JP2019013931A - 溶接鋼管 - Google Patents

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【課題】溶接部のHAZの低温靱性も優れ、溶接金属での成分偏析を抑制して高温割れの発生も防止できる溶接鋼管を提供する。【解決手段】板厚28mm超の鋼板を内外面からサブマージアーク溶接したUOE鋼管である。板厚をt(mm)、溶接ビードの高さをT(mm)とした場合、鋼板の1/4t部における溶接線近接の溶接熱影響部における旧オーステナイトの円相当粒径が94μm以下である。内面溶接の溶接ビードの最下部から母材板厚方向へ1/8T離れた位置での溶接ビードの幅w(mm)が(1)式:w≧8.6mmを満足し、前記最下部から母材板厚方向へ1/8T〜3/8T離れた位置y(mm)における溶接ビードの幅x(mm)が(2)式:x≧(1/0.2234)ln(y/0.3525)および(3)式:1/8T≦y≦3/8Tを満足する。x:溶接ビードの幅(mm)、y:最下部から母材板厚方向へ離れた位置(mm)、T:予盛を含まない溶接ビードの高さ(mm)である。【選択図】図2

Description

本発明は、溶接鋼管に関し、例えばUOE鋼管といった溶接鋼管を製造する際に低入熱化により溶接熱影響部の低温靭性が優れ、かつ低入熱化による管端部の高温割れを防止できることから、例えば、永久凍土を有するような寒冷地や深海に敷設されるパイプラインに用いるのに好適な溶接鋼管に関する。
UOE鋼管が石油,天然ガスパイプラインに使用される鋼管として多用される。近年、UOE鋼管は、深海井戸や寒冷地で用いられることが増加している。このため、UOE鋼管の破壊安全性を高めるために、高強度化や厚肉化(肉厚25mm超)が推進されるとともに、溶接熱影響部Heat Affected Zone(以下、「HAZ」という)には優れた低温靱性が求められる。
しかし、厚肉のUOE鋼管の製造では、溶接の入熱量が不可避的に増加する。このため、HAZの金属組織が粗粒化し、HAZの低温靱性が低下し易くなる。これまでにも、UOE鋼管のHAZの低温靱性を改善する発明が多数提案されている。
例えば、特許文献1には、母材の化学組成および溶接割れ感受性指数Pcmを規定した、耐震性能およびHAZの低温靱性に優れた高強度のUOE鋼管が開示され、特許文献2には、母材および溶接金属の化学組成を規定し、580〜750℃で10分間以上加熱した後に1℃/秒以下の冷却速度で冷却する応力除去焼鈍(SR処理)を施した、SR特性に優れた高強度および高靱性のUOE鋼管の製造方法が開示されている。特許文献1,2により開示された発明は、基本的に、母材の化学組成を規定することにより、HAZの低温靱性を改善する。
一方、特許文献3,4には、ガスシールドアーク溶接およびサブマージアーク溶接を複合的に用いて溶接するという、溶接方法を工夫することによりHAZの低温靱性を改善する発明が開示されている。特許文献3,4により開示された方法では、ガスシールドアーク溶接により熱量を鋼板の板厚方向へ深く投入し、その後にサブマージアーク溶接を行うことにより、HAZの金属組織を微細化し、これにより、HAZの低温靱性を改善する。なお、外面溶接を多層溶接化により1パス当たりの入熱を低減する方法も知られるが、この方法は、溶接能率が通常の倍以上に悪化するために製造コストが嵩み、量産の溶接工程としては適用し難い。
さらに、特許文献5には、サブマージアーク溶接部のフュージョンラインを特定の形状に制限することにより、HAZの低温靱性を向上する方法が開示されている。
特開2009−235460号公報 特開平8−269566号公報 特許第5521632号公報 特許第5515850号公報 特開2016−150364号公報
