JP2019019250A - 重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]ゴム成分と、カーボンブラックと、下記式(1)で表される有機架橋剤と、硫黄と、加硫促進剤とを含有する重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物の製造方法であって、
前記ゴム成分100質量%中の天然ゴムの含有量が75質量%以上、好ましくは80質量%以上であり、
前記ゴム成分100質量部に対する前記カーボンブラックの含有量が50質量部以上、好ましくは50〜90質量部、より好ましくは50〜70質量部、さらに好ましくは51〜60質量部、特に好ましくは52〜55質量部、前記硫黄の含有量が0.1〜0.7質量部、好ましくは0.2〜0.7質量部、より好ましくは0.3〜0.6質量部、さらに好ましくは0.4〜0.6質量部であり、
前記ゴム成分と、前記カーボンブラックと、前記有機架橋剤とを混練する第1工程、および
前記第1工程で得られる混練物と、前記硫黄と、前記加硫促進剤とを混練する第2工程
を含む重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物の製造方法
R1−(S)n−A−(S)m−R2 (1)
(式中、Aは炭素数2〜10、好ましくは4〜8のアルキレン基、R1およびR2は、同一もしくは異なって、窒素原子を含む1価の有機基、nおよびmはそれぞれ独立して2〜4の整数を表す。)、
[2]前記第1工程において、前記有機架橋剤を、前記ゴム成分と、前記カーボンブラックとの混練り開始から0.5〜3.0分後、好ましくは1.0〜2.0分後、より好ましくは1.0〜1.5分後に投入する上記[1]記載の重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物の製造方法、
[3]前記天然ゴムが、リン含有量が500ppm以下、好ましくは200ppm、より好ましくは100ppmであり、高純度化天然ゴムを含む上記[1]または[2]記載の重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物の製造方法、
[4]前記有機架橋剤の含有量が、ゴム成分100質量部に対して0.1〜5.0質量部、好ましくは0.5〜3.0質量部、より好ましくは0.8〜2.0質量部である上記[1]〜[3]のいずれかに記載の重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物の製造方法、
[5]前記第1工程の混練温度が、100〜180℃、好ましくは110〜170℃、より好ましくは150〜160℃である上記[1]〜[4]のいずれかに記載の重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物の製造方法、ならびに
[6]前記第1工程の総混練時間が、1〜6分、好ましくは2〜5分、より好ましくは3〜4分である上記[1]〜[5]のいずれかに記載の重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物の製造方法
に関する。
本発明にかかる重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物に用いるゴム成分は、ゴム成分100質量%中に天然ゴムを75質量%以上含むものである。
天然ゴムとしては、特に限定されるものではなく、例えば、SIR20、RSS#3、TSR20、ENRなどタイヤ業界において一般的なものを用いることができる。また、天然ゴムとして、高純度化されリン含有量を低下させた改質天然ゴムが好ましく使用される。これらの天然ゴムは、単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
高純度化とは、天然ポリイソプレノイド成分以外のリン脂質、タンパク質等の不純物を取り除くことである。天然ゴムは、イソプレノイド成分が、不純物成分に被覆されているような構造となっているため、この不純物成分を取り除くことにより、イソプレノイド成分の構造が変化する。このようにイソプレノイド成分の構造が変化すると、配合剤との相互作用の状態も変化するため、エネルギーロスの減少や、耐久性の向上が達成される結果となり、より良い改質天然ゴムを得ることができると考えられる。
本発明にかかる重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物には、耐摩耗性の観点からカーボンブラックが配合されるが、窒素吸着比表面積(N2SA)が120m2/g以上の微粒子カーボンブラックが好ましい。
本発明にかかる重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物には、機械疲労や熱疲労に強く、耐摩耗性を向上できるという観点、および老化後の破壊物性保持の観点から式(1)で表される有機架橋剤を配合する。
R1−(S)n−A−(S)m−R2 (1)
(式中、Aは炭素数2〜10のアルキレン基、R1およびR2は、同一もしくは異なって、窒素原子を含む1価の有機基、nおよびmはそれぞれ独立して2〜4の整数を表す。)
本発明にかかる重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物には、加硫剤として硫黄をゴム成分100質量部に対して0.1〜0.7質量部配合する。
