JP2019018453A - 液体噴射装置、及び、液体噴射装置の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】共通液室への液体の供給不足が生じるおそれがある噴射状況であっても液体の噴射異常を抑制することが可能な液体噴射装置、及び、液体噴射装置の制御方法を提供する。
【解決手段】駆動信号発生回路は、ノズルからの液体噴射動作に係る主信号(DS1,UDS1,UDS2)と、供給流路の流路断面積の調整に係る副信号(ADS1)と、を発生し、複数のノズルは、液体が噴射される第1ノズルと、液体が噴射されない第2ノズルと、を有し、副信号は、少なくとも第2ノズルに対応する駆動素子に印加されて当該第2ノズルに対応する供給流路の流路断面積を減少させる第1副信号を有することを特徴とする。
【選択図】図16
【解決手段】駆動信号発生回路は、ノズルからの液体噴射動作に係る主信号(DS1,UDS1,UDS2)と、供給流路の流路断面積の調整に係る副信号(ADS1)と、を発生し、複数のノズルは、液体が噴射される第1ノズルと、液体が噴射されない第2ノズルと、を有し、副信号は、少なくとも第2ノズルに対応する駆動素子に印加されて当該第2ノズルに対応する供給流路の流路断面積を減少させる第1副信号を有することを特徴とする。
【選択図】図16
Description
本発明は、共通液室と圧力室とを連通させる供給流路の流路断面積を調整可能な液体噴射装置、及び、液体噴射装置の制御方法に関する。
液体噴射装置は液体噴射ヘッドを備え、この液体噴射ヘッドから各種の液体を噴射(吐出)する装置である。この液体噴射装置としては、例えば、インクジェット式プリンターやインクジェット式プロッター等の画像記録装置があるが、最近ではごく少量の液体を所定位置に正確に着弾させることができるという特長を生かして各種の製造装置にも応用されている。例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターを製造するディスプレイ製造装置,有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイやFED(面発光ディスプレイ)等の電極を形成する電極形成装置,バイオチップ(生物化学素子)を製造するチップ製造装置に応用されている。そして、画像記録装置用の記録ヘッドでは液状のインクを噴射し、ディスプレイ製造装置用の色材噴射ヘッドではR(Red)・G(Green)・B(Blue)の各色材の溶液を噴射する。また、電極形成装置用の電極材噴射ヘッドでは液状の電極材料を噴射し、チップ製造装置用の生体有機物噴射ヘッドでは生体有機物の溶液を噴射する。
この種の液体噴射装置は、液体噴射ヘッドを備え、当該液体噴射ヘッドは、共通液室(リザーバーあるいはマニホールドとも呼ばれる)から供給流路及び圧力室を通ってノズルに至る液体流路を備えており、圧電素子や発熱素子等のアクチュエーター(駆動素子)の駆動によってノズルや圧力室内の液体に圧力変動を生じさせ、この圧力変動を利用してノズルから液体を噴射させる。共通液室には液体貯留部材から液体供給経路を通じて液体が供給され、当該液体は共通液室から供給流路を通じて各ノズルに分配される。供給流路は、液体流路における他の部分よりも流路断面積が小さく設計されており、これにより、当該供給流路を流通する液体に対して流路抵抗を付与する。
上記の構成において複数のノズルから同時に大量の液体を噴射させることにより液体流路内の液体の流速が高まった場合、これに伴って液体供給経路における圧力損失が大きくなり、液体供給経路から共通液室への液体の供給が追い付かなくなるおそれがある。このような問題に対し、液体噴射ヘッドにおける液体の噴射状況が上記液体の供給不足が生じるおそれがある状況となった場合に液体の噴射が行われない待機時間が設けられ、上記のような液体の供給不足を回避する構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上記のように待機時間を設けることにより、液体噴射装置の全体の処理速度(スループット)が低下するという課題があった。その一方で、液体の供給不足が生じた状態で、待機時間を設けることなく各ノズルから噴射を継続した場合、共通液室内の液体の圧力が大きく低下したときに、液体の噴射が行われていないノズル側から液体が引き込まれ、この際に、当該ノズルから液体と共に空気が引き込まれて流路内に入り込むおそれがあった。そして、流路内に空気(気泡)が入り込んだ場合、当該気泡が流路を塞いだり、液体の噴射に必要なノズルや圧力室内の液体の圧力変動を吸収したりすることにより、ノズルから液体が正常に噴射されない噴射異常を引き起こすおそれがある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、共通液室への液体の供給不足が生じるおそれがある噴射状況であっても液体の噴射異常を抑制することが可能な液体噴射装置、及び、液体噴射装置の制御方法を提供するものである。
本発明の液体噴射装置は、上記目的を達成するために提案されたものであり、複数のノズルと、
各ノズルにそれぞれ対応して複数設けられた圧力室と、
各圧力室に共通に設けられ、各圧力室へ供給する液体が導入される共通液室と、
前記共通液室と各圧力室とをそれぞれ連通させる複数の供給流路と、
各圧力室に対応して複数設けられ、対応する圧力室の容積及び当該圧力室に対応する供給流路の流路断面積を変化させ得る駆動素子と、
前記駆動素子を駆動する駆動信号を発生させる駆動信号発生回路と、
を備える液体噴射装置であって、
前記駆動信号発生回路は、前記圧力室の容積変化に係る主信号と、前記供給流路の流路断面積の調整に係る副信号と、を発生し、
前記複数のノズルは、液体が噴射される第1ノズルと、液体が噴射されない第2ノズルと、を有し、
前記副信号は、少なくとも前記第2ノズルに対応する前記駆動素子に印加されて当該第2ノズルに対応する前記供給流路の流路断面積を減少させる第1副信号を有することを特徴とする。
各ノズルにそれぞれ対応して複数設けられた圧力室と、
各圧力室に共通に設けられ、各圧力室へ供給する液体が導入される共通液室と、
前記共通液室と各圧力室とをそれぞれ連通させる複数の供給流路と、
各圧力室に対応して複数設けられ、対応する圧力室の容積及び当該圧力室に対応する供給流路の流路断面積を変化させ得る駆動素子と、
前記駆動素子を駆動する駆動信号を発生させる駆動信号発生回路と、
を備える液体噴射装置であって、
前記駆動信号発生回路は、前記圧力室の容積変化に係る主信号と、前記供給流路の流路断面積の調整に係る副信号と、を発生し、
前記複数のノズルは、液体が噴射される第1ノズルと、液体が噴射されない第2ノズルと、を有し、
前記副信号は、少なくとも前記第2ノズルに対応する前記駆動素子に印加されて当該第2ノズルに対応する前記供給流路の流路断面積を減少させる第1副信号を有することを特徴とする。
本発明によれば、液体が噴射されない第2ノズルに対応する供給流路が、第1副信号により減少されるので、第2ノズルから流路内に空気が引き込まれることが抑制される。これにより、流路内に空気が引き込まれることによる液体の噴射異常を抑制することが可能となる。その結果、噴射させる液体の量を削減したり、液体噴射動が行われない待機時間を別途設けたりする等のように液体噴射装置の能力を下げるような対処を行うことなく噴射動作を行うことが可能となる。
上記構成において、前記駆動素子は、前記圧力室の容積の調整に係る第1駆動素子と、前記供給流路の流路断面積の調整に係る第2駆動素子とを備え、
前記主信号は、前記第1駆動素子に印加される駆動信号であり、
前記副信号は、前記第2駆動素子に印加される駆動信号である構成を採用することができる。
前記主信号は、前記第1駆動素子に印加される駆動信号であり、
前記副信号は、前記第2駆動素子に印加される駆動信号である構成を採用することができる。
この構成によれば、圧力室の容積の調整にかかる第1駆動素子と、供給流路の流路断面積の調整に係る第2駆動素子とをそれぞれ主信号と副信号とにより独立して駆動させることができる。これにより、例えば、第1駆動素子により圧力室およびノズル内の液体を当該ノズルから噴射させない程度に振動させる動作を行いつつ、第2駆動素子により供給流路の流路断面積を調整するような制御を行うことが可能となる。
また、上記構成において、前記副信号は、前記供給流路の流路断面積を増加させる第2副信号を有し、
前記第1ノズルから噴射される液体の量に関する指標が予め定められた閾値以上となった場合に、予め定められた順序で当該第1ノズルに対応する前記第2駆動素子に前記第1副信号及び前記第2副信号が順次印加される構成を採用することが望ましい。
前記第1ノズルから噴射される液体の量に関する指標が予め定められた閾値以上となった場合に、予め定められた順序で当該第1ノズルに対応する前記第2駆動素子に前記第1副信号及び前記第2副信号が順次印加される構成を採用することが望ましい。
この構成によれば、第1ノズルから噴射される液体の量に関する指標が予め定められた閾値以上となった場合に予め定められた順序で流路断面積が増減される。例えば、指標が予め定められた閾値以上となった場合に共通液室内の液体の圧力が周期的に変化しやすくなるので、この圧力変化に応じて予め定められた順序で流路断面積が増減される。これにより、ノズルから噴射される液体の噴射特性(液量や飛翔速度)がばらつくことが抑制される。
上記構成において、前記複数のノズルについて液体が正常に噴射されない噴射異常の発生を検知する検知部を備え、
前記検知部により噴射異常が検知された前記ノズルに対応する前記第2の駆動素子に前記第1副信号が印加される構成を採用することが望ましい。
前記検知部により噴射異常が検知された前記ノズルに対応する前記第2の駆動素子に前記第1副信号が印加される構成を採用することが望ましい。
検知部により噴射異常が検知されたノズルに対応する第2の駆動素子に第1副信号が印加されることにより、当該ノズル(すなわち、第2ノズル)に対応する供給流路の流路断面積が収縮される。このため、噴射異常が検知されたノズルから供給流路を通じて共通液室側に液体が引き込まれ難くなり、その結果、当該ノズルから流路内に空気が引き込まれることが抑制される。また、当該ノズルにおいて液体が増粘した場合においても、当該増粘した液体が供給流路を通じて共通液室側に移動することが抑制される。
さらに、前記主信号は、前記第1ノズルに対応する前記駆動素子に印加される第1主信号と、前記第2ノズルに対応する前記駆動素子に印加される第2主信号と、を有する構成を採用することができる。
