以下に、本発明の実施の形態にかかる充放電制御装置、蓄電制御システム、および充放電制御方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる蓄電制御システムを含む電気鉄道システムの構成例を示す図である。電気鉄道システム100は、複数の変電所21,22と、第1の電力線の一例である電力線3と、レール4と、列車5と、駅負荷6と、変圧器7と、蓄電制御システム10とを含む。なお、電力線3は、直流架線である。
各変電所21,22は、管轄する変電所区間内を走行する列車5に対して、推進力となるための力行電力を供給する。具体的には、各変電所21,22は、変圧器12および整流器13を有しており、変圧器12および整流器13を介して電力線3に直流電力を供給することで、列車5へ力行電力を供給する。列車5が走行するレール4は、電気的なグランドであり、レール4の電位は接地電位である。
列車5は、電力線3を介して供給される直流電力を力行電力として走行する。以下においては、各変電所21,22から供給される直流電力は、1500V系の直流電力であるものとして説明するが、1500V系以外の直流電力であってもよい。
変電所21と変電所22との間の変電所区間には、列車5が停止する不図示の駅が存在している。かかる駅には、交流電力系統9から供給された高圧の交流電力を低圧の交流電力へ変換する変圧器7が設けられる。かかる変圧器7は、駅に設けられた駅舎80内の電気室に配置されており、例えば、6600V系の交流電力を210V系の交流電力へ変換することができる。
また、駅舎80には、変圧器7によって変換された低圧の交流電力が第2の電力線の一例である電力線11を介して供給される駅負荷6が設けられている。かかる駅負荷6には、電気設備81〜8nが含まれる。「n」は、2以上の整数である。電気設備81〜8nは、駅舎80内の空調装置、照明装置、および昇降機といった電気設備である。なお、電気設備81〜8nのうち1以上の電気設備は、駅舎80外に配置された電気設備であってもよい。
蓄電制御システム10は、電力線3と蓄電池30との間の電力変換、および蓄電池30と電力線11との間の電力変換を行う電力変換装置20と、回生電力が蓄積される蓄電池30と、電力変換装置20を制御する充放電制御装置40とを備える。なお、蓄電制御システム10には、電力線3と蓄電池30との間に不図示の電流遮断器が設けられている。充放電制御装置40は、不図示の電流遮断器を制御して、電力線3と蓄電池30との間の接続および切断を行うことができる。
電力変換装置20は、電力線3およびレール4に電気的に接続され、電力線3から供給される直流電力を、蓄電池30へ供給するための電圧の直流電力へ変換し、変換した直流電力を蓄電池30へ供給することができる。また、電力変換装置20は、電力線11に電気的に接続され、蓄電池30に蓄積された直流電力を交流電力へ変換し、変換した交流電力を駅負荷6へ電力線11を介して供給することができる。
蓄電池30は、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、およびニッケルカドミウム電池などの二次電池である。かかる蓄電池30は、電力変換装置20に接続されており、電力変換装置20から供給される直流電力を蓄積したり、蓄積している直流電力を電力変換装置20へ供給したりすることができる。
充放電制御装置40は、第1の期間T1において、蓄電池30の充放電処理を行い、第2の期間T2において、蓄電池30の充放電処理を休止する。図2は、第1の期間T1および第2の期間T2における充放電制御装置40による蓄電池30の充放電の状態を示す図であり、図3は、図2に示す蓄電池30の充放電の状態のうち第1の期間T1における状態の一部を拡大した図である。
充放電制御装置40は、電力変換装置20を制御して、図3に示すように、第1の期間T1において、蓄電池30の充電を行う充電処理と、蓄電池30の放電を行う放電処理とを行う。充放電制御装置40は、時刻t0から現時刻t1までの時間Taにおいて蓄電池30に充電される電力の量が充電量Pc以内になるように蓄電池30の充電処理を行い、時刻t0から現時刻t1までの時間Taにおいて蓄電池30から放電される電力の量が放電量Pd以内になるように蓄電池30の放電処理を行う。
このように、充放電制御装置40は、直近の時間Taにおいて蓄電池30に充電される電力の量が充電量Pc以内になり、直近の時間Taにおいて蓄電池30から放電される電力の量が放電量Pd以内になるように、蓄電池30の充放電処理を行う。なお、時間Taは予め設定された時間であり、例えば、180秒であるが、180秒に限定されない。
充放電制御装置40は、列車5の回生ブレーキによって発生した回生電力のうち余剰回生電力を蓄電池30に充電することで上述した充電処理を行う。余剰回生電力は、列車5の回生ブレーキによって発生した回生電力のうち他の列車の力行電力として消費されなかった電力、すなわち回生電力が力行電力を上回った分の回生電力である。
また、充放電制御装置40は、蓄電池30から電力線11を介して駅負荷6へ放電を行って、蓄電池30に蓄積された電力を電力線11経由で駅負荷6へ供給することで上述した放電処理を行う。このように、充放電制御装置40は、余剰回生電力を蓄電池30へ充電する充電処理と、蓄電池30に蓄積された余剰回生電力を放電する放電処理とを行うことで、余剰回生電力を有効に活用している。
また、充放電制御装置40は、蓄電池30の充放電を休止する第2の期間T2における蓄電池30の電圧Vbの値を示す電池電圧値Vbを取得する。第2の期間T2では、蓄電池30の充放電が終了して時間が経過すると蓄電池30の分極が解消するため、電池電圧値Vbは蓄電池30のOCV(Open Circuit Voltage)の値と見なすことができる。OCVは、開放回路電圧とも呼ばれる。
蓄電池30では、OCVが高い状態が続いた場合、蓄電池30の内部抵抗が高くなるなどの蓄電池30の劣化が促進されてしまう可能性がある。また、蓄電池30のSOC(State Of Charge)が低すぎたり高すぎたりする状態が続くと、SOCを中間レベルに維持した場合に比べて、蓄電池30の劣化が促進されてしまう可能性がある。SOCは、充電率とも呼ばれる。SOCの値は、OCVの値と一義的な関係があり、OCV−SOC特性を示す演算式またはテーブルに基づいて、OCVの値からSOCの値を求めることができる。
