JP2019018637A - ブレーキ装置、ブレーキ制御方法及びブレーキシステム - Google Patents

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元宏 樋熊
Motohiro Higuma
元宏 樋熊
大樹 園田
Daiki Sonoda
大樹 園田
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Abstract

【課題】 ブレーキペダルが踏み戻された際に、ストロークシミュレータのピストンが初期位置に戻ることができることができるブレーキ装置を提供する。
【解決手段】 ストロークシミュレータの背圧室にシミュレータ液路が接続する。シミュレータ液路は、接続液路に接続する。接続液路は、マスタシリンダとホイルシリンダとを接続する。ブレーキペダルが踏み戻された際に、コントロールユニットが、シミュレータ液路にある弁を開方向に作動させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ブレーキ装置に関する。
従来、特許文献1に開示されるように、ストロークシミュレータを備えたブレーキ装置が知られている。ストロークシミュレータは、マスタシリンダに接続し、ブレーキペダルの操作反力を生成可能である。
特開2016−144952号
従来のブレーキ装置では、ブレーキペダルが踏み戻された際に、ストロークシミュレータのピストンが初期位置に戻らないおそれがあった。
本発明の1つの実施形態に係るブレーキ装置では、ストロークシミュレータの背圧室にシミュレータ液路が接続する。シミュレータ液路は、接続液路に接続する。接続液路は、マスタシリンダとホイルシリンダとを接続する。ブレーキペダルが踏み戻された際に、コントロールユニットが、シミュレータ液路にある弁を開方向に作動させる。
ブレーキペダルが踏み戻された際に、シミュレータ液路を介して背圧室が加圧されることで、ピストンが初期位置へ向けて付勢される。このため、ピストンが初期位置に戻ることができる。
第1実施形態のブレーキシステムの概略構成を示す。 第1実施形態の第2ユニットの断面図である。 第1実施形態における制御の切り替え判断の流れを示す。 第1実施形態のストロークシミュレータ・ピストン戻し制御の流れを示す。 第1実施形態のストロークシミュレータ・ピストン戻し制御の一場面(背圧室の加圧)におけるブレーキシステムの作動状態を示す。 第1実施形態のストロークシミュレータ・ピストン戻し制御の一場面(背圧室の減圧)におけるブレーキシステムの作動状態を示す。 第1実施形態のストロークシミュレータ・ピストン戻し制御における各アクチュエータの時間変化の一例を示す。 第1実施形態のストロークシミュレータ・ピストン戻し制御中にブレーキペダルが踏み込まれた場合の各アクチュエータの時間変化の一例を示す。 第2実施形態のストロークシミュレータ・ピストン戻し制御の流れを示す。 第3実施形態のストロークシミュレータ・ピストン戻し制御の流れを示す。 第3実施形態のストロークシミュレータ・ピストン戻し制御の一場面(背圧室の加圧)におけるブレーキシステムの作動状態を示す。 第3実施形態のストロークシミュレータ・ピストン戻し制御の一場面(背圧室の減圧)におけるブレーキシステムの作動状態を示す。 第3実施形態のストロークシミュレータ・ピストン戻し制御における各アクチュエータの時間変化の一例を示す。 第3実施形態のストロークシミュレータ・ピストン戻し制御中にブレーキペダルが踏み込まれた場合の各アクチュエータの時間変化の一例を示す。 第4実施形態のストロークシミュレータ・ピストン戻し制御の流れを示す。
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づき説明する。
[第1実施形態]
まず構成を説明する。本実施形態のブレーキシステム1は、車輪を駆動する原動機として内燃機関(エンジン)のみを備えた車両のほか、エンジンに加えて電動式のモータ(ジェネレータ)を備えたハイブリッド車や、電動式のモータのみを備えた電気自動車等に搭載可能な液圧式のブレーキシステムであり、ブレーキペダル100と車輪(左前輪FL、右前輪FR、左後輪RL、及び右後輪RR)のホイルシリンダ101との間に配置される。システム1は、作動液としてのブレーキ液をホイルシリンダ101に供給し、ホイルシリンダ101に液圧(ブレーキ液圧)を発生させる。ホイルシリンダ101は、ブレーキ液圧に応じてブレーキ・シュー又はキャリパを作動させて車輪に摩擦制動力(液圧制動力)を付与する。ブレーキシステム1は2系統のブレーキ配管を有する。配管形式は対角配管であるが、前後配管等を採用してもよい。以下、プライマリ系統(P系統)に対応する部材とセカンダリ系統(S系統)に対応する部材とを区別する場合は、それぞれの符号の末尾に添字P,Sを付す。各車輪FL〜RRに対応する部材には、その符号の末尾にそれぞれ添字a〜dを付して適宜区別する。
図1に示すように、ブレーキシステム1は、第1ユニット1A、第2ユニット1B及び第3ユニット1Cを有する。これらのユニット1A〜1Cは、ダッシュパネル等により車両の運転室から隔離された空間(エンジンルーム等)に設置される。第1ユニット1Aは、リザーバタンク2、プッシュロッド3、マスタシリンダ4、及びストロークセンサ91を一体に有する。第1ユニット1Aは、例えばダッシュパネルに固定される。第2ユニット1Bは、ストロークシミュレータ6を有する。第3ユニット1Cは、液圧ユニット5、液圧センサ92,93,94、及び電子制御ユニット90を一体に有する。第2ユニット1Bと第3ユニット1Cは一体的に連結され、例えばエンジンルームの床に固定される。第1ユニット1Aと第3ユニット1Cは、複数の配管10によって互いに接続される。複数の配管10は、マスタシリンダ配管10M(第1配管10MP、第2配管10MS)及び吸入配管10Rを有する。第3ユニット1Cと各車輪のホイルシリンダ101とは、ホイルシリンダ配管10Wによって互いに接続される。
まず、第1ユニット1Aについて説明する。リザーバタンク2は、ブレーキ液を貯留するブレーキ液源であり、大気圧に開放される。リザーバタンク2の内部における底側には、第1室24P、第2室24S及び第3室26が画成される。第1室24P及び第2室24Sの液面の高さは液面センサ27により検出される。第3室26の液面の高さは液面センサ28により検出される。リザーバタンク2の側面には、第3室26に連通するポート29がある。ポート29には吸入配管10Rの一端が接続される。プッシュロッド3の一端は回転可能にブレーキペダル100に連結される。プッシュロッド3は鍔部30を有する。マスタシリンダ4は、運転者によるブレーキペダル100の操作に応じて作動し、ホイルシリンダ101に対しブレーキ液圧を供給可能な第1の液圧源である。マスタシリンダ4は、シリンダ40、ピストン41、ばねユニット42、及びシール部材43,44を有する。シリンダ40は円筒状であり、ピストン41等を収容する。リザーバタンク2は、シリンダ40の鉛直方向上側に設置される。図1では、シリンダ40の軸線を通る第1ユニット1Aの断面を示す。説明の便宜上、ピストン41の移動方向(軸線方向)にx軸を設け、ブレーキペダル100の踏込み操作に応じてピストン41が移動する側を負とする。
マスタシリンダ4は、タンデム型であり、ピストン41及びばねユニット42を、P,S系統毎に有する。シリンダ40は、補給ポート45及び供給ポート46を、P,S系統毎に有する。補給ポート45は、シリンダ40の内周に開口すると共に、リザーバタンク2の第1室24に接続する。シリンダ40の内周には、補給ポート45のx軸方向両側に溝がある。この溝はシリンダ40の軸線の周り方向(以下、周方向)に延びる環状である。補給ポート45のx軸正方向側の溝には第1シール部材43が設置され、補給ポート45のx軸負方向側の溝には第2シール部材44が設置される。シール部材43,44はU字状の断面を有するパッキンである。ピストン41は、シリンダ40の内部に、シリンダ40の軸線方向(x軸方向)に移動可能に収容される。ピストン41Pは、プッシュロッド3を介してブレーキペダル100に連結される。ピストン41Sはフリーピストン型であり、ピストン41Pと直列に、ピストン41Pのx軸負方向側に配置される。ピストン41は円筒状である。ピストン41の周壁を補給孔410が径方向に貫通する。
シリンダ40の内部に、ピストン41P及びピストン41Sによって第1液圧室47Pが仕切られ、ピストン41Sによって第1液圧室47Pのx軸負方向側に第2液圧室47Sが仕切られ、ピストン41Pによって第1液圧室47Pのx軸正方向側にセンサ室48が仕切られる。第1液圧室47P及び第2液圧室47Sには供給ポート46が常時開口する。第1液圧室47Pの供給ポート46Pには第1配管10MPの一端が接続する。第2液圧室47Sの供給ポート46Sには第2配管10MSの一端が接続する。ピストン41の外周面にはシール部材43,44のリップが接する。ピストン41がシリンダ40の内周面に沿って移動する際、シール部材43,44(のリップ)がピストン41の外周面に摺接する。シール部材43,44はロッドシールとして機能する。ピストン41Pの外周側において、第1シール部材43Pは、補給ポート45Pからセンサ室48へ向うブレーキ液の流れを抑制する。第2シール部材44Pは、第1液圧室47Pから補給ポート45Pへ向うブレーキ液の流れを抑制し、逆方向のブレーキ液の流れを許容する。ピストン41Sの外周側において、第1シール部材43Sは、第1液圧室47Pから補給ポート45Sへ向うブレーキ液の流れを抑制し、逆方向のブレーキ液の流れを許容する。第2シール部材44Sは、第2液圧室47Sから補給ポート45Sへ向うブレーキ液の流れを抑制し、逆方向のブレーキ液の流れを許容する。
第1ばねユニット42Pは第1液圧室47Pに収容され、第2ばねユニット42Sは第2液圧室47Sに収容される。第1ばねユニット42Pのばね420Pは、第1液圧室47Pの内部に、シリンダ40の軸線方向において圧縮された状態で、ピストン41Pとピストン41Sとの間にある。第2ばねユニット42Sのばね420Sは、第2液圧室47Sの内部に、シリンダ40の軸線方向において圧縮された状態で、ピストン41Sとシリンダ40の内面との間にある。ばね420Pはピストン41Pをx軸正方向側に常時付勢し、ばね420Sはピストン41Sをx軸正方向側に常時付勢する戻しばねとして機能する。各ばねユニット42は、ばね420の圧縮量及び伸長量を一定以下に抑制するストッパ機能を有する。
ピストン41Pのx軸正方向側及びプッシュロッド3は、センサ室48に収容される。プッシュロッド3のx軸負方向側の端部は半球状であってピストン41Pに接する。プッシュロッド3はピストン41Pに対して擂り粉木運動が可能である。図1に示されるように、プッシュロッド3の鍔部30がシリンダ40のx軸正方向側の端部に接することで、プッシュロッド3のx軸正方向側への移動、すなわち両ピストン41P,41Sのx軸正方向側への移動が規制される。この状態、すなわち両ピストン41P,41Sがx軸正方向側に最大変位した(初期位置にある)初期状態で、ピストン41の外周面における補給孔410の開口は、x軸方向で第1シール部材43のリップと第2シール部材44のリップとの間(補給ポート45と第2シール部材44のリップとの間)に位置する。リザーバタンク2の第1室24Pは、補給ポート45P及び補給孔410Pを介して、マスタシリンダ4の第1液圧室47Pに接続する。リザーバタンク2の第2室24Sは、補給ポート45S及び補給孔410Sを介して、マスタシリンダ4の第2液圧室47Sに接続する。
ストロークセンサ91は、マグネット部912及びセンサ本体913を有する。マグネット部912はマグネット911を有する。マグネット部912はピストン41Pのx軸正方向側の端部に設置される。センサ本体913は、ホール素子等の検出部及びコネクタを有する。センサ本体913は、シリンダ40の外表面に設置される。ブレーキペダル100の揺動はプッシュロッド3及びピストン41P(マグネット部912)のx軸方向移動に変換される。センサ本体913の検出部は、シリンダ40の周方向でマグネット911と重なる位置にあり、マグネット911の上記移動に応じて電気的な信号を発生する。これにより、ストロークセンサ91は、ピストン41Pのx軸方向移動量(ブレーキペダル100の変位量ないし操作量)を検出する。なお、センサ本体913の検出部に対するマグネット911の周方向変位は、マグネット部911に嵌まるガイド部材910によって規制される。これによりストロークセンサ91の検出精度が向上する。
次に、第2ユニット1Bについて説明する。ストロークシミュレータ6は、運転者のブレーキ操作に伴い作動し、ブレーキペダル100の操作量(ペダルストローク)に応じた反力をブレーキペダル100に付与可能である。図2に示すように、ストロークシミュレータ6は、シリンダ60、ピストン61、第1ばねユニット62、第2ばねユニット63、及びシール部材64,65を有する。第2ばねユニット63は蓋部材66を含む。シリンダ60は、ピストン61等を収容する。図1及び図2では、ストロークシミュレータ6の軸線を通る断面を示す。説明の便宜上、ピストン61の移動方向(軸線方向)にy軸を設け、ブレーキペダル100の踏込み操作に応じてピストン61が移動する側を負とする。
シリンダ60の内周は、小径部601及び大径部602を有する。これらの部601,602は、円筒状であり、互いに実質的に(製造誤差の範囲内で)同じ軸線上をy軸方向に延びる。小径部601はシリンダ60のy軸正方向側にあり、補給凹部603、連通溝604、及びシール溝605,606を有する。凹部603及び溝604〜606は、小径部601の略y軸負方向側にあり、上記軸線の周り方向に延びる環状である。シール溝は、第1溝605及び第2溝606を有しており、これらの溝605,606はy軸方向で補給凹部603を挟む。第1溝605は補給凹部603のy軸正方向側にあり、第2溝606は補給凹部603のy軸負方向側にある。第1溝605には第1シール部材64が設置され、第2溝606には第2シール部材65が設置される。シール部材64,65は、環状であり、断面形状がU字状のパッキンである。第1シール部材64はy軸正方向側に開き、第2シール部材65はy軸負方向側に開く。連通溝604は、y軸方向で補給凹部603と第2溝606との間にあり、これらを接続する。連通溝604の径は、補給凹部603の径より小さい。大径部602はシリンダ60のy軸負方向側にあり、小径部601に対しy軸負方向側に隣接する。大径部602のy軸負方向端はシリンダ60の外表面600に開口する。この開口は蓋部材66により閉塞される。蓋部材66の外周は円筒状である。蓋部材66の外周には、その軸線の周り方向に延びるシール溝660がある。シール溝660にはOリング67が設置される。Oリング67は大径部602に接する。
シリンダ60は、正圧液路691、背圧液路692、補給液路693、及び排出液路694,695を有する。これらの液路691等は、シリンダ60の内部を上記軸線に対する径方向(以下、径方向)に延びて小径部601又は大径部602に開口すると共にシリンダ60の外表面600に開口する。外表面600における排出液路694,695の開口にはブリーダバルブ681,682がそれぞれ設置される。正圧液路691及び第1排出液路694は小径部601のy軸正方向側(第1溝605よりy軸正方向側)に開口し、背圧液路692及び第2排出液路695は大径部602のy軸正方向側に開口する。補給液路693は補給凹部603に開口する。