また、本発明の液体噴射装置の制御方法は、複数のノズルと、各ノズルにそれぞれ対応して複数設けられた圧力室と、各圧力室に供給する液体が導入される共通液室と、前記共通液室と各圧力室とをそれぞれ連通させる複数の供給流路と、各圧力室に対応して複数設けられ、対応する圧力室の容積及び当該圧力室に対応する供給流路の流路断面積を変化させ得る駆動素子と、前記駆動素子を駆動する駆動信号を発生させる駆動信号発生回路と、を備える液体噴射装置の制御方法であって、
前記ノズルからの液体噴射動作に係る主信号と、前記供給流路の流路断面積の調整に係る副信号と、を発生し、
前記主信号は、前記複数のノズルのうち液体が噴射される第1ノズルに印加される第1主信号と、前記複数のノズルのうち液体が噴射されない第2ノズルに印加される第2主信号とを有し、
前記副信号は、前記供給流路の流路断面積を減少させる第1副信号を有し、
少なくとも前記第2ノズルに対応する前記駆動素子への前記第2主信号の印加に応じて当該駆動素子に前記第1副信号が印加されることを特徴とする。
前記ノズルからの液体噴射動作に係る主信号と、前記供給流路の流路断面積の調整に係る副信号と、を発生し、
前記主信号は、前記複数のノズルのうち液体が噴射される第1ノズルに印加される第1主信号と、前記複数のノズルのうち液体が噴射されない第2ノズルに印加される第2主信号とを有し、
前記副信号は、前記供給流路の流路断面積を減少させる第1副信号を有し、
少なくとも前記第2ノズルに対応する前記駆動素子への前記第2主信号の印加に応じて当該駆動素子に前記第1副信号が印加されることを特徴とする。
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下においては、本発明の液体噴射装置として、インクジェット式記録装置(以下、プリンター)を例に挙げて説明する。
図1は、プリンター1の内部構成を説明する斜視図、図2は、プリンター1の電気的な構成を説明するブロック図である。本実施形態におけるプリンター1は、紙送り機構3、キャリッジ移動機構4、リニアエンコーダー5、及び記録ヘッド6を有するプリントエンジン2と、このプリントエンジン2の各部を制御するプリンターコントローラー7とを有する。
プリンターコントローラー7は、プリンターの各部の制御を行う制御ユニットである。本実施形態におけるプリンターコントローラー7は、制御回路9及び駆動信号発生回路10等を備えている。制御回路9は、プリンター全体の制御を行うための演算処理装置であり、図示しないCPUや記憶装置等から構成されている。制御回路9は、記憶装置に記憶されているプログラム等に従って、各ユニットを制御する。また、本実施形態における制御回路9は、外部機器等から受信した印刷データに基づき、記録動作(液体噴射動作)の際、記録ヘッド6のどのノズル25(図3及び図4参照)からどのタイミングでどの大きさのインク滴(液滴)を噴射させるかを示す噴射データを生成し、記録ヘッド6のヘッドコントローラー12に送信する。
駆動信号発生回路10は、駆動信号の波形に関する波形データに基づいて、アナログの電圧信号を生成し、これを図示しない増幅回路により増幅して、第1圧電素子27(本発明における駆動素子の一種であり、第1駆動素子の一種)の駆動係る噴射駆動信号を生成する。また、本実施形態における駆動信号発生回路10は、第2圧電素子28(本発明における駆動素子の一種であり、第2駆動素子の一種)の駆動に係る調整駆動信号を生成する。これらの第1圧電素子27および第2圧電素子28については後述する。そして、駆動信号発生回路10は、後述するエンコーダーパルスに基づき生成されるタイミング信号で規定される周期T(単位周期)で、それぞれ、各駆動信号を繰り返し発生する。これらの駆動信号の詳細についても後述する。駆動信号発生回路10により発生された駆動信号は、記録ヘッド6のヘッドコントローラー12に送信される。
次に、プリントエンジン2について説明する。このプリントエンジン2は、紙送り機構3、キャリッジ移動機構4、リニアエンコーダー5、記録ヘッド6、及び、ノズル抜け検知部13(本発明における検知部の一種)等を備えている。キャリッジ移動機構4は、液体噴射ヘッドの一種である記録ヘッド6が取り付けられたキャリッジ16と、このキャリッジ16を、タイミングベルト等を介して走行させる駆動モーター(例えば、DCモーター)等からなり(図示せず)、キャリッジ16に搭載された記録ヘッド6をガイドロッド18に沿って主走査方向に移動させる。紙送り機構3は、紙送りモーター及び紙送りローラー等からなり、記録媒体S(被着弾物の一種)をプラテン上に順次送り出して副走査を行う。また、リニアエンコーダー5は、キャリッジ16に搭載された記録ヘッド6の走査位置に応じたエンコーダーパルスを、主走査方向における位置情報としてプリンターコントローラー7に出力する。プリンターコントローラー7は、リニアエンコーダー5側から受信したエンコーダーパルスに基づいて記録ヘッド6の走査位置(現在位置)を把握することができる。ノズル抜け検知部13は、記録ヘッド6のノズル25からインクが正常に噴射されていない状態であるノズル抜け(噴射異常)を検知する機構である。なお、ノズル抜け検知部13によるノズル抜け検知の詳細については後述する。
キャリッジ16には、各種のインクを貯留したインクカートリッジ17(液体貯留部材)が着脱可能に装着される。そして、インクカートリッジ17のインクは記録ヘッド6に導入される。このように構成されたプリンター1では、紙送り機構3によって記録媒体Sを順次搬送すると共に、記録媒体Sに対して記録ヘッド6を主走査方向に相対移動させながら、当該記録ヘッド6のノズル25(図3参照)からインク(インク滴)を噴射させて、記録媒体S上に当該インクを着弾させることによりドットを形成し、当該ドットの配列により画像等を記録する。なお、インクカートリッジ17がプリンターの本体側に配置され、当該インクカートリッジ17のインクが供給チューブを通じて記録ヘッド6側に送られる構成を採用することもできる。
次に、本実施形態における記録ヘッド6の構成について説明する。
図3は記録ヘッド6の断面図である。本実施形態における記録ヘッド6は、ノズルプレート20、連通板21、アクチュエーター基板22、コンプライアンス基板23、ホルダー24等の複数のヘッド構成部材が積層されて接着剤等によって接合されてユニット化されている。なお、以下においては、記録ヘッド6の各構成部材の積層方向を、適宜上下方向として説明する。
図3は記録ヘッド6の断面図である。本実施形態における記録ヘッド6は、ノズルプレート20、連通板21、アクチュエーター基板22、コンプライアンス基板23、ホルダー24等の複数のヘッド構成部材が積層されて接着剤等によって接合されてユニット化されている。なお、以下においては、記録ヘッド6の各構成部材の積層方向を、適宜上下方向として説明する。
本実施形態におけるアクチュエーター基板22は、ノズルプレート20に形成されたノズル25と連通する圧力室30が形成された圧力室形成基板26と、この圧力室形成基板26に積層されて圧力室30の一部を区画する振動板29と、当該振動板29を変化させる圧電素子27,28とを積層した状態で備えている。
アクチュエーター基板22の圧力室形成基板26は、シリコン単結晶基板から作製されている。この圧力室形成基板26には、圧力室30の一部及び供給流路31となる空部32が複数のノズル25に対応してノズル列方向に複数並設されている。この空部32は、ノズル列に交差(本実施形態においては直交)する方向に長尺な空間であり、ヘッド構成部材の積層方向から見た平面視においてノズル25と重なる位置から個別連通口37と重なる位置まで異方性エッチングによって一連に形成されている。圧力室30は、空部32の一部(連通板21の壁36(後述)と平面視で重なる位置よりも長手方向における一端側の部分)と後述する連通板21の空部33とが連通して画成されている。この圧力室30の長手方向の一側の端部にはノズル連通口34が連通し、他側の端部には供給流路31が連通している。この圧力室30の容積は、振動板29上に設けられた第1圧電素子27の駆動によって増減可能に構成されている。
供給流路31は、後述する個別連通口37と共にリザーバー35と圧力室30との間を連通する流路であり、各圧力室30にそれぞれ対応して設けられている。この供給流路31は、上記空部32のうち圧力室30となる部分を除いた残りの部分からなる。本実施形態における供給流路31の幅(ノズル列方向(圧力室並設方向)の内寸)は、圧力室30の幅と揃えられている一方、供給流路31の深さ(記録ヘッド6の各構成部材の積層方向における寸法)は、圧力室30の深さよりも浅くなっている。本実施形態において、供給流路31の深さは空部32の深さと等しくなっているのに対し、圧力室30の深さは、空部32の深さと空部33の深さとの合計となっており、空部33の深さ分だけ供給流路31の深さよりも深くなっている。これにより、供給流路31の流路断面積は、圧力室30やリザーバー35等の他の流路における流路断面積よりも十分小さく設定されている。このように構成された供給流路31は、当該供給流路31を流通するインクに対して流路抵抗を付与する。そして、この供給流路31の流路断面積は、振動板29上に設けられた第2圧電素子28の駆動によって増減可能に構成されている。
圧力室形成基板26の上面(連通板21側とは反対側の面)には、振動板29が積層され、この振動板29によって圧力室30及び供給流路31の上部開口(すなわち、空部32の上部開口)が封止されている。この振動板29は、例えば、圧力室形成基板26の上面に形成された二酸化シリコン(SiO2)からなる弾性膜と、この弾性膜上に形成された酸化ジルコニウム(ZrO2)からなる絶縁体膜と、から成る。この振動板29上における各圧力室30に対応する領域に第1圧電素子27がそれぞれ積層されている。同様に、振動板29上における各供給流路31に対応する領域に第2圧電素子28がそれぞれ積層されている。
本実施形態の第1圧電素子27は、所謂撓みモードの圧電素子であり、ヘッド構成部材の積層方向から見た平面視において圧力室30に重なる位置に形成されている。この第1圧電素子27は、例えば、振動板29上に、下電極層、圧電体層及び上電極層(いずれも図示せず)が順次積層されてなる。このように構成された第1圧電素子27は、下電極層と上電極層との間に両電極の電位差に応じた電界が付与されると、上下方向に撓み変形する。この第1圧電素子27は後述する噴射用駆動信号または非噴射駆動信号が印加されるように構成されている。また、本実施形態における第2圧電素子28は、平面視において供給流路31に重なる位置に形成されている。この第2圧電素子28も、基本的には第1圧電素子27の構成と同様に所謂撓みモードの圧電素子であって、振動板29上に下電極層、圧電体層及び上電極層が順次積層されてなり、下電極層と上電極層との間に両電極の電位差に応じた電界が付与されると、上下方向に撓み変形する。この第2圧電素子28は後述する調整駆動信号が印加されるように構成されている。
