JP2019013124A - 高圧絶縁監視装置及び高圧絶縁監視方法 - Google Patents

高圧絶縁監視装置及び高圧絶縁監視方法 Download PDF

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Abstract

【課題】既設の開閉器であっても停電させることなく零相変流器の特性を得ることができ、高精度な絶縁低下検出を行うことが可能な高圧絶縁監視装置及び高圧絶縁監視方法を提供する。【解決手段】高圧絶縁監視装置10は、各相の負荷電流及び零相変流器24の特性を用いて零相電流を補正する補正部36と、高抵抗の絶縁低下を検出する絶縁低下検出部38とを備える。補正部は、開閉器20に負荷電流が流れている状態で各相の負荷電流および零相電流を少なくとも4回測定し、各相の負荷電流に補正係数をかけて零相電流の誤差を定義する方程式に対して、4回分の測定値の1つを基準値として、残りの3回分の各相の負荷電流および零相電流と基準値との差分を用いて、方程式の未知数である補正係数を求め、補正係数を方程式に適用することにより誤差を求める。【選択図】図1

Description

本発明は、高圧配電線路の絶縁低下を検出する高圧絶縁監視装置及び高圧絶縁監視方法に関する。
高圧受電設備では、配電系統からの受電点に開閉器(区分開閉器)を設置し、その開閉器と地絡継電器とを組み合わせて地絡保護を行うことが一般的になっている。地絡継電器は、零相電圧及び零相電流の整定値を超える地絡事故が起きた場合に、開閉器による遮断動作を行う。また地絡継電器は、開閉器の定格遮断容量を守るための負荷電流値を開閉器内部の変流器(CT)から得ている。
地絡事故を検出する方法としては、開閉器内の零相電圧検出装置(ZPD)から取り出した零相電圧や、零相変流器(ZCT)から取り出した零相電流を利用する方法が用いられている(例えば、特許文献1参照)。なお、地絡事故時の絶縁抵抗値は0〜数十kΩとなり、100mA程度の零相電流の検出を行うことになる。
一方、地絡事故の原因が設備汚損によって徐々に劣化するものである場合には、事故前に絶縁抵抗が少しだけ低下している時期がある。これを検出する場合、数MΩ程度の高抵抗の検出、すなわち数mAの零相電流の検出が必要となる。ところが、零相電流は理想的にはゼロであるところ、負荷電流が大きくなると零相変流器(ZCT)には数mA程度の誤差が生じるため、数mAの零相電流を検出することは難しい。そこで出願人は、特許第5972097号(特許文献2)において、各相の負荷電流の影響による零相電流の誤差を補正する技術を提案した。これにより、高精度な絶縁低下検出を行うことが可能となった。
特開平6−284559号公報 特許第5972097号公報
しかしながら特許文献2の技術においては、零相変流器の特性(方程式の補正係数)を求める際に、各相の負荷電流の合成が零となる状態で三相負荷のバランスを変えて、各相の負荷電流と零相電流との関係を求めている。すなわち、負荷を制御しながら各相の負荷電流と零相電流を測定する必要があり、開閉器に「任意の」負荷を接続した状態では補正係数を求めることができない。このため補正係数を得るためには、新しい開閉器について設置前に測定するか、既設の開閉器を回路から切り離して測定する必要がある。特に既設の開閉器において上記の測定を行う場合には、必ず停電を伴うという問題がある。
そこで本発明の目的は、既設の開閉器であっても停電させることなく零相変流器の特性を得ることができ、高精度な絶縁低下検出を行うことが可能な高圧絶縁監視装置及び高圧絶縁監視方法を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明にかかる高圧絶縁監視装置の代表的な構成は、零相電流を検出する零相変流器と、各相の負荷電流を検出する変流器とを備えた開閉器に接続して高圧配電線路の絶縁低下を検出する高圧絶縁監視装置であって、各相の負荷電流及び零相変流器の特性を用いて、各相の負荷電流の影響による零相電流の誤差を抑えるように零相電流を補正する補正部と、補正された零相電流に基づいて高抵抗の絶縁低下を検出する絶縁低下検出部とを備え、補正部は、開閉器に負荷電流が流れている状態で各相の負荷電流および零相電流を少なくとも4回測定し、各相の負荷電流に補正係数をかけて零相電流の誤差を定義する方程式に対して、4回分の測定値の1つを基準値として、残りの3回分の各相の負荷電流および零相電流と基準値との差分を用いて、方程式の未知数である補正係数を求め、補正係数を方程式に適用することにより誤差を求めることを特徴とする。
