以下、添付図面を参照して、本願の開示するコンバインの実施形態を詳細に説明する。
なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
<コンバインの全体構成>
図1を参照して、コンバイン1の全体構成について説明する。図1は、コンバイン1を示す概略平面図である。なお、以下の説明では、コンバイン1の通常の使用時における前後方向、左右方向、上下方向を、各部におけるそれぞれの前後方向、左右方向、上下方向として説明する。
このうち、「前」方は、刈り取り作業時におけるコンバイン1の進行方向であり、「左」方は、前方に向かって左手方向であり、「下」方は、重力が作用する方向である。なお、これらの方向は、説明をわかりやすくするために便宜上定義したものであり、これらの方向によって本発明が限定されるものではない。また、以下では、コンバイン1を指して「機体」という場合がある。
また、コンバイン1は、たとえば、大豆、そば、麦などの穀稈を、圃場を走行しながら収穫するいわゆる汎用コンバインである。コンバイン1は、走行装置を備える。走行装置は、走行フレーム(機体フレームともいう)2(図1参照)の下方に設けられ、左右一対のクローラによってコンバイン1を走行させる。
また、図1に示すように、コンバイン1は、刈取装置3と、脱穀装置4と、グレンタンク5と、排出オーガ6とを備える。刈取装置3は、走行フレーム2の前方に設けられ、圃場の穀稈を収穫する。脱穀装置4は、穀稈を脱穀し、脱穀した穀粒を選別する。グレンタンク5は、脱穀装置4によって選別された穀粒を貯留する。排出オーガ6は、グレンタンク5に貯留された穀粒を外部に排出する。
このうち、グレンタンク5は、走行フレーム2上における左右いずれか一側方(たとえば、右方)に配置される。この他、刈取装置3は、走行フレーム2の前方に配置される。
脱穀装置4は、走行フレーム2上における左右いずれか他側方(たとえば、左方)に配置される。なお、脱穀装置4は、走行フレーム2上において、グレンタンク5に近接して配置される。
また、排出オーガ6は、縦オーガ61(図3参照)と、横オーガ62と、排出筒63とを備える。縦オーガ61は、円筒形状に形成され、軸が縦を向いて配置される。縦オーガ61は、ラセン搬送によって穀粒を下から上に搬送(揚穀)する。排出オーガ6は、縦オーガ61によって揚穀した穀粒を横オーガ62によってさらに搬送し、横オーガ62の先端部に設けられた排出筒63から排出する。
また、図1に示すように、コンバイン1は、走行フレーム2の上方における前部右方に操縦部7を備える。また、コンバイン1は、走行フレーム2上における前部右方、操縦部7の下方にエンジンルームを備える。エンジンルームは、機体の駆動源であるエンジンを収容している。なお、コンバイン1は、操縦部7において操縦者(作業者ともいう)が座る操縦席の周囲を覆うキャビンを備えてもよい。
ここで、汎用コンバイン(コンバイン1)における刈取装置3についてさらに説明する。図1に示すように、刈取装置3は、掻込装置31と、横刈刃装置32と、オーガ装置33と、フィーダハウス34とを備える。なお、刈取装置3は、後述するオーガ装置33の上方で絡み合った穀稈を切断する縦刈刃装置などの他の装置が組み込まれてもよい。
掻込装置31は、オーガ装置33の上方に設けられ、倒伏している穀稈、大豆、そばなどの丈の低い穀稈や、油菜、菜の花などの丈の高い穀稈をオーガ装置33へ掻い込む。掻込装置31は、穀稈を掻い込むために、六角柱の枠状に形成されたリールと、リールを回転可能に支持するリール支持アームとを備える。
横刈刃装置32は、オーガ装置33の前方に設けられ、掻込装置31によって掻い込まれた穀稈の株元を切断する。横刈刃装置32は、穀稈を切断するために、左右方向に延在する横刈刃プレートと、横刈刃プレートに固定された横下刃と、横刈刃プレートに沿って左右に往復移動する横上刃とを備える。
オーガ装置33は、掻込装置31によって掻い込まれた穀稈を後述するフィーダハウス34に送り込む。オーガ装置33は、移送部と、移送口とを備える。移送部は、左右方向に延在する螺旋軸であり、穀稈を左右いずれか一方(たとえば、左方)に移送する。移送口は、移送部によって寄せ集められた穀稈をフィーダハウス34に送り込む。なお、オーガ装置33の前方の左右端部には、穀稈を分草する分草杆331が設けられる。
