JP2019006931A - 金属板用塗料およびこれを用いた塗装金属板の製造方法 - Google Patents

金属板用塗料およびこれを用いた塗装金属板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】貯蔵安定性が非常に高く、雨筋汚れが生じ難い塗膜を金属板表面に形成可能な金属板用塗料、およびこれを用いた塗装金属板の製造方法を提供する。【解決手段】金属板用塗料は、ポリエステル樹脂と、メラミン樹脂系硬化剤と、シリコーンレジンと、pHが6〜8であるブロックスルホン酸触媒と、を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、金属板用塗料およびこれを用いた塗装金属板の製造方法に関する。
屋外の建造物や土木構造等には、塗装金属板が多く用いられている。このような塗装金属板では、自動車の排気ガス、工場からの煤煙等に含まれるカーボン系汚染物質(以下、「疎水性カーボン」とも称する)の付着による汚れが問題となっている。汚れの中でも特に、雨筋に沿って付着する汚れ(以下、「雨筋汚れ」とも称する)が目立ちやすい。従来の塗装金属板では、このような雨筋汚れが比較的短時間のうちに目立つようになることが避けられず、雨筋汚れが発生し難い塗装金属板が求められていた。
近年、塗膜の対水接触角を60°以下、つまり親水性にすることで、雨筋汚れを防止することが提案されている。対水接触角が低い親水性の塗膜表面では、雨水によって疎水性カーボンが浮き上がりやすく、浮き上がった疎水性カーボンが洗い流されると考えられる。塗装金属板表面を親水化する手法の一つとして、塗料にテトラアルコキシシランまたはその縮合物(以下、これらを「オルガノシリケート」とも称する)を含める方法が提案されている(特許文献1)。
国際公開第1994/6870号
上記特許文献1に記載の塗料は、各種樹脂とオルガノシリケートを含む。このような塗料を金属板表面に塗布すると、オルガノシリケートが膜の表面側に移動する。そして、膜を硬化させると、オルガノシリケートが空気中の水分等と反応し、塗膜表面にシラノール基やシロキサン結合が生じる。これにより、塗膜表面が親水化し、雨筋汚れが抑制されると考えられている。
しかしながら、オルガノシリケートは反応性が非常に高く、塗料中の水分によって反応しやすい。したがって、オルガノシリケートを含む塗料は貯蔵安定性が低く、オルガノシリケートの添加後、時間が経過した塗料では、オルガノシリケートが表面に移動し難く、塗膜表面を十分に親水化することが難しかった。
そこで、従来の塗料に含まれるオルガノシリケートを、シリコーンレジンに代替することが本発明者らによって検討されている。シリコーンレジンは、オルガノシリケートと比較して、反応性が穏やかであり、塗料中の水分によって反応し難い。またその三次元的な構造から、塗料の塗布後、表面に濃化しやすい。したがって、このようなシリコーンレジンを含む塗料を塗布し、その硬化膜にフレーム処理を行うことで、容易に表面を親水化(シリコーンレジンの有機基をOH基やシロキサン結合に置換)することができる。つまり、シリコーンレジンを含む塗料によれば、親水性が非常に高く、雨筋汚れの生じ難い塗膜が得られやすい。
ただし、シリコーンレジンと共に、ポリエステル樹脂およびメラミン樹脂系硬化剤を含む塗料では、貯蔵安定性が低くなりやすいとの課題があった。その理由としては、以下の点が挙げられる。シリコーンレジンの硬化のためには、塗料にさらに酸触媒を加えることが一般的である。ここで、メラミン樹脂系硬化剤は、酸性の化合物と混合すると反応が生じやすく、不安定になることが知られている。そのため、従来、シリコーンレジン硬化のための酸触媒として、スルホン酸をアミンでブロックしたアルカリ性の酸触媒の使用が検討されていた。しかしながらシリコーンレジンは、アルカリ性の酸触媒と混合することで不安定になりやすく、このような塗料では、経時で増粘が生じやすくなる。
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、貯蔵安定性が非常に高く、雨筋汚れが生じ難い塗膜を金属板表面に形成可能な金属板用塗料、およびこれを用いた塗装金属板の製造方法の提供を目的とする。
本発明の第1は、以下の金属板用塗料に関する。
[1]ポリエステル樹脂と、メラミン樹脂系硬化剤と、シリコーンレジンと、pHが6〜8であるブロックスルホン酸触媒と、を含む、金属板用塗料。
[2]前記ブロックスルホン酸触媒が、下記一般式(1)で表される構造を有する、[1]に記載の金属板用塗料。
Figure 2019006931
(一般式(1)において、Rは、一価もしくは多価の炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルキル基が1つまたは2つ結合したフェニル基、またはナフチル基を表し、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜12のアルキル基を表し(ただし、RおよびRは互いに結合して環を形成していてもよい)、Xは、単結合、−CH−O−R−、または−CH−O−C(=O)−R−を表し(RおよびRは、単結合、または炭素数1〜20の二価の有機基を表す)、Xは、単結合、または−C(=O)NH−を表し、Rは、水素原子、一価もしくは多価の炭素数1〜18のアルキル基、置換基を有していてもよいビスフェノールA残基、または置換基を有していてもよいビスフェノールF残基を表し、Rは、水素原子、一価もしくは多価の炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のシクロアルキル基、炭素数1〜18のアルキレン基、炭素数1〜18のアリール基、または炭素数19〜100の有機基を表し、nは1〜10の整数を表し、x、y、およびzはそれぞれ独立に、1以上の整数を表す)
[3]前記一般式(1)におけるRがp−トリル基、または4−ドデシルフェニル基である、[2]に記載の金属板用塗料。
[4]前記ブロックスルホン酸触媒が、下記一般式(2)で表される化合物を含む、[1]または[2]に記載の金属板用塗料。
Figure 2019006931
(一般式(2)において、R11は、炭素数1〜18のアルキル基、置換基を有していてもよいビスフェノールA残基、または置換基を有していてもよいビスフェノールF残基を表し、R12は、炭素数1〜12のアルキル基を表す)
[5]前記シリコーンレジンが、Si原子の総モル数に対して、5〜50モル%のシラノール基を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の金属板用塗料。
本発明の第2は、以下の塗装金属板の製造方法に関する。
[6]金属板の表面に、[1]〜[5]のいずれかに記載の金属板用塗料を塗布し、硬化させて塗膜を形成する工程と、前記塗膜にフレーム処理を行う工程と、を含む、塗装金属板の製造方法。
本発明の金属板用塗料は、貯蔵安定性が非常に高い。またさらに、当該金属板用塗料によれば、表面に雨筋汚れが生じ難く、耐傷付き性の高い塗装金属板を作製することが可能である。
1.金属板用塗料
