JP2019015666A - 三極管型電離真空計及び圧力測定方法 - Google Patents

三極管型電離真空計及び圧力測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】測定対象物の内部の圧力を正確に測定することができる三極管型電離真空計を提供すること。【解決手段】本発明に係る三極管型電離真空計は、フィラメントと、グリッドと、イオンコレクタを具備する。前記グリッドは、前記フィラメントの周囲に配置される。前記イオンコレクタは、筒状であり、前記グリッドの周囲に配置され、300Kにおける熱伝導率が173W/(m・K)以上の材料によって構成される。【選択図】図1

Description

本発明は、三極管型電離真空計等の技術に関する。
真空処理装置は、スパッタリングや、蒸着による成膜等が行われる真空チャンバを有している。この真空チャンバ内の圧力は、製品歩止まりに大きな影響を与えるため、真空チャンバ内の圧力は、正確に測定する必要がある。真空チャンバ内の圧力のうち、1Pa〜10−6Paの範囲の圧力を精度よく測定する装置として、三極管型電離真空計が知られている。
三極管型電離真空計は、一般的に、ヘアピン状(逆V字状)のフィラメントと、フィラメントの周囲に配置される螺旋状のグリッドと、グリッドの周囲にグリッドと同軸で配置される円筒状のイオンコレクタとを備えている。グリッドには、フィラメントよりも高い電圧(正電圧)が付与され、イオンコレクタには、グリッドよりも低い電圧が付与される。
フィラメントが通電されると、フィラメント(フィラメントの頂部付近)から熱電子が放射され、この熱電子は、グリッドに向けて加速されて、グリッドによって捕捉される。熱電子の一部は、グリッドの近傍において、三極管型電離真空計の内部を飛散している気体分子と衝突し、これにより、気体分子がイオン化される。
イオン化された気体分子(正イオン)は、イオンコレクタに引き付けられてイオンコレクタに衝突し、イオンコレクタから電子を受け取る。イオン化された気体分子が、イオンコレクタから電子を受け取ることによって、イオンコレクタには、イオン電流が発生する。このイオン電流の値は、三極管型電離真空計の内部を飛散している気体分子の量に比例するので、イオン電流の値を測定することで、三極管型電離真空計が取り付けられた測定対象物(例えば、真空処理装置)の内部の圧力を測定することができる。
ここで、下記特許文献1、2に記載されているように、気体分子(正イオン)がイオンコレクタの表面へ衝突するとき、気体分子がイオンコレクタの表面に吸着(例えば、物理吸着、化学吸着)され、分子層(物理吸着層、化学吸着層)が形成されてしまう場合がある。
イオンコレクタにおいて軸方向の中央付近の領域は、正イオンの衝突確率が高い領域であり、正イオンがこの領域に継続的に衝突することで、分子層から、中性破片分子、中性原子、又はこれらのイオン等の粒子が可及的に放出される。このため、イオンコレクタにおいて軸方向の中央付近の領域は、分子層が堆積されにくい領域とされている。一方で、イオンコレクタにおいて軸方向の両端部付近の領域は、正イオンの衝突確率が低い領域であり、正イオンが継続的に衝突しないため、正イオンが分子層として堆積し易い領域とされている。
なお、本願に関連する技術として、以下の特許文献3及び特許文献4が挙げられる。
国際公開第2016/151997号 国際公開第2016/139894号 特開2006−343305号公報 特開平5−66170号公報
イオンコレクタにおいて軸方向の両端部付近に形成された分子層等の影響で、測定対象物の内部の圧力を正確に測定することができないといった問題がある。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、測定対象物の内部の圧力を正確に測定することができる三極管型電離真空計を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係る三極管型電離真空計は、フィラメントと、グリッドと、イオンコレクタを具備する。前記グリッドは、前記フィラメントの周囲に配置される。前記イオンコレクタは、筒状であり、前記グリッドの周囲に配置され、300Kにおける熱伝導率が173W/(m・K)以上の材料によって構成される。
この三極管型電離真空計では、イオンコレクタが、300Kにおける熱伝導率が173W/(m・K)以上の材料によって構成されている。つまり、イオンコレクタが、熱伝導率が高い材料によって構成されている。これにより、フィラメントで発生する熱がイオンコレクタ全体に伝わりやすくなり、イオンコレクタにおける軸方向の両端部の近傍においても、イオンコレクタの温度を上げることができる。これにより、イオンコレクタにおける軸方向の両端部の近傍において、分子層が形成されてしまうことを防止することができる。結果として、この三極管型電離真空計では、測定対象物の内部の圧力を正確に測定することができる。
上記三極管型電離真空計において、前記フィラメントへの供給電力が4W以下であってもよい。