フィーダハウス34は、オーガ装置33と脱穀装置4とを接続するように設けられ、オーガ装置33から引き継いだ穀稈を脱穀装置4に送り込む。フィーダハウス34は、穀稈を脱穀装置4に送り込むために、フィードチェンを備える。フィードチェンは、前後方向に循環し、穀稈を前から後に搬送する。また、フィーダハウス34は、内装されたネットに付着した塵埃などを除去する吸塵ファンを備える。
また、ここで、図1および図2を参照して、グレンタンク5についてさらに説明する。
図2は、グレンタンク5旋回時の動作説明図である。なお、図2には、グレンタンク5の平面を示し、グレンタンク5の旋回操作前と旋回操作後とを示している。図1および図2に示すように、グレンタンク5は、縦軸(以下、旋回軸という)AX1を中心に、走行フレーム2の左右方向の外側(たとえば、右方の外側)に向けて旋回(回動ともいう)可能に設けられる。すなわち、グレンタンク5は、旋回軸AX1を中心に図2中の矢線方向に旋回する。
グレンタンク5は、走行フレーム2上に配置された状態、すなわち、閉じた状態(以下、閉状態という場合がある)から、メンテナンスなどの作業を行う場合に走行フレーム2の外側に開いた状態(以下、開状態という場合がある)となるように、走行フレーム2の後部に設けられた旋回軸AX1を中心に旋回可能に設けられる。
グレンタンク5は、閉状態における左右の側面のうち、走行フレーム2の左右方向の外側に配置された外側面51aと、走行フレーム2の左右方向の内側に配置された内側面51bとを含み、平面視で矩形状に形成される。グレンタンク5の閉状態において外側面51aおよび内側面51bは、走行フレーム2の外側面21aに対して略平行となるようにそれぞれ延在する。
グレンタンク5は、上記したように、走行フレーム2の後部に設けられた旋回軸AX1を中心に旋回可能に設けられる。旋回軸AX1は、たとえば、グレンタンク5の後方に配置された引継ぎメタル64の右側部に設けられる。なお、引継ぎメタル64は、グレンタンク5から穀粒を引き継いで縦オーガ61に送り込むための部材であり、走行フレーム2に固定される。
図2に示すように、コンバイン1においては、グレンタンク5が開状態である場合に、平面視においてグレンタンク5の内側面51bと走行フレーム2の外側面21aとの間にスペースS(図2中に斜線で示す領域)が形成される。スペースS(以下、作業スペースという)は、たとえば、作業者がグレンタンク5や脱穀装置4、またはその他の装置や部位のメンテナンスなどの作業を行う場合に作業可能なスペースである。作業スペースSは、たとえば、作業者の手などが入る程度の領域である場合もあれば、作業者の体全体が入る程度の領域である場合もある。このため、作業スペースSにおける旋回軸AX1を中心にグレンタンク5の旋回角度、すなわち、グレンタンク5の内側面51bと走行フレーム2の外側面21aとの間の角度αは任意である。
また、図2に示すように、コンバイン1は、走行フレーム2上においてグレンタンク5を旋回可能に支持する支持部8を備える。支持部8は、旋回支持部(以下、第1支持部という)81と、下側支持部(以下、第2支持部という)82とを備える。
<第1支持部および第2支持部>
次に、図2〜図7Cを参照して、グレンタンク5を支持する支持部8である第1支持部(旋回支持部)81および第2支持部(下側支持部)82について説明する。なお、以下では、まず、図2および図3を用いて第1支持部81および第2支持部82について簡単に説明し、次いで、第1支持部81(図4A〜図4B)および第2支持部82(図5〜図7C)を順番に詳しく説明する。図3は、第1支持部81および第2支持部82を示す概略左側面図である。
図3に示すように、第1支持部81は、グレンタンク5の旋回軸AX1となる上下方向に沿った回転軸を有する。第1支持部81は、グレンタンク5を後方から支持する。すなわち、第1支持部81は、グレンタンク5の旋回軸AX1を形成しつつ、グレンタンク5を後方から支持する。第1支持部81は、上側支点81aと、下側支点81bとを有し、かかる2つの支点81a,81bを介して、グレンタンク5と、縦オーガ61および引継ぎメタル64との間を接続している。
