JP6455210B2 - 低温靱性に優れたuoe鋼管 - Google Patents

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Description

本発明は、厚鋼板をプレス成形し、鋼板の端部同士をサブマージアーク溶接した後、拡管して製造されるUOE鋼管に関し、特に、溶接熱影響部(以下、「HAZ」と略記する)の靭性を改善し、ラインパイプ等に用いるのに好適なUOE鋼管に関する。
ラインパイプ等に用いるUOE鋼管は、厚鋼板をプレスによりC成形、U成形、O成形して円筒状に成形した後、端部溶接部(シーム部)を通常内外面から1パスずつサブマージアーク溶接(SAW)して製管することにより製造される。
昨今、UOE鋼管は、深海井戸や寒冷地で用いられることが多くなってきたことから、UOE鋼管の厚肉化(肉厚30mm超)が進んでいるとともに、HAZにおいて低温靱性が求められるようになってきた。しかし、厚肉のUOE鋼管の製造では溶接の入熱量が大きくなるため、HAZが粗粒化し、靭性低下が起こり易くなる。
これまでにも、UOE鋼管のHAZの低温靭性を改善する発明が多数提案されている。例えば、特許文献1には、母材の化学組成及び焼入れ性指数Pcmを規定したUOE鋼管の発明が開示されている。また、特許文献2には、母材および溶接金属の化学組成を規定し、580〜750℃で10分間以上加熱した後に1℃/秒以下の冷却速度で冷却する応力除去焼鈍を施したUOE鋼管の発明が開示されている。これらの発明は、基本的に、母材の化学組成を規定することによりHAZの低温靭性の改善を図るものである。
一方、溶接方法によりHAZの低温靭性を改善する発明として、特許文献3,4には、ガスシールドアーク溶接とサブマージアーク溶接とを複合的に用いて溶接する方法が開示されている。これらの方法では、ガスシールドアーク溶接により熱量を鋼板の板厚方向深く投入し、その後にサブマージアーク溶接を行うことにより、HAZ組織の微細化を図り低温HAZ靭性を改善する。
特開2009−235460号公報 特開平8−269566号公報 特開2010−221297号公報 特開2010−221298号公報
UOE鋼管を製管する際の溶接は、生産効率の観点から通常内外面1パスで行われる。このとき、厚肉材を溶接する場合には、溶け込み深さを深くする必要がある。厚肉化による溶け込み深さの増加に伴い、板厚方向(ビード中心線)に対して角度が小さい溶接線(FL;Fusion Line)が形成され易くなる。このため、FLが母材深さ方向に平行に延びた形状となり、HAZの脆化領域が直線状に形成される。こうしたFL形状の場合、UOE鋼管が外面から衝撃をうけたとき、亀裂が鋼管内面に向かってFLに沿って直線的に伝播・形成されて吸収エネルギーが低下し易くなり、小さな衝撃でもUOE鋼管に破断が生じ易い傾向があった。
本発明は、厚鋼板の端面に開先を設けて両面からサブマージアーク溶接することにより形成したUOE鋼管の接合部のFLの形状を特定形状にすることにより、低温HAZ靭性に優れたUOE鋼管を提供することを目的とする。
本発明者らは、FLを母材深さ方向に垂直方向に延びた形状(いわゆる溶接接合部を断面から見たときFLが寝ていること)とすることで、亀裂の伝播経路を長くして、吸収エネルギーの低下を防ぐことを考えた。しかしながら、FLを母材深さ方向に垂直方向に延びた形状とすると、鋼管の内外面から溶接した溶接金属が接触せず、接合部が十分継合できなくなることから、UOE鋼管の接合部で破壊が起こり易くなる。
そこで、亀裂の伝播経路を長くする機能を厚鋼板の表面近傍部に持たせるとともに、厚鋼板の表面から離れた部分ではFLを母材深さ方向に延びた形状(いわゆる溶接接合部を断面から見たときFLが立っていること)にし、鋼管の内外面からの溶接金属が接触する部分(メタルタッチ部)を互いに溶け込ませ、溶接接合部の破断を防止することに想到した。
