋電位センサによって計測される筋電位の変化量(つまり、筋電位センサから出力される情報)等が肉体疲労度に関する情報として取得される。
血糖値(に関する情報)は、例えば対象作業者に装着された血糖値センサ(を備えるウェアラブルデバイス)を用いて取得可能であるものとする。血糖値センサは、例えば作業者に貼付され、当該作業者の体液等から血糖値を計測することが可能なセンサである。
集中力及び緊張度(に関する情報)は、例えば対象作業者に装着された眼電位センサ(を備えるウェアラブルデバイス)を用いて取得可能であるものとする。眼電位センサは、例えば眼電位センシング技術を用いて作業者の眼電位を計測することが可能なセンサである。眼電位センサは、眼球の動きによって変化する眼球の角膜側と網膜側との間に生じている電位差を眼電位として計測する。このような眼電位センサによって計測された眼電位に基づいて対象作業者のまばたきの回数を取得することができる。このため、対象作業者のまばたきの回数(眼電位センサから出力される情報)等が例えば集中力及び緊張度に関する情報として取得される。なお、集中力及び緊張度に関する情報は、例えば視線検出センサによって検出される視線方向の変化量等であってもよい。
なお、ここでは状態情報が図3に示すように作業IDに対応付けて肉体疲労度、血糖値、集中力及び緊張度に関する情報を含むものとして説明したが、当該状態情報に含まれる対象作業者の体調に関する情報は、これらの情報に限定されるものではなく、例えば作業者の精神状態等に関する情報であってもよいし、作業効率の影響を及ぼすものであれば他の情報であってもよい。
また、上記した状態情報を取得するために用いられるセンサは一例であり、対象作業者の体調に関する情報を取得することができるのであれば、他のセンサが用いられても構わない。
また、対象作業者の体調に関する情報は各種センサを用いてリアルタイムに取得されるものとして説明するが、例えば予め計測された値が例えば対象作業者によって入力されることによって対象作業者の体調に関する情報が取得されても構わない。
再び図2に戻ると、予測部122は、作業コスト情報格納部11に格納されている作業コスト情報を取得する(ステップS2)。なお、ステップS2においては情報処理装置10に備えられる作業コスト情報格納部11に格納されている作業コスト情報を取得するものとして説明したが、当該作業コスト情報は、例えば情報処理装置10の外部に設けられている作業コスト情報格納部11から取得されても構わない。
ここで、作業コスト情報について説明する。上記したように作業コスト情報は作業者の状態、作業の種類、当該作業者による作業に要する時間(以下、作業時間と表記)及び当該作業にかかる当該作業者の疲労度の関連性を示す情報であるが、当該作業コスト情報としては、過去の複数の作業者による作業の履歴を示す情報(以下、作業履歴情報と表記)から生成(構築)される予測式または統計情報等を含む例えば学習モデルが利用可能である。なお、このような学習モデルは、作業履歴情報に対する機械学習等により生成可能である。
作業履歴情報は、例えば図4に示すように、作業者が行った作業を識別する作業ID(つまり、作業の履歴)に対応付けて当該作業を行う際の作業者の状態情報、当該作業者が行った作業の種類、当該作業に要した作業時間及び当該作業にかかる作業者の疲労度(つまり、当該作業を行った後の疲労度)等を含む。なお、作業履歴情報は、例えば、上記した作業者に装着される各種センサによる動作の認識、作業者が操作した機器等の操作ログ、及び作業者による手入力等によって収集されるものとする。
作業コスト情報は、図4に示すような作業履歴情報を多数収集(蓄積)し、例えば公知の多変量解析手法によって算出した作業時間及び疲労度に関する予測式等として生成され得る。
具体的には、このような作業履歴情報に基づいて、作業者の状態情報から線形回帰手法により作業時間の予測式を算出することが可能である。
本実施形態においては、上記したような予測式を作業者の状態、作業の種類、作業時間及び疲労度の関連性を示す作業コスト情報として利用することができる。
再び図2に戻ると、割当部123は、対象作業者に対象作業を割り当てる際に想定される複数の作業パターン(以下、作業パターンと表記)を生成する(ステップS3)。ステップS3において生成される作業パターンの各々においては、例えば対象作業者に対して割り当てられる対象作業のパターンが異なっている。この場合、割当部123は、対象作業者及び対象作業の例えば全ての組み合わせについて作業パターンを生成する。
以下、ステップS3において生成された作業パターンの各々について、ステップS4及びS5の処理が実行される。ここでは、ステップS4及びS5の処理の対象となる作業パターンを対象作業パターンと称する。
この場合、予測部122は、ステップS3において生成された作業パターンのうちの1つの作業パターン(対象作業パターン)を選択する(ステップS4)。
予測部122は、対象作業パターンにおいて対象作業者が当該対象作業者に割り当てられている対象作業を行う場合を想定し、ステップS1において取得された状態情報(当該対象作業者の状態情報)及びステップS2において取得された作業コスト情報に基づいて、対象作業者が対象作業を行うのに要する作業時間及び対象作業にかかる対象作業者の疲労度を算出する(ステップS5)。