ピストン61は、シリンダ60の内部にシリンダ60の軸線方向(y軸方向)に移動可能に収容される。ピストン61の外周は円筒状である。ピストン61(の外周面)の径は、小径部601の径よりも若干小さい。ピストン61の外周面にはシール部材64,65のリップが接する。ピストン61の内周側には、ピストン61の軸線方向に延びる有底円筒状の凹部61(611,612)がある。第1凹部611はピストン61の軸線方向の一方側に開口し、第2凹部612は上記軸線方向の他方側に開口する。両凹部611,612の径は実質的に等しい。両凹部611,612の底部には、両凹部611,612を隔てる壁613がある。壁613には、第2凹部612の側に突出する円柱状の凸部614がある。ピストン61における第1凹部611の周壁には供給孔615があり、第2凹部612の周壁には補給孔616がある。両孔615,616は、ピストン61の軸線に対する径方向に延びて周壁を貫通し、周壁の内側(凹部611,612)と外側(ピストン61の外表面610)に開口する。両孔615,616は、ピストン61の軸線の周り方向に略等間隔に複数(例えば4つ)並ぶ。供給孔615は、第1凹部611における底部側よりも開口側にある。補給孔616は、第2凹部612における開口側よりも底部側にある。
シリンダ60の内部に、ピストン61によって正圧室607が仕切られ、正圧室607に対してシリンダ60の軸線方向における反対側(y軸負方向側)に背圧室608が仕切られる。正圧室607は、第1シール部材64、ピストン61の外周面610における第1シール部材64よりもy軸正方向側、ピストン61の第1凹部611、及びシリンダ60の小径部601における第1シール部材64よりもy軸正方向側、により画成される。背圧室608は、第2シール部材65、ピストン61の外周面610における第2シール部材65よりもy軸負方向側、ピストン61の第2凹部612、シリンダ60の小径部601における第2シール部材65よりもy軸負方向側、大径部602におけるOリング67よりもy軸正方向側、及び蓋部材66により画成される。正圧室607には正圧液路691が常時開口し、背圧室608には背圧液路692が常時開口する。シリンダ60の外表面600における正圧液路691、補給液路693、及び背圧液路692の開口はポートとして機能する。ブリーダバルブ681は、開くことで正圧室607のブレーキ液やエアを排出可能である。ブリーダバルブ682は、開くことで背圧室608のブレーキ液やエアを排出可能である。
ピストン61がシリンダ60の内周面(小径部601)に沿って移動する際、シール部材64,65(のリップ)がピストン61の外周面610に摺接する。シール部材64,65はロッドシールとして機能する。第1シール部材64は、ピストン61の外周側において、正圧室607から補給凹部603へ向うブレーキ液の流れを抑制し、逆方向のブレーキ液の流れを許容する。第2シール部材65は、ピストン61の外周側において、背圧室608から連通溝604(補給凹部603)へ向うブレーキ液の流れを抑制し、逆方向のブレーキ液の流れを許容する。
第1ばねユニット62は、第1ばね620、第1リテーナ621、第2リテーナ622、ストッパ623、及び第1弾性部材62Aを有する。第1ばね620は圧縮コイルばねである。第1ばね620の外周の径は、ピストン61の凹部612の内周の径より若干小さい。リテーナ621,622は有底円筒状であり、円筒部624、底部625、及び鍔部626を有する。鍔部626は、円筒部624の開口部から径方向外側へ円板状に広がる。底部625の中央には孔627が貫通する。円筒部624の外周の径は、第1ばね620の内周の径よりも若干小さい。円筒部624の軸線方向寸法は、第1リテーナ621よりも第2リテーナ622のほうが大きい。ストッパ623は棒状であり、その本体の径は、第2リテーナ622の底部625における孔627の径より若干小さい。ストッパ623の一端は、本体より小径の細軸部628を有する。細軸部628の径は、第1リテーナ621の底部625における孔627の径より若干小さい。ストッパ623の他端部629は本体より大径の円柱状であり、その径は、第2リテーナ622の円筒部624の内周の径より若干小さく、第2リテーナ622の底部625における孔627の径より大きい。第1弾性部材62Aは、ゴム(樹脂)を材料として円柱状に形成される。第2ばねユニット63は、第2ばね630、第3リテーナ631、蓋部材66、及び第2弾性部材63Aを有する。第2ばね630は圧縮コイルばねである。第2ばね630の径、材料径、軸線方向寸法、及びばね係数は、それぞれ第1ばね620よりも大きい。第3リテーナ631は、第1リテーナ621と同様、有底円筒状であり、円筒部632、底部633、及び鍔部634を有する。円筒部632の外周の径は、第2ばね630の内周の径よりも若干小さい。蓋部材66は有底円筒状である。蓋部材66の底部から突出する凸部661がある。凸部661は有底円筒状であり、凹部662を有する。蓋部材66の内周と凸部661の外周との間に、有底円環状の凹部663がある。第2弾性部材63Aは、ゴム(樹脂)を材料として、外周の軸線方向中央がくびれた円柱状に形成される。
両ばねユニット62,63は背圧室608に収容される。両ばね620,630の軸線及び両弾性部材62A,63Aの軸線は、実質的に共通しており、y軸方向に延びる。第1ばね620のy軸負方向側は第1リテーナ621の円筒部624を囲み、第1ばね620のy軸負方向端は第1リテーナ621の鍔部626に接する。第1ばね620のy軸正方向側は第2リテーナ622の円筒部624を囲み、第1ばね620のy軸正方向端は第2リテーナ622の鍔部626に接する。ストッパ623の細軸部628が第1リテーナ621の底部625の孔627に嵌ることで、ストッパ623のy軸負方向端が第1リテーナ621に固定される。ストッパ623の本体は第2リテーナ622の底部625における孔627に嵌まり、ストッパ623の他端部629は、第2リテーナ622の円筒部624の内周側にある。第1ばね620のy軸方向両側はそれぞれリテーナ621,622に保持される。第1ばね620は、ストッパ623によりy軸方向の伸長が制限され、常時押し縮められた状態であると共に、y軸方向に所定量内で圧縮弾性変形可能である。ストッパ623の他端部629が第2リテーナ622の底部625に接することで、第1ばね620の最大長が制限される。ストッパ623の本体が第2リテーナ622の底部625における孔627の内周に沿って移動し、ストッパ623の他端部629が第2リテーナ622の円筒部624の内周に沿って移動することで、第1ばね620がy軸方向に変形するようにガイドされる。
第1ばねユニット62のy軸正方向側はピストン61の第2凹部612に嵌まる。第2リテーナ622の円筒部624の内周にピストン61の凸部614が嵌まり、第2リテーナ622の鍔部626が第2凹部612の底部(壁613)に接する。円筒部624の内周側に第1弾性部材62Aが収容される。第1弾性部材62Aのy軸正方向端が凸部614に接する。第1ばねユニット62のy軸負方向側は第3リテーナ631の円筒部632に嵌り、第1リテーナ621の鍔部626が第3リテーナ631の底部633に接する。第2ばね630のy軸正方向側は第3リテーナ631の円筒部632を囲み、第2ばね630のy軸正方向端は第3リテーナ631の鍔部634に接する。第2ばね630のy軸負方向側は蓋部材66の凸部661を囲んで凹部663に嵌まり、第2ばね630のy軸負方向端は凹部663の底部に接する。蓋部材66の凸部661の内周(凹部662)に第2弾性部材63Aが収容される。第2弾性部材63Aのy軸負方向端が凹部662の底面に接し、第2弾性部材63Aのy軸正方向側の端部が凸部661から背圧室608の内部に突出する。第1ばね620及び第2ばね630は、背圧室608の内部に、y軸方向において圧縮された状態で、ピストン61と蓋部材66(シリンダ60の内面として機能する、蓋部材66のy軸正方向側の面)との間にある。両ばね620,630は、ピストン61をy軸正方向側に常時付勢する。第1ばね620のセット荷重は第2ばね630のセット荷重以下である。
ピストン61(のy軸正方向端)がシリンダ60の内面(のy軸正方向端)に接することで、ピストン61のy軸正方向側への移動が規制される。この状態、すなわちピストン61がy軸正方向側に最大変位して初期位置にある状態(初期状態)で、ピストン61の外周面における供給孔615の開口は、y軸方向で小径部601における正圧液路691の開口に重なり、正圧液路691に連通する。また、上記初期状態で、ピストン61の外周面における補給孔616の開口は、y軸方向で小径部601における第2溝606(における第2シール部材65のリップよりもy軸正方向側)に重なり、第2溝606を介して連通溝604や補給凹部603に連通する。上記初期状態で、第1弾性部材62Aのy軸負方向端面とストッパ623の他端部629との間に所定の隙間があり、第2弾性部材63Aのy軸正方向端面と第3リテーナ631の底部633との間に所定の隙間がある。
次に、第3ユニット1Cについて説明する。図1に示すように、液圧ユニット5は、ハウジング50、ポンプユニット8及び複数の電磁弁71等を有する。ハウジング50の内部には、ブレーキ液が流通するP,S系統の回路(液圧回路)がある。液圧回路は複数の液路を含む。ハウジング50の外表面500には複数のポートが開口する。複数のポートは、ハウジング50の内部の液路に連続し、これらの液路とハウジング50の外部の液路(配管10M等)とを接続する。複数のポートは、マスタシリンダポート51(第1ポート51P、第2ポート51S)、ホイルシリンダポート52、吸入ポート53、正圧ポート54、背圧ポート55、及び補給ポート56を含む。第1ポート51Pには第1配管10MPの他端が接続する。第2ポート51Sには第2配管10MSの他端が接続する。ホイルシリンダポート52にはホイルシリンダ配管10Wの一端が接続する。吸入ポート53には吸入配管10Rの他端が接続する。
ポンプユニット8は、モータ80及びポンプ81を有する。ハウジング50は、その内部にポンプ81や電磁弁71等の弁体を収容する。モータ80は、回転軸を備える電動機であり、ハウジング50の一側面に設置される。モータ80は、ブラシ付きモータでもよいし、回転軸の回転角度ないし回転数を検出するレゾルバを備えるブラシレスモータでもよい。ポンプ81は、モータ80により駆動され、ホイルシリンダ101に対し作動液圧を供給可能な第2の液圧源である。ポンプ81は、P系統及びS系統で共通に用いられる。ポンプ81は、プランジャポンプであり、複数(例えば5つ)のシリンダ(プランジャ)を備える。なお、ポンプ81はギヤポンプ等であってもよい。電磁弁は、制御信号に応じて動作する制御弁であり、ソレノイド及び弁体を有する。弁体は、ソレノイドへの通電に応じてストロークし、液路の開閉を切り換える(液路を断接する)。電磁弁は、上記液圧回路の連通状態を制御し、ブレーキ液の流通状態を調整することで、制御液圧を発生する。複数の電磁弁は、遮断弁71、増圧弁72、連通弁73、調圧弁74、減圧弁75、シミュレータ・アウト弁(SS-OUT弁)77、及びシミュレータ・イン弁(SS-IN弁)78を有する。遮断弁71(第1遮断弁71P、第2遮断弁71S)、増圧弁72、及び調圧弁74は、非通電状態で開弁する常開弁である。連通弁73、減圧弁75、SS-OUT弁77、及びSS-IN弁78は、非通電状態で閉弁する常閉弁である。なお、調圧弁74は常閉弁でもよい。遮断弁71、増圧弁72、及び調圧弁74は、ソレノイドに供給される電流に応じて弁の開度が調整される比例制御弁である。連通弁73、減圧弁75、SS-OUT弁77、及びSS-IN弁78は、弁の開閉が二値的に切り替え制御されるオン・オフ弁である。なお、これらの弁は比例制御弁でもよい。各弁71等に対するブレーキ液の入力側又は出力側にはオイルフィルタがある。
複数の液路は、接続液路11、吸入液路12、吐出液路13、調圧液路14、減圧液路15、正圧液路16、背圧液路17、背圧供給液路18、及び補給液路19を有する。接続液路11は、第1接続液路11Pと第2接続液路11Sを有する。第1接続液路11Pの一端は、第1ポート51Pに接続する。第1接続液路11Pの他端の側は、前左輪用の液路11aと後右輪用の液路11dとに分岐する。各液路11a,11dは対応するホイルシリンダポート52a,52dに接続する。第2接続液路11Sの一端は、第2ポート51Sに接続する。第2接続液路11Sの他端の側は、前右輪用の液路11bと後左輪用の液路11cとに分岐する。各液路11b,11cは対応するホイルシリンダポート52b,52cに接続する。接続液路11における上記一端の側には遮断弁71がある。接続液路11において、遮断弁71に対しマスタシリンダポート51の側にオリフィス111がある。各液路11a〜11dには増圧弁72がある。増圧弁72は、接続液路11における遮断弁71とホイルシリンダポート52との間にある。第1接続液路11Pには第1増圧弁72a,72dがあり、第2接続液路11Sには第2増圧弁72b,72cがある。各液路11a〜11dにおいて、増圧弁72に対し遮断弁71の側にオリフィス112がある。増圧弁72(及びオリフィス112)をバイパスして各液路11a〜11dと並列にバイパス液路110がある。液路110にはチェック弁720がある。弁720は、ホイルシリンダポート52の側からマスタシリンダポート51の側へ向うブレーキ液の流れのみを許容する。
吸入液路12は、液溜め室57とポンプ81の吸入ポート811とを接続する。液溜め室57は、ハウジング50の外表面500に開口する吸入ポート53に連通する。液溜め室57は、吸入液路12に接続する容積室であり、ハウジング50の内部でブレーキ液を貯留可能なリザーバとして機能する。吐出液路13の一端は、ポンプ81の吐出ポート812に接続する。吐出液路13の他端は、P系統用の液路13PとS系統用の液路13Sとに分岐する。各液路13P,13Sは、接続液路11における遮断弁71と増圧弁72との間に接続する。各液路13P,13Sには連通弁73がある。各液路13P,13Sにおいて、連通弁73に対し接続液路11の側にオリフィス131がある。調圧液路14は、吐出液路13におけるポンプ81と連通弁73との間と、液溜め室57とを接続する。液路14には第1減圧弁としての調圧弁74がある。減圧液路15は、接続液路11の各液路11a〜11dにおける増圧弁72とホイルシリンダポート52との間と、液溜め室57とを接続する。液路15には第2減圧弁としての減圧弁75がある。各液路15a〜15dにおいて、減圧弁75に対し液溜め室57の側にオリフィス151がある。調圧液路14の一部は減圧液路15と共通であるが、両液路14,15が互いに独立であってもよい。吸入液路12の一部が調圧液路14又は減圧液路15と共通であってもよい。
正圧液路16は、第1接続液路11Pにおける第1ポート51Pと第1遮断弁71Pとの間と、正圧ポート54とを接続する。背圧液路17の一端は、背圧ポート55に接続する。液路17の他端は、液溜め室57に接続する。液路17にはSS-OUT弁77がある。液路17において、SS-OUT弁77に対し背圧ポート55の側にオリフィス171がある。SS-OUT弁77(及びオリフィス171)をバイパスして液路17と並列にバイパス液路170がある。液路170にはチェック弁770がある。弁770は、液溜め室57の側から背圧ポート55の側へ向うブレーキ液の流れのみを許容する。背圧液路17の一部は液路14,15と共通であるが、液路17が両液路14,15に対し独立であってもよい。背圧供給液路18は、背圧液路17における背圧ポート55とSS-OUT弁77との間から分岐し、第1接続液路11Pにおける第1遮断弁71Pと増圧弁72a,72dとの間に接続する。液路18にはSS-IN弁78がある。液路18において、SS-IN弁78に対し第1接続液路11Pの側にオリフィス181がある。SS-IN弁78(及びオリフィス181)をバイパスして液路18と並列にバイパス液路180がある。液路180にはチェック弁780がある。弁780は、背圧液路17の側から第1接続液路11Pの側へ向うブレーキ液の流れのみを許容する。背圧供給液路18の一部は背圧液路17と共通であるが、両液路17,18が互いに独立であってもよい。補給液路19は、液溜め室57と補給ポート56とを接続する。補給液路19の一部は液路14等と共通であるが、液路19が液路14等に対し独立であってもよい。