UOE鋼管を製管する際の溶接は、生産効率の観点から通常内外面1パスで行われる。このとき、板厚の厚い母材を溶接(厚肉溶接)して製管する場合には、溶け込み深さを深くする(溶接ビードの高さを高くする)必要がある。厚肉化による溶け込み深さの増加に伴って溶接の入熱量が増加し、結果としてビード形状も大きくなる傾向にある。このため、厚肉溶接では入熱の増加により、HAZの金属組織が粗粒化し、HAZの低温靱性が低下する。
入熱量を低く抑制しながら溶け込み深さ(溶接ビード高さ)を確保するために、溶接ビードを縦長形状に形成して溶接ビードの幅を狭くすることが考えられる。しかし、この手法により溶接ビードを形成すると、溶接ビード形状が縦長になることにより溶接金属に成分偏析が発生し、高温割れ(本明細書では「ホットクラック」ともいう)と呼ばれる溶接割れが発生する。特に高温割れは、内面溶接側で発生し易く、ラインパイプの破断原因になり得る重大な溶接欠陥となる。また、高温割れが発生すると、溶接鋼管の機械的性能も当然著しく低下する。したがって、これまで、この手法によるHAZの低温靱性の改善は実際には行われていない。
本発明は、従来の技術が有するこの課題に鑑みてなされたものであり、溶接ビードを縦長形状に形成してビード幅を狭くすることにより入熱量を低く抑制しながら溶け込み深さを確保することによりHAZの低温靭性を改善する手法をベースとし、さらに、溶接金属における成分偏析を抑制して高温割れの発生も防止できる、HAZの低温靱性に優れた溶接鋼管を提供することを目的する。
入熱量を抑制して溶接ビードを母材板厚方向へ縦長形状とすれば、入熱量の抑制によりHAZに与える吸収エネルギーの低下、すなわち靭性の低下を防止できるものの、溶接ビードが縦長形状になることにより溶接金属の内部に成分偏析が発生し、特に内面溶接部に高温割れ(ホットクラック)と呼ばれる溶接割れが発生し易くなる。
本発明者は、本発明に係る溶接鋼管の溶接ビードの概要を示す説明図である図1に示すように、溶接ビードにおける高温割れ(ホットクラック)が発生する位置の近傍における溶接ビードの形状を特定の形状に変更すること、具体的には、溶接ビードにおける高温割れ(ホットクラック)が発生する位置の近傍の幅を増加させて、いわば縦長形状ビードから寸胴形状ビードに変更することにより、鋼管の内外面からの溶接金属が接触する部分(メタルタッチ部)で互いに溶け込ませる量を増加させることに想到した。
そして、内面溶接条件および開先条件を種々検討し、内面1パスにつき数本の電極で行うサブマージアーク溶接の第1〜3電極の溶接条件を変更し、さらに開先条件を変更することにより、高温割れ(ホットクラック)の母材板厚方向の発生位置の近傍の溶接ビードの幅を拡大することができ、これにより、HAZの低温靱性に優れ、かつ高温割れが発生しない溶接鋼管を得られることを知見し、本発明を完成した。
本発明は、以下に記載の条件1〜3を満足することを特徴とする溶接鋼管である。
(条件1)板厚28mm超の鋼板の上下面の端部に開先部を設け、ルートフェイスを近接させて内外面からサブマージアーク溶接した溶接接合部を有する溶接鋼管である。
(条件2)鋼板の板厚をt(mm)とした場合の、鋼板の1/4t部における溶接線近接の溶接熱影響部における旧オーステナイトの円相当粒径が94μm以下である。
(条件3)溶接により形成された溶接ビードの高さ(母材板厚方向の長さ)をT(mm)とした場合の、内面溶接の溶接ビードの最下部から母材板厚方向へ1/8T離れた位置(1/8T部)での溶接ビードの幅w(mm)が下記(1)式を満足し、最下部から前記母材板厚方向へ1/8T〜3/8T離れた位置(1/8T部〜3/8T部)における溶接ビードの幅x(mm)が(2)式および(3)式を満足する。
x≧8.6mm ・・・・・(1)
x≧(1/0.2234)ln(y/0.3525) ・・・・・(2)
1/8T≦y≦3/8T ・・・・・(3)
ただし、
x:溶接ビードの幅(mm)
y:最下部から母材板厚方向に離れた位置(mm)
