JP2019011412A - 高分子分散型液晶素子用液晶組成物およびそれを用いた高分子分散型液晶素子 - Google Patents

高分子分散型液晶素子用液晶組成物およびそれを用いた高分子分散型液晶素子 Download PDF

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田 政 典 福
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Abstract

【課題】高分子分散型液晶素子の黄変を抑制し、また二色性色素を併用した場合であっても色素の褪色ないし黄変が抑制できる高分子分散型液晶素子用液晶組成物を提供する。【解決手段】液晶成分と重合性化合物と光重合開始剤とを少なくとも含んでなる高分子分散型液晶素子用液晶組成物であって、前記光重合開始剤が、波長380nm以上に吸収帯域を有するものであることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、液晶組成物に関し、より詳細には、高分子分散型液晶素子用液晶組成物およびそれを用いた高分子分散型液晶素子に関する。
高分子分散型液晶素子は、透明電極が形成された2枚の透明基材の間に紫外線硬化型樹脂中に駆動型液晶の液滴が分散された液晶層が形成された構造、または液晶分子中に高分子のネットワークが形成された構造を有した素子であり、透明電極間に印加される電圧をON、OFFすることにより、透明および散乱状態を切替える素子である。当該素子は、電圧がONのときに透明状態となるノーマルモード、電圧がONのときに散乱状態となるリバースモードの2種類のモードが存在する。
上記した高分子分散型液晶は、PDLC(Polymer Dispersed LC)と呼ばれるタイプやPNLC(Polymer Network LC)と呼ばれるタイプ等が提案されている。これらのタイプの高分子分散型液晶は、一般的に、非重合性のネマティック液晶成分と重合性化合物と光重合開始剤とを含む組成物を、ガラスセルやプラスチックフィルムで挟持し、紫外線を照射することによって重合性化合物を重合させると同時に、重合したポリマーと液晶成分とを相分離させ、ポリマーの3次元ネットワーク構造中に液晶成分が連続層をなす構造、または、液晶成分の液滴がポリマー中に分散している構造、またはそれら両者が混在する構造を発現させることにより製造される。
このような構造を有する高分子分散型液晶素子は偏光板を必要としないため、従来の偏光板を用いた液晶表示素子に比べて明るい表示が実現でき、また、素子の構成も単純であることから、光シャッターや調光フィルムといった光学素子に応用されている。例えば、電車や自動車等の車両、建築物の窓といった用途以外にも、液晶ディスプレイのバックライトと組合せることで液晶ディスプレイの視野角制御に用いられたり(特許文献1)、プロジェクター用のスクリーンとしても用いられている(特許文献2)。
特開平5−72529号公報 特開平6−301005号公報
上記のように、高分子分散型液晶は重合性化合物を紫外線照射により重合させて硬化(ポリマー化)させることにより製造されるものであるが、紫外線照射により、液晶成分が黄変してしまうといった問題があった。このような問題に対して、液晶成分と重合性化合物と光重合開始剤とを含む組成物に二色性色素を添加して、高分子分散型液晶を着色することも可能であるが、その場合であっても、紫外線照射によって二色性色素が褪色ないし黄変してしまうことが考えられる。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、高分子分散型液晶素子の黄変を抑制し、また二色性色素を併用した場合であっても色素の褪色ないし黄変が抑制できる高分子分散型液晶素子用液晶組成物ことを目的としている。
本発明は、液晶成分と重合性化合物と光重合開始剤とを少なくとも含んでなる高分子分散型液晶素子用液晶組成物であって、
前記光重合開始剤が、波長380nm以上に吸収帯域を有するものであることを特徴とする。
本発明の実施態様においては、前記光重合開始剤は、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤であってもよい。
本発明の実施態様においては、高分子分散型液晶素子用液晶組成物は、さらに二色性色素を含んでいてもよい。
本発明の別の実施形態による高分子分散型液晶素子の製造方法は、上記高分子分散型液晶素子用液晶組成物を用いて高分子分散型液晶素子を製造する方法であって、
高分子分散型液晶素子用液晶組成物に、波長380nm以上の光を照射して重合性化合物を重合させてポリマーを形成し、