連通板21は、圧力室形成基板26と同様にシリコン単結晶基板から作製されている。本実施形態における連通板21には、圧力室30の一部となる空部33、圧力室30とノズル25とを連通するノズル連通口34、各圧力室30に共通に設けられたリザーバー35(共通液室の一種。マニホールドとも呼ばれる。)、及び、リザーバー35と圧力室30とを連通する個別連通口37が、例えば異方性エッチングにより形成されている。圧力室30となる空部33は、連通板21の上面側(圧力室形成基板26側)から厚さ方向の途中まで異方性エッチングによって形成されている。この空部33と個別連通口37との間であって、上記供給流路31に対応する位置には壁36が形成されている。この壁36の上面(圧力室形成基板26側の面)は、供給流路31の底面となる。
リザーバー35は、ノズル列方向に沿って延在する空部である。このリザーバー35の下面側の開口部は、後述するコンプライアンス基板23のコンプライアンスシート39によって封止されている。なお、1つのノズル列に対して複数のリザーバーが設けられ、それぞれのリザーバーに異なる種類のインクが割り当てられる構成を採用することもできる。リザーバー35には、後述するようにホルダー24に設けられた液室空部43を通じてインクが導入される。個別連通口37は、各圧力室30にそれぞれ対応してノズル列方向に沿って複数形成されている。この個別連通口37は、供給流路31の他側(圧力室30側とは反対側)の端部と連通する。
上記の連通板21の下面には、複数のノズル25が形成されたノズルプレート20が接合される。本実施形態におけるノズルプレート20は、連通板21及びアクチュエーター基板22よりも小さい外形の板材であり、シリコン単結晶基板から構成されている。このノズルプレート20は、連通板21の下面において、リザーバー35の下面側の開口から外れた位置であって、ノズル連通口34が開口した領域に、これらのノズル連通口34と複数のノズル25とがそれぞれ連通する状態で接着剤等により接合される。本実施形態におけるノズルプレート20には、複数のノズル25が列設されてなるノズル列(ノズル群)が形成されている。本実施形態においては、1列のノズル列は、例えば400個のノズル25により構成されている。なお、ノズル群としては、複数のノズルが列状に並設されたものには限られず、複数のノズルがマトリクス状に配置されたものも採用することができる。要するに、ノズル群は、同一のリザーバー(共通液室)から液体がそれぞれ供給される複数のノズルにより構成されるものであればよい。
また、連通板21の下面において、ノズルプレート20の周囲を囲むようにコンプライアンス基板23が接合されている。このコンプライアンス基板23は、連通板21の下面に位置決めされて接合された状態で、連通板21の下面におけるリザーバー35の開口を封止する。本実施形態におけるコンプライアンス基板23は、コンプライアンスシート39と、これを支持する支持板40とが接合されて構成されている。連通板21の下面には、コンプライアンス基板23のコンプライアンスシート39が接合されて、連通板21と支持板40との間にコンプライアンスシート39が挟まれた状態となる。コンプライアンスシート39は、可撓性を有する薄膜、例えばポリフェニレンサルファイド(PPS)等の合成樹脂材料により作製されている。支持板40は、コンプライアンスシート39よりも剛性が高く且つ厚みのあるステンレス鋼等の金属材料で形成されている。この支持板40のリザーバー35に対向する領域には、このリザーバー35の下面開口に倣った形状に支持板40の一部が除去されたコンプライアンス開口41が形成されている。このため、リザーバー35の下面側の開口は、可撓性を有するコンプライアンスシート39のみで封止されている。換言すると、コンプライアンスシート39は、リザーバー35の一部を区画している。そして、このコンプライアンスシート39においてリザーバー35に対応する部分である可撓領域が、インク流路内、特にリザーバー35内のインクの圧力変化に応じてリザーバー35側またはコンプライアンス空間47側に変位する。
アクチュエーター基板22及び連通板21は、ホルダー24に固定されている。ホルダー24は、平面視において連通板21と略同一形状を呈し、その下面側にはアクチュエーター基板22を収容する収容空部42が形成されている。そして、収容空部42にアクチュエーター基板22が収容された状態でホルダー24の下面が連通板21によって封止される。このホルダー24の内部において収容空部42から外れた位置には、連通板21のリザーバー35と連通する液室空部43が形成されている。液室空部43には、インクカートリッジ17から送られてきたインクが導入される。すなわち、インクカートリッジ17から送られてきたインクは、液室空部43及びリザーバー35へと導入され、リザーバー35から個別連通口37及び供給流路31を通じて各圧力室30にそれぞれ供給される。
そして、上記構成の記録ヘッド6では、液室空部43からリザーバー35、供給流路31、及び圧力室30を通ってノズル25に至るまでの流路内がインクで満たされた状態で、駆動信号に従い第1圧電素子27が駆動されることにより、圧力室30内のインクに圧力変動が生じ、この圧力変動によって所定のノズル25からインクが噴射される。また、記録ヘッド6の記録動作(液体噴射動作)に伴ってインク流路内、特にリザーバー35内のインクに生じた圧力変化に伴って上記コンプライアンスシート39が変位する(撓む)ことで、当該圧力変化が緩和される。本実施形態においては、このリザーバー35におけるインクの圧力変化に起因する噴射異常を回避するように構成されている。
図4は、インク流路(液体流路の一種)内のインクや空気の流れについて説明する図であり、リザーバー35から供給流路31及び圧力室30を通ってノズル25に至るインク流路を簡略化して示した模式図である。本実施形態におけるプリンター1では、同一ノズル列を構成するノズル25のうち、両端部に位置するノズル25は、記録媒体等に対する画像等の記録のために行われる記録動作(液体噴射動作)においてインクの噴射が行われない非噴射用ノズル25b(本発明における第2ノズルに相当)となっている。この非噴射用ノズル25b以外の残りのノズル25は、記録動作においてインクの噴射が行われる噴射用ノズル25aとなっている。なお、本実施形態において、所定の周期T(後述)で噴射用ノズル25aからインクを噴射させる場合、当該周期において噴射用ノズル25aは本発明における第1ノズルであり、所定の周期Tで噴射用ノズル25aからインクを噴射させない場合(振動動作のみの場合)、当該周期において噴射用ノズル25aは本発明における第2ノズルとなる。
非噴射用ノズル25bに関し、ノズル列の端部に位置するノズル25から噴射されるインク滴の量や飛翔速度等の噴射特性は、他のノズル25の噴射特性と異なる傾向にあるため、一般的にはノズル列の端部に位置するノズル25が非噴射用ノズル25bとされる。また、ノズル列の全長よりも当該ノズル列方向における寸法(幅)が狭い記録媒体等に対して液体噴射動作を行う場合には、記録領域よりも外側に位置するノズル25は、非噴射用ノズル25bとされる。なお、ノズル列における非噴射用ノズル25bの位置については、ノズル列の端部に限られない。
上記の構成のプリンター1では、同一ノズル列を構成するノズル25のうち、多数のノズル25(噴射用ノズル25a)から一度に多くのインクを噴射させた場合、具体的には、同一ノズル列を構成する全ての噴射用ノズル25aから最も大きいサイズのインク滴をそれぞれ噴射させた場合のDUTYを100%として、例えば所定のパス(記録ヘッド6の走査単位)において70%以上の高DUTYでインク量を噴射させる動作を行った場合、インクカートリッジ17からリザーバー35に至るまでのインク供給経路において圧力損失が増大し、リザーバー35へのインクの供給不足が生じることがある。なお、DUTYとは、以下の式で算出される値であり、噴射用ノズル25aから噴射されるインクの量に関する指標の一種である。なお、インクの量に関する指標は、これには限られず、インク流路内の所定の位置における流速或は流量等を指標とすることもできる。
DUTY[%]=(実噴射ドット数/(縦解像度×横解像度))×100
上記式中、「実噴射(実噴射)ドット数」は、記録媒体における単位面積当たりに噴射されたインクのドット数(インク滴数)であり、「縦解像度」及び「横解像度」はそれぞれ記録媒体における単位面積当たりの解像度である。このDUTYは、制御回路9が、噴射データに基づき判定する。
DUTY[%]=(実噴射ドット数/(縦解像度×横解像度))×100
上記式中、「実噴射(実噴射)ドット数」は、記録媒体における単位面積当たりに噴射されたインクのドット数(インク滴数)であり、「縦解像度」及び「横解像度」はそれぞれ記録媒体における単位面積当たりの解像度である。このDUTYは、制御回路9が、噴射データに基づき判定する。
また、本実施形態における記録ヘッド6のように、リザーバー35に可撓性を有するコンプライアンスシート39が設けられている構成では、上記DUTYが急激に変化した場合等のようにインクの噴射状況に急激な変化が生じた場合、上記のコンプライアンスシート39が所定の固有周期をもって振動することがある。すなわち、リザーバー35のインクの圧力が周期的に増減する。そして、この振動によりリザーバー35の内の圧力が低下した状態で、比較的高いDUTYでインクの噴射が行われると、リザーバー35より上流側のインク供給経路において圧力損失が増大することにより、上流側からリザーバー35へのインクが追い付かずにインクの供給不足が生じる。
このようなインクの供給不足が生じた場合で、インクの噴射を継続した場合、噴射用ノズル25aからのインクの消費に伴って、リザーバー35内のインクが減圧されたときに、図4中、白抜きの矢印で示されるように、インクの噴射が行われていない非噴射用ノズル25b側からインクが引き込まれる。この引き込む力が大きいと、当該非噴射用ノズル25bからリザーバー35側に空気が引き込まれてインク流路内に入り込む場合がある。そして、インク流路内に空気が入り込んだ場合、噴射用ノズル25aからインクが正常に噴射されない状態を引き起こすおそれがある。最悪の場合には、噴射動作を行っても噴射用ノズル25aからインクが噴射されない、所謂ノズル抜けが生じるおそれもある。
第1実施形態におけるプリンター1では、ノズル列の各ノズル25についてのインクの噴射状況が上記の供給不足条件を満たした場合に非噴射用ノズル25bにおける第2圧電素子28によって供給流路31の流路断面積を増減することにより、当該非噴射用ノズル25bからの空気の引き込みを抑制している。以下、この点について説明する。
