JP2020055963A - 金属板用塗料 - Google Patents

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正樹 佐藤
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成寿 鈴木
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Shuichi Sugita
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Abstract

【課題】保存安定性が高く、加熱装置を汚染することが少なく、さらに表面に雨筋汚れが生じ難く、かつ耐傷付き性の高い塗装金属板を作製可能である金属板用塗料を提供すること。【解決手段】金属板用塗料は、ポリエステル樹脂と、メラミン樹脂系硬化剤と、シリコーンレジンと、を含む。前記シリコーンレジンの含有量は、前記金属板用塗料の固形分総量に対して1〜8質量%であり、前記ポリエステル樹脂の含有量と前記メラミン樹脂系硬化剤の含有量との質量比は、85:15〜65:35である。【選択図】なし

Description

本発明は、金属板用塗料に関する。
屋外の建造物や土木構造等には、塗装金属板が多く用いられている。このような塗装金属板では、自動車の排気ガス、工場からの煤煙等に含まれるカーボン系汚染物質(以下、「疎水性カーボン」とも称する)の付着による汚れが問題となっている。汚れの中でも特に、雨筋に沿って付着する汚れ(以下、「雨筋汚れ」とも称する)が目立ちやすい。従来の塗装金属板では、このような雨筋汚れが比較的短時間のうちに目立つようになることが避けられず、雨筋汚れが発生し難い塗装金属板が求められていた。
近年、塗装金属板の表面の対水接触角を60°以下、つまり親水性にすることで、雨筋汚れを防止することが提案されている。対水接触角が低い親水性の面では、雨水によって疎水性カーボンが浮き上がりやすく、浮き上がった疎水性カーボンが洗い流されると考えられる。塗装金属板表面を親水化する手法の一つとして、テトラアルコキシシランまたはその縮合物(以下、これらを「オルガノシリケート」とも称する)を含む塗料を金属板表面に塗布する方法が挙げられる(特許文献1)。また、ビニル基含有ポリシロキサン樹脂等を含む塗料を金属板に塗布した後、コロナ放電処理を施す方法(特許文献2)も提案されている。さらに、ポリエステル樹脂を含む塗料を金属板に塗布した後、200W/m/分以上のコロナ放電処理を施す方法(特許文献3)等も提案されている。さらに、オルガノシリケート等を含む塗料を金属板に塗布した後、フレーム処理や、プラズマ処理、コロナ放電処理等を施すことも提案されている(特許文献4)。
国際公開第1994/6870号 特開平5−59330号公報 特開2000−61391号公報 特開2006−102671号公報
上記特許文献1には、メチルシリケートや、エチルシリケート等、オルガノシリケートを含む塗料を、金属板表面に塗布することが記載されている。当該塗料を金属板表面に塗布すると、オルガノシリケートが表面側に移動する。そして、当該塗料の硬化膜(以下、「塗膜」とも称する)の表面で、オルガノシリケートが空気中の水分等と反応し、塗膜表面にシラノール基やシロキサン結合が生じる。これにより、塗膜表面が親水化すると考えられる。
しかしながら、上記オルガノシリケートは、ケイ素に結合するアルコキシ基の種類によって、表面に移動し難かったり、表面に移動したとしても加水分解され難かったりする。そのため、十分に雨筋汚れの発生を抑制することは難しかった。さらに、オルガノシリケート(メチルシリケートやエチルシリケート)を含む塗料では、塗料を硬化させる際に、オルガノシリケートが溶剤と共に蒸発しやすく、加熱装置を汚染しやすい、との課題もあった。
一方、上述の特許文献2〜4の技術によっても、雨筋汚れを十分に防止することが難しかった。例えば、特許文献2の技術では、ポリシロキサン樹脂を含む塗料を金属板表面に塗布した後、コロナ放電処理を行っている。しかしながら、当該塗料の塗膜にコロナ放電処理を行っただけでは、塗膜表面を均一に親水化することが難しかった。ポリシロキサン樹脂を含む塗膜をコロナ放電処理すると、塗膜表面に親水性の領域および疎水性の領域が形成される。そして、疎水性の領域に疎水性カーボンが強固に付着する。一方で、親水性の領域では、雨水によって疎水性カーボンが浮き上がる。しかしながら、浮き上がった疎水性カーボンは、疎水性の領域に付着した疎水性カーボンに引き寄せられ、疎水性の領域を基点に疎水性カーボンが徐々に堆積する。したがって、特許文献2の技術でも、耐雨筋汚れ性の高い塗装金属板を得ることは難しかった。
また、特許文献3では、ポリエステル樹脂等を含む塗料の塗膜表面にコロナ放電処理を行っているが、この場合も、疎水性および親水性の領域が形成され、塗膜表面を均一に親水化することが難しかった。さらに、特許文献4では、エチルシリケートを含む塗料の塗膜にフレーム処理、プラズマ処理、またはコロナ放電処理を施している。上述のように、エチルシリケートを含む塗料では、塗料からなる膜の加熱乾燥時にエチルシリケートが溶剤と共に蒸発しやすく、加熱装置の汚染が生じやすかった。
また、特許文献1や特許文献4に記載の塗料に含まれるオルガノシリケートは水との反応性が高い。そのため、塗料中の水分によって加水分解されやすく、塗料の保存安定性が低い、との課題もあった。
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、保存安定性が高く、加熱装置を汚染することが少なく、さらに雨筋汚れが生じ難く、かつ耐傷付き性の高い塗装金属板を作製可能である塗料の提供を目的とする。
本発明は、以下の金属板用塗料に関する。
[1]ポリエステル樹脂と、メラミン樹脂系硬化剤と、シリコーンレジンと、を含む金属板用塗料であり、前記シリコーンレジンの含有量が、前記金属板用塗料の固形分総量に対して1〜8質量%であり、前記ポリエステル樹脂の含有量と前記メラミン樹脂系硬化剤の含有量との質量比が、85:15〜65:35である、金属板用塗料。
[2]前記シリコーンレジンは、Si原子の総モル数に対して、5〜50モル%のシラノール基を含む、シリコーンレジンを含む、[1]に記載の金属板用塗料。
[3]前記シリコーンレジンは、Si原子の総モル数に対して、トリアルコキシシラン由来のSi原子を50〜100モル%含む、[1]または[2]に記載の金属板用塗料。
[4]前記シリコーンレジンは、Si原子に直接結合するアルキル基のモル数に対する、Si原子に直接結合するアリール基のモル数の割合が20〜80%である、[1]〜[3]のいずれかに記載の金属板用塗料。
[5]前記ポリエステル樹脂の数平均分子量が2000〜8000である、[1]〜[4]のいずれかに記載の金属板用塗料。
[6]前記メラミン樹脂系硬化剤が、メチル化メラミン樹脂、もしくはメチル化メラミン樹脂とブチル化メラミン樹脂との混合物を含み、前記メチル化メラミン樹脂の含有量とブチル化メラミン樹脂の含有量との比が、100:0〜20:80である、[1]〜[5]のいずれかに記載の金属板用塗料。
本発明の金属板用塗料は、保存安定性が高く、さらに加熱装置を汚染することが少ない。またさらに、当該金属板用塗料によれば、表面に雨筋汚れが生じ難く、さらに耐傷付き性の高い塗装金属板を作製することが可能である。
図1は、本発明の一実施の形態に係る金属板用塗料を用いて作製した塗装金属板の塗膜の部分拡大断面図である。 図2は、本発明の一実施の形態に係る金属板用塗料を用いて作製した塗膜をXPS法で分析したときのO1sピークのグラフである。 図3は、本発明の他の実施の形態に係る金属板用塗料を用いて作製した塗膜を、XPS法で分析したときのO1sピークのグラフである。
1.塗料について
本発明の金属板用塗料は、金属板表面に塗布して使用される。後述の塗装金属板の製造方法で説明するが、当該塗料を硬化後、硬化膜(塗膜)表面を、フレーム処理によって、親水化処理して使用される。
前述のように、従来、金属板の表面に、オルガノシリケートを含む塗料を塗布し、雨筋汚れを防止することが試みられている。しかしながら、オルガノシリケートでは、十分に雨筋汚れを抑制することが難しかった。また、塗料がオルガノシリケートを含むと、加熱装置が汚染されやすい、との課題もあった。さらに、オルガノシリケートは反応性が高く、塗料中の水分によって容易に加水分解されて、高分子量化する。したがって、これらを含む塗料は保存安定性が低い、との課題もあった。
