JP2019014718A - 毛髪化粧料及び毛髪化粧料用品 - Google Patents

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Abstract

【課題】二重構造容器において、袋状体から外側容器の内部に漏れ出した第1剤と第2剤との接触による酸素ガスの発生を抑制する。【解決手段】第1剤及び第2剤を含む毛髪化粧料であって、加圧用の噴射剤を充填した噴射剤充填空間の内部に設けた第1剤充填用空間と第2剤充填用空間にそれぞれ充填する毛髪化粧料第1剤及び第2剤であって、第1剤はアルカリ剤を含有し、前記第2剤は酸化剤を含有し、第1剤及び第2剤の粘度が共に25℃において7000〜30000mPa・sの範囲内である毛髪化粧料【選択図】図1

Description

本発明は毛髪化粧料及び毛髪化粧料用品に関し、更に詳しくは、毛髪化粧料の第1剤と第2剤を充填して吐出するための特定の機構を備えた二重構造容器に特に適合した第1剤及び第2剤を含む毛髪化粧料と、この毛髪化粧料及び前記二重構造容器を含んで構成され、毛髪化粧料の第1剤と第2剤が二重構造容器に充填されている毛髪化粧料用品に関する。
従来、毛髪化粧料の第1剤と第2剤を分離して充填すると共に、同一の加圧吐出系により同時に吐出する機構を備えた二重構造容器(以下、「分離充填・同一加圧吐出型の二重構造容器」と称する)が提案されている。分離充填・同一加圧吐出型の二重構造容器として、例えば次の機構のものを挙げることができる。
即ち、加圧用の圧縮ガスや液化ガスである噴射剤を充填した外側容器(噴射剤充填空間)の開口部は、吐出路とこれを開閉するバルブを備えた蓋体によって気密に閉鎖されている。又、外側容器の内部には毛髪化粧料の第1剤と第2剤をそれぞれ充填した2個の内側容器である袋状体(第1剤充填用空間と第2剤充填用空間)が設置され、これらの袋状体の開口部は上記蓋体の吐出路に液密に連通されている。従って、袋状体に充填した第1剤と第2剤は同じ噴射剤によって常に吐出圧を受けており、吐出路バルブの簡単な開閉操作によって第1剤と第2剤の同時吐出を制御できるようになっている。
例えば下記の特許文献1、特許文献2には、基本的にこのような機構を備えた二重構造容器を開示している。
特開2012−229318号公報 特開2013−043659号公報
ところで、上記の分離充填・同一加圧吐出型の二重構造容器の機構上、噴射剤を封入した外側容器は堅牢に構成する必要がある。又、ユーザーにとって、袋状体に充填した第1剤と第2剤の減り具合を外部から透視できれば便利であるため、外側容器は例えば硬質で透明なプラスチック材料で構成される。一方、第1剤、第2剤を充填する袋状体には、加圧用の噴射剤の圧力により内容物が確実に吐出されるように、比較的柔軟で加圧により変形し易い材料を用いる必要がある。
従って、外側容器と袋状体では耐衝撃強度が異なる場合が多い。そのため、例えば二重構造容器を使用中に手から取り落として硬い床面に衝突させた場合などのように、二重構造容器が大きな衝撃を受けた際には、第1剤、第2剤を充填した袋状体が破損する恐れがある。更に、上記した袋状体の開口部と蓋体の吐出路との接続部分の液密性(シール)が甘くなる可能性がある。このような場合、袋状体に充填した第1剤、第2剤が漏れ出す。
酸化染毛剤や毛髪脱色剤のような毛髪化粧料では、第1剤にアルカリ剤を、第2剤に酸化剤を配合して、毛髪への適用時には両者の均一な混合により染毛効果や毛髪脱色効果を高めている。そして第1剤と第2剤の混合の際には、酸素ガス(O)あるいは炭酸ガス
やアンモニアガス等の反応ガスが発生する。上記した袋状体の破損により第1剤と第2剤が漏れ出した場合にも、両者が接触して幾分の混合も起こる。従って、毛髪への適用時に人為的に均一に混合させる場合に比較すると少量であるが、外側容器の内部で反応ガスが発生する。
ところが、分離充填・同一加圧吐出型の二重構造容器における外側容器の容量は、袋状体に充填した第1剤、第2剤の体積を差引くと、通常は僅か40〜80ml程度であり、反応ガスの発生量が少量でも、外側容器のガス内圧が無視できない程に上昇する。堅牢で気密な容器のガス内圧が過度に上昇することは好ましくないので、対策が望まれる。
そこで本発明は、上記のような二重構造容器の袋状体から外側容器の内部に第1剤と第2剤が漏れ出すと言う特殊な条件下において、第1剤と第2剤が接触しても酸素ガス等の反応ガスの発生を抑制することを、解決すべき課題とする。
本願発明者は、上記の課題の解決手段を追求する過程で以下の3点の知見を得るに至り、本発明を完成した。
1)第1剤と第2剤の「混ざり合い」による反応ガスの発生に関しては、マクロな意味での両者の混ざり合いと、両者の接触境界面における相互の浸潤又は拡散と言うミクロな意味での混ざり合いを考慮することが重要である。
なお、本願明細書において、第1剤と第2剤の「混ざり合い」と言うときは、別段のことわりがある場合を除き、上記のマクロな意味での混ざり合いと、ミクロな意味での混ざり合いの両方の意味で言う
2)上記の混ざり合いの抑制に当たり、第1剤と第2剤の粘度を一定範囲内に調整すること、又、そのために、両者における界面活性剤、油性成分あるいは高級アルコールの含有量を制御することが効果的である。
3)「小容量の外側容器のガス内圧の上昇防止」と言う特殊な条件下の課題解決には以上の手段が有効であるが、その混合性抑制効果は、毛髪への適用時における第1剤と第2剤の人為的な均一混合には余り影響しない程度のものである。
(第1発明の構成)
本願第1発明の構成は、アルカリ剤を含有する第1剤及び酸化剤を含有する第2剤を含む毛髪化粧料であって、
この第1剤及び第2剤は、加圧用の噴射剤を充填した噴射剤充填空間の内部に第1剤充填用空間と第2剤充填用空間を各々独立に設けると共に、これら各剤の充填用空間にそれぞれ充填する第1剤及び第2剤を前記噴射剤により互いに分離して同時に吐出する機構を備えた二重構造容器において用いるためのものであり、かつ、
前記第1剤及び第2剤は共に液状で吐出されるものであって、第1剤はアルカリ剤を含有し、前記第2剤は酸化剤を含有し、第1剤及び第2剤の粘度が共に25℃において7000〜30000mPa・sの範囲内である、毛髪化粧料である。
(第2発明の構成)
本願第2発明の構成は、前記第1発明に係る毛髪化粧料において、第1剤及び第2剤が1種以上の界面活性剤を含有し、各剤の界面活性剤の含有量がいずれも10質量%以下である、毛髪化粧料である。
(第3発明の構成)
