第3世代と呼ばれる通信方式のうち、W−CDMA(Wideband Code division Multiple Access)方式が2001年から日本で商用サービスが開始されている。また、下りリンク(個別データチャネル、個別制御チャネル)にパケット伝送用のチャネル(High Speed-Downlink Shared Channel:HS−DSCH)を追加することにより、下りリンクを用いたデータ送信の更なる高速化を実現するHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)のサービスが開始されている。さらに、上り方向のデータ送信をより高速化するために、HSUPA(High Speed Uplink Packet Access)方式についてもサービスが開始されている。W−CDMAは、移動体通信システムの規格化団体である3GPP(3rd Generation Partnership Project)により定められた通信方式であり、リリース10版の規格書がとりまとめられている。
また、3GPPにおいて、W−CDMAとは別の通信方式として、無線区間についてはロングタームエボリューション(Long Term Evolution:LTE)、コアネットワーク(単にネットワークとも称する)を含めたシステム全体構成については、システムアーキテクチャエボリューション(System Architecture Evolution:SAE)と称される新たな通信方式が検討されている。この通信方式は3.9G(3.9 Generation)システムとも呼ばれる。
LTEでは、アクセス方式、無線のチャネル構成やプロトコルが、現在のW−CDMA(HSDPA/HSUPA)とは全く異なるものになる。例えば、アクセス方式は、W−CDMAが符号分割多元接続(Code Division Multiple Access)を用いているのに対して、LTEは下り方向はOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)、上り方向はSC−FDMA(Single Career Frequency Division Multiple Access)を用いる。また、帯域幅は、W−CDMAが5MHzであるのに対し、LTEでは1.4MHz,3MHz,5MHz,10MHz,15MHz,20MHzの中で基地局毎に選択可能となっている。また、LTEでは、W−CDMAのように回線交換を含まず、パケット通信方式のみになる。
LTEは、W−CDMAのコアネットワーク(General Packet Radio Service:GPRS)とは異なる新たなコアネットワークを用いて通信システムが構成されるため、W−CDMA網とは別の独立した無線アクセス網として定義される。したがって、W−CDMAの通信システムと区別するため、LTEの通信システムでは、移動端末(User Equipment:UE)と通信を行う基地局(Base station)はeNB(E-UTRAN NodeB)と称され、複数の基地局と制御データやユーザデータのやり取りを行う基地局制御装置(Radio Network Controller)は、EPC(Evolved Packet Core)またはaGW(Access Gateway)と称される。
このLTEの通信システムでは、ユニキャスト(Unicast)サービスとE-MBMSサービス(Evolved Multimedia Broadcast Multicast Service)とが提供される。E−MBMSサービスとは、放送型マルチメディアサービスであり、単にMBMSと称される場合もある。複数の移動端末に対してニュースや天気予報、モバイル放送などの大容量放送コンテンツが送信される。これを1対多(Point to Multipoint)サービスともいう。
3GPPでの、LTEシステムにおける全体的なアーキテクチャ(Architecture)に関する現在の決定事項が、非特許文献1(4章)に記載されている。全体的なアーキテクチャについて図1を用いて説明する。図1は、LTE方式の通信システムの構成を示す説明図である。図1において、移動端末101に対する制御プロトコル、例えばRRC(Radio Resource Control)と、ユーザプレイン、例えばPDCP(Packet Data Convergence Protocol)、RLC(Radio Link Control)、MAC(Medium Access Control)、PHY(Physical layer)とが基地局102で終端するならば、E−UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access)は1つあるいは複数の基地局102によって構成される。
基地局102は、MME(Mobility Management Entity)103から通知されるページング信号(Paging Signal、ページングメッセージ(paging messages)とも称される)のスケジューリング(Scheduling)および送信を行う。基地局102は、X2インタフェースにより、互いに接続される。また基地局102は、S1インタフェースによりEPC(Evolved Packet Core)に接続される。より明確には、基地局102は、S1_MMEインタフェースによりMME(Mobility Management Entity)103に接続され、S1_UインタフェースによりS−GW(Serving Gateway)104に接続される。
MME103は、複数あるいは単数の基地局102へのページング信号の分配を行う。また、MME103は待受け状態(Idle State)のモビリティ制御(Mobility control)を行う。MME103は、移動端末が待ち受け状態の際、および、アクティブ状態(Active State)の際に、トラッキングエリア(Tracking Area)リストの管理を行う。
S−GW104は、ひとつまたは複数の基地局102とユーザデータの送受信を行う。S−GW104は、基地局間のハンドオーバの際、ローカルな移動性のアンカーポイント(Mobility Anchor Point)となる。EPCには、さらにP−GW(PDN Gateway)が存在し、ユーザ毎のパケットフィルタリングやUE−IDアドレスの割当などを行う。
移動端末101と基地局102との間の制御プロトコルRRCは、報知(Broadcast)、ページング(paging)、RRC接続マネージメント(RRC connection management)などを行う。RRCにおける基地局と移動端末の状態として、RRC_Idle、RRC_CONNECTEDがある。RRC_IDLEでは、PLMN(Public Land Mobile Network)選択、システム情報(System Information:SI)の報知、ページング(paging)、セル再選択(cell re-selection)、モビリティ等が行われる。RRC_CONNECTEDでは、移動端末はRRC接続(connection)を有し、ネットワークとのデータの送受信を行うことができ、また、ハンドオーバ(Handover:HO)、隣接セル(Neighbour cell)のメジャメント等が行われる。
非特許文献1(5章)に記載される3GPPでの、LTEシステムにおけるフレーム構成に関する現在の決定事項について、図2を用いて説明する。図2は、LTE方式の通信システムで使用される無線フレームの構成を示す説明図である。図2において、1つの無線フレーム(Radio frame)は10msである。無線フレームは10個の等しい大きさのサブフレーム(Subframe)に分割される。サブフレームは、2個の等しい大きさのスロット(slot)に分割される。無線フレーム毎に1番目と6番目のサブフレームに下り同期信号(Downlink Synchronization Signal:SS)が含まれる。同期信号には、第一同期信号(Primary Synchronization Signal:P−SS)と、第二同期信号(Secondary Synchronization Signal:S−SS)とがある。
サブフレーム単位にてMBSFN(Multimedia Broadcast multicast service Single Frequency Network)用とMBSFN以外用のチャネルの多重が行われる。MBSFN送信(MBSFN Transmission)とは、同時に複数のセルから同じ波形の送信により実現される同時放送送信技術(simulcast transmission technique)である。MBSFN領域(MBSFN Area)の複数のセルからのMBSFN送信は、移動端末によって1つの送信であると見える。MBSFNとは、このようなMBSFN送信をサポートするネットワークである。以降、MBSFN送信用のサブフレームをMBSFNサブフレーム(MBSFN subframe)と称する。
非特許文献2に、MBSFNサブフレームの割り当て時のシグナリング例が記載されている。図3は、MBSFNフレームの構成を示す説明図である。図3において、割当周期(radio Frame Allocation Period)毎にMBSFNサブフレームを含む無線フレームが割り当てられる。MBSFNサブフレームは、割当周期と割当オフセット(radio Frame Allocation Offset)によって定義された無線フレームにてMBSFNのために割り当てられるサブフレームであり、マルチメディアデータを伝送するためのサブフレームである。以下の式(1)を満たす無線フレームが、MBSFNサブフレームを含む無線フレームである。
SFN mod radioFrameAllocationPeriod=radioFrameAllocationOffset …(1)
MBSFNサブフレームの割当は6ビットにて行われる。1番左のビットは、サブフレーム2番目(#1)のMBSFN割当を定義する。2番目のビットはサブフレーム3番目(#2)、3番目のビットはサブフレーム4番目(#3)、4番目のビットはサブフレーム7番目(#6)、5番目のビットはサブフレーム8番目(#7)、6番目のビットはサブフレーム9番目(#8)のMBSFN割当を定義する。該ビットが「1」を示す場合、対応するサブフレームがMBSFNのために割当てられることを示す。
3GPPでの、LTEシステムにおけるチャネル構成に関する現在の決定事項が、非特許文献1(5章)に記載されている。CSGセル(Closed Subscriber Group cell)においてもnon−CSGセルと同じチャネル構成が用いられると想定されている。物理チャネル(Physical channel)について、図4を用いて説明する。図4は、LTE方式の通信システムで使用される物理チャネルを説明する説明図である。
図4において、物理報知チャネル(Physical Broadcast channel:PBCH)401は、基地局102から移動端末101へ送信される下りチャネルである。BCHトランスポートブロック(transport block)は、40ms間隔中の4個のサブフレームにマッピングされる。40msタイミングの明白なシグナリングはない。物理制御チャネルフォーマットインジケータチャネル(Physical Control Format Indicator Channel:PCFICH)402は、基地局102から移動端末101へ送信される。PCFICHは、PDCCHsのために用いるOFDMシンボルの数について基地局102から移動端末101へ通知する。PCFICHは、サブフレーム毎に送信される。
物理下り制御チャネル(Physical Downlink Control Channel:PDCCH)403は、基地局102から移動端末101へ送信される下りチャネルである。PDCCHは、DL−SCH(後述の図5に示されるトランスポートチャネルの1つである下り共有チャネル)とPCH(図5に示されるトランスポートチャネルの1つであるページングチャネル)のリソース割り当て(allocation)、DL−SCHに関するHARQ情報を通知する。PDCCHは、上りスケジューリンググラント(Uplink Scheduling Grant)を運ぶ。PDCCHは、上り送信に対する応答信号であるAck(Acknowledgement)/Nack(Negative Acknowledgement)を運ぶ。PDCCHは、L1/L2制御信号とも呼ばれる。
物理下り共有チャネル(Physical Downlink Shared Channel:PDSCH)404は、基地局102から移動端末101へ送信される下りチャネルである。PDSCHには、トランスポートチャネルであるDL−SCH(下り共有チャネル)やトランスポートチャネルであるPCHがマッピングされている。物理マルチキャストチャネル(Physical Multicast Channel:PMCH)405は、基地局102から移動端末101へ送信される下りチャネルである。PMCHには、トランスポートチャネルであるマルチキャストチャネル(Multicast Channel:MCH)がマッピングされている。
物理上り制御チャネル(Physical Uplink Control Channel:PUCCH)406は、移動端末101から基地局102へ送信される上りチャネルである。PUCCHは、下り送信に対する応答信号(response signal)であるAck/Nackを運ぶ。PUCCHは、CQI(Channel Quality Indicator)レポートを運ぶ。CQIとは、受信したデータの品質、もしくは通信路品質を示す品質情報である。またPUCCHは、スケジューリングリクエスト(Scheduling Request:SR)を運ぶ。物理上り共有チャネル(Physical Uplink Shared Channel:PUSCH)407は、移動端末101から基地局102へ送信される上りチャネルである。PUSCHには、UL−SCH(図5に示されるトランスポートチャネルの1つである上り共有チャネル)がマッピングされている。
物理HARQインジケータチャネル(Physical Hybrid ARQ Indicator Channel:PHICH)408は、基地局102から移動端末101へ送信される下りチャネルである。PHICHは、上り送信に対する応答信号であるAck/Nackを運ぶ。物理ランダムアクセスチャネル(Physical Random Access Channel:PRACH)409は、移動端末101から基地局102へ送信される上りチャネルである。PRACHは、ランダムアクセスプリアンブル(random access preamble)を運ぶ。
下りリファレンスシグナル(Reference signal)は、移動体通信システムとして既知のシンボルである。移動端末の物理レイヤの測定として、リファレンスシグナルの受信電力(Reference Signal Received Power:RSRP)測定がある。
非特許文献1(5章)に記載されるトランスポートチャネル(Transport channel)について、図5を用いて説明する。図5は、LTE方式の通信システムで使用されるトランスポートチャネルを説明する説明図である。図5(A)には、下りトランスポートチャネルと下り物理チャネルとの間のマッピングを示す。図5(B)には、上りトランスポートチャネルと上り物理チャネルとの間のマッピングを示す。
下りトランスポートチャネルについて説明する。報知チャネル(Broadcast Channel:BCH)は、その基地局(セル)のカバレッジ全体に報知される。BCHは、物理報知チャネル(PBCH)にマッピングされる。
下り共有チャネル(Downlink Shared Channel:DL−SCH)には、HARQ(Hybrid ARQ)による再送制御が適用される。DL−SCHは、基地局(セル)のカバレッジ全体への報知が可能である。DL−SCHは、ダイナミックあるいは準静的(Semi-static)なリソース割り当てをサポートする。準静的なリソース割り当ては、パーシステントスケジューリング(Persistent Scheduling)とも言われる。DL−SCHは、移動端末の低消費電力化のために移動端末の間欠受信(Discontinuous reception:DRX)をサポートする。DL−SCHは、物理下り共有チャネル(PDSCH)へマッピングされる。
ページングチャネル(Paging Channel:PCH)は、移動端末の低消費電力を可能とするために移動端末のDRXをサポートする。PCHは、基地局(セル)のカバレッジ全体への報知が要求される。PCHは、動的にトラフィックに利用できる物理下り共有チャネル(PDSCH)のような物理リソースへマッピングされる。
マルチキャストチャネル(Multicast Channel:MCH)は、基地局(セル)のカバレッジ全体への報知に使用される。MCHは、マルチセル送信におけるMBMSサービス(MTCHとMCCH)のSFN合成をサポートする。MCHは、準静的なリソース割り当てをサポートする。MCHは、PMCHへマッピングされる。
上り共有チャネル(Uplink Shared Channel:UL−SCH)には、HARQ(Hybrid ARQ)による再送制御が適用される。UL−SCHは、ダイナミックあるいは準静的(Semi-static)なリソース割り当てをサポートする。UL−SCHは、物理上り共有チャネル(PUSCH)へマッピングされる。
図5(B)に示されるランダムアクセスチャネル(Random Access Channel:RACH)は、制御情報に限られている。RACHは、衝突のリスクがある。RACHは、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)へマッピングされる。
HARQについて説明する。HARQとは、自動再送(Automatic Repeat reQuest)と誤り訂正(Forward Error Correction)との組み合わせにより、伝送路の通信品質を向上させる技術である。通信品質が変化する伝送路に対しても、再送により誤り訂正が有効に機能するという利点がある。特に、再送にあたって初送の受信結果と再送の受信結果との合成をすることで、更なる品質向上を得ることも可能である。
再送の方法の一例を説明する。受信側にて、受信データが正しくデコードできなかった場合、換言すればCRC(Cyclic Redundancy Check)エラーが発生した場合(CRC=NG)、受信側から送信側へ「Nack」を送信する。「Nack」を受信した送信側は、データを再送する。受信側にて、受信データが正しくデコードできた場合、換言すればCRCエラーが発生しない場合(CRC=OK)、受信側から送信側へ「Ack」を送信する。「Ack」を受信した送信側は次のデータを送信する。
HARQ方式の一例として、チェースコンバイニング(Chase Combining)がある。チェースコンバイニングとは、初送と再送とにおいて、同じデータを送信するものであり、再送において初送のデータと再送のデータとの合成を行うことで、利得を向上させる方式である。これは、初送データに誤りがあったとしても、部分的に正確なものも含まれており、正確な部分の初送データと再送データとを合成することで、より高精度にデータを送信できるという考え方に基づいている。また、HARQ方式の別の例として、IR(Incremental Redundancy)がある。IRとは、冗長度を増加させるものであり、再送においてパリティビットを送信することで、初送と組み合わせて冗長度を増加させ、誤り訂正機能により品質を向上させるものである。
非特許文献1(6章)に記載される論理チャネル(Logical channel、以下「ロジカルチャネル」という場合がある)について、図6を用いて説明する。図6は、LTE方式の通信システムで使用される論理チャネルを説明する説明図である。図6(A)には、下りロジカルチャネルと下りトランスポートチャネルとの間のマッピングを示す。図6(B)には、上りロジカルチャネルと上りトランスポートチャネルとの間のマッピングを示す。
報知制御チャネル(Broadcast Control Channel:BCCH)は、報知システム制御情報のための下りチャネルである。論理チャネルであるBCCHは、トランスポートチャネルである報知チャネル(BCH)、あるいは下り共有チャネル(DL−SCH)へマッピングされる。
ページング制御チャネル(Paging Control Channel:PCCH)は、ページング情報(Paging Information)およびシステム情報(System Information)の変更を送信するための下りチャネルである。PCCHは、移動端末のセルロケーションをネットワークが知らない場合に用いられる。論理チャネルであるPCCHは、トランスポートチャネルであるページングチャネル(PCH)へマッピングされる。
共有制御チャネル(Common Control Channel:CCCH)は、移動端末と基地局との間の送信制御情報のためのチャネルである。CCCHは、移動端末がネットワークとの間でRRC接続(connection)を持っていない場合に用いられる。下り方向では、CCCHは、トランスポートチャネルである下り共有チャネル(DL−SCH)へマッピングされる。上り方向では、CCCHは、トランスポートチャネルである上り共有チャネル(UL−SCH)へマッピングされる。
マルチキャスト制御チャネル(Multicast Control Channel:MCCH)は、1対多の送信のための下りチャネルである。MCCHは、ネットワークから移動端末への1つあるいはいくつかのMTCH用のMBMS制御情報の送信のために用いられる。MCCHは、MBMS受信中の移動端末のみに用いられる。MCCHは、トランスポートチャネルであるマルチキャストチャネル(MCH)へマッピングされる。
個別制御チャネル(Dedicated Control Channel:DCCH)は、1対1にて、移動端末とネットワークとの間の個別制御情報を送信するチャネルである。DCCHは、移動端末がRRC接続(connection)である場合に用いられる。DCCHは、上りでは上り共有チャネル(UL−SCH)へマッピングされ、下りでは下り共有チャネル(DL−SCH)にマッピングされる。
個別トラフィックチャネル(Dedicated Traffic Channel:DTCH)は、ユーザ情報の送信のための個別移動端末への1対1通信のチャネルである。DTCHは、上りおよび下りともに存在する。DTCHは、上りでは上り共有チャネル(UL−SCH)へマッピングされ、下りでは下り共有チャネル(DL−SCH)へマッピングされる。
マルチキャストトラフィックチャネル(Multicast Traffic channel:MTCH)は、ネットワークから移動端末へのトラフィックデータ送信のための下りチャネルである。MTCHは、MBMS受信中の移動端末のみに用いられるチャネルである。MTCHは、マルチキャストチャネル(MCH)へマッピングされる。
GCIとは、グローバルセル識別子(Global Cell Identity)のことである。LTE、後述のLTE−A(Long Term Evolution Advanced)およびUMTS(Universal Mobile Telecommunication System)において、CSGセル(Closed Subscriber Group cell)が導入される。CSGについて以下に説明する(非特許文献3 3.1章参照)。CSGセル(Closed Subscriber Group cell)とは、利用可能な加入者をオペレータが特定しているセル(以下「特定加入者用セル」という場合がある)である。
特定された加入者は、PLMN(Public Land Mobile Network)の1つ以上のセルにアクセスすることが許可される。特定された加入者がアクセスを許可されている1つ以上のセルを「CSGセル(cell(s))」と呼ぶ。ただし、PLMNにはアクセス制限がある。CSGセルとは、固有のCSGアイデンティティ(CSG identity:CSG ID;CSG−ID)を報知し、CSGインジケーション(CSG Indication)にて「TRUE」を報知するPLMNの一部である。予め利用登録し、許可された加入者グループのメンバーは、アクセス許可情報であるところのCSG−IDを用いてCSGセルにアクセスする。
CSG−IDは、CSGセルまたはセルによって報知される。移動体通信システムにCSG−IDは複数存在する。そして、CSG−IDは、CSG関連のメンバーのアクセスを容易にするために、移動端末(UE)によって使用される。
移動端末の位置追跡は、1つ以上のセルからなる区域を単位に行われる。位置追跡は、待受け状態であっても移動端末の位置を追跡し、呼び出す(移動端末が着呼する)ことを可能にするためである。この移動端末の位置追跡のための区域をトラッキングエリアと呼ぶ。
CSGホワイトリスト(CSG White List)とは、加入者が属するCSGセルのすべてのCSG IDが記録されている、USIM(Universal Subscriber Identity Module)に格納されることもあるリストである。CSGホワイトリストは、単にホワイトリスト、あるいは許可CSGリスト(Allowed CSG List)と呼ばれることもある。CSGセルを通しての移動端末のアクセスは、MMEがアクセスコントロール(access control)を実行する(非特許文献9 4.3.1.2章参照)。移動端末のアクセスの具体例としては、アタッチ(attach)、コンバインドアタッチ(combined attach)、デタッチ(detach)、サービスリクエスト(service request)、トラッキングエリアアップデートプロシジャー(Tracking Area Update procedure)などがある(非特許文献9 4.3.1.2章参照)。