図5から図7は、第1圧電素子27の駆動(ノズル25からインクを噴射させる噴射動作)に係る噴射駆動信号(本発明における第1主信号の一種)について説明する波形図である。図5は、ノズル25から噴射可能なインク滴のうち、最も大きいサイズ(最も多い量)である大ドット用インク滴を噴射させるための噴射駆動信号の一例を示す波形図、図6は、ノズル25から噴射可能なインク滴のうち、中間のサイズである中ドット用インク滴を噴射させるための噴射駆動信号の一例を示す波形図、図7は、記録ヘッド6のノズル25から噴射可能なインク滴のうち、最も小さいサイズ(最も少ない量)である小ドット用インク滴を噴射させるための噴射駆動信号の一例を示す波形図である。
本実施形態におけるプリンター1は、大きさの異なるドットを記録媒体Sに形成する多階調記録が可能であり、本実施形態においては、上記のように大ドット、中ドット、小ドット、及び非噴射(振動のみ)の合計4階調での記録動作が可能に構成されている。図5に示されるように、本実施形態において噴射用ノズル25aから大ドット用インク滴を噴射させるための第1噴射駆動信号DS1は、周期T内に、第1噴射駆動パルスPd1、第2噴射駆動パルスPd2、及び第3噴射駆動パルスPd3がこの順に発生される信号である。この周期Tは、駆動信号発生回路10から発生される駆動信号の繰り返し周期であり、本実施形態においては、記録媒体Sに記録する画像の1画素分に対応する距離だけノズル25が移動する期間に対応する。なお、周期Tが複数の画素に対応する期間となる場合もある。噴射駆動パルスPd1〜Pd3は、いずれも同一波形を呈し、ノズル25から所定量のインクを噴射させるべく波形や電圧が定められた駆動パルスである。これらの噴射駆動パルスPd1〜Pd3は、圧力室30を基準容積から膨張容積まで膨張させる予備膨張要素p1と、圧力室30の膨張状態を維持する膨張ホールド要素p2と、圧力室30を膨張容積から基準容積よりも小さい収縮容積まで減少させる収縮要素p3と、圧力室30の収縮状態を維持する収縮ホールド要素p4と、圧力室30を収縮容積から基準容積まで復帰させる(膨張させる)復帰膨張要素p5と、からなる。
予備膨張要素p1は、第1基準電位Vb1から当該Vbよりも低い第1膨張電位VL1まで電位が変化する波形要素である。膨張ホールド要素p2は、予備膨張要素p1の終端電位である第1膨張電位VL1を一定時間維持する波形要素である。収縮要素p3は、第1膨張電位VL1から第1基準電位Vb1よりも高い第1収縮電位VH1まで電位が比較的急峻な勾配で変化する波形要素である。収縮ホールド要素p4は、第1収縮電位VH1を所定時間維持する波形要素である。復帰膨張要素p5は、第1収縮電位VH1から第1基準電位Vb1まで電位が復帰する波形要素である。この駆動パルスPdが噴射用ノズル25aに対応する第1圧電素子27に印加されると、当該第1圧電素子27が駆動パルスPdの電位変化に応じて変形し、これに応じて圧力室30内のインクに圧力変動が生じ、これにより噴射用ノズル25aからインク滴が噴射される。
そして、所定の周期Tで記録媒体Sの所定の画素領域に大ドットを形成する場合、第1噴射駆動パルスPd1、第2噴射駆動パルスPd2、及び第3噴射駆動パルスPd3が、第1圧電素子27に順次印加される。これにより、ノズル25(噴射用ノズル25a)からインク滴が3回連続して噴射され、これらが記録媒体S上の画素領域に順次着弾して大ドットが形成される。
また、図6に示されるように、本実施形態において噴射用ノズル25aから中ドット用インク滴を噴射させるための第2噴射駆動信号DS2は、周期T内に、第1噴射駆動パルスPd1及び第3噴射駆動パルスPd3がこの順に発生される信号である。所定の周期Tで記録媒体Sの画素領域に中ドットを形成する場合、第1噴射駆動パルスPd1及び第3噴射駆動パルスPd3が選択されて第1圧電素子27に順次印加される。これにより、ノズル25(噴射用ノズル25a)からインク滴が2回連続して噴射され、これらが記録媒体S上の画素領域に順次着弾して中ドットが形成される。
さらに、図7に示されるように、本実施形態において噴射用ノズル25aから小ドット用インク滴を噴射させるための第3噴射駆動信号DS3は、周期T内に、第1噴射駆動パルスPd1のみが発生される信号である。所定の周期Tで記録媒体Sの画素領域に小ドットを形成する場合、第1噴射駆動パルスPd1のみが第1圧電素子27に印加される。これにより、ノズル25(噴射用ノズル25a)からインク滴が1回だけ噴射され、当該インク滴が記録媒体S上の画素領域に着弾して小ドットが形成される。
なお、上記の第2噴射駆動信号DS2は、実際には、駆動信号発生回路10からは第1噴射駆動信号DS1のように周期T内に各噴射駆動パルスPd1〜Pd3が含まれる駆動信号が繰り返し発生され、その中から第1圧電素子27に印加する駆動パルスとして、第1噴射駆動パルスPd1及び第3噴射駆動パルスPd3が選択されることで構成される駆動信号である。同様に、第3噴射駆動信号DS3は、噴射駆動パルスPd1〜Pd3が含まれる駆動信号の中から第1圧電素子27に印加する駆動パルスとして、第1噴射駆動パルスPd1のみが選択されることで構成される駆動信号である。また、ノズル25からインクを噴射させるための噴射駆動信号及びこれに含まれる駆動パルスPdとしては例示したものには限られず、第1圧電素子27の構成に応じて周知の種々の構成ものを採用することができる。例えば、大中小のそれぞれのサイズのインク滴を噴射させるための専用の駆動パルスPdがそれぞれ1つずつ設けられ、所定の単位周期で形成するドットサイズに対応する駆動パルスPdを選択的に第1圧電素子27に印加する構成を採用することもできる。
図8及び図9は、ノズル25からインクを噴射させない場合に用いられる非噴射駆動信号(本発明における第2主信号の一種)の一例を示す波形図である。図8は第1非噴射駆動信号UDS1の一例を示す波形図、図9は第2非噴射駆動信号UDS2の一例を示す波形図である。本実施形態における第1非噴射駆動信号UDS1は、周期T内に振動駆動パルスPvを1つ含む信号である。振動駆動パルスPvは、所定の周期Tにおいてインクを噴射しないノズル25(すなわち、第2ノズル)におけるインクの増粘を抑制するべく、当該ノズル25からインクが噴射されない程度にインクを振動させ得る波形に設定された駆動パルスである。具体的には、振動駆動パルスPvは、圧力室30を基準容積から当該基準容積よりも大きく且つ上記膨張容積よりも小さい振動膨張容積まで膨張させる振動膨張要素p11、振動膨張容積を一定時間維持する振動膨張維持要素p12、及び振動膨張容積から基準容積まで復帰させる(減少させる)振動復帰要素p13から構成される。振動膨張要素p11は、第1基準電位Vb1から当該第1基準電位Vb1よりも低い振動膨張電位VL2まで一定の勾配で電位が変化する波形要素である。また、振動膨張維持要素p12は、振動膨張電位VL2を一定時間だけ維持する波形要素である。そして、振動復帰要素p13は、振動膨張電位VL2から第1基準電位Vb1まで一定の勾配で電位が変化する波形要素である。この振動駆動パルスPvが第1圧電素子27に印加されると、当該第1圧電素子27が振動駆動パルスPvの電位変化に応じて変形し、これに応じて圧力室30内には噴射用ノズル25aからインクが噴射されない程度の圧力変動が生じる。そして、この圧力変動によって噴射用ノズル25a内のインク(メニスカス)が振動する。このインクの振動によって噴射用ノズル25a付近の増粘インクが拡散(撹拌)され、その結果、インクの増粘が抑制される。
図9に示されるように、本実施形態における第2非噴射駆動信号UDS2は、第1基準電位Vb1で一定な駆動信号である。この第2非噴射駆動信号UDS2が、第1圧電素子27に印加されると、第1圧電素子27は、例えば、圧力室30の内側(連通板21側)に少し撓んだ状態(初期状態)に維持される。この状態における圧力室30の容積が基準容積である。
図10及び図11は、第2圧電素子28の駆動に係る調整駆動信号(副信号)について説明する波形図である。図10は供給流路31の流路断面積の変化(増減)の基準となる基準断面積に調整する基準調整駆動信号ADSb(基準副信号)の一例を示す波形図であり、図11は供給流路31の流路断面積を基準断面積よりも減少させる第1調整駆動信号ADS1(本発明における第1副信号の一種)の一例を示す波形図である。また、図12及び図13は、供給流路31の近傍の模式的な断面図であり、図12は供給流路31の流路断面積が基準断面積に調整された状態を示す図、図13は供給流路31の流路断面積が基準断面積よりも減少した状態を示す図である。
図10に示されるように、本実施形態における基準調整駆動信号ADSbは、第2基準電位Vb2で一定の駆動信号である。この基準調整駆動信号ADSbが、第2圧電素子28に印加されると、図12に示されるように、第2圧電素子28の幅方向の中央部が供給流路31の内側(連通板21側)に少し撓んだ状態となる。この状態において、供給流路31を区画しているノズル列方向における両側の隔壁45は、圧力室形成基板26の厚さ方向(ヘッド構成部材の積層方向)に沿って互いに概ね平行な姿勢となるように設定されている。この状態における供給流路31の流路断面積が、本実施形態における基準断面積(以下、基準断面積μ)である。なお、第2基準電位Vb2は、上記第1基準電位Vb1と同電位であっても良いし、異なる電位であってもよい。
図11に示されるように、本実施形態における第1調整駆動信号ADS1は、周期T内に第1調整パルスPa1を含む駆動信号である。第1調整パルスPa1は、第2圧電素子28を駆動して供給流路31の流路断面積を基準断面積よりも減少させ得る波形に設定された駆動パルスである。より具体的には、第1調整パルスPa1は、供給流路31の流路断面積を基準断面積μから、当該基準断面積μよりも小さい第1収縮断面積(以下、第1収縮断面積α)まで減少させる流路収縮要素p21、第1収縮断面積αを維持する収縮維持要素p22、及び第1収縮断面積αから基準断面積μまで復帰させる(増加させる)流路復帰要素p23から構成される。流路収縮要素p21は、第2基準電位Vb2から当該第2基準電位Vb2よりも高い流路収縮電位VH3まで一定の勾配で電位が変化する波形要素である。また、収縮維持要素p22は、流路収縮電位VH3を一定時間だけ維持する波形要素である。そして、流路復帰要素p23は、流路収縮電位VH3から第2基準電位Vb2まで一定の勾配で電位が変化する波形要素である。