この場合、予測部122は、上記したようにステップS1において取得された状態情報及び式(2)によって算出された係数を式(1)に代入することによって作業時間及び疲労度を算出することができる。
なお、本実施形態においては線形回帰手法を用いて作業時間及び疲労度を算出するものとして説明したが、当該線形回帰手法は一例であり、例えばサポートベクトル回帰等の他の公知の回帰手法を用いて作業時間及び疲労度が算出される構成であっても構わない。
ここで、対象作業パターンにおいては、1人の対象作業者に対して複数の対象作業が割り当てられている場合がある。この場合、ステップS5においては、対象作業者に対して1つ目に割り当てられている対象作業が当該対象作業者によって行われる場合の作業時間及び疲労度が算出され、その後、2つ目に割り当てられている対象作業が対象作業者によって行われた場合の作業時間及び疲労度が算出される。
この場合、2つ目に割り当てられている対象作業は、1つ目に割り当てられている対象作業が行われることによって疲労が蓄積された状態で行われる。すなわち、2つ目に割り当てられている対象作業が行われる際の対象作業者の状態情報は、1つ目に割り当てられている対象作業を行うことによって変化する。このため、2つ目に割り当てられている対象作業が対象作業者によって行われた作業時間及び疲労度が算出される場合には、1つ目に割り当てられている対象作業が行われる場合を想定して算出された疲労度に基づいてステップS1において取得された対象作業者の状態情報が更新されるものとする。
3つ目以降に割り当てられている対象作業が対象作業者によって行われる場合の作業時間及び疲労度の算出についても同様である。
これにより、ステップS5においては、例えば1人の対象作業者に対して割り当てられている1つ以上の対象作業の全てが当該対象作業者によって行われる場合の作業時間及び疲労度が算出(予測)される。換言すれば、対象作業パターンにおいて対象作業者に対して割り当てられている全ての対象作業が完了されるまでの時間(以下、対象作業者の所要時間と表記)及び当該全ての対象作業が完了された時点で対象作業者に蓄積されている疲労度(以下、対象作業者の蓄積疲労度と表記)が算出(予測)される。
なお、ここでは1人の対象作業者について説明したが、上記したように対象作業者が複数である場合には、当該対象作業者毎にステップS5の処理が実行される。
ここで、ステップS3において生成された全ての作業パターンについてステップS4及びS5の処理が実行されたか否かが判定される(ステップS6)。
全ての作業パターンについて処理が実行されていないと判定された場合(ステップS6のNO)、ステップS4に戻って処理が繰り返される。この場合、ステップS4においては、ステップS4及びS5の処理が実行されていない作業パターンが選択される。
一方、全ての作業パターンについて処理が実行されたと判定された場合(ステップS6のYES)、当該全ての作業パターンについて処理が実行されたことによって、各作業パターンにおける対象作業者の所要時間及び蓄積疲労度が算出された状態となる。
ここで、割当部123は、ステップS5において算出された各作業パターンにおける対象作業者の所要時間及び蓄積疲労度(の予測結果)に基づいて、ステップS3において生成された全ての作業パターンの中から1つの作業パターンを決定する(ステップS7)。
このステップS7において、割当部123は、例えば予め定められたルール(所定の方針)に基づいて作業パターンを決定する。予め定められたルール(以下、パターン決定ルールと表記)は、例えば情報処理装置10内に予め保持されており、例えば以下のようなルールを含む。
パターン決定ルールは、例えば対象作業者が複数存在する場合において、全ての対象作業者の所要時間(作業終了時刻)が近いというルールを含む。このルールによれば、作業パターン毎に各対象作業者の所要時間を比較し、当該各対象作業者の所要時間の最大値と最小値との差分が最も小さい作業パターンが決定される。
また、パターン決定ルールは、対象作業者が複数存在する場合において、全ての対象作業者の蓄積疲労度(作業終了後の疲労度)が同程度であるというルールを含む。このルールによれば、作業パターン毎に各対象作業者の蓄積疲労度を比較し、当該各対象作業者の蓄積疲労度の最大値と最小値との差分が最も小さい作業パターンが決定される。
なお、作業パターン毎に各対象作業者の所要時間の合計値を算出し、当該所要時間の合計値が最小となる作業パターンが決定されるようなパターン決定ルールが用いられてもよい。また、作業パターン毎に各対象作業者の疲労度の合計値を算出し、当該疲労度の合計値が最小となる作業パターンが決定されるようなパターン決定ルールが用いられてもよい。
ここでは、対象作業者が複数存在する場合のパターン決定ルールについて主に説明したが、例えば対象作業者が1人である場合、パターン決定ルールには、当該対象作業者の所要時間が最も短くなる作業パターンが決定されるルールまたは当該対象作業者の蓄積疲労度が最も低くなる作業パターンが決定されるルールが含まれていてもよい。また、パターン決定ルールには、対象作業者の所要時間が例えば当該対象作業者を管理する管理者によって指定された時間と近い作業パターンが決定されるルールまたは対象作業者の蓄積疲労度が管理者によって指定された疲労度(値)と近い作業パターンが決定されるルールが含まれていてもよい。
