JP2015164889A - 多孔質炭素材料およびその製造方法 - Google Patents

多孔質炭素材料およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】比表面積に対して高い耐腐食性を有する多孔質炭素材料を提供する。
【解決手段】X線回折スペクトルにおいて、炭素の(002)面に由来するピークが観測されないか、または、炭素の(002)面に由来するピークの半値幅が5°以上であり、炭素の(10)面に由来するピークの半値幅が3.2°以下であることを特徴とする、多孔質炭素材料である。
【選択図】なし

Description

本発明は、多孔質炭素材料、特に燃料電池に用いられる電極触媒用多孔質炭素材料、およびその製造方法に関する。
プロトン伝導性固体高分子膜を用いた固体高分子形燃料電池(PEFC)は、例えば、固体酸化物形燃料電池や溶融炭酸塩形燃料電池など、他のタイプの燃料電池と比較して低温で作動する。このため、固体高分子形燃料電池は、定置用電源や、自動車などの移動体用動力源として期待されており、その実用も開始されている。
このような固体高分子形燃料電池には、一般的に、白金(Pt)やPt合金に代表される高価な金属触媒が用いられている。また、金属触媒を担持する担体としては、撥水性および耐食性の観点から、黒鉛化カーボンが使用されている。例えば、特許文献1には、[002]面の平均格子面間隔d002が0.338〜0.355nmであり、比表面積が80〜250m/gであり、かさ密度が0.30〜0.45g/mlである黒鉛化カーボンが記載されている。特許文献1には、当該黒鉛化カーボンを電極触媒用の担体として使用することによって、優れた耐久性が得られることが記載されている。
特開2005−26174号公報
しかしながら、特許文献1に記載の担体をはじめとして、燃料電池用電極触媒の担体として用いられている従来の炭素材料では、比表面積と耐腐食性とはトレードオフの関係にあった。炭素材料の比表面積の増加に伴って耐腐食性は低下する傾向にあるため、高い比表面積と耐腐食性とを両立することは困難であった。
したがって、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、比表面積に対して高い耐腐食性を有する多孔質炭素材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、X線回折スペクトルによる構造解析において、所定の構造を示す多孔質炭素材料によって、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち本発明は、X線回折スペクトルにおいて、炭素の(002)面に由来するピークが観測されないか、または、炭素の(002)面に由来するピークの半値幅が5°以上であり、炭素の(10)面に由来するピークの半値幅が3.2°以下であることを特徴とする、多孔質炭素材料である。
また、所定の電気化学的酸化評価法において、1.0V(vs.Ag/AgCl)における酸化電流(腐食電流)値が、BET比表面積に対して、特定の値を有する多孔質炭素材料によって、上記課題が解決されることを見出した。
本発明の他の実施形態は、三極式電気化学的酸化評価法において、25℃、1M HSO電解液中、−0.1〜1.0V(vs.Ag/AgCl)の範囲でのサイクリックボルタンメトリー測定から求められる、1.0V(vs.Ag/AgCl)における酸化電流値y1(mA/mg)が、下記式(1)で表されるy(mA/mg)に対して、25%以上小さい、多孔質炭素材料である:
式(1)中、xは、前記多孔質炭素材料のBET比表面積(m/g)である。
また、本発明は、熱重量分析装置を用い、空気流通下、5℃/minの昇温条件で行った燃焼酸化試験において、重量が初期重量の50%となる燃焼温度t1(℃)が、
下記式(2)で表されるy(℃)に対して、25℃以上高い、多孔質炭素材料である:
式(2)中、xは、前記多孔質炭素材料のBET比表面積(m/g)である。
さらに、本発明は、減圧条件下、10℃/minの昇温速度で1800℃まで行った昇温脱離質量分析(TPD−MS)から算出されるCOとCOとの放出量の合計が100μmol/g以下である、多孔質炭素材料である。
また、本発明は、アルミナナノ粒子を鋳型とし、前記鋳型上に炭素層を被覆して、炭素被覆したアルミナナノ粒子を調製する第1工程と、前記鋳型を溶解除去して多孔質炭素材料を得る第2工程と、を含む、多孔質炭素材料の製造方法である。
本発明の多孔質炭素材料は、エッジ面や欠陥の少ないグラフェンシートを、数層以下の積層数で含む構造を有するため、従来の比表面積と耐腐食性との関係を越えて、比表面積に対して高い耐腐食性を達成することができる。そのため、高い比表面積と高い耐腐食性とを両立する多孔質炭素材料が得られうる。
本発明の一実施形態に係るアルミナ鋳型炭素材料を表す模式図である。 実施例1で調製した多孔質炭素材料(AOP−H−CS)、および熱処理した多孔質炭素材料(AOP−H−CSH)の窒素吸脱着等温線測定を示す図である。 実施例1で調製した多孔質炭素材料(AOP−H−CS)、および熱処理した多孔質炭素材料(AOP−H−CSH)の細孔径分布を示す図である。 実施例1で調製した多孔質炭素材料のXRDパターンである。 実施例1で調製した多孔質炭素材料AOP−H−CSのTEM写真である。 実施例2で調製した多孔質炭素材料の窒素吸脱着等温線測定を示す図である。 実施例2で調製した多孔質炭素材料の細孔径分布を示す図である。 実施例2で調製した多孔質炭素材料のXRDパターンである。 実施例2で調製した多孔質炭素材料のTEM写真である。 実施例2で調製した多孔質炭素材料のTEM写真である。 実施例4で調製した多孔質炭素材料のTEM写真である。 各実施例、比較例で調製した多孔質炭素材料のXRDスペクトルである。 各実施例、比較例で調製した多孔質炭素材料のXRDスペクトルの炭素(002)面および(10)面に由来する回折ピークの半値幅の関係を示す図である。 各実施例、比較例で調製した多孔質炭素材料のラマン散乱スペクトルである。 各実施例、比較例で調製した多孔質炭素材料のGバンドのピーク強度(G)に対する、G’バンドのピーク強度(G’)の比(G’/G)示す図である。 三極式電気化学的酸化評価用のセルの概略図である。 (a)実施例1で調製した熱処理した多孔質炭素材料(AOP−H−CSH)、および(b)活性炭(YP50F)のCV測定結果を示すグラフである。 各実施例および比較例の炭素材料について、CV測定によって得られた電位と酸化電流値との関係を表すグラフである。 各実施例および比較例の炭素材料のBET比表面積と1.0V(vs.Ag/Al)における酸化電流値との関係を表すグラフである。 熱重量分析装置を用いた燃焼酸化試験における温度プロファイルである。 実施例1、2および比較例1〜6の炭素材料の熱重量分析結果を示す図である。 各実施例および比較例の炭素材料のBET比表面積と燃焼温度との関係を表すグラフである。 TPD−MS装置の概略図である。 各実施例および比較例の炭素材料のCOのTPDスペクトルを示す図である。 各実施例および比較例の炭素材料のCOのTPDスペクトルを示す図である。 各実施例および比較例の炭素材料におけるCOおよびCOの放出量の合計を示すグラフである。
本発明の一実施形態は、X線回折スペクトルにおいて、炭素の(002)面に由来するピークが観測されないか、または、炭素の(002)面に由来するピークの半値幅が5°以上であり、炭素の(10)面に由来するピークの半値幅が3.2°以下であることを特徴とする、多孔質炭素材料である。
燃料電池用電極触媒の担体として現在利用されている炭素材料としては、黒鉛化カーボンブラック、ケッチェンブラックなどのカーボンブラック、活性炭などからなるカーボン粒子などが挙げられる。
このうち、黒鉛化カーボンブラックは、高い結晶性を有し、導電率が高い。また、電気化学的腐食の起点となりうるグラフェン部分の端部(エッジ)の量が少なく、耐酸化性に優れるが、BET比表面積が数10〜150m/g程度である。一方、活性炭は、結晶性、導電率が低く、エッジの量が多いため、耐酸化性が相対的に低いが、〜2800m/gの高いBET比表面積を有する。カーボンブラックは、これらの間の特性を有し、原料や製法などによって化学的性質や物性が異なるいくつかの種類に分類されるが、300〜700m/g程度のBET比表面積を有し、BET比表面積が大きいものほど、導電性、耐酸化性が低い傾向にある。
しかしながら、燃料電池用電極触媒の担体など、多くの電極材料において、高比表面積かつ高耐久性の炭素材料の開発が求められている。そこで、本発明者らは、高いBET比表面積と、高い耐酸化性とを共に有する多孔質炭素材料を得るための検討を行った。
炭素材料の基本骨格はグラフェンである。炭素材料の耐酸化性を向上させるためには、耐酸化性の低いエッジ面よりも、耐酸化性が高いベーサル面を露出させることが有効である。また、導電性を高めるためには、グラフェンのサイズを大きくすることが考えられる。ただし、グラフェンの積層数を多くすると比表面積が低下してしまう。そのため、1枚のグラフェンのサイズが大きく、積層数の少ない、多孔質炭素材料を設計することを検討した。そして、X線回折スペクトルにおいて、炭素の(002)面に由来するピークの半値幅と(10)面に由来するピークの半値幅とが所定の値に制御された、新たな多孔質炭素材料を得た。
粉末X線回折ピークの線幅から結晶子の大きさを知る方法として、下記のシェラーの式が知られている。
式中、Lは結晶子の大きさであり、Kは形状因子(定数)であり、λはX線の波長であり、βは半値幅であり、θはブラッグ角(回折角2θの1/2)である。ある特定のピークを比較する場合、θがほぼ一定値であり、Kおよびλは定数であるため結晶子の大きさLは半値幅βの大きさに反比例する。
そのため、グラフェンの積層構造に由来する炭素(002)面のピークの半値幅W(002)が大きいほど、積層方向の結晶子の大きさが小さく、グラフェンの積層数が少ないといえる。さらに、多孔質材料が積層のない単層のグラフェンから構成される場合は、炭素(002)面に由来する回折ピークは現れない。また、積層構造の存在割合が単層のグラフェンに対して小さい場合も、炭素(002)面に由来する回折ピークが観察されない可能性があるものと考えられる。そして、単層グラフェンの面内回折に由来する炭素(10)面のピークの半値幅W(10)が小さいほど、面内方向の結晶子の大きさが大きく、1層のグラフェンのサイズが大きいといえる。
本発明に係る多孔質炭素材料は、W(002)が、5°以上であり、W(10)が、3.2°以下である。
一般に、炭素材料の結晶性が低いほど、W(002)およびW(10)のいずれもが大きくなる傾向にある。各種カーボンブラックや、活性炭など、燃料電池用電極触媒の担体として従来用いられている炭素材料では、グラフェンの積層数を少なくすると、グラフェンのサイズも小さくなってしまい、グラフェンの積層数が少なく、かつ、1層のグラフェンのサイズが大きい構造を得ることは容易ではない。