ここで、フィラメントへの供給電力が4W以下とされるような小型の三極管型電離真空計では、フィラメントで発生する熱が低くなりやすいので、イオンコレクタにおける軸方向の両端部の近傍において温度が低くなりやすいといった問題がある。一方、上述のように、本発明に係る三極管型電離真空計は、熱伝導率が高い材料によってイオンコレクタが構成されている。従って、フィラメントへの供給電力が4W以下とされるような、フィラメントの熱が低くなりやすい小型の三極管型電離真空計においても、イオンコレクタにおける軸方向の両端部の近傍においてイオンコレクタの温度を適切に上げることができる。
上記三極管型電離真空計は、支持部材をさらに具備していてもよい。前記支持部材は、前記イオンコレクタを支持し、前記イオンコレクタを構成する材料よりも熱伝導率が低い材料よって構成される。
これにより、イオンコレクタの熱が支持部材へ逃げてしまうことを防止することができ、イオンコレクタの熱を高い状態を維持することができる。
上記三極管型電離真空計は、収容部をさらに具備していてもよい。前記収容部は、金属材料によって構成され、前記フィラメント、前記グリッド及び前記イオンコレクタを内部に収容する。
このように、収容部を金属材料によって構成することで、熱電子が収容部に衝突したときにチャージアップが発生してしまうことを防止することができ、収容部内の空間内の電位分布を一定に維持することができる。これにより、長時間に亘って一定の感度で圧力を測定することができる。
本発明に係る圧力測定方法は、フィラメントと、前記フィラメントの周囲に配置されるグリッドと、筒状であり、前記グリッドの周囲に配置され、300Kにおける熱伝導率が173W/(m・K)以上の材料によって構成されたイオンコレクタとを具備する三極管型電離真空計を用意し、前記三極管型電離真空計により、測定対象物の内部の圧力を測定する。
以上のように、本発明によれば、測定対象物の内部の圧力を正確に測定することができる三極管型電離真空計を提供することができる。
本発明に係る一実施形態に係る三極管型電離真空計を側方から見た模式図である。 三極管型電離真空計を上方から見た模式図である。 イオンコレクタの材料として用いられた7種類の金属材料と、これらの金属材料における300Kでの熱伝導率との関係を示す図である。 イオンコレクタの材質がそれぞれ異なる三極管型電離真空計によって測定された真空チャンバ内の圧力を示す図である。 300Kにおける熱伝導率が、173W/(m・K)未満である材料によりイオンコレクタが構成された比較例における、イオンコレクタに衝突する正イオンの動きの様子を示す模式図である。 300Kにおける熱伝導率が、173W/(m・K)以上である材料によりイオンコレクタが構成された場合における、イオンコレクタに衝突する正イオンの動きの様子を示す模式図である。
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
<三極管型電離真空計の全体構成及び各部の構成>
図1は、本発明に係る一実施形態に係る三極管型電離真空計100を側方から見た模式図である。図2は、三極管型電離真空計100を上方から見た模式図である。
これらの図に示すように、三極管型電離真空計100は、センサユニット10と、制御ユニット20とを備えている。センサユニット10は、センサ本体11(収容部)と、フィラメント12と、グリッド13と、イオンコレクタ14と、複数の端子15a〜15eと、グリッド支持部材16と、イオンコレクタ支持部材17(支持部材)とを備えている。
センサ本体11は、底部11cを有する円筒状の形状を有しており、その内部に、フィラメント12、グリッド13、イオンコレクタ14、複数の端子15a〜15e、グリッド支持部材16、イオンコレクタ支持部材17が収容される。
センサ本体11は、真空チャンバなどの測定対象物に対してセンサユニット10を着脱自在に取り付けるためのフランジ部11aをその上部に有している。フランジ部11aにおいて、上側かつ内周側の位置には、Oリング等の真空シールを収容するための溝部11bが周方向(θ方向)に沿って形成されている。フランジ部11aが真空シールを介して真空チャンバ等の測定対象物に対して固定されることによって、三極管型電離真空計100により測定対象物の内部の圧力が測定される。
センサ本体11は、ステンレス、ニッケル、ニッケルと鉄との合金、アルミ合金、銅、銅合金、チタン、チタン合金、タングステン、モリブデン、あるいは、これらのうち2以上の組合せ等の金属材料によって構成される。このセンサ本体11は、アース接地されている。
センサ本体11の底部11cには、5本の端子15a〜15eが絶縁体(図示せず)を介して挿通されている。5本の端子15a〜15eは、Z軸方向に長い円柱状の部材である。なお、端子の形状については、三角柱状や、四角柱状などの形状であってもよく、端子の形状については特に限定されない。これらの端子は、例えば、鉄、ニッケル、コバルトなどの金属材料によって構成される。