更に、複数の指標(例えば、時間及び疲労度等)に基づく達成度を示す評価式を用いて各作業パターンにおける各対象作業者の達成度を算出し、当該各対象作業者の達成度の合計値が最も高い作業パターンが決定されるルールが用いられてもよい。このようなルールによれば、上記したように1つの指標に基づいて作業パターンを決定する場合と比較して、所要時間及び蓄積疲労度等の複数の指標を総合的に勘案して作業パターンを決定することが可能となる。なお、所要時間または蓄積疲労度には、優先度に応じて達成度を算出する際の重みが設定されていてもよい。
また、対象作業に重要度を設定しておくことにより、作業パターンにおいて当該重要度の高い対象作業が割り当てられた対象作業者の達成度が高く算出されるように評価式を設計していてもよい。
上記したようにステップS7において作業パターンが決定された場合、割当部123は、当該作業パターンに基づいて、対象作業者に対象作業を割り当てる。対象作業者に対象作業が割り当てられた結果(作業のスケジューリング結果)は、例えば情報処理装置10内に格納されてもよいし、当該情報処理装置10の表示装置(図示せず)に表示されてもよい。また、作業のスケジューリング結果は、情報処理装置10の外部の装置に出力されても構わない。
図2においては、ステップS1において状態情報が取得された後にステップS2において作業コスト情報が取得されるものとして説明したが、例えば作業コスト情報が取得された後に状態情報が取得されても構わない。また、ステップS3の処理がステップS1及びS2よりも先に実行されてもよい。すなわち、ステップS1〜S3の処理の順番は適宜入れ替えられても構わない。
以下、情報処理装置10の動作について具体的に説明する。ここでは、便宜的に、対象作業者Aに対して対象作業X及びYを割り当てる場合について説明する。
この場合、取得部121は、対象作業者Aの状態を示す状態情報を取得する。また、予測部122は、作業コスト情報格納部11に格納されている作業コスト情報を取得する。なお、状態情報及び作業コスト情報については上述した通りであるため、ここではその詳しい説明を省略する。
次に、割当部123は、対象作業者Aに対象作業X及びYを割り当てる際の全ての作業パターンを生成する。ここで、対象作業を行う順番によって対象作業者Aに蓄積される疲労度に変化が生じる可能性がある。このため、同一の作業を行う場合であっても、作業を行う順番が異なる場合には異なる作業パターンとして扱うものとする。
図5及び図6は、対象作業者Aに対象作業X及びYを割り当てる場合に生成される複数の作業パターンを示す。
図5は、複数の作業パターンのうちの作業パターン1を示している。作業パターン1においては、対象作業者Aに対して1つ目に割り当てられている作業が対象作業Xであり、対象作業者Aに対して2つ目に割り当てられている作業が対象作業Yであることが示されている。この作業パターン1によれば、対象作業者Aは、対象作業Xの後に対象作業Yを行うことになる。
図6は、複数の作業パターンのうちの作業パターン2を示している。作業パターン2においては、対象作業者Aに対して1つ目に割り当てられている作業が対象作業Yであり、対象作業者Aに対して2つ目に割り当て得られている作業が対象作業Xであることが示されている。この作業パターン2によれば、対象作業者Aは、対象作業Yの後に対象作業Xを行うことになる。
すなわち、ここでは割当部123によって作業パターン1及び2の2つの作業パターンが生成される。
次に、予測部122は、割当部123によって生成された作業パターン1及び2をそれぞれ選択し、所要時間及び蓄積疲労度を予測する処理を実行する。
まず、作業パターン1が選択された場合、予測部122は、取得部121によって取得された対象作業者Aの状態情報及び作業コスト情報に基づいて、当該対象作業者Aが対象作業Xを行うのに要する作業時間(以下、第1作業時間と表記)及び当該対象作業Xにかかる対象作業者Aの疲労度(以下、第1疲労度と表記)を算出する。
ここで、予測部122は、第1疲労度に基づいて対象作業者Aの状態情報を更新する。これにより、対象作業者Aの状態情報は、第1疲労度が反映された(蓄積された)対象作業者Aの状態を示す情報に更新される。
次に、予測部122は、更新された対象作業者Aの状態情報及び作業コスト情報に基づいて、当該対象作業者Aが対象作業Yを行うのに要する作業時間(以下、第2作業時間と表記)及び当該対象作業にかかる対象作業者Aの疲労度(以下、第2疲労度と表記)を算出する。
この場合、予測部122は、作業パターン1において対象作業者Aに対して割り当てられている全ての対象作業X及びYが完了されるまでの所要時間を第1作業時間及び第2作業時間の合計値として算出する。なお、上記した第2疲労度は第1疲労度(1つ目に割り当てられている対象作業Xにかかる疲労度)が反映された対象作業者Aの状態情報に基づいて算出されている。このため、第2疲労度は、対象作業X及びYが順次行われ、対象作業X及びYの全てが完了された時点で対象作業者に蓄積されている蓄積疲労度に相当する。
一方、作業パターン2が選択された場合、予測部122は、取得部121によって取得された対象作業者Aの状態情報及び作業コスト情報に基づいて、当該対象作業者Aが対象作業Yを行うのに要する作業時間(以下、第3作業時間と表記)及び当該対象作業Yにかかる対象作業者Aの疲労度(以下、第3疲労度と表記)を算出する。
