JP2019014323A - 電動式軌道台車 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数台連結されることで比較的長尺な機材を搭載し、安全に運搬することができるとともに、手押しでも容易に移動させることができる電動式軌道台車を実現する。【解決手段】レール上を転動する複数の車輪を備えた台車本体(10)と、前記車輪を回転させる駆動力を出力するモータ(21)と、前記台車本体の移動を制動するブレーキ機構(31)と、通信手段を備え前記モータおよびブレーキ機構を制御する制御装置(50)と、前記台車本体を移動させるための手押しロッド(17)と、前記台車本体の周囲の異物を検知可能なセンサ(18)とを備えた電動式軌道台車において、前記センサは監視範囲を切替え可能なエリアセンサとし、前記制御装置の制御モードに応じて前記センサの監視範囲を切替えるように構成した。【選択図】図1

Description

本発明は、軌道のレール上を走行する軌道台車(いわゆるトロ台車)に関し、特に走行用のモータを搭載した電動式軌道台車に関する。
鉄道軌道の保線においては、鉄道車両が走行しない深夜に、レール上を走行する軌道台車に機材や資材などの物品を搭載して運搬し、各所で所定の保線作業を行なっている。
保線作業に使用する従来の軌道台車は、レール上を転動する車輪を備えた台車本体や、車輪に対して接離可能なブレーキシューを有する機械式ブレーキ(摩擦ブレーキ)などを備えた手押し式のものが一般的であった。このような軌道台車に関する発明としては、例えば特許文献1記載されているものがある。
上記のような手押し式の軌道台車にあっては、軌道台車をレール上に停止させて所定の作業を行う際には、機械式ブレーキに加えて手歯止め(車止め)を車輪に噛まし、軌道台車が勝手に動き出さないようにする必要がある。
そのため、保線作業箇所を移動したい場合には、作業員が軌道台車のある地点に戻って手歯止めを外し、軌道台車を所望の作業位置まで手押しで移動させることを繰り返し行わなければならず、煩わしいという課題があった。
そこで、本発明者は、走行用のモータを備えレール上を自走して物品を運搬することができるとともに、停止時にレール上で動かないように確実に規制することができる電動式軌道台車に関する発明をなし、先に出願した(特願2016-56486)。
この先願発明に係る電動式軌道台車は、作業員が携帯するコントローラから無線で送信された指令を受信して走行する機能も備えている。また、この電動式軌道台車は、作業員が運転してレール上を走行するレールスクーターと呼ばれる軌道走行車に連結された状態(牽引モード)での走行も可能であり、牽引モードでは搭載されたモータがアシストモータとして機能するように構成されている。
特開2004−82990号公報
ところで、軌道の保線作業には、レールなど比較的長尺な機材を持ち込んで行うものがあり、従来そのような作業では、2台のトロ台車を連結し2台に跨って長尺な機材を搭載し、運搬することがあった。しかしながら、上記先願に係る電動式軌道台車は、2台の台車を連結して移動させることを想定していなかったため、長尺な機材を搭載し、運搬することができないという課題があった。また、上記先願発明に係る電動式軌道台車は、人力で移動させる手押しについて考慮していなかったため、使い勝手が悪いという課題があった。
なお、上記電動式軌道台車に手押し棒を設けることも考えられるが、2台のトロ台車を連結した場合、積載重量が大きくなるため人力では移動させることができなくなるおそれがある。そこで、手押しの際にはモータによる電動アシストを行うことを考えたが、単に電動アシスト機能を設けたのでは、安全上の問題が生じることが明らかとなった。
本発明は上記のような課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、複数台連結されることで比較的長尺な機材を搭載し、安全に運搬することができるとともに、手押しでも容易に移動させることができる電動式軌道台車を提供することにある。