具体的には、W(002)が5°よりも小さいとグラフェンの積層数が十分に低減されず、比表面積を高めることが難しく、W(10)が、3.2°よりも大きいと、グラフェンのサイズが十分ではないため耐酸化性や導電性を高めることが難しい。好ましくは、W(002)が6°以上である。
好ましくは、本実施形態の多孔質炭素材料は、W(01)が、1.2〜3.2°である。
なお、本明細書中、W(002)(°)およびW(10)(°)は、後述の実施例に記載の方法で求められる値を用いるものとする。
好ましくは、本実施形態の多孔質炭素材料は、ラマン分光法によって1590cm−1付近で計測されるGバンドのピーク強度(G)に対する、2670cm−1付近で計測されるG’バンドのピーク強度(G’)の比(G’/G)が、0.6以上である。
黒鉛のラマン散乱スペクトルにおいては、グラフェンの積層に由来するGバンドが1590cm−1付近に、積層数の少ないグラフェンの存在に由来するG’バンドが2670cm−1付近に観察される。そして、Gバンドのピーク強度(G)に対する、G’バンドのピーク強度(G’)との比(G’/G)は、約0.5である。これに対して、単層グラフェンのラマン散乱スペクトルにおいては、G’/Gが、約4になることが知られている。積層数が増加すると、G’/Gは低下し、4層以上で黒鉛とほぼ同じスペクトルになる(Nano Lett.,2006,6,2667−2673、Physics Reporets,2009,473,51−87)。したがって、G’/Gの値は、単層グラフェンの存在の指標となる。G’/Gの値が4に近くなるほど、積層が少なく、ベーサル面が発達した、単層グラフェンに近い構造である、もしくは、炭素材料中に含まれる単層グラフェンの割合が大きいと考えられる。
G’/Gの値が0.6以上であれば、積層数が十分に低減されたグラフェンシートに起因する高導電率、高耐酸化性、および高比面積が効果的に達成されうる。より好ましくは、G’/Gの値は、0.7以上である。G’/Gの値の上限値は特に制限されないが、4以下であることが好ましい。
また、G’/Gの値が0.6以上である炭素材料においては、BET比表面積が、800〜2600m/gであることが好ましい。上記範囲であれば、ベーサル面が発達した単層グラフェンが存在することによる効果がより一層顕著に得られうる。
なお、本明細書中、G’/Gの値は、後述の実施例に記載の方法で求められる値を用いるものとする。
さらに、グラフェンのG’バンドは、HOPGのG’バンドよりも低波数側にシフトし、ピークの半値幅が狭い。そのため、本実施形態の炭素材料は、好ましくは、ラマン散乱スペクトルにおけるG’バンドがHOPGのG’バンドよりも低波数側にシフトする。このような構成であれば、単層グラフェンに近い構造を有していると考えられ、発明の効果がより顕著に得られうる。
また、本発明の一実施形態は、三極式電気化学的酸化評価法において、25℃、1M HSO電解液中、−0.1〜1.0V(vs.Ag/AgCl)の範囲でのサイクリックボルタンメトリー測定から求められる、1.0V(vs.Ag/AgCl)における酸化電流値y1(mA/mg)が、下記式(1)で表されるy(mA/mg)に対して、25%以上小さい、多孔質炭素材料である。
式(1)中、xは、前記多孔質炭素材料のBET比表面積SBET(m/g)である。
本発明者らは、上記の高いBET比表面積と、高い耐酸化性とを共に有する多孔質炭素材料を得るための検討の過程で、燃料電池用電極触媒の担体として一般に用いられている炭素材料は、炭素材料のBET比表面積x(m/g)と、所定の電気化学的酸化評価法で評価した酸化電流値y(mA/mg)との間に、下記式(1)のような相関があることを見出した。なお、酸化電流値とは、測定により得られる電流値から電気二重層容量に由来する電流値を差し引いた値である。
ここで、y(mA/mg)は、従来の炭素材料において、三極式電気化学的酸化評価法において、25℃、1M HSO電解液中、−0.1〜1.0V(vs.Ag/AgCl)の範囲でのサイクリックボルタンメトリー測定から求められる、1.0V(vs.Ag/AgCl)における酸化電流値である。
酸化電流値y1、yは、炭素材料の酸化に対する耐性の指標であり、y1、yの値が大きいほど、炭素材料が酸化されやすいことを意味する。すなわち、燃料電池用電極触媒の担体として使用されている炭素材料は、その種類にかかわらず、BET比表面積x(m/g)が大きくなるにつれて、酸化電流値y(mA/mg)が大きくなり、酸化に対する耐性が低くなってしまう。
これに対して、本発明の多孔質炭素材料は、上記の所定の条件で評価した酸化電流値y1(mA/mg)が、同等のBET比表面積を有する従来の炭素材料を仮定して見積もられる酸化電流値y(mA/mg)に対して、25%以上小さい。すなわち、y1(mA/mg)およびy(mA/mg)が、下記式(1a)を満たす。
このような構成を有することで、本発明によれば、従来のBET比表面積と耐腐食性との関係を越えて、同程度のBET比表面積を有する従来の炭素材料と比較して耐酸化性に優れた炭素材料が提供される。その結果、高い比表面積と高い耐腐食性の両立を図ることができる。
好ましくは、本発明の多孔質炭素材料は、上記の所定の条件で評価した酸化電流値y1(mA/mg)が、同等のBET比表面積を有する従来の炭素材料を仮定して見積もられる酸化電流値y(mA/mg)に対して、30%以上小さく、より好ましくは40%以上小さく、さらに好ましくは50%以上小さい。
なお、本明細書中、前記多孔質炭素材料のBET比表面積x(m/g)は、後述の実施例のように、窒素吸脱着等温線測定からBET法で求めた値を用いる。また、y1(mA/mg)は、後述の実施例に記載の方法で求められる値を用いるものとする。
本発明の他の実施形態は、熱重量分析装置を用い、空気流通下、5℃/minの昇温条件で行った燃焼酸化試験において、重量が初期重量の50%となる燃焼温度t1(℃)が、下記式(2)で表されるy(℃)に対して、25℃以上高い、多孔質炭素材料である。
式(2)中、xは、前記多孔質炭素材料のBET比表面積(m/g)である。
燃焼温度は炭素材料の構造によって異なり、結晶性が高いほど燃焼温度が高くなる。したがって、燃焼挙動を比較することで耐酸化性の比較が可能である。
燃料電池用電極触媒の担体として一般に用いられている炭素材料は、上述のように、BET比表面積が大きいものほど、結晶性が低い傾向にある。そのため、BET比表面積が大きいものほど、燃焼温度が低い、すなわち、熱的酸化に対する耐性が低い傾向にある。本発明者らは、燃料電池用電極触媒の担体として一般に用いられている炭素材料のBET比表面積x(m/g)と、所定の燃焼酸化試験によって評価した燃焼温度y(℃)との間に、上記式(2)のような相関があることを確認した。
これに対して、本発明の多孔質炭素材料は、上記の所定の条件で評価した燃焼温度t1(℃)が、同等のBET比表面積を有する従来の炭素材料を仮定して見積もられる燃焼温度y(℃)よりも、25℃以上高い。
このような構成を有することで、本発明によれば、従来のBET比表面積と耐酸化性との関係を越えて、同程度のBET比表面積を有する従来の炭素材料と比較して熱的酸化に対する耐性に優れた炭素材料が提供される。その結果、高い比表面積と高い耐久性の両立を図ることができる。なお、本明細書中、t1(℃)は、後述の実施例に記載の方法で求められる値を用いるものとする。
さらに、本発明の他の実施形態は、減圧条件下、10℃/minの昇温速度で1800℃まで行った昇温脱離質量分析(TPD−MS)測定から算出されるCOとCOとの放出量の合計が100μmol/g以下である、多孔質炭素材料である。所定の条件で加熱したときのTPD−MS測定から算出される、炭素材料1gあたりのCOとCOとの放出量の合計が、100μmol/gを超えると、酸化に対する十分な耐性が得られない。COとCOとの放出量の下限値は特に制限されないが、実質的に、1μmol/g以上であり、好ましくは5μmol/g以上である。さらに、高比表面積と高い耐久性を共に満たす観点から、炭素材料1gあたりのCOとCOとの放出量の合計が、100μmol/g以下であり、炭素材料のBET比表面積が50m/g以上であることが好ましい。
試料中に含まれる含酸素官能基の量は、昇温脱離質量分析(TPD−MS)測定から見積もることができる。具体的には、COの放出量を測定することにより、水酸基(フェノール基)、カルボニル基(キノン類を含む)、エーテル、酸無水物などの官能基の存在量の総計が得られる。一方、COの放出量を測定することにより、カルボキシル基、ラクトン、酸無水物などの官能基の存在量の総計が得られる。そして、TPD−MS測定によって算出されるCOの放出量とCOの放出量との合計の値は、炭素材料中に含まれる含酸素含有基の総量と関連する。
炭素材料において含酸素官能基は炭素網面の平面の部分(ベーサル面)よりも端の部分(エッジ)に多く存在する。したがってCOおよびCOの放出量が多いほど含酸素官能基量が多く、炭素材料の構造中に存在するエッジが多いといえる。エッジはベーサル面よりも反応性が高く、酸化されやすいため、エッジの存在量が少ないほど、より高耐久性であると考えられる。
したがって、このような構成を有することで、本発明によれば、高い比表面積を有しつつ、従来の炭素材料と比較して耐酸化性に優れた炭素材料が提供される。その結果、高い比表面積と高い耐久性の両立を図ることができる。なお、本明細書中、COの放出量とCOの放出量との合計の値は、後述の実施例に記載の方法で求められる値を用いるものとする。
以下、図面を参照しながら、本発明の多孔質炭素材料の一実施形態を詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施形態のみに制限されない。なお、各図面は説明の便宜上誇張されて表現されており、各図面における各構成要素の寸法比率が実際とは異なる場合がある。また、本発明の実施の形態を図面を参照して説明した場合では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
<多孔質炭素材料>
本発明の多孔質炭素材料は、燃料電池用電極触媒の担体として一般に用いられている炭素材料における比表面積と耐腐食性とのトレードオフの関係を越えて、高い比表面積と高い耐腐食性とを両立する。
ここで、多孔質炭素材料の耐腐食性は、電気化学的腐食の起点となりうるグラフェンシートのエッジ(端部)の量に依存しており、エッジが少ないほど耐腐食性が高くなる。エッジの量はグラフェンシートの網面サイズに依存し、網面サイズが大きいほどエッジの量は少なくなる。すなわち、網面サイズが大きいほど炭素の耐腐食性は高くなる。
炭素材料の耐腐食性を向上させるために、例えば、特許文献1には、カーボンブラックなどのカーボン粒子を高温熱処理により黒鉛化する方法が記載されている。このような高温熱処理をすると、網面サイズが大きくなって耐腐食性が大きくなる効果があるが、多くの場合、同時にグラフェンシート同士の積層が発達するため、BET比表面積が低下してしまう。
そこで、本発明者らは、エッジや欠陥の少ないグラフェンシートが数層以下、好ましくは1〜2層、特には1層の積層数で構成される、高結晶かつ高比表面積の多孔質炭素材料を設計し、合成を行った。