本願第3発明の構成は、前記第1発明又は第2発明に係る毛髪化粧料において、第1剤及び第2剤が1種以上の油性成分を含有し、第1剤と第2剤の合計量に対する第1剤及び第2剤中の油性成分の合計含有量が、10質量%以下である、毛髪化粧料である。
(第4発明の構成)
本願第4発明の構成は、前記第1発明〜第3発明のいずれかに係る毛髪化粧料において、第1剤及び第2剤が1種以上の高級アルコールを含有し、各剤に含有される高級アルコールについての下記高級アルコール指数の合計値がいずれも140以下である、毛髪化粧料である。
高級アルコール指数:高級アルコールの炭素数(a)と当該高級アルコールの第1剤又は第2剤中での質量%単位の含有量値(b)との積算値(a×b)。
この第4発明で言う高級アルコールとは、炭素数が12以上で22以下の1価アルコールであって直鎖状又は分岐鎖状の飽和又は不飽和のものを言う。
(第5発明の構成)
本願第5発明の構成は、第1発明〜第4発明のいずれかに記載の毛髪化粧料と、
加圧用の噴射剤を充填した噴射剤充填空間の内部に第1剤充填用空間と第2剤充填用空間を各々独立に設けると共に、これら各剤の充填用空間にそれぞれ充填する第1剤及び第2剤を前記噴射剤により互いに分離して同時に吐出する機構を備えた二重構造容器と、を含んで構成される毛髪化粧料用品であって、
前記毛髪化粧料の第1剤及び第2剤が、前記二重構造容器における第1剤充填用空間と第2剤充填用空間とにそれぞれ充填されている、毛髪化粧料用品である。
なお、第5発明において毛髪化粧料が粉末状の第3剤なども含んで構成される場合には、毛髪化粧料用品には、第1剤と第2剤を充填した二重構造容器の他に、これに添付された第3剤が包含される。
(第1発明の効果)
第1発明の毛髪化粧料は第1剤と第2剤を含み、その第1剤はアルカリ剤を含有し、第2剤は酸化剤を含有する。そして第1剤及び第2剤は、二重構造容器の噴射剤充填空間(外側容器の内部空間)に各々独立に設けた第1剤充填用空間と第2剤充填用空間(例えば2個の袋状体)にそれぞれ充填されている。従って、もし二重構造容器に強い衝撃が加わると、第1剤充填用空間と第2剤充填用空間からそれぞれ噴射剤充填空間に漏れ出した第1剤と第2剤との接触により、酸素ガス等の反応ガスの発生が起こり得る状況にある。
しかしその際、第1剤と第2剤の粘度が共に25℃において7000mPa・s以上であるように設計されていると、噴射剤充填空間のガス内圧を過度に上昇させるような反応ガスの発生が有効に抑制されることが分かった。その理由は、第1剤と第2剤が7000mPa
・s以上の粘度であると、第1剤と第2剤の混ざり合いが抑制され、噴射剤充填空間のガ
ス内圧を過度に上昇させる程の反応ガスが発生しないためであると考えられる。しかもこの場合、第1剤と第2剤の混ざり合いの抑制効果は、毛髪への適用時における第1剤と第2剤の人為的な均一混合には余り影響しない程度のものである。
以上の効果を確保する点からは、25℃における第1剤と第2剤の粘度の上限値は特段に限定されない。しかし、第1剤と第2剤の二重構造容器からの円滑な吐出や、吐出後の毛髪への適用前の人為的混合をより容易にする見地から、第1剤と第2剤の粘度の上限値を30000mPa・sとする。
(第2発明の効果)
第1剤と第2剤が漏れ出した際の両者の混ざり合い易さを支配する要因としては、粘度の他に、両者の表面張力が挙げられる。表面張力が低いと、第1剤と第2剤が混ざり合い易い。第2発明によれば、毛髪化粧料の第1剤及び第2剤における界面活性剤の含有量がいずれも10質量%以下であるため、両者の表面張力の低下が抑えられ、よって噴射剤充填空間に漏れ出した第1剤と第2剤が相互に混ざり合い難いので、酸素ガスの発生が抑制される。この効果は、毛髪への適用時における第1剤と第2剤の人為的な均一混合には余り影響しない。
第2発明の効果を確保する点からは、第1剤と第2剤における界面活性剤の含有量の下限値は特段に限定されない。しかし、乳化安定性と言う見地からは、両者の界面活性剤の含有量が例えば1.5質量%以上であることが好ましい。
(第3発明の効果)
油性成分は組成物の表面張力が低下することが知られている。第3発明によれば、毛髪化粧料の第1剤及び第2剤に含有される油性成分の合計含有量が第1剤と第2剤の合計量に対して10質量%以下であるため、両者の表面張力の低下が抑えられ、よって噴射剤充填空間に漏れ出した第1剤と第2剤が相互に混ざり合い難いので、酸素ガスの発生が抑制される。この効果は、毛髪への適用時における第1剤と第2剤の人為的な均一混合には余り影響しない。
(第4発明の効果)
高級アルコールは、通常、油性成分の1種とも考えられるが、本発明では高級アルコールと油性成分を区別する。高級アルコールの含有量は組成物の表面張力に影響し、その影響は当該高級アルコールの炭素数(分子量)によっても異なる。そこで本願発明者は、酸素ガスの発生の抑制(第1剤及び第2剤における表面張力の低下の抑制)に対する高級アルコールの影響を評価する指標として、第4発明に規定する「高級アルコール指数」と言うコンセプトを考えた。
第4発明によれば、毛髪化粧料の第1剤及び第2剤に含有される高級アルコールについての高級アルコール指数の合計値がいずれも140以下であるので、第1剤及び第2剤の表面張力の低下が抑えられ、よって噴射剤充填空間に漏れ出した第1剤と第2剤が相互に混ざり合い難いので酸素ガスの発生が抑制される。この効果は、毛髪への適用時における第1剤と第2剤の人為的な均一混合には余り影響しない。
(第5発明の効果)
第5発明によれば、第1発明〜第4発明のいずれかに記載の毛髪化粧料の第1剤及び第2剤が二重構造容器における第1剤充填用空間と第2剤充填用空間とにそれぞれ充填された毛髪化粧料用品が提供される。この毛髪化粧料用品においては、二重構造容器の第1剤充填用空間と第2剤充填用空間から漏れ出した第1剤と第2剤との接触による酸素ガスの発生が有効に抑制される。
本発明で用いる二重構造容器の一例の概要を示す正面図である。
1 二重構造容器
2 外側容器
3、4 袋状体
5 噴射剤充填空間
6 開口部
7 蓋体
8、9 筒状ステム
10 アクチュエータ
11 開口部
12、13 吐出孔
次に本発明の実施形態を、その最良の形態を含めて説明する。
〔毛髪化粧料〕
まず、本発明の毛髪化粧料の実施形態を、第1剤及び第2剤を中心として説明する。これらの実施形態で述べる主要な成分については、詳しくは後述する。