第1の期間T1では、蓄電池30の充放電が行われるため、電池電圧値VbからOCVの値を直接検出することが難しく、SOCの値を検出することも難しい。特別な演算アルゴリズムを実装することでOCVの値およびSOCの値を検出することができるが、低コストのシステムでは特別な演算アルゴリズムを実装できないことが多い。そのため、充放電制御装置40は、充放電の休止中である第2の期間T2における電池電圧値Vbを取得するようにしており、第1の期間T1における蓄電池30の電池電圧値Vbを取得する場合に比べ、精度がよいOCVの値を容易に取得することができる。
充放電制御装置40は、第2の期間T2において取得した電池電圧値Vbに基づいて、次の第1の期間T1における蓄電池30の放電量Pdを調整し、調整した放電量Pdに基づいて、第1の期間T1において、蓄電池30の充電と放電を繰り返し行う。
具体的には、充放電制御装置40は、電池電圧値Vbが第1の閾値Vth1よりも大きい場合、蓄電池30の放電量Pdを大きくし、電池電圧値Vbが第2の閾値Vth2よりも小さい場合、蓄電池30の放電量Pdを小さくする。第2の閾値Vth2は、第1の閾値Vth1より小さい値である。
図4は、蓄電池30のOCVとSOCとの関係の一例を示す図である。図4において、縦軸は、OCVの値を示し、横軸は、SOCの値を示す。第1の閾値Vth1および第2の閾値Vth2は、蓄電池30の電池電圧値Vbが図4に示す電圧範囲Rv内になるように設定される。
電圧範囲Rvは、蓄電池30の劣化が抑制される蓄電池30の電圧範囲であり、上限値Vmaxから下限値Vminまでの範囲である。電圧範囲Rvは、蓄電池30の劣化が抑制されるSOCの範囲である中間レベル範囲Rsに対応している。中間レベル範囲Rsは、上限値Sth1から下限値Sth2までの範囲である。
蓄電池30は、N個の電池セルが直列接続されて構成されており、各電池セルは、例えば、定格電圧が3.6Vである。「N」は例えば96であるであるが、「N」は96に限定されない。ここで、各電池セルにおいて劣化が抑制される電圧が3.2V〜3.8Vの範囲であるとし、N=96とすると、Vmax=3.8×96=364.8であり、Vmin=3.2×96=307.2である。
閾値Vth1および第2の閾値Vth2は、例えば、蓄電池30のSOCの値が中間レベル範囲Rs内に維持されるように設定される。なお、第1の閾値Vth1および第2の閾値Vth2は、電圧範囲Rv内であれば任意に設定することができる。例えば、Vth1=VmaxとしVth2=Vminとすることもできる。また、上述した例では、劣化が抑制される電圧が3.2V〜3.8Vの電池セルによって蓄電池30が構成される例を説明したが、蓄電池30を構成する電池セルは、例えば、劣化が抑制される電圧が2.7V〜4.2Vの電池セルまたはそれ以外の範囲を有する電池セルであってもよい。
上述したように、充放電制御装置40は、第2の期間T2における電池電圧値Vbに基づいて、次の第1の期間T1における蓄電池30の放電量の調整を行う。これにより、蓄電池30の電圧Vbが電圧範囲Rv内に維持される可能性を高めることができ、蓄電池30の劣化を抑制することができる。
以下、蓄電制御システム10の構成および処理について、さらに詳細に説明する。図5は、実施の形態1にかかる蓄電制御システム10の構成例を示す図である。
蓄電制御システム10は、上述したように、電力変換装置20、蓄電池30、および充放電制御装置40を備える。また、蓄電制御システム10は、電力線3の電圧Vssからリップル成分が除去された電圧の値である電力線電圧値Vssを検出する電圧検出部60と、蓄電池30の電圧Vbの瞬時値である電池電圧値Vbを検出する電圧検出部61と、蓄電池30に入出力される電流Ibの瞬時値である電池電流値Ibを検出する電流検出部62とを備える。なお、電流Ibのうち蓄電池30に入力される電流が充電電流Icであり、電流Ibのうち蓄電池30から出力される電流が放電電流Idである。
電力変換装置20は、電力線3と蓄電池30との間で電力変換を行う第1の電力変換部21と、蓄電池30と電力線11との間で電力変換を行う第2の電力変換部22とを備える。第1の電力変換部21は、電力線3から供給される高圧の直流電力を蓄電池30へ供給するため低圧の直流電力へ変換し、変換した低圧の直流電力を蓄電池30へ供給する。第2の電力変換部22は、蓄電池30から供給される直流電力を電力線11へ出力するための交流電力へ変換し、変換した交流電力を駅負荷6に電力線11を介して供給する。
図6は、電力変換装置20の構成例を示す図である。図6に示す電力変換装置20は、DC(Direct Current)−DCコンバータ23,24およびインバータ25を備える。DC−DCコンバータ23,24が第1の電力変換部21を構成し、DC−DCコンバータ24およびインバータ25が第2の電力変換部22を構成する。すなわち、図6に示す電力変換装置20は、第1の電力変換部21と第2の電力変換部22とでDC−DCコンバータ24を共用した構成である。
DC−DCコンバータ23は、電力線3から供給される直流電力を低い電圧の直流電力へ変換する。例えば、DC−DCコンバータ23は、1500V系の直流電力を750V系の直流電力へ変換する。DC−DCコンバータ24は、DC−DCコンバータ23から供給される直流電力を蓄電池30へ供給するため直流電力へ変換し、変換した直流電力を蓄電池30へ供給する。なお、蓄電池30が単セルの定格電圧が3.6Vの電池セルを96個直列接続した構成である場合、蓄電池30は、定格電圧が304Vの蓄電池である。
DC−DCコンバータ24は、双方向のDC−DCコンバータであり、蓄電池30から供給される直流電力を750V系の直流電力へ変換することができる。インバータ25は、DC−DCコンバータ24によって変換された直流電力を交流電力へ変換し、変換した交流電力を電力線11へ出力する。