吐出液路13におけるポンプ81と連通弁73との間には、この箇所の液圧(ポンプ吐出圧)を検出する液圧センサ(吐出圧センサ)92がある。第1接続液路11Pにおける第1遮断弁71Pと増圧弁72a,72dとの間には、この箇所の液圧(ホイルシリンダ液圧に相当)を検出する液圧センサ(P系統液圧センサ)93Pがある。第2接続液路11Sにおける第2遮断弁71Sと増圧弁72b,72cとの間には、この箇所の液圧(ホイルシリンダ液圧に相当)を検出する液圧センサ(S系統液圧センサ)93Sがある。第1接続液路11Pにおける第1ポート51Pと第1遮断弁71Pとの間には、この箇所の液圧(マスタシリンダ液圧に相当)を検出する液圧センサ94がある。
マスタシリンダ4の第1液圧室47Pは、シリンダ40の供給ポート46P、第1配管10MP内の液路(第1接続液路)、ハウジング50の第1接続液路11P、及びホイルシリンダ配管10Wa,10Wd内の液路(第1接続液路)を介して、ホイルシリンダ101a,101dと接続する。ホイルシリンダ101a,101dは、P系統のホイルシリンダである。第2液圧室47Sは、シリンダ40の供給ポート46S、第2配管10MS内の液路(第2接続液路)、ハウジング50の第2接続液路11S、及びホイルシリンダ配管10Wb,10Wc内の液路(第2接続液路)を介して、ホイルシリンダ101b,101cと接続する。ホイルシリンダ101b,101cは、S系統のホイルシリンダである。ストロークシミュレータ6のシリンダ60は、ハウジング50の一側面に設置される。これにより、第2ユニット1Bが第3ユニット1Cに取り付けられる。シリンダ60の外表面600における正圧液路691の開口には液圧ユニット5の正圧ポート54が接続する。外表面600における背圧液路692の開口には液圧ユニット5の背圧ポート55が接続する。外表面600における補給液路693の開口には液圧ユニット5の補給ポート56が接続する。マスタシリンダ4の第1液圧室47Pは、シリンダ40の供給ポート46P、第1配管10MP内の液路(第1接続液路)、ハウジング50の第1接続液路11P及び正圧液路16、並びにシリンダ60の正圧液路691を介して、ストロークシミュレータ6の正圧室607と接続する。ストロークシミュレータ6の背圧室608は、シリンダ60の背圧液路692及びハウジング50の背圧液路17を介して、液溜め室57と接続する。背圧室608は、シリンダ60の背圧液路692、ハウジング50の背圧液路17、背圧供給液路18及び接続液路11、並びにホイルシリンダ配管10W内の液路を介して、ホイルシリンダ101と接続する。ストロークシミュレータ6の上記初期状態で、背圧室608は、ピストン61の補給孔616、シリンダ60の連通溝604、補給凹部603及び補給液路693、並びにハウジング50の補給液路19を介して、液溜め室57と接続する。
電子制御ユニット(コントロールユニット。以下、ECUという。)90は、ハウジング50の一側面に設置される。ECU90は、ハーネス94を介して、ストロークセンサ91や液面センサ27,28と接続する。また、ECU90は、液圧センサ92,93,94と電気的に接続すると共に、CAN等の車載ネットワークを介して、車両側の他の制御機器等と接続する。ECU90は、センサ91等の検出値や車両側から入力された走行状態に関する情報、及び内蔵された(ROMに記憶された)プログラムに基づき、電磁弁71等の開閉動作やモータ80の回転数(すなわちポンプ81の吐出量)を制御する。これにより、各車輪FL〜RRのホイルシリンダ液圧(液圧制動力)を制御する。ECU90は、ホイルシリンダ液圧を制御することで、各種のブレーキ制御を実行可能である。ブレーキ制御は、運転者のブレーキ操作力を低減するための倍力制御、制動による車輪のスリップを抑制するためのアンチロックブレーキ制御(ABS)、車輪の駆動スリップを抑制するためのトラクション制御、車両の運動制御のためのブレーキ制御、先行車追従制御等の自動ブレーキ制御、回生協調ブレーキ制御等を含む。車両の運動制御は、横滑り防止等の車両挙動安定化制御を含む。
ECU90は、受信部901、演算部902、及び駆動部903を有する。受信部901は、センサ91等の検出値及び車載ネットワークからの情報を受信する。演算部902は、受信部901から入力される情報に基づき、目標ホイルシリンダ液圧その他の演算を行う。例えば、ストロークセンサ91の検出値に基づき、ブレーキ操作量としてのブレーキペダル100の変位量(ペダルストローク)を検出する。倍力制御時には、検出されたペダルストロークに基づき、所定の倍力比、すなわちペダルストロークと運転者の要求ブレーキ液圧(運転者が要求する車両減速度)との間の理想の関係特性を実現する目標ホイルシリンダ液圧を設定する。回生協調ブレーキ制御時には、例えば、車両の回生制動装置のコントロールユニットから入力される回生制動力と目標ホイルシリンダ液圧に相当する液圧制動力との和が、運転者の要求する車両減速度を充足するような上記目標ホイルシリンダ液圧を算出する。運動制御時には、例えば検出された車両運動状態量(横加速度等)に基づき、所望の車両運動状態を実現するよう、各車輪FL〜RRの目標ホイルシリンダ液圧を算出する。演算部902は、上記目標ホイルシリンダ液圧を実現するよう、アクチュエータ(各電磁弁71等やモータ80)を駆動するための指令を演算し、これを駆動部903に出力する。駆動部903は、演算部902からの指令信号に応じて上記アクチュエータに電力を供給する。このように、ECU90は、ブレーキシステム1における制御部として機能する。なお、演算部902及び受信部901は、実施形態においてはマイクロコンピュータ内のソフトウェアによって実現されるが、電子回路によって実現してもよい。演算は、数式演算だけでなく、ソフトウェア上での処理全般を意味する。受信部901は、マイクロコンピュータのインターフェイスであってもよいし、マイクロコンピュータ内のソフトウェアであってもよい。駆動部903は、PWMデューティ値演算部やインバータ等を含む。指令信号は、電流値に関するものであってもよいし、トルクや変位量に関するものであってもよい。演算部902について、所定の倍力比を実現する目標ホイルシリンダ液圧は、マイクロコンピュータ内のマップによって設定する他、演算によって設定してもよい。
ECU90は、ポンプ81を非作動とし、遮断弁71を開方向に作動させる。この状態で、マスタシリンダ4の各液圧室47P,47Sとホイルシリンダ101とを接続する液路(接続液路11)は、踏力ブレーキ(非倍力制御)を実現する。踏力ブレーキは、運転者がブレーキペダル100を踏む力(踏力)を用いて発生させたブレーキ液の圧力(マスタシリンダ液圧)によりホイルシリンダ液圧を創生する。すなわち、運転者によりブレーキペダル100が踏み込まれていない初期状態では、マスタシリンダ4のピストン41は初期位置にある。マスタシリンダ4の各液圧室47P,47Sは、リザーバタンク2の各室24P,24Sとそれぞれ連通し、大気圧である。ブレーキペダル100が踏み込まれると、ブレーキペダル100に連動するプッシュロッド3の推力が、ピストン41Pに対しx軸負方向側に作用する。ピストン41がx軸負方向に移動(ストローク)を開始する。ピストン41の補給孔410が第2シール部材44のリップを通過すると、液圧室47と、リザーバタンク2の室24との連通が遮断される。ブレーキペダル100の踏み込みに伴い、液圧室47には大気圧より高いマスタシリンダ液圧が発生する。液圧室47から流出したブレーキ液は、接続液路(第3ユニット1Cの接続液路11等)を介してホイルシリンダ101に供給される。第1液圧室47Pに発生したマスタシリンダ液圧は第1接続液路11Pを介してP系統のホイルシリンダ101a,101dを加圧する。第2液圧室47Sに発生したマスタシリンダ液圧は第2接続液路11Sを介してS系統のホイルシリンダ101b,101cを加圧する。ブレーキペダル100が踏み戻されると、ばねユニット42のばね420の付勢力により、ピストン41がx軸正方向に移動する。液圧室47の容積拡大に応じて、液圧室47の液圧は低下する。よって、接続液路(ホイルシリンダ101)から液圧室47へブレーキ液が戻される。なお、リザーバタンク2から補給ポート45を介して液圧室47へブレーキ液が補給されうる。ピストン41が初期位置に戻ると、液圧室47は再びリザーバタンク2の室24と連通し、大気圧となる。踏力ブレーキ時、ECU90は、SS-IN弁78及びSS-OUT弁77を閉方向に作動させる(非通電状態とする)。これにより、ストロークシミュレータ6が非作動になる。SS-OUT弁77が閉じると、背圧室608からブレーキ液が液溜め室57へ排出されないため、ストロークシミュレータ6のピストン61のストロークが抑制される。
ECU90は、第3ユニット1Cを制御することで、マスタシリンダ4とホイルシリンダ101との連通を遮断した状態で、各ホイルシリンダ101の液圧を(運転者によるブレーキ操作とは独立に)個別に制御可能である。すなわち、ポンプユニット8は、遮断弁71に対してホイルシリンダ101の側の接続液路11にブレーキ液を供給可能な液圧源として機能する。ポンプ81は、液溜め室57のブレーキ液を、吸入液路12を介して吸入し、吐出液路13(液路13P,13S)に吐出する。液溜め室57には、配管10Rを介してリザーバタンク2からブレーキ液が補給される。第3ユニット1Cは、ポンプ81により昇圧されたブレーキ液を、ホイルシリンダ配管10Wを介してホイルシリンダ101へ供給する。液溜め室57とホイルシリンダ101とを接続する液路(吸入液路12、吐出液路13等)は、ポンプユニット8を用いて発生させた液圧によりホイルシリンダ液圧を創生する所謂ブレーキバイワイヤシステムを実現する。遮断弁71は、閉弁することで、マスタシリンダ4とホイルシリンダ101との連通を遮断する。調圧弁74は、ポンプ81の側から調圧液路14を介して液溜め室57へ流出するブレーキ液の量を調整可能である。増圧弁72は、接続液路11を介してホイルシリンダ101へ流入するブレーキ液の量を調整可能である。チェック弁720は、接続液路11における増圧弁72の上流側(当該弁に対し液溜め室57と反対側であってポンプ81の側。以下同じ。)の液圧がホイルシリンダ101の液圧より低いとき、開弁することで、ホイルシリンダ101の側から増圧弁72の上流側へのブレーキ液の流出を許可する。減圧弁75は、開弁することで、ホイルシリンダ101から減圧液路15を介してブレーキ液を液溜め室57へ流出させる。例えば、ECU90は、倍力制御時、モータ80を所定回転数で駆動し、遮断弁71P,71Sを閉方向に、連通弁73P,73Sを開方向に作動させる。全増圧弁72a〜72dを開弁状態に、全減圧弁75a〜75dを閉弁状態に維持する。調圧弁74は、ポンプ81から吐出されたブレーキ液の余剰分を、調圧液路14を介して液溜め室57に戻す機能を有する。ECU90は、調圧弁74の上流側の液圧である吐出液路13の液圧が目標ホイルシリンダ液圧に応じた目標液圧となるように、調圧弁74の開閉(開弁の量や時間や頻度等)を調節する。これにより、実際のホイルシリンダ液圧が目標ホイルシリンダ液圧となるように制御される。調圧弁74の上流側の液圧は、液圧センサ92,93P,93Sのいずれか又は複数の検出値(例えばそれらの平均値)を用いて得られる。倍力制御は、ポンプユニット8を液圧源としてマスタシリンダ液圧よりも高いホイルシリンダ液圧を創生する。これにより、運転者のブレーキ操作力では不足する液圧制動力を発生させることで、ブレーキ操作力を補助する。
液圧センサ93P,93Sは、遮断弁71P,71Sに対してホイルシリンダ101の側の接続液路11P,11Sの液圧を検出可能である。よって、遮断弁71が閉方向に作動しているときもホイルシリンダ101の液圧を検出可能である。ECU90は、検出値に基づきホイルシリンダ液圧を制御できる。液圧センサ93はP,S系統にあるため、系統毎に検出値に基づきホイルシリンダ液圧を制御できる。なお、液圧センサ93は、吐出液路13(における連通弁73よりも接続液路11の側)にあってもよい。液圧センサ93Pは、背圧供給液路18(におけるSS-IN弁78よりも接続液路11の側)にあってもよい。液圧センサ93の代わりに、接続液路11における増圧弁72とホイルシリンダポート52との間に、この箇所の液圧(ホイルシリンダ液圧に相当)を検出する液圧センサがあってもよい。また、液圧センサ92を省略してもよい。本実施形態では、液圧センサ93P,93Sに加えて液圧センサ92があるため、調圧弁74の上流側の液圧をより正確に検出可能である。また、ECU90が、液圧センサ92,93P,93Sの検出値を比較することで、いずれのセンサ92,93P,93Sに異常が生じているかを特定可能である。
吐出液路13P,13Sは、(第1遮断弁71Pに対してホイルシリンダポート52a,52dの側の)第1接続液路11Pと、(第2遮断弁71Sに対してホイルシリンダポート52b,52cの側の)第2接続液路11Sとを接続する連通液路として機能する。よって、P系統の液圧回路とS系統の液圧回路が、上記連通液路を介して接続される(いわば1系統の液圧回路となる)ため、ホイルシリンダ液圧の制御がP,S系統のいずれかに偏ったものとなることが抑制される。ポンプ81は、上記連通液路に接続されている。ポンプ81は、上記連通液路及び接続液路11P,11Sを介して、各ホイルシリンダポート52a〜52dに接続する。よって、1つのポンプユニット8で各ホイルシリンダ101a〜101dを加圧可能である。また、ポンプ81からのブレーキ液の供給が、P,S系統のいずれかに偏ったものとなることを抑制可能である。上記連通液路には連通弁73がある。連通弁73を閉方向に制御することで、P,S系統間のブレーキ液の流通を抑制し、各系統の液圧回路を独立の回路として互いに分離可能である。液路13P,13Sにそれぞれ連通弁73P,73Sがある。よって、フェールセーフ性能の向上等を図ることができる。P,Sいずれかの系統で液漏れが生じても、液漏れが生じた系統の連通弁73を閉方向に制御することで、液漏れが生じていない系統においてポンプユニット8を用いたホイルシリンダ液圧制御を継続可能である。ECU90は、調圧弁74を閉方向に作動させた状態で、連通弁73P,73Sを開閉させることで、液圧センサ92,93P,93Sのいずれかにおける異常を検出可能である。
