JP2019012601A - 燃料電池触媒担体用鋳型炭素材料、燃料電池触媒担体用鋳型炭素材料の製造方法、燃料電池用触媒層、及び燃料電池 - Google Patents

燃料電池触媒担体用鋳型炭素材料、燃料電池触媒担体用鋳型炭素材料の製造方法、燃料電池用触媒層、及び燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】発電性能を更に向上することが可能な、新規かつ改良された燃料電池触媒担体用鋳型炭素材料、燃料電池触媒担体用鋳型炭素材料の製造方法、燃料電池用触媒層、及び燃料電池を提供する。【解決手段】本発明のある観点によれば、窒素吸脱着等温線によって形成されるヒステリシスループが閉じる相対圧(P/P0)cが0.55超、0.8未満であり、(P/P0)c+0.1〜(P/P0)c間の窒素脱着量dVが65cm3/g超、200cm3/g未満であり、BET比表面積が700m2/g超、2000m2/g以下であることを特徴とする、燃料電池触媒担体用鋳型炭素材料が提供される。【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池触媒担体用鋳型炭素材料、燃料電池触媒担体用鋳型炭素材料の製造方法、燃料電池用触媒層、及び燃料電池に関する。
燃料電池の一種である固体高分子形燃料電池は、固体高分子電解質膜の両面に配置される一対の触媒層と、各触媒層の外側に配置されるガス拡散層と、各ガス拡散層の外側に配置されるセパレータとを備える。一対の触媒層のうち、一方の触媒層は固体高分子形燃料電池のアノードとなり、他方の触媒層は固体高分子形燃料電池のカソードとなる。なお、通常の固体高分子形燃料電池では、所望の出力を得るために、上記構成要素を有する単位セルが複数個スタックされている。
アノード側のセパレータには、水素等の還元性ガスを導入される。アノード側のガス拡散層は、還元性ガスを拡散させた後、アノードに導入する。アノードは、触媒成分と、触媒成分を担持する触媒担体と、プロトン伝導性を有する電解質材料とを含む。触媒成分上では、還元性ガスの酸化反応が起こり、プロトンと電子が生成される。例えば、還元性ガスが水素ガスとなる場合、以下の酸化反応が起こる。
→2H+2e (E=0V)
この酸化反応で生じたプロトンは、アノード内の電解質材料、及び固体高分子電解質膜を通ってカソードに導入される。また、電子は、触媒担体、ガス拡散層、及びセパレータを通って外部回路に導入される。この電子は、外部回路で仕事をした後、カソード側のセパレータに導入される。そして、この電子は、カソード側のセパレータ、カソード側のガス拡散層を通ってカソードに導入される。
固体高分子形電解質膜は、プロトン伝導性を有する電解質材料で構成されている。固体高分子電解質膜は、上記酸化反応で生成したプロトンをカソードに導入する。
カソード側のセパレータには、酸素ガスあるいは空気等の酸化性ガスが導入される。カソード側のガス拡散層は、酸化性ガスを拡散させた後、カソードに導入する。カソードは、触媒成分と、触媒成分を担持する触媒担体と、プロトン伝導性を有する電解質材料とを含む。触媒成分上では、酸化性ガスの還元反応が起こり、水が生成される。例えば、酸化性ガスが酸素ガスあるいは空気となる場合、以下の還元反応が起こる。
+4H+4e→2HO (E=1.23V)
還元反応で生じた水は、未反応の酸化性ガスとともに燃料電池の外部に排出される。このように、固体高分子形燃料電池では、酸化反応と還元反応とのエネルギー差(電位差)を利用して発電する。言い換えれば、酸化反応で生じた電子が外部回路で仕事を行う。
特許文献1、2には、燃料電池の触媒担体に使用可能な活性炭として、酸化物を鋳型として作られた多孔質炭素(鋳型炭素)の製造方法が開示されている。具体的には、特許文献1には、有機樹脂及びアルカリ土類金属化合物の混合物を非酸化性雰囲気で加熱焼成する工程を含む活性炭の製造方法が開示されている。この技術では、混合物を焼成して炭素化した後に生成するアルカリ土類金属酸化物の結晶子サイズによって、活性炭の細孔サイズを調整する。
特許文献2には、アルカリ土類金属化合物を賦活剤として使用する活性炭の製造方法が開示されている。特許文献2に開示された技術では、有機質樹脂をアルカリ土類金属化合物と混合し、非酸化性雰囲気で加熱焼成することにより有機質樹脂を炭化しつつ賦活する。その後、賦活剤を除去することで活性炭を作製する。この活性炭に含まれるメソ孔は、賦活剤の結晶子サイズの平均径を有する。
また、特許文献1および特許文献2には、好ましい加熱焼成温度の下限温度として500℃以上、より好ましくは700℃以上、好ましい上限温度として1500℃以下、より好ましくは1200℃以下であることが記載されており、加熱焼成により「その理由は明らかにされていないが、共存するアルカリ土類金属化合物の作用で生成する炭化物の多孔質化が著しく増進され、通常の活性炭に較べて著しく比表面積の大きな活性炭が得られる」ことが記載されている。さらに特許文献2では、炭素化を終えたアルカリ金属酸化物を含む炭化物の顕微鏡観察の結果、酸化物粒子の表面に比表面積の大きなカーボンが被覆された状態で生成していることから、炭化工程では酸化物粉末の表面で有機質炭素の炭素化が進行すると同時に、多孔質化を増進しているものと推定している。
特許文献3には、触媒成分及び触媒担体からなる固体高分子形燃料電池用触媒が開示されている。この触媒は、酸化物を鋳型として作られた多孔質炭素(鋳型炭素)由来の半径1〜10nmのメソ孔を有し、メソ孔のモード半径が2.5〜10nmとなっている。
特開2006−62954号公報 特開2014−122158号公報 国際公開第2014/175106号
特許文献1〜3に開示された技術で用いられた炭素材料は、酸化物を鋳型として作られた多孔質炭素(鋳型炭素)であるが、開示された技術で得られた鋳型炭素を燃料電池用触媒として用いた場合、特に、高加湿環境下での発電時、あるいは高出力発電直後の定電流発電時(以下、「高加湿環境下での発電時等」とも称する)での発電性能を十分に高くすることができなかった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、発電性能を更に向上することが可能な、新規かつ改良された燃料電池触媒担体用鋳型炭素材料、燃料電池触媒担体用鋳型炭素材料の製造方法、燃料電池用触媒層、及び燃料電池を提供することにある。
本発明者は、高加湿環境下での発電時等に燃料電池の発電性能が低下する原因は、フラッディングによる触媒利用率の低下であると考えた。ここで、フラッディングとは、水分による気孔の閉塞を意味する。つまり、高加湿環境下での発電時には、カソードで大量の水分が発生する。また、高出力発電直後の定電流発電時には、高出力発電時にカソードで生じた大量の水分が残留している。そして、このような水分が触媒担体内の細孔を閉塞する。すなわち、細孔内でフラッディングが生じる。この場合、細孔の奥に担持された触媒成分に酸化性ガスが届きにくくなる。つまり、ガス拡散性が低下する。したがって、細孔の奥に担持された触媒成分が使用されなくなる。この結果、触媒利用率が低下する。
つぎに、本発明者は、フラッディングを抑制する技術について検討した。従来の技術では、触媒担体の平均細孔径あるいは細孔径分布のピーク位置(モード径)を調整することで、触媒利用率の向上を図っていた。この方法でも一定の効果が得られたものの、上述したように、細孔内のフラッディングを抑制することができなかった。
そこで、本発明者は、細孔の形状に着目した。具体的には、本発明者は、特にボトルネック型細孔でフラッディングが生じやすいと考えた。図5にボトルネック型細孔の一例として、ボトルネック型細孔30を示す。ボトルネック型細孔30は、ボトル部30aと、ボトル部30aに連通するネック部30bとで構成される。ボトル部30aの直径はネック部30bの直径より大きい。また、ネック部30bは、炭素材料の外表面または炭素材料内の他の細孔に連通している。そして、ネック部30bでフラッディングが生じやすい。そして、ネック部30bでフラッディングが生じると、ボトル部30aに担持された触媒成分に酸化性ガスが届きにくくなる。したがって、ボトル部30aに担持された触媒成分が使用されなくなる。
そこで、本発明者は、ネック部(いわゆる、「細孔のネック部」)の最小径を大きくし、かつ、ネック部の直径の分布を狭くする(言い換えれば、直径のばらつきを小さくする)ことを検討した。ネック部の最小径が大きくなれば、各ボトルネック型細孔のネック部がフラッディングしにくくなるので、ボトル部に担持された触媒成分が使用される可能性が高くなる。また、ネック部の直径の分布が狭くなれば、各ボトル部に酸化性ガスを均等に供給することができる。この結果、各ボトル部に担持された触媒成分を均等に使用することができる。この結果、触媒利用率が高くなる。すなわち、ネック部の直径の分布が広い場合、ネック部の直径が異なる複数のボトルネック型細孔が存在することになる。この場合、各ボトルネック型細孔のボトル部に供給される酸化性ガス量にばらつきが生じることになる。つまり、ガス拡散性が低下する。そして、酸化性ガスの供給量が少ないボトル部においては、酸化性ガスに十分に接触できない(つまり、発電反応への寄与が小さい)触媒成分が生じうる。したがって、この場合にも触媒利用率が下がる。上記の検討の結果、本発明者は、以下の知見を得た。
<知見1>
ネック部の最小径とネック部の直径の分布の指標として、窒素吸脱着等温線におけるヒステリシスループの閉じる相対圧及び脱着等温線の傾きが利用出来ることを見出した。
多孔質の物質の窒素吸脱着等温線では、ヒステリシスループが生じることがある。つまり、吸着側の等温線(すなわち、窒素吸着等温線)と脱離側の等温線(すなわち、脱着等温線)とが一致せず、この結果、ヒステリシスループが生じる。窒素吸脱着等温線は、窒素吸着等温線及び窒素脱着等温線の総称である。図4はヒステリシスループの例としてヒステリシスループAを示す。図4の(P/P)cは、ヒステリシスループの閉じる相対圧を示す。(P/P)c+0.1〜(P/P)c間の窒素脱着量dVは、脱着等温線の傾きに相当する。ヒステリシスループが生じる原因としては諸説あるが、ボトルネック型細孔が存在する場合に、ヒステリシスループが生じるとする説が提案されている。