図13に示されるように、第1調整駆動信号ADS1の第1調整パルスPa1が第2圧電素子28に印加されると、流路収縮要素p21により第2圧電素子28及びこれに対応する振動板29が供給流路31の内側(連通板21側)に向けて撓み(図中、白抜き矢印参照)、これに応じて供給流路31を区画している両側の隔壁45の上端部がそれぞれ互いに近接する方向に引張されることにより、各隔壁45が供給流路31の内側に向けて傾斜する(図中、黒矢印参照)。このような第2圧電素子28及び振動板29の供給流路31側への変形とこれに応じた隔壁45の傾きとにより、供給流路31の流路断面積が基準断面積μから第1収縮断面積αまで減少する。収縮維持要素p22により供給流路31の流路断面積が第1収縮断面積αで維持された後、流路復帰要素p23により第2圧電素子28及びこれに対応する振動板29が元の初期状態に復帰し、これに応じて供給流路31を区画している両側の隔壁45が傾斜した状態から、互いに平行に近い初期状態まで戻る。これにより、供給流路31の流路断面積が、第1収縮断面積αから基準断面積μまで復帰(拡張)する。なお、連続する複数の周期Tにおいて供給流路31の流路断面積を第1収縮断面積αで維持する場合には、図11において破線で示される変形例の第1調整パルスPa1′が用いられる。すなわち、この第1調整パルスPa1′は、流路収縮要素p21及び収縮維持要素p22を有する一方で、流路復帰要素p23を有さず、収縮維持要素p22が周期Tの終端まで継続する構成となっている。そして、この後に続く周期Tでは、流路収縮要素p21の終端電位である流路収縮電位VH3で一定とされる。この流路収縮電位VH3が第2圧電素子28に継続して印加されている限り、供給流路31の流路断面積が第1収縮断面積αで維持される。
上記の調整駆動信号(副信号)は、第1圧電素子27に上記の噴射駆動信号DS1〜DS3又は非噴射駆動信号UDS1,UDS2が印加されるのに対応して、第2圧電素子28に印加される駆動信号である。以下、この調整駆動信号による供給流路31の流路断面積の調整について説明する。
図14は、第1実施形態における高DUTY時(供給不足条件が成立した場合)の記録動作の一例について説明する模式図であり、記録ヘッド6の走査(図中横方向)に応じたそれぞれの周期T(1)〜T(10)で各ノズル25についてインクの噴射動作が行われるか否かが「〇」又は「×」の何れかで表されている。すなわち、「〇」は該当するノズル25に対応する第1圧電素子27に噴射駆動信号が印加されることで噴射動作が行われることを示し、「×」は、該当するノズル25に対応する第1圧電素子27に非噴射駆動信号が印加されることで噴射動作が行われないことを示している。同図において縦方向がノズル列方向であり、図中左側には、ノズル列を構成する各ノズル25のノズル番号が対応して示されている。また、図中右側には、供給流路31の流路断面積の大きさが各ノズル25に対応して上記のα又はμの何れかで示されている。なお、図示の便宜上、ノズル列がノズル番号#1のノズル25からノズル番号#10のノズル25までの合計10個のノズル25から構成されており、このうち、当該ノズル列の端部に位置するノズル番号#1のノズル25とノズル番号#10のノズル25がそれぞれ非噴射ノズル25bとなっている。また、残りのノズル番号#2〜#9のノズル25が噴射用ノズル25aである。
ここで、本実施形態における非噴射用ノズル25bとは、記録動作(液体噴射動作)において恒常的にインクの噴射に使用されないノズルを意味する。また、噴射用ノズル25aとは、記録動作においてインクの噴射に使用されるノズルを意味する。この噴射用ノズル25aに関し、記録する内容(画像等)によっては所定の周期においてインクが噴射されない第2ノズルとなる場合もある。以下、このように一時的に噴射動作が行われない噴射用ノズル25aを適宜、休止ノズルという。さらに、ノズル列を構成するノズル25の数は、実際には、これよりも多くなっている。
本実施形態において、通常の記録動作(供給不足条件が成立していない場合)では、噴射用ノズル25aに対応する第1圧電素子27には噴射駆動信号の何れか(例えば、第1噴射駆動信号DS1)が印加され、非噴射用ノズル25bに対応する第1圧電素子27には非噴射駆動信号(本実施形態においては、第2非噴射駆動信号UDS2)が印加される。また、噴射用ノズル25aに対応する第2圧電素子28、及び、非噴射用ノズル25bに対応する第2圧電素子28には、いずれも基準調整駆動信号ADSbが印加される。これにより、これらのノズル25a,25bに対応する供給流路31は、基準断面積μに調整される。この場合、噴射用ノズル25aにおいてはインクの噴射に応じてリザーバー35側から供給流路31を通じて対応する圧力室30へのインクの供給が円滑に行われる。
しかしながら、上記供給不足条件が成立することによりリザーバー35へのインクの供給不足が生じた場合、非噴射用ノズル25bからリザーバー35側へインクと共に空気が引き込まれるおそれがある。本実施形態においては、上記DUTYが予め定められた閾値を超えた場合(例えば所定のパスにおいてDUTYが70〔%〕を超えた場合)に、上記供給不足条件が成立したと判定される。これに応じて、噴射用ノズル25aに対応する第2圧電素子28に印加される駆動信号は基準調整駆動信号ADSbに維持される(第2基準電位Vb2に維持される)一方、非噴射用ノズル25bに対応する第2圧電素子28に印加される駆動信号が基準調整駆動信号ADSbから第1調整駆動信号ADS1に切り替えられる。すなわち、第1調整駆動信号ADS1は、非噴射用ノズル25bに対応する第1圧電素子27への非噴射駆動信号(本実施形態においては、第2非噴射駆動信号UDS2)の印加に応じて第2圧電素子28に印加される。これにより、非噴射用ノズル25bに対応する供給流路31の流路断面積が、基準断面積μから第1収縮断面積αまで収縮される。これにより、非噴射用ノズル25bにおける供給流路31の流路抵抗が増加し、当該供給流路31をインク等が移動しにくくなる。このため、多数の噴射用ノズル25aから同時にインクが噴射されることにより、リザーバー35において上流側からのインクの供給不足が生じやすい状態となった場合においても、非噴射用ノズル25bから供給流路31を通じてリザーバー35側にインクが引き込まれ難くなり、その結果、当該非噴射用ノズル25bからインク流路内に空気が引き込まれることが抑制される。このように、リザーバー35へのインクの供給不足が生じやすいような状況であっても、インク流路内への空気の巻き込みを抑制しつつも、DUTYを下げたりリザーバー35における振動を収束させるための待機時間を別途設けたりする等のようなプリンター1の能力低下を招くような対処を要することなく噴射動作を行うことが可能となる。
なお、本実施形態において、第2圧電素子28は必ずしも全ノズル25に対応して設けられていなくてもよく、少なくとも非噴射用ノズル25bについて設けられていればよい。また、本実施形態において、第1圧電素子27と第2圧電素子28とが分離されて設けられていなくてもよい。この場合、第1圧電素子27が、本発明における第1駆動素子及び第2駆動素子を兼ねる構成とすることができる。すなわち、第1圧電素子27は、平面視において圧力室30と重なる位置から供給流路31に重なる位置までに一連に設けられ、当該第1圧電素子27が駆動することにより、圧力室30の容積を増減させ得ると共に供給流路31の流路断面積を増減させ得る構成とされる。そして、上記第1実施形態の記録動作の例において、通常の記録動作(供給不足条件が成立していない場合)では、非噴射用ノズル25bに対応する第1圧電素子27に非噴射駆動信号が印加される一方、上記DUTYが予め定められた閾値を超えた場合、非噴射用ノズル25bに対応する第1圧電素子27に第1調整駆動信号ADS1が単独で印加される。これにより、当該第1圧電素子27により、供給流路31の流路断面積が基準断面積μから第1収縮断面積αまで収縮される(この構成においては、第1基準電位Vb1と第2基準電位Vb2とが同電位であることが望ましい)。
図15は、第2実施形態における記録動作の一例について説明する模式図である。図中下側には、ノズル番号#5のノズル25(噴射用ノズル25a)に対応する供給流路31の流路断面積の大きさが上記のα又はμの何れかで示されている。本実施形態において、ノズル番号#1〜#10の各ノズル25は全て噴射用ノズル25aとされており、これらの全ての噴射用ノズル25aから連続してインクが噴射される。すなわち、上記の供給不足条件が成立した状態で記録動作が行われる。また、本実施形態においては、ノズル抜け検知部13により、記録動作中に各噴射用ノズル25aについてインクが正常に噴射されているか否かの検査が行われる。ノズル抜け検知部13は、インクの噴射時に第1圧電素子27が駆動された際の圧力室30内のインクに生じる振動に基づく当該第1圧電素子27の起電力信号(検知信号)を制御回路9に出力するように構成されている。制御回路9は、ノズル抜け検知部13から出力される起電力信号に基づき当該噴射用ノズル25aからのインクの噴射について異常の有無を判定する。噴射用ノズル25aからインクが噴射されないノズル抜けの場合や、噴射用ノズル25aからインクが噴射されるとしても正常な噴射用ノズル25aと比較してインクの量や飛翔速度(初速)が極端に低下している場合などの異常時には、上記の検出信号の周期成分や振幅成分が、予め取得されている正常時の振動周期(リファレンス振動周期)や振幅と比較して異なる。この起電力信号に基づく噴射異常の検知は周知であるため詳細な説明は省略するが、この検知方法によりインクの増粘や気泡による噴射異常(ノズル抜け)を検知することが可能である。なお、ノズル抜けの検知方法としては、例示した逆起電力によるものには限られず、例えば、噴射用ノズル25aから噴射されるインク滴を光学的に検知することによる方法等、周知の種々の方法を採用することができる。
そして、図15において矢印で示されるタイミングでノズル番号#5の噴射用ノズル25aに噴射異常が検知された場合、そのまま当該噴射用ノズル25aについて噴射駆動信号により噴射動作が続けて実行されると、第1圧電素子27の発熱等による不具合が生じる可能性がある。このため、噴射異常が検知されてから記録動作が終了するまで当該ノズル25の第1圧電素子27には第2非噴射駆動信号UDS2が継続して印加されて、第1圧電素子27は第1基準電位Vb1により初期状態に維持される。すなわち、当該噴射用ノズル25aは、噴射異常が検知される前までは第1ノズルに相当し、噴射異常が検知された以降は第2ノズルに相当する。また、このような噴射異常が検知された噴射用ノズル25aからインクと共に気泡が引き込まれるおそれがあるため、噴射異常が検知されてから記録動作が終了するまで当該噴射用ノズル25aの第2圧電素子28に印加される駆動信号が基準調整駆動信号ADSbから第1調整駆動信号ADS1に切り替えられる。これにより、供給流路31の流路断面積が基準断面積μから第1収縮断面積αまで収縮され、当該第1収縮断面積αが維持される。このため、インクの供給不足が生じやすい状態となった場合においても、噴射異常が検知されその後印刷動作が終了するまで噴射しない噴射用ノズル25aから供給流路31を通じてリザーバー35側にインクが引き込まれ難くなり、その結果、当該噴射用ノズル25aからインク流路内に空気が引き込まれることが抑制される。当該噴射用ノズル25aにおいてインクが増粘した場合においても、当該増粘したインクが供給流路31を通じてリザーバー35側に移動することが抑制される。その他の構成については第1実施形態と同様である。