これに対し、本発明の金属板用塗料は、シリコーンレジンを含む。ここで、本明細書における「シリコーンレジン」とは、アルコキシシランが部分加水分解縮合した化合物であって、三次元状の架橋型構造を主体とするが、ゲル化までには至らず、有機溶剤に可溶なポリマーである。シリコーンレジンが含む三次元状の架橋型構造は特に制限されず、例えば、カゴ状、梯子状、またはランダム状のいずれであってもよい。なお、本明細書において、テトラアルコキシシラン、およびテトラアルコキシシランのみを加水分解縮合させた縮合物(オルガノシリケート)は、シリコーンレジンに含まないものとする。
シリコーンレジンは、三次元状の架橋型構造を含むため、金属板用塗料を金属板表面に塗布すると、膜の表面側に移行しやすく、さらには、当該膜の表面に沿って均一に並びやすい。そして、シリコーンレジンの硬化物にフレーム処理を行うと、シリコーンレジンが含む有機基(例えば、メチル基やフェニル基等)がムラなく除去されて、塗膜表面にシラノール基やシロキサン結合が導入される。その結果、塗装金属板の表面の親水性が均一に高くなり、耐雨筋汚れ性が非常に良好となる。また、シリコーンレジンの硬化物が塗膜表面に均一に並ぶことで、塗膜の耐傷付き性も良好になる。
ただし、シリコーンレジンの量が少な過ぎる場合には、上記効果が得られ難い。一方で、シリコーンレジンの量が多過ぎる場合には、シリコーンレジン間の架橋反応が進みやすく、金属板用塗料の貯蔵安定性が低下する。そこで、本発明では、シリコーンレジンの量を金属板用塗料の固形分総量に対して1〜8質量%とする。シリコーンレジンの量は、2〜6質量%であることがより好ましい。シリコーンレジンの量が当該範囲であると、塗装金属板を作製した際に、十分な耐雨筋汚れ性が発現しやすく、さらには金属板用塗料の保存安定性も良好になりやすい。
また、本発明の金属板用塗料は、ポリエステル樹脂と、メラミン樹脂系硬化剤とをさらに含む。ポリエステル樹脂の含有量と、メラミン樹脂系硬化剤の含有量との質量比は、85:15〜65:35であり、80:20〜70:30であることがより好ましい。ポリエステル樹脂とメラミン樹脂系硬化剤との含有比が当該範囲であると、得られる塗膜の硬度と加工性とのバランスが優れる。
ここで、本発明の金属板用塗料は、シリコーンレジン、ポリエステル樹脂、およびメラミン樹脂系硬化剤を少なくとも含んでいればよく、他の成分を含んでいてもよい。例えば、金属板用塗料は、シリコーンレジンを硬化させるための触媒等をさらに含んでいてもよく、無機粒子や有機粒子、有機溶剤等をさらに含んでいてもよい。以下、本発明の金属板用塗料が含む各成分について、詳しく説明する。
(1)シリコーンレジン
本発明の塗料が含むシリコーンレジンは、上述のように、アルコキシシランが加水分解縮合した化合物であって、有機溶剤に溶解可能なポリマーであればよい。
ここで、シリコーンレジンの分子鎖には通常、下記一般式で表される、トリアルコキシシラン由来のT−1単位〜T−3単位(これらを総称して「T単位」とも称する)のいずれか1つ、もしくは2つ以上が含まれる。
Figure 2020055963
上記一般式において、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。また、Xは水素原子、または炭化水素基を表す。シリコーンレジンには、上記RやXの種類が異なる複数種類のT単位が含まれていてもよい。
は炭素数1〜12の炭化水素基であることが好ましく、その具体例には、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;シクロヘキシル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等のシクロアルキル基;等が含まれる。これらの中でも特に好ましくは、メチル基およびフェニル基である。
一方、Xは水素原子または炭素数1〜8の炭化水素基であることが好ましく、当該炭化水素基の例には、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;シクロヘキシル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等のシクロアルキル基;等が含まれる。これらの中でも特に好ましくは、メチル基およびエチル基である。
また、シリコーンレジンの分子鎖には、下記一般式で表される、ジアルコキシシラン由来のD−1単位およびD−2単位(これらを総称して「D単位」とも称する)のいずれか一方または両方が含まれていてもよい。
Figure 2020055963
上記一般式において、RおよびRはそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。また、Xは、水素原子、または炭化水素基を表す。なお、シリコーンレジンには、上記RやR、Xの種類が異なる複数種類のD単位が含まれていてもよい。
およびRはそれぞれ、炭素数1〜12の炭化水素基であることが好ましく、その具体例には、上述のT単位のRと同様の基が含まれる。一方、Xは水素原子または炭素数1〜8の炭化水素基であることが好ましく、その具体例には、上述のT単位のXと同様の基が含まれる。
さらに、シリコーンレジンの分子鎖には、下記一般式で表されるテトラアルコキシシラン由来のQ−1単位〜Q−4単位(これらを総称して「Q単位」とも称する)のいずれか1つ、または2つ以上が含まれていてもよい。
Figure 2020055963
上記一般式において、Xは水素原子、または炭化水素基を表す。なお、シリコーンレジンには、上記Xの種類が異なる複数種類のQ単位が含まれていてもよい。
は水素原子または炭素数1〜8の炭化水素基であることが好ましく、その具体例には、上述のT単位のXと同様の基が含まれる。
シリコーンレジンは、上記T単位、D単位、および/またはQ単位が三次元的に結合した構造を有する。シリコーンレジンは、シラノール基をシリコーンレジン中のSi原子の総モル数に対して、5〜50モル%含むことが好ましく、15〜40モル%含むことがより好ましい。シラノール基の量がSi原子の総モル数に対して50モル%を超えると、シリコーンレジンの反応性が高くなり、金属板用塗料の保存安定性が低くなりやすい。一方、シラノール基の量がSi原子の総モル数に対して5モル%未満であると、シリコーンレジンと塗料中の他の成分(例えば、ポリエステル樹脂等)とが水素結合し難くなり、塗料の硬化時に、シリコーンレジンが蒸発しやすくなる。さらに、シラノール基の量が5モル%未満であると、塗料を硬化させたときに、シリコーンレジンが十分に架橋し難く、塗膜の耐傷付き性が十分に高まらないことがある。
これに対し、シリコーンレジン中のシラノール基量が上記範囲であると、金属板用塗料の保存安定性が高まるだけでなく、塗料からなる膜の硬化時に、シリコーンレジンが蒸発し難くなる。さらには、金属板用塗料からなる塗膜の耐傷付き性が良好になる。
シリコーンレジンが含むSiのモル数、およびシリコーンレジンが含むシラノール基の量は、29Si−NMRによる分析、およびH−NMRによる分析により特定することができる。また、シリコーンレジンにおけるシラノール基の量は、T単位、D単位、およびQ単位の仕込み比や、縮合反応の程度によって調整することができる。例えば、トリアルコキシシランを用いてシリコーンレジンを調製する場合、縮合反応時間を長くすること等で、T−3単位が多くなり、シラノール基の量が少なくなる。
また、シリコーンレジンは、シリコーンレジンが含むSi原子の総モル数に対して、トリアルコキシシラン由来のSi原子、すなわちT単位を構成するSi原子を50〜100モル%含むことが好ましく、60〜100モル%含むことがより好ましい。T単位量が50モル%未満である(特にD単位量が50モル%より多くなる)と、シリコーンレジンがミセル構造を形成しやすくなり、塗膜表面にシリコーンレジンが海島状に濃化しやすくなる。その結果、塗膜表面の親水性や硬度を均一に高めることが難しくなり、塗膜の耐傷付き性や耐雨筋汚れ性にムラが生じやすくなる。なお、シリコーンレジンが塗膜表面で海島状に濃化していることは、フレーム処理後の塗膜表面をAFM(原子間力顕微鏡)で分析することで確認することが可能である。例えば、フレーム処理によるエッチング深度は塗膜表面の海部分と島部分で異なる。そこで、塗膜表面の凹凸によって、シリコーンレジンの海島分布を確認することが可能である。