T:予盛を含まない溶接ビードの高さ(mm)
である。
本発明によれば、HAZの低温靱性に優れ、かつ重篤な溶接欠陥となり得る高温割れの発生を防止できることから、例えば深海井戸や永久凍土を有するような寒冷地でのラインパイプに用いるのに好適な、例えばUOE鋼管等の溶接鋼管を提供できる。
図1は、本発明に係る溶接鋼管の溶接ビードの概要を示す説明図である。 図2は、本発明に係る溶接鋼管の溶接ビードの母材板厚方向の位置を示す説明図である。 図3は、内面溶接の溶接ビード1/8T部でのビード幅と、管端でのホットクラックの発生率との関係を示すグラフである。 図4は、内面溶接の溶接ビード2/8T部でのビード幅と、管端でのホットクラックの発生率の関係を示すグラフである。 図5は、内面溶接の溶接ビード3/8T部でのビード幅と、管端でのホットクラックの発生率の関係を示すグラフである。 図6は、内面溶接の溶接ビード4/8T部でのビード幅と、管端でのホットクラックの発生率の関係を示すグラフである。 図7は、内面溶接の溶接ビード5/8T部でのビード幅と、管端でのホットクラックの発生率の関係を示すグラフである。 図8は、内面溶接の溶接ビード6/8T部でのビード幅と、管端でのホットクラックの発生率の関係を示すグラフである。 図9は、内面溶接の溶接ビード7/8T部でのビード幅と、管端でのホットクラックの発生率の関係を示すグラフである。 図10は、内面溶接の溶接ビード8/8T部でのビード幅と、管端でのホットクラックの発生率の関係を示すグラフである。
本発明を、添付図面を参照しながら説明する。なお、以降の説明では、溶接鋼管がUOE鋼管である場合を例にとるが、本発明の適用対象は、溶接接合部の欠陥を回避するという本発明の作用効果に照らせば、UOE鋼管に限られるものではなく、鋼板をサブマージアーク溶接して得られる溶接鋼管であれば等しく適用される。
本発明に係るUOE鋼管は上述した条件1〜3を具備する。
(1)条件1
本発明に係るUOE鋼管は、溶接接合部を有する。溶接接合部は、板厚28mm超の鋼板の上下面の端部に開先部を設け、ルートフェイスを近接させて内外面からサブマージアーク溶接することにより、形成される。
開先部は、通常のように、鋼板の側面からみて三角形に切削して形成される。
鋼板を筒状にして内外面からサブマージアーク溶接を行う際には、通常、内面溶接を行った後に外面溶接を行う。このとき、内面溶接により形成された溶接ビード(内面ビード)にかかるように外面溶接により溶接ビード(外面ビード)が形成され、溶接接合部となる。
内面ビードの部位であって、さらに外面溶接により重複されて形成された部位(内外面から溶接により形成された溶接ビードの重複部)を一定量確保することにより、UOE鋼管の信頼性が向上するだけでなく、内面溶接により生じた成分偏析を一部解消できる。内面ビードおよび外面ビードの重複部の厚さを、板厚方向へ2〜4mm確保することが好ましい。
ここで、板厚28mm超の鋼板を素材とする理由を説明する。すなわち、板厚が厚くなると、厚肉化による溶け込み深さの増加に伴って入熱が増大し、溶接ビードの形状も大きくなる傾向にある。このため、厚肉溶接では入熱の増加により母材のHAZの結晶粒が粗大化し、HAZの低温靱性が低下する。特に、28mm超の鋼板ではHAZの低温靱性の低下が顕著になる。このため、鋼板の板厚は28mm超とする。板厚の上限は特に限定はしないが、実際に製造可能な範囲を考慮すると鋼板の板厚は40mm以下である。
(2)条件2
鋼板の板厚をt(mm)とした場合の、鋼板の1/4t部における溶接線近接の溶接熱影響部における旧オーステナイトの円相当粒径が94μm以下である。
一般的には、母材の板厚が厚いほど入熱量を増大させてサブマージアーク溶接を行う。このとき、入熱量が大きいほど、HAZはより高温に達し、変態生成するオーステナイトの粒径はより大きくなる。溶接後、HAZは冷却され相変態することになるが、HAZ組織の結晶粒は生成したオーステナイトの粒径(旧オーステナイト粒径)に概ね依存する。