この説では、次に説明するように、吸着過程と脱着過程の違いによってヒステリシスループが生じる。すなわち、吸着過程では、窒素ガスの相対圧に応じ、窒素の吸着厚みが徐々に厚くなっていく。その過程で、先ずボトルネック型細孔のネック部が吸着により閉塞するが、その時ボトル部にネック部相当の厚みで窒素が吸着しても、ボトル部の直径はネック部の直径よりも大きいので、ボトル部はまだ完全に埋まりきっていない。この状態では、例えネック部が閉塞していても、窒素吸着層を通じて外部圧力とボトル部内部の圧力は平衡にある。このため、更に窒素ガスの相対圧、すなわち外部圧力が増せば、ボトル部内部の圧力も増す。したがって、外部圧力に相当する吸着がボトル部でも進行し、ボトル部の窒素吸着層は厚くなる。更に外部圧力が増すと遂にボトル部も窒素吸着層によって完全に閉塞する。即ち、ボトルネック型細孔であっても吸着プロセスでは通常の細孔構造と同様の吸着が進行する。但し、厳密には、ネック部が窒素吸着層で閉塞した時には、ネック部に吸着した窒素吸着層の少なくとも一部が液相になる。そして、このような液相の表面張力により、外部圧力よりも液相内部の圧力(すなわち、ボトル部内部の圧力)は僅かに小さくなることが知られている。この現象は、いわゆる毛細管現象と呼ばれている。このため、ボトルネック型細孔の吸着等温線では、非ボトルネック型の細孔と同じ吸着量を得るために必要な相対圧が僅かに高い値にシフトすることになる。次に、ボトルネック型細孔の全ての細孔が埋まった状態からの窒素の脱離過程を考える。脱離過程では、ネック部の閉塞が解ける圧力に外部圧力が低下するまで、ネック部が開通することはない。したがって、脱着等温線は、ネック部の直径に相当する相対圧で立ち下がる。なお、ネック部の閉塞が解ける圧力に外部圧力が低下する過程で、外部圧力は、ボトル部の吸着が解ける圧力となる。しかし、この状態であっても、ネック部の閉塞の為にボトル部の内部に吸着した窒素はそのまま保持される(いわゆるブロッキング現象)。したがって、外部圧力、すなわち相対圧を下げていくと、やがてヒステリシスループが閉じる。ヒステリシスループが閉じる際の相対圧は、ネック部の最小径が小さい場合、ネック部の最小径に依らず、吸着質と測定温度で決まることが知られている。つまり、ネック部の最小径が小さい場合、相対圧を下げていくと、吸着質が沸騰(キャビテーション)を始める。この時の圧力で、ボトル部及びネック部に吸着した吸着質が一気に脱離放出される。この際にヒステリシスループが閉じる。吸着質が沸騰を始める際の相対圧は、吸着質及び測定温度で決まり、ネック部の最小径に依らない。吸着質が沸騰を始める際の相対圧は、吸着質が窒素ガスであり、測定温度が77Kとなる場合、概ね0.4程度となる。この時のネック部の径は3.4nm程度である。したがって、ネック部の最小径が3.4nm以下となる場合、ヒステリシスループは、ネック部の最小径に依らず、キャビテーションによって閉じることとなる。
本発明者は、この説をさらに検証した。この結果、本発明者は、ネック部の最小径をキャビテーションが生じる径よりも大きくした場合、ヒステリシスループは、ネック部の最小径に相当する相対圧で閉じることを見出した。このような知見は従来には無かったものであり、このような知見によって得られる炭素材料は、従来には全く無かったものである。したがって、ネック部の最小径が大きい(具体的には、キャビテーションが生じる径よりも大きい)場合、脱着等温線は、ネック部の直径に相当する相対圧で立ち下がり、ネック部の最小径に相当する相対圧で、ヒステリシスループが閉じる。つまり、この場合、キャビテーションによる立下りでなく、ネック部の直径に相当する相対圧での立下りによってヒステリシスループが閉じる。したがって、ヒステリシスループの閉じる相対圧が高いほど、ネック部の最小径が大きいことになる。
さらに、ネック部の直径の分布が狭い場合、特定の相対圧において脱着等温線が急激に立ち下がる(すなわち、脱着等温線の傾きが大きい)。一方、ネック部の直径の分布が広い場合、広い範囲の相対圧で脱着等温線の立ち下がりが観測されることになるので、脱着等温線がなだらかに立ち下がる。すなわち、脱着等温線の傾きが小さくなる。したがって、ネック部の最小径とネック部の直径の分布の指標として、窒素吸脱着等温線におけるヒステリシスループの閉じる相対圧と、脱着等温線の傾きを利用することができる。
ここで、図7に基づいて、炭素材料50中に複数のボトルネック型細孔X1〜X3が連結されている場合の考え方について説明する。ボトルネック型細孔X1は、ボトル部B1及びネック部N1、N1’で構成される。ネック部N1、N1’は、ボトル部B1と炭素材料50の外部とを連結する。ボトルネック型細孔X2は、ボトルネック型細孔X1よりも炭素材料50の内部に形成されており、ボトル部B2及びネック部N2で構成される。ネック部N2は、ボトル部B2とボトル部B1とを連結する。ボトルネック型細孔X3は、ボトルネック型細孔X2よりも炭素材料50の内部に形成されており、ボトル部B3及びネック部N3で構成される。ネック部N3は、ボトル部B3とボトル部B2とを連結する。ネック部N1の直径d1はネック部N1’の直径d1’よりも大きい。ネック部N2の直径d2はネック部N1の直径d1よりも大きい。ネック部N3の直径d3はネック部N1の直径d1よりも小さい。
この場合、ボトル部B1に吸着した吸着質(すなわち窒素分子)は、ネック部N1、N1’のうち、直径の最も大きなネック部N1の直径d1に相当する相対圧で脱離を開始する。したがって、ボトル部B1に吸着した吸着質の脱離は、直径d1に相当する相対圧での脱着等温線の立ち下がりとして観測される。
ボトル部B2に吸着した吸着質が脱離する際の相対圧は、ネック部N2の直径d2と、炭素材料50の外部と直結されたネック部N1、N1’のうち、直径が最も大きなネック部N1の直径d1との対比で決定される。図7の例では、ネック部N2の直径d2はネック部N1の直径d1以上となる。この場合、ボトル部B2に吸着した吸着質は、ネック部N1の直径d1に相当する相対圧で脱離を開始する。したがって、ボトル部B2に吸着した吸着質の脱離は、直径d1に相当する相対圧での脱着等温線の立ち下がりとして観測される。一方、ネック部N2の直径d2がネック部N1の直径d1よりも小さい場合、ボトル部B2に吸着した吸着質は、ネック部N2の直径d2に相当する相対圧で脱離を開始する。したがって、ボトル部B2に吸着した吸着質の脱離は、直径d2に相当する相対圧での脱着等温線の立ち下がりとして観測される。
ボトル部B3に吸着した吸着質が脱離する際の相対圧は、ネック部N3の直径d3と、炭素材料50の外部と直結されたネック部N1、N1’のうち、直径が最も大きなネック部N1の直径d1との対比で決定される。図7の例では、ネック部N3の直径d3はネック部N1の直径d1より小さい。この場合、ボトル部B3に吸着した吸着質は、ネック部N3の直径d3に相当する相対圧で脱離を開始する。したがって、ボトル部B3に吸着した吸着質の脱離は、直径d3に相当する相対圧での脱着等温線の立ち下がりとして観測される。一方、ネック部N3の直径d3がネック部N1の直径d1以上となる場合、ボトル部B3に吸着した吸着質は、ネック部N1の直径d1に相当する相対圧で脱離を開始する。したがって、ボトル部B3に吸着した吸着質の脱離は、直径d1に相当する相対圧での脱着等温線の立ち下がりとして観測される。
なお、炭素材料中に形成されるボトルネック型細孔の態様は図7に示す例以外にも様々存在するが、上記と同じ考え方で全ての態様を説明することができる。外部、またはボトル部B(n−1)内の凝縮した吸着質の脱離を既に終えたボトルネック型細孔X(n−1)と連結したボトルネック型細孔Xが複数のネック部Nを有する場合、ネック部Nのうち、直径が最も大きいネック部Nnaの直径dnaに相当する相対圧でボトル部Bに吸着した吸着質が脱離する。このとき、ボトル部Bに連結された隣のボトルネック型細孔X(n+1)があり、ボトル部B(n+1)とボトル部Bを連結する複数のネック部N(n+1)を有し、かつネック部N(n+1)のうち最も大きいネック部N(n+1)aの直径をd(n+1)aとしたとき、直径d(n+1)aが直径dnaよりも大きい場合、ボトル部B(n+1)に吸着した吸着質は直径dnaに相当する相対圧で脱離する。すなわち、ボトル部Bとボトル部B(n+1)に吸着した吸着質は同じ相対圧で脱離する。直径d(n+1)aが直径dnaよりも小さい場合、ボトル部B(n+1)に吸着した吸着質は直径d(n+1)aに相当する相対圧で脱離する。さらに、ボトルネック型細孔Xと連結したx番目のボトルネック型細孔X(n+x)まで、それぞれのボトルネック型細孔のネック部の最大径d(n+1)a、d(n+2)a・・・・d(n+x)aが全てdnaよりも大きく、d(n+x+1)aがdnaより小さい場合、ボトル部B、B(n+1)、B(n+2)・・・B(n+x)に吸着した吸着質は、全て直径dnaに相当する相対圧で脱離する。なお、図7では、図面の都合上、全てのネック部に長さがあり、体積があるように図示しているが、実際の鋳型炭素では、ネック部の長さと体積は実質的に0と考えることができる。つまり、鋳型炭素の内部に形成される細孔は、長さ方向に沿って径(直径)が様々に変動する。そこで、細孔は、ある長さ及び体積を有するボトル部及び長さ0(すなわち体積0)のネック部からなるボトルネック型細孔が連結したものであると考えることができる。
なお、従来の技術でも、窒素吸着等温線を使用していた。ただし、あくまで炭素材料の平均細孔径あるいは細孔径分布のピーク位置(モード径)を調整するために窒素吸着等温線を使用するにとどまっていた。すなわち、窒素吸脱着等温線におけるヒステリシスループの閉じる相対圧及び窒素脱着等温線の傾きを使用するという知見は存在しなかった。