5本の端子15a〜15eのうち、2本の端子15a、15bがフィラメント12と接続される端子であり、1本の端子15cがグリッド13と接続される端子であり、残りの2本の端子15d、15eがイオンコレクタ14に接続される端子である。
フィラメント12は、センサ本体11の中心位置の近傍に配置されている。フィラメント12は、ヘアピン状(逆V字状)の形状を有しており、太さが例えばφ0.1〜0.2mm程度の線状の部材が中央において湾曲されることによって形成されている。なお、フィラメント12は、直線状の形状を有していてもよく、フィラメント12の形状については、特に限定されない。
フィラメント12は、その高さHf(フィラメント12において端子15a、15bよりも上の部分の高さ)が、例えば、5mm〜15mm程度とされる。
フィラメント12においては、湾曲している頂部から熱電子が放射される。フィラメント12において湾曲している頂部は、軸方向(Z軸方向)において、グリッド13及びイオンコレクタ14の中心に位置している(図1参照)。また、フィラメント12の頂部は、水平方向においても、グリッド13及びイオンコレクタ14の中心に位置している(図2参照)。
フィラメント12は、例えば、表面が酸化イットリウムで被覆されたイリジウム、タングステンなどの金属材料によって構成される。
フィラメント12は、その一端側が端子15aに対して電気的及び機械的に接続されており、他端側が端子15bに対して電気的及び機械的に接続されている。端子15a及び端子15bは、フィラメント12の端子としての役割の他に、フィラメント12を下方から支持する支持ピンとしての役割も有している。なお、本実施形態において、フィラメント12への供給電力は、4W以下とされる。
グリッド13は、フィラメント12の周囲においてフィラメント12と同心で配置されている。グリッド13は、螺旋状の形状を有しており、例えば、太さがφ0.1〜0.3mm程度の線状の部材が螺旋状に巻回されることによって形成される。なお、グリッド13は、パンチングメタルシート、フォトエッチングシートが筒状に形成されることによって構成されていてもよく、グリッド13の形状については、特に限定されない。
グリッド13は、高さHg(図1参照)が例えば10〜30mm程度とされ、直径φg(図2参照)が例えば5mm〜15mm程度とされる。なお、グリッド13の高さHgは、フィラメント12の高さHfの2倍の高さとされている。
グリッド13は、例えば、タングステン、モリブデン、表面が白金で被覆されたモリブデン、タンタル、白金、イリジウム、白金とイリジウムの合金、ニッケル、ニッケルと鉄の合金、ステンレス、あるいは、これらのうち2以上の組合せ等の金属材料によって構成される。
グリッド13は、下端部が端子15cに対して電気的及び機械的に接続されている。端子15cは、グリッド13の端子としての役割の他に、グリッド13を下方から支持する支持ピンとしての役割も有している。端子15cの上方には、グリッド支持部材16が立設されている。このグリッド支持部材16は、軸方向(Z軸方向)に長い、例えば円柱状の部材であり、グリッド13の内周側に当接して、グリッド13を内周側から支持することが可能とされている。
イオンコレクタ14は、グリッド13の周囲においてグリッド13と同心で配置されている。イオンコレクタ14は、円筒状の形状を有しており、厚さ0.05mm〜0.3mm程度の板状の部材が筒状に形成されることによって構成される。なお、イオンコレクタ14は、筒状であれば、円筒状に限られず、角筒などの形状によって構成されていてもよい。
イオンコレクタ14は、高さHi(図1参照)が例えば10〜30mm程度とされ、直径φi(図2参照)が例えば10mm〜30mm程度とされる。なお、イオンコレクタ14の高さHiは、グリッド13の高さHgと同程度とされ、また、フィラメント12の高さHfの2倍の高さとされる。
イオンコレクタ14は、300Kにおける熱伝導率が173W/(m・K)以上の金属材料によって構成される。イオンコレクタ14の材料は、上記特性を有する材料であればどのような材料が用いられてもよいが、この材料としては、例えば、タングステン、銅、グラファイト等の金属材料が用いられる。なお、イオンコレクタ14の材料として、このような材料が用いられる理由については、後に詳述する。
イオンコレクタ14は、イオンコレクタ支持部材17を介して端子15d及び端子15eと電気的及び機械的に接続されている。端子15d、端子15eは、イオンコレクタ14の端子としての役割の他に、イオンコレクタ14を下方から支持する支持ピンとしての役割も有している。
イオンコレクタ支持部材17は、端子15d、15e及びイオンコレクタ14と電気的及び機械的に接続されており、端子15d、15eによって下方から支持されつつ、イオンコレクタ14を下方から支持する。イオンコレクタ支持部材17は、端子15d側、端子15e側にそれぞれ1つ配置されている。
このイオンコレクタ支持部材17は、厚さが薄い板状の部材がイオンコレクタ14の外周に沿って湾曲するようにして形成されている。本実施形態では、イオンコレクタ支持部材17は、周方向(θ方向)に短い形状とされているが、イオンコレクタ14の全周(360°)に亘って設けられていてもよい。