上記構成によれば、任意の負荷を接続した状態で補正係数を求めることができる。したがって、既設の開閉器であっても停電させることなく零相変流器の特性を得ることができる。
高圧絶縁監視装置は、さらに、1サイクル分の零相電流の測定値を用いて、短時間かつ大幅な絶縁低下を短周期で検出する微地絡検出部を備えていてもよい。
上記構成によれば、樹木接触や放電性などの短時間事故である微地絡を検出することができ、包括的な地絡検出を行うことが可能となる。
高圧絶縁監視装置は、さらに、各相の負荷電流の位相から三相交流の相回転方向を検出する検相器を備えていてもよい。
上記構成によれば、零相変流器の特性を得る際に相回転方向を自動的に設定することが可能となる。また、相回転方向の検出を、電源投入時などの所定のタイミングで、または定期的に行うことにより、相回転方向の変化に対して自動的に対応することが可能となる。
また、本発明にかかる高圧絶縁監視方法の代表的な構成は、零相電流を検出する零相変流器と各相の負荷電流を検出する変流器とを備えた開閉器に接続し、高圧配電線路の零相電流を検出し、高圧配電線路の各相の負荷電流を検出し、各相の負荷電流及び零相変流器の特性を用いて、各相の負荷電流の影響による零相電流の誤差を抑えるように零相電流を補正してから、補正された零相電流に基づいて高抵抗の絶縁低下を検出する高圧絶縁監視方法であって、零相電流を補正するとき、開閉器に負荷電流が流れている状態で各相の負荷電流および零相電流を少なくとも4回測定し、各相の負荷電流に補正係数をかけて零相電流の誤差を定義する方程式に対して、4回分の測定値の1つを基準値として、残りの3回分の各相の負荷電流および零相電流と基準値との差分を用いて、方程式の未知数である補正係数を求め、補正係数を方程式に適用することにより誤差を求めることを特徴とする。
上記構成の方法によれば、任意の負荷を接続した状態で補正係数を求めることができる。したがって、既設設備に対して停電させることなく零相変流器の特性を得ることができる。なお、上述した高圧絶縁監視装置における技術的思想に対応する構成要素やその説明は、当該高圧絶縁監視方法にも適用可能である。
本発明に係る高圧絶縁監視装置又は高圧絶縁監視方法によれば、各相の負荷電流の影響による零相電流の誤差を抑え、高精度な絶縁低下検出を行うことができる。特に、任意の負荷を接続した状態で補正係数を求めることができるため、既設の開閉器であっても停電させることなく零相変流器の特性を得ることができる。
高圧絶縁監視装置の概略構成を示すブロック図である。 三相平衡状態での負荷電流と補正前後の零相電流のレベルとの関係を示すグラフである。 第2実施形態にかかる高圧絶縁監視装置の概略構成を示すブロック図である。 第1実施形態で説明した絶縁低下検出と、第2実施形態で追加した微地絡検出の差異を説明する図である。 第3実施形態にかかる高圧絶縁監視装置の概略構成を示すブロック図である。
[第1実施形態]
本発明にかかる高圧絶縁監視装置および高圧絶縁監視方法の第1実施形態について説明する。図1は高圧絶縁監視装置の概略構成を示すブロック図である。高圧絶縁監視装置10は、変電所から需要先に電気を供給する配電系統の高圧配電線路L1上に設けられた開閉器20(区分開閉器)と、地絡事故の発生に応じて開閉器20による遮断動作を行う地絡継電器30と、地絡事故発生などを報知する表示部50とを備えている。
開閉器20は、高圧配電線路L1の零相電圧を検出する零相電圧検出装置22(ZPD)と、高圧配電線路L1の零相電流を検出する零相変流器24(ZCT)と、高圧配電線路L1の各相の負荷電流を検出する変流器26(CT)、計器用変成器28(VT)とを有している。この開閉器20は、高圧受電設備における配電系統からの受電点に設けられている。なお、零相電圧検出装置22としては、例えば、各相の対地電圧を合成して零相電圧を検出するコンデンサ形零相電圧検出装置を用いることが可能である。