本発明にかかる重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物には、加硫促進剤を配合する。加硫促進剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系もしくはアルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、キサンテート系加硫促進剤が挙げられ、なかでも、本発明の効果がより好適に得られる点から、スルフェンアミド系加硫促進剤が好ましい。
本発明にかかる重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物には、上記成分以外にも、必要に応じて、天然ゴム以外のゴム成分や、従来ゴム工業で一般に使用される配合剤、例えば、カーボンブラック以外の補強用充填剤、シランカップリング剤、オイルや粘着樹脂、液状ゴムなどの軟化剤、各種老化防止剤、ワックス、酸化亜鉛、ステアリン酸などを適宜含有させることができる。
天然ゴム以外に使用できる他のゴム成分としては、特に限定されるものではなく、合成イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などのジエン系ゴム成分や、塩素化ブチルゴムなどのブチル系ゴムが挙げられる。これらの水添ゴムや変性ゴムでもよい。なかでも、耐摩耗性の点から他のゴム成分としてBRを使用することが好ましい。
カーボンブラック以外の補強用充填剤としては、シリカ、炭酸カルシウム、アルミナ、クレー、タルクなど、従来からタイヤ用ゴム組成物において用いられているものを配合することができる。
シリカを含有する場合、シリカとしては、特に限定されるものではなく、例えば、乾式法により調製されたシリカ(無水シリカ)、湿式法により調製されたシリカ(含水シリカ)など、タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。なかでもシラノール基が多いという理由から、湿式法により調製された含水シリカが好ましい。シリカは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シランカップリング剤を含む場合、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましい。また、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。シランカップリング剤の含有量が上記範囲内の場合は、良好な加工性、ゴム強度および耐摩耗性を確保できる傾向がある。
オイルとしては、例えば、パラフィン系、アロマ系、ナフテン系プロセスオイルなどのプロセスオイルが挙げられる。
粘着付与樹脂としては、芳香族系石油樹脂などの従来タイヤ用ゴム組成物で慣用される樹脂が挙げられる。芳香族石油樹脂としては例えば、フェノール系樹脂、クマロンインデン樹脂、テルペン樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ロジン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂(DCPD樹脂)などが挙げられる。フェノール系樹脂としては例えばコレシン(BASF社製)、タッキロール(田岡化学工業(株)製)などが挙げられる。クマロンインデン樹脂としては例えばクマロン(日塗化学(株)製)、エスクロン(新日鐡化学(株)製)、ネオポリマー(新日本石油化学(株)製)などが挙げられる。スチレン樹脂としては例えばSylvatraxx 4401 (Arizona chemical社製)などが挙げられる。テルペン樹脂としては例えばTR7125(Arizona chemical社製)、TO125(ヤスハラケミカル(株)製)などが挙げられる。
液状ジエン系重合体としては、液状スチレンブタジエン共重合体(液状SBR)、液状ブタジエン重合体(液状BR)、液状イソプレン重合体(液状IR)、液状スチレンイソプレン共重合体(液状SIR)などが挙げられる。なかでも、耐摩耗性と走行中の安定した操縦安定性能がバランスよく得られるという理由から、液状SBRが好ましい。なお、本明細書における液状ジエン系重合体は、常温(25℃)で液体状態のジエン系重合体である。
軟化剤の含有量(粘着樹脂、オイル、および液状ジエン系重合体の合計含有量)は、ゴム成分100質量部に対して、10質量部以上が好ましく、20質量部以上がより好ましい。また、軟化剤の含有量は、190質量部以下が好ましく、105質量部以下がより好ましい。軟化剤の含有量が上記範囲内である場合は、本発明の効果がより好適に得られる。
老化防止剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、アルドール−α−トリメチル1,2−ナフチルアミンなどのナフチルアミン系;2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンなどのキノリン系;p−イソプロポキシジフェニルアミン、p−(p−トルエンスルホニルアミド)−ジフェニルアミン、N,N−ジフェニルエチレンジアミン、オクチル化ジフェニルアミンなどのジフェニルアミン系;N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−エチル−3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N−4−メチル−2−ペンチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジアリール−p−フェニレンジアミン、ヒンダードジアリール−p−フェニレンジアミン、フェニルヘキシル−p−フェニレンジアミン、フェニルオクチル−p−フェニレンジアミンなどのp−フェニレンジアミン系;2,5−ジ−(tert−アミル)ヒドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノンなどのヒドロキノン誘導体;フェノール系(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、1−オキシ−3−メチル−4−イソプロピルベンゼン、ブチルヒドロキシアニソール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオネート、スチレン化フェノールなどのモノフェノール系;2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、1,1’−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサンなどのビスフェノール系;トリスフェノール系;テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどのポリフェノール系);4,4’−チオビス−(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2’−チオビス−(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)などのチオビスフェノール系;2−メルカプトメチルベンゾイミダゾールなどのベンゾイミダゾール系;トリブチルチオウレアなどのチオウレア系;トリス(ノニルフェニル)ホスファイトなどの亜リン酸系;チオジプロピオン酸ジラウリルなどの有機チオ酸系老化防止剤などが挙げられる。これら老化防止剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、耐熱性と耐疲労性の両立の点からN−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンおよび2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体を組み合わせて用いることが好ましい。
本発明の重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物の製造方法においては、上述したように、上記式(1)の有機架橋剤をベース練り工程において混練することを特徴とする。つまり、硫黄や加硫促進剤をゴム組成物に混練する前に上記式(1)の有機架橋剤をゴム成分に混練りするものであれば、特に限定されるものではない。具体的には、本発明の製造方法では、上記式(1)の有機架橋剤を、ゴム成分とカーボンブラックとを混練りする第1工程において、一緒に混練りし、その後得られる混練物に硫黄および加硫促進剤を混練りする第2工程が行われる。各混練工程は、公知の混練機を用いることができ、例えば、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどの機械的なせん断力を材料に加え、混練・混合を行う装置が挙げられる。
第1工程における上記式(1)の有機架橋剤の投入のタイミングは、ゴム成分とカーボンブラックと同時であってもよく、ゴム成分およびカーボンブラックよりも遅れて投入してもよい。有機架橋剤をゴム成分およびカーボンブラックよりも遅れて投入すると、ゴム成分とカーボンブラックとを混練りし、ゴム成分の温度を上昇させたのち、十分に昇温されたゴム成分に有機架橋剤を効率的に反応させることができ、硫黄量の制限された配合であっても、架橋を均一かつ十分に行うことができる。このため、硫黄の含有量の減量が可能となり、ゴム成分100質量%中に天然ゴムを75質量%以上使用する配合において架橋後の劣化を抑制することができると考えられ、より好ましい。後から投入する有機架橋剤の投入タイミングは、ゴム成分とカーボンブラックとの混練り開始時から0.5分以後が好ましく、1.0分以後がより好ましい。有機架橋剤の投入のタイミングを、ゴム成分とカーボンブラックとの混練り開始時から0.5分以後とすることにより、架橋反応が十分となる傾向がある。また、後から投入する有機架橋剤の投入タイミングは、ゴム成分とカーボンブラックとの混練り開始時から3.0分以内が好ましく、2.0分以内がより好ましく、1.5分以内がさらに好ましい。有機架橋剤の投入のタイミングを、ゴム成分とカーボンブラックとの混練り開始時から3.0分以内とすることにより、反応時間を確保できる傾向がある。
第2工程では、第1工程で得られる混練物を冷却し、硫黄および加硫促進剤を添加し、オープンロールなどで混練りし、未加硫ゴム組成物を得る工程である。硫黄および加硫促進剤はそれぞれ全量を第2工程で混練りすることが好ましい。
第2工程で得られる未加硫ゴム組成物を、公知の方法で加硫することで加硫ゴム組成物を得ることができる。未加硫ゴム組成物の加硫温度は、特に限定されないが、130℃以上が好ましく、135℃以上がより好ましく、140℃以上がさらに好ましい。加硫温度を130℃以上とすることにより、時間の短縮となる傾向がある。また、加硫温度は、特に限定されないが、190℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましく、170℃以下がさらに好ましい。加硫温度を190℃以下とすることにより、低燃費性が向上する傾向がある。