なお、電力変換装置20は、図6に示す構成に限定されず、第1の電力変換部21と第2の電力変換部22とでDC−DCコンバータ24を共用しない構成であってもよい。例えば、DC−DCコンバータ23を直接蓄電池30に接続し、DC−DCコンバータ23が、電力線3から供給される直流電力を蓄電池30へ供給するため直流電力へ変換し、変換した直流電力を蓄電池30へ供給する構成であってもよい。
充放電制御装置40は、電力変換装置20を制御することによって蓄電池30の充放電を制御する制御部41と、制御部41によって用いられる充電量Pcおよび放電量Pdの情報を記憶する記憶部42とを備える。
なお、充電量Pcの初期値と放電量Pdの初期値とは同じ値に設定されるが、充電量Pcの初期値を放電量Pdの初期値と異なる値に設定してもよい。なお、充電量Pcは、例えば、上述した中間レベル範囲Rsの下限値Sth2の状態の蓄電池30を中間レベル範囲Rsの上限値Sth1を超えない状態にする電力量に設定されるが、かかる例に限定されない。例えば、充電量Pcは、中間レベル範囲Rsの下限値Sth2の状態の蓄電池30を満充電の状態にする電力量に設定されてもよい。
制御部41は、電圧検出部60から電力線電圧値Vssを取得する電圧値取得部50と、蓄電池30の充放電を制御する充放電制御部51と、電圧検出部61から電池電圧値Vbを取得する電圧値取得部52と、電流検出部62から電池電流値Ibを取得する電流値取得部53と、電池電圧値Vbに基づいて、放電量Pdを調整する調整部54とを備える。
充放電制御部51は、記憶部42に記憶された充電量Pcの情報に基づき、第1の電力変換部21を制御して蓄電池30の充電を制御する充電制御部55と、記憶部42に記憶された放電量Pdの情報に基づき、第2の電力変換部22を制御して蓄電池30の放電を制御する放電制御部56とを備える。
充放電制御部51は、図2に示すように、第1の期間T1において、蓄電池30の充放電を制御し、第2の期間T2において、蓄電池30の充放電を休止する。第1の期間T1は、列車5が運行して回生電力が発生する期間であり、第2の期間T2は、列車5が運行しないため回生電力が発生しない期間である。
以下においては、午前5時から午前1時までの20時間を第1の期間T1とし、午前1時から午前5時までの4時間を第2の期間T2とするが、第1の期間T1および第2の期間T2は、列車5の運行状態にあわせて変更可能である。
図3に示すように、充放電制御部51は、第1の期間T1において、かかる充電処理と放電処理とを行う。充放電制御部51は、蓄電池30に充電される電力の量が直近の時間Taにおいて充電量Pc以内になるように電力変換装置20を制御して蓄電池30の充電処理を行う。
具体的には、充放電制御部51は、予め設定された時間Ta分の移動平均の充電量である移動平均充電量Pcavを算出する。移動平均充電量Pcavは、時間Ta前から現在までの期間である直近の時間Taにおいて蓄電池30に充電された電力の量を単位時間で平均化した値である。充放電制御部51は、Pcav≧Pc/Taである場合、蓄電池30の充電処理を停止する。
また、充放電制御部51は、蓄電池30に放電される電力の量が直近の時間Taにおいて放電量Pd以内になるように電力変換装置20を制御して蓄電池30の放電処理を行う。具体的には、充放電制御部51は、予め設定された時間Ta分の移動平均の放電量である移動平均放電量Pdavを算出する。移動平均放電量Pdavは、時間Ta前から現在までの期間である直近の時間Taにおいて蓄電池30から放電された電力の量を単位時間で平均化した値である。充放電制御部51は、Pdav≧Pd/Taである場合、蓄電池30の放電処理を停止する。
なお、充放電制御部51における充電処理および放電処理は上述した処理に限定されない。例えば、充放電制御部51は、蓄電池30へ充電される電力の量が充電量Pcになるまで充電処理を継続して行い、その後、蓄電池30から放電される電力の量が放電量Pdになるまで放電処理を継続して行うこともできる。このように、充放電制御部51は、蓄電池30へ充電される電力の量を充電量Pcにする充電処理と、蓄電池30から放電される電力の量を放電量Pdにする放電処理とを交互に繰り返し行うこともできる。
充放電制御部51は、電圧値取得部52によって取得された電池電圧値Vbと電流値取得部53によって取得された電池電流値Ibとに基づいて、蓄電池30へ充電される電力の量および蓄電池30から放電される電力の量を検出することができる。例えば、充放電制御部51は、電池電圧値Vbと電池電流値Ibとを乗算した結果を積算することで、蓄電池30へ充電される電力の量および蓄電池30から放電される電力の量を検出することができる。
充放電制御部51の充電制御部55は、電圧値取得部50から取得された電力線電圧値Vssが閾値Vt1以上になった場合に、蓄電池30へ充電される電力の量が充電量Pcになるまで、または電力線電圧値Vssが閾値Vt1未満になるまで、第1の電力変換部21を動作させて充電処理を行う。
充電制御部55は、休日と平日とで閾値Vt1を変更することができ、時間帯、イベント、および季節などに基づいて閾値Vt1を変更することもできる。なお、閾値Vt1は、例えば、直近の時間Taにおいて蓄電池30に充電される電力の量が充電量Pcになるように設定することができる。
放電制御部56は、蓄電池30の放電電流Idの値が予め設定された固定の設定値Idrになるように第2の電力変換部22を制御する場合、蓄電池30から放電電流Idを第2の電力変換部22へ供給する時間である放電時間Tdを放電量Pdに正比例する時間にすることもできる。すなわち、放電制御部56は、放電量Pdに正比例する放電時間Tdだけ第2の電力変換部22を制御して放電処理を行うことができる。
また、放電制御部56は、放電時間Tdが予め設定された固定の設定時間Tdrになるように第2の電力変換部22を制御する場合、放電電流Idが放電量Pdに正比例する値になるようにすることもできる。すなわち、放電制御部56は、放電量Pdに正比例する放電電流Idが流れるように第2の電力変換部22を制御して放電処理を行うことができる。