イオンコレクタ支持部材17は、イオンコレクタ14よりも熱伝導率が低い材料によって構成されている(例えば、300K)。イオンコレクタ支持部材17の材料は、イオンコレクタ14よりも熱伝導率が低い材料であればどのような材料が用いられてもよいが、この材料としては、例えば、ステンレス鋼(SUS304)、鉄、ニッケル、コバルトなどの金属材料が用いられる。
制御ユニット20は、筐体を備えており、筐体の内部には、コントローラ21、電流計22、3つの電源23a〜23c等が内蔵されている。コントローラ21は、CPU(Central processing Unit)や、揮発性、不揮発性のメモリ等を含む。
CPUは、メモリに記憶された各種のプログラムに基づき、三極管型電離真空計100の各部を統括的に制御する。例えば、CPUは、各電源23a〜23cの動作を制御する処理や、電流計22にて測定されたイオン電流値に基づいて圧力を算出する処理、算出された圧力をディスプレイ(図示せず)上に表示する処理等を実行する。
電流計22は、イオンコレクタ14に流れるイオン電流値を測定し、測定した値をコントローラ21へ出力する。3つの電源23a〜23cのうち、第1の電源23aは、フィラメント12に直流電流を通電してフィラメント12を赤熱させるため電源であり、第2の電源23bは、フィラメント12よりも高い電位をグリッド13に付与するための電源である。また、第3の電源23cは、フィラメント12の電位をイオンコレクタ14の電位よりも高くするための電源である。
なお、筐体には、各電源23に導通する出力端子(図示せず)が設けられており、センサユニット10及び制御ユニット20は、コネクタ付きケーブルによって接続される。なお、センサユニット10及び制御ユニット20は、同一の筐体の内部に組み込まれていてもよい。
<試験>
次に、イオンコレクタ14の熱伝導率と、測定される圧力との関係を調べるために行われた試験について説明する。この試験では、イオンコレクタ14の材料として、7種類の材料が用意され、イオンコレクタ14の材質が異なる7種類の三極管型電離真空計100によって、それぞれ、真空排気時の真空チャンバ内の圧力が測定された。
図3は、イオンコレクタ14の材料として用いられた7種類の金属材料と、これらの金属材料における300Kでの熱伝導率との関係を示す図である。図4は、イオンコレクタ14の材質がそれぞれ異なる三極管型電離真空計100によって測定された真空チャンバ内の圧力を示す図である。
なお、この試験では、フィラメント12の材料として、表面が酸化イットリウムで被覆されたイリジウムが用いられ、フィラメント12の太さは、φ0.127mm(酸化イットリウム被覆前)とされた。また、フィラメント12との高さHfは、10mmとされた。
また、グリッド13の材料として、表面が白金で被覆されたモリブデンが用いられ、グリッド13の太さはφ0.25mmとされた。また、グリッド13の高さHgは、20mmとされ、グリッド13の直径φgは、10mmとされた。
また、イオンコレクタ14の材料としては、図3に示すように、グラファイト、銅、タングステン、モリブデン、ニッケル、白金、ステンレス鋼(SUS304)の7種類が用いられた。これらの7種類の材料の300Kでの熱伝導率(面方向)は、図3に示すように、順番に、700W/(m・K)、401W/(m・K)、173W/(m・K)、138W/(m・K)、90.9W/(m・K)、71.6W/(m・K)、16W/(m・K)である。
また、イオンコレクタ14の厚さは、0.1mmとされ、イオンコレクタ14の高さHiは、20mmとされ、イオンコレクタ14の直径φiは、17mmとされた。
また、イオンコレクタ支持部材17の材料として、ステンレス鋼(SUS304)が用いられた。
また、フィラメント12の電位は、25Vとされ、グリッド13の電位は、150Vとされ、イオンコレクタ14の電位は、0Vとされた。また、フィラメント12への供給電力は、4W以下とされ、フィラメント12と、グリッド13との間のエミッション電流は、1mAとされた。
なお、300Kでの熱伝導率が173W/(m・K)以上であるグラファイト、銅、タングステンが、イオンコレクタ14の材料として用いられる場合が、本発明に係る実施形態に対応している。一方、300Kでの熱伝導率が173W/(m・K)未満であるモリブデン、ニッケル、白金、ステンレス鋼(SUS304)がイオンコレクタ14の材料として用いられる場合が、比較例に対応している。
図4を参照して、図4には、イオンコレクタ14の材質がそれぞれ異なる三極管型電離真空計100によって測定された真空チャンバ内の圧力が示されている。図4において、縦軸は、測定された圧力を示しており、横軸は、時間(全体で12時間)を示している。なお、モリブデン、ニッケル、白金については、略同じグラフとなったため、同じグラフとして表示されている。
