JP2019013486A - 血液透析装置 - Google Patents

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正信 阪上
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Abstract

【課題】特殊かつ複雑な制御を省略しつつ、患者の血液中から透析液流通経路中に抜き取られる水分量を正確に把握することができ、運転中の過除水および引残しを未然に防ぐことができる血液透析装置を提供する。
【解決手段】透析膜を有する血液透析要素と、透析液流通経路と、透析液供給室と透析液受入室とを有し、透析液供給室と透析液受入室とを隔てる変位可能な隔壁を有し、透析工程の各ステップを順次実施するために切り替え使用が可能な少なくとも2つの透析液供給・受入要素と、流通ポンプと、透析液給液経路と、使用済透析液排出経路と、除水ポンプと、流通ポンプの吐出側圧力の上限を制御するリリーフ弁と、を有し、あらかじめ取得した系内の圧力特性に基づいて、透析工程の単位ステップにおいて透析液供給室に供給される未使用透析液の体積と透析液受入室から排出される使用済透析液の体積との差として定義される除水誤差変数を推定する血液透析装置。
【選択図】図3

Description

本発明は、血液透析装置に関し、とくに、透析中に患者からの除水が行われる場合、その除水量の精度を向上できるようにした血液透析装置に関する。
血液透析装置は既に広く実用化されており、例えば特許文献1には、透析液供給室と透析液受入室との間に変位可能な隔壁を有する少なくとも2つの透析液供給・受入要素と、血液透析を行う透析液循環路に設けられた循環ポンプと、各透析液供給・受入要素の各透析液供給室に給液ポンプにより未使用透析液を供給する透析液供給経路と、透析液循環路外に除水可能な除水ポンプと、透析液受入室が満杯になった後の、透析液受入室が満杯になる前のベース圧に対する循環ポンプの出側圧力の昇圧代が予め設定した所定の昇圧量になるようにそのときの循環ポンプの出側圧力の上限圧力を制御するリリーフ弁と、を有する血液透析装置において、透析液供給経路に、給液ポンプの出側圧力を任意の圧力に制御可能な圧力制御弁を付設するとともに、除水ポンプの作動のオン・オフに伴う循環ポンプの出側圧力の変動に応じて、透析液供給経路に連通された透析液供給・受入要素の透析液供給室が満杯になった後の給液ポンプの出側圧力を、前記リリーフ弁により制御された循環ポンプの出側圧力の上限圧力に実質的に合わせるべく、前記圧力制御弁を制御可能な制御装置を設けたことを特徴とする血液透析装置が開示されている。
また、特許文献2には、血液流路と透析液流路との間に透析膜を有する血液透析要素と、実質的に閉回路からなり、前記血液透析要素の透析液流路に連通する透析液循環路と、該透析液循環路の前記透析液流路への透析液往路に接続された透析液供給室と透析液循環路の前記透析液流路からの透析液復路に接続された透析液受入室とを有する、透析液循環路に設けられた切替弁を介して交互に透析のために切り替え使用が可能な少なくとも2つの透析液供給・受入要素と、前記透析液循環路に設けられた循環ポンプと、各透析液供給・受入要素の各透析液供給室に接続され、切替弁を介して各透析液供給・受入要素の各透析液供給室に交互に未使用透析液を供給する透析液供給経路と、各透析液供給・受入要素の各透析液受入室に接続され、切替弁を介して各透析液供給・受入要素の各透析液受入室から交互に使用済透析液を前記閉回路からなる透析液循環路外に排出する使用済透析液排出経路と、前記透析液循環路の前記透析液復路に接続され、該透析液復路から除水可能な除水ポンプを備えた除水経路とを有する血液透析装置において、前記透析液供給経路の、該透析液供給経路における前記切替弁の上流側の位置に、第1の流量計又はフロースイッチを設け、前記使用済透析液排出経路の、該使用済透析液排出経路における前記切替弁の下流側の位置に、第2の流量計又はフロースイッチを設けるとともに、該第2の流量計又はフロースイッチを、前記除水経路における除水量に対しては無関係な位置に配置したことを特徴とする血液透析装置が開示されている。
しかしながら、このような特許文献2の血液透析装置において、給液ポンプの出側圧力P1と循環ポンプの出側圧力P2の上限圧力間に圧力差ΔPが生じると、除水ポンプに信頼性の高い定量ポンプを使用していたとしても、除水量[mL]の精度(設定除水量[mL]と実際に行われた除水の量[mL]との誤差)に多かれ少なかれ影響を及ぼす。すなわち圧力差ΔPに起因して、透析液供給・受入要素の給液室の容積(給液室に収容された未使用の透析液の量)と、その透析液供給・受入要素が透析に使用され排液室への使用済み透析液の収容が完了する際の透析液供給・受入要素の排液室の容積(排液室に収容された使用済み透析液の量)とが多かれ少なかれ異なることになり、この差異が目標除水量からの誤差となって、除水量の精度を悪化させる原因となる。また、給液室に収容される透析液体積量[mL]と排液室に収容される透析液体積量[mL]が等量であったとしても、排液室に収容される透析液量[mL]の方が温度が低く密度[g/mL]が高い場合には、給液室に収容される透析液量[mL]と排液室に収容される透析液量[mL]が重量[g]において一致しないことがあり、結果として、予め設定していた患者の血液から除去する水分量と実際に患者の血液から除去する水分量に差が生じてしまう。これらのことから、除水ポンプに信頼性の高い定量ポンプを使用し、患者から除去する水分量を高精度に制御するには、P1およびP2の圧力上限を等しくし、かつ給液室の透析液温度と排液室の透析液温度を等しくすることで、給液室に収容される透析液重量と排液室に収容される透析液重量を等しくする必要がある。