本発明では、入熱量の抑制によりHAZの低温靭性の低下を防止することを前提として、通常よりも低い入熱量で溶接する。鋼板の化学組成や板厚等にもよるが、概ね、内面溶接:5.6kJ/mm以下の入熱量(通常6.5〜6.9kJ/mm程度)、外面溶接:5.4kJ/mm以下の入熱量(通常6.3〜6.7kJ/mm程度)で溶接したときのHAZの調査結果によれば、入熱の影響を最も受けると考えられる1/4t部(板厚表面から1/4t離れた部位)の溶接線近接のHAZにおける旧オーステナイト(溶接線に接する旧オーステナイト粒)の円相当粒径が94μm以下であることにより、HAZの低温靭性は低下しない。したがって、鋼板の1/4t部における溶接線近接のHAZにおける旧オーステナイトの円相当粒径は94μm以下である。
なお、UOE鋼管の内外面および溶接ビード(内面ビードおよび外面ビード)を挟んで左右のいずれかの旧オーステナイトの円相当粒径が94μm超であるとその部分でHAZの低温靭性が低下する。このため、表裏面(鋼管内外面)および溶接ビードを挟んで左右について、溶接線の近接のHAZにおける旧オーステナイトの円相当粒径は94μm以下である。また、旧オーステナイトの円相当粒径が小さいほどHAZの低温靭性は向上するため、旧オーステナイトの円相当粒径の下限は特に規定しないが、通常は40μm以上である。
(3)条件3
溶接により形成された溶接ビードの高さ(母材板厚方向の長さ)をT(mm)とした場合の、内面溶接の溶接ビードの最下部から母材板厚方向へ1/8T離れた位置での溶接ビードの幅w(mm)が下記(1)式を満足し、前記最下部から母材板厚方向へ1/8T〜3/8T離れた位置y(mm)における溶接ビードの幅x(mm)が(2)式および(3)式を満足する。
w≧8.6mm ・・・・・(1)
x≧(1/0.2234)ln(y/0.3525) ・・・・・(2)
1/8T≦y≦3/8T ・・・・・(3)
ただし、xは溶接ビードの幅(mm)、yは最下部から母材板厚方向へ離れた位置(mm)、Tは予盛を含まない溶接ビードの高さ(mm)である。
高温割れは、内面溶接または外面溶接の両方で発生し得るが、より発生し易いのは内面溶接である。このため、内面ビードでの成分偏析を抑制して高温割れを防止するために、内面ビードのビード幅に着目する。少なくとも外面溶接金属の溶接線のプロフィールも内面溶接金属の溶接線のプロフィールと同等になれば、内外面から溶接した溶接線全体として高温割れを防止することができると考えられる。
図2は、本発明に係るUOE鋼管の溶接ビードの母材板厚方向の溶け込み位置を示す説明図である。
様々に溶接条件(板厚、開先形状、入熱量、溶接速度)を変化させ、内面ビードの溶接線(溶接ビードの幅)のプロフィールを調査した。より具体的には、採取したサンプルについては、内面ビードの最下部から母材板厚方向へ離れた位置8箇所(1/8T部〜8/8T部)の溶接ビードの幅と管端でのホットクラックの発生率との相関を調査した。
図3〜10は、それぞれ、内面ビードの1/8T〜8/8T部での溶接ビードの幅と、管端でのホットクラックの発生率との関係の調査結果を示すグラフである。
図3〜5のグラフに示すように、1/8T〜3/8T部での溶接ビードの幅が増加するにつれて、管端でのホットクラックの発生率は低減される傾向にある。これに対し、図6〜10のグラフに示すように、4/8T〜8/8T部(溶接ビードの表層側)での溶接ビードの幅の増加と、管端でのホットクラックの発生率とには関連性は認められない。