ストロークシミュレータ6は、液圧ユニット5及びECU90等と共に、ブレーキ装置として機能する。ブレーキバイワイヤ時、ECU90は、SS-OUT弁77を開方向に作動させる。これにより、ストロークシミュレータ6が作動する。すなわち、背圧液路17は、ストロークシミュレータ6の背圧室608と液溜め室57とを接続する液路(第2シミュレータ液路)として機能する。背圧液路17にSS-OUT弁77がある。SS-OUT弁77により、背圧室608と液溜め室57との連通状態を切り替えることで、ストロークシミュレータ6の作動・非作動を切り替えることができる。ブレーキペダル100が踏み込まれていない初期状態では、ストロークシミュレータ6のピストン61は初期位置にある。ストロークシミュレータ6の正圧室607は、マスタシリンダ4の第1液圧室47Pと連通しており、正圧室607の液圧は大気圧である。背圧室608は、背圧液路692を介して背圧液路17に連通すると共に、補給孔616及び連通溝604や補給凹部603を介して補給液路693,19に連通しており、背圧室608の液圧は大気圧である。ブレーキペダル100が踏み込まれ、第1液圧室47Pにマスタシリンダ液圧が発生すると、第1液圧室47Pから流出したブレーキ液は、正圧液路16,691を介して正圧室607に流入する。正圧室607には、第1液圧室47Pと実質的に同じ液圧(マスタシリンダ液圧)が発生する。この正圧室607の液圧と背圧室608の液圧(大気圧)との差による力がピストン61にy軸負方向に作用する。この液圧差による力が、第1,第2ばね620,630の合力(実際には第1ばね620のセット荷重)より大きくなると、ピストン61がy軸負方向にストロークする。これによりストロークシミュレータ6が作動を開始する。なお、第1シール部材64は、正圧室607から背圧室608へのブレーキ液の漏出を抑制する。ピストン61のストロークによりペダルストロークが発生すると共に、第1,第2ばね620,630の付勢力によりペダル反力が生成される。すなわち、ばね620,630の圧縮量に応じた力がピストン61に作用し、正圧室607にはこの力に応じた液圧が発生する。正圧室607の液圧は第1液圧室47Pを介してピストン41Pに作用する。よって、ピストン61に作用する上記力は、ブレーキペダル100に伝達され、ブレーキペダル100の操作反力(ペダル反力)を擬似的に生成する。なお、ピストン61の補給孔616が第2シール部材65のリップを通過すると、背圧室608と連通溝604等との連通が遮断される。しかし、背圧室608は背圧液路692を介して背圧液路17に常時連通するため、背圧室608の液圧は大気圧のままである。背圧室608から流出するブレーキ液は、背圧液路17(SS-OUT弁77)を通って液溜め室57に供給される。ブレーキペダル100が踏み戻され、第1液圧室47Pのマスタシリンダ液圧が低下すると、正圧室607の液圧も低下する。ばね620,630の付勢力が上記液圧差による力を上回ると、ピストン61がy軸正方向に移動する。ばね620,630は、ピストン61の戻しばねとして機能する。正圧室607のブレーキ液は、正圧液路691,16及び第1接続液路11Pを介して第1液圧室47Pへ戻される。背圧室608の容積拡大に応じて、液溜め室57から背圧液路17,692を介して背圧室608へブレーキ液が戻される。ピストン61が初期位置の近傍まで戻ると、背圧室608は、再び補給孔616及び連通溝604等を介して補給液路19に連通する。
具体的には、ピストン61のy軸負方向のストロークに応じて第1ばね620がy軸方向で所定量以上圧縮されると、第1弾性部材62Aとストッパ623(他端部629)とが接触し、第1弾性部材62Aは圧縮弾性変形する。これにより、第1ばね620の圧縮変形が規制されると共に、規制の際の衝撃が緩和される。ピストン61がさらにストロークすると第2ばね630が圧縮弾性変形を開始する。第2ばね630がy軸方向で所定量以上圧縮されると、第2弾性部材63Aと第3リテーナ631(底部633)とが接触し、第2弾性部材63Aは圧縮弾性変形する。これにより、第2ばね630の圧縮変形が規制されると共に、規制の際の衝撃が緩和される。ばね係数が互いに異なる第1ばね620及び第2ばね630が直列に接続されており、これらが順を追って段階的に弾性変形する。これにより、両ばね620,630全体としての特性(変形量に対するばね係数の変化の特性)が非線形となる。このため、ピストン61の作動(ペダルストローク)に応じてストロークシミュレータ6が生成するペダル反力を、より望ましい特性に近づけることができる。なお、第1ばね620が圧縮変形を規制される前に第2ばね630が圧縮変形を開始してもよい。第1ばね620のばね係数やセット荷重よりも、第2ばね630のばね係数やセット荷重のほうがが小さくてもよい。
なお、ストロークシミュレータ6の作動中に電源失陥が発生すると、SS-OUT弁77が閉弁状態になる。ばね620,630の力により、ピストン61は初期位置に向けてy軸正方向にストロークする。背圧室608の容積拡大に応じてチェック弁770が開弁し、液溜め室57から背圧液路17(バイパス液路170),692を介して背圧室608にブレーキ液が補給される。また、補給液路19,693から第2シール部材65を介して背圧室608にブレーキ液が補給される。ピストン61の補給孔616がシール部材65のリップよりもy軸正方向側に戻ると、背圧室608と補給液路693とがシール部材65を介さずに連通する。これにより、液溜め室57から補給液路19を介して背圧室608にブレーキ液が円滑に補給され、背圧室608が速やかに大気圧へ戻る。
ECU90は、ブレーキペダル100の踏込み操作開始後、ホイルシリンダ液圧制御を実行する際、ポンプ81が十分に高いホイルシリンダ液圧を発生可能になるまでの間、SS-OUT弁77を閉方向に作動させ(非通電状態とし)てもよい。これにより、ホイルシリンダ液圧の昇圧応答性を向上できる。すなわち、SS-OUT弁77よりも背圧ポート55の側の背圧液路17、及び背圧供給液路18は、ストロークシミュレータ6の背圧室608と、遮断弁71に対してホイルシリンダ101の側の接続液路11とを接続する液路(第1シミュレータ液路)として機能する。SS-OUT弁77が閉じた状態であると、ブレーキペダル100の踏込み操作に応じて背圧室608から流出するブレーキ液は、背圧室608の液圧のほうがホイルシリンダ101の液圧よりも高い間、背圧供給液路18(バイパス液路180及びチェック弁780)を通って上記接続液路11に供給される。このときストロークシミュレータ6の第2シール部材65は、背圧室608から補給液路693や正圧室607へ向かってブレーキ液が漏出することを抑制する。上記接続液路11に供給されたブレーキ液はホイルシリンダ101へ供給されるため、ホイルシリンダ液圧の昇圧応答性を向上できる。背圧室608の液圧よりもホイルシリンダ101の液圧のほうが高くなると、チェック弁780が閉弁し、ホイルシリンダ101への上記ブレーキ液の供給が自動的に終了する。ECU90は、ポンプ81が十分に高いホイルシリンダ液圧を発生可能な作動状態になったと判断すると、SS-OUT弁77を開方向に作動させる。これにより、背圧室608からのブレーキ液の流出先が、上記接続液路11から液溜め室57に切り換えられる。
背圧供給液路18には、バイパス液路180及びチェック弁780と並列に、SS-IN弁78がある。ECU90は、ブレーキペダル100の踏込み操作開始後、上記のようにSS-OUT弁77を閉方向に作動させる間、SS-IN弁78を開方向に作動させてもよい。これにより、背圧供給液路18の流路断面積が大きくなり、背圧室608からホイルシリンダ101へのブレーキ液の供給が円滑化される。これとは別に、ECU90は、背圧室608の液圧よりも上記接続液路11の液圧のほうが高い状態で、SS-IN弁78を開方向に作動させることにより、上記接続液路11から背圧室608へブレーキ液を供給することができる。また、SS-IN弁78を閉方向に作動させることにより、上記接続液路11から背圧室608へのブレーキ液の供給を停止することができる。よって、ECU90は、例えば遮断弁71を閉方向に作動させた状態でアンチロックブレーキ制御を実行中、SS-IN弁78の開閉を調節して背圧室608へのブレーキ液供給を制御することで、アンチロックブレーキ制御の実行をペダル反力として運転者に報知可能であると共に、ブレーキペダル100の操作フィーリング(ペダルフィーリング)を向上できる。なお、背圧室608と(遮断弁71に対してホイルシリンダ101の側の)接続液路11とを接続する上記液路は、背圧液路17から独立してあってもよい。言換えると、背圧供給液路18は、上記接続液路11と背圧室608(背圧液路692)とを直接的に接続するものであってもよい。本実施形態では、背圧室608と上記接続液路11とを接続する液路が、背圧室608と液溜め室57とを接続する液路と一部共通であるため、液圧回路の構成の簡素化を図ることができる。
ECU90は、ブレーキペダル100の操作に応じてストロークシミュレータ6を作動させつつホイルシリンダ101の液圧を制御する場合、ブレーキペダル100が踏み戻される際に、ストロークシミュレータ・ピストン戻し制御(SSピストン戻し制御)を実行する。図3は、ECU90にて実行される、ホイルシリンダ液圧制御とSSピストン戻し制御とを切り替える判断の流れを示す。ECU90は、この判断の流れを所定の周期で繰り返し実行する。ECU90は、ステップS1で、ペダルストロークStが所定値St0より大きいか否かを判定する。St0は、ゼロより大きい値であり、ブレーキペダル100が踏み込まれたと判断できる閾値である。StがSt0より大きければ、ステップS2へ進む。StがSt0以下であれば、今回の周期を終了する。ステップS2で、ホイルシリンダ液圧制御の実行を指令する。ホイルシリンダ液圧制御は、以下では倍力制御を例にとって説明するが、ブレーキ操作に応じてストロークシミュレータ6を作動させる制御であればよく、倍力制御に限らない。上記のように、倍力制御では、ECU90は、遮断弁71P,71Sを閉方向に作動させ、連通弁73P,73Sを開方向に作動させ、調圧弁74の開閉を調節し、SS-OUT弁77を開方向に作動させ、モータ80を駆動する。SS-IN弁78その他の電磁弁を非通電状態とする。その後、ステップS3へ進む。ステップS3で、Stが所定値St1より小さいか否かを判定する。St1は、ゼロより大きくSt0以下の値であり、Stが実質的にゼロとなるまでブレーキペダル100が踏み戻された(ブレーキペダル100の戻し操作が完了した)と判断できる閾値である。StがSt1より小さければ、ステップS4へ進み、StがSt1以上であれば、ステップS2へ戻る。ステップS4では、SSピストン戻し制御の実行を指令する。その後、今回の周期を終了する。
図4は、ECU90にて実行される、SSピストン戻し制御の流れを示す。本制御のスタート時(ステップS3からS4へ移行する際)、ECU90は、倍力制御における各アクチュエータの作動状態(通電又は非通電の状態)を継続する。なお、ECU90は、本制御のスタート時、モータ80その他のアクチュエータをいったん非作動としてもよい。ECU90は、ステップS401で、液圧センサ93により検出されたホイルシリンダ液圧Pwが所定値P1より低いか否かを判定する。P1は、大気圧より高い値であり、Pwが実質的に大気圧であると判断できる閾値である。PwがP1より低ければ、ステップS402へ進む。PwがP1以上であれば、本制御を終了し、ステップS3へ戻る。ステップS402で、図5に示すように、調圧弁74を閉方向に作動させ、全増圧弁72a〜72dを閉方向に作動させ、SS-IN弁78を開方向に作動させ、SS-OUT弁77を閉方向に作動させる。なお、倍力制御時における、遮断弁71P,71Sの閉方向への作動、連通弁73P,73Sの開方向への作動、及びモータ80の駆動を継続する。ポンプ81を所定回転数で回転させる。その後、ステップS403へ進む。ステップS403で、ステップS402を実行してから所定時間T1が経過したか否かを判定する。T1は、ゼロより大きい値であり、ストロークシミュレータ6のピストン61を初期位置へ戻すために十分なブレーキ液がポンプ81から背圧室608へ供給されたと判断できる閾値である。T1は、例えば、ストロークシミュレータ6の反力特性又は背圧室608の体積に基づいて設定される。T1が経過していればステップS404へ進む。T1が経過していなければステップ410へ進む。ステップS404で、図6に示すように、SS-OUT弁77を開方向に作動させ、モータ80を停止する。その後、ステップS405へ進む。
ステップS405で、ステップS404を実行してから所定時間T2が経過したか否かを判定する。T2は、ゼロより大きい値であり、T2の間だけSS-OUT弁77を介して液溜め室57へブレーキ液が排出されることで、SS-OUT弁77の上流側の液路等[すなわち遮断弁71と増圧弁72との間の接続液路11や背圧供給液路18(背圧室608)]が十分に(実質的に大気圧まで)減圧されたと判断できる閾値である。T2が経過していればステップS406へ進む。T2が経過していなければステップ411へ進む。ステップS406で、遮断弁71P,71Sを開方向に作動させ、連通弁73P,73Sを閉方向に作動させ、調圧弁74を開方向に作動させ、全増圧弁72a〜72dを開方向に作動させ、SS-IN弁78を閉方向に作動させる。言換えると、SS-OUT弁77以外の電磁弁を非通電状態とする。その後、ステップS407へ進む。ステップS407で、ステップS406を実行してから所定時間T3が経過したか否かを判定する。T3は、ゼロより大きい値であり、T3の間だけSS-OUT弁77を介して液溜め室57へブレーキ液が排出されることで、背圧室608の液圧が十分に(実質的に大気圧まで)低下したと判断できる閾値である。T3が経過していればステップS408へ進む。T3が経過していなければステップ412へ進む。ステップS408では、SS-OUT弁77を閉方向に作動させる。言換えると、SS-OUT弁77を非通電状態とする。その後、本制御を終了する。ステップS410,S411,S412では、ペダルストロークStがSt1より小さいか否かを判定する。StがSt1以上であれば、本制御を終了し、S2へ戻る。ステップS410で、StがSt1より小さければ、ステップS403へ戻る。ステップS411で、StがSt1より小さければ、ステップS405へ戻る。ステップS412で、StがSt1より小さければ、ステップS407へ戻る。
次に作用効果を説明する。ストロークシミュレータ6は、ピストン61がストロークすることで、ブレーキペダル100の操作に応じた操作反力(ペダル反力)を生成可能である。ここで、ブレーキペダル100の踏み戻しの際に、ピストン61が初期位置に戻らない場合がある。例えば、ピストン61とシリンダ60(小径部601)との間におけるシール部材64等の抵抗(摺動抵抗)が大きかったり、ブレーキ液の粘性が大きかったりすることで、ピストン61を初期位置へ付勢する付勢部材(ばね620,630や弾性部材62A,63A)の反力が不足し、ピストン61が初期位置に戻り切らない場合がある。この状態、すなわち、ばね620等が初期長よりも押し縮められ(さらには弾性部材62A等が圧縮され)た状態でブレーキペダル100が踏込み操作されると、ブレーキペダル100の動き出し時のペダル反力が大きく、ブレーキペダル100が重たく感じられることがある。また、ストロークシミュレータ6を構成する部品が製品毎にばらついたり、周囲温度等によってブレーキ液の粘性が変化したりするのに応じて、ブレーキペダル100の戻し操作が終了したときのピストン61の位置がばらつく。ピストン61の位置、言換えると上記付勢部材の力(ばね620,630の長さや弾性部材62A,63Aの圧縮の有無)が初期状態とは様々に異なった状態でブレーキペダル100が再び踏み込まれると、ストロークシミュレータ6が発生するペダル反力の特性(ペダルストロークや踏力に対するペダル反力の大きさや変化の仕方。言換えるとブレーキペダル100の操作特性)が、前回の踏込み時の特性や通常の特性と様々に異なることとなる。これにより、ペダルフィーリングにバラツキが生じ、運転者に違和感を生じさせるおそれがある。