本発明の毛髪化粧料は、少なくとも、アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤とを含んで構成される。これらの第1剤と第2剤は、後述する分離充填・同一加圧吐出型の二重構造容器における、例えば袋状体である第1剤充填用空間と第2剤充填用空間にそれぞれ充填される。毛髪化粧料の第1剤と第2剤は液状の剤型であり、二重構造容器から液状として吐出されるものである。「液状の剤型」の内容は必ずしも限定されないが、クリーム状、ゲル状、乳液状などが例示される。それらの内でも、比較的高い粘度を確保し易いクリーム状、ゲル状が好ましい。
毛髪化粧料としては、このような第1剤と第2剤からなる2剤式を例示できるが、更に適宜な処方に係る第3剤等を付加した3剤式などの多剤式のものも包含される。第3剤等は液状であっても良く、粉末状等であっても良い。毛髪化粧料が3剤式等である場合、その第3剤等は、通常、第1剤と第2剤を充填した二重構造容器に添付されて、商品としての毛髪化粧料用品の構成要素となる。
毛髪化粧料のカテゴリーとしては、酸化染毛剤、毛髪脱色剤、毛髪脱染剤が例示される。これらはアルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤とを含む点で共通するが、酸化染毛剤においては更に酸化染料を含む。酸化染料は主要中間体からなり、又は主要中間体とカプラーからなるが、場合によって更に直接染料が添加される。毛髪脱染剤では、アルカリ剤に加えて酸化助剤として過硫酸塩が追加される。
本発明の毛髪化粧料において、第1剤及び第2剤の粘度は、共に、25℃において7000〜30000mPa・sの範囲内であるが、10000〜25000mPa・sの範囲内であることが更に好ましい。
この粘度は、例えば、B型粘度計を用い、4号ローターで1分間、12rpm/minの測定条
件で求めることができる。B型粘度計の具体例としては、例えばBL型粘度計VISCOMETER(東機産業株式会社製)を挙げることができる。
毛髪化粧料の第1剤と第2剤は、発泡用の噴射剤を含有しないものであっても良く、発泡用の噴射剤を含有するものであっても良い。第1剤と第2剤が発泡用の噴射剤を含有する場合においては、毛髪化粧料はエアゾール式泡状毛髪化粧料のカテゴリーに該当するものとなる。発泡用の噴射剤としては、LPG、ジメチルエーテル、イソペンタン等の液化ガス、炭酸ガス、窒素ガス等の圧縮ガスを例示できるが、特に液化ガスが好ましい。第1剤又は第2剤の原液(噴射剤を含有しない状態の組成物)と噴射剤との質量比は、90:10〜98:2の範囲内であることが好ましい。
発泡用の噴射剤を含有しない毛髪化粧料であっても、第1剤と第2剤の内のいずれか一方の剤が例えばクエン酸などの有機酸を含有し、他方の剤が例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの炭酸塩、炭酸水素塩を含有し、これらの剤を混合することにより泡状となるようにした毛髪化粧料であっても良い。
次に、毛髪化粧料の第1剤及び第2剤は界面活性剤を含有することができる。界面活性剤の種類はカチオン性、アニオン性、両性、非イオン性のいずれでも良く、これらの任意の組み合わせでも良いが、第1剤がアニオン性界面活性剤を含有する場合には第2剤がカチオン性界面活性剤を含有し、あるいは逆に、第1剤がカチオン性界面活性剤を含有する場合には第2剤がアニオン性界面活性剤を含有することが、第1剤と第2剤の吐出後の均一な混合をより容易にする点で、好ましい。第1剤及び第2剤における界面活性剤の含有量は限定されないが、「第2発明の効果」欄で前記した理由から、いずれも10質量%以下であることが好ましく、いずれも2.5〜8質量%の範囲内であることが、より好ましい。
毛髪化粧料の第1剤及び第2剤は、油性成分を含有することができる。第1剤及び第2剤における油性成分の含有量は限定されないが、「第3発明の効果」欄で前記した理由から、いずれも10質量%以下とすることが好ましく、8質量%以下とすることが、より好ましい。油性成分としては、炭化水素やエステルが特に好ましい。
更に、第1剤の油性成分含有量(前者)と、第2剤の油性成分含有量(後者)との関係を、質量%単位で前者/後者=1.05〜5の範囲内、特に1.1〜3の範囲内とすると、前者と後者の油性感が異なったものとなるため、噴射剤充填空間に漏れ出した第1剤と第2剤の混ざり合いを抑制する点で好ましい。
次に、毛髪化粧料の第1剤及び/又は第2剤は、高級アルコールを含有することができる。「高級アルコール」の意味は「第4発明の構成」の項で述べた通りであるが、特に炭素数が12〜22の範囲内のものが好ましい。第1剤、第2剤に含有される高級アルコールについての好ましい含有量については、高級アルコールの炭素数(a)と、当該高級アルコールの第1剤又は第2剤中での質量%単位の含有量値(b)との積算値(a×b)である高級アルコール指数によって述べることができる。即ち、第1剤及び第2剤に含有される各々の高級アルコールについての高級アルコール指数の合計値が、いずれも140以下であることが好ましく、いずれも40〜130の範囲内であることが、より好ましい。
更に、第1剤についての高級アルコール指数の合計値(前者)と第2剤についての高級アルコール指数の合計値(後者)との関係を質量%単位で前者/後者=1.05〜5の範囲内、特に1.1〜3の範囲内とすると、前者と後者の油性感が異なったものとなるため、圧縮ガス充填空間に漏れ出した第1剤と第2剤の混ざり合いを抑制する点で好ましい。
以上の点に加えて、第1剤と第2剤のいずれか一方の剤においては配合する高級アルコールの50質量%以上を炭素数が16以下の高級アルコールとし、他方の剤においては配合する高級アルコールの50質量%以上を炭素数が18以上の高級アルコールとすることも好ましい。この場合、第1剤と第2剤の油性感が異なるため、噴射剤充填空間に漏れ出した第1剤と第2剤の混ざり合いのような人為的な外力が作用しない状態での混合は起こり難いが、第1剤と第2剤の吐出後の混合のように人為的な外力(例えば刷毛による混合・塗布)が作用する状態での混合は容易である。
〔毛髪化粧料の主要成分〕
次に、本発明の毛髪化粧料に含有される必須成分及び主要な任意的配合成分の実施形態
を、順次に詳しく述べる。
(アルカリ剤)