このように、放電制御部56は、放電電流Idまたは放電時間Tdを放電量Pdに正比例する値になるように第2の電力変換部22を制御することもできる。これにより、調整対象が放電電流Idまたは放電時間Tdになるため、放電制御部56は、蓄電池30から放電される電力の量を演算する処理を省くことができ、処理負荷を低減することができる。
図2に戻って、制御部41の説明を続ける。制御部41の調整部54は、電圧値取得部52によって取得された電池電圧値Vbに基づいて、放電量Pdの調整を行う。具体的には、調整部54は、電池電圧値Vbが第1の閾値Vth1よりも大きい場合、放電量Pdを大きくし、電池電圧値Vbが第2の閾値Vth2よりも小さい場合、放電量Pdを小さくする。
第1の閾値Vth1は、蓄電池30の電圧の劣化が抑制される電圧範囲Rvの上限値であり、第2の閾値Vth2は、電圧範囲Rvの下限値であるが、第1の閾値Vth1は、電圧範囲Rvの上限値より低い値であってもよく、第2の閾値Vth2は、電圧範囲Rvの下限値よりも高い値であってもよい。
調整部54は、電池電圧値Vdに基づいて放電量Pdを変更した場合、変更した放電量Pdの情報を記憶部42に記憶する。これにより、記憶部42に記憶される放電量Pdの情報が更新される。
放電制御部56は、調整部54によって調整された放電量Pdに基づいて、直近の時間Taにおいて蓄電池30から放電される電力の量が放電量Pd以内になるように第2の電力変換部22を動作させて放電処理を行う。これにより、蓄電池30のOCVの値が電圧範囲Rv内になる可能性を高めることができ、蓄電池30のSOCの値が中間レベル範囲Rs内に維持される可能性を高めることができる。
図7および図8は、充放電処理によって変動する電池電流値IbとSOCの値との関係を示す図である。図7は、放電量Pdの調整が行われない場合の例を示し、図8は、放電量Pdの調整が行われる場合の例を示す。図7および図8において、横軸は時間であり、縦軸は電池電流値IbおよびSOCの値である。図7および図8に示すように、充電電流Icを蓄電池30へ供給する期間において、SOCの値が上昇し、蓄電池30から放電電流Idを出力する期間において、SOCの値が下降する。なお、図7および図8では、一定間隔で余剰回生電力で発生している例を示している。
放電量Pdの調整が行われない場合、図7に示すように、蓄電池30におけるSOCの値の最大値が中間レベル範囲Rsの上限値Sth1を上回る場合があり、蓄電池30の劣化が促進されてしまう可能性がある。また、放電量Pdの調整が行われない場合、蓄電池30におけるSOCの値の最小値が中間レベル範囲Rsの下限値Sth2を下回る場合があり、蓄電池30の劣化が促進されてしまう可能性がある。一方、蓄電池30のOCVの値が電圧範囲Rv内になるように放電量Pdの調整を行った場合、図8に示すように、蓄電池30のSOCの値が中間レベル範囲Rs内に維持される可能性を高めることができる。
このように、放電制御部56は、SOCの値が上限値Sth1よりも大きい場合には、放電量Pdを増加させ、SOCの値が下限値Sth2よりも小さい場合には、放電量Pdを低減させることで、蓄電池30のSOCの値が中間レベル範囲Rs内に維持される可能性を高めることができる。
つづいて、充放電制御装置40における制御部41の動作を、フローチャートを用いて説明する。図9は、実施の形態1にかかる制御部41の処理の一例を示すフローチャートである。
図9に示すように、制御部41の充放電制御部51は、現時刻が第1の期間T1であるか否かを判定する(ステップS10)。充放電制御部51は、不図示の計時手段を備えており、第1の期間T1を示す情報は、記憶部42に記憶されている。充放電制御部51は、計時手段によって計時された現時刻と記憶部42に記憶された情報とに基づいて、現時刻が第1の期間T1であるか否かを判定する。
充放電制御部51は、現時刻が第1の期間T1であると判定した場合(ステップS10:Yes)、充放電処理を行う(ステップS11)。かかる充放電処理は、図10に示すステップS20〜S24の処理であり後で詳述する。なお、充放電処理は、第1の期間T1の間継続して行われる。
制御部41の調整部54は、現時刻が第1の期間T1ではないと判定した場合(ステップS10:No)、現時刻が第2の期間T2から予め設定された所定期間Te以上経過しているか否かを判定する(ステップS12)。所定期間Teは、例えば、蓄電池30の充放電が停止後に蓄電池30の分極が解消するまでに要する期間以上に設定される。
調整部54は、現時刻が第2の期間T2から所定期間Te以上経過していると判定した場合(ステップS12:Yes)、電圧検出部61から電池電圧値Vbを取得する(ステップS13)。そして、調整部54は、調整処理を行う(ステップS14)。かかる調整処理は、図11に示すステップS30〜S36の処理であり後で詳述する。
図10は、充放電処理の一例を示すフローチャートである。制御部41の充放電制御部51は、電圧値取得部50から電力線電圧値Vssを取得し、電力線電圧値Vssが閾値Vt1以上になったか否かを判定する(ステップS20)。
充放電制御部51は、電力線電圧値Vssが閾値Vt1以上になったと判定した場合(ステップS20:Yes)、移動平均充電量Pcavが充電量Pcを時間Taで除算した値よりも小さいか否か、すなわち、Pcav<Pc/Taであるか否かを判定する(ステップS21)。充放電制御部51は、Pcav<Pc/Taであると判定した場合(ステップS21:Yes)、蓄電池30の充電処理を行う(ステップS22)。
充放電制御部51は、電力線電圧値Vssが閾値Vt1以上ではないと判定した場合(ステップS20:No)、または、Pcav<Pc/Taではないと判定した場合(ステップS21:No)、移動平均放電量Pdavが放電量Pdを時間Taで除算した値よりも小さいか否か、すなわち、Pdav<Pd/Taであるか否かを判定する(ステップS23)。
