JP2019014245A - インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 - Google Patents

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光敏 野口
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良助 廣川
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Toru Onishi
徹 大西
真吾 奥島
Shingo Okujima
真吾 奥島
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Abstract

【課題】転写体から記録媒体へのインク像の転写性に優れ、画質の良好な画像を形成できるインクジェット記録方法を提供する。【解決手段】インクを吐出するために利用されるエネルギーを発生する素子と、該素子を内部に備える圧力室と、インクを吐出する吐出口とを有する記録素子基板を備え、圧力室内のインクが圧力室の外部との間で循環されるインクジェットヘッドにより、転写体101上にインクを吐出してインク像を形成する工程と、インク像が形成された転写体101に記録媒体108を接触させて、インク像を記録媒体108へ転写する工程と、を有するインクジェット記録方法であって、インクの粘度が2〜20mPa・sである。【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録方式では、色材を含む液体組成物(インク)を紙等の記録媒体上に直接または間接的に付与することで画像を形成している。例えば、転写体上にインク像を形成した後、紙等の記録媒体に該インク像を転写することで画像を形成することができる。
特許文献1には、転写体から記録媒体へのインク像の転写性を向上させるために、インク中に微粒子を含有させ、転写体を該微粒子の最低造膜温度以上に加熱して転写する方法が提案されている。
一方、インクジェットヘッドによるインクの吐出では、吐出動作に伴って生じる熱や、記録素子基板の温度制御による熱や、吐出口近傍の外部環境からの熱により、インク中の水分等の液体成分が蒸発し、インクの増粘および色材濃度の変化が生じる場合がある。そのため、特許文献2には、インクジェットヘッドの吐出口と、インクを吐出するために利用されるエネルギーを発生する素子(エネルギー発生素子)との間の流路にインクを流通させながらインクの吐出動作を行うことが開示されている。これにより、増粘および色材濃度が変化したインクを排出して新たなインクを補給することができるため、インクの増粘による吐出不良や色材濃度の変化による画像色ムラを抑制することができる。
特開平7−32721号公報 特開2007−118309号公報
しかしながら、転写体上にインク像を形成した後、記録媒体に該インク像を転写することで画像を形成する場合、特許文献1及び2の技術ではインク像の転写性又は得られる画質が不十分な場合があり、更なる改良が望まれる。
本発明は、転写体から記録媒体へのインク像の転写性に優れ、画質の良好な画像を形成できるインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
本発明に係るインクジェット記録方法は、インクを吐出するために利用されるエネルギーを発生する素子と、前記素子を内部に備える圧力室と、前記インクを吐出する吐出口とを有する記録素子基板を備え、前記圧力室内のインクが前記圧力室の外部との間で循環されるインクジェットヘッドにより、転写体上に前記インクを吐出してインク像を形成する工程と、
前記インク像が形成された前記転写体に記録媒体を接触させて、前記インク像を前記記録媒体へ転写する工程と、
を有するインクジェット記録方法であって、
前記インクの粘度が2〜20mPa・sであることを特徴とする。
本発明に係るインクジェット記録装置は、転写体と、
インクを吐出するために利用されるエネルギーを発生する素子と、前記素子を内部に備える圧力室と、前記インクを吐出する吐出口とを有する記録素子基板を備え、前記圧力室内のインクが前記圧力室の外部との間で循環され、前記転写体上に前記インクを吐出してインク像を形成するインクジェットヘッドを有するインク付与装置と、
前記インク像が形成された前記転写体に記録媒体を接触させて、前記インク像を前記記録媒体へ転写する転写用の押圧部材と、
を有するインクジェット記録装置であって、
前記インクの粘度が2〜20mPa・sであることを特徴とする。
本発明によれば、転写体から記録媒体へのインク像の転写性に優れ、画質の良好な画像を形成できるインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置を提供することができる。
本発明の一実施形態におけるインクジェット記録装置の構成の一例を示す模式図である。 図1に示すインクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図である。 図1に示すインクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。 本発明の一実施形態におけるインクジェット記録装置に適用される循環経路を示す模式図である。 本発明の一実施形態におけるインクジェットヘッドの構成の一例を示す2つの斜視図である。 本発明の一実施形態におけるインクジェットヘッドの構成の一例を示す分解斜視図である。 本発明の一実施形態におけるインクジェットヘッドの吐出口及びその近傍のインク流路の構造の一例を示す3つの図である。 本発明の一実施形態におけるインクジェットヘッド内におけるインク流の流れの一例を示す断面図である。 本発明の一実施形態におけるインクジェットヘッド内におけるインク流の流れの一例を示す断面図である。
本発明に係るインクジェット記録方法は、以下の工程を有する。
インクジェットヘッドにより、転写体上にインクを吐出してインク像を形成する工程。
前記インク像が形成された前記転写体に記録媒体を接触させて、前記インク像を前記記録媒体へ転写する工程。
ここで、前記インクジェットヘッドは、インクを吐出するために利用されるエネルギーを発生する素子(以下、エネルギー発生素子とも示す)と、前記素子を内部に備える圧力室と、前記インクを吐出する吐出口とを有する記録素子基板を備える。前記圧力室内のインクは前記圧力室の外部との間で循環される。また、前記インクの粘度は2〜20mPa・sである。
本発明に係るインクジェット記録装置は、以下の構成を有する。
転写体。
前記転写体上にインクを吐出してインク像を形成するインクジェットヘッドを有するインク付与装置。
前記インク像が形成された前記転写体に記録媒体を接触させて、前記インク像を前記記録媒体へ転写する転写用の押圧部材。
ここで、前記インクジェットヘッドは、エネルギー発生素子と、前記素子を内部に備える圧力室と、前記インクを吐出する吐出口とを有する記録素子基板を備える。前記圧力室内のインクは前記圧力室の外部との間で循環される。また、前記インクの粘度は2〜20mPa・sである。
本発明者等は、転写体から記録媒体へのインク像の転写性を向上させるため鋭意検討した結果、転写体上のインク像の凝集力を高めるために、高粘度のインクを使用することが好ましいことを見出した。しかしながら、そのようなインクはインクジェットヘッドからの吐出性が低いため、適応させることが困難であった。本発明者等はさらに検討を行った結果、高粘度のインクを使用し、かつインクジェットヘッドの圧力室内のインクを圧力室の外部との間で循環させることで、インクの吐出性を維持できるため画質が向上し、かつインク像の転写性が向上することを見出した。すなわち、本発明では、2〜20mPa・sの粘度を有するインクを、エネルギー発生素子と、圧力室と、吐出口とを有する記録素子基板を備え、圧力室内のインクが圧力室の外部との間で循環されるインクジェットヘッドを用いて吐出し、インク像を形成する。
なお、インクジェットヘッドの方式としては、ピエゾ方式、サーマル方式が一般的である。特に、エネルギー発生素子が発熱素子であり、発熱素子によりインクを加熱してインク内に気泡を発生させ、インクを吐出するサーマルインクジェット方式は、高粘度のインクとの適性が低い傾向がある。しかしながら、本発明では特に、高粘度のインクをサーマルインクジェットヘッド方式に適用する場合にも、インクの吐出性を維持でき、かつ転写体から記録媒体へのインク像の転写性を向上できるため、得られる画像の品質を向上させることができる。
以下に図面を参照して、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置について説明する。
図1は、本実施形態の転写型のインクジェット記録装置100の概略構成の一例を示す模式図である。この記録装置は、転写体101を介して記録媒体108にインク像を転写することで記録物を製造する、枚葉式のインクジェット記録装置である。本実施形態では、X方向、Y方向、Z方向が、それぞれ、インクジェット記録装置100の幅方向(全長方向)、奥行き方向、高さ方向を示している。記録媒体108はX方向に搬送される。