<知見2>
ネック部の最小径を大きくする技術として、MgO賦活処理を見出した。つまり、本発明に係る炭素材料は、概ね以下の工程で作製される。すなわち、MgO鋳型と炭素源との混合物を焼成する(第1の加熱工程)。これにより、炭素源は、その一部(具体的には、揮発性の高い成分)が分解しながらMgO鋳型中に分散し、結晶子の表面に付着する。そして、結晶子の表面に付着した炭素源が炭素化する。図1は、結晶子10aの表面に炭素層20が付着したMgO−炭素複合体を模式的に示す。図1では、複数の結晶子10aによってMgO鋳型粒子10が形成される。そして、結晶子10aの表面に炭素化した炭素源からなる炭素層20が形成される。ついで、MgO−炭素複合体を高温で熱処理(第2の加熱工程)する。この熱処理がMgO賦活処理である。このMgO賦活処理によって、図2に示すように、炭素層20が減肉する。ついで、MgO鋳型を除去することで、図3に示すように、本実施形態に係る炭素材料50を作製する。炭素材料50では、結晶子10aが存在した箇所が主にボトル部20aあるいは他の種類の細孔となり、結晶子同士の連結部分が存在した箇所がネック部20bとなる。炭素層20が減肉されているので、ボトル部20a及びネック部20bの直径が拡大する。すなわち、ネック部20bの最小径が拡大する。
ここで、本発明者は、MgO賦活処理によって炭素層20が減肉する理由を以下のように考えている。
(1)結晶子10aに付着した炭素とMgOとが反応し、COガスが生成する。
(2)生成したCOガスは、炭素層20の内壁を酸化(すなわち、賦活)(CO+C→2CO)する。
(3)COガスの発生と、発生したCOガスによる内壁の賦活の相乗効果によって、炭素層20が減肉される。
詳細は後述するが、上述したMgO賦活効果を得るための具体的な熱処理温度は、1100℃〜1400℃である。MgO−炭素複合体を1100℃〜1400℃の温度域で熱処理することによって初めてMgO賦活効果が得られる。
なお、本実施形態によるMgO賦活効果は、特許文献1や特許文献2に記載されている「炭素の多孔質化効果」とは、全く別物の現象と推定される。その理由は以下の通りである。
(1)特許文献1および特許文献2に記載されている実施例は900℃であり、「MgO賦活効果」が得られない温度域での例示となっており、当該文献の発明者らは、本発明の「MgO賦活効果」を実施していない。
(2)また、特許文献1および特許文献2の発明者を含む文献3(T.Morishita他、CARBON,48(2010)2690−2707)では、特許文献1および特許文献2と同様の炭素を報告している。その中の2702ページでは、「炭素の多孔質化効果」は、PVAがMgO表面で炭化するときの収縮によって生成するミクロポアによる効果であると記述しており、本発明の「MgO賦活効果」の「細孔拡大効果」と「ネック部径の拡大効果」とは異なる。このように、MgO賦活効果によってネック部の最小径が大きくなり、かつ、ボトル部の直径が大きくなることは、本発明者によって初めて得られた知見である。
なお、従来から行われている賦活処理としては、ガス賦活処理が挙げられる。しかし、ガス賦活処理では、細孔外部及び細孔の入口が優先的に賦活されるので、ボトル部及びネック部を賦活しにくい。さらに、本発明者がガス賦活処理を試したところ、ネック部の直径の分布がかえって広がる傾向があることが判明した。
<知見3>
ネック部の直径の分布を狭くするには、結晶子径が揃ったMgO鋳型を用いることが有効な手段であることを見出した。図1〜図3では、結晶子径が揃っている(均一となっている)。この場合、図1〜図3から明らかな通り、MgO賦活処理前においては、炭素層20によって形成される細孔(メソ孔)の直径が揃っている。また、結晶子10a同士の連結部分の直径も揃っているので、この部分を被覆する炭素層20によって形成される細孔(ネック部に相当)の直径も揃っている。そして、このような炭素層20をMgO賦活処理することによって、ボトル部20aの直径が揃い、かつ、ネック部20bの直径も揃う。すなわち、ネック部20bの直径の分布が狭くなる。なお、結晶子径が不揃いのMgO鋳型を使用した場合、MgO賦活処理前においては、炭素層20によって形成される細孔(メソ孔)の直径が不揃いとなる。また、結晶子10a同士の連結部分の直径も不揃いとなるので、この部分を被覆する炭素層20によって形成される細孔(ネック部に相当)の直径も不揃いとなる。そして、このような炭素層20をMgO賦活処理した場合、炭素層20の内壁が不均一に賦活されるので、ボトル部20aの直径が不揃いになるのみならず、ネック部20bの直径も不揃いとなる。
本発明者は、以上の知見を組み合わせた結果、ネック部の最小径が大きく、かつ、ネック部の直径の分布が狭い炭素材料を新規に合成することに成功した。本発明で採用した鋳型炭素の製造方法は、鋳型に結晶子径が揃っているMgOを使用すること、ネック部とボトル部を大きくするMgO賦活処理を施すことが、従来の方法と異なっている。新規に合成した炭素を担体として用いた燃料電池の発電性能を調べたところ、従来のMgO鋳型炭素では得られない程度の触媒利用率向上を達成した。
具体的には、本発明のある観点によれば、窒素吸脱着等温線によって形成されるヒステリシスループが閉じる相対圧(P/P)cが0.55超、0.8未満であり、(P/P)c+0.1〜(P/P)c間の窒素脱着量dVが65cm/g超、200cm/g未満であり、BET比表面積が700m/g超、2000m/g以下であることを特徴とする、燃料電池触媒担体用炭素材料が提供される。
ここで、ラマン分光スペクトルから得られるGバンドの半値幅△Gが35cm−1超、70cm−1未満であってもよい。
また、BET比表面積が900m/g超、1500m/g未満であってもよい。
また、炭素材料の平均粒子径が200nm超1000nm未満であってもよい。
本発明の他の観点によれば、上記の燃料電池触媒担体用鋳型炭素材料を製造する燃料電池触媒担体用鋳型炭素材料の製造方法であって、MgOと炭素源を混合し、混合物を不活性雰囲気にて500〜1000℃で1時間以上焼成する第1の加熱工程と、第1の加熱工程により得られたMgO−炭素複合体を不活性雰囲気で1100℃〜1400℃で0.5〜5時間、熱処理する第2の加熱工程と、第2の加熱工程で得られたMgO−炭素複合体からMgOを除去する工程と、を含み、MgOの窒素吸着で得られる窒素吸着等温線をBJH法で解析して得られる細孔径分布曲線において、直径1〜50nmに細孔容積のピークが観測され、かつ、細孔容積のピークの3/4値幅R3/4と半値幅R1/2との比(R3/4)/(R1/2)が0.7未満であることを特徴とする、燃料電池触媒担体用鋳型炭素材料の製造方法が提供される。
ここで、MgOの平均粒子径が200nm超1000nm未満であってもよい。
また、MgOを除去する工程の後、不活性雰囲気下の加熱炉で1500〜2500℃の熱処理を施す第3の加熱工程を含んでいてもよい。
本発明の他の観点によれば、上記の燃料電池触媒担体用炭素材料を含むことを特徴とする、燃料電池用触媒層が提供される。
本発明の他の観点によれば、上記の燃料電池用触媒層を含むことを特徴とする、燃料電池が提供される。
ここで、燃料電池用触媒層は、カソード側の触媒層であってもよい。
以上説明したように本発明によれば、ヒステリシスループが閉じる相対圧(P/P)cが0.55超、0.8未満であるので、ネック部の最小径が十分大きくなる。したがって、高加湿環境下での発電時等にボトルネック型細孔内でのフラッディングが抑制される。さらに、(P/P)c+0.1〜(P/P)c間の窒素脱着量dVが65cm/g超、200cm/g未満であるので、ネック部の直径の分布が十分狭くなる。これにより、各ボトルネック型細孔に酸化性ガスが均等に供給されるので、各ボトルネック型細孔内、特にボトル部内の触媒成分を均等に使用することができる。したがって、触媒利用率が向上するので、燃料電池の発電性能、特に高加湿環境下での発電時等での発電性能が向上する。
MgO鋳型の結晶子の表面に炭素層が被覆したMgO−炭素複合体の構造を模式的に示す説明図である。 MgO賦活処理後のMgO−炭素複合体の構造を模式的に示す説明図である。 本発明に係る炭素材料の一例を模式的に示す説明図である。 ヒステリシスループの一例を示すグラフである。 ボトルネック型細孔の一例を模式的に示す説明図である。 本発明の実施形態に係る燃料電池の概略構成を示す模式図である。 複数のボトルネック型細孔が連結している例を模式的に示す説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。なお、本実施形態における細孔の直径は、細孔の大きさの指標である。細孔は必ずしも円筒形ではないが、本実施形態における細孔の直径は、細孔を円筒形と仮定したときの直径である。このような細孔の直径の測定には、ガス吸着を用いることが好ましい。窒素ガスを用いて得られる窒素吸着等温線をBJH法で解析した場合、細孔を円筒形と仮定したときの直径を算出することができる。また、粒子の直径(すなわち、粒子径)は、粒子の大きさの指標である。粒子は必ずしも球体ではないが、本実施形態における粒子径は、粒子を球体と仮定したときの直径である。本発明の粒子径の測定には、ディスク式粒度分布測定により算出した粒子径を用いることが好ましい。ディスク式粒度分布測定の場合、粒子径は、粒子を球体と仮定したときの直径として算出される。
<1.炭素材料の構成>
まず、本実施形態に係る炭素材料の構成について説明する。本実施形態に係る炭素材料は、燃料電池の触媒担体に好適に使用される。本実施形態に係る炭素材料は、ボトルネック型細孔を多数有するが、ネック部の最小径が大きく、かつ、ネック部の直径の分布が狭くなっている。以下、炭素材料の構成について詳細に説明する。