図3〜10のグラフに示す結果から、1/8T部〜3/8T部の溶接ビードの幅とホットクラックとの間には相関関係があり、溶接ビードの幅が太いほどホットクラックの発生が抑制される傾向にある。1/8T部での溶接ビードの幅w≧8.6mm、2/8T部での溶接ビードの幅≧11.2mmかつ3/8T部の溶接ビードの幅≧12.6mmの条件を充足すると、高温割れが生じない。これに対し、図6〜10のグラフに示すように、4/8T部〜8/8T部での溶接ビードの幅とホットクラックとの間には相関関係は認められない。
1/8T部の溶接ビードの幅w≧8.6mm、2/8T部の溶接ビードの幅≧11.2mm、3/8T部の溶接ビードの幅≧12.6mmの条件を満足することにより高温割れが生じない理由は、成分偏析が発生し易い溶接金属の底面部における溶接ビードの幅を増加させることにより、溶接金属内での偏析がその分散および緩和され、内面ビードの偏析が緩和され、これにより、高温割れの発生が抑制されると推定される。また、内面ビードの幅自体を溶接金属の底面部の近傍から広く確保することにより、溶接金属自体の締結力を増大することもできる。
そこで、内面溶接の溶接ビードの最下部から母材板厚方向へ1/8T〜3/8T離れた位置(1/8T〜3/8T部)の溶接ビードの幅に着目する。
溶接ビードの高さT、すなわち溶接ビードの肉厚は、UOE鋼管に用いる鋼板の板厚や溶接条件などによる。このため、様々な板厚でUOE鋼管を製造し、高温割れの発生が5%以下であった溶接ビードの1/8T〜3/8T部における溶接ビードの幅を調査して溶接ビードの位置と溶接ビードの幅の関係を整理および一般化した。
その結果、1/8T部〜3/8T部(1/8T≦y≦3/8T)での溶接ビードの幅xが、x≧(1/0.2234)ln(y/0.3525)を満たすビード形状であるときに、高温割れの発生率を低減されることが判明した。ただし、yは最下部から母材板厚方向へ離れた位置(溶接ビードの深さ位置)である。
また、この式を満足しても、溶接ビードの形状を溶接ビードの底面部から幅広にしておくことが必要である。前述の板厚28.5mmの鋼板による調査から28mm超の鋼板を用いる場合は、溶け込み位置1/8T部での溶接ビードの幅wは8.6mm以上である。
なお、溶接ビードの幅w、xが大きいほど成分偏析を低減できるため、溶接ビードの幅w、xの上限は規定しない。しかし、溶接効率などを考えると、1/8T〜3/8T部での溶接ビードの幅xは通常20mm以下である。特に通常1/8T部での溶接ビードの幅wは15mm以下である。
炭素当量Ceqが0.41質量%である0.06質量%Cの厚鋼板(板厚28.5〜40mm)を用意し、UOE鋼管の製造を想定して、厚鋼板の上下面に対象に開先を切削し、上下面からサブマージアーク溶接を行った。
溶接ワイヤには、各電極にソリッドワイヤ(日鐵住金溶接工業株式会社製)を用い、フラックスには溶融型フラックス(同社製)を用いた。溶接ワイヤの組み合わせを表1に示す。
また、表2に示す溶接条件により、開先および内面溶接側(先に溶接した側)の溶接金属の形状(溶接ビード形状)を種々変化させて溶接継手を製造した。なお、外面溶接側(後に溶接した側)に関しては入熱量を5.2〜5.4kJ/mmとほぼ固定して溶接を行った。
Figure 2019013931
Figure 2019013931
溶接した後の継手部のビード形状についてマクロサンプル採取を行い、サンプルをエッチングし、内面溶接側の溶接ビード(内面ビード)の高さTを測定するとともに、母材板厚方向に8段階に分割し、最下部から1/8T,2/8T,3/8T離れた各位置(1/8T部,2/8T部,3/8T部)の内面ビードの幅を測定した(図2も参照)。
また、溶接部を超音波探傷試験およびX線撮影を行うことにより高温割れの有無を確認した。ここで、高温割れの有無は、超音波探傷試験およびX線撮影の両方で高温割れがないことを基準に判定した。