本発明の他の目的は、複数種類のセンサを備えるとともに手押しモード、自動走行モード、連結走行モード等の複数のモードで移動可能に構成され、各モードにおいてセンサからの信号を有効に使い、それぞれのモードで安全を保ちつつ保線作業を支援するのに最適な制御を行える電動式軌道台車を提供することにある。
上記目的を達成するため、この発明は、
レール上を転動する複数の車輪を備えた台車本体と、前記車輪を回転させる駆動力を出力するモータと、前記台車本体の移動を制動するブレーキ機構と、通信手段を備え前記モータおよびブレーキ機構を制御する制御装置と、前記台車本体を移動させるための手押しロッドと、前記台車本体の周囲の異物を検知可能なセンサと、を備えた電動式軌道台車において、
前記センサは監視範囲を切替え可能なエリアセンサからなり、前記制御装置の制御モードに応じて前記センサの監視範囲が切替えられるように構成したものである。
上記のような構成を有する電動式軌道台車によれば、通信手段を備えるため複数台連結された場合にも連携した制御が可能となり、比較的長尺な機材を搭載し、安全に運搬することができるとともに、手押しロッドおよびモータを備えるため手押しの際にはモータの動力でアシストを行うことができ、それにより手押しでも容易に台車を移動させることができる。また、1つのセンサの監視範囲を切替えることで複数のモードに対応することができ、モードごとに使用するセンサを用意して台車本体に設置する必要がなく、コストアップを回避することができる。
ここで、望ましくは、前記制御モードには、前記手押しロッドを操作することで前記台車本体を移動させる手押しモードと、前記制御装置が前記モータを駆動制御することで前記台車本体を移動させる自動走行モードと、レール上を走行可能な他の車両に連結された状態で前記台車本体を移動させる連結走行モードと、が含まれ、
前記手押しモードでは、前記センサの監視範囲が前記ハンドル部の近傍に設定され、
前記自動走行モードでは、前記センサの監視範囲が前記台車本体の進行方向前方に設定され、
前記連結走行モードでは、前記センサは非動作状態にされるように構成する。
かかる構成によれば、1つのセンサを利用して、手押しモード、自動走行モード、連結走行モードのそれぞれのモードで安全を保ちつつ保線作業を支援するのに最適な制御を行うことができる。
また、望ましくは、前記手押しロッドにはハンドル部が設けられ、前記制御装置は、
前記手押しモードにおいて、前記センサによって前記ハンドル部の近傍に物体が検知されている場合は前記モータを作動させ、前記センサによって前記ハンドル部の近傍に物体が検知されていない場合に前記モータを停止させるとともに前記ブレーキ機構を作動させ、
前記自動走行モードにおいて、前記センサによって進行方向前方に障害物が検知されていない場合は前記モータを作動させ、前記センサによって進行方向前方に障害物が検知された場合に前記モータを停止させるとともに前記ブレーキ機構を作動させるように構成する。
かかる構成によれば、手押しモードにおいて、センサによってハンドル部の近傍に物体が検知されている場合にのみモータが作動されるため、ハンドル部から手を離すとモータが停止するので安全な手押し走行が可能になる。また、自動走行モードに設定されると、電動式軌道台車の進行方向前方の障害物の有無をセンサが検知し、自動走行制御が実行されることで、電動式軌道台車を自動停止させたり、走行を再開させたりする制御が実行される。これにより、例えば、電動式軌道台車の進行方向前方に作業員が立ち入って保線作業などを行う場合、電動式軌道台車は作業員の移動に追従するように前進走行と停止を繰り返すので、作業員が電動式軌道台車の走行や停止に関する操作を行わなくてよいため、作業員は保線作業などに集中することができる。
さらに、望ましくは、前記ハンドル部の近傍には手動スイッチが設けられ、
前記制御装置は、前記手押しモードにおいて、前記センサによって前記ハンドル部の近傍に物体が検知されている状態で前記手動スイッチが操作されたと判断すると、前記ブレーキ機構による制動状態を解除して前記モータによるアシスト機能を起動するように構成する。