そこで、例えば特許文献3には、給液室に収容される透析液の圧力と排液室に収容される透析液の圧力が等しくなるように循環ポンプの駆動電圧を制御することで、給液室に収容される透析液体積量[mL]と排液室に収容される透析液体積量[mL]を高精度に制御する方法が開示されている。
また、例えば特許文献4には、給液室に収容される透析液温度と排液室に収容される透析液温度の差を0にすることで、給液室に収容される透析液の密度と排液室に収容される透析液の密度を高精度に制御する方法が開示されている。
さらに、例えば特許文献5には、給液容量と排液容量の差と透析液圧力の変化量を直交多項式により分析したところ有意な相関が見られたことが記載されている。
特開2016−116603号公報 特許第3933512号公報 特開2014−110856号公報 特開平6−106033号公報 特開平2−71754号公報
例えば特許文献1に開示される血液透析装置は、透析液供給・受入要素の切替時の循環ポンプの出側圧力の上限圧力と給液ポンプの出側圧力の上限圧力との差ΔPを実質的に0とすることができるように構成されているので、透析液供給・受入要素の切替時の透析液供給室の容積と透析液受入室の容積が実質的に一致しており、透析液循環系からの除水の精度が、定量ポンプからなる除水ポンプによって決められる良好な精度に確保されている。しかしながら、このような特殊かつ複雑な制御を省略した場合には、透析液供給・受入要素の切替時の循環ポンプの出側圧力の上限圧力と給液ポンプの出側圧力の上限圧力との差ΔPが実質的に0とならないため、除水ポンプにより透析液循環系から抜き取られる水分量と患者の血液中から透析液循環路中に抜き取られる水分量が必ずしも一致しなくなる恐れがある。
また特許文献3では、給液室に収容される透析液の圧力と排液室に収容される透析液の圧力が等しくなるように循環ポンプの駆動電圧を制御することで、給液室に収容される透析液量[mL]と排液室に収容される透析液量[mL]を高精度に制御する方法を提案しているが、これでは給液室に収容される透析液温度と排液室に収容される透析液温度の差を0℃にすることはできず、給液室に収容される透析液体積量[mL]と排液室に収容される透析液体積量[mL]を高精度に制御できるが、給液室に収容される透析液の密度[g/mL]と排液室に収容される透析液の密度[g/mL]が異なるため、給液室に収容される透析液重量[g]と排液室に収容される透析液重量[g]が異なるため、除水ポンプを高精度に制御しても患者から除去する余分な水分量を高精度に制御することができないといった課題があった。
さらに特許文献4では、給液室に収容される透析液温度と排液室に収容される透析液温度を0にすることで、給液室に収容される透析液量と排液室に収容される透析液量を高精度に制御する方法を提案しているが、給液室に収容される透析液の圧力と排液室に収容される透析液の圧力を等しくできないため、給液室に収容される透析液体積量[mL]と排液室に収容される透析液体積量[mL]を等しくできず、除水ポンプを高精度に制御しても患者から除去する余分な水分量を高精度に制御することができないといった課題があった。
なお、特許文献3および4の発明内容を組み合わせることで、給液室に収容される透析液重量と排液室に収容される透析液重量を高精度に制御することが可能になることは、容易に考え得るが、特許文献3および4の発明内容が実施可能となる血液透析装置は除水ポンプの駆動電圧制御機構や排液の加熱手段を追加する必要があるため、部品点数の増加、製造コストの増加が生じてしまう。
また、特許文献5では、給液容量と排液容量の差と透析液圧力の変化量との間の有意な相関関係に基づいて除水ポンプの吐出量を調整することで除水誤差低減を図ることが可能であるが、透析液圧力の変化量から給液容量と排液容量の差を求めるためには、透析液供給・受入要素と継手と透析液循環路とリリーフ回路を含む実質的な閉回路の体積膨張率を求める必要があり、また体積膨張率は装置の個体差および使用環境により変化するため、環境の変化に対し、体積膨張率を都度測定する必要がある。
そこで本発明の課題は、特殊かつ複雑な制御を省略しつつ、患者の血液中から透析液流通経路中に抜き取られる水分量を正確に把握することができ、ひいては血液透析装置の運転中の過除水および引残しを未然に防ぐことができる血液透析装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る血液透析装置は、
血液流路と透析液流路との間に透析膜を有する血液透析要素と、
前記血液透析要素の透析液流路に連通する透析液流通経路と、
該透析液流通経路の前記透析液流路への透析液往路に接続された透析液供給室と透析液流通経路の前記透析液流路からの透析液復路に接続された透析液受入室とを有し、透析液供給室と透析液受入室とを隔てる変位可能な隔壁を有し、透析液流通経路に設けられた切替弁を介して交互に透析工程の各ステップを順次実施するために切り替え使用が可能な少なくとも2つの透析液供給・受入要素と、
前記透析液流通経路の透析液復路に設けられた流通ポンプと、
各透析液供給・受入要素の各透析液供給室に接続され、切替弁を介して各透析液供給・受入要素の各透析液供給室に交互に給液ポンプにより未使用透析液を給液する透析液給液経路と、
各透析液供給・受入要素の各透析液受入室に接続され、切替弁を介して各透析液供給・受入要素の各透析液受入室から交互に使用済透析液を前記透析液流通経路の系外に排出する使用済透析液排出経路と、
前記透析液流通経路の透析液復路に接続され、該透析液復路から前記透析液流通経路の系外に使用済透析液を排出可能な除水ポンプと、