これに対し、ECU90は、ブレーキペダル100が踏み戻された際に、SSピストン戻し制御を実行する。すなわち、ECU90は、第1工程と第2工程を実行する。第1工程では、ブレーキペダル100の踏み戻し(戻し操作の完了)を検出する(図3のステップS3)。第2工程では、第1工程にてブレーキペダル100の踏み戻しが検出された後、SSピストン戻し制御により、ストロークシミュレータ6の背圧室608を加圧する(図4のステップS402)。ここで、背圧室608を加圧するとは、背圧室608にブレーキ液を供給することにより背圧室608の液圧が上昇し、これによりピストン61に背圧室608の側から圧力を与える(ピストン61のy軸負方向側の背面に圧力を作用させる)ことを意味する。よって、ピストン61が初期位置へ向けて付勢される。これによりピストン61が初期位置へ戻される。すると、ブレーキペダル100が再度踏み込まれたときのペダル反力の特性が通常時とあまり変わらなくなる(通常の特性が維持される)。このため、ブレーキペダル100が重たく感じられることを回避できると共に、ペダルフィーリングにバラツキが生じることを抑制できる。なお、ブレーキペダル100が踏み戻された際にピストン61を初期位置へ戻すため、ピストン61を初期位置へ付勢する付勢部材の力を大きく設定する等の方法も考えられる。しかし、この場合、ペダル反力が大きくなり、ブレーキペダル100の操作特性が全般的に重いものとなるおそれがある。また、上記付勢部材の付勢力を調整するのみではストロークシミュレータ6のピストン61を初期位置へ十分に戻せないおそれもある。本実施形態では、上記付勢部材の付勢力を任意に設定してもピストン61を初期位置へ戻すことが可能であるため、ペダル反力の特性の設定自由度を向上しつつ、ブレーキペダル100の再踏み込み時におけるペダルフィーリングの悪化を抑制できる。例えば、上記付勢部材としてばね定数の小さいばね(第1ばね620)を用いることで、ブレーキペダル100の操作特性を(少なくともペダルストロークの一部の領域で)軽いものに設定することができる。
なお、ストロークシミュレータ6の構造は本実施形態のものに限らない。例えば、ばね620,630は、圧縮ばねに限らず、引張ばねでもよい。ばね620,630は、コイルばねに限らず皿ばねや板ばね等でもよい。ばね620,630の材料は、金属に限らずゴム等の非金属でもよい。第1弾性部材62A及び第2弾性部材63Aの一方又は両方を省略してもよいし、第1ばね620及び第2ばね630の一方を省略してもよい。また、ピストン61を初期位置へ戻すための付勢部材は、ばね620,630や弾性部材62A,63A等の弾性体に限らず、磁石等であってもよい。
ECU90は、第2工程で、ポンプユニット8を作動させることで背圧室608を加圧する(ステップS402)。よって、ポンプユニット8の作動を制御することで、背圧室608の液圧を比較的容易に制御できる。なお、背圧室608を加圧するための液圧源は、ポンプユニット8に限らず、アキュムレータや、モータにより駆動される油圧ピストン等であってもよい。本実施形態では、ホイルシリンダ液圧制御(各種ブレーキ制御)に用いられるポンプユニット8を、SSピストン戻し制御における背圧室608の加圧にも用いることで、部品点数の増大を抑制し、構成の簡素化を図ることができる。
以下、図7を用いて、SSピストン戻し制御時における各アクチュエータの作動例を説明する。時刻t1の直前、ブレーキペダル100の踏み込みが開始される。時刻t1で、ペダルストロークStがSt0より大きくなる。その後も、Stが増大する。時刻t2で、ブレーキペダル100の踏み込みが終了する。時刻t2からt3まで、Stが一定に保たれる。時刻t3で、ブレーキペダル100の踏み戻しが開始される。その後、Stが減少する。時刻t4で、StがSt1より小さくなる(Stが実質的にゼロとなる)。その直後、ブレーキペダル100が初期位置まで戻り、ブレーキペダル100の踏み戻しが終了する。時刻t1からt4まで、ステップS1→S2→S3→S2→…の流れとなり、ホイルシリンダ液圧制御(倍力制御)の指令が出力される。時刻t1からt4まで、倍力制御が実行される。ホイルシリンダ液圧PwがStに応じた値に制御される。増圧弁72の上流側の液路11,13等の液圧PUは、Pwと実質的に同じ値で変化する。時刻t3から時刻t4まで、調圧弁74が開方向に作動することで、Pwが減圧される。時刻t4で、PwがP1より低くなる(Pwが実質的に大気圧となる)。時刻t4で、ステップS3→S4の流れとなり、SSピストン戻し制御の指令が出力される。時刻t4以後、SSピストン戻し制御が実行される。具体的には、時刻t4で、ステップS401からS402へ進み、その後、T1が経過するまで、ステップS403→S410→S403→S410→・・・の流れとなる。S402の実行により、調圧弁74が閉方向に、増圧弁72が閉方向に、SS-IN弁78が開方向に、SS-OUT弁77が閉方向に、それぞれ作動する。図5に示すように、ポンプ81から吐出されたブレーキ液は、吐出液路13、第1接続液路11P、及び背圧供給液路18を介してストロークシミュレータ6の背圧室608へ供給される。これにより、背圧室608の液圧が大気圧よりも上昇する。これに伴い、増圧弁72の上流側の液圧PUが上昇する。PUは時刻t41まで上昇し、t41以後、一定となる。上昇した背圧室608の液圧は、ピストン61をy軸正方向側へ押す。よって、時刻t4でピストン61が初期位置に対しy軸負方向側の位置に止まっていた場合でも、ピストン61がy軸正方向側にストロークし、初期位置へ向かって戻る。
時刻t5で、時刻t4からT1が経過する。よって、ステップS403からS404へ進み、その後、T2が経過するまで、ステップS405→S411→S405→S411→・・・の流れとなる。S404の実行により、SS-OUT弁77が開方向に作動し、モータ80が停止する。図6に示すように、ポンプ81から背圧室608へのブレーキ液の供給が終了する一方で、背圧室608のブレーキ液は、背圧液路692,17を介して液溜め室57へ排出される。これにより、背圧室608の液圧が大気圧に向かって低下する。これに伴い、PUが低下する。なお、ピストン61が初期位置まで戻っていた場合、背圧室608のブレーキ液は、補給液路693,19を介しても液溜め室57へ排出される。時刻t6で、時刻t5からT2が経過する。よって、ステップS405からS406へ進み、その後、T3が経過するまで、ステップS407→S412→S407→S412→・・・の流れとなる。S406の実行により、遮断弁71が開方向に、連通弁73が閉方向に、調圧弁74が開方向に、増圧弁72が開方向に、SS-IN弁78が閉方向に、それぞれ作動する。SS-OUT弁77は開方向に作動したままである。よって、時刻t6で、万一、背圧室608の液圧が大気圧より高い場合でも、背圧室608のブレーキ液は、背圧液路692,17を介して液溜め室57へ排出されるため、背圧室608の液圧が実質的に大気圧まで低下する。時刻t7で、時刻6からT3が経過する。よって、ステップS407からS408へ進み、SS-OUT弁77が閉方向に作動する。ブレーキシステム1が非通電状態となる。
以上のように、ECU90は、ブレーキペダル100が踏み戻された際に、SS-IN弁78を開方向に作動させる(ステップS402)。よって、(遮断弁71に対してホイルシリンダ101の側の)接続液路11から、背圧供給液路18を介して、背圧室608にブレーキ液が供給される。これにより、背圧室608の液圧が上昇する。背圧供給液路18は、この他にも、上記のように、ブレーキペダル100の踏み込み時にホイルシリンダ101の昇圧応答性を向上する等の機能を有する。よって、多機能を実現しつつ液圧回路の構成を簡素化できる。
ECU90は、ブレーキペダル100が踏み戻された際に、SS-OUT弁77を閉方向に作動させる(ステップS402)。よって、(遮断弁71に対してホイルシリンダ101の側の)接続液路11から背圧液路17へブレーキ液が漏れることが抑制される。これにより、上記接続液路11から背圧供給液路18を介して、効率よく、背圧室608にブレーキ液が供給される。
ECU90は、ブレーキペダル100が踏み戻された際に、ポンプユニット8を作動させる(ステップS402で、モータ80を駆動した状態を維持する)。よって、ポンプ81から、上記接続液路11及び背圧供給液路18を介して、背圧室608にブレーキ液が供給される。
ECU90は、ブレーキペダル100が踏み戻された際に、ストロークシミュレータ6の反力特性又は背圧室608の体積に基づいて設定された時間T1だけモータ80を駆動する(ステップS3,S4,S401〜S403,S410)。すなわち、上記反力特性(ストロークシミュレータ6が発生するペダル反力の通常の特性)は、ピストン61を付勢する付勢部材の構成(ばね620,630や弾性部材62A,63Aの寸法や材質等)に応じて決まる。ブレーキペダル100が踏み戻された際のピストン61の初期位置からの変位量(初期位置まで戻り切らない量)は、上記付勢部材の諸元に応じて、大体予測できる。例えば、第1ばね620の各種寸法(ばね係数)は第2ばね630より小さい。よって、第2ばね630よりも第1ばね620のほうが、反力が小さく、初期長に戻りにくい。したがって、ピストン61を初期位置まで戻すために背圧室608へ供給すべきブレーキ液の量は、第1ばね620の諸元(圧縮量)に応じた値として予測可能である。また、ピストン61のストロークに応じた背圧室608の容積の変化量は、ストロークシミュレータ6の体格、言換えると背圧室608の体積に応じて決まる。よって、ピストン61を初期位置まで戻すために背圧室608へ供給すべきブレーキ液の量は、背圧室608の体積に応じた値としても予測可能である。なお、上記ブレーキ液量は、背圧室608の液圧を受けるピストン61の面積に応じた値としても予測可能である。このようにストロークシミュレータ6の構造に応じて予測されるブレーキ液量を供給可能な時間T1だけモータ80を所定回転数(例えば踏み込み時の倍力制御中と同じ回転数)で駆動する。これにより、ポンプ81から背圧室608へ供給されるブレーキ液の量が最適化され、不足がなくなる。よって、ピストン61を初期位置まで、より確実に戻すことができる。
ECU90は、SS-OUT弁77を閉方向に作動させた後、所定時間T1が経過すると、ポンプユニット8を非作動にする(ステップS404)。これにより、ポンプ81から背圧室608へ十分な量のブレーキ液が供給されると、ブレーキ液の当該供給が終了し、背圧室608への過剰なブレーキ液の供給が抑制される。よって、ピストン61を初期位置まで、効率的に戻すことができる。また、背圧室608の加圧時間を必要最小限とすることで、SSピストン戻し制御の実行に伴う運転者の違和感を抑制できる。なお、ピストン61の位置を検出するセンサを設置し、ECU90が、当該センサの検出値を用いて、背圧室608へのブレーキ液の供給(モータ80の駆動)の必要性の有無を判断してもよい。本実施形態では、所定時間T1の経過の有無を用いることにより、センサの検出値を用いることなく、背圧室608が十分に加圧されたか否かを判定できる。よって、部品点数の増大を抑制し、制御構成をより簡素化できる。
ECU90は、ブレーキペダル100が踏み戻された際に、増圧弁72を閉方向に作動させる(ステップS402)。よって、ポンプ81からホイルシリンダ101へブレーキ液が供給されることが抑制される。これにより、ホイルシリンダ101の不要な増圧を回避できる。ここで、ECU90は、ホイルシリンダ液圧PwがP1より低くなったことをステップS401で確認してから、増圧弁72を閉方向に作動させる。よって、SSピストン戻し制御中、Pwがゼロより高い状態に維持されることが回避されるため、運転者に違和感を与えることを抑制できる。なお、ペダルストロークStが実質的にゼロとなる時点に対し、Pwが実質的にゼロとなる時点の遅れ時間を予測可能である。よって、ECU90は、Stが実質的にゼロとなった後、上記遅れ時間が経過したことを確認してから、増圧弁72を閉方向に作動させてもよい。
ECU90は、背圧室608の加圧後、背圧室608を減圧する制御を行う(ステップS404)。この減圧制御の具体的な方法は任意である。本実施形態では、液圧ユニット5に元々ある電磁弁を用いて上記減圧制御を行う。よって、部品点数の増大を抑制し、構成の簡素化を図ることができる。
具体的には、ECU90は、SS-OUT弁77を閉方向に作動させた後、所定時間T1が経過すると、SS-OUT弁77を開方向に作動させる(ステップS404)。よって、ピストン61の付勢に利用した背圧室608のブレーキ液を、背圧液路692,17を介して液溜め室57へ排出可能である。背圧室608の過剰なブレーキ液が排出され、背圧室608の液圧が大気圧に向けて減圧される。これにより、ブレーキペダル100の再度の踏込み操作時にも、ストロークシミュレータ6の通常の特性を実現することが可能となる。なお、ECU90は、ステップS404で、SS-OUT弁77を開方向に作動させると共に、又はSS-OUT弁77を開方向に作動させる代わりに、遮断弁71を開方向に作動させてもよい。この場合、背圧室608のブレーキ液を、背圧供給液路18及び接続液路11を介してマスタシリンダ4の側に排出することができる。しかし、ECU90がSS-OUT弁77を開方向に作動させる代わりに遮断弁71を開方向に作動させる場合、背圧室608からマスタシリンダ4の側にブレーキ液を排出中にブレーキペダル100の再度の踏込み操作がなされると、接続液路11において、当該踏込み操作によりマスタシリンダ4から流出するブレーキ液の流れと、ブレーキ液の上記排出の流れとが干渉する。このため、ブレーキがいわば硬くなり(ブレーキペダル100の剛性が上がり)、ペダル反力の特性が変化することでペダルフィーリングが低下するおそれがある。これに対し、本実施形態では、ECU90がSS-OUT弁77を開方向に作動させる。背圧室608のブレーキ液は、接続液路11を介さず、背圧液路692,17を介して排出される。このため、仮にブレーキ液の排出中にブレーキペダル100の踏込み操作がなされても、当該踏込み操作によるマスタシリンダ4からのブレーキ液の流れと、ブレーキ液の上記排出の流れとが干渉することが回避される。よって、上記干渉による特性の変化が抑制されるため、ペダルフィーリングを向上できる。
また、ECU90は、ステップS404で、SS-OUT弁77を開方向に作動させると共に、又はSS-OUT弁77を開方向に作動させる代わりに、調圧弁74を開方向に作動させてもよい。この場合、背圧室608のブレーキ液を、背圧供給液路18及び調圧液路14を介して排出することができる。このように「ECU90がSS-OUT弁77を開方向に作動させる代わりに調圧弁74を開方向に作動させる」場合に比べ、本実施形態では、ECU90がSS-OUT弁77を開方向に作動させることで、背圧室608のブレーキ液が、背圧室608により近いSS-OUT弁77を介して(より具体的には、複数の弁を介さず)排出される。よって、効率よく(かつ単純な制御構成で)背圧室608を減圧できる。また、背圧室608から排出されるブレーキ液が接続液路11に流れ込むことが、より確実に抑制される。このため、上記干渉による特性の変化がより抑制される。
なお、ECU90は、ステップS404で、SS-IN弁78を閉方向に作動させてもよい。この場合、ECU90が調圧弁74を開方向に作動させることで、増圧弁72の上流側の液路、すなわち吐出液路13、遮断弁71と増圧弁72との間の接続液路11、及び(SS-IN弁78よりも接続液路11の側の)背圧供給液路18のブレーキ液を、調圧液路14を介して排出することができる。本実施形態では、ECU90は、ステップS404で、SS-IN弁78を閉方向に作動させない。増圧弁72の上流側の上記液路(以下、上流液路という。)のブレーキ液は、(開方向に作動した)SS-IN弁78を介して、背圧室608のブレーキ液と共に(SS-OUT弁77を介して)排出される。よって、ECU90が、(ステップS402に引き続き)SS-IN弁78の作動を開方向に維持したままSS-OUT弁77を開方向に作動させるだけの単純な制御構成で、不要なブレーキ液を排出できる。