(1−1.ネック部の最小径について)
窒素吸脱着等温線におけるヒステリシスループの閉じる相対圧(P/P)cが、0.55超、0.8未満である。上述したように、ヒステリシスループの閉じる相対圧(P/P)cは、ネック部の最小径に相当する。つまり、本実施形態では、ネック部の最小径は、キャビテーションが生じる際の径よりも大きい。したがって、ヒステリシスループが閉じる相対圧(P/P)cは、ネック部の最小径に依存する。相対圧(P/P)cが0.55超、0.8未満の範囲であれば、ネック部の最小径が十分大きく、フラッディングが抑制される。言い換えれば、ガス拡散性に優れる。
一方、ヒステリシスループの閉じる相対圧(P/P)cが0.55以下だと、直径の小さいネック部が多く存在することとなり、このようなネック部においてフラッディングが発生しやすい。したがって、ガスの拡散性が低くなる。また、ヒステリシスループの閉じる相対圧(P/P)cが0.8以上の炭素材料を得ようとすると、過度のMgO賦活が必要な場合が多くなる。そして、過度なMgO賦活により、メソ孔内壁に新たなネック部が生じる可能性が高くなる。したがって、ネック部の直径の不均一性を増大する原因となる。
(1−2.ネック部の直径の分布について)
本実施形態では、ネック部の直径の分布の均一さの指標として、ヒステリシスループが閉じる直前の窒素脱着等温線の傾きを採用した。具体的には、ヒステリシスループが閉じる直前の窒素脱着等温線の傾きに相当する、(P/P)c+0.1〜(P/P)c間の窒素脱着量dVが65m/g超である。窒素脱着量dVが65cm/g超であれば、ネック部の直径の分布が十分に狭くなる。この結果、ボトルネック型細孔へのガス拡散性が均一になり、ボトルネック型細孔の内部に存在する多くの触媒成分が発電反応に寄与することができる。
窒素脱着量dVが65cm/g以下であると、ネック部の直径の分布の広がりが大きく、ボトルネック型細孔へのガス拡散が不均一となる。この結果、例えば酸化性ガスが十分に供給されなかったボトルネック型細孔内の触媒成分は、発電反応にほとんど寄与することができない。したがって、触媒利用率が低下する。
窒素脱着量dVの上限は特に制限はないが、後述する炭素材料の製造方法では、200cm/g程度が実現可能なので、この値が実質的な上限である。
(1−3.BET比表面積)
本実施形態に係る炭素材料のBET比表面積は、700m/g超2000m/g未満となる。BET比表面積が700m/g超であれば触媒成分を直径2〜4nm程度の微粒子として高分散状態で担持することができる。ここで、BET比表面積が700m/g以下だと、触媒成分を微粒子として高分散に担持できない場合が生じる。BET比表面積の上限は、制限するものではないが、物理的強度や酸化消耗耐久性を得るための黒鉛性が両立できる2000m/g程度が実現できる上限となる。
BET比表面積は、好ましくは、900m/g超1500m/g未満である。この場合、触媒成分をより高分散性状態で担持できる。なお、BET比表面積は、窒素吸着等温線をBET法解析することで得られる。
(1−4.黒鉛性)
本実施形態に係る炭素材料は、燃料電池として耐酸化消耗性の観点から、黒鉛性が高い(言い換えれば、結晶性の高い)構造を有していることが好ましい。具体的には、ラマン分光スペクトルから得られるGバンドの半価幅△Gが35cm−1超70cm−1未満であることが好ましい。ここで、Gバンドは、1500〜1700cm−1の範囲のピークを意味する。Gバンドの半値幅△Gが35cm−1以下だと結晶性が発達しすぎて、比表面積700m/g超との両立ができない場合が生じうる。一方、Gバンドの半値幅△Gが70cm−1以上だと、耐酸化消耗性が低く、耐久性を確保することが難しくなる可能性がある。
半値幅△Gは、40cm−1超65cm−1未満であることが更に好ましい。この場合、電子電導性が向上し、高度に触媒利用率と耐久性が両立した優れた燃料電池用担体炭素を得ることができる。
(1−5.平均粒子径)
炭素材料の平均粒子径は、200nm超1000nm未満であることが好ましい。この場合、炭素材料を燃料電池触媒担体としてカソード側の触媒層に用いたとき、ガス拡散に好適な粒子間隙を触媒層中で形成できる。
平均粒子径が200nm以下だと、炭素材料を燃料電池触媒担体として触媒層に用いたとき、粒子間空隙が小さくなり、ガス拡散性が低下する可能性がある。また、平均粒子径が1000nm以上だと、触媒層単位体積当たりの粒子間の導通経路が少なくなり、触媒層の電子伝導抵抗が大きくなる可能性がある。また、粒子内部へのガス拡散経路が長くなりすぎて結果として触媒利用率が低下する可能性がある。ここで、炭素材料の平均細孔径は、炭素材料の粒子径分布のメジアン径であり、炭素材料の粒子径は、例えばディスク式粒度分布測定によって測定できる。
<2.炭素材料の製造方法>
次に、炭素材料の製造方法について説明する。炭素材料の製造方法は、好ましくは、MgO鋳型の選定工程、炭素源の選定工程、炭素源とMgO鋳型の混合工程、第1の加熱工程、第2の加熱工程、MgO除去工程、及び第3の加熱工程を含む。以下、各工程について詳細に説明する。
(2−1.MgO鋳型の選定工程)
この工程では、MgO鋳型を選定する。ここで、MgO鋳型の最小構成粒子は、上述したように、結晶子である。複数の結晶子が凝集することで、ひと塊のMgO鋳型粒子を形成する。MgO鋳型をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察すると、結晶子があらゆる箇所で連結してひと塊のMgO鋳型粒子を構成していることが分かる。
MgO鋳型粒子の粒子径と、最終生成物である炭素材料の粒子径は、ほぼ同一となる。また、後述する第一の加熱工程によってMgO−炭素複合体が形成される。MgO−炭素複合体中の炭素層によって形成される細孔の直径(いわゆる細孔径)は、結晶子の直径(いわゆる結晶子径)とほぼ同一となる。
上記の理由は以下の通りである。すなわち、MgO鋳型と炭素源との混合物を第一の加熱工程で焼成すると、炭素源は、その一部が分解しながらMgO鋳型中に分散し、結晶子の表面に付着する。そして、結晶子の表面に付着した炭素源が炭素化する。これにより、MgO−炭素複合体が形成される(図1〜図3参照)。したがって、MgO−炭素複合体は、MgO鋳型粒子とほぼ同程度の粒子径を有する。そして、最終生成物である炭素材料は、MgO−炭素複合体からMgO鋳型を除去したものなので、炭素材料の粒子径は、MgO−炭素複合体の粒子径とほぼ同一である。したがって、MgO鋳型粒子の粒子径と、最終生成物である炭素材料の粒子径は、ほぼ同一となる。また、炭素層は、結晶子の表面に付着しているので、炭素層によって形成される細孔の直径は、結晶子径とほぼ同一となる。
結晶子径は、5nm超50nm未満であることが好ましい。なお、結晶子径は、例えばXRD(X線回折)によって測定される。結晶子径がこの範囲内の値となる場合、炭素材料に十分な大きさの細孔(すなわち、発電反応に必要な酸化性ガスを炭素材料中に十分に拡散できる程度の大きさの細孔)を形成することができる。一方、結晶子径が5nm以下であると、最終生成物である炭素材料中の細孔が小さくなり、ガス拡散性が低下する可能性がある。また、結晶子径が50nm以上であると、炭素材料中の細孔は大きくなるが、高い比表面積と物理的強度を両立出来なくなる可能性がある。
また、結晶子径が揃っていることが好ましい。結晶子径を揃えることで、上述したように、ネック部の直径の分布を狭くすることができるからである。ここで、粒子径の均一性は、MgO鋳型の細孔径分布のピークに基づいて評価することができる。具体的には、MgO鋳型の窒素吸着等温線をBJH法で解析することで、細孔径分布曲線を得る。ついで、細孔径分布曲線において、直径1〜50nmに細孔容積のピークが観測され、かつ、MgO鋳型の細孔容積のピークの3/4値幅R3/4と半値幅R1/2との比(R3/4)/(R1/2)が0.7未満ならピークがシャープであると評価する。この場合、結晶子径が均一であると評価できる。一方、(R3/4)/(R1/2)が0.7以上ならピークがブロードであり、結晶子径は不均一であると評価できる。
さらに、MgO鋳型粒子の平均粒子径が200nm超1000nm未満であることが好ましい。この場合、平均粒子径が200nm超1000nm未満である(つまり、好ましい平均細孔径の)炭素材料を作製することができる。ここで、MgO鋳型粒子の平均粒子径は、MgO鋳型粒子の粒子径分布のメジアン径であり、MgO鋳型粒子の粒子径は、例えばディスク式粒度分布測定によって測定できる。
MgO鋳型粒子の粒子径分布は狭いことが好ましい。具体的には、粒子径分布におけるピーク3/4値幅と半値幅との比「粒子径の3/4値幅/粒子径の半値幅」が0.7未満であることが好ましい。この場合、より粒子径分布の狭い炭素材料を作製することができ、炭素材料のガス拡散性が向上する。
MgO鋳型は、市販のMgOを用いてもよい。市販のMgOが上述した要件を満たしていれば、市販のMgOをそのままMgO鋳型として使用すればよい。市販のMgOの平均細孔径が大きい場合には、粒子径が大きいMgOを粉砕することで、平均粒子径を上述した範囲内の値としてMgO鋳型として用いてもよい。この場合、粉砕の方法は特に制限されないが、例えば、ボールミルまたはジェットミルによる粉砕等が挙げられる。粉砕後は、分級して粒子径をそろえることが好ましい。
また、MgO鋳型に用いるMgOは、合成されたものであってもよい。この場合、上述した要件が満たされるようにMgOを合成することが好ましい。すなわち、合成法は、少なくとも結晶子径を制御できる方法であることが好ましく、結晶子径及びMgO鋳型粒子の粒子径の両方を制御できる方法であることがさらに好ましい。具体的な合成法としては、例えば、水酸化マグネシウムや炭酸マグネシウムを加熱分解する方法や、Mg錯体を酸化性雰囲気で熱処理する方法が挙げられる。これらの方法では、熱処理温度によってMgOの結晶子径を調整することができる。また、結晶子径を調整したMgOを、前述した粉砕法により、粒子径を調整してもよい。