本発明は、金属板の保護や、雨筋汚れを防止するために金属板表面に塗布する金属板用塗料に関する。当該金属板用塗料は、例えば、金属板上に塗布後、塗膜表面をフレーム処理して用いられる。
前述のように、シリコーンレジンを含む金属板用塗料はオルガノシリケートを含む塗料と比較して、貯蔵安定性が高い。また、金属板用塗料を塗布した際、シリコーンレジンが膜表面に移動することで、耐傷付き性が高く、雨筋汚れの生じ難い塗膜を得ることができる。ただし、金属板用塗料がシリコーンレジンの他に、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂系硬化剤、および酸触媒を含む場合には、塗料の貯蔵安定性が低くなりやすく、経時で増粘やゲル化等が生じやすかった。
このような課題に対し、本発明の金属板用塗料は、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂系硬化剤、シリコーンレジンと共に、酸触媒として、pHが6〜8であるブロックスルホン酸触媒を含む。当該ブロックスルホン酸触媒は、スルホン酸触媒が高分子量化合物等(以下、「ブロック基」とも称する)によって保護された構造を有する。このようなブロックスルホン酸触媒は、そのpHが6〜8であることから、金属板用塗料の保存時にはシリコーンレジンやメラミン樹脂系硬化剤と反応し難く、貯蔵安定性が非常に良好となる。一方で、ブロックスルホン酸触媒のブロック基は、加熱等によってスルホン酸から容易に脱離するため、シリコーンレジン(金属板用塗料)を硬化させる際には、スルホン酸触媒が十分に機能しやすい。したがって、本発明の金属板用塗料によれば、耐傷付き性が高く、雨筋汚れが生じ難い塗膜が得られる。
以下、本発明の金属板用塗料の各成分について、詳しく説明する。
(1)ブロックスルホン酸触媒
ブロックスルホン酸触媒は、pHが6〜8であり、スルホン酸が任意のブロック基によってブロックされた触媒であって、加熱等によってブロック基が脱離し、シリコーンレジンの硬化触媒として作用するものであれば特に制限されない。金属板用塗料には、ブロックスルホン酸触媒が一種のみ含まれていてもよく、二種以上含まれていてもよい。また、ブロックスルホン酸触媒のpHは、金属板用塗料から常法によりブロックスルホン酸触媒のみを抽出し、pH測定装置で測定すること等により特定できる。ブロックスルホン酸触媒のpHは通常、ブロック基の構造により調整される。ブロックスルホン酸触媒のpHは、金属板用塗料の貯蔵安定性をさらに良好にするとの観点から、6.5〜7.5であることがより好ましい。
ブロックスルホン酸触媒の例には、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物が含まれる。
Figure 2019006931
上記一般式(1)において、Rは一価もしくは多価の炭素数1〜18の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、炭素数1〜18の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が1つまたは2つ結合したフェニル基、またはナフチル基を表す。Rは上記の中でも、炭素数1〜18のアルキル基が1つ結合したフェニル基であることが好ましく、ブロック基が脱離した後のスルホン酸の安定性の観点から、p−トリル基または4−ドデシルフェニル基であることがより好ましい。
また、上記一般式(1)において、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子、または炭素数1〜12のアルキル基を表す。RまたはRがアルキル基である場合、これらは直鎖状、または分岐鎖状のいずれの構造を有していてもよい。なお、RおよびRは互いに結合して脂環式構造を形成していてもよい。RおよびRは、上記の中でも水素原子であることが特に好ましい。
さらに、上記一般式(1)において、Xは、単結合、−CH−O−R−、または−CH−O−C(=O)−R−を表し(RおよびRは、単結合、または炭素数1〜20の二価の有機基を表す)、Xは、単結合、または−C(=O)NH−を表す。なお、上記Xに含まれるRまたはRが二価の有機基である場合、炭素数は、5〜15であることがさらに好ましい。Xに含まれる有機基の構造は特に制限されず、例えばアルキル基やアリール基等が直接結合、もしくは連結基を介して結合した基とすることができる。
また、Rは、水素原子、一価もしくは多価の炭素数1〜18の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、置換基を有していてもよいビスフェノールA残基、または置換基を有していてもよいビスフェノールF残基を表す。一方、Rは、水素原子、一価もしくは多価の炭素数1〜18の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、炭素数1〜18のシクロアルキル基、炭素数1〜18のアリール基、または炭素数19〜100の有機基を表す。なお、Rが有機基である場合、その構造は特に制限されず、例えばアルキル基やアリール基等が直接結合、もしくは連結基を介して結合した基とすることができる。Rは、上記の中でも水素原子、もしくは炭素数1〜18のアルキル基であることが好ましく、Rは、上記の中でも水素原子であることが好ましい。
また、nは1〜10の整数を表す。一方、x、y、およびzは、R、R、およびRの価数に応じて適宜選択される1以上の整数を表す。n、x、y、およびzはいずれも1であることが好ましい。
ここで、上記一般式(1)で表されるブロックスルホン酸触媒は、下記一般式(2)で表される化合物であることが特に好ましい。
Figure 2019006931
一般式(2)において、R11は、炭素数1〜18の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、置換基を有していてもよいビスフェノールA残基、または置換基を有していてもよいビスフェノールF残基を表し、炭素数が1〜12のアルキル基であることが特に好ましい。一方、R12は、炭素数1〜12のアルキル基を表し、メチル基またはドデシル基であることが特に好ましい。
上述のブロックスルホン酸触媒では、加熱等によってブロック基が離脱する。例えば上記一般式(2)で示される化合物では、p−アルキルフェニルスルホン酸からブロック基が離脱し、p−アルキルフェニルスルホン酸がシリコーンレジンの硬化のための酸触媒として機能する。
ここで、ブロックスルホン酸触媒は、シリコーンレジンの硬化触媒としてだけでなく、後述のポリエステル樹脂とメラミン樹脂系硬化剤との反応における触媒として機能してもよい。ポリエステル樹脂およびメラミン樹脂系硬化剤は反応性が高く、通常、触媒がなくても反応が進行する。ただし、ポリエステル樹脂が高分子量である場合等には、ポリエステル樹脂とメラミン樹脂系硬化剤と十分に反応し難いことがある。このような場合に、金属板用塗料にブロックスルホン酸触媒が含まれると、ポリエステル樹脂とメラミン樹脂系硬化剤との反応が進行しやすくなり、硬化性の良好な塗膜が得られやすくなる。