毛髪化粧料の第1剤に含有されるアルカリ剤としては、アンモニア、アルカノールアミン、ケイ酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、メタケイ酸塩、硫酸塩、塩化物、リン酸塩、塩基性アミノ酸等が例示される。具体的には、アルカノールアミンとしてはモノエタノールアミン、トリエタノールアミン等が例示され、ケイ酸塩としてはケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムが例示され、炭酸塩としては炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウムが例示され、炭酸水素塩としては炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウムが例示され、メタケイ酸塩としてはメタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウムが例示され、硫酸塩としては硫酸アンモニウムが例示され、塩化物としては塩化アンモニウムが例示され、リン酸塩としてはリン酸第1アンモニウム、リン酸第2アンモニウムが例示され、塩基性アミノ酸としてはアルギニン、リジン及びそれらの塩が例示される。これらの中でも、アンモニア、炭酸塩及びアンモニウム塩が好ましい。
第1剤におけるアルカリ剤の含有量は限定されないが、例えば0.1〜15質量%、より好ましくは1〜10質量%である。
(酸化剤、酸化助剤)
毛髪化粧料の第2剤に含有される酸化剤としては、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミ ン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム
、過硫酸アンモニウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシ
ウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、及びピロリン酸塩の過酸化水素 付加物等が例示
される。これらの中でも、過酸化水素が好ましい。
第2剤における酸化剤の含有量は特段に限定されないが、例えば0.1〜15質量%、より好ましくは1〜10質量%である。第2剤が酸化剤として過酸化水素を含有する場合、その安定性を向上させる安定化剤として、エチレングリコールフェニルエーテル(フェノキシエタノール)や、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩を酸性の剤に配合することが好ましい。
一方、酸化助剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩が例示される。
(酸化染料、直接染料)
毛髪化粧料の第1剤に含有される酸化染料の内、主要中間体は、主としてo−又はp−のフェニレンジアミン類あるいはアミノフェノール類である染料先駆物質であり通常、それ自体は無色か又は弱く着色した化合物である。主要中間体は単独で用いられ、又はカプラーと共に用いられる。
主要中間体としては、p−フェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン(p−トルイレンジアミン)、N−フェニル−p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、p−アミノフェノール、o−アミノフェノール、p−メチルアミノフェノール、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、2−ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミン、o−クロル−p−フェニレンジアミン、4−アミノ−m−クレゾール、2−アミノ−4−ヒドロキシエチルアミノアニソール、2,4−ジアミノフェノール及びそれらの塩類等が例示される。塩類としては、塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩等が例示される。
カプラーとしては、主としてm−のジアミン類、アミノフェノール類又はジフェノール類が挙げられ、具体的にはレゾルシン、カテコール、ピロガロール、フロログルシン、没食子酸、ハイドロキノン、5−アミノ−o−クレゾール、m−アミノフェノール、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、トルエン−3,4−ジアミン、α−ナフトール、2,6−ジアミノピリジン、ジフェニルアミン、3,3’−イミノジフェニール、1,5−ジヒドロキシナフタレンおよびタンニン酸及びそれらの塩等が例示される。
染毛色調の調整のために付加的に用いられることがある直接染料としては、各種の酸性染料、塩基性染料、ニトロ染料、天然染料、分散染料、HC染料等が例示される。
(界面活性剤)
毛髪化粧料の第1剤及び/又は第2剤には、界面活性剤を含有させることができる。界面活性剤としては、カチオン性、アニオン性、両性イオン性、ノニオン性の各種の界面活性剤を用いることができる。第1剤及び第2剤のいずれにおいても、界面活性剤の含有量がいずれも10質量%以下であることが好ましく、いずれも2.5〜8質量%の範囲内であることが特に好ましい。
カチオン性界面活性剤としては塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(ステアルトリモニウムクロリド)、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム(ベヘントリモニウムクロリド)、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム等が例示される。
アニオン性界面活性剤としては、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン(以下、POEという。)アルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫 酸塩、アルケニルエーテル硫
酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニル
エーテルカルボン酸塩、α−スルホン脂肪酸塩、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、及びスルホコハク酸エステルが例示される。これらの界面活性剤のアニオン基の対イオンは、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、及びトリエタノールアミンのいずれであってもよい。