待受け状態の移動端末のサービスタイプについて以下に説明する(非特許文献3 4.3章参照)。待受け状態の移動端末のサービスタイプとしては、制限されたサービス(Limited service、限られたサービスとも称される)、標準サービス(Normal service)、オペレータサービス(Operator service)がある。制限されたサービスとは、後述のアクセプタブルセル上の緊急呼(Emergency calls)、ETWS(Earthquake and Tsunami Warning System)、CMAS(Commercial Mobile Alert System)である。標準サービス(通常サービス、ノーマルサービスとも称される)とは、後述の適切なセル上の公共のサービスである。オペレータサービスとは、後述のリザーブセル上のオペレータのためのみのサービスである。
「適切なセル」(Suitable cell)について以下に説明する。「適切なセル」(Suitable cell)とは、UEが通常(normal)サービスを受けるためにキャンプオン(Camp ON)するかもしれないセルである。そのようなセルは、以下の(1),(2)の条件を満たすものとする。
(1)セルは、選択されたPLMNもしくは登録されたPLMN、または「Equivalent PLMNリスト」のPLMNの一部であること。
(2)NAS(Non-Access Stratum)によって提供された最新情報にて、さらに以下の(a)〜(d)の条件を満たすこと。
(a)そのセルが禁じられた(barred)セルでないこと。
(b)そのセルが「ローミングのための禁止されたLAs」リストの一部でないトラッキングエリア(Tracking Area:TA)の一部であること。その場合、そのセルは前記(1)を満たす必要がある。
(c)そのセルが、セル選択評価基準を満たしていること。
(d)そのセルが、CSGセルとしてシステム情報(System Information:SI)によって特定されたセルに関しては、CSG−IDはUEの「CSGホワイトリスト」(CSG WhiteList)の一部であること(UEのCSG WhiteList中に含まれること)。
「アクセプタブルセル」(Acceptable cell)について以下に説明する。これは、UEが制限されたサービスを受けるためにキャンプオンするかもしれないセルである。そのようなセルは、以下の(1),(2)のすべての要件を充足するものとする。
(1)そのセルが禁じられたセル(Barred cell、バードセルとも称される)でないこと。(2)そのセルが、セル選択評価基準を満たしていること。
「バードセル」(Barred cell)とは、システム情報で指示がある。「リザーブセル」(Reserved cell)とは、システム情報で指示がある。
「セルにキャンプオン(camp on)する」とは、UEがセル選択(cell selection)またはセル再選択(cell reselection)の処理を完了し、UEがシステム情報とページング情報とをモニタするセルを選択した状態である。UEがキャンプオンするセルを「サービングセル(Serving cell)」と称することがある。
3GPPにおいて、Home−NodeB(Home−NB;HNB)、Home−eNodeB(Home−eNB;HeNB)と称される基地局が検討されている。UTRANにおけるHNB、またはE-UTRANにおけるHeNBは、例えば家庭、法人、商業用のアクセスサービス向けの基地局である。非特許文献4には、HeNBおよびHNBへのアクセスの3つの異なるモードが開示されている。具体的には、オープンアクセスモード(Open access mode)と、クローズドアクセスモード(Closed access mode)と、ハイブリッドアクセスモード(Hybrid access mode)である。
各々のモードは、以下のような特徴を有する。オープンアクセスモードでは、HeNBやHNBは通常のオペレータのノーマルセルとして操作される。クローズドアクセスモードでは、HeNBやHNBがCSGセルとして操作される。これはCSGメンバーのみアクセス可能なCSGセルである。ハイブリッドアクセスモードでは、非CSGメンバーも同時にアクセス許可されているCSGセルとして操作される。ハイブリッドアクセスモードのセル(ハイブリッドセルとも称する)は、言い換えれば、オープンアクセスモードとクローズドアクセスモードの両方をサポートするセルである。
3GPPでは、全PCI(Physical Cell Identity)のうち、CSGセルによって使用するためにネットワークによって予約されたPCI範囲がある(非特許文献1 10.5.1.1章参照)。PCI範囲を分割することをPCIスプリットと称することがある。PCIスプリット情報は、システム情報にて基地局から傘下の移動端末に対して報知される。非特許文献5は、PCIスプリットを用いた移動端末の基本動作を開示する。PCIスプリット情報を有していない移動端末は、全PCIを用いて、例えば504コード全てを用いて、セルサーチを行う必要がある。これに対して、PCIスプリット情報を有する移動端末は、当該PCIスプリット情報を用いてセルサーチを行うことが可能である。
また3GPPでは、リリース10として、ロングタームエボリューションアドヴァンスド(Long Term Evolution Advanced:LTE−A)の規格策定が進められている(非特許文献6、非特許文献7参照)。
LTE−Aシステムでは、高い通信速度、セルエッジでの高いスループット、新たなカバレッジエリアなどを得るために、リレー(Relay)およびリレーノード(RN)をサポートすることが検討されている。リレーノードは、ドナーセル(Donor cell;Donor eNB;DeNB)を介して無線アクセスネットワークに無線で接続される。ドナーセルの範囲内で、ネットワーク(Network:NW)からリレーノードへのリンクは、ネットワークからUEへのリンクと同じ周波数帯域(以下「周波数バンド」という場合がある)を共用する。この場合、リリース8のUEも該ドナーセルに接続することを可能とする。ドナーセルとリレーノードとの間のリンクをバックホールリンク(backhaul link)と称し、リレーノードとUEとの間のリンクをアクセスリンク(access link)と称する。
FDD(Frequency Division Duplex)におけるバックホールリンクの多重方法として、DeNBからRNへの送信は下り(DL)周波数バンドで行われ、RNからDeNBへの送信は上り(UL)周波数バンドで行われる。リレーにおけるリソースの分割方法として、DeNBからRNへのリンクおよびRNからUEへのリンクが一つの周波数バンドで時分割多重され、RNからDeNBへのリンクおよびUEからRNへのリンクも一つの周波数バンドで時分割多重される。こうすることで、リレーにおいて、リレーの送信が自リレーの受信へ干渉することを防ぐことができる。
3GPPでは、通常のeNB(マクロセル)だけでなく、ピコeNB(ピコセル(pico cell))、HeNB(HNB、CSGセル)、ホットゾーンセル用のノード、リレーノード、リモートラジオヘッド(Remote Radio Head:RRH)、リピータなどのいわゆるローカルノードが検討されている。前述のような各種タイプのセルからなるネットワークは、異機種ネットワーク(heterogeneous network、ヘットネット)と称されることもある。
LTEでは、通信に使用可能な周波数バンド(以下「オペレーティングバンド」という場合がある)が予め決められている。非特許文献8には、該周波数バンドが記載されている。FDD(Frequency Division Duplex)による通信においては、下りリンクの周波数バンド(以下「下り周波数バンド」という場合がある)と、それと対をなす上りリンクの周波数バンド(以下「上り周波数バンド」という場合がある)とが予め決められており、上り周波数バンドは下り周波数バンドと異なっている。これは、従来の音声のような通信においては必ず下りリンクと上りリンクとが必要であり、FDDにおいては下りと上りとで周波数を分割することによって、送信と受信とを同時に行えるようにしているためである。
FDDにおいて、下りリンクに用いるリソースのキャリア周波数(以下「下りキャリア周波数」という場合がある)と、上りリンクに用いるリソースのキャリア周波数(以下「上りキャリア周波数」という場合がある)との間隔(TX-RX frequency separation:TX−RX周波数間隔)のデフォルト値が、周波数バンド毎に決められている。非特許文献8には、該TX−RX周波数間隔のデフォルト値が記載されている。
LTEにおいて、セルは、自セルが運用している周波数バンド情報と上りキャリア周波数とを報知情報として、傘下のUEに対して報知する。具体的には、周波数バンド情報は、SIB1に含まれる。上りキャリア周波数は、SIB2に含まれる。上りキャリア周波数がSIB2に含まれない場合、上りキャリア周波数は、TX−RX周波数間隔のデフォルト値を用いて下りキャリア周波数から導出される。UEは、セル選択あるいは再選択をすることによって、下りキャリア周波数を認識し、セルからの報知情報を受信することによって、セルが運用している周波数バンドと上りキャリア周波数とを得ることが可能となる。
非特許文献1に開示されているとおり、3GPPでは、リリース10として「ロングタームエボリューション アドヴァンスド」(Long Term Evolution Advanced:LTE−A)の規格策定が進められている。
LTE−Aシステムでは、100MHzまでのより広い周波数帯域幅(transmission bandwidths)をサポートするため、二つ以上のコンポーネントキャリア(Component Carrier:CC)をアグリゲーション(aggregation)すなわち集約する、キャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation:CA)が検討されている。
LTE対応であるリリース8または9対応のUEが、一つのサービングセルに相当するCC上のみで送受信可能であるのに対して、リリース10対応のUEは、同時に複数のサービングセルに相当するCC上で送受信、あるいは受信のみ、あるいは送信のみをするための能力(ケーパビリティ、capability)を持つことが考えられている。
各CCは、リリース8または9の構成を用いており、CAは、連続CC、非連続CC、異なる周波数帯域幅のCCをサポートする。UEが下りリンクのCC(DL CC)数以上の上りリンクのCC(UL CC)数を構成することは不可能である。同一eNBから構成されるCCは、同じカバレッジを提供する必要は無い。CCは、リリース8または9と互換性を有する。
CAにおいて、上りリンク、下りリンクともに、サービングセル毎に一つの独立したHARQエンティティがある。トランスポートブロックは、サービングセル毎にTTI毎に生成される。各トランスポートブロックとHARQ再送とは、シングルサービングセルにマッピングされる。
CAが構成される場合、UEはNWと唯一つのRRC接続(RRC connection)を有する。RRC接続において、一つのサービングセルがNASモビリティ情報とセキュリティ入力を与える。このセルをプライマリセル(Primary Cell:PCell)と呼ぶ。下りリンクで、PCellに対応するキャリアは、下りプライマリコンポーネントキャリア(Downlink Primary Component Carrier:DL PCC)である。上りリンクで、PCellに対応するキャリアは、上りプライマリコンポーネントキャリア(Uplink Primary Component Carrier:UL PCC)である。
UEケーパビリティに応じて、セカンダリセル(Secondary Cell:SCell)が、PCellとサービングセルとの組を形成するために構成される。下りリンクで、SCellに対応するキャリアは、下りセカンダリコンポーネントキャリア(Downlink Secondary Component Carrier:DL SCC)である。上りリンクで、SCellに対応するキャリアは、上りセカンダリコンポーネントキャリア(Uplink Secondary Component Carrier:UL SCC)である。
一つのUEに対して、一つのPCellと、一つ以上のSCellからなるサービングセルとの組が構成される。
各SCellにおいて、下りリンク(DL)用リソースに加えて、UEによる上りリンク(UL)用リソースの利用が可能である。DL SCCの数は、UL SCCの数以上となる。UL用リソースのみに使用されるSCellは無い。一つのUEにとって、各UL用リソースは、一つのサービングセルのみに属する。サービングセルの数は、UEのケーパビリティによる。
PCellは、HOプロシージャのみで変更される。PCellは、PUCCHの送信に用いられる。なお、UL−SCHの無いDL−SCHのHARQのためのPUCCHは、UL PCCのみで送信される。PCellは、SCellsとは異なり、デアクティベート(de-activate)されない。
PCellがRLF(Radio link failure)となったとき、リエスタブリッシュメント(Re-establishment)がトリガされる。SCellsではトリガされない。NAS情報は、PCellから得られる。
SCellsの再構成(reconfiguration)、追加(addition)、削除(removal)は、RRCによってなされる。LTE内のハンドオーバでもまた、RRCは、ターゲットPCellとともに使用されるSCellsを追加(addition)、削除(removal)、再構成(reconfiguration)する。
SCell追加の際、そのSCellの必要な全システム情報(SI)を送信するため、個別RRCシグナリング(dedicated RRC signaling)が用いられる。すなわち、コネクテッドモードで行われ、UEは、SCellから報知されるSIを受信する必要は無い。
SCellの追加(addition)、更新(modification)は、個別RRCシグナリングの「RRC Connection Reconfiguration message」を用いて、PCellが移動端末へ通知することが検討されている(非特許文献2参照)。SCellの削除(release)は、個別RRCシグナリングの「RRC Connection Reconfiguration message」を用いて、PCellが移動端末へ通知する、あるいは「RRC Connection re-establishment」によりトリガされることが検討されている(非特許文献2参照)。個別RRCシグナリングの「RRC Connection Reconfiguration message」の中には、「SCell To AddModList」、「SCell To ReleaseList」が含まれる。
また、各セルにおいて、SIB2は上りリンク用リソースのキャリア周波数を示す。
ローカルノードは、高速かつ大容量の通信などの種々のサービスの要求に応じて、マクロセルを補完するために配置される。したがって、ローカルノードが、マクロセルのカバレッジ内に設置される場合も生じる。この場合、移動端末からローカルノードに対して干渉が生じることがある。
具体例として、ローカルノードがリモートラジオヘッド(RRH)であり、マクロセルのカバレッジの方が、RRHのカバレッジよりも大きい場合、すなわちマクロセルの下り送信電力の方が、RRHの下り送信電力よりも大きい場合を考える。各地点での移動端末の下り受信電力は、各ノードからの距離が大きくなるに従って、小さくなる。移動端末の各ノードに対する上り送信電力は、各ノードからの距離が大きくなるに従って、大きくする必要がある。
従来の技術の移動端末は、下り受信品質が最も良いセルにキャンプオンし、その後、必要に応じて通信を開始する(非特許文献3参照)。マクロセルからの下り受信電力の方が、RRHからの下り受信電力よりも大きい地域では、移動端末は、マクロセルにキャンプオンし、マクロセルに上り送信を行う。
このような地域のうち、移動端末からのマクロセルに対する上り送信電力の方が、移動端末からのRRHに対する上り送信電力よりも大きい地域では、上りリンクではUEとRRHとの間のリンクの方が良好となり、下りリンクではUEとマクロセルとの間のリンクの方が良好となる。このようにリンクの不均衡、すなわちリンクインバランス(link imbalance)が発生する。
リンクインバランスが発生すると、移動端末からのマクロセルに対する比較的大きい上り送信電力によって、移動端末からRRHに対して干渉が発生する。また、この干渉によって、移動端末とマクロセルとの通信、または移動端末とRRHとの通信が妨げられ、通信システム全体のスループットの低下が生じる。したがって、このようにマクロセルとローカルノードとが混在して配置される異機種ネットワークであるヘットネットにおいて生じる干渉を低減し、通信システム全体のスループットを向上させるための方法が要求される。
非特許文献10には、異機種ネットワークにおけるセル間の干渉問題に対する解決策が開示されている。具体的には、解決策として、移動端末が通信を行う場合、上りと下りとにおいて独立した無線リンクを用いることが開示されている。この解決策では、各セルにおいて同じ周波数が用いられている。
非特許文献11にも、異機種ネットワークにおけるセル間の干渉問題に対する解決策が開示されている。具体的には、解決策として、マクロセルとピコセルとにおいてキャリア周波数を異ならせて、各セル内でキャリアアグリゲーションすること、および移動端末がピコセルに近づいた場合、移動端末はピコセルにアクセスすることが開示されている。しかし、非特許文献11には、移動端末がピコセルに近づいた場合に、移動端末がピコセルにアクセスする方法の詳細については、開示されていない。
非特許文献1には、キャリアアグリゲーションのいくつかのシナリオが開示されている。非特許文献1に開示されている複数のシナリオのうち、シナリオ4には、周波数2(F2)で動作するRRHと、周波数1(F1)で動作するマクロセルとをキャリアアグリゲーションすることが開示されている。
実施の形態1.
図7は、現在3GPPにおいて議論されているLTE方式の移動体通信システムの全体的な構成を示すブロック図である。現在3GPPにおいては、CSG(Closed Subscriber Group)セル(E−UTRANのHome−eNodeB(Home−eNB;HeNB)、UTRANのHome−NB(HNB))と、non−CSGセル(E−UTRANのeNodeB(eNB)、UTRANのNodeB(NB)、GERANのBSS)とを含めたシステムの全体的な構成が検討されており、E−UTRANについては、図7のような構成が提案されている(非特許文献1 4.6.1章参照)。
図7について説明する。移動端末装置(以下「移動端末」または「UE」という)71は、基地局装置(以下「基地局」という)72と無線通信可能であり、無線通信で信号の送受信を行う。移動端末装置は、通信端末装置に相当する。基地局72は、マクロセルであるeNB72−1と、ローカルノードであるHome−eNB72−2とに分類される。eNB72−1は、大規模基地局装置に相当し、移動端末(UE)71と通信可能な範囲であるカバレッジとして、比較的大きい大規模カバレッジを有する。Home−eNB72−2は、小規模基地局装置に相当し、カバレッジとして、比較的小さい小規模カバレッジを有する。
eNB72−1は、MME、あるいはS−GW、あるいはMMEおよびS−GWを含むMME/S−GW部(以下「MME部」という場合がある)73とS1インタフェースにより接続され、eNB72−1とMME部73との間で制御情報が通信される。ひとつのeNB72−1に対して、複数のMME部73が接続されてもよい。eNB72−1間は、X2インタフェースにより接続され、eNB72−1間で制御情報が通信される。
Home−eNB72−2は、MME部73とS1インタフェースにより接続され、Home−eNB72−2とMME部73との間で制御情報が通信される。ひとつのMME部73に対して、複数のHome−eNB72−2が接続される。あるいは、Home−eNB72−2は、HeNBGW(Home-eNB GateWay)74を介してMME部73と接続される。Home−eNB72−2とHeNBGW74とは、S1インタフェースにより接続され、HeNBGW74とMME部73とはS1インタフェースを介して接続される。ひとつまたは複数のHome−eNB72−2がひとつのHeNBGW74と接続され、S1インタフェースを通して情報が通信される。HeNBGW74は、ひとつまたは複数のMME部73と接続され、S1インタフェースを通して情報が通信される。MME部73およびHeNBGW74は、上位ノード装置に相当し、基地局であるeNB72−1およびHome−eNB72−2と、移動端末(UE)71との接続を制御する。
さらに現在3GPPでは、以下のような構成が検討されている。Home−eNB72−2間のX2インタフェースはサポートされる。すなわち、Home−eNB72−2間は、X2インタフェースにより接続され、Home−eNB72−2間で制御情報が通信される。MME部73からは、HeNBGW74はHome−eNB72−2として見える。Home−eNB72−2からは、HeNBGW74はMME部73として見える。Home−eNB72−2が、HeNBGW74を介してMME部73に接続される場合および直接MME部73に接続される場合のいずれの場合も、Home−eNB72−2とMME部73との間のインタフェースは、S1インタフェースで同じである。HeNBGW74は、複数のMME部73にまたがるような、Home−eNB72−2へのモビリティ、あるいはHome−eNB72−2からのモビリティはサポートしない。Home−eNB72−2は、唯一のセルをサポートする。
図8は、本発明に係る移動端末(図7の移動端末71)の構成を示すブロック図である。図8に示す移動端末71の送信処理を説明する。まず、プロトコル処理部801からの制御データ、およびアプリケーション部802からのユーザデータが、送信データバッファ部803へ保存される。送信データバッファ部803に保存されたデータは、エンコーダー部804へ渡され、誤り訂正などのエンコード処理が施される。エンコード処理を施さずに、送信データバッファ部803から変調部805へ直接出力されるデータが存在してもよい。エンコーダー部804でエンコード処理されたデータは、変調部805にて変調処理が行われる。変調されたデータは、ベースバンド信号に変換された後、周波数変換部806へ出力され、無線送信周波数に変換される。その後、アンテナ807から基地局72に送信信号が送信される。
また、移動端末71の受信処理は、以下のとおりに実行される。基地局72からの無線信号がアンテナ807により受信される。受信信号は、周波数変換部806にて無線受信周波数からベースバンド信号に変換され、復調部808において復調処理が行われる。復調後のデータは、デコーダー部809へ渡され、誤り訂正などのデコード処理が行われる。デコードされたデータのうち、制御データはプロトコル処理部801へ渡され、ユーザデータはアプリケーション部802へ渡される。移動端末71の一連の処理は、制御部810によって制御される。よって制御部810は、図8では省略しているが、各部801〜809と接続している。
図9は、本発明に係る基地局(図7の基地局72)の構成を示すブロック図である。図9に示す基地局72の送信処理を説明する。EPC通信部901は、基地局72とEPC(MME部73、HeNBGW74など)との間のデータの送受信を行う。他基地局通信部902は、他の基地局との間のデータの送受信を行う。EPC通信部901および他基地局通信部902は、それぞれプロトコル処理部903と情報の受け渡しを行う。プロトコル処理部903からの制御データ、ならびにEPC通信部901および他基地局通信部902からのユーザデータおよび制御データは、送信データバッファ部904へ保存される。
送信データバッファ部904に保存されたデータは、エンコーダー部905へ渡され、誤り訂正などのエンコード処理が施される。エンコード処理を施さずに、送信データバッファ部904から変調部906へ直接出力されるデータが存在してもよい。エンコードされたデータは、変調部906にて変調処理が行われる。変調されたデータは、ベースバンド信号に変換された後、周波数変換部907へ出力され、無線送信周波数に変換される。その後、アンテナ908より一つもしくは複数の移動端末71に対して送信信号が送信される。
また、基地局72の受信処理は以下のとおりに実行される。ひとつもしくは複数の移動端末71からの無線信号が、アンテナ908により受信される。受信信号は、周波数変換部907にて無線受信周波数からベースバンド信号に変換され、復調部909で復調処理が行われる。復調されたデータは、デコーダー部910へ渡され、誤り訂正などのデコード処理が行われる。デコードされたデータのうち、制御データはプロトコル処理部903あるいはEPC通信部901、他基地局通信部902へ渡され、ユーザデータはEPC通信部901および他基地局通信部902へ渡される。基地局72の一連の処理は、制御部911によって制御される。よって制御部911は、図9では省略しているが、各部901〜910と接続している。
