JP2019018895A - 緩衝材及び緩衝材を用いた梱包方法 - Google Patents
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一方、昨今は廃棄物の処理コストを削減するために、梱包資材の量を減らしたいという要望や、梱包資材の種類もできるだけ減らしたいという要望が寄せられており、このような要望は電子機器の買い取りにおいても同様である。つまり、段ボール箱を用いた梱包の場合であれば、箱を形成するものと同じ段ボールのシート原紙で緩衝材を形成し、廃棄物の種類を合わせるのが好ましい。加えて、段ボールのシート原紙で形成する場合には、緩衝材はできる限りコンパクトな構造とするのが良い。
すなわち、特許文献1には、容器本体を構成するものと同じ段ボールのシート原紙から緩衝材を形成した衝撃緩和運搬容器が開示されている。この特許文献1の衝撃緩和運搬容器は、容器本体を構成する紙片を折り曲げて収容物である製品を挟持するものであり、周辺部の側片、該側片によって囲まれた空間部、該側片から製品の側端部を保持するように空間部側へ突出形成した縁片、該縁片の両端部側の該縁片と不連続とされた製品の隅部を押圧保持する製品押圧片及び該空間部全面を被覆する可撓性フィルムにより構成されている。つまり、特許文献1の衝撃緩和運搬容器は、製品押圧片で製品を押圧することで、パソコンのような薄厚で衝撃に弱い製品に加わる運搬時や落下時の衝撃を緩和したり、或いは衝撃が製品に伝わることを防止したりする構成となっている。
さらに、特許文献2の梱包用の保持パネルでは、基板の4辺に夫々形成される横折曲線又は縦折曲線はいずれも直線に近い折れ込み線として形成されており、横折曲線や縦折曲線で囲まれた保持パネルの中央部分が、平坦な面状態を維持したまま下方や上方に突出する構成とされている。そのため、このような保持パネルで、同じように外形が平たい電子機器やサイズが小さい電子機器を運搬しようとした場合、保持パネルの上で電子機器が滑るなどして商品に対する緩衝効果を確実に得られない可能性があった。
即ち、本発明の緩衝材は、段ボール箱の内側に被収容物を収容する際に、前記被収容物と段ボール箱との間に配備されることで被収容物に加わる衝撃を緩和する緩衝材であって、前記緩衝材には、前記段ボール箱の内側に収容されて前記被収容物を下方または上方から保持するパッドが設けられており、前記パッドは、水平方向に沿った矩形の板状に形成されたパッド本体と、前記パッド本体の四辺にそれぞれ折り返し自在に連結されると共に前記パッド本体の四辺から下方または上方に向かって伸びる折り返し片と、を有しており、前記パッド本体の四隅には、切り込み線によりパッド中央側から切り離された剛性部が形成されており、前記パッド本体において互いに隣り合った剛性部の間には、一方の剛性部から他方の剛性部に向かってパッド中央側に湾曲しつつ伸びる折り込み線が形成されており、前記折り込み線により区切られるパッド本体の中央側に、上方または下方に向かって変形することで前記被収容物を収容する空間を形成可能な変形部が形成されていることを特徴とする。
また、本発明の緩衝材を用いた梱包方法は、上述した緩衝材を用いて段ボール箱の内側に被収容物を梱包するに際しては、前記段ボール箱の内側に、前記折り返し片が下方を向くと共に折り返し片が段ボール箱の内側面に沿うように前記パッドを収容して下部パッドとし、前記収容された下部パッドの変形部の上に、前記被収容物を載置し、前記載置された被収容物の上から、前記下部パッドとは上下反転した状態のパッドを、当該パッドの折り返し片が段ボール箱の内側面に沿うように収容して上部パッドとし、前記下部パッドの剛性部に対して上部パッドの剛性部が突き合わされるまで、前記上部パッドを下部パッドに押しつけることにより、前記下部パッドの変形部を下方に変形させると共に上部パッドの変形部を上方に向かって変形させて、両変形部の間に形成された空間に前記被収容物を収容することを特徴とする。
図1は、本実施形態の緩衝材1が用いられた段ボール箱2を分解して示したものである。