前記透析液流通経路の透析液復路に付設され、該透析液復路に連通された透析液供給・受入要素の透析液受入室が満杯になった後の、透析液受入室が満杯になる前のベース圧に対する前記流通ポンプの吐出側圧力の昇圧代が予め設定した所定の昇圧量になるようにそのときの前記流通ポンプの吐出側圧力の上限を制御するリリーフ弁と、を有する血液透析装置において、
あらかじめ取得した透析液流通経路の系内の圧力特性に基づいて、前記透析工程の単位ステップにおいて前記透析液供給室に供給される未使用透析液の体積と前記透析液受入室から排出される使用済透析液の体積との差として定義される除水誤差変数を推定することを特徴とするものからなる。
このような本発明の血液透析装置によれば、透析工程の単位ステップにおいて透析液供給室に供給される未使用透析液の体積と透析液受入室から排出される使用済透析液の体積との差として定義される除水誤差変数を、あらかじめ取得した透析液流通経路の系内の圧力特性に基づいて推定するので、いわゆる除水誤差を把握することによって血液透析時の過除水および引残しを未然に防ぐことができる。
上記血液透析装置においては、圧力特性を取得するための第一の方法として、
前記圧力特性が、前記透析工程を実施する前の圧力特性取得工程において、
前記血液透析要素の透析液流路をバイパスするように前記透析液流通経路を形成し、前記流通ポンプにより前記透析液供給室から前記透析液往路および前記透析液復路を経て前記透析液受入室に未使用透析液を流通させて前記透析液受入室を満杯とした後、前記流通ポンプの吐出側圧力を前記リリーフ弁により制御された上限まで昇圧させた状態にて、
前記除水ポンプにより未使用透析液を前記透析液流通経路の系外に所定の排出体積だけ排出したときの前記透析液流通経路の系内の圧力低下量を測定することにより取得される構成を採用することができる。
このような第一の方法によれば、透析液受入室に未使用透析液を流通させて透析液受入室を満杯とした後、流通ポンプの吐出側圧力をリリーフ弁により制御された上限まで昇圧させた状態にて、未使用透析液を所定の排出体積だけ排出したときの系内の圧力低下量を測定することにより圧力特性を取得することで、血液透析時の除水誤差を簡易的に推定し把握することができる。
また上記血液透析装置において、圧力特性を取得するための第二の方法として、
前記圧力特性が、前記透析工程を実施する前の圧力特性取得工程において、
前記血液透析要素の透析液流路をバイパスするように前記透析液流通経路を形成し、前記流通ポンプにより前記透析液供給室から前記透析液往路および前記透析液復路を経て前記透析液受入室に未使用透析液を流通させて前記透析液受入室を満杯とする前の状態にて、
前記除水ポンプにより未使用透析液を前記透析液流通経路の系外に所定の排出体積だけ排出したときの前記透析液流通経路の系内の圧力低下量を測定することにより取得される構成を採用することができる。
このような第二の方法によれば、透析液受入室に未使用透析液を流通させて透析液受入室を満杯とする前の状態にて、未使用透析液を所定の排出体積だけ排出したときの系内の圧力低下量を測定することにより圧力特性を取得することで、血液透析時の除水誤差を簡易的に推定し把握することができる。
上記第一および第二の方法のいずれかを採用した場合に、上記血液透析装置において、
前記所定の排出体積を前記圧力低下量で割った商として定義される体積収縮係数を算出し、前記少なくとも2つの透析液供給・受入要素を切り替え使用して前記圧力特性取得工程の各ステップを順次実施し、任意のステップにおける前記除水ポンプを稼働させない状態で測定した前記透析液流通経路の系内の圧力と前記任意のステップに続く次ステップにおける前記除水ポンプを稼働させない状態で測定した前記透析液流通経路の系内の圧力との差を前記体積収縮係数に掛け合わせた積として定義される収縮時圧力特性値を前記任意のステップにおける前記透析液流通経路の系内の圧力と対応付けることで前記圧力特性を圧力の関数として取得し、前記透析工程の単位ステップにおける前記透析液流通経路の系内の圧力に対応する前記収縮時圧力特性値が前記除水誤差変数に等しいとみなして前記除水誤差変数を推定することが好ましい。
このように、任意のステップにおける系内の圧力とこれに続く次ステップにおける系内の圧力との差を体積収縮係数に掛け合わせた積として定義される収縮時圧力特性値を上記任意のステップにおける系内の圧力と対応付けることで圧力特性を圧力の関数として取得することにより、透析工程の単位ステップにおける系内の圧力から収縮時圧力特性値が一義的に決まるので、これを除水誤差変数に等しいとみなせば除水誤差を簡便に把握することができる。
また上記血液透析装置において、圧力特性を取得するための第三の方法として、
前記圧力特性が、前記透析工程を実施する前の圧力特性取得工程において、
前記血液透析要素の透析液流路をバイパスするように前記透析液流通経路を形成し、前記流通ポンプにより前記透析液供給室から前記透析液往路および前記透析液復路を経て前記透析液受入室に未使用透析液を流通させて前記透析液受入室を満杯とした後、前記流通ポンプの吐出側圧力を前記リリーフ弁により制御された上限まで昇圧させた状態にて、
未使用透析液を前記透析液流通経路の系外から所定の供給体積だけ供給したときの前記透析液流通経路の系内の圧力上昇量を測定することにより取得される構成を採用することができる。
このような第三の方法によれば、透析液受入室に未使用透析液を流通させて透析液受入室を満杯とした後、流通ポンプの吐出側圧力をリリーフ弁により制御された上限まで昇圧させた状態にて、未使用透析液を所定の供給体積だけ供給したときの系内の圧力上昇量を測定することにより圧力特性を取得することで、血液透析時の除水誤差を簡易的に推定し把握することができる。
上記第三の方法を採用した場合に、上記血液透析装置において、