かかる構成によれば、作業員がハンドル部に手を添えたり握ったりしただけでは、モータのアシスト機能が働いて台車が移動してしまうことがなく、手押しモードにおける作業員の安全性を確保することができる。
また、望ましくは、前記台車本体が停止している状態で作動し、前記複数の車輪を前記レールから離間させる車止め機構と、前記台車本体の水平面からの傾き量を検知する傾き検出センサと、を備え、
前記制御装置は、前記車止め機構を作動させる際に、前記傾き検出センサからの信号に基づいて前記台車本体が少なくとも左右方向に水平となるように前記車止め機構の駆動手段を制御するように構成する。
かかる構成によれば、電動式軌道台車が停止している状態で車止め機構を作動させて台車本体をレールの上方へ移動させることによって、台車が備えている複数の車輪を確実にレールから離間させることができ、電動式軌道台車がレール上を走行できないようにすることができるとともに、荷台を水平に維持することができるため、安全に台車への機材の上げ下ろしの作業を実施することができる。
本発明によれば、複数台連結されることで比較的長尺な機材を搭載し、安全に運搬することができるとともに、手押しでも容易に移動させることができる電動式軌道台車を実現することができる。また、複数種類のセンサを備えるとともに手押しモード、自動走行モード、連結走行モード等の複数のモードで移動可能に構成され、各モードにおいてセンサからの信号を有効に使い、それぞれのモードで安全を保ちつつ保線作業を支援するのに最適な制御を行える電動式軌道台車を実現することができるという効果がある。
本発明に係る電動式軌道台車の一実施形態を示す側面図である。 図1の実施形態の電動式軌道台車の構成を示す底面図である。 図1の実施形態の電動式軌道台車において車止め機構を作動させて台車本体を持ち上げ離線させた状態を示す側面図である。 実施形態の電動式軌道台車におけるエリアセンサの切替え可能な監視範囲を示す図である。 実施形態における親と子それぞれの電動式軌道台車の制御系の構成例を示すブロック図である。 実施形態の電動式軌道台車が軌道走行車に連結されている状態を示す側面図である。
以下、図面を参照して、本発明に係る電動式軌道台車の一実施形態について詳細に説明する。図1は本実施形態の電動式軌道台車100の構成を示す側面図、図2はその底面図である。本実施形態の電動式軌道台車100は、機材を搭載し軌道のレールR上を走行して運搬するために使用する車両である。
なお、本実施形態の電動式軌道台車100は、後述するように、従来からあるレールスクーターと呼ばれる軌道走行車に連結された状態での走行も可能に構成されているが、軌道走行車はもっぱら作業員が乗車して移動するための車両であり、本実施形態の電動式軌道台車100と連結されても積載量が増加するものではない。また、軌道走行車に連結される際に、ケーブルによる電気的な接続は不要に構成されている。
図1および図2に示すように、本実施形態の電動式軌道台車100は、レールR上を転動する4個の車輪11を備えた台車本体10と、車輪11を回転させる駆動力を出力するサーボモータのような回転駆動源(主モータ)21およびスプロケット22、チェーン23などからなる動力伝達機構を備えた走行駆動機構20と、車輪11の回転を制動するブレーキ機構31と、当該電動式軌道台車100が停止している状態で作動し複数の車輪11をレールから離間させる車止め機構40等を備えている。走行駆動機構20は前輪の車軸と後輪の車軸に対応してそれぞれ設けられている。
また、台車本体10は、車軸のやや上に位置する機器支持台12と、この機器支持台12の上方に設けられた荷台13とを有し、機器支持台12と荷台13とは4隅に設けられた角型の鋼材(角パイプ)からなる支柱14によって所定の間隔を置いて結合されている。そして、機器支持台12に、電源装置や通信装置、制御装置を内蔵した制御ボックス(図示省略)が搭載されている。荷台13は平面視略ロ字形状に組まれたフレームに平板状のパネル材が固設されてなり、パネルの上面に機材や資材などの物品を搭載することができるようになっている。
