JP2019014323A - 電動式軌道台車 - Google Patents
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Abstract
Description
保線作業に使用する従来の軌道台車は、レール上を転動する車輪を備えた台車本体や、車輪に対して接離可能なブレーキシューを有する機械式ブレーキ(摩擦ブレーキ)などを備えた手押し式のものが一般的であった。このような軌道台車に関する発明としては、例えば特許文献1記載されているものがある。
そのため、保線作業箇所を移動したい場合には、作業員が軌道台車のある地点に戻って手歯止めを外し、軌道台車を所望の作業位置まで手押しで移動させることを繰り返し行わなければならず、煩わしいという課題があった。
この先願発明に係る電動式軌道台車は、作業員が携帯するコントローラから無線で送信された指令を受信して走行する機能も備えている。また、この電動式軌道台車は、作業員が運転してレール上を走行するレールスクーターと呼ばれる軌道走行車に連結された状態(牽引モード)での走行も可能であり、牽引モードでは搭載されたモータがアシストモータとして機能するように構成されている。
なお、上記電動式軌道台車に手押し棒を設けることも考えられるが、2台のトロ台車を連結した場合、積載重量が大きくなるため人力では移動させることができなくなるおそれがある。そこで、手押しの際にはモータによる電動アシストを行うことを考えたが、単に電動アシスト機能を設けたのでは、安全上の問題が生じることが明らかとなった。
本発明の他の目的は、複数種類のセンサを備えるとともに手押しモード、自動走行モード、連結走行モード等の複数のモードで移動可能に構成され、各モードにおいてセンサからの信号を有効に使い、それぞれのモードで安全を保ちつつ保線作業を支援するのに最適な制御を行える電動式軌道台車を提供することにある。
レール上を転動する複数の車輪を備えた台車本体と、前記車輪を回転させる駆動力を出力するモータと、前記台車本体の移動を制動するブレーキ機構と、通信手段を備え前記モータおよびブレーキ機構を制御する制御装置と、前記台車本体を移動させるための手押しロッドと、前記台車本体の周囲の異物を検知可能なセンサと、を備えた電動式軌道台車において、
前記センサは監視範囲を切替え可能なエリアセンサからなり、前記制御装置の制御モードに応じて前記センサの監視範囲が切替えられるように構成したものである。
前記手押しモードでは、前記センサの監視範囲が前記ハンドル部の近傍に設定され、
前記自動走行モードでは、前記センサの監視範囲が前記台車本体の進行方向前方に設定され、
前記連結走行モードでは、前記センサは非動作状態にされるように構成する。
かかる構成によれば、1つのセンサを利用して、手押しモード、自動走行モード、連結走行モードのそれぞれのモードで安全を保ちつつ保線作業を支援するのに最適な制御を行うことができる。
前記手押しモードにおいて、前記センサによって前記ハンドル部の近傍に物体が検知されている場合は前記モータを作動させ、前記センサによって前記ハンドル部の近傍に物体が検知されていない場合に前記モータを停止させるとともに前記ブレーキ機構を作動させ、
前記自動走行モードにおいて、前記センサによって進行方向前方に障害物が検知されていない場合は前記モータを作動させ、前記センサによって進行方向前方に障害物が検知された場合に前記モータを停止させるとともに前記ブレーキ機構を作動させるように構成する。
前記制御装置は、前記手押しモードにおいて、前記センサによって前記ハンドル部の近傍に物体が検知されている状態で前記手動スイッチが操作されたと判断すると、前記ブレーキ機構による制動状態を解除して前記モータによるアシスト機能を起動するように構成する。
かかる構成によれば、作業員がハンドル部に手を添えたり握ったりしただけでは、モータのアシスト機能が働いて台車が移動してしまうことがなく、手押しモードにおける作業員の安全性を確保することができる。
前記制御装置は、前記車止め機構を作動させる際に、前記傾き検出センサからの信号に基づいて前記台車本体が少なくとも左右方向に水平となるように前記車止め機構の駆動手段を制御するように構成する。
なお、本実施形態の電動式軌道台車100は、後述するように、従来からあるレールスクーターと呼ばれる軌道走行車に連結された状態での走行も可能に構成されているが、軌道走行車はもっぱら作業員が乗車して移動するための車両であり、本実施形態の電動式軌道台車100と連結されても積載量が増加するものではない。また、軌道走行車に連結される際に、ケーブルによる電気的な接続は不要に構成されている。
また、車止め機構40は、これを動作させる車止め機構用モータ45と、下端および上端が上記支持プレート15Aと15Bによって回転可能に支持された送りネジ46と、該送りネジ46に螺合し可動プレート43の中央に装着されたナット47と、車止め機構用モータ45の回転を送りネジ46に伝達するチェーン(図示省略)等を備えている。
