JP2019015868A - 蛍光体部材及び光源装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】発生した蛍光光の減衰を減らし、蛍光体部材の蛍光光出力を向上させる蛍光体部材および光源装置を提供する。
【解決手段】基板と、基板の上に配置され、励起光110を蛍光光120に変換する蛍光体粒子を含む蛍光体膜220と、を含む蛍光体部材であって、蛍光体膜220は、基板側に位置する基板側面221、及び当該基板側面221とは反対側に位置し、励起光110が入射する励起光入射面222を含み、励起光入射面222には、基板側面221に向かって傾斜する傾斜面が形成される。
【選択図】図3
【解決手段】基板と、基板の上に配置され、励起光110を蛍光光120に変換する蛍光体粒子を含む蛍光体膜220と、を含む蛍光体部材であって、蛍光体膜220は、基板側に位置する基板側面221、及び当該基板側面221とは反対側に位置し、励起光110が入射する励起光入射面222を含み、励起光入射面222には、基板側面221に向かって傾斜する傾斜面が形成される。
【選択図】図3
Description
本発明は、蛍光体部材及びそれを用いた光源装置に関する。
当該技術分野において、固体光源から出射する励起光を蛍光体により可視光に変換して効率良く発光する光源装置が提案されている。特許文献1には、光源から出射した励起光(青色レーザ光)を、蛍光体が形成された円板(蛍光体ホイール)に照射し、複数の蛍光光(赤色光、緑色光)を発光させて照明光として用いる構成が開示されている。
蛍光体膜に入射した励起光は蛍光体膜の内部で蛍光光に変換され、蛍光体膜を透過して蛍光体膜表面から出射する。蛍光光が蛍光体膜を透過する際に蛍光光の減衰が生じるので、蛍光体膜から出射される蛍光光出力は、蛍光光の減衰量に影響を受ける。そこで、発生した蛍光光の減衰量を減らしつつ、蛍光体膜表面から取り出す技術が要望されている。この点について、特許文献1では何ら考慮されていない。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、発生した蛍光光の減衰量を減らし、蛍光体部材の蛍光光出力を向上させることである。
上記課題を解決するため、本発明は特許請求の範囲に記載の構成を備える。その一例を挙げるならば、本発明は、基板と、前記基板の上に配置され、励起光を蛍光光に変換する蛍光体粒子を含む蛍光体膜と、を含む蛍光体部材であって、前記蛍光体膜は、前記基板側に位置する基板側面、及び当該基板側面とは反対側に位置し、前記励起光が入射する励起光入射面を含み、前記励起光入射面には、前記基板側面に向かって傾斜する少なくとも一つの傾斜面が形成される、ことを特徴とする。
本発明によれば、発生した蛍光光の減衰量を減らし、蛍光体部材の蛍光光出力を向上させることができる。上記以外の本発明の目的・構成・効果については以下の実施形態で明らかにされる。
以下、本実施形態に係る蛍光体部材及びそれを用いた光源装置を搭載したプロジェクタについて図面を参照して説明する。図1はプロジェクタの内部構成を説明する斜視図である。
図1に示す通り、プロジェクタ1では、箱状の下側筐体5の図1中における左側面の前側面に配置された電源ユニット2からの電源供給を受けて、左側面の奥側に配置された光源ユニット3より光が出射し、図中の背面後部に配置された光学ユニット4に入射する。冷却ファン10は光源ユニット3に隣接して配置され、光源ユニット3と電源ユニット2との間に配置されている。
冷却ファン10を駆動する駆動回路は、電源ユニット2内に設けても良いし、下側筐体5内の空きスペースに設けても良い。
光学ユニット4に入射した光、即ち光源ユニット3からの出射光は、最終的に投影レンズ9の投射レンズ出射部9aより拡大され図示していないスクリーンに投影される。