また、ブレーキ機構31は各車輪に対応したエアブレーキで構成されており、本実施形態では、エアブレーキ31の他に機械式電磁ブレーキ32が設けられている。エアブレーキ31はブレーキシューをエアシリンダによって各車輪と一体のブレーキドラムに押し付けることで制動状態にされる。機械式電磁ブレーキは、常態においてブレーキシューをバネによってブレーキドラムに押し付けることで制動状態にされるブレーキであり、電磁石に通電するとブレーキシューから離反して制動状態を解除する。
本実施形態の電動式軌道台車100は、エアブレーキ31および機械式電磁ブレーキ32による制動の他、走行駆動機構20のサーボモータによっても制動がかかるように構成されている。機械式電磁ブレーキ32を設けることで、エアブレーキ31を作動させることができないトラブルが発生した場合でも、車輪11の回転を止めるよう制動することができ、電動式軌道台車100が暴走するのを防ぐことができる。また、サーボモータを設けることで円滑な走行が可能となってい。
車止め機構40は、台車本体10の機器支持台12および荷台13の側壁に固着されている支持プレート15A,15Bによって鉛直方向に支持された2本のガイドロッド41A,41Bと、該ガイドロッド41A,41Bに沿って上下動可能な可動プレート43と、上端が可動プレート43に連結され下端にレール上面に当接可能な支え板42を有し上下移動可能なスライドロッド44A,44Bとを備える。
また、車止め機構40は、これを動作させる車止め機構用モータ45と、下端および上端が上記支持プレート15Aと15Bによって回転可能に支持された送りネジ46と、該送りネジ46に螺合し可動プレート43の中央に装着されたナット47と、車止め機構用モータ45の回転を送りネジ46に伝達するチェーン(図示省略)等を備えている。
本実施形態では、上記のような構成を有する車止め機構40が、台車本体10の左右にそれぞれ2組ずつ設けられ、4個の車止め機構40で台車本体10を持ち上げることで、図3に示すように、レールから離線させて台車を移動不能にすることができるように構成されている。
また、機器支持台12(または荷台13)には、傾き検出センサとしての電子水準器が設けられており、台車本体10の左右方向の傾きを検出し、制御装置が台車本体10の傾きに応じて車止め機構40の送りネジ46の回転数すなわち可動プレート43の移動量を制御して、離線状態で、機器支持台12ひいては台車本体10全体を水平姿勢に維持できるように構成されている。
さらに、上記台車本体10の前端および後端の中央位置には、車両間を連結する連結杆の端部が係合可能な連結部(図示省略)が設けられている。
また、荷台13の後端側部には、ブラケット16によって車体に固定され鉛直方向に立設した手押しロッド17が取付けられ、手押しロッド17の上端には水平な横棒からなる操作ハンドル17Aが、またその近傍(下方)にはエリアセンサ18が設けられている。エリアセンサ18には、監視範囲が可変なセンサが使用されている。また、図示しないが、操作ハンドル17Aの近傍には、走行モータによるアシスト機能を起動させるためのスイッチボタンが設けられている。手押しロッド17は、車体の左側または右側のいずれに設けられていても良い。
電動式軌道台車100に設けられるセンサ(18)は、人間の所在を検知したり建築限界内に障害物が存在していないか検出したりするためのもので、通常はそれぞれ用途に応じて人感センサと光学式のセンサが使用されるが、本実施形態ではエリアセンサが用いられ、モードに応じて監視範囲が切り替えられるよう構成されている。
具体的には、自動走行モード(自動追尾を含む)の際には、図4に符号WS1で示すように、車両の前方の建築限界よりも少し広い範囲を監視し、手押しモードの際には、図4に符号WS2で示すように、ハンドル17Aの近傍の狭い範囲を監視するようにエリアセンサ18の監視範囲の切替えが行われる。また、連結走行モードでは、エリアセンサ18はオフにされる。