前記ポリマーの3次元ネットワーク構造中に液晶成分が連続層をなす構造、または、前記ポリマー中に液晶成分の液滴が分散している構造、またはそれら両者が混在する構造を発現させる、
ことを含むものである。
本発明の高分子分散型液晶素子の製造方法においては、前記重合が、ピーク波長が405nmの光源を有する蛍光灯を用いて行われてもよい。
本発明の高分子分散型液晶素子の製造方法においては、前記重合が、LED光源を用いて行われてもよい。
本発明の高分子分散型液晶素子の製造方法においては、一対の長尺状の支持基材の間に高分子分散型液晶素子用液晶組成物を挟持し、前記長尺方向に移動させながら、前記支持基材の何れか一方または両方から光照射を連続的に行ってもよい。
本発明の別の実施形態による高分子分散型液晶素子は、上記高分子分散型液晶素子用液晶組成物を用いた高分子分散型液晶素子である。
本発明によれば、高分子分散型液晶素子用液晶組成物が380nm以上に吸収帯域を有する光重合開始剤を含み、380nm以上の波長を有する光源、例えば褪色防止蛍光灯等を用いて重合性化合物を重合させることができるため、高分子分散型液晶素子の黄変を抑制し、また二色性色素を併用した場合であっても色素の褪色ないし黄変が抑制された高分子分散型液晶素子を実現することができる。
本発明の高分子分散型液晶素子の断面模式図。 本発明の高分子分散型液晶素子の断面模式図。 高分子分散型液晶素子の製造の流れを模式的に示した概略図。
<高分子分散型液晶素子用液晶組成物>
本発明の高分子分散型液晶素子用液晶組成物は、液晶成分と重合性化合物と光重合開始剤とを少なくとも含むものである。以下、本発明の高分子分散型液晶素子用液晶組成物を構成する各成分について説明する。
[液晶成分]
液晶材料は、長手方向を有する液晶分子を含んだ液状の材料である。液晶分子は、その形状に対応した屈折率異方性を有している。すなわち、液晶分子の長手方向に直交する方向での屈折率と、液晶分子の長手方向に平行な方向での屈折率とは異なっている。このような液晶材料としては、特に限られないがネマティック材料等の液晶材料を用いることができる。具体的には、例えばメルク社製のE7等のネマティック材料等を用いることができる。
[重合性化合物]
また、重合性化合物としては、上記した液晶成分を相分離させることが可能でかつ光透過性の高い材料であればよく、単官能、多官能いずれの重合性モノマー(重合性基)を有する化合物を使用することができる。このような化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート類、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類等が挙げられる。なお、(メタ)アクリレートとの表記は、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。また、アクリル系以外にも、カチオン重合性モノマーとして、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート等の脂環式エポキシド類、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類等を用いることもできる。これら重合性化合物は、要求される性能、塗布適性等に応じて、1種類単独でまたは2種類以上を併用して用いることができる。
重合性化合物の具体例としては、光硬化型脂肪族ウレタン樹脂、光硬化型芳香族ウレタン樹脂、光硬化型アクリル樹脂、光硬化型ウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。
高分子分散型液晶素子用液晶組成物中の重合性化合物の含有量は特に制限されるものではなく、高分子分散型液晶素子用液晶組成物が所望の粘度となるように適宜調整でき、例えば、組成物全体に対して5質量部以上、60質量部以下の範囲とすることができる。
[光重合開始剤]
上述した液晶成分は紫外線照射によって黄変する場合がある。本発明においては、重合性化合物を重合させるための重合開始剤として、波長380nm以上に吸収帯域を有する重合開始剤を用いることに特徴を有している。即ち、このような重合開始剤を用いることにより、重合性化合物の重合を波長が380nm以上の光照射によって行うことができるようになるため、液晶成分が黄変してしまうのを抑制することができる。