充放電制御部51は、Pdav<Pd/Taであると判定した場合(ステップS23:Yes)、蓄電池30の放電処理を行う(ステップS24)。充放電制御部51は、ステップS22の処理が終了した場合、ステップS24の処理が終了した場合、または、Pdav<Pd/Taではないと判定した場合(ステップS23:No)、図10に示す充放電処理を終了する。なお、図10に示す処理は、現時刻が第1の期間T1である場合に繰り返し実行される。これにより、Pcav≧Pc/Taとなるように充電処理が実行され、Pdav≧Pd/Taとなるように放電処理が行われる。
図11は、調整処理の一例を示すフローチャートである。制御部41の調整部54は、電圧値取得部52に電池電圧値Vbを取得させる(ステップS30)。調整部54は、電圧値取得部52によって取得された電池電圧値Vbが第1の閾値Vth1を上回っているか否かを判定する(ステップS31)。
調整部54は、電池電圧値Vbが第1の閾値Vth1を上回っていると判定した場合(ステップS31:Yes)、記憶部42から放電量Pdを示す情報を取得し、放電量Pdを単位量ΔPdだけ増加させる(ステップS32)。調整部54は、単位量ΔPdだけ増加させた放電量Pdを記憶部42に設定する(ステップS33)。ステップS33の設定は、単位量ΔPdだけ増加させた放電量Pdを示す情報を記憶部42へ記憶することによって行われる。
調整部54は、電池電圧値Vbが第1の閾値Vth1を上回っていないと判定した場合(ステップS31:No)、電池電圧値Vbが第2の閾値Vth2を下回っているか否かを判定する(ステップS34)。
調整部54は、電池電圧値Vbが第2の閾値Vth2を下回っていると判定した場合(ステップS34:Yes)、記憶部42から放電量Pdを示す情報を取得し、放電量Pdを単位量ΔPdだけ減少させる(ステップS35)。調整部54は、単位量ΔPdだけ減少させた放電量Pdを記憶部42に設定する(ステップS36)。ステップS36の設定は、単位量ΔPdだけ減少させた放電量Pdを示す情報を記憶部42へ記憶することによって行われる。
調整部54は、電池電圧値Vbが第2の閾値Vth2を下回っていないと判定した場合(ステップS34:No)、ステップS33の処理が終了した場合、またはステップS36の処理が終了した場合、調整処理を終了する。
上述した例では、調整部54は、充電量Pcを一定の値にした状態で、放電量Pdを調整することから、蓄電池30に充電する回生電力を一定量とすることができるが、調整部54による調整は、放電量Pdを調整することに限られない。すなわち、調整部54は、充電量Pcを調整することもできる。この場合、調整部54は、電池電圧値Vbが第1の閾値Vth1よりも大きい場合、充電量Pcを小さくし、電池電圧値Vbが第2の閾値Vth2よりも小さい場合、充電量Pcを大きくすることができる。
図12は、調整処理の他の例を示すフローチャートである。図12に示すステップS40,S41,およびS44の処理は、図11に示すステップS30,S31,およびS34の処理と同じであるため説明を省略する。
調整部54は、Vb>Vth1の場合(ステップS41:Yes)、記憶部42から充電量Pcを示す情報を取得し、充電量Pcを単位量ΔPcだけ減少させる(ステップS42)。調整部54は、単位量ΔPcだけ減少させた充電量Pcを記憶部42に設定する(ステップS43)。ステップS43の設定は、単位量ΔPcだけ減少させた充電量Pcを示す情報を記憶部42へ記憶することによって行われる。
調整部54は、Vb<Vth2の場合(ステップS44:Yes)、記憶部42から充電量Pcを示す情報を取得し、充電量Pcを単位量ΔPcだけ増加させる(ステップS45)。調整部54は、単位量ΔPcだけ増加させた充電量Pcを記憶部42に設定する(ステップS46)。ステップS46の設定は、単位量ΔPcだけ増加させた充電量Pcを示す情報を記憶部42へ記憶することによって行われる。
なお、充電制御部55は、充電電流Icまたは充電時間Tcを充電量Pcに正比例する値になるように第1の電力変換部21を制御することもできる。充電電流Icは、第1の電力変換部21から蓄電池30へ供給される電流であり、充電時間Tcは、第1の電力変換部21から蓄電池30へ充電電流Icを供給する時間である。
充電制御部55は、充電電流Icの値が予め設定された固定の設定値Icrになるように第1の電力変換部21を制御する場合、充電時間Tcが充電量Pcに正比例する時間になるように第1の電力変換部21を制御することができる。また、充電制御部55は、充電時間Tcが予め設定された固定の設定時間Tcrになるように第1の電力変換部21を制御する場合、充電電流Icが充電量Pcに正比例する値になるように第1の電力変換部21を制御することもできる。
このように、充電制御部55は、充電電流Icまたは充電時間Tcを充電量Pcに正比例する値になるように第1の電力変換部21を制御することもできる。これにより、調整対象が充電電流Icまたは充電時間Tcになるため、充電制御部55は、蓄電池30へ充電される電力の量を演算する処理を省くことができ、処理負荷を低減することができる。
なお、上述した例では、充放電制御部51は、電池電圧値Vbに基づいて、充電量Pcまたは放電量Pdを調整するが、充電量Pcおよび放電量Pdを共に調整することもできる。例えば、充放電制御部51は、Vb>Vth1の場合に、放電量Pdを調整し、Vb<Vth2の場合に、充電量Pcを調整することができる。
また、上述した例では、充放電制御部51は、Vb>Vth1の場合とVb<Vth2の場合とで、充電量Pcおよび放電量Pdの少なくとも一方を調整する調整処理を行うが、調整処理は上述した処理に限定されない。例えば、充放電制御部51は、Vb>Vth1の場合とVb<Vth2の場合のいずれか一方の場合にのみ調整処理を行うことができる。
また、上述した例では、Vth1>Vth2であるものとして説明するが、Vth1=Vth2とすることもできる。この場合、Vth1,Vth2を電圧範囲Rvの中心値とすることで、蓄電池30のSOCの値が中間レベル範囲Rsに維持される可能性をより高くすることができる。
また、上述した例では、次の第1の期間T1の直前の第2の期間T2で取得した電池電圧値Vbに基づいて、放電量Pdおよび充電量Pcの少なくとも一つを調整するが、直前の第2の期間T2よりも前の電池電圧値Vbに基づいて、放電量Pdおよび充電量Pcの少なくとも一つを調整してもよい。