監視範囲を任意に設定可能なエリアセンサの一般的な使用の仕方は、複数の監視したいエリアがある場合、監視したいエリアごとにエリアセンサを設け、その監視範囲をエリアに応じて固定的に設定するというものである。これに対し、本実施形態の電動式軌道台車100のエリアセンサ18は、制御モードに応じて動的に監視範囲の切替えを行うというもので、このような使用の仕方は本発明独特のものである。なお、図4において、R1,R2は電動式軌道台車100が走行するレールである。
機器支持台12上の制御ボックスに内蔵されている通信装置は、電動式軌道台車100を遠隔操作するコントローラからの走行指令や停止指令などの無線指令信号を受信する無線通信部52A(図5(A)参照)と、ケーブルを介して他の電動式軌道台車100の制御装置との間でデータの送受信を行う有線通信部52Bとを備える。
なお、コントローラは、作業員が携帯し易いように、腕に巻き付ける腕時計タイプ(ブレスレットタイプ)や、首から下げる首掛けタイプにすることが好ましい。
図5には、本実施形態の電動式軌道台車100の制御系のブロック図が示されている。このうち図5(A)は親となる電動式軌道台車100の制御系の構成例、図5(B)は子となる電動式軌道台車100の制御系の構成例を示す。
親となる電動式軌道台車100の制御ボックスに内蔵されている制御装置は、図5(A)に示すように、各種の演算処理等を行うCPUと、CPUにより実行される各種制御プログラム及び固定データ等が格納されるROM、CPUの作業エリアを提供するRAM等からなる制御部51を備えている。
そして、制御部51には、エリアセンサ18や電子水準器61、操作ハンドル17Aに設けられている手押し移動開始スイッチ62からの信号が入力され、制御部51によって生成された制御信号によって、走行駆動機構20のサーボモータ(主モータ)21やブレーキ機構(エアブレーキ)31の駆動源(電磁弁)、車止め機構(ジャッキ)40の車止め機構用モータ45が動作される。車止め機構40の制御信号は、4つある車止め機構40のうち左側の2つと右側の2つに対して別々に生成され供給されるように構成されている。
また、制御部51は、無線通信部52Aを介してコントローラからの指令を受信したり、有線通信部52Bを介して他の電動式軌道台車100の制御装置との間でデータの送受信を行う。また、制御部51は無線通信部52Aを介してタブレットPC等の携帯端末とも通信可能であり、携帯端末上での操作によっても各種制御を実施可能である。
具体的には、制御部51はサーバを有しており、携帯端末が汎用のブラウザ機能を用いて制御部51のサーバにアクセスすると、メニュー画面が表示され、表示されたメニューの中から例えば「運転画面」を選択すると、モードの選択ボタンや走行の開始、停止ボタン、車止め機構40の支え板42の上昇、下降ボタン、手動と自動の切替えボタン等が表記された運転画面が表示され、この運転画面から電動式軌道台車100の制御装置に対する指令の入力が可能になる。
例えば、走行中に、コントローラまたは携帯端末から電動式軌道台車100に対して、停止を指示する指令が送信され、無線通信部52Aで受信されると、制御部51は、主モータ21を停止させ、ブレーキ機構(エアブレーキ)31による制動を実施して電動式軌道台車100を停止させる。そして、車止め機構40の作動指令が送信されると、制御部51は、車止め機構(ジャッキ)の車止め機構用モータ45を駆動して支え板42を下降させて、台車本体10の4つの車輪11をレールから離間させる処理を実行して離線状態となる。
なお、支え板42の下降指令が入力された際に、制御部51は、電子水準器61からの信号を見ながら、車体の左右の高さが同一となるように左右のジャッキの伸長量を制御し、荷台13を水平姿勢にして車止め機構40の作動を停止させる。
さらに、コントローラまたは携帯端末から電動式軌道台車100へ走行を指示する指令が送信され、無線通信部52Aで受信されると、制御部51は、まず車止め機構40の支え板42を上昇させて、台車本体10の4つの車輪11をレール上に接触させ、機械式電磁ブレーキ32の電磁石を励磁させて制動状態を解除した後、主モータ21を回転駆動させる制御を実行する。