アニオン性界面活性剤として、より具体的には、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、セチル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(POE)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、POEラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、POEラウリルエーテル硫酸アンモニウム、POEステアリルエーテル硫酸ナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、ラウリルリン酸ナトリウム、POEラウリルエーテルリン酸及びその塩、N−ラウロイルグルタミン酸塩類(ラウロイルグルタミン酸ナトリウム等)、N−ラウロイルメチル−β−アラニン塩、N−アシルグリシン塩、N−アシルグルタミン酸塩、高級脂肪酸であるラウリン酸、ミリスチン酸及びこれらの高級脂肪酸の塩が例示される。
両性イオン性界面活性剤としては、アルキルベタイン型、脂肪酸アミドプロピルベタイン型、アルキルイミダゾール型、アミノ酸型のものが例示される。
両性イオン性界面活性剤として、より具体的には、ラウリルベタイン、イミダゾリン、アミドベタイン、カルボベタイン、スルホベタイン、ヒドロキシスルホベタイン、アミドスルホベタイン、2−ウンデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ココアミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等が例示される。
ノニオン性界面活性剤としては、エーテル型とエステル型のものとを例示できる。
エーテル型のノニオン性界面活性剤としては、具体的には、POEセチルエーテル(セテス)、POEステアリルエーテル(ステアレス)、POEベヘニルエーテル、POEオレイルエーテル(オレス)、POEラウリルエーテル(ラウレス)、POEオクチルドデシルエーテル、POEヘキシルデシルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、及びPOEオクチルフェニルエーテルを例示できる。
エステル型のノニオン性界面活性剤としては、具体的には、モノオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノパルミチン酸POEソルビタン、モノラウリン酸POEソルビタン、トリオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEグリセリン、モノミリスチン酸POEグリセリン、テトラオレイン酸POEソルビット、ヘキサステアリン酸POEソルビット、モノラウリン酸POEソルビット、POEソルビットミツロウ、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、親油型モノオレイン酸グリセリン、親油型モノステアリン酸グリセリン、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ショ糖脂肪酸エステル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、及びモノミリスチン酸デカグリセリルを例示できる。
(油性成分)
毛髪化粧料の第1剤及び/又は第2剤には、油性成分を含有させることができる。油性成分としては、油脂、ロウ類、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル類、シリコーン類、炭化水素等が例示される。油性成分としては、「第4発明の構成」の項で定義した特定の高級アルコール以外の高級アルコール(炭素数が6以上のもの)も包含される。第1剤及び第2剤のいずれにおいても、油性成分の含有量がいずれも10質量%以下とすることが好ましく、8質量%以下とすることが、より好ましい。
油脂としては、オリーブ油、ローズヒップ油、ツバキ油、シア脂、マカデミアナッツ油、アーモンド油、茶実油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、牛脂、カカオ脂、トウモロコシ油、落花生油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、小麦胚芽油、ハトムギ油、ブドウ種子油、アボカド油、カロット油、マカダミアナッツ油、ヒマシ油、アマニ油、ヤシ油、ミンク油、卵黄油等が例示される。
ロウ類としては、ミツロウ(蜜蝋)、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、ラノリン、鯨ロウ、コメヌカロウ、サトウキビロウ、パームロウ、モンタンロウ、綿ロウ、ベイベリーロウ、セラックロウ等が例示される。
高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、リノール酸、リシノール酸、ラノリン脂肪酸等が例示され
る。
アルキルグリセリルエーテルとしては、バチルアルコール(モノステアリルグリセリルエーテル)、キミルアルコール(モノセチルグリセリルエーテル)、セラキルアルコール(モノオレイルグリセリルエーテル)、イソステアリルグリセリルエーテル等が例示される。
エステル類としては、アジピン酸ジイソブチル、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、セバシン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステアリル、ラウリン酸ヘキシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸トリイソデシル、脂肪酸(C10−30)(コレステリル/ラノステリル)、乳酸ラウリル、酢酸ラノリン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル等が例示される。
シリコーン類としては、ジメチルポリシロキサン(INCI名:ジメチコン)、ヒドロキシ末端基を有するジメチルポリシロキサン(INCI名:ジメチコノール)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、平均重合度が650〜10000の高重合シリコーン、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン等が例示される。