図16は、第2実施形態における記録動作の変形例について説明する模式図(タイミングチャート)である。同図では周期T(1)〜T(8)において所定の噴射用ノズル25aの第1圧電素子27に印加される駆動信号の推移を上段に示し、当該噴射用ノズル25aの第2圧電素子28に印加される駆動信号の推移を下段に示されている。上記第2実施形態では、噴射異常が検知されない限り、全ての噴射用ノズル25aからインクが噴射される記録動作を例示したが、これには限られず、本変形例では、上記の供給不足条件が成立した状態での記録動作において例えば印刷データに対応して一部の周期において一部の噴射用ノズル25aでインクの噴射動作が行われない。図16に示される例では、周期T(1)からT(3)までは、当該噴射用ノズル25aに対応する第1圧電素子27には第1噴射駆動信号DS1が印加され、これに応じて第2圧電素子28には基準調整駆動信号ADSbが印加される。これにより、当該噴射用ノズル25aに対応する供給流路31は、基準断面積μに調整される。周期T(4)及びT(5)では、当該噴射用ノズル25aに対応する第1圧電素子27には第1非噴射駆動信号UDS1が印加されて、振動駆動パルスPvによって振動動作が行われる。これにより、休止ノズルである噴射用ノズル25a付近の増粘インクが撹拌されて、インクの増粘が抑制され、また、インクに含まれる顔料等の溶質の沈殿が抑制される。また、これに応じて第2圧電素子28には第1調整駆動信号ADS1が印加される。これにより、当該噴射用ノズル25aに対応する供給流路31は、第1調整パルスPa1により基準断面積μから第1収縮断面積αに調整(減少)される。このため、噴射動作が行われない周期においては、当該噴射用ノズル25aから空気が引き込まれることが抑制される。その後の周期T(6)では当該噴射用ノズル25aに対応する第1圧電素子27に噴射駆動信号が印加され、これに応じて第2圧電素子28には基準調整駆動信号ADSbが印加される。これにより、当該噴射用ノズル25aに対応する供給流路31は、第1収縮断面積αから基準断面積μに調整(拡張)される。このように、本実施形態においては、圧力室30の容積の調整にかかる第1圧電素子27(第1駆動素子)と、供給流路31の流路断面積の調整に係る第2圧電素子28(第2駆動素子)とをそれぞれ独立して駆動させることができるので、第1圧電素子27により上記の振動動作を行いつつ、第2圧電素子28により供給流路31の流路断面積を調整することが可能となる。
本変形例では、周期T(6)と次の単位周期(7)との間(図16において矢印で示されるタイミング)において、当該噴射用ノズル25aに噴射異常が検知される。これに応じて単位周期(7)以降、記録動作が終了するまで当該噴射用ノズル25aの第1圧電素子27には第2非噴射駆動信号UDS2が継続して印加されて、第1圧電素子27は第1基準電位Vb1によって初期状態に維持される。また、単位周期(7)では当該噴射用ノズル25aの第2圧電素子28には第1調整駆動信号ADS1の上記第1調整パルスPa1′が印加される。これにより、供給流路31の流路断面積が基準断面積μから第1収縮断面積αまで収縮される。噴射異常が検知された後においては、供給流路31の流路断面積については第1収縮断面積αから基準断面積μに戻す必要が無いので、周期T(8)以降においては、第1調整パルスPa1′の終端電位である流路収縮電位VH3が第2圧電素子28に継続して印加されることにより、供給流路31の流路断面積が第1収縮断面積αに維持される。これにより、噴射異常が検知された噴射用ノズル25aから供給流路31を通じてリザーバー35側にインクが引き込まれ難くなり、その結果、噴射異常が検出され噴射しない当該噴射用ノズル25aからインク流路内に空気が引き込まれることが抑制される。また、当該噴射用ノズル25aにおいてインクが増粘した場合においても、当該増粘したインクが供給流路31を通じてリザーバー35側に移動することが抑制される。その他の構成については第2実施形態と同様である。
図17は、第3実施形態における記録動作の一例について説明する模式図であり、周期T(1)〜T(10)でノズル番号#1〜#10の各ノズル25(何れも噴射用ノズル25a)を用いて記録媒体Sに例えばアルファベットの「H」のような画像を記録する例が示されている。図中下側には、ノズル番号#1〜#4、#7〜#10の噴射用ノズル25aに対応する供給流路31の流路断面積の大きさ、及び、ノズル番号#5、#6のノズル25に対応する供給流路31の流路断面積の大きさが、それぞれ上記のα又はμの何れかで示されている。図17に示される例では、周期T(1)からT(2)までは、各噴射用ノズル25aの第1圧電素子27には噴射駆動信号がそれぞれ印加され、これに応じて各噴射用ノズル25aの第2圧電素子28には基準調整駆動信号ADSbがそれぞれ印加される。これにより、各噴射用ノズル25aに対応する供給流路31は、基準断面積μにそれぞれ調整される。続く周期T(3)からT(8)において、ノズル番号#5及び#6の噴射用ノズル25aについては、引き続き噴射動作が行われる。すなわち、ノズル番号#5及び#6の噴射用ノズル25aの第1圧電素子27には噴射駆動信号がそれぞれ印加され、これに応じてノズル番号#5及び#6の噴射用ノズル25aの第2圧電素子28には基準調整駆動信号ADSbがそれぞれ印加される。これにより、ノズル番号#5及び#6の当該噴射用ノズル25aに対応する供給流路31は、基準断面積μに調整される。
一方、周期T(3)からT(8)において、ノズル番号#1〜#4及び#7〜#10の噴射用ノズル25aは、インクの噴射動作が行われない休止ノズルである。すなわち、休止ノズルに対応する第1圧電素子27には第1非噴射駆動信号UDS1が印加されて、振動駆動パルスPvによって振動動作が行われる。また、これに応じて休止ノズルに対応する第2圧電素子28には第1調整駆動信号ADS1が印加される。これにより、これらの休止ノズルに対応する供給流路31は、第1調整パルスPa1により基準断面積μから第1収縮断面積αに調整(減少)される。このため、噴射動作が行われない周期T(3)からT(8)においては、これらの休止ノズルから空気が引き込まれることが抑制される。その後の周期T(7)及びT(10)では各噴射用ノズル25aの第1圧電素子27には噴射駆動信号がそれぞれ印加され、これに応じて各噴射用ノズル25aの第2圧電素子28には基準調整駆動信号ADSbがそれぞれ印加される。これにより、各噴射用ノズル25aに対応する供給流路31は、基準断面積μに調整される。すなわち、ノズル番号#5及び#6の噴射用ノズル25aに対応する供給流路31は、基準断面積μで維持される。また、ノズル番号#1〜#4及び#7〜#10の噴射用ノズル25aに対応する供給流路31は、第1収縮断面積αから基準断面積μに拡張される。その他の構成については第1実施形態と同様である。
図18及び図19は、第4実施形態における第2圧電素子28の駆動について説明するノズル列方向における供給流路31近傍の断面図である。また、図20は、供給流路31の流路断面積を基準断面積μよりも増加させる第2調整駆動信号ADS2(本発明における第2副信号の一種)の一例を示す波形図である。この第2調整駆動信号ADS2は、周期T内に第2調整パルスPa2を含む駆動信号である。第2調整パルスPa2は、第2圧電素子28を駆動して供給流路31の流路断面積を基準断面積μよりも増加させ得る波形に設定された駆動パルスである。より具体的には、第2調整パルスPa2は、供給流路31の流路断面積を基準断面積μから当該基準断面積μよりも少し大きい第1拡張断面積(以下、第1拡張断面積β)まで拡張(増加)させる流路拡張要素p31、第1拡張断面積βを維持する拡張維持要素p32、及び第1拡張断面積βから基準断面積μまで復帰させる(減少させる)流路復帰要素p33から構成される。流路拡張要素p31は、第2基準電位Vb2から当該第2基準電位Vb2よりも低い流路拡張電位VL3まで一定の勾配で電位が変化する波形要素である。また、拡張維持要素p32は、流路拡張電位VL3を一定時間だけ維持する波形要素である。そして、流路復帰要素p33は、流路拡張電位VL3から第2基準電位Vb2まで一定の勾配で電位が変化する波形要素である。なお、連続する複数の周期Tにおいて供給流路31の流路断面積を第1拡張断面積βで維持する場合には、当該連続する周期Tの最初の周期で、図20において破線で示される変形例の第2調整パルスPa2′が用いられる。この第2調整パルスPa2′は、流路拡張要素p31及び拡張維持要素p32を有する一方で、流路復帰要素p33を有さず、拡張維持要素p32が周期Tの終端まで継続する構成となっている。そして、この後に続く周期Tでは、流路拡張要素p31の終端電位である流路拡張電位VL3で一定とされる。この流路拡張電位VL3が第2圧電素子28に継続して印加されている限り、供給流路31の流路断面積が第1拡張断面積βで維持される。
本実施形態においては、所定の供給流路31の流路断面積を変化させる際、第2圧電素子28及び隔壁45の変形に伴う記録ヘッド6全体の構造の歪みを抑制し、また、流路断面積が目標とする面積までより円滑に変形することが可能となるように構成されている。例えば、図18に示されるように、ノズル列方向に並設された供給流路31a〜31eに対応する第2圧電素子28a〜28eに基準調整駆動信号ADSbが印加されて、これらの供給流路31a〜31eが基準断面積μに調整された状態から、図19に示されるように、供給流路31a〜31eのうち中央に位置する供給流路31cに対応する第2圧電素子28cに第1調整駆動信号ADS1が印加されて、供給流路31cが基準断面積μから第1収縮断面積αとなるように減少される。このとき、この供給流路31cの両隣の供給流路31b及び31dにおいてそれぞれの第2圧電素子28b及び28dに基準調整駆動信号ADSbが継続して印加されて第2圧電素子28b及び28dの幅方向の中央部が供給流路31の内側(連通板21側)に少し撓んだ状態(図18に示される初期状態)が維持された場合、供給流路31cを減少させるべく供給流路31cの内側に撓もうとする第2圧電素子28cと、その両側の第2圧電素子28b及び28dとが、振動板29を介して互いに引っ張り合う形となる。その結果、供給流路31cが目標とする第1収縮断面積αまで減少できないおそれがある。また、これらの圧電素子28b〜28d間の引張応力により圧力室形成基板26に歪みが生じ、これにより記録ヘッド6に歪みが生じるおそれもある。この場合、各ノズル25から噴射されるインク滴の飛翔方向が曲がる等の不具合が生じる可能性がある。