上側支点81aは、グレンタンク5の旋回軸AX1の一部を構成し、グレンタンク5の後面51c上部と、縦オーガ61との間に設けられる。上側支点81aの回転軸AX11は、グレンタンク5の旋回軸AX1となる。下側支点81bは、グレンタンク5の旋回軸AX1の一部を構成し、グレンタンク5の後面51c下部と、引継ぎメタル64との間に設けられる。下側支点81bの回転軸AX12は、上側支点81aの回転軸AX11(旋回軸AX1)の同軸であり、グレンタンク5の旋回軸AX1となる。なお、下側支点81bの回転軸AX12は、たとえば、上側支点81aの回転軸AX11、すなわち、旋回軸AX1の軸線に対して僅かにずれた平行軸であってもよい。また、上側支点81aと下側支点81bとは、旋回軸AX1が後上がりに傾斜するように配置されている。
第2支持部82は、走行フレーム2上においてグレンタンク5を下方から支持しつつ、旋回軸AX1を中心に円弧(同心円弧)を描く軌道でグレンタンク5を旋回させる移動支点を有する。第2支持部82は、かかる移動支点として、前側支点82a(図2参照)と、後側支点82bとを有する。
図2に示すように、第2支持部(下側支持部)82である前側支点82aは、グレンタンク5の前部に設けられ、グレンタンク5が走行フレーム2上にある間、グレンタンク5を支持する。前側支点82aは、グレンタンク5が走行フレーム2から離れると、走行フレーム2上から離脱する。このため、前側支点82aは、グレンタンク5が旋回されることで作業スペースSが形成された状態では、走行フレーム2上から離脱している。前側支点82aは、走行フレーム2上を転がるボールベアリングなどで構成された回転体である。
図2および図3に示すように、第2支持部(下側支持部)82である後側支点82bは、グレンタンク5の後部に設けられる。図2に示すように、後側支点82bは、グレンタンク5の縦軸である旋回軸AX1と交差(直交)する横軸(以下、単に回転軸という)AX2を有して走行フレーム2上を転がるボールベアリングなどで構成された回転体である。なお、以下の説明では、前側支点82aおよび後側支点82bがボールベアリング85(たとえば、図5参照)によって、回転体による支点(以下、ベアリング支点という)を構成する場合を例示している。なお、回転軸AX2は、旋回軸AX1と交差させずに、いわゆる「ねじれの位置」となるように配置することもできる。
かかる構成によれば、グレンタンク5の旋回中の抵抗を低減することができ、グレンタンク5を円滑に旋回させることができる。なお、旋回軸AX1を中心に円弧を描く軌道でグレンタンク5を旋回させることで、グレンタンク5の旋回中の抵抗をより低減することができる。
また、後側支点82bは、グレンタンク5が旋回されて少なくとも作業スペースSが形成されるまで、走行フレーム2上においてグレンタンク5を支持する。すなわち、後側支点82bは、作業スペースSが形成された状態では、走行フレーム2上においてグレンタンク5を下方から支持している。
かかる構成によれば、グレンタンク5を旋回させる場合に、グレンタンク5の内側面51bが走行フレーム2の外側面21aから離れるまで旋回しても第2支持部82のうち後側支点82bが走行フレーム2上においてグレンタンク5を支持しているため、グレンタンク5が後方の片持ち状態で前方に傾く、いわゆる前沈みを抑えることができる。これにより、グレンタンク5を旋回させる操作が軽くなり、かかる操作を容易に行うことができる。
また、グレンタンク5を旋回させる場合に、グレンタンク5の内側面51bと走行フレーム2の外側面21aとの間に作業スペースSが形成されるまで旋回しても第2支持部82のうち後側支点82bが走行フレーム2上においてグレンタンク5を支持しているため、グレンタンク5を旋回させる操作を容易に行うことができるとともに、グレンタンク5や、グレンタンク5の側方に配置された脱穀装置4のメンテナンスなどの作業を容易に行うことができる。