図4では、最も熱伝導率が高いグラファイトの到達圧力(2×10−6Pa)が最も低く、熱伝導率が低くなるに従って到達圧力が徐々に高くなり、最も熱伝導率が低いステンレス鋼(SUS304)の到達圧力(1×10−4Pa)が最も高い結果となった。なお、到達圧力は、圧力が真空排気とともに下降した後、圧力が安定して一定となったときの値である。
この結果から、熱伝導率が高くなるほど、到達圧力が低くなることが分かる。つまり、イオンコレクタ14の熱伝導率と、到達圧力との間には、反比例の関係があることが分かる。
図4において、300Kにおける熱伝導率が173W/(m・K)未満であるモリブデン、ニッケル、白金に対応するグラフと、ステンレス鋼に対応するグラフとの比較例に係る2つのグラフに着目する。これらのグラフに示される圧力は、真空排気により真空チャンバ内の圧力が低くなるのに従って徐々に下降し、約2×10−5Pa(測定限界値)まで下降した後、徐々に上昇して約8×10−5Paに到達し、その後安定してしまった。
このように、イオンコレクタ14の材料として、熱伝導率が低い材料が用いられると、測定される圧力が一旦下降した後、上昇してある一定の値となり安定するといった挙動が発生する。
<圧力が不安定な挙動となる理由>
以下、300Kにおける熱伝導率が、173W/(m・K)未満である材料によりイオンコレクタ14が構成された比較例において、圧力がこのような挙動となる理由について説明する。図5は、300Kにおける熱伝導率が、173W/(m・K)未満である材料によりイオンコレクタ14が構成された比較例における、イオンコレクタ14に衝突する正イオン1の動きの様子を示す模式図である。なお、図5では、便宜的に、グリッド13を省略して図示している。
フィラメント12が通電されると、フィラメント12の頂部付近から熱電子が放射され、この熱電子は、グリッド13に向けて加速されて、グリッド13によって捕捉される。熱電子の一部は、グリッド13の近傍において、三極管型電離真空計100の内部を飛散している気体分子と衝突し、これにより、気体分子がイオン化されて正イオン1が発生する。
正イオン1は、イオンコレクタ14に引き付けられてイオンコレクタ14に衝突し、イオンコレクタ14から電子を受け取る。
正イオン1が、イオンコレクタ14から電子を受け取ることによって、イオンコレクタ14には、イオン電流が発生し、このイオン電流の値が、電流計22によって測定される。これにより、真空チャンバの内部の圧力が測定される。
図4において、ステンレス鋼に対応するグラフと、モリブデン、ニッケル、白金に対応するグラフとの2つのグラフに着目する。これらのグラフにおいて、真空チャンバの真空排気に応じて、圧力が徐々に下降しているとき、気体分子(正イオン1)がイオンコレクタの表面へ衝突し、表面へ衝突した気体分子は、一部が気体として脱離し、残りの一部が分子層(例えば、吸着分子2による物理吸着層、あるいは、化学吸着層等)となる平衡状態が形成される。
なお、白金は化学的に非常に安定であるため、イオンコレクタ14が白金によって構成されている場合には、化学吸着による分子層は、他の例に比べてほとんど形成されない。つまり、図5のイオンコレクタ14の表面に存在する気体分子の模式図は、ある時点での平衡状態を示しているが、ここで気体分子(例えば、水分子)がイオンコレクタ14の表面に衝突した結果として形成される分子層は、物理吸着が支配的であると考えられる。
イオンコレクタ14において軸方向の中央付近の領域は、イオンコレクタ14の表面に於いて吸着による分子層が形成される確率に対して、正イオン1が衝突する確率が高い領域とされ、平衡状態に於いて分子層が堆積されにくい領域である。この領域では、分子層が堆積されにくいため、この領域に対して正イオン1が衝突しても中性分子、中性破片分子、中性原子又はこれらのイオン等の粒子が放出されにくい。
一方、イオンコレクタ14において軸方向の両端部付近の領域は、正イオン1の衝突確率が中央付近に比べて低い領域であるため、時間の経過に従って、分子層が堆積され易い領域とされている。堆積した分子層に対して正イオン1が衝突すると中性分子、中性破片分子、中性原子又はこれらのイオン等が放出される。
ところで分子が表面から脱離するエネルギーは、分子運動である温度からも考察できる。この観点からイオンコレクタ14を見ると、軸方向の中央付近は、熱が発生するフィラメント12の頂部に近い領域であるため、温度が高い領域となっている(図5参照)。従って、イオンコレクタ14の軸方向の中央付近の分子層は両端部に比較して高いエネルギーを保持している。つまり両端部と比較して中央付近の平衡状態は脱離が支配的であり、両端部は吸着が支配的に成ると考えられる。従って、イオンコレクタ14の温度の観点からも、イオンコレクタ14において軸方向の中央付近の領域は、分子層が堆積しにくい領域とされており、軸方向の両端部付近の領域は、分子層が堆積しやすい領域とされている。
真空チャンバの真空排気の開始からさらに時間が経過すると、センサ本体11内の気体分子の組成は、真空チャンバの排気能力に応じた組成へと変化する。一般的には吸着に対して脱離が優勢な気体分子が優先的に排気される結果、真空チャンバ内は、吸着が優勢な気体分子が優勢な組成へ変化していく。例えば、センサ本体11内の気体の組成は、真空チャンバから排気されにくい水分子が増加した組成へと変化していくと考えられる。当然であるが、測定対象である真空チャンバ内の組成の変化に応じて、イオンコレクタ14表面の分子層の組成も変化していくことなる。