本実施形態においては、図19に示されるように、供給流路31cに対応する第2圧電素子28cに第1調整駆動信号ADS1が印加されて、当該供給流路31cが基準断面積μから第1収縮断面積αに調整される際、その両隣の供給流路31b及び31dの第2圧電素子28b及び28dにそれぞれ上記の第2調整駆動信号ADS2が印加される。これにより、第2調整パルスPa2により第2圧電素子28b及び28dの幅方向の中央部が供給流路31の外側(連通板21から離れる側)に少し撓み、圧力室形成基板26の表面に対して平行に近い状態となる(厳密には、供給流路31の内側に若干撓んだ状態)。すなわち、第2圧電素子28b及び28dが、上記の初期状態のときと比較して左右(ノズル列方向)に少し広がる形となる。このときの供給流路31b及び31dの流路断面積は、基準断面積μから当該基準断面積μよりも少し大きい第1拡張断面積βとなる。この第2圧電素子28b及び28dの変位に応じて、供給流路31b及び31dを区画しているノズル列方向における両側の隔壁45の上端部が、図19において黒矢印で示されるように、それぞれ、隣の供給流路31側に押圧される。このため、供給流路31cを減少させるべく第2圧電素子28cが供給流路31cの内側に撓むことで当該供給流路31cの両側の隔壁45が供給流路31cの内側に向けて傾斜しやすくなる。その結果、供給流路31cが目標とする第1収縮断面積αまで問題なく調整することができる。また、これらの圧電素子28b〜28d間で引張応力が生じることが抑制されるので、第2圧電素子28及び隔壁45の変形に伴う記録ヘッド6全体の構造の歪みが抑制される。その結果、構造の歪みに起因するインク滴の飛翔曲がり等の不具合が低減される。なお、他の構成については、第1実施形態と同様である。
図21は、第5実施形態における高DUTY時(供給不足条件が成立した場合)の記録動作の一例について説明する模式図であり、周期T(1)〜T(20)において全ての噴射用ノズル25aからインクが噴射されて記録媒体Sの所定の領域をインクで塗りつぶす所謂ベタ印刷の記録画像の濃度の変化を示すグラフである。同図において横軸が時間(周期T)を示し、縦軸が濃度を示している。なお、このグラフは、供給流路31の流路断面積が基準断面積μで一定である場合の濃度変化を示している。同グラフの下側には、各周期T(1)〜T(20)において濃度変化に応じて調整される供給流路31の流路断面積の大きさが示されている。また、図22は、供給流路31の流路断面積を基準断面積μよりも小さく第1収縮断面積αよりも大きい第2収縮断面積γに調整する第3調整駆動信号ADS3(本発明における第1副信号の一種)の一例を示す波形図である。さらに、図23は、供給流路31の流路断面積を基準断面積μ及び第1拡張断面積βよりも大きい第2拡張断面積σに調整する第4調整駆動信号ADS4(本発明における第2副信号の一種)の一例を示す波形図である。
第3調整駆動信号ADS3は、周期T内に第3調整パルスPa3を含む駆動信号である。第3調整パルスPa3は、第2圧電素子28を駆動して供給流路31の流路断面積を基準断面積よりも少し減少させ得る波形に設定された駆動パルスである。より具体的には、第3調整パルスPa3は、供給流路31の流路断面積を基準断面積μから、当該基準断面積μよりも小さく且つ第1収縮断面積αよりも大きい第2収縮断面積γまで減少させる流路収縮要素p41、第2収縮断面積γを維持する収縮維持要素p42、及び第2収縮断面積γから基準断面積μまで復帰させる(増加させる)流路復帰要素p43から構成される。流路収縮要素p41は、第2基準電位Vb2から当該第2基準電位Vb2よりも高く且つ流路収縮電位VH3よりも低い流路収縮電位VH4まで一定の勾配で電位が変化する波形要素である。また、収縮維持要素p42は、流路収縮電位VH4を一定時間だけ維持する波形要素である。そして、流路復帰要素p43は、流路収縮電位VH4から第2基準電位Vb2まで一定の勾配で電位が変化する波形要素である。なお、連続する複数の周期Tにおいて供給流路31の流路断面積を第2収縮断面積γで維持する場合には、当該連続する周期Tの最初の周期で、図22において破線で示される変形例の第3調整パルスPa3′が用いられる。すなわち、この第3調整パルスPa3′は、流路収縮要素p41及び収縮維持要素p42を有する一方で、流路復帰要素p43を有さず、収縮維持要素p42が周期Tの終端まで継続する構成となっている。そして、この後に続く周期Tでは、流路収縮要素p41の終端電位である流路収縮電位VH4で一定とされる。この流路収縮電位VH4が第2圧電素子28に継続して印加されている限り、供給流路31の流路断面積が第2収縮断面積γで維持される。
第4調整駆動信号ADS4は、周期T内に第4調整パルスPa4を含む駆動信号である。第4調整パルスPa4は、第2圧電素子28を駆動して供給流路31の流路断面積を基準断面積μよりも増加させ得る波形に設定された駆動パルスである。より具体的には、第4調整パルスPa4は、供給流路31の流路断面積を基準断面積μから当該基準断面積μ及び第1拡張断面積βよりも大きい第2拡張断面積(以下、第2拡張断面積δ)まで拡張させる流路拡張要素p51、第2拡張断面積δを維持する拡張維持要素p52、及び第2拡張断面積δから基準断面積μまで復帰させる(減少させる)流路復帰要素p53から構成される。流路拡張要素p51は、第2基準電位Vb2から当該第2基準電位Vb2及び流路拡張電位VL3よりも低い流路拡張電位VL4まで一定の勾配で電位が変化する波形要素である。また、拡張維持要素p52は、流路拡張電位VL4を一定時間だけ維持する波形要素である。そして、流路復帰要素p53は、流路拡張電位VL4から第2基準電位Vb2まで一定の勾配で電位が変化する波形要素である。なお、連続する複数の周期Tにおいて供給流路31の流路断面積を第2拡張断面積δで維持する場合には、当該連続する周期Tの最初の周期で、図23において破線で示される第4調整パルスPa4′変形例の第4調整パルスPa4′が用いられる。すなわち、この第4調整パルスPa4′は、流路拡張要素p51及び拡張維持要素p52を有する一方で、流路復帰要素p53を有さず、拡張維持要素p52が周期Tの終端まで継続する構成となっている。そして、この後に続く周期Tでは、流路拡張要素p51の終端電位である流路拡張電位VL4で一定とされる。この流路拡張電位VL4が第2圧電素子28に継続して印加されている限り、供給流路31の流路断面積が第2拡張断面積δで維持される。流路拡張電位VL4が第2圧電素子28に継続して印加されている限り、供給流路31の流路断面積が第2拡張断面積δで維持される。
上記のベタ印刷のように高DUTYの駆動(記録動作)が行われると、特に記録動作の開始直後の初期の段階ではコンプライアンスシート39が振動することによりリザーバー35内のインクの圧力が増減し、これにより、リザーバー35から圧力室30へのインクの供給圧が不安定となりやすい。これに応じて、図21に示されるように、記録画像の濃度も変化(増減)する。すなわち、記録画像の濃度にムラが生じる。本実施形態においては、このような記録画像の濃度変化を抑制するため、高DUTYの駆動時のリザーバー35内のインクの圧力変化(あるいは、濃度変化)に応じて、各噴射用ノズル25aの供給流路31を増減させるように構成されている。DUTYに応じたリザーバー35内のインクの圧力変化についてのデータは、予め試験等により取得される。この圧力変化と記録画像の濃度変化とは相関があるため、何れか一方について設計上の目標値からの変化の大きさについて複数の閾値が設定される。本実施形態においては、図21に示されるように、濃度についての目標値Cに対して上下に一定間隔で閾値が設定されている。すなわち、目標値Cよりも濃くなる側に順にC+1及びC+2が設定され、目標値Cよりも薄くなる側に順にC−1、C−2、及びC−3がそれぞれ設定されている。そして、周期T(1)〜T(20)における閾値に応じた流路断面積に調整することで、リザーバー35内のインクの圧力変化による記録画像の濃度変化が抑制されるように構成されている。すなわち、本実施形態において噴射用ノズル25aから噴射されるインクの量に関する指標であるDUTYが予め定められた閾値以上となった場合に、予め定められた順序で各噴射用ノズル25aに対応する第2圧電素子28に、第1副信号(本実施形態においては第1調整駆動信号ADS1及び第3調整駆動信号ADS3)及び第2副信号(本実施形態においては第2調整駆動信号ADS2及び第4調整駆動信号ADS4)が順次供給されることで、リザーバー35内のインクの圧力変化に応じた流路断面積に調整される。これにより、噴射用ノズル25aから噴射されるインクの噴射特性がばらつくことが抑制される。なお、リザーバー35内のインクの圧力変化(記録画像の濃度変化)と、濃度を目標値Cに調整するための供給流路31の流路断面積との関係についても、予め実験等に基づいて定められている。具体的には、以下のように、供給流路31の流路断面積が調整される。
図21に示されるように、記録動作が開始された直後では、リザーバー35側から供給流路31を通じて圧力室30側にインクが供給されやすいため濃度が濃くなりやすい。基準断面積μのままでは濃度の閾値がC+1を超えた周期T(1)では、各噴射用ノズル25aの第2圧電素子28に第1調整駆動信号ADS1が印加されることにより、供給流路31の流路断面積が基準断面積μから第2収縮断面積γに調整される。これにより、リザーバー35から供給流路31を通じて圧力室30にインクが過剰に供給されることが抑制されるので、記録画像の濃度が目標値Cよりも濃くなることが低減される。その後、リザーバー35内のインクの圧力変化に応じて濃度が次第に低下する。続く周期T(2)では、基準断面積μのままでも濃度が目標値Cを挟んだ閾値C−1から閾値C+1の間の許容範囲であったため、各噴射用ノズル25aの第2圧電素子28には基準調整駆動信号ADSbが印加されて、供給流路31が基準断面積μに調整される。記録画像の濃度が目標値Cに近い濃度となる。その次の周期T(3)では、リザーバー35から圧力室30へのインクの供給が低下して基準断面積μのままでは濃度が許容範囲を超えて閾値C−1からC−2の間となるため、各噴射用ノズル25aの第2圧電素子28に第2調整駆動信号ADS2が印加されることにより、供給流路31の流路断面積が基準断面積μから少し大きい第1拡張断面積βに調整される。これにより、リザーバー35から供給流路31を通じて圧力室30にインクが供給されやすくなり、記録画像の濃度が目標値Cよりも薄くなることが低減される。