また、後側支点82bは、好ましくは、図2に示すように、グレンタンク5が最大限旋回する(角度αが最大となる最大旋回範囲)まで、走行フレーム2上においてグレンタンク5を支持する。すなわち、後側支点82bは、グレンタンク5が最大限旋回した状態では、走行フレーム2上においてグレンタンク5を下方から支持している。
かかる構成によれば、グレンタンク5を旋回させる場合に、グレンタンク5が走行フレーム2の左右方向の外側の最大旋回範囲まで旋回しても後側支点82bが走行フレーム2上においてグレンタンク5を支持しているため、グレンタンク5の前沈みを抑えることができる。これにより、グレンタンク5を旋回させる操作が軽くなり、かかる操作を容易に行うことができ、グレンタンク5や、グレンタンク5の側方に配置された脱穀装置4のメンテナンスなどの作業を容易に行うことができる。
また、図3に示すように、後側支点82bは、走行フレーム2上に設けられたガイドレール(以下、ベアリング受けレールという)83上を転がる。ベアリング受けレール83は、後側支点82bの軌道上に設けられる。これにより、グレンタンク5を円滑に旋回させることができる。なお、ベアリング受けレール83によって走行フレーム2の強度(耐久性)も高まる。また、ベアリング受けレール83は、走行フレーム2の上面2aよりも高くなるように設けられ、走行フレーム2の上面2aよりも高い位置で後側支点82bをガイドする。グレンタンク5と走行フレーム2の上面2aとの間隔は一定であるため、後側支点82bを上方から保持している、後述する取付けステー(以下、ベアリング取付けステーという)84(たとえば、図5参照)の高さを低く(長さを短く)することができる。ベアリング取付けステー84が短くなることで、ベアリング取付けステー84の強度が高まるとともに、ベアリング取付けステー84を安価に得ることができる。
また、ベアリング受けレール83は、たとえば、板状に形成され、ボルト、ナットなどの固定具によって走行フレーム2の上面2aに取り付けられることが好ましい。これにより、後側支点82bの接触面であり摩耗品であるベアリング受けレール83を交換可能に設けることができる。
なお、第2支持部82の2つの移動支点である前側支点82aおよび後側支点82bのうち、たとえば、前側支点82aを省略してもよい。前側支点82aを省略しても、後側支点82bが走行フレーム2上においてグレンタンク5を支持しているため、グレンタンク5の前沈みを抑えることができる。
図4Aは、第1支持部81を示す概略平面図である。図4Bは、第1支持部81を示す概略左側面図である。図4Aおよび図4Bに示すように、第1支持部81である上側支点81aは、上記したように、その回転軸AX11がグレンタンク5の旋回軸AX1となる。また、第1支持部81である下側支点81bは、その回転軸AX12が上側支点81aの回転軸AX11と同軸であり、回転軸AX11と共にグレンタンク5の旋回軸AX1となる。上側支点81aと下側支点81bとは、旋回軸AX1が後上がりに傾斜するように配置されている。
かかる構成によれば、グレンタンク5の旋回中、グレンタンク5が後方に傾いた姿勢となるため、グレンタンク5の前沈みを抑えることができる。これにより、グレンタンク5を旋回させる操作が軽くなり、かかる操作を容易に行うことができる。
また、グレンタンク5の重心は、たとえば、グレンタンク5のたとえば左側面に増量部50を設けた後述する増量タンクである場合には旋回軸AX1よりも左方にある。このため、グレンタンク5が左方に傾いて、グレンタンク5の前端部が走行フレーム2に対して傾くため、グレンタンク5を旋回させる操作が重くなることがある。図4Aに示すように、上側支点81aと下側支点81bとは、旋回軸AX1が左右一側上がりに傾斜するように、たとえば、下側支点81bが上側支点81aよりも走行フレーム2の内側となる左右いずれか他側方にずれて配置されてもよい。この場合、下側支点81bの回転軸AX12´は、旋回軸AX1である上側支点81aの回転軸AX11よりも、走行フレーム2の内側となる左右いずれか他側方にずれる。なお、下側支点81bのずれ量は、たとえば、10mm程度であることが好ましい。なお、このように、下側支点81bと上側支点81aが前後および左右にずれて配置されると、旋回軸AX1が前後および左右に傾く。これにより、グレンタンク5の重心は、旋回中の所定位置(たとえば、中間位置)において最も高い位置となり、グレンタンク5の重心は、この所定位置よりも閉状態側または開状態側では、所定位置での高さよりも低くなる。