センサ本体11内の気体分子の組成が変化していくこと等に起因して、イオンコレクタ14表面領域全体において、離脱より吸着が優勢となる平衡状態へと変化していく。ただしこの変化のプロセスは緩慢であり、実験例である図4における12h/9時間経過時点においては明確に確認できず、12h/9時間経過後〜12h経過の期間においてその変化を確認できると言える。つまり最終的な平衡状態は12h経過した時点であると考えられる。これは真空チャンバ内の組成が12h/9時間経過時点近傍において、通常の大気組成比率から、吸着優勢の気体組成に変化した事を示していると考えられる。
図4においては1.0×10−3Pa以下において吸着優勢の気体組成環境を発現する真空排気系を持つ環境であるとしたが、大気開放時点から真空排気開始当初の気体組成は、初期状態である大気組成と大きな差異が無い。つまりイオンコレクタ14表面領域全体において、離脱優勢となる平衡状態であり、吸着は進行しない状況である。つまりこの当初の状況では図4における各種材料の時間変化曲線の接線を1次関数の傾の値として捉えると、全てマイナスの値となっていることから確認できる。
しかし1.0×10−4Pa以下において、気体組成の変動に伴い、イオンコレクタ14表面における組成が変化し始めたことが、図4の変動から確認できる。他の真空度測定装置による真空度の記載は図4には省略されているが、グラファイトの値が真空チャンバにおける真の真空度に近い為、本来であればグラファイトと同様の真空度を示すべきである。しかし他の素材では真空度が徐々に悪化、つまり傾きはマイナスであるものの、ゼロに近づいて行く傾向を示している。
これは当初のイオンコレクタ14表面の組成が大気組成から吸着優勢の気体組成に変化する事で、イオンコレクタ14表面の分子層の厚みに変化が生じているためである。この真空度に至る以前では差異は生じない。
この現象は吸着優勢の気体組成となった為、それ以前と比較して、吸着された面の温度条件が支配的になった事を示している。つまり図4の材料同士の比較において、より低温面を持つ材料は気体分子を吸着しやすく、その吸着量、つまり分子層の厚みを増していると考えられる。
ここで、この厚みを増した分子層に対して正イオン1が衝突(入射)すると、入射エネルギーを与えられた分子層の分子は脱離する。詳細な物理現象については今後の研究が待たれるが、この真空度に於ける三極管型電離真空計のイオンコレクタ表面への正イオンの入射に対して脱離する分子の量は、分子層の厚みと比例関係があることが図4等から考えられている。
つまり分子層の厚みが増す事で、放出(脱離)される分子は増大する関係がある為、1.0×10−4Pa以下において平衡状態が吸着優勢になるに従い、脱離する分子も増大していき、この脱離した分子が再度真空計により計測される結果、真空度の測定値の傾きはゼロ側にシフトしていく。
一般的に、吸着/脱離は平衡状態へ移行した段階で安定化する。つまり真空度の測定値の傾きがゼロとなった時点を吸着/脱離が平衡状態であると考える。真空計を使用するユーザはこの平衡状態となった時点を測定限界として認識し、その真空計の能力差として捉えるが、この測定限界が時間とともに変動してしまうと、本来の真空度が悪化した事と区別をするのが難しく、また変動そのものが測定器としてユーザに不信感をもたらす事から商品として問題があると言える。
つまり、傾きがゼロから転じてプラスになる真空度を計測してしまうことは避けなければならないが、白金を含む当該材料については、この問題現象が発生してしまう。これはイオンコレクタ14表面の温度が低く、つまり他の材料と比較して正イオンの入射頻度に対する脱離と吸着の平衡状態が吸着側である為、更に分子層を堆積させて厚みを増し、この結果正イオンの入射による分子の脱離量が増大する為である。
12h/9時間経過後〜12h経過の期間において、上記傾きがプラスとなる原因は、イオンコレクタ14の軸方向の両端部付近(温度が低い箇所)に堆積した分子層において、この分子層が分子の放出源となっているためである。つまり、白金を含む各材料でイオンコレクタ14が構成された場合、この放出源から放出される分子の影響で、センサ本体11内の圧力が局所的に高い圧力となってしまい、測定対象物としての真空チャンバ内の圧力とは異なる圧力となってしまうといった問題がある。このため、真空チャンバ内の圧力を正確に測定することができないといった問題がある。
<吸着分子>
次に、吸着分子2が主に何の分子であるか判断するために行われた測定について説明する。この測定では、上記と同様に、イオンコレクタ14の材質が異なる7種類(グラファイト、銅、タングステン、モリブデン、ニッケル、白金、ステンレス鋼(SUS304))の三極管型電離真空計が用意された。そして、真空チャンバの真空排気が行われた後、フィラメント12OFF時及びフィラメント12ON時に、四重極質量分析計によって、センサ本体11内の気体分子のマススペクトルが測定された。