ここで、予測部122は、第3疲労度に基づいて対象作業者Aの状態情報を更新する。予測部122は、更新された対象作業者Aの状態情報及び作業コスト情報に基づいて、当該対象作業者Aが対象作業Xを行うのに要する作業時間(以下、第4作業時間と表記)及び当該対象作業Xにかかる対象作業者Aの疲労度(以下、第4疲労度と表記)を算出する。
この場合、予測部122は、作業パターン2において対象作業者Aに対して割り当てられている全ての対象作業Y及びXが完了されるまでの所要時間を第3及び第4時間の合計値として算出する。なお、上記した第4疲労度は第3疲労度(1つ目に割り当てられている対象作業Yにかかる疲労度)が反映された対象作業者Aの状態情報に基づいて算出されている。このため、第4疲労度は、対象作業Y及びXが順次行われ、当該対象作業Y及びXの全てが完了された時点で対象作業者Aに蓄積されている蓄積疲労度に相当する。
上記したように各作業パターン1及び2について所要時間及び蓄積疲労度が算出された場合、割当部123は、上記したパターン決定ルールに基づいて作業パターン1及び2の中から1つの作業パターンを決定する。
具体的には、割当部123は、例えば所要時間を優先する場合には、パターン決定ルールに従って作業パターン1において算出された所要時間(第1作業時間及び第2作業時間の合計値)と作業パターン2において算出された所要時間(第3作業時間及び第4作業時間の合計値)とを比較し、当該所要時間が短い作業パターンを決定する。
一方、割当部123は、例えば蓄積疲労度を優先する場合には、パターン決定ルールに従って作業パターン1において算出された蓄積疲労度(第2疲労度)と作業パターン2において算出された蓄積疲労度(第4疲労度)とを比較し、当該蓄積疲労度が少ない作業パターンを決定する。
なお、上記した評価式を用いて、作業パターン1において算出された所要時間及び蓄積疲労度に基づく達成度と作業パターン2において算出された所要時間及び蓄積疲労度に基づく達成度とを算出し、当該達成度の高い作業パターンが決定されるようにしても構わない。
上記した処理によって作業パターン1が決定された場合には、割当部123は、対象作業者Aに対して、1つ目の作業として対象作業X、2つ目の作業として対象作業Yを割り当てる。
一方、割当部123によって作業パターン2が決定された場合には、割当部123は、対象作業者Aに対して、1つ目の作業として対象作業Y、2つ目の作業として対象作業Xを割り当てる。
ここでは対象作業者が1人である場合について説明したが、次に、対象作業者が2人である場合について簡単に説明する。具体的には、対象作業者A及びBに対して対象作業X、Y及びZを割り当てる場合について説明する。
この場合、取得部121は、対象作業者A及びBの状態を示す状態情報を取得する。また、予測部122は、作業コスト情報格納部11に格納されている作業コスト情報を取得する。
次に、割当部123は、対象作業者A及びBに対象作業X、Y及びZを割り当てる際の全ての作業パターンを生成する。ここでは、詳細については省略するが、対象作業者Aが対象作業X、Y及びZのうちの2つの作業を行い、対象作業者Bが対象作業X、Y及びZのうち対象作業者Aに割り当てられていない1つの作業を行う場合、対象作業を行う順番を考慮すると、6つの作業パターンが生成される。一方、対象作業者Bが対象作業X、Y及びZのうちの2つの作業を行い、対象作業者Aが対象作業X、Y及びZのうち対象作業者Bに割り当てられていない1つの作業を行う場合も同様に、6つの作業パターンが生成される。
すなわち、ここでは割当部123によって12個の作業パターンが生成される。なお、例えば対象作業者Aの状態情報に基づいて当該対象作業者Aの体調が悪いこと等が判別可能な場合には、対象作業者Aに1つの作業を割り当て、対象作業者Bに2つの作業を割り当てる作業パターンのみが生成されても構わない。更に、対象作業者Aの体調が悪い場合には、例えば対象作業者Bに全ての対象作業X、Y及びZを割り当てるような作業パターンが生成されても構わない。
上記したように、割当部123は、対象作業者A及びBの状態情報等に基づいて、生成される作業パターンを変更するような構成であっても構わない。
次に、予測部122は、割当部123によって生成された作業パターン(例えば、12個の作業パターン)をそれぞれ選択し、所要時間及び蓄積疲労度を予測する処理を実行する。
割当部123によって生成された作業パターンのうちの例えば図7に示す作業パターン(以下、作業パターン3と表記)が選択された場合を想定する。作業パターン3においては、対象作業者Aに対象作業X及びYが割り当てられており、対象作業者Bに対象作業Zが割り当てられている。
この場合、予測部122は、取得部121によって取得された対象作業者Aの状態情報及び作業コスト情報に基づいて、対象作業者Aが対象作業Xを行うのに要する作業時間(以下、第5作業時間と表記)及び当該対象作業Xにかかる対象作業者Aの疲労度(以下、第5疲労度と表記)を算出する。
ここで、予測部122は、第5疲労度に基づいて対象作業者Aの状態情報を更新する。予測部122は、更新された対象作業者Aの状態情報及び作業コスト情報に基づいて、当該対象作業者Aが対象作業Yを行うのに要する作業時間(以下、第6時間と表記)及び当該対象作業Yにかかる対象作業者Aの疲労度(以下、第6疲労度と表記)を算出する。