調整部54は、過去の複数の第2の期間T2において取得した複数の電池電圧値Vbの履歴に基づいて、放電量Pdおよび充電量Pcの少なくとも一つを調整することができる。例えば、調整部54は、過去の複数の電池電圧値Vbの平均値に基づいて、放電量Pdおよび充電量Pcの少なくとも一つを調整することができる。また、調整部54は、過去の複数の電池電圧値Vbの変化傾向から次の第2の期間T2における電池電圧値Vbを予測して、放電量Pdおよび充電量Pcの少なくとも一つを調整することができる。
また、上述した例では、放電量Pdに単位量ΔPdを加減算して放電量Pdを調整したり、充電量Pcに単位量ΔPcを加減算して充電量Pcを調整したりするが、放電量Pdおよび充電量Pcの調整は、かかる例に限定されない。
例えば、調整部54は、放電量Pdに係数kdを乗算して放電量Pdを調整したり、充電量Pcに係数kcを乗算して充電量Pcを調整したりすることができる。この場合、調整部54は、Vb>Vth1であれば、係数kdをΔkdだけ増加させ、Vb<Vth2であれば、係数kdをΔkdだけ減少させる。また、調整部54は、Vb>Vth1であれば、係数kcをΔkcだけ減少させ、Vb<Vth2であれば、係数kcをΔkcだけ増加させる。
図13は、実施の形態1にかかる充放電制御装置40のハードウェア構成の一例を示す図である。図13に示すように、充放電制御装置40は、プロセッサ101と、メモリ102と、インタフェース回路103とを備えるコンピュータを含む。
プロセッサ101、メモリ102およびインタフェース回路103は、バス104によって互いにデータの送受信が可能である。プロセッサ101は、メモリ102に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、電圧値取得部50、充放電制御部51、電圧値取得部52、電流値取得部53、および調整部54の機能を実行する。プロセッサ101は、処理回路の一例であり、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processer)、およびシステムLSI(Large Scale Integration)のうち一つ以上を含む。
メモリ102は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、およびEPROM(Enable Program Read Only Memory)のうち一つ以上を含む。また、メモリ102は、コンピュータが読み取り可能なプログラムが記録された記録媒体を含む。かかる記録媒体は、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルメモリ、光ディスク、コンパクトディスク、およびDVD(Digital Versatile Disc)のうち一つ以上を含む。なお、制御部41は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)およびFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路を含んでいてもよい。
以上のように、実施の形態1にかかる充放電制御装置40は、充放電制御部51と、電圧値取得部52と、調整部54とを備え、電力線である電力線3および電力線11と蓄電池30との間で電力変換を行う電力変換装置20を制御して蓄電池30の充放電を制御する。充放電制御部51は、第1の期間T1において、電力変換装置20を制御して蓄電池30の充電処理と放電処理とを行う。電圧値取得部52は、蓄電池30の充放電が休止する期間である第2の期間T2において、蓄電池30の電圧値である電池電圧値Vbを取得する。調整部54は、電圧値取得部52によって取得された電池電圧値Vbに基づいて、放電処理における蓄電池30からの放電量Pdおよび充電処理における蓄電池30への充電量Pcの少なくとも一方を調整する。これにより、例えば、電池電圧値Vbに基づいて、蓄電池30の劣化を抑制するようにOCVの値およびSOCの値を調整することができる。
また、調整部54は、電池電圧値Vbが第1の閾値Vth1よりも大きい場合には、放電量Pdを大きくするか充電量Pcを小さくする。第1の閾値Vth1を蓄電池30の電圧の劣化が抑制される電圧範囲Rv内に設定することで、OCVの値およびSOCの値が高くなりすぎるのを防止することができる。
また、調整部54は、電池電圧値Vbが第2の閾値Vth2よりも小さい場合には、放電量Pdを小さくするか充電量Pcを大きくする。第2の閾値Vth2を蓄電池30の電圧の劣化が抑制される電圧範囲Rv内に設定することで、OCVの値およびSOCの値が高くなりすぎるのを防止することができる。
また、充放電制御部51は、蓄電池30の放電電流Idおよび放電時間Tdの少なくとも一つを調整することで、放電量Pdを調整する。これにより、蓄電池30から放電される電力を監視することなく、放電量Pdの調整を容易に行うことができる。
また、充放電制御部51は、蓄電池30の充電電流Icおよび充電時間Tcの少なくとも一つを調整することで、充電量Pcを調整する。これにより、蓄電池30へ充電される電力を監視することなく、充電量Pcの調整を容易に行うことができる。
また、実施の形態1にかかる蓄電制御システム10は、電力変換装置20と、蓄電池30と、充放電制御装置40とを備える。電力変換装置20は、第1の電力変換部21と、第2の電力変換部22とを含む。充放電制御部51は、第1の電力変換部21を制御して回生電力を第1の電力線である電力線3および第1の電力変換部21を介して蓄電池30へ供給して蓄電池30の充電を行い、第2の電力変換部22を制御して蓄電池30からの電力を電力線11へ供給して蓄電池30の放電を行う。これにより、余剰回生電力を駅負荷6へ供給することができる。駅負荷6の消費電力が余剰回生電力よりも大きい場合には、余剰回生電力を駅負荷6で確実に消費させることができ、余剰回生電力を有効に活用することができる。
実施の形態2.