その後に続く周期T(4)からT(7)までは、リザーバー35内のインクの圧力がさらに低下して、リザーバー35側から圧力室30へのインクの供給不足が生じ、これにより基準断面積μのままでは濃度が閾値C−2を超える。これらの周期T(4)からT(7)の間は、各噴射用ノズル25aの第2圧電素子28に第4調整駆動信号ADS4が印加されることにより、供給流路31の流路断面積が第1拡張断面積βよりもさらに大きい第2拡張断面積δに調整される。このように複数の周期に亘って流路断面積が同じ大きさに調整される場合、周期T(4)において、上記第4調整パルスPa4′により供給流路31の流路断面積が第2拡張断面積δに調整された後、続く周期T(5)からT(7)では、流路拡張電位VL4が第2圧電素子28に継続して印加されて、供給流路31の流路断面積が第2拡張断面積δで維持される。これにより、リザーバー35から供給流路31を通じて圧力室30にインクがより供給されやすくなり、記録画像の濃度が目標値Cよりも薄くなることが低減される。
本実施形態においては、リザーバー35内のインクの圧力は、周期T(5)と周期T(6)の間で極小となり、これに応じて記録画像の濃度も最も低くなる。その後、リザーバー35内のインクの圧力は増加に転じる。そして、周期T(8)では、基準断面積μのままでは濃度が閾値C−1からC−2の間となる。この周期T(8)では、各噴射用ノズル25aの第2圧電素子28に第2調整駆動信号ADS2が印加されることにより、供給流路31の流路断面積が第1拡張断面積βに調整される。これにより、記録画像の濃度が目標値Cよりも薄くなることが低減される。そして、周期T(9)以降では、リザーバー35内のインクの圧力変化が次第に収まっていくため、基準断面積μのままでも濃度が閾値C−1からC+1の間の許容範囲となるため、各噴射用ノズル25aの第2圧電素子28には基準調整駆動信号ADSbが印加されて、供給流路31が基準断面積μに調整される。記録画像の濃度が目標値Cに近い濃度となる。高DUTYの駆動時のリザーバー35内のインクの圧力変化(あるいは、濃度変化)に応じて、各噴射用ノズル25aに対応する供給流路31の流路断面積が調整されることで、噴射用ノズル25aから噴射されるインクの噴射特性(液量や飛翔速度)がばらつくことが抑制される。その結果、リザーバー35内のインクの圧力変化による記録画像の濃度変化(濃度ムラ)が抑制される。
なお、以上においては、供給流路31の流路断面積の大きさについてはα〜δ(基準断面積μを除く)の4つ、及び、これらに対応する調整駆動信号ADS1〜ADS4の4つを例示したが、これには限られず、供給流路31の流路断面積の大きさ及び対応する調整駆動信号についてより多く(より細かく)設定することも可能である。
そして、上記の第1実施形態から第3実施形態では、非噴射用ノズル25b又は休止ノズルである噴射用ノズル25aの第2圧電素子28に対して第1調整駆動信号ADS1が印加されることにより、対応する供給流路31が第1収縮断面積αに調整される構成を例示したが、例えば、DUTYに応じて段階的に異なる流路断面積に調整する構成を採用することも可能である。例えば、DUTYが70%以上80%未満の場合、第3調整駆動信号ADS3により供給流路31が第2収縮断面積γに調整され、DUTYが80%以上85%未満の場合、第1調整駆動信号ADS1により供給流路31が第1収縮断面積αに調整され、DUTYが85%以上の場合、供給流路31が第1収縮断面積αよりもさらに小さい断面積に調整されるように構成することもできる。
なお、上記各実施形態においては駆動素子として、所謂撓み振動型の圧電素子27,28を例示したが、これには限られず、例えば、所謂縦振動型の圧電素子を採用することも可能である。この場合、例示した各駆動パルスに関し、電位の変化方向、つまり上下(極性)が反転した波形となる。さらに、圧力室の容積を変化させるための第1駆動素子としては、圧電素子に限られず、発熱素子や静電アクチュエーター等の他の駆動素子を採用することも可能である。
そして、以上では、液体噴射装置の一種であるインクジェット式記録装置(プリンター1)を例に挙げて説明したが、本発明は、他の液体噴射装置にも適用することができる。例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド、バイオチップ(生物化学素子)の製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等を複数備える液体噴射ヘッド、及び、これを備える液体噴射装置にも本発明を適用することができる。
1…プリンター,2…プリントエンジン,3…紙送り機構,4…キャリッジ移動機構,5…リニアエンコーダー,6…記録ヘッド,7…プリンターコントローラー,9…制御回路,10…駆動信号発生回路,12…ヘッドコントローラー,13…ノズル抜け検知部,16…キャリッジ,17…インクカートリッジ,18…ガイドロッド,20…ノズルプレート,21…連通板,22…アクチュエーター基板,23…コンプライアンス基板,24…ホルダー,25…ノズル,26…圧力室形成基板,27…第1圧電素子,28…第2圧電素子,29…振動板,30…圧力室,31…供給流路,32…空部,33…空部,34…ノズル連通口,35…リザーバー,36…壁,37…個別連通口,39…コンプライアンスシート,40…支持板,41…コンプライアンス開口,42…収容空部,43…液室空部,45…隔壁
Claims (6)
- 複数のノズルと、
各ノズルにそれぞれ対応して複数設けられた圧力室と、
各圧力室に共通に設けられ、各圧力室へ供給する液体が導入される共通液室と、
前記共通液室と各圧力室とをそれぞれ連通させる複数の供給流路と、
各圧力室に対応して複数設けられ、対応する圧力室の容積及び当該圧力室に対応する供給流路の流路断面積を変化させ得る駆動素子と、
前記駆動素子を駆動する駆動信号を発生させる駆動信号発生回路と、
を備える液体噴射装置であって、
前記駆動信号発生回路は、前記圧力室の容積変化に係る主信号と、前記供給流路の流路断面積の調整に係る副信号と、を発生し、
前記複数のノズルは、液体が噴射される第1ノズルと、液体が噴射されない第2ノズルと、を有し、
前記副信号は、少なくとも前記第2ノズルに対応する前記駆動素子に印加されて当該第2ノズルに対応する前記供給流路の流路断面積を減少させる第1副信号を有することを特徴とする液体噴射装置。 - 前記駆動素子は、前記圧力室の容積の調整に係る第1駆動素子と、前記供給流路の流路断面積の調整に係る第2駆動素子とを備え、
前記主信号は、前記第1駆動素子に印加される駆動信号であり、
前記副信号は、前記第2駆動素子に印加される駆動信号であることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。 - 前記副信号は、前記供給流路の流路断面積を増加させる第2副信号を有し、
前記第1ノズルから噴射される液体の量に関する指標が予め定められた閾値以上となった場合に、予め定められた順序で当該第1ノズルに対応する前記第2駆動素子に前記第1副信号及び前記第2副信号が順次印加されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体噴射装置。 - 前記複数のノズルについて液体が正常に噴射されない噴射異常の発生を検知する検知部を備え、
前記検知部により噴射異常が検知された前記ノズルに対応する前記第2の駆動素子に前記第1副信号が印加されることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の液体噴射装置。 - 前記主信号は、前記第1ノズルに対応する前記駆動素子に印加される第1主信号と、前記第2ノズルに対応する前記駆動素子に印加される第2主信号と、を有することを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の液体噴射装置。
- 複数のノズルと、各ノズルにそれぞれ対応して複数設けられた圧力室と、各圧力室に供給する液体が導入される共通液室と、前記共通液室と各圧力室とをそれぞれ連通させる複数の供給流路と、各圧力室に対応して複数設けられ、対応する圧力室の容積及び当該圧力室に対応する供給流路の流路断面積を変化させ得る駆動素子と、前記駆動素子を駆動する駆動信号を発生させる駆動信号発生回路と、を備える液体噴射装置の制御方法であって、
液体を噴射する第1ノズル、及び、液体を噴射しない第2ノズルのうち、少なくとも前記第2ノズルに対応する前記駆動素子に第1副信号を印加して当該第2ノズルに対応する前記供給流路の流路断面積を減少させることを特徴とする液体噴射装置の制御方法。
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JP2017138796A JP2019018453A (ja) | 2017-07-18 | 2017-07-18 | 液体噴射装置、及び、液体噴射装置の制御方法 |
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JP2017138796A JP2019018453A (ja) | 2017-07-18 | 2017-07-18 | 液体噴射装置、及び、液体噴射装置の制御方法 |
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Family Applications (1)
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JP2017138796A Pending JP2019018453A (ja) | 2017-07-18 | 2017-07-18 | 液体噴射装置、及び、液体噴射装置の制御方法 |
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2017
- 2017-07-18 JP JP2017138796A patent/JP2019018453A/ja active Pending
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