R1−(S)n−A−(S)m−R2 (1)
(式中、Aが炭素数4〜8のアルキレン基、R1およびR2がそれぞれ芳香族環を少なくとも1つ含み、炭素原子が−(S)n−または−(S)m−基に結合したN−C(=S)−で表される結合基を含むもの、nおよびmはそれぞれ独立して2〜4の整数を表す。)
R1−(S)n−A−(S)m−R2 (1)
(式中、Aが炭素数4〜8のアルキレン基、R1およびR2がそれぞれ芳香族環を少なくとも1つ含み、炭素原子が−(S)n−または−(S)m−基に結合したN−C(=S)−で表される結合基を含むものnおよびmが2を表す。)
本発明に係る重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物は、耐摩耗性に優れることから、トラック・バスタイヤなどの重荷重タイヤのトレッドに使用され、トレッドがベーストレッドとキャップトレッドとの2層から構成される場合には、特にキャップトレッドに使用されることが好ましい。
本発明の重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物を用いて通常の方法により重荷重タイヤを製造することができる。具体的には、本発明の重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物を、未加硫の段階でタイヤのトレッドの形状にあわせて押出し加工し、タイヤ成形機上で他のタイヤ部材と共に貼り合わせ、通常の方法にて成形することにより、未加硫タイヤ(生タイヤ)を形成する形成工程、この未加硫タイヤ(生タイヤ)を加硫機中で加熱加圧することにより製造することができる。
天然ゴムラテックス:タイテックス社から入手したフィールドラテックス
界面活性剤:花王(株)製のEmal−E−27C(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、有効成分27質量%)
NaOH:和光純薬工業(株)製の水酸化ナトリウム
ギ酸:関東化学(株)のギ酸
老化防止剤1:ELIOKEM社製のWingstay L(p−クレゾールとジクロロペンタジエンとの縮合物をブチル化した化合物)
老化防止剤2:LANXESS社製のエマルビンW(芳香族ポリグリコールエーテル)
老化防止剤3:BASF社製のタモールNN9104(ナフタレンスルホン酸/ホルムアルデヒドのナトリウム塩)
老化防止剤4:Vanderbilt社製のVan gel B(マグネシウムアルミニウムシリケートの水和物)
カチオン系高分子凝集剤:ポリメタアクリル酸エステル系凝集剤
水462.5gにエマルビンW 12.5g、タモールNN9104 12.5g、Van gel B 12.5g、Wingstay L 500g(合計1000g)をボールミルで16時間混合し、老化防止剤分散体を調製した。
フィールドラテックスの固形分濃度(DRC)を30%(w/v)に調整した後、該ラテックス1000gに、10%エマールE−27C水溶液25gと25%NaOH水溶液60gを加え、室温で24時間ケン化反応を行い、ケン化天然ゴムラテックスを得た。次いで、老化防止剤分散体6gを添加し、2時間撹拌した後、さらに水を添加してゴム濃度15%(w/v)となるまで希釈した。次いでゆっくり撹拌しながらギ酸を添加してpHを4.0に調整した後、カチオン系高分子凝集剤を添加し、2分間撹拌し、凝集させた。これにより得られた凝集物(ゴム)の直径は0.5〜5mm程度であった。得られた凝集物を取り出し、2質量%の炭酸ナトリウム水溶液1000mlに、常温で4時間浸漬した後、ゴムを取り出した。これに、水2000mlを加えて2分間撹拌し、極力水を取り除く作業を7回繰り返した。その後、水500mlを添加し、pH3になるまで2質量%ギ酸を添加し、15分間放置した。さらに、水を極力取り除き、再度水を添加して2分間撹拌する作業を3回繰り返した後、水しぼりロールで水を絞ってシート状にした後、90℃で4時間乾燥して固形ゴム(改質天然ゴム1)を得た。
天然ゴムラテックスの固形分濃度(DRC)を15%(w/v)に調整した後、ゆっくり攪拌しながらギ酸を添加し、pHを4.0〜4.5に調整し、凝集させた。凝集したゴムを粉砕し、水1000mlで洗浄を6回繰り返し、その後110℃で120分間乾燥して固形ゴム(改質天然ゴム2)を得た。
ICP発光分析装置(ICPS−8100、島津製作所(株)製)を使用して、リン含有量を求めた。また、リンの31P−NMR測定は、NMR分析装置(400MHz、AV400M、日本ブルカー社製)を使用し、80%リン酸水溶液のP原子の測定ピークを基準点(0ppm)として、クロロホルムにより生ゴムより抽出した成分を精製し、CDCl3に溶解して測定した。
窒素含有量は、CHN CORDER MT−5(ヤナコ分析工業社製)を用いて測定した。測定には、まずアンチピリンを標準物質として、窒素含有量を求めるための検量線を作製した。次いで、製造例1で得られた改質天然ゴムまたはTSRのサンプル約10mg秤量し、3回の測定結果から平均値を求めて、試料の窒素含有量とした。
1mm×1mmに切断した生ゴムのサンプル70.00mgを計り取り、これに35mLのトルエンを加え1週間冷暗所に静置した。次いで、遠心分離に付してトルエンに不溶のゲル分を沈殿させ上澄みの可溶分を除去し、ゲル分のみをメタノールで固めた後、乾燥し質量を測定した。次の式によりゲル含有率(質量%)を求めた。
ゲル含有率(質量%)=[乾燥後の質量mg/最初のサンプル質量mg]×100
NR:TSR20