本発明のインクジェット記録装置100は、図1に示すように、支持部材102によって支持された転写体101と、転写体101上にカラーインクと反応する反応液を付与する反応液付与装置103と、反応液が付与された転写体101上にカラーインクを付与し、転写体上に、インクによる画像であるインク像を形成するインクジェットヘッドを備えたインク付与装置104と、転写体上のインク像から液体成分を吸収する液吸収装置105と、液体成分を除去した転写体上のインク像を紙などの記録媒体108上に転写するための転写用の押圧部材106とを有する。また、インクジェット記録装置100は、必要に応じて転写した後の転写体101の表面をクリーニングする転写体クリーニング部材109を有していてもよい。当然のことではあるが、転写体101、反応液付与装置103、インク付与装置104のインクジェットヘッド、液吸収装置105および転写体クリーニング部材109は、それぞれ、Y方向において用いられる記録媒体108に対応するだけの長さを有している。
転写体101は支持部材102の回転軸102aを中心として図1の矢印Aの方向に回転する。この支持部材102の回転により、転写体101が移動する。移動する転写体101上に、反応液付与装置103によって反応液、および、インク付与装置104によってインクが順次付与され、転写体101上にインク像が形成される。転写体101上に形成されたインク像は、転写体101の移動により、液吸収装置105が有する液吸収部材105aと接触する位置まで移動される。
転写体101と液吸収装置105は、転写体101の回転に同期して移動する。転写体101上に形成されたインク像は矢印Bの方向に移動する液吸収部材105aと接触した状態を経る。この間に液吸収部材105aは転写体上のインク像から液体成分の少なくとも一部を除去する。この接触した状態において、液吸収部材105aは、所定の押圧力をもって転写体101に押圧されることが液吸収部材105aを効果的に機能させる点で特に好ましい。
液体成分の除去を異なる視点で説明すれば、転写体上に形成されたインク像を構成するインクを濃縮するとも表現することができる。インクを濃縮するとは、インクに含まれる液体成分が減少することによって、インクに含まれる色材や樹脂といった固形分の液体成分に対する含有割合が増加することを意味する。
そして、液体成分が除去された液除去後のインク像は、液除去前のインク像と比べてインクが濃縮された状態となり、さらに転写体101により、記録媒体搬送装置107によって矢印Cの方向に搬送される記録媒体108と接触する転写部へ移動される。液除去後のインク像が記録媒体108と接触している間に、転写用の押圧部材106が転写体101を押圧することによって、記録媒体108上にインク像が転写される。記録媒体108上に転写された転写後インク像は液除去前のインク像、および液除去後のインク像の反転画像である。
なお、本実施形態では転写体上には反応液が付与されてからインクが付与されてインク像が形成されるため、インクによるインク像が形成されない非画像領域には反応液がインクと反応することなく残っている。本装置では液吸収部材105aはインク像からのみならず、未反応の反応液とも接触し、反応液の液体成分も併せて除去している。
したがって、以上では、インク像から液体成分を除去すると表現し説明しているが、インク像のみから液体成分を除去するという限定的な意味合いではなく、少なくとも転写体上のインク像から液体成分を除去していればよいという意味合いで用いている。
なお、液体成分は、一定の形を持たず、流動性を有し、ほぼ一定の体積を有するものであれば、特に限定されるものではない。
例えば、インクや反応液に含まれる水や有機溶媒等が液体成分として挙げられる。
本実施形態のインクジェット記録装置の各構成について以下に説明する。
<転写体>
転写体101は、インク像形成面を含む表面層を有する。表面層の材料としては、樹脂、セラミック等各種材料を適宜用いることができるが、耐久性等の点で圧縮弾性率の高い材料が好ましい。具体的には、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素含有樹脂、加水分解性有機ケイ素化合物を縮合して得られる縮合物等が挙げられる。反応液の濡れ性、転写性等を向上させるために、表面層に表面処理を施して用いてもよい。表面処理としては、フレーム処理、コロナ処理、プラズマ処理、研磨処理、粗化処理、活性エネルギー線照射処理、オゾン処理、界面活性剤処理、シランカップリング処理などが挙げられる。これらを複数組み合わせてもよい。また、表面層に任意の表面形状を設けることもできる。
さらに表面層の材料としては、加水分解性有機ケイ素化合物の縮合物が、画像品質及び転写性の面から好ましい。更に、カチオン重合やラジカル重合等による重合構造を有する加水分解性有機ケイ素化合物の縮合物が、耐久性の面からより好ましい。表面層が、加水分解性有機ケイ素化合物に由来するシロキサン結合を含む分子構造を有していることにより、インク像を構成するインクにより付与された成分が表面層の有するインク像形成面に効果的に広がると推測される。また、インク像の転写体からの剥離が容易となり、転写性が向上すると推測される。
加水分解性有機ケイ素化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、2−(エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、これらの化合物のエポキシ基をオキセタニル基に置換した化合物、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン等である。また、前記化合物において、水素原子を任意にフッ素原子に置換した化合物を使用することができる。具体例としては、パーフルオロアルキルシラン(炭素数1〜20)などが挙げられる。すなわち、転写体の表面がシリコーン系化合物及びフッ素系化合物の少なくとも一方を含むことが好ましい。
また転写体は、圧力変動を吸収する機能を有する圧縮層を有することが好ましい。圧縮層を設けることで、圧縮層が変形を吸収し、局所的な圧力変動に対してその変動を分散し、高速印刷時においても良好な転写性を維持することができる。圧縮層の材料としては、例えばアクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。上記ゴム材料の成形時に、所定量の加硫剤、加硫促進剤等を配合し、さらに発泡剤、中空微粒子或いは食塩等の充填剤を必要に応じて配合し多孔質としたものが好ましい。これにより、様々な圧力変動に対して気泡部分が体積変化を伴って圧縮されるため、圧縮方向以外への変形が小さく、より安定した転写性、耐久性を得ることができる。多孔質のゴム材料としては、各気孔が互いに連続した連続気孔構造のものと、各気孔がそれぞれ独立した独立気孔構造のものがある。本発明ではいずれの構造であってもよく、これらの構造を併用してもよい。
さらに転写体は、表面層と圧縮層との間に弾性層を有することが好ましい。弾性層の材料としては、樹脂、セラミック等、各種材料を適宜用いることができる。加工特性等の点で、各種エラストマー材料、ゴム材料が好ましく用いられる。具体的には、例えばフルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、スチレンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン/プロピレン/ブタジエンの共重合体、ニトリルブタジエンゴム等が挙げられる。特に、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴムは、圧縮永久ひずみが小さいため、寸法安定性、耐久性の面で好ましい。また、温度による弾性率の変化が小さく、転写性の点でも好ましい。
転写体を構成する各層(表面層、弾性層、圧縮層)の間に、これらを固定・保持するために各種接着剤や両面テープを用いてもよい。また、装置に装着する際の横伸びの抑制や、コシを保つために圧縮弾性率が高い補強層を設けてもよい。また、織布を補強層としてもよい。転写体は前記材質による各層を任意に組み合わせて作製することができる。
転写体の大きさは、目的の印刷画像サイズに合わせて自由に選択することができる。転写体の形状としては、特に制限されず、具体的にはシート形状、ローラ形状、ベルト形状、無端ウェブ形状等が挙げられる。
<支持部材>
転写体101は、支持部材102上に支持されている。転写体の支持方法として、各種接着剤や両面テープを用いてもよい。または、転写体に金属、セラミック、樹脂等を材質とした設置用部材を取り付けることで、設置用部材を用いて転写体を支持部材102上に支持してもよい。
支持部材102は、その搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。支持部材の材質には金属、セラミック、樹脂等が好ましく用いられる。中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクスが好ましく用いられる。またこれらを組み合わせて用いるのも好ましい。
<反応液付与装置>
本実施形態のインクジェット記録装置は、転写体101に、インクと接触してインクを高粘度化する反応液を付与する反応液付与装置103を有する。図1の反応液付与装置103は、反応液を収容する反応液収容部103aと、反応液収容部103aにある反応液を転写体101上に付与する反応液付与部材103b、103cを有するグラビアオフセットローラの場合を示している。
反応液付与装置は、反応液を転写体上に付与できるいかなる装置であってもよく、従来から知られている各種装置を適宜用いることができる。具体的には、グラビアオフセットローラ、インクジェットヘッド、ダイコーティング装置(ダイコータ)、ブレードコーティング装置(ブレードコータ)などが挙げられる。反応液付与装置による反応液の付与は、転写体上でインクと混合(反応)することができれば、インクの付与前に行っても、インクの付与後に行ってもよい。好ましくは、インクの付与前に反応液を付与する。反応液をインクの付与前に付与することによって、インクジェット方式による画像記録時に、隣接して付与されたインク同士が混ざり合うブリーディングや、先に着弾したインクが後に着弾したインクに引き寄せられてしまうビーディングを抑制することもできる。