以下、本実施形態の多孔質炭素材料の構成について説明する。
本発明の多孔質炭素材料は、炭素を主成分とする。ここで、「炭素を主成分とする」とは、炭素のみからなる、実質的に炭素からなる、の双方を含む概念であり、炭素以外の元素が含まれていてもよい。「実質的に炭素からなる」とは、全体の80重量%以上、好ましくは全体の95重量%以上、より好ましくは全体の98重量%以上(上限:100重量%)が炭素から構成されることを意味する。
また、前記多孔質炭素材料の粉末の大きさは、特に限定されない。ただし、触媒担体として用いる場合は、触媒金属の担持の容易さ、触媒利用率、電極触媒層の厚みを適切な範囲で制御するなどの観点から、前記多孔質炭素材料の粉末の平均粒径(平均二次粒子径)が5〜2000nm、好ましくは10〜200nm、好ましくは20〜100nm程度とすることが好ましい。「多孔質炭素材料の粉末の平均粒径」の値としては、特に言及のない限り、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察手段を用い、数〜数十視野中に観察される粒子の粒径の平均値として算出される値を採用するものとする。また、「粒径」とは、粒子の中心を通りかつ粒子の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離を意味するものとする。
本実施形態の多孔質炭素材料のBET比表面積は、特に制限されないが、好ましくは、250m/g以上であり、より好ましくは500m/g以上であり、特に好ましくは800m/g以上である。前記多孔質炭素材料のBET比表面積が250m/g以上であれば、触媒担体として用いたときに高い触媒活性と高いガス輸送性が得られうる。前記多孔質炭素材料のBET比表面積は大きいほど好ましいが、実質的に、2600m/g以下であり、好ましくは2500m/g以下である。前記多孔質炭素材料のBET比表面積は、窒素吸脱着等温線の測定結果からBET法で求めることができる。
本実施形態の多孔質炭素材料は、細孔を有し、上記の式(1)または式(2)を満たすもの、または所定のTPD−MS測定によって見積もられるCOの放出量とCOの放出量の合計が所定の値に制御されたものであれば特に制限はない。好ましくは、エッジや欠陥の少ないグラフェンシートが数層以下、好ましくは1〜2層、特には1層の積層数で構成される構造であることが好ましい。このような構造の炭素材料としては、アルミナナノ粒子を鋳型として用いて調製された、アルミナ鋳型炭素材料であることが好ましい。アルミナ鋳型炭素材料は、鋳型であるアルミナナノ粒子の形態を反映した空孔を有する多孔質炭素材料であり、好ましくは、メソ孔を有する多孔質炭素材料である。なお、国際純正及び応用化学連合(IUPAC)では、直径2nm以下の細孔をミクロ孔、直径2〜50nmの細孔をメソ孔、直径50nm以上の細孔をマクロ孔と定義している。メソ孔を有する材料を総称してメソポーラス材料と称している。
図1に、アルミナ鋳型炭素材料の一例を模式的に示す。アルミナ鋳型炭素材料1は、アルミナナノ粒子2を鋳型として得られた多孔質炭素材料である。より詳細には、アルミナ鋳型炭素材料1の作製には、まず、図1(b)に示すように、アルミナナノ粒子2の表面を炭素層3で被覆する(炭素被覆アルミナナノ粒子4)。その後にアルミナナノ粒子2のみを除去することによって、アルミナ鋳型炭素材料1が得られる(図1(c))。アルミナ鋳型炭素材料1は、鋳型として用いたアルミナナノ粒子2の構造的特徴が反映された、メソ孔7を有する。
本実施形態によるアルミナ鋳型炭素材料は、好ましくは、メソ孔7の形状に沿って三次元的に連続したグラフェンシートから構成され、前記グラフェンシートの積層数が数層以下である多孔質炭素材料(シェル状グラフェン積層体)であり、特に好ましくは、欠陥のない単層のグラフェンのみから構成される多孔質炭素材料である。グラフェンシートの積層数を数層以下、特には1層とすることで、多孔質炭素材料のBET比表面積を十分に向上させることができる。好ましくは、鋳型のBET比表面積と炭素の被覆量から求められる平均積層数が10以下(多孔質炭素材料のBET比表面積が250m/g以上に相当)であり、より好ましくは5以下(500m/g以上に相当)である。なお、グラフェンシートの機械的強度を十分に強くし、鋳型を除去した後にグラフェンシートの構造が崩れて凝集し比表面積の低下につながることを抑制する観点から、鋳型のBET比表面積と炭素の被覆量から求められる平均積層数が1以上であることが好ましい。また、メソ孔7の形状に沿って欠陥やエッジの少ないグラフェンシートが均一に三次元的に形成された構造を有することが好ましく、このような構成とすることで、多孔質炭素材料の電気化学的酸化などに対する耐久性が向上しうる。
本実施形態による多孔質炭素材料は、平均細孔径が、例えば、0.5〜10nmであり、好ましくは0.7〜8nmである。平均細孔径が上記範囲であれば、空孔の形状に沿って数層以下(例えば5層以下、好ましくは1〜2層)のグラフェンシートが積層された構造の多孔質炭素材料(シェル状グラフェン積層体)が容易に得られうる。また、燃料電池用電極触媒の触媒担体として用いた際に、平均細孔径が0.5nm以上であれば、ガス輸送抵抗に影響が少なく、平均細孔径が10nm以下であれば、アイオノマーが空孔に侵入しにくい。平均細孔径は後述の実施例に記載の方法で求めることができる。
本実施形態による多孔質炭素材料は、全細孔容積が、例えば、0.5〜5.0cm/gであり、好ましくは0.9〜4.0cm/gである。全細孔容積が0.5cm/g以上、特には0.9cm/g以上であれば、高い比表面積が得られうる。一方、全細孔容積が5.0cm/g以下、特には4.0cm/g以下であれば、十分な機械的強度が得られうる。また、メソ孔の占める容積は、例えば0.8cm/g以上であり、好ましくは1.0cm/g以上、より好ましくは1.3cm/g以上である。メソ孔の占める容積が0.8cm/g以上、特には1.0cm/g以上であれば、物質移動の点で好ましい。
多孔質炭素材料の全細孔容積は、窒素吸脱着等温線測定を行い、相対圧力(P/P0)が0.96の吸着量から求めることができる。また、ミクロ孔の容積はDR法で求めることができ、全細孔容積とミクロ孔の容積との差からメソ細孔の占める容積を求めることができる。
<多孔質炭素材料の製造方法>
以下、本発明の多孔質炭素材料の製造方法の好ましい形態を説明するが、本発明は下記形態に限定されない。
本実施形態による金属担持炭素材料は、アルミナナノ粒子を鋳型とし、前記鋳型上に炭素層を被覆して、炭素被覆したアルミナナノ粒子を調製する第1工程と、前記鋳型を溶解除去して多孔質炭素材料を得る第2工程と、を有する方法によって製造することができる。このような方法を用いることで、エッジや欠陥の少ないグラフェンシートが数層以下、好ましくは1〜2層、特には1層の積層数で構成される、高結晶かつ高比表面積の多孔質炭素材料を容易に得ることができる。そして、高い酸化耐性と高い比表面積を両立する炭素材料を得ることができる。
高い比表面積を有するグラフェンシートを得るためには、単にグラフェンを大量合成するだけでは不十分である。これは、グラフェンがファンデルワールス力により積層してしまうためである。積層してしまうことを防ぐために、グラフェンシートに三次元的な構造を持たせることが必要になる。しかしながら、グラフェンの調製方法として、機械的剥離や酸化グラフェンの還元のような方法を採用した場合は、三次元的な構造を持たせることは難しい。本実施形態の方法によれば、鋳型としてのアルミナナノ粒子上にグラフェンを形成し、鋳型を除去することで、効率的にシェル状グラフェン多孔体(Porous Graphene Shell:PGS)を作製することができる。
(1)炭素被覆したアルミナナノ粒子を調製する工程
(1−1)鋳型としてのアルミナナノ粒子
本実施形態の多孔質炭素材料を合成する際の鋳型としては、表面および空孔内部に有機物が導入できること、CVD処理の際に元の構造を安定に保つこと、生成した多孔質炭素材料と容易に分離できることが必要である。このため、耐熱性が優れ、酸やアルカリを用いて除去できるものが好ましい。
得られる多孔質炭素系材料は、鋳型自身の形状を反映した空孔を有する。言い換えれば、鋳型の形態を転写した状態で炭素材料が合成される。このため、鋳型としては、粒子サイズのそろった、構造および組成が均一な材料であることが望ましく、このような材料を用いることで制御された大きさの空孔を無数に有する多孔質炭素材料を調製することができる。また、鋳型上にエッジや欠陥の少ないグラフェンシートを形成できる材料であることが好ましく、高比表面積とするためにグラフェンシートの積層数を数層以下に制御しうる材料であることが好ましい。
このような鋳型としては、以上のように、鋳型の備えるべき材料物性と、得られる多孔質炭素材料の物性を考慮すると、特にグラフェンシートの積層数を数層以下に制御された多孔質炭素材料を得る観点から、鋳型としては、アルミナ(Al)が特に好ましい。そのため、本実施形態では鋳型としてアルミナを用いることとしたものである。
アルミナナノ粒子は、市販されており容易に入手でき、後述するように加圧によって容易にペレット化することもできる。また、アルミナ表面は炭素析出の触媒能を有するため、アルミナナノ粒子は固体酸触媒として働き、アルミナナノ粒子上に欠陥の少ないグラフェンシートを形成することに貢献しうる。そのため、カーボンブラックなどの一般的な電極触媒用担体の他、MgO鋳型炭素材料や多孔質炭素ナノ樹状体(MCND)と比較しても、本実施形態による多孔質炭素材料は、配向性が高く高導電率であるグラフェンシートを、欠陥の少ない状態で形成できるため、電極触媒用担体として有利である。加えて、アルミナは、カーバイド(炭化物)の形成温度が比較的高いため、後の熱処理工程(第3工程)においてカーバイドの生成や混入を抑制することができる。
アルミナを鋳型として使用する利点は、大きくは、炭素堆積の触媒能、および粒子径の豊富さにある。
アルミナの炭素堆積の触媒能はその構造に起因する。アルミナは、Al3+とO2−とが交互に連鎖した原子のつながりとなっており、AlとOの各原子間はイオン結合と共有結合の混在した結合で結ばれている。表面では、その結合に不連続な点が多く形成され、末端が水酸基(−OH基)となったもののほか、Oが露出したもの、HOが配位してOδ+が形成されたもの、Alの配位不飽和(結合する酸素が不足した状態)によるAlδ+が形成されたものなどが存在する。このような表面の配位不飽和な点では、それぞれ特異的に高い電荷を帯びており、これらが触媒の「活性点」として機能しやすい。中でも、正(+)の電荷を帯びた表面の活性点は、例えばHCl(塩酸)やHSO(硫酸)などの酸(いわゆるブレンステッド酸)が水に溶解して電離するHと同じような酸(ルイス酸)の性質を持ち、一般に「酸点」と呼ばれる。アルミナは、表面の酸点の正(+)の電荷が強く、このような酸点は酸性の強い活性点(強酸点)として機能する。このような表面の酸点の多い無機固体を固体酸といい、アルミナは代表的な固体酸である。