現在3GPPにおいて議論されているHome−eNB72−2の機能を以下に示す(非特許文献1 4.6.2章参照)。Home−eNB72−2は、eNB72−1と同じ機能を有する。加えて、HeNBGW74と接続する場合、Home−eNB72−2は、適当なサービングHeNBGW74を発見する機能を有する。Home−eNB72−2は、1つのHeNBGW74に唯一接続する。つまり、HeNBGW74との接続の場合は、Home−eNB72−2は、S1インタフェースにおけるFlex機能を使用しない。Home−eNB72−2は、1つのHeNBGW74に接続されると、同時に別のHeNBGW74や別のMME部73に接続しない。
Home−eNB72−2のTACとPLMN IDは、HeNBGW74によってサポートされる。Home−eNB72−2をHeNBGW74に接続すると、「UE attachment」でのMME部73の選択は、Home−eNB72−2の代わりに、HeNBGW74によって行われる。Home−eNB72−2は、ネットワーク計画なしで配備される可能性がある。この場合、Home−eNB72−2は、1つの地理的な領域から別の地理的な領域へ移される。したがって、この場合のHome−eNB72−2は、位置によって、異なったHeNBGW74に接続する必要がある。
図10は、本発明に係るMMEの構成を示すブロック図である。図10では、前述の図7に示すMME部73に含まれるMME73aの構成を示す。PDN GW通信部1001は、MME73aとPDN GWとの間のデータの送受信を行う。基地局通信部1002は、MME73aと基地局72との間のS1インタフェースによるデータの送受信を行う。PDN GWから受信したデータがユーザデータであった場合、ユーザデータは、PDN GW通信部1001から、ユーザプレイン通信部1003経由で基地局通信部1002に渡され、1つあるいは複数の基地局72へ送信される。基地局72から受信したデータがユーザデータであった場合、ユーザデータは、基地局通信部1002から、ユーザプレイン通信部1003経由でPDN GW通信部1001に渡され、PDN GWへ送信される。
PDN GWから受信したデータが制御データであった場合、制御データは、PDN GW通信部1001から制御プレイン制御部1005へ渡される。基地局72から受信したデータが制御データであった場合、制御データは、基地局通信部1002から制御プレイン制御部1005へ渡される。
HeNBGW通信部1004は、HeNBGW74が存在する場合に設けられ、情報種別によって、MME73aとHeNBGW74との間のインタフェース(IF)によるデータの送受信を行う。HeNBGW通信部1004から受信した制御データは、HeNBGW通信部1004から制御プレイン制御部1005へ渡される。制御プレイン制御部1005での処理の結果は、PDN GW通信部1001経由でPDN GWへ送信される。また、制御プレイン制御部1005で処理された結果は、基地局通信部1002経由でS1インタフェースにより1つあるいは複数の基地局72へ送信され、またHeNBGW通信部1004経由で1つあるいは複数のHeNBGW74へ送信される。
制御プレイン制御部1005には、NASセキュリティ部1005−1、SAEベアラコントロール部1005−2、アイドルステート(Idle State)モビリティ管理部1005―3などが含まれ、制御プレインに対する処理全般を行う。NASセキュリティ部1005―1は、NAS(Non-Access Stratum)メッセージのセキュリティなどを行う。SAEベアラコントロール部1005―2は、SAE(System Architecture Evolution)のベアラの管理などを行う。アイドルステートモビリティ管理部1005―3は、待受け状態(LTE−IDLE状態、単にアイドルとも称される)のモビリティ管理、待受け状態時のページング信号の生成および制御、傘下の1つあるいは複数の移動端末71のトラッキングエリア(TA)の追加、削除、更新、検索、トラッキングエリアリスト(TA List)管理などを行う。
MME73aは、UEが登録されている(registered)追跡領域(トラッキングエリア:Tracking Area:TA)に属するセルへ、ページングメッセージを送信することで、ページングプロトコルに着手する。MME73aに接続されるHome−eNB72−2のCSGの管理やCSG−IDの管理、そしてホワイトリスト管理は、アイドルステートモビリティ管理部1005―3で行ってもよい。
CSG−IDの管理では、CSG−IDに対応する移動端末とCSGセルとの関係が管理(追加、削除、更新、検索)される。例えば、あるCSG−IDにユーザアクセス登録された一つまたは複数の移動端末と該CSG−IDに属するCSGセルとの関係であってもよい。ホワイトリスト管理では、移動端末とCSG−IDとの関係が管理(追加、削除、更新、検索)される。例えば、ホワイトリストには、ある移動端末がユーザ登録した一つまたは複数のCSG−IDが記憶されてもよい。これらのCSGに関する管理は、MME73aの中の他の部分で行われてもよい。MME73aの一連の処理は、制御部1006によって制御される。よって制御部1006は、図10では省略しているが、各部1001〜1005と接続している。
現在3GPPにおいて議論されているMME73aの機能を以下に示す(非特許文献1 4.6.2章参照)。MME73aは、CSG(Closed Subscriber Groups)のメンバーの1つ、あるいは複数の移動端末のアクセスコントロールを行う。MME73aは、ページングの最適化(Paging optimization)の実行をオプションとして認める。
図11は、本発明に係るHeNBGWである図7に示すHeNBGW74の構成を示すブロック図である。EPC通信部1101は、HeNBGW74とMME73aとの間のS1インタフェースによるデータの送受信を行う。基地局通信部1102は、HeNBGW74とHome−eNB72−2との間のS1インタフェースによるデータの送受信を行う。ロケーション処理部1103は、EPC通信部1101経由で渡されたMME73aからのデータのうちレジストレーション情報などを、複数のHome−eNB72−2に送信する処理を行う。ロケーション処理部1103で処理されたデータは、基地局通信部1102に渡され、ひとつまたは複数のHome−eNB72−2にS1インタフェースを介して送信される。
ロケーション処理部1103での処理を必要とせず通過(透過)させるだけのデータは、EPC通信部1101から基地局通信部1102に渡され、ひとつまたは複数のHome−eNB72−2にS1インタフェースを介して送信される。HeNBGW74の一連の処理は、制御部1104によって制御される。よって制御部1104は、図11では省略しているが、各部1101〜1103と接続している。
現在3GPPにおいて議論されているHeNBGW74の機能を以下に示す(非特許文献1 4.6.2章参照)。HeNBGW74は、S1アプリケーションについてリレーする。Home−eNB72−2へのMME73aの手順の一部分であるが、HeNBGW74は、移動端末71に関係しないS1アプリケーションについて終端する。HeNBGW74が配置されるとき、移動端末71に無関係な手順がHome−eNB72−2とHeNBGW74との間、そしてHeNBGW74とMME73aとの間を通信される。HeNBGW74と他のノードとの間でX2インタフェースは設定されない。HeNBGW74は、ページングの最適化(Paging optimization)の実行をオプションとして認める。
次に移動体通信システムにおける一般的なセルサーチ方法の一例を示す。図12は、LTE方式の通信システムにおいて移動端末(UE)が行うセルサーチから待ち受け動作までの概略を示すフローチャートである。移動端末は、セルサーチを開始すると、ステップST1201で、周辺の基地局から送信される第一同期信号(P−SS)、および第二同期信号(S−SS)を用いて、スロットタイミング、フレームタイミングの同期をとる。P−SSとS−SSとを合わせて、同期信号(SS)には、セル毎に割り当てられたPCI(Physical Cell Identity)に1対1に対応するシンクロナイゼーションコードが割り当てられている。PCIの数は現在504通りが検討されており、この504通りのPCIを用いて同期をとるとともに、同期がとれたセルのPCIを検出(特定)する。
次に同期がとれたセルに対して、ステップST1202で、基地局からセル毎に送信される参照信号(リファレンスシグナル:RS)であるセル固有参照信号(cell-specific Reference Signal:CRS)を検出し、RSの受信電力(RSRPとも称される)の測定を行う。参照信号(RS)には、PCIと1対1に対応したコードが用いられており、そのコードで相関をとることによって他セルと分離できる。ステップST1201で特定したPCIから、該セルのRS用のコードを導出することによって、RSを検出し、RSの受信電力を測定することが可能となる。
次にステップST1203で、ステップST1202までで検出されたひとつ以上のセルの中から、RSの受信品質が最もよいセル、例えば、RSの受信電力が最も高いセル、つまりベストセルを選択する。
次にステップST1204で、ベストセルのPBCHを受信して、報知情報であるBCCHを得る。PBCH上のBCCHには、セル構成情報が含まれるMIB(Master Information Block)がのる。したがってPBCHを受信してBCCHを得ることで、MIBが得られる。MIBの情報としては、例えば、DL(ダウンリンク)システム帯域幅(送信帯域幅設定(transmission bandwidth configuration:dl-bandwidth)とも呼ばれる)、送信アンテナ数、SFN(System Frame Number)などがある。
次にステップST1205で、MIBのセル構成情報をもとに該セルのDL−SCHを受信して、報知情報BCCHの中のSIB(System Information Block)1を得る。SIB1には、該セルへのアクセスに関する情報や、セルセレクションに関する情報、他のSIB(SIBk;k≧2の整数)のスケジューリング情報が含まれる。また、SIB1には、TAC(Tracking Area Code)が含まれる。
次にステップST1206で、移動端末は、ステップST1205で受信したSIB1のTACと、移動端末が既に保有しているTA(Tracking Area)リスト内のTACとを比較する。比較した結果、ステップST1205で受信したTACがTA(Tracking Area)リスト内に含まれるTACと同じならば、該セルで待ち受け動作に入る。比較して、ステップST1205で受信したTACがTA(Tracking Area)リスト内に含まれなければ、移動端末は該セルを通してコアネットワーク(Core Network,EPC)(MMEなどが含まれる)へ、TAU(Tracking Area Update)を行うためにTA(Tracking Area)の変更を要求する。コアネットワークは、TAU要求信号とともに移動端末から送られてくる該移動端末の識別番号(UE−IDなど)をもとに、TA(Tracking Area)リストの更新を行う。コアネットワークは、移動端末に更新後のTA(Tracking Area)リストを送信する。移動端末は、受信したTA(Tracking Area)リストにて移動端末が保有するTACリストを書き換える(更新する)。その後、移動端末は、該セルで待ち受け動作に入る。
LTE、LTE−AおよびUMTS(Universal Mobile Telecommunication System)においては、CSG(Closed Subscriber Group)セルの導入が検討されている。前述したように、CSGセルに登録したひとつまたは複数の移動端末のみにアクセスが許される。CSGセルと登録されたひとつまたは複数の移動端末とがひとつのCSGを構成する。このように構成されたCSGには、CSG−IDと呼ばれる固有の識別番号が付される。なお、ひとつのCSGには、複数のCSGセルがあってもよい。移動端末は、どれかひとつのCSGセルに登録すれば、そのCSGセルが属するCSGの他のCSGセルにはアクセス可能となる。
また、LTEおよびLTE−AでのHome−eNBやUMTSでのHome−NBが、CSGセルとして使われることがある。CSGセルに登録した移動端末は、ホワイトリストを有する。具体的には、ホワイトリストはSIM(Subscriber Identity Module)/USIMに記憶される。ホワイトリストには、移動端末が登録したCSGセルのCSG情報が格納される。CSG情報として具体的には、CSG−ID、TAI(Tracking Area Identity)、TACなどが考えられる。CSG−IDとTACとが対応付けられていれば、どちらか一方でよい。また、CSG−IDおよびTACと、GCI(Global Cell Identity)とが対応付けられていればGCIでもよい。
以上から、ホワイトリストを有しない(本発明においては、ホワイトリストが空(empty)の場合も含める)移動端末は、CSGセルにアクセスすることは不可能であり、non−CSGセルのみにしかアクセスできない。一方、ホワイトリストを有する移動端末は、登録したCSG−IDのCSGセルにも、non−CSGセルにもアクセスすることが可能となる。
3GPPでは、全PCI(Physical Cell Identity)を、CSGセル用とnon−CSGセル用とに分割することが議論されている(非特許文献1参照)。全PCIのうち、CSGセルによって使用するためにネットワークによって予約されたPCI範囲がある(非特許文献1 10.5.1.1章参照)。PCI範囲を分割することをPCIスプリットと称することがある。PCIスプリット情報は、システム情報にて基地局から傘下の移動端末に対して報知される。非特許文献5は、PCIスプリットを用いた移動端末の基本動作を開示する。PCIスプリット情報を有していない移動端末は、全PCIを用いて、例えば504コード全てを用いて、セルサーチを行う必要がある。これに対して、PCIスプリット情報を有する移動端末は、当該PCIスプリット情報を用いてセルサーチを行うことが可能である。
また3GPPでは、ハイブリッドセルのためのPCIは、CSGセル用のPCI範囲の中には含まれないことが決定されている(非特許文献1 10.7章参照)。
3GPPでは、移動端末がCSGセルをセレクション、あるいはリセレクションする方法について2つのモードが存在する。1つ目は、自動(Automatic)モードである。自動モードの特徴を以下に示す。移動端末内の許可CSGリスト(Allowed CSG ID List)を利用して、セレクション、あるいはリセレクションを行う。PLMNの選択が完了した後、non−CSGセル、あるいは許可CSGリストに存在するCSG IDを伴うCSGセルである場合にのみ、選択している該PLMN中の1つのセルにキャンプオンする。移動端末の許可CSGリストが空であるならば、移動端末は、CSGセルの自立(autonomous)サーチ機能を停止する(非特許文献3 5.2.4.8.1章参照)。
2つ目は、手動(Manual)モードである。手動モードの特徴を以下に示す。移動端末は、現在選択されているPLMNで利用可能なCSGのリストを、ユーザに示す。移動端末がユーザに提供するCSGのリストは、移動端末に保存されている許可CSGリストに含まれるCSGに限られない。ユーザが該CSGのリストに基づいてCSGを選定した後、移動端末は、選択されたCSG IDを伴うセルへキャンプオンし、登録(register)を試みる(非特許文献3参照)。
HeNBおよびHNBに対しては、様々なサービスへの対応が求められている。例えば、オペレータは、ある決められたHeNBおよびHNBに移動端末を登録させ、登録した移動端末のみにHeNBおよびHNBのセルへのアクセスを許可することで、該移動端末が使用できる無線リソースを増大させて、高速に通信を行えるようにする。その分、オペレータは、課金料を通常よりも高く設定する、といったサービスである。
このようなサービスを実現するため、登録した(加入した、メンバーとなった)移動端末のみがアクセスできるCSGセル(Closed Subscriber Group cell)が導入されている。CSGセル(Closed Subscriber Group cell)は、商店街やマンション、学校、会社などへ数多く設置されることが要求される。例えば、商店街では店舗毎、マンションでは部屋毎、学校では教室毎、会社ではセクション毎にCSGセルを設置し、各CSGセルに登録したユーザのみが該CSGセルを使用可能とするような使用方法が要求されている。HeNB/HNBは、マクロセルのカバレッジ外での通信を補完するため(エリア補完型HeNB/HNB)だけでなく、上述したような様々なサービスへの対応(サービス提供型HeNB/HNB)が求められている。このため、HeNB/HNBがマクロセルのカバレッジ内に設置される場合も生じる。
前述のように、LTE−Aシステムでは、LTEシステムの周波数帯域幅よりも広い100MHzまでの周波数帯域幅をサポートするために、二つ以上のCCをアグリゲーション、すなわち集約する、CAが検討されている。
図13は、CAの概念を示す図である。図13に示すeNBは、DL CCnと、SIB2によるDL/ULリンクによってDL−CCnとそれぞれ関連付けられたUL CCnとからなるセルnを構成する。DL CCnのキャリア周波数をFn(DL)で示し、UL CCnのキャリア周波数をFn(UL)で示す。ここで、nは1〜5の整数である。
UEは、セル1にキャンプオンし、矢符1301で示されるRRC接続を行う。これによって、セル1がPCellとなる。
その後、eNBは、該UEに対して、矢符1302で示される個別RRCシグナリングによって、アグリゲーションするCCに関する情報を通知する。CCに関する情報としては、DL CCmとUL CCmとからなるセルmに関する情報、例えばシステム情報を通知する。ここで、mは2〜5の整数である。このように、eNBがUEに対して前記CCに関する情報を通知することによって、セル2〜セル5がSCellとなる。
以上のようにして、eNBは、UEに対して、セル1〜セル5によってCAを行う。そして、UEは、セル1〜セル5との間で、CAに基づいて、矢符1303で示されるように通信を行う。
CAをサポートするUEの構成例を示す。前述の図8で示した構成で、変調部805、周波数変換部806、アンテナ807および復調部808の一部あるいは全部を広帯域化すればよい。送信側においては、変調部805、周波数変換部806およびアンテナ807の一部あるいは全部を、所定の数の連続したUL CCを含む帯域で動作するようにすればよい。受信側においては、アンテナ807、周波数変換部806および復調部808の一部あるいは全部を、所定の数の連続したDL CCを含む帯域で動作するようにすればよい。このようにすることによって、所定の数の連続したUL CCあるいはDL CCによるCAをサポートすることが可能となる。
また、別の方法として、変調部805、周波数変換部806、アンテナ807および復調部808の一部あるいは全部を複数並列に設けて、所定の数の複数の非連続なUL CCあるいはDL CCを含む帯域で動作するようにすればよい。送信側においては、変調部805、周波数変換部806およびアンテナ807の一部あるいは全部を複数並列に設けて、所定の数の非連続なUL CCを含む帯域で動作するようにすればよい。受信側においては、アンテナ807、周波数変換部806および復調部808の一部あるいは全部を複数並列に設けて、所定の数の非連続なDL CCを含む帯域で動作するようにすればよい。このようにすることによって、所定の数の非連続なUL CCあるいはDL CCによるCAをサポートすることが可能となる。また、前記二つの構成を適宜組み合わせてもよい。
CAをサポートするeNBの構成例を示す。前述の図9で示した構成において、プロトコル処理部903で、eNBが構成するセル毎のCAを行うUEに対する処理を行い、送信データバッファ部904、エンコーダー部905、変調部906、周波数変換部907、アンテナ908、復調部909およびデコーダー部910をセル毎に構成すればよい。このようにすることによって、eNBが構成するセルにより、UEに対してCAを行うことが可能となる。
基地局の構成については、前述の図9で説明した通りである。以下に、リモートラジオヘッド(RRH)について説明する。基地局は、以下の機能部を備えて構成される。機能部は、制御部、ベースバンド部、伝送路インタフェース部および無線機能部を含む。各機能部と、図9に示す基地局72を構成する各部との対応関係について説明する。
制御部は、基地局全体の制御を行う制御部911と、呼制御のプロトコルに関する処理を行うプロトコル処理部903とを含む。ベースバンド部は、ユーザデータおよび制御データを保存する送信データバッファ部904と、エンコード処理を行うエンコーダー部905と、デコード処理を行うデコーダー部910とを含む。
伝送路インタフェース部は、EPCとの間のデータの送受信を行うEPC通信部901と、他の基地局との間のデータの送受信を行う他基地局通信部902とを含む。無線機能部は、変調処理を行う変調部906と、周波数変換部907と、無線信号の送受信を行うアンテナ908と、復調処理を行う復調部909とを含む。周波数変換部907は、ベースバンド信号のベースバンド周波数から無線送信周波数への変換、および無線送信周波数からベースバンド信号のベースバンド周波数への変換を行う。
基地局を構成する全ての機能部を1箇所にまとめて設置するだけでなく、機能部を分離して設置することも可能である。このとき、前記機能部単位で分離する必要はなく、各機能部を構成する部単位で分離するようにしてもよい。機能部を分離して設置する場合は、分離した各部の間は、高速通信可能な専用線で接続される。
このように機能部を分離して設置する場合、基地局の構成のうち、無線信号を送受信する無線部分を含む部分、具体的にはアンテナ908を含む部分を「リモートラジオヘッド(RRH)」と称する。基地局の構成のうち、リモートラジオヘッドに含まれない構成を含む部分、すなわち無線部分を含まない部分を「マクロセル」と称することがある。
図14は、リモートラジオヘッド1401およびマクロセル1402の各構成の一例を示すブロック図である。図14に示すリモートラジオヘッド1401およびマクロセル1402の各構成は、図9に示す基地局72の構成と類似しているので、対応する部分については同一の参照符を付して、共通する説明を省略する。
図14に示すリモートラジオヘッド1401は、無線機能部のアンテナ908および周波数変換部907を含む。マクロセル1402は、基地局の構成のうち、リモートラジオヘッド1401に含まれない構成を含む。図14に示す例では、マクロセル1402は、EPC通信部901、他基地局通信部902、プロトコル処理部903、送信データバッファ部904、エンコーダー部905、変調部906、復調部909、デコーダー部910および制御部911を含む。
リモートラジオヘッド1401とマクロセル1402との間は、専用線1403で接続される。リモートラジオヘッド1401とマクロセル1402との間は、ベースバンド信号によってデータの送受信が行われる。
本実施の形態とは異なるが、リモートラジオヘッドにアンテナ908、周波数変換部907、変調部906および復調部909が含まれ、マクロセルにエンコーダー部905、デコーダー部910、送信データバッファ部904、EPC通信部901、他基地局通信部902、プロトコル処理部903および制御部911が含まれる場合も考えられる。この場合、リモートラジオヘッドとマクロセルとの間は、変調前データ、または復調後データによって、データの送受信が行われる。
また、リモートラジオヘッドにアンテナ908、周波数変換部907、変調部906、復調部909、エンコーダー部905およびデコーダー部910が含まれ、マクロセルに送信データバッファ部904、EPC通信部901、他基地局通信部902、プロトコル処理部903および制御部911が含まれる場合も考えられる。この場合、リモートラジオヘッドとマクロセルとの間は、エンコード前データ、またはデコード後データによって、データの送受信が行われる。
さらに、リモートラジオヘッドにアンテナ908が含まれ、マクロセルに周波数変換部907、変調部906、復調部909、エンコーダー部905、デコーダー部910、送信データバッファ部904、EPC通信部901、他基地局通信部902、プロトコル処理部903および制御部911が含まれる場合も考えられる。この場合、リモートラジオヘッドとマクロセルの間は、無線信号(RF信号)によって、データの送受信が行われる。
また、リモートラジオヘッドは、前述の図9に示すように全ての機能部が一体に構成される基地局72を分離して設置する場合に用いられるだけでない。例えば、基地局に、無線部分を含む部分であるリモートラジオヘッドを付加させる場合も考えられる。
図15は、基地局にリモートラジオヘッドを付加させた場合の構成の一例を示すブロック図である。図15に示す構成は、図9に示す構成と類似しているので、対応する部分については同一の参照符を付して、共通する説明を省略する。
図15に示す基地局は、図9に示す基地局72に相当するマクロセル1501と、2つのリモートラジオヘッド1502,1503とを備えて構成される。図15に示す各リモートラジオヘッド1502,1503は、図14に示した無線機能部のアンテナ908および周波数変換部907を含んで構成される。各リモートラジオヘッド1502,1503は、専用線1504によって、マクロセル1501に接続されている。図15に示す例では、リモートラジオヘッドは2つであるが、リモートラジオヘッドは、1つであってもよいし、複数であってもよい。
実施の形態1で解決する課題について、以下に説明する。マクロセルと、リモートラジオヘッド(RRH)などのローカルノードとは、混在して配置されて、異機種ネットワークと称されるネットワークを構築する。異機種ネットワークにおいて、ローカルノードは、高速かつ大容量の通信などの種々のサービスの要求に応じて、マクロセルを補完するために配置される。したがって、ローカルノードが、マクロセルのカバレッジ内に設置される場合も生じる。この場合、マクロセルとローカルノードとの間で干渉が生じることがある。