この場合、予測部122は、作業パターン2において対象作業者Aに対して割り当てられている全ての対象作業X及びYが完了されるまでの所要時間を第5作業時間及び第6作業時間の合計値として算出する。なお、上記した第6疲労度は第5疲労度(1つ目に割り当てられている対象作業Xにかかる疲労度)が反映された対象作業者Aの状態情報に基づいて算出されている。このため、第6疲労度は、対象作業X及びYが順次行われ、当該対象作業X及びYの全てが完了された時点で対象作業者Aに蓄積されている蓄積疲労度に相当する。
また、予測部122は、取得部121によって取得された対象作業者Bの状態情報及び作業コスト情報に基づいて、対象作業者Bが対象作業Zを行うのに要する作業時間(以下、第作業7時間と表記)及び当該対象作業Zにかかる対象作業者Bの疲労度(以下、第7疲労度)を算出する。
これによれば、図7に示す作業パターン3における対象作業者Aの所要時間は第5作業時間及び第6作業時間の合計値であり、当該対象作業者Aの蓄積疲労度は第6疲労度である。一方、作業パターン3における対象作業者Bの所要時間は第7作業時間であり、当該対象作業者Bの蓄積疲労度は第7疲労度である。
ここでは、図7に示す作業パターン3についてのみ説明したが、上記した割当部123によって作成された12個の作業パターンの全てについて各対象作業者A及びBの所要時間及び蓄積疲労度が算出される。
上記したように12個の作業パターンの全てについて所要時間及び蓄積疲労度が算出された場合、割当部123は、上記したパターン決定ルールに基づいて、当該12個の作業パターンの中から1つの作業パターンを決定する。
具体的には、割当部123は、例えば所要時間を優先する場合には、パターン決定ルールに従って各作業パターンにおいて算出された対象作業者A及びBの所要時間の差異が最も小さい(つまり、対処作業者A及びBの作業終了時刻が近くなるような)作業パターンを決定する。
また、割当部123は、例えば蓄積疲労度を優先する場合には、パターン決定ルールに従って各作業パターンにおいて算出された対象作業者A及びBの蓄積疲労度の差異が最も小さい(つまり、作業終了時の対象作業者A及びBの蓄積疲労度が同程度となるような)作業パターンが決定される。
なお、上記した評価式を用いて、各作業パターンにおいて算出された各対象作業者A及びBの所要時間及び蓄積疲労度に基づく達成度を算出し、当該達成度(の合計値)が最も高い作業パターンが決定されるようにしても構わない。
なお、複数の対象作業者に対して1つの対象作業を割り当てる場合には、例えば当該対象作業を行うのに要する時間が最も短い対象作業者、または当該対象作業にかかる疲労度が最も少ない対象作業者に対象作業を割り当てている作業パターンが決定されればよい。
上記した処理によって例えば作業パターン3が決定された場合には、割当部123は、対象作業者Aに対して、1つ目の作業として対象作業X、2つ目の作業として対象作業Yを割り当てる。また、割当部123は、対象作業者Bに対して、対象作業Zを割り当てる。
上記したように本実施形態においては、対象作業者の状態を示す状態情報及び作業コスト情報格納部11に格納されている作業コスト情報に基づいて、対象作業者が対象作業を行うのに要する作業時間を算出(予測)する。本実施形態においては、このように算出された作業時間(所要時間)を用いることによって、作業者の状態(例えば、体調)を考慮した作業のスケジューリングが可能となる。
また、本実施形態においては、対象作業者の状態を示す状態情報及び作業コスト情報格納部11に格納されている作業コスト情報に基づいて、対象作業にかかる対象作業者の疲労度を算出(予測)する。本実施形態においては、このように算出された疲労度(蓄積疲労度)を用いることによって、作業者の状態(例えば、体調)を考慮した作業のスケジューリングが可能となる。なお、本実施形態において1人の対象作業者に複数の対象作業が割り当てられるような場合には、1つ目に割り当てられた対象作業にかかる疲労度に基づいて対象作業者の状態を示す状態情報を更新し、当該更新された状態情報を用いて2つ目に割り当てられた対象作業にかかる疲労度が算出される。これによれば、1つ目に割り当てられた対象作業によって蓄積される疲労を考慮して2つ目に割り当てられた対象作業にかかる疲労度を予測することができるため、適切な蓄積疲労度を予測することが可能となる。
上記したように本実施形態においては、各作業者の体調等の状態を考慮し、作業時間及び疲労度を低減させることができるような作業のスケジューリングを行うことが可能であり、生産性を効果的に向上させることが可能となる。
また、本実施形態においては、複数の作業パターンの各々において所要時間または蓄積疲労度を算出し、当該所要時間または蓄積疲労度に基づいて1つの作業パターンを決定することによって対象作業者に対象作業を割り当てる。このような構成によれば、複数の作業パターンのうち最適な作業パターンに基づいて作業のスケジューリングを行うことが可能となる。
なお、本実施形態においては、上記した所要時間及び蓄積疲労度の少なくとも一方に基づいて割当部123によって対象作業者に対象作業を割り当てることが可能であるが、本実施形態に係る情報処理装置10においては各対象作業に対する各対象作業者の所要時間及び蓄積疲労度の算出処理のみが実行され、対象作業者への対象作業の割り当て(処理)は、当該情報処理装置10の外部装置等で実行されても構わない。