その結果、熱伝導率が低い、モリブデン、ニッケル、白金、ステンレス鋼の4つの材料に対応する三極管型電離真空計(比較例)において、フィラメント12ON時におけるマススペクトルにおける水のピーク値が、フィラメント12OFF時におけるマススペクトルの水のピーク値よりも著しく大きくなった。
これは、フィラメント12ON時にセンサ本体11内を飛散している水分子の量が、フィラメント12OFF時にセンサ本体11内を飛散している水分子の量よりもかなり多いことを示している。この結果は、吸着分子2が主に水分子であることを示している。
つまり、フィラメント12OFF時においては、水分子が正イオン1とならないので、水分子がイオンコレクタ14に引き付けられず、従って、水分子が吸着分子2としてイオンコレクタ14に吸着している量は少ない。従って、フィラメント12OFF時においては、水分子の放出源がないため、センサ本体11内を飛散している水分子の量は、真空チャンバ内の水分子の量と略同じであり、この水分子の量は、少ない。
一方、フィラメント12ON時においては、水分子が正イオン1となり、水分子がイオンコレクタ14に引き付けられる。また、熱伝導率が低い材料によってイオンコレクタ14が構成されているので、水分子が吸着分子2としてイオンコレクタ14に堆積する。そして、堆積した水分子が、水分子の放出源となるため、フィラメント12ON時には、センサ本体11内を飛散している水分子の量が、フィラメント12OFF時と比べてかなり多くなる。
フィラメント12ON時におけるマススペクトルにおける水のピーク値が、フィラメント12OFF時におけるマススペクトルの水のピーク値よりも著しく大きくなったという結果は、このことを示しており、従って、吸着分子2が主に水分子であることが分かる。
ここでの測定では、化学的に非常に安定である白金についても、フィラメント12ON時におけるマススペクトルにおける水のピーク値が、フィラメント12OFF時におけるマススペクトルの水のピーク値よりも著しく大きくなるという結果となった。これは、つまり、比較例において圧力が不安定となる理由は、化学吸着による分子層の形成が主な原因ではなく、水分子の吸着による分子層の形成が主な原因であることを示している(白金は化学吸着による分子層が形成されにくいため)。
なお、熱伝導率が高い、グラファイト、銅、タングステンの3つの材料に対応する三極管型電離真空計100(本実施形態)においても、フィラメント12ON時におけるマススペクトルにおける水のピーク値が、フィラメント12OFF時におけるマススペクトルの水のピーク値よりも大きくなったが、その差は小さかった。これは、本実施形態においては、フィラメント12ON時に、水分子が吸着する量が、比較例に比べてかなり少なくなったことを示している。
<作用等>
以上説明したように、300Kにおける熱伝導率が173W/(m・K)未満の材料によってイオンコレクタ14が構成された比較例においては、水分子のイオンコレクタ14への吸着が主な原因で、測定される圧力が不正確となる。
そこで、本実施形態では、吸着分子2(特に、水分子)の発生を防止するために、300Kにおける熱伝導率が、173W/(m・K)以上である材料(例えば、グラファイト、銅、タングステン)によってイオンコレクタ14を構成することとしている。
図6は、300Kにおける熱伝導率が、173W/(m・K)以上である材料によりイオンコレクタ14が構成された場合における、イオンコレクタ14に衝突する正イオン1の動きの様子を示す模式図である。なお、図6では、便宜的に、グリッド13を省略して図示している。
図6に示すように、本実施形態では、熱伝導率が高い材料によってイオンコレクタ14が構成されているので、フィラメント12で発生する熱を、イオンコレクタ14の全体に効率的に伝えることができる。従って、イオンコレクタ14において、軸方向(Z軸方向)の中心部だけでなく、軸方向の両端部付近においても、温度を高くすることができ、イオンコレクタ14全体の温度を高くすることができる。
従って、図6では、比較例における図5とは異なり、イオンコレクタ14の軸方向の両端部付近において、正イオン1としてイオンコレクタ14に衝突した気体分子が、イオンコレクタ14から離脱するためのエネルギーが高くなる。これにより、吸着分子2(特に、水分子)の発生を防止することができる。
なお、上記試験において、グラファイト、銅、タングステンで構成されたイオンコレクタ14の温度を実際に測定した結果、210度を超える温度であった。ここで、イオンコレクタ14の温度は、200度以上となれば、水分子等の吸着を防止することができることが知られており、このことからも、本実施形態では、適切に吸着分子2の発生を防止することができることが分かる。なお、上記試験において、モリブデン、ニッケル、白金、ステンレス鋼(SUS304)で構成されたイオンコレクタ14(比較例)の温度を実際に測定したところ、160°〜180°であった。