ローカルノードがマクロセルのカバレッジ内に設置される場合に生じる干渉の具体例について、図16および図17を用いて以下に説明する。図16は、マクロセル1601のカバレッジ1602内にRRH1603が配置されている場合の状況を示す図である。図17は、マクロセル1601とRRH1603との間の各地点における移動端末の下り受信電力および上り送信電力を示す図である。図17では、図16に示すマクロセル1601およびRRH1603を、それぞれ、アンテナで代表して示している。
図17において、縦軸は電力を示し、横軸は位置を示す。図17では、各地点でのマクロセル1601からの下り受信電力を右下がりの実線で示す。また、各地点でのRRH1603からの下り受信電力を左下がりの実線で示す。また、各地点でのマクロセル1601に対する上り送信電力を右上がりの二点鎖線で示す。また、各地点でのRRH1603に対する上り送信電力を左上がりの二点鎖線で示す。
図16に示す例では、マクロセル1601のカバレッジ1602内に、RRH1603が配置されている。RRH1603は、カバレッジ1604を有する。図16に示すように、マクロセル1601のカバレッジ1602とRRH1603のカバレッジ1604とを比較して、マクロセル1601のカバレッジ1602の方が大きい場合を考える。このことは、下り送信電力を比較した場合、マクロセル1601の下り送信電力の方が、RRH1603の下り送信電力よりも大きいことを意味する。
図17において右下がりの実線および左下がりの実線で示されるように、各地点での移動端末の下り受信電力は、各ノード、すなわちマクロセル1601およびRRH1603からの距離が大きくなるに従って、小さくなる。また、図17においての右上がりの二点鎖線および左上がりの二点鎖線で示されるように、移動端末の各ノード、すなわち基地局であるマクロセル1601およびRRH1603に対する上り送信電力は、各ノードからの距離が大きくなるに従って、大きくする必要がある。これらは、伝播損失の影響である。この伝播損失を「パスロス」と称することがある。
従来の技術の移動端末は、下り受信品質が最も良いセルにキャンプオンし、その後、必要に応じて通信を開始する(非特許文献3参照)。例えば、地点Cに移動端末が位置した場合を考える。図17において右下がりの実線で示されるように、地点Cにおけるマクロセル1601からの下り受信電力は、値Dとなる。また左下がりの実線で示されるように、地点CにおけるRRH1603からの下り受信電力は、値Eとなる。図17に示すように値Eよりも値Dの方が大きいので、移動端末は、マクロセル1601にキャンプオンし、その後、必要に応じて通信を開始する。つまり地点Cにおいては、移動端末は、マクロセル1601に上り送信を行う。
また図17において右上がりの二点鎖線で示されるように、地点Cにおけるマクロセル1601に対する上り送信電力は、値Eとなる。また、左上がりの二点鎖線で示されるように、地点CにおけるRRH1603に対する上り送信電力は、値Fとなる。つまり、地点Cにおいては、移動端末からマクロセル1601への上り送信に必要な送信電力は、移動端末からRRH1603への上り送信に必要な送信電力と比較して大きくなる。
したがって地点Cにおいては、上りリンクでは移動端末とRRH1603との間のリンクが良好となり、下りリンクでは移動端末とマクロセル1601との間のリンクが良好となる。
図17に示す地点Aと地点Bとの間の地域Zでは、地点Cと同様に、マクロセル1601からの下り受信電力の方が、RRH1603からの下り受信電力よりも大きく、かつマクロセル1601に対する上り送信電力の方が、RRH1603に対する上り送信電力よりも大きい。したがって、地点Aと地点Bとの間の地域Zにおいては、地点Cと同様に、上りリンクでは移動端末とRRH1603との間のリンクが良好となり、下りリンクでは移動端末とマクロセル1601との間のリンクが良好となる。
このように地点Aと地点Bとの間の地域Zでは、リンクの不均衡、すなわちリンクインバランス(link imbalance)が発生する。このリンクインバランスが発生した地域Zでは、移動端末からマクロセル1601への上り送信電力の方が、移動端末からRRH1603への上り送信電力と比較して大きいので、移動端末からRRH1603に対して干渉が発生する。また、この干渉によって、移動端末とマクロセル1601との通信、または移動端末とRRH1603との通信が妨げられ、通信システム全体のスループットの低下が生じる。
したがって、図16に示すようにマクロセル1601とRRH1603などのローカルノードとが混在して配置される異機種ネットワーク、すなわちヘットネットにおいて生じる干渉を低減し、通信システム全体のスループットを向上させるための方法が要求される。
そこで、実施の形態1では、リンクインバランスが発生することで、移動端末からのマクロセルに対する比較的大きい上り送信電力によって、移動端末からローカルノードに対して発生する干渉を低減することを課題としている。また、この干渉で通信が妨げられることによってシステム全体のスループットが低下することを防止することを課題としている。
実施の形態1での解決策を以下に示す。本実施の形態では、ローカルノードの代表として、リモートラジオヘッド(RRH)について具体的に説明する。本実施の形態では、RRHのキャリア周波数とマクロセルのキャリア周波数とを異ならせ、RRHにマクロセルの上りリソース、具体的には上りキャリア周波数帯域を受信する機能を設ける。キャリア周波数は、コンポーネントキャリアの周波数としてもよい。またマクロセルの上りリソースとは、移動端末(UE)からマクロセルへの上りリソース、すなわちUEからマクロセルに送信された上りリソースのことである。
本実施の形態のようにRRHのキャリア周波数とマクロセルのキャリア周波数とを異ならせることで、移動端末(UE)からのマクロセルに対する比較的大きい上り送信電力によって発生する、UEからローカルノードに対する干渉の低減を実現することができる。
図18を用いて、実施の形態1の解決策の具体例について説明する。図18は、実施の形態1の解決策の概念を説明するための図である。マクロセルの下りキャリア周波数をDL_f1とし、上りキャリア周波数をUL_f1とする。マクロセルの下りキャリア周波数帯域をDL1とし、上りキャリア周波数帯域をUL1とする。RRHの下りキャリア周波数をDL_f2とし、上りキャリア周波数をUL_f2とする。RRHの下りキャリア周波数帯域をDL2とし、上りキャリア周波数帯域をUL2とする。マクロセルは大規模通信装置に相当し、RRHは小規模通信装置に相当する。またマクロセルの下りキャリア周波数および上りキャリア周波数は第1の周波数に相当し、RRHの下りキャリア周波数および上りキャリア周波数は第2の周波数に相当する。
本実施の形態では、RRHに、RRHの上りキャリア周波数帯域であるUL2を受信する機能に加えて、マクロセルの上りキャリア周波数帯域であるUL1を受信する機能を設ける。さらに具体的に述べると、RRHに、RRHの下りキャリア周波数帯域であるDL2を送信する機能と、RRHの上りキャリア周波数帯域であるUL2を受信する機能とに加えて、マクロセルの上りキャリア周波数帯域であるUL1を受信する機能を設ける。すなわちRRHに、図18に示す一点鎖線で囲む部分のRRHのキャリア周波数帯域を送信または受信する機能に加え、実線で囲む部分のマクロセルの上りキャリア周波数帯域を受信する機能を設ける。
他方、マクロセルには、マクロセルの上りキャリア周波数帯域であるUL1を受信する機能を設ける。さらに具体的に述べると、マクロセルには、マクロセルの下りキャリア周波数帯域であるDL1を送信する機能と、マクロセルの上りキャリア周波数帯域であるUL1を受信する機能とを設ける。すなわちマクロセルには、図18に示す破線で囲む部分のマクロセルのキャリア周波数帯域を送信または受信する機能を設ける。
図18では、マクロセルの下りキャリア周波数帯域であるDL1と、RRHの下りキャリア周波数帯域であるDL2とが連続である場合を示しているが、マクロセルの下りキャリア周波数帯域とRRHの下りキャリア周波数帯域とは、非連続であってもよい。また図18では、マクロセルの上りキャリア周波数帯域であるUL1と、RRHの上りキャリア周波数帯域であるUL2とが連続である場合を示しているが、マクロセルの上りキャリア周波数帯域とRRHの上りキャリア周波数帯域とは、非連続であってもよい。
ここで、移動端末からマクロセルに送信され、マクロセルが受信する上りリソース中のデータと、RRHが受信するマクロセルの上りリソース中のデータとは同じである。
どのRRHにマクロセルの上りリソースを受信する機能を設けるかの具体例としては、マクロセル配下のRRHに、マクロセルの上りリソースを受信する機能を設ける場合が挙げられる。
マクロセル配下のRRHの具体例として、以下の(1)〜(3)の3つを開示する。
(1)マクロセルと専用線で接続されているRRH。マクロセルに専用線で接続されているRRHは、該マクロセルの上りリソースを受信すると判断してもよい。
(2)マクロセルの機能を共用するRRH。例えば、マクロセルに存在する制御部によってプロトコル処理を実行するRRHなど。マクロセルの機能を共用するRRHは、該マクロセルの上りリソースを受信すると判断してもよい。
(3)マクロセルのカバレッジ内に位置するRRH。マクロセルのカバレッジ内に位置すると判断したRRHは、該マクロセルの上りリソースを受信すると判断してもよい。マクロセルのカバレッジ内に位置するか否かの判断方法の具体例としては、RRHが周辺電波環境のメジャメント、つまり周辺セルの電波環境のメジャメントを行う方法が挙げられる。RRHは、電源がオンされたとき、初期化(イニシャライズ)されたとき、あるいは送信を停止している間に、周辺電波環境のメジャメント、すなわち測定を行う。またRRHは、周辺に存在するセルの受信電力の測定、およびセルのセルアイデンティティであるPCIの取得を行い、セルの検出を行う。この際に、RRHは、受信電力が、予め定める閾値以上のセルを検出してもよい。RRHは、受信電力が閾値以上のセルのカバレッジ内に位置すると判断する。RRHは、自RRHがカバレッジ内に位置すると判断したセルに対して、該セルのカバレッジ内に自RRHが位置することを通知する。
また、マクロセルとRRHとの間の電波環境の変化や、マクロセルの送信電力、マクロセルのアンテナ設定の変更によるカバレッジエリアの変更などが発生した場合にも、本実施の形態で開示した方法を適宜適用することが可能である。
受信電力が閾値以上であると判断したセルが複数存在した場合の通知方法の具体例として、以下の(a),(b)の2つを開示する。(a)全てのセルに対して、該セルのカバレッジ内に自RRHが位置することを通知する。(b)最も測定結果が良好のセル、すなわち受信電力が高い、あるいはパスロスが小さいセルに対して、該セルのカバレッジ内に自RRHが位置することを通知する。
RRHがマクロセルの上りリソースを受信した後の処理の具体例を、以下に開示する。RRHは、マクロセルの上りリソースの受信信号、あるいは受信データをマクロセルに送信する。マクロセルは、マクロセルにて受信したマクロセルの上りリソースの受信信号と、RRHから受信したマクロセルの上りリソースの受信信号とを合成する。この合成処理によって、移動端末からマクロセルへの上りリンクの受信品質が向上する。これによって、通信システム全体のスループットを向上させることが可能となる。
RRHからマクロセルへの受信信号、あるいは受信データの通知方法の具体例として、以下の(1),(2)の2つ開示する。(1)マクロセルとRRHとの間の専用線を用いる。これによって、高速に通信できるという効果を得ることができる。(2)X2インタフェースを用いる。RRH以外の他のローカルノードへ適用する場合、マクロセルとローカルノードとの間のX2インタフェースを用いることによって、新たなインタフェースを設ける必要がないという効果を得ることができる。
マクロセルでの受信信号または受信データの合成方法の具体例として、以下の(1),(2)の2つを開示する。(1)単純に足し合わせる。つまり、受信電力を足し合わせる。(2)選択合成を行う。選択合成とは、マクロセルおよびRRHの各ノードで受信されたデータに対して、別個にデコード処理を実行し、デコード結果が正常となったデータを選択することをいう。マクロセルで受信されたデータおよびRRHで受信されたデータの両方について、デコード結果が正常となった場合は、いずれかのデータが選択される。
RRHからマクロセルへ送信する信号またはデータの具体例として、以下の(1)〜(3)の3つを開示する。
(1)RF信号。具体例(1)の場合、RRHが、例えばセル無線ネットワーク仮識別(Cell Radio Network Temporary Identifier:C−RNTI)などのマクロセル傘下の移動端末の識別子、および移動端末へのスケジューリング情報を認識しておく必要は無い。これによって、後述する具体例(3)と比較して、通信システムが複雑化することを回避することができるという効果を得ることができる。
RRHからマクロセルへ送信する信号またはデータを、RF信号とする場合の、リモートラジオヘッドおよびマクロセルの各構成の一例としては、前述の図9に示す参照符号を用いて、リモートラジオヘッドにアンテナ908が含まれ、マクロセルに周波数変換部907、変調部906、復調部909、エンコーダー部905、デコーダー部910、送信データバッファ部904、EPC通信部901、他基地局通信部902、プロトコル処理部903および制御部911が含まれる構成が挙げられる。
(2)ベースバンド信号、例えばアナログベースバンド信号、またはデジタルベースバンド信号。具体例(2)は、具体例(1)と比較して、RRHとマクロセルとを通信する信号量が少なくなるという効果を有する。具体例(2)の場合、RRHが、例えばC−RNTIなどのマクロセル傘下の移動端末の識別子、および移動端末へのスケジューリング情報を認識しておく必要は無い。これによって、後述する具体例(3)と比較して、通信システムが複雑化することを回避することができるという効果を得ることができる。
RRHからマクロセルへ送信する信号またはデータを、ベースバンド信号とする場合の、リモートラジオヘッドおよびマクロセルの各構成の一例としては、前述の図14に示すように、リモートラジオヘッド1401にアンテナ908および周波数変換部907が含まれ、マクロセル1402にEPC通信部901、他基地局通信部902、プロトコル処理部903、送信データバッファ部904、エンコーダー部905、変調部906、復調部909、デコーダー部910および制御部911が含まれる構成が挙げられる。
(3)復調後データ、あるいはデコード後データ。具体例(3)は、具体例(1),(2)と比較して、RRHとマクロセルとを通信する信号量が少なくなるという効果を有する。具体例(3)の場合、RRHは、例えばC−RNTIなどのマクロセル傘下の移動端末の識別子、または移動端末へのスケジューリング情報を認識しておく必要がある。
RRHからマクロセルへ送信する信号またはデータを、復調後データとする場合の、リモートラジオヘッドおよびマクロセルの各構成の一例としては、前述の図9に示す参照符号を用いて、リモートラジオヘッドにアンテナ908、周波数変換部907、変調部906および復調部909が含まれ、マクロセルにエンコーダー部905、デコーダー部910、送信データバッファ部904、EPC通信部901、他基地局通信部902、プロトコル処理部903および制御部911が含まれる構成が挙げられる。
RRHからマクロセルへ送信する信号またはデータを、デコード後データとする場合の、リモートラジオヘッドおよびマクロセルの各構成の一例としては、前述の図9に示す参照符号を用いて、リモートラジオヘッドにアンテナ908、周波数変換部907、変調部906、復調部909、エンコーダー部905およびデコーダー部910が含まれ、マクロセルに送信データバッファ部904、EPC通信部901、他基地局通信部902、プロトコル処理部903および制御部911が含まれる構成が挙げられる。
RRHが、マクロセル傘下の移動端末の識別子、および移動端末へのスケジューリング情報を認識する方法の具体例としては、マクロセルから専用線でRRHへ通知する方法が挙げられる。RRH以外の他のローカルノードへ適用する場合は、マクロセルからX2インタフェースを用いてローカルノードへ通知することも考えられる。
RRHは、マクロセル傘下の特定の移動端末からの受信信号または受信データのみを選択的に復調、あるいはデコードしてマクロセルに通知してもよい。その場合、マクロセルは、例えばC−RNTIなどの傘下の特定の移動端末の識別子、および特定の移動端末へのスケジューリング情報のみをRRHへ通知するようにすればよい。RRHは、受信した一つまたは複数のC−RNTIなどの識別子と、スケジューリング情報とを用いてデコードを行い、マクロセルへ通知すればよい。
本実施の形態におけるHARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)の実行方法の具体例として、以下の(1),(2)の2つを開示する。
(1)マクロセルがHARQを実行する。この場合、マクロセルにて受信したマクロセルの上りリソースの受信信号と、RRHから受信したマクロセルの上りリソースの受信信号とを合成した後に、受信データが正しくデコードできたか否かを判断することができる。合成によって、受信品質が高くなるので、再送の回数が減る。これによって、無線リソースを有効に活用することができ、通信システムとしてのスループットを向上することができる。
(2)RRHがHARQを実行する。この場合、RRHにてマクロセルの上りリソースを正しくデコードできたか否かを判断する。正しくデコードできたと判断した場合は、RRHからマクロセルへ、デコード後データと共に、「Ack」を通知する。正しくデコードできなかったと判断した場合は、RRHからマクロセルへ、「Nack」を通知する。「Nack」を通知する場合は、デコード後データを通知する必要がない。したがって、具体例(1)と比較して、RRHとマクロセルとを通信する信号量が少なくなるという効果を有する。
マクロセルが、マクロセルにて受信したマクロセルの上りリソースの受信信号と、RRHから受信したマクロセルの上りリソースの受信信号とを合成しない場合は、具体例(2)を用いることが有効である。なぜならば、具体例(1)を用いても合成の効果を得ることができないからである。また、RRHでのマクロセルの上りリソースの受信品質が良好な場合にも、具体例(2)を用いることが有効である。なぜならば、具体例(1)を用いて合成の効果を期待せずとも、マクロセルの上りリソースの受信品質が良好だからである。
RRHがマクロセルの上りリソースの構成を知る方法の具体例を、以下に開示する。マクロセルが、RRHに自セルの上りリソースの構成を通知する。上りリソースの構成の具体例としては、キャリア周波数および帯域幅などがある。マクロセルからRRHに自セルの上りリソースの構成を通知する方法の具体例として、以下の(1)〜(3)の3つを開示する。
(1)マクロセルとRRHとの間の専用線を用いる。具体例(1)は、高速に通信できるという効果を有する。(2)X2インタフェースを用いる。RRH以外の他のローカルノードへ適用する場合、マクロセルとローカルノードとの間のX2インタフェースを用いることによって、新たなインタフェースを設ける必要がないという効果を得ることができる。(3)操作および保守用のツール(Operating and Maintenance Tool:OMT)を用いる。これによって、新たなインタフェースを設ける必要がないという効果を得ることができる。
次に、図19を用いて、実施の形態1における通信システムのシーケンスの具体例について説明する。図19は、実施の形態1における通信システムのシーケンスの一例を示す図である。本動作例では、マクロセルのカバレッジ内にRRHが配置される場合について開示する。また、移動端末がマクロセルにキャンプオンし、上りリンクに最適なノードがRRHである場合について開示する。
本動作例においては、どのRRHにマクロセルの上りリソースを受信する機能を設けるかの具体例として、前述のマクロセルと専用線で接続されているRRHに設ける場合について開示する。RRHからマクロセルへの受信信号の通知方法の具体例としては、前述のマクロセルとRRHとの間の専用線を用いる場合について開示する。マクロセルでの受信信号または受信データの合成方法の具体例としては、前述の単純に足し合わせる場合について開示する。RRHからマクロセルへ送信する信号の具体例としては、前述のベースバンド信号を用いる場合について開示する。RRHがマクロセルの上りリソースの構成を知る方法の具体例としては、前述のマクロセルとRRHとの間の専用線を用いる場合について開示する。
ステップST1901において、マクロセルとRRHとが専用線で接続される。ステップST1902において、マクロセルは、RRHに対して、マクロセルの上りリソースの構成を通知する。該通知には専用線を用いる。
ステップST1903において、RRHは、マクロセルと専用線で接続されているか否かを判断する。ステップST1903において、RRHが、マクロセルと専用線で接続されていると判断した場合は、ステップST1904に移行する。ステップST1903において、RRHが、マクロセルと専用線で接続されていないと判断した場合は、処理を終了し、他の処理に移行する。他の処理については、本発明の特徴的部分ではないので、説明を省略する。
ステップST1904において、RRHは、マクロセルの上りリソースを受信すると判断して、ステップST1908に移行する。
ステップST1905において、移動端末は、下り受信品質が最も良いセルとして、マクロセルにキャンプオンする。ステップST1906において、移動端末は、該マクロセルに対して上り送信を行う。
ステップST1907において、マクロセルは、移動端末からの上り送信、具体的には移動端末から送信される上り送信信号を受信する。
ステップST1908において、RRHは、マクロセルの上りリソースを受信する。マクロセルの上りリソースを受信する場合、RRHは、ステップST1902で受信したマクロセルの上りリソースの構成を用いる。RRHは、ステップST1902においてマクロセルの上りリソースの構成を受信した後に、ステップST1908の処理を実行してもよい。
ステップST1909において、RRHは、マクロセルに対して、RRHが受信したマクロセルの上りリソースの受信信号を通知する。該通知には専用線を用いる。
ステップST1910において、マクロセルは、ステップST1907で受信した、移動端末から送信された上り送信信号と、ステップST1909で受信した、RRHが受信したマクロセルの上りリソースの受信信号とを合成する。
以上の実施の形態1によって、以下の効果を得ることができる。ローカルノードであるRRHのキャリア周波数とマクロセルのキャリア周波数とを異ならせることによって、移動端末(UE)からのマクロセルに対する比較的大きい上り送信電力の影響が、RRHにおける上りリンクの受信に影響を与えないようにすることが可能となる。これによって、通信システム全体としての干渉の低減を図ることができる。
また、マクロセル傘下のUEからのマクロセルに対する上り送信信号を、マクロセルとRRHとで受信して合成することによって、上り通信の通信品質の向上を図ることができる。これによって、通信システム全体のスループットの向上を図ることができる。
以上のように本実施の形態1によれば、移動端末(UE)からマクロセルに送信される上り送信信号を、マクロセルとRRHとで受信して合成するので、マクロセルとRRHなどのローカルノードとが混在して配置される場合の通信品質を向上させ、全体のスループットを向上させることができる。またRRHなどのローカルノードのキャリア周波数とマクロセルのキャリア周波数とを異ならせることによって、UEからマクロセルへの比較的大きい上り送信電力の影響が、RRHにおける上りリンクの受信に影響を与えないようにすることが可能となる。これによって、通信システム全体としての干渉の低減を図ることができる。
また実施の形態1の解決策では、UEは従来の上り送信と同様の動作を行っている。つまりUEは、キャンプオンしたマクロセルに対して、上り送信の動作を行っている。したがってUEに追加の通知、あるいは追加の機能が必要ない。この点において、実施の形態1は、後方互換性(backward compatibility:バックワードコンパチビリティ)に優れた通信システムを構築することが可能である。
本実施の形態では、ローカルノードのキャリア周波数とマクロセルのキャリア周波数とを異ならせる場合について開示したが、ローカルノードのキャリア周波数とマクロセルのキャリア周波数とが同じ場合であっても、本実施の形態を適用することができ、それによって本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また本実施の形態では、ローカルノードとして、リモートラジオヘッド(RRH)を用いた場合の通信システムの構成について説明したが、ローカルノードはRRHに限らず、RRH以外のローカルノードでもよい。RRH以外のローカルノードの具体例としては、ピコeNB(ピコセル(pico cell))、HeNB(HNB、CSGセル)、ホットゾーンセル用のノード、リレーノード、リピータなどがある。RRH以外のローカルノードについても本実施の形態を適用することができ、それによって本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
実施の形態1 変形例1.