また、本実施形態において、作業コスト情報は過去の作業者による作業の履歴を示す作業履歴情報に基づいて生成された、作業者の状態情報を入力とした場合に当該作業者による作業に要する時間を出力することが可能な学習モデルを含む。本実施形態においては、このような構成により、過去の作業履歴情報に基づいた精度の高い所要時間及び蓄積疲労度を算出することが可能となる。
また、本実施形態においては、対象作業者に装着されたセンサから出力されたリアルタイムな情報が状態情報として取得されるため、対象作業者の状態(体調)を正確に把握することができ、当該対象作業者の状態に適した作業のスケジューリングが可能となる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。図8は、本実施形態に係る情報処理装置(作業スケジューリング装置)の構成の一例を示すブロック図である。なお、図8においては、前述した図1と同様の部分には同一参照符号を付してその詳しい説明を省略する。ここでは、図1と異なる部分について主に述べる。
なお、本実施形態に係る情報処理装置10は、作業者に関する属性を示す属性情報に基づいて作業コスト情報が補正される点で、前述した第1の実施形態とは異なる。
図8に示すように、情報処理装置10は、前述した第1の実施形態において説明した作業コスト情報格納部11に加えて、属性情報格納部13を含む。
属性情報格納部13は、作業コスト情報格納部11と同様に記憶装置を用いて実現される。属性情報格納部13には、作業者に関する属性を示す属性情報が格納されている。なお、属性情報は、作業者毎に用意されており、当該各作業者に固有の情報である。
情報処理装置10に含まれる処理部12は、前述した第1の実施形態において説明した取得部121、予測部122及び割当部123に加えて、補正部124を含む。補正部124の一部または全ては、例えばコンピュータにスケジューリングプログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアによって実現されるものとする。なお、補正部124の一部または全ては、例えばハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェア及びハードウェアの組み合わせ構成として実現されてもよい。
補正部124は、属性情報格納部13に格納されている属性情報に基づいて、作業コスト情報格納部11に格納されている作業コスト情報を補正する。
本実施形態においては、このように補正された作業コスト情報を用いて対象作業者の所要時間及び蓄積疲労度が算出(予測)される。
次に、図9のフローチャートを参照して、本実施形態に係る情報処理装置10の処理手順の一例について説明する。以下の説明においては、作業の割り当ての対象となる作業者及び当該作業者に割り当てられる対象となる作業をそれぞれ対象作業者及び対象作業と称する。
まず、前述した図2に示すステップS1〜S3の処理に相当するステップS11〜S13の処理が実行される。
次に、補正部124は、属性情報格納部13に格納されている属性情報を取得する(ステップS14)。なお、ステップS14においては情報処理装置10に備えられる属性情報格納部13に格納されている属性情報を取得するものとして説明したが、当該属性情報は、例えば情報処理装置10の外部に設けられている属性情報格納部13から取得されても構わない。
ここで、属性情報は、例えば図10に示すように、作業者IDに対応付けて、累積作業時間、作業履歴及びスキル等を含む。
作業者IDは、作業者を一意に識別するための識別子である。累積作業時間は、当該累積作業時間に対応付けられている作業者IDによって識別される作業者の作業の種類別の過去の累積作業時間を示す。作業履歴は、当該作業履歴に対応付けられている作業者の過去に行った作業の履歴を示し、当該作業を識別するための作業ID等を含む。スキルは、当該スキルに対応付けられている作業者IDによって識別される作業者が有するスキルを示す。
このように属性情報格納部13には、作業者ID(によって識別される作業者)毎の属性情報が格納されている。
ステップS14においては、補正部124は、属性情報格納部13に格納されている属性情報のうち、対象作業者に対応する属性情報(つまり、対象作業者を識別するための作業者IDを含む属性情報)を取得する。なお、複数の作業者が対象作業者である場合には、当該対象作業者の各々の属性情報が取得される。
次に、補正部124は、ステップS14において取得された属性情報に基づいて、ステップS12において取得された作業コスト情報を補正する(ステップS15)。
ステップS15において、補正部124は、例えば上記した図4に示す作業履歴情報から、属性情報に含まれる作業履歴(対象作業者の作業履歴)中の作業を行った時の対象作業者の状態情報及び当該作業に要した作業時間を取得し、当該状態情報と作業時間との相関性を算出する。
この場合、補正部124は、例えばステップS12において取得された作業コスト情報によって示される作業者の状態と当該作業者による作業に要する作業時間との関連性(分布)が上記した相関性とマッチするように作業コスト情報を補正する。
同様に、補正部124は、例えば作業履歴情報から、属性情報に含まれる作業履歴中の作業を行った時の対象作業者の状態情報及び当該作業にかかる対象作業者の疲労度を取得し、当該状態情報と疲労度との相関性を算出する。
この場合、補正部124は、作業コスト情報によって示される作業者の状態と当該作業者の疲労度との関連性(分布)が上記した相関性とマッチするように作業コスト情報を補正する。