MgO鋳型を構成する成分は、MgOが主成分である。具体的には、MgO鋳型は、MgOを95質量%以上の割合で含むことが好ましい。MgO成分の含有量が95質量%未満であると、MgO成分以外の不純物が多くなる。そして、このような不純物は、炭素材料の粒子内に残留することがある。そして、炭素材料を燃料電池触媒担体として用いた場合、不純物によって電子伝導抵抗が増大する可能性がある。MgO成分の含有量が95質量%以上であれば、このような問題が生じにくくなるので、高性能な炭素材料を得ることができる。
(2−2.炭素源の選定工程)
この工程では、炭素源を選定する。炭素源は、特に制限されず、例えば従来の鋳型法に使用される炭素源であってもよい。例えば、炭素源は、各種の有機物であってもよい。炭素源の例としては、具体的には、ポリビニルアルコール、脂肪族系もしくは芳香族系のポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリブタジエンやポリイソプレン等を主体とするエラストマー、天然ゴム、石油樹脂、フェノール系樹脂、フラン系樹脂、エポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、ポリイミド等が挙げられる。炭素源は、これらの例のうち、実質的に炭素、水素、酸素のみで構成されるもの、すなわち、ポリビニルアルコール、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、石油樹脂などであることが好ましい。これらの炭素前駆体は、粉末状、ペレット状、塊状など任意の形状であってもよく、有機溶剤に溶解あるいは分散されていても良い。また、上記で挙げた例は室温で固体の有機物であるが、炭素源は、室温で液体の有機物であってもよい。このような例としては、フルフリルアルコール、アクリロニトリル、酢酸ビニル等が挙げられる。炭素源は、上記で列挙された樹脂のうち、熱可塑性樹脂であることがより好ましい。熱可塑性樹脂の例としては、上述したポリビニルアルコール等が挙げられる。炭素源に熱可塑性樹脂を用いると、第1の加熱工程の際に、炭素源が溶融するので、結晶子の表面に炭素源が均一に被覆しやすくなる。この結果、結晶子の表面に炭素層が均一に形成されるので、より均質な炭素材料を得ることができる。
(2−3.炭素源とMgO鋳型の混合工程)
この工程では、炭素源とMgO鋳型とを混合する。炭素材料を均質にするという観点から、炭素源とMgO鋳型とは、均一に(つまり、成分の偏りがなるべく少なくなるように)混合されることが好ましい。混合方法は、炭素源とMgO鋳型とを均一に混合できる方法であることが好ましいが、特に制限されない。混合方法の例としては、乾式または湿式のボールミルによる混合が挙げられる。この混合方法によれば、炭素源とMgO鋳型とを均一に混合することができる。
ここで、炭素源とMgO鋳型とを湿式で混合する場合、溶媒はMgO鋳型を溶解しないものであることが好ましい。このような溶媒としては、例えば、エタノールなどのアルコールが挙げられる。また、炭素源とMgO鋳型とを湿式で混合した後は、混合物を十分に乾燥させた後、次の工程を行う。
ここで、炭素源とMgO鋳型との混合比は炭素源中の炭素分CとMgO成分との質量比C/MgOが、0.1超5未満であることが好ましい。質量比C/MgOがこの範囲内の値である場合、MgO鋳型に炭素源が十分に被覆することができるため、MgO鋳型の結晶子の形状を反映した、すなわち、ネック部の直径が揃い、かつ、高比表面積となる炭素材料を得ることができる。
一方、質量比C/MgOが0.1以下だと、炭素源がMgO鋳型を被覆しきれない可能性がある。この場合、MgO鋳型の結晶子サイズを反映した細孔が得られず、ひいては、ネック部の直径の分布が大きくなる可能性がある。質量比C/MgOが5以上だと、MgO鋳型に被覆する炭素源が過剰に厚くなるので、炭素層も肉厚となる。この結果、炭素材料の比表面積が低くなる可能性がある。
(2−4.第1の加熱工程)
第1の加熱工程では、MgO鋳型の結晶子に炭素源を被覆し、かつ、炭素源を炭素化する。具体的には、第1の加熱工程では、炭素源とMgO鋳型との混合物を不活性雰囲気下で焼成する。これにより、炭素源は、その一部(具体的には、揮発性の高い成分)が分解しながらMgO鋳型中に分散し、結晶子の表面に付着する。そして、結晶子の表面に付着した炭素源(具体的には、揮発性の低い成分)が炭素化する。これにより、MgO−炭素複合体を作製する。
MgO−炭素複合体中の炭素質に含まれる炭素分の含有量は、炭素質の総質量に対して70質量%以上であることが好ましい。炭素質は、MgO−炭素複合物におけるMgO以外の構成物であり、炭素質には、炭素分の他、水素や酸素、窒素やホウ素原子などが含まれる場合がある。炭素質中の炭素分の含有量は、MgO−炭素複合物を酸処理によりMgOを溶解、除去後、得られる炭素質に対し、燃焼赤外線吸収法のような有機元素分析により定量測定が出来る。炭素分の含有量が70質量%以上となる場合、本実施形態の目的とする炭素材料を容易に作製することができる。一方、炭素分の含有量が70質量%未満となる場合、MgO−炭素複合体中に揮発性の高い炭素分が多く存在する傾向にある。このため、次の工程(第2の加熱工程)でMgO−炭素複合体をより高温で熱処理したときに、揮発性の高い炭素分が揮発し、炭素層中に余分な細孔を形成する可能性がある。このような細孔は、ネック部となる可能性がある。したがって、ネック部の直径の分布が広くなる可能性がある。
第1の加熱工程では、具体的には、炭素源とMgO鋳型との混合物を、不活性雰囲気下の加熱炉で、500〜1000℃で1時間以上焼成(加熱)することが好ましい。この場合、MgO−炭素複合体中の炭素質に含まれる炭素の含有量を70質量%以上とすることができる。なお、昇温速度には制限がないが、10〜30℃/分程度とすればよい。加熱温度が500℃未満となる場合、炭素化が十分に進行しない可能性がある。この結果、MgO−炭素複合体中の炭素の含有量が70質量%未満となる可能性がある。また、加熱温度が1000℃超となる場合、炭素源の分解物が激しく揮発する。そして、揮発した分解物により、炭素層の一部が酸化される可能性がある。この結果、炭素層中に余分な細孔が形成される可能性がある。このような細孔は、ネック部となる可能性がある。したがって、ネック部の直径の分布が広がる可能性がある。
(2−5.第2の加熱工程)
第2の加熱工程では、MgO−炭素複合体を高温で熱処理する。すなわち、上述した「MgO賦活処理」を行う。このMgO賦活処理によって、MgO−炭素複合体中の炭素層が減肉する。これにより、ボトルネック型細孔のボトル部及びネック部が拡大する。つまり、ネック部の最小径が大きくなり、ボトル部の直径が大きくなる。
具体的には、第1の加熱工程により得られた炭素−MgO複合体を、不活性雰囲気下の加熱炉で、1100〜1400℃の温度で熱処理する。加熱温度が1100℃未満となる場合、MgO賦活反応が起こらない。加熱温度が1400℃より高い場合、炭素層の酸化が進み過ぎ、新たな小さいネック部が形成される可能性がある。
第2の加熱工程の熱処理時間は限定するものではないが、通常0.5〜5時間程度であればよい。第2の加熱工程を行わない、すなわち、MgO賦活処理を行わない場合、ネック部の直径はMgO鋳型の形状に依存することになる。したがって、ネック部の最小径が小さくなってしまう。
また、MgO賦活処理の代わりに他の賦活処理、例えばガス賦活処理を、MgOを含まない炭素材料に行っても、本実施形態に係る炭素材料は得られない。例えば、MgO−炭素複合体を酸処理し、MgOを溶解、除去して得られる炭素材料をCOガスまたは水蒸気のフロー中900℃以上で加熱した場合、MgO−炭素複合体粒子の外部が酸化されてしまい、ネック部の拡大が出来ない。したがって、ガス賦活処理は本実施形態では不適である。
なお、第2の加熱工程において、上述した処理の代わりに、酸化性ガス5〜20体積%が混合された雰囲気でMgO−炭素複合体を500〜900℃で熱処理してもよい。この場合、酸化性ガスがMgO−炭素複合体粒子内部に拡散し、MgOの賦活効果により、MgO−炭素複合体の粒子内部からネック部を拡大できる。すなわち、炭素層を減肉することができる。500℃未満だと、炭素層の減肉が開始せず、900℃超だと、MgO−炭素複合体粒子の外部が酸化されてしまい、ネック部の直径の分布が広くなってしまう。また、酸化性ガスの含有量が5体積%未満だと、炭素層の減肉が開始せず、20体積%超だと、MgO−炭素複合体粒子の外部が酸化されてしまい、ネック部の直径の分布が広くなってしまう。
(2−6.MgO除去工程)
この工程では、炭素−MgO複合体を酸洗することで、MgO鋳型を酸洗液中に溶解する。これにより、炭素−MgO複合体からMgO鋳型を除去する。工程後の炭素材料に残留するMgO成分は、炭素材料の総質量に対して0.5質量%以下であることが好ましい。炭素材料中のMgO成分の残存量は、炭素材料を酸化雰囲気で燃焼させた後、残存した灰分を、王水などの酸で溶解させ、その溶液をICP発光分光分析法などの成分分析法を行うことで、定量できる。炭素材料に残存するMgO成分の残存量が0.5質量%超であると、炭素材料を燃料電池に適用した際に、発電反応中に溶解したMgOが電解質樹脂と反応し、プロトン伝導性が低下し、結果として燃料電池性能が低くなる影響が大きくなる。酸洗に用いる酸は、MgOが可溶であればよく、好ましい例としては、硫酸が挙げられる。酸洗後、炭素材料を水洗し、乾燥させる。以上の工程により、本実施形態に係る炭素材料を得ることができる。この炭素材料では、ネック部の最小径が大きくなっており、かつ、ネック部の直径の分布が狭くなっている。具体的には、ヒステリシスループが閉じる相対圧(P/P)cが0.55超、0.8未満であり、(P/P)c+0.1〜(P/P)c間の窒素脱着量dVが65cm/g超となっている。したがって、この炭素材料を燃料電池に使用した場合、ネック部においてフラッディングが発生しにくい。さらに、各ボトルネック型細孔に均等に酸化性ガスが供給される。したがって、ガス拡散性が向上し、発電性能が向上する。特に、高加湿環境下での発電時等での発電性能が向上する。