<反応液>
反応液は、インクと接触することによりインク中のアニオン性基を有する成分(樹脂、自己分散顔料など)を凝集させるものであり、反応剤を含有する。反応剤としては、例えば、多価金属イオン、カチオン性樹脂などのカチオン性成分や、有機酸など挙げることができる。
多価金属イオンとしては、例えば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+及びZn2+等の二価の金属イオンや、Fe3+、Cr3+、Y3+及びAl3+等の三価の金属イオンが挙げられる。反応液に多価金属イオンを含有させるためには、多価金属イオンとアニオンとが結合して構成される多価金属塩(水和物であってもよい)を用いることができる。アニオンとしては、例えば、Cl、Br、I、ClO、ClO 、ClO 、ClO 、NO 、NO 、SO 2−、CO 2−、HCO 、PO 3−、HPO 2−、及びHPO 等の無機アニオン;HCOO、(COO、COOH(COO)、CHCOO、C(COO、CCOO、C(COO及びCHSO 等の有機アニオンを挙げることができる。反応剤として多価金属イオンを用いる場合、反応液中の多価金属塩換算の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、1.00質量%以上10.00質量%以下であることが好ましい。
有機酸を含有する反応液は、酸性領域(pH7.0未満、好ましくはpH2.0〜5.0)に緩衝能を有することによって、インク中に存在する成分のアニオン性基を酸型にして凝集させるものである。有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、安息香酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピコリン酸、ニコチン酸、チオフェンカルボン酸、レブリン酸、クマリン酸などのモノカルボン酸及びその塩;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、セバシン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、などのジカルボン酸、及びその塩や水素塩;クエン酸、トリメリット酸などのトリカルボン酸及びその塩や水素塩;ピロメリット酸などのテトラカルボン酸及びその塩や水素塩、などを挙げることができる。
カチオン性樹脂としては、例えば、1〜3級アミンの構造を有する樹脂、4級アンモニウム塩の構造を有する樹脂などを挙げることができる。具体的には、ビニルアミン、アリルアミン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、ジメチルアミノエチルメタクリレート、エチレンイミン、グアニジンなどの構造を有する樹脂などを挙げることができる。反応液における溶解性を高めるために、カチオン性樹脂と酸性化合物とを併用したり、カチオン性樹脂の4級化処理を施したりすることもできる。反応剤としてカチオン性樹脂を用いる場合、反応液中のカチオン性樹脂の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、1.00質量%以上10.00質量%以下であることが好ましい。
反応液中の反応剤以外の成分としては、後述するインクに用いることができるものとして挙げた、水、水溶性有機溶剤、その他の添加剤などと同様のものを用いることができる。
<インク付与装置>
本実施形態のインクジェット記録装置は、転写体101にインクを付与するインク付与装置104を有する。転写体上では反応液とインクとが混合され、反応液とインクとによってインク像が形成され、さらに、液吸収装置105にてインク像から液体成分が吸収される。
本実施形態ではインクを付与するインク付与装置として、インクジェットヘッドを用いる。インクジェットヘッドとしては、例えば電気−熱変換体によりインクに膜沸騰を生じさせ気泡を形成することでインクを吐出する形態、電気−機械変換体によってインクを吐出する形態、静電気を利用してインクを吐出する形態等が挙げられる。本実施形態では、特に高速で高密度の印刷の観点からは電気−熱変換体を利用したものが好適に用いられる。描画は画像信号を受け、各位置に必要なインク量を付与する。インクの循環等に関する具体的なインクジェットヘッドの構成については後述する。
本実施形態ではインクジェットヘッドはY方向に延設されたフルラインヘッドであり、使用可能な最大サイズの記録媒体の画像記録領域の幅分をカバーする範囲に吐出口が配列されている。インクジェットヘッドはその下面(転写体101側)に吐出口が開口したインク吐出面を有しており、インク吐出面は微小な隙間(数ミリ程度)を空けて転写体101の表面と対向している。
インク付与量は画像濃度(duty)やインク厚みで表現することができるが、本実施形態では各インクドットの質量に付与個数を掛け、印字面積で割った平均値をインク付与量(g/m)とする。尚、画像領域における最大インク付与量とは、インク中の液体成分を除去する観点より、転写体の情報として用いられる領域内において、少なくとも5mm以上の面積において付与されているインク付与量を示す。
インク付与装置104は、転写体上に各色のカラーインクを付与するために、インクジェットヘッドを複数有していてもよい。例えば、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、ブラックインクを用いてそれぞれの色画像を形成する場合、インク付与装置は上記4種類のインクを転写体上にそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッドを有することができる。これらはX方向に並ぶように配置される。
また、インク付与装置は、色材を含有しない、あるいは含有したとしてもその割合が非常に低く、実質的に透明なクリアインクを吐出するインクジェットヘッドを含んでいてもよい。そしてこのクリアインクを反応液、カラーインクとともにインク像を形成するために利用することができる。例えば、画像の光沢性を向上させるためにこのクリアインクを用いることができる。転写後の画像が光沢感を醸すように、配合する樹脂成分を適宜調整し、さらには、クリアインクの吐出位置を制御するとよい。このクリアインクは、最終記録物ではカラーインクよりも表層側にある方が望ましいので、転写型の記録装置では、カラーインクよりも先に転写体101上に付与するようにする。そのためにインク付与装置104と対面する転写体101の移動方向において、クリアインク用のインクジェットヘッドをカラーインク用のインクジェットヘッドより上流側に配置することができる。
また、クリアインクは、光沢用とは別に、転写体101から記録媒体へのインク像の転写性を向上させるために利用することができる。例えば、カラーインクよりも粘着性を発現する成分を多く含ませ、これをカラーインクに付与することで転写体101上に付与する転写性向上液としてクリアインクを利用することができる。例えば、インク付与装置104と対面する転写体101の移動方向において、転写性向上用のクリアインクのためのインクジェットヘッドをカラーインク用のインクジェットヘッドより下流側に配置しておく。そしてカラーインクを転写体101に付与した後、カラーインク付与後の転写体上にクリアインクを付与することで、インク像の最表面にはクリアインクが存在することになる。転写部での記録媒体へのインク像の転写において、インク像の表面のクリアインクはある程度の粘着力で記録媒体108に粘着し、これによって、液除去後のインク像が記録媒体108へ移動しやすくなる。
<インク>
本実施形態に適用されるインクの各成分について説明する。
(色材)
本実施形態に適用されるインクに含有される色材として、顔料や染料を用いることができる。インク中の色材の含有量は、インク全質量を基準として、0.5質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがより好ましい。
色材として用いることができる顔料の種類は特に限定されない。顔料の具体例としては、カーボンブラック、酸化チタンなどの無機顔料;アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、イミダゾロン系、ジケトピロロピロール系、ジオキサジン系などの有機顔料を挙げることができる。これらの顔料は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。顔料の分散方式は特に限定されない。例えば、樹脂分散剤により分散させた樹脂分散顔料、顔料の粒子表面にアニオン性基などの親水性基を直接又は他の原子団を介して結合させた自己分散顔料などを用いることもできる。勿論、分散方式の異なる顔料を組み合わせて使用することも可能である。
顔料を分散させるための樹脂分散剤としては、インクジェット用の水性インクに用いられる公知の樹脂分散剤を使用することができる。中でも本実施形態の態様においては分子鎖中に親水性ユニットと疎水性ユニットとを併せ持つアクリル系の水溶性の樹脂分散剤を用いることが好ましい。樹脂の形態としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、及びこれらの組み合わせなどを挙げることができる。