下側筐体5の側面には通風ダクト吸気口71aが設けられている。通風ダクト71は、光学部品冷却風に光学系以外の冷却風が混入しないように配置され、内部に配置されたパネル冷却ファンを用いて通風ダクト吸気口71aより外気を取り入れている。
通風ダクト吸気口71aから取り込まれた冷却風は、通風ダクト71により整流され、下側筐体5に収容された各部品周囲を通過し、これらを冷却する。
図2は、図1の光源ユニット3を構成する光源装置の概略構成図である。光源装置100は、主な構成要素として励起光源105、ミラー104、蛍光体部材200を有する。
蛍光体部材200は、大きくは基板210と、基板210における励起光入射側面に積層された蛍光体膜220とを含む。
励起光源105はレーザ発光素子などの固体発光素子を1個以上配置し、励起光110として例えば青色レーザ光を出射する。
励起光源105から出射された励起光110(実線で示す)は、コリメートレンズ106により略平行光となり、波長板108を通過してミラー104に入射する。
ミラー104は励起光110(青色)の波長域を反射し、蛍光光の波長域(黄色)を透過する特性を有するダイクロイックコートがされており、また合わせて偏光状態により青色光の反射波長が異なるように設計されている。
励起光源105から入射した励起光110の一部はミラー104にて反射し、集光レンズ103aで集光されて、基板210に入射する。また励起光110の一部はミラー104を透過し集光レンズ103bにより集光されて拡散板107に入射する。
この際のミラー104における反射光と透過光との比率は、拡散板107の角度により調整することができる。
蛍光体膜220に励起光110が入射すると蛍光光120が発生する。蛍光光120は集光レンズ103aで略平行光となりミラー104に入射する。入射した蛍光光120はミラー104の分光特性によりミラー104を透過する。
また拡散板107に入射した励起光110は、拡散板107で拡散反射したのちにミラー104で一部の光が反射されて、前述の蛍光光120と混色されて白色光130として放射される。
この際、拡散板107で拡散反射されることで、蛍光光120と混色される励起光110は基板210から発生する蛍光光120と同一の分布となり、混色ムラを抑制することができる。
また図2のように蛍光体膜220へ入射する励起光110を集光する集光レンズ103aの周囲を、励起光110が通過するようにレーザを配置することで、蛍光体膜220に対しての入射角を大きくすることが可能となる。この構成により、蛍光体膜220から効率良く蛍光光120を発生させることができ、励起光源105の省電力化や装置の小型化を実現できる。
次に図3から図5を参照して、励起光110の蛍光体膜への入射角と蛍光光出力との関係について説明する。
図3は、全光線透過率と蛍光光出力との関係を示す説明図である。図3以下において、蛍光体膜220の基板210側の面は基板側面221、基板側面221とは反対側に位置する面であって励起光110が蛍光体膜220に入射する面を励起光入射面222という。全光線透過率が高い蛍光体膜220(図3左図)に励起光110が入射した場合、蛍光体膜220の全光線透過率が低い蛍光体膜220x(図3右図)に比べて、励起光110が蛍光体膜220のより深部に到達する。換言すると蛍光体膜220に対する侵入の深さが長くなる。よって、蛍光光120の発光点229から励起光入射面222までの距離である透過距離は、全光線透過率が高い蛍光体膜220ほど長くなる。
図4は、励起光の蛍光体膜内に対する侵入の深さと蛍光体膜の全光線透過率、及び蛍光光出力の減衰量の関係を示す図である。
透過距離が長いほど、蛍光体膜内を透過する蛍光光120の減衰量が大きくなる。その結果、励起光入射面222から出力される蛍光光は少なくなる。
図5は、励起光の入射角と蛍光光の透過距離の関係を示す図である。励起光110の入射角αは、蛍光体膜220における励起光入射面222に対する垂線Hとなす角により定義する。