このような波長380nm以上に吸収帯域を有する重合開始剤としては、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤を好適に使用することができる。アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤は、380〜450nmの波長の光により開始剤機能が発現する重合開始剤である。このような重合開始剤を用いることにより、重合性化合物の重合(硬化)を、いわゆる褪色防止用蛍光灯(光源のピーク波長が405nm)や、発光波長ピークが400nm程度であるブルーLED(発光ダイオード)等を光照射光源として用いることができる。なお、光重合開始剤の吸収帯域は長波長であるほど、液晶成分や二色性色素の黄変や褪色を抑制することができるが、450nm以上の吸収帯域を有する光重合開始剤は、可視光でも感光機能が発現してしまうため、高分子分散型液晶素子用液晶組成物の保存安定性が低下する場合がある。
アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(商品名:TPO、Lambson社製)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(商品名:IRGACURE819、BASF社製)等が挙げられる。
アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤と併用して、チオキサントン系光重合開始剤を使用してもよい。チオキサントン系光重合開始剤は、主に400nm以上の紫外線の波長域で光吸収特性を有し、その範囲の波長の光により硬化反応の感光機能が発現するため、褪色防止用蛍光灯やブルーLEDを光源とした光に対する重合性化合物の硬化性を促進することができる。なお、上記の400nm以上の波長の光により感光機能が発現するとは、400nm以上の波長域で光吸収特性を有することをいう。
チオキサントン系光重合開始剤としては、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系化合物を挙げることができる。市販品の代表例としては、DETX、ITX(Lambson社製)等が挙げられる。
アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤の含有量は、重合性化合物100質量部に対して、2質量部以上、20質量部以下であることが好ましい。アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤の含有量は、硬化性を高める観点から、前記重合性化合物100質量部に対して、3質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であることがより好ましい。また、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤の含有量は、重合性化合物を含む高分子分散型液晶素子用液晶組成物の貯蔵安定性を高める観点から、重合性化合物100質量部に対して、15質量部以下であることがより好ましい。
チオキサントン系光重合開始剤の含有量は、重合性化合物100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましい。チオキサントン系光重合開始剤の含有量は、過剰添加を防止する観点から、重合性化合物100質量部に対して、8質量部以下であることが好ましく、6質量部以下であることがより好ましい。
[二色性色素]
高分子分散型液晶素子用液晶組成物は、二色性色素を含んでいてもよい。二色性色素は、液晶分子と同様に、長手方向を有するとともに、液晶分子を駆動させるとその動きに従ってその向きを変化させる。そして、二色性色素は、その向きに応じて色味を有するようになる。高分子分散型液晶素子用液晶組成物が二色性色素を含有することにより、高分子分散型液晶素子は、低ヘイズ状態において無色透明または無色透明に近い状態に維持され、その一方で、高ヘイズ状態においては、単なる白濁ではなく、所定の色味を有しながら不可視状態とすることができる。例えば、所定の色味を、高分子分散型液晶素子の周囲の部分と同様の色にすると、高分子分散型液晶素子の部分が周囲の部分と外観が異なることを防ぐことができる。また、低ヘイズ状態にある高分子分散型液晶素子の色味が高分子分散型液晶素子の周囲の部分の色味と異なるようにして、高分子分散型液晶素子に意匠性を積極的に付与してもよい。このような二色性色素としては、例えば特開2007−009120号公報や特開2011−246411号公報に開示されているような種々の公知なものを用いることができる。本発明においては、上述したように、高分子分散型液晶素子用液晶組成物中の重合性化合物の重合(硬化)を、いわゆる褪色防止用蛍光灯(光源のピーク波長が405nm)や、発光波長ピークが400nm程度であるブルーLED(発光ダイオード)等を光照射光源として用いることができるため、二色性色素の褪色や黄変も抑制することができる。