図1に示すように、本実施形態の緩衝材1は、箱状態に組み上げられた段ボール箱シート3の内側に、段ボール箱2の内寸に比べて小さな被収容物Cを、箱側面から距離をあけて収容する際に用いられる。つまり、本実施形態の緩衝材1は、被収容物Cと段ボール箱2との間に配備されることで、段ボール箱2の内側に被収容物Cを動かないように固定するものであり、段ボール箱2からの衝撃が被収容物Cに直接作用しないようにする構成となっている。
つまり、本発明の緩衝材1は、被収容物Cの上方または下方に1枚だけパッド4を有したものでも良いし、被収容物Cの上方と下方とに1枚ずつ、合わせて2枚のパッド4を有したものでも良い。例えば、被収容物Cの下側には従来の段ボールの緩衝材などを用いておいて被収容物Cの上側だけに上述したパッド4を配備する場合や、逆に被収容物Cの上側には従来の段ボールの緩衝材などを用いておいて被収容物Cの下側だけに上述したパッド4を配備する場合が、本発明の緩衝材1には含まれる。
図1に示すように、本実施形態の緩衝材1が用いられる段ボール箱2は、上方に向かって開口した空の段ボール箱シート3と、この段ボール箱シート3の開口から箱内の最下部に差し入れられる下部パッド4Dと、下部パッド4Dの次に箱内に差し入れられて下部パッド4Dの上側に載置される被収容物Cと、被収容物Cが中央下側に位置するように被収容物Cの次に箱内に差し入れられる上部パッド4Uと、を有しており、下部パッド4D、被収容物C、および上部パッド4Uを収容した上で蓋を閉じて封緘したものとなっている。
上述した上部パッド4U及び下部パッド4Dに用いられるパッド4は、水平方向に沿った矩形の板状に形成されたパッド本体6と、パッド本体6の四辺にそれぞれ折り返し自在に連結されると共にパッド本体6の四辺から上下いずれかの方向に向かって伸びる折り返し片7と、を有している。つまり、この折り返し片7は、水平方向を向くパッド本体6に対して上下いずれかの方向に向かって折り返されたものとなっている。
パッド本体6は、段ボール箱2の内部の水平形状(言い換えれば、段ボール箱2の底面の形状)に形成されたの段ボールのシート原紙(段ボールの板紙)で形成されており、水平方向に板面を向けるようにして配備されている。本実施形態の場合であれば、パッド本体6は前後方向よりも左右方向の方が長尺とされた長方形の板状に形成されている。このパッド本体6の四辺、つまり前辺、左辺、後辺、右辺にはそれぞれ折り返し片7が連結されている。
さらに、折り返し片7は、パッド本体6に連結されている基端に対して、下方に位置する先端の方が狭幅とされている。つまり、図2の前側に位置する折り返し片7の場合であれば、基端(上端)の左右方向に沿った幅よりも、先端(下端)の左右方向に沿った幅の方が狭くなるような形状(台形形状)に形成されている。このように基端に比べて先端の方が狭幅となるような折り返し片7を用いれば、段ボール箱2の内側に緩衝材1を差し入れた場合に、隣り合った折り返し片7同士が折り返し時に緩衝し合うことがなくなり、折り返し片7を箱内面に沿う角度まで支障なく折り返すことが可能となる。
具体的には、剛性部9は、互いに隣り合うと共に平面視でほぼ90度の角度で交差する2つの折り返し片7の縁部と、これら2つの折り返し片7の縁部の間に配備されたパッド本体6の隅部分6S(コーナー部分)と、の3つを組み合わせた構成とされている。これらの3つの紙片は互いに90度の角度で交差し合う構成となっており、3片が互いに直交し合うことで変形部11に対して高い支持強度を発揮できるようになっている。
上述した剛性部9は、3つの紙片を直交状態でつなぎ合わせた構造となっているため、上下のパッド部4U、4Dの剛性部9同士を突き合わせ状態で箱内に収容すれば、段ボール箱2の内側で殆ど動くことがない。そのため、後述する変形部11を安定して支持することができる。
ところで、上述したように、パッド本体6の表面には、一方の剛性部9から他方の剛性部9に向かって、パッド中央側6Cに近づくように湾曲しつつ伸びる「折り込み線10」が形成されている。この「折り込み線10」が本願における最も特徴的な構成である。