固体酸中の強酸点は、触媒として利用することができ、例えば、強酸点が炭化水素と接触することで、強酸点が炭化水素の改質の反応の触媒として作用する。また、強酸点が炭化水素と接触することで、強酸点において炭素質の析出反応が生じ、炭素質が固体酸の表面に析出しうる。このような炭素堆積の触媒能を利用することで、通常は炭素堆積が起こらない炭素源の分解温度以下において炭素源の分子を分解、重合させ、炭素質として固体酸の表面に堆積させることが可能になる。
また、鋳型法で炭素材料を作製する場合、得られる炭素材料の比表面積は鋳型の比表面積に依存する。アルミナナノ粒子は、粒子径のサイズが豊富であり、特に炭素堆積の触媒能を持つ他のセラミックスナノ粒子や金属粒子と比較して粒子径の小さい試料が存在する。球の体積と表面積の比は粒子径が小さいほど大きくなるため、粒子径が小さいほど体積当たりの表面積、つまり単位質量あたりの表面積が大きくなる。したがってより粒子径の小さいアルミナナノ粒子を使うことで高比表面積の炭素材料が得られうる。
アルミナナノ粒子において、アルミナの種類は特に限定されないが、θ−アルミナまたはγ−アルミナが好ましく用いられうる。
アルミナナノ粒子のサイズは特に限定されないが、平均粒径が4〜50nmのものを用いることが好ましい。平均粒径が4nm以上であれば、取扱いが容易で、炭素被覆性が良好である。また、炭素源を被覆する際の炭素源のガス透過性が良好になるため、均一な炭素被覆が容易になる。一方、平均粒径が50nm以下であれば、BET比表面積の高い多孔質炭素材料が得られうる。また、後の工程で溶解される鋳型の量が相対的に増えることによる多孔質炭素材料の収率の低下を抑制できる。より好ましくは、アルミナナノ粒子の平均粒径は、5〜20nmである。
上記のアルミナナノ粒子は、粒状のスペーサーと混合して用いることが好ましい。スペーサーを用いることで、アルミナナノ粒子同士の間に適度に空隙を確保することができ、アルミナナノ粒子が密に詰まり過ぎて圧損が大きくなってしまうことを防ぐことができる。スペーサーとしては、平均粒径が、例えば100〜5000μmの粒子であることが好ましい。スペーサーの材質としては、炭素被覆後に篩分けできるものであれば特に制限されず、好ましくは、900〜1000℃で分解しないものが用いられうる。または、鋳型と同時に溶解除去できるものであってもよい。例えば、石英砂、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、チタニアなどが好ましく用いられ、特に石英砂が好ましい。石英砂を用いる場合は、あらかじめ酸で洗浄し、600〜1000℃で1〜5時間焼成し、上記の粒径に制御したものを用いることが好ましい。
アルミナナノ粒子とスペーサーとの配合比は特に制限されないが、例えば、(アルミナナノ粒子:スペーサー)が、重量比で、0.1:10〜10:10であることが好ましく、1:10〜10:10であることがより好ましい。上記範囲であれば、所望の特性の多孔質炭素材料が高い収率で得られうる。
上記のアルミナナノ粒子は、加圧してペレット化して用いることもできる。ペレット化すると、体積が小さくなってハンドリングしやすい。また、後の炭素被覆アルミナを熱処理する工程において、試料からの脱ガスなどの影響で、昇温過程で試料粉末が反応管内で飛散してしまうことを防ぐことができる。ただし、得られる多孔質炭素材料の性能には影響しない。アルミナナノ粒子、または、スペーサーを混合したアルミナナノ粒子をペレット化する際の加圧条件は特に制限されず、例えば、100〜1000MPaの圧力で、5〜300秒間加圧する。
作製したペレットは、さらに熱処理することによって強固にし、より取扱いやすくすることができる。この熱処理の条件は特に制限されない。例えば、前記熱処理は、空気中で行うことができる。熱処理温度は、例えば700〜950℃で行われる。熱処理時間は、例えば、0.5〜5時間である。
(1−2)炭素層の被覆
次いで、鋳型であるアルミナナノ粒子の表面に炭素層を被覆する。
鋳型であるアルミナナノ粒子の表面に炭素層を被覆する方法は特に制限されず、湿式法、乾式法のいずれも適用できるが、炭素層の積層数を数層以下、好ましくは1〜2層に制御することが容易であることから、好ましくは、化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition:CVD)により行われる。
有機化合物を導入し、鋳型上に炭素層を堆積させるために用いるCVD法は、鋳型等の基板上に特定の元素または元素組成からなる薄膜(例えば炭素からなる薄膜)を作る工業的手法である。通常、原料物質を含むガスに熱や光によってエネルギーを与えたり、高周波でプラズマ化することにより、化学反応や熱分解によって原料物質がラジカル化して反応性に富むようになり、基板上に原料物質が吸着して堆積することを利用する技術である。温度を上げて原料物質を堆積させるものを熱CVD法、化学反応や熱分解を促進させるために光を照射するものを光CVD法、ガスをプラズマ状態に励起する方法をプラズマCVD法と区別することもある。
CVD法で用いる有機化合物は、常温で気体であるか、または気化できるものが好ましい。気化の方法は、沸点以上に熱する方法や雰囲気を減圧にする方法等がある。用いる有機化合物は、当業者に知られた炭素源物質の中から適宜選択して使用できる。特に、加熱により熱分解する化合物が好ましく、鋳型として用いるアルミナナノ粒子の表面に炭素層を堆積することができる化合物が好ましい。
また、用いる有機化合物は、水素を含む有機化合物でも良い。この有機化合物は、不飽和または飽和の炭化水素を含む有機化合物であっても良く、これらの混合物であってもよい。用いる有機化合物としては、二重結合および/または三重結合を有する不飽和直鎖または分枝鎖の炭化水素、飽和直鎖または分枝鎖の炭化水素等であってもよく、飽和環式炭化水素、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素等であってもよい。有機化合物として、メタノール、エタノールなどのアルコール類またはアセトニトリル、アクリロニトリルなどの窒素を含む化合物を用いてもよい。有機化合物は、例えば、アセチレン、メチルアセチレン、エチレン、プロピレン、イソプレン、シクロプロパン、メタン、エタン、プロパン、ベンゼン、トルエン、ビニル化合物、エチレンオキサイド、メタノール、エタノール、アセトニトリル、アクリロニトリル等が挙げられる。有機化合物は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、用いる有機化合物は、アルミナナノ粒子間の空隙や、アルミナペレットの空隙内に入り込むことが可能なもの、例えばアセチレン、エチレン、プロピレン、メタン、エタン等を用いることが望ましく、結晶性の高い炭素を析出させる観点から、メタン、プロピレン、ベンゼンがより好ましい。特に、熱分解温度が高く高結晶性の炭素が得られる観点から、メタンが好適に用いられうる。有機化合物は、より高温でのCVDに用いるものと、より低温でCVDに用いるものとでは互いに同一のものであっても異なっていても良い。例えば、低温でのCVDではアセチレン、エチレン等を使用し、高温でのCVDにはプロピレン、イソプレン、ベンゼン等を使用しても良い。
アルミナナノ粒子上に有機化合物を導入する際は、アルミナナノ粒子の試料を予め減圧にしても良く、系自体を減圧下にしても良い。CVDにより炭素が堆積する方法であれば如何なる方法を用いても良い。例えば、アルミナナノ粒子上に有機化合物の化学反応又は熱分解で生成した炭素を堆積(または吸着)させ、アルミナナノ粒子上に炭素層を被覆する。
CVD処理を行う際の圧力は特に制限されず、例えば、1kPa〜200kPa、好ましくは50〜150kPaで行われる。CVD処理を行う際の加熱温度は、アルミナナノ粒子上に数層以下の炭素層を形成することができる条件であればよく、使用する有機化合物によって適宜適切な温度を選択できる。通常は、400〜1500℃であることが好ましく、450〜1100℃であることがより好ましく、550〜950℃であることが更に好ましい。例えば、有機化合物としてプロピレンを用いる場合は、700〜900℃であることが好ましく、メタンを用いる場合は、900〜1100℃であることが好ましい。ただし、有機化合物の分解温度よりも50〜200℃程度低い温度で行うことが好ましい。有機化合物の分解温度以上に加熱すると気相炭素析出が顕著になるが、上記のようにすることで、例えばアルミナナノ粒子、またはアルミナペレットの表面と内部とで炭素堆積量のむらが生じることを防ぎ、均一に堆積させることができる。また、加熱温度はCVD処理時間および/または反応系内の圧力に応じて適宜適切な温度を選択することができる。また、本明細書で開示している分析法などを適用して、生成物を分析し、その結果に基づいて数層以下の積層数とするために要求される温度を設定することができる。
CVD処理を行う際の昇温速度も特に制限されないが、1〜50℃/分であることが好ましく、5〜20℃/分であることがより好ましい。CVD処理における処理時間(所定の加熱温度でのCVD処理時間)は、数層以下の炭素層が得られる時間であればよく、使用する有機化合物や温度によって適宜適切な時間を選択できる。例えば、CVD処理における処理時間は、5分〜8時間であることが好ましく、0.5〜6時間であることがより好ましく、1〜5時間であることがさらに好ましい。また、本明細書で開示している分析法などを適用して、生成物を分析し、その結果に基づいて十分な炭素堆積に要求される時間を設定することができる。
CVD処理は、減圧あるいは真空下の行うこともでき、加圧下に行うこともでき、または不活性ガス雰囲気下で行うことができるが、好ましくは不活性ガス雰囲気下で行われる。不活性ガス雰囲気下で行う場合には、不活性ガスとしては、例えば窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン等が挙げられ、好ましくは窒素が用いられる。CVD法では、通常、気体状の有機化合物をキャリアガスと共にアルミナナノ粒子に接触させるように流通させながら加熱することで、容易に気相中でアルミナナノ粒子上に炭素を堆積ないし吸着させることができる。キャリアガスの種類、流速、流量および加熱温度は使用する有機化合物の種類によって適宜調節する。キャリアガスは、例えば上記の不活性ガス等が挙げられるが、酸素ガスまたは水素ガスとの混合物などであってもよい。好ましくは、キャリアガスとして窒素が用いられる。
アルミナナノ粒子上に導入される炭素層の積層数を数層以下、好ましくは1〜2層とするためには、キャリアガスの流速を好ましくは0.05〜1.0m/分、より好ましくは0.32〜0.64m/分に調整する。また、有機化合物の導入量を、キャリアガスと有機化合物との合計量に対して、1〜30体積%とすることが好ましく、5〜20体積%とすることがより好ましい。