地絡継電器30は、零相電圧検出装置22により検出された零相電圧及び零相変流器24により検出された零相電流が、配電系統との保護協調の観点から設定されている零相電圧及び零相電流の整定値を超えるか否かを判断する。それらの零相電圧及び零相電流が整定値を超えたと判断した場合には、地絡事故が発生したと判定する。そして地絡継電器30は、零相電圧−零相電流の位相を判定して、電源側の地絡か、負荷側の地絡かを判定し、負荷側の地絡である場合に開閉器20による遮断動作を行う。これにより、高圧配電線路L1が開閉器20により遮断されることになる。
地絡継電器30は、零相電流と各相の負荷電流の測定値を記憶するメモリ32と、FFT解析部34と、零相電流を補正する補正部36、地絡事故発生前の数MΩの高抵抗の絶縁低下を検出する絶縁低下検出部38を有している。
絶縁低下検出部38は、補正部36により補正された零相電流に基づいて、高抵抗の絶縁低下を検出する。なお、補正部36および絶縁低下検出部38は、電気回路などのハードウエアにより構成されているが、これに限るものではなく、例えば、プログラムなどのソフトウエアにより構成されても良く、あるいは、それらの両方の組合せにより構成されても良い。
表示部50は、地絡事故が発生したことを報知する表示や、地絡事故発生前の数MΩの絶縁低下が発生したことを報知する表示を行う。この表示部50としては、例えば、磁気反転表示器などを用いることが可能であり、他にも、LEDランプなどの表示灯やLEDディスプレイなどを用いることが可能である。なお、表示灯やLEDディスプレイなどを用いる場合には、例えば、太陽電池や充電池などの電源を設け、その電源から表示部50に電力を供給する。
次に、前述の補正部36による補正処理について詳しく説明する。最初に、零相変流器24の出力である零相電流に対する負荷電流の影響について説明し、その後、実際の補正手順について説明する。
地絡継電器30は、零相電圧検出装置22、零相変流器24、変流器26、計器用変成器28からの各出力信号を、一定時間メモリ32に蓄積する。FFT解析部34がメモリ32に蓄積したデータをFFT解析し、出力レベルが最大となる周波数ラインの零相電流と各相の負荷電流を抽出する。出力レベルが最大となる周波数ラインは、計器用変成器28の出力で判定する。計器用変成器28は地絡継電器30の電源として用いているが、常に出力が安定しているため、周波数ラインの判定にも利用することができる。なお計器用変成器28は開閉器20に内蔵されていてもよいし、外付けであってもよい。
零相変流器24の出力を零相電流IZCT、各相の線に取り付けられた変流器26の出力を負荷電流I、I、Iとする。零相電流IZCTは、各負荷電流I、I、Iにより次式(1)により表わされる。
ZCT=I+I+I ・・・(1)
三相平衡状態の場合、本来はIZCT=0となる。したがって、三相平衡状態であるのに零相電流が発生した場合には(IZCT≠0)、その原因は負荷電流の影響となる。
図2は三相平衡状態での負荷電流と補正前後の零相電流のレベルとの関係を示すグラフである。前述の測定結果によれば、図2に示すように、補正前の零相電流のレベル(波形A1)は負荷電流に比例して増加する。ただし、負荷電流の影響による零相電流のレベルは、負荷電流が25Aである場合でも2mA程度である。通常、地絡継電器30は、地絡抵抗10kΩ以下で流れる100mA以上の零相電流を検出して地絡事故を判別するため、2mA程度の負荷電流が通常の地絡事故の検出に影響を及ぼすことはほとんどない。
ところが、数MΩの高抵抗の絶縁低下において正確な零相電流を検出する必要がある場合には、絶縁低下による零相電流として1mA程度の零相電流を検出する必要があるため、負荷電流が零相電流に及ぼす影響は大きく検出の障害となる。したがって、高精度な絶縁低下検出を行うためには、負荷電流の影響を除去もしくは緩和する必要がある。
三相平衡状態の場合、零相電流は理論上ゼロであることから、負荷電流が零相電流に影響を与える原因は零相変流器24の特性によるものである。このため、零相電流の補正には、変流器26から各負荷電流を取得するとともに、零相変流器24の特性を把握する必要がある。