[その他の任意成分]
高分子分散型液晶素子用液晶組成物は、粘度調整のために溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては特に限定されるものではなく、例えば、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン(CHN)等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME)等のエーテル系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等のエステル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、シクロヘキサン等のアノン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒を例示することができるが、これらに限られるものではない。また、溶媒は、1種類単独であってもよく、2種類以上の混合溶媒であってもよい。なお、溶媒の量としては、特に制限されるものではなく、高分子分散型液晶素子用液晶組成物を塗布する際の粘度等を適宜調整することができる。
<高分子分散型液晶素子>
次に、本実施の形態に係る、上記高分子分散型液晶素子用液晶組成物を用いて高分子分散型液晶素子を製造する方法について説明する。図1および図2は、高分子分散型液晶素子の断面模式図であり、図3は、高分子分散型液晶素子の製造の流れを模式的に示した概略図である。
先ず、支持基材として、基材フィルム上に透明電極を形成し、透明電極フィルム11Aを形成する。基材フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂、トリアセチルセルロース(三酢酸セルロース:TAC)等のセルロース系樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリカーボネート(PC)樹脂などを含有するフィルム材を用いることができる。
また、透明電極材としては、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、AZO(Aluminum-doped Zinc Oxide)、GZO(Gallium-doped Zinc Oxide)、ATO(Antimony Tin Oxide)、ZNO(Zinc Oxide)等の金属酸化物を含有する層を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的気相成長法(PVD法)、化学的気相成長法(CVD法)、またはこれらの2以上を組み合わせた方法を用いて形成することができる。また、上記基材フィルム上に導電性高分子材料を含有する層を形成してもよく、例えば導電性高分子材料を種々の塗布法または印刷法等を用いて基材フィルム上に形成することで、透明電極フィルム11Aを形成することができる。さらに、透明電極を銀ナノワイヤー、カーボンナノチューブ等を含有する層として形成する場合は、例えば銀ナノワイヤー、カーボンナノチューブ等を適当な溶剤に分散させた分散液を基材フィルム上に塗布した後に乾燥させることで、透明電極フィルム11Aを形成することができる。
次に、透明電極フィルム11A上に、高分子分散型液晶素子用液晶組成物を塗布して、高分子分散型液晶層12を形成する。なお、液晶層形成用塗工液の塗工方法については、特に限定されず、例えば、ダイコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、カーテンコート法、キャスティング法、バーコート法、エクストルージョンコート法、E型塗布方法等を用いることができる。
なお、図1に示すような、ポリマーの3次元ネットワーク構造中に液晶成分が連続層をなす構造(PNLC構造)のリバースモードPNLCを得るためには、透明電極フィルム11A上に、垂直配向膜13Aを形成しておく。垂直配向膜13の形成は従来公知の方法により行うことができる。
次に、透明電極フィルム11A上に、あるいは配向膜13A上に、高分子分散型液晶層12を形成させたのち、透明電極フィルム11Aと同様にして形成した透明電極フィルム11Bを、高分子分散型液晶層12が挟持されるようにして貼合する。この際、高分子分散型液晶12の厚みを一定にするために、高分子分散型液晶素子用液晶組成物中にスペーサービーズを添加しておいてもよく、また、透明電極フィルム11Bの表面にスペーサービーズをスプレー等により散布しておいてもよい。なお、高分子分散型液晶層12AとしてPNLC構造のリバースモードPNLCを使用するためには、透明電極フィルム11B上にも垂直配向膜13Bを形成しておく。