(2−7.第3の加熱工程)
MgO除去工程を行った段階での炭素材料も十分な発電性能を発揮するが、炭素材料の耐久性をさらに高めるために、第3の加熱工程を行うことが好ましい。第3の加熱工程では、炭素材料の結晶性を向上させることで、炭素材料に燃料電池用触媒担体として必要な耐久性を具備させることができる。
具体的には、第3の加熱工程では、炭素材料に不活性雰囲気下の加熱炉で1500〜2500℃の熱処理を施す。これにより、炭素材料の結晶性(言い換えれば、黒鉛化度)を高めることができる。具体的には、ラマン分光スペクトルから得られるGバンドの半値幅△Gが35cm−1超、70cm−1未満となる。加熱温度が1500℃未満となる場合、結晶性が十分に高まらず、耐酸化消耗性が低くなる可能性がある。加熱温度が2500℃を超えると、比表面積が低下し、触媒成分の分散性が悪くなる可能性がある。
上述した全ての工程を行うことで、高加湿環境下での発電時等でのガス拡散性が高く、かつ、耐久性の高い炭素材料を得ることができる。
<3.固体高分子形燃料電池の構成>
本実施形態に係る触媒担体用炭素材料は、例えば図6に示す固体高分子形燃料電池100に適用可能である。固体高分子形燃料電池100は、セパレータ110、120、ガス拡散層130、140、触媒層150、160、及び電解質膜170を備える。
セパレータ110は、アノード側のセパレータであり、水素等の還元性ガスをガス拡散層130に導入する。セパレータ120は、カソード側のセパレータであり、酸素ガス、空気等の酸化性ガスをガス拡散凝集相に導入する。セパレータ110、120の種類は特に問われず、従来の燃料電池、例えば固体高分子形燃料電池で使用されるセパレータであればよい。
ガス拡散層130は、アノード側のガス拡散層であり、セパレータ110から供給された還元性ガスを拡散させた後、触媒層150に供給する。ガス拡散層140は、カソード側のガス拡散層であり、セパレータ120から供給された酸化性ガスを拡散させた後、触媒層160に供給する。ガス拡散層130、40の種類は特に問われず、従来の燃料電池、例えば固体高分子形燃料電池に使用されるガス拡散層であればよい。ガス拡散層130、40の例としては、カーボンクロスやカーボンペーパー等の多孔質炭素材料、金属メッシュや金属ウール等の多孔質金属材料等が挙げられる。なお、ガス拡散層130、140の好ましい例としては、ガス拡散層のセパレータ側の層が繊維状炭素材料を主成分とするガス拡散繊維層となり、触媒層側の層がカーボンブラックを主成分とするマイクロポア層となる2層構造のガス拡散層が挙げられる。
触媒層150は、いわゆるアノードである。触媒層150内では、還元性ガスの酸化反応が起こり、プロトンと電子が生成される。例えば、還元性ガスが水素ガスとなる場合、以下の酸化反応が起こる。
→2H+2e (E=0V)
酸化反応によって生じたプロトンは、触媒層150、及び電解質膜170を通って触媒層160に到達する。酸化反応によって生じた電子は、触媒層150、ガス拡散層130、及びセパレータ110を通って外部回路に到達する。電子は、外部回路内で仕事をした後、セパレータ120に導入される。その後、電子は、セパレータ120、ガス拡散層140を通って触媒層160に到達する。
アノードとなる触媒層150の構成は特に制限されない。すなわち、触媒層150の構成は、従来のアノードと同様の構成であってもよいし、触媒層160と同様の構成であってもよいし、触媒層160よりもさらに親水性が高い構成であってもよい。
触媒層160は、いわゆるカソードである。触媒層160内では、酸化性ガスの還元反応が起こり、水が生成される。例えば、酸化性ガスが酸素ガスあるいは空気となる場合、以下の還元反応が起こる。酸化反応で発生した水は、未反応の酸化性ガスとともに固体高分子形燃料電池100の外部に排出される。
+4H+4e→2HO (E=1.23V)
このように、固体高分子形燃料電池100では、酸化反応と還元反応とのエネルギー差(電位差)を利用して発電する。言い換えれば、酸化反応で生じた電子が外部回路で仕事を行う。
触媒層160には、本実施形態に係る触媒担体用炭素材料が含まれていることが好ましい。すなわち、触媒層160は、本実施形態に係る触媒担体用炭素材料と、電解質材料と、触媒成分とを含む。これにより、触媒層160内の触媒利用率を高めることができ、ひいては、固体高分子形燃料電池100の触媒利用率を高めることができる。
なお、触媒層160における触媒担持率は特に制限されないが、30質量%以上80質量%未満であることが好ましい。ここで、触媒担持率は、触媒担持粒子(触媒担体用炭素材料に触媒成分を担持させた粒子)の総質量に対する触媒成分の質量%であることが好ましい。この場合、触媒利用率がさらに高くなる。なお、触媒担持率が30質量%未満となる場合、固体高分子形燃料電池100を実用に耐えるようにするために触媒層160を厚くする必要が生じうる。一方、触媒担持率が80質量%以上となる場合、触媒凝集が起こりやすくなる。また、触媒層160が薄くなりすぎて、フラッディングが起こる可能性が生じる。
触媒層160における電解質材料の質量I(g)と触媒担体用炭素材料の質量C(g)との質量比I/Cは特に制限されないが、0.5超5.0未満であることが好ましい。この場合、気孔ネットワークと電解質材料ネットワークとが両立でき、触媒利用率が高くなる。一方、質量比I/Cが0.5以下となる場合、電解質材料ネットワークが貧弱になり、プロトン伝導抵抗が高くなる傾向にある。質量比I/Cが5.0以上となる場合、電解質材料によって気孔ネットワークが分断される可能性がある。いずれの場合にも、触媒利用率が低下する可能性がある。
また、触媒層160の厚さは特に制限されないが、5μm超20μm未満であることが好ましい。この場合、触媒層160内に酸化性ガスが拡散しやすく、かつ、フラッディングが生じにくくなる。触媒層160の厚さが5μm以下となる場合、フラッディングが生じやすくなる。触媒層160の厚さが20μm以上となる場合、触媒層160内で酸化性ガスが拡散しにくくなり、電解質膜170近傍の触媒成分が働きにくくなる。すなわち、触媒利用率が低下する可能性がある。
電解質膜170は、プロトン伝導性を有する電解質材料で構成されている。電解質膜170は、上記酸化反応で生成したプロトンをカソードである触媒層160に導入する。ここで、電解質材料の種類は特に問われず、従来の燃料電池、例えば固体高分子形燃料電池で使用される電解質材料であればよい。好適な例は固体高分子形燃料電池で使用される電解質材料、すなわち、電解質樹脂である。電解質樹脂としては、例えば、リン酸基、スルホン酸基等を導入した高分子、例えば、パーフルオロスルホン酸ポリマーやベンゼンスルホン酸が導入されたポリマー等が挙げられる。もちろん、本実施形態に係る電解質材料は他の種類の電解質材料であってもよい。このような電解質材料としては、例えば、無機系、無機−有機ハイブリッド系等の電解質材料等が挙げられる。なお、固体高分子形燃料電池100は、常温〜150℃の範囲内で作動する燃料電池であってもよい。
<4.固体高分子形燃料電池の製造方法>
固体高分子形燃料電池100の製造方法は特に制限されず、従来と同様の製造方法であればよい。ただし、カソード側の触媒担体には本実施形態に係る触媒担体用炭素材料を用いることが好ましい。
<1.炭素材料の評価方法>
つぎに、本実施形態の実施例について説明する。まず、各パラメータの測定方法について説明する。
(1−1.窒素吸着等温線と窒素脱着等温線の測定方法)
マイクロトラック・ベル社製のBELSORPminiを用いて窒素ガス吸着測定を行い、窒素吸着等温線および窒素脱着等温線を得た。測定温度は77Kとした。窒素吸着等温線は、相対圧0〜0.995の範囲で測定し、窒素脱着等温線の測定は、窒素吸着等温線測定から連続して行った。窒素脱着等温線は、相対圧0.995〜0.3までの範囲で測定した。
(1−2.ヒステリシスループの閉じる相対圧(P/P)c及び(P/P)c+0.1〜(P/P)c間の窒素脱着量dVの測定方法)
相対圧を0.995から下げて窒素脱着等温線を測定する過程で、窒素脱着等温線の吸着量と、窒素吸着等温線の吸着量の差(dD)が初めて10cm/g以下となった相対圧をヒステリシスループの閉じる相対圧(P/P)cとした。
また、窒素脱着等温線における相対圧(P/P)c+0.1の吸着量と相対圧(P/P0)cの吸着量の差を(P/P)c+0.1〜(P/P)c間の窒素脱着量dVとした。
(1−3.BET比表面積の測定方法)
BELSORPminiに付属の解析ソフトにより、窒素吸着等温線をBET法により解析し、BET比表面積を算出した。
(1−4.炭素材料及びMgO鋳型粒子の平均粒子径の測定方法)
ディスク式粒度分布測定装置(Brookhaven製、BI−DCP)を用いて炭素材料およびMgO鋳型粒子の粒子径分布を測定した。溶媒は水を使用し、遠心場の回転速度は3000rpmとした。そして、装置の専用の解析ソフトによってメジアン径を測定し、このメジアン径を平均粒子径とした。
(1−5.MgO鋳型の結晶子径の測定方法)
X線回折装置(リガク社製、SmartLab)を用いてMgO鋳型の結晶子径を測定した。具体的には、X線回折装置の測定結果を解析ソフトよりX線回折パターンに変換し、42度付近の回折ピークから、MgO鋳型の結晶子径を算出した。
(1−6.MgO結晶子径分布の均一性)