前述の実施の形態1では、ローカルノードの代表としてRRHを用いた場合の解決策について主に開示したが、実施の形態1の変形例1では、実施の形態1をRRH以外の他のローカルノードへ適用した場合について開示する。本変形例では、前述の実施の形態1の解決策と異なる部分を中心に説明し、説明していない部分については、実施の形態1と同様とする。
本変形例では、RRHとは異なり、自ノードで全ての機能を有するローカルノードへ適用する場合について説明する。自ノードで全ての機能を有するローカルノードの具体例としては、ピコeNB、HeNB、リレーノード、リピータ、およびホットゾーンセル用のノードなどが挙げられる。本変形例では、自ノードで全ての機能を有するローカルノードの代表としてHeNBを用いる場合について具体的に説明する。
本変形例では、HeNBのキャリア周波数とマクロセルのキャリア周波数とを異ならせる。HeNBは、自ノードに対する上りリソースの処理を自ノードで行う。加えて、HeNBに、マクロセルの上りリソース、具体的には上りキャリア周波数を受信する機能を設ける。
ここで、移動端末からマクロセルに送信され、マクロセルが受信する上りリソース中のデータと、HeNBが受信するマクロセルの上りリソース中のデータとは同じである。
HeNBがマクロセルの上りリソースを受信した後の処理の具体例を、以下に開示する。HeNBは、マクロセルの上りリソースの受信信号、あるいは受信データをマクロセルに送信する。HeNBは、マクロセルの上りリソースの受信信号、あるいは受信データを、自ノードで処理しない。
HeNBが受信するマクロセルの上りリソースの具体例として、以下の(1),(2)の2つを開示する。
(1)マクロセルの上りリソースの全てを受信する。この具体例(1)は、後述する具体例(2)と比較して、マクロセルからの要求が不要であるので、制御が容易であるという効果を有する。
(2)マクロセルが受信を要求した、マクロセルの上りリソースを受信する。上りリソースの具体例としては、リソースブロック(Resource Block:RB)単位、コンポーネントキャリア単位などがある。この具体例(2)では、前述の具体例(1)と比較して、HeNBで受信するマクロセルの上りリソースが少なくなる。したがって、HeNBの処理の負荷を軽減することができるとともに、HeNBからマクロセルへの通信量を削減することができる。
以上のHeNBが受信するマクロセルの上りリソースの具体例(1),(2)は、前述の実施の形態1にも適用可能である。
マクロセルがHeNBに対して受信を要求する上りリソースの具体例として、以下の(1)〜(3)の3つを開示する。
(1)マクロセルで受信したマクロセルの上りリソースの受信品質が悪いリソース。この受信品質が悪いリソースについて、HeNBでの受信を要求することによって、HeNBで受信したマクロセルの上りリソースとの合成による通信品質の向上が望める。
(2)マクロセルでの干渉レベルの高いリソース。干渉レベルの高いリソースにおける受信品質は悪いことが一般的である。したがって、マクロセルでの干渉レベルの高いリソースについて、HeNBでの受信を要求することによって、HeNBで受信したマクロセルの上りリソースとの合成による通信品質の向上が望める。
(3)移動端末をスケジューリングした上りリソース。この上りリソースについて、HeNBでの受信を要求することによって、HeNBにおける、マクロセルで移動端末をスケジューリングしていない上りリソースの無駄な受信を削減することができる。
以上のマクロセルがHeNBに対して受信を要求する上りリソースの具体例(1)〜(3)は、前述の実施の形態1にも適用可能である。
マクロセルが、HeNBに対して受信を要求する上りリソースを通知する方法の具体例として、以下の(1),(2)の2つを開示する。
(1)マクロセルが、X2シグナリング、あるいはX2メッセージを用いて、HeNBに対して受信を要求する上りリソースを通知する。マクロセルが、HeNBに対して受信を要求する上りリソースを、X2シグナリング、あるいはX2メッセージを用いてHeNBへ通知する方法の具体例として、以下の(a),(b)の2つを開示する。
(a)新たにX2シグナリング、あるいはX2メッセージを設ける。新たに設けるX2シグナリングにマッピングするパラメータは、HeNBに対して受信を要求する上りリソースを示す情報である。HeNBに対して受信を要求する上りリソースを示す情報は、マクロセルのセル識別子と共に通知されてもよい。マクロセルのセル識別子は、例えばPCIまたはGCIである。
(b)既存のX2シグナリング、あるいはX2メッセージを用いる。具体例(b)は、具体例(a)と比較して、新たなシグナリングを設ける必要がない点において有効であり、具体例(b)を用いることによって、通信システムが複雑化することを回避することができる。既存のX2シグナリングを用いて、HeNBに対して受信を要求する上りリソースを通知する方法の具体例を以下に開示する。3GPP TS 36.423 V10.0.0(以下「非特許文献12」という)の8.3.1.2章に開示されているX2シグナリングの「LOAD INFORMATION message」を用いる。
非特許文献12に開示されている「LOAD INFORMATION message」の中の「UL Interference Overload Indication」は、全リソースブロック上で、リソースブロック毎に、送信元であるソースセルが受けている干渉レベルを示す。「LOAD INFORMATION message」の中の「UL Interference Overload Indication」によって高い干渉レベルが示されたリソースブロックは、マクロセルがHeNBに対して受信を要求する上りリソースを示すとすればよい。干渉レベルの高いリソースにおける受信品質は悪いことが一般的である。したがって、干渉レベルの高いリソースについて、HeNBでの受信を要求することによって、HeNBで受信したマクロセルの上りリソースとの合成による通信品質の向上が望める。
「UL Interference Overload Indication」が、何を示すかのインジケータを新たに付加してもよい。示す内容の具体例として、以下の(A)〜(C)の3つを開示する。(A)従来通り、干渉レベルを示す。(B)通知先に自セルの上りリソースの受信を要求する。閾値以上の干渉レベルが示された場合に、通知先に自セルの上りリソースの受信を要求するようにしてもよい。(C)前記(A),(B)の両方を示す。
非特許文献12に開示されている「LOAD INFORMATION message」の中の「UL High Interference Indication」は、リソースブロック毎に、送信元であるソースセルから見た高い干渉感度検出の発生を示す。「LOAD INFORMATION message」の中の「UL High Interference Indication」によって高い干渉感度検出の発生が示されたリソースブロックは、マクロセルがHeNBに対して受信を要求する上りリソースを示すとすればよい。高い干渉感度が検出されたリソースにおける受信品質は悪いことが一般的である。したがって、高い干渉感度が検出されたリソースについて、HeNBでの受信を要求することによって、HeNBで受信したマクロセルの上りリソースとの合成による通信品質の向上が望める。
「UL High Interference Indication」が、何を示すかのインジケータを新たに付加してもよい。示す内容の具体例として、以下の(A)〜(C)の3つを開示する。(A)従来通り、干渉感度を示す。(B)通知先に自セルの上りリソースの受信を要求する。閾値以上の干渉感度が示された場合に、通知先に自セルの上りリソースの受信を要求するようにしてもよい。(C)前記(A),(B)の両方を示す。
「LOAD INFORMATION message」は、同一周波数内の隣接しているセルを制御する信号である(非特許文献12参照)。したがって、ローカルノードのキャリア周波数とマクロセルのキャリア周波数とを異ならせる解決策を用いる実施の形態1の変形例1において、マクロセルがHeNBに対して受信を要求する上りリソースを通知する方法として「LOAD INFORMATION message」を用いる場合、「LOAD INFORMATION message」は、異なる周波数における隣接しているセルを制御する信号として拡張すればよい。
(2)マクロセルが、専用線を用いて、HeNBに対して受信を要求する上りリソースを通知する。
以上のマクロセルがHeNBに対して受信を要求する上りリソースを通知する方法の具体例(1),(2)は、前述の実施の形態1にも適用可能である。
次に、図20を用いて、実施の形態1の変形例1における通信システムのシーケンスの具体例について説明する。図20は、実施の形態1の変形例1における通信システムのシーケンスの一例を示す図である。図20に示すシーケンスは、図19に示すシーケンスと類似しているので、同一のステップについては、同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。
本動作例では、マクロセルのカバレッジ内にHeNBが配置される場合について開示する。また、移動端末がマクロセルにキャンプオンし、上りリンクに最適なノードがHeNBである場合について開示する。
本動作例においては、どのHeNBにマクロセルの上りリソースを受信する機能を設けるかの具体例として、前述のマクロセルのカバレッジ内に位置するHeNBに設ける場合について開示する。HeNBからマクロセルへの受信信号の通知方法の具体例としては、前述のX2インタフェースを用いる場合について開示する。マクロセルでの受信信号または受信データの合成方法の具体例としては、前述の単純に足し合わせる場合について開示する。HeNBからマクロセルへ送信する信号の具体例としては、前述のベースバンド信号を用いる場合について開示する。
HeNBがマクロセルの上りリソースの構成を知る方法の具体例としては、前述のX2インタフェースを用いる場合について開示する。HeNBが受信するマクロセルの上りリソースの具体例としては、前述のマクロセルが受信を要求した、マクロセルの上りリソースを受信する場合について開示する。マクロセルがHeNBに対して受信を要求する上りリソースの具体例としては、前述のマクロセルでの干渉レベルの高いリソースである場合について開示する。
ステップST2001において、HeNBは、周辺電波環境のメジャメント、つまり周辺セルの電波環境のメジャメントを行う。
ステップST2002において、HeNBは、ステップST2001における周辺電波環境のメジャメントを行った結果に基づいて、受信電力が、予め定める閾値以上のセルが存在するか否かを判断する。ステップST2002において、HeNBが、受信電力が閾値以上のセルが存在すると判断した場合は、ステップST2003に移行する。ステップST2002において、HeNBが、受信電力が閾値以上のセルが存在しないと判断した場合は、処理を終了し、他の処理に移行する。他の処理については、本発明の特徴的部分ではないので、説明を省略する。
HeNBは、周辺電波環境のメジャメントを行った結果、受信電力が閾値以上のセルが存在すると判断した場合、自HeNBが、そのセルのカバレッジ内に位置すると判断する。またHeNBは、周辺電波環境のメジャメントを行った結果、閾値以上のセルが存在しないと判断した場合、自HeNBが、他のセルのカバレッジ内に位置しないと判断する。本動作例では、HeNBは、受信電力が閾値以上のセルとして、マクロセルを検出する。
ステップST2003において、HeNBは、ステップST2002で受信電力が閾値以上であると判断したセル、本動作例ではマクロセルに対して、自HeNBがカバレッジ内に位置することを通知する。該通知には、X2インタフェース、あるいは専用線を用いる。
ステップST1902において、マクロセルは、HeNBに対して、マクロセルの上りリソースの構成を通知する。該通知にはX2インタフェースを用いる。該通知は、例えばマクロセルの傘下の全てのローカルノードに対して行うが、カバレッジ内に位置することを通知してきたローカルノードに対してのみ行ってもよい。
ステップST1904において、HeNBは、マクロセルの上りリソースを受信すると判断して、ステップST2006に移行する。
ステップST1905において、移動端末は、下り受信品質が最も良いセルとして、マクロセルにキャンプオンする。ステップST1906において、移動端末は、マクロセルに対して上り送信を行う。
ステップST2004において、マクロセルは、自セルの上りリソースにおいて、干渉レベルの高いリソースが存在するか否かを判断する。ステップST2004において、マクロセルが、干渉レベルの高いリソースが存在すると判断した場合は、ステップST2005に移行する。ステップST2004において、マクロセルが、干渉レベルの高いリソースが存在しないと判断した場合は、処理を終了し、他の処理に移行する。他の処理については、本発明の特徴的部分ではないので、説明を省略する。
ステップST2005において、マクロセルは、HeNBに対して、干渉レベルの高いリソースを通知する。具体的に述べると、マクロセルは、ステップST2003でマクロセルのカバレッジ内に位置することを通知してきたHeNBに対して、干渉レベルの高いリソースを通知する。マクロセルは、HeNBに対して、受信を要求する上りリソースを通知するようにしてもよい。該通知には、X2インタフェース、あるいは専用線を用いる。
ステップST2006において、HeNBは、ステップST2005で受信した、干渉レベルの高いマクロセルの上りリソースを受信する。干渉レベルの高いマクロセルの上りリソースを受信する場合、HeNBは、ステップST1902で受信したマクロセルの上りリソースの構成を用いる。
ステップST1907において、マクロセルは、移動端末からの上り送信、具体的には移動端末から送信される上り送信信号を受信する。
ステップST1909において、HeNBは、マクロセルに対して、HeNBが受信したマクロセルの上りリソースの受信信号を通知する。該通知には、X2インタフェース、あるいは専用線を用いる。
ステップST1910において、マクロセルは、ステップST1907で受信した、移動端末から送信された上り送信信号と、ステップST1909で受信した、HeNBが受信したマクロセルの上りリソースの受信信号とを合成する。
以上の実施の形態1の変形例1によって、実施の形態1の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。本変形例では、ローカルノードは、マクロセルが受信を要求した、マクロセルの上りリソースを受信する。これによって、ローカルノードの処理の負荷を軽減することができるとともに、ローカルノードからマクロセルへの通信量を削減することができる。
本変形例では、ローカルノードのキャリア周波数とマクロセルのキャリア周波数とを異ならせる場合について開示したが、ローカルノードのキャリア周波数とマクロセルのキャリア周波数とが同じ場合であっても、本変形例を適用することができ、それによって本変形例と同様の効果を得ることができる。
また本変形例では、ローカルノードとして、HeNBを用いた場合の通信システムの構成について説明したが、ローカルノードはHeNBに限ったものではなく、自ノードで全ての機能を有するローカルノードであれば、HeNB以外のローカルノードでもよい。HeNB以外のローカルノードについても本変形例を適用することができ、それによって本変形例と同様の効果を得ることができる。
実施の形態2.
実施の形態2で解決する課題について、以下に説明する。前述の実施の形態1および実施の形態1の変形例1を用いた場合であっても、別の課題が発生することがある。この課題について、前述の図17を用いて説明する。
前述のように、図17に示す地点Aと地点Bとの間の地域Zにおいては、上りリンクでは移動端末(UE)とRRH1603との間のリンクが良好となり、下りリンクではUEとマクロセル1601との間のリンクが良好となる。このようにリンクの不均衡、すなわちリンクインバランス(link imbalance)が発生する。
従来の技術では、移動端末は、下り受信品質が最も良いセルにキャンプオンし、その後、必要に応じて前記セルと通信を開始する(非特許文献3参照)。したがって、従来の技術においては、例えば図17に示す地点Aと地点Bとの間の地域Zで、上り通信において最適なリンクを用いない状況が発生する。この場合、最適なリンクを用いた場合と比較して、移動端末において必要な送信電力は大きくなる。これによって、移動端末の消費電力が増大するという課題が発生する。
実施の形態2での解決策を以下に示す。本実施の形態では、前述の実施の形態1および実施の形態1の変形例1の解決策と異なる部分を中心に説明し、説明していない部分については、実施の形態1および実施の形態1の変形例1と同様とする。
本実施の形態では、移動端末は、最適なノードに対して適した上り送信の設定を行う。また、上りリンクと下りリンクとで最適なノードが異なる移動端末が、上りリンクに最適なノードに適した上り送信の設定を行うようにしてもよい。また、上りリンクと下りリンクとで最適なノードが異なる移動端末が、従来の技術のように下りリンクで最適なノードにキャンプオンしつつ、上りリンクに最適なノードに適した上り送信の設定を行うようにしてもよい。また、上りリンクと下りリンクとで最適なノードが異なる移動端末が、従来の技術のように下りリンクで最適なノードに上り送信を行うが、上り送信の設定は上りリンクに最適なノードに適したものとするようにしてもよい。
図21を用いて、実施の形態2の解決策の概念について説明する。図21は、実施の形態2の解決策の概念を説明するための図である。移動端末2101が、マクロセル2102の下りリンク2104の下り受信品質が最も良いと判断して、マクロセル2102にキャンプオンした場合について考える。移動端末2101は、必要に応じて、上りリンク2105を用いて、マクロセル2102との上り通信を開始する。上りリンク2105を示す矢印の長さは、移動端末2101の上り送信パワー、すなわち上り送信電力を表している。つまり、上りリンク2105を示す矢印の長さを半径とする参照符号2107で示される円の範囲内で、移動端末2101から送信される上り送信信号を受信することが可能である。
移動端末2101の近傍には、RRH2103が存在するとする。RRH2103は、移動端末2101の上りリンクにおいて最適なノードであるとする。本実施の形態では、移動端末2101は、最適なノードに対して適した上り送信の設定とする。つまり、移動端末2101は、上りリンクにおいて最適なノードであるRRH2103に対して適した上り送信の設定とする。具体例として、例えば移動端末2101は、上り送信電力を、RRH2103において移動端末2101からの上り送信信号が受信可能な送信電力に設定する。つまり、移動端末2101は、マクロセル2102に対して、RRH2103に適した上り送信に設定された上りリンク2106を用いて、上り送信を行う。
上りリンク2106を示す矢印の長さは、移動端末2101の最適なノードであるRRH2103に対して適した上り送信の設定とした後の上り送信パワー、すなわち上り送信電力を表している。つまり、上りリンク2106を示す矢印の長さを半径とする参照符号2108で示される円の範囲内で、移動端末2101から送信される上り送信信号を受信することが可能である。この場合であっても、キャンプオン先であるサービングセルをRRH2103へ変更していないので、移動端末2101の上り送信先は、あくまでマクロセル2102となる。
対応が必要な移動端末の決定方法、あるいは上りリンクと下りリンクとで最適なノードが異なる移動端末の決定方法の具体例として、以下の(1),(2)の2つを開示する。以下では、上りリンクに最適なノードの決定方法についても説明する。
(1)マクロセルが決定する。具体例として、以下の(A),(B)の2つを開示する。
(A)移動端末がマクロセルの決定を支援する方法。移動端末がマクロセルの決定を支援する方法の具体例として、以下の(A1),(A2)の2つを開示する。
(A1)移動端末が周辺電波環境のメジャメント、すなわち周辺セルの電波環境のメジャメントを行う。移動端末が上り送信の設定(以下「上り送信設定」という場合がある)を変更するための測定を行う。つまり、移動端末が、周辺のローカルノードの下りリソースを測定する。該測定、すなわちメジャメントは、移動端末が待受け中(Idle)であってもよいし、通話中(Connected)であってもよい。
待受け中のメジャメントの場合、非特許文献3に開示されている従来の測定を開始する閾値とは異なる閾値を設ける。例えば、上り送信設定変更用のメジャメント閾値を設ける。これによって、サービングセルの下り通信品質が良好である場合にも、上り送信設定を変更するための測定を開始することができる。移動端末は、測定の結果をマクロセルへ通知する。
マクロセルは、下り受信品質が閾値よりも良好なセルが存在した場合、メジャメントを行った移動端末を「対応が必要な移動端末」と決定し、該セルを「上りリンクに最適なノード」と決定する。あるいは移動端末が、周辺セルのメジャメントの結果、下り受信品質が閾値よりも良好なセルが存在した場合、自移動端末を「対応が必要な移動端末」と決定し、該セルを「上りリンクに最適なノード」と決定するとしてもよい。
通話中のメジャメントの場合、非特許文献2に開示されている従来のメジャメント設定(Measurement configuration)、メジャメント対象(Measurement Object)および報告設定(Reporting configuration)とは異なる設定を設ける。例えば、上り送信設定変更用のメジャメント設定、上り送信設定変更用のメジャメント対象、および上り送信設定変更用の報告設定を設ける。これによって、サービングセルの下り通信品質が良好である場合にも、上り送信の設定を変更するための測定および測定報告を行うことができる。
マクロセルは、下り受信品質が閾値よりも良好なセルが存在した場合、メジャメントを行った移動端末を「対応が必要な移動端末」と決定し、該セルを「上りリンクに最適なノード」と決定する。あるいは移動端末が、周辺セルのメジャメントの結果、下り受信品質が閾値よりも良好なセルが存在した場合、自移動端末を「対応が必要な移動端末」と決定し、該セルを「上りリンクに最適なノード」と決定するとしてもよい。
移動端末が上り送信の設定を変更するための測定は、オン(ON)およびオフ(OFF)の切替が可能とする。すなわち、測定の実行および非実行の切替が可能とする。オン(ON)およびオフ(OFF)の切替条件の具体例として、以下の(a)〜(d)の4つを開示する。(a)マクロセルと専用線で接続されているRRHが存在すればONとして測定を実行し、存在しなければOFFとして測定を実行しない。(b)マクロセルの機能を共用するRRHが存在すればONとして測定を実行し、存在しなければOFFとして測定を実行しない。(c)マクロセルのカバレッジ内に位置するRRHが存在すればONとして測定を実行し、存在しなければOFFとして測定を実行しない。(d)前記(a)〜(c)の組合せ。
移動端末が上り送信の設定を変更するための測定のオン(ON)またはオフ(OFF)を移動端末へ通知する方法の具体例として、以下の(a),(b)の2つを開示する。(a)報知情報で通知する。(b)個別情報で通知する。例えば、RRCシグナリングまたはRRCメッセージで通知する。あるいはMACシグナリングまたはMACメッセージで通知する。あるいはレイヤ1シグナリング、具体例としてはPDCCHを用いて通知する。
(A2)移動端末が「上りリンクに最適なノード」の近傍に位置することを通知するインジケータを設ける。マクロセルは、ローカルノードのPCIおよびGCIなどのセル識別子、ローカルノードの下りキャリア周波数を通知してもよい。これによって、移動端末は、測定対象を減らすことができ、移動端末の低消費電力化を図ることができる。
サービングセルの下り受信品質によらず、ローカルノードからの下り受信品質が、予め定める閾値以上となれば、移動端末が「上りリンクに最適なノード」の近傍に位置することを通知する。該通知には、PCIおよびGCIなどのセル識別子、ローカルノードの識別子、下り受信品質およびパスロスなどの受信品質が含まれてもよい。ローカルノードの識別子は、ローカルノードが報知してもよい。マクロセルによって、セル識別子とローカルノード識別子とが関連付けられていれば、ローカルノードの識別子の通知は不要としてもよい。
マクロセルは、「上りリンクに最適なノード」の近傍に位置することを通知してきた移動端末を「対応が必要な移動端末」と決定し、対象セルを「上りリンクに最適なノード」と決定する。あるいは移動端末が、上りリンクに最適なノードの近傍に位置すると判断した場合、自移動端末を「対応が必要な移動端末」と決定し、該セルを「上りリンクに最適なノード」と決定するとしてもよい。
従来のプロキシミティインジケーション(非特許文献2参照)の機能を、前述の通り拡張してもよい。これによって、新たなインジケータを設ける必要がなくなり、通信システムが複雑化することを回避することができる。
(B)RRHがマクロセルの決定を支援する方法。マクロセルは、RRHが受信してマクロセルへ通知した、マクロセルの上りリソースの受信品質に基づいて判断する。RRHは、マクロセルの上りリソースの受信信号、あるいは受信データをマクロセルへ送信するときに、自RRHの識別子を付加する。これによって、マクロセルが「上りリンクに最適なノード」を特定することが可能となる。マクロセルは、RRHから通知されたマクロセルの上りリソースの受信信号、あるいは受信データを用いて、各移動端末のRRHにおける上り受信品質を評価する。
上り受信品質の評価に用いる信号としては、リファレンスシグナルがある。リファレンスシグナルには、復調用リファレンスシグナル(Demodulation Reference signal)と、サウンディング用リファレンスシグナル(sounding reference signal)とがある。マクロセルは、各移動端末のRRHにおける上り受信品質の評価結果において、上り受信品質が閾値よりも良好なセルが存在した場合、該移動端末を「対応が必要な移動端末」と決定し、該セルを「上りリンクに最適なノード」と決定する。
前述の(B)のRRHがマクロセルの決定を支援する方法は、以下の点において、前述の(A)の移動端末がマクロセルの決定を支援する方法と比較して有効である。前述の(A)の方法は、下り受信品質に基づいて決定する方法となる。他方、前述の(B)の方法は、上り受信品質に基づいて決定する方法である。本実施の形態では、下りリンクと上りリンクとでキャリア周波数が異なる。受信品質は、周波数特性が異なる。したがって、上りリンクに最適なノードを選択するときには、上りリンクで判断した方が誤差は少なくなる。また、前述の(A)の方法では、RRHの下りの運用を行う必要があるが、前述の(B)の方法では、RRHの下りの運用を行う必要がない。これによって、前述の(B)の方法では、無線リソースを有効に活用することができる。
(2)RRHが決定する。RRHが、受信したマクロセルの上りリソースの受信品質に基づいて判断する。RRHは、マクロセルの上りリソースの受信信号、あるいは受信データを用いて、各移動端末のRRHにおける上り受信品質を評価する。上り受信品質の評価に用いる信号としては、リファレンスシグナルがある。リファレンスシグナルには、復調用リファレンスシグナル(Demodulation Reference signal)と、サウンディング用リファレンスシグナル(sounding reference signal)とがある。
RRHは、各移動端末のRRHにおける上り受信品質の評価結果において、上り受信品質が閾値よりも良好なセルが存在した場合、該移動端末を「対応が必要な移動端末」と決定し、自セルを「上りリンクに最適なノード」と決定する。RRHは、「対応が必要な移動端末」の情報として、該移動端末の識別子、例えばUE−IDおよびC−RNTIなどをマクロセルへ通知する。またRRHは、「上りリンクに最適なノード」の情報として、自RRHの識別子、例えばPCIおよびGCIなどをマクロセルへ通知する。
前述の具体例(2)のRRHが決定する方法は、以下の点において、前述の具体例(1)のマクロセルが決定する方法における(A)の移動端末がマクロの決定を支援する方法と比較して有効である。前述の具体例(1)の(A)の方法は、下り受信品質に基づいて決定する方法である。他方、前述の具体例(2)の方法は、上り受信品質に基づいて決定する方法である。本実施の形態では、下りリンクと上りリンクとでキャリア周波数が異なる。受信品質は、周波数特性が異なる。したがって、上りリンクに最適なノードを選択するときには、上りリンクで判断した方が誤差は少なくなる。また、前述の具体例(1)の(A)の方法では、RRHの下りの運用を行う必要があるが、前述の具体例(2)の方法では、RRHの下りの運用を行う必要がない。これによって、前述の具体例(2)の方法では、無線リソースを有効に活用することができる。
ただし、前述の具体例(2)のRRHが決定する方法には、リファレンスシグナルを受信する上で、以下の(a)〜(d)の4つの課題が存在する。各課題に対して、ローカルノードにおける移動端末からマクロセルへのリファレンスシグナルの受信方法として、解決策を開示する。
(a)上りのリファレンスシグナルは、移動端末の識別子でスクランブリングされる(3GPP TS 36.211 V10.0.0(以下「非特許文献13」という)参照)。該移動端末と通信中にないRRHは、該移動端末の識別子を認識していない。したがって何らかの工夫をしなければ、RRHは、移動端末がマクロセル宛に送信した上りリファレンスシグナルを評価することができない。
