JP2019011597A - あと施工アンカー構造およびあと施工アンカーの施工方法 - Google Patents
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Abstract
Description
脱落防止効果を有するアンカー材として、例えば、特許文献1には、端部にプレート状の定着部が形成された吊アンカーが開示されている。この吊アンカーでは、定着部をコンクリートの補強筋の背面側に配置している。この吊アンカーによれば、何らかの原因でコンクリートが破損した場合であっても、定着部が補強筋に係止されるため、吊アンカーの脱落を防止できる。
このような観点から、本発明は、コンクリート除去を最小限に抑えつつ、脱落防止効果を発現するあと施工アンカー構造とあと施工アンカーの施工方法を提案することを課題とする。
かかるあと施工アンカー構造によれば、受材を介してアンカー本体が配力筋に係止されているため、何らかの原因によりアンカー本体が支持力を失った場合であっても、脱落が防止される。また、凹部は、配力筋に横架する受材の形状に応じて形成するため、コンクリート除去を必要最小限に抑えることができる。
また、前記拡幅部が、前記アンカー本体を貫通させた板状部材であれば、拡幅部を容易に形成することができる。
なお、前記鉄筋コンクリート部材は、例えば、トンネルの覆工であってもよい。
かかるあと施工アンカーの施工方法によれば、受材の形状に応じた細幅の凹部を形成すればよい。こうすることで、コンクリートの除去範囲を必要最小限に抑えることができる。そのため、凹部を形成する際の手間を最小限に抑えることができる。また、受材を介してアンカー本体を配力筋に係止させるため、脱落防止効果を有するあと施工アンカーを形成することができる。
また、前記横架作業では、前記配力筋に横架させた前記受材の端部に係止部材を固定することで前記係止部を形成するとともに当該係止部を前記配力筋に係止するとよい。
本実施形態では、図1に示すように、既設トンネルTの補強を目的として覆工2に補強部材Bを設ける場合において、当該補強部材Bを固定するためのあと施工アンカー構造1について説明する。本実施形態の覆工2は、複数の鉄筋コンクリート製のセグメント(鉄筋コンクリート部材)21を組み合わせることにより構成されている。セグメント21には、図2に示すように、トンネル周方向に沿って配筋された主筋22と、トンネル軸方向に沿って配筋された配力筋23とが格子状に配筋されている。なお、主筋22および配力筋23の鉄筋径や配筋ピッチ等は限定されるものではない。
本実施形態のあと施工アンカー構造1は、覆工2(セグメント21)の凹部3を利用して形成されており、アンカー本体4と、受材5と、充填固化材6とを備えている。
本実施形態の拡幅部41は、アンカー本体4に固定された鋼板(板状部材)からなり、凹部3の底面31に添設されている。拡幅部41は、受材5への係止が可能となるように、アンカー本体4からトンネル軸方向に張り出すように形成されている。拡幅部41は、少なくとも受材5の幅(鉄筋棒51の外径)よりも大きく張り出している。なお、拡幅部41の構成は、受材5への係止が可能であれば限定されるものではなく、例えば、アンカー本体4の中間部に形成された突起やフランジ等であってもよい。
係止部材53は、プレート(鋼板)である。係止部材53には、鉄筋棒51の端部が挿通されている。本実施形態の係止部材53は、円形のプレートであるが、係止部材53の形状は限定されるものではなく、例えば矩形であってもよい。図3に示すように、受材5は、鉄筋棒51と係止部材53との角部(係止部52)において配力筋23に係止されている。
本実施形態のあと施工アンカーの施工方法は、切削作業と、植設作業と、拡幅部形成作業と、横架作業と、充填作業とを備えている。
切削作業では、図4(a)に示すように、覆工2(セグメント21)を内空側から切削して溝32(凹部3)を形成する。溝32は、覆工2の主筋22と略平行で、かつ、溝32の端部にそれぞれ配力筋23が露出するように形成する。溝32は、主筋22を傷つけることがないように、セグメント21の設計図等のデータに基づいて、主筋22同士の間を斫ることにより形成する。本実施形態では、隣り合う主筋22,22の中間付近に溝32を形成する。なお、溝32の形成個所は限定されるものではなく、主筋22同士の中間である必要もない。溝32は、受材5を配設可能な形状となるように形成する。すなわち、溝32の深さは、図3に示すように、配力筋23の背面(地山側)に受材5を挿入することが可能な深さとする。また、溝32の長さ(トンネル周方向の長さ)は、配力筋23の配筋ピッチよりも長く、溝32の両端がそれぞれ配力筋23よりもトンネル周方向に突出する長さとする。配力筋23と溝32との間の空間は、受材5の端部に係止部材53を後付けするために必要な大きさとする。また、溝32の長手方向中央部の幅(トンネル軸方向の長さ)は、受材5の幅(本実施形態では、一対の鉄筋棒51,51の外径とアンカー本体4の外径の合計)よりも大きな幅とする。
充填作業では、溝32(凹部3)を充填固化材6で充填する(図2参照)。
また、受材5は、一対の棒状部材(鉄筋棒51,51)により構成されているため、取り扱いやすく、配力筋23に横架させやすい。棒状部材として鉄筋棒51を使用しているため、比較的入手し易くかつ安価である。
あと施工アンカー構造1の形成個所は、主筋22同士の間で適宜設定することができるため、あと施工アンカーの設置個所の自由度が高い。