金属板用塗料に含まれるブロックスルホン酸触媒の量は、ブロック基の分子量や、1分子中に含まれるスルホニル基の数によって適宜選択される。例えば、1分子中にスルホニル基が1つのみ含まれるブロックスルホン酸触媒では、ブロック基脱離後のスルホン酸触媒の量が、金属板用塗料の固形分量に対して、1.8〜0.05質量部となるように含まれることが好ましく、1.0〜0.2質量部となるように含まれることがさらに好ましい。金属板用塗料の固形分量に対するブロックスルホン酸触媒の量が当該範囲であると、シリコーンレジンが効率良く硬化しやすくなり、硬度の高い塗膜が得られやすくなる。
ここで、上記ブロックスルホン酸触媒の調製方法は特に制限されず、公知の方法で調製することができる。例えばp−トルエンスルホン酸やドデシルベンゼンスルホン酸等のスルホン酸と、分子内に1つ以上エポキシ基を有するエポキシ化合物とを常法にしたがって反応させること等により、調製ことができる。
(2)シリコーンレジン
本明細書において「シリコーンレジン」とは、アルコキシシランが部分加水分解縮合した化合物であって、三次元状の架橋型構造を主体とするが、ゲル化までには至らず、有機溶剤に可溶なポリマーとする。シリコーンレジンが含む三次元状の架橋型構造は特に制限されず、例えば、カゴ状、梯子状、またはランダム状のいずれであってもよい。なお、本明細書において、テトラアルコキシシラン、およびテトラアルコキシシランのみを加水分解縮合させた縮合物(オルガノシリケート)は、シリコーンレジンに含まないものとする。
シリコーンレジンは、三次元状の架橋型構造を含むため、金属板用塗料を金属板に塗布すると、膜の表面側に移行し、当該膜の表面に沿って均一に並ぶ。そして、このようなシリコーンレジンを上述のブロックスルホン酸触媒によって硬化させた後、フレーム処理を行うと、シリコーンレジンが含む有機基(例えば、メチル基やフェニル基等)がムラなく除去されて、塗膜表面にシラノール基やシロキサン結合が導入される。その結果、塗膜(塗装金属板)の表面の親水性が均一に高くなり、耐雨筋汚れ性が非常に良好となる。また、シリコーンレジンの硬化物が塗膜表面に均一に並ぶことで、塗膜の耐傷付き性も良好になる。
シリコーンレジンは、上述のように、アルコキシシランを部分加水分解縮合させた化合物であり、その分子鎖には通常、下記一般式で表される、トリアルコキシシラン由来のT−1単位〜T−3単位(これらを総称して「T単位」とも称する)のいずれか1つ、または2つ以上が含まれる。
Figure 2019006931
上記一般式において、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。また、Xは水素原子、または炭化水素基を表す。シリコーンレジンには、上記RやXの種類が異なる複数種類のT単位が含まれていてもよい。
は炭素数1〜12の炭化水素基であることが好ましく、その具体例には、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;シクロヘキシル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等のシクロアルキル基;等が含まれる。これらの中でも特に好ましくは、メチル基およびフェニル基である。
一方、Xは水素原子または炭素数1〜8の炭化水素基であることが好ましく、当該炭化水素基の例には、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;シクロヘキシル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等のシクロアルキル基;等が含まれる。これらの中でも特に好ましくは、メチル基およびエチル基である。
また、シリコーンレジンの分子鎖には、下記一般式で表される、ジアルコキシシラン由来のD−1単位およびD−2単位(これらを総称して「D単位」とも称する)のいずれか一方または両方が含まれていてもよい。
Figure 2019006931
上記一般式において、RおよびRはそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。また、Xは、水素原子、または炭化水素基を表す。なお、シリコーンレジンには、上記RやR、Xの種類が異なる複数種類のD単位が含まれていてもよい。
およびRはそれぞれ、炭素数1〜12の炭化水素基であることが好ましく、その具体例には、上述のT単位のRと同様の基が含まれる。一方、Xは水素原子または炭素数1〜8の炭化水素基であることが好ましく、その具体例には、上述のT単位のXと同様の基が含まれる。
さらに、シリコーンレジンの分子鎖には、下記一般式で表されるテトラアルコキシシラン由来のQ−1単位〜Q−4単位(これらを総称して「Q単位」とも称する)のいずれか1つ、または2つ以上が含まれていてもよい。
Figure 2019006931
上記一般式において、Xは水素原子、または炭化水素基を表す。なお、シリコーンレジンには、上記Xの種類が異なる複数種類のQ単位が含まれていてもよい。
は水素原子または炭素数1〜8の炭化水素基であることが好ましく、その具体例には、上述のT単位のXと同様の基が含まれる。
シリコーンレジンは、上記T単位、D単位、および/またはQ単位が三次元的に結合した構造を有する。本発明の金属板用塗料に含まれるシリコーンレジン中のシラノール基の量(モル数)は、Si原子の総モル数に対して、5〜50モル%であり、15〜40モル%であることがより好ましい。シラノール基の量がSi原子の総モル数に対して50モル%を超えると、シリコーンレジンの反応性が高くなり、上述のブロックスルホン酸触媒を用いたとしても、金属板用塗料の貯蔵安定性が低くなることがある。一方、シラノール基の量がSi原子の総モル数に対して5モル%未満であると、シリコーンレジンが金属板用塗料中の他の成分(例えば、エポキシ樹脂等)と水素結合し難くなり、金属板用塗料の硬化時に、シリコーンレジンが蒸発することがある。さらに、シラノール基の量が5モル%未満であると、金属板用塗料を硬化させたときに、シリコーンレジンが十分に架橋し難く、塗膜の耐傷付き性が十分に高まらないことがある。
これに対し、シリコーンレジン中のシラノール基量が上記範囲であると、金属板用塗料の貯蔵安定性が高まるだけでなく、金属板用塗料からなる膜の硬化時に、シリコーンレジンが蒸発し難くなり、加熱装置等を汚染し難くなる。またさらには、金属板用塗料からなる塗膜の耐傷付き性も良好になる。
シリコーンレジンが含むSiのモル数、およびシリコーンレジンが含むシラノール基の量は、29Si−NMRによる分析、およびH−NMRによる分析、により特定することができる。また、シリコーンレジンにおけるシラノール基の量は、T単位、D単位、およびQ単位の仕込み比や、縮合反応の程度によって調整することができる。例えば、トリアルコキシシランを用いてシリコーンレジンを調製する場合、縮合反応時間を長くすること等で、T−3単位が多くなり、シラノール基の量が少なくなる。