また、機器支持台12(または荷台13)には、傾き検出センサとしての電子水準器が設けられており、台車本体10の左右方向の傾きを検出し、制御装置が台車本体10の傾きに応じて車止め機構40の送りネジ46の回転数すなわち可動プレート43の移動量を制御して、離線状態で、機器支持台12ひいては台車本体10全体を水平姿勢に維持できるように構成されている。
また、荷台13の後端側部には、ブラケット16によって車体に固定され鉛直方向に立設した手押しロッド17が取付けられ、手押しロッド17の上端には水平な横棒からなる操作ハンドル17Aが、またその近傍(下方)にはエリアセンサ18が設けられている。エリアセンサ18には、監視範囲が可変なセンサが使用されている。また、図示しないが、操作ハンドル17Aの近傍には、走行モータによるアシスト機能を起動させるためのスイッチボタンが設けられている。手押しロッド17は、車体の左側または右側のいずれに設けられていても良い。
具体的には、自動走行モード(自動追尾を含む)の際には、図4に符号WS1で示すように、車両の前方の建築限界よりも少し広い範囲を監視し、手押しモードの際には、図4に符号WS2で示すように、ハンドル17Aの近傍の狭い範囲を監視するようにエリアセンサ18の監視範囲の切替えが行われる。また、連結走行モードでは、エリアセンサ18はオフにされる。
なお、コントローラは、作業員が携帯し易いように、腕に巻き付ける腕時計タイプ(ブレスレットタイプ)や、首から下げる首掛けタイプにすることが好ましい。
親となる電動式軌道台車100の制御ボックスに内蔵されている制御装置は、図5(A)に示すように、各種の演算処理等を行うCPUと、CPUにより実行される各種制御プログラム及び固定データ等が格納されるROM、CPUの作業エリアを提供するRAM等からなる制御部51を備えている。
具体的には、制御部51はサーバを有しており、携帯端末が汎用のブラウザ機能を用いて制御部51のサーバにアクセスすると、メニュー画面が表示され、表示されたメニューの中から例えば「運転画面」を選択すると、モードの選択ボタンや走行の開始、停止ボタン、車止め機構40の支え板42の上昇、下降ボタン、手動と自動の切替えボタン等が表記された運転画面が表示され、この運転画面から電動式軌道台車100の制御装置に対する指令の入力が可能になる。
さらに、コントローラまたは携帯端末から電動式軌道台車100へ走行を指示する指令が送信され、無線通信部52Aで受信されると、制御部51は、まず車止め機構40の支え板42を上昇させて、台車本体10の4つの車輪11をレール上に接触させ、機械式電磁ブレーキ32の電磁石を励磁させて制動状態を解除した後、主モータ21を回転駆動させる制御を実行する。
自動走行モードに設定されると、電動式軌道台車100の制御部51は、エリアセンサ18の監視範囲を進行方向前方に設定し、該センサにより障害物が検知されていないことを条件に、機械式電磁ブレーキ32の電磁石を励磁させて制動状態を解除するとともに主モータ21を作動させ、所定の速度(例えば3〜5[km/h])で走行するように制御する。そして、走行中に、エリアセンサ18によって進行方向前方に障害物を検知すると、主モータ21を停止させるとともにブレーキ機構(エアブレーキ)31による制動を実行して停止する。
また、作業員が電動式軌道台車100の前方の軌道上を電動式軌道台車100から離れる方向へ移動した場合には、所定距離以上離れると制御部51は、主モータ21を作動させて電動式軌道台車100の走行を再開させる(自動追尾)。
また、電動式軌道台車100の制御部51は、コントローラから自動走行指示の指令を受信した後、所定時間以上次の指令がない場合、主モータ21を停止させるとともにブレーキ機構(エアブレーキ)31による制動を実行させる機能を有するように構成しても良い。
これにより、例えば自動走行モード中の電動式軌道台車100の進行方向前方から全ての作業員がいなくなってしまった場合や、手動モードで作業員がコントローラ63による電動式軌道台車100の停止指令を出し損なった場合に、電動式軌道台車100がレール上を進み続けてしまうのを回避することができる。
手押しモードに設定されると、電動式軌道台車100の制御部51は、エリアセンサ18の監視範囲をハンドル17Aの近傍(例えば20cm以内)に設定する。そして、該センサ18により作業員が検知され、かつ手押し移動開始スイッチ62がオンされたことを条件に、機械式電磁ブレーキ32の電磁石を励磁させて制動状態を解除するとともに主モータ21を作動させ、車輪が回転した方向へアシスト駆動力を発生させるように制御する。
本実施形態の電動式軌道台車100は、軌道台車単独で走行することに限らず、図6に示すように、作業員が運転してレール上を走行する軌道走行車200に連結された状態での走行も可能になっている。軌道走行車200は、作業員が座る運転席201や助手席202、操作ハンドル203及びアクセルやブレーキ装置、座席下に設置されたエンジン204等を備えレール上を走行可能な車両装置であり、例えばレールスクーターと呼ばれるものがある。
この軌道走行車200の後部には、電動式軌道台車100を連結するための連結部205が設けられている。