MgO鋳型の結晶子径の分布は、液体窒素温度における窒素吸着等温線をBJH法で解析した結果を指標にした。具体的には、MgO鋳型の窒素吸着等温線をBJH法で解析して得られる細孔径分布において、直径1〜50nmにピークを持ち、かつ、MgOの細孔径分布のピークの半値幅R1/2と3/4値幅R3/4の比(R1/2)/(R3/4)が0.7未満ならピークがシャープであると評価した。この場合、結晶子径が均一である(○)と評価した。一方、(R3/4)/(R1/2)が0.7以上ならピークがブロードであり、結晶子径は不均一(×)であると評価した。
(1−7.炭素材料のラマン分光スペクトルの測定)
炭素材料を約3mg測り採り、レーザーラマン分光光度計(日本分光(株)製、NRS−7100型)を用い、励起レーザー532nm、レーザーパワー100mW(試料照射パワー:0.1mW)、顕微配置:Backscattering、スリット:100μm x 100μm、対物レンズ:x 100、スポット径:1μm、露光時間:30sec、観測波数:3200〜750cm−1、積算回数:2回の測定条件で炭素材料のラマン分光スペクトルを測定した。そして、各測定で得られたラマン分光スペクトルからGバンドと呼ばれる1500〜1700cm−1の範囲のピークを抽出し、このピークの半値幅(△G)を測定した。
(1−8.MgO成分の残存量の評価)
実施例1〜9、比較例1〜17に関わる炭素材料のいずれかを選択した。ついで、選択した炭素材料をオーブン中85℃で4時間乾燥した。その後、セラミック製のボートに、乾燥した炭素材料1gを入れ、電気炉中で、大気中、600℃5hr燃焼させた。ボート上に残存した灰分が室温まで冷えた後、灰分をテフロン製のビーカーにいれ、王水(濃硝酸:濃塩酸=3:1)6mLを加え、ホットプレート上150℃で2時間、分解を行った。分解液を50mLの全量フラスコに移し入れ、水で評線まで薄めた。得た希釈液の一部をICP発光分光分析装置(AMETEK社製CIROS−120)のアルゴンプラズマ中に噴霧し、MgOの定量を行った。定量によって算出した炭素材料1g中のMgOの質量%を、MgO成分の残存量として、表2に記載した。
<2.炭素材料の調整>
(2−1.MgO鋳型の準備(炭素材料の下準備。共通))
MgO鋳型として、表1に示したMgO−A〜Fを準備した。MgO−A〜Fは表1に示した販売元(神島化学工業製、関東電化工業社製、IoLiTec社製、タテホ化学社製)から入手した。MgO−D〜MgO−Fをボールミルで粉砕し、MgO鋳型粒子の粒子径を表1記載のサイズに調整した。MgO鋳型粒子の粒子径、結晶子径、(R1/2)/(R3/4)、及び結晶子径の分布の均一さの判定結果を表1に示す。
Figure 2019012601
(2−2.第3の加熱工程を行わない炭素材料(実施例1〜5、比較例1〜11)
実施例1〜5、比較例1〜11では、表2に示したMgO鋳型を用いて以下の工程を行った。これにより、実施例1〜5、比較例1〜11に係る炭素材料を作製した。
(2−2−1.第1の加熱工程)
炭素源としてポリビニルアルコール粉末(電気化学工業社製、デンカポバール)を準備した。そして、MgO鋳型と炭素源とを質量比1:2の割合で混合し、混合物を石英製の坩堝に入れた。坩堝を電気炉に挿入し、電気炉内にアルゴンガスを100mL/分で流通させた。ついで、電気炉内を10℃/分で昇温し、表2に記載した第1の加熱温度で1時間温度保持した。自然放冷後、MgO−炭素複合体を取り出した。
(2−2−2.第2の加熱工程)
MgO−炭素複合体をアルミナボート上に2〜3g秤量し、横型管状電気炉内にセットした。ついで、電気炉内に窒素ガスを100ml/分で流通し、電気炉内を表2に記載した第2の加熱温度で1時間温度保持した。
(2−2−3.MgO除去工程)
第2の加熱工程後のMgO−炭素複合体をナスフラスコに投入し、さらにMgO−炭素複合体に対し質量比で100倍量の1M希硫酸をナスフラスコに投入した。ついで、ナスフラスコ中の混合液を、60℃に温度保持したオイルバス中で3時間撹拌した。これにより、MgO鋳型を混合液中に溶出させた。その後、混合液を室温まで冷却させた。ついで、混合液をろ過することで、炭素材料を単離した。ついで、炭素材料を純水で洗浄し、濾過後、乾燥した。以上の工程により、炭素材料を得た。
(2−3.第3の加熱工程を行った炭素材料(実施例6〜9、比較例12〜13))
実施例6〜9、比較例12〜13では、表2に示したMgO鋳型を用いて以下の工程を行った。これにより、実施例6〜9、比較例12〜13に係る炭素材料を作製した。
(2−3−1.第1の加熱工程)
炭素源としてポリビニルアルコール粉末(電気化学工業社製、デンカポバール)を準備した。そして、MgO鋳型と炭素源とを質量比1:2の割合で混合し、混合物を石英製の坩堝に入れた。坩堝を電気炉に挿入し、電気炉内にアルゴンガスを100mL/分で流通させた。ついで、電気炉内を10℃/分で昇温し、800℃で1時間温度保持した。自然放冷後、MgO−炭素複合体を取り出した。
(2−3−2.第2の加熱工程)
MgO−炭素複合体をアルミナボート上に2〜3g秤量し、横型管状電気炉内にセットした。ついで、電気炉内に窒素ガスを100ml/分で流通し、電気炉内を表2に記載した第2の加熱温度で1時間温度保持した。
(2−3−3.MgO除去工程)
第2の加熱工程後のMgO−炭素複合体をナスフラスコに投入し、さらにMgO−炭素複合体に対し質量比で100倍量の1M希硫酸をナスフラスコに投入した。ついで、ナスフラスコ中の混合液を、60℃に温度保持したオイルバス中で3時間撹拌した。これにより、MgO鋳型を混合液中に溶出させた。その後、混合液を室温まで冷却させた。ついで、混合液をろ過することで、炭素材料を単離した。ついで、炭素材料を純水で洗浄し、濾過後、乾燥した。
(2−3−4.第3の加熱工程)
MgO鋳型を除去した炭素材料を黒鉛製の坩堝に入れ、坩堝をタンマン炉にセットした。ついで、タンマン炉内にアルゴンガス100mL流通させた。ついで、タンマン炉内温度を表2記載の第3の加熱温度まで10℃/分で昇温し、1時間温度保持した。その後、タンマン炉内温度を室温まで冷却させた。以上の工程により、炭素材料を得た。
(2−4.第2及び第3の加熱工程を行わない炭素材料(比較例14〜16))
比較例14〜16では、表2に示したMgO鋳型を用いて以下の工程を行った。これにより、比較例14〜16に係る炭素材料を作製した。
(2−4−1.第1の加熱工程)
炭素源としてポリビニルアルコール粉末(電気化学工業社製、デンカポバール)を準備した。そして、MgO鋳型と炭素源とを質量比1:2の割合で混合し、混合物を石英製の坩堝に入れた。坩堝を電気炉に挿入し、電気炉内にアルゴンガスを100mL/分で流通させた。ついで、電気炉内を10℃/分で昇温し、800℃で1時間温度保持した。自然放冷後、MgO−炭素複合体を取り出した。
(2−4−2.MgO除去工程)
第1の加熱工程後のMgO−炭素複合体をナスフラスコに投入し、さらにMgO−炭素複合体に対し質量比で100倍量の1M希硫酸をナスフラスコに投入した。ついで、ナスフラスコ中の混合液を、60℃に温度保持したオイルバス中で3時間撹拌した。これにより、MgO鋳型を混合液中に溶出させた。その後、混合液を室温まで冷却させた。ついで、混合液をろ過することで、炭素材料を単離した。ついで、炭素材料を純水で洗浄し、濾過後、乾燥した。以上の工程により、炭素材料を得た。
(2−5.MgO除去工程しきらない炭素材料(比較例17))
比較例17では、表2に示したMgO鋳型を用いて以下の工程を行った。これにより、比較例17に係る炭素材料を作製した。
(2−5−1.第1の加熱工程)
炭素源としてポリビニルアルコール粉末(電気化学工業社製、デンカポバール)を準備した。そして、MgO鋳型と炭素源とを質量比1:2の割合で混合し、混合物を石英製の坩堝に入れた。坩堝を電気炉に挿入し、電気炉内にアルゴンガスを100mL/分で流通させた。ついで、電気炉内を10℃/分で昇温し、表1に記載した第1の加熱温度で1時間温度保持した。自然放冷後、MgO−炭素複合体を取り出した。
(2−5−2.第2の加熱工程)
MgO−炭素複合体をアルミナボート上に2〜3g秤量し、横型管状電気炉内にセットした。ついで、電気炉内に窒素ガスを100ml/分で流通し、電気炉内を表2に記載した第2の加熱温度で1時間温度保持した。
(2−5−3.MgO除去工程)
第2の加熱工程後のMgO−炭素複合体をナスフラスコに投入し、さらにMgO−炭素複合体に対し質量比で1.5倍量の1M希硫酸をナスフラスコに投入した。ついで、ナスフラスコ中の混合液を、室温で0.5時間撹拌した。これにより、MgO鋳型を混合液中に溶出させた。その後、混合液をろ過することで、炭素材料を単離した。ついで、炭素材料を純水で洗浄し、濾過後、乾燥した。以上の工程により、炭素材料を得た。
(2−6.市販多孔質炭素材料:カーボンブラック、活性炭(比較例18〜20))
比較例18〜20に係る炭素材料として、市販カーボンブラック(ライオン社製、ケッチェンブラック)、EC300J、EC600JDと活性炭YP80Fを準備した。
<3.燃料電池の調整とその電池性能の評価>
(3−1.触媒の作製)
実施例1〜9、比較例1〜20に係る炭素材料のいずれかを選択した。ついで、選択した炭素材料を、塩化白金酸、水、及びエタノールを所定比率で配合した混合溶液中に分散させ、その後脱気処理した。次に、沈殿剤(還元剤)としてアンモニア水を混合溶液中にゆっくり滴下し、混合溶液を1時間撹拌した。ついで、アンモニア水を用いて得られた沈殿物の洗浄と瀘過を行った。得られた固形分をHeガス中で350℃、3時間焼成し、白金担持量40質量%の白金担持炭素材料を得た。
上記白金担持炭素材料をAr雰囲気下で容器に取り、これに電解質材料としてDupont社製のナフィオン(登録商標:Nafion)を加え、軽く撹拌した後、超音波で白金担持炭素材料を解砕した。更に混合物を撹拌し、混合物にエタノールを加え、白金担持炭素材料とナフィオンとを合わせた固形分濃度が1質量%となるように調整した。以上の工程により、白金担持炭素材料と電解質樹脂とが混合した触媒金属インクを調製した。その後、上記のように作製した所定量の触媒金属インクを攪拌しながら更にエタノールを加えて、白金濃度が0.5質量%の塗布インクを作製した。