ECU90は、上流液路が十分に減圧されたと判定すると、遮断弁71を非通電状態とする(遮断弁71を開方向に作動させる)。仮に、上流液路が十分に減圧される前に、遮断弁71を非通電状態とすると、上流液路から遮断弁71を介してマスタシリンダ4の側にブレーキ液が戻されることになる。その最中にブレーキペダル100が再度踏み込み操作されると、接続液路11において、上記戻されるブレーキ液の流れと、踏み込みによってマスタシリンダ4から流出するブレーキ液の流れとが干渉する。これにより、ブレーキがいわば硬くなり(ブレーキペダル100の剛性が上がり)、ペダルフィーリングが低下するおそれがある。これに対し、上流液路が十分に減圧されたと判定してから、遮断弁71を非通電状態とする。これにより、接続液路11から遮断弁71を介してマスタシリンダ4にブレーキ液が戻されるおそれが少なくなるため、上記干渉をより確実に抑制し、ペダルフィーリングを向上できる。
ECU90は、上流液路が十分に減圧されたと判定すると、増圧弁72を非通電状態とする(増圧弁72を開方向に作動させる)。仮に、上流液路が十分に減圧される前に、増圧弁72を非通電状態とすると、接続液路11から増圧弁72を介してホイルシリンダ101にブレーキ液が供給され、ホイルシリンダ101が増圧されるおそれがある。これに対し、上流液路が十分に減圧されたと判定してから、増圧弁72を非通電状態とする。これにより、接続液路11から増圧弁72を介してホイルシリンダ101にブレーキ液が供給されるおそれが少なくなるため、ホイルシリンダ101の不要な増圧をより確実に抑制できる。
具体的には、ECU90は、ステップS405で、SS-OUT弁77を開方向に作動させ始めてから所定時間T2が経過すると、S406へ移行する(遮断弁71及び増圧弁72を非通電状態とする)。よって、ECU90が、液圧センサ93や液圧センサ92(以下、液圧センサ93等という。)の検出値を用いることなく、上流液路が十分に減圧されたか否かを判定できる。これにより、制御構成の簡素化を図ることができる。
ECU90は、背圧室608が十分に減圧されたと判定すると、SS-OUT弁77を非通電状態とする(SS-OUT弁77を閉方向に作動させる)。仮に、背圧室608が十分に減圧される前に、SS-OUT弁77を非通電状態とすると、背圧室608の液圧が大気圧よりも高い状態で維持されるおそれがある。この状態で、ブレーキペダル100が再度踏み込み操作されると、ストロークシミュレータ6の特性が重くなったり、通常とは異なった特性になったりして、ペダルフィーリングが低下するおそれがある。これに対し、ECU90は、背圧室608が十分に減圧されたと判定してから、SS-OUT弁77を非通電状態とする。これにより、背圧室608の液圧が大気圧よりも高い状態でブレーキペダル100が再度踏み込み操作されるおそれが少なくなるため、上記特性の変化をより確実に抑制し、ペダルフィーリングを向上できる。
具体的には、ECU90は、ステップS405で、SS-OUT弁77を開方向に作動させ始めてから所定時間T2が経過し、さらに、ステップS407で、所定時間T3が経過すると、S408へ移行する(SS-OUT弁77を非通電状態とする)。よって、ECU90が、液圧センサ93等の検出値を用いることなく、背圧室608が十分に減圧されたか否かを判定できる。よって、制御構成のより一層の簡素化を図ることができる。また、例えば、ECU90が、ステップS404で、上記のようにSS-IN弁78を閉方向に作動させた(背圧室608の液圧を液圧センサ93等により検出できない)場合でも、T2及びT3が経過したか否かにより、背圧室608が十分に減圧されたか否かを判定できる。なお、ECU90は、ステップS406で、SS-OUT弁77を閉方向に作動させてもよい。本実施形態では、ECU90は、ステップS406で他の電磁弁を非通電状態としてからT3の間、SS-OUT弁77を開方向に作動させる(ステップS407,S412)。これにより、背圧室608がより確実に減圧されるため、上記特性の変化をより確実に抑制できる。
なお、補給液路19、及びこれに関連するストロークシミュレータ6の補給液路693や補給凹部603等を省略してもよい。この場合、ストロークシミュレータ6のシール部材64,65はピストンシールでもよいし、断面形状がX字状のスクィーズパッキン(Xリング)等でもよい。本実施形態では、ブレーキシステム1が補給液路19等を備える。よって、T2やT3の経過前、又は(全電磁弁を非通電状態とする)ブレーキシステム1の電源遮断後であっても、ピストン61が初期位置に十分近い位置まで戻ると、補給孔616及び連通溝604等を介して、背圧室608と補給液路693とが連通する。これにより、背圧室608から補給液路19を介して液溜め室57にブレーキ液が排出されるため、背圧室608がより確実に減圧される。ECU90は、T2及びT3の経過前、SS-OUT弁77等を開方向に作動させる(ステップS404〜S407)。よって、ピストン61が初期位置の近傍まで戻る前であっても、背圧室608を積極的に減圧可能である。
なお、ECU90は、S系統の電磁弁をP系統の電磁弁と独立に制御してもよい。例えば、ステップS402で、連通弁73Sを閉方向に作動させてもよい。この場合、ポンプ81からS系統のホイルシリンダ101b,101cへ向かうブレーキ液の流れは連通弁73Sによって遮断されるから、増圧弁72b,72cを開方向に作動させたままとすることができる。また、連通弁73P及び増圧弁72a,72dよりも先に連通弁73S及び増圧弁72b,72cを非通電状態とすることが可能である。また、ステップS404で、連通弁73Pを閉方向に作動させてもよい。この場合、ECU90が調圧弁74を開方向に作動させることで、S系統の上流液路におけるブレーキ液を、調圧液路14を介して排出することができる。本実施形態では、電磁弁の制御がP,S系統で均等である。例えば、ECU90は、ステップS406で、連通弁73P,73Sを閉方向に作動させる。よって、片側に偏った特殊制御となることを回避し、制御の複雑化等を抑制できる。
また、ECU90は、(SSピストン戻し制御の終了に向けて)電磁弁を通電状態から非通電状態へ切り替える時刻を、各電磁弁の間で異ならせてもよい。例えば、ステップS406で、連通弁73を閉方向に作動させ、調圧弁74を開方向に作動させる代わりに、ステップS404で、連通弁73を閉方向に作動させ、調圧弁74を開方向に作動させてもよい。本実施形態では、電磁弁を非通電状態へ切り替える時刻が複数の電磁弁間で共通である。具体的には、ECU90は、ステップS406で、SS-OUT弁77を除く全ての電磁弁を非通電状態とする。よって、時間的に偏った特殊制御となることを回避し、制御の複雑化等を抑制できる。
ECU90は、SSピストン戻し制御の実行中にブレーキペダル100が踏み込まれた場合、SSピストン戻し制御を終了し、通常のホイルシリンダ液圧制御を実行する(ステップS410,S411,S412)。以下、図8を用いて、SSピストン戻し制御中にブレーキペダル100が踏み込まれた場合の各アクチュエータの作動例を説明する。時刻t41まで、図7と同じである。時刻t11は、時刻t4からT1が経過する前の(図7の時刻t5より前の)時刻である。時刻t11の直前、ブレーキペダル100の再踏み込みが開始される。時刻t11で、ペダルストロークStがSt0より大きくなる。時刻t12で、ブレーキペダル100の再踏み込みが終了し、その後、Stが一定に保たれる。時刻t11で、ステップS403→S410→S2の流れとなり、ホイルシリンダ液圧制御(倍力制御)の指令が出力される。時刻t11以後、倍力制御が実行され、ホイルシリンダ液圧PwがStに応じた値に制御される。
このように、ECU90は、(ステップS402で)SS-IN弁78を開方向に作動させた後に、(ステップS403で肯定判断される前に)ブレーキペダル100が踏み込まれた場合、(ステップS410→S2の流れにより)SS-IN弁78を閉方向に作動させる。よって、SS-IN弁78が閉方向に作動することで、背圧供給液路18を介した背圧室608へのブレーキ液の供給(背圧室608の加圧)が終了する。ブレーキペダル100の踏み込みに応じてストロークシミュレータ6の作動が通常に切り替わることで、運転者の違和感の発生(ペダルフィーリングの低下)を抑制できる。ステップS405やS407で肯定判断される前にブレーキペダル100が踏み込まれた場合も、(ステップS411→S2やS412→S2の流れとなり)同様である。
ECU90は、(ステップS402で)SS-IN弁78を開方向に作動させた後に、(ステップS403で肯定判断される前に)ブレーキペダル100が踏み込まれた場合、(ステップS410→S2の流れにより)SS-OUT弁77を開方向に作動させる。よって、SS-OUT弁77が開方向に作動することで、背圧室608が液溜め室57に連通し、背圧室608が大気圧へ減圧される。ブレーキペダル100の踏み込みに応じてストロークシミュレータ6の作動が通常に切り替わり、ストロークシミュレータ6により実現されるペダル反力の特性が通常のものとなることで、ペダルフィーリングの低下を抑制できる。ステップS405やS407で肯定判断される前にブレーキペダル100が踏み込まれた場合も、(ステップS411→S2やS412→S2の流れとなり)同様である。
なお、第2ユニット1Bは、第1ユニット1Aと一体であってもよいし、第1ユニット1A及び第3ユニット1Cとは別体であってもよい。言換えると、ストロークシミュレータ6は、マスタシリンダ4やリザーバタンク2、又は液圧ユニット5と、配管を介して接続されてもよい。本実施形態では、第2ユニット1B(ストロークシミュレータ6)が第3ユニット1C(液圧ユニット5)に取り付けられ、第3ユニット1Cと一体である。具体的には、ストロークシミュレータ6のシリンダ60が液圧ユニット5のハウジング50に対して固定されている。この「固定」には、シリンダ60とハウジング50との間に(スペーサやガスケット等の)シール部材その他の部材が介在する態様が含まれる。なお、シリンダ60とハウジング50が共通化され(1つの部材とされ)ていてもよい。このように両ユニット1B,1Cが一体であることから、ストロークシミュレータ6と液圧ユニット5とを接続する配管を省略できる。このため、ブレーキシステム1の全体を簡素化し、車両へのシステム1の搭載性の向上を図ることができる。また、第2ユニット1B(ストロークシミュレータ6)が第1ユニット1A(マスタシリンダ4)と別体である。具体的には、シリンダ60がマスタシリンダ4のシリンダ40に対して固定されていないし、シリンダ40,60が共通化されてもいない。このため、ブレーキペダル100の周辺のスペースを節約し、レイアウトを簡素化できると共に、車両が衝突したときの運転者の安全性を向上できる。なお、第1ユニット1Aは、第3ユニット1Cと一体であってもよいし、第3ユニット1Cと別体でありつつ電磁弁等のアクチュエータや液路の一部を有してもよい。
[第2実施形態]
まず構成を説明する。図9は、第2実施形態のECU90にて実行される、SSピストン戻し制御の流れを示す。図4と相違する点のみ説明する。ステップS405では、液圧センサ93等により検出された、増圧弁72の上流側の液路11,13等(上流液路)の液圧PUが、所定値P2より低いか否かを判定する。P2は、大気圧より高い値であり、PUが実質的に大気圧であると判断できる閾値である。PUがP2より低ければ、ステップS406へ進む。PUがP2以上であれば、ステップS411へ進む。ステップS406では、遮断弁71P,71Sを開方向に作動させ、連通弁73P,73Sを閉方向に作動させ、調圧弁74を開方向に作動させ、全増圧弁72a〜72dを開方向に作動させ、SS-IN弁78を閉方向に作動させ、SS-OUT弁77を閉方向に作動させる。言換えると、全ての電磁弁を非通電状態とする。その後、本制御を終了する。他の構成は第1実施形態と同じである。
次に、作用効果を説明する。ECU90は、液圧センサ93等の検出値が実質的に大気圧となった後、(ステップS405からS406へ移行して)遮断弁71を開方向に作動させる。液圧センサ93等の検出値が実質的に大気圧のとき、上流液路の液圧PUの実際の値(真値)は十分大気圧に近い。このときECU90が遮断弁71を開方向に作動させることで、上流液路から遮断弁71を介してマスタシリンダ4の側に戻されるブレーキ液の量が極力少なくなる。よって、仮にブレーキペダル100の再度の踏込み操作がなされても、当該踏込み操作によりマスタシリンダ4から流出するブレーキ液の流れと、上記戻されるブレーキ液の流れとが干渉することが、より確実に回避される。
同様に、ECU90は、液圧センサ93等の検出値が実質的に大気圧となった後、(ステップS405からS406へ移行して)増圧弁72を開方向に作動させる。よって、上流液路から増圧弁72を介してホイルシリンダ101に供給されるブレーキ液の量が極力少なくなるため、ホイルシリンダ101の不要な増圧をより確実に抑制できる。
遮断弁71及び増圧弁72が非通電状態で開弁する(常開弁である)構成の場合、液圧センサ93等の検出値が実質的に大気圧となった後、遮断弁71及び増圧弁72を非通電状態とする(例えばブレーキシステム1を非通電とする)ことで、上記作用効果が達成される。
なお、ECU90は、ステップS404で、SS-IN弁78を閉方向に作動させてもよい。この場合、ECU90が調圧弁74を開方向に作動させることで、上流液路のブレーキ液を、調圧液路14を介して排出することができる。本実施形態では、ECU90は、ステップS404で、SS-IN弁78を開方向に作動させたままとする。よって、背圧室608の液圧が十分に低下したか否かを、液圧センサ93等の検出値により判定することができる。ECU90は、ステップS405で、液圧センサ93等の検出値が実質的に大気圧になったと判定すると、S406へ移行してSS-OUT弁77を閉方向に作動させる。このように、背圧室608が十分に減圧されたか否かを、ECU90が液圧センサ93等の検出値を用いて判定することで、判定がより正確になり、例えば第1実施形態のステップS407,S408,S412を省略できる。言い換えると、SS-OUT弁77を非通電状態とするタイミングを他の電磁弁よりも遅らせる必要がない。この点で、制御構成を簡素化できる。他の作用効果は第1実施形態と同じである。
[第3実施形態]
まず構成を説明する。図10は、第3実施形態のECU90にて実行される、SSピストン戻し制御の流れを示す。図4と相違する点のみ説明する。ステップS421では、ブレーキペダル100の戻し速度(ストロークセンサ91により検出されたペダルストロークStの変化率)の大きさSt′が所定値St′1より大きく、かつ、液圧センサ93により検出されたホイルシリンダ液圧Pwが所定値P3より高いか否かを判定する。St′1は、ゼロより大きい値であり、例えばストロークシミュレータ6のピストン61が初期位置に戻っていないと判断できる閾値である。P3は、大気圧より高い値であり、ピストン61が初期位置まで戻るために十分な液圧を、Pwにより背圧室608に発生可能であると判断できる閾値である。St′がSt′1より大きく、かつPwがP3より高ければ、ステップS422へ進む。St′がSt′1以下であるか、又はPwがP3以下であれば、S429へ進む。ステップS422では、図11に示すように、調圧弁74を閉方向に作動させ、SS-IN弁78を開方向に作動させ、SS-OUT弁77を閉方向に作動させ(非通電状態とし)、モータ80を停止する。なお、倍力制御時における、遮断弁71P,71Sの閉方向への作動、連通弁73P,73Sの開方向への作動、全増圧弁72a〜72dの開方向への作動(非通電状態)を継続させる。その後、ステップS423へ進む。ステップS423では、ステップS422を実行してから所定時間T11が経過したか否かを判定する。T11は、ゼロより大きい値であり、ストロークシミュレータ6のピストン61を初期位置へ戻すために十分なブレーキ液がホイルシリンダ101から背圧室608へ供給されたと判断できる閾値である。T11は、第1実施形態と同じくストロークシミュレータ6の構造に応じて予測される(ピストン61の戻しに必要な)ブレーキ液量を供給可能な時間であり、ステップS421で検出されたPwに応じて決定される。例えば、Pwが高いときはPwが低いときよりもT11が短い。なお、ECU90は、ステップS423,S430を繰り返し実行中に検出されたPwに基づきT11を決定してもよい。T11が経過していればステップS424へ進む。T11が経過していなければステップ430へ進む。ステップS424では、図12に示すように、SS-OUT弁77を開方向に作動させる。その後、ステップS425へ進む。
ステップS425では、ステップS424を実行してから所定時間T12が経過したか否かを判定する。T12は、ゼロより大きい値であり、T12の間だけSS-OUT弁77を介して液溜め室57へブレーキ液が排出されることで、SS-OUT弁77の上流側の液路等[すなわち遮断弁71よりもホイルシリンダ101の側の接続液路11(ホイルシリンダ101)や背圧供給液路18(背圧室608)]が十分に(実質的に大気圧まで)減圧されたと判断できる閾値である。T12が経過していればステップS426へ進む。T12が経過していなければステップ431へ進む。ステップS426では、遮断弁71P,71Sを開方向に作動させ、連通弁73P,73Sを閉方向に作動させ、調圧弁74を開方向に作動させ、SS-IN弁78を閉方向に作動させる。言換えると、SS-OUT弁77以外の電磁弁を非通電状態とする。その後、ステップS427へ進む。ステップS427では、ステップS426を実行してから所定時間T13が経過したか否かを判定する。T13は、第1実施形態のT3と同様の閾値である。T13が経過していればステップS428へ進む。T13が経過していなければステップ432へ進む。ステップS428は、第1実施形態のステップS408と同じである。ステップS429では、ブレーキシステム1を非通電とし(全アクチュエータを非通電状態とし)、本制御を終了する。StがSt1以上であれば、本制御を終了し、S2へ戻る。ステップS430,S431,S432では、それぞれペダルストロークStがSt1より小さいか否かを判定する。StがSt1以上であれば、本制御を終了し、S2へ戻る。ステップS430で、StがSt1より小さければ、ステップS423へ戻る。ステップS431で、StがSt1より小さければ、ステップS425へ戻る。ステップS432で、StがSt1より小さければ、ステップS427へ戻る。他の構成は第1実施形態と同じである。
次に作用効果を説明する。ECU90は、第2工程で、ホイルシリンダ101からのブレーキ液によって背圧室608を加圧する(S422)。よって、液圧源としてのポンプユニット8を作動させることなく、ホイルシリンダ101に残った液圧を利用して、背圧室608を加圧できる。これにより、エネルギ効率の向上を図ることができる。
以下、図13を用いて、SSピストン戻し制御時における各アクチュエータの作動例を説明する。時刻t103までは、図7のt3までと同じである。時刻t103で、ブレーキペダル100の急速な踏み戻しが開始される。その後、ペダルストロークStが急速に減少する。時刻t104で、StがSt1より小さくなる(Stが実質的にゼロとなる)。その直後、ブレーキペダル100の急速な踏み戻しが終了する。時刻t104でのブレーキペダル100の戻し速度の大きさSt′はSt′1より大きい。また、(倍力制御時の)調圧液路14を介したホイルシリンダ液圧Pwの減圧が、Stの急速な減少に十分に追従しないことから、時刻t104におけるPw(増圧弁72の上流側の液圧PU)はP3より高い。時刻t104で、ステップS3→S4の流れとなり、SSピストン戻し制御の指令が出力される。時刻t104以後、SSピストン戻し制御が実行される。具体的には、時刻t104で、ステップS421からS422へ進み、その後、T11が経過するまで、ステップS423→S430→S423→S430→・・・の流れとなる。S422の実行により、調圧弁74が閉方向に、SS-IN弁78が開方向に、SS-OUT弁77が閉方向に、それぞれ作動する。また、モータ80が停止する。図11に示すように、ホイルシリンダ101のブレーキ液は、接続液路11(連通液路13P,13S)及び背圧供給液路18を介してストロークシミュレータ6の背圧室608へ供給される。これにより、背圧室608の液圧が大気圧よりも上昇する。これに伴い、Pw(PU)が若干低下する。上昇した背圧室608の液圧は、ピストン61をy軸正方向側へ押す。よって、時刻t104でピストン61が初期位置に対しy軸負方向側の位置に止まっていた場合でも、ピストン61がy軸正方向側にストロークし、初期位置へ向かって戻る。
時刻t105で、時刻t104からT11が経過する。よって、ステップS423からS424へ進み、その後、T12が経過するまで、ステップS425→S431→S425→S431→・・・の流れとなる。S424の実行により、SS-OUT弁77が開方向に作動する。図12に示すように、背圧室608及びホイルシリンダ101のブレーキ液は、背圧液路17を介して液溜め室57へ排出される。これにより、背圧室608の液圧、並びにPw及びPUが、大気圧に向かって低下する。なお、ピストン61が初期位置まで戻っていた場合、背圧室608のブレーキ液は、補給液路693,19を介しても液溜め室57へ排出される。時刻t106で、時刻t105からT12が経過する。よって、ステップS425からS426へ進み、その後、T13が経過するまで、ステップS427→S432→S427→S432→・・・の流れとなる。S426の実行により、遮断弁71が開方向に、連通弁73が閉方向に、調圧弁74が開方向に、SS-IN弁78が閉方向に、それぞれ作動する。SS-OUT弁77は開方向に作動したままである。よって、時刻t106で、万一、背圧室608の液圧やPwが大気圧より高い場合でも、背圧室608及びホイルシリンダ101のブレーキ液は、背圧液路17を介して液溜め室57へ排出されるため、背圧室608の液圧及びPwが実質的に大気圧まで低下する。時刻t107で、時刻106からT13が経過する。よって、ステップS427からS428へ進み、SS-OUT弁77が閉方向に作動する。ブレーキシステム1が非通電状態となる。
以上のように、ECU90は、ブレーキペダル100が踏み戻された際に、増圧弁72を開方向に作動させる(ステップS422で、増圧弁72を開方向に作動させた状態を維持する)。よって、ホイルシリンダ101から、接続液路11及び背圧供給液路18を介して、背圧室608にブレーキ液が供給される。
ECU90は、ブレーキペダル100が踏み戻された際に、モータ80を停止させる(ステップS422)。
よって、モータ80を早期に停止し、エネルギ効率を向上することができる。
ECU90は、ブレーキペダル100の踏み戻しの速度St′が所定値St′1より大きい場合(ステップS421で肯定判断の場合)、(ステップS422に移行して)増圧弁72を開方向に作動させる。すなわち、St′が大きい場合、ペダルストロークStが実質的にゼロになっても、ストロークシミュレータ6のピストン61が初期位置まで戻っていない可能性が高い。また、ホイルシリンダ液圧Pwが大気圧まで減圧されていない可能性が高い。このような場合に、増圧弁72を開方向に作動させることで、より効果的に、ホイルシリンダ101に残った液圧を利用して背圧室608を加圧できる。なお、ECU90は、ステップS421で、St′がSt′1より大きいか否かのみによって、S422へ移行するか否かを判断してもよい。本実施形態では、ECU90は、ステップS421で、St′がSt′1より大きく、かつ、液圧センサ93の検出値が所定値P3より高い場合、(ステップS422に移行して)増圧弁72を開方向に作動させる。よって、より確実に、ホイルシリンダ液圧Pwを利用して背圧室608を加圧できる。
なお、ECU90は、ステップS421で、例えば車速が低いときなど、ホイルシリンダ101の減圧の遅れを運転者が感じやすい走行状態のときは、ステップS422への移行を禁止し、SSピストン戻し制御を終了したり、第1実施形態のSSピストン戻し制御(図4)を実行したりしてもよい。これにより、ホイルシリンダ液圧Pwがより速やかに大気圧まで低下するため、運転者の違和感を抑制できる。
ECU90は、第1実施形態と同様、ステップS424で、SS-OUT弁77を開方向に作動させると共に、又はSS-OUT弁77を開方向に作動させる代わりに、遮断弁71又は調圧弁74を開方向に作動させてもよい。また、ECU90は、ステップS424で、SS-OUT弁77を開方向に作動させると共に、又はSS-OUT弁77を開方向に作動させる代わりに、減圧弁75を開方向に作動させてもよい。このように「ECU90がSS-OUT弁77を開方向に作動させる代わりに減圧弁75を開方向に作動させる」場合に比べ、本実施形態では、ECU90がSS-OUT弁77を開方向に作動させることで、背圧室608のブレーキ液が、背圧室608により近いSS-OUT弁77を介して(より具体的には、複数の弁を介さず)排出される。よって、効率よく(かつ単純な制御構成で)背圧室608を減圧できる。また、作動させる(通電する)電磁弁の数が1つで済むため、電力消費を抑制できる。
なお、ECU90は、S系統の電磁弁をP系統の電磁弁と独立に制御してもよい。例えば、ECU90は、ステップS422で、連通弁73P又は連通弁73Sを閉方向に作動させてもよい。この場合、P系統のホイルシリンダ101a,101dのブレーキ液のみを用いて背圧室608を増圧することができる。連通弁73Pを閉方向に作動させる場合、調圧弁74を開方向に作動させることで、S系統のホイルシリンダ101b,101cのブレーキ液を、調圧液路14を介して排出することができる。なお、ステップS422ではなく、ステップS424で、連通弁73Pを閉方向に作動させたり、調圧弁74を開方向に作動させたりしてもよい。ステップS422で、連通弁73Sを閉方向に作動させる場合、減圧弁75b,75cを開方向に作動させることで、S系統のホイルシリンダ101b,101cのブレーキ液を、減圧液路15b,15cを介して排出することができる。また、ステップS422で、P系統の増圧弁72a,72dを閉方向に作動させることで、S系統のホイルシリンダ101b,101cのブレーキ液のみを用いて背圧室608を増圧することもできる。さらに、任意の車輪について、対応する増圧弁72を閉方向に作動させることで、当該車輪のホイルシリンダ101を背圧室608の増圧に用いないことも可能である。いずれの場合も、背圧室608の増圧に用いないホイルシリンダ101について、対応する減圧弁75を開方向に作動させて減圧することで、ホイルシリンダ液圧Pwがより速やかに低下するため、運転者の違和感を抑制できる。本実施形態では、ECU90は、ステップS422で、連通弁73P,73Sを開方向に作動させる(開方向に作動させた状態を維持する)。よって、両系統のホイルシリンダ101のブレーキ液を用いて背圧室608を加圧できる。また、制御が両系統で均等になるため、片側に偏った特殊制御となることを回避できる。これにより、制御の複雑化等を抑制できる。
ECU90は、第1実施形態と同様、SSピストン戻し制御の実行中にブレーキペダル100が踏み込まれた場合、SSピストン戻し制御を終了し、通常のホイルシリンダ液圧制御(倍力制御)を実行する(ステップS430,S431,S432)。以下、図14を用いて、SSピストン戻し制御中にブレーキペダル100が踏み込まれた場合の各アクチュエータの作動例を説明する。時刻t111まで、図13と同じである。時刻t111は、時刻t105からT12が経過する前の(図13の時刻t106より前の)時刻である。時刻t111の直前、ブレーキペダル100の再踏み込みが開始される。時刻t111で、ペダルストロークStがSt0より大きくなる。時刻t112で、ブレーキペダル100の再踏み込みが終了し、その後、Stが一定に保たれる。時刻t111で、ステップS425→S431→S2の流れとなり、倍力制御の指令が出力される。時刻t111以後、倍力制御が実行され、ホイルシリンダ液圧PwがStに応じた値に制御される。他の作用効果は第1実施形態と同じである。
[第4実施形態]
まず構成を説明する。図15は、第4実施形態のECU90にて実行される、SSピストン戻し制御の流れを示す。図10と相違する点のみ説明する。ステップS425で、液圧センサ93等により検出された上流液路の液圧PUが、所定値P2より低いか否かを判定する。P2は、第2実施形態と同様の閾値である。PUがP2より低ければ、ステップS426へ進む。PUがP2以上であれば、ステップS431へ進む。ステップS426では、遮断弁71P,71Sを開方向に作動させ、連通弁73P,73Sを閉方向に作動させ、調圧弁74を開方向に作動させ、SS-IN弁78を閉方向に作動させ、SS-OUT弁77を閉方向に作動させる。言換えると、全ての電磁弁を非通電状態とする。その後、本制御を終了する。他の構成は第3実施形態と同じである。
次に作用効果を説明する。ECU90は、液圧センサ93等の検出値が実質的に大気圧となった後、(ステップS425からS426へ移行して)遮断弁71を開方向に作動させる。よって、第2実施形態と同様、接続液路11において、遮断弁71を介してマスタシリンダ4の側に戻されるブレーキ液の流れと、ブレーキペダル100の踏み込みによってマスタシリンダ4から流出するブレーキ液の流れとが干渉することを、より確実に抑制できる。
なお、ECU90は、ステップS424で、SS-IN弁78を閉方向に作動させてもよい。本実施形態では、ECU90は、ステップS424で、SS-IN弁78を開方向に作動させたままとする。よって、第2実施形態と同様、背圧室608が十分に減圧されたか否かを液圧センサ93等の検出値を用いて正確に判定でき、例えば第3実施形態のステップS427,S428,S432を省略できる。他の作用効果は、第3実施形態と同じである。
[他の実施形態]
以上、本発明を実施するための形態を、図面に基づき説明したが、本発明の具体的な構成は、実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。例えば、第1ユニット1A(マスタシリンダ4等)や第3ユニット1C(液圧ユニット5及びその液圧回路)の具体的な構成は実施形態のものに限らない。例えば、液圧ユニット5の
[実施形態から把握しうる技術的思想]
以上説明した実施形態から把握しうる技術的思想(又は技術的解決策。以下同じ。)について、以下に記載する。
(1) 本技術的思想のブレーキ装置は、その1つの態様において、
ブレーキペダルの操作に応じてブレーキ液圧を発生するマスタシリンダと、前記ブレーキ液圧に応じて車輪部に制動力を付与可能なホイルシリンダ部とを接続する接続液路と、
前記接続液路にある遮断弁部と、
前記遮断弁部に対して前記ホイルシリンダ部の側の前記接続液路にブレーキ液を供給可能な液圧源と、