この課題(a)に対する解決策を以下に開示する。マクロセルが傘下の移動端末の識別子、例えばUE−IDおよびC−RNTIなどをRRHへ通知する。マクロセルが、傘下の通信中の移動端末の識別子をRRHへ通知するようにしてもよい。該通知には、例えば専用線、あるいはX2インタフェースを用いる。
(b)上りのリファレンスシグナリングのシーケンスは、セルの識別子に依存することもある(非特許文献13参照)。RRHは、マクロセルの識別子を認識していない。したがって何らかの工夫をしなければ、RRHは、移動端末がマクロセル宛に送信した上りリファレンスシグナルを評価することができない場合が発生する。この課題(b)に対する解決策として、以下の(b1),(b2)の2つを開示する。
(b1)マクロセルがセルの識別子、例えばPCIおよびGCIなどをRRHへ通知する。マクロセルが、必要な場合にセルの識別子をRRHへ通知するようにしてもよい。必要な場合の具体例としては、上りのリファレンスシグナルをホッピングする場合が挙げられる。該通知には、例えば専用線、あるいはX2インタフェースを用いる。
(b2)マクロセルとRRHとを同じセル識別子、具体的にはPCIとする。マクロセルとマクロセル配下のRRHとを同じセル識別子としてもよい。マクロセル配下の具体例は、前述の実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
(c)上りリファレンスシグナルの送信方法は、上位から指定されるリファレンスシグナルの送信方法に関する移動端末固有のパラメータに依存する(非特許文献13参照)。パラメータの具体例としては、サウンディング用リファレンスシグナルの帯域幅を示す「srs-bandwidth」、サウンディング用リファレンスシグナルが周期的であることを示す「transmissionComb」、およびその周期、サウンディング用リファレンスシグナルが非周期的であることを示す「transmissionComb-ap」などがある。
移動端末と通信中にないRRHは、上位から指定されるリファレンスシグナルの送信方法に関する移動端末固有のパラメータを認識していない。したがって何らかの工夫をしなければ、RRHは、移動端末がマクロセル宛に送信した上りリファレンスシグナルを評価することができない。
この課題(c)に対する解決策を以下に開示する。マクロセルが、上位から指定されるリファレンスシグナルの送信方法に関する移動端末固有のパラメータを、RRHへ通知する。マクロセルが、傘下の通信中の移動端末に対して上位から指定されるリファレンスシグナルの送信方法に関する移動端末固有のパラメータを、RRHへ通知するようにしてもよい。該通知には、例えば専用線、あるいはX2インタフェースを用いる。
(d)上りリファレンスシグナルの送信方法は、上位から指定されるリファレンスシグナルの送信方法に関するセル固有のパラメータに依存する(非特許文献13参照)。パラメータの具体例としては、リファレンスシグナリングのシーケンスをグループホッピングするか否かを示す「Group-hopping-enabled」、サウンディング用リファレンスシグナルの帯域幅を示す「srs-bandwidth」、サウンディング用リファレンスシグナルの「MaxUpPts」などがある。RRHは、上位から指定されるリファレンスシグナルの送信方法に関するセル固有のパラメータを認識していない。したがって何らかの工夫をしなければ、RRHは、移動端末がマクロセル宛に送信した上りリファレンスシグナルを評価することができない。この課題(d)に対する解決策として、以下の(d1),(d2)の2つを開示する。
(d1)マクロセルが、上位から指定されるリファレンスシグナルの送信方法に関するセル固有のパラメータを、RRHへ通知する。マクロセルが、必要な場合にセルの識別子をRRHへ通知するようにしてもよい。該通知には、例えば専用線、あるいはX2インタフェースを用いる。
(d2)マクロセルとRRHとにおいて、上位から指定されるリファレンスシグナルの送信方法に関するセル固有のパラメータを同じとする。マクロセルとマクロセル配下のRRHとにおいて、上位から指定されるリファレンスシグナルの送信方法に関するセル固有のパラメータを同じとするようにしてもよい。マクロセル配下の具体例は、前述の実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
前述の実施の形態1におけるRRHからマクロセルへ送信する信号として、前述の具体例(3)の復調後データ、あるいはデコード後データを用いた場合、前述と同様に以下の問題が発生する。すなわち、何らかの工夫をしなければ、RRHにおいて、移動端末がマクロセル宛に送信した上りリファレンスシグナルを受信すること、および利用することができない。したがって、RRHにおいて、移動端末がマクロセル宛に送信した上りデータを復調およびデコードすることができない。その場合も、前記「ローカルノードにおける移動端末からマクロセルへのリファレンスシグナルの受信方法」を適用して、問題を解決することができる。
また、上り通信対象のポイント以外のポイントで、移動端末からの上り送信を受信する場合、前述と同様に以下の問題が発生する。すなわち、何らかの工夫をしなければ、上り通信対象のポイント以外のポイントにおいて、上りリファレンスシグナルを受信すること、および利用することができない。したがって、上り通信対象のポイント以外のポイントにおいて、移動端末が上り通信対象のポイント宛に送信した上りデータを復調およびデコードすることができない。その場合も、前記「ローカルノードにおける移動端末からマクロセルへのリファレンスシグナルの受信方法」を適用して、問題を解決することができる。
従来の上り送信の設定の具体例として、以下の(1)〜(3)の3つを開示する。
(1)移動端末は、パスロスに基づいて、上り送信電力を設定する(3GPP TS 36.213 V10.0.1(以下「非特許文献14」という)5.1章参照)。
(2)タイムアライメント(Time Alignment:TA)は、上り送信タイミングを進める、あるいは遅らせることを示す。TA(Time Alignment)は、タイミングアドバンスコマンド(timing advance command)から求められる。TA(Time Alignment)は、その時点の上り送信タイミングに対しての調整値を示す。移動端末は、タイミングアドバンスコマンドを受信すると、PUCCH、PUSCHおよびサウンディング用リファレンスシグナル(Sounding Reference Signal:SRS)の上り送信タイミングを調整する(非特許文献14 4.2.3章参照)。
(3)移動端末は、下り信号の周波数(以下「基準周波数f」という場合がある)に基づいて、周波数同期を行う(非特許文献1参照)。
最適なノードに対して適した上り送信の設定方法として、最適なノードに適したパラメータを用いて、上り送信の設定を行う。パラメータは、送信条件に相当する。最適なノードに適したパラメータを用いて、従来の方法によって上り送信の設定を行う。上り送信の設定の方法が従来通りとなることから、後方互換性に優れた通信システムの構築が可能となる。パラメータの具体例としては、パスロス(PL)、あるいはタイミングアドバンスコマンド、あるいは基準周波数fがある。タイミングアドバンスコマンドは、TA(Time Alignment)でもよい。
最適なノードに対して適したパスロスの設定方法について、以下の(1),(2)の2つを開示する。
(1)移動端末が測定結果に基づいて設定する。移動端末が最適なノード、例えばRRHの下りリソースを測定してパスロスを求め、最適なノードに対して適したパスロスとして設定する。この設定方法(1)は、後述する設定方法(2)と比較して、実際に最適なノード、例えばRRHの下りリソースを測定することから、誤差が出にくいという利点がある。
図22を用いて、最適なノードに対して適したパスロスの設定方法(1)における通信システムのシーケンスの具体例について説明する。図22は、移動端末が、測定結果に基づいて、最適なノードに対して適したパスロスの設定を行う場合のシーケンスの一例を示す図である。本動作例では、マクロセルのカバレッジ内にRRHが配置される場合について開示する。また、移動端末がマクロセルにキャンプオンし、上りリンクに最適なノードがRRHである場合について開示する。
ステップST2201において、マクロセルは、移動端末(UE)に対して下り送信を行う。下り送信は、移動端末宛の個別の送信であってもよいし、報知情報であってもよい。
ステップST2202において、移動端末は、ステップST2201でマクロセルから送信された下り送信から、マクロセルの下りリソースを測定し、マクロセルからのパスロスを求める。
ステップST2203において、移動端末は、ステップST2202で求めたパスロスを用いて、マクロセルに対して適した上り送信の設定を行う。
ステップST2204において、RRHは、移動端末に対して下り送信を行う。下り送信の具体例として、以下の(1),(2)の2つを開示する。(1)報知情報によってRRHのリファレンスシグナルの送信電力情報を送信する。(2)リファレンスシグナルを送信する。また、送信は、移動端末宛の個別の送信であってもよいし、報知情報であってもよい。
ステップST2205において、移動端末は、ステップST2204でRRHから送信された下り送信から、RRHの下りリソースを測定し、RRHからのパスロスを求める。パスロスを求める方法の具体例を以下に開示する。移動端末は、RRHのリファレンスシグナルの受信電力を測定する。移動端末は、RRHの報知情報を受信し、RRHのリファレンスシグナルの送信電力情報を得る。移動端末は、RRHのリファレンスシグナルの送信電力情報と、実際に受信したRRHのリファレンスシグナルの受信電力との差からパスロスを求める。
ステップST2206において、移動端末は、最適なノード(RRH)に対して適したパスロスとして、ステップST2205で求めたパスロスを設定する。
ステップST2207において、移動端末は、ステップST2206で設定したパスロスを用いて、最適なノードに対して適した上り送信の設定、具体例としては上り送信電力の設定を行う。本動作例においては、最適なノードはRRHとなる。
ステップST2208において、移動端末は、ステップST2207で設定した上り送信の設定に基づいて、マクロセルに対して上り送信を行う。
しかし、最適なノードに対して適したパスロスの設定方法(1)では、RRHにおいて下りの運用を行う必要があり、無線リソースの有効活用という点において課題が発生する。課題の具体例としては、RRHにおいて、RRHのリファレンスシグナル、およびリファレンスシグナルの送信電力情報を送信する必要があることが挙げられる。この課題を解決する方法として、最適なノードに対して適したパスロスの設定方法(2)を以下に開示する。
(2)マクロセルが移動端末へ設定する。設定する値の具体例として、以下の(A)〜(D)の4つを開示する。
(A)マクロセルが、RRHにおける移動端末からのパスロスを求め、移動端末に通知する。前述の実施の形態1と同様に、RRHは、移動端末からマクロセルに対して送信された上りリソースを受信する。RRHは、マクロセルに対して、RRHが受信したマクロセルの上りリソースの受信信号を通知する。マクロセルは、RRHで受信したマクロセルの上りリソースの受信信号から、RRHにおける移動端末からのパスロスを求める。マクロセルは、このRRHにおける移動端末からのパスロスを移動端末に通知する。移動端末は、受信したRRHにおける移動端末からのパスロスを、最適なノードに対して適したパスロスとして設定する。
(B)マクロセルが、オフセット値を求めて、移動端末に通知する。前述の実施の形態1と同様に、RRHは、移動端末からマクロセルに対して送信された上りリソースを受信する。RRHは、マクロセルに対して、RRHが受信した該マクロセルの上りリソースの受信信号を通知する。マクロセルは、RRHで受信した該マクロセルの上りリソースの受信信号から、RRHにおける移動端末からのパスロスを求める。マクロセルは、別途、マクロセルが受信した該マクロセルの上りリソースの受信信号から、マクロセルにおける移動端末からのパスロスを求める。RRHにおける移動端末からのパスロスと、マクロセルにおける移動端末からのパスロスとから差分を算出し、オフセット値とする。マクロセルは、このオフセット値を移動端末に通知する。移動端末は、マクロセルの下りリソースを測定してパスロスを求め、求めたパスロスに、マクロセルから受信したオフセット値を加えて、最適なノードに対して適したパスロスとして設定する。
図23を用いて、最適なノードに対して適したパスロスの設定方法(2)における(B)のマクロセルがオフセット値を求めて移動端末に通知する場合の通信システムのシーケンスの具体例について説明する。図23は、マクロセルがオフセット値を求めて移動端末に通知することで、最適なノードに対して適したパスロスの設定を行う場合のシーケンスの一例を示す図である。図23に示すシーケンスは、図19および図22に示すシーケンスと類似しているので、同一のステップについては、同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。本動作例では、マクロセルのカバレッジ内にRRHが配置される場合について開示する。また、移動端末がマクロセルにキャンプオンし、上りリンクに最適なノードがRRHである場合について開示する。
ステップST2301において、移動端末(UE)は、ステップST2203で設定した、マクロセルに対して適した上り送信設定に基づいて、マクロセルに対して上り送信を行う。
ステップST2302において、マクロセルは、ステップST2301で移動端末(UE)からマクロセルに送信された上り送信、すなわち移動端末からのマクロセルの上りリソースを測定し、移動端末からマクロセルまでのパスロスを求める。
ステップST1908において、RRHは、UEからのマクロセルの上りリソースを受信する。ステップST1909において、RRHは、マクロセルに対して、RRHが受信した該マクロセルの上りリソースの受信信号を通知する。
ステップST2303において、マクロセルは、ステップST1909で受信した、RRHが受信したUEからのマクロセルに対する上りリソースの受信信号から、移動端末からRRHまでのパスロスを求める。
ステップST2304において、マクロセルは、ステップST2302で求めた移動端末からマクロセルまでのパスロスと、ステップST2303で求めた移動端末からRRHまでのパスロスとから、オフセット値を求める。オフセット値の求め方の具体例としては、ステップST2302で求めた移動端末からマクロセルまでのパスロスと、ステップST2303で求めた移動端末からRRHまでのパスロスとの差分を求めることが挙げられる。
ステップST2305において、マクロセルは、移動端末に対して、ステップST2304で求めたオフセット値を通知する。該通知には、移動端末宛の個別送信を用いてもよい。
ステップST2306において、移動端末は、最適なノードに対して適したパスロスとして、ステップST2305で受信したオフセット値を用いてパスロスを設定する。オフセット値を用いたパスロスの設定方法の具体例としては、ステップST2202で求めた移動端末からマクロセルまでのパスロスに、ステップST2305で受信したオフセット値を加えることが挙げられる。
ステップST2207において、移動端末は、ステップST2306で設定したパスロスを用いて、最適なノードに対して適した上り送信の設定、具体例としては上り送信電力の設定を行う。本動作例においては、最適なノードはRRHとなる。
ステップST2208において、移動端末は、ステップST2207で設定した上り送信の設定に基づいて、マクロセルに対して上り送信を行う。
前述の具体例(A),(B)では、移動端末が移動する度に、RRHにおける移動端末からのパスロスが変化することから、その度ごとにマクロセルからの通知が必要となり、制御が複雑になるという問題が発生する。
また、前述の具体例(A),(B)では、移動端末からマクロセルに対して送信される上りリソースが必要となり、最初の上り送信、例えばRACHには用いることができないという問題が発生する。これらの問題の解決策として、具体例(C),(D)を以下に開示する。
(C)マクロセルが、オフセット値を求めて、移動端末に通知する。RRHが、RRHの送信電力情報をマクロセルへ通知する。マクロセルが、マクロセルとRRHとの送信電力の差分からオフセット値を算出する。マクロセルは、この算出したオフセット値を移動端末に通知する。移動端末は、マクロセルの下りリソースを測定してパスロスを求め、求めたパスロスに、マクロセルから受信したオフセット値を加えて、最適なノードに対して適したパスロスとして設定する。
(D)最適なノードに対して適したパスロスを、予め、静的、あるいは準静的に決めておく。ローカルノードのカバレッジが小さい場合などは、移動端末の位置によらず、パスロスが一定値であっても問題ないと考えられる。例えば、RRHのカバレッジが小さい場合、パスロスを「0」と決めてもよい。また、ローカルノード毎に、パスロスを決定してもよい。最適なノードに対して適したパスロスは、マクロセルから、報知情報、あるいは個別シグナリングで通知してもよい。移動端末は、マクロセルから報知情報、あるいは個別シグナリングによって受信したパスロスを、最適なノードに対して適したパスロスとして設定する。
具体例(C),(D)は、前述の具体例(A),(B)とは異なり、移動端末からマクロセルに対して送信される上りリソースが不要となる。したがって、具体例(C),(D)は、移動端末からの最初の上り送信にも用いることができるという利点を有する。また、具体例(C),(D)では、移動端末が移動した場合であっても、マクロセルから移動端末への前記オフセット値の通知は不要である。したがって、移動端末が移動する場合、具体例(C),(D)は、前述の具体例(A),(B)と比較して、制御が容易となるという利点を有する。
以上に述べた最適なノードに対して適したパスロスの設定方法(2)は、RRHにおける下りの運用を行う必要がない。したがって、パスロスの設定方法(2)は、前述のパスロスの設定方法(1)と比較して、無線リソースを有効に活用することができるという利点を有する。
前述の設定方法(1)と設定方法(2)とは、組合せて用いることができる。組合せの具体例として、以下の(a),(b)の2つを開示する。
(a)RRHの下りリソースの運用がある場合は、前述の設定方法(1)とする。他方、RRHの下りリソースの運用がない場合は、前述の設定方法(2)とする。
(b)最適なノードに対して適したパスロスの設定方法(2)によってパスロスを設定する。この場合であっても、最適なノードに対して適したパスロスの設定方法(1)のパスロスに基づいて、上書きすることを可能とする。
具体例(b)における上書きのタイミングの具体例として、以下の(b1),(b2)の2つを開示する。(b1)RRHの下りリソースの運用が開始されたタイミング。(b2)RRHの下りリソースを移動端末が受信し始めたタイミング。
前述の設定方法(2)においても、設定する値の具体例(A)〜(C)は、組合わせて用いることができる。組合せの具体例を以下に開示する。最初の上り送信には具体例(C)を用い、以降の上り送信には具体例(A)、あるいは具体例(B)を用いる。
最適なノードに対して適したタイミングアドバンスコマンドの設定方法について、以下に開示する。マクロセルが移動端末へ設定する。設定する値の具体例を以下に開示する。最適なノードに対して適したタイミングアドバンスコマンドを、予め、静的、あるいは準静的に決めておく。ローカルノードのカバレッジが小さい場合などは、移動端末の位置によらず、タイミングアドバンスコマンドが一定値であっても問題ないと考えられる。例えば、RRHのカバレッジが小さい場合、タイミングアドバンスコマンドを「0」と決めてもよい。また、ローカルノード毎に、タイミングアドバンスコマンドを決定してもよい。最適なノードに対して適したタイミングアドバンスコマンドは、マクロセルから、報知情報、あるいは個別シグナリングで通知してもよい。
前述の設定方法は、RRHにおける下りの運用を行う必要がない。したがって、無線リソースを有効に活用することができる。また、移動端末からマクロセルに対して送信される上りリソースが不要となる。したがって、移動端末からの最初の上り送信にも用いることができる。
最適なノードに対して適した基準周波数を設定する方法について、以下の(1),(2)の2つを開示する。(1)移動端末が測定結果に基づいて設定する。移動端末がRRHの下りリソースを測定し、下りキャリア周波数を基準周波数と認識して設定する。この設定方法(1)は、後述する設定方法(2)と比較して、実際にRRHの下りリソースを測定することから、誤差が少ないという効果を得ることができる。
前述の図18を用いて、基準周波数の設定方法(1)の具体例について説明する。マクロセルの下りキャリア周波数をDL_f1とし、上りキャリア周波数をUL_f1とする。RRHの下りキャリア周波数をDL_f2とし、上りキャリア周波数をUL_f2とする。
移動端末は、RRHの下りリソースを測定し、下りキャリア周波数DL_f2を基準周波数と認識して設定する。
しかし、基準周波数の設定方法(1)では、RRHにおいて下りの運用を行う必要があり、無線リソースの有効活用という点において課題が発生する。前記課題を解決する方法として、以下に、最適なノードに対して適した基準周波数の設定方法(2),(3)を開示する。
(2)RRHがマクロセルの周波数と同期させる。同期させる方法の具体例として、以下の(a)〜(c)の3つを開示する。
(a)マクロセルからRRHへ周波数情報を通知する。周波数情報は、基準周波数、あるいは下りキャリア周波数であってもよい。周波数情報を受信したRRHは、RRHの周波数を、マクロセルの周波数に同期させる。移動端末は、マクロセルの下り信号の周波数に基づいて、周波数の同期を行う。RRHの周波数と、マクロセルの周波数とは、同期している。したがって、移動端末がマクロセルと周波数を同期させることによって、移動端末は、RRHと周波数が同期することになる。
前述の図18を用いて、基準周波数の設定方法(2)の具体例(a)の具体例について説明する。マクロセルの下りキャリア周波数をDL_f1とし、上りキャリア周波数をUL_f1とする。RRHの下りキャリア周波数をDL_f2とし、上りキャリア周波数をUL_f2とする。マクロセルは、RRHに対して周波数情報を通知する。周波数情報としては、マクロセルの下りキャリア周波数であるDL_f1、あるいは上りキャリア周波数であるUL_f1が考えられる。RRHは、マクロセルから受信した周波数情報に、RRHのキャリア周波数DL_f2、UL_f2を同期させる。移動端末は、マクロセルの下りキャリア周波数DL_f1に基づいて、周波数の同期を行う。
(b)RRHがマクロセルの下り信号を受信し、該周波数に基づいて、周波数の同期を行う。移動端末は、マクロセルの下り信号の周波数に基づいて、周波数の同期を行う。RRHの周波数と、マクロセルの周波数とは、同期している。したがって、移動端末がマクロセルと周波数を同期させることによって、移動端末は、RRHと周波数が同期することになる。
(c)同一の基準信号源を用いて、マクロセルおよびRRHが周波数設定を行う。基準信号源の具体例としては、水晶振動子、水晶発振器、クロック発振器などがある。
前述の図18を用いて、基準周波数の設定方法(2)の具体例(b)の具体例について説明する。マクロセルの下りキャリア周波数をDL_f1とし、上りキャリア周波数をUL_f1とする。RRHの下りキャリア周波数をDL_f2とし、上りキャリア周波数をUL_f2とする。RRHは、マクロセルの下りキャリア周波数であるDL_f1を受信し、下りキャリア周波数DL_f1に基づいて、周波数の同期を行う。移動端末は、マクロセルの下り信号の周波数DL_f1に基づいて、周波数の同期を行う。RRHの周波数と、マクロセルの周波数とは、同期している。したがって、移動端末がマクロセルと周波数を同期させることによって、移動端末は、RRHと周波数が同期することになる。
最適なノードに適したパラメータの設定方法の具体例として、以下の(1)〜(3)の3つを開示する。
(1)マクロセルが、移動端末に対して個別シグナリングで通知する。該通知は、対象のローカルノードの識別子、例えばPCIおよびGCIなどとともに送信されてもよい。これによって、最適なノードに適したパラメータが、ローカルノード毎に設定可能となる。
(2)マクロセルが移動端末に対して、ページングを用いて通知する。ページングメッセージ中に、最適なノードに適したパラメータの通知を知らせる新たなインジケータを設けてもよい。ページングを用いて通知する方法の具体例として、以下の(a1),(a2)の2つを開示する。(a1)ページングメッセージに「最適なノードに適したパラメータ」をマッピングする。具体例としては、PCCHに「最適なノードに適したパラメータ」をマッピングする。(a2)ページングで呼び出し、RRC接続を行った後に、個別シグナリングを用いて「最適なノードに適したパラメータ」を通知する。
(3)マクロセルが移動端末に対して、報知情報を用いて通知する。
前述の具体例(1)では、個別シグナリングで通知することから、マクロセルと移動端末とがRRC接続状態である必要がある。つまり、移動端末が待受け状態の場合は、最適なノードに適したパラメータが設定できない。また最初の上り送信、例えばRACHには用いることができない。
これに対し、前述の具体例(2),(3)は、前述の具体例(1)とは異なり、マクロセルと移動端末とがRRC接続状態である必要はない。したがって、待受け状態の移動端末に対しても、最適なノードに適したパラメータを設定することができる。また移動端末からの最初の上り送信にも、最適なノードに適したパラメータを用いることができる。
移動端末が、上りリンクで最適なノードに適した上り送信の設定を用いることを開始する方法、あるいは上りリンクで最適なノードに適した上り送信の設定を用いることを終了する方法の具体例として、以下の(1),(2)の2つを開示する。言い換えると、移動端末が、下りリンクで最適なノードに適した上り送信の設定から、上りリンクで最適なノードに適した上り送信の設定へ切替える方法、あるいは上りリンクで最適なノードに適した上り送信の設定から、下りリンクで最適なノードに適した上り送信の設定へ切替える方法の具体例として、以下の(1),(2)の2つを開示する。
(1)マクロセルから、移動端末に対して、上りリンクで最適なノードに適した上り送信の設定を用いることの開始、および上りリンクで最適なノードに適した上り送信の設定を用いることの終了を通知する。前記開始および終了の通知方法の具体例として、以下の(a),(b)の2つを開示する。
(a)個別シグナリングで、上りリンクで最適なノードに適した上り送信の設定を用いることを開始することを示す情報、あるいは起動することを示す情報「activation」を通知する。また、上りリンクで最適なノードに適した上り送信の設定を用いることを終了することを示す情報、あるいは非活性化することを示す情報「deactivation」を通知する。個別シグナリングの具体例として、以下の(A)〜(C)の3つを開示する。(A)RRCシグナリングまたはRRCメッセージで通知する。(B)MACシグナリングまたはMACメッセージで通知する。(C)レイヤ1シグナリング、具体例としてはPDCCHを用いて通知する。
(b)ページングで、上りリンクで最適なノードに適した上り送信の設定を用いることを開始することを示す情報、あるいは起動することを示す情報「activation」を通知する。また、上りリンクで最適なノードに適した上り送信の設定を用いることを終了することを示す情報、あるいは非活性化することを示す情報「deactivation」を通知する。ページングメッセージ中に、前記開始および終了の通知を知らせる新たなインジケータを設けてもよい。
(2)マクロセルから、前記開始のみを通知する。合わせて有効期間を通知し、前記開始から有効期間経過後に上りリンクで最適なノードに適した上り送信の設定を用いることを終了する。また、具体例(1),(2)において、最適なノードに適したパラメータの通知によって、上りリンクで最適なノードに適した上り送信の設定を用いることを開始することを通知してもよい。
マクロセルは、上りリンクで最適なノードに適した上り送信の設定を用いることの開始を通知した移動端末に対する、上りリソースの受信を中断してもよい。上りリンクで最適なノードに適した上り送信の設定を用いることの終了を通知した移動端末に対する、上りリソースの受信の再開を行ってもよい。
また、マクロセルは、RRHにおける、該移動端末のマクロセルの上りリソースの受信品質が良好であれば、該移動端末に対する上りリソースの受信を中断してもよい。マクロセルは、RRHにおける、該移動端末のマクロセルの上りリソースの受信品質が悪くなれば、該移動端末に対する上りリソースの受信を再開してもよい。受信の中断、あるいは再開を判断する受信品質の閾値を設けてもよい。
また、受信の中断を行った、該リソースを他の移動端末にスケジューリングしてもよい。他の移動端末の具体例としては、RRHの近くに位置しない移動端末、あるいはマクロセルの近くに位置する移動端末などである。
RRHのマクロセルの上りリソースを受信する機能をオン(ON)およびオフ(OFF)することを可能としてもよい。
前記上りリソースを受信する機能をオン(ON)する場合の具体例としては、RRHを最適なノードと選択する移動端末が存在する場合などである。RRHがオン(ON)のタイミングを認識する方法の具体例としては、マクロセルが、RRHを最適なノードと選択する移動端末が存在する場合に通知することが考えられる。