そして、溶接条件を種々検討した結果、1パスにつき数本の電極で行うサブマージアーク溶接の第1電極の溶接条件を変更することによりFLの形状を所望の形状に変化させることができ、鋼管の外面の表層部から7mm以内の領域に、亀裂の伝播経路を長くする機能を持たせることができ、これにより、HAZでの低温靭性に優れた厚肉のUOE鋼管を得ることができることを知見して、本発明を完成した。
本発明は、厚みが30mm超の鋼板の上下面の端部に開先部を設けルートフェイスを近接させて内外面からサブマージアーク溶接した溶接接合部を有するUOE鋼管であって、外面の表層部から7mm位置での溶接線の接線(本明細書ではFL接線と略記する)と母材の外表層とがなす角度θ1が55〜84°であり、外面の表層部から7mm位置でのFL接線と、外面の表層部から3mm位置でのFL接線とがなす角度θ2が30〜40°であるとともに、内外面から形成された溶接金属のFLの2つの会合点を結んだ線の中央の点と、前記中央の点を通りかつ板厚方向に平行な直線、および外面から形成された溶接金属のFLの交点の間の距離twが0.5mm以上であることを特徴とするUOE鋼管である。
本発明によれば、溶接熱影響部の低温靭性に優れることから、例えば永久凍土を有するような寒冷地に設けられるパイプラインに用いるのに好適なUOE鋼管を提供することができる。
図1は、本発明における角度θ1,θ2を示す説明図である。 図2は、本発明における溶接接合部を示す説明図であり、図2(a)はFLが左右で略同じである場合を示し、図2(b)はFLが左右で異なる場合を示す。 図3は、鋼板の上下面の端部に設けられる溶接開先部を示す説明図である。 図4は、板厚38mmの供試材からのシャルピー衝撃試験の採取位置の一例を示す写真である。
本発明に係るUOE鋼管を説明する。
図1は、本発明における角度θ1,θ2を示す説明図である。図2は、本発明における溶接接合部3を示す説明図であり、図2(a)はFLが左右で略同じである場合を示し、図2(b)はFLが左右で異なる場合を示す。さらに、図3は、鋼板2の上下面2a,2bの端部に設けられる溶接開先部2c,2dを示す説明図である。
(1)本発明に係るUOE鋼管1の溶接接合部3
本発明に係るUOE鋼管1は、図1,3に示すように、厚みが30mm超の鋼板2の上下面2a,2bの端部にそれぞれ、鋼板2の上下面を横から見て三角形に切削した形状の開先部2c,2dを設けルートフェイス2eを近接させて内外面からサブマージアーク溶接して得られる、図2に示す溶接接合部3を有する。
30mm超の鋼板2を素材とする理由は、板厚が厚くなると、上述したように、FLが母材深さ方向に平行になり易く、FLの形状の観点からも溶接接合部3の靭性低下が起こり易くなるからである。また、溶接接合部3では溶接による入熱により、結晶粒が大きく成長し(粗粒部を形成し)、靭性が悪化する。板厚の増加に伴い、溶接入熱が増加する傾向にあり、30mm超の鋼板2を溶接する場合に入熱の増加による溶接接合部3の靭性低下が顕著になる。このため、このような問題が起こり易い、板厚30mm超の鋼板2を用いて製造されるUOE鋼管1を提供するために、本発明では鋼板2の板厚を30mm超とする。
(2)本発明に係るUOE鋼管1の角度θ1:55〜84°
本発明に係るUOE鋼管1の外面の表層部1aから7mm位置1bでのFL接線L1と母材外表層1aとがなす角度θ1は、55°以上84°以下である。