これに対し、T単位量が50モル%以上であると、シリコーンレジンがミセル構造を形成し難くなり、塗膜表面にシリコーンレジンが均一に濃化しやすくなる。その結果、塗料を塗布して得られる塗装金属板の耐雨筋汚れ性が良好になったり、塗膜の耐傷付き性が良好になる。T単位を構成するSi原子の量は、29Si−NMRによる分析によって特定することができる。
また、シリコーンレジンのSi原子に直接結合するアルキル基のモル数に対する、シリコーンレジンのSi原子に直接結合するアリール基のモル数、すなわちアリール基/アルキル基の割合は20〜80%であることが好ましく、30〜70%であることがより好ましい。アリール基のモル比が多いほど、塗料中の他の成分にシリコーンレジンが溶解しやすくなる。ただし、アリール基の割合が過剰になると、塗膜形成時の反応速度が大幅に低下して、十分な架橋密度が得られ難くなることがある。上記アルキル基とアリール基との比は、H−NMRによる分析によって特定することができる。
ここで、シリコーンレジンの重量平均分子量は好ましくは700〜50000であり、より好ましくは1000〜10000である。シリコーンレジンの重量平均分子量が700未満になると、金属板用塗料の塗布後、硬化させる際に、シリコーンレジンが蒸発しやすくなり、加熱装置を汚染したり、得られる塗膜表面のシリコーンレジン量が少なくなる。一方、重量平均分子量が50000を超えると、塗料の粘度が高まりやすくなり、保存安定性が低くなる。なお、上記シリコーンレジンの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算量である。
上述のシリコーンレジンは、トリアルコキシシラン等を加水分解重合させて調製することができる。具体的には、トリアルコキシシラン等のアルコキシシランやその部分縮合物を水やアルコール等の溶剤に分散させる。そして、当該分散液のpHを好ましくは1〜7、より好ましくは2〜6に調整し、アルコキシシラン等を加水分解させる。その後、加水分解物どうし脱水縮合させることで、シリコーンレジンが得られる。脱水縮合時間等によって、得られるシリコーンレジンの分子量等を調整することができる。加水分解物の縮合は、上記加水分解と連続して行うことが可能であり、加水分解により生成したアルコールや、水を留去することで、縮合反応を促進させることができる。
なお、シリコーンレジンの調製に用いるアルコキシシランは、所望のシリコーンレジンの構造に応じて適宜選択される。トリアルコキシシラン化合物の例には、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリイソプロポキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリシラノール、フェニルトリシラノール等が含まれる。
ジアルコキシシランの例には、メチルハイドロジェンジメトキシシラン、メチルハイドロジェンジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、メチルプロピルジメトキシシラン、メチルプロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等が含まれる。
さらに、テトラアルコキシシランの例には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラメトキシシラン等が含まれる。
シリコーンレジン調製の際には、上記トリアルコキシシランやジアルコキシシラン、テトラメトキシシランの部分縮合物を原料として用いてもよい。
(2)ポリエステル樹脂
ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸および多価アルコールを重縮合させた公知の樹脂とすることができる。多価カルボン酸の例には、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類及びこれらの無水物;コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸類及びこれらの無水物;γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン類;トリメリット酸、トリメジン酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸類;等が含まれる。ポリエステル樹脂は、上記多価カルボン酸由来の構造を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
多価アルコールの例には、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−ドデカンジオール、1,2−オクタデカンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAアルキレンオキシド付加物、ビスフェノールSアルキレンオキシド付加物等のグリコール類;トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の3価以上の多価アルコール類等が含まれる。ポリエステル樹脂は、上記多価アルコール由来の構造を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
ポリエステル樹脂のGPCで測定される数平均分子量(ポリスチレン換算)は、2,000〜8,000であることが好ましい。数平均分子量が2,000未満であると、得られる塗膜内での架橋密度が高くなりすぎて、塗装金属板の加工性が低下する。一方、数平均分子量が8,000より大きくなると、得られる塗膜の架橋密度が低下し、塗膜の硬度が低下したり、屋外耐候性が低下したりすることがある。硬度、加工性、および耐候性のバランスから数平均分子量は3,000〜6,000であることが特に好ましい。
金属板用塗料が含むポリエステル樹脂の量は、金属板用塗料の用途に応じて適宜選択されるが、得られる塗膜の強度等の観点から、金属板用塗料の固形分100質量部に対して、25〜60質量部であることが好ましく、30〜50質量部であることがより好ましい。
(3)メラミン樹脂系硬化剤
メラミン樹脂系硬化剤は、上記ポリエステル樹脂を硬化させるための硬化剤であり、その例には、メチル化メラミン樹脂やブチル化メラミン樹脂等が含まれる。
メチル化メラミン樹脂は、分子中にメトキシ基を有するメラミンホルムアルデヒド樹脂であり、例えばヘキサメトキシメチロールメラミンを60質量%以上含むメチル化メチロールメラミン樹脂とすることができる。メチル化メチロールメラミン樹脂の市販品の例には、サイメル303、サイメル301、およびサイメル300(いずれも日本サイテックインダストリーズ社製、「サイメル」は同社の登録商標)が含まれ、メチル化メラミン樹脂は、これらのいずれか一種のみ含んでいてもよく、二種以上含んでいてもよい。
一方、ブチル化メラミン樹脂は、分子中にブトキシ基を含有するメラミンホルムアルデヒド樹脂である。ブチル化メラミン樹脂の市販品の例には、ユーバン128、ユーバン225、ユーバン134、およびユーバン62(いずれも三井化学社製、「ユーバン」は同社の登録商標)、スーパーベッカミンJ830、およびスーパーベッカミンG821(いずれもDIC社製)等が含まれる。なお、本明細書において、ブトキシ基を1つ以上含む化合物は、ブチル化メラミン樹脂とする。例えばブチル化メラミン樹脂は、ブトキシ基およびメトキシ基を含む、メチル・ブチル混合アルキル化メラミン樹脂であってもよい。このようなメチル・ブチル混合アルキル化メラミンの例には、サイメル266およびサイメル267(いずれも日本サイテックインダストリーズ社製、「サイメル」は同社の登録商標)が含まれる。ブチル化メラミン樹脂は、これらのいずれか一種のみを含んでいてもよく、二種以上含んでいてもよい。
メラミン樹脂系硬化剤が、ブチル化メラミン樹脂を含む場合、ブチル化メラミン樹脂は、金属板用塗料の膜の表面に濃化し、自己縮合する。そのため、得られる塗膜の硬度と耐薬品性が向上する。ただし、ブチル化メラミン樹脂を過剰に含むと、塗膜内部における架橋反応性が低下しやすい。そこで、メチル化メラミン樹脂とブチル化メラミン樹脂とを組み合わせることが好ましく、メラミン樹脂系硬化剤中のメチル化メラミン樹脂の含有量とブチル化メラミン樹脂の含有量との質量比は、100:0〜20:80であることが好ましい。