前記上りリソースを受信する機能をオフ(OFF)する場合の具体例としては、RRHを最適なノードと選択する移動端末が存在しない場合などである。RRHがオフ(OFF)のタイミングを認識する方法の具体例としては、マクロセルが、RRHを最適なノードと選択する移動端末が存在しない場合に通知することが考えられる。
マクロセルは、移動端末に対して最適なノードに対して適した上り送信の設定が存在する場合は、RRHを最適なノードと選択する移動端末が存在すると判断すればよい。他方、マクロセルは、移動端末に対して最適なノードに対して適した上り送信の設定が存在しない場合は、RRHを最適なノードと選択する移動端末が存在しないと判断すればよい。
次に、図24を用いて、実施の形態2における通信システムのシーケンスの具体例について説明する。図24は、実施の形態2における通信システムのシーケンスの一例を示す図である。図24に示すシーケンスは、図19、図22および図23に示すシーケンスと類似しているので、同一のステップについては、同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。
本動作例では、マクロセルのカバレッジ内にRRHが配置される場合について開示する。また、移動端末がマクロセルにキャンプオンし、上りリンクに最適なノードがRRHである場合について開示する。
本動作例では、上りリンクと下りリンクとで最適なノードが異なる移動端末の決定方法の具体例として、前述の具体例(2)のRRHが決定する場合について開示する。本動作例では、最適なノードに適したパラメータの設定方法の具体例として、前述の具体例(1)のマクロセルが移動端末に対して個別シグナリングで通知する場合について開示する。
ステップST2401において、マクロセルは、RRHに対して、リファレンスシグナルの受信に必要な情報を通知する。リファレンスシグナルの受信に必要な情報の具体例としては、傘下の通信中の移動端末の識別子、マクロセルのセル識別子、傘下の通信中の移動端末に対する、上位から指定されるリファレンスシグナルの送信方法に関する移動端末固有のパラメータ、およびリファレンスシグナルの送信方法に関するセル固有のパラメータなどがある。
ステップST2402において、RRHは、マクロセルの上りリソースの受信信号、あるいは受信データを用いて、各移動端末のRRHにおける上り受信品質を評価する。
ステップST2403において、RRHは、ステップ2402における上り受信品質の評価の結果に基づいて、上り受信品質が閾値よりも大きい移動端末が存在するか否かを判断する。ステップST2403において、RRHが、上り受信品質が閾値よりも大きい移動端末が存在すると判断した場合は、ステップST2404に移行する。ステップST2403において、RRHが、上り受信品質が閾値よりも大きい移動端末が存在しないと判断した場合は、処理を終了し、他の処理に移行する。他の処理については、本発明の特徴的部分ではないので、説明を省略する。
ステップST2404において、RRHは、ステップST2403で、上り受信品質が閾値よりも大きいと判断した移動端末を、対応が必要な移動端末であると決定する。
ステップST2405において、RRHは、マクロセルに対して、ステップST2404で、対応が必要な移動端末であると決定した移動端末の識別子を通知する。
ステップST2406において、RRHは、ステップST2405で通知した対応が必要な移動端末にとって、自RRHが上りリンクで最適なノードである旨をマクロセルに対して通知する。具体的には、RRHは、マクロセルに対して、自RRHの識別子を通知する。
ステップST2407において、マクロセルは、ステップST2405で受信した移動端末に対する最適なノードに適した上り送信の設定を決定する。具体的には、マクロセルは、ステップST2406で受信した上りリンクで最適なノードに適した上り送信の設定を決定する。上り送信のパラメータの具体例としては、パスロス、あるいはタイミングアドバンスコマンド、あるいは基準周波数fなどがある。
ステップST2408において、マクロセルは、移動端末に対して、ステップST2407で決定した、上りリンクで最適なノードに適した上り送信の設定を通知する。
ステップST2409において、移動端末は、ステップST2408で受信した上りリンクで最適なノードに適した上り送信の設定を反映する。
ステップST2410において、移動端末は、ステップST2409で反映した上りリンクで最適なノードに適した上り送信設定に基づいて、マクロセルに対して、上り送信を行う。
ステップST2411において、マクロセルは、ステップST2408で上りリンクで最適なノードに適した上り送信の設定を通知した移動端末の上りリソースの受信を中断する。マクロセルは、該移動端末にスケジューリングした上りリソースの受信を中断するようにしてもよい。
以上の実施の形態2によって、実施の形態1および実施の形態1の変形例1の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。前述のようにリンクインバランスによって、上り通信において最適なリンクを用いない状況が発生する。最適なリンクを用いた場合と比較して、移動端末に必要な送信電力は大きくなる。したがって、移動端末の消費電力が増大するという課題が発生する。
本実施の形態では、上りリンクに最適なノードに対して適した上り送信の設定を行う。これによって、移動端末に必要な送信電力が最適となる。したがって、移動端末の消費電力を削減することができる。あわせて、移動端末からの無駄な上り送信電力を削減することができるので、上り干渉を低減することができる。
他方、実施の形態2の解決策では、あくまでUEはキャンプオンしたマクロセルに対して上り送信の動作を行っている。UEに追加の通知、あるいは追加の機能が必要ない。この点において、実施の形態2は、後方互換性(backward compatibility:バックワードコンパチビリティ)に優れた通信システムの構築が可能となる。
本実施の形態では、ローカルノードのキャリア周波数とマクロセルのキャリア周波数とを異ならせる場合について開示したが、ローカルノードのキャリア周波数とマクロセルのキャリア周波数とが同じ場合であっても、本実施の形態を適用することができ、それによって本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また本実施の形態では、ローカルノードとして、リモートラジオヘッド(RRH)を用いた場合の通信システムの構成について説明したが、ローカルノードはRRHに限らず、RRH以外のローカルノードでもよい。RRH以外のローカルノードについても本実施の形態を適用することができ、それによって本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また本実施の形態では、上りリンクに最適なノードがローカルノードである場合について主に開示したが、上りリンクに最適なノードがマクロセルであっても、本実施の形態を適用することができ、それによって本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
実施の形態3.
実施の形態3では、前述の実施の形態1および実施の形態2と同じ課題について、別の解決策を開示する。実施の形態3での解決策を以下に示す。上りリンクで最適なノードの下りコンポーネントキャリアは用いずに、上りコンポーネントキャリアを用いてキャリアアグリゲーションを行う。あるいは、マクロセルの下りコンポーネントキャリアと上りコンポーネントキャリアと、上りリンクで最適なノードの上りコンポーネントキャリアとを用いてキャリアアグリゲーションを行う。あるいは、セカンダリセル(Secondary Cell:SCell)の上りは、上りリンクで最適なノードのコンポーネントキャリアを用いる。
図25を用いて、実施の形態3の解決策の概念について説明する。図25は、実施の形態3の解決策の概念を説明するための図である。
マクロセル2501には、下りコンポーネントキャリアとして、参照符号2502で示すDL_CC1と、参照符号2503で示すDL_CC2とが含まれる。またマクロセル2501には、上りコンポーネントキャリアとして、参照符号2504で示すUL_CC1と、参照符号2505で示すUL_CC2とが含まれる。
RRH2506には、下りコンポーネントキャリアとして、参照符号2507で示すDL_CC3が含まれる。またRRH2506には、上りコンポーネントキャリアとして、参照符号2508で示すUL_CC3が含まれる。また、マクロセル2501とRRH2506とは、専用線2509で接続されているとする。
移動端末は、下り受信品質が最も良いセルとして、マクロセルの参照符号2502で示すDL_CC1を選択し、キャンプオンする(非特許文献3参照)。つまりマクロセルの参照符号2502で示すDL_CC1が、PCellの下りプライマリコンポーネントキャリアとなる。PCellの下りコンポーネントキャリアで通知される報知情報のSIB2によって、上りリンク用リソースのキャリア周波数が示される。ここでは、マクロセル2501のUL_CC1が通知されたとする。つまり、図25において破線で示す移動端末のPCellは、DL_CC1とUL_CC1とからなる。移動端末が、マクロセルよりもRRHに近い場所に位置するとする。その場合、上りリンクで最適なノードはRRHとなる。
本実施の形態では、上りリンクで最適なノードであるRRH2506の、参照符号2507で示す下りコンポーネントキャリアDL_CC3は用いずに、参照符号2508で示す上りコンポーネントキャリアUL_CC3を用いてキャリアアグリゲーションを行う。
あるいは、下りリンクで最適なノードであるマクロセル2501の下りコンポーネントキャリア、具体的には参照符号2502で示すDL_CC1および参照符号2503で示すDL_CC2と、マクロセル2501の上りコンポーネントキャリア、具体的には参照符号2504で示すUL_CC1と、上りリンクで最適なノードであるRRH2506の上りコンポーネントキャリア、具体的には参照符号2508で示すUL_CC3とを用いてキャリアアグリゲーションを行う。
あるいは、SCellの上りは、上りリンクで最適なノードであるRRH2506の上りコンポーネントキャリア、具体的には参照符号2508で示すUL_CC3を用いる。つまり、図25において二点鎖線で示す移動端末のSCellは、DL_CC2とUL_CC3とからなる。
上りリンクで最適なノードの上りコンポーネントキャリアをキャリアアグリゲーションに用いる方法の具体例を、以下に開示する。PCellが、特定の移動端末に対して、上りリンクで最適なノードの上りコンポーネントキャリアを、SCellの追加(addition)または更新(modification)として通知する。前述の通り、SCellの追加または更新は、個別RRCシグナリングの「RRC Connection Reconfiguration message」を用いて、PCellが移動端末へ通知することが検討されている(非特許文献2参照)。
上りリンクで最適なノードの上りコンポーネントキャリアをキャリアアグリゲーションに用いる方法について、図25を用いて説明する。PCellであるマクロセル2501のDL_CC1は、下りリンクで最適なノードであるマクロセル2501に含まれる下りコンポーネントキャリアDL_CC2と、上りリンクで最適なノードであるRRH2506に含まれる上りコンポーネントキャリアUL_CC3とを、SCellとして、個別RRCシグナリングを用いて追加する。
ここでは、下りコンポーネントキャリアDL_CC2と、上りコンポーネントキャリアUL_CC3とが、下りコンポーネントDL_CC2で通知される報知情報のSIB2によってリンク付けがされていないところが特徴的である。なぜならば、マクロセルのカバレッジ内にローカルノードが存在しない場合などは、下りリンクで最適なノードが、上りリンクで最適なノードとなる。また、マクロセルのカバレッジ内にローカルノードが存在する場合であっても、移動端末がローカルノードよりもマクロセルの近くに位置する場合などは、下りリンクで最適なノードが上りリンクで最適なノードとなる。したがってSIB2では従来通り、下りコンポーネントDL_CC2で通知される報知情報のSIB2によって、同じノードの上りリンク用リソースのキャリアUL_CC2を示す。下りリンクで最適なノードと上りリンクで最適なノードとが異なるような、特定の移動端末に対して、個別RRCシグナリングを用いてUL_CC3とのリンクを通知するとする。
特定の移動端末は、具体例として、RRH圏内に位置する移動端末とする。RRH圏内に位置する移動端末の判定方法の具体例は、前述の実施の形態2の対応が必要な移動端末の決定方法の具体例と同様であるので、説明を省略する。ただし、本実施の形態では、RRHにマクロセルの上りコンポーネントキャリアを受信する機能を設けて、前述の具体例(1)の(B)、および具体例(2)を実現する。
上りリンクで最適なノードの選択方法の具体例を、以下に開示する。(1)マクロセル配下のRRHとする。マクロセル配下のRRHの具体例は、前述の実施の形態1の具体例と同様であるので、説明を省略する。
この上りリンクで最適なノードの選択方法の具体例(1)では、リソースの利用効率が悪いという課題が発生する。前記課題を解決する方法として、以下に、上りリンクで最適なノードの選択方法の具体例(2)を開示する。(2)各ノードに異なる移動端末をスケジューリングする。各移動端末に対して、上りリンクに最適なノードを決定する方法の具体例は、前述の実施の形態2の上りリンクに最適なノード決定方法の具体例と同様であるので、説明を省略する。
移動端末は、最適なノードの上りコンポーネントキャリアに対して適した上り送信の設定を行う。これによって、移動端末に必要な送信電力は最適となる。したがって、移動端末の消費電力を削減することができる。最適なノードの上りコンポーネントキャリアに対して適した上り送信の設定方法として、最適なノードに適したパラメータを用いて、上り送信の設定を行う。パラメータの具体例としては、パスロス(PL)、あるいはタイミングアドバンスコマンド、あるいは基準周波数fがある。タイミングアドバンスコマンドは、TA(Time Alignment)でもよい。
最適なノードに対して適したパスロスの設定方法は、前述の実施の形態2と同様であるので、説明を省略する。
最適なノードに対して適したタイミングアドバンスコマンドの設定方法を以下に開示する。従来の技術では、SCellのPUSCHおよびSRS用の上り送信タイミングは、PCellと同じとされている(非特許文献14 4.2.3章参照)。本実施の形態では、最適なノードとして、PCellが含まれるノードとは物理的に離れた場所に配置されるノードをも対象としている。
本実施の形態では、SCellに最適なノードの上りコンポーネントキャリアを用いることから、従来の技術では以下の課題が発生する。移動端末が、PCellの上りコンポーネントキャリアを用いた送信と、SCellの上りコンポーネントキャリアを用いた送信とを同時に行ったとしても、各ノードに到着する時間は異なる。したがって、SCellのPUSCHおよびSRS用の上り送信タイミングがPCellと同じとされている従来の技術の方法では、SCellの上り送信が正常に受信できない場合が発生するという問題がある。最適なノードに対して適したタイミングアドバンスコマンドの設定方法は、前述の実施の形態2と同様であるので、説明を省略する。
最適なノードに対して適した基準周波数の設定方法について、以下に開示する。
(1)移動端末が測定結果に基づいて設定する。移動端末がRRHの下りリソースを測定し、基準周波数を認識して設定する。この設定方法(1)では、後述する設定方法(2)と比較して、実際にRRHの下りリソースを測定することから、誤差が少ないという効果を得ることができる。
前述の図25を用いて、基準周波数の設定方法(1)の具体例について説明する。マクロセルの下りコンポーネントキャリアDL_CC1のキャリア周波数をDL_f1とし、下りコンポーネントキャリアDL_CC2のキャリア周波数をDL_f2とし、上りコンポーネントキャリアUL_1のキャリア周波数をUL_f1とし、上りコンポーネントキャリアUL_2のキャリア周波数をUL_f2とする。また、RRHの下りコンポーネントキャリアDL_CC3のキャリア周波数をDL_f3とし、上りコンポーネントキャリアUL_CC3のキャリア周波数をUL_f3とする。移動端末は、RRHの下りリソースを測定し、下りキャリア周波数DL_f3を基準周波数と認識して設定する。
最適なノードに対して適した基準周波数の設定方法(1)では、RRHにおいて下りの運用を行う必要があり、無線リソースの有効活用という点において課題が発生する。前記課題を解決する方法として、以下に、最適なノードに対して適した基準周波数の設定方法(2),(3)を開示する。
(2)RRHがマクロセルの周波数と同期させる。同期させる方法の具体例として、以下の(A),(B)の2つを開示する。
(A)マクロセルからRRHへ周波数情報を通知する。周波数情報は、基準周波数、あるいは下りキャリア周波数であってもよい。周波数情報を受信したRRHは、RRHの周波数を、マクロセルの周波数に同期させる。移動端末は、マクロセルの下り信号の周波数に基づいて、周波数の同期を行う。RRHの周波数と、マクロセルの周波数とは、同期している。したがって、移動端末がマクロセルと周波数を同期させることによって、移動端末は、RRHと周波数が同期することになる。
マクロセルに下りコンポーネントキャリアが複数存在した場合の、マクロセルが通知する下りキャリア周波数の具体例として、以下の(a1)〜(a3)の3つを開示する。(a1)PCellの下りコンポーネントキャリアのキャリア周波数。(a2)RRHの上りコンポーネントキャリアとリンク付けがされているマクロセルの下りコンポーネントキャリアのキャリア周波数。(a3)移動端末が基準周波数と認識するマクロセルの下りキャリア周波数。
前述の図25を用いて、基準周波数の設定方法(2)の具体例(A)の具体例(a1)について説明する。マクロセルは、RRHに対して周波数情報を通知する。周波数情報は、PCellの下りキャリア周波数DL_f1である。RRHは、マクロセルから受信した周波数情報に、RRHの下りコンポーネントキャリアのキャリア周波数DL_f3を同期させる。移動端末は、PCellの下りコンポーネントキャリアのキャリア周波数DL_f1、あるいはマクロセルの下りコンポーネントキャリアのキャリア周波数DL_f1に基づいて、周波数の同期を行う。
(B)RRHがマクロセルの下り信号を受信し、下り信号の周波数に基づいて、周波数の同期を行う。移動端末は、マクロセルの下り信号の周波数に基づいて、周波数の同期を行う。RRHの周波数と、マクロセルの周波数とは、同期している。したがって、移動端末がマクロセルと周波数を同期させることによって、移動端末は、RRHと周波数が同期することになる。
マクロセルに下りコンポーネントキャリアが複数存在した場合の、RRHが受信するマクロセルの下りキャリア周波数の具体例として、以下の(b1)〜(b3)の3つを開示する。(b1)PCellの下りコンポーネントキャリアのキャリア周波数。(b2)RRHの上りコンポーネントキャリアとリンク付けがされているマクロセルの下りコンポーネントキャリアのキャリア周波数。(b3)移動端末が基準周波数と認識するマクロセルの下りキャリア周波数。
前述の図25を用いて、基準周波数の設定方法(2)の具体例(B)の具体例(b1)について説明する。RRHは、マクロセルのPCellの下りキャリア周波数DL_f1を受信し、下りキャリア周波数DL_f1に基づいて、周波数の同期を行う。移動端末は、マクロセルの下り信号の周波数DL_f1に基づいて、周波数の同期を行う。RRHの周波数と、マクロセルの周波数とは、同期している。したがって、移動端末がマクロセルと周波数を同期させることによって、移動端末は、RRHと周波数が同期することになる。
最適なノードに適したパラメータの設定方法の具体例として、以下の(1),(2)の2つを開示する。
(1)マクロセルが、移動端末に対して、個別シグナリングで通知する。従来のSCellの追加(addition)または更新(modification)を用いるとよい。これによって、後方互換性(backward compatibility:バックワードコンパチビリティ)に優れた通信システムの構築が可能となる。前記個別シグナリングでの通知は、対象のローカルノードの識別子、例えばPCIおよびGCIなどとともに送信されてもよい。これによって、最適なノードに適したパラメータが、ローカルノード毎に設定可能となる。
(2)マクロセルが、移動端末に対して、報知情報を用いて通知する。
移動端末が、上りリンクで最適なノードに適した上り送信の設定を用いることを開始する方法、あるいは上りリンクで最適なノードに適した上り送信の設定を用いることを終了する方法の具体例にとして、以下の(1),(2)の2つを開示する。
(1)マクロセルから、移動端末に対して、上りリンクで最適なノードに適した上り送信の設定を用いることの開始、および上りリンクで最適なノードに適した上り送信の設定を用いることの終了を通知する。個別シグナリングで、上りリンクで最適なノードに適した上り送信の設定を用いることを開始することを示す情報、あるいは起動することを示す情報「activation」を通知する。また、上りリンクで最適なノードに適した上り送信の設定を用いることを終了することを示す情報、あるいは非活性化することを示す情報「deactivation」を通知する。
従来のSCellの追加(addition)、更新(modification)、削除(removal)、あるいはSCellの活性化(activation)、非活性化(deactivation)を用いるとよい。例えば、SCellの追加(addition)が通知された場合、更新(modification)によってSCellが追加された場合、ならびにSCellの活性化が通知された場合は、上りリンクで最適なノードに適した上り送信の設定を用いることの開始が通知されたとしてもよい。また、SCellの削除(removal)が通知された場合、およびSCellの非活性化が通知された場合は、上りリンクで最適なノードに適した上り送信の設定を用いることの終了が通知されたとしてもよい。従来のメッセージを流用可能な点において、後方互換性に優れた通信システムの構築が可能となる。
(2)マクロセルから、前記開始のみを通知する。合わせて有効期間を通知して、前記開始から有効期間経過後に上りリンクで最適なノードに適した上り送信の設定を用いることを終了する。また、具体例(1),(2)において、最適なノードに適したパラメータの通知に基づいて、上りリンクで最適なノードに適した上り送信の設定を用いることを開始することを通知したとしてもよい。
次に、図26を用いて、実施の形態3における通信システムのシーケンスの具体例について説明する。図26は、実施の形態3における通信システムのシーケンスの一例を示す図である。図26に示すシーケンスは、図24に示すシーケンスと類似しているので、同一のステップについては、同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。
本動作例では、マクロセルのカバレッジ内にRRHが配置される場合について開示する。また、移動端末がマクロセルにキャンプオンし、上りリンクに最適なノードがRRHである場合について開示する。
本動作例では、RRH圏内に位置する移動端末の判定方法の具体例として、前述の具体例(1)の具体例(A)の具体例(A1)の場合について開示する。本動作例では、最適なノードに適したパラメータの設定方法の具体例として、前述の具体例(1)のマクロセルが移動端末に対してSCellの追加で通知する場合について開示する。
ステップST2601において、移動端末は、下り受信品質が最も良いセルとして、マクロセルの下りコンポーネントキャリアであるDL_CC1にキャンプオンする。下りコンポーネントキャリアDL_CC1で通知される報知情報のSIB2によって、上りリンク用リソースのキャリア周波数が示される。ここでは、マクロセルのUL_CC1が通知されたとする。つまり、移動端末におけるPCellの下りコンポーネントキャリアはDL_CC1となり、上りコンポーネントキャリアはUL_CC1となる。
ステップST2602において、移動端末は、PCellであるマクロセルのUL_CC1に対して適した上り送信設定を行う。
ステップST2603において、マクロセルのDL_CC1は、移動端末に対して、下り送信を行う。
ステップST2604において、移動端末は、ステップST2602で設定した上り送信設定に基づいて、マクロセルのUL_CC1に対して、上り送信を行う。
ステップST2605において、移動端末は、周辺セルのメジャメントを行う。移動端末は、自移動端末が、対応が必要な移動端末であるか否かの判断を行うために、あるいは自移動端末が、RRH圏内に位置するか否かを判断するために、あるいは上りリンクに最適なノードを決定するために、周辺セルのメジャメントを行うようにしてもよい。
ステップST2606において、移動端末は、PCellに対して、ステップST2605で行った周辺セルのメジャメントの結果を報告する。移動端末は、マクロセルのUL_CC1を経由して、マクロセルの制御部に対して、メジャメントの結果を報告する。
ステップST2607において、マクロセルの制御部は、ステップST2606で移動端末から報告されたメジャメントの結果に基づいて、下り受信品質が閾値よりも大きいセルが存在するか否かを判断する。ステップST2607において、マクロセルの制御部が、下り受信品質が閾値よりも大きいセルが存在すると判断した場合は、ステップST2608に移行する。ステップST2607において、マクロセルの制御部が、下り受信品質が閾値よりも大きいセルが存在しないと判断した場合は、処理を終了し、他の処理に移行する。他の処理については、本発明の特徴的部分ではないので、説明を省略する。
ステップST2608において、マクロセルの制御部は、ステップST2606でメジャメントの結果を報告した移動端末を、対応が必要な移動端末、あるいは特定の移動端末、あるいはRRH圏内に位置する移動端末であると決定する。
ステップST2609において、マクロセルの制御部は、ステップST2607で下り受信品質が閾値よりも大きいと判断したセルを、上りリンクとして最適なノードであると決定する。本動作例では、上りリンクとして最適なノードとして、RRHのUL_CC3を決定する。
ステップST2407において、マクロセルは、ステップST2608でRRH圏内に位置する移動端末であると決定した移動端末の、ステップST2609で決定した上りリンクとして最適なノードに適した上り送信の設定を決定する。上り送信のパラメータの具体例としては、パスロス、あるいはタイミングアドバンスコマンド、あるいは基準周波数fなどがある。
ステップST2610において、マクロセルの制御部は、マクロセルのPCellを経由して、移動端末に対して、SCellの追加を通知する。SCellの追加の通知では、SCellの上りコンポーネントキャリアとして、ステップST2609で決定した上りリンクとして最適なノードであるRRHのUL_CC3が設定される。またSCellの追加の通知には、ステップST2407で決定した上りリンクとして最適なノードに適した上り送信の設定が含まれる。またSCellの追加の通知では、下りコンポーネントキャリアとして、下り受信品質が良いセルが設定される。本動作例では、下りコンポーネントキャリアとして、マクロセルのDL_CC2が設定されるとする。
ステップST2611において、移動端末は、ステップST2610で受信した上りリンクとして最適なノードに適した上り送信の設定を行う。つまり、移動端末は、ステップST2610で追加されたSCellに適した上り送信設定を行う。具体的には、移動端末は、RRHのUL_CC3に適した上り送信設定を行う。
ステップST2612において、マクロセルのDL_CC1は、移動端末に対して、下り送信を行う。マクロセルのDL_CC1は、PCellとして通信を行う。
ステップST2613において、マクロセルのDL_CC2は、移動端末に対して、下り送信を行う。マクロセルのDL_CC2は、SCellとして通信を行う。
ステップST2614において、移動端末は、ステップST2602で設定した上り送信設定に基づいて、マクロセルのUL_CC1に対して、上り送信を行う。マクロセルのUL_CC1は、PCellとして通信を行う。
ステップST2615において、移動端末は、ステップST2611で設定した上り送信設定に基づいて、RRHのUL_CC3に対して、上り送信を行う。RRHのUL_CC3は、SCellとして通信を行う。
以上の実施の形態によって、以下の効果を得ることができる。上りリンクに最適なノードに対して適した上り送信の設定を行うので、移動端末に必要な送信電力は最適となる。これによって、移動端末の消費電力を削減することができる。あわせて、移動端末からの無駄な上り送信電力が削減されるので、上り干渉を低減することができる。
また本実施の形態では、ローカルノードとして、リモートラジオヘッド(RRH)を用いた場合の通信システムの構成について説明したが、ローカルノードはRRHに限らず、RRH以外のローカルノードでもよい。RRH以外のローカルノードについても本実施の形態を適用することができ、それによって本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
実施の形態3 変形例1.