インク中の樹脂分散剤は、液媒体に溶解した状態であってもよく、液媒体中に樹脂粒子として分散した状態であってもよい。本発明において樹脂が水溶性であることとは、その樹脂を酸価と当量のアルカリで中和した場合に、動的光散乱法により粒子径を測定しうる粒子を形成しないものであることとする。
親水性ユニット(アニオン性基などの親水性基を有するユニット)は、例えば、親水性基を有するモノマーを重合することで形成することができる。親水性基を有するモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸などのアニオン性基を有する酸性モノマー、これらの酸性モノマーの無水物や塩などのアニオン性モノマーなどを挙げることができる。酸性モノマーの塩を構成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、有機アンモニウムなどのイオンを挙げることができる。
疎水性ユニット(アニオン性基などの親水性を有さないユニット)は、例えば、疎水性基を有するモノマーを重合することで形成することができる。疎水性基を有するモノマーの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ベンジル(メタ)アクリレートなどの芳香環を有するモノマー;エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどの脂肪族基を有するモノマー(すなわち、(メタ)アクリルエステル系モノマー)などを挙げることができる。
樹脂分散剤の酸価は50mgKOH/g以上550mgKOH/g以下であることが好ましく、100mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることがより好ましい。また、樹脂分散剤の重量平均分子量は1,000以上50,000以下であることが好ましい。顔料の含有量(質量%)が、樹脂分散剤の含有量に対する質量比率(顔料/樹脂分散剤)で、0.3倍以上10.0倍以下であることが好ましい。
自己分散顔料としては、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基などのアニオン性基が、直接又は他の原子団(−R−)を介して顔料の粒子表面に結合しているものを用いることができる。アニオン性基は、酸型及び塩型のいずれであってもよく、塩型である場合は、その一部が解離した状態及び全てが解離した状態のいずれであってもよい。アニオン性基が塩型である場合のカウンターイオンとなるカチオンとしては、アルカリ金属カチオン;アンモニウム;有機アンモニウムなどを挙げることができる。また、他の原子団(−R−)の具体例としては、炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキレン基、フェニレン基やナフチレン基などのアリーレン基、アミド基、スルホニル基、アミノ基、カルボニル基、エステル基、エーテル基などを挙げることができる。また、これらの基を組み合わせた基としてもよい。
色材として用いることができる染料の種類は特に限定されないが、アニオン性基を有する染料を用いることが好ましい。染料の具体例としては、アゾ系、トリフェニルメタン系、(アザ)フタロシアニン系、キサンテン系、アントラピリドン系などが挙げられる。これらの染料は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
また分散剤を用いず、顔料自体を表面改質して分散可能としたいわゆる自己分散顔料を用いることも本実施形態において好適である。
(樹脂粒子)
本実施形態に適用されるインクは、樹脂粒子を含有することができる。樹脂粒子は色材を含むものである必要はない。樹脂粒子は、画像品位や定着性の向上に効果がある場合があり好適である。
本実施形態に用いることのできる樹脂粒子の材質としては、特に限定されず公知の樹脂を適宜用いることができる。具体的には、オレフィン系、ポリスチレン系、ウレタン系、アクリル系などの各種の材料で構成される樹脂粒子が挙げられる。樹脂粒子の重量平均分子量(Mw)は、1,000以上2,000,000以下の範囲が好適である。樹脂粒子の動的光散乱法により測定される体積平均粒子径は、10nm以上1,000nm以下であることが好ましく、100nm以上500nm以下であることがより好ましい。インク中の樹脂粒子の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、1.0質量%以上50.0質量%以下が好ましく、より好ましくは2.0質量%以上40.0質量%以下である。
(水性媒体)
本実施形態に用いることのできるインクは、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含むことができる。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、グリセリンなどのアルコール類、(ポリ)アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類、含硫黄化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができる。これらは1種又は2種以上を含有させることができる。
(その他添加剤)
本実施形態に用いることのできるインクは、上記成分以外にも必要に応じて、消泡剤、界面活性剤、pH調整剤、粘度調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、水溶性樹脂など種々の添加剤を含有してもよい。
(粘度)
本発明においてインクの粘度は2〜20mPa・sである。インクの粘度が2mPa・sより小さい場合、転写体から記録媒体へのインク像の転写性が低下する。一方、インクの粘度が20mPa・sより大きい場合、インクの吐出が困難となり、画質が低下する。インクの粘度は5〜20mPa・sであることが好ましく、10〜20mPa・sであることがより好ましい。なお、インクの粘度は粘度計(商品名「RE80型粘度計」、東機産業製)により25℃において測定される値である。
<液吸収装置>
本実施形態において、液吸収装置105は、液吸収部材105a、および液吸収部材105aを転写体101上のインク像に押し当てる液吸収用の押圧部材105bを有する。なお、液吸収部材105aおよび押圧部材105bの形状については特に制限がない。例えば、図1に示すように、押圧部材105bが半楕円柱形状であり、液吸収部材105aがベルト形状であって、半楕円柱形状の押圧部材105bでベルト形状の液吸収部材105aを転写体101に押し当てる構成であってもよい。また、押圧部材105bが円柱形状であり、液吸収部材105aが円柱形状の押圧部材105bの周面上に形成された円筒形状であって、円柱形状の押圧部材105bで円筒形状の液吸収部材105aを転写体に押し当てる構成であってもよい。本実施形態において、インクジェット記録装置内でのスペース等を考慮すると、液吸収部材105aはベルト形状であることが好ましい。また、このようなベルト形状の液吸収部材105aを有する液吸収装置105は、液吸収部材105aを張架する張架部材を有していてもよい。図1において、105cは張架部材としての張架ローラである。また、押圧部材105bを張架ローラと同様に回転するローラ部材とすることもできる。
液吸収装置105では、多孔質体を有する液吸収部材105aを押圧部材105bによってインク像に押し当てて接触させることで、インク像に含まれる液体成分の少なくとも一部を液吸収部材105aに吸収させ、液体成分を減少させる。インク像中の液体成分を減少させる方法として、液吸収部材を接触させる本方式に加え、その他従来から用いられている各種手法、例えば、加熱による方法、低湿空気を送風する方法、減圧する方法等を組み合わせても良い。また、液体成分を減少させた液除去後のインク像にこれらの方法を適用してさらに液体成分を減少させてもよい。
<液吸収部材>
本実施形態では、液除去前のインク像から液体成分の少なくとも一部を、多孔質体を有する液吸収部材と接触させて吸収することで除去し、インク像中の液体成分の含有量を減少させる。液吸収部材のインク像との接触面を第一の面とし、第一の面に多孔質体が配置される。このような多孔質体を有する液吸収部材は、転写体の移動に連動して移動し、インク像と接触した後、所定の周期で別の液除去前のインク像に再接触する、循環して液吸収が可能な形状を有するものが好ましい。例えば、無端ベルト状やドラム状などの形状が挙げられる。
(多孔質体)
本実施形態に係る液吸収部材の多孔質体は、第一の面側の平均孔径が、第一の面とは反対側の第二の面側の平均孔径よりも小さいことが好ましい。インク中の色材が多孔質体へ付着することを抑制するため、多孔質体の孔径は小さいことが好ましく、インク像と接触する第一の面側の多孔質体の平均孔径は10μm以下であることが好ましい。なお、本実施形態において多孔質体における平均孔径とは、第一の面または第二の面の表面での平均直径のことを示し、例えば水銀圧入法や、窒素吸着法、SEM画像観察等で測定可能である。
また、高い通気性を均一に有するために多孔質体の厚さは薄いことが好ましい。通気性はJIS P8117で規定されるガーレ値で示すことができ、ガーレ値は10秒以下であることが好ましい。但し、多孔質体を薄くすると、液体成分を吸収するために必要な容量を十分に確保できない場合があるため、多孔質体を多層構成とすることが可能である。また、本実施形態において液吸収部材は、インク像と接触する層が多孔質体であればよく、インク像と接触しない層は多孔質体でなくてもよい。