子となる電動式軌道台車100の制御ボックスに内蔵されている制御装置は、図5(B)に示すように、図5(A)の親の制御装置とほぼ同様な構成を有する。親の電動式軌道台車の制御装置との差異は、子の電動式軌道台車の制御装置では、無線通信部52Aを備えていない点である。また、子の電動式軌道台車にはエリアセンサ18と手押し移動開始スイッチ62がないため、エリアセンサ18と手押し移動開始スイッチ62からの入力もない。ただし、携帯端末からの子の電動式軌道台車の制御装置に対する指令は、親の電動式軌道台車の制御装置を介して受信することができる。
次に、本実施形態の電動式軌道台車100のモードについて説明する。モードには、自動走行モードと、コントローラや携帯端末からの指令に従って走行する手動走行モードと、手押しロッド17を使用した手押しモードと、レールスクーターのような軌道走行車に連結されて走行する連結走行モードがある。また、親の電動式軌道台車と子の電動式軌道台車を連結して走行する連結走行モードもある。なお、親と子を連結する場合、親+子の形態の他、親+子+子や、親+子+子+親+子+子のような形態の連結も可能である。
(自動走行モード)
自動走行モードに設定されると、電動式軌道台車100の制御部51は、エリアセンサ18の監視範囲を進行方向前方に設定し、該センサにより障害物が検知されていないことを条件に、機械式電磁ブレーキ32の電磁石を励磁させて制動状態を解除するとともに主モータ21を作動させ、所定の速度(例えば3〜5[km/h])で走行するように制御する。そして、走行中に、エリアセンサ18によって進行方向前方に障害物を検知すると、主モータ21を停止させるとともにブレーキ機構(エアブレーキ)31による制動を実行して停止する。
障害物には人間が含まれており、走行する電動式軌道台車100の前方に作業員が存在すると、エリアセンサ18によって検知され、ブレーキ機構31による制動で電動式軌道台車100は自動停止し、作業員との衝突を回避する。そのため、作業員は電動式軌道台車100の前方の軌道上で所定の保線作業を安心して継続することができる。
また、作業員が電動式軌道台車100の前方の軌道上を電動式軌道台車100から離れる方向へ移動した場合には、所定距離以上離れると制御部51は、主モータ21を作動させて電動式軌道台車100の走行を再開させる(自動追尾)。
このように、作業員が作業位置を移動する度にコントローラ63を操作しなくても、電動式軌道台車100の前方で作業する作業員の有無をエリアセンサ18が検知することで、電動式軌道台車100を自動停止させたり、走行を再開させたりすることができ、それによって、電動式軌道台車100は作業員に追従しながら走行するので、作業員は保線作業に集中することができる。なお、電動式軌道台車100の追従走行制御は、エリアセンサ18の検知信号によらず、先行車の後尾にランブを装着するとともに後続車の先端部に光電式のセンサを取り付けて、該センサの検知信号に基づいて行うように構成しても良い。
自動走行モード中においても、作業員がコントローラを操作して停止指令を与えれば、制御部51によって主モータ21の駆動が停止されて電動式軌道台車100は停止する。
また、電動式軌道台車100の制御部51は、コントローラから自動走行指示の指令を受信した後、所定時間以上次の指令がない場合、主モータ21を停止させるとともにブレーキ機構(エアブレーキ)31による制動を実行させる機能を有するように構成しても良い。
これにより、例えば自動走行モード中の電動式軌道台車100の進行方向前方から全ての作業員がいなくなってしまった場合や、手動モードで作業員がコントローラ63による電動式軌道台車100の停止指令を出し損なった場合に、電動式軌道台車100がレール上を進み続けてしまうのを回避することができる。
(手押しモード)
手押しモードに設定されると、電動式軌道台車100の制御部51は、エリアセンサ18の監視範囲をハンドル17Aの近傍(例えば20cm以内)に設定する。そして、該センサ18により作業員が検知され、かつ手押し移動開始スイッチ62がオンされたことを条件に、機械式電磁ブレーキ32の電磁石を励磁させて制動状態を解除するとともに主モータ21を作動させ、車輪が回転した方向へアシスト駆動力を発生させるように制御する。