かかる構成によれば、グレンタンク5の旋回中、グレンタンク5が走行フレーム2の内側に傾いた姿勢となるため、グレンタンク5の走行フレーム2の外側となる向きの沈みを抑えることができる。これにより、グレンタンク5を旋回させる操作が軽くなり、かかる操作を容易に行うことができる。また、グレンタンク5の重心が、旋回中の所定位置(たとえば、中間位置)において最も高い位置となる(グレンタンク5の閉位置および開位置においては旋回中の所定位置よりも低い位置となる)ため、グレンタンク5を閉位置および開位置に確実に保持することができる。
また、図4Bに示すように、下側支点81bが上側支点81aよりも前方にのみずれて配置されてもよい。この場合、下側支点81bの回転軸AX12´´は、旋回軸AX1である上側支点81aの回転軸AX11よりも前方にずれる。なお、下側支点81bのずれ量は、たとえば、10〜20mm程度(より好ましくは、13.5mm程度)であることが好ましい。
かかる構成によれば、グレンタンク5の旋回中、グレンタンク5が後方に傾いた姿勢となるため、グレンタンク5の前沈みを抑えることができる。これにより、グレンタンク5を旋回させる操作が軽くなり、かかる操作を容易に行うことができる。
また、上記したように、下側支点81bが、上側支点81aよりも前方、かつ、上側支点81aよりも走行フレーム2の内側となる左右いずれか他側方にずれて配置されてもよい。この場合、下側支点81bの回転軸AX12´´´は、旋回軸AX1である上側支点81aの回転軸AX11よりも前方、かつ、走行フレーム2の内側となる左右いずれか他側方(たとえば、左方)にずれる。なお、下側支点81bのずれ量は、たとえば、前方に10〜20mm程度(より好ましくは、13.5mm程度)、左方に10mm程度であることが好ましい。
かかる構成によれば、グレンタンク5の旋回中、グレンタンク5が後方に傾いた姿勢となるため、グレンタンク5の前沈みを抑えることができ、かつ、グレンタンク5が走行フレーム2の内側となる左右いずれか他側方に傾いた姿勢となるため、グレンタンク5の走行フレーム2の外側となる向きの沈みを抑えることができる。これにより、グレンタンク5を旋回させる操作が軽くなり、かかる操作を容易に行うことができる。
また、下側支点81bと上側支点81aを左右または前後にずれて配置するにあたり、下側支点81bと上側支点81aの何れか、またはその両方を位置調節可能とすることもできる。この場合、位置調節は前後、左右、上下のいずれか、または複数の方向に調節可能とすることができる。
かかる構成によれば、グレンタンク5に付随する各種装置、部材を着脱した場合や、グレンタンク5の経年変化が発生した場合等に、グレンタンク5の前述したような沈みを抑えるべく、調節することが可能となる。
なお、下側支点81bと上側支点81aを位置調節可能に構成する場合、回転軸AX11や回転軸AX12の軸線方向を含めて調節可能とすることが好ましく、下側支点81bと上側支点81aの何れか一方のみの回転軸の軸線を変更可能とし、固定側の支点位置に合わせて回転軸の軸線が自動的に設定されるように、自動調心が可能なボールジョイント構造とすることも好適である。
図5は、第2支持部82を示す概略拡大平面図である。図6Aは、第2支持部82を示す概略拡大平面図である。図6Bは、第2支持部82の他の例を示す概略拡大平面図である。なお、図5、図6Aおよび図6Bには、第2支持部82のうちの後側支点82bを示している。コンバイン1(図1参照)においては、グレンタンク5の旋回中はグレンタンク5を走行フレーム2上において支持するため、グレンタンク5が開き過ぎないようにグレンタンク5の外側への旋回量(オープン量ともいう)を規制することが好ましい。