前記所定の供給体積を前記圧力上昇量で割った商として定義される体積膨張係数を算出し、前記少なくとも2つの透析液供給・受入要素を切り替え使用して前記圧力特性取得工程の各ステップを順次実施し、任意のステップにおける前記除水ポンプを稼働させない状態で測定した前記透析液流通経路の系内の圧力と前記任意のステップに続く次ステップにおける前記除水ポンプを稼働させない状態で測定した前記透析液流通経路の系内の圧力との差を前記体積膨張係数に掛け合わせた積として定義される膨張時圧力特性値を前記任意のステップにおける前記透析液流通経路の系内の圧力と対応付けることで前記圧力特性を圧力の関数として取得し、前記透析工程の単位ステップにおける前記透析液流通経路の系内の圧力に対応する前記膨張時圧力特性値が前記除水誤差変数に等しいとみなして前記除水誤差変数を推定することが好ましい。
このように、任意のステップにおける系内の圧力とこれに続く次ステップにおける系内の圧力との差を体積膨張係数に掛け合わせた積として定義される膨張時圧力特性値を上記任意のステップにおける系内の圧力と対応付けることで圧力特性を圧力の関数として取得することにより、透析工程の単位ステップにおける系内の圧力から膨張時圧力特性値が一義的に決まるので、これを除水誤差変数に等しいとみなせば除水誤差を簡便に把握することができる。
上記血液透析装置において、前記流通ポンプが回転数一定に制御され、前記除水ポンプが、前記透析膜を通して前記血液流路から前記透析液流路に除水すべき体積を基準排出量として前記使用済透析液を排出するように制御されることが好ましい。すなわち、血液流路から透析液流路に適切な体積だけ除水するためには、血液流路から透析液流路に除水すべき体積を基準排出量として使用済透析液を排出するように除水ポンプが制御されるべきであるが、上記基準排出量が除水誤差を含む場合には、本発明の方法で推定した除水誤差変数を用いて上記基準排出量を補正することが可能である。具体的には、前記透析工程の任意のステップに続く次のステップにおいて、前記除水ポンプが、前記基準排出量に前記除水誤差変数の推定値を加算した量を基準として前記使用済透析液を排出するように制御されることが好ましい。
本発明によれば、患者の血液中から透析液流通経路中に抜き取られる水分量をあらかじめ把握することができるので、血液透析装置の運転中の過除水および引残しを未然に防ぐことが可能となる。
本発明の一実施態様に係る血液透析装置の透析工程における概略フロー図である。 図1の血液透析装置の圧力特性取得工程における概略フロー図である。 図1の血液透析装置の系内圧力の経時変化を示す概略説明図である。 体積収縮係数取得工程における系内圧力の経時変化を示す概略説明図である。 圧力特性取得工程における系内圧力の経時変化を示す概略説明図である。 圧力特性の取得方法を示す概略説明図である。
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施態様に係る血液透析装置の透析工程における概略フロー図である。血液透析装置1は、血液流路3と透析液流路4との間に透析膜5を有し、両流路3、4間で血液透析を行うダイアライザー(血液透析要素)2を有している。血液流路3には、患者の動脈側からの血液が血液回路6を通して供給され、透析済の血液が静脈側に戻される。
血液透析要素2の透析液流路4には、実質的に閉回路からなる透析液流通経路7が接続され、連通されている。透析液流通経路7に設けられた流通ポンプ8により、透析液流通経路7の透析液往路7aからの透析前の透析液が透析液流路4に供給され、透析済の透析液が透析液復路7bに戻される。この透析液流通経路7は、上述の如く実質的に閉回路に構成されているが、この閉回路から後述の除水ポンプにより定量的に少量の透析液が排出されるので、それに見合う少量の水分が血液中から透析膜5を通して患者の血液中から透析液流通経路7中に抜き取られる。
透析液流通経路7の往路7aには、チャンバ9aの供給室10aが接続され、ここから透析液往路7aに透析前の透析液が供給される。透析液流通経路7の復路7bには、チャンバ9aの受入室11aが接続され、透析済の透析液がここに戻される。供給室10aと受入室11aとは、例えば弾性膜からなる変位可能な隔壁12aによって隔離されており、透析液の供給により供給室10aが収縮した体積分だけ、受入室11aが膨張できるようになっている。
血液透析装置1には、チャンバ9aに加え、供給室10b、受入室11bおよび変位可能な隔壁12bを含むもう一つのチャンバ9bが設けられている。供給室10aと受入室11a、ならびに供給室10bと受入室11bはそれぞれ変位自在な隔壁を備えた1組の給排容器であるため、供給室に収容される透析液と受入室に収容される透析液とは等体積となるように保たれる。
透析液流通経路7のチャンバ9a、9bの入出口には、往路7a側に開閉弁(二方弁)からなる切替弁13a、13bが、復路7b側に開閉弁(二方弁)からなる切替弁14a、14bが、それぞれ設けられており、これらの切替弁による流路切り替えにより、透析のために各チャンバを交互に切り替え使用できるようになっている。
切り替え使用されるチャンバ9a、9bのうちいずれか一方は透析のために使用されて透析液流通経路7と連通されるが、他方は、透析液流通経路7と遮断され、その間に新しく未使用透析液が供給されるとともに使用済みの透析液が排出される。
未使用透析液の供給は、透析休止中のチャンバの供給室に対し、切替弁15a、15bを備えた透析液供給経路16を通して行われ、使用済みの透析液の排出は、透析休止中のチャンバの受入室に対し、切替弁17a、17bを備えた使用済透析液排出経路18を通して行われる。