また特に、ポリエステル樹脂とメラミン樹脂系硬化剤との総量に対してメラミン樹脂系硬化剤の量が比較的少ない場合(例えば15〜20質量%である場合)には、塗膜の架橋密度を向上させるために、メラミン樹脂系硬化剤中のメチル化メラミンの上記比率を95質量%以上とすることが好ましい。また、ポリエステル樹脂とメラミン樹脂系硬化剤との総量に対して、メラミン樹脂系硬化剤の量が比較的多い場合(例えば30〜35質量%である場合)には、十分な架橋密度が得られやすいことから、メラミン樹脂系硬化剤中のメチル化メラミンの上記比率は50質量%以下であることが好ましい。なお、メラミン樹脂系硬化剤の量が、ポリエステル樹脂とメラミン樹脂系硬化剤との総量に対して20質量%超30質量%未満である場合には、メラミン樹脂系硬化剤中のメチル化メラミンの含有量は、は20質量%以上100質量%以下のいずれであってもよい。
なお、金属板用塗料が含むメラミン樹脂系硬化剤全体の量は、ポリエステル樹脂を十分に硬化させることが可能であればよく、上述した比率で調整することができる。
(4)触媒
金属板用塗料は、シリコーンレジンを硬化させるための触媒を含んでいてもよい。触媒は、ドデシルベンゼンスルホン酸等、公知の酸触媒であってもよい。ただし、上述のメラミン樹脂系硬化剤と共に一般的な酸触媒を含むと、塗料の貯蔵安定性が低くなりやすく、経時で増粘やゲル化等が生じることがある。そこで、酸触媒として、pHが6〜8であるブロックスルホン酸触媒を含むことが好ましい。pHが6〜8であるブロック酸触媒は、スルホン酸触媒が高分子量化合物等(以下、「ブロック基」とも称する)によって保護された構造を有する。このようなブロックスルホン酸触媒は、そのpHが6〜8であることから、金属板用塗料の保存時にはシリコーンレジンやメラミン樹脂系硬化剤と反応し難く、貯蔵安定性が非常に良好となる。一方で、ブロックスルホン酸触媒のブロック基は、加熱等によってスルホン酸から容易に脱離するため、シリコーンレジン(金属板用塗料)を硬化させる際には、スルホン酸触媒が十分に機能しやすい。
このようなブロックスルホン酸触媒は、加熱等によってブロック基が脱離し、シリコーンレジンの硬化触媒として作用する化合物であれば特に制限されない。金属板用塗料は、ブロックスルホン酸触媒を一種のみ含んでいてもよく、二種以上含んでいてもよい。
ブロックスルホン酸触媒のpHは、金属板用塗料から常法によりブロックスルホン酸触媒のみを抽出し、pH測定装置で測定すること等により特定できる。ブロックスルホン酸触媒のpHは通常、ブロック基の構造により調整される。ブロックスルホン酸触媒のpHは、金属板用塗料の貯蔵安定性をさらに良好にするとの観点から、6.5〜7.5であることがより好ましい。
ブロックスルホン酸触媒の例には、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物が含まれる。
Figure 2020055963
上記一般式(1)において、Rは一価もしくは多価の炭素数1〜18の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、炭素数1〜18の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が1つまたは2つ結合したフェニル基、またはナフチル基を表す。Rは上記の中でも、炭素数1〜18のアルキル基が1つ結合したフェニル基であることが好ましく、ブロック基が脱離した後のスルホン酸の安定性の観点から、p−トリル基または4−ドデシルフェニル基であることがより好ましい。
また、上記一般式(1)において、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子、または炭素数1〜12のアルキル基を表す。RまたはRがアルキル基である場合、これらは直鎖状、または分岐鎖状のいずれの構造を有していてもよい。なお、RおよびRは互いに結合して脂環式構造を形成していてもよい。RおよびRは、上記の中でも水素原子であることが特に好ましい。
さらに、上記一般式(1)において、Xは、単結合、−CH−O−R−、または−CH−O−C(=O)−R−を表し(RおよびRは、単結合、または炭素数1〜20の二価の有機基を表す)、Xは、単結合、または−C(=O)NH−を表す。なお、上記Xに含まれるRまたはRが二価の有機基である場合、炭素数は、5〜15であることがさらに好ましい。Xに含まれる有機基の構造は特に制限されず、例えばアルキル基やアリール基等が直接結合、もしくは連結基を介して結合した基とすることができる。
また、Rは、水素原子、一価もしくは多価の炭素数1〜18の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、置換基を有していてもよいビスフェノールA残基、または置換基を有していてもよいビスフェノールF残基を表す。一方、Rは、水素原子、一価もしくは多価の炭素数1〜18の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、炭素数1〜18のシクロアルキル基、炭素数1〜18のアリール基、または炭素数19〜100の有機基を表す。なお、Rが有機基である場合、その構造は特に制限されず、例えばアルキル基やアリール基等が直接結合、もしくは連結基を介して結合した基とすることができる。Rは、上記の中でも水素原子、もしくは炭素数1〜18のアルキル基であることが好ましく、Rは、上記の中でも水素原子であることが好ましい。
また、nは1〜10の整数を表す。一方、x、y、およびzは、R、R、およびRの価数に応じて適宜選択される1以上の整数を表す。n、x、y、およびzはいずれも1であることが好ましい。
ここで、上記一般式(1)で表されるブロックスルホン酸触媒は、下記一般式(2)で表される化合物であることが特に好ましい。
Figure 2020055963
一般式(2)において、R11は、炭素数1〜18の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、置換基を有していてもよいビスフェノールA残基、または置換基を有していてもよいビスフェノールF残基を表し、炭素数が1〜12のアルキル基であることが特に好ましい。一方、R12は、炭素数1〜12のアルキル基を表し、メチル基またはドデシル基であることが特に好ましい。
上述のブロックスルホン酸触媒では、加熱等によってブロック基が離脱する。例えば上記一般式(2)で示される化合物では、p−アルキルフェニルスルホン酸からブロック基が離脱し、p−アルキルフェニルスルホン酸がシリコーンレジンの硬化のための酸触媒として機能する。
ここで、ブロックスルホン酸触媒は、シリコーンレジンの硬化触媒としてだけでなく、上述のポリエステル樹脂とメラミン樹脂系硬化剤との反応における触媒として機能してもよい。ポリエステル樹脂およびメラミン樹脂系硬化剤は反応性が高く、通常、触媒がなくても反応が進行する。ただし、ポリエステル樹脂が高分子量である場合等には、ポリエステル樹脂とメラミン樹脂系硬化剤と十分に反応し難いことがある。このような場合に、金属板用塗料がブロックスルホン酸触媒を含むと、ポリエステル樹脂とメラミン樹脂系硬化剤との反応が進行しやすくなり、硬化性の良好な塗膜が得られやすくなる。
金属板用塗料が含むブロックスルホン酸触媒の量は、ブロック基の分子量や、1分子中に含まれるスルホニル基の数によって適宜選択される。例えば、1分子中にスルホニル基を1つのみ含むブロックスルホン酸触媒では、ブロック基脱離後のスルホン酸触媒の量が、金属板用塗料の固形分100質量部に対して、0.05〜1.8質量部となるような量とすることが好ましく、0.2〜1.0質量部となるような量とすることがさらに好ましい。金属板用塗料の固形分量に対するブロックスルホン酸触媒の量が当該範囲であると、シリコーンレジンが効率良く硬化しやすくなり、硬度の高い塗膜が得られやすくなる。
ここで、上記ブロックスルホン酸触媒の調製方法は特に制限されず、公知の方法で調製することができる。例えばp−トルエンスルホン酸やドデシルベンゼンスルホン酸等のスルホン酸と、分子内に1つ以上エポキシ基を有するエポキシ化合物とを常法にしたがって反応させること等により、調製することができる。
(5)その他の成分
金属板用塗料は、無機粒子や有機粒子をさらに含んでいてもよい。金属板用塗料が、これらを含むと、得られる塗膜の表面粗さ等が調整されやすくなる。ここで、無機粒子または有機粒子の平均粒子径は4〜80μmであることが好ましく、10〜60μmであることがより好ましい。無機粒子や有機粒子の平均粒子径は、コールターカウンター法で測定される値である。なお、無機粒子や有機粒子の形状は特に制限されないが、得られる塗膜の表面状態を調整しやすいとの観点から、略球状であることが好ましい。