このため、コンバイン1は、グレンタンク5の外側への旋回量を規制する規制部9をさらに備える。図5に示すように、規制部9は、固定側ストッパ91と、可動側ストッパ92とを備える。固定側ストッパ91は、走行フレーム2の外側部を形成する角パイプ状の外側フレーム21に設けられる。外側フレーム21の外側面が走行フレーム2の外側面21aとなる。固定側ストッパ91は、外側フレーム21の延在方向に対する所定角度の傾斜面であり後述する可動側ストッパ92のL型プレート921が当接する当接面912を有するL型プレート911を備える。なお、図5では、L型プレート911を強調するために、図中においてL型プレート911に斜線を付している。
可動側ストッパ92は、グレンタンク5の底面に設けられる。可動側ストッパ92は、グレンタンク5が走行フレーム2の外側の最大旋回範囲を旋回した場合に、固定側ストッパ91のL型プレート911の当接面912と面で当接するような傾斜面である当接面922を有するL型プレート921を備える。かかるL型プレート921は、グレンタンク5の底面から下方に突出している。グレンタンク5を旋回させる場合に、固定側ストッパ91のL型プレート911と可動側ストッパ92のL型プレート921とが当接することで、グレンタンク5を所定範囲内で旋回するように規制する。
かかる構成によれば、走行フレーム2の固定側ストッパ91がL型プレート911を備えることで、たとえば、グレンタンク5の可動側ストッパ92のL型プレート921が走行フレーム2の外側フレーム(角パイプ)21に直接当たることを防いで、外側フレーム21の損傷を抑えることができる。また、たとえば、固定側ストッパ91のL型プレート911の当接面912の傾斜を調節することで、グレンタンク5の旋回量を変更することができる。すなわち、構造簡素で簡単にグレンタンク5の旋回量を調節することができる。
図5および図6Aに示すように、第2支持部82の後側支点82bは、回転体による支点、すなわち、ベアリング支点であり、ボールベアリング85を備える。ボールベアリング85は、回転軸AX2方向に複数(好ましくは、2つ)が並んで設けられることが好ましい。これにより、ベアリング受けレール83との接触面積が大きくなり、ベアリング受けレール83に対する面圧を低減することができ、ボールベアリング85およびベアリング受けレール83の損傷を抑えることができる。なお、図6Bに示すように、ボールベアリング85が1つであってもよい。また、ボールベアリングが回転軸AX2方向に延長したものであってもよい。かかるボールベアリングとしても、上記同様、ベアリング受けレール83に対する面圧を低減することができ、ボールベアリングおよびベアリング受けレール83の損傷を抑えることができる。
また、図5および図6A(および図6B)に示すように、後側支点82bは、たとえば、ボルト86a、ナット86bの固定具86によってベアリング取付けステー84に取り付けられる。固定具86は、グレンタンク5を走行フレーム2の外側に旋回する場合に作業スペースS(図2参照)側を向くように設けられる。これにより、ボールベアリング85の交換などのメンテナンス作業や、後側支点82bの組み立て作業などを容易に行うことができる。
図7Aは、取付けステー(ベアリング取付けステー)84を示す概略平面図である。図7Bは、図7AにおけるA1方向視図である。図7Cは、図7AにおけるA2方向視図である。図7A〜図7Cに示すように、ベアリング取付けステー84は、後側支点82b(たとえば、図5参照)が取り付けられ、後側支点82bをグレンタンク5(たとえば、図5参照)に支持する。ベアリング取付けステー84は、1つの板金部品によって構成され、1つの板金部品を加工することで形成される。これにより、製造コストを低減することができ、ベアリング取付けステー84を安価に得ることができる。また、たとえば、複数の部品を溶接して形成する場合に比べて強度が高まる。
<グレンタンク>
次に、図8A〜図10Cを参照して、グレンタンク5についてさらに説明する。図8Aは、オープンレバー53およびベルトレバー56を示す概略正面図である。図8Bは、オープンレバー53およびベルトレバー56を示す概略左側面図である。