また、シリコーンレジンは、シリコーンレジンが含むSi原子の総モル数に対して、トリアルコキシシラン由来のSi原子、すなわちT単位を構成するSi原子を50〜100モル%含むことが好ましく、60〜100モル%含むことがより好ましい。T単位量が50モル%未満である(特にD単位量が50モル%より多くなる)と、シリコーンレジンがミセル構造を形成しやすくなり、塗膜表面にシリコーンレジンが海島状に濃化しやすくなる。その結果、塗膜表面の親水性や硬度を均一に高めることが難しくなり、塗膜の耐傷付き性や耐雨筋汚れ性にムラが生じやすくなる。なお、シリコーンレジンが塗膜表面で海島状に濃化していることは、フレーム処理後の塗膜表面をAFM(原子間力顕微鏡)で分析することで確認することが可能である。例えば、フレーム処理によるエッチング深度は塗膜表面の海部分と島部分で異なる。そこで、塗膜表面の凹凸によって、シリコーンレジンの海島分布を確認することが可能である。
これに対し、T単位量が50モル%以上であると、シリコーンレジンがミセル構造を形成し難くなり、塗膜表面にシリコーンレジンが均一に濃化しやすくなる。その結果、金属板用塗料を塗布して得られる塗装金属板の耐雨筋汚れ性が良好になったり、塗膜の耐傷付き性が良好になる。T単位を構成するSi原子の量は、29Si−NMRによる分析によって特定することができる。
また、シリコーンレジンがアルキル基およびアリール基を含む場合、Si原子に直接結合するアルキル基のモル数に対する、シリコーンレジンのSi原子に直接結合するアリール基のモル数、すなわちアリール基/アルキル基の割合は20〜80%であることが好ましく、30〜70%であることがより好ましい。アリール基のモル比が多いほど、金属板用塗料中の他の成分にシリコーンレジンが溶解しやすくなる。また、塗料の貯蔵安定性も高まりやすくなる。ただし、アリール基の割合が過剰になると、塗膜形成時の反応速度が大幅に低下して、十分な架橋密度が得られ難くなることがある。上記アルキル基とアリール基との比は、H−NMRによる分析によって特定することができる。
ここで、シリコーンレジンの重量平均分子量は好ましくは700〜50000であり、より好ましくは1000〜10000である。シリコーンレジンの重量平均分子量が700未満になると、金属板用塗料(膜)の硬化時に、シリコーンレジンが蒸発しやすくなり、加熱装置を汚染したり、塗膜の硬度が低下する傾向がある。一方、重量平均分子量が50000を超えると、金属板用塗料の粘度が高まりやすくなり、貯蔵安定性が低くなる傾向がある。なお、上記シリコーンレジンの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算量である。
金属板用塗料には、その固形分100質量部に対して、シリコーンレジンが1〜10質量部含まれることが好ましく、2〜6質量部含まれることがより好ましい。金属板用塗料にシリコーンレジンが当該範囲含まれることで、得られる塗膜表面の親水性を十分に高めることが可能となり、雨筋汚れが生じ難くなる。また、塗膜表面の硬度も高くなる。
上述のシリコーンレジンは、トリアルコキシシラン等を加水分解重合させて調製することができる。具体的には、トリアルコキシシラン等のアルコキシシランやその部分縮合物を水やアルコール等の溶剤に分散させる。そして、当該分散液のpHを好ましくは1〜7、より好ましくは2〜6に調整し、アルコキシシラン等を加水分解させる。その後、加水分解物どうし脱水縮合させることで、シリコーンレジンが得られる。脱水縮合時間等によって、得られるシリコーンレジンの分子量等を調整することができる。加水分解物の縮合は、上記加水分解と連続して行うことが可能であり、加水分解により生成したアルコールや、水を留去することで、縮合反応を促進させることができる。
なお、シリコーンレジンの調製に用いるアルコキシシランは、所望のシリコーンレジンの構造に応じて適宜選択される。トリアルコキシシラン化合物の例には、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリイソプロポキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリシラノール、フェニルトリシラノール等が含まれる。
ジアルコキシシランの例には、メチルハイドロジェンジメトキシシラン、メチルハイドロジェンジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、メチルプロピルジメトキシシラン、メチルプロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等が含まれる。
さらに、テトラアルコキシシランの例には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラメトキシシラン等が含まれる。
シリコーンレジン調製の際には、上記トリアルコキシシランやジアルコキシシラン、テトラメトキシシランの部分縮合物を原料として用いてもよい。
(3)ポリエステル樹脂
ポリエステル樹脂は、金属板用塗料から得られる塗膜において、バインダーとして機能する。当該ポリエステル樹脂は、例えば多価カルボン酸および多価アルコールを重縮合させた公知の樹脂とすることができる。多価カルボン酸の例には、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類及びこれらの無水物;コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸類及びこれらの無水物;γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン類;トリメリット酸、トリメジン酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸類;等が含まれる。ポリエステル樹脂は、上記多価カルボン酸由来の構造を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
多価アルコールの例には、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−ドデカンジオール、1,2−オクタデカンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAアルキレンオキシド付加物、ビスフェノールSアルキレンオキシド付加物等のグリコール類;トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の3価以上の多価アルコール類等が含まれる。ポリエステル樹脂は、上記多価アルコール由来の構造を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
ポリエステル樹脂のGPCで測定される数平均分子量(ポリスチレン換算)は、2,000〜35,000であることが好ましい。数平均分子量が2,000より小さくなると塗装金属板の加工性が低下することがあり、塗膜ワレが発生しやすくなることがある。一方、上述のブロックスルホン酸触媒を用いる場合、ポリエステル樹脂が比較的高分子量であったとしても、ポリエステル樹脂とメラミン樹脂系硬化剤との反応性を高めることができる。ただし、数平均分子量が35,000より大きくなると、上述のブロックスルホン酸触媒を用いたとしても、得られる塗膜の架橋密度が低くなりやすく、塗膜の耐候性が低下することがある。加工性と耐候性のバランスから数平均分子量は3,000〜20,000であることが特に好ましい。