すなわち、補正部124によって補正された後の作業コスト情報は、対象作業者が行った作業の履歴を示す作業履歴情報(対象作業者の作業履歴情報)に基づいて生成された作業コスト情報に相当し、当該対象作業者に特化した作業コスト情報であるといえる。
なお、複数の作業者が対象作業者である場合には対象作業者の各々に対応する属性情報が取得されるが、ステップS15においては、当該属性情報の各々に基づいて対象作業者毎に作業コスト情報が補正される。すなわち、例えば対象作業者がM名であれば、当該対象作業者の属性情報毎に作業コスト情報を補正する処理がM回実行される。これによれば、対象作業者の各々の属性情報に基づいて補正された対象作業者毎の作業コスト情報(M個の作業コスト情報)が生成される。
ここでは属性情報に含まれる作業履歴を用いて作業コスト情報が補正されるものとして説明したが、作業コスト情報の補正には、属性情報に含まれる累積作業時間及びスキルを用いてもよい。
例えば、対象作業と同種の作業の累積作業時間が例えば予め定められた値よりも多い場合には、作業コスト情報に基づいて算出される作業時間が短くなる、または疲労度が低くなるように当該作業コスト情報が補正されてもよい。対象作業に関するスキルを有する場合も同様に作業コスト情報が補正されてもよい。
また、対象作業者の作業履歴情報に加えて、当該対象作業者と累積作業時間及びスキルが同程度の他の作業者の作業履歴情報も反映された作業コスト情報となるようにステップS12において取得された作業コスト情報が補正されても構わない。
以下、ステップS16〜S19の処理が実行される。なお、このステップS16〜S19の処理は、対象作業者の所要時間及び蓄積疲労度を算出する際に用いられる作業コスト情報が上記したステップS15において補正された対象作業者の作業コスト情報である点以外は、前述した図2に示すステップS4〜S7の処理と同様であるため、その詳しい説明を省略する。
上記したように本実施形態においては、対象作業者に関する属性を示す属性情報に基づいて作業コスト情報を補正する構成により、当該対象作業者に特化した作業コスト情報を用いて所要時間及び蓄積疲労度を予測することが可能になるため、前述した第1の実施形態と比較して、より予測精度を向上させることが可能となる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。図11は、本実施形態に係る情報処理装置(作業スケジューリング装置)の構成の一例を示すブロック図である。なお、図11においては、前述した図1及び図8と同様の部分には同一参照符号を付してその詳しい説明を省略する。ここでは、図1及び図8と異なる部分について主に述べる。
なお、本実施形態に係る情報処理装置10は、作業者が作業を行う環境(作業環境)に関する情報に基づいて作業コスト情報が補正される点で、前述した第1及び第2の実施形態とは異なる。
また、本実施形態において、属性情報格納部13に格納されている属性情報は、少なくとも作業者が過去に行った作業の履歴及び当該作業が行われた環境を示す環境情報を含むものとする。なお、属性情報格納部13には、作業者毎の属性情報が格納されている。
図11に示すように、情報処理装置10に含まれる処理部12は、前述した第1及び第2の実施形態において説明した取得部(第1取得部)121、予測部122、割当部123及び補正部124に加えて、第2取得部125を含む。第2取得部125の一部または全ては、例えばコンピュータにスケジューリングプログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアによって実現されるものとする。なお、第2取得部125の一部または全ては、例えばハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェア及びハードウェアの組み合わせ構成として実現されてもよい。
第2取得部125は、作業の割り当ての対象となる作業者が当該作業を行う作業環境に関する情報(以下、環境情報と表記)を取得する。
本実施形態において、補正部124は、属性情報格納部13に格納されている属性情報及び第2取得部125によって取得された環境情報に基づいて、作業コスト情報格納部11に格納されている作業コスト情報を補正する。
本実施形態においては、このように補正された作業コスト情報を用いて対象作業者の所要時間及び蓄積疲労度が算出(予測)される。
次に、図12のフローチャートを参照して、本実施形態に係る情報処理装置10の処理手順の一例について説明する。以下の説明においては、作業の割り当ての対象となる作業者及び当該作業者に割り当てられる対象となる作業をそれぞれ対象作業者及び対象作業と称する。
まず、前述した図2に示すステップS1〜S3の処理に相当するステップS21〜S23の処理が実行される。
次に、補正部124は、属性情報格納部13に格納されている属性情報を取得する(ステップS24)。
ここで、本実施形態における属性情報格納部13に格納されている属性情報は、例えば図13に示すように、作業者IDに対応付けて、作業履歴及び環境情報を含む。
作業者IDは、作業者を一意に識別するための識別子である。作業履歴は、当該作業履歴に対応付けられている作業者の過去に行った作業の履歴を示し、当該作業を識別するための作業ID等を含む。環境情報は、当該環境情報に対応付けられている作業IDによって識別される作業が行われた環境を示し、例えば天気、気温、湿度及び気圧等を含む。