2つの透明電極フィルム(11Aおよび11B)を貼合させることで得られた積層フィルムに対して、透明電極フィルム11A側から、または透明電極フィルム11B側から、あるいは両側から、波長380nm以上の光を照射し、高分子分散型液晶素子用液晶組成物中の重合性化合物を重合させてポリマーを形成する。この際、貼合した透明電極フィルム(11Aおよび11B)は高分子分散型液晶層12に接着する。なお、光照射処理に先立ち、塗布する高分子分散型液晶素子用液晶組成物の膜厚を均一にするために、透明電極フィルム11Aの表面にレベリング処理を施すようにしてもよい。
光照射は、ピーク波長が405nmの光源を有するいわゆる褪色防止用蛍光灯を用いて行うこともでき、また、発光波長が400nm以上にあるブルーLED等を用いて行うことができる。
光照射により重合性化合物が重合してポリマーが形成されると、図1に示すような、ポリマーの3次元ネットワーク構造120中に液晶成分121が連続層をなす構造(PNLC構造)、または、図2に示すような、ポリマー122中に液晶成分121の液滴123が分散している構造(PDLC構造)、またはそれら両者が混在する構造が発現し、高分子分散型液晶層12が形成される。
その後、高分子分散型液晶素子として、所望とする大きさに切り出され、透明電極フィルムの一部分を剥離し、高分子分散型液晶層を除去して電極加工を行ない、高分子分散型液晶素子とすることができる。
上記のようにして得られたPNLC構造の高分子分散型液晶素子(図1)は、リバースモードの高分子分散型液晶素子であり、垂直配向膜13Aおよび13B間の誘電異方性が負の液晶成分121中にポリマーネットワーク構造120が形成された状態となっており、電圧が印加されない状態では、液晶成分121が垂直配向膜13Aおよび13Bにより配向するため入射光が透過し、電圧を印加することにより、液晶成分121が近傍のポリマーネットワーク構造120の向きに沿って傾斜するため、全体として散乱状態となる。
また、PDLC構造の高分子分散型液晶素子(図2)は、ノーマルモードの高分子分散型液晶素子であり、ポリマー122中に誘電異方性が正の液晶成分121の液滴123が分散した構造となっており、電圧が印加されない状態では液晶成分121の向きがそろわないため入射光が散乱し、電圧を印加することにより、液晶成分121の向きが電界の向きに整列し、入射光が透過する。
本発明の高分子分散型液晶素子によれば、380nm以上に吸収帯域を有する光重合開始剤を含み、380nm以上の波長を有する光源、例えば褪色防止蛍光灯等を用いて重合性化合物を重合させることができるため、高分子分散型液晶の黄変を抑制し、また、二色性色素を併用した場合であっても色素の褪色ないし黄変が抑制された高分子分散型液晶素子を実現することができる。そのため、本発明の高分子分散型液晶素子は、CIEのC光源を用いた分光透過率から求めたL*a*b*表色系でのa*値が、透過状態において0.0以下、散乱状態においても3.0以下とすることができ、b*値が透過状態において9.0以下、散乱状態においても9.0以下とすることができる。
次に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
[実施例1]
<高分子分散型液晶素子用液晶組成物の調製>
液晶成分として誘電異方性が正である駆動型液晶成分(メルク社製E7)を50質量%、重合性化合物としてイソボルニルアクリレートを47.5質量%、光重合開始剤としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製IRGACURE819)を2.5質量%含む高分子分散型液晶素子用液晶組成物を調製した。
<高分子分散型液晶素子の作製>
支持基材として、100μm厚のPETフィルム基材上にシート抵抗150Ω/sqのITO膜(透明導電層)が成膜されたものを2枚準備し、一方の支持基材のITO膜上にスペーサードライ散布装置(株式会社アイエヌジー社製SDI−12)を用いて直径20μmのスペーサ剤(積水化学株式会社製ミクロパール(登録商標)SP220)を散布し、他方の支持基材のITO膜上に、上記のようにして調製した高分子分散型液晶素子用液晶組成物をラミネーターを用いて均一な厚みとなるよう塗布した。
2枚の支持基材を、塗布した高分子分散型液晶素子用液晶組成物を挟持するように貼り合せ、褪色防止用蛍光灯(日立株式会社製FRL40SW/M/36−P−NU)を用いて、ピーク波長が405nmの光を10分間照射し、高分子分散型液晶素子用液晶組成物中のイソボルニルアクリレートを重合(硬化)させて高分子分散型液晶素子を作製した。得られた高分子分散型液晶素子を所定の大きさに裁断するとともに各ITO膜からの電極取り出し加工を行った。