励起光110の蛍光体膜220に対する入射角αが小さい場合(図5左図)、励起光110が蛍光体膜220の内部に侵入しやすくなるので、蛍光体膜220の深部で発光し、透過距離が長くなる。一方、励起光110の蛍光体膜220に対する入射角αが大きい場合(図5右図)、励起光110が蛍光体膜220の内部に侵入しにくいので、励起光入射面222近くで発光し、透過距離が短くなる。
よって、同一の蛍光体膜220に同一の光強度の励起光110が入射する場合、入射角αが0度よりも大きい入射角で励起光110が入射した方が、蛍光光出力が大きくなる。
入射角は無制限に大きいほどよいというわけではなく、入射角の適正範囲は反射率から定まる。図6は、ブリュースター角を示す参考図である。図6に示すように、空気の屈折率が1.0で蛍光体膜の屈折率が1.8であれば、入射角約70°(ブリュースター角)を超えると反射率が急激に増大する。入射光を励起光と考えた場合、反射率が極端に大きいブリュースター角以上では蛍光体膜による励起光の吸収量が極端に低下するため蛍光光出力は大きく低下すると考えられる。よって、励起光入射角度は70°以下が好ましい。なお、蛍光体膜の屈折率は使用する材料により変動するものであり、図6は参考データのであり、本発明はこれに限定されない。
更に、入射光をレーザ光による励起光と考えた場合、レーザ光はP波とS波の偏光を含んでいる。ここで、P波の方が蛍光体膜に対する反射率を低く、吸収量はP波の方が大きくなるため、蛍光光出力を大きくするには励起光がP波であることが好ましい。
図7及び図8を参照して、蛍光体膜の表面の凸凹形状により入射角を変更する態様について説明する。図7及び図8は、蛍光体膜の励起光入射面形状を示す断面図である。
図7の蛍光体膜220の励起光入射面222には、基板側面221に向かって傾斜する第1傾斜面231と、基板側面221に向かって傾斜し、第1傾斜面231と交差する第2傾斜面232を含んで形成される。第1傾斜面231及びそれに対向する第2傾斜面232は、励起光入射面222に対して凹部230を形成する。凹部230は、図7の紙面奥行き方向に連続する溝として形成される。図7に示すように、第1傾斜面231に対する励起光110の入射角αは0よりも大きい。同様に、第2傾斜面232に対する励起光110の入射角αも0よりも大きい。
図8の蛍光体膜220aの励起光入射面222には、凹部230が複数本形成される。即ち、図8の蛍光体膜220aは、第1傾斜面231と第2傾斜面232とが交互に連続して形成される。図8の蛍光体膜220aは複数の凹部230を備えることにより、図7の蛍光体膜220に形成された第1傾斜面231の総面積及び第2傾斜面232の総面積を、より浅い凹部230により形成することができる。よって、蛍光体膜の膜厚を薄く形成できる。
図9を参照して励起光の入射角を変える他の例を示す。図9はコリメートレンズを用いて励起光の入射角を変更する態様を示す図である。図9の例では、蛍光体膜220bの励起光入射面222は平面構造により形成する。即ち、励起光入射面222と基板側面221とは略平行に形成される。
そして、励起光入射面222への励起光の入射経路上にコリメートレンズ240を配置する。図9ではコリメートレンズ240を励起光入射面222に対向させて配置する。そしてコリメートレンズ240により励起光110を屈折させ、励起光110を入射角0よりも大きな入射角度で励起光入射面222に入射させる。
(蛍光体膜)
蛍光体膜220は蛍光体膜220内に入射した励起光を蛍光光に変換し、蛍光光を蛍光体膜220の外部に出射される機能性膜であって、材質は特に限定されない。本実施形態では、蛍光体膜内で蛍光光が散乱しやすくなるように空気相を含む蛍光体膜220を用いることが好ましい。
蛍光体膜220は蛍光体膜220内に入射した励起光を蛍光光に変換し、蛍光光を蛍光体膜220の外部に出射される機能性膜であって、材質は特に限定されない。本実施形態では、蛍光体膜内で蛍光光が散乱しやすくなるように空気相を含む蛍光体膜220を用いることが好ましい。