以上のように、本実施形態では、吸着分子2の発生を防止することができるので、比較例のように、測定される圧力が不正確になってしまうことを防止することができ、真空チャンバなどの測定対象物の内部の圧力を正確に測定することができる。
このことが、図4における、グラファイト、銅、タングステンに対応するグラフに表れている。すなわち、これらのグラフに示されているように、本実施形態では、測定される圧力は、真空排気により真空チャンバ内の圧力が低くなるのに従って徐々に下降し、所定の値(測定限界値)まで下降した後、そのまま安定して一定の値を取っている。
ここで、本実施形態では、フィラメント12への供給電力が4W以下とされている。フィラメント12への供給電力が4W以下とされるような小型の三極管型電離真空計100では、フィラメント12で発生する熱が低くなりやすいので、何ら対策を講じないと、イオンコレクタ14における軸方向の両端部の近傍において温度が低くなりやすいといった問題がある。
一方、上述のように、本実施形態に係る三極管型電離真空計100は、熱伝導率が高い材料によってイオンコレクタ14が構成されている。従って、フィラメント12への供給電力が4W以下とされるような、フィラメント12の熱が低くなりやすい小型の三極管型電離真空計100においても、イオンコレクタ14における軸方向の両端部の近傍においてイオンコレクタ14の温度を適切に上げることができる。
また、本実施形態では、イオンコレクタ支持部材17が、イオンコレクタ14を構成する材料よりも熱伝導率が低い材料よって構成されている。従って、イオンコレクタ14の熱がイオンコレクタ支持部材17へ逃げてしまうことを防止することができ、イオンコレクタ14の熱を高い状態を維持することができる。
また、本実施形態では、センサ本体11が、金属材料によって構成されている。このように、センサ本体11を金属材料によって構成することで、フィラメント12からの熱電子がセンサ本体11に衝突したときにチャージアップが発生してしまうことを防止することができ、センサ本体11内の空間内の電位分布を一定に維持することができる。これにより、長時間に亘って一定の感度で圧力を測定することができる。
ここで、イオンコレクタ14に対する吸着分子2の発生を防止するために、イオンコレクタ14の軸方向(Z軸方向)の両端部を削り、イオンコレクタ14の高さHiを低くすることが考えられる。しかしながら、このように、イオンコレクタ14の高さHiを低くしてしまうと、イオンコレクタ14における正イオン1の捕捉効率が下がってしまう虞がある。
一方、本実施形態では、熱伝導率が高い材料によってイオンコレクタ14を構成することで吸着分子2の発生を防止することができるので、イオンコレクタ14の高さHiを低くする必要がない。従って、本実施形態では、イオンコレクタ14における正イオン1の捕捉効率を低下させることなく、適切に、吸着分子2の発生を防止することができる。なお、上述のように、本実施形態では、イオンコレクタ14の高さHiは、フィラメント12の高さHfの約2倍で、かつ、グリッド13の高さHgと同等の高さとされている。
なお、これは、イオンコレクタ14の高さHiを高くしなければならないといった趣旨ではなく、例えば、イオンコレクタ14の高さHiを、グリッド13の高さHgよりも低い高さにすることもできる。
1…正イオン
2…吸着分子
10…センサユニット
11…センサ本体
12…フィラメント
13…グリッド
14…イオンコレクタ
15…端子
16…グリッド支持部材
17…イオンコレクタ支持部材
20…制御ユニット
100…三極管型電離真空計

Claims (5)

  1. フィラメントと、
    前記フィラメントの周囲に配置されるグリッドと、
    筒状であり、前記グリッドの周囲に配置され、300Kにおける熱伝導率が173W/(m・K)以上の材料によって構成されたイオンコレクタと
    を具備する三極管型電離真空計。
  2. 請求項1に記載の三極管型電離真空計であって、
    前記フィラメントへの供給電力が4W以下である
    三極管型電離真空計。
  3. 請求項1に記載の三極管型電離真空計であって、
    前記イオンコレクタを支持し、前記イオンコレクタを構成する材料よりも熱伝導率が低い材料よって構成された支持部材をさらに具備する
    三極管型電離真空計。
  4. 請求項1に記載の三極管型電離真空計であって、
    金属材料によって構成され、前記フィラメント、前記グリッド及び前記イオンコレクタを内部に収容する収容部をさらに具備する
    三極管型電離真空計。
  5. フィラメントと、前記フィラメントの周囲に配置されるグリッドと、筒状であり、前記グリッドの周囲に配置され、300Kにおける熱伝導率が173W/(m・K)以上の材料によって構成されたイオンコレクタとを具備する三極管型電離真空計を用意し、
    前記三極管型電離真空計により、測定対象物の内部の圧力を測定する
    圧力測定方法。
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