また、当該電動式軌道台車100に子の電動式軌道台車が連結されている場合には、有線通信部52Bにより、連結されているこの電動式軌道台車の制御部へ、同じ駆動力で同じ方向へ主モータを作動させるように指令を送信する。さらに、走行中に、エリアセンサ18がハンドル17Aの近傍から作業員(主に手)が離れたことを検知すると、主モータ21を停止させるとともにブレーキ機構(エアブレーキ)31による制動を実行して停止する。
(連結走行モード)
本実施形態の電動式軌道台車100は、軌道台車単独で走行することに限らず、図6に示すように、作業員が運転してレール上を走行する軌道走行車200に連結された状態での走行も可能になっている。軌道走行車200は、作業員が座る運転席201や助手席202、操作ハンドル203及びアクセルやブレーキ装置、座席下に設置されたエンジン204等を備えレール上を走行可能な車両装置であり、例えばレールスクーターと呼ばれるものがある。
この軌道走行車200の後部には、電動式軌道台車100を連結するための連結部205が設けられている。
電動式軌道台車100の制御部51は、コントローラまたは携帯端末によって連結走行モードに設定されると、機械式電磁ブレーキの電磁石を励磁させて制動状態を解除するとともに、主モータ21を作動させ、車輪が回転した方向へアシスト駆動力を発生させるように制御する。
また、当該電動式軌道台車100に子の電動式軌道台車が連結されている場合には、有線通信部52Bにより、連結されている子の電動式軌道台車の制御部へ、同じ駆動力で同じ方向へ主モータを作動させるように指令を送信する。一方、軌道走行車200が減速した場合には、電動式軌道台車100の制御部51は、アシストモータとして機能する主モータ21を、トルクブレーキをかけるように制御する。
このように、軌道走行車200に連結されて走行する電動式軌道台車100の主モータ21がアシストモータとして機能するので、軌道走行車200は好適に電動式軌道台車100を連結して走行することができる。
特に、軌道走行車200が加速走行する際には、主モータ21による動力補助によってスムーズに加速する走行が可能になる。また、軌道走行車200が減速走行する際には、主モータ21によるトルクブレーキがかかるので電動式軌道台車100が軌道走行車200に追突することなく、安定した走行が可能になる。
以上説明したように、本実施形態の電動式軌道台車100によれば、2台以上連結した状態でレール上を走行することができるとともに、各電動式軌道台車100が走行駆動源としての主モータ21を備えているため、重量の重い機材やレール等の長尺物を搭載して運搬することができるとともに、機材の上げ下ろしの際にジャッキを作動させて荷台を水平姿勢に維持して停止していることができるため、カント等傾斜している箇所で機材の積込み作業や積み下ろし作業を安全に実施することができる。
(変形例)
上記実施例では、電動式軌道台車100は機材の上げ下ろし時に車止め駆動部(電動ジャッキ)を作動させて荷台を水平姿勢に維持する機能を有すると説明したが、例えば電動式軌道台車100同士を連結する連結杆に電子水準器を設けて、連結された2台の電動式軌道台車の高さの違いを検出し、車止め駆動部(電動ジャッキ)を作動させて両者の荷台の高さが同一になるように、制御するように構成しても良い。
これにより、軌道に勾配のある箇所においても、荷崩れを起こすことなく停止させて、安全に機材の積込み作業や積み下ろし作業を実施することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形や変更が可能である。例えば、上記実施形態においては、車止め機構40に電動ジャッキを用いた場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、電動シリンダやエアシリンダなど他のアクチュエータであってもよい。