(3−2.触媒層の調製)
触媒金属成分(白金)の触媒層単位面積当たりの質量(以下、触媒金属成分の目付量)を0.2mg/cmに設定し、狙った目付量になるようにスプレー条件を調節した。ついで、上記塗布インクをテフロン(登録商標)シート上にスプレーした後、アルゴン中120℃で60分間の乾燥処理を行った。以上の工程により、触媒層を作製した。
(3−3.MEAの作製)
作製した上記の触媒層を用いて、以下の方法でMEA(膜電極複合体)を作製した。ナフィオン膜(Dupont社製NR211)から一辺6cmの正方形状の電解質膜を切り出した。また、テフロンシート上に塗布されたアノード及びカソードの各触媒層については、それぞれカッターナイフで一辺2.5cmの正方形状に切り出した。
このようにして切り出されたアノード及びカソードの各触媒層の間に、各触媒層が電解質膜の中心部を挟んでそれぞれ接すると共に互いにずれが無いように、この電解質膜を挟み込んだ。ついで、作製された積層体を120℃、100kg/cmで10分間プレスした。プレス後の積層体を室温まで冷却した後、アノード及びカソード共にテフロンシートのみを注意深く剥ぎ取った。これにより、アノード及びカソードの各触媒層が電解質膜に定着した触媒層−電解質膜接合体を調製した。
次に、ガス拡散層として、カーボンペーパー(SGLカーボン社製39BC)から一辺2.5cmの大きさで一対の正方形状カーボンペーパーを切り出した。ついで、これらのカーボンペーパーの間に、アノード及びカソードの各触媒層が一致してずれが無いように、上記触媒層−電解質膜接合体を挟みこんだ。ついで、積層体を120℃、50kg/cmで10分間プレスすることで、MEAを作製した。
なお、作製された各MEAにおける触媒金属成分、炭素材料、電解質材料の各成分の目付量を以下のように算出した。すなわち、プレス前の触媒層付テフロンシートの質量とプレス後に剥がしたテフロンシートの質量との差からナフィオン膜(電解質膜)に定着させた触媒層の質量を求め、触媒層の組成の質量比より触媒金属成分、炭素材料、電解質材料の各成分の目付量を算出した。
(3−4.燃料電池の評価試験)
(3−4−1.低電流密度の発電性能の評価)
本実施形態の目的に沿って、フラッディングしやすい高加湿のガスを用いた大電流出力直後の低電流密度の発電性能を評価した。
具体的には、作製したMEAをそれぞれセルに組み込み、燃料電池測定装置を用いて燃料電池の性能を評価した。ここで、カソードに空気、アノードに純水素を、利用率がそれぞれ40%と70%となるように供給した。それぞれのガス圧は、セル下流に設けられた背圧弁で0.1MPaに設定した。また、セル温度は80℃に設定した。また、燃料電池に供給するガス(空気、純水素)を加湿器中で80℃に保温された蒸留水に通す(すなわち、バブリングを行う)ことで、これらのガスに改質水素相当の水蒸気を含ませた。その後、これらのガスを燃料電池に供給した。
このような設定の下で、セルの負荷を増やし、電流密度1000mA/cmにおいて1時間保持した。電流密度1000mA/cmで1時間保持後のセル電圧が0.3V以上となるものに対しては、電流密度を100mA/cmに設定し、電流密度を100mA/cmに設定してから1分経過後のセル端子間電圧を出力電圧として記録した。この出力電圧を低電流密度の発電性能とした。
得られた燃料電池の性能評価結果については、◎、○、●の合格ランクと×の不合格ランクの基準で評価を行った。合格ランクは◎が最も高性能で、次に○、次に●の順で性能が高くなる。具体的に、出力電圧が0.860V以上となる場合、発電性能を合格ランク◎とした。出力電圧が0.840V以上、0.860V未満となる場合、発電性能を合格ランク○とした。出力電圧が0.820V以上、0.840V未満となる場合、発電性能を合格ランク●とした。出力電圧が0.820V未満となる場合、または、電流密度1000mA/cmで1時間保持後にセル電圧が0.3V未満になる場合、発電性能を不合格の×とした。表2に、各実施例1〜9及び比較例1〜20で得られた出力電圧(100mA/cmで1分保持した後の出力電圧)の値及び発電性能評価結果を表2中に示す。なお、電流密度1000mA/cmで1時間保持後にセル電圧が0.3V未満になるものは、100mA/cmにおける出力電圧を測定していないため、表2では、「−」と記載した。
(3−4−2.燃料電池の耐久試験)
次に、上記試験で1000mA/cmで1時間保持した後にセル電圧が0.3V以上となる燃料電池を対象として、耐久試験の評価を行った。
具体的には、セル端子間電圧を1.0Vで1秒間保持し、次いでセル端子間電圧を1.5Vに上昇させて1秒間保持した後にセル端子間電圧を1.0Vに戻すサイクルを4000回繰り返した。その後、低電流密度特性の評価試験の場合と同様に電池性能を測定した。
耐久試験後の出力電圧(100mA/cmで1分保持した後の出力電圧)が耐久試験前の出力電圧(100mA/cmで1分保持した後の出力電圧)と比較してどの程度低下したかを低下率として求めた。低下率が15%未満となる場合、耐久性を合格ランク○、低下率が15%以上となる場合、耐久性を不合格とした。結果を表2に示す。なお、電流密度1000mA/cmで1時間保持後にセル電圧が0.3V未満になるものは、耐久試験を実施していないため、表2では、「−」と記載した。
また、表2には、各実施例1〜9及び比較例1〜20の担体炭素材料について、ヒステリシスループの閉じる相対圧(P/P)c、(P/P)c+0.1〜(P/P)c間の脱着量dV、BET比表面積(m/g)、ラマン分光スペクトルの1550〜1650cm−1の範囲に検出されるGバンドの半値幅△G(cm−1)の測定結果を併せて記載した。ここで、比較例18、20は、ヒステリシスループが閉じなかったため、相対圧(P/P)cに「*」を付した。
Figure 2019012601
表2から明らかな通り、本実施形態の要件を満たす実施例1〜9では、いずれも優れた発電性能が得られた。特に、第3の加熱工程を行った実施例6〜9では、耐久性も優れていた。これに対し、本実施形態の要件を満たさない比較例1〜20では、発電性能が劣っていた。また、ほとんどの比較例で耐久性も劣っていた。なお、比較例14〜16は、特許文献1または2に相当するが、発電性能及び耐久性ともに劣っていた。
また、BET比表面積が900m/g超、1500m/g未満である実施例、あるいは、炭素材料の平均粒子径が200nm超1000nm未満である実施例では、発電性能が良好となる傾向があった。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
10 MgO鋳型粒子
10a 結晶子
20 炭素層
A ヒステリシスループ
30 ボトルネック型細孔
20a、30a ボトル部
20b、30b ネック部
100 固体高分子形燃料電池
110、120 セパレータ
130、140 ガス拡散層
150、160 触媒層
170 電解質膜

Claims (10)

  1. 窒素吸脱着等温線によって形成されるヒステリシスループが閉じる相対圧(P/P)cが0.55超、0.8未満であり、
    (P/P)c+0.1〜(P/P)c間の窒素脱着量dVが65cm/g超であり、
    BET比表面積が700m/g超であることを特徴とする、燃料電池触媒担体用鋳型炭素材料。
  2. ラマン分光スペクトルから得られるGバンドの半値幅△Gが35cm−1超、70cm−1未満であることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池触媒担体用鋳型炭素材料。
  3. BET比表面積が900m/g超、1500m/g未満であることを特徴とする、請求項1または2に記載の燃料電池触媒担体用鋳型炭素材料。
  4. 前記炭素材料の平均粒子径が200nm超1000nm未満であることを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の燃料電池触媒担体用鋳型炭素材料。
  5. 請求項1〜4の何れか1項に記載の燃料電池触媒担体用鋳型炭素材料を製造する燃料電池触媒担体用鋳型炭素材料の製造方法であって、
    MgOと炭素源を混合し、混合物を不活性雰囲気にて500〜1000℃で1時間以上焼成する第1の加熱工程と、
    前記第1の加熱工程により得られたMgO−炭素複合体を不活性雰囲気で1100℃〜1400℃で0.5〜5時間、熱処理する第2の加熱工程と、
    前記第2の加熱工程で得られたMgO−炭素複合体からMgOを除去する工程と、
    を含み、
    前記MgOの窒素吸着で得られる窒素吸着等温線をBJH法で解析して得られる細孔径分布曲線において、直径1〜50nmに細孔容積のピークが観測され、かつ、細孔容積のピークの3/4値幅R3/4と半値幅R1/2との比(R3/4)/(R1/2)が0.7未満であることを特徴とする、燃料電池触媒担体用鋳型炭素材料の製造方法。
  6. 前記MgOの平均粒子径が200nm超1000nm未満であることを特徴とする請求項5に記載の燃料電池触媒担体用鋳型炭素材料の製造方法。
  7. 前記MgOを除去する工程の後、不活性雰囲気下の加熱炉で1500〜2500℃の熱処理を施す第3の加熱工程を含むことを特徴とする、請求項5または6に記載の燃料電池触媒担体用鋳型炭素材料の製造方法。
  8. 請求項1〜4の何れか1項に記載の燃料電池触媒担体用炭素材料を含むことを特徴とする、燃料電池用触媒層。
  9. 請求項8記載の燃料電池用触媒層を含むことを特徴とする、燃料電池。
  10. 前記燃料電池用触媒層は、カソード側の触媒層であることを特徴とする、請求項9記載の燃料電池。
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