次に、多孔質体を多層構成とする場合の実施形態について説明する。ここではインク像に接触する側の第一の層、第一の層のインク像との接触面と反対の面に積層される層を第二の層として説明する。さらに多層の構成についても順次第一の層からの積層順で表記する。なお、本明細書において、第一の層を「吸収層」、第二の層以降を「支持層」ということがある。
[第一の層]
本実施形態において、多孔質体である第一の層の材料は特に限定されることはなく、水に対する接触角が90°未満の親水性材料と、水に対する接触角が90°以上の撥水性材料のいずれも使用することができる。
親水性材料としては、セルロースやポリアクリルアミドなどの単一材料、またはこれらの複合材料などから好ましく選択される。また、下記の撥水性材料の表面を親水化処理して用いることもできる。親水化処理としては、スパッタエッチング法、放射線やHOイオン照射、エキシマ(紫外線)レーザー光照射などの方法が挙げられる。親水性材料の場合、水に対する接触角が60°以下であることが好ましい。親水性材料の場合、毛管力により液体、特に水を吸い上げる効果がある。
一方、色材の付着を抑制するため及びクリーニング性を高くするため、第一の層の材料は、表面自由エネルギーの低い撥水性材料、特にフッ素樹脂が好ましい。フッ素樹脂としては、具体的に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)等が挙げられる。これらの樹脂は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができ、第一の層の中に複数の層が積層された構成でもよい。撥水性材料の場合、毛管力により液体を吸い上げる効果が殆どなく、初めてインク像と接触する際に液体の吸い上げに時間を要することがある。このため、第一の層中に第一の層との接触角が90°未満である液体をしみ込ませておくことが好ましい。この液体は、液吸収部材の第一の面から塗布することで第一の層中にしみ込ませておくことができる。この液体は、水に界面活性剤や第一の層との接触角の低い液体を混合して調製することが好ましい。
本実施形態において、第一の層の厚さは50μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましい。本実施形態において厚さは、直進式のマイクロメーターOMV−25(商品名、ミツトヨ製)で任意の10点の厚さを測定し、その平均値を算出することで得られる値である。
第一の層は、公知の薄い多孔質膜の製造方法により製造することができる。例えば、樹脂材料を押出成形などの方法でシート状物に成形した後、所定の厚さに延伸することで得ることができる。また、押出成形時の材料にパラフィン等の可塑剤を添加し、延伸時に加熱などにより可塑剤を除去することで多孔質膜として得ることができる。孔径は添加する可塑剤の添加量、延伸倍率などを適宜調整することで調節することができる。
[第二の層]
本実施形態において、第二の層は通気性を有する層であることが好ましい。このような層は樹脂繊維の不織布でもよいし、織布でも良い。第二の層の材料としては特に限定されないが、第一の層側へ吸収した液体成分が逆流しないように、第一の層に対して液体成分との接触角が同等かそれよりも低い材料であることが好ましい。具体的には、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など)、ポリウレタン、ナイロンなどのポリアミド、ポリエステル(ポリエチレンテレフタラート(PET)など)、ポリスルフォン(PSF)などの単一材料、またはこれらの複合材料などから好ましく選択される。また、第二の層は第一の層よりも孔径の大きな層であることが好ましい。
[第三の層]
第三の層以降の層としては剛性の観点から不織布が好ましい。材料としては第二の層と同様なものが用いられる。
[その他の部材]
液吸収部材には、上記の積層構造の多孔質体以外に、液吸収部材の側面を補強する補強部材を有してもよい。また、液吸収部材には、長尺のシート形状の多孔質体の長手方向端部同士を繋いでベルト状の部材とする際の接合部材を有してもよい。このような部材としては非孔質のテープ材などを用いることができ、インク像と接触しない位置あるいは周期に配置すればよい。
[多孔質体の製造方法]
第一の層と第二の層とを積層して多孔質体を形成する場合、その製造方法は特に限定されず、両者を重ね合わせるだけでもよいし、接着剤ラミネートまたは熱ラミネートなどの方法を用いて互いに接着してもよい。通気性の観点から、加熱されたローラで第一の層と第二の層とを挟み込んで加圧しながら加熱する熱ラミネートが好ましい。また、例えば、加熱により第一の層または第二の層の一部を溶融させて両者を接着してもよい。また、ホットメルトパウダーのような融着材を第一の層と第二の層との間に介在させて、加熱により互いに接着してもよい。第三の層以降の層を積層する場合には、一度に積層させてもよいし、順次積層させてもよい。積層順に関しては適宜選択される。
(前処理)
本実施形態において、多孔質体を有する液吸収部材105aをインク像に接触させる前に、液吸収部材に処理液を付与する前処理手段(図1では不図示)によって前処理を施すことが好ましい。本実施形態に用いる処理液は、水及び水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。水は、イオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。また、水溶性有機溶剤の種類は特に限定されず、エタノールやイソプロピルアルコール等の公知の有機溶剤をいずれも用いることができる。本実施形態に用いる液吸収部材の前処理において、付与方法は特に限定されないが、浸漬や液滴滴下が好ましい。
(加圧条件)
転写体上のインク像に対して接触するときの液吸収部材の圧力が2.9N/cm(0.3kgf/cm)以上であれば、インク像中の液体成分をより短時間に固液分離でき、インク像中から液体成分を除去できるため好ましい。尚、本明細書における液吸収部材の圧力とは、転写体と液吸収部材との間のニップ圧を示しており、面圧分布測定器(商品名:I−SCAN、新田株式会社製)を用いて面圧測定を行い、加圧領域における荷重を面積で割り、値を算出したものである。
(作用時間)
インク像に液吸収部材105aを接触させる作用時間は、インク像中の色材が液吸収部材へ付着することをより抑制するために、50ms以下であることが好ましい。尚、本明細書における作用時間とは、上述した面圧測定における、転写体の移動方向における圧力感知幅を、転写体の移動速度で割って算出される値である。以降、この作用時間を液吸収ニップ時間と称す。
このようにして、転写体101上には、液体成分が吸収され、液体成分の減少したインク像が形成される。この液除去後のインク像は次に転写部において記録媒体108上に転写される。転写時の装置構成及び条件について説明する。
<転写用の押圧部材>
本実施形態では、記録媒体搬送手段107によって搬送される記録媒体108上に転写体101上の液除去後のインク像を、転写用の押圧部材106により記録媒体108に接触させることで転写する。転写体101上のインク像に含まれる液体成分の少なくとも一部を除去した後に、記録媒体108へ転写することにより、カールや、コックリング等を抑制した記録画像を得ることが可能となる。
押圧部材106は記録媒体108の搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。押圧部材106の材質には金属、セラミック、樹脂等が好ましく用いられる。中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクスが好ましく用いられる。またこれらを組み合わせて用いてもよい。
転写体101上の液除去後のインク像を記録媒体108に転写するために押圧部材106が転写体を押圧する押圧時間については特に制限はない。しかし、転写が良好に行われ、かつ転写体の耐久性を損なわないようにするために、押圧時間は5ms以上100ms以下であることが好ましい。尚、本実施形態における押圧時間とは、記録媒体108と転写体101とが接触している時間を示しており、面圧分布測定器(商品名:I−SCAN、新田株式会社製)を用いて面圧測定を行い、加圧領域の搬送方向長さを搬送速度で割り、値を算出したものである。
また、転写体101上の液除去後のインク像を記録媒体108に転写するために押圧部材106が転写体101を押圧する圧力についても特に制限はないが、転写が良好に行われ、かつ転写体の耐久性を損なわないようにする。このために、圧力が9.8N/cm(1kg/cm)以上294.2N/cm(30kg/cm)以下であることが好ましい。尚、本実施形態における圧力とは、記録媒体108と転写体101との間のニップ圧を示しており、面圧分布測定器を用いて面圧測定を行い、加圧領域における荷重を面積で割り、値を算出したものである。
転写体101上の液除去後のインク像を記録媒体108に転写するために押圧部材106が転写体101を押圧しているときの温度についても特に制限はないが、インクに含まれる樹脂成分のガラス転移点以上又は軟化点以上であることが好ましい。また、加熱には転写体101上の液除去後のインク像、転写体101及び記録媒体108を加熱する加熱手段を備える態様が好ましい。
押圧部材106の形状については特に制限されないが、例えばローラ形状のものが挙げられる。
<記録媒体および記録媒体搬送装置>