実施の形態1では、放電量Pdを単位量ΔPdずつ調整し、充電量Pcを単位量ΔPcずつ調整するが、実施の形態2では、電池電圧値Vbに基づく増減量で放電量Pdを調整し、電池電圧値Vbに基づく増減量で充電量Pcを調整する点で、実施の形態1と異なる。以下においては、実施の形態1と同様の機能を有する構成要素については同一符号を付して説明を省略し、実施の形態1の蓄電制御システム10と異なる点を中心に説明する。
図14は、実施の形態2にかかる蓄電制御システム10Aの構成例を示す図である。図14に示すように、実施の形態2にかかる蓄電制御システム10Aの充放電制御装置40Aは、電力変換装置20を制御する制御部41Aと、制御部41Aで用いる情報を記憶する記憶部42Aとを備える。
制御部41Aは、制御部41と同様に、電圧値取得部50、充放電制御部51、電圧値取得部52、および電流値取得部53とを備え、また、調整部54に代えて、電池電圧値Vbと閾値Vth1,Vth2との差に基づく増減量で放電量Pdを調整する調整部54Aを備える。
調整部54Aは、電池電圧値Vbが第1の閾値Vth1よりも大きい場合、電池電圧値Vbと第1の閾値Vth1との差ΔV1を演算する。調整部54Aは、差ΔV1から得られる調整量ΔPd1を放電量Pdに加算して、放電量Pdを増加させる。調整量ΔPd1は、差ΔV1が大きいほど段階的または連続して大きくなる値である。
記憶部42Aは、差ΔV1と調整量ΔPd1との関係を示す関係式またはテーブルを記憶している。調整部54Aは、記憶部42Aに記憶された情報に基づいて、差ΔV1から調整量ΔPd1を取得することができる。また、調整部54Aは、調整量ΔPd1が差ΔV1に正比例する値である場合、ΔPd1=k1×ΔV1の演算によって調整量ΔPd1を求めることができる。
また、調整部54Aは、電池電圧値Vbが第2の閾値Vth2よりも小さい場合、電池電圧値Vbと第2の閾値Vth2との差ΔV2を演算する。調整部54Aは、差ΔV2から得られる調整量ΔPd2を放電量Pdから減算して、放電量Pdを減少させる。調整量ΔPd2は、差ΔV2が大きいほど段階的または連続して大きくなる値である。
記憶部42Aは、差ΔV2と調整量ΔPd2との関係を示す関係式またはテーブルを記憶している。調整部54Aは、記憶部42Aに記憶された情報に基づいて、差ΔV2から調整量ΔPd2を取得することができる。また、調整部54Aは、調整量ΔPd2が差ΔV2に正比例する値である場合、ΔPd2=k2×ΔV2の演算によって調整量ΔPd2を求めることができる。
放電制御部56は、調整部54Aによって調整された放電量Pdに基づいて、直近の期間Taにおいて蓄電池30から放電される電力の量が放電量Pd以内になるように第2の電力変換部22を動作させて放電処理を行う。これにより、何らかの理由によって蓄電池30のSOCの値が中間レベル範囲Rsから大きく外れた場合であっても、次の第1の期間T1において、蓄電池30のOCVの値が電圧範囲Rv内になる可能性を高めることができる。
つづいて、充放電制御装置40Aにおける制御部41Aの動作を、フローチャートを用いて説明する。制御部41Aは、制御部41と調整処理の内容が一部異なり、それ以外は同じであるため、以下においては調整処理について説明する。
図15は、制御部41Aの調整部54Aによる調整処理の一例を示すフローチャートである。図15に示すステップS50,S51,およびS55の処理は、図11に示すステップS30,S31,およびS34の処理と同じであるため説明を省略する。
調整部54Aは、Vb>Vth1の場合(ステップS51:Yes)、電池電圧値Vbと第1の閾値Vth1との差ΔV1を演算する(ステップS52)。次に、調整部54Aは、差ΔV1に基づく調整量ΔPd1だけ放電量Pdを増加させる(ステップS53)。調整部54Aは、ステップS33と同様の処理により、調整量ΔPd1だけ増加させた放電量Pdを記憶部42Aに設定する(ステップS54)。
調整部54Aは、Vb<Vth2の場合(ステップS55:Yes)、電池電圧値Vbと第2の閾値Vth2との差ΔV2を演算する(ステップS56)。次に、調整部54Aは、差ΔV2に基づく調整量ΔPd2だけ放電量Pdを減少させる(ステップS57)。調整部54Aは、ステップS36と同様の処理により、調整量ΔPd2だけ減少させた放電量Pdを記憶部42Aに設定する(ステップS58)。
上述した例では、調整部54Aは、放電量Pdを調整するが、充電量Pcを調整することもできる。この場合、調整部54Aは、電池電圧値Vbが第1の閾値Vth1よりも大きい場合、充電量Pcを小さくし、電池電圧値Vbが第2の閾値Vth2よりも小さい場合、充電量Pcを大きくすることができる。
図16は、調整処理の他の例を示すフローチャートである。図16に示すステップS60,S61,S62,S65,およびS66の処理は、図15に示すステップS50,S51,S52,55,およびS56の処理と同じであるため説明を省略する。
調整部54Aは、ステップS62の処理が終了すると、差ΔV1に基づく調整量ΔPc1だけ充電量Pcを減少させる(ステップS63)。調整部54Aは、ステップS43と同様の処理により、調整量ΔPc1だけ減少させた充電量Pcを記憶部42Aに設定する(ステップS64)。
調整量ΔPc1は、差ΔV1が大きいほど段階的または連続して大きくなる値である。記憶部42Aは、差ΔV1と調整量ΔPc1との関係を示す関係式またはテーブルを記憶している。調整部54Aは、記憶部42Aに記憶された情報に基づいて、差ΔV1から調整量ΔPc1を取得することができる。
また、調整部54Aは、ステップS66の処理が終了すると、差ΔV1に基づく調整量ΔPc2だけ充電量Pcを増加させる(ステップS63)。調整部54Aは、ステップS43と同様の処理により、調整量ΔPc2だけ増加させた充電量Pcを記憶部42Aに設定する(ステップS68)。