アルミナナノ粒子上の炭素の担持量は、アルミナナノ粒子の粒径に応じて適宜設定されうる。アルミナナノ粒子の平均粒径が5〜20nm程度であれば、炭素の担持量は、アルミナナノ粒子の重量を基準として、例えば、5〜40重量%、好ましくは14〜25重量%の範囲である。炭素の担持量が5重量%以上、特には14重量%以上であれば、均一な被覆に必要な量の炭素が導入されるため、安定な三次元構造が得られうる。炭素の担持量が40重量%以下、特には30重量%以下であれば、炭素層の積層数が大きくなりすぎず、十分なBET比表面積が得られうる。
また、炭素被覆したアルミナナノ粒子に更に有機化合物を導入して加熱し、更に炭素を堆積させても良い。この場合には、CVD法により得られた炭素被覆したアルミナナノ粒子の構造がより安定する。炭化は、CVD法によって行っても良く、他の加熱方法で行っても良い。また、加熱温度はCVD処理の温度より高温であっても良く、低温であっても良い。また、導入する有機化合物は、CVD処理で導入した有機化合物と同じであっても良く、異なっていても良い。この操作は、複数回行っても構わない。
なお、アルミナナノ粒子上に炭素層を被覆する方法として、有機化合物を含浸法などの湿式法で導入して炭化しても良い。また、有機化合物を導入してCVDを行う前に、有機化合物を含浸して炭化しても良い。含浸する有機化合物としては、例えば、炭化歩留まりの高いフルフリルアルコール等の熱重合性モノマーが用いられうる。有機化合物の含浸方法は、有機化合物が液体であればそのまま、または溶媒と混合して、固体であれば溶媒に溶解してアルミナナノ粒子と接触させる等、公知の手段を採用することができる。
第1工程の後、炭素被覆したアルミナナノ粒子を熱処理して、炭素層を炭化させ、アルミナナノ粒子の表面に高結晶性の炭素を析出させてもよい。このようにすることで、高結晶性かつ高比表面積のアルミナ鋳型炭素材料が得られうる。
炭素層の炭化は、CVD処理によっても進行しうるため、前記熱処理は、上記(1)工程のCVD工程として行ってもよく、他の方法で行ってもよい。
熱処理する手段も特に制限されず、高周波誘導加熱炉などを用いて熱処理を行ってもよく、放電プラズマ焼結(SPS)法によって熱処理行うことができる。
好ましくは、上記(1)で得られた炭素被覆したアルミナナノ粒子を、CVD処理の温度より高い温度で熱処理する。この熱処理温度は、使用する有機化合物によって適宜選択できるが、例えば1200〜1900℃であり、好ましくは1500〜1800℃である。熱処理温度が1500℃以上であれば、高結晶性の炭素材料が好適に得られうる。また、1800℃以下であれば、鋳型のアルミナと炭素との反応による炭化物生成を抑制することができる。また、加熱温度は、加熱時間及び/又は反応系内の圧力に応じて適宜選択することもできる。
なお、熱処理は、空気雰囲気下でも、あるいはアルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下でも、減圧下でも行うことができる。
また、前記熱処理は、試料をプレスして行うことが好ましい。試料をプレスして行うことによって、加熱中に試料からの脱ガスなどの影響によって試料が反応管内で飛散してしまったり、被覆した炭素がガス化してしまうことを抑制できる。さらに、アルミナと被覆された炭素とが反応してアルミニウムカーバイド(炭化アルミニウム)と一酸化炭素が生成する反応は、平衡の関係で圧力が高い状態では進行しにくいため、アルミニウムカーバイドが生成して試料に混入することを抑制できる。
(2)鋳型を溶解除去して多孔質炭素材料を得る工程
本実施形態の鋳型を溶解除去する工程は、アルミナナノ粒子の表面またはアルミナペレットにおける空隙の内部に多孔質炭素材料が形成された炭素被覆したアルミナナノ粒子から、鋳型であるアルミナを溶解除去するものであればよい。かかる工程により、多孔質炭素材料であるアルミナ鋳型炭素材料を得ることができる。
鋳型の溶解除去には、例えば、NaOH、KOH、LiOH、RbOH、CsOHなどのアルカリ溶液が用いられる。上記アルカリ溶液は、例えば、1〜5Mの濃度のものが用いられる。前記アルカリ溶液は、アルミナナノ粒子に対して、好ましくは量論比の30倍以上、より好ましくは量論比の50倍以上を用いることが好ましい。このようにすることで、鋳型の残存を抑制することができる。溶解除去する際には、例えば、前記アルカリ溶液中に炭素被覆したアルミナナノ粒子を入れ、200〜300℃の熱処理温度で熱処理することが好ましい。この際、試料にアルカリ溶液を均一に接触させるため、炭素被覆したアルミナナノ粒子の試料はあらかじめ粉砕しておくことが好ましい。熱処理の際の昇温速度は特に制限されず、例えば、200〜300℃/時間である。熱処理時間(所定の熱処理温度での保持時間)は特に限定されず、例えば1〜5時間である。この溶解除去の工程は、複数回行ってもよい。なお、本明細書で開示している分析法などを適用して、生成物を分析し、その結果に基づいて十分な鋳型除去に要求される条件を設定することができる。
鋳型を溶解除去した後の多孔質炭素材料は、例えば、濾過によって回収することができ、真空加熱乾燥によって乾燥させることができる。真空加熱乾燥の条件は特に制限されず、例えば、真空加熱乾燥温度を100〜200℃とすることができる。また、真空加熱乾燥時間を、例えば、1〜10時間とすることができる。
(3)鋳型を溶解除去した後の多孔質炭素材料を熱処理する工程
上記(1)〜(2)の工程で製造された多孔質炭素材料は、鋳型を溶解除去した後、さらに熱処理を行うことが好ましい。
熱処理を行うことによって、炭素の結晶性が高められ、安定化される。そのため、導電性、耐腐食性、高比表面積をより高い水準で備えた多孔質炭素材料が得られうる。熱処理条件は、炭素の結晶性が高められる条件であれば特に制限されないが、熱処理温度は、1750〜1850℃であることが好ましく、1770〜1830℃であることがより好ましい。熱処理温度が1750℃以上であれば、本発明の効果がより顕著に得られうる。また、1850℃以下であれば、残存した鋳型のアルミナと炭素とが反応してカーバイドを生成することを防ぐことができる。また、熱処理時間(所定の熱処理温度での保持時間)は、好ましくは0.1〜10時間であり、より好ましくは0.2〜5時間、特に好ましくは0.5〜2時間である。なお、熱処理工程は、特に制限されないが、好ましくは減圧下で行われる。
本発明の多孔質炭素材料は、高い比表面積と高い耐久性を有する。そのため、吸着材、各種触媒の担体、電気二重層キャパシタや二次電池の電極材料および導電助剤など、多様な用途に適用することができる。
<触媒担体>
本発明の多孔質炭素材料は、触媒担体として用いることができ、触媒金属を担持した場合には高い触媒活性を発揮でき、かつ当該活性を維持できる。すなわち、本発明の一実施形態は、上記多孔質炭素材料を含む、触媒担体である。上記多孔質炭素材料は、高いBET比表面積を有するため、触媒金属の分散性を向上させ、反応面積を増加させるため、高活性な触媒が得られうる。また、電気化学的酸化に対する耐性が高いため、触媒活性の低下を抑制でき、耐久性が高い触媒が得られうる。本実施形態による触媒担体は、例えば、燃料電池用電極触媒などの各種触媒に好適に用いられうる。
<電気二重層キャパシタ用電極材料>
本発明の多孔質炭素材料は、高いBET比表面積および高い耐久性を有するため、電気二重層キャパシタ用電極材料として好適に用いられうる。本発明の多孔質炭素材料を用いた電気二重層キャパシタ用電極材料は、高い電気二重層容量および優れた耐久性を与えうる。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
<実施例1>
(多孔質炭素材料の調製)
(1)CVD法による炭素被覆したアルミナナノ粒子の調製
アルミナナノ粒子(大明化学工業社製TM300、結晶相:γ−アルミナ、平均粒径:7nm、比表面積:220m/g)0.2gをペレット成型器(島津製作所社製、KBr錠剤成形器、P/N202−32010(φ=13mm))に入れて、室温で油圧ジャッキで591MPa程度の圧力をかけて10秒間保持した。その後、ペレット成型器の上下を反転させて同じ操作を行い、合計2回加圧して、アルミナペレット(AOP)を作製した。このアルミナペレットの空隙率は53%であり、密度は1.9g/cm3であった。
作製したアルミナペレットは、アルミナの付着防止のためにペレット成型器に塗ったグリセリンの除去と焼結のため、マッフル炉を用いて熱処理を行った。具体的には、上記アルミナペレットをSi板に載せ、マッフル炉内に入れ、空気中で5℃/分の昇温速度で900℃まで加熱し、900℃で2時間保持することで、熱処理したアルミナペレット(AOP−H)を得た。この熱処理したアルミナペレットの空隙率は60%であり、密度は1.6g/cmであった。
次いで、上述の熱処理したアルミナペレットを反応管(内径17mm)に入れ、プロピレンを炭素源とするCVD(プロピレンCVD)を行った。
プロピレンCVDは、Nガスの流量を54ml/分に調節した条件下で、アルミナペレットを10℃/分の昇温速度で室温から700℃まで加熱し、700℃で30分間保持した。その後、キャリアガスとしてNガスを使用し、キャリアガスとプロピレンとの合計量に対して20体積%のプロピレンを反応管に導入し、700℃で2時間、化学気相成長(CVD)処理を行った。この際、プロピレンガスの流量を11ml/分、Nガスの流量を43ml/分に調節した。その後、プロピレンガスの導入を停止し、Nガスの流量を54ml/分に調節した条件下で、700℃で30分間保持した後、冷却して、炭素被覆したアルミナナノ粒子(AOP−H−C)を得た。
(2)鋳型の溶解除去
次いで、上記で得られた炭素被覆したアルミナナノ粒子について、鋳型の除去を行った。
炭素被覆したアルミナナノ粒子の鋳型除去には、NaOHを用いた。テフロン(登録商標)製のオートクレーブ容器に、炭素被覆したアルミナナノ粒子と、5MのNaOH(量論比の50倍以上)を入れ、マッフル炉を用いて昇温速度250℃/時間で加熱し、250℃で2時間保持した。その後、自然冷却した。サンプルは濾過によって回収し、150℃、6時間の真空加熱乾燥で乾燥させ、多孔質炭素材料(AOP−H−CS)を得た。
を得た。
(3)多孔質炭素材料の熱処理
上記(2)で得られた多孔質炭素材料を砕き、破片を数個集めて黒鉛製のるつぼに入れ、誘導加熱炉にセットした。反応管内の空気を除去するためにオイルポンプで真空引きし、30分間放置した。その後、反応管の水冷ジャケットに水を流し、誘導加熱で系内を加熱し、熱処理を行って、熱処理した多孔質炭素材料(AOP−H−CSH)を得た。なお、前記熱処理は真空下で行った。また、熱処理条件としては、はじめに室温から16.7℃/分で1000℃まで60分間かけて昇温し、次いで5℃/分で1800℃まで160分間かけて昇温した。そして、1800℃で60分間熱処理して、その後、室温まで自然冷却した。
(多孔質炭素材料のキャラクタリゼーション)
・窒素吸脱着等温線測定
窒素吸脱着等温線測定は、高精度自動ガス/蒸気吸着量測定装置(日本ベル株式会社製:BEL SORP MAX)を用いて、−196℃の温度で測定した。試料は測定前に150℃で6時間真空加熱乾燥した。試料のBET比表面積は、BET法を用いて、0.05<P/P<0.35の相対圧の範囲で測定した窒素吸着等温線より多点法で求めた。細孔径分布はBJH法によって求めた。平均細孔径dはシリンダー状細孔を仮定し、BET比表面積Sと全細孔容積Vより、d=4V/Sにより求めた。