本実施形態において、記録媒体108は特に限定されず、公知の記録媒体をいずれも用いることができる。記録媒体としては、ロール状に巻回された長尺物、あるいは所定の寸法に裁断された枚葉のものが挙げられる。材質としては、紙、プラスチックフィルム、木板、段ボール、金属フィルムなどが挙げられる。
また、図1において、記録媒体108を搬送するための記録媒体搬送装置107は、記録媒体繰り出しローラ107aおよび記録媒体巻き取りローラ107bによって構成されているが、記録媒体を搬送できればよく、特にこの構成に限定されるものではない。
<制御システム>
本実施形態におけるインクジェット記録装置は、各装置を制御する制御システムを有する。図2は図1に示すインクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図である。
図2において、符号301は外部プリントサーバー等の記録データ生成部、符号302は操作パネル等の操作制御部、符号303は記録プロセスを実施するためのプリンタ制御部、符号304は記録媒体を搬送するための記録媒体搬送制御部、符号305は印刷するためのインクジェットデバイスである。
図3は図1のインクジェット記録装置におけるプリンタ制御部303のブロック図である。
符号401はプリンタ全体を制御するCPU、符号402はCPU401の制御プログラムを格納するためのROM、符号403はプログラムを実行するためのRAMである。符号404はネットワークコントローラ、シリアルIFコントローラ、ヘッドデータ生成用コントローラ、モーターコントローラ等を内蔵した特定用途向けの集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)である。符号405は液吸収部材搬送モータ406を駆動するための液吸収部材搬送制御部であり、ASIC404からシリアルIFを介して、コマンド制御される。符号407は転写体駆動モータ408を駆動するための転写体駆動制御部であり、同様にASIC404からシリアルIFを介してコマンド制御される。符号409はヘッド制御部であり、インクジェットデバイス305の最終吐出データ生成、駆動電圧生成等を行う。
<インクジェットヘッド>
以下、図面を用いて本実施形態のインクジェットヘッドを説明する。ただし、以下の記載は本発明の範囲を限定するものではない。一例として、本実施形態ではエネルギー発生素子である発熱素子により気泡を発生させてインクを吐出するサーマルインクジェット方式が採用されているが、ピエゾ方式およびその他の各種方式が採用されたインクジェットヘッドも適用することができる。本実施形態は、インクをタンクとインクジェットヘッドとの間で循環させる形態のインクジェット記録装置であるが、その他の形態であってもよい。
(基本構成)
本実施形態においては、1色あたりに使用できる吐出口列数は20列となっている。このため、記録データを複数の吐出口列に適宜振り分けて記録を行うことで、高速な記録が可能となる。更に、インク吐出不能となった吐出口があったとしても、その吐出口に対して転写体の移動方向に対応する位置にある、他列の吐出口から補間的に吐出を行うことで信頼性が向上し、商業印刷などに好適である。
(循環経路の説明)
図4は、本実施形態のインクジェット記録装置に適用される循環経路を示す模式図である。負圧制御ユニット630を構成する2つの圧力調整機構は共に、負圧制御ユニット630よりも上流側の圧力を、所望の設定圧を中心として一定範囲内の変動に制御する機構(所謂「背圧レギュレーター」と同作用の機構部品)である。第2循環ポンプ604は負圧制御ユニット630の下流側を減圧する負圧源として作用する。第1循環ポンプ(高圧側)601及び第1循環ポンプ(低圧側)602がインクジェットヘッド603の上流側に配置され、負圧制御ユニット630がインクジェットヘッド603の下流側に配置されている。
負圧制御ユニット630は、インクジェットヘッド603により記録を行う際の記録Dutyの変化によって生じる流量の変動があっても、自身の上流側(即ちインク吐出ユニット600側)の圧力変動を、予め設定された圧力を中心として一定範囲内に安定化するように作動する。図4に示すように、第2循環ポンプ604によって、インク供給ユニット620を介して負圧制御ユニット630の下流側を加圧することが好ましい。このようにすることで、インクジェットヘッド603に対するバッファタンク605の水頭圧の影響を抑制できるので、インクジェット記録装置におけるバッファタンク605のレイアウトの選択幅を広げることができる。第2循環ポンプ604の代わりに、例えば負圧制御ユニット630に対して所定の水頭差をもって配置された水頭タンクであっても適用可能である。
図4に示したように負圧制御ユニット630は、それぞれが互いに異なる制御圧が設定された2つの圧力調整機構を備えている。2つの負圧調整機構の内、高圧設定側(図4でHと記載)、低圧側(図4でLと記載)はそれぞれ、インク供給ユニット620内を経由して、インク吐出ユニット600内の共通供給流路611、および共通回収流路612に接続されている。2つの負圧調整機構により共通供給流路611の圧力を共通回収流路612の圧力より相対的に高くすることで、共通供給流路611から個別供給流路613a及び各記録素子基板610の内部流路を介して個別供給流路613b及び共通回収流路612へと流れるインク流れが発生する(図4の矢印)。
(インクジェットヘッドの構成の説明)
本実施形態に係るインクジェットヘッドの構成について説明する。図5(a)及び図5(b)は本実施形態に係るインクジェットヘッド703の斜視図である。インクジェットヘッド703は、インクジェットヘッド703の長手方向に直線上に配列される複数の記録素子基板を備え、1色のインクで記録が可能なインクジェット式のライン型記録ヘッドである。インクジェットヘッド703は、インク接続部711、信号入力端子791及び電力供給端子792を備える。インクジェットヘッド703の両側に信号入力端子791及び電力供給端子792が配置されている。これは記録素子基板に設けられる配線部で生じる電圧低下や信号伝送遅れを低減するためである。
図6はインクジェットヘッドの斜視分解図であり、インクジェットヘッドを構成する各部品またはユニットがその機能毎に分割されて表示されている。本実施形態のインクジェットヘッドでは、インク吐出ユニット800に含まれる第2流路部材860によってインクジェットヘッドの剛性を担保している。本実施形態におけるインク吐出ユニット支持部881は第2流路部材860の両端部に接続されており、インク吐出ユニット800はインクジェット記録装置のキャリッジと機械的に結合されて、インクジェットヘッドの位置決めを行う。負圧制御ユニット830を備えるインク供給ユニット820と、電気配線基板支持部882に結合された電気配線基板890は、インク吐出ユニット支持部881に結合される。2つのインク供給ユニット820内にはそれぞれフィルタ(不図示)が内蔵されている。2つの負圧制御ユニット830は、それぞれ異なる、相対的に高低の負圧で圧力を制御するように設定されている。また、図6のようにインクジェットヘッドの両端部にそれぞれ、高圧側と低圧側の負圧制御ユニット830を設置した場合、インクジェットヘッドの長手方向に延在する共通供給流路と共通回収流路におけるインクの流れが互いに対向する。このようにすると、共通供給流路と共通回収流路との間で熱交換が促進されて、2つの共通流路内における温度差が低減されるため、共通流路に沿って複数設けられる各記録素子基板における温度差が付きにくく、温度差による記録ムラが生じにくくなる。
次に、インク吐出ユニット800の流路部材の詳細について説明する。図6に示すように流路部材は、第1流路部材850、第2流路部材860を積層したものであり、インク供給ユニット820から供給されたインクを各吐出モジュール810へと分配する。また流路部材は、吐出モジュール810から環流するインクをインク供給ユニット820へと戻すための流路部材として機能する。流路部材の第2流路部材860は、内部に共通供給流路及び共通回収流路が形成された流路部材であるとともに、インクジェットヘッドの剛性を主に担うという機能を有する。このため、第2流路部材860の材質としては、インクに対する十分な耐食性と高い機械強度を有するものが好ましい。具体的にはSUSやTi、アルミナなどを好ましく用いることができる。
次に、以上説明した本実施形態に係るインクジェットヘッドにおける、吐出口およびその近傍の構造について説明する。図7(a)〜(c)は、本実施形態に係るインクジェットヘッドにおける吐出口およびその近傍のインク流路の構造を説明する図である。図7(a)は、インク流路などをインクが吐出される側から見た平面図、図7(b)は、図7(a)におけるA−A’線断面図、図7(c)は、図7(a)のA−A’線断面の斜視図である。
図7に示すように、図4などで上述したインクの循環によって、インクジェットヘッドの基板911上のエネルギー発生素子915を内部に備える圧力室923およびその前後の流路924にはインクの流れ917が生じる。即ちインク循環を生じさせる差圧によって、インク供給路(供給流路)918から基板911の供給口917aを介して供給されたインクは、流路924、圧力室923、流路924を通り、回収口917bを介してインク回収路(流出流路)919に至る。