実施の形態3の変形例1で解決する課題について、以下に説明する。前述の実施の形態3を用いた場合であっても、以下の課題が発生する。移動端末からのPUCCHの送信には、PCellが用いられる(非特許文献1 7.5章参照)。実施の形態3を実施したのみでは、PUCCHは、上りリンクで最適なノードを用いて送信することはできない。したがって、PUCCHにおいては、実施の形態3で解決しようとする課題が残るという問題がある。
従来のキャリアアグリゲーションの方法によって、上りリンクで最適なノードにPCellを変更してもよい。しかし、PCellの変更は、ハンドオーバ処理を伴う。現在のノードのカバレッジ内に、上りリンクで最適なノードが位置した場合は、メジャメント設定(Measurement configuration)、メジャメント対象(Measurement Object)および報告設定(Reporting configuration)が、それぞれ2種類必要となる。なぜならば、従来における現在のノードのカバレッジ外となった際のハンドオーバに対応する設定(非特許文献2参照)と、現在のノードのカバレッジ内であり、上りリンクで最適なノードが存在する場合のハンドオーバに対応する設定とが必要だからである。つまり、ハンドオーバの方法が複雑になり、シグナリングが増大するという問題が発生する。このように、従来のキャリアアグリゲーションの方法によって、上りリンクで最適なノードにPCellを変更する解決策には問題がある。
実施の形態3の変形例1での解決策を以下に示す。本変形例では、前述の実施の形態3の解決策と異なる部分を中心に説明し、説明していない部分については、実施の形態3と同様とする。
本変形例では、下りリンクで最適なノードの上りコンポーネントキャリアは用いずに、下りコンポーネントキャリアを用いてキャリアアグリゲーションを行う。また、上りリンクで最適なノードの下りコンポーネントキャリアは用いずに、上りコンポーネントキャリアを用いてキャリアアグリゲーションを行う。
あるいは、マクロセルの上りコンポーネントキャリアは用いずに、下りコンポーネントキャリアを用いてキャリアアグリゲーションを行う。また、上りリンクで最適なノードの下りコンポーネントキャリアは用いずに、上りコンポーネントキャリアを用いてキャリアアグリゲーションを行う。あるいは、プライマリセル(Primary Cell:PCell)の上り、およびセカンダリセル(Secondary Cell:SCell)の上りは、上りリンクで最適なノードのコンポーネントキャリアを用いる。あるいは、セルのカバレッジ内に設置するRRHは、上り受信専用とする。本変形例では、特に、SCellを設定しなくてもよい。
図27を用いて、実施の形態3の変形例1の解決策の概念について説明する。図27は、実施の形態3の変形例1の解決策の概念を説明するための図である。図27に示す図は、図25に示す図と類似しているので、図25に対応する部分については同一の参照符を付して、共通する説明を省略する。
マクロセル2501には、下りコンポーネントキャリアとして、参照符号2502で示すDL_CC1と、参照符号2503で示すDL_CC2とが含まれる。またマクロセル2501には、上りコンポーネントキャリアとして、参照符号2504で示すUL_CC1と、参照符号2505で示すUL_CC2とが含まれる。
RRH2701には、下りコンポーネントキャリアとして、参照符号2507で示すDL_CC3が含まれる。またRRH2701には、上りコンポーネントキャリアとして、参照符号2508で示すUL_CC3と、参照符号2702で示すUL_CC4とが含まれる。また、マクロセル2501とRRH2701とは、専用線2509で接続されているとする。
移動端末は、下り受信品質が最も良いセルとして、マクロセルの参照符号2502で示すDL_CC1を選択し、キャンプオンする(非特許文献3参照)。つまり、マクロセルの参照符号2502で示すDL_CC1が、PCellの下りプライマリコンポーネントキャリアとなる。
実施の形態3の変形例1では、下りリンクで最適なノードであるマクロセル2501の上りコンポーネントキャリアであるUL_CC1およびUL_CC2は用いずに、下りコンポーネントキャリアであるDL_CC1およびDL_CC2を用いてキャリアアグリゲーションを行う。また、上りリンクで最適なノードであるRRH2701の下りコンポーネントキャリアであるDL_CC3は用いずに、上りコンポーネントキャリアであるUL_CC3およびUL_CC4を用いてキャリアアグリゲーションを行う。
あるいは、マクロセル2501の上りコンポーネントキャリアであるUL_CC1およびUL_CC2は用いずに、下りコンポーネントキャリアであるDL_CC1およびDL_CC2を用いてキャリアアグリゲーションを行う。また、上りリンクで最適なノードの下りコンポーネントキャリアであるDL_CC3は用いずに、上りコンポーネントキャリアであるUL_CC3およびUL_CC4を用いてキャリアアグリゲーションを行う。
あるいは、プライマリセル(Primary Cell:PCell)の上り、およびセカンダリセル(Secondary Cell:SCell)の上りは、上りリンクで最適なノードであるRRH2701の上りコンポーネントキャリアであるUL_CC3およびUL_CC4を用いる。
つまり、例えば図27において破線で示す移動端末のPCellは、DL_CC1とUL_CC3とからなる。また、図27において二点鎖線で示すSCellは、DL_CC2とUL_CC4とからなる。
上りリンクで最適なノードの上りコンポーネントキャリアをキャリアアグリゲーションに用いる方法の具体例について、以下に開示する。特定の移動端末に対して、上りリンクで最適なノードの上りコンポーネントキャリアをキャリアアグリゲーションする。
キャリアアグリゲーションする上りリンクの選択方法は、前述の実施の形態2の上りリンクに最適なノード決定方法の具体例と同様であるので、説明を省略する。
PCellにおいて、上りリンクで最適なノードの上りコンポーネントキャリアをキャリアアグリゲーションに用いる方法の具体例を、以下に開示する。PCellが、特定の移動端末に対して、上りリンクで最適なノードの上りコンポーネントキャリアを、PCellの上りコンポーネントキャリアの更新として通知する。この通知には、SCellの追加(addition)または更新(modification)と同様に、個別RRCシグナリングの「RRC Connection Reconfiguration message」を用いる。これによって、後方互換性(backward compatibility:バックワードコンパチビリティ)に優れた通信システムの構築が可能となる。
本変形例は、PCellの上りコンポーネントキャリアが、報知情報のSIB2によってリンク付けされていないところが特徴的である。なぜならば、マクロセルのカバレッジ内にローカルノードが存在しない場合などは、下りリンクで最適なノードが上りリンクで最適なノードとなる。また、マクロセルのカバレッジ内にローカルノードが存在する場合であっても、移動端末がローカルノードよりもマクロセルの近くに位置する場合などは、下りリンクで最適なノードが上りリンクで最適なノードとなる。したがってSIB2では従来通り、同じノードの上りリンク用のリソースを示す。例えば下りコンポーネントDL_CC1で通知される報知情報のSIB2によって、上りリンク用リソースのキャリアUL_CC1を示す。下りリンクで最適なノードと上りリンクで最適なノードとが異なるような、特定の移動端末に対して、本変形例の通り、個別RRCシグナリングを用いてUL_CC3とのリンクを通知するとする。
以上の実施の形態3の変形例1によって、実施の形態3の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。PUCCHにおいても、上りリンクに最適なノードに対して適した上り送信の設定を行うことによって、移動端末に必要な送信電力は最適となる。これによって、移動端末の消費電力を削減することができる。あわせて、移動端末からの無駄な上り送信電力を削減することができるので、上り干渉を低減することができる。
また本変形例では、ローカルノードとして、リモートラジオヘッド(RRH)を用いた場合の通信システムの構成について説明したが、ローカルノードはRRHに限らず、RRH以外のローカルノードでもよい。RRH以外のローカルノードについても本変形例を適用することができ、それによって本変形例と同様の効果を得ることができる。
実施の形態4.
実施の形態4で解決する課題について、以下に説明する。非特許文献11には、異機種ネットワークにおけるセル間の干渉問題に対する解決策が開示されている。具体的には、マクロセル内にピコセルが配置され、移動端末がピコセルに近づいた場合、移動端末はピコセルにアクセスする旨が記載されている。
非特許文献11に開示されている内容について、前述の図16を用いて説明する。ここでは、図16に示すRRH1603をピコセルに代えて説明する。すなわち、マクロセルのカバレッジ内にピコセルが配置されている場合を想定する。マクロセル1601のカバレッジ1602内に、ピコセル1603が配置されている。ピコセル1603は、カバレッジ1604を有する。移動端末がマクロセル1601の近傍に位置し、移動端末がマクロセル1601と通信しているとする。移動端末が、ピコセル1603の近傍へ移動した場合、移動端末はピコセルにアクセスする。
このように、下りリンクで最適なノードが、マクロセル1601から、マクロセル1601のカバレッジ1602内に配置されているローカルノード、すなわちピコセル1603へ変更になった場合、ハンドオーバが発生する。
このようなハンドオーバを実現するためには、メジャメント設定(Measurement configuration)、メジャメント対象(Measurement Object)および報告設定(Reporting configuration)が、それぞれ2種類必要となる。なぜならば、従来における現在のノードのカバレッジ外となった際のハンドオーバに対応する設定(非特許文献2参照)と、現在のノードのカバレッジ内であり、上りリンクで最適なノードが存在する場合のハンドオーバに対応する設定とが必要だからである。つまり、ハンドオーバの方法が複雑になり、シグナリングが増大するという問題が発生する。
また前述の通り、キャリアアグリゲーションにおけるPCellは、ハンドオーバのみで変更される。よって上記同様、上りリンクで最適なノードにPCellを変更する場合には問題がある。
実施の形態4での解決策を以下に示す。本実施の形態では、RRHのキャリア周波数とマクロセルのキャリア周波数とを異ならせ、移動端末によるマクロセルからマクロセルの配下のRRHへのハンドオーバを禁止する。あるいは、移動端末によるサービングセルの配下のセルへのハンドオーバを禁止する。つまり、移動端末が、マクロセルの配下のRRHに近づいたとしても、RRHへはハンドオーバさせない。マクロセルの配下のRRHの具体例、およびサービングセルの配下のセルの具体例は、前述の実施の形態1のマクロセルの配下のRRHの具体例と同様であるので、説明を省略する。
また、マクロセルの配下のRRHへのPCellの変更を禁止する。あるいは、サービングセルの配下のセルが構成するコンポーネントキャリアへのPCellの変更を禁止する。
このように本実施の形態4では、下りリンクで最適なノードが変更になった場合であっても、ハンドオーバを禁止する。この場合、下り受信品質が悪くなり、下りリンクの通信状態が悪くなるおそれがあるが、実施の形態4の解決策の特徴的部分は、以下となる。
実施の形態4において、ハンドオーバを禁止するセルは、例えばサービングセルの配下のセルである。配下のセルの具体例として、以下の(1)〜(3)の3つを開示する。(1)サービングセルと専用線で接続されているセル。(2)サービングセルの機能を共用するセル。(3)サービングセルのカバレッジ内に位置するセル。実施の形態4の解決策を実行しても、サービングセルであるマクロセルのキャリア周波数とRRHのキャリア周波数とが異なるので、下り受信品質の劣化が発生しない。また、RRHがサービングセルのカバレッジ内に位置する場合は、サービングセルとの下り受信品質が満たされているので、下り受信品質の劣化が発生しない。
また、マクロセルの配下のRRH、あるいはサービングセルの配下のセルのカバレッジの大きさに応じて、実施の形態4を実行するか否かを判断してもよい。この場合、例えばRRHのカバレッジが閾値よりも大きい場合は、実施の形態4を実行しないと判断する。他方、RRHのカバレッジが閾値よりも小さい場合は、実施の形態4を実行すると判断する。
カバレッジの大きさの判断には、マクロセルの配下のRRH、あるいはサービングセルの配下のセルの下り送信パワー、すなわち下り送信電力を用いてもよい。この場合、例えばハイパワー送信のRRHの場合は、実施の形態4を実行しないと判断する。他方、ハイパワー送信のRRHでない場合は、実施の形態4を実行すると判断する。
以上の実施の形態4によって、ハンドオーバの方法が複雑になることを回避することができるので、ハンドオーバの方法の複雑化によってシグナリングが増大するという問題を解決することができる。
本実施の形態では、ローカルノードのキャリア周波数とマクロセルのキャリア周波数とを異ならせる場合について開示したが、ローカルノードのキャリア周波数とマクロセルのキャリア周波数とが同じ場合であっても、本実施の形態を適用することができる。
また本実施の形態では、ローカルノードとして、リモートラジオヘッド(RRH)を用いた場合の通信システムの構成について説明したが、ローカルノードはRRHに限らず、RRH以外のローカルノードでもよい。RRH以外のローカルノードについても本実施の形態を適用することができ、それによって本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
実施の形態4 変形例1.
実施の形態4の変形例1で解決する課題について、以下に説明する。前述の実施の形態4を用いた場合であっても、前述の実施の形態1および実施の形態2と同じ課題が発生する。実施の形態4の変形例1での解決策を以下に示す。
本変形例では、前述の実施の形態4に加えて、前述の実施の形態1、実施の形態1の変形例1および実施の形態2を実行する。あるいは、本変形例では、前述の実施の形態4に加えて、前述の実施の形態3を実行する。
以上の実施の形態4の変形例1によって、実施の形態4の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。上りリンクに最適なノードに対して適した上り送信の設定を行うことになるので、移動端末に必要な送信電力は最適となる。これによって、移動端末の消費電力を削減することができる。あわせて、移動端末からの無駄な上り送信電力を削減することができるので、上り干渉を低減することができる。
実施の形態4 変形例2.
実施の形態4の変形例2で解決する課題について、以下に説明する。前述の実施の形態4の変形例1において、実施の形態4に加えて実施の形態3を実行した場合であっても、前述の実施の形態3の変形例1と同じ課題が発生する。実施の形態4の変形例2での解決策を以下に示す。
本変形例では、前述の実施の形態4の変形例1に加えて、前述の実施の形態3の変形例1を実行する。またマクロセルの配下のRRHの上りコンポーネントキャリアを、PCellの上りコンポーネントキャリアとして用いることを可能とする。あるいは、サービングセルの配下のセルの上りコンポーネントキャリアを、PCellの上りコンポーネントキャリアとして用いることを可能とする。
以上の実施の形態4の変形例2によって、実施の形態4の変形例1の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。PUCCHにおいても、上りリンクに最適なノードに対して適した上り送信の設定を行うことになるので、移動端末に必要な送信電力は最適となる。これによって、移動端末の消費電力を削減することができる。あわせて、移動端末からの無駄な上り送信電力を削減することができるので、上り干渉を低減することができる。
実施の形態4 変形例3.
実施の形態4の変形例3では、前述の実施の形態4の変形例2と同じ課題について、別の解決策を開示する。
本変形例では、前述の実施の形態4の変形例1に加えて、RRHに、マクロセルの上りコンポーネントキャリアを受信する機能を設ける。あるいは、RRHに、マクロセルのPCellの上りコンポーネントキャリアを受信する機能を設けてもよい。あるいは、RRHに、マクロセルのPCellの上りコンポーネントキャリアのうち、PUCCHを受信する機能を設けるのみでもよい。
以上の実施の形態4の変形例3によって、前述の実施の形態4の変形例1の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。PUCCHにおいても、上りリンクに最適なノードに対して適した上り送信の設定を行うことによって、移動端末に必要な送信電力は最適となる。これによって、移動端末の消費電力を削減することができる。あわせて、移動端末からの無駄な上り送信電力を削減することができるので、上り干渉を低減することができる。
実施の形態5.
実施の形態5で解決する課題について、以下に説明する。ローカルノードは、マクロセルに比較して、カバレッジが小さいことが考えられる。移動端末が移動している場合、ローカルノードのカバレッジを短い時間で通り抜けることも考えられる。前述の実施の形態2、実施の形態3、実施の形態3の変形例1、実施の形態4の変形例1、実施の形態4の変形例2、および実施の形態4の変形例3を用いて、「最適なノードに対する適した上り送信の設定」を実施した場合、以下の課題が発生する。
図28を用いて、実施の形態5によって解決する課題について説明する。図28は、実施の形態5の課題を説明するための図である。図28に示す図は、図21に示す図と類似しているので、図21に対応する部分については、同一の参照符を付して、共通する説明を省略する。
最適なノードであるローカルノードに適した上り送信設定が行われる。これによって、移動端末の上り送信電力が、ローカルノードに適した上り送信電力となる。移動端末2101は、マクロセル2102に対して、上りリンク2106を用いて上り送信を行う。図28では、上り送信電力の大きさを、上りリンク2106の矢印の長さで表している。図28では、参照符号2108で示す円の範囲内で、移動端末2101の上り送信を受信することが可能となる。つまり、移動端末2101の上り送信電力が、最適なノードであるローカルノードに適した上り送信設定に調整された後は、マクロセル2102は、移動端末2101の上り送信を受信することができない。しかし、RRH2103は、移動端末2101の上り送信を受信することができる。
次に、移動端末がRRH2103のカバレッジ2801外へ移動した場合について考える。移動端末2101−2は、マクロセル2102に対して、上りリンク2106−2を用いて上り送信を行う。図28では、上り送信電力を、上りリンク2106−2の矢印の長さで表している。図28では、参照符号2108−2で示す円の範囲内で、移動端末2101の上り送信を受信することが可能となる。つまり、移動端末2101−2の上り送信電力が、最適なノードであるローカルノードに適した上り送信設定に調整され、移動端末が最適なノードのカバレッジ外へ移動した場合は、マクロセル2102は、移動端末2101−2の上り送信を受信することができない。また、RRH2103も移動端末2101−2の上り送信を受信することができない。
この場合、前述のように、移動端末からマクロセルへの上り送信が受信エラーとなることが考えられる。これによって、上り送信のスループットが低下するという問題が発生する。
実施の形態5での解決策を以下に示す。移動端末の移動速度に応じて、「最適なノードに対する適した上り送信の設定」を行うか否かを判断する。具体的には、移動端末の移動速度に応じて、前述の実施の形態2、実施の形態3、実施の形態3の変形例1、実施の形態4の変形例1、実施の形態4の変形例2、および実施の形態4の変形例3を実行するか否かを判断する。例えば、移動端末の移動速度が、予め定める閾値よりも高い場合は、「最適なノードに対する適した上り送信の設定」を行わない。また、移動端末の移動速度が、予め定める閾値よりも低い場合は、「最適なノードに対する適した上り送信の設定」を行う。
また移動端末の移動速度に応じて、「最適なノードに対する適した上り送信の設定」の有効期間を区別してもよい。例えば移動端末の移動速度が、予め定める閾値よりも高い場合は、「最適なノードに対する適した上り送信の設定」の有効期間を、予め定める基準期間よりも短くする。また、移動端末の移動速度が、予め定める閾値よりも低い場合は、「最適なノードに対する適した上り送信の設定」の有効期間を基準期間とするか、あるいは基準期間よりも長くする。
移動端末の移動速度を認識する方法の具体例を、以下に示す。3GPPで規格化が進められている移動端末のセルの再選択の回数に基づいて、前記移動速度を認識する方法、3GPP R2−075149に示されるドップラ周波数測定に基づいて、前記移動速度を認識する方法、および全地球測位システム(Global Positioning System:GPS)を用いて取得した移動端末の位置情報に基づいて、前記移動速度を認識する方法などが適用できる。
以上の実施の形態5によって、以下の効果を得ることができる。前述の実施の形態3などと同様に、上りリンクに最適なノードに対して適した上り送信の設定を行うことによって、移動端末に必要な送信電力は最適となる。これによって、移動端末の消費電力を削減することができる。あわせて、移動端末からの無駄な上り送信電力を削減することができるので、上り干渉を低減することができる。さらに、ローカルノードのカバレッジがマクロセルに比較して小さく、かつ移動端末が移動している場合であっても、移動端末からマクロセルへの上り送信が受信エラーとなることを防ぐことができる。
この発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。