図3に示す展開図からわかるように、折り込み線10は、パッド本体6において互いに隣り合った剛性部9の間に形成されるものである。つまり、剛性部9を画成する切り込み線8の略L字状に曲がったコーナー付近から、隣り合った剛性部9を画成する切り込み線8の略L字状に曲がったコーナー付近までを結ぶものとなっている。詳しくは、コーナーの略頂部(曲率半径が最も小さくなった部分)から、前記コーナーに隣接するコーナーの略頂部を結ぶように、折り込み線10が形成されている。
本実施形態の場合、折り込み線10は、左前側の剛性部9と右前側の剛性部9との間を結ぶものと、左後側の剛性部9と右後側の剛性部9との間を結ぶものとの2本で構成されており、いずれも左右方向に沿ったものとなっている。
なお、折り込み線10の破線間隔を、広く設定するか、狭く設定するかは、緩衝材1に用いる段ボールシートの厚みや構造(シングル、ダブルなどの積層構造)に左右されるが、一般に切断された部分の長さが10mm〜30mm、切断されていない部分の長さが10mm〜30mmとされ、これらの切断された部分と切断されていない部分とが交互に設けられる破線を用いるのが良い。
なお、図2の下部パッド4Dでは変形部11は下方に向かって湾曲する部分となるが、下部パッド4Dとは上下逆向きに箱内に収容される上部パッド4Uでは、変形部11は上方に向かってドーム状に湾曲する部分となる。そして、上方に向かって湾曲する上部パッド4Uの変形部11と、下方に向かって湾曲する下部パッド4Dの変形部11の間には、被収容物Cを収容可能な空間が上下方向に形成されることになる。
つまり、パッド本体6の前後方向の中間を、左右方向に沿って切断した図6のD-D断面では、左右方向の両端に近いほど下側の変形部11から上側の変形部11までの高さが低く、左右方向の中央側に近いほど下側の変形部11から上側の変形部11までの高さが高くなっている。つまり、上述した空間は、空間の外周側では高さが低く中央側では高さが高くなっていて、空間の中央側に被収容物Cを収容可能な空間を形成可能となっている。
そのため、上述した緩衝材1を用いれば、湾曲した折り込み線10を境に上方に折り返された上部パッド4Uの変形部11と、湾曲した折り込み線10を境に下方に折り返された下部パッド4Dの変形部11との間に、被収容物Cを収容可能な空間が確実に形成されるため、被収容物Cをその形状や大きさによらず確実に収容することが可能となり、また被収容物Cを上部パッド4Uと下部パッド4Dとの間に挟み込むことができるため、梱包状態で十分な緩衝効果を得ることも可能となる。
上述した緩衝材1を用いて段ボール箱2の内側に被収容物Cを梱包するに際しては、まず内部に被収容物Cが入れられていない(空状態の)段ボール箱シート3を用意する。この段ボール箱シート3は、底部が既に組み立てられていて、蓋部の組立のみが実施されていない状態(蓋部の組立を残して製函が完了している状態)となっている。このような組み立てがほぼ完了している段ボール箱シート3の上端には、上方に向かって開口した開口部が形成されている。
図7に示すように、上述した組み立てがほぼ完了している段ボール箱シート3に被収容物Cを梱包する際には、まず段ボール箱シート3の内側にパッド4を差し入れる。このとき、差し入れるパッド4の折り返し片7が下方を向くように、パッド4を差し入れる。このようにして収容されたパッド4は、折り返し片7が段ボール箱2の内側面に沿うように下方に折り返されており、箱内で水平方向に動くことがない。このようにして最初に箱内に収容されたパッド4が、下部パッド4Dとなる。
そこで、上部パッド4Uの剛性部9を上方から下方に向かって、上部パッド4Uの剛性部9が下部パッド4Dの剛性部9に突き合わされるまで押し下げる。このとき、上下パッド4の剛性部9は上下方向に離間しており、上下方向に両部材の距離を詰められるだけの余裕が残っている。しかし、被収容物Cが載置された中央側には上下方向に隙間がなく、上下方向に両部材の距離を詰められるだけの余裕は残っていない。