金属板用塗料には、その固形分100質量部に対して、ポリエステル樹脂が30〜70質量部含まれることが好ましく、40〜60質量部含まれることがより好ましい。金属板用塗料にポリエステル樹脂が当該範囲含まれることで、得られる塗膜表面の膜強度が高くなり、金属板を保護することが可能となる。
(4)メラミン樹脂系硬化剤
メラミン樹脂系硬化剤は、ポリエステル樹脂を硬化させるための硬化剤として機能するものであれば特に制限されない。メラミン樹脂系硬化剤によってポリエステル樹脂を架橋させることで、塗膜の性状や物性(例えば塗膜表面硬度や耐久性)等を調整することができる。
メラミン樹脂系硬化剤は、メラミン由来の構造を有し、かつポリエステル樹脂を架橋させることが可能な構造を有するものであれば特に制限されないが、その例には、メチロールメラミンメチルエーテル等のメチル化メラミン系樹脂;メチロールメラミンブチルエーテル等のn−ブチル化メラミン系樹脂;メチルとn−ブチルとの混合エーテル化メラミン樹脂等が含まれる。
金属板用塗膜に含まれるメラミン樹脂系硬化剤の量は、メラミン樹脂系硬化剤の種類に応じて適宜選択される。金属板用塗料には、上記ポリエステル樹脂100質量部に対して、メラミン樹脂系硬化剤が5〜50質量部含まれていることが好ましく、7〜45質量部含まれていることがより好ましい。メラミン樹脂系硬化剤の量が上記範囲であると、ポリエステル樹脂の硬化性が良好になり、金属板用塗料から得られる塗膜の硬化性が良好になる。
(5)その他の成分
金属板用塗料には、無機粒子や有機粒子が含まれていてもよい。金属板用塗料にこれらが含まれると、得られる塗膜の表面粗さ等が調整されやすくなる。ここで、無機粒子または有機粒子の平均粒子径は4〜80μmであることが好ましく、10〜60μmであることがより好ましい。無機粒子や有機粒子の平均粒子径は、コールターカウンター法で測定される値である。なお、無機粒子や有機粒子の形状は特に制限されないが、得られる塗膜の表面状態を調整しやすいとの観点から、略球状であることが好ましい。
無機粒子の例には、シリカ、硫酸バリウム、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、ガラスビーズ、ガラスフレークが含まれる。また、有機粒子の例には、アクリル樹脂やポリアクリロニトリル樹脂からなる樹脂ビーズが含まれる。これらの樹脂ビーズは、公知の方法を用いて製造したものであってもよく、市販品であってもよい。市販のアクリル樹脂ビーズの例には、東洋紡株式会社製の「タフチック AR650S(平均粒径18μm)」、「タフチック AR650M(平均粒径30μm)」、「タフチック AR650MX(平均粒径40μm)」、「タフチック AR650MZ(平均粒径60μm)」、「タフチック AR650ML(平均粒径80μm)」が含まれる。また、市販のポリアクリロニトリル樹脂ビーズの例には、東洋紡株式会社製の「タフチック A−20(平均粒径24μm)」、「タフチック YK−30(平均粒径33μm)」、「タフチック YK−50(平均粒径50μm)」および「タフチック YK−80(平均粒径80μm)」等が含まれる。
金属板用塗料に含まれる無機粒子および/または有機粒子の量は、所望の塗膜の表面状態等に応じて適宜選択される。通常、金属板用塗料の固形分100質量部に対する無機粒子および/または有機粒子の合計量は、1〜40質量部とすることができる。
またさらに、金属板用塗料には、必要に応じて着色顔料が含まれていてもよい。着色顔料の平均粒子径は、例えば0.2〜2.0μmとすることができる。このような着色顔料の例には、酸化チタン、酸化鉄、黄色酸化鉄、フタロシアニンブルー、カーボンブラック、コバルトブルー等が含まれる。なお、金属板用塗料に着色顔料が含まれる場合、その量は、金属板用塗料の固形分100質量部に対して、20〜60質量部であることが好ましく、30〜55質量部であることがより好ましい。
さらに、金属板用塗料には、必要に応じてワックスが含まれていてもよい。ワックスの例には、ポリオレフィン系ワックス(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、フッ素系ワックス(ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル等)、パラフィン系ワックス、ステアリン酸系ワックス等が含まれるが、これに限定されない。また、ワックスの量は、ワックスの種類等に応じて適宜選択されるが、金属板用塗料の固形分100質量部に対して2〜15質量%程度とすることができる。
また、金属板用塗料には、必要に応じて有機溶剤が含まれていてもよい。当該有機溶剤は、上記シリコーンレジンやブロックスルホン酸触媒、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂系硬化剤、無機粒子、有機粒子等を十分に溶解、または分散させることが可能なものであれば特に制限されない。有機溶剤の例には、トルエン、キシレン、Solvesso(登録商標)100(商品名、エクソンモービル社製)、Solvesso(登録商標)150(商品名、エクソンモービル社製)、Solvesso(登録商標)200(商品名、エクソンモービル社製)等の炭化水素系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤;メタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール系溶剤;エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテルアルコール系溶剤;等が含まれる。塗料には、これらが1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。これらの中でも、樹脂との相溶性等の観点から、好ましくはキシレン、Solvesso(登録商標)100、Solvesso(登録商標)150、シクロヘキサノン、n−ブチルアルコールである。
(6)塗料の調製方法
塗料の調製方法は特に制限されない。公知の塗料と同様に、上記各材料を混合し、攪拌もしくは分散することで、調製することができる。なお、シリコーンレジンは、他の成分と予め混合してもよい。また、シリコーンレジン以外の材料を予め混合しておき、シリコーンレジンを後から混合してもよい。
2.塗装金属板の製造方法
上述の金属板用塗料を用いて塗装金属板を作製する方法を以下説明する。当該塗装金属板の製造方法は、金属板の表面に、上述の金属板用塗料を塗布し、硬化させて塗膜を形成する工程と、当該塗膜にフレーム処理を行う工程と、を含む方法とすることができる。