上述のインクの流れとともに、非吐出時には、エネルギー発生素子915からその上方のインクを吐出する吐出口913までの空間はインクで満たされ、吐出口913の吐出方向側の端部近傍には、インクのメニスカス(インク界面913a)が形成される。なお、図7(b)では、このインク界面を簡略化のため直線(平面)で表しているが、その形状は吐出口913の壁を形成する部材とインク表面張力に応じて定まり、通常は凹または凸形状の曲線(曲面)となる。このメニスカスが形成された状態で、エネルギー発生素子915である電気熱変換素子(ヒータ)を駆動することにより、その発生する熱を利用してインク中に気泡を発生させ吐出口913からインクを吐出することができる。なお、本実施形態においてエネルギー発生素子としてヒータを適用した例で説明するが、本発明はこれに限定されず、例えば圧電素子等の各種エネルギー発生素子を適用可能である。本実施形態では、流路924を流れるインク流の速度は、例えば0.1〜100mm/sであり、インクが流れた状態で吐出動作を行っても、着弾精度等に与える影響を比較的小さなものとすることができる。
このように、インクジェットヘッドの吐出口とエネルギー発生素子との間の圧力室及び流路にインクを流通させながらインクの吐出動作を行う。これにより、吐出動作に伴って生じる熱や、記録素子基板の温度制御による熱や、吐出口近傍の外部環境からの熱でインクの水分等が蒸発することによって増粘および色材濃度が変化したインクを排出し、新たなインクを補給することができる。その結果、インクの増粘による吐出不良や色材濃度の変化による画像色ムラを抑制することが可能となる。
(P、W、Hの関係について)
本実施形態に係るインクジェットヘッドは、流路924の高さHと、オリフィスプレート(流路形成部材912)の厚みPと、吐出口の長さ(直径)Wとの関係は、以下で説明するように定めることができる。
図7(b)において、吐出口913のオリフィスプレートの厚みPの部分(以下、吐出口部913bという)の下端(吐出口部と流路との連通部)における、流路924の上流側の高さがHとして示されている。また、吐出口部913bの長さがPとして示されている。さらに、吐出口部913bの、流路924内のインクの流れ方向の長さがWとして示されている。本実施形態に係るインクジェットヘッドは、Hが3〜30μm、Pが3〜30μm、Wが6〜30μmであることができる。
本実施形態に係るインクジェットヘッドは、吐出口913からのインクの蒸発によるインクの増粘などを抑制するために、以下のような構成を有することができる。図8は、インクジェットヘッドの流路924及び圧力室923内を流れるインクのインク流917が定常状態になったときの吐出口913、吐出口部913b、及び流路924におけるインク流917の流れの様子を示す図である。なお、図8において、矢印の長さはインク流の速度の大きさを示すものではない。図8に示されるインクジェットヘッドは、流路924の高さHが14μm、吐出口部913bの長さPが10μm、吐出口の長さ(直径)Wが17μmである。この時、インク供給路918から流路924に、1.26×10−4ml/minの流量でインクが流入した際の流れを示している。
本実施形態では、流路924の高さH(μm)、吐出口部913bの長さP(μm)、吐出口部913bのインクの流れ方向の長さW(μm)が、下記式(1)を満たす関係を有する。
−0.34×P−0.66×W>1.5 (1)
本実施形態に係るインクジェットヘッドは前記式(1)を満たすことで、図8に示すように流路924内を流れるインク流917が吐出口部913b内に流れ込み、吐出口部913bの長さPの少なくとも半分の位置まで達した後、再び流路924に戻る。流路924に戻ったインクはインク回収路919を介して、上述した共通回収流路へ流れる。すなわち、インク流917の少なくとも一部が、圧力室923からインク界面913aに向かう方向における吐出口部913bの1/2以上の位置まで達した後、流路924に戻る。この流れにより吐出口部913b内の多くの領域におけるインクの増粘を抑制することができる。このようなインクジェットヘッド内のインク流が生成されることによって、流路924だけでなく、吐出口部913bのインクについても、流路924へと流出させることが可能となる。この結果、インク増粘やインク色材濃度の増加を抑制することができる。
さらに本実施形態に係るインクジェットヘッドは、吐出口からの液体成分の蒸発によるインクの増粘などの影響をより軽減するために、以下のような構成を有することができる。図9は、図8と同様にインクジェットヘッド内を流れるインクのインク流917が定常状態になったときの吐出口913、吐出口部913b、及び流路924におけるインク流917の流れの様子を示す図である。なお、図9において、矢印の長さは速度の大きさに対応しておらず、速度の大きさに拘わらず一定の長さで表している。図9は、Hが14μm、Pが5μm、Wが12.4μmであるインクジェットヘッドに、インク供給路から流量が1.26×10−4ml/minでインクが流路924に流入した際の流れを示している。
本実施形態では、流路924の高さH、吐出口部913bの長さP、吐出口部913bのインクの流れ方向の長さWが、下記式(2)を満たす関係を有する。
−0.34×P−0.66×W>1.7 (2)
これにより、前記実施形態よりもさらに、吐出口からのインクの蒸発により色材濃度が変化したり、粘度が増したりしたインクが、吐出口部913bのインク界面913aの近傍に滞留することを抑制することができる。すなわち、本実施形態では図9に示すように、流路924内を流れるインク流917は吐出口部913b内に流れ込み、インク界面913aの近傍(メニスカス位置)まで達した後に、再び吐出口部913b内を通って流路924に戻る。流路924に戻ったインクはインク回収路919を介して、上述した共通回収流路へ流れる。このようなインク流によって、蒸発の影響を受けやすい吐出口部913b内だけでなく、蒸発の影響が特に顕著なインク界面913a近傍のインクについても、吐出口部913bの内部に滞ることなく流路924へと流出させることが可能となる。この結果、吐出口近傍の特にインク水分等の蒸発の影響を受け易い部位のインクを滞留させることなく流出させることができ、インク増粘やインク色材濃度の増加を抑制することができる。本実施形態ではインク界面913aの少なくとも一部の粘度増加を抑制することができるため、インク界面913aの全域が粘度増加した際と比較して、吐出速度変化等の吐出への影響をより低減することが可能となる。
本実施形態におけるインク流917は、インク界面913a近傍における少なくとも中央部(吐出口の中心部)において、流路924内のインクの流れ方向(図9において左から右へ向かう方向)の速度成分(以下、これを正の速度成分と呼ぶ)を有する。なお、本明細書では、インク界面913a近傍の少なくとも中央部においてインク流917が正の速度成分を有する流れのモードを「流れモードA」と呼ぶ。また、インク界面913aの中央部で正の速度成分とは逆方向の、負の速度成分を有する流れのモードを、「流れモードB」と呼ぶ。
以下、実施例及び比較例を用いて本実施形態を更に詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
(実施例1)
<反応液の調製>
下記の各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、反応液を調製した。
・レブリン酸:40.0部
・グリセリン:5.0部
・メガファックF444(商品名、界面活性剤、DIC製):1.0部
・イオン交換水:54.0部
<樹脂粒子1の水分散液の調製>
撹拌機、還流冷却装置、及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、ブチルメタクリレート18.0部、重合開始剤(2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル))2.0部、及びn−ヘキサデカン2.0部を入れた。この反応系に窒素ガスを導入し、0.5時間撹拌した。このフラスコに、乳化剤(商品名:NIKKOL BC15、日光ケミカルズ製)の6.0質量%水溶液78.0部を滴下して、0.5時間撹拌した。次いで、超音波照射機で超音波を3時間照射することで、混合物を乳化させた。その後、窒素雰囲気下、80℃で4時間重合反応を行った。反応系を25℃まで冷却した後、成分をろ過し、適量の純水を添加して、樹脂粒子1(固形分)の含有量が20.0質量%である樹脂粒子1の水分散液を調製した。
<樹脂1の水溶液の調製>
酸価が150mgKOH/g、重量平均分子量が8,000のスチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体(樹脂1)を準備した。20.0部の樹脂1を、その酸価と等モルの水酸化カリウムで中和し、適量の純水を加え、樹脂1(固形分)の含有量が20.0質量%である樹脂1の水溶液を調製した。
<顔料分散液Kの調製>
顔料(カーボンブラック)10.0部、樹脂1の水溶液15.0部、及び純水75.0部を混合した。この混合物と、0.3mm径のジルコニアビーズ200部とをバッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に入れて、水冷しながら5時間分散させた。その後、遠心分離して粗大粒子を除去し、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過して、顔料の含有量が10.0質量%、樹脂分散剤である樹脂1の含有量が3.0質量%の顔料分散液Kを調製した。
<インクの調製>
下記表1に示す各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、ブラックインクを調製した。なお、アセチレノールE100(商品名)は川研ファインケミカル製の界面活性剤である。
<転写体Aの作製>