・透過電子顕微鏡(TEM)観察
透過型電子顕微鏡(TEM)観察は、日本電子株式会社製透過型電子顕微鏡JEM−2010を用い、加速電圧200kVにて観察した。観察時は加速電圧200kVに設定した。TEM観察に際しては、試料にエタノールを少量加えてから超音波処理(45kHz、30分)することで懸濁させ、懸濁液をマイクログリッド(応研商事:Cu150Pグリッド、カーボン補強済み、グリッドピッチ150μm)に微量滴下し、真空下50℃で2時間乾燥し、TEM観察用試料とした。
・炭素担持量の測定(熱重量分析)
島津示差熱・熱重量同時測定装置(DTG−60/60H)で熱重量分析を行った。試料を合成空気流通下(50cc/分)で10℃/分で120℃まで昇温し、30分間保持し、次いで5℃/分で800℃まで昇温して1時間保持し、−10℃/分で120℃まで冷却して30分間保持した。800℃までの加熱の前後の120℃で保持した際の平均質量の差から炭素担持量を求めた。
・X線回折測定(XRD)
X線回折測定は、シリコン無反射板にサンプルを載せ、島津製作所社製X線回折装置XRD−6100を用いて行った。線源はCu−Kα、電圧40kV、電流30mAで行った。
・ラマン分光測定
ラマン散乱スペクトル測定は、日本分光株式会社製レーザーラマン分光光度計NRS−3300FLを用いて測定した。測定条件は以下の通りである。ピーク強度(高さ)はベースラインを引き、バックグラウンドの影響を取り除いた上で求めた。
(鋳型上の炭素層の平均積層数)
上記(1)のプロピレンCVD終了後の炭素被覆したアルミナナノ粒子について、TG測定で炭素担持量を求めたところ、平均23重量%であった。
また、窒素吸脱着等温線測定から、上記(1)の熱処理したアルミナペレットのBET比表面積(130m/g)を求め、これらの値から、炭素層の平均積層数を約3.0と見積もった。
なお、炭素層の平均積層数N(層)は、
N=W/(S×g)
で求められる。ここで、Wは炭素担持量であり、アルミナの重量に対する炭素の重量の割合(0.30)である。Sはアルミナペレットの比表面積(130m/g)であり、gは、グラフェンシート1枚の単位面積当たりの重量(0.000761g/m)である。
(多孔質炭素材料のBET比表面積と細孔分布)
図2に、上記(2)の鋳型除去を行った後の多孔質炭素材料(AOP−H−CS)、および、上記(3)の熱処理した多孔質炭素材料(AOP−H−CSH)の窒素吸脱着等温線を示す。
図2のように、鋳型除去を行った後の多孔質炭素材料(AOP−H−CS)のBET比表面積は、360m/gであり、鋳型除去する前の40m/gより増大した。しかしながら、炭素層の平均積層数から見積もられるBET比表面積である870m/gよりも小さく、炭素層の積層が不均一になっている可能性があると考えられる。また、熱処理した多孔質炭素材料(AOP−H−CSH)でBET比表面積が440m/gに増加し、後述の比較例1のVulcan XC72を上回るBET比表面積を有することがわかった。
図3に、上記(2)の鋳型除去を行った後の多孔質炭素材料(AOP−H−CS)、および、上記(3)の熱処理した多孔質炭素材料(AOP−H−CSH)の細孔径分布を示す。熱処理した多孔質炭素材料(AOP−H−CSH)は、平均細孔径8.7nmのメソ孔を有していることが確認された。
(多孔質炭素材料のXRD測定)
図4に、多孔質炭素材料の調製の各工程の試料のXRD測定の結果を示す。具体的には、図4(a)に、アルミナペレット(AOP)、熱処理したアルミナペレット(AOP−H)、および炭素被覆したアルミナナノ粒子(AOP−H−C)のXRDパターンを示す。また、図4(b)に、上記(2)の鋳型除去を行った後の多孔質炭素材料(AOP−H−CS)、および、上記(3)の熱処理した多孔質炭素材料(AOP−H−CSH)のXRDパターンを示す。
図4(a)に示されるように、アルミナペレットを熱処理した後も、熱処理したアルミナペレットに炭素層を被覆した後も、γ−アルミナに由来する回折ピークが観察され、アルミナナノ粒子の結晶相に変化がないことが確認された。また、炭素層を被覆したアルミナナノ粒子(AlNP−PH−C)では、2θ=25°付近に、炭素(002)面に由来するピークが、2θ=44°付近に、炭素(10)面に由来するピークが、それぞれ観察され、炭素層が積層していることが確認された。
また、図4(b)に示すように、鋳型除去後には、アルミナに由来するピークが消失することを確認した。鋳型除去後の多孔質炭素材料(AOP−H−CS)と熱処理した多孔質炭素材料(AOP−H−CSH、PGS−P(23)とも表す)とを比較すると、熱処理した多孔質炭素材料では、炭素の(002)面に由来するピークおよび炭素の(10)面に由来するピークが鋭くなり、炭素の(002)面に由来するピークが、2θ=26°付近にシフトした。また、2θ=80°付近に炭素の(110)面に由来するピークが観測された。これらの結果から、鋳型除去後の多孔質炭素材料を熱処理することで、結晶性が向上したことがわかる。
(多孔質炭素材料のTEM測定)
図5に、上記(2)の鋳型除去を行った後の多孔質炭素材料(AOP−H−CS)のTEM写真を示す。図5から、5〜7層程度の炭素網面から形成されるシェル状構造が確認された。
<実施例2>
(多孔質炭素材料の調製)
(1)CVD法による炭素被覆したアルミナナノ粒子の調製
アルミナナノ粒子(大明化学工業社製TM300、結晶相:γ−アルミナ、平均粒径:7nm、比表面積:220m/g)と、スペーサーとしての石英砂(仙台和光純薬社製)とを、重量比3:20(アルミナナノ粒子:石英砂)で混合した。この際、石英砂は、1M塩酸に12時間浸け、マッフル炉で、空気中で800℃で2時間加熱し、180μm間隔のふるいにかけたものを使用した。上記で調製したアルミナナノ粒子と石英砂との混合物を反応管(内径37mm)に入れ、メタンを炭素源とするCVD(メタンCVD)を行った。
メタンCVDは、Nガスの流量を224ml/分に調節した条件下で、アルミナナノ粒子を10℃/分の昇温速度で室温から900℃まで加熱し、900℃で30分間保持した。その後、キャリアガスとしてNガスを使用し、キャリアガスとメタンとの合計量に対して20体積%のメタンを反応管に導入し、900℃で2時間、化学気相成長(CVD)処理を行った。この際、メタンガスの流量を45ml/分、Nガスの流量を179ml/分に調節した。その後、メタンガスの導入を停止し、Nガスの流量を224ml/分に調節した条件下で、900℃で30分間保持した後、冷却して、炭素被覆したアルミナナノ粒子を得た。なお、メタンCVD終了後の炭素被覆したアルミナナノ粒子について、実施例1と同様にして炭素担持量を求めたところ、平均16重量%であった。
次いで、実施例1と同様の手順で、上記(2)、(3)の操作を行い、多孔質炭素材料を調製した。実施例2において最終的に得られた多孔質炭素材料をPGS−M(16)と表す。
実施例1と同様に、メタンCVD終了後の炭素被覆したアルミナナノ粒子についてTG測定で求めた炭素担持量と、熱処理後のアルミナペレットのBET比表面積から、炭素の平均積層数が約1.2であることが確認された。
図6に、実施例2において、上記(1)の炭素被覆を行った後の炭素被覆アルミナナノ粒子、(2)の鋳型除去を行った後の多孔質炭素材料、および、上記(3)の熱処理した多孔質炭素材料の窒素吸脱着等温線を示す。
図6のように、鋳型除去を行った後の多孔質炭素材料のBET比表面積は、1500m/gであり、鋳型除去する前の230m/gより増大した。
上記(3)の熱処理工程を行った後の多孔質炭素材料は、BET比表面積が1690m/gであり、図7の細孔径分布に示されるように、平均細孔径4.7nmのメソ孔を有していることが確認された。
図8に、実施例2の炭素材料のXRD測定の結果を示す。
実施例1で調製した炭素材料と同様に、鋳型除去後には、アルミナに由来するピークが消失することを確認した。実施例1の炭素材料と同様に、炭素の(002)面、(10)面、および(110)面に由来するピークが観測された。しかしながら、実施例1の炭素材料と比較するとピークがブロードであり、強度も小さいことから、グラフェンシートの積層数がより少ない構造になっているものと考えられる。
図9A、図9Bに、実施例2で得られた、上記(3)の熱処理工程を行った後の多孔質炭素材料のTEM写真を示す。図9Aおよび図9Bは、同時に作製した試料の、別々の部分を撮影した写真である。図9Aのように、実施例2で得られた炭素材料は、1〜2層のグラフェンシートから構成されるシェル構造を有していることがわかる。
図9B(左)から、直径10nm程度の粒子の集合体が確認でき、1800℃の熱処理後にもシェル状構造が保たれることがわかった。高倍率の写真(右)では、輪郭のはっきりした炭素網面が確認できた。積層数は多いところで平均1〜3であり、ほぼ均一にCVDによる炭素被覆がなされたと考えられる。単層グラフェンと思われる構造も多くの場所で観察された(矢印)。したがって、1800℃の熱処理を行うことで、シェル状構造は保ったままで構成する炭素の結晶性を高めることができたといえる。
すなわち、実施例2で調製された炭素材料は、実施例1で得られた炭素材料と比較して、より高いBET比表面積が得られ、1〜2層の均一なグラフェンシートから構成されるシェル構造が得られている。これは、メタンを炭素源としたCVD処理を行うことによって、実施例1のプロピレンを炭素源としたCVDと比較して、炭素の析出がより均一に進行したことによると考えられる。加えて、900℃とより高い温度でCVDを行うことで、炭素の構造が安定化し、鋳型除去後も高比表面積を維持できたためであると考えられる。また、アルミナナノ粒子をペレットに成形せずに鋳型として用いたことによって、鋳型の比表面積の低下を抑制でき、その結果高い比表面積の炭素材料が得られたものと考えられる。
<実施例3>
実施例2において、上記(3)の熱処理工程を行わなかったことを除いては、実施例2と同様の手順で多孔質炭素材料(PGS−M(16):1800℃熱処理前)を調製した。この多孔質炭素材料のBET比表面積は1500m/gであった。
<実施例4>
実施例2において、CVD処理の温度を、900℃から950℃に変更したことを除いては、実施例2と同様の手順で多孔質炭素材料を得た。この多孔質炭素材料をPGS−M(25)と表す。なお、メタンCVD終了後の炭素被覆したアルミナナノ粒子について、実施例1と同様にして炭素担持量を求めたところ、平均25重量%であった。
なお、実施例2、実施例4で調製した多孔質炭素材料のBET比表面積と細孔容積は下記表の通りである。
図10に、実施例4で得られた、熱処理工程を行った後のPGS−M(25)のTEM写真を示す。実施例2のPGS−M(16)と同様、1800℃の熱処理後にもシェル状構造が保たれることがわかった。高倍率の写真(右)から、所々で積層構造の発達が確認でき、粒子を構成する炭素網面は、1層から構成される部分も確認されたが、2層の積層構造を有する部分が多く確認された(矢印)。