角度θ1を55〜84°とする理由は、溶接により形成される粗粒部はFLに沿って形成されるが、特にFLを板厚断面からみた場合、FLが母材深さ方向に実質的に直線状に形成される、すなわち表層部1aから7mm位置1bでのFL接線L1と母材表層1aとがなす角度θが84°超である場合には、粗粒部も母材深さ方向に沿って実質的に直線状に形成される。このため、破壊進展経路が直線状に形成されて破壊進展抵抗が減少するために靭性が低下する。このため、角度θ1は84°以下とする。同様の観点から角度θ1の上限は80°とすることが好ましく、75°とすることがより好ましい。
一方、角度θ1が小さい場合には、溶融断面積が増加し、溶接接合部3の余盛り高さが低下する。これにより、余盛り高さが母材表面1aよりも低くなるアンダービードと呼ばれる溶接欠陥が発生する。また、角度θ1が小さい場合には、30mm超という厚手の鋼板2では十分深く溶接することができず、UOE鋼管1の母材の中央部近傍に溶け込み不足が生じ、破壊の起点となり得る。このため、角度θ1は55°以上とする。同様の観点から、角度θ1の下限は60°とすることが好ましく、65°とすることがより好ましい。
(3)本発明に係るUOE鋼管1の角度θ2:30〜40°
本発明に係るUOE鋼管1の外面の表層部1aから7mm位置1bでのFL接線L1と、外面の表層部1aから3mm位置1cでのFL接線L2とがなす角度θ2は、30°以上40°以下である。
角度θ2を30〜40°とする理由は、角度θ2を規定することは、FLを板厚断面から見た場合にFLが2段に屈曲した形状を有することを意味する。言い換えれば、FLの傾きが、外面の表層部1aから7mm位置1bの近傍と3mm位置1cの近傍とで異なる。これは、以下の2つの理由による。
1点目の理由としては、鋼板2の表面近傍部(3mm位置1cの近傍)のFLを寝かせて、亀裂の伝播経路を長く確保して吸収エネルギーの低下を防止するためである。また、2点目の理由としては、FLが母材の深さ方向全体に亘り、直線的に形成されると、溶接時の入熱がビード(溶接金属)の幅方向に分散せず、FL近傍での熱滞留が発生し、粗大粒が形成され易くなる。ビードの表層部でビード幅を増加させ、FL形状を角度θ1との関係で2段に屈曲した形状とすることにより、ビード幅方向に入熱を分散させることが可能となり、粗粒部の形成領域を減少させることができる。
すなわち、上述のように角度θ1を55〜84°とするとともに、母材表層部1aから3mm位置1cでのFL接線と表層1aから7mm位置1bでのFL接線とがなす角度θ2を30°より大きくすることにより、粒径が小さくかつFLの長い溶接接合部の形成が可能になる。
一方、角度θ2が40°超となると溶融断面積が大きくなり、アンダービードと呼ばれる溶接欠陥が発生し易くなる。アンダービードが発生した場合には、出荷先の要求を満足できず出荷できないことにもなり得る。
以上の理由により、角度θ2は30〜40°の範囲とする。こうしたビード幅方向への入熱分散は溶接条件の電流・電圧の調整により、母材表層部から3mm程度の位置で幅の広い溶接金属部3を形成することにより可能である。
なお、表層部から7mm位置1bでのFL接線、表層部から3mm位置1cでのFL接線に着目した理由は、以下の通りである。
通常、溶接接合部3における靭性特性を調査する場合、シャルピー衝撃試験では、母材の表層1aから2〜12mmの部分(表層部1aから7mm位置1bでのFL接線の部分)から試料を切り出して行う。このめ、FL接線の基準の一つを「表層部1aから7mm位置1bでのFL接線」とした。
一方、本発明のような、いわゆる2段に屈曲した形状のFLが形成される場合の段となる部分(屈曲部)は、通常、表層部1aから3〜7mmの位置に形成されることから、もう一つのFL接線の基準を「表層部1aから3mm位置1cでのFL接線」とした。
(4)本発明に係るUOE鋼管1の距離tw:0.5mm以上