織布とアクリロニトリル・ブタジエンゴムからなる多孔質層を積層し、中空微粒子を混合したシリコーンゴムをさらに積層後、加硫を行った。次に、シリコーンゴム100部に対して、シリコーンゴム用の高濃度着色材料であるカーボンマスターバッチを7部混合した混合物を前記多孔質層の表面に積層し、加硫を行うことで基材層を形成した。
ビスコート8F(商品名、大阪有機化学工業社製)72部、ジメチルアミノメチルメタクリレート3部、アロニックスM−305(商品名、東亞合成社製)5部、ウレタンオリゴマー(東亜合成社製、数平均分子量:10000)20部、および光開始剤としてダロキュアー1173(商品名、チバスペシャリティーケミカルズ社製)2部を配合した。これをメチルイソブチルケトンにより10〜20質量%に希釈してコーティング液を得た。次に、前記コーティング液をスピンコートにて前記基材層上に塗布して成膜を行い、UVランプを用いてUV光を露光後、120℃にて2時間加熱を行い、硬化膜である表面層Aを形成した。表面層Aの厚さは5μmであった。これにより、転写体Aを得た。
<転写体Bの作製>
グリシドキシプロピルトリエトキシシランとメチルトリエトキシシランとをモル比1:1で混合し、塩酸を触媒として水溶媒中で24時間以上加熱還流を行い、加水分解性縮合物溶液を得た。前記加水分解性縮合物溶液をメチルイソブチルケトンにより10〜20質量%に希釈し、光カチオン重合開始剤SP150(商品名、ADEKA社製)を固形分に対して5質量%添加して、コーティング液を得た。前記転写体Aの作製における基材層の前処理として、前記基材層の表面にプラズマ処理を行い、塗布性および表面層との密着性を向上させた。次に、前記コーティング液をスピンコートにて前記前処理された基材層上に塗布して成膜を行った。次に、UVランプを用いてUV光を露光後、120℃にて2時間加熱を行い、硬化膜である表面層Bを形成した。表面層Bの厚さは5μmであった。これにより、転写体Bを得た。
<インクジェット記録装置及び画像形成>
図1に示される転写型のインクジェット記録装置を用いて画像を形成した。転写体101には前記方法により作製した転写体Aを用いた。転写体101は支持部材102の表面に固定されていた。
転写体101上に、反応液付与装置103により前記反応液を付与した。その後、インク付与装置104により前記インクを転写体101上に付与し、インク像を形成した。インク付与装置104には、図5に示されるインクジェットヘッドを用いた。該インクジェットヘッドは、エネルギー発生素子と、該素子を内部に備える圧力室と、吐出口とを有する記録素子基板を備え、圧力室内のインクが圧力室の外部との間で循環されるようになっている。インク像のパターンには、記録デューティが100%のベタ画像を1cm×1cmの範囲に形成した100%ベタ画像パターンを用いた。なお、本インクジェット記録装置では、解像度1,200dpi×1,200dpiで1/1,200インチ×1/1,200インチの単位領域に4ngのインク滴を1滴付与する条件を、記録デューティが100%であると定義した。
次に、転写体101上に形成された前記インク像に多孔質体を有する液吸収部材105aを接触させ、前記インク像から液体成分を吸収して除去した。液吸収部材105aには、PTFEからなる延伸フィルムである、平均孔径0.4μm、厚さ100μmの多孔質体と、不織布(商品名:HOP、廣瀬製紙株式会社製)とを熱ラミネートにより積層したものを用いた。液吸収部材105aのガーレ値は5秒であった。この液吸収部材105aをインク像に接触させる前に、エタノール95部、水5部からなる処理液に浸漬させ、浸透させた後、水100部からなる液に置換し、その後液体除去に使用した。前記インク像に対して液吸収部材105aが接触する際の圧力は2.9N/cm(0.3kgf/cm)以上とした。その後、液除去後のインク像に記録媒体108を接触させ、支持部材102と転写用の押圧部材106により液除去後のインク像と記録媒体108とを挟み込むように加圧することで、液除去後のインク像を記録媒体108へ転写させ、画像を形成した。記録媒体108としては、コート紙(商品名:オーロラーコート、日本製紙製、坪量;73.5g/m)を用いた。
<画質評価>
転写体上に形成された液除去前のインク像を光学顕微鏡により観察し、その画像面積を基本画像面積とした。次に、記録媒体108上に形成された最終画像を光学顕微鏡により観察してその面積を算出し、下記式で示される変化率により以下の基準で評価した。結果を表3に示す。
変化率(%)=[(基本画像面積−最終画像面積)/(基本画像面積)]×100
A:変化率が0.5%未満である。
B:変化率が0.5%以上1.0%未満である。
C:変化率が1.0%以上3.0%未満である。
D:変化率が3.0%以上である。
<転写性評価>
転写工程前後の転写体を光学顕微鏡にて観察し、転写前のインク像の面積及び転写後のインク像の残存面積を算出し、下記式で示される記録媒体への転写率により以下の基準で評価した。結果を表3に示す。
転写率(%)=100−(転写後のインク像の残存面積)/(転写前のインク像の面積)×100
A:転写率が95%以上である。
B:転写率が90%以上95%未満である。
C:転写率が80%以上90%未満である。
D:転写率が80%未満である。
(実施例2〜4、比較例1〜3)
インクジェットヘッドのインク循環の有無、インクの粘度、及び転写体を表2のように変更した以外は、実施例1と同様に画像を形成し、評価した。結果を表3に示す。なお、比較例1のインクジェットヘッドは、圧力室内のインクは吐出口のみで外部と連通し、循環しない構成となっていた。また、インクの粘度は樹脂1の配合量を変更することで調整した。樹脂1の配合量の変更に伴い、純水の配合量を変更した。なお、比較例1及び3では、画質評価で良好な結果が得られなかったため、転写性の評価は行わなかった。
100 インクジェット記録装置
101 転写体
103 反応液付与装置
104 インク付与装置
105 液吸収装置
105a 液吸収部材
106 転写用の押圧部材
108 記録媒体
703 インクジェットヘッド
913 吐出口
915 エネルギー発生素子
923 圧力室

Claims (10)

  1. インクを吐出するために利用されるエネルギーを発生する素子と、前記素子を内部に備える圧力室と、前記インクを吐出する吐出口とを有する記録素子基板を備え、前記圧力室内のインクが前記圧力室の外部との間で循環されるインクジェットヘッドにより、転写体上に前記インクを吐出してインク像を形成する工程と、
    前記インク像が形成された前記転写体に記録媒体を接触させて、前記インク像を前記記録媒体へ転写する工程と、
    を有するインクジェット記録方法であって、
    前記インクの粘度が2〜20mPa・sであることを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記転写体の表面がシリコーン系化合物及びフッ素系化合物の少なくとも一方を含む請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記素子が発熱素子であり、前記インクジェットヘッドが前記素子により前記インクを加熱して前記インク内に気泡を発生させ、前記インクを吐出するサーマルインクジェット方式のインクジェットヘッドである請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  4. さらに、前記転写体上に、前記インクと接触して前記インクを高粘度化する反応液を付与する工程を有する請求項1から3のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  5. さらに、前記転写体上の前記インク像に対して液吸収部材を接触させることにより、前記インク像から液体成分の少なくとも一部を除去する工程を有する請求項1から4のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  6. 転写体と、
    インクを吐出するために利用されるエネルギーを発生する素子と、前記素子を内部に備える圧力室と、前記インクを吐出する吐出口とを有する記録素子基板を備え、前記圧力室内のインクが前記圧力室の外部との間で循環され、前記転写体上に前記インクを吐出してインク像を形成するインクジェットヘッドを有するインク付与装置と、
    前記インク像が形成された前記転写体に記録媒体を接触させて、前記インク像を前記記録媒体へ転写する転写用の押圧部材と、
    を有するインクジェット記録装置であって、
    前記インクの粘度が2〜20mPa・sであることを特徴とするインクジェット記録装置。
  7. 前記転写体の表面がシリコーン系化合物及びフッ素系化合物の少なくとも一方を含む請求項6に記載のインクジェット記録装置。
  8. 前記素子が発熱素子であり、前記インクジェットヘッドが前記素子により前記インクを加熱して前記インク内に気泡を発生させ、前記インクを吐出するサーマルインクジェット方式のインクジェットヘッドである請求項6又は7に記載のインクジェット記録装置。
  9. さらに、前記転写体上に、前記インクと接触して前記インクを高粘度化する反応液を付与する反応液付与装置を有する請求項6から8のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  10. さらに、前記転写体上の前記インク像との接触により、前記インク像から液体成分の少なくとも一部を除去する液吸収部材を有する液吸収装置を有する請求項6から9のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
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