蛍光体膜220は、蛍光体粒子とバインダとしてのアルミナ粒子との混合物に対して、常温常圧焼結法やホットプレスといった焼結処理を行い形成される。焼結処理は上記の例には限定されない。
蛍光体膜220は蛍光体粒子及びアルミナ粒子からなる焼結体相と、蛍光体膜220に含まれた空気からなる空気相とからなる。
空気相の含有量は、蛍光体膜220の全体積に対して5vol%以上20vol%以下、より好ましくは5vol%以上15vol%以下で形成されることが望ましい。空気相は蛍光体粒子から生じた蛍光光を屈折、拡散させるので発光効率の向上のためには必要である。しかし一方で、放熱性能の観点からは空気相が多すぎるとアルミナ粒子同士が離間して放熱性能が低下する。よって、発光効率及び放熱性能の両方を確保する観点から、空気相は、蛍光体膜220の全体積に対して5vol%以上20vol%以下、更に好ましくは5vol%以上15vol%以下であることが望ましい。
アルミナ粒子は熱伝導性が空気や蛍光体粒子よりも高いので、蛍光体粒子が発光する際に発生する熱を蛍光体膜220の内部(深部)から表面に伝熱し、膜表面から放熱させる効果が期待できる。焼結処理を施した結果、アルミナ粒子の粒成長が生じる。粒成長後のアルミナ粒径は1μm以上50μm以下であることが望ましい。ここでいうアルミナ粒径は焼結体相に含まれるアルミナ粒径の平均値であればよい。よって、仮に焼結体相に1μm未満又は50μm超のアルミナ粒径が一つ又は複数含まれていたとしても、アルミナ粒径の平均値が1μm以上50μm以下であればよい。平均値の求め方として、全数よりも少ないサンプル数を母数としてその加算平均、焼結体相に含まれるアルミナ粒子の1つ1つの粒径の加算平均であってもよい。アルミナ粒径が1μm未満であるとアルミナ粒子同士の接触面積が相対的に小さくなり、熱伝導性が相対的に低下する。
蛍光体粒子は蛍光光の種類に応じて適宜選択可能である。以下、実施例を用いて本発明をより具体的に説明するが、本発明の範囲は実施例に限定されるものではない。
[実施例]
(蛍光光出力の測定)
図10、図11に入射角を変更して蛍光光出力を測定した結果を示す。図10は、蛍光体膜の種類に応じた相対効率(入射角依存性)を示すグラフである。図11は、蛍光体膜の種類に応じた入射角効果を示す図である。この測定は、全光線透過率で透過率規定を行った。但し、以下測定条件での制約が必要である。
(測定条件)
測定機:紫外可視分光光度計(積分球含む)
測定条件:
・入射光波長500nm〜780nm
・入射光波長450nm付近は蛍光体粒子による励起光の吸収があるため測定除外
膜厚:全光線透過率は蛍光体の膜厚により大きくことなるため、膜厚は0.5mm一定とする
(測定試料)
・シリコン樹脂、シリカ粒子等は膜強度が低く蛍光体膜単体での全光線透過率測定が難しいため光学ガラス(全光線透過率92%、ヘイズ<1%)に接着層としてシリコン樹脂(KER2500A/B)で蛍光体膜を固定し測定
・このときの接着層の厚みは0.1mm以下とする
・ただし、蛍光体膜がシリコン樹脂の場合は接着層なしで固定できるため直接光学ガラスに張り付ける
(蛍光光出力の測定)
図10、図11に入射角を変更して蛍光光出力を測定した結果を示す。図10は、蛍光体膜の種類に応じた相対効率(入射角依存性)を示すグラフである。図11は、蛍光体膜の種類に応じた入射角効果を示す図である。この測定は、全光線透過率で透過率規定を行った。但し、以下測定条件での制約が必要である。
(測定条件)
測定機:紫外可視分光光度計(積分球含む)
測定条件:
・入射光波長500nm〜780nm
・入射光波長450nm付近は蛍光体粒子による励起光の吸収があるため測定除外
膜厚:全光線透過率は蛍光体の膜厚により大きくことなるため、膜厚は0.5mm一定とする
(測定試料)
・シリコン樹脂、シリカ粒子等は膜強度が低く蛍光体膜単体での全光線透過率測定が難しいため光学ガラス(全光線透過率92%、ヘイズ<1%)に接着層としてシリコン樹脂(KER2500A/B)で蛍光体膜を固定し測定