透析液流通経路7の復路7bには、透析液抜出経路19が接続されており、透析液抜出経路19に設けられた定量ポンプからなる除水ポンプ20により、定量的に少量の透析液が排出される。透析液流通経路7は実質的に閉回路からなっているので、排出された透析液に見合う少量の水分が血液中から透析膜5を通して患者の血液中から透析液流通経路7中に抜き取られることになり、抜き取られた水分と同量の、該水分を含有する透析液が透析液抜出経路19を介して排出されることになる。この透析液抜出経路19は、上述の使用済透析液排出経路18へと合流されていてもよく、抜き取られた水分を含有する透析液が適当な場所へと排出されるようになっている。
図示例では、透析液流通経路7の往路7aには、透析前の透析液の供給量を自動調整可能な流量調整弁21と、透析液の流れのオン・オフを検知可能な流れ検出手段としてのフロースイッチ22が設けられており、フロースイッチ22からの信号に基づいて、それまで透析に使用していたから次に透析に使用するチャンバへの切替のための信号を各切替弁に送ることができるようになっている。
透析液流通経路7の復路7bの流通ポンプ8に対しては、手動設定可能なリリーフ弁23が付設されている。未使用透析液を供給する透析液供給経路16に設けられた、例えば脱気ポンプからなる給液ポンプ24に対しても、手動設定可能なリリーフ弁25が付設されている。これら手動リリーフ弁23、25により、各ポンプ8、24からの送液先の室が満杯になった直後の、満杯になる直前のベース圧に対するポンプ吐出側圧力の昇圧代が予め設定した所定の昇圧量になるようにそのときのポンプ吐出側圧力の上限を制限できるようになっている。すなわち、図1に示す状態においては、透析液流通系Aにおける手動リリーフ弁23では、チャンバ9aの透析液受入室11aが満杯になった後の、満杯になる前のベース圧に対する流通ポンプ8の吐出側圧力の昇圧代が予め設定した所定の昇圧量に制限されるように、流通ポンプ8の吐出側から吸入側へと透析液を循環させるべく、手動リリーフ弁23の開度が所定量に設定されている。また、透析液給液系Bにおける手動リリーフ弁25では、チャンバ9bの透析液供給室10bが満杯になった直後の、満杯になる直前のベース圧に対する流通ポンプ8の吐出側圧力の昇圧代が予め設定した所定の昇圧量に制限されるように、給液ポンプ24の吐出側から吸入側へと透析液を循環させるべく、手動リリーフ弁25の開度が所定量に設定される。
透析液給液系Bにおいては、給液ポンプ24によるチャンバ9bの透析液供給室10bへの送液により該透析液供給室10bが満杯になるとともに変位可能な隔壁12bがチャンバ9bの一方の内面に密着すると、手動リリーフ弁25が作動して透析液はリリーフ回路26のみを循環開始する。透析液はリリーフ回路26のみを循環し続け、給液ポンプ24の吐出側における圧力は、循環開始前のベース圧に対し、手動リリーフ弁25で設定されている所定の昇圧量まで昇圧し、その設定昇圧量に至った時点で給液ポンプ24の吐出側圧力の上限が一定値に制限される。その状態にて、各切替弁の作動により給液ポンプ24による透析液の送液先がチャンバ9bの供給室10bからチャンバ9aの供給室10aへ切り替えられ、切替が完了するとともにチャンバ9aの供給室10aへの給液ポンプ24による透析液の送液が開始される。
一方、透析液流通系Aにおいては、流通ポンプ8によるチャンバ9aの受入室11aへの送液により該受入室11aが満杯になるとともに変位可能な隔壁12aがチャンバ9aの一方の内面に密着すると、手動リリーフ弁23が作動して透析液はリリーフ回路27のみを循環開始する。透析液はリリーフ回路27のみを循環し続け、流通ポンプ8の吐出側における圧力は、循環開始前のベース圧に対し、手動リリーフ弁23で設定されている所定の昇圧量まで昇圧し、その設定昇圧量に至った時点で流通ポンプ8の吐出側圧力の上限が一定値に制限される。このとき、透析液流通経路7内の透析液の流れが停止し、それが例えばフロースイッチ22によって検知され、その信号に基づいて各切替弁が作動され、各切替弁の作動により流通ポンプ8による使用済み透析液の送液先がチャンバ9aの受入室11aからチャンバ9bの受入室11bへ切り替えられ、切替が完了するとともにチャンバ9bの受入室11bへの流通ポンプ8による使用済み透析液の送液が開始される。
上述した各圧力の挙動は、除水ポンプ20を稼働させないときの挙動であるが、除水ポンプ20が稼働されているときには、除水ポンプ20により定量的に少量の透析液(患者の血液中から透析膜5を通して抜き取られた水分を含有する透析液)が、実質的に閉回路に形成されていた透析液流通経路7の透析液復路7bから排出されるので、透析液流通経路7からの排出箇所で圧力が低下され(それまでのその箇所における圧力に対し、相対的な陰圧が生じ)、流通ポンプ8付近の圧力のレベルが全体的に低下することとなる。流通ポンプ8付近の圧力のレベルの全体的な低下量をΔPとすると、この除水ポンプ20がオンのときにも、手動リリーフ弁23で設定されている昇圧量の上限圧力の制限機能はそのまま働くことになるので、流通ポンプ8の吐出側における圧力は、リリーフ回路27における循環開始前の(手動リリーフ弁23が作動する前の)ベース圧と、流通ポンプ8の送液先の受入室が満杯になるとともに隔壁がチャンバの一方の内面に密着した際に手動リリーフ弁23によって制限される上限圧力との両方が、ΔP分だけ低下した挙動に変化する。一方、流通ポンプ8の吐出側における圧力の挙動がこのように変化しても、各切替弁によって透析液流通経路7(透析液流通系A)とは切り離されている透析液供給経路16(透析液給液系B)における給液ポンプ24の吐出側における圧力の挙動は基本的に変化しない。したがって、手動リリーフ弁23、25の初期設定により、除水ポンプ20がオフのときの流通ポンプ8の吐出側における上限圧力と給液ポンプ24の吐出側における上限圧力とが略一致するように設定されていた場合にあっても、除水ポンプ20がオンになると、各上限圧力間にはΔP分だけ圧力差が生じることになる。