無機粒子の例には、シリカ、硫酸バリウム、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、ガラスビーズ、ガラスフレークが含まれる。また、有機粒子の例には、アクリル樹脂やポリアクリロニトリル樹脂からなる樹脂ビーズが含まれる。これらの樹脂ビーズは、公知の方法を用いて製造したものであってもよく、市販品であってもよい。市販のアクリル樹脂ビーズの例には、タフチック AR650S(平均粒径18μm)、タフチック AR650M(平均粒径30μm)、タフチック AR650MX(平均粒径40μm)、タフチック AR650MZ(平均粒径60μm)、タフチックAR650ML(平均粒径80μm)(いずれも東洋紡社製)が含まれる。また、市販のポリアクリロニトリル樹脂ビーズの例には、タフチック A−20(平均粒径24μm)、タフチック YK−30(平均粒径33μm)、タフチック YK−50(平均粒径50μm)、およびタフチック YK−80(平均粒径80μm)(いずれも東洋紡社製)が含まれる。
金属板用塗料が含む無機粒子および/または有機粒子の量は、所望の塗膜の表面状態等に応じて適宜選択される。通常、塗料の固形分100質量部に対する無機粒子および/または有機粒子の合計量は、1〜40質量部とすることができる。
またさらに、金属板用塗料は、必要に応じて着色顔料を含んでいてもよい。着色顔料の平均粒子径は、例えば0.2〜2.0μmとすることができる。このような着色顔料の例には、酸化チタン、酸化鉄、黄色酸化鉄、フタロシアニンブルー、カーボンブラック、コバルトブルー等が含まれる。なお、金属板用塗料が着色顔料を含む場合、その量は、塗料の固形分100質量部に対して、20〜60質量部であることが好ましく、30〜55質量部であることがより好ましい。
また、金属板用塗料は、必要に応じて有機溶剤をさらに含んでいてもよい。当該有機溶剤は、上記シリコーンレジンやポリエステル樹脂、メラミン樹脂系硬化剤、触媒、無機粒子や有機粒子等を十分に溶解、または分散させることが可能なものであれば特に制限されない。有機溶剤の例には、トルエン、キシレン、Solvesso(登録商標)100(商品名、エクソンモービル社製)、Solvesso(登録商標)150(商品名、エクソンモービル社製)、Solvesso(登録商標)200(商品名、エクソンモービル社製)等の炭化水素系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤;メタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール系溶剤;エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテルアルコール系溶剤;等が含まれる。塗料は、これらを一種のみ含んでいてもよく、二種以上含んでいてもよい。これらの中でも、ポリエステル樹脂との相溶性等の観点から、好ましくはキシレン、Solvesso(登録商標)100、Solvesso(登録商標)150、シクロヘキサノン、n−ブチルアルコールである。
(6)塗料の調製方法
金属板用塗料の調製方法は特に制限されない。公知の塗料と同様に各成分を混合し、攪拌もしくは分散することで、調製することができる。なお、シリコーンレジンは、他の成分と予め混合してもよい。また、シリコーンレジン以外の材料を予め混合しておき、シリコーンレジンを後から混合してもよい。
2.塗装金属板の製造方法
上述の金属板用塗料を用いて塗装金属板を作製する方法を以下説明する。当該塗装金属板の製造方法は、金属板の表面に、上述の金属板用塗料を塗布し、硬化させて塗膜を形成する工程と、当該塗膜にフレーム処理を行う工程と、を含む方法とすることができる。
ここで、金属板用塗料を塗布する金属板は、一般的に建築板として使用されている金属板を使用することができる。このような金属板の例には、溶融Zn−55%Al合金めっき鋼板等のめっき鋼板;普通鋼板やステンレス鋼板等の鋼板;アルミニウム板;銅板等が含まれる。金属板には、本発明の効果を阻害しない範囲で、その表面に化成処理皮膜や下塗り塗膜等が形成されていてもよい。さらに、当該金属板は、本発明の効果を損なわない範囲で、エンボス加工や絞り成形加工等の凹凸加工がなされていてもよい。
金属板の厚みは特に制限されず、用途等に応じて適宜選択される。例えば、塗装金属板を金属サイディング材に使用する場合には、金属板の厚みは0.15〜0.5mmとすることができる。
金属板の表面に上述の金属板用塗料を塗布する方法は特に制限されず、公知の方法から適宜選択することが可能である。金属板用塗料の塗布方法の例には、ロールコート法や、カーテンフロー法、スピンコート法、エアースプレー法、エアーレススプレー法および浸漬引き上げ法が含まれる。これらの中でも、ロールコート法が効率よく、所望の厚みを有する塗膜を得やすいとの観点から好ましい。
また、金属板用塗料の硬化方法は、例えば加熱による焼き付け等とすることができる。焼付け処理時の温度は、金属板用塗料中のポリエステル樹脂等の分解を防止しつつ、例えばブロックスルホン酸触媒のブロック基を脱離させたり、ポリエステル樹脂とメラミン樹脂系硬化剤とを十分に反応させる等の観点から、120〜300℃であることが好ましく、150〜280℃であることがより好ましく、180〜260℃であることがさらに好ましい。焼付け処理時間は特に制限されず、上記と同様の観点から、3〜90秒であることが好ましく、10〜70秒であることがより好ましく、20〜60秒であることがさらに好ましい。
また、金属板用塗料の焼き付け時には、短時間で金属板用塗料を硬化させるため、板面風速が0.9m/s以上となるように風を吹き付けてもよい。上述の金属板用塗料中では、シリコーンレジンと他の成分とが水素結合している。そのため、風を吹き付けながら金属板用塗料を硬化させても、シリコーンレジンが蒸発し難く、加熱装置を汚染し難い。
ここで、金属板上に形成する塗膜の厚みは、塗装金属板の用途等に応じて適宜選択されるが、通常3〜30μmの範囲内である。当該厚みは、焼付け塗膜の比重、およびサンドブラスト等による塗膜除去前後の塗装金属板の重量差から重量法によって求められる値である。塗膜が薄すぎる場合、塗膜の耐久性および隠蔽性が不十分となることがある。一方、塗膜が厚すぎる場合、製造コストが増大するとともに、焼付け時にワキが発生しやすくなることがある。
一方、塗膜(硬化後の塗料)をフレーム処理する方法は特に制限されず、通常のフレーム処理方法と同様とすることができる。前述の金属板用塗料の塗膜をフレーム処理すると、塗膜表面のシリコーンレジンの炭化水素基(例えばメチル基やフェニル基等)が分解されて、シラノール基やシロキサン結合が生じる。これにより、塗膜表面の親水性が高まり、耐雨筋汚れ性が発現する。
フレーム処理は、塗膜を形成した金属板を、ベルトコンベア等の搬送機に載置し、一定方向に移動させながら、フレーム処理用バーナーで塗膜に火炎を放射する方法等とすることができる。
ここで、フレーム処理量は、30〜1000kJ/mであることが好ましく、100〜600kJ/mであることがより好ましい。なお、本明細書における「フレーム処理量」とは、LPガス等の燃焼ガスの供給量を基準として計算される塗装金属板の単位面積当たりの熱量である。当該フレーム処理量は、フレーム処理用バーナーのバーナーヘッドと塗膜表面との距離、塗膜の搬送速度等によって調整できる。フレーム処理量が30kJ/m未満では、処理にムラが生じることがあり、塗膜表面を一様に親水化することが難しい。一方、フレーム処理量が1000kJ/mを超えると、塗膜が酸化して黄変することがある。
また、フレーム処理前に、塗膜表面を40℃以上に加熱する予熱処理を行ってもよい。熱伝導率が高い金属板(例えば、熱伝導率が10W/mK以上の金属板)表面に形成された塗膜に、火炎を照射すると、燃焼性ガスの燃焼によって生じた水蒸気が冷やされて水となり、一時的に塗膜の表面に溜まる。そして、当該水がフレーム処理時のエネルギーを吸収して水蒸気となることで、フレーム処理が阻害されることがある。これに対し、塗膜表面(金属板)を予め加熱しておくことで、火炎照射時の水の発生を抑えることができる。
塗膜を予熱する手段は特に限定されず、一般に乾燥炉と呼ばれる加熱装置を使用することができる。例えば、バッチ式の乾燥炉(「金庫炉」とも称する。)を使用することができ、その具体例には、いすゞ製作所社製低温恒温器(型式 ミニカタリーナ MRLV−11)、東上熱学社製自動排出型乾燥器(型式 ATO−101)、および東上熱学社製簡易防爆仕様乾燥器(型式 TNAT−1000)等が含まれる。