・このときの接着層の厚みは0.1mm以下とする
・ただし、蛍光体膜がシリコン樹脂の場合は接着層なしで固定できるため直接光学ガラスに張り付ける
上記測定条件において高密度のアルミナバインド品以外は全光線透過率30%以上になることはない。よって上記測定条件において全光線透過率30%以下の蛍光体膜を励起光の入射角依存性膜として規定する。
(測定結果)
図10の縦軸に示す「相対蛍光光出力」とは、励起光の入射角度0°、即ち蛍光体膜に対して励起光が垂直入射する時の蛍光光出力を1としたときの各入射角度における蛍光光出力を示す。図10、図11からは、シリコン樹脂バインド、多孔質なアルミナバインド、及びシリカバインドの蛍光体膜の全光線透過率は30%より小さく、励起光の入射角度を0°から70°まで変化させた場合に相対蛍光光出力が増加した。
図10の縦軸に示す「相対蛍光光出力」とは、励起光の入射角度0°、即ち蛍光体膜に対して励起光が垂直入射する時の蛍光光出力を1としたときの各入射角度における蛍光光出力を示す。図10、図11からは、シリコン樹脂バインド、多孔質なアルミナバインド、及びシリカバインドの蛍光体膜の全光線透過率は30%より小さく、励起光の入射角度を0°から70°まで変化させた場合に相対蛍光光出力が増加した。
一方、アルミナバインドで高密度な蛍光体膜の全光線透過率は40%となり、励起光入射角度を変更することによる有意な効果が認められなかった。
透過率が低い理由として以下の理由が考えられる。
(1)使用するバインダがシリコン樹脂やシリカの場合、蛍光体粒子との屈折率差が大きく蛍光体とバインダとの界面での界面反射が大きく、蛍光体粒子と屈折率差の小さいアルミナと比べ全光線透過率が低い
(2)蛍光体膜内に空気が混入している多孔質膜は、空気の屈折率が蛍光体やバインダと比べ低いため、空気と蛍光体粒子やバインダの界面での界面反射が大きくなるため、高密度より全光線透過率が低い
(1)使用するバインダがシリコン樹脂やシリカの場合、蛍光体粒子との屈折率差が大きく蛍光体とバインダとの界面での界面反射が大きく、蛍光体粒子と屈折率差の小さいアルミナと比べ全光線透過率が低い
(2)蛍光体膜内に空気が混入している多孔質膜は、空気の屈折率が蛍光体やバインダと比べ低いため、空気と蛍光体粒子やバインダの界面での界面反射が大きくなるため、高密度より全光線透過率が低い
本実施形態によれば、蛍光体膜における励起光入射面に対して形状加工処理を施したり、励起光が励起光入射面に入射する光路上にコリメートレンズを配置し、励起光入射面に対する励起光の入射角度を0度よりも大きくすることで、励起光が励起光入射面に垂直に入射する場合に比べて、励起光の蛍光体膜深部への侵入を防ぐ。これにより、励起光入射面に比較的近い部位で励起光から蛍光光への変換が起きる。よって、発光点から励起光入射面までの距離である透過距離が短くなり、蛍光光が蛍光体膜内で減衰する量を減らすことができ、その結果、蛍光光出力を向上させることができる。
更に蛍光体膜として、蛍光体膜内で発生した蛍光光の散乱性が高いものを使用することにより、蛍光光出力を更に高めることができる。
また、入射角の変更範囲は0度より大きくブリュースター角(本実施形態では70°)以下とすることで、反射率が急激に上昇する入射角を避けつつ、効率よく励起光を蛍光体膜に入射させることができる。
また、入射光を変更する態様として、蛍光体膜の表面に傾斜面を形成した場合には、励起光を屈折させるためのコリメータレンズのような追加の光学部材が不要となる一方、入射角の変更をコリメータレンズで実現する場合には、蛍光体膜の励起光入射面の表面加工が不要となる利点がある。
本実施形態は、本発明を限定するものではない。例えば、上記では基板として蛍光体ホイールを用いたが、回転体の基板に限定されず、板状の固定体からなる基板を用いてもよい。回転体の基板は、固定体の基板を用いる場合よりもより蛍光体膜の放熱性を高め、ひいては蛍光光の取り出し効率を向上させることができる。一方、固定体の基板は、基板の形成が回転体に比べてより容易に行える。