このΔPの圧力差は除水ポンプのON・OFFの場合だけでなく、手動リリーフ弁23、25の初期設定により、除水ポンプ20がオフのときの流通ポンプ8の吐出側における上限圧力と給液ポンプ24の吐出側における上限圧力とが略一致するように設定されていた場合にあっても、透析膜5を介した患者毎の血圧に応じて、流通ポンプ8付近の圧力のレベルが全体的に低下もしくは増加することとなる。
図2は、血液透析装置1の圧力特性取得工程における概略フロー図である。図1のフロー図との違いは、ダイアライザー2の代わりにバイパスコネクタ29が設けられて透析液流通経路7に接続されている点である。また、圧力特性等を取得するために透析工程とは異なる操作をするので、図3〜5を用いて除水誤差の推定方法を詳細に説明する。
図3は、血液透析装置1の系内圧力の経時変化を示す概略説明図である。図2のフローにおいて、装置運転開始直後は切替弁の作動によりチャンバ9aとチャンバ9bを交互に使用して、透析液の温度を透析治療に使用する温度まで昇温させつつ透析液流通系Aの液置換を行い、温度センサTにより温度が安定したことを確認した後に、体積収縮係数および圧力特性を取得するための操作を行う。体積収縮係数および圧力特性を取得した後は、バイパスコネクタ29を外してダイアライザー2を透析液流通経路7に接続して透析工程を開始する。
図4は、体積収縮係数取得工程における系内圧力の経時変化を示す概略説明図である。体積収縮係数取得工程では、図2のフローにおいてチャンバ9aの供給室10aから受入室10bへと透析液が流通している状態(状態1)を所定時間継続した後に、受入室10bが満杯となりフロースイッチ22が透析液の流れのオフを検知した場合に各切替弁に切替のための信号を送る制御を無効化し、チャンバが切り替わらないようにした状態(状態2)にて、透析液をリリーフ弁23のリリーフ回路内で全量循環させる。この状態から除水ポンプ20を稼働させて所定体積ΔVの透析液を透析液流通経路7から抜き取ると、透析液の排出体積ΔVだけ系内のチューブ等が収縮することにより系内圧力がΔPだけ低下した状態(状態3)となる。この場合に、体積収縮係数GはG=ΔV/ΔPの式によって求めることができる。
なお、除水ポンプ20を稼働させて所定体積ΔVの透析液を透析液流通経路7から抜き取るタイミングは、系内圧力が安定している状態であればよく、上述したような受入室10bが満杯となりフロースイッチ22が透析液の流れのオフを検知した後に限られず、受入室10bが満杯となる前であってもよい。また、体積収縮係数Gを求める代わりに、除水ポンプ20を逆回転させて所定体積ΔV’の透析液を系外から透析液流通経路7に供給し、透析液の供給体積ΔV’だけ系内のチューブ等を膨張させて系内圧力がΔP’だけ上昇した状態を作出し、G’=ΔV’/ΔP’の式によって体積膨張係数G’を求めてもよい。この場合、後述する除水誤差変数の算出方法においては、体積収縮係数Gの代わりに体積膨張係数G’を用いることができる。なお、体積収縮係数Gや体積膨張係数G’を取得した後に除水ポンプ20を逆回転させて、低下もしくは上昇した液圧を回復させてもよい。例えば圧力センサの出力値が100mmHgになるまで除水ポンプ20を逆回転させることで、ΔPだけ低下した系内圧力をΔPだけ上昇させてもよい。
図5は、圧力特性取得工程における系内圧力の経時変化を示す概略説明図である。図4の状態3において無効化されていた切替信号の送信設定を再び有効化すると、フロースイッチ22が透析液の流れのオフを検知し、各切替弁に切替のための信号が送られてチャンバが順次切り替わる状態(状態4)が再開する。
図6は、圧力特性の取得方法を示す概略説明図であり、左は系内圧力Pが時間経過につれて漸減する場合を示し、右は系内圧力が漸増する場合を示す。圧力特性取得工程において、チャンバが切り替わる度に系内圧力Pを記録し(上図)、任意のステップにおける系内圧力と次ステップにおける系内圧力との単位ステップあたりの差をΔp/Δsとして、縦軸にΔp/Δsを、横軸に系内圧力Pをプロットして圧力特性図を作成し、直線近似するなどして任意の系内圧力PとΔp/Δsを対応させる(下図)。なお、透析液の送液方式が2つのチャンバを交互に使用するダブルチャンバ方式であれば、2つのチャンバの平均を採用してもよいが、1つのチャンバについて系内圧力はP1、P3、P5・・・のように1ステップおきに記録されるため、Δp/Δsは例えば(P3−P1)/2のように単位ステップ当たりの差分として計算する。また、系内圧力Pが単位ステップ内で変動する場合には、例えばステップ開始後の10秒後の圧力センサ出力値を読み取るか、10〜15秒の間の圧力センサ出力値を平均するなどして求める。なお、圧力特性取得工程は例えば15分程度継続させることができるが、所定のステップ回数(チャンバ切替回数)まで継続させることにしてよい。例えば流通させる透析液流量が700mL/minでチャンバ容量が250mLだとすれば、1ステップ(切替)に約22秒、1分間当たり3回程度ステップ(切替)が実施され、10分程度動作させ続けると30ステップ程度にわたる圧力特性図のプロットが取得できることとなる。
次に、収縮時圧力特性値を求めるために、任意の系内圧力Pに対応付けられたΔp/Δsに、図4に示す方法で求められた体積収縮係数Gを掛け算して積を求める。このようにして求めた収縮時圧力特性値GΔp/Δsは、透析工程の単位ステップにおいて供給室10a、10bに供給される未使用透析液の体積と受入室11a、11bから排出される使用済透析液の体積との差として定義される除水誤差変数にほぼ等しいことが実験により見出された。すなわち、透析工程において系内圧力Pがわかれば、その圧力における収縮時圧力特性値GΔp/Δsを除水誤差変数とみなすことができ、透析工程の単位ステップにおいて当該除水誤差変数に相当する除水誤差が生じていると推定することができる。