また、上記実施形態においては、進行方向前方に障害物があるか否か監視するエリアセンサ18を車体の前端にのみ設けたものを示したが、車体の後端に後方を監視するエリアセンサあるいは監視カメラも設けるようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、親として機能する電動式軌道台車にのみ手押しロッド17を設けたものを示したが、子として機能する電動式軌道台車にも手押しロッドを固設あるいは着脱可能に取り付けられるように構成してもよい。
10 台車本体
11 車輪
12 機器支持台
13 荷台
17 手押しロッド
18 エリアセンサ
20 走行駆動機構
21 主モータ
31 ブレーキ機構(エアブレーキ)
32 機械式電磁ブレーキ
40 車止め機構
42 支え板
45 車止め機構用モータ
46 送りネジ
51 制御部
52A 無線通信部
52B 有線通信部
61 電子水準器(傾き検出センサ)
62 手押し移動開始スイッチ(手動スイッチ)
63 コントローラ

Claims (5)

  1. レール上を転動する複数の車輪を備えた台車本体と、前記車輪を回転させる駆動力を出力するモータと、前記台車本体の移動を制動するブレーキ機構と、通信手段を備え前記モータおよびブレーキ機構を制御する制御装置と、前記台車本体を移動させるための手押しロッドと、前記台車本体の周囲の異物を検知可能なセンサと、を備えた電動式軌道台車であって、
    前記センサは監視範囲を切替え可能なエリアセンサからなり、前記制御装置の制御モードに応じて前記センサの監視範囲が切替えられるように構成されていることを特徴とする電動式軌道台車。
  2. 前記制御モードには、前記手押しロッドを操作することで前記台車本体を移動させる手押しモードと、前記制御装置が前記モータを駆動制御することで前記台車本体を移動させる自動走行モードと、レール上を走行可能な他の車両に連結された状態で前記台車本体を移動させる連結走行モードと、が含まれ、
    前記手押しモードでは、前記センサの監視範囲が前記ハンドル部の近傍に設定され、
    前記自動走行モードでは、前記センサの監視範囲が前記台車本体の進行方向前方に設定され、
    前記連結走行モードでは、前記センサは非動作状態にされることを特徴とする請求項1に記載の電動式軌道台車。
  3. 前記手押しロッドにはハンドル部が設けられ、前記制御装置は、
    前記手押しモードにおいて、前記センサによって前記ハンドル部の近傍に物体が検知されている場合は前記モータを作動させ、前記センサによって前記ハンドル部の近傍に物体が検知されていない場合に前記モータを停止させるとともに前記ブレーキ機構を作動させ、
    前記自動走行モードにおいて、前記センサによって進行方向前方に障害物が検知されていない場合は前記モータを作動させ、前記センサによって進行方向前方に障害物が検知された場合に前記モータを停止させるとともに前記ブレーキ機構を作動させることを特徴とする請求項2に記載の電動式軌道台車。
  4. 前記ハンドル部の近傍には手動スイッチが設けられ、
    前記制御装置は、前記手押しモードにおいて、前記センサによって前記ハンドル部の近傍に物体が検知されている状態で前記手動スイッチが操作されたと判断すると、前記ブレーキ機構による制動状態を解除して前記モータによるアシスト機能を起動するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の電動式軌道台車。
  5. 前記台車本体が停止している状態で作動し、前記複数の車輪を前記レールから離間させる車止め機構と、前記台車本体の水平面からの傾き量を検知する傾き検出センサと、を備え、
    前記制御装置は、前記車止め機構を作動させる際に、前記傾き検出センサからの信号に基づいて前記台車本体が少なくとも左右方向に水平となるように前記車止め機構の駆動手段を制御するように構成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の電動式軌道台車。
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