ここで、金属板用塗料を塗布する金属板は、一般的に建築板として使用されている金属板を使用することができる。このような金属板の例には、溶融Zn−55%Al合金めっき鋼板等のめっき鋼板;普通鋼板やステンレス鋼板等の鋼板;アルミニウム板;銅板等が含まれる。金属板には、本発明の効果を阻害しない範囲で、その表面に化成処理皮膜や下塗り塗膜等が形成されていてもよい。さらに、当該金属板は、本発明の効果を損なわない範囲で、エンボス加工や絞り成形加工等の凹凸加工がなされていてもよい。
金属板の厚みは特に制限されず、用途等に応じて適宜選択される。例えば、塗装金属板を金属サイディング材に使用する場合には、金属板の厚みは0.15〜0.5mmとすることができる。
金属板の表面に上述の金属板用塗料を塗布する方法は特に制限されず、公知の方法から適宜選択することが可能である。金属板用塗料の塗布方法の例には、ロールコート法や、カーテンフロー法、スピンコート法、エアースプレー法、エアーレススプレー法および浸漬引き上げ法が含まれる。これらの中でも、ロールコート法が効率よく、所望の厚みを有する塗膜を得やすいとの観点から好ましい。
また、金属板用塗料の硬化方法は、例えば加熱による焼き付け等とすることができる。焼付け処理時の温度は、塗料中の樹脂等の分解を防止しつつ、上述のブロックスルホン酸触媒のブロック基を脱離させたり、ポリエステル樹脂とメラミン樹脂系硬化剤とを十分に反応させる等の観点から、120〜300℃であることが好ましく、150〜280℃であることがより好ましく、180〜260℃であることがさらに好ましい。焼付け処理時間は特に制限されず、上記と同様の観点から、3〜90秒であることが好ましく、10〜70秒であることがより好ましく、20〜60秒であることがさらに好ましい。
また、金属板用塗料の焼き付け時には、短時間で金属板用塗料を硬化させるため、板面風速が0.9m/s以上となるように風を吹き付けてもよい。上述の金属板用塗料中では、シリコーンレジンと他の成分とが水素結合している。そのため、風を吹き付けながら金属板用塗料を硬化させても、シリコーンレジンが蒸発し難く、加熱装置を汚染し難い。
ここで、金属板上に形成する塗膜の厚みは、塗装金属板の用途等に応じて適宜選択されるが、通常3〜30μmの範囲内である。当該厚みは、焼付け塗膜の比重、およびサンドブラスト等による塗膜除去前後の塗装金属板の重量差から重量法によって求められる値である。塗膜が薄すぎる場合、塗膜の耐久性および隠蔽性が不十分となることがある。一方、塗膜が厚すぎる場合、製造コストが増大するとともに、焼付け時にワキが発生しやすくなることがある。
一方、塗膜(硬化後の塗料)をフレーム処理する方法は特に制限されず、通常のフレーム処理方法と同様とすることができる。前述の金属板用塗料から得られる塗膜(硬化膜)をフレーム処理すると、塗膜表面のシリコーンレジンの炭化水素基(例えばメチル基やフェニル基等)が分解されて、シラノール基やシロキサン結合が生じる。これにより、塗膜表面の親水性が高まり、耐雨筋汚れ性が発現する。
フレーム処理は、塗膜を形成した金属板を、ベルトコンベア等の搬送機に載置し、一定方向に移動させながら、フレーム処理用バーナーで塗膜に火炎を放射する方法等とすることができる。
ここで、フレーム処理量は、30〜1000kJ/mであることが好ましく、100〜600kJ/mであることがより好ましい。なお、本明細書における「フレーム処理量」とは、LPガス等の燃焼ガスの供給量を基準として計算される塗装金属板の単位面積当たりの熱量である。当該フレーム処理量は、フレーム処理用バーナーのバーナーヘッドと塗膜表面との距離、塗膜の搬送速度等によって調整できる。フレーム処理量が30kJ/m未満では、処理にムラが生じることがあり、塗膜表面を一様に親水化することが難しい。一方、フレーム処理量が1000kJ/mを超えると、塗膜が酸化して黄変することがある。
また、フレーム処理前に、塗膜表面を40℃以上に加熱する予熱処理を行ってもよい。熱伝導率が高い金属板(例えば、熱伝導率が10W/mK以上の金属板)表面に形成された塗膜に、火炎を照射すると、燃焼性ガスの燃焼によって生じた水蒸気が冷やされて水となり、一時的に塗膜の表面に溜まる。そして、当該水がフレーム処理時のエネルギーを吸収して水蒸気となることで、フレーム処理が阻害されることがある。これに対し、塗膜表面(金属板)を予め加熱しておくことで、火炎照射時の水の発生を抑えることができる。
塗膜を予熱する手段は特に限定されず、一般に乾燥炉と呼ばれる加熱装置を使用することができる。例えば、バッチ式の乾燥炉(「金庫炉」とも称する。)を使用することができ、その具体例には、株式会社いすゞ製作所社製低温恒温器(型式 ミニカタリーナ MRLV−11)、株式会社東上熱学社製自動排出型乾燥器(型式 ATO−101)、および株式会社東上熱学社製簡易防爆仕様乾燥器(型式 TNAT−1000)等が含まれる。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例により限定されない。
1.金属板用塗料の調製
以下の方法により、金属板用塗料を調製した。
1−1.材料
各実施例および比較例において以下のポリエステル樹脂、ブロックスルホン酸触媒、シリコーンレジン、オルガノシリケートを用いた。
[ポリエステル樹脂]
・ポリエステル樹脂A:バイロンKS−1520V、東洋紡績社製、数平均分子量 6400、ガラス転移温度 3℃、水酸基価 42mgKOH/g
・ポリエステル樹脂B:バイロンKS−1460V、東洋紡績社製、数平均分子量 15000、ガラス転移温度 7℃、水酸基価 11mgKOH/g
・ポリエステル樹脂C:バイロンKS−1860V、東洋紡績社製、数平均分子量 32000、ガラス転移温度 −8℃、水酸基価 17mgKOH/g
[メラミン樹脂系硬化剤]
・メトキシ基90モル%メチル化メラミン樹脂系硬化剤:サイメル(登録商標)303、三井サイテック社製
[ブロックスルホン酸触媒]
・ブロックスルホン酸触媒A(pH7.0):下記化学式で表される構造を有する、パラトルエンスルホン酸エステル
Figure 2019006931
(R11は、平均炭素数10.4の分岐アルキル鎖を表す)
・ブロックスルホン酸触媒B(pH9.0):パラトルエンスルホン酸にトリエチルアミンを添加して調製した。トリエチルアミンの添加量は、ブロックスルホン酸触媒BのpHが9.0となるように調整した。
[シリコーンレジン]
シリコーンレジンは、以下のように調製した。
・メチル系シリコーンレジンAの調製
2Lのフラスコにメチルトリメトキシシラン408g(3.0モル)を仕込み、10℃以下で水800gを加え、よく混合させた。次いで氷冷下、0.05Nの塩酸水溶液216g(12.0モル)を5℃で、40分間かけて滴下した。滴下終了後、10℃で6時間攪拌し、加水分解および脱水縮合を完了させた。これにより、メチル系シリコーンレジンAを含む調製液を得た。その後、当該調製液から、加水分解によって生成したメタノールを、70℃、60mmHgで1時間減圧留去した。メタノール留去後の調製液は白濁しており、一晩静置することで、2層に分離した。下層は、水に不溶となって沈降したシリコーンレジンである。当該調製液に、メチルイソブチルケトン(MIBK)469gを加え、室温で1時間攪拌した。これにより、沈降したシリコーンレジンを完全にMIBKに溶解させた。そして、当該調製液を静置し、水層とMIBK層とを分離させた。その後、コック付きフラスコにて下層の水層を取り除き、固形分が50質量%、かつ無色透明のシリコーンレジン溶液を得た。シリコーンレジンAの重量平均分子量、分子量分布、T単位(3官能シリコーンレジン由来の構造)/D単位(2官能シリコーンレジン由来の構造)、およびSi原子量に対するシラノール基量を表1に示す。なお、重量平均分子量および分子量分布は、GPC分析により特定した。さらに、T単位/D単位およびシラノール基量は、29Si−NMRおよびH−NMR分析により特定した。