図8Aおよび図8Bに示すように、グレンタンク5は、走行フレーム2上に全体が配置された状態において前方を向いた面となる前面51dに、グレンタンク5の内側面51bに形成された開口(以下、メンテナンス開口という)52を開閉する場合に操作されるオープンレバー53が設けられる。また、グレンタンク5は、前面51d下部に、搬送オーガ54に動力を伝達するためのベルトプーリ55に掛け回されたベルト55aのテンションを調節(入切)する場合に操作されるベルトレバー56が設けられる。なお、搬送オーガ54は、グレンタンク5の下部に前後方向に延在し、グレンタンク5から排出された穀粒を、前から後に搬送してグレンタンク5の後方に設けられた引継ぎメタル64(図3参照)に供給する。
図8Bに示すように、オープンレバー53の操作レバー53aとベルトレバー56の操作レバー56aとは、前後方向に所定の間隔dをあけて各操作レバー53a,56aの動作ラインが設定された状態で設けられる。なお、かかる間隔dは、従前の間隔と比較して広い。たとえば、従前の場合は、たとえば19mmの間隔dであったのに対して、図8Bの場合は、たとえば62mmの間隔dに設定されている。これにより、操作レバー53a,56aを操作する場合に、たとえば、作業者が一方の操作レバー(たとえば、操作レバー53a)を操作する場合に他方の操作レバー(たとえば、操作レバー56a)に手などがあたらないなど、操作性が高まる。
図9は、オープンレバー53操作時の動作説明図である。図9に示すように、グレンタンク5の前面51dにメンテナンス開口52(図8B参照)の開放量を規制する規制部57が設けられてもよい。規制部57は、オープンレバー53のプレート(ストッパプレートともいう)53bと、グレンタンク5の前面51dにおいてオープンレバー53の上方に設けられたストッパピン57aとを備える。オープンレバー53の操作レバー53aが操作されると、すなわち、操作レバー53aが図9中の左方に向けて回動操作されると、リンクフレーム58aを介して開閉操作部58が動作して、メンテナンス開口52が開く。この場合、操作レバー53aが所定量回動されると、オープンレバー53のプレート53bがストッパピン57aに当接して、操作レバー53aの所定量以上の回動が規制される。これに伴い、ロック部58bによってメンテナンス開口52がロックされる。これにより、メンテナンス開口52の開放を規制することができ、メンテナンス開口52の開け過ぎを防止することができる。
図10Aは、オープンレバー53を示す概略正面図である。図10Bは、オープンレバー53を示す概略平面図である。図10Cは、オープンレバー53を示す概略右側面図である。なお、図10A〜図10Bにおいては、オープンレバー53がグレンタンク5に取り付けられた状態で、前後、左右、上下を規定している。図10A〜図10Cに示すように、オープンレバー53は、上記した、操作レバー53aと、プレート53bとを備える。図10Aおよび図10Cに示すように、操作レバー53aは、正面視において左方に屈曲形成される。これにより、操作レバー53aを、上下方向の長さはそのままで全長(レバー長)を延長することができる。操作レバー53aの全長を延長することで、たとえば、操作レバー53aを操作する場合に、作業者の手などがグレンタンク5の前面51dなどに干渉することを抑え、力も入れやすいため、操作性が高まる。
また、図10A〜図10Cに示すように、プレート53bは、矩形板状に形成される。
好ましくは、プレート53bは、左右方向に延びた横長の矩形板状に形成される。このように、プレート53bをシンプル形状とすることで、製造コストを抑えることができる。
また、操作レバー53aは、たとえば、溶接によってプレート53bに取り付けられる。
この場合、図10Bに示すように、プレート53bに対して平面視において傾斜するように操作レバー53aを溶接することで、接合強度を高めることができる。
<グレンタンクの変形例>