さらに、継手部の母材1/4t部の場所からミクロ組織観察用試料を採取し、板厚方向断面を鏡面研磨およびエッチングした後に光学顕微鏡で写真撮影を行い、得られた画像解析により溶接線の近接のHAZにおける旧オーステナイトの円相当粒径を算出した。ここで、旧オーステナイトの円相当粒径は、母材表裏面および溶接ビードを挟んで左右の溶接線の母材1/4t部における溶接線の近接の旧オーステナイト粒10個(計40個)について測定を行い、その平均値を旧オーステナイトの円相当粒径とした。
表3に、製造した溶接継手の余盛りを含まない内面ビードの高さ、内面ビードの幅、HAZにおける旧オーステナイト円相当粒径および高温割れ発生率を示す。なお、同じ条件で製造した溶接継手でも内面溶接ビードの溶け込み深さ、溶接ビードの幅にはばらつきがあったため、表3中には同じ条件で製造した溶接継手の測定平均値を示し、特に高温割れ(表3中の高温割れ発生率)に関しては、同条件で製造したUOE鋼管の全数に対する高温割れが発生した本数割合を示した。表3における下線は、本発明の範囲外であること、HAZの低温靱性が良好でないこと、または高温割れが発生したことを示す。
Figure 2019013931
なお、外面ビードについてもビード高さおよびビード幅に関しても、同様の測定を行ったが、母材板厚が同じ実施例(No.1〜14)のサンプルについてほぼ固定して外面溶接を行い、似たようなプロフィールを有する外面ビードが形成されたため、代表的なサンプルのみを測定するに留めた。また、母材板厚が35mm以上の実施例(No.15,16)のサンプルについては特に測定はしなかった。測定を行った実施例(No.1〜14)のサンプルについての外面ビードの高さTは19.5〜19.8mmであり、1/8T部の外面ビードの幅は10.78〜10.85mmであり、2/8T部の外面ビードの幅は13.09〜13.18mmであり、3/8T部の外面ビードの幅は14.32〜14.45mmであった。
表3に示すように、本発明の規定を全て満足する本発明例(No.11,No.15およびNo.16)は、高温割れ発生率が0%であった。
一方、本発明の規定を満足しない比較例(No.1〜10,12〜13)は、高温割れの発生率が高かった。また、特にNo.14は、高温割れ発生率はゼロであったものの、HAZにおける旧オーステナイト円相当粒径が100μmを超え、HAZの低温靭性の低下が懸念されたことから、No.14も含め数点のサンプルについて、内面溶接側の母材の1/4t部の溶接線位置における−20℃における吸収エネルギーを測定した。その結果、No.14は吸収エネルギーの値が83J(3点平均)しかなく、HAZの低温靭性が不足した。
一方、本発明例(No.11,No.15およびNo.16)は、吸収エネルギーの値がいずれも200J以上(各サンプルの3点平均)となり、HAZの低温靭性も良好であった。

Claims (1)

  1. 板厚28mm超の鋼板の上下面の端部に開先部を設け、ルートフェイスを近接させて内外面からサブマージアーク溶接した溶接接合部を有する溶接鋼管であって、
    鋼板の板厚をt(mm)、溶接により形成された溶接ビードの高さをT(mm)とした場合、
    鋼板の1/4t部における溶接線近接の溶接熱影響部における旧オーステナイトの円相当粒径が94μm以下であり、
    内面溶接の溶接ビードの最下部から母材板厚方向へ1/8T離れた位置での溶接ビードの幅w(mm)が下記(1)式を満足し、前記最下部から母材板厚方向へ1/8T〜3/8T離れた位置y(mm)における溶接ビードの幅x(mm)が(2)式および(3)式を満足する、溶接鋼管。
    w≧8.6mm ・・・・・(1)
    x≧(1/0.2234)ln(y/0.3525) ・・・・・(2)
    1/8T≦y≦3/8T ・・・・・(3)
    ただし、
    x:溶接ビードの幅(mm)
    y:最下部から母材板厚方向へ離れた位置(mm)
    T:予盛を含まない溶接ビードの高さ(mm)
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