・メチル系シリコーンレジンBの合成
2Lのフラスコにメチルトリメトキシシラン286g(2.1モル)およびジメチルジメトキシシラン108g(0.9モル)を仕込み、10℃以下で水800gを加え、よく混合させた。次いで、氷冷下、0.05Nの塩酸水溶液198g(11.0モル)を5〜25℃で20分間かけて滴下した。滴下終了後、15℃で6時間攪拌して加水分解および脱水縮合を行った。滴下終了後、メチル系シリコーンレジンAの合成と同様の操作を行い、固形分約50質量%のメチル系シリコーンレジンBを含むシリコーンレジン溶液を得た。シリコーンレジンBの重量平均分子量、分子量分布、T単位/D単位、およびSi原子量に対するシラノール基量を表1に示す。
Figure 2019006931
・メチル/フェニル系シリコーンレジンCの合成
2Lのフラスコにメチルトリメトキシシラン272g(2.0モル)とフェニルトリメトキシシラン119g(1.0モル)とを仕込み、10℃以下で水800gを加え、よく混合させた。次いで、氷冷下、0.05Nの塩酸水溶液198g(11.0モル)を5〜25℃で30分間かけて滴下した。滴下終了後、10℃で6時間攪拌し、加水分解および脱水縮合を完了させた。滴下終了後、メチル系シリコーンレジンAの合成と同様の操作を行い、固形分約50質量%のメチル/フェニル系シリコーンレジンCを含む調製液を得た。シリコーンレジンCの重量平均分子量、分子量分布、T単位/D単位、メチル基とフェニル基との含有比(メチル/フェニル)、およびSi原子量に対するシラノール基量を表2に示す。
・メチル/フェニル系シリコーンレジンDの合成
2Lのフラスコにメチルトリメトキシシラン109g(0.8モル)、フェニルトリメトキシシラン198g(1.0モル)、およびジメチルジメトキシシラン144g(1.2モル)を仕込み、10℃以下で水800gを加え、よく混合させた。次いで、氷冷下、0.05Nの塩酸水溶液216g(12.0モル)を5〜25℃で40分間かけて滴下し、10℃で6時間攪拌して加水分解および脱水縮合を完了させた。滴下終了後、メチル系シリコーンレジンAの合成と同様の操作を行い、固形分約50質量%のメチル/フェニル系シリコーンレジンDを含むシリコーンレジン溶液を得た。シリコーンレジンDの重量平均分子量、分子量分布、T単位/D単位、メチル基とフェニル基との含有比(メチル/フェニル)、およびSi原子量に対するシラノール基量を表2に示す。
Figure 2019006931
[オルガノシリケート]
オルガノシリケートは、以下のものを用いた。
・メチルシリケートE(テトラメトキシシランの縮合物):メチルシリケート53A、コルコート社製、重量平均分子量(Mw) 840、数平均分子量(Mn) 610、Mw/Mn=1.4
・エチルシリケートF(テトラエトキシシランの縮合物):エチルシリケート48、コルコート社製、重量平均分子量(Mw) 1300、数平均分子量(Mn) 850、Mw/Mn=1.5
1−2.調製
表3および表4に示すポリエステル樹脂とメラミン樹脂系硬化剤とを混合し、ポリエステル樹脂およびメラミン樹脂系硬化剤を含む組成物を得た。なお、ポリエステル樹脂Aとメチル化メラミン樹脂系硬化剤との配合比は100:40とし、ポリエステル樹脂Bとメチル化メラミン樹脂系硬化剤との配合比は100:30とし、ポリエステル樹脂Cとメチル化メラミン樹脂系硬化剤との配合比は100:20とした。
上記組成物に、塗料の固形分量に対してそれぞれ、平均粒径0.28μmの酸化チタン((顔料)、JR−603、テイカ株式会社)が45質量%、平均粒径5.5μmの疎水性シリカA(サイシリア456、富士シリシア化学株式会社)が4質量%、平均粒径12μmの疎水性シリカB(サイリシア476、富士シリシア化学株式会社)が3質量%となるように添加した。さらに、表3および表4に示すブロックスルホン酸触媒を、ブロック基が脱離した後のスルホン酸量が、ポリエステル樹脂Aの場合には、金属板用塗料の固形分量に対して0.5質量%となるように、ポリエステル樹脂Bの場合には、金属板用塗料の固形分量に対して0.8質量%となるように、ポリエステル樹脂Cの場合には、金属板用塗料の固形分量に対して1.0質量%となるように添加した。なお、実施例および比較例の金属板用塗料において、ブロックスルホン酸触媒はポリエステル樹脂(特にポリエステル樹脂C)とメラミン樹脂系硬化剤の架橋触媒としても作用する。
さらに、表3および表4に示すように、メチル系シリコーンレジン、メチル/フェニル系シリコーンレジン、メチルシリケート、またはエチルシリケートを、それぞれ塗料の固形分量に対して5質量%となるように添加した。さらに、メチルシリケートまたはエチルシリケートを添加した金属板用塗料については、オルトギ酸トリエチルを、金属板用塗料の固形分量に対して5質量%となるように添加した。
2.評価
上記金属板用塗料を用いて、以下のように塗装金属板を作製し、評価を行った。結果を表3および表4に示す。
2−1.金属板の準備
板厚0.27mm、A4サイズ(210mm×297mm)、片面当りめっき付着量90g/mの溶融Zn−55%Al合金めっき鋼板を金属板として準備し、表面をアルカリ脱脂した。その後、当該表面に、塗布型クロメート処理液(日本ペイント株式会社製 NRC300NS)を、Crの付着量が50mg/mとなるように塗布した。さらに、エポキシ樹脂系プライマー塗料(日本ファインコーティングス株式会社製 700P)を、硬化膜厚が5μmとなるようにロールコーターで塗布した。続いて、金属板の最高到達板温215℃となるように焼き付け、プライマー塗膜を形成しためっき鋼板(以下、単に「めっき鋼板」とも称する)を得た。
2−2.塗料の塗布および硬化
上述のように調製した金属板用塗料を、40℃の恒温室中で15日間保存した後、硬化膜厚が18μmとなるように上述のめっき鋼板にロールコーターで塗布した。その後、最高到達板温225℃、板面風速0.9m/sで45秒間焼き付けた。
2−3.フレーム処理
実施例1〜12、および比較例1〜12の金属板用塗料を塗布した塗膜については、以下の方法でフレーム処理を行った。なお、比較例13〜24については、フレーム処理を行わなかった。
フレーム処理用バーナーには、Flynn Burner社(米国)製のF−3000を使用した。また、燃焼性ガスには、LPガス(燃焼ガス)と、クリーンドライエアーとを、ガスミキサーで混合した混合ガス(LPガス:クリーンドライエアー(体積比)=1:25)を使用した。また、各ガスの流量は、バーナーの炎口の1cmに対してLPガス(燃焼ガス)が1.67L/分、クリーンドライエアーが41.7L/分となるように調整した。なお、塗膜の搬送方向のバーナーヘッドの炎口の長さは4mmとした。一方、バーナーヘッドの炎口の搬送方向と垂直方向の長さは、450mmとした。さらに、バーナーヘッドの炎口と塗膜表面との距離は、所望のフレーム処理量に応じて20mmとした。さらに、塗膜の搬送速度を24m/分とすることで、フレーム処理量を265kJ/mに調整した。