なお、上述した体積収縮係数(または体積膨張係数)および圧力特性の取得順序は逆転させてもよく、先に圧力特性を取得してから体積収縮係数等を取得することも可能である。
図3〜6に示した手順に沿って、血液透析装置の除水誤差を推定した。使用する部品の動作方式や型式などは以下の通りである。
・チューブ:内径φ5、外径φ11、シリコン製
・流通ポンプおよび給液ポンプ:ギアポンプ
・除水ポンプ:容積式ポンプ
・リリーフ弁:バネ式の圧力逃がし弁
・チャンバ:容積250mL、肉厚約4.5mm
図2のフロー図において、透析液給液系Bの上流より未使用透析液の代わりに、洗浄液(薬液や熱水)を供給し、装置内の洗浄工程を約10分間実施した。洗浄完了後に洗浄液の供給を中止するため血液透析装置の運転を一旦停止し、透析液給液系Bの上流より未使用透析液を透析液流量700mL/minで供給し、液置換工程を実施した。密閉系内に流入する未使用透析液を透析液給液系Bのヒーターによって加温し、液温が設定温度の37℃まで上昇したことを温度センサにて確認した後に、フロースイッチ22を一時無効化した。これによってチャンバの切替を抑止し、未使用透析液をリリーフ回路のみで循環させた。
この状態で除水ポンプ20を回転させ、所定の体積ΔVを密閉系から排出したところ、排出前後で液圧がΔPだけ低下したことを圧力センサで確認した。G=ΔV/ΔPの式によって求めた体積収縮係数Gは0.022mL/mmHgであった。
次に、無効化していたフロースイッチ22を有効化し、透析液を通液させた後に、例えば透析流量700mL/minにて液置換工程と同様の透析液流通動作を15分程度実施し、図6の下図に示すような圧力特性図を取得した。これで体積収縮係数と圧力特性の取得が完了し、任意の系内圧力Pにおける収縮時圧力特性値GΔp/Δsが把握できたので、血液透析工程の単位ステップ当たりに生じている除水誤差を推定するための準備が整った。
図2のフロー図におけるバイパスコネクタ29を外してダイアライザー2を透析液流通経路7に接続し、まずプライミングを実施し、続いて患者への透析工程を実施する。このとき患者の体内から排出すべき水分量はあらかじめ患者毎に透析装置にて設定され、あらかじめ設定された除水量から透析時間に応じて除水速度が設定され、透析工程開始後の1時間はあらかじめ設定された除水速度で除水ポンプを運転する。
透析工程中の透析液圧を圧力センサで記録し、そのときの圧力における単位ステップ(切替)ごとの収縮時圧力特性値GΔp/Δsを求める。このとき、単位ステップ中の患者の透析液圧200mmHgに対応するΔp/Δsは−10mmHgであるとすると、これに体積収縮係数Gの値0.022mL/mmHgを掛けて収縮時圧力特性値GΔp/Δsを計算すれば−0.22mLという値が得られる。すなわち、単位ステップあたりの除水誤差変数(供給室10a、10bに供給される未使用透析液の体積と受入室11a、11bから排出される使用済透析液の体積との差)は−0.22mLと推定される。これは、単位ステップ中の患者の透析液圧が200mmHgであれば、単位ステップあたり0.22mLの過除水が生じるということである。
このようにして推定された単位ステップ当たりの除水誤差変数を、透析開始後の1時間にわたって積算することによって、1時間当たりの除水誤差を推定することができる。すると、透析開始1時間に患者から排出された水分量は、1時間中の除水ポンプの回転数+積算された除水誤差になるので、例えば次の1時間の除水速度をこの積算された除水誤差を加味した上で除水ポンプの回転数を再設定することができる。例えば除水誤差が過除水になっているのであれば、次の1時間でその過除水分を打ち消すように、除水ポンプの回転数をあらかじめ設定していた回転数よりも小さい値に設定し直すことで、除水誤差を補正することができる。このように1時間ごとに除水速度の再設定を繰り返すことで、除水誤差を低減することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明に係る血液透析装置は、あらゆる血液透析装置に適用でき、それによって除水精度の大幅な向上を達成できる。
1 血液透析装置
2 ダイアライザー(血液透析要素)
3 血液流路
4 透析液流路
5 透析膜
6 血液回路
7 透析液流通経路
7a 透析液往路
7b 透析液復路
8 流通ポンプ
9a、9b チャンバ(透析液供給・受入要素)
10a、10b 供給室
11a、11b 受入室
12a、12b 隔壁
13a〜15a、17a、13b〜15b、17b 切替弁
16 透析液給液経路
18 使用済透析液排出経路
19 透析液抜出経路
20 除水ポンプ
21 流量調整弁
22 フロースイッチ
23、25 リリーフ弁
24 給液ポンプ
26、27 リリーフ回路
28 継手
29 バイパスコネクタ

Claims (8)

  1. 血液流路と透析液流路との間に透析膜を有する血液透析要素と、
    前記血液透析要素の透析液流路に連通する透析液流通経路と、
    該透析液流通経路の前記透析液流路への透析液往路に接続された透析液供給室と透析液流通経路の前記透析液流路からの透析液復路に接続された透析液受入室とを有し、透析液供給室と透析液受入室とを隔てる変位可能な隔壁を有し、透析液流通経路に設けられた切替弁を介して交互に透析工程の各ステップを順次実施するために切り替え使用が可能な少なくとも2つの透析液供給・受入要素と、
    前記透析液流通経路の透析液復路に設けられた流通ポンプと、