このように属性情報格納部13には、作業者ID(によって識別される作業者)毎の属性情報が格納されている。
ステップS24においては、補正部124は、属性情報格納部13に格納されている属性情報のうち、対象作業者に対応する属性情報(つまり、対象作業者を識別するための作業者IDを含む属性情報)を取得する。なお、複数の作業者が対象作業者である場合には、当該対象作業者の各々の属性情報が取得される。
次に、第2取得部125は、対象作業が行われる環境を示す環境情報を取得する(ステップS25)。この環境情報は、例えば対象作業を識別するための作業IDに対応付けて、天気、気温、湿度及び気圧等を含む。この天気、気温、湿度及び気圧等(に関する情報)は、例えば対象作業が行われる場所に取り付けられた各種センサまたは外部装置等から取得される。
具体的には、天気(に関する情報)は、例えば気象情報等を保持する外部のサーバ装置等から取得可能である。また、気温、湿度及び気圧(に関する情報)は、例えば温度計、湿度計及び気圧計等から取得可能である。
補正部124は、ステップS24において取得された属性情報及びステップS25において取得された環境情報に基づいて、ステップS12において取得された作業コスト情報を補正する(ステップS26)。
ステップS26において、補正部124は、例えばステップS25において取得された環境情報に対応付けて属性情報に含まれる作業履歴(対象作業者の作業履歴)を特定し、上記した図4に示す作業履歴情報から当該作業履歴中の作業を行った時の対象作業者の状態情報及び当該作業に要した作業時間を取得する。補正部124は、このように取得された状態情報と作業時間との相関性を算出する。
この場合、補正部124は、例えばステップS12において取得された作業コスト情報によって示される作業者の状態と当該作業者による作業に要する作業時間との関連性(分布)が上記した相関性とマッチするように作業コスト情報を補正する。
同様に、補正部124は、例えばステップS25において取得された環境情報に対応付けて属性情報に含まれる作業履歴(対象作業者の作業履歴)を特定し、作業履歴情報から当該作業履歴中の作業を行った時の対象作業者の状態情報及び当該作業にかかる当該対象作業者の疲労度を取得する。補正部124は、このように取得された状態情報及び疲労度との相関性を算出する。
この場合、補正部124は、作業コスト情報によって示される作業者の状態と当該作業者の疲労度との関連性(分布)が上記した相関性とマッチするように作業コスト情報を補正する。
すなわち、補正部124によって補正された後の作業コスト情報は、対象作業者がステップS25において取得された環境情報によって示される環境で行った作業の履歴を示す作業履歴情報(対象作業者の作業履歴情報)に基づいて生成された作業コスト情報に相当し、当該対象作業者及び環境情報によって示される環境に特化した作業コスト情報であるといえる。
複数の作業者が対象作業者である場合には対象作業者の各々に対応する属性情報が取得されるが、ステップS26においては、当該属性情報の各々に基づいて対象作業者毎に作業コスト情報が補正される。換言すれば、ステップS26においては、対象作業者の各々の属性情報に基づいて補正された対象作業者毎の作業コスト情報が生成される。
なお、例えばステップS26において取得された環境情報に基づいて、例えば天気が悪い、気温及び湿度が高い、または低気圧であると判別されるような場合には、作業コスト情報に基づいて算出される作業時間が長くなる、または疲労度が高くなるように当該作業コスト情報が補正されてもよい。同様に、環境情報に基づいて例えば気温及び湿度等が予め定められた値の範囲内にある(つまり、適度な気温及び湿度である)場合には、作業コスト情報に基づいて算出される作業時間が短くなる、または疲労度が低くなるように当該作業コスト情報が補正されてもよい。
以下、ステップS27〜S30の処理が実行される。なお、このステップS27〜S30の処理は、対象作業者の所要時間及び蓄積疲労度を算出する際に用いられる作業コスト情報が上記したステップS26において補正された対象作業者の作業コスト情報である点以外は、前述した図2に示すステップS4〜S7の処理と同様であるため、その詳しい説明を省略する。
上記したように本実施形態においては、対象作業者が作業を行う環境を示す環境情報に基づいて作業コスト情報を補正する構成により、当該環境(及び対象作業者)に特化した作業コスト情報を用いて所要時間及び蓄積疲労度を予測することが可能になるため、前述した第1の実施形態と比較して、より予測精度を向上させることが可能となる。
なお、本実施形態においては前述した第2の実施形態において説明した属性情報とは異なる属性情報を用いるものとして説明したが、本実施形態及び第2の実施形態を組み合わせた構成であっても構わない。このような構成によれば、属性情報に含まれる対象作業者の属性(作業履歴、累積作業時間及びスキル)及び環境情報に基づいて作業コスト情報を補正することが可能であるため、より予測精度を向上させることが可能である。
以上述べた少なくとも1つの実施形態によれば、作業者の状態を考慮した作業のスケジューリングを可能とする情報処理装置、方法及びプログラムを提供することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。