2−4.鏡面光沢度
実施例および比較例で作製した塗装金属板について、JIS K5600−4−7(ISO 2813:1994)で規定される60°鏡面光沢度を日本電色社製 光沢計VG−2000によって測定した。その結果、いずれの塗装金属板においても、60°鏡面光沢度は30〜40であった。
2−5.金属板用塗料の貯蔵安定性評価
各金属板用塗料を40℃の恒温室中で保存し、15日後、1ヵ月後、3ヵ月後、および6ヵ月後の塗料粘度をB型粘度計で測定した。そして、保存前後の粘度を比較し、以下の基準で評価した。
◎:恒温室保存前後で塗料粘度上昇率が30%未満
○:恒温室保存前後で塗料粘度上昇率が30%以上、100%未満
△:恒温室保存前後で塗料粘度上昇率が100%以上
×:ゲル化が生じた
なお、△、○、◎を合格とした。
2−6.鉛筆硬度評価
JIS K5600−5−4(ISO/DIS 15184)に準拠して、上述の塗装金属板の塗膜表面の耐傷付き性を評価する鉛筆硬度試験を行った。当該塗膜表面の耐傷付き性は、以下の基準で評価した。
○:H以上
△:B〜HB
×:2B以下
なお、△以上を合格と評価した。
2−7.対水接触角の測定
上述の塗装金属板の塗膜表面の対水接触角を測定した。測定は気温23±2℃、相対湿度50±5%の恒温恒湿度室で0.01ccの精製水の水滴を形成して、協和界面科学社製の接触角計DM901を使用して測定した。
2−8.耐雨筋汚れ性の評価
耐雨筋汚れ性は、以下のように評価した。
まず、垂直暴露台に上述の塗装金属板をそれぞれ取り付けた。さらに、当該塗装金属板の上部に、地面に対して角度20°となるように、波板を取り付けた。このとき、雨水が塗装金属板表面を筋状に流れるように、波板を設置した。この状態で、屋外暴露試験を6ヶ月間行い、汚れの付着状態を観察した。耐雨筋汚れ性の評価は、暴露前後の塗装金属板の明度差(ΔL)で、以下のように評価した。
◎:ΔLが1未満であった(雨筋汚れが全く視認できない)
〇:ΔLが1未満であった(雨筋汚れがほとんど視認できない)
×:ΔLが1以上2未満であった(雨筋汚れは目立たないが視認できる)
××:ΔLが2以上であった(汚れが目立つ)
なお、○、◎を合格とした。
Figure 2019006931
Figure 2019006931
上記表3および表4に示されるように、オルガノシリケートを含む金属板用塗料では、いずれのブロックスルホン酸触媒(硬化触媒)を用いた場合であっても、15日後には粘度が高くなり、1ヵ月後には、殆どがゲル化した(比較例13〜24)。
一方、シリコーンレジンを含む金属板用塗料においても、硬化触媒として、ブロックスルホン酸触媒B(pH9.0)を用いた場合、ポリエステル樹脂の分子量が高くなるとゲル化しやすく、低分子量のポリエステル樹脂を用いた場合にも、1ヵ月後にはゲル化が生じた(比較例1〜12)。これに対し、シリコーンレジンの硬化触媒として、ブロックスルホン酸触媒A(pH7.0)を用いた場合には、いずれの金属板用塗料においても、3ヵ月以内であれば安定であった(実施例1〜12)。また特に、ポリエステル樹脂の分子量が大きくなるのにしたがい、ブロックスルホン酸触媒量を多くしたことから、ポリエステル樹脂の分子量が大きい(特にポリエステル樹脂C)場合に、塗料の貯蔵安定性が大きく低下する傾向にあった。ただし、ブロックスルホン酸触媒Aを用いることで、このような高分子量のポリエステル樹脂を用いた場合であっても、貯蔵安定性が格段に向上した(実施例9〜12)。
本発明の金属板用塗料は貯蔵安定性が非常に良好である。さらに、当該金属板用塗料によれば、雨筋汚れが生じ難く、かつ耐傷付き性の高い塗装金属板が得られる。さらに、当該金属板用塗料は、塗装金属板作製のための装置を汚染し難い。したがって、当該金属板用塗料は、各種建築物の外装建材等を製造するための塗料として、非常に有用である。

Claims (6)

  1. ポリエステル樹脂と、
    メラミン樹脂系硬化剤と、
    シリコーンレジンと、
    pHが6〜8であるブロックスルホン酸触媒と、
    を含む、
    金属板用塗料。
  2. 前記ブロックスルホン酸触媒が、下記一般式(1)で表される構造を有する、
    請求項1に記載の金属板用塗料。
    Figure 2019006931
    (一般式(1)において、
    は、一価もしくは多価の炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルキル基が1つまたは2つ結合したフェニル基、またはナフチル基を表し、
    およびRは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜12のアルキル基を表し(ただし、RおよびRは互いに結合して環を形成していてもよい)、
    は、単結合、−CH−O−R−、または−CH−O−C(=O)−R−を表し(RおよびRは、単結合、または炭素数1〜20の二価の有機基を表す)、
    は、単結合、または−C(=O)NH−を表し、
    は、水素原子、一価もしくは多価の炭素数1〜18のアルキル基、置換基を有していてもよいビスフェノールA残基、または置換基を有していてもよいビスフェノールF残基を表し、
    は、水素原子、一価もしくは多価の炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のシクロアルキル基、炭素数1〜18のアルキレン基、炭素数1〜18のアリール基、または炭素数19〜100の有機基を表し、
    nは1〜10の整数を表し、
    x、y、およびzはそれぞれ独立に、1以上の整数を表す)
  3. 前記一般式(1)におけるRがp−トリル基、または4−ドデシルフェニル基である、
    請求項2に記載の金属板用塗料。
  4. 前記ブロックスルホン酸触媒が、下記一般式(2)で表される化合物を含む、
    請求項1または2に記載の金属板用塗料。
    Figure 2019006931
    (一般式(2)において、R11は、炭素数1〜18のアルキル基、置換基を有していてもよいビスフェノールA残基、または置換基を有していてもよいビスフェノールF残基を表し、R12は、炭素数1〜12のアルキル基を表す)
  5. 前記シリコーンレジンが、Si原子の総モル数に対して、5〜50モル%のシラノール基を含む、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の金属板用塗料。
  6. 金属板の表面に、請求項1〜5のいずれか一項に記載の金属板用塗料を塗布し、硬化させて塗膜を形成する工程と、
    前記塗膜にフレーム処理を行う工程と、
    を含む、
    塗装金属板の製造方法。
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