このように変形部11に力が作用すると、下部パッド4Dにおいては折り返し線及び変形補助線13を境に変形部11が下方に向かって変形し、上部パッド4Uにおいては折り返し線及び変形補助線13を境に変形部11が上方に向かって変形する。つまり、前後方向に沿った断面の場合、下部パッド4Dでは、パッド本体6の中央側は、第1補助線13a及び第2補助線13bの2本の変形補助線13を境に下方に向かって折れ曲がると共に、折り返し線を境に上方に向かって折れ曲がる。また、左右方向に沿った断面の場合、下部パッド4Dでは、パッド本体6の中央側は、第2補助線13bを境に下方に向かって折れ曲がる。このようにして変形部11が下方に向かって半球状(凹面状)に変形する。
このようにして両変形部11の間に形成された空間に被収容物Cを収容することが可能となる。
2 段ボール箱
3 段ボール箱シート
4 パッド
4D 下部パッド
4U 上部パッド
6 パッド本体
6C パッド本体のパッド中央側
6S パッド本体の隅部分
7 折り返し片
8 切り込み線
9 剛性部
10 折り込み線
11 変形部
12 中芯のリブ
13 変形補助線
13a 変形補助線の第1補助線
13b 変形補助線の第2補助線
C 被収容物
Claims (3)
- 段ボール箱の内側に被収容物を収容する際に、前記被収容物と段ボール箱との間に配備されることで被収容物に加わる衝撃を緩和する緩衝材であって、
前記緩衝材には、前記段ボール箱の内側に収容されて前記被収容物を下方または上方から保持するパッドが設けられており、
前記パッドは、水平方向に沿った矩形の板状に形成されたパッド本体と、前記パッド本体の四辺にそれぞれ折り返し自在に連結されると共に前記パッド本体の四辺から下方または上方に向かって伸びる折り返し片と、を有しており、
前記パッド本体の四隅には、切り込み線によりパッド中央側から切り離された剛性部が形成されており、
前記パッド本体において互いに隣り合った剛性部の間には、一方の剛性部から他方の剛性部に向かってパッド中央側に湾曲しつつ伸びる折り込み線が形成されており、
前記折り込み線により区切られるパッド本体の中央側に、上方または下方に向かって変形することで前記被収容物を収容する空間を形成可能な変形部が形成されている
ことを特徴とする緩衝材。 - 前記折り込み線は、前記パッド本体を構成する段ボールシートの中芯のリブ形成方向に対して交差する方向に伸びるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の緩衝材。
- 請求項1または2に記載の緩衝材を用いて段ボール箱の内側に被収容物を梱包するに際しては、
前記段ボール箱の内側に、前記折り返し片が下方を向くと共に折り返し片が段ボール箱の内側面に沿うように前記パッドを収容して下部パッドとし、
前記収容された下部パッドの変形部の上に、前記被収容物を載置し、
前記載置された被収容物の上から、前記下部パッドとは上下反転した状態のパッドを、当該パッドの折り返し片が段ボール箱の内側面に沿うように収容して上部パッドとし、
前記下部パッドの剛性部に対して上部パッドの剛性部が突き合わされるまで、前記上部パッドを下部パッドに押しつけることにより、前記下部パッドの変形部を下方に変形させると共に上部パッドの変形部を上方に向かって変形させて、両変形部の間に形成された空間に前記被収容物を収容する
ことを特徴とする緩衝材を用いた梱包方法。
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JP2017140577A JP6874263B2 (ja) | 2017-07-20 | 2017-07-20 | 緩衝材及び緩衝材を用いた梱包方法 |
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JP2021075302A (ja) * | 2019-11-08 | 2021-05-20 | 王子ホールディングス株式会社 | 包装箱 |
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2017
- 2017-07-20 JP JP2017140577A patent/JP6874263B2/ja active Active
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