<比較例1>
炭素材料として、Cabot社製Vulcan XC72(XC72)を準備した。実施例1と同様にBET比表面積を測定したところ、XC72のBET比表面積は、220m/gであった。
<比較例2>
炭素材料として、電気化学工業株式会社製デンカブラック(DB)を用いた。実施例1と同様にBET比表面積を測定したところ、DBのBET比表面積は、710m/gであった。
<比較例3>
炭素材料として、ライオン社製Ketjenblack EC300J(KB)を用いた。実施例1と同様にBET比表面積を測定したところ、KBのBET比表面積は、770m/gであった。
<比較例4>
炭素材料として、Cabot社製Black Pearls 2000(BP)を用いた。実施例1と同様にBET比表面積を測定したところ、BPのBET比表面積は、1340m/gであった。
<比較例5>
炭素材料として、活性炭(クラレ社製、水蒸気賦活活性炭YP50F)を用いた。実施例1と同様にBET比表面積を測定したところ、BET比表面積は、1700m/gであった。
<比較例6>
炭素材料として、Alfa Aesar社製高配向性熱分解性黒鉛(HOPG)を準備した。
<比較例7>
炭素材料として、水蒸気賦活活性炭素繊維 A20(株式会社アドール製)を用いた。
<比較例8>
炭素材料として、水蒸気賦活活性炭 白鷺P(日本エンバイロケミカルズ社製)を用いた。
<比較例9>
炭素材料として、黒鉛(和光社製)を用いた。
<比較例10>
炭素材料として、黒鉛(Alfa Aesar社製)を用いた。
<比較例11>
炭素材料として、KOH賦活活性炭 MSC30(関西熱化学社製)を用いた。
<比較例12>
炭素材料として、ゼオライト鋳型炭素(ZTC)を用いた。ZTCは特開2010−120836号公報に記載される方法で調製した。
<X線回折による炭素材料の構造解析>
実施例1、2、4、比較例1〜12で準備した炭素材料に対して、XRDによる構造解析を行った。
XRDスペクトルの測定装置、測定条件は上述した通りである。図11に、各実施例および比較例で準備した炭素材料のXRDスペクトルを示す。
PGS−P(23)、PGS−M(16)、PGS−P(25)のいずれも、2θ=25°付近に、炭素(002)面に由来するピークが、2θ=44°付近に、炭素(10)面に由来するピークが、それぞれ観察された。
このうち、PGS−M(16)、PGS−M(25)においては、炭素(002)のピークの強度が小さく、ほとんど積層していないと考えられる。そして、特にPGS−M(16)においては、炭素(10)面のピークははっきりと確認できたため、結晶性の良い炭素網面が形成されていることが示唆された。
図12に、各実施例および比較例の炭素材料の炭素(002)面のピークの半値幅W(002)と(10)面のピークの半値幅との関係を示す。X線回折スペクトルのピークの半値幅は、バックグラウンドの影響を差し引いた上で求めた。なお、炭素(002)面のピークが観察されなかった場合、W(002)は10°とした。また、炭素(01)面のピークが観察されなかった場合、W(10)は6°とした。黒鉛については、W(10)に変えて、(101)面のピークの半値幅W(101)を表示した。
結晶子の大きさは半値幅の大きさに反比例するため、W(002)が大きいほどグラフェンの積層が少なく、W(10)が大きいほどグラフェンサイズが小さい。したがってグラフの右上に行くほど結晶性が低い。
図12の太線で囲まれた領域が、W(002)が5°以上、または炭素(002)面に由来する回折ピークが観察されなかった領域であり、かつ、W(10)が3.2°以下である領域である。PGS−P(23)、PGS−M(16)、PGS−P(25)はこの領域に位置し、グラフェンサイズが大きく積層が少ない炭素材料であることがわかった。
<ラマン分光による炭素材料の構造解析>
実施例2、4、比較例1〜6で準備した炭素材料に対して、ラマン分光による構造解析を行った。
ラマン散乱スペクトルの測定装置、測定条件は上述した通りである。図13に、各実施例および比較例で準備した炭素材料のラマン散乱スペクトルを示す。
図13に示すように、実施例2、4で調製したPGS−M(16)およびPGS−M(25)のラマン散乱スペクトルにおいて、1590cm−1付近に、グラフェンシートの骨格振動に由来するピーク(Gバンド)が現れた。1355cm−1付近に、グラフェンシートの欠陥構造に由来するピーク(Dバンド)が現れた。欠陥構造とは、グラフェンの端であるエッジサイトやダングリングボンド、グラフェンの湾曲部であり、低規則性炭素には多く含まれるが、結晶性の高い黒鉛にはほとんど含まれない。このため、黒鉛や単層グラフェンではDバンドは観測されない。
図13の各実施例および比較例の試料のラマン散乱スペクトルにおいても、HOPG以外のサンプルではGバンドとDバンドとの両方が確認されたが、HOPGではGバンドのみが観察された。
また、高波数側のピークに着目すると、各実施例および比較例の試料において、2670cm−1付近に、G’バンドが確認された。G’バンドは、sp混成軌道を持つグラフェン状の構造に由来し、欠陥がなくとも結晶性が良ければ観測可能である。
ここで、単層グラフェンのラマン散乱スペクトルにおいては、HOPGと比較して、G’/Gが大きく、G’バンドの位置が低波数側にシフトする。下記表および図14に、実施例2、4、および比較例1〜6の炭素材料のGバンドのピーク強度Gに対するG’バンドのピーク強度G’の比G’/Gを示す。本実施例において、PGS−M(16)およびPGS−M(25)は、G’/Gが0.6以上であり、G’バンドの位置がHOPGと比較して低波数側にシフトしたことから、単層グラフェンの存在が示唆された。
<炭素材料の電気化学的酸化による酸化耐性の評価>
実施例1〜4、比較例1〜6で準備した炭素材料に対して、サイクリックボルタンメトリー(CV)による電気化学的酸化を行った。
(試料電極の作製)
炭素材料(5〜20mg)に対して、20重量%のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を混合し、ペーストを調製した。このペーストを10mg程度量り取り、乳棒および乳鉢を用いて厚さが200〜250μmになるまでのばし、1cm×1cmのシートに成形した。その後、このシートをSUSメッシュ(200メッシュ、SUS304)に挟み、300kgf/cmで5分間加圧し、試料電極とした。ただし、HOPGについては、1cm×0.5cmの薄片をそのまま上記のSUSメッシュに挟み、試料電極とした。
作製した試料電極は、真空中、200℃で3時間乾燥させた。乾燥後、試料電極を計量し、SUSメッシュの重量を差し引いて炭素材料の重量を求めた。
(電気化学的酸化による評価)
電気化学的酸化による評価は、図15に示すように、三極式の電気化学セルを用い、ポテンショスタット/ガルバノスタットである北斗電工社製Bio−Logic,VMP3を用いた。作用極として、上記で作製した試料電極を用い、対極にはPtメッシュ(80メッシュ)、参照極にはAg/AgCl電極を用いた。電解液は、1MのHSOを使用した。
電解液を炭素材料内部まで含浸させるために試料電極を30分以上真空引きしたところへ電解液を9ml(試料電極が十分に浸る程度)注入することで真空含浸し、40℃で一晩以上放置した。セルを組んだ後、電解液中の酸素を除去するために、撹拌しながらNバブリングを30分以上行った。また、測定前には、電解液の温度を25℃に、一定にするため、恒温槽内にセルを設置し、1時間保持した。
なお、電解液の含浸時間の測定結果への影響を調べるために、別途準備したBPを用いた試料電極について、含浸後2時間、18時間、および42時間放置してCV測定を行い、18時間以上では電気二重層容量が変化しないことを確認した。
CV測定は、掃引速度10mV/sで、はじめに−0.1Vから0.5Vまでの範囲で4サイクル行い、その後、上限電位1.0Vまで、測定の電位範囲を高電位側に0.1Vずつ増加させながら、各電位範囲において4サイクルずつ測定した。
なお、炭素材料の測定試料とは別に、PTFEのみをSUSメッシュに挟んだ試料、およびSUSメッシュのみについて測定を行い、いずれの場合も、1.0Vまでの測定範囲では酸化電流がほとんど観測されないことを確認した。
図16に、(a)実施例1で調製した多孔質炭素材料AOP−H−CSH、および(b)活性炭(YP50F)のCV測定結果を示す。
上記の実施例1の多孔質炭素材料、および活性炭(YP50F)を含め、測定した炭素材料のいずれも、高電位側で電流値の増加が観察された。高電位側に観察される電流値の増加は、炭素が酸化されることによる酸化電流由来であり、炭素が酸化されるほど電流値の増加が大きくなる。すべての炭素材料で、各電位範囲での測定において最も電流が流れるのは、1回目のサイクルであった。
図16(a)のように、実施例1で調製した多孔質炭素材料AOP−H−CSHでは、CV曲線が矩形になり、イオンの拡散が速く可逆的であることがわかる。また、0.3〜0.4V付近の負の方向への電流値の増加は、キノン基の導入によるものと考えられる。一方、図16(b)に示すように活性炭では、CV曲線の形状から、比較的導電率が低いことがわかる。
(酸化電流値)
次いで、各炭素材料についてのCV測定の結果から、以下の手順で酸化電流値を求めた。
それぞれの炭素材料について、CVの各電位範囲での測定における最大電流値を求めた。具体的には、実施例1で調製した多孔質炭素材料、および活性炭の、CVの各電位範囲での測定における最大電流値(mA/mg)を、図16(a)、(b)の囲みで示す。
酸化電流値は、上記で求めた、各電位範囲での測定における最大電流値から、電気二重層由来の電流値を差し引いて求めた。具体的には、貴に掃引する際の0.2〜0.4Vでの平均電流値を電気二重層容量由来の電流値とみなし、同一電位範囲での測定における最大電流値から差し引いて、その電位範囲での測定における酸化電流値とした。なお、上記最大電流値は、測定した電位範囲の上限電位において観測された。
図17に、各炭素材料についてCV測定を行って得られた、電位範囲を変化させたときの上限電位(V vs.Ag/AgCl)と、酸化電流値(mA/mg)との関係を示す。
図17から、いずれの炭素材料も、高電位になるほど酸化電流値が大きくなっていることがわかる。酸化電流値の増加が発生する電位が高電位側になるほど、電気化学的酸化に対する耐性が高いといえる。例えば、HOPGは、1.0Vまでの電位まで酸化電流がほとんど観測されず、高耐酸化性であるといえる。一方、活性炭(YP50F)は、0.5Vの電位で一定の酸化電流が観測され、耐酸化性が低いことがわかる。図17の結果から、実施例1の多孔質炭素材料(AOP−H−CSH)は、活性炭や各種のカーボンブラックと比較して、例えば1.0Vでの酸化電流値が低く、優れた耐酸化性を有することがわかる。