各負荷電流の影響によって生じる零相電流の誤差IZCT_eは、各負荷電流のベクトルI、I、Iの影響を表す補正係数α、β、γ(ZCT特性ベクトル)を用いて以下の式(2)により表わされる。
ZCT_e=α・I+β・I+γ・I ・・・(2)
ZCT_e:零相電流の誤差
,I,I:各相の負荷電流
α,β,γ:補正係数
この式(2)が各負荷電流の影響による零相電流の誤差を定義する方程式である。ここで先願(特許第5972097号)においては、残留零相電流を零に保ちつつ負荷バランスが異なる3組の各相の負荷電流を印加して、6元連立方程式(I、I、Iがベクトルなので、3元ではなく6元になる)を解くよう説明した。
しかしながら、現地設備の開閉器20で取得できる零相電流には、残留分や設備の絶縁抵抗による零相電流が含まれる。これらの成分は負荷電流の影響で発生した出力と区別することができず、大きさが不定である。現地での測定値における零相電流と負荷電流の関係を式(3)に示す。
ZCT_e=α・I+β・I+γ・I+IOO+IOR ・・・(3)
α,β,γ:補正係数
ZCT_e:零相電流の誤差
,I,I:各相の負荷電流
OO:残留零相電流
OR:現地設備の絶縁抵抗による零相電流
式(3)では、IOOとIORが未知の変数となるため、6元連立方程式を解くことができない。
そこで補正部36は次のように処理を行う。実フィールドでの検証から得られた知見によれば、直近の点検時に測定した需要家側設備の絶縁抵抗値が充分に高く、点検から数日以内であれば、残留分の時間的な変動は無視できるほど小さい。同様に、絶縁抵抗値の時間的な変動も無視できるほど小さい。そこで、IOOとIORが変数ではなく定数であるという前提のもとに、4回分の測定値の1回分を基準値として、残りの3回分の方程式から基準値を代入した方程式を引くことによってIOOとIORを消去する。すると、次式(4)のようになる。
(IZCT_N-IZCT_0)=α(IU_N-IU_0)+β(IV_N-IV_0)+γ(IW_N-IW_0)・・・(4)
α,β,γ:補正係数
ZCT_N:任意の時点Nにおける零相電流(N=1〜3)
ZCT_0:基準値に選択した零相電流
U_N,IV_N,IW_N:任意の時点Nにおける各相の負荷電流
U_0,IV_0,IW_0:基準値に選択した各相の負荷電流
式(4)は不定の成分IOO,IORを含まないことから、6元連立方程式を解くことが可能となる。このように、負荷電流のバランスが異なる4つの時点における負荷電流及び零相電流の測定値を用いることで不定成分をキャンセルし、補正係数を求めることができる。
4回分の負荷電流及び零相電流の測定値は、複数回FFT解析した測定値の中から適宜選択することができる。4回分を選択する基準としては、有意な差のあるものが好ましい。4回分のうちいずれの1回分を基準値としてもよいが、例えば零相電流IZCT_Nが平均に近いものを用いることができる。データの蓄積の一例としては、サイクルレートを0.02秒として、60秒分(3,000サイクル)を蓄積する。そして、例えば2秒程度のデータをFFT解析して、1回分の測定値を得る。
上記のようにして求めた補正係数α、β、γの値を用いて式(3)からIOO_N+IOR_Nの値を決定することができる。そして、実際に補正の対象となる時点の各相の負荷電流IU_N,IV_N,IW_Nを式(3)に代入すれば、零相電流の誤差IZCT_eを求めることができる。そして次式(5)のように、補正の対象となる時点の零相電流IZCT_N(測定値)から誤差IZCT_eを引くことにより、補正後の零相電流I(推定値)を求めることができる。
=IZCT_N−IZCT_e ・・・(5)
:補正後の零相電流
ZCT_N:任意の時点N(補正の対象となる時点)における零相電流
ZCT_e:零相電流の誤差
図2に示すように、この補正によれば、補正後の零相電流(波形A2)は、補正前の零相電流(波形A1)に比べ、負荷電流の値によらず0.2mA程度で安定している。0.2mAは地絡抵抗20MΩで流れる零相電流に相当する。このように補正後の零相電流は補正前の零相電流に比べ0.0mAに近づいていることから、補正によって負荷電流の影響が緩和されていることがわかる。