拡幅部41は、アンカー本体4を挿通させることで簡易に形成することができる。また、拡幅部41として鋼板を使用しているため、比較的安価である。
第二実施形態のあと施工アンカー構造1は、受材5を構成する鉄筋棒51(棒状部材)の端部に係止部52が予め形成されている点で、係止部材53を後付けすることにより係止部52を形成する第一実施形態のあと施工アンカー構造1と異なっている。
本実施形態の鉄筋棒51は、図7に示すように、端部を折り曲げることによりフック状の係止部52が形成されている。なお、フック状の係止部52の形状(折り曲げる角度等)は限定されるものではない。
この他の第二実施形態のあと施工アンカー構造1の構成は、第一実施形態で示したあと施工アンカー構造1と同様なため、詳細な説明は省略する。
この他の第二実施形態のあと施工アンカー構造1の作用効果は、第一実施形態のあと施工アンカー構造1と同様なため、詳細な説明は省略する。
前記実施形態では、既設トンネルTの覆工2に本発明のあと施工アンカー構造1を形成する場合について説明したが、あと施工アンカー構造1が形成される鉄筋コンクリート部材は、覆工2に限定されるものではない。
受材5は、必ずしも一対の棒状部材(一対の鉄筋棒51,51)により構成する必要はなく、配力筋23に横架が可能であれば、受材5を構成する材料は限定されない。受材5の長さを大きくすることで、3本以上の配力筋23に受材5を横架させることも可能である。このとき、凹部3は、3本以上の配力筋23が露出するように形成する。
植設作業では、拡幅部41が予め形成されたアンカー本体4を植設してもよい。なお、アンカー本体4に拡幅部41が予め形成されている場合には、拡幅部形成作業は省略する。なお、アンカー本体4は、必ずしも凹部3の底面31(躯体)に植設する必要はない。
2 覆工(鉄筋コンクリート部材)
21 セグメント
22 主筋
23 配力筋
3 凹部
31 底面
32 溝
4 アンカー本体
41 拡幅部
5 受材
51 鉄筋棒(棒状部材)
52 係止部
53 係止部材
6 充填固化材
B 補強部材
T 既設トンネル
Claims (8)
- 鉄筋コンクリート部材に形成された凹部と、
前記凹部に設けられたアンカー本体と、
前記凹部内に露出する複数の配力筋に横架された受材と、
前記凹部に充填された充填固化材と、を備えるあと施工アンカー構造であって、
前記アンカー本体には、前記受材と前記凹部の底面との間に配置された拡幅部が形成されており、
前記受材の端部には、前記配力筋に係止された係止部が形成されていることを特徴とする、あと施工アンカー構造。 - 前記アンカー本体が、前記凹部の底面に植設されていることを特徴とする、請求項1に記載のあと施工アンカー構造。
- 前記受材が、前記アンカー本体を挟む一対の棒状部材であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のあと施工アンカー構造。
- 前記拡幅部が、板状部材からなることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のあと施工アンカー構造。
- 前記鉄筋コンクリート部材が、トンネルの覆工であることを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のあと施工アンカー構造。
- 鉄筋コンクリート部材を切削して複数の配力筋が露出する凹部を形成する切削作業と、
前記配力筋同士の間にアンカー本体を植設する植設作業と、
複数の前記配力筋に受材を横架する横架作業と、
前記凹部を充填固化材で充填する充填作業と、を備えるあと施工アンカーの施工方法であって、
前記受材の端部には係止部が形成されており、
前記横架作業では、前記配力筋と前記凹部の底面との間に前記受材の端部を挿入して前記係止部を前記配力筋に係止させるとともに、前記アンカー本体に形成された拡幅部の表面に前記受材を添設することを特徴とする、あと施工アンカーの施工方法。 - 前記横架作業の前に、前記アンカー本体を貫通させた板状部材を当該アンカー本体に固定して前記拡幅部を形成する拡幅部形成作業をさらに備えていることを特徴とする、請求項6に記載のあと施工アンカーの施工方法。
- 前記横架作業では、前記配力筋に横架させた前記受材の端部に係止部材を固定することで前記係止部を形成するとともに当該係止部を前記配力筋に係止することを特徴とする、請求項6または請求項7に記載のあと施工アンカーの施工方法。
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JPH04135622U (ja) * | 1991-06-11 | 1992-12-17 | 住友金属鉱山株式会社 | Alc版用係止具およびそれを用いたalc版 |
JP2001020295A (ja) * | 1999-07-07 | 2001-01-23 | Misawa Homes Co Ltd | アンカーボルト保持具 |
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JP2018066142A (ja) * | 2016-10-18 | 2018-04-26 | 中国電力株式会社 | 構造物の据付方法および据付用基礎 |
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