表1および図18に、実施例および比較例の炭素材料のBET比表面積(m/g)と、1.0Vでの酸化電流値(mA/mg)との関係を示す。表1および図18から、比較例1〜6の炭素材料は、BET比表面積が大きくなるにつれて、1.0Vでの酸化電流値が高くなる、すなわち酸化されやすくなることがわかる。そして、図18に示されるように、比較例1〜6の炭素材料は、BET比表面積x(m/g)と、1.0Vでの酸化電流値y(mA/mg)との間に、下記式(1)のような近似曲線で示される相関がある(R=0.994)ことが明らかになった。
しかしながら、図18のように、実施例1で調製した多孔質炭素材料は、この相関関係よりも大幅に低い酸化電流値を示した。すなわち、実施例1の多孔質炭素材料の1.0Vでの酸化電流値は、約0.30mA/mgであり、これは、同等のBET比表面積を有する従来の炭素材料を仮定して見積もられる酸化電流値である約0.76mA/mgよりも約60%小さかった。このことから、実施例1の多孔質炭素材料は、同程度のBET比表面積を有する従来の炭素材料よりも、耐酸化性が高い炭素材料であるといえる。
同様に、実施例2で調製した多孔質炭素材料(PGS−M)、および実施例3で調製した多孔質炭素材料(PGS−M:1800℃熱処理前)も、同等のBET比表面積を有する従来の炭素材料を仮定して見積もられる酸化電流値よりも、それぞれ、約64%および約67%小さい酸化電流値を示した。したがって、実施例2、3で調製した炭素材料も、同程度のBET比表面積を有する従来の炭素材料よりも、電気化学的酸化耐性が高いことが明らかになった。
<炭素材料の熱重量分析による熱的酸化耐性の評価>
実施例1、2、比較例1〜6で準備した炭素材料に対して、熱重量分析装置を用いた燃焼酸化試験(熱的酸化試験)を行った。
測定は、島津製作所社製示差熱・熱重量同時測定装置DTG−60Hを用いて行った。図19に示す温度プロファイルで昇温を行った。測定は空気雰囲気下で行い、初期重量の50±2%に達した温度を燃焼温度とした。
図20に、それぞれの試料で得られたTG曲線を示す。図20(a)に示すように、いずれの炭素材料も温度を上げることで重量が減少し、900℃で1時間の保持が終了するときには重量がほぼ0になった。図20(b)は、図20(a)において炭素材料の重量が初期重量の50%まで減少する領域の付近の拡大図である。図20(b)に示すように、測定した炭素材料の燃焼温度は、HOPGで最も高く、活性炭YP50Fで最も低い。実施例1、2で作製した炭素材料は、デンカブラックDBと同等かそれ以上の燃焼温度を示し、HOPGおよびデンカブラックDBを除く他の炭素材料よりも熱的酸化に対する耐性が高いことがわかった。
図21および下記表2に、実施例1、2および比較例1〜6の炭素材料のBET比表面積(m/g)と、燃焼温度(℃)との関係を示す。図21および表2から、比較例1〜6の炭素材料は、BET比表面積が大きくなるにつれて、燃焼温度が低くなる、すなわち熱的酸化されやすくなることがわかる。そして、図21に示されるように、比較例1〜6の炭素材料は、BET比表面積x(m/g)と、燃焼温度y(℃)との間に、下記式(2)のような近似曲線で示される相関がある(R=0.975)ことが明らかになった。
しかしながら、図21のように、実施例1および実施例2で調製した多孔質炭素材料は、この相関関係よりも高い燃焼温度を示した。すなわち、実施例1の多孔質炭素材料の燃焼温度は、682℃であり、これは、同等のBET比表面積を有する従来の炭素材料を仮定して見積もられる燃焼温度である650℃よりも32℃高かった。また、実施例2の多孔質炭素材料の燃焼温度は、668℃であり、これは、同等のBET比表面積を有する従来の炭素材料を仮定して見積もられる燃焼温度である618℃よりも50℃高かった。燃焼温度は、炭素の構造によって異なり、結晶性が高いほど燃焼温度が高くなる。したがって、実施例1、2で得られた炭素材料は、同程度のBET比表面積を有する従来の炭素材料よりも、結晶性が高く、熱的酸化に対する耐性が高いことが明らかになった。
<炭素材料のTPD−MS分析による含酸素官能基の評価>
実施例1、2、比較例1〜6で準備した炭素材料に対して、炭素材料中に含まれる含酸素官能基量を昇温脱離質量分析(TPD−MS)によって測定した。
TPD−MS装置の概略図を図22に示す。装置は主に加熱部と検出部から構成される。加熱部は熱分解炭素で被覆された黒鉛の試料台(東洋炭素株式会社製、99.9999%、PYROGRAPH)が石英製のガラス反応管内部に設置され、試料台を高真空下で高周波誘導加熱装置(AMERITHERM社製 HOTSHOT5)によって1800℃まで加熱した。検出部は四重極質量分析計(インフィコン社製Transpector2 H100M)とガス溜め、ターボモレキュラーポンプ2台(PFEIFFER社:TSU261とHiPace80)から構成される。
はじめに、ガス溜めからガス(較正ガス)を四重極質量分析計に一定量流してプロットしたピーク強度と、ガス溜めの圧力変化から計算した流れ出たガスの量から検量線を作製した。
分析前に試料台表面の汚れを取り除くため、4×10−4Pa以下の圧力下で試料台を1800℃で1時間、加熱処理を行った。続いて試料台を放冷した後に炭素材料の試料を試料台に載せ、Oリングに吸収されたガスを脱ガスさせるためにOリング部分をテープヒーターで加熱した。加熱中はロータリーポンプで10分間真空引きを行った後、ターボモレキュラーポンプで50分間真空引きを行った。Oリング部分の加熱が終了後ファンを用いて冷却した。この際、ターボモレキュラーポンプによる真空引きは継続して行い、反応管内部の圧力が3.0×10−5Paとなるまで待った。その後、試料を昇温速度10℃/minで1800℃まで加熱し、加熱中に放出されるCOおよびCOの量を四重極質量分析計にて分析した。なお、このような低圧下では試料を熱処理した際に含酸素官能基の分解によって放出されるCOおよびCOは二次反応を起こすことなく検出することができるため、試料中に存在する含酸素官能基を正確に定性・定量分析することが可能である。
図23に、実施例1、2および比較例1〜6の炭素材料について測定したCOのTPDスペクトルを示す。図24に、実施例1、2および比較例1〜6の炭素材料について測定したCOのTPDスペクトルを示す。図23(a)、図24(a)は全体図であり、図23(b)、図24(b)は拡大図である。ここで、炭化ガスに由来するピークはピーク分離によって除いた。
COおよびCOの放出量は、TPDスペクトルの対応するピークの面積を求めることによって算出した。図23から、デンカブラックDBと活性炭YP50FのCO放出量が他の試料と比較して10倍程度大きくなっていることがわかる。また、図24から、CO放出量ではBlack Pearls 2000(BP)が他の試料と比較して10倍程度大きい。HOPGはいずれのガスもほとんど放出しなかった。実施例1で調製したAOP−H−CSH、および実施例2で調製したPGS−Mは、HOPGを除く他の炭素材料と比較してCO放出量が少なかった。また、実施例1および実施例2の炭素材料におけるCO放出量は、ケッチェンブラックKBと同程度であり、HOPGおよびKBを除く他の炭素材料よりも少なかった。
図25に、それぞれの炭素材料におけるCOおよびCOの放出量の合計を示す。COおよびCOの放出量の合計が最も大きかったのはデンカブラックDBで1.7×10−3mol/gであり、次いで活性炭YP50Fで1.1×10−3mol/gであった。この2種類のCOおよびCOの放出量の合計は、明らかに他の炭素材料の3〜20倍の値であった。BP、XC72、KBはCOおよびCOの放出量の合計が10−4mol/gオーダーであった。一方、実施例1で調製したAOP−H−CSH、および実施例2で調製したPGS−Mでは、100μmol/g以下であり、HOPG以外でCOおよびCOの放出量の合計が最も少なかった。
以上の結果から、実施例1、2で得られた炭素材料は、カーボンブラックや活性炭と比較して、含酸素官能基の量が少ない、すなわちエッジが少ない炭素材料であることがわかる。したがって、実施例1、2で得られた炭素材料は、エッジ部分を起点とする酸化が生じにくく、酸化に対する耐性に優れるものと考えられる。
1 アルミナ鋳型炭素材料、
2 アルミナナノ粒子、
3 炭素層、
4 炭素被覆アルミナナノ粒子、
7 メソ孔。

Claims (12)

  1. X線回折スペクトルにおいて、炭素の(002)面に由来するピークが観測されないか、または、炭素の(002)面に由来するピークの半値幅が5°以上であり、炭素の(10)面に由来するピークの半値幅が3.2°以下であることを特徴とする、多孔質炭素材料。
  2. 炭素の(10)面に由来するピークの半値幅が1.2〜3.2°の範囲である、請求項1に記載の多孔質炭素材料。
  3. ラマン分光法によって1590cm−1付近で計測されるGバンドのピーク強度(G)に対する、2670cm−1付近で計測されるG’バンドのピーク強度(G’)の比(G’/G)が、0.6以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の多孔質炭素材料。
  4. BET比表面積が、800〜2600m/g以上である、請求項3に記載の多孔質炭素材料。
  5. 三極式電気化学的酸化評価法において、25℃、1M HSO電解液中、−0.1〜1.0V(vs.Ag/AgCl)の範囲でのサイクリックボルタンメトリー測定から求められる、1.0V(vs.Ag/AgCl)における酸化電流値y1(mA/mg)が、
    下記式(1)で表されるy(mA/mg)に対して、25%以上小さい、多孔質炭素材料:
    式(1)中、xは、前記多孔質炭素材料のBET比表面積(m/g)である。
  6. 熱重量分析装置を用い、空気流通下、5℃/minの昇温条件で行った燃焼酸化試験において、重量が初期重量の50%となる燃焼温度t1(℃)が、
    下記式(2)で表されるy(℃)に対して、25℃以上高い、多孔質炭素材料:
    式(2)中、xは、前記多孔質炭素材料のBET比表面積(m/g)である。
  7. 減圧条件下、10℃/minの昇温速度で1800℃まで行った昇温脱離質量分析(TPD−MS)から算出されるCOとCOとの放出量の合計が100μmol/g以下である、多孔質炭素材料。
  8. アルミナ鋳型炭素材料である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の多孔質炭素材料。
  9. アルミナナノ粒子を鋳型とし、前記鋳型上に炭素層を被覆して、炭素被覆したアルミナナノ粒子を調製する第1工程と、
    前記鋳型を溶解除去して多孔質炭素材料を得る第2工程と、
    を含む、多孔質炭素材料の製造方法。
  10. 前記鋳型を溶解除去した後の多孔質炭素材料を熱処理する第3工程をさらに含む、請求項9に記載の製造方法。
  11. 前記第3工程の前記熱処理が、1750〜1850℃の熱処理温度で行われる、請求項10に記載の製造方法。
  12. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の多孔質炭素材料を含む、触媒担体。
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