図2(a)および図2(b)に示すように、本発明に係るUOE鋼管1の内外面から形成された溶接金属3のFLの2つの会合点4,5を結んだ線L3の中央の点6と、点6を通りかつ板厚方向に平行な直線、および外面から形成された溶接金属のFLの交点7との間の距離twは0.5mm以上である。
本来であれば、内外面から形成されたFLの溶接接合部3の中央部におけるFL間の距離を1.0mm以上と規定すべきであるが、内外面から溶接をすると、一方のFLは、続いて溶接されて形成されるもう一方のFLにより消されてしまう。仮想線を引くことも可能であるものの定義を明確にするために、上記のように距離twを規定する。
距離twを0.5mm以上と規定すると、溶接金属3の溶け込み部は実質的に1.0mm以上確保されると考えられる。
本発明では、上述したように、UOE鋼管1の外面の表層1aから3mm程度のごく表層の位置で破壊進展を抑制するとともに、外面の表層1aから7mm以上のところでは、溶接接合部3を断面から見た場合に比較的FLが立っていてもよいとしている。薄手の鋼板を溶接してUOE鋼管を製造する場合は溶接の溶け込み深さが鋼板厚の半分まで届くので問題は生じない。
しかしながら、厚みが30mm超の厚手の鋼板2を溶接してUOE鋼管1を製造する場合、溶接の溶け込み深さが十分でなく、溶け込み深さが鋼板2の板厚の半分に届かず、溶接接合部3のルートフェイス2eを溶融させることなく溶接接合部3が形成される場合もある。このような場合、溶接接合部3の中央部には空洞が形成されることになり、破壊の原因となる。よって、厚みが30mm超の厚手の鋼板2を溶接してUOE鋼管1を製造する場合には、内外面からの溶接金属同士の溶け込みが重要となる。この溶け込み量が小さいと、すなわち、内外面から形成された溶接金属のFLの2つの会合点4,5を結んだ線L3の中央の点6と、点6を通りかつ板厚方向に平行な直線、および外面1aから形成された溶接金属のFLの交点と、の間の距離twが0.5mm未満であると、溶け込みが不十分であり、UOE鋼管1の破壊の原因となる。よって、距離twは0.5mm以上とする。特に距離twの上限は規定しないが、溶接した場合、同距離の最大値は5mm程度である。
炭素当量Ceqが0.4%である0.06質量%Cの厚鋼板(板厚39mm)を用意し、上下面に対称に開先深さ15mm,開先角度30°の開先を形成してサブマージアーク溶接を施した。
溶接ワイヤには各電極ともにソリッドワイヤを用い、フラックスには溶融型フラックスを用いた。また、下面(鋼管内面相当)の溶接はすべての供試材において入熱量7.8kJ/mm,溶接速度0.8m/sとするとともに、溶接により形成されるFLの角度を変化させるために、上面(鋼管外面相当)の溶接は、供試材ごとに4つある電極のうち第1電極(溶接進行方向の最先の電極)の電流・電圧を変化させて入熱量を7.5〜8.5kJ/mmに調整し、溶接速度1.0m/sで行い、5種の溶接接合部を製造した。
溶接した供試材は、溶接金属の溶け込み形状を確認するために、切断して断面観察により、
(a)表層部から7mm位置でのFL接線と母材表層とがなす角度θ1、
(b)表層部から7mm位置でのFL接線と表層部から3mm位置でのFL接線とがなす角度θ2、および
(c)内外面から形成された溶接金属のFLの2つの会合点を結んだ線の中央の点と、上記中央の点を通りかつ板厚方向に平行な直線、および外面から形成された溶接金属のFLの交点の間の距離tw
を測定した。
なお、溶接断面によるばらつきをなくすために、同じ供試材で5箇所の溶接断面を観察し、各溶接断面における角度θ1,角度θ2,距離twの平均値を、それぞれ角度θ1,角度θ2,距離twとして求めた。