改質NR1:製造例1の改質天然ゴム
改質NR2:製造例2の改質天然ゴム
BR:宇部興産製のBR360B(シス1,4−含有率97%)
カーボンブラック1:三菱化学(株)製のダイアブラックI N220(N2SA:114m2/g、平均一次粒子径:22nm)
カーボンブラック2:N2SA:168m2/g、DBP吸油量:133cm3/100g、CTAB/IA:0.89、平均一次粒子径:18nmのカーボンブラック
ワックス:日本精蝋(株)製のオゾエース355
老化防止剤1:住友化学(株)製のアンチゲン6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
老化防止剤2:大内新興化学工業(株)製のノクラック224(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸つばき
有機架橋剤:ランクセス社製のVulcuren VP KA9188(1,6−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン)
硫黄:細井化学工業(株)製のオイル硫黄HK200−5(5%オイル含有)
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
表2の工程1の各種薬品を、表2の配合内容に従い、バンバリーミキサーを用いて、150℃排出の条件下で4分間混練りし、混練物を得た。得られた混練物を40℃以下に冷却した後、表2の工程2の各種薬品を、表2の配合内容に従い添加し、バンバリーミキサーを用いて、95℃の排出条件下で2分間混練りし、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を150℃の条件下で35分間プレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
工程1において、有機架橋剤の投入のタイミングを混練開始後表2に示す時間(分)とし、有機架橋剤投入時の混練物の温度が表2の温度であった以外は、表2の配合内容に従い、実施例1と同様にして、未加硫ゴム組成物、加硫ゴム組成物および試験用タイヤを製造した。
シート状の加硫ゴム組成物から短冊状試験片を打ち抜き、試験に供した。(株)上島製作所製スペクトロメーターを用いて、動的歪振幅2.5%、周波数10Hz、温度70℃で加硫ゴムシートの損失正接(tanδ)を測定し、tanδの逆数の値について比較例1を100として指数表示した(低発熱性指数)。数値が大きいほど転がり抵抗が小さく(発熱しにくく、エネルギーロスが低く)、タイヤの転がり抵抗性(低燃費性)に優れることを示している。
(低発熱性指数)=(比較例1のtanδ)/(各配合のtanδ)×100
試験用タイヤを国産2−D車に装着し、走行距離5〜10万km後のタイヤトレッド部の溝深さを測定し、タイヤ溝深さが1mm減るときの走行距離を算出し、下記の式により指数表示した。指数が大きいほど耐摩耗性が良好である。
(耐摩耗性指数)=(各配合の走行距離)/(比較例1の走行距離)×100
Claims (6)
- ゴム成分と、カーボンブラックと、下記式(1)で表される有機架橋剤と、硫黄と、加硫促進剤とを含有する重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物の製造方法であって、
前記ゴム成分100質量%中の天然ゴムの含有量が75質量%以上であり、
前記ゴム成分100質量部に対する前記カーボンブラックの含有量が50質量部以上、前記硫黄の含有量が0.1〜0.7質量部以下であり、
前記ゴム成分と、前記カーボンブラックと、前記有機架橋剤とを混練する第1工程、および
前記第1工程で得られた混練物と、前記硫黄と、前記加硫促進剤とを混練する第2工程
を含む重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物の製造方法。
R1−(S)n−A−(S)m−R2 (1)
(式中、Aは炭素数2〜10のアルキレン基、R1およびR2は、同一もしくは異なって、窒素原子を含む1価の有機基、nおよびmはそれぞれ独立して2〜4の整数を表す。) - 前記第1工程において、前記有機架橋剤を、前記ゴム成分と、前記カーボンブラックとの混練り開始から0.5〜3分後に投入する請求項1記載の重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物の製造方法。
- 前記天然ゴムが、リン含有量が500ppm以下の改質天然ゴムを含む請求項1または2記載の重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物の製造方法。
- 前記有機架橋剤の含有量が、ゴム成分100質量部に対して0.1〜5質量部である請求項1〜3のいずれか1項に記載の重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物の製造方法。
- 前記第1工程の排出温度が、130〜180℃である請求項1〜4のいずれか1項に記載の重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物の製造方法。
- 前記第1工程の総混練時間が、1〜6分である請求項1〜5のいずれか1項に記載の重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物の製造方法。
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