また、当該電動式軌道台車100に子の電動式軌道台車が連結されている場合には、有線通信部52Bにより、連結されている子の電動式軌道台車の制御部へ、同じ駆動力で同じ方向へ主モータを作動させるように指令を送信する。一方、軌道走行車200が減速した場合には、電動式軌道台車100の制御部51は、アシストモータとして機能する主モータ21を、トルクブレーキをかけるように制御する。
特に、軌道走行車200が加速走行する際には、主モータ21による動力補助によってスムーズに加速する走行が可能になる。また、軌道走行車200が減速走行する際には、主モータ21によるトルクブレーキがかかるので電動式軌道台車100が軌道走行車200に追突することなく、安定した走行が可能になる。
上記実施例では、電動式軌道台車100は機材の上げ下ろし時に車止め駆動部(電動ジャッキ)を作動させて荷台を水平姿勢に維持する機能を有すると説明したが、例えば電動式軌道台車100同士を連結する連結杆に電子水準器を設けて、連結された2台の電動式軌道台車の高さの違いを検出し、車止め駆動部(電動ジャッキ)を作動させて両者の荷台の高さが同一になるように、制御するように構成しても良い。
これにより、軌道に勾配のある箇所においても、荷崩れを起こすことなく停止させて、安全に機材の積込み作業や積み下ろし作業を実施することができる。
また、上記実施形態においては、進行方向前方に障害物があるか否か監視するエリアセンサ18を車体の前端にのみ設けたものを示したが、車体の後端に後方を監視するエリアセンサあるいは監視カメラも設けるようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、親として機能する電動式軌道台車にのみ手押しロッド17を設けたものを示したが、子として機能する電動式軌道台車にも手押しロッドを固設あるいは着脱可能に取り付けられるように構成してもよい。
11 車輪
12 機器支持台
13 荷台
17 手押しロッド
18 エリアセンサ
20 走行駆動機構
21 主モータ
31 ブレーキ機構(エアブレーキ)
32 機械式電磁ブレーキ
40 車止め機構
42 支え板
45 車止め機構用モータ
46 送りネジ
51 制御部
52A 無線通信部
52B 有線通信部
61 電子水準器(傾き検出センサ)
62 手押し移動開始スイッチ(手動スイッチ)
63 コントローラ
Claims (5)
- レール上を転動する複数の車輪を備えた台車本体と、前記車輪を回転させる駆動力を出力するモータと、前記台車本体の移動を制動するブレーキ機構と、通信手段を備え前記モータおよびブレーキ機構を制御する制御装置と、前記台車本体を移動させるための手押しロッドと、前記台車本体の周囲の異物を検知可能なセンサと、を備えた電動式軌道台車であって、
前記センサは監視範囲を切替え可能なエリアセンサからなり、前記制御装置の制御モードに応じて前記センサの監視範囲が切替えられるように構成されていることを特徴とする電動式軌道台車。 - 前記制御モードには、前記手押しロッドを操作することで前記台車本体を移動させる手押しモードと、前記制御装置が前記モータを駆動制御することで前記台車本体を移動させる自動走行モードと、レール上を走行可能な他の車両に連結された状態で前記台車本体を移動させる連結走行モードと、が含まれ、
前記手押しモードでは、前記センサの監視範囲が前記ハンドル部の近傍に設定され、
前記自動走行モードでは、前記センサの監視範囲が前記台車本体の進行方向前方に設定され、
前記連結走行モードでは、前記センサは非動作状態にされることを特徴とする請求項1に記載の電動式軌道台車。 - 前記手押しロッドにはハンドル部が設けられ、前記制御装置は、
前記手押しモードにおいて、前記センサによって前記ハンドル部の近傍に物体が検知されている場合は前記モータを作動させ、前記センサによって前記ハンドル部の近傍に物体が検知されていない場合に前記モータを停止させるとともに前記ブレーキ機構を作動させ、
前記自動走行モードにおいて、前記センサによって進行方向前方に障害物が検知されていない場合は前記モータを作動させ、前記センサによって進行方向前方に障害物が検知された場合に前記モータを停止させるとともに前記ブレーキ機構を作動させることを特徴とする請求項2に記載の電動式軌道台車。 - 前記ハンドル部の近傍には手動スイッチが設けられ、
前記制御装置は、前記手押しモードにおいて、前記センサによって前記ハンドル部の近傍に物体が検知されている状態で前記手動スイッチが操作されたと判断すると、前記ブレーキ機構による制動状態を解除して前記モータによるアシスト機能を起動するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の電動式軌道台車。 - 前記台車本体が停止している状態で作動し、前記複数の車輪を前記レールから離間させる車止め機構と、前記台車本体の水平面からの傾き量を検知する傾き検出センサと、を備え、
前記制御装置は、前記車止め機構を作動させる際に、前記傾き検出センサからの信号に基づいて前記台車本体が少なくとも左右方向に水平となるように前記車止め機構の駆動手段を制御するように構成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の電動式軌道台車。
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