上記のうち、アミノ変性シリコーンとしては、アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(INCI名:アミノプロピルジメチコン)、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(INCI名:アモジメチコン)、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(INCI名:トリメチルシリルアモジメチコン)等が例示される。
炭化水素としては、α−オレフィンオリゴマー、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、流動イソパラフィン、流動パラフィン、スクワラン、ポリブテン、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が例示される。
(高級アルコール)
毛髪化粧料の第1剤及び/又は第2剤には、「第4発明の構成」の項で定義した特定の高級アルコールを含有させることができる。ここで言う高級アルコールとは、炭素数が12以上で22以下の1価アルコールであって直鎖状又は分岐鎖状の飽和又は不飽和のものを言う。
第1剤、第2剤における高級アルコールの含有量は必ずしも限定されないが、その好ましい含有量を前記した「高級アルコール指数」によって述べると、高級アルコールの炭素数(a)と当該高級アルコールの第1剤又は第2剤中での質量%単位の含有量値(b)との積算値(a×b)である高級アルコール指数の合計値が、第1剤、第2剤のいずれにおいても140以下であることが好ましく、特に130以下であることが好ましい。
具体的には、直鎖状飽和高級アルコールとして、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール(セタノール)、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコールを例示できる。その他にも、分岐鎖状飽和高級アルコールとして、イソステアリルアルコール、2−ヘキシルドデカノール、2−オクチルドデカノール等を例示でき、不飽和高級アルコールとしてオレイルアルコール等を例示できる。
以上の内、特に好ましいものは炭素数が12〜22の範囲内の直鎖状飽和高級アルコールであるラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール(セタノール)、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコールである。
〔毛髪化粧料のその他の任意的配合成分〕
毛髪化粧料の第1剤及び/又は第2剤には、上記した各種の成分以外にも、例えばカチオン性ポリマー、可溶化剤、水溶性高分子化合物、糖、防腐剤、安定剤、pH調整剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン、香料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート化剤等を任意に配合することができる。その内の幾つかを以下に具体的に述べる。
(カチオン性ポリマー)
カチオン性ポリマーとしては、カチオン化セルロース誘導体、ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体、4級化ポリビニルピロリドンの他、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガム等が例示される。
カチオン化セルロース誘導体としては、ヒドロキシエチルセルロースに塩化グリシジルトリメチルアンモニウムを付加して得られる4級アンモニウム塩の重合体(ポリクオタニウム-10、例えばレオガードG、同GP;ライオン社、ポリマーJR-125、同JR-400、同JR-30M、同LR-400、同LR-30M;Amerchol社)、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロリド共重合体(ポリクオタニウム-4、例えばセルコートH-100、同L-200;ナショナルスターチアンドケミカル社)等が例示される。
ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体としては、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド重合体(ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム)〔ポリクオタニウム-6 (POLYQUATERNIUM-6)、例えばマーコート100 (MERQUAT 100);ルーブリゾール社〕、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド/アクリル酸共重合体〔ポリクオタニウム-22 (POLYQUATERNIUM-22)、例えばマーコート280 (MERQUAT 280);ルーブリゾール社〕、アクリル酸/ジアリル第四級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合体〔ポリクオタニウム-39 (POLYQUATERNIUM-39)、例えばマーコートプラス3331 (MERQUAT PLUS 3331);ルーブリゾー
ル社〕等が例示される。
4級化ポリビニルピロリドンとしては、ビニルピロリドン(VP)とメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体と硫酸ジエチルから得られる4級アンモニウム塩〔ポリクオタニウム-11 (POLYQUATERNIUM-11)、例えばガフコート734 (GAFQUAT 734)、同755;アイエ
スピー・ジャパン社〕等が例示される。
(可溶化剤)