    各透析液供給・受入要素の各透析液供給室に接続され、切替弁を介して各透析液供給・受入要素の各透析液供給室に交互に給液ポンプにより未使用透析液を給液する透析液給液経路と、
    各透析液供給・受入要素の各透析液受入室に接続され、切替弁を介して各透析液供給・受入要素の各透析液受入室から交互に使用済透析液を前記透析液流通経路の系外に排出する使用済透析液排出経路と、
    前記透析液流通経路の透析液復路に接続され、該透析液復路から前記透析液流通経路の系外に使用済透析液を排出可能な除水ポンプと、
    前記透析液流通経路の透析液復路に付設され、該透析液復路に連通された透析液供給・受入要素の透析液受入室が満杯になった後の、透析液受入室が満杯になる前のベース圧に対する前記流通ポンプの吐出側圧力の昇圧代が予め設定した所定の昇圧量になるようにそのときの前記流通ポンプの吐出側圧力の上限を制御するリリーフ弁と、を有する血液透析装置において、
    あらかじめ取得した透析液流通経路の系内の圧力特性に基づいて、前記透析工程の単位ステップにおいて前記透析液供給室に供給される未使用透析液の体積と前記透析液受入室から排出される使用済透析液の体積との差として定義される除水誤差変数を推定することを特徴とする血液透析装置。
  2. 前記圧力特性が、前記透析工程を実施する前の圧力特性取得工程において、
    前記血液透析要素の透析液流路をバイパスするように前記透析液流通経路を形成し、前記流通ポンプにより前記透析液供給室から前記透析液往路および前記透析液復路を経て前記透析液受入室に未使用透析液を流通させて前記透析液受入室を満杯とした後、前記流通ポンプの吐出側圧力を前記リリーフ弁により制御された上限まで昇圧させた状態にて、
    前記除水ポンプにより未使用透析液を前記透析液流通経路の系外に所定の排出体積だけ排出したときの前記透析液流通経路の系内の圧力低下量を測定することにより取得される、請求項1に記載の血液透析装置。
  3. 前記圧力特性が、前記透析工程を実施する前の圧力特性取得工程において、
    前記血液透析要素の透析液流路をバイパスするように前記透析液流通経路を形成し、前記流通ポンプにより前記透析液供給室から前記透析液往路および前記透析液復路を経て前記透析液受入室に未使用透析液を流通させて前記透析液受入室を満杯とする前の状態にて、
    前記除水ポンプにより未使用透析液を前記透析液流通経路の系外に所定の排出体積だけ排出したときの前記透析液流通経路の系内の圧力低下量を測定することにより取得される、請求項1に記載の血液透析装置。
  4. 前記所定の排出体積を前記圧力低下量で割った商として定義される体積収縮係数を算出し、前記少なくとも2つの透析液供給・受入要素を切り替え使用して前記圧力特性取得工程の各ステップを順次実施し、任意のステップにおける前記除水ポンプを稼働させない状態で測定した前記透析液流通経路の系内の圧力と前記任意のステップに続く次ステップにおける前記除水ポンプを稼働させない状態で測定した前記透析液流通経路の系内の圧力との差を前記体積収縮係数に掛け合わせた積として定義される収縮時圧力特性値を前記任意のステップにおける前記透析液流通経路の系内の圧力と対応付けることで前記圧力特性を圧力の関数として取得し、前記透析工程の単位ステップにおける前記透析液流通経路の系内の圧力に対応する前記収縮時圧力特性値が前記除水誤差変数に等しいとみなして前記除水誤差変数を推定する、請求項2または3に記載の血液透析装置。
  5. 前記圧力特性が、前記透析工程を実施する前の圧力特性取得工程において、
    前記血液透析要素の透析液流路をバイパスするように前記透析液流通経路を形成し、前記流通ポンプにより前記透析液供給室から前記透析液往路および前記透析液復路を経て前記透析液受入室に未使用透析液を流通させて前記透析液受入室を満杯とした後、前記流通ポンプの吐出側圧力を前記リリーフ弁により制御された上限まで昇圧させた状態にて、
    未使用透析液を前記透析液流通経路の系外から所定の供給体積だけ供給したときの前記透析液流通経路の系内の圧力上昇量を測定することにより取得される、請求項1に記載の血液透析装置。
  6. 前記所定の供給体積を前記圧力上昇量で割った商として定義される体積膨張係数を算出し、前記少なくとも2つの透析液供給・受入要素を切り替え使用して前記圧力特性取得工程の各ステップを順次実施し、任意のステップにおける前記除水ポンプを稼働させない状態で測定した前記透析液流通経路の系内の圧力と前記任意のステップに続く次ステップにおける前記除水ポンプを稼働させない状態で測定した前記透析液流通経路の系内の圧力との差を前記体積膨張係数に掛け合わせた積として定義される膨張時圧力特性値を前記任意のステップにおける前記透析液流通経路の系内の圧力と対応付けることで前記圧力特性を圧力の関数として取得し、前記透析工程の単位ステップにおける前記透析液流通経路の系内の圧力に対応する前記膨張時圧力特性値が前記除水誤差変数に等しいとみなして前記除水誤差変数を推定する、請求項5に記載の血液透析装置。
  7. 前記流通ポンプが回転数一定に制御され、前記除水ポンプが、前記透析膜を通して前記血液流路から前記透析液流路に除水すべき体積を基準排出量として前記使用済透析液を排出するように制御される、請求項1〜6のいずれかに記載の血液透析装置。
  8. 前記透析工程の任意のステップに続く次のステップにおいて、前記除水ポンプが、前記基準排出量に前記除水誤差変数の推定値を加算した量を基準として前記使用済透析液を排出するように制御される、請求項7に記載の血液透析装置。
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