次に、図11Aおよび図11Bを参照して、グレンタンク5の変形例について説明する。図11Aは、グレンタンク5の変形例を示す概略正面図である。図11Bは、グレンタンク5の変形例を示す概略左側面図である。図11Aおよび図11Bに示すように、グレンタンク5は、走行フレーム2上に定置される本体部5aとは別に、グレンタンク5の内側面51bに設けられる増量部(以下、増量タンクという)50をオプションとして備えてもよい。
増量タンク50は、グレンタンク5の本体部5aに対して着脱自在に設けられる。増量タンク50は、グレンタンク5の本体部5aに取り付けた状態では本体部5aと内部が連通している。なお、増量タンク50は、走行フレーム2上においては、本体部5aと脱穀装置4(図1参照)との間のスペースに配置される。増量タンク50では、本体部5aに貯留された穀粒が一定量以上に達すると、貯留された穀粒が押し上げられて増量タンク50側に移動する。かかる増量タンク50を設けることで、グレンタンク5全体の容積を増やすことができる。
また、グレンタンク5は、満杯センサ59を備える。満杯センサ59は、たとえば、満杯警報器に接続される。かかる構成によれば、多量の穀粒を貯留できるうえ、グレンタンク5内において穀粒が満杯になると満杯警報器が満杯警報を発するため、連続作業が可能となり、作業効率が高まる。満杯センサ59は、本体部5aおよび増量タンク50のそれぞれの内部における上部に設けられる。また、2つの満杯センサ59,59は、上下方向の位置(高さ)が異なるように配置される。異なる高さで配置された2つの満杯センサ59,59を使い分けることで、穀物の種類によって好適なセンシングが可能となる。具体的には、穀粒が重い場合や水分が多い場合には低い方の満杯センサ59を選択することで、グレンタンク5の許容重量を超えて穀粒が貯留されるのを防止することができ、コンバイン1の壊れや、湿田の場合におけるコンバイン1の沈み込みなどを防止することができる。
また、図11Bに示すように、増量タンク50は、グレンタンク5(本体部5a)の内側面51bに対して複数のボルトなどの固定具501によって取り付けられる。この場合、複数の固定具501は全て同じ面(内側面51b)に取り付けられる。これにより、増量タンク50の取り付けが容易となり、また、増量タンク50を精度良く取り付けることができる。
また、図11Bに示すように、増量タンク50は、走行フレーム2上において脱穀装置4(図1参照)とグレンタンク5との間に設けられ脱穀装置4からグレンタンク5に穀粒を搬送(揚穀)する一番揚穀機100の穀粒排出口101と平面視および左側面視で重なるように設けられる。なお、図11Bには、増量タンク50と一番揚穀機100の穀粒排出口101との重なり部分を斜線で示している。このように、増量タンク50を穀粒排出口101と重なるように設けることで、穀粒排出口101からグレンタンク5に向けて排出される穀粒が増量タンク50に確実に入るようになる。
また、グレンタンク5に増量タンク50を設けることで、一番揚穀機100の揚穀筒102(図11B参照)の位置が上がる場合がある。このため、揚穀筒102に装着されるプレクリーナ103の設置位置を下げる必要がある。なお、プレクリーナ103は、エアクリーナに供給される空気中の比較的大きな不純物を予め除去するものである。
図12は、プレクリーナ取付けステー104を示す概略左側面図である。図12に示すように、プレクリーナ取付けステー104は、揚穀筒102の上部においてプレクリーナ103を支持する。プレクリーナ取付けステー104は、プレクリーナ取付けステー104の最上位置よりも低い位置にプレクリーナ103の取付部104aが設けられる。このため、プレクリーナ取付けステー104では、プレクリーナ取付けステー104の最上位置よりも低い位置でプレクリーナ103を支持することができる。また、プレクリーナ取付けステー104によってプレクリーナ103を保護することができる。たとえば、排出オーガ6(図1参照)が旋回する場合にプレクリーナ103に衝突してプレクリーナ103が破損してしまうことがあるが、このような場合でも、排出オーガ6は、プレクリーナ取付けステー104に衝突してプレクリーナ103には衝突しない。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。