調整量ΔPc2は、差ΔV2が大きいほど段階的または連続して大きくなる値である。記憶部42Aは、差ΔV2と調整量ΔPc2との関係を示す関係式またはテーブルを記憶している。調整部54Aは、記憶部42Aに記憶された情報に基づいて、差ΔV2から調整量ΔPc2を取得することができる。
なお、調整部54Aは、放電量Pdを調整量ΔPd1および調整量ΔPd2で調整し、充電量Pcを単位量ΔPcで調整することができる。また、調整部54Aは、放電量Pdを単位量ΔPdで調整し、充電量Pcを調整量ΔPc1および調整量ΔPc2で調整することができる。
また、調整部54Aは、調整部54の場合と同様に、放電量Pdに係数kdを乗算して放電量Pdを調整したり、充電量Pcに係数kcを乗算して充電量Pcを調整したりすることができる。この場合、調整部54Aは、Vb>Vth1であれば、係数kdをΔkd1だけ増加させ、Vb<Vth2であれば、係数kdをΔkd2だけ減少させる。
また、調整部54Aは、Vb>Vth1であれば、係数kcをΔkc1だけ減少させ、Vb<Vth2であれば、係数kcをΔkc2だけ増加させる。Δkd1,Δkc1は、調整量ΔPc1と同様に、差ΔV1から得られ、Δkd2,Δkc2は、調整量ΔPc2と同様に、差ΔV2から得られる。
実施の形態2にかかる充放電制御装置40Aのハードウェア構成例は、図13に示す充放電制御装置40と同じである。プロセッサ101は、メモリ102に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、調整部54Aの機能を実行することができる。
以上のように、実施の形態2にかかる充放電制御装置40Aの調整部54Aは、電池電圧値Vbと閾値Vth1,Vth2との差が大きいほど、放電量Pdの調整量ΔPd1,ΔPd2および充電量Pcの調整量ΔPc1,ΔPc2の少なくとも一つを段階的または連続的に大きくする。これにより、何らかの理由によって蓄電池30のSOCの値が中間レベル範囲Rsから大きく外れた場合であっても、次の第1の期間T1において、蓄電池30のOCVの値が電圧範囲Rv内になる可能性を高めることができる。
実施の形態3.
実施の形態1,2では、蓄電池30の蓄積電力を電力線11へ出力するが、実施の形態3では、蓄電池30の蓄積電力を電力線3へ出力する点で、実施の形態1,2と異なる。以下においては、実施の形態1と同様の機能を有する構成要素については同一符号を付して説明を省略し、実施の形態1の蓄電制御システム10と異なる点を中心に説明する。
図17は、実施の形態3にかかる蓄電制御システムの構成例を示す図である。図17に示すように、実施の形態3にかかる蓄電制御システム10Bは、電力変換装置20Bと、充放電制御装置40Bとを備える。電力変換装置20Bは、第2の電力変換部22を有していない点で、電力変換装置20と異なる。
充放電制御装置40Bは、電力変換装置20Bを制御する制御部41Bと、制御部41Bで用いる情報を記憶する記憶部42Aとを備える。制御部41Bは、充放電制御部51に代えて、充放電制御部51Bを備える。充放電制御部51Bは、充電制御部55と、放電制御部56Bとを備える。
実施の形態1にかかる放電制御部56は、充電制御部55による充電処理が終了したことを条件として放電処理を行うが、放電制御部56Bは、充電制御部55による充電処理が終了し、且つ、電力線電圧値Vssが閾値Vt1よりも低い閾値Vt2以下になったことを条件として放電処理を行う。これにより、充放電制御部51Bは、電力線電圧値Vssが小さい場合に、蓄電池30の蓄積電力を第1の電力変換部21で1500V系の直流電力へ変換して電力線3へ出力することができ、電力線3の電圧が高くなりすぎることを防止することができる。
なお、充放電制御部51Bは、実施の形態1の放電処理および充電処理に代えて、実施の形態2の放電処理および充電処理を実行することができる。
実施の形態3にかかる充放電制御装置40Bのハードウェア構成例は、図13に示す充放電制御装置40と同じである。プロセッサ101は、メモリ102に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、充放電制御部51Bの機能を実行することができる。
以上のように、実施の形態3にかかる蓄電制御システム10Bにおける充放電制御部51Bは、電力変換装置20Bを制御して回生電力を蓄電池30へ電力変換装置20Bを介して供給して蓄電池30の充電を行い、電力変換装置20Bを制御して蓄電池30の電力を電力線である電力線3へ電力変換装置20Bを介して供給して蓄電池30の放電を行う。これにより、電力線3を介して回生電力を蓄電池30に蓄積し、蓄電池30に蓄積した電力を電力線3へ出力する蓄電制御システム10Bにおいて、蓄電池30の劣化を抑制することができる。
なお、実施の形態1,2では、蓄電池30の蓄積電力が電力線11へ出力され、実施の形態3では、蓄電池30の蓄積電力が電力線3へ出力されるが、蓄電池30の蓄積電力を電力線11および電力線3のいずれへも出力させることもできる。
例えば、充放電制御部51は、電力線電圧値Vssが閾値Vt2以下になる場合に、充放電制御部51Bと同様に、蓄電池30の蓄積電力を電力線3へ出力し、予め設定された期間Tf内に電力線電圧V値ssが閾値Vt2以下にならない場合に、蓄電池30の蓄積電力を電力線11へ出力することができる。
また、上述した実施の形態では、電力線3は、直流架線であるものとして説明したが、電力線3は、交流架線であってもよい。この場合、第1の電力変換部21は、電力線3から供給される交流電力を蓄電池30へ供給するため直流電力へ変換して蓄電池30へ供給することができる。また、第1の電力変換部21は、蓄電池30から供給される直流電力を電力線3へ出力するための交流電力へ変換し、変換した交流電力を電力線3へ供給することができる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。