[実施例2]
高分子分散型液晶素子用液晶組成物の調製に際に、二色性色素(三井化学(株)製S−428、)を0.5質量%更に加えた以外は実施例1と同様にして高分子分散型液晶素子を作製した。
[比較例1]
光照射を、褪色防止用蛍光灯に代えて高圧水銀灯(主波長365nm)を用いた以外は、実施例1と同様にして高分子分散型液晶素子を作製した。
[比較例2]
光照射を、褪色防止用蛍光灯に代えて高圧水銀灯(主波長365nm)を用いた以外は、実施例2と同様にして高分子分散型液晶素子を作製した。
[比較例3]
光重合開始剤として、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドに代えて、320nm〜370nmを吸収帯域とする2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトン(BASF社製IRGACURE651)を用いた以外は、実施例1と同様にして高分子分散型液晶素子用液晶組成物を調製し、実施例1と同様にして光照射を行ったところ重合性化合物が重合せず、高分子分散型液晶素子を作製することができなかった。
<高分子分散型液晶素子の黄変度、褪色性の評価>
上記のようにして得られた各高分子分散型液晶素子について、分光光度計(日本分光(株)社製V7000)を用いて、CIEのC光源を用いた分光透過率から、素子の散乱状態および透過状態での透過色( L*a*b*表色系でのa*値およびb*値)を評価した。これらの評価結果を表1に示す。なお、a*値が大きい値であるほど赤味が強く、b*値が大きい値であるほど黄色味が強くなる。
表1に示した評価結果から明らかなように、実施例1と比較例1との対比、および実施例2と比較例2との対比のいずれも、実施例の高分子分散型液晶素子の方がa*値およびb*値の値が小さく、重合性化合物を重合させる際の光照射によっても、高分子分散型液晶素子の黄変を抑制し、また二色性色素を併用した場合であっても色素の褪色ないし黄変が抑制できることが分かる。
11A、11B 透明電極フィルム
12、 高分子分散型液晶層
120 ポリマーの3次元ネットワーク構造
121 液晶成分
122 ポリマー
123 液晶成分の液滴
13A、13B 垂直配向膜

Claims (8)

  1. 液晶成分と重合性化合物と光重合開始剤とを少なくとも含んでなる高分子分散型液晶素子用液晶組成物であって、
    前記光重合開始剤が、波長380nm以上に吸収帯域を有するものであることを特徴とする、高分子分散型液晶素子用液晶組成物。
  2. 前記光重合開始剤は、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤である、請求項1に記載の高分子分散型液晶素子用液晶組成物。
  3. 二色性色素をさらに含んでなる、請求項1または2に記載の高分子分散型液晶素子用液晶組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の高分子分散型液晶素子用液晶組成物を用いて高分子分散型液晶素子を製造する方法であって、
    高分子分散型液晶素子用液晶組成物に、波長380nm以上の光を照射して重合性化合物を重合させてポリマーを形成し、
    前記ポリマーの3次元ネットワーク構造中に液晶成分が連続層をなす構造、または、前記ポリマー中に液晶成分の液滴が分散している構造、またはそれら両者が混在する構造を発現させる、
    ことを含む、高分子分散型液晶素子の製造方法。
  5. 前記重合が、ピーク波長が405nmの光源を有する蛍光灯を用いて行われる、請求項4に記載の方法。
  6. 前記重合が、LED光源を用いて行われる、請求項4に記載の方法。
  7. 一対の長尺状の支持基材の間に高分子分散型液晶素子用液晶組成物を挟持し、前記長尺方向に移動させながら、前記支持基材の何れか一方または両方から光照射を連続的に行う、請求項4〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の高分子分散型液晶素子用液晶組成物を用いた高分子分散型液晶素子。
JP2017127918A 2017-06-29 2017-06-29 高分子分散型液晶素子用液晶組成物およびそれを用いた高分子分散型液晶素子 Pending JP2019011412A (ja)

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