3.塗装金属板について
上述の方法により作製される塗装金属板は、金属板と、当該金属板上に形成された塗膜と、を有する。上述のように、シリコーンレジンは、三次元状の架橋型構造を含む。そのため、金属板用塗料の説明にも記載したように、シリコーンレジンを含む金属板用塗料を金属板の表面に塗布すると、シリコーンレジンが当該膜の表面に沿って均一に並びやすい。そして、シリコーンレジンの硬化膜を親水化処理(フレーム処理)すると、当該硬化膜表面に含まれる有機基がムラなく除去されて、シラノール基やシロキサン結合が導入される。その結果、塗装金属板の表面(塗膜表面)の親水性が均一に高くなり、耐雨筋汚れ性が非常に良好となる。また、当該塗膜においてシリコーンレジンの硬化物が表面に均一に並んでいるため、塗装金属板の耐傷付き性が高い。さらに、当該塗膜の内側に含まれるシリコーンレジンの硬化物の量が少なく、塗膜の内側(金属板側)の柔軟性が高い。したがって、塗装金属板の曲げ加工性が良好となる。
ここで、上記のように作製される塗膜は、その表面をX線電子分光分析法(以下、XPS法とも称する)で分析したとき、以下のような値を示す。まず、塗膜表面について、X線源としてAlKα線を使用してXPS法で測定したとき、Si原子、N原子、C原子、O原子、およびTi原子の合計量に対するSi原子の割合Siが8atm%以上となる。Siは、10atm%以上であることがより好ましく、14atm%以上であることがさらに好ましい。Siは、塗膜表面へのシリコーンレジンの濃化量に比例し、Siが8atm%以上であると、塗膜の耐傷つき性が高くなる。また、Siが大きくなると、相対的に塗膜内部におけるシリコーンレジン由来の構造の量が少なくなり、Siが8atm%以上であると、塗装金属板の曲げ加工性も高くなる。
また、上記XPS法で測定したときの、C原子の量に対するO原子の量の割合(O原子の量/C原子の量)をxとすると、xが0.8以上となる。xは、1.0以上であることがより好ましく、1.4以上であることがさらに好ましい。xは、塗膜表面に存在する有機基由来のC原子の量に対する、シロキサン結合やシラノール基由来のO原子の量の割合を表す。つまり、上述のフレーム処理によって、シリコーンレジン由来の有機基が除去されて、シロキサン結合やシラノール基が導入されると、xが大きくなる。そして、xが0.8以上であると、塗膜表面の親水性(塗装金属板の耐雨筋汚れ性)が特に良好になる。
また、上記塗膜表面をXPS法で分析した際に得られるX線電子分光スペクトルのC1sピークトップを285eVに補正して、Si2pスペクトルを103.5eVに相当するピークおよび102.7eVに相当するピークに分離したとき、Si2pスペクトル全体のピーク面積(Si2p)に対する103.5eVのピーク面積(Si無機)の割合をy(=Si無機/Si2p)とすると、yが0.6以上となる。yは、0.7以上であることがより好ましく、0.8以上であることがより好ましい。
Si2pスペクトルは、X線電子分光スペクトルのC1sピークトップを285eVに補正したときに、101〜106eV近傍に観測されるスペクトルであり、Si原子全体、すなわち炭素が結合した有機系のSi原子のピーク(102.7eV)と、酸素が結合した(シロキサン結合もしくはシラノール基を構成している)無機系のSi原子のピーク(103.5eV)との両方を含むスペクトルである。つまり、yは、塗膜表面のSiの全体量に対する、無機系のSi原子(シロキサン結合やシラノール基を構成するSi原子)の割合を表し、Si無機/Si2pが0.6以上になると、塗膜表面の親水性(塗装金属板の耐雨筋汚れ性)が特に良好になる。
ここで、XPS法による塗膜表面の組成(Si原子、N原子、C原子、O原子、およびTi原子の量)の分析は、X線源としてAlKαを用いた、一般的なXPS法による分析と同様とすることができるが、例えば以下の測定装置や測定条件で行うことができる。
(測定装置および測定条件)
測定装置:KRATOS社製 AXIS−NOVA 走査型X線光電子分光装置
X線源:AlKα 1486.6eV
分析領域 700×300μm
また、上述のSi2pスペクトルを103.5eVに相当するピークおよび102.7eVに相当するピークに分離する方法としては、以下のような方法が挙げられる。まず、X線電子分光スペクトルのC1sピークトップを285eVに補正する。その後、101〜106eV近傍に観測されるSi2pスペクトルをLinear法でバックグラウンド除去する。そして、バックグラウンド除去されたスペクトルを、ガウス関数およびローレンス関数の複合関数で処理し、有機系Si原子のピーク(102.7eV)と、無機系Si原子のピーク(103.5eV)とに分離する。
ここで、上記塗膜は、上記XPS法で測定した場合、以下のような値も示す。図1に塗装金属板の塗膜の部分拡大断面図を示す。以下、塗膜の表面から金属板1に向かって深さが0nm以上10nm未満の領域を塗膜2の最表層2xとし、塗膜2の表面から金属板1に向かって深さが10nm以上100nm未満の領域を塗膜2の表層2yとし、塗膜2の表面から金属板1に向かって深さが100nm以上金属板側表面までの領域を塗膜2の本体層2zとする。そして、上述のXPS法で測定したときの、最表層におけるSi原子、N原子、C原子、O原子、およびTi原子の合計量に対するSi原子の割合をSiとすると、Siは8atm%以上となる。Siは、10atm%以上35atm%以下であることが好ましく、15atm%以上30atm%以下であることがより好ましい。
最表層2xのSi原子の含有割合を示すSiが8atm%以上となる、つまり、シリコーンレジンが最表層2x側に濃化していると、塗膜の表面硬度が高くなる。なお、塗膜2が、シリコーンレジンの硬化物ではなく、メチルシリケートの硬化物を含む場合、メチルシリケート塗膜は表面に濃化し難いことから、Siの値は通常、8atm%より小さい値となる。
また当該塗膜は、X線源としてAlKα線を使用してXPS法で測定したときの、最表層2xにおけるC原子の量に対するO原子の量の割合(O/C)をα、表層2yにおけるC原子の量に対するO原子の量の割合(O/C)をα、本体層2zにおけるC原子の量に対するO原子の量の割合(O/C)をαとすると、α、α、およびαがそれぞれ以下の式を満たす。
α≧0.8
α>α>α
α≧0.8かつα>α>αであることは、塗膜2表面がフレーム処理(親水化処理)されていること、つまり塗膜2の表面の親水性が高いことを表す。そして、これらが満たされると、塗装金属板の耐雨筋汚れ性が非常に高くなる。なお、上記αは、1.2〜3.0であることが好ましく、1.5〜2.5であることがより好ましい。またαは、0.07〜0.25であることがより好ましく、0.10〜0.20であることがさらに好ましい。また、αは、0.3〜0.6であることがより好ましく、0.35〜0.5であることがさらに好ましい。
塗膜2表面がフレーム処理(親水化処理)されている場合に、α≧0.8かつα>α>αとなる理由を、以下説明する。前述のように、シリコーンレジンを含む塗料を金属板1表面に塗布すると、シリコーンレジンが膜の表面に移行し、膜の表面に沿って均一に並ぶ。したがって、シリコーンレジンの硬化物を含む塗膜では、通常、最表層2xにシリコーンレジン由来の有機基が多く含まれ、最表層2x、表層2y、および本体層2zの順にC濃度が高い。ただし、この状態では通常、最表層2xにおける、C原子の量に対するO原子の量の比(以下、「O/C比」とも称する)αは0.8より小さくなる。これに対し、シリコーンレジンの硬化物を含む膜がフレーム処理(親水化処理)されると、最表層2xのシリコーンレジンのSi原子に結合した有機基が分解されて、OH基等が導入されたり、シロキサン結合が生成したりする。したがって、最表層2xではC濃度が低下し、O濃度が上昇する。つまり、最表層2xにおけるO/C比が非常に大きくなり、0.8以上となる。一方、表層2yおよび本体層2zは、フレーム処理(親水化処理)の影響を受け難く、O原子およびC原子の濃度が変化しない。そしてこれらを比較すると、C原子の濃度の高い表層2yのほうが、C原子の濃度の低い本体層2zと比較してO/C比が小さくなり、O/C比の極小値が表層2yで観測される。つまり、α>α>αとなる。