可溶化剤は、毛髪化粧料組成物の各剤を液状にするために配合される。可溶化剤としては水や多価アルコールや有機溶媒が挙げられる。多価アルコールとしてはグリコール類、グリセリン類が挙げられ、グリコール類としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール等が、グリセリン類としてはグリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等が例示される。有機溶媒としてはエタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、メチルセロソルブ、メチルカルビトール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、γ−フェニルプロピルアルコール、ケイ皮アルコール、p−メチルベンジルアルコール、α−フェニルエタノール、フェノキシエタノール、フェノキシイソプロパノール、N−アルキルピロリドン、炭酸アルキレン、アルキルエーテル等が例示される。特に水が好ましく使用される。
(水溶性高分子化合物)
水溶性高分子化合物としては、前記したカチオン性ポリマーを除く、アニオン性、非イオン性及び両性の高分子化合物を使用することができる。例えば、カルボキシビニルポリマー、ジアリル4級アンモニウム塩/アクリル酸共重合体等が例示される。
〔二重構造容器、毛髪化粧料用品〕
(二重構造容器)
次に、本発明で用いる二重構造容器の一例を図1に基づいて説明する。この説明において、本発明の要旨に直接に関係しない部分については機能的な簡略な説明を行い、構造の詳細な説明を省略する。
二重構造容器1の外側容器2は、そのままで又は後述の蓋体にかぶせるキャップ(図示省略)を底部とする倒立状態で自立できる形状を持ち、硬質で堅牢な材料からなる耐圧性の容器である。外側容器2は、ステンレス等の不透明な金属材料を用いて形成しても良いが、好ましくは、内部を透視できるように、硬質で堅牢かつ透明であって、必要な厚さを備えたプラスチック材によって形成する。
外側容器2の内部には、第1剤充填用空間を構成する第1のパウチ状の袋状体3と、第2剤充填用空間を構成する構成する第2のパウチ状の袋状体4とを各々独立に設けている。図1においては、外側容器2が透明なプラスチック材によって形成されているとの前提のもとに、内部のパウチ状の袋状体3、4を外部から透視した状態で図示している。
袋状体3、4は、外側容器2の構成材料とは異なり、比較的柔軟で加圧により変形し易い、相対的に薄くて柔軟なプラスチック材料を用い構成する。袋状体3、4は、耐破損性を考慮して積層構造の袋状体としても良い。特にアルカリ剤を含有する第1剤を充填するための第1の袋状体3は、限定はされないが、金属層を含むラミネート構造とすることが好ましい。一方、袋状体の内容物の減り具合を視認できるように、第2の袋状体4は、限定はされないが、透明又は半透明とすることが好ましい。
外側容器2の内部における袋状体3、4の設置空間を除く空間は噴射剤充填空間5とされ、この空間には噴射剤を充填している。噴射剤としては、不活性で低毒性の窒素ガス(N)、炭酸ガス(CO)等を用いた圧縮ガスや、液化ガスであるLPG等が好ましい。
外側容器2の上端の開口部6は、蓋体7によって気密に閉鎖されている。蓋体7の内部には、図示を省略するが、第1剤用及び第2剤用の吐出路と、これらの吐出路をそれぞれ開閉するためのバルブが設けられている。第1剤用及び第2剤用の吐出路はそれぞれ袋状体3、4の上端の開口部と液密に接続されている。
なお、袋状体3、4には、それらに充填する第1剤、第2剤の滑らかな吐出を促すための、全体としてラダー状の構造を持つ棒状体(図示省略。例えば、特許文献1の図1に示すディップチューブ16A、16B参照)を上端の開口部から指し込んでおいても良い。
上記の吐出路開閉用の1対のバルブとしては、本実施例ではいわゆるバルブステムが採用され、その1対の筒状ステム8、9は蓋体7の上方に突出して、アクチュエータ10内部に設けた1対の吐出路(図示省略)に液密に接続されている。これらのアクチュエータ10内部の吐出路は、アクチュエータ10の開口部11に設けた1対の吐出孔12、13に連絡している。なお、アクチュエータ10内部の1対の吐出路は、開口部11に至る前に合流して、開口部11の単一の吐出孔から吐出されるように構成しても良い。
一方、前記1対の筒状ステム8、9は、蓋体7に内蔵されたコイルスプリング等の付勢
バネ(図示省略)により常に上方へ付勢された状態で図示の位置にあり、この時にはステムバルブは「閉」の状態にある。
(毛髪化粧料用品)
本発明の毛髪化粧料用品は、上記の二重構造容器1における袋状体3と袋状体4にそれぞれ毛髪化粧料の第1剤と第2剤を充填したものである。場合により、毛髪化粧料用品の付加的な構成要素として第3剤が添付される。
第1剤と第2剤を充填した二重構造容器1では、袋状体3、4中の第1剤と第2剤は噴射剤充填空間5の加圧用の噴射剤によって常時、共に吐出圧を受けている。そして前記の付勢バネの付勢力に抗してアクチュエータ10を押し下げると、バルブステムが「開」の状態になり、第1剤と第2剤が同時に吐出される。アクチュエータ10に対する押圧を解除すると、バルブステムが「閉」となって、第1剤と第2剤の吐出が同時に停止する。
次に本発明の実施例及び比較例を説明する。本発明の技術的範囲は以下の実施例及び比較例によって限定されない。
〔毛髪化粧料の調製〕
末尾の表1〜表4にそれぞれ組成を示す実施例1〜実施例37、比較例1〜比較例4に係る2剤式酸化染毛剤の第1剤と第2剤を常法に従って調製した。これらの第1剤と第2剤はいずれもクリーム状である。表において、各成分の含有量を示す数値は、第1剤又は第2剤における質量%単位の数値である。
次に各表において「1剤粘度」、「2剤粘度」とあるのは、それぞれ、各実施例、各比較例に係る第1剤又は第2剤を、調製後3日間静置して安定化させた後、25℃の条件下において、東機産業株式会社製のB型粘度計であるBL型粘度計VISCOMETERを用いて、4号ローターで1分間、12rpm/minの測定条件で測定した粘度値(mPa・s)である。
又、各表において、「1剤活性剤量」、「2剤活性剤量」とあるのは、それぞれ、各実施例、各比較例に係る第1剤又は第2剤における各種の界面活性剤の合計含有量(質量%)を示す。
又、各表において、「1剤油量」、「2剤油量」とあるのは、それぞれ、各実施例、各比較例に係る第1剤又は第2剤における各種の油性成分の合計含有量(質量%)を示す。
又、各表において、「1剤 炭素数×質量」、「2剤 炭素数×質量」とあるのは、それぞれ、各実施例、各比較例に係る第1剤又は第2剤における前記「高級アルコール指数」の合計値を示す。
表には示していないが、各実施例、各比較例に係る第2剤は、いずれもpH3.8に調整している。
〔毛髪化粧料の評価〕
各実施例、各比較例に係る毛髪化粧料を次のように評価した。
(過酸化水素消費度)