上記のようにして補正部36は、負荷電流の影響を受けた零相電流を高精度な絶縁低下検出が可能となるレベルまで補正することができる。したがって絶縁低下検出部38は補正後の零相電流を判定し、高抵抗(数MΩ)の絶縁低下を高精度に検出することができる。
特に本発明においては、補正部36が、4回分の測定値の1つを基準値として、残りの3回分の各相の負荷電流および零相電流と基準値との差分を用いて、方程式の未知数である補正係数を求めている。これにより、任意の負荷を接続した状態で補正係数を求めることができる。したがって、既設の開閉器20であっても停電させることなく零相変流器24の特性を得ることができる。
また、既設の開閉器20に対しても高抵抗の絶縁低下を高精度に検出することが可能であるため、開閉器20を新規に購入する必要がなく、本発明にかかる地絡継電器30を導入する際の費用を削減することができる。
[第2実施形態]
本発明にかかる高圧絶縁監視装置および高圧絶縁監視方法の第2実施形態について説明する。第1実施形態と説明の重複する部分については同一の符号を付して説明を省略する。
第1実施形態において説明したように、補正部36が零相電流を補正するためには、FFT解析しながら一定時間のサイクルのデータを蓄積する必要がある。汎用のマイクロコンピュータで安価に装置を構成する場合、連続的にFFTを行うとすると計算負荷が重くなる。しかし、設備汚損による絶縁抵抗の低下は時間経過と共に徐々に進行するため、常時監視する必要性はなく、周期的に行う(例えば、数分ごとに数秒間取り込みFFT解析する)ことでも実用性は十分である。
しかしながら、第1実施形態の構成では、長期的な絶縁低下は検出できるが、樹木接触や放電性などの短時間事故を検出することはできない。そこで本実施形態では、短時間事故も検出できるように構成の追加を行う。
図3は第2実施形態にかかる高圧絶縁監視装置の概略構成を示すブロック図である。図3に示す地絡継電器30においては、絶縁低下検出部38に加えて、短時間かつ大幅な絶縁低下を短周期で検出する微地絡検出部40を備えている。
微地絡検出部40には、零相変流器24から零相電流が入力される。地絡事故時の絶縁抵抗値は0〜数十kΩであり、微地絡検出部40は100mA程度の零相電流の検出を行う。したがって微地絡検出部40が零相電流を検出するにあたってはFFT解析は必要なく、1サイクル分の零相電流の測定値を用いて微地絡を検出することができる。
図4は、第1実施形態で説明した絶縁低下検出と、第2実施形態で追加した微地絡検出の差異を説明する図である。図4(a)に示すように、絶縁低下検出は、微地絡検出と比較して検出可能な絶縁抵抗値が大きく、設備の汚損によるメガオームオーダーの絶縁低下を検出可能である。その一方で、検出に必要とする時間が長く、短時間事故を検出することはできない。微地絡検出は、絶縁低下検出と比較して検出時間が短く、樹木接触や放電性などの短時間事故を検出可能である。その一方で、検出可能な抵抗値は絶縁低下検出より低い。
すると図4(b)に示すように、0.04〜3MΩの高抵抗の範囲は絶縁低下検出によって検出することができると共に、0.02秒以上の短時間の範囲は微地絡検出によって検出することができる。このように、本実施形態の構成によれば、設備汚損による絶縁抵抗の低下も、樹木接触や放電性などの短時間事故である微地絡も両方とも検出することができ、包括的な地絡検出を行うことが可能となる。
[第3実施形態]
本発明にかかる高圧絶縁監視装置および高圧絶縁監視方法の第3実施形態について説明する。第1実施形態と説明の重複する部分については同一の符号を付して説明を省略する。
零相変流器24に対する負荷電流による影響は、三相交流の相回転方向(相順)によって特性が異なる。このため、補正する際に補正部36に相回転方向を入力する必要がある。
相回転方向は、一般に検相器と呼ばれる機器で相電圧位相により判定することが知られている。しかし、開閉器20には相電圧を検出するセンサが内蔵されていないことがある。そこで本実施形態では、第1実施形態で使用されるデータの一部を用いて相回転方向の判定を行う。