なお、最表層2xにおけるO原子の量は、塗膜2中に含まれる他の成分(例えば、TiOの無機粒子)由来のO原子の量に影響され難い。その理由を以下、説明する。図2および図3は、上述の金属板用塗料から得られる塗膜(無機粒子としてTiOを含む)のXPS法で特定されるO1sピークのグラフである。図2および図3にはそれぞれ、塗膜2の表面から金属板1に向かって深さ0nm、10nm、50nm、100nm、200nm、300nmおよび500nmの位置におけるO1sピークを示す。ここで、TiO由来のO1sピークは通常530eV近傍に見られ、当該領域以外の位置に見られるピークは、シリコーンレジン等、他の成分由来のピークである。図2および図3に示されるように、いずれの塗膜2においても、最表層2x(塗膜2の表面から0nm以上10nm未満の領域)では、530eVより高エネルギー側にピークが見られる。これに対し、塗膜2の表層2yおよび本体層2z(塗膜2の表面から金属板1に向かって10nm以上の位置)では、530eV近傍にピークが見られる。つまり塗膜2において、TiO等の無機粒子は主に表層2yおよび本体層2zに含まれており、最表層2xのO原子濃度には影響を及ぼし難い。
ここで、XPS法で最表層2x、表層2y、および本体層2zにおけるSi原子、N原子、C原子、O原子、およびTi原子の量をそれぞれ測定する場合、塗膜をエッチングしながら以下の条件で分析することができる。
(測定条件)
測定装置:アルバック・ファイ製VersaprobeII 走査型X線光電子分光装置
X線源:AlKα (モノクロ:50W、15kV) 1486.6eV
分析領域 0.2mmφ
帯電中和利用(電子銃+イオン中和銃)
(エッチング条件)
エッチング条件:Arイオン加速電圧4kV
エッチングレート:8.29nm/min(SiO換算)10nm毎に測定
なお、本発明の塗装金属板では、塗膜表面のヨウ化メチレン転落角が15°以上50°以下であることが好ましく、35°以下であることがより好ましい。前述のように、本発明の塗装金属板の塗膜はフレーム処理(親水化処理)が行われているが、親水化処理が不十分であると、十分な耐雨筋汚れ性が得られ難くなる。ここで、ヨウ化メチレン転落角は、塗膜表面の親水性が高い場合や、塗膜表面の粗度が粗い場合に高くなる。ただし、塗膜表面の親水性が不均一である場合にはさらに高くなる。例えば、コロナ処理で表面処理されている場合には、ヨウ化メチレン転落角が50°超となる。これに対し、フレーム処理が行われている場合には、表面が均一に親水化されており、ヨウ化メチレン転落角が50°以下となる。
なお、コロナ放電処理等によって、塗膜表面の親水性が不均一となった場合に、ヨウ化メチレン転落角が50°より大きくなる理由は、以下のように考えられる。表面に親水基および疎水基をそれぞれ同数ずつ有する2種類の塗膜が有り、一方は親水基と疎水基との分布に偏りが無く、他方は親水基と疎水基との分布に偏りが有ると仮定する。このとき、両者の静的接触角は、親水基および疎水基の分布に左右され難く、略同一となる。これに対し、両者の動的接触角(ヨウ化メチレン転落角)は、親水基および疎水基の分布によって左右され、異なる値となる。ヨウ化メチレン転落角を測定する際、親水基および疎水基の分布が不均一であると、親水基の密度が高い部分にヨウ化メチレン滴が吸着される。つまり、親水基と疎水基との分布に偏りが有ると、分布ムラがない場合と比較してヨウ化メチレン滴が動き難くなり、転落角が大きくなる。したがって、コロナ放電処理のように、塗膜表面に親水基が多数導入されるものの、その分布にはムラがある場合には、ヨウ化メチレン転落角が50°を超える高い値となる。
なお、ヨウ化メチレン転落角は、以下のように測定される値である。まず、塗膜上に2μlのヨウ化メチレンを滴下する。その後、接触角測定装置を用いて、2度/秒の速度で塗膜の傾斜角度(重力に垂直な平面と塗膜とが成す角度)を大きくする。このとき、接触角測定装置に付属しているカメラによって、ヨウ化メチレンの液滴を観察する。そして、ヨウ化メチレンの液滴が転落する瞬間の傾斜角度を特定し、5回の平均値を当該塗膜のヨウ化メチレン転落角とする。なお、ヨウ化メチレンの液滴が転落する瞬間とは、ヨウ化メチレン(液滴)の重力下方向の端点および重力上方向の端点の両方が動き出す瞬間とする。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例により限定されない。
1.塗料の調製
以下の方法により、各塗料を調製した。
1−1.ポリエステル樹脂の調製
表1に示すモル比で、無水フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、およびトリメチロールプロパンを混合し、さらに触媒としてジブチルチンオキシドを添加した。当該混合物を不活性ガス存在下、250℃で1〜2時間エステル化反応させた。その後、1mmHgまで減圧し、270℃で更に反応を行った。これにより、表1に示す物性を有するポリエステル樹脂A〜Cを得た。
Figure 2020055963
1−2.メラミン樹脂系硬化剤の準備
メチル化メラミンおよびブチル化メラミンは、それぞれ以下のものを使用した。
・メチル化メラミン:日本サイテックインダストリーズ社製、サイメル303
・ブチル化メラミン:DIC社製、スーパーベッカミンJ830
1−3.シリコーンレジンの調製
・メチル系シリコーンレジンの調製
2Lのフラスコにメチルトリメトキシシラン408g(3.0モル)を仕込み、10℃以下で水800gを加え、よく混合させた。次いで氷冷下、0.05Nの塩酸水溶液216g(12.0モル)を5℃で、40分間かけて滴下した。滴下終了後、10℃で6時間攪拌し、加水分解および脱水縮合を完了させた。これにより、メチル系シリコーンレジンを含む調製液を得た。その後、当該調製液から、加水分解によって生成したメタノールを、70℃、60mmHgで1時間減圧留去した。メタノール留去後の調製液は白濁しており、一晩静置することで、2層に分離した。下層は、水に不溶となって沈降したシリコーンレジンである。当該調製液に、メチルイソブチルケトン(MIBK)469gを加え、室温で1時間攪拌した。これにより、沈降したシリコーンレジンを完全にMIBKに溶解させた。そして、当該調製液を静置し、水層とMIBK層とを分離させた。その後、コック付きフラスコにて下層の水層を取り除き、固形分が50質量%、かつ無色透明のシリコーンレジン溶液を得た。シリコーンレジンの重量平均分子量、分子量分布、T単位(3官能シリコーンレジン由来の構造)/D単位(2官能シリコーンレジン由来の構造)、およびSi原子量に対するシラノール基量を表2に示す。なお、重量平均分子量および分子量分布は、GPC分析により特定した。さらに、T単位/D単位およびシラノール基量は、29Si−NMRおよびH−NMR分析により特定した。
Figure 2020055963
・メチル/フェニル系シリコーンレジンの調製
2Lのフラスコにメチルトリメトキシシラン272g(2.0モル)とフェニルトリメトキシシラン119g(1.0モル)とを仕込み、10℃以下で水800gを加え、よく混合させた。次いで、氷冷下、0.05Nの塩酸水溶液198g(11.0モル)を5〜25℃で30分間かけて滴下した。滴下終了後、10℃で6時間攪拌し、加水分解および脱水縮合を完了させた。滴下終了後、メチル系シリコーンレジンの合成と同様の操作を行い、固形分約50質量%のメチル/フェニル系シリコーンレジンを含む調製液を得た。シリコーンレジンの重量平均分子量、分子量分布、T単位/D単位、メチル基とフェニル基との含有比(メチル/フェニル)、およびSi原子量に対するシラノール基量を表3に示す。
Figure 2020055963
1−4.塗料の調製
下記表4に示す組み合わせで、ポリエステル樹脂と、メラミン樹脂系硬化剤と、を混合した。なお、メラミン樹脂系硬化剤には、メチル化メラミン単体、もしくはメチル化メラミンとブチル化メラミンとを表4に示す質量比で混合した混合物を用いた。
ポリエステル樹脂と、メラミン樹脂系硬化剤との混合物に、以下の無機粒子を混合した。各粒子の添加量は、金属板用塗料の固形分量に対して、平均粒径0.28μmの酸化チタン((顔料)、JR−603、テイカ社製)が45質量%、平均粒径5.5μmの疎水性シリカA(サイシリア456、富士シリシア化学社製)が4質量%、平均粒径12μmの疎水性シリカB(サイリシア476、富士シリシア化学社製)が3質量%、となる量とした。そしてさらに、下記一般式で示す、ブロックスルホン酸触媒(pH7.0)を添加した。ブロックスルホン酸触媒の添加量は、ブロック基が脱離した後のスルホン酸量が、金属板用塗料の固形分量に対して0.5質量%となる量とした。
Figure 2020055963