一方、供試材は、引張試験、シャルピー衝撃試験を行うとともに、亀裂伝播経路観察を行った。各試験・観察の条件については以下のとおりである。
(A)引張試験
各条件での外面および内面の溶接金属中央部よりA2号JIS引張試験片を採取し、引張試験を実施した。試験温度は常温とした。
(B)シャルピー衝撃試験
図4は、板厚38mmの供試材からのシャルピー衝撃試験の採取位置の一例を示す写真である。
各条件での外面の溶接金属中央部、外面の表層7mm位置のFL部、会合部(外内面の溶接金属の溶け込み部)のFL部、会合部のFL部から0.5mm母材側へとシフトした位置、会合部のFL部から1.0mm母材側へとシフトした位置、内面の表層7mm位置のFL部、内面の溶接金属中央部より、それぞれシャルピー試験片を採取し、シャルピー衝撃試験を行った。試験温度は−20℃とした。
試験片は、フルサイズ(長さ105mm、幅10mm、各部位・位置を中心として±5mmの高さ10mm)とし、2mmVノッチ加工を施した。なお、表層7mm位置FLおよび会合部FLより試験片を採取する際には、溶接金属:HAZ=50:50となるように採取した。また、測定ばらつきを回避するために、1の供試材に対し3回の試験(ただし、試験に不具合があったものを除く)を行った。
(C)亀裂伝播経路観察
上記シャルピー衝撃試験の一部残材の亀裂伝播経路を観察した。亀裂伝播経路観察はシャルピー衝撃試験片の残材をノッチ加工面を上面にして樹脂に埋め込み、表面から試験片の半分の厚さである5mm深さまで研磨し、その断面を観察することにより行った。
表1に各供試材の角度θ1,角度θ2,距離twを示す。
供試材2,3,5は、本発明で規定する角度θ1,角度θ2,距離twを満足するが、供試材1,4では、角度θ1が84.3°,86.9°と大きく、さらに角度θ2も20°,25°と小さい形状であった。
表2に引張試験の結果を示す。
表2に示すように、どの供試材も外面溶接金属の引張強度は約680MPa程度であるとともに、内面溶接金属の引張強度は約650MPaであり、略同様の引張強度であり、大きな差はなかった。
表3にシャルピー衝撃試験結果を示す。表中、平均吸収エネルギーが100J以下のものに関しては*印を付与した。
表3からわかるように、外面溶接金属中央部、内面溶接金属中央部、内面表層7mmのFL部における吸収エネルギー値は、供試材1〜5間での相違はほとんど認めらない。また、会合部FL近傍(FL〜FL+1.0mm)での吸収エネルギー値も若干ばらつきがあり個別には100Jを下回るものもあるが、概ね各供試材間で相違はなく、平均でいずれも100Jを大きく上回っている。
一方、外面表層7mmのFL部での吸収エネルギー値は供試材間での相違が認められた。すなわち、角度θ1または角度θ2が本発明で規定する範囲を満足していない傾斜の小さなFLの供試材1,4では、100J以下の値が散見されるのに対し、角度θ1および角度θ2が本発明で規定する範囲を満足する傾斜の大きなFLが形成された供試材2,3,5ではこうした吸収エネルギー値は確認されなかった。
また、上記シャルピー衝撃試験結果において外面表層7mmのFL部での各供試材に吸収エネルギーの相違が認められたことから、同位置位置より採取したシャルピー衝撃試験の残材を用い、亀裂伝播経路の調査を行った。調査を行った残材は表3中に#印を付したものであり、吸収エネルギー値が100J以下のもの(代符1−2および4−1と表記)、吸収エネルギー値が150J以上と高いもの(代符2−1、3−1および5−1と表記)を用いた。
表4に亀裂長さの測定結果を示す。
表4より、吸収エネルギー値が低い代符1−2および代符4−1では、全亀裂長さに対し溶接金属内部を伝播する亀裂長さが約22〜24%と、吸収エネルギー値が高い他の代符の亀裂長さ約36〜40%に比べて小さかった。これより、FL形状を制御することにより亀裂伝播経路を変化させることができ、靱性を改善できることがわかる。