図5は第3実施形態にかかる高圧絶縁監視装置の概略構成を示すブロック図である。図5に示す地絡継電器30においては、絶縁低下検出部38に加えて、各相の負荷電流の位相から三相交流の相回転方向を検出する検相器42を備えている。
検相器42は、FFT解析部34の処理データを受け取り、各相の負荷電流の位相に基づいて相回転を判別する。設備が課電状態であれば、少なくとも受電設備の変圧器無負荷電流やケーブル充電電流は流れるため、相回転の判別が可能である。
上記構成によれば、零相変流器24の特性を得る際に、相回転方向を自動的に設定することが可能となる。また、相回転方向の検出を、電源投入時などの所定のタイミングで、または定期的に行うことにより、相回転方向の変化に対して自動的に対応することが可能となる。
最後に、前述の実施形態は例示であり、発明の範囲はそれらに限定されない。前述の実施形態は種々変更可能であり、例えば、前述の実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素が削除されても良く、さらに、異なる実施形態に係る構成要素が適宜組み合わされても良い。
本発明は、高圧配電線路の絶縁低下を検出する高圧絶縁監視装置及び高圧絶縁監視方法として利用することができる。
L1…高圧配電線路、10…高圧絶縁監視装置、20…開閉器、22…零相電圧検出装置、24…零相変流器、26…変流器、28…計器用変成器、30…地絡継電器、32…メモリ、34…FFT解析部、36…補正部、38…絶縁低下検出部、40…微地絡検出部、42…検相器、50…表示部

Claims (4)

  1. 零相電流を検出する零相変流器と、各相の負荷電流を検出する変流器とを備えた開閉器に接続して高圧配電線路の絶縁低下を検出する高圧絶縁監視装置であって、
    前記各相の負荷電流及び前記零相変流器の特性を用いて、前記各相の負荷電流の影響による前記零相電流の誤差を抑えるように前記零相電流を補正する補正部と、
    補正された零相電流に基づいて高抵抗の絶縁低下を検出する絶縁低下検出部とを備え、
    前記補正部は、
    前記開閉器に負荷電流が流れている状態で前記各相の負荷電流および前記零相電流を少なくとも4回測定し、
    前記各相の負荷電流に補正係数をかけて前記零相電流の誤差を定義する方程式に対して、
    4回分の測定値の1つを基準値として、残りの3回分の前記各相の負荷電流および前記零相電流と基準値との差分を用いて、前記方程式の未知数である補正係数を求め、
    該補正係数を前記方程式に適用することにより誤差を求めることを特徴とする高圧絶縁監視装置。
  2. 当該高圧絶縁監視装置は、さらに、
    1回分の前記零相電流の測定値を用いて、短時間かつ大幅な絶縁低下を短周期で検出する微地絡検出部を備えることを特徴とする請求項1に記載の高圧絶縁監視装置。
  3. 当該高圧絶縁監視装置は、さらに、
    前記各相の負荷電流の位相から三相交流の相回転方向を検出する検相器を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の高圧絶縁監視装置。
  4. 零相電流を検出する零相変流器と各相の負荷電流を検出する変流器とを備えた開閉器に接続し、
    前記高圧配電線路の零相電流を検出し、
    前記高圧配電線路の各相の負荷電流を検出し、
    前記各相の負荷電流及び前記零相変流器の特性を用いて、前記各相の負荷電流の影響による前記零相電流の誤差を抑えるように前記零相電流を補正してから、
    補正された零相電流に基づいて高抵抗の絶縁低下を検出する高圧絶縁監視方法であって、
    前記零相電流を補正するとき、
    前記開閉器に負荷電流が流れている状態で前記各相の負荷電流および前記零相電流を少なくとも4回測定し、
    前記各相の負荷電流に補正係数をかけて前記零相電流の誤差を定義する方程式に対して、
    4回分の測定値の1つを基準値として、残りの3回分の前記各相の負荷電流および前記零相電流と基準値との差分を用いて、前記方程式の未知数である補正係数を求め、
    該補正係数を前記方程式に適用することにより誤差を求めることを特徴とする高圧絶縁監視方法。
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