毛髪化粧料の第2剤が第1剤と接触した状態における第2剤中の過酸化水素消費度を、第1剤との接触の前後における過酸化水素の濃度変化によって評価した。この過酸化水素消費度は、第1剤と第2剤との接触状態での酸素ガス発生量を評価する指標となる。
即ち、それぞれ100mlトールビーカー(HARIO株式会社製 胴外径50mm、高さ80mm)に調製直後の各実施例、比較例に係る第1剤50gを静かに注ぎ、次に、その上
に同一の実施例、比較例に係る調製直後の第2剤50gを静かに注いだ。このとき、いず
れの実施例、比較例においても、ビーカー中で、第1剤を底層、第2剤を表層とする2層構造を形成した。
そして、水分や揮発成分の蒸発や揮発による測定濃度の誤差の発生をさけるため、各実施例、比較例に係るビーカーの上端開口部を直ちにサランラップ(登録商標)で密封したもとで、そのまま冷暗所にて24時間静かに放置した。次いで、各実施例、比較例に係るビーカー中の2層構造での表層(第2剤)における、表面より15mmまでの深さの部分から、第2剤を20g採取し、これをよく攪拌した後、過酸化水素濃度D1(%)を測定し
た。
一方、上記した24時間放置の直前における第2剤中の過酸化水素濃度D2(%)は、それぞれ35%過酸化水素水として第2剤中に所定の質量%だけ配合されており、かつ調製直後の第2剤を用いているので、計算により正確に求めることができる。以上の点から、毛髪化粧料の第2剤が第1剤と接触した状態における第2剤中の過酸化水素消費度を、第1剤との接触の前後における過酸化水素の濃度変化として、(D2−D1)の減算値(%)により算出した。
以上の過酸化水素の濃度変化の測定・算出を各実施例、各比較例について3回ずつ行い、それらの平均値を当該実施例又は比較例における過酸化水素消費度として評価した。評価基準としては、上記(D2−D1)の減算値が3%以下である場合を「◎」、3%を超えて6%以下である場合を「○」、6%を超えて10%以下である場合を「△」、10%を超える場合を「×」と評価して、評価結果を各表の「過酸化水素消費度」の欄に示す。
(吐出後の均一混合性)
前記のように各実施例、各比較例に係る第1剤と第2剤を調製するに当たり、第1剤には予め着色剤を添加しておき、調製後のクリーム状の第1剤と第2剤を混合した。この混合操作としては、各実施例、各比較例において共通に、刷毛を用いて15回ずつ同じ速さで円を描くようにかき混ぜると言う同一の操作を行った。この混合操作は第1剤と第2剤の通常の均一混合に準ずるものである。
上記混合操作後の各実施例、各比較例に係る毛髪化粧料の色ムラの有無を10名のパネラーに評価させた。評価基準としては、色ムラが全くない場合を「◎」、色ムラがほとんどない場合を「○」、色ムラがやや多い場合を「△」、色ムラが多い場合を「×」とした。そして、各実施例、各比較例について、10名のパネラーにおける最も多数の評価を採用した。最も多数の評価が二通り以上に割れた場合には、低い方の評価を採用した。評価の結果を各表の「吐出後の均一混合性」の欄に示す。
(明度)
各実施例、各比較例に係るクリーム状の第1剤及び第2剤を調製後、刷毛を用いて均一に混合し、長さ10cmの評価用の黒毛の毛束サンプルにそれぞれ2mlずつを均一に塗布して30分間放置し、染毛処理を行った。その後、毛束サンプルを水洗してから乾燥させ、それぞれ10名のパネラーに染毛の明度を評価させた。評価基準としては、明度が非常に良好である場合を「◎」、良好である場合を「○」、悪くもないが良好とも言えない場合を「△」、悪い場合を「×」と評価した。
いずれの場合にも、10名のパネラーにおける最も多数の評価を採用した。最も多数の
評価が二通り以上に割れた場合には、低い方の評価を採用した。評価の結果を各表の「明度」の欄に示す。
本発明により、二重構造容器において袋状体から外側容器の内部に漏れ出した第1剤と第2剤との接触による酸素ガスの発生が少ない毛髪化粧料が提供される。

Claims (5)

  1. アルカリ剤を含有する第1剤及び酸化剤を含有する第2剤を含む毛髪化粧料であって、
    この第1剤及び第2剤は、加圧用の噴射剤を充填した圧縮ガス充填空間の内部に第1剤充填用空間と第2剤充填用空間を各々独立に設けると共に、これら各剤の充填用空間にそれぞれ充填する第1剤及び第2剤を前記噴射剤により互いに分離して同時に吐出する機構を備えた二重構造容器において用いるためのものであり、かつ、
    前記第1剤及び第2剤は共に液状で吐出されるものであって、第1剤はアルカリ剤を含有し、前記第2剤は酸化剤を含有し、第1剤及び第2剤の粘度が共に25℃において7000〜30000mPa・sの範囲内である
    ことを特徴とする毛髪化粧料。
  2. 前記第1剤及び第2剤が1種以上の界面活性剤を含有し、各剤の界面活性剤の含有量がいずれも10質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の毛髪化粧料。
  3. 前記第1剤及び第2剤が1種以上の油性成分を含有し、第1剤と第2剤の合計量に対する第1剤及び第2剤中の油性成分の合計含有量が、10質量%以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の毛髪化粧料。
  4. 前記第1剤及び第2剤が1種以上の高級アルコールを含有し、各剤に含有される高級アルコールについての下記高級アルコール指数の合計値がいずれも140以下であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の毛髪化粧料。
    高級アルコール指数:高級アルコールの炭素数(a)と当該高級アルコールの第1剤又は第2剤中での質量%単位の含有量値(b)との積算値(a×b)。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の毛髪化粧料と、
    加圧用の噴射剤を充填した噴射剤充填空間の内部に第1剤充填用空間と第2剤充填用空間を各々独立に設けると共に、これら各剤の充填用空間にそれぞれ充填する第1剤及び第2剤を前記噴射剤により互いに分離して同時に吐出する機構を備えた二重構造容器と、を含んで構成される毛髪化粧料用品であって、
    前記毛髪化粧料の第1剤及び第2剤が、前記二重構造容器における第1剤充填用空間と第2剤充填用空間とにそれぞれ充填されている
    ことを特徴とする毛髪化粧料用品。
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