前記マスタシリンダに接続し、前記ブレーキペダルの操作反力を生成可能なストロークシミュレータと、
前記ストロークシミュレータの背圧室と、前記遮断弁部に対して前記ホイルシリンダ部の側の前記接続液路とを接続する第1シミュレータ液路と、
前記第1シミュレータ液路にあるシミュレータ・イン弁と、
前記ブレーキペダルが踏み戻された際に前記シミュレータ・イン弁を開方向に作動させるコントロールユニットとを備える。
(2) より好ましい態様では、前記態様において、
前記コントロールユニットは、前記ブレーキペダルが踏み戻された際に前記液圧源を作動させる。
(3) 別の好ましい態様では、前記態様のいずれかにおいて、
前記ストロークシミュレータの前記背圧室と、前記ブレーキ液を貯留するリザーバとを接続する第2シミュレータ液路と、
前記第2シミュレータ液路にあるシミュレータ・アウト弁とを備え、
前記コントロールユニットは、前記ブレーキペダルが踏み戻された際に前記シミュレータ・アウト弁を閉方向に作動させた後、所定時間が経過すると、前記シミュレータ・アウト弁を開方向に作動させ、前記液圧源を非作動にする。
(4) さらに別の好ましい態様では、前記態様のいずれかにおいて、
前記遮断弁に対して前記ホイルシリンダの側の前記接続液路の液圧を検出可能な液圧センサを備え、
前記コントロールユニットは、前記液圧源を非作動にした後、前記液圧センサの検出値がゼロとなってから、前記遮断弁を開方向に作動させる。
(5) さらに別の好ましい態様では、前記態様のいずれかにおいて、
前記液圧源は、モータと、前記モータによって駆動されるポンプとを備え、
前記コントロールユニットは、前記ブレーキペダルが踏み戻された際、前記ストロークシミュレータの反力特性又は前記背圧室の体積に基づいて設定された時間だけ前記モータを駆動する。
(6) さらに別の好ましい態様では、前記態様のいずれかにおいて、
前記接続液路における前記遮断弁部と前記ホイルシリンダ部との間にある増圧弁部を備え、
前記コントロールユニットは、前記ブレーキペダルが踏み戻された際に前記増圧弁部を開方向に作動させる。
(7) さらに別の好ましい態様では、前記態様のいずれかにおいて、
前記コントロールユニットは、前記ブレーキペダルの踏み戻しの速度が所定値より大きい場合に前記増圧弁部を開方向に作動させる。
(8) さらに別の好ましい態様では、前記態様のいずれかにおいて、
前記ホイルシリンダ部は、プライマリ系統ホイルシリンダと、セカンダリ系統ホイルシリンダとを備え、
前記接続液路は、前記プライマリ系統ホイルシリンダに接続する第1接続液路と、前記セカンダリ系統ホイルシリンダに接続する第2接続液路とを備え、
前記遮断弁部は、前記第1接続液路にある第1遮断弁と、前記第2接続液路にある第2遮断弁と、を備え、
前記増圧弁部は、前記第1接続液路にある第1増圧弁と、前記第2接続液路にある第2増圧弁とを備え、
前記第1接続液路と前記第2接続液路とを接続する連通液路を備え、
前記連通液路に前記液圧源が接続されている。
(9) さらに別の好ましい態様では、前記態様のいずれかにおいて、
前記ストロークシミュレータの前記背圧室と、前記ブレーキ液を貯留するリザーバとを接続する第2シミュレータ液路と、
前記第2シミュレータ液路にあるシミュレータ・アウト弁とを備え、
前記コントロールユニットは、前記ブレーキペダルが踏み戻された際に前記シミュレータ・イン弁を開方向に作動させ、前記シミュレータ・アウト弁を閉方向に作動させた後、所定時間経過すると、前記シミュレータ・アウト弁を開方向に作動させる。
(10) さらに別の好ましい態様では、前記態様のいずれかにおいて、
前記コントロールユニットは、前記シミュレータ・イン弁を開方向に作動させた後に前記ブレーキペダルが踏み込まれた場合、前記シミュレータ・イン弁を閉方向に作動させる。
(11) さらに別の好ましい態様では、前記態様のいずれかにおいて、
前記ホイルシリンダ部は、プライマリ系統ホイルシリンダと、セカンダリ系統ホイルシリンダとを備え、
前記接続液路は、前記プライマリ系統ホイルシリンダに接続する第1接続液路と、前記セカンダリ系統ホイルシリンダに接続する第2接続液路とを備え、
前記遮断弁部は、前記第1接続液路にある第1遮断弁と、前記第2接続液路にある第2遮断弁とを備え、
前記第1接続液路と前記第2接続液路とを接続する連通液路を備え、
前記連通液路に前記液圧源が接続されている。
(12) また、他の観点から、本技術的思想のブレーキ制御方法は、その1つの態様において、
ブレーキペダルの踏み戻しを検出する第1工程と、
前記第1工程にて前記ブレーキペダルの踏み戻しが検出された後、前記ブレーキペダルの操作に応じた操作反力を生成可能なストロークシミュレータの背圧室を加圧する第2工程とを有する。
(13) より好ましい態様では、前記態様において、
前記第2工程は、液圧源を作動させることで前記背圧室を加圧する。
(14) 別の好ましい態様では、前記態様のいずれかにおいて、
前記第2工程は、ブレーキ液圧に応じて車輪に制動力を付与可能なホイルシリンダからのブレーキ液によって前記背圧室を加圧する。
(15) また、他の観点から、本技術的思想のブレーキシステムは、その1つの態様において、
第1ユニットと、第2ユニットと、第3ユニットとを備え、
前記第1ユニットは、ブレーキペダルの操作に応じてブレーキ液圧を発生するマスタシリンダを備え、
前記第2ユニットは、前記マスタシリンダに接続し、前記ブレーキペダルの操作反力を生成可能なストロークシミュレータを備え、
前記第3ユニットは、
前記マスタシリンダと、前記ブレーキ液圧に応じて車輪部に制動力を付与可能なホイルシリンダ部とを接続する接続液路と、
前記接続液路にある遮断弁部と、
前記遮断弁部に対して前記ホイルシリンダ部の側の前記接続液路にブレーキ液を供給可能な液圧源と、
前記ストロークシミュレータの背圧室と、前記遮断弁部に対して前記ホイルシリンダ部の側の前記接続液路とを接続する第1シミュレータ液路と、
前記第1シミュレータ液路にあるシミュレータ・イン弁と、
前記ブレーキペダルが踏み戻された際、前記シミュレータ・イン弁を開方向に作動させるコントロール部とを備える。
(16) より好ましい態様では、前記態様において、
前記コントロール部は、前記ブレーキペダルが踏み戻された際に前記液圧源を作動させる。
(17) 別の好ましい態様では、前記態様のいずれかにおいて、
前記第3ユニットは、前記接続液路における前記遮断弁部と前記ホイルシリンダ部との間にある増圧弁部を備え、
前記コントロール部は、前記ブレーキペダルが踏み戻された際に前記増圧弁部を開方向に作動させる。
(18) さらに別の好ましい態様では、前記態様のいずれかにおいて、
前記ホイルシリンダ部は、プライマリ系統ホイルシリンダと、セカンダリ系統ホイルシリンダとを備え、
前記接続液路は、前記プライマリ系統ホイルシリンダに接続する第1接続液路と、前記セカンダリ系統ホイルシリンダに接続する第2接続液路とを備え、
前記遮断弁部は、前記第1接続液路にある第1遮断弁と、前記第2接続液路にある第2遮断弁とを備え、
前記増圧弁部は、前記第1接続液路にある第1増圧弁と、前記第2接続液路にある第2増圧弁とを備え、
前記第3ユニットは、前記第1接続液路と前記第2接続液路とを接続する連通液路を備え、
前記連通液路に前記液圧源が接続されている。
(19) さらに別の好ましい態様では、前記態様のいずれかにおいて、
前記ホイルシリンダ部は、プライマリ系統ホイルシリンダと、セカンダリ系統ホイルシリンダとを備え、
前記接続液路は、前記プライマリ系統ホイルシリンダに接続する第1接続液路と、前記セカンダリ系統ホイルシリンダに接続する第2接続液路とを備え、
前記遮断弁部は、前記第1接続液路にある第1遮断弁と、前記第2接続液路にある第2遮断弁とを備え、
前記第3ユニットは、前記第1接続液路と前記第2接続液路とを接続する連通液路を備え、
前記連通液路に前記液圧源が接続されている。
1 ブレーキシステム
1A 第1ユニット
1B 第2ユニット
1C 第3ユニット
4 マスタシリンダ
6 ストロークシミュレータ
608 背圧室
11P 第1接続液路
11S 第2接続液路
13P 吐出液路(連通液路)
13S 吐出液路(連通液路)
17 背圧液路(第1シミュレータ液路、第2シミュレータ液路)
18 背圧供給液路(第1シミュレータ液路)
57 液溜め室(リザーバ)
71 遮断弁部
71P 第1遮断弁
71S 第2遮断弁
72 増圧弁部
72a 第1増圧弁
72b 第2増圧弁
72c 第2増圧弁
72d 第1増圧弁
77 シミュレータ・アウト弁
78 シミュレータ・イン弁
8 ポンプユニット(液圧源)
80 モータ
81 ポンプ
90 電子制御ユニット(コントロールユニット、コントロール部)
93 液圧センサ
100 ブレーキペダル
101 ホイルシリンダ部
101a プライマリ系統ホイルシリンダ
101b セカンダリ系統ホイルシリンダ
101c セカンダリ系統ホイルシリンダ
101d プライマリ系統ホイルシリンダ
FL〜FR 車輪部

Claims (13)

  1. ブレーキペダルの操作に応じてブレーキ液圧を発生するマスタシリンダと、前記ブレーキ液圧に応じて車輪部に制動力を付与可能なホイルシリンダ部とを接続する接続液路と、
    前記接続液路にある遮断弁部と、
    前記遮断弁部に対して前記ホイルシリンダ部の側の前記接続液路にブレーキ液を供給可能な液圧源と、
    前記マスタシリンダに接続し、前記ブレーキペダルの操作反力を生成可能なストロークシミュレータと、
    前記ストロークシミュレータの背圧室と、前記遮断弁部に対して前記ホイルシリンダ部の側の前記接続液路とを接続する第1シミュレータ液路と、
    前記第1シミュレータ液路にあるシミュレータ・イン弁と、
    前記ブレーキペダルが踏み戻された際に前記シミュレータ・イン弁を開方向に作動させるコントロールユニットとを備える、
    ブレーキ装置。
  2. 請求項1に記載のブレーキ装置において、
    前記コントロールユニットは、前記ブレーキペダルが踏み戻された際に前記液圧源を作動させる、ブレーキ装置。
  3. 請求項2に記載のブレーキ装置において、
    前記ストロークシミュレータの前記背圧室と、前記ブレーキ液を貯留するリザーバとを接続する第2シミュレータ液路と、
    前記第2シミュレータ液路にあるシミュレータ・アウト弁とを備え、
    前記コントロールユニットは、前記ブレーキペダルが踏み戻された際に前記シミュレータ・アウト弁を閉方向に作動させた後、所定時間が経過すると、前記シミュレータ・アウト弁を開方向に作動させ、前記液圧源を非作動にする、
    ブレーキ装置。
  4. 請求項3に記載のブレーキ装置において、
    前記遮断弁に対して前記ホイルシリンダの側の前記接続液路の液圧を検出可能な液圧センサを備え、
    前記コントロールユニットは、前記液圧源を非作動にした後、前記液圧センサの検出値がゼロとなってから、前記遮断弁を開方向に作動させる、
    ブレーキ装置。
  5. 請求項2に記載のブレーキ装置において、
    前記液圧源は、モータと、前記モータによって駆動されるポンプとを備え、
    前記コントロールユニットは、前記ブレーキペダルが踏み戻された際、前記ストロークシミュレータの反力特性又は前記背圧室の体積に基づいて設定された時間だけ前記モータを駆動する、
    ブレーキ装置。
  6. 請求項1に記載のブレーキ装置において、
    前記接続液路における前記遮断弁部と前記ホイルシリンダ部との間にある増圧弁部を備え、
    前記コントロールユニットは、前記ブレーキペダルが踏み戻された際に前記増圧弁部を開方向に作動させる、
    ブレーキ装置。
  7. 請求項6に記載のブレーキ装置において、
    前記コントロールユニットは、前記ブレーキペダルの踏み戻しの速度が所定値より大きい場合に前記増圧弁部を開方向に作動させる、ブレーキ装置。
  8. 請求項6に記載のブレーキ装置において、
    前記ホイルシリンダ部は、プライマリ系統ホイルシリンダと、セカンダリ系統ホイルシリンダとを備え、
    前記接続液路は、前記プライマリ系統ホイルシリンダに接続する第1接続液路と、前記セカンダリ系統ホイルシリンダに接続する第2接続液路とを備え、
    前記遮断弁部は、前記第1接続液路にある第1遮断弁と、前記第2接続液路にある第2遮断弁と、を備え、
    前記増圧弁部は、前記第1接続液路にある第1増圧弁と、前記第2接続液路にある第2増圧弁とを備え、
    前記第1接続液路と前記第2接続液路とを接続する連通液路を備え、
    前記連通液路に前記液圧源が接続されている、
    ブレーキ装置。
  9. 請求項1に記載のブレーキ装置において、
    前記ストロークシミュレータの前記背圧室と、前記ブレーキ液を貯留するリザーバとを接続する第2シミュレータ液路と、
    前記第2シミュレータ液路にあるシミュレータ・アウト弁とを備え、
    前記コントロールユニットは、前記ブレーキペダルが踏み戻された際に前記シミュレータ・イン弁を開方向に作動させ、前記シミュレータ・アウト弁を閉方向に作動させた後、所定時間経過すると、前記シミュレータ・アウト弁を開方向に作動させる、
    ブレーキ装置。
  10. 請求項1に記載のブレーキ装置において、
    前記コントロールユニットは、前記シミュレータ・イン弁を開方向に作動させた後に前記ブレーキペダルが踏み込まれた場合、前記シミュレータ・イン弁を閉方向に作動させる、ブレーキ装置。
  11. 請求項1に記載のブレーキ装置において、
    前記ホイルシリンダ部は、プライマリ系統ホイルシリンダと、セカンダリ系統ホイルシリンダとを備え、
    前記接続液路は、前記プライマリ系統ホイルシリンダに接続する第1接続液路と、前記セカンダリ系統ホイルシリンダに接続する第2接続液路とを備え、
    前記遮断弁部は、前記第1接続液路にある第1遮断弁と、前記第2接続液路にある第2遮断弁とを備え、
    前記第1接続液路と前記第2接続液路とを接続する連通液路を備え、
    前記連通液路に前記液圧源が接続されている、
    ブレーキ装置。
  12. ブレーキペダルの踏み戻しを検出する第1工程と、
    前記第1工程にて前記ブレーキペダルの踏み戻しが検出された後、前記ブレーキペダルの操作に応じた操作反力を生成可能なストロークシミュレータの背圧室を加圧する第2工程とを有する、
    ブレーキ制御方法。
  13. ブレーキシステムであって、
    第1ユニットと、第2ユニットと、第3ユニットとを備え、
    前記第1ユニットは、ブレーキペダルの操作に応じてブレーキ液圧を発生するマスタシリンダを備え、
    前記第2ユニットは、前記マスタシリンダに接続し、前記ブレーキペダルの操作反力を生成可能なストロークシミュレータを備え、
    前記第3ユニットは、
    前記マスタシリンダと、前記ブレーキ液圧に応じて車輪部に制動力を付与可能なホイルシリンダ部とを接続する接続液路と、
    前記接続液路にある遮断弁部と、
    前記遮断弁部に対して前記ホイルシリンダ部の側の前記接続液路にブレーキ液を供給可能な液圧源と、
    前記ストロークシミュレータの背圧室と、前記遮断弁部に対して前記ホイルシリンダ部の側の前記接続液路とを接続する第1シミュレータ液路と、
    前記第1シミュレータ液路にあるシミュレータ・イン弁と、
    前記ブレーキペダルが踏み戻された際、前記シミュレータ・イン弁を開方向に作動させるコントロール部とを備える、
    ブレーキシステム。
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