さらに、メチル系シリコーンレジン、およびメチル/フェニル系シリコーンレジンを、表4に示す量添加した。なお、表4に示すメチル系シリコーンレジンおよびメチル/フェニル系シリコーンレジンの量は、金属板用塗料の固形分量に対する量である。実施例および比較例の金属板用塗料において、ブロックスルホン酸触媒は、シリコーンレジンの硬化触媒としてだけでなく、ポリエステル樹脂とメラミン樹脂系硬化剤との架橋触媒としても作用する。
2.塗装金属板の作製
2−1.金属板の準備
板厚0.27mm、A4サイズ(210mm×297mm)、片面当りめっき付着量90g/mの溶融Zn−55%Al合金めっき鋼板を金属板として準備し、表面をアルカリ脱脂した。その後、当該表面に、塗布型クロメート処理液(日本ペイント社製 NRC300NS)を、Crの付着量が50mg/mとなるように塗布した。さらに、エポキシ樹脂系プライマー塗料(日本ファインコーティングス社製 700P)を、硬化膜厚が5μmとなるようにロールコーターで塗布した。続いて、金属板の最高到達板温215℃となるように焼き付け、プライマー塗膜を形成しためっき鋼板(以下、単に「めっき鋼板」とも称する)を得た。
2−2.金属板用塗料の塗布および硬化
上述のように調製した金属板用塗料を、40℃の恒温室中で15日間保存した後、硬化膜厚が18μmとなるように上述のめっき鋼板にロールコーターで塗布した。その後、最高到達板温225℃、板面風速0.9m/sで45秒間焼き付けた。
2−3.フレーム処理
実施例1〜14、および比較例1〜8の金属板用塗料を塗布した塗膜に対し、以下の方法でフレーム処理を行った。
フレーム処理用バーナーには、Flynn Burner社(米国)製のF−3000を使用した。また、燃焼性ガスには、LPガス(燃焼ガス)と、クリーンドライエアーとを、ガスミキサーで混合した混合ガス(LPガス:クリーンドライエアー(体積比)=1:25)を使用した。また、各ガスの流量は、バーナーの炎口の1cmに対してLPガス(燃焼ガス)が1.67L/分、クリーンドライエアーが41.7L/分となるように調整した。なお、塗膜の搬送方向のバーナーヘッドの炎口の長さは4mmとした。一方、バーナーヘッドの炎口の搬送方向と垂直方向の長さは、450mmとした。さらに、バーナーヘッドの炎口と塗膜表面との距離は、所望のフレーム処理量に応じて20mmとした。さらに、塗膜の搬送速度を24m/分とすることで、フレーム処理量を265kJ/mに調整した。
3.評価
実施例および比較例の金属板用塗料、およびこれを用いて作製した塗装金属板に対し、以下の評価を行った。
3−1.金属板用塗料の貯蔵安定性評価
各金属板用塗料を40℃の恒温室中で保存し、6ヵ月後の塗料粘度をB型粘度計で測定した。そして、保存前後の粘度を比較し、以下の基準で評価した。
◎:恒温室保存前後で塗料粘度上昇率が30%未満
○:恒温室保存前後で塗料粘度上昇率が30%以上、100%未満
△:恒温室保存前後で塗料粘度上昇率が100%以上
×:ゲル化が生じた
なお、△、○、◎を合格とした。
3−2.鉛筆硬度評価
JIS K5600−5−4(ISO/DIS 15184)に準拠して、上述の塗装金属板の塗膜表面の耐傷付き性を評価する鉛筆硬度試験を行った。当該塗膜表面の耐傷付き性は、以下の基準で評価した。
○:H以上
△:B〜HB
×:2B以下
なお、△以上を合格と評価した。
3−3.塗膜の加工性評価
上述の金属板用塗料を用いて作製した面(塗膜)が、外側になるように2T折り曲げ加工(試験片と同じ板厚の板を2枚挟み180°曲げる加工)を行い、その曲げ部の塗膜について、JIS Z1522に規定されるセロハン粘着テープを使用して塗膜剥離試験を実施した。セロハン粘着テープを貼付した面積の内、塗膜が残存した面積の割合(塗膜残存率)を測定することにより、下記の基準で塗膜の加工性を評価した。
○:塗膜残存率が90%以上
△:塗膜残存率が60〜90%
×:塗膜残存率が60%未満
なお、△以上を合格と評価した。
3−4.対水接触角評価
上述の塗装金属板の塗膜表面の対水接触角を測定した。測定は気温23±2℃、相対湿度50±5%の恒温恒湿度室で0.01ccの精製水の水滴を形成して、協和界面科学社製の接触角計DM901を使用して測定した。
3−5.耐雨筋汚れ性評価
耐雨筋汚れ性は、以下のように評価した。
まず、垂直暴露台に上述の塗装金属板をそれぞれ取り付けた。さらに、当該塗装金属板の上部に、地面に対して角度20°となるように、波板を取り付けた。このとき、雨水が塗装金属板表面を筋状に流れるように、波板を設置した。この状態で、屋外暴露試験を6ヶ月間行い、汚れの付着状態を観察した。耐雨筋汚れ性の評価は、暴露前後の塗装金属板の明度差(ΔL)で、以下のように評価した。
◎:ΔLが1未満であった(雨筋汚れが全く視認できない)
〇:ΔLが1未満であった(雨筋汚れがほとんど視認できない)
×:ΔLが1以上2未満であった(雨筋汚れは目立たないが視認できる)
××:ΔLが2以上であった(汚れが目立つ)
なお、○、◎を合格とした。
Figure 2020055963
上記表4に示されるように、シリコーンレジンの含有量が、金属板用塗料の固形分の総量に対して1質量%未満となる場合には対水接触角が低くなり、さらには耐雨筋汚れ性の評価が低下した(比較例1および3)。塗膜表面に十分な量のシリコーンレジンが並ばず、親水性が不十分になったと考えられる。一方で、シリコーンレジンの含有量が、金属板用塗料の固形分の総量に対して8質量%超である場合には、塗料の保存安定性が低下した(比較例2および4)。シリコーンレジンどうしが反応してしまったと考えられる。
一方、ポリエステル樹脂のメラミン樹脂系硬化剤の量に対する比率が過度に多くなる(85:15を超える)と、鉛筆硬度が低くなった(比較例5および7)。メラミン樹脂系硬化剤による架橋が十分ではなく、塗膜の硬度が低下したと考えられる。
また、ポリエステル樹脂のメラミン樹脂系硬化剤の量に対する比率が過度に少なくなる(65:35を下回る)と、加工性が低くなった(比較例6および8)。ポリエステル樹脂の量が少なくなると、塗膜が脆くなったと考えられる。
これに対し、シリコーンレジンの含有量が、金属板用塗料の固形分の総量に対して1〜8質量%であり、かつポリエステル樹脂とメラミン樹脂系固化剤との含有比が85:15〜65:35である金属板用塗料を用いて塗膜を形成した塗装金属板では、耐雨筋汚れ性が良好であり、さらには塗料の貯蔵安定性も良好であった。また、塗装金属板の鉛筆硬度や加工性も実用上問題ない範囲であった。
本発明の金属板用塗料は保存安定性が高く、さらに塗膜形成時に加熱装置を汚染し難い。さらに、当該金属板用塗料によれば、雨筋汚れが生じ難く、かつ耐傷付き性の高い塗装金属板が得られる。そして、当該塗装金属板は、各種建築物の外装建材等に適用が可能である。
1 金属板
2 塗膜
2x 最表層
2y 表層
2z 本体層

Claims (6)

  1. ポリエステル樹脂と、メラミン樹脂系硬化剤と、シリコーンレジンと、を含む金属板用塗料であり、
    前記シリコーンレジンの含有量が、前記金属板用塗料の固形分総量に対して1〜8質量%であり、
    前記ポリエステル樹脂の含有量と前記メラミン樹脂系硬化剤の含有量との質量比が、85:15〜65:35である、
    金属板用塗料。
  2. 前記シリコーンレジンは、Si原子の総モル数に対して、5〜50モル%のシラノール基を含む、シリコーンレジンを含む、
    請求項1に記載の金属板用塗料。
  3. 前記シリコーンレジンは、Si原子の総モル数に対して、トリアルコキシシラン由来のSi原子を50〜100モル%含む、
    請求項1または2に記載の金属板用塗料。
  4. 前記シリコーンレジンは、Si原子に直接結合するアルキル基のモル数に対する、Si原子に直接結合するアリール基のモル数の割合が20〜80%である、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属板用塗料。
  5. 前記ポリエステル樹脂の数平均分子量が2000〜8000である、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の金属板用塗料。
  6. 前記メラミン樹脂系硬化剤が、メチル化メラミン樹脂、もしくはメチル化メラミン樹脂とブチル化メラミン樹脂との混合物を含み、
    前記メチル化メラミン樹脂の含有量とブチル化メラミン樹脂の含有量との質量比が、100:0〜20:80である、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の金属板用塗料。
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