実施例1の結果に加え、よりFLがHAZの靱性に及ぼす影響を検討することを目的に、炭素当量Ceqが0.45%である0.07質量%Cの厚鋼板(板厚32mm)を用意し、上下面に対称に開先深さ13mm、開先角度10〜35°の開先を形成してサブマージアーク溶接を施した。
溶接ワイヤには各電極ともにソリッドワイヤを用い、フラックスには溶融型フラックスを用いた。また、下面(鋼管内面相当)の溶接はすべての供試材において入熱量7.8kJ/mm、溶接速度0.8m/sとするとともに、溶接により形成されるFLの角度を変化させるために、上面(鋼管外面相当)の溶接は供試材ごとに4つある電極のうち第1電極(溶接進行方向の最先の電極)の電流・電圧を変化させて入熱量を7.8kJ/mmに調整し、溶接速度1.0m/sで行い、溶接接合部を製造した。
溶接した供試材No.11〜20については、実施例1と同様に、角度θ1,θ2、距離twを測定した。また、供試材は、引張試験を行うとともに、シャルピー衝撃試験を行った。
表5に、各供試材No.11〜20の第1電極電流値,第1電極電圧値,開先角度,角度θ1,角度θ2,距離twをまとめて示す。表6に、各供試材No.11〜20の引張試験の結果を示す。さらに、表7に、外面表層7mmのFL部での各供試材No.11〜20のシャルピー衝撃試験結果を示す。
表5〜7より、本発明で規定する範囲を満足する供試材No.13〜15では、100J以上の平均吸収エネルギー値を示し、低温靭性特性に優れることが分かる。
一方、本発明で規定する範囲を満足しない供試材では、平均吸収エネルギー値が100J未満となる(供試材No.11,12,16,17)か、100Jを超えたものでもアンダービードが発生し(供試材No.18,19)、出荷品として客先要求を満足しないものとなった。さらに、供試材No.20に至っては、角度θ1および角度θ2は満足するものの、距離twが0.2mmと小さかったため、拡管時に溶接部にて割れが発生した。
1 本発明に係るUOE鋼管
1a 表層部
1b 表層部から7mm位置
1c 表層部から3mm位置
2 鋼板
2a,2b 上下面
2c,2d 開先部
2e ルートフェイス
3 溶接接合部
4,5 内外面から形成された溶接金属のFLの2つの会合点
6 直線L3における溶接接合部の中央の点
7 外面から形成された溶接金属のFLにおける溶接接合部の中央の点
L1 7mm位置でのFL接線
L2 3mm位置でのFL接線
L3 会合点4,5を結んだ直線
θ1:7mm位置でのFL接線と母材外表層とがなす角度
θ2:FL接線L1,L2がなす角度
tw 直線L3の中央の点と、上記中央の点を通りかつ板厚方向に平行な直線、および外面から形成された溶接金属のFLの交点の間の距離

Claims (1)

  1. 厚みが30mm超の鋼板の上下面の端部に開先部を設けルートフェイスを近接させて内外面からサブマージアーク溶接した溶接接合部を有するUOE鋼管であって、
    外面の表層部から7mm位置での溶接線の接線と母材の外表層とがなす角度θ1が55〜84°であり、
    外面の表層部から7mm位置での溶接線の接線と、外面の表層部から3mm位置での溶接線の接線とがなす角度θ2が30〜40°であるとともに、
    内外面から形成された溶接金属の溶接線の2つの会合点を結んだ線の中央の点と、前記中央の点を通りかつ板厚方向に平行な直線、および外面から形成された溶接金属の溶接線の交点の間の距離が0.5mm以上であること
    を特徴とするUOE鋼管。
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