また、蛍光体膜に傾斜面を形成する態様では、上記実施形態で記載した形状に限定されない。例えば、第1傾斜面と膜厚方向に平行な面とを連続して形成してもよい。また凹部を複数備える場合には、例えば図8の紙面奥行き方向に沿った凹部と図8の紙面左右方向に沿った凹部とを形成し、凹部を交差させて形成してもよい。
また上記実施形態では、本発明に係る蛍光体部材を用いた光源装置の使用例としてプロジェクタを例に挙げたが、ヘッドライトに用いてもよい。
1:プロジェクタ
100:光源装置
110:励起光
120:蛍光光
130:白色光
200:蛍光体部材
210:基板
220、220a、220b、220x:蛍光体膜
221:基板側面
222:励起光入射面
229:発光点
230:凹部
231:第1傾斜面
232:第2傾斜面
240:コリメートレンズ
100:光源装置
110:励起光
120:蛍光光
130:白色光
200:蛍光体部材
210:基板
220、220a、220b、220x:蛍光体膜
221:基板側面
222:励起光入射面
229:発光点
230:凹部
231:第1傾斜面
232:第2傾斜面
240:コリメートレンズ
Claims (8)
- 基板と、
前記基板の上に配置され、励起光を蛍光光に変換する蛍光体粒子を含む蛍光体膜と、を含む蛍光体部材であって、
前記蛍光体膜は、前記基板側に位置する基板側面、及び当該基板側面とは反対側に位置し、前記励起光が入射する励起光入射面を含み、
前記励起光入射面には、前記基板側面に向かって傾斜する少なくとも一つの傾斜面が形成される、
ことを特徴とする蛍光体部材。 - 請求項1に記載の蛍光体部材であって、
前記傾斜面は、前記基板側面に向かって傾斜する第1傾斜面及び当該第1傾斜面と交差し、前記励起光入射面に前記基板側面に向かって傾斜する第2傾斜面を含んで形成される、
ことを特徴とする蛍光体部材。 - 請求項2に記載の蛍光体部材であって、
前記励起光入射面に、前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面が交互に連続して形成される、
ことを特徴とする蛍光体部材。 - 請求項2又は3に記載の蛍光体部材であって、
前記傾斜面に対する前記励起光の入射角は0°よりも大きく70°以下である、
ことを特徴とする蛍光体部材。 - 請求項1に記載の蛍光体部材であって、
前記蛍光体膜は、膜厚が0.5mmで全光線透過率が30%未満となる特性を有する、
ことを特徴とする蛍光体部材。 - 請求項5に記載の蛍光体部材であって、
前記蛍光体膜は、当該蛍光体膜の全体積に対して5vol%以上20vol%以下の空気相を含んで形成される、
ことを特徴とする蛍光体部材。 - 基板及び当該基板の上に配置され、励起光を蛍光光に変換する蛍光体粒子を含む蛍光体膜を含む蛍光体部材と、
前記励起光を発生させる励起光源と、
を含む光源装置であって、
前記蛍光体膜は、前記基板側に位置する基板側面、及び当該基板側面とは反対側に位置し、前記励起光が入射する励起光入射面を含み、
前記励起光入射面には、前記基板側面に向かって傾斜する少なくとも一つの傾斜面が形成される、
ことを特徴とする光源装置。 - 基板及び当該基板の上に配置され、励起光を蛍光光に変換する蛍光体粒子を含む蛍光体膜を含む蛍光体部材と、
前記励起光を発生させる励起光源と、
を含む光源装置であって、
前記蛍光体膜は、前記基板側に位置する基板側面、及び当該基板側面とは反対側に位置し、前記励起光が入射する励起光入射面を含み、
前記励起光が0°よりも大きい入射角で入射する方向に前記励起光を屈折させるコリメートレンズを、前記励起光入射面と前記励起光源との